1月17日のニュース:今度はMFLとケランタンFCオーナーの場外バトル勃発か、JDTが新たな医療施設とトレーニング施設を公開、代表監督就任のラジャゴパル氏がブルネイ入り、クチンシティのアシスタントコーチに前UKM FC監督が就任

今度はMFLとケランタンFCオーナーの場外バトル勃発か
 Mリーグ2部ケランタンFCは、昨季までケランタン州サッカー協会(ケランタン州FA)が運営していましたが、このケランタン州FAが抱える給料未払い問題により、今季2021年リーグでケランタンFCの勝点が剥奪される可能性が浮上しました。これに噛み付いたのがケランタンFCの新たなオーナーとなったノリザム・トゥキマン氏でしたが、 マレーシアサッカー協会FAMが勝点剥奪を否定したことで一件落着かと思われました。
 しかし今度はノリザム オーナーの発言がMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLの癇に障った倫理規定に違反した可能性を英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 ノリザム オーナーはFAMを批判する中で、MFLがMリーグ各クラブに対して放映権料を未だに支払っていないこと、そして審判の給料が未払いになっていることを指摘しました。しかしこれに対してMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、MFLがノリザム オーナーに対しその発言内容の説明を求める理由呈示命令書を送ったことを明らかにしています。
 「放映権料については、昨季分は既に全額を支払っており、今季についてはまだ発生していないことから、ノリザム オーナーの批判については特にコメントすることはない。また審判の給料未払いについては、先日Mリーグ各クラブのCEOと行ったミーティングの際に事情を説明し全員から理解を得ているので、なぜノリザム オーナーが改めて話題にしたのかが理解できない。」とアブドル・ガニCEOは話しています。
 「ノリザム オーナーはMリーグのステークホルダー(利害関係者)として、して良いこととするべきではないことを知っておく必要がある。言い換えれば、MFLの方針に相反する内容を公言することは、MFLの方針を否定していることになる。」とも述べて、ノリザム オーナーを非難しています。
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 これまではサッカーについては全くの部外者であったビジネスマンのノリザム オーナーと、国内サッカーの言わば互助会的な関係で運営されてきたMリーグ各クラブ、MFLとFAMとではそれぞれの「常識」が大きく異なっているようです。ただし、FAMが積極的に進める(というよりもアジアサッカー連盟AFCに急かされている)民営化が本格化すれば、ノリザム オーナーのような「身内以外」の人間が国内サッカーに直接関わる機会もますます増え、従来は起こり得なかった今回のようなFAM批判やMFL批判が今後も起こることが想像できます。MFLとFAMはこれを民営化の「産みの苦しみ」として受け入れるのでしょうか、それともこれまで同様に権威主義を貫いて力でねじ伏せようとするのでしょうか。

JDTが新たな医療施設とトレーニング施設を公開
 Mリーグ1部で7連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTが新たに完成した医療施設とトレーニング施設を公開しています。
 これを報じたニューストレイトタイムズは、医師と物理療法士それぞれ複数名が常駐する施設としては東南アジアで初であると報じています。
 JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イブラヒム殿下は一人一人の選手のベストパフォーマンスを引き出すため、リハビリや回復のための施設も最高のものを用意していると話しています。
 オンライン上で公開された施設はトレーニング装置や遠赤外線サウナなどが完備されているほか、屋内のランニングトラックなども完備されています。
(私の中途半端な説明より下の映像を見ていただく方が早いです。-JDT TVより)

代表監督就任のラジャゴパル氏がブルネイ入り
 新型コロナウィルスによる影響がサッカー界でも散見される中、ブルネイ代表監督就任が決まっていたラジャゴパル・クリシュナサミー氏は既にブルネイ入りしており、予定通り指導を始めるとニューストレイトタイムズが報じています。
 元マレーシア代表監督としてU23代表を率いて2009年の東南アジア競技大会通称シーゲームズ優勝、そして翌2010年には東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ優勝などの実績を持つラジャゴパル氏は1月15に日にブルネイ入りしており、現在は入国後に義務付けられている隔離期間中ということです。
 ブルネイサッカー協会と2年契約を結んだラジャゴパル監督は、1996年以来となるアジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップの2023年大会本戦出場を目指し、今月1月末には代表候補選手を招集して合宿を開催する予定ということです。

クチンシティのアシスタントコーチに前UKM FC監督が就任
 前トレンガヌFC監督のイルファン・バクティ氏が新監督に就任したMリーグ2部のクチンシティFCのアシスタントコーチに、昨季2020年シーズンは同じMリーグ2部でプレーしたUKM FCで監督を務めたスライマン・フシン氏が就任したことをマレーシア語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 マレーシア国立大学UKMが運営し、その学生を主体としたクラブだったUKM FCは昨季はMリーグ2部で3勝3分5敗の9位となりましたが、UKMがクラブ運営から撤退を表明し、その後の新たなスポンサーが見つからなかったことから、今季のMリーグには参加しないことが決まっています。
  現役時代はクアラルンプールFA(現クアラルンプール・ユナイテッド)などでプレーしたスライマン氏は、2008年にUKM FCでコーチに就任し、当時3部リーグに所属していたチームで2017年からは監督を務め、その年には3部リーグで優勝し2部昇格を果たし、昇格1年目の2018年、2019年と2年連続で*チャレンジカップ決勝へとチームを導いています。
*チャレンジカップとはマレーシアカップに出場できないMリーグ1部の12位のチームと2部の5位以下のチームが出場する大会で、UKM FCは2018年決勝はトレンガヌFC IIに。2019年決勝はJDT IIにそれぞれ敗れています。

1月16日のニュース:ケランタンFCオーナーがFAMを痛烈に批判-FAMは勝点剥奪処分を否定、ケランタンFCの新監督が決定、今季Mリーグ参加の全クラブにクラブライセンス発給完了

図らずも今回はケランタンFCの記事が集まってしまいました。開幕後も何かと話題になりそうなケランタンFCは今後も取り上げる機会が多くなりそうな予感がします。

ケランタンFCオーナーがFAMを痛烈に批判
 マレーシアサッカー協会FAMがケランタン州サッカー協会(ケランタン州FA)に対し、11名の選手への未払い給料を命じたことは、数日前のこのブログでも取り上げましたが、マレーシアの通信社ブルナマによると、ケランタン州FAが期限までに未払い給料を支払わない場合、今季2021年のMリーグに参加するケランタンFCが勝点3を剥奪される可能性があるという報道が出たことを受け、ケランタンFCのノリザム・トゥキマン オーナーが自身のFacebookにFAMを激しく非難するコメントを投稿しています。その内容はMリーグの各クラブに義務付けられた民営化の有効性、さらにFAMによる国内サッカーの運営方法への非難にまで及んでいます。
 「未払い給料問題はケランタン州FAの問題にもかかわらず、(民営化された結果、ケランタン州FAとは別の組織となった)ケランタンFCが勝点剥奪の対象となるとはどういうことか。民営化は一体何のためだったのか。FAMは民営化を支援する立場にありながら、ケランタン州FAにもケランタンFCにも事前に何の通告もせず、いきなりメディアに勝点剥奪について発表するべきではない。」
 「Mリーグの放映権料は未だ、各クラブに支払われておらず、Mリーグの審判も給料が未払いとなっているではないか。FAMは一体何をしたいのか。自らのオフィスの改築か。」ノリザム オーナーはこのような批判を展開していますが、これにとどまらずマレーシアの現在のFIFAランキングが153位であることを「恥ずべきこと」であるとし、一体どんな輩がこの国のサッカーを運営しているのか、とまで述べています。
 ノリザム オーナーは昨年9月に、680万リンギ(およそ1億7500万円)をケランタン州FAに支払ってケランタンFCの経営権を買い取っています。またケランタン州FAは、ノリザム オーナーがクラブを購入する1ヶ月前の昨年8月に、同様の給料未払い問題でリーグ戦の勝点3を剥奪される処分を受けています。

FAMは勝点剥奪処分を否定
 前述のMリーグ2部ケランタンFCのノリザム オーナーの非難を受け、マレーシアサッカー協会FAMは急遽、公式声明を発表し、ケランタン州サッカー協会(ケランタン州FA)が給料未払いとなっている11名の選手の給料を期限までに支払わない場合でも、ケランタンFCが勝点剥奪処分を受けることはないと明言しています。
 ブルナマによれば、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長はそのような発言はしていないと否定しているということです。
 FAMの公式声明でも「残された録音音声を元に判断すると、ラマリンガム事務局長はレポーターからのケランタンFCの勝点剥奪に関する質問に答えないようにしている」としており、またケランタンFCのノリザムオーナーに対しては、事実を確認しないまま、ソーシャルメディア上でFAMに対して批判的なコメントを投稿するべきではなかったと非難しています。
 「ノリザム オーナーはFAMのスチュアート事務局長に直接連絡を取り、そういった発言があったのか、またその真意は何かなどを尋ねていればこのような問題はそもそも怒らなかった。」としています。

ケランタンFCの新監督が決定
 ケランタンFC関連の記事が続きますが、今回は新監督就任のニュースです。前任者のユスリ・チェ・ラー氏の退団により空席となってた監督に、サンマリノ出身のマルコ・ラギニ氏が就任するとマレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 欧州サッカー連盟UEFAプロライセンスを保持するラギニ氏は、イタリアサッカー協会でインストラクターを務めた経験があるほか、イタリア、スイス、ポルトガル、モンゴル、ナイジェリアでも監督やコーチの経験があるいうことです。
 ラギニ新監督の就任を自身のFacebookで告知したケランタンFCのノリザム オーナーはイタリア出身のGKコーチとスペイン出身のアシスタントコーチとフィットネスコーチを獲得したことも明かしています。

今季Mリーグ参加の全クラブにクラブライセンス発給
 マレーシアサッカー協会FAMの第一審査期間(FIB)は今季2021年シーズン参加のためのクラブライセンスを条件付きで発給されていた7クラブの内、UKM FCを除く6クラブが再審査を通過してフルライセンスを発給されたことを公式サイトで発表しています。
 この7クラブは今季Mリーグ2部に参加するクチンシティFC、ケランタンFC、サラワク・ユナイテッドFC、、1部に参加するペナンFC、スリパハンFC、マラッカ・ユナイテッドFCです。なおUKM FCの条件付きクラブライセンスは今回の審査を通過しなかったため、無効となったということです。
 昨年から断続的に施行されている活動制限令MCOや条件付き活動制限令CMCOなどのため、クラブライセンスの申請期間が昨年10月31日から12月31日まで延長された結果、上記の6クラブにはフルライセンスが発給される一方、このクラブライセンスはあくまでもマレーシア国内のみで有効で、アジアサッカー連盟AFC主催大会への参加はできないということです。
 なお、今回フルライセンスを獲得したクラブの内、マラッカ・ユナイテッドFCは国内歳入庁と従業員積立基金に合わせて27万6000リンギ(およそ709万円)を超える未納があるということですが、新たに設定された支払い期限までに納入できない場合には、クラブライセンスが無効となるということです。
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 国内歳入庁に対し税金未払いがあり、期限までに納入できなければライセンスが無効になる状況にもかかわらず、マラッカ・ユナイテッドFCに支給される条件付きライセンスがフルライセンスになる理由が全くわかりませんが、いずれにせよ、シーズン中にライセンスが無効となり、リーグ開催期間中にクラブの数が減ることだけは勘弁していただきたいです。

11月20日のニュース:トレンガヌFCはナフジ監督続投も今季のチーム得点王と契約更新せず、ケランタンFCはユスリ監督の契約を更新せず、フェルダUとUKM FCの来季Mリーグ不参加が確定

トレンガヌFCはナフジ監督続投も今季のチーム得点王と契約更新せず
 Mリーグ1部のトレンガヌFCは、ナフジ・ザイン監督の続投を発表する一方、大幅な選手の入れ替えを行うようだとマレーシア語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 既に退団を明らかにしたシンガポール出身のMFファリス・ラムリに続き、今季は11試合の短縮日程となったMリーグで9ゴールを挙げチーム得点王となったFWドミニク・ダ・シルヴァとの契約を更新しないことが、トレンガヌFCを運営するトレンガヌ州サッカー協会から発表されています。
 ベトナム1部リーグのサイゴンFCから加入して1年目のダ・シルヴァ選手は、他のMリーグクラブからのオファーの話があれば、国外よりもマレーシア国内での移籍を優先したいとも話しています。
 トレンガヌFCはダ・シルヴァ選手以外の外国籍選手との契約更改が行われていないことから、英国出身のMFリー・タック主将やウズベキスタン出身のMFサンジャル・シャアフメドフらの退団も噂されています。
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 Mリーグで今季3位となったトレンガヌFCは、今季のマレーシアカップが中止となったことから、優勝チームに与えられることになっていた来季のAFCカップ出場権が与えられており、本来ならアジアで戦うため来季へ向けての戦力補強が必要そうですが、新たな獲得選手のニュースが報じられない一方で、これだけ今季の主力選手が流失すると、せっかく棚ぼたでAFCカップ出場権を得たにもかかわらずその先には暗雲が立ち込めています。

ケランタンFCはユスリ監督の契約を更新せず
 今季Mリーグ2部で6位となったケランタンFCは、ユスリ・チェ・ラー監督とアシスタンコーチのテンク・ハムザ・ラジャ・ハサン、アズリ・マムード・、イスマイル・チャワリット・アブ・バカルの3名との契約を更新しないことを発表しています。
 ケランタンFCのノリザム・トゥキマン オーナーは、クラブが1部昇格を達成するためには厳しい決断を下す必要があるとし、そのためには自分が求める「勝者のメンタリティー」を持つ指導者が必要だったと話しています。
 マレーシア国内からだけでなく、スペインやハンガリー、ドイツなどからも監督職への応募を受けていることを明かしたノリザム オーナーは経験豊かで選手とともに強いチームを作ることができる人材を応募者から選びたいと話しています。

フェルダ・ユナイテッドFCとUKM FCの来季Mリーグ不参加が確定
 民営化に伴い新たに獲得したオーナーによる支援の内容がクラブ運営には不十分であるとして、マレーシアサッカー協会FAMから来季のMリーグ参加が認められていなかったMリーグ1部のフェルダ・ユナイテッドFCと同2部のUKM FCは、FAMに再考を求めていました。
 これについてFAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、両クラブからの再考依頼についてFAM内で協議を行った結果、やはり来季のリーグ参加資格を両クラブには与えないことを発表しています。
 「両クラブからの再考依頼を受け、追加提出された書類を精査した結果、FAMの決定は変わらず、来季のMリーグ参加は認められないことが決定した。なお、これは最終決定であり、これ以上の再考依頼は受け付けない。」とスチュアート事務局長は話しています。
 さらにスチュアート事務局長は、今回の決定により両クラブのMリーグ参加への道が完全に閉ざされたわけではなく、他の新規参入クラブ同様、まずはセミプロリーグのMリーグ3部であるM3リーグに参加し、そこから2部への昇格を目指す方法があるとも話しています。

11月5日のニュース:UKM FCは来季のMリーグ2部参加を諦めない、サラワク州FA会長がMリーグ脱退を示唆も反対派が州FA会長に辞任を求める

UKM FCは来季のMリーグ2部参加を諦めない
 Mリーグ2部のUKM FCはクラブ運営のメインスポンサーとなっていたUniverisiti Kebangsaan Malaysia(UKM)マレーシア国立大学が来季以降の運営に関わらないことを発表し、クラブ存続の危機にありました。クラブの新たな運営会社となったヴァーシティボーイズ社は、来季に向けて新たなスポンサーを獲得し、その支援に基づく運営計画をマレーシアサッカー協会FAMに提出しましたが、運営資産に問題ありとの判断から、来季のMリーグ参加は不可との決定を下されています。
 しかしこのバーシティーボーイズ社が新たなスポンサーがさらなる資金の投入を決定したとして、来季もMリーグ2部への参加を画策していると、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 ヴァーシティーボーイズ社によると、未だ名前を明かしていないこのスポンサーは、現在のスポンサーという立場からクラブのオーナーになる意思を示しているということです。これにより新たなオーナーは350万リンギ(およそ8760万円)の資金を追加で投入し、これに他の複数のスポンサーからの支援を合わせると、クラブの来季の運営予算はおよそ500万リンギ(およそ1億2500万円)に達するとしています。
 ヴァーシティーボーイズ社の関係者は「追加投入される350万リンギがあれば来季、2部リーグに参加するのに十分だと考えている。他のクラブのような大盤振る舞いはできないものの、手始めに獲得する外国籍選手を2名程度にするなどの方法を考えている。経営状況に関する書類は近々、FAMに提出されることになっており、来季は2部への参加が可能だと確信している。」と話しています。
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 フェルダ・ユナイテッドFCとUKM FCが来季のMリーグ残留をめぐって、FAMとやり取りする様子を見ながら思うのは、両クラブとも来季は3部リーグのM3リーグに参加し、そこで優勝して2部昇格を目指す、という方針ではダメなのだろうか、ということです。Mリーグは両クラブが1部と2部に参加はできないとしていますが、これは2部までがプロリーグという扱いであるからで、セミプロリーグの3部以下への参入については、これを特に否定はしていません。
 またUKM FCの運営会社のコメントにもありますが、例えば外国籍選手枠をフルに使わなければ、他のクラブに比べて戦力は低下するわけで、例え2部に参加することができても他のクラブと争えるだけの戦力を用意できなければ、来季は下位に低迷し、結局は3部に降格、そしてその結果スポンサー撤退となる可能性があります。
 民営化は、クラブにとっても初めての経験ですが、そういったクラブを支援するスポンサーにとっても新たな経験となるはず。クラブに理念がなく、スポンサーもクラブを単なる広告塔としか見ていないのであれば、今年起こるはずだった悲劇が単に来年に先延ばしになるだけのような気がします。

サラワク州FA会長がMリーグ脱退を示唆も反対派が州FA会長に辞任を求める
 サラワク州のサッカー専門サイトのサラワククロックスは、サラワク州サッカー協会(サラワク州FA)のポサ・マジャイス会長が、財務状況が改善しないことからMリーグ撤退の可能性について言及したと報じる一方で、サラワク州FAの全会長を含む州内の有力サッカー関係者がこぞってポサ会長の辞任を求めていることも同時に報じています。
 ポサ会長は財務状況を改善する方法がなければ、サラワク州FAは来季のMリーグから撤退する他に手段はないと話しています。
 ただしここでサラワククロックスが疑問視しているのは、サラワク州FAがMリーグから撤退することによる影響です。サラワク州FAが運営していたMリーグ2部のサラワク・ユナイテッドFCは、このブログでも何度も取り上げた民営化によって、サラワク州FAから独立しており、サラワク州FAが直接、運営するクラブはMリーグには存在しないことになっていることから、その影響が不明であるとしています。
 その一方で、このポサ会長の発言が出た直後にかつてのサラワクFA(クラブ)の元監督を務めたアワン・マーヤン氏やサラワクFAの元選手のルーカス・カラン氏、さらには元サラワク州FA会長のワイリ・アバン氏らがポサ会長の辞任を求める記者会見を開いたことも報じられています。この席上ではサラワク州FA傘下のクラブがMリーグから脱退すればその影響は計り知れないとして、これに反対を表明しただけでなく、ポサ会長に直ちに辞任するよう求め、より経験と能力がある人物を会長にするように求めています。
 ワイリ・アバン元会長は「このような決断は州内の若い選手たちの発展を妨げるものであり、ポサ会長はサラワク州FAの財政問題を解決できる新たな会長に道を譲るべきである。」と話しています。
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 この2017年からサラワク州FA会長を務めるポサ会長は、昨季はリーグからの分配金が削減されたをめぐり、Mリーグからの脱退をほのめかすなど「武闘派」の会長である一方、サラワク州内ではその運営方法をめぐ理、今回同様、サッカー関係者から辞任を求める声が上がったこともある人物です。

11月3日のニュース:マレーシアカップの詳細発表、UITM FC監督は来季は別のMリーグクラブの監督就任か、フェルダUとUKMの来季参入不可は決定事項-FAM

マレーシアカップの詳細発表
 マレーシアカップを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは公式Facebook上で、11月6日に開幕するマレーシアカップ1回戦の日程の詳細を発表しています。なお、左側がホームチームです。
11月6日(金曜日)
 ペナンFA対フェルダ・ユナイテッドFC
 ジョホール・ダルル・タジムJDT対クチンFA
 クダFA対パハンFA
11月7日(土曜日)
 トレンガヌFC対PJシティFC
 ペラTBG対ケランタン・ユナイテッドFC
11月8日(日)
 UITM FC対ケランタンFA
 スランゴールFC対マラッカ・ユナイテッドFC
 いずれの試合も午後9時キックオフで、このうち、JDTは今季から本拠地として使用しているスルタン・イブラヒムスタジアムが改修工事中のため、昨季まで本拠地としていたタンスリ・ダト・ハサン・ユーノススタジアム(通称ラーキンスタジアム)で試合を行うほか、本拠地があるスランゴール州内に条件付き活動制限令が施行中のUITM FCはペラIIのホームであるペラ州マンジュンのMPMスタジアムを、スランゴールFCは対戦相手マラッカ・ユナイテッドFCのホーム、ハンジェバスタジアムを使用します。

UITM FC監督は来季は別のMリーグクラブの監督就任か
 大学が運営するクラブとして初めてMリーグ1部に昇格したUITM FCは、昨季2019年シーズンは2部で5位ながら、1部で9位のPKNS FCがスランゴールFCのセカンドチームとして登録されたことで1部のクラブ数が減少したことにより、いわば棚ぼたで昇格したクラブです。しかし11試合と短縮されたリーグながら、初めての1部では伝統ある他のクラブを抑えて今季6位と大躍進を見せました。
 このUITM FCを率いたのが、マレーシアU22代表の元監督でドイツ出身のフランク・バーンハート監督ですが、大学生主体のクラブを率いて収めた好成績は他のMリーグクラブの目に留まったようで、来季はUITM FCを離れる可能性が高まっていると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 UITM FCは既に来季に向けて新監督を探しているという報道もあり、これによるとバーンハート監督にはUITM FCよりも好条件でのオファーが出されているということですが、そのクラブはどのクラブなのかは不明ということです。
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 限られた予算で運営されるUITM FCの布陣と今季が初の1部リーグながら6位という結果を見れば、バーンハート監督は今季のMリーグ最優秀監督の一人なのは明らかで、その実績をもとに獲得を目指すクラブがあっても驚きではありません。若い選手が多いケランタンFCや、保持ライセンスの問題で新たな監督を必要としている来季昇格組みのペナンFAやクアラルンプールFA辺りが関心を示しているのかもしれません。

フェルダUとUKMの来季参入不可は決定事項-FAM
 マレーシアサッカー協会は、メインスポンサーを失ったフェルダ・ユナイテッドFCとUKM FCから出されていた新たなスポンサーに関する資産情報や来季の経営計画ではシーズンを通してのクラブ経営が不可と判断し、来季のMリーグ参入を認めない決定を下したことはこのブログでも取り上げました。
 これについて両クラブの運営会社がFAMに決定の見直しを求めていましたが、スタジアムアストロによると、FAMは決定を再考する予定はないようです。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、両クラブに対して必要書類を用意する時間を十分に与えており、今回の決定が最終決定であることを強調しています。
 「両クラブのいう新たなメインスポンサーは年間100万リンギ(およそ2520万円)に満たない額しか用意できておらず、そういった企業あるいは個人が年間の運営費用に500万リンギ(およそ1億2600万円)は必要なクラブのスポンサーになれば、給料未払い問題が発生する可能性が十分にある。そして、FAMはそれを防ぐ立場にある。」とスチュアーと事務局長は話しています。
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 この件について同じスチュアート事務局長はFAMが特別委員会を設置して再検討を行うと話した、という別報道出ており、両クラブとも首の皮一枚つながっているといったところかも知れません。

11月1日のニュース:フェルダUとUKM FCは来季のMリーグ出場不可をFAMが発表、ケランタンFCの新ロゴ発表、パハンFAも新ロゴの最終候補6作品を公開しサポーターに投票を求める

フェルダUとUKM FCは来季のMリーグ出場不可をFAMが発表
 マレーシアサッカー協会FAMは、Mリーグ1部のフェルダ・ユナイテッドFCと同2部のUKM FCの民営化が期限までに承認できなかったとして、来季のMリーグ1部および2部への参加が不可能となったことを公式サイト上で発表しています。
 FAMは10月5日にフェルダ・ユナイテッドFCとUKM FCを含むMリーグ1部と2部の全21クラブの民営化が完了したことを発表していましたが、その後、フェルダ・ユナイテッドFCとUKM FCについては来季の企業スポンサーや運営資金に関して新たな問題が発覚したことから、FAMは両クラブの新たな経営陣から詳しい説明と更なる書類の提出を求めていました。
 フェルダ・ユナイテッドFCについては、民営化自体は完了し、FAMはそれを承認したものの、その後にクラブを運営し、スポンサーでもある連邦土地開発庁FELDA(フェルダ)が来季2021年シーズンには参加しないという発表をメディア向けに行いました。これを受けて、フェルダ・ユナイテッドFCの新たな運営会社として設立されたファイターズ社は、連邦土地開発庁に代わって獲得した新たなスポンサーとその投資内容、さらにクラブの来季の運営計画をFAMに提出していましたが、FAMはこれらを精査した結果、来季のクラブ運営には不十分であると判断したということです。
 またUKM FCについては、今季、クラブを運営したマレーシア国立大学UKMから、来季はUKM FCに関する運営及び選手や監督、コーチの雇用について責任を負わないことがFAMに伝えられていたということです。UKM FCも新たな運営会社ヴァーシティーボーイズ社を設立した上で新たなスポンサーを獲得し、FAMにその投資内容とクラブの来季の運営計画を提出していましたが、UKM FCについても提出された計画では来季のクラブ運営には不十分と判断されました。
 FAMは、スポンサーを失った両クラブに対し、所属する選手や監督、コーチの生活が保証されるように新たなスポンサーを獲得する機会を与えたとする一方で、両クラブが示した財務状況では来季の途中で給料未払いといった問題が発生する可能性があり、そういったクラブがMリーグに参加することは承認できないことが決定の理由であるとしています。
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 この決定により、このままだと来季のMリーグは1部12クラブのままですが、1部から2部に降格するフェルダ・ユナイテッドFCと来季も2部でプレーする予定だったUKM FCの両クラブがリーグ参加不可となり2部は合計10クラブという編成になります。しかもその内の4クラブが1部所属クラブのセカンドチームという構成です。今季は3部リーグ以下は新型コロナウィルス感染拡大の影響で中止となっており、3部からの昇格させるクラブもありません。
 なお、別報道ではこの両クラブの運営会社の内、ファイターズ社は既にFAMに対して再検討を求めたということで、ヴァーシティーボーイズ社も同様の内容を書面でFAMに送るとしており、まだ決着と言うわけではなさそうです。

ケランタンFCの新ロゴ発表
 上の記事でも取り上げたように来季からMリーグの各クラブは民営化されますが、Mリーグ2部のケランタンFC(今季はケランタンFA)は、来季から採用される新たなロゴを公式Facebook上で発表しています。
 ケランタンFCのノリザム・トゥキマン オーナーは、このロゴについてクラブの公募で決まったロゴは、クラブが目指す大志と果たすべき目的を表していると話しています。
 数百の応募の中からノリザムオーナー自身が選んだロゴが発表された当初は、盗作疑惑も含めネット上で様々な批判が出ていましたが、当初のロゴはあくまでも案であるとして、いくつかの修正が加えられたものが正式なロゴとして発表されています。
 ロゴの上の2つの星はサポーターとクラブの強い結束を表し、外側の金色の輪はケランタンFCの価値の高さを、11本のラインはケランタン州内の11の地区を、中央にある厳格で獰猛な表情をした鹿のロゴは、経営陣とチームが常勝クラブを作るという目的に献身的に取り組むことを、そしてロゴ全体に使われている赤色は試合の最後まで全力で戦う勇気を示しているということです。

パハンFAも新ロゴの最終候補6作品を公開しサポーターに投票を求める
 Mリーグ1部のスリパハンFC(今季はパハンFA)を運営するパハン州サッカー協会も公式サイトで来季のチームロゴの最終候補6作品を公開し、サポーターによる投票を求めています。
 10月4日から10日の期間で応募者はパハン州出身者あるいは現在州内に居住している者という条件で行われたコンテストには全部で563の応募があり、その中から選考委員会が厳選した6候補はパハン州愛に溢れたものになっているということです。(ロゴのいくつかが採用している交わった剣はパハン州の紋章で、青色と黄色は現在のパハン州サッカー協会のロゴの色でもあります。また像のモチーフはクラブの愛称”Tok Gajah”-Gajahはマレーシア語で「象」を表しています。)
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 このコンテストで興味深いのは、候補の中のいくつかにはロゴと同時にクラブの名称も書かれていることです。パハン州サッカー協会は既に来季のクラブの名称をスリパハンFCとすることを発表していますが、候補の中には「パハンFC」や「マコタパハンFC」(マコタはマレーシア語で「王冠」の意味)などが書かれており、この記事を執筆している時点で1761票(総投票数の51%)と最も得票数が多い上段中央のロゴは「パハンFC」、次点の1416票(同41%)を集めている上段左のロゴは「マコタパハンFC」となっていることから、パハン州サッカー協会は、スリパハンFCという名には固執していないのかもしれません。

10月23日のニュース:今度は国軍FCの元選手が給料未払いをFAMに告発、アイディル監督留任決定のクダFAは来季からクダ・ダルル・アマンFCに、UKM FCは給料以外に社会保障費他の納付金も未払いが発覚

今度は国軍FCの元選手が給料未払いを告発
 今季もMリーグの複数のクラブで明らかになった給料未払い問題ですが、今度は現在、M3リーグに所属する国軍FCの元選手が未払いとなっている給料についてマレーシアサッカー協会FAMに告発したようです。
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版によると、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長はこの告発をもとに元選手と国軍FC経営陣との工廠の仲介を行うとしています。
 「FAMは元選手からの告発を受け取っており、給料未払い問題解決のために双方の話を聞き、国軍FCが元選手との間で同意した予定通りの未払い給料支払いが行われなかった理由を確認した上で、双方が納得する解決方法を模索したい。」とスチュアート事務局長は話しています。
 かつてはMリーグ1部に所属したこともある国軍FCですが、今回の給料未払い問題を告発した選手は身元を明かしてはいませんが、クラブの元主力でマレーシア代表でもプレー経験があるものの、現在は漁師をしているということです。
 この元選手の告発によれば、2015年から毎月分割で支払われていた未払い給料ですが、その支払いが今年の4月から滞っているということです。また、この選手の他にも3名の元選手が合計で28万リンギ(およそ707万円)の未払い給料の支払いを受けていないということです。
 なお、この国軍FCはFAMがMリーグ全クラブに義務付けた民営化をM3リーグ所属ながら申請し認可を受けていますが、国軍FCの民営化認可と来季の国内リーグ参加のためのクラブライセンスについて問われたスチュアート事務局長は、「国軍FCはM3リーグに所属しているため、Mリーグ1部や2部に参加する際に必要とされるクラブライセンスの申請が必要なく、またクラブの民営化とクラブライセンス申請は関係がない。」と答えています。
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 スチュアート事務局長のコメントを読む限りでは、M3リーグ以下のリーグでは参加するクラブにはクラブライセンスが必要ないということのようですが、それでも民営化を申請した国軍FCが未払い給料問題を抱えたいたことを知った上で民営化を認めたとすれば、クラブオーナーが変わることで責任の所在が不明確になり、その結果、給料未払い問題がうやむやにされてしまう危険性に対する認識が不十分な気がします。また、未払い給料問題を把握せずに民営化を認めたとすれば、FAMによる緩い審査とその節穴ぶりがまた露呈した形になります。

アイディル監督留任決定のクダFAは来季からクダ・ダルル・アマンFCに
 アイディル・シャリン・サハク監督は他のクラブとの交渉に断りを入れ、クダFAとの新たな2年契約に同意してことが報じられています。
 マレーシアの通信社ブルナマによれば、アイディル監督の決断は今季Mリーグで2位となり来季のAFCカップの出場権を獲得したことに加え、選手と監督、コーチとの関係が良好であること、またクラブの運営サイドが現状の改善に努力していることが理由であるとしています、また、かつて監督を務めたシンガポールリーグのホーム・ユナイテッド(現ライオンシティセーラーズFC)以来のAFCカップ出場に向けて、主力選手の90%がチームに残るだろうと話しているということです。
 この他、クダFAの来季からの新クラブ名がクダ・ダルル・アマンFCとなったことが発表されています。
 新クラブ名を発表したクダ州サッカー協会(クダ州FA)のムハマド・サヌシ・ムハマド・ノー会長は、このクダ・ダルル・アマンFCの運営会社ダルルアマンFC社の株式の80%をクダ州政府の政策投資会社であるMBI社が購入し、残る20%をクダ州FAが保有することも明らかにしています。またMBI社は購入したダルルアマンFC社の株式を共同事業体を設立して保有していく予定があり、現在、複数の企業と交渉中であることも発表しています。
 またクダ州首相でもあるムハマド・サヌシ会長は、クダ州でのサッカー協会会長という役職の重要性を理解したとして、クダ州FAに提出していた辞職願を取り下げたことも明らかにしています。なおムハマド・サヌシ会長はより適切な人材を会長とすべきとして今月10月15日に辞職願をクダ州FAに提出していましたが、クダ州FAはこの辞職願の受け取りを拒否していました。

UKM FCは給料以外に社会保障費他の納付金も未払いが発覚
 Mリーグ2部で今季は9位に終わったUKM FCは、所属する選手や監督、コーチに対して6月の給料は半額のみ、7月以降は全く給料を支払っていないと、ブリタハリアンが報じています。
 この7月以降の未払い給料に加えて、クラブが負担する従業員積立基金EPFや労災補償制度SOCSOなどの納付金については今年3月から支払われていないことも明らかになっています。
 この結果、UKM FCの選手の中にはプロサッカー選手にも関わらず、生活のためにアルバイトや配車サービスなどの仕事をせざるを得なくなった者もいるということです。
 クラブの運営側も未払い給料の支払い時期を明言しておらず、UKM FCの選手たちはマレーシアプロサッカー選手会PFAMに問題解決の助けを求め、PMAMはクラブ側に2週間の猶予を与え、問題可決を図るように求めたということです。

Mリーグ2部プレミアリーグ2020年シーズン第11節結果

10月9日(金)に、2部プレミアリーグの最終節となる第11節の5試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。) なおクアラルンプールフットボールスタジアム(クアラルンプール)で予定されていたクアラルンプールFA 対クチンFAは順延になっていますが、日程はまだ発表されていません。

10月9日(金)
トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビランFA 1-2 サラワク・ユナイテッドFC
得点者:ヌグリスンビラン- イゴール・ルイス(48分)、サラワク-アダム・シリーン・タムビ(56分)、ミラード・ザニドプール(61分)
 ヌグリスンビランFAの中武駿介選手は先発してフル出場しています。

スルタン・ムハンマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタン・ユナイテッドFC 2-1スランゴール2
得点者:ケランタン-シャールル・ハキム(28分)、ガッサマ・アルフサイネイ(58分)、スランゴール-ダニアル・アスリ(14分)

スルタン・イスマイル・ナシルディン・シャースタジアム(トレンガヌ州クアラトレンガヌ)
トレンガヌFC II 1-0 ペナンFA
得点者:トレンガヌ-ジョーダン・ミンター(88分)
 トレンガヌFC IIの鈴木ブルーノ選手はベンチ入りしませんでしたが、新聞報道によればハムストリングを痛めているということです。

タン・スリ・ダト・ハジ・ハサン・ユノススタジアム(ジョホール州ラーキン)
JDT II 0-1 ケランタンFA
得点者:ケランタン-ダニアル・アシュラフ(28分)
 ケランタンFAの渡邉将基選手はベンチ入りしませんでしたが、JDT IIの廣瀬慧選手は先発してフル出場しています。

UMアリーナ(クアラルンプール)
UKM FC 2-1 ペラII
得点者:UKM-アカニ・サンデイ(19分PK)、バキウディン・シャムスディン(52分)、ペラ-アリフ・ナジミ(48分)

マレーシアプレミアリーグ 2020年シーズン最終順位表

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1+^ペナンFA118212491626
2トレンガヌFC II117131714322
3+^クアラルンプールFA106312112921
4JDT II114342017315
5+ケランタンFA1153313113*15
6+クチンFA104151519-413
7スランゴール2114161723-613
8+ケランタンU114071319-612
9UKM FC113351117-612
10サラワクU113251416-211
11ヌグリスンビランFA113261220-811
12ペラ II101541011-18
^ペナンFAとクアラルンプールFAは2位は2021年シーズンの1部昇格が決定しています。
+は上位5クラブに出場資格が与えられるマレーシアカップ出場権を獲得したクラブ(トップチームがMリーグ1部に在籍するクラブのセカンドチームにはマレーシアカップ出場資格はありません。)
*7位のケランタンFAは給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアプレミアリーグ2020年シーズン最終ゴールランキング

ゴール数選手名所属試合数
9カサグランデペナンFA11
8エンドリックペナンFA11
8フェルナンド・ロドリゲスJDT II10
7フランシス・コネクアラルンプールFA10
7ダニアル・サアリスランゴール210
7ジョーダン・ミンタートレンガヌFC II11

10月7日のニュース:タイ1部リーグ第8節-マットヨーが先発もタンは先発落ち、条件付きでクラブライセンスを交付されたクラブの詳細

タイ1部リーグ第8節-ノーシャルルが先発もタンは先発落ち
 隣国タイの1部リーグ第8節が10月2日(土)と3日(日)に行われましたが、マレーシア代表のドミニク・タンとノーシャルル・イドラ・タラハが明暗を分けています。
 ポリス・テロFC所属のドミニク・タンはここ2試合は先発してフル出場していましたが、今節のスコータイFC戦は3試合ぶりのベンチスタートとなり、81分から途中出場しています。なお試合は1−1の引き分けとなり、ポリス・テロFCは4勝2分2敗の7位となっています。
 一方、BGパトゥム・ユナイテッド所属のノーシャルル・イドラ・タラハはここ2試合はベンチ入りするも出場機会が与えられていませんでしたが、今節のラヨーンFC戦では、3試合ぶりの先発出場となり、61分に交代しています。こちらの試合はホームのBGパトゥム・ユナイテッドが2-1と勝利し、新型コロナによる中断を経たリーグ再開から3連勝、開幕からも7試合負けなしと好調を維持して首位を快走しています。
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 「マットヨー」ことノーシャルル選手が久しぶりに先発したのは良いニュースですが、2試合連続でフル出場し、いよいよ監督の信頼を得たかと思えたものの、いずれの試合でも失点に関わるミスを犯し、チームも2連敗となったドミニク・タンの今後の使われかたが気になります。

BGパトゥム・ユナイテッド対ラヨーンFC野ハイライト映像-マットヨーはチラッと映っています。-BGパトゥム・ユナイテッドの公式Youtubeチャンネルより

条件付きでクラブライセンスを交付されたクラブの詳細
 昨日のこのブログではマレーシア サッカー協会FAMが発表した来季2021年の国内クラブライセンス交付状況について書きましたが、今回のその続きです。
 まず国内クラブライセンスの交付条件として、FAMは1)スポーツ、2)設備、3)運営、4)法務、5)財務、6)事業の6つの評価基準での審査を行いますが、今回、FAMが条件付きで国内クラブライセンスを交付した全てのクラブは5)財務に関してさらなる説明が求められています。
 Mリーグ1部ではパハンFAとマラッカ・ユナイテッドFCが、2部ではクチンFA、ケランタンFA、UKM FC、ペナンFA、サラワク・ユナイテッドFCの5クラブが条件付きで国内クラブライセンスの交付を受け、この7クラブは今月10月31日までにさらなる説明資料の提出を求められており、その期限を過ぎた場合にはFAMのクラブライセンス交付を担当する第一審機関FIBにより罰金、勝点剥奪、下部リーグへの降格、そして国内クラブライセンスの失効などの処分が下される可能性があります。
 しかしこの7クラブの他に1部のクダFAとPDRM FCについても財務面での問題があるようですが、この両クラブは国内クラブライセンスを交付されており、その違いなどについてFAMは以下のように説明しています。

クダFA
 クダFAは5月から8月までの4ヶ月分の給料が未払いとなっているが、選手とクダFAを運営するクダ州サッカー協会との間で交わされた分割払いの同意書を提出しており、FAMはこの内容に基づいて、国内クラブライセンスの交付を決定した。なお、この同意書に示された分割払いの期日などが守られない場合には、クラブライセンスの無効化や勝点剥奪などの措置を取る。

マラッカ・ユナイテッドFC
 マラッカ・ユナイテッドFCを運営するマラッカ州サッカー協会による所得税納税を分割で行う申請に対する内国歳入庁(日本の国税庁に該当)の返信によると、申請は受け取ったことは述べられているが、その納税方法を承認したかどうかが明確になっていないため、条件付きでの国内クラブライセンス交付とする。

<パハンFA>
 パハンFAを運営するパハン州サッカー協会から内国歳入庁への所得税未納、および従業員積立基金(積み立て年金)と社会保障制度(労災補償制度)への積立金未納に関しては担当省庁に連絡をしているとのことだが、その連絡内容がFAMには知らされていないため、条件付きでの国内クラブライセンス交付とする。
<ケランタンFA>
 2020年の初めには2017年以降に発生した合計18件、総額400万リンギ(およそ1億180万円)を超える未払い給料があったが、現時点では完済できていないのは3件となり、その3件も支払い過程にあり、ケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会と選手間の同意書が提出されていることから、条件付きでの国内クラブライセンス交付とする。
<クチンFA>
 会計監査報告の内容に不備があることから、条件付きでの国内クラブライセンス交付とする。
<UKM FC>
 入国歳入庁と従業員積立基金への支払いに関する情報が不十分なため、条件付きでの国内クラブライセンス交付とする。
<ペナンFA>
 会計監査報告の内容に不備があることから、条件付きでの国内クラブライセンス交付とする。
<サラワク・ユナイテッドFC>
 会計監査報告とその中間報告が不完全であり、FAMの第一審期間が求める形式担っていないため、条件付きでの国内クラブライセンス交付とする。

 FAMによると審査の厳格化は、各クラブの今季分の未払い給料を来季まで持ち越させないことが理由としていますが、同じ話は何度も繰り返されながら、後になって未払い給料が発覚するなど、その審査自体に問題があるような気もしますが、クラブ民営化元年となる来季には各クラブは文字通りプロらしい経営で、未払い給料問題を起こさないように、またFAMはそれを見逃さないことを期待したいです。

10月6日のニュース:Mリーグ1部フェルダUがMリーグ撤退を表明、Mリーグ20クラブに民営化承認、2021年シーズンのクラブライセンス発給は13クラブ-他の8クラブは条件付きで発給

Mリーグ1部フェルダUがMリーグ撤退を表明
 Mリーグ1部のフェルダ・ユナイテッドFCがMリーグからの撤退を発表しています。9月30日が期限となっていたMリーグ1部と2部のクラブに義務付けられていた民営化手続きについて、フェルダ・ユナイテッドFCと2部のUKM FCについては、期限までに民営化認可がマレーシアフットボール協会から発表されず、両クラブは提出した民営化申請書類に関してさらなる説明が必要とされ、その詳細は昨日10月5日に改めて発表される予定だったことはこのブログでも取り上げました。そここら急転直下のリーグ撤退発表です。
 「急転直下」と書きましたが、実はこの発表の前、フェルダ・ユナイテッドFCでは様々なことが起こっていたようです。発端はフェルダ・ユナイテッドFCの運営会社のアフィダル・アブ・オスマン事務局長以下の職員16名全員が9月1日付で突然解雇され、フェルダ・ユナイテッドFCの運営権がこの運営会社からクラブの母体であり政府系機関のフェルダ連邦土地開発庁自身に移ったことです。さらにそれまでフェルダ・ユナイテッドFCの運営会社が使用していたフェルダ本社ビル内の事務所は完全立ち入り禁止となりました。そして今度はこの立ち入り禁止となっていた事務所に泥棒が入る事件が起こりました。盗まれたのは2014年から2018年までの資料で、その資料はマレーシア汚職防止委員会MACCが必要としていたものだということです。MACCの職員がその書類を取りに事務所へ来た際にドアが破られ、監視カメラの向きが変えられ、天井に穴が開き、重要資料の入ったフォルダーがなくなっていることを発見しました。別の監視カメラの映像により「内部」の人間と思しき者の犯行であることが発覚し、現在、警察が捜査中という報道もあります。
 そんな「内部抗争」ともいえそうな事態の中で発表されたフェルダ・ユナイテッドFCの撤退ですが、マレーシアの通信社ブルナマの報道では、そもそもフェルダ自身が運営会社に代わってクラブの運営を担うことになった目的はクラブの支出の管理を含めた運営の透明性を確保することだったとされています。この目的でクラブの運営権を手にしたフェルダはクラブの存続を決定する権利も得ており、今回のリーグ撤退には違法性がないということです。
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 新型コロナウィルスによるリーグ中断までは、今季優勝したJDTと引き分けるなど1勝2分1敗の成績だったフェルダ・ユナイテッドFCは、リーグ再開となった第5節以降は0勝2分4敗と失速しましたが、この騒動による影響は少なからずあったのではないでしょうか。
 2007年に発足したフェルダ・ユナイテッドFCは3部リーグのFAMカップ(当時、現M3リーグ)でプレーしたものの、翌年2008年には2部プレミアリーグに昇格し、2010年にはプレミアリーグで優勝して1部スーパーリーグへ昇格しました。2014年には2部降格を経験するも翌年2015年には1年で1部に復帰するなど安定した力を発揮するクラブでした。
 しかしこの状況も近年では様変わりし、2017年にはクラブライセンス更新に必要な書類に不備があったことから1部で3位になりながら2部降格処分を受けています。そして2018年シーズンは2部で優勝し1部復帰を決めながら、シーズン末には選手や当時のサティアナタン・バスカラン監督、コーチに対する給料未払いが発覚し、その結果、外国籍選手全員を含む半数以上の主力選手との契約を解除しました。そして2019年シーズンは新たな外国籍選手に傘下の21歳以下と19歳以下チームから選手を昇格させて戦い、最終戦で1部残留を決めています。
 クラブの母体となっているフェルダ連邦土地開発庁は、当初は地方でジャングルを伐採し、農園を併設した入植地を開発し、土地を持たないマレー系マレーシア人を移住させる、いわば「貧困農民」対策のための政府機関として発足しましたが、現在では財源が政府から独立して運営されており、フェルダ傘下のFGVホールディングは世界第2位のパームオイル生産を誇るマレーシアでもトップ企業です。しかしこちらも近年は問題が多く、その豊かな財政は不正行為の温床ともされ、前会長は海外不動産にへの不当に高額な投資を主導し、その取引で不当な利益を得た疑いでマレーシア汚職防止委員会MACCに逮捕されています。また直近では先月9月30日にアメリカ政府が労働者虐待や児童労働を理由にFGVホールディングからのパーム油輸入禁止を発表するなど、フェルダを取り巻く環境は厳しくなっています。

FAMは21クラブに民営化承認
 上のフェルダ・ユナイテッドFCのMリーグ撤退が発表された一方で、来季からのMリーグ1部と2部でプレーするための条件でもあるクラブの民営化承認を受けたクラブがマレーシアサッカー協会FAMの公式サイトで発表になっています。
 ジョホール・ダルル・タジムJDT、トレンガヌFC、ペラTBG、スランゴールFCが持つBチームはトップチームとセットで承認されており、Mリーグ1部と2部の全24クラブにM3リーグの国軍AF FCを含めた21クラブが民営化承認を受けています。
 なおこの中には上で取り上げたフェルダ・ユナイテッドFCも含まれていますが、このフェルダ・ユナイテッドFCと2部のUKM FCについては、提出された書類の内容についてさらなる説明が必要とされており、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロよれば、UKM FCはスライマン・フシン監督をクラブのオーナー兼経営陣の一人としている点の説明が求められ、フェルダ・ユナイテッドFCは現在の「内部抗争」についての説明が求められているとしています。しかしリーグ撤退を表明したフェルダ・ユナイテッドFCはその必要がなくなりました。
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 この民営化については2013年に計画されながら、2017年にアジアサッカー連盟AFCによる「アドバイス」を受けて実現につながったようです。これが実現しないと2021年以降はAFCチャンピオンズリーグやAFCカップなどAFC主催大会に出場できなくなることからFAMの尻に火がついた格好でしょうか。

2021年シーズンのクラブライセンス発給は13クラブ-他の8クラブは条件付きで発給 同じFAMの公式サイトでは、来季2021年シーズンの国内クラブライセンス発給状況についても発表されています。
 これによるとMリーグ1部スーパーリーグで今季2020年シーズンにプレーする12クラブのうち10クラブが来季のクラブライセンスを発給されているということです。なお、これにはフェルダ・ユナイテッドFCも含まれています。
 またパハンFAとマラッカ・ユナイテッドについては条件付きでライセンスが発給されているということです。
 Mリーグ2部プレミアリーグの8クラブ(*)ではケランタン・ユナイテッドFC、クアラルンプールFA、ヌグリスンビランFAがクラブライセンスの発給を受けており、残るクチンFA、ケランタンFA、UKM FC、ペナンFA、サラワク・ユナイテッドFCの5クラブについては、やはり条件付きでライセンスが発給されています。(*2部プレミアリーグのJDT II、トレンガヌFC II、スランゴール2、ペラIIの4クラブは1部クラブのBチームのため、トップチームと込みでライセンスが認められています。)
 なお条件付きでライセンスが発給されたクラブは10月31日までに追加の書類等を提出する必要があり、この期限に間に合わなかった場合には罰金、勝点削減、降格、そしてクラブライセンスの発給中止などの処分が科せられるということです。 またMリーグ1部と2部のクラブの内、9クラブがアジアサッカー連盟AFC主催の大会に出場できるAFCライセンスを合わせて申請し、JDT、クダFA、ペラTBG、トレンガヌFC、スランゴールFC、PJシティFC、フェルダ・ユナイテッドFC、クアラルンプールFAの8クラブがAFCライセンスの発給を受けたことも発表された一方で、マラッカ・ユナイテッドFCはAFCライセンスの発給条件を満たしていないため、発給されなかったということです。
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 FAMの公式サイトには国内クラブライセンスの申請条件と、条件付きでライセンスが発給された各クラブの問題が指摘されています。本日分は文字数も多くなったのでこちらについては次回のブログで紹介します。