1月2日のニュース
ボラセパマレーシアJPが選ぶマレーシアサッカー2022年重大ニュース-国内リーグとクラブ編

本来なら昨年末までにアップしておくべき記事でしたが、2023年につながる話題もあるのであえて新年早々の記事として掲載します。まずは国内リーグとクラブ編からスタートです。

ジョホールの一強時代はいつまで続くのか-ジョホールが国内リーグ9連覇と国内三冠達成に加えセカンドチームも2部で優勝

2022年シーズンも圧倒的な力を見せたジョホール・ダルル・タジム(JDT)が国内リーグ9連覇を達成、さらにFAカップではトレンガヌを、マレーシアカップではスランゴールを下して優勝し、クラブ史上初の国内三冠にも輝いています。

先月発表された2022年マレーシアリーグアウォードでも最優秀DF、最優秀MF、最優秀FW、そして年間MVPがいずれもJDTから選出されていることからもわかるように、JDTの主力選手は各ポジションで国内トップクラスの選手が集まっています。しかも、そのほぼ全員が代表チームでも主力であることから、JDTはいわばマレーシア代表に外国籍選手が加わったチーム編成。そりゃぁ強いに決まっています。しかも外国籍選手もリーグ新記録となる29ゴール、カップ戦なども合わせれば41ゴールと驚異的な数字を記録したベルグソン・ダ・シルヴァを筆頭にこれまた強力な布陣を揃えており、9連覇は順当な結果でもあります。オーナーでジョホール州の皇太子でもあるトゥンク・イスマイル殿下は、国内の有力選手を今後も獲得していくことを明言しており、2022年シーズンの最優秀GKを受賞した代表GKのシーハン・ハズミは今季所属したヌグリスンビランとの契約を更新していないことから、JDT入りが噂されています。
 また2部プレミアリーグではJDTのセカンドチーム、JDT IIが2位に勝点差5をつけて優勝しています。トップチームで出場機会のないマレーシア代表の選手がプレーし、外国籍選手も自国に戻れば代表チームでプレーする、他のクラブならトップチーム入りも可能なレベルの選手が在籍する陣容は、プレミアリーグでも頭ひとつ抜けています。ここから来季はトップチーム入りする若手もおり、JDTの時代はまだまだ続きそうです。

*****

代表チームのクラブ化(JDTの場合はクラブの代表チーム化ですが)は代表チーム強化の近道ですが、それが諸刃の剣でもあることが露呈したのが、現在開催中の東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022です。この大会はFIFA国際マッチカレンダー期間外であることから、この大会に出場する代表チームに招集された選手のリリースは各クラブには義務付けられていませんが、これを理由にJDTから代表候補合宿に招集された13名(この数字もすごいですが)中、招集に応じたのはわずか2名で、残る11名が辞退する事態が起こっています。リーグ戦に加えて優勝したFAカップとマレーシアカップ、そして後述しますがACLと国内の他のどのクラブよりも試合をしているJDTの選手にとって、国内日程が全て終了した11月末から、来年2月に開幕する2023年シーズンに向けてトレーニングが始まるまでの期間は、休養やケガの治療などに充てる貴重なオフシーズンです。また、選手は機械ではない、というイスマイル殿下の意見は正論中の正論ですが、その結果、マレーシア代表はベストな布陣を組めずに三菱電機カップに臨まざるを得なくなっています。

Mリーグ1部と2部を統合する大改編発表-しかし当初の18チーム編成が結局15チームに

昨年7月に発表されたリーグ改編ではFIFAの指導のもと、国内リーグ戦の試合数増を目的として、現行の1部スーパーリーグ12チームと2部プレミアリーグの6チームを合わせた「新スーパーリーグ」を2023年に18チームで開催し、その一方でプレミアリーグは一時休止となることが発表されました。
 今年2月24日に開幕が予定されている新スーパーリーグでは、各クラブの登録選手は従来の30名から32名に拡大し、外国籍選手枠もトップチーム5名、セカンドチーム4名だったものが、アジア(AFC)枠1名、東南アジア(AFF)枠1名を含めた9名に改定され、試合当日はアジア枠1名、東南アジア枠1名を含めた6名がのベンチ入りが可能になっています。(ただしピッチ上ではこれまで通りアジア枠、東南アジア枠を含めた最大5名)
 また新たにU23リーグに当たる「リザーブリーグ」を新設し、現行のプレミアリーグでプレーしていたJDT、トレンガヌ、JDTのセカンドチームに加え、各クラブはこのリザーブリーグにもチームを出場させることを義務付けることが決まっています。また今季プレミアリーグでプレーしたFAM-MSNプロジェクトはこのリザーブリーグ参加が決まっています。こちらは登録選手の上限は30名ですが、その内、23歳以上の選手は外国籍選手を含めた最大で5名が登録可能、また23歳以上の選手はピッチ上では外国籍選手2名を含めた最大で3名がプレー可能となっています。

*****

スーパーリーグが拡大することで、2023年シーズンは年間34試合と昨季の22試合から試合数が50%以上増える予定でしたが、この拡大案が発表された後にどんでん返しが待っていました。スーパーリーグ10位のマラッカ・ユナイテッドと11位のサラワク・ユナイテッドの両クラブに対して、国内クラブライセンス交付を司る第一審機関FIBがクラブ経営資金に関する情報が不十分だとして申請を却下、さらに両クラブによる再審査の要請も同様の理由で却下されたことから、両クラブは今季のスーパーリーグ参加資格を失っています。これにより今季のスーパーリーグは当初、予定されていた18チームから16チームへと減少しました。サラワク、マラッカの両チームは昨季中も給料未払いが起こるなど、運営に問題があるクラブだったことから、この両チームへの国内クラブライセンス不交付は、時として身内に甘いマレーシアサッカー界を考えると大英断であり、評価されるべき決定です。
 しかしこれだけではありませんでした。今度は昨季9位のPJシティがリーグ撤退を表明しました。PJシティは成績は9位であったものの、外国籍選手が1人もおらず、他のクラブに比べるとマレーシア人選手が出場機会を多く得られることから、チームからはFWダレン・ロック、MF V・ルヴェンティラン、GKアラムラー・アル=ハフィズといった代表選手が育つなど、マレーシアサッカーへの貢献度は高いクラブでした。しかし、外国籍枠9名となる今季は、マレーシア人選手のみというクラブの運営方針とリーグ改編の内容が合致しないとして、リーグ撤退を発表しています。これによりさらにチーム数が減ったスーパーリーグは全15チーム、試合数は28試合となり、試合数は3割にも満たないわずか6試合増と、当初の目的が十分果たせない改編となっています。

東マレーシアに本拠地を持つクラブに明暗-サバとクチンシティは大躍進もサラワク・ユナイテッドは3部から出直しへ

2021年シーズンの終盤にマレーシアサッカー協会FAMのテクニカルディレクターからサバの監督へと転身したオン・キムスイ監督の実質1年目となった昨季、1部スーパーリーグのサバは2021年の9位から3位へと大躍進し、今季のAFCカップ出場権を獲得しています。残念だったのはリーグ終盤に失速し、最終節の第22節でも敗れて最後の最後にリーグ2位から3位となってしまったこと。それでも今季加入の加賀山泰毅の貢献もあり、来季はアジアの舞台に挑みます。
 また2部プレミアリーグでは、谷川由来選手が所属するクチンシティがクラブ史上最高位となる3位となりました。前述したように今季からスーパーリーグとプレミアリーグが統合されるため、昨季は1部と2部の入れ替えがありませんでしたが、もし実施されていても、クチンシティは堂々の1部昇格を果たしていたところでした。昨季開幕前には2022年シーズンを最後に退任するとしていた名将イルファン・バクティ監督の今季続投も決定、またMリーグ4年目を迎える谷川由来選手の残留も濃厚のようなので、2019年の入れ替え戦で3部から昇格して以来、わずか3年で1部昇格を果たしたクラブがスーパーリーグで果たしてどのようなプレーを見せてくれるのかに注目です。
 サバ州のコタキナバルを本拠地とするサバ、そしてサラワク州のクチンを本拠地とするクチンシティが東マレーシア(サバ州とサラワク州はクアラルンプールがあるマレー半島とは離れたボルネオ島にあるため、こう呼ばれています。)の明の部分だとすれば、暗に当たるのが、国内クラブライセンスが交付されずスーパーリーグへの参観資格を失ったサラワク・ユナイテッドです。昨季中もE・エラヴァラサン前監督が代表チームのコーチに就任したことで、後任となったB・サティアナタン氏への給料未払いが明らかになっていますが、国内クラブライセンス不交付の直接的な原因は2021年シーズンに在籍した際の給料が未払いとなっていた外国籍選手がFIFAの紛争解決室へこの問題を持ち込み、FIFAによる支払い裁定が下されたにもかかわらず、これを支払わなかったことにあります。
 なおこのサラワク・ユナイテッドは来季は2部プレミアリーグが開催されないため、3部のセミプロリーグ、M3リーグに出場することが決まっています。ちなみにこのサラワク・ユナイテッドはサラワク州サッカー協会も運営に関わる州のトップチームである一方で、同じサラワク州のクチン市を本拠地とするクチンシティは位置的にはその下位となるチームです。言い換えれば東京都サッカー協会が運営するクラブが3部に降格し、世田谷区サッカー協会が運営するクラブが1部に昇格するといった状況です。実はこのサラワク・ユナイテッドは、前身のサラワクFAが2019年の2部と3部の入れ替え戦でこのクチンシティに敗れて3部降格となったところを、当時資金難に苦しんでいた2部でスランゴール州に本拠地があったスランゴール・ユナイテッドを買収して、本拠地をサラワク州に移してサラワク・ユナイテッドと改変するという「寝技」を使って2部に生き残った前歴もありクラブなので、今季の3部スタートは順当と言えば、順当かもしれません。

マレーシアカップ2022決勝
ジョホールが逆転勝利でクラブ史上初の国内三冠達成

世間はワールドカップで盛り上がる中、マレーシアでは今季最後の公式戦マレーシアカップの決勝が行われています。マレーシアがまだ英領マラヤだった1921年にマラヤカップとして第1回大会が開催されたこの大会は、太平洋戦争中の中断を経て、マレーシアの成立によりマレーシアカップと名を変えて現在に至り、今回は第96回大会。Mリーグ1部スーパーリーグ9連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTに今季5位のスランゴールが挑む図式となりました

戦前の予想では、コロナ禍の影響で中止された2020年大会を挟み、3大会連続で決勝進出となったJDTが有利の声も多かった一方で、2016年以来6年ぶりの決勝に臨むスランゴールは大会最多の33回優勝を誇り、今年9月に前マレーシア代表監督を務めたタン・チェンホー監督が就任以来、9勝1敗と調子を上げてきていることから、接戦が予想されました。

マレーシアカップ2022決勝
2022年11月26日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラ・ルンプール)
スランゴール 2-0 JDT
⚽️スランゴール:カイオン(45分PK)、ムカイリ・アジマル(分)
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ(45+2分)、フェルナンド・フォレスティエリ(59分)
🟨スランゴール(2):ムカイリ・アジマル、アリフ・ハイカル
🟨JDT(3):ラヴェル・コービン=オング、フェルナンド・ヴェラスケス、マシュー・デイヴィーズ
MOM:フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)
 準決勝セカンドレグで出場停止となっていたアフィク・ファザイルとフェロズ・バハルディンが先発XIに戻ったJDTのエクトル・ビダリオ監督は、準決勝ファーストレグと同じ4-3-3の布陣を選択、一方のスランゴールは、準決勝セカンドレグで守備の要、センターバックのヤザン・アル=アラブがレッドカードをもらってこの試合出場停止となっており、タン監督は同じヨルダン代表の守備的MFバハ・アブドル・ラーマンを代わりに起用した他、ファーストレグで先発したFWノル・ハキム・ハサンに代えてDFリッチモンド・アンクラを先発させ、やはり4-3-3の布陣を採用しています。
 公式発表では7万9988名の大観衆を集めた決勝の勝者には来季のAFCカップ出場権がかかっており、アジアの舞台を目指すスランゴールが試合開始から怒涛の攻撃を見せ、さらに守備では各選手がJDTのパスコースをしっかりと封じ、両サイドのラヴェル・コービン=オング、アリフ・アイマンを機能させず、リーグ得点王のベルグソン・ダ・シルヴァまでなかなかボールが渡らない展開でした。
 スランゴール攻勢で試合が進む一方で、後期期を活かせない展開が続く中、45分にペナルティエリア内でJDTのマシュー・デイヴィーズがカイオンを倒し、スランゴールがPKを獲得。これをカイオン自身が決めて、スランゴールが1-0とリードします。
 しかしJDTも前半終了間際のロスタイムに、スランゴールのペナルティーエリアのすぐ外でレアンドロ・ヴェレスケスが倒され、PKを得ます。このPKは決まらなかったものの、その流れで得たコーナーキックをエース、ベルグソン・ダ・シルヴァが頭で合わせてゴール!JDTが前半終了間際に追いつき、試合は1-1で折り返します。
 しかし後半に入ると、前半飛ばしすぎたのか、スランゴール各選手の運動量が目に見えて落ち始め、JDTの選手の動きに遅れだし、スランゴールはJDTの攻撃をクリアするの精一杯という場面が目立ち始めた59分、ハーフラインからドリブルで持ち込んだアリフ・アイマンが、ゴール前のベルグソン・ダ・シルヴァへ素晴らしいパスが通り、GKと1対1となったシュートはスランゴールGKカイルルアズハン・カリドが反応良く止めたものの、そのセカンドボールに詰めていたフェルナンド・フォレスティエリがこれをゴールし、JDTが2-1とリードします。
 この試合で興味深かったのはスランゴールのタン監督の采配です。1-2とリードを許した直後の63分には守備的MFバハ・アブドル・ラーマンに代えてFWノル・ハキムを投入した際には、同時にA代表初招集が発表されたばかりの22歳のDFアリフ・ハイカルも合わせて投入、さらに75分にはエースのカイオンとキャプテンのブレンダン・ガンに代えてU23代表FWコンビのダニアル・アスリとシャヒル・バシャーをピッチに送りこみます。そしてこの若い選手たちはその期待に応えて最後までJDTゴールを脅かすなど、試合には敗れたもの、今季は不安定な戦いを見せたスランゴールに来季への期待を抱かせるプレーを見せてくれました。
 またこの試合の結果、マレーシアカップ優勝チームに与えられる来季のAFCカップ出場権は、JDTが既に来季のACL出場権を持つため、スーパーリーグ3位のサバに与えられることになりました。
 このマレーシアカップ決勝でMリーグは今季の国内日程を全て終了し、その結果はJDTが国内三冠を達成して幕を閉じました。
 以下はマレーシアカップ決勝のハイライト映像、試合後の選手インタビュー、そして試合後の監督の記者会見の様子です。(映像はいずれもMFLのYouTubeチャンネルより)

マレーシアカップ2022
準決勝 2NDレグ結果とハイライト映像(2)

一昨日行われたマレーシア下院選挙では、97歳のマハティール元首相が1969年以来となる落選し「時代の終わり」といった報道も出る一方で、野党連合「希望同盟」、与党連合「国民連盟」そして前回選挙では国民連盟を支えた「国民戦線」の三つ巴の争いの中、いずれの政党連合も単独で過半数の112議席を確保することができず、野党連合と与党連合がそれぞれ連立政権に向けた交渉を進めていると報じられています。

この総選挙の影響を受け、一部日程が変更になったマレーシアカップは準決勝のセカンドレグ、JDT対サバが11月20日に行われています。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

と書きましたが、マレーシア下院選挙が行われたのは11月19日、つまり1週間前のことです。この準決勝第2試合の記事は11月21日の試合後にアップロードするのを完全に忘れていました。今日はマレーシアカップ決勝当日と的外れなタイミングですが、せっかくなのでとりあえずアップロードします。

マレーシアカップ2022準決勝 2NDレグ
2022年11月21日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 1-0 スランゴール(通算スコア:スランゴール 3-2)
⚽️トレンガヌ:チェチェ・キプレ(35分)
🟨スランゴール(1):ハイン・テット・アウン、ヤザン・アル=アラブ
🟨トレンガヌ(0)
🟥スランゴール(1):ヤザン・アル=アラブ(🟨x2)
MOM:リッチモンド・アンクラ(スランゴール)
 公式発表では今季最多となる3万3352人が詰め掛けたスルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアムでの準決勝セカンドレグは、ホームのトレンガヌが1-0で勝利したものの、ファストレグの3失点が響き、通算スコア2-3で敗れ、スランゴールが6年ぶりの決勝進出を果たしています。
 ファーストレグでついて2点差を縮めたいトレンガヌは試合開始から積極的にスランゴールを目指し、12分にはチェチェ・キプレが最初のシュートを放つなど、押し気味に試合を進めます。一方のスランゴールは、ワントップのエース、カイオン以外はほぼ全員が自陣内に残る超守備的な布陣を引きますが、守備陣がボールを奪うとそこから速いカウンターを仕掛け、トレンガヌゴールを脅かします。しかし徐々にこのカウンターに対応し始めたトレンガヌは、35分にチェチェ・キプレのマレーシアカップ4得点目となるゴールが決まり、準決勝の通算スコアを2-3とします。その後もファイサル・ハリム、マヌエル・オットがそれぞれ仕掛けますが、タン監督就任後にサミュエル・サマーヴィルからレギュラーを取り返したGKカイルルアズハン・カリドが好セーブで失点を防ぎます。
 後半に入るといわゆるゴール前のバス駐車状態でトレンガヌにチャンスを与えなかったスランゴールは、試合終盤の87分には2枚目のイエローでヤザン・アル=アラブが退場となったものの、トレンガヌの猛攻を凌ぎ、1失点にとどめました。この日の敗戦でタン・チェンホー監督が就任した9月以来続いた無敗記録は9で途切れたものの、2016年以来6年ぶりのマレーシアカップ決勝進出を果たしたスランゴールは2015年以来7年ぶりとなる34回目の優勝を目指して、決勝進出を決めています。
 一方のトレンガヌは、この日の敗戦で今季終了となりましたが、このブログでも取り上げている通り、ナフジ・ザイン監督は今季を持ってトレンガヌを去ることを表明しています。また、エースのファイサル・ハリムも来季のスランゴール移籍が噂されており、この日ゴールを決めたチェチェ・キプレ、またマレーシアカップで6ゴールを挙げたクパー・シャーマンらも退団が濃厚です。ナフジ監督が就任して以来、過去3シーズンで3位、4位、2位という成績を収めてきたトレンガヌですが、来季は外国籍選手を中心に大きくメンバーが入れ替わりそうです。過去2シーズンはいずれもJDTに次ぐリーグ2位につけながら、チーム刷新を図った結果、今季8位に終わったクダの二の舞にならないと良いのですが。
 またこの試合後には、トレンガヌサポーターがスランゴールの選手が乗ったバスに投石し、一部の窓が割れるなど、久しぶりにタチの悪いサポーターも登場しています。

マレーシアカップ2022
準決勝 2NDレグ結果とハイライト映像(1)

一昨日行われたマレーシア下院選挙では、97歳のマハティール元首相が1969年以来となる落選し「時代の終わり」といった報道も出る一方で、野党連合「希望同盟」、与党連合「国民連盟」そして前回選挙では国民連盟を支えた「国民戦線」の三つ巴の争いの中、いずれの政党連合も単独で過半数の112議席を確保することができず、野党連合と与党連合がそれぞれ連立政権に向けた交渉を進めていると報じられています。

この総選挙の影響を受け、一部日程が変更になったマレーシアカップは準決勝のセカンドレグ、JDT対サバが11月20日に行われています。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準決勝 2NDレグ
2022年11月20日@スルタン・イスマイルスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 3-1 サバ(通算スコア:JDT 4-1 サバ)
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ(35分)、フェルナンド・フォレスティエリ(41分)、シャフィク・アフマド
⚽️サバ:加賀山泰毅(47分)
🟨JDT(1):ナズミ・ファイズ
🟨サバ(1):ジェラルド・ガディト
🟥サバ:ジェラルド・ガディト
MOM:ダミエン・リム(サバ)
 選手層の厚さの差か。
 リーグ戦終了後に行われるマレーシアカップは,準決勝となると各チームともシーズンの疲れも出てきます。ファーストレグで敗れているサバは,この試合ではMFバドロル・バクティアルやDFリザル・ガザリをケガで欠いた上、控えの選手がGK1名をふくめて5名と満身創痍の状態で臨みました。一方のジョホール・ダルル・タジムJDTは、ケガのDFシェーン・ローリーに代わり起用されてきたDFフェロズ・バハルディンが準決勝ファーストレグのレッドカードで、またMFレアンドロ・ヴァレスケスも警告累積でいずれもこの試合出場停止と、やはりベストメンバーで臨むことができません。しかしそこは選手層が厚いJDT。主力選手欠場を全く感じさせないどころか、試合開始から攻勢をかけ、前半は大半の時間がサバのサイドでプレーされる状況でした。
 しかしファーストレグでMOMとなったサバのGKダミエン・リムを中心にサバDF陣がこの試合でもJDTの前に立ちはだかり、ダミエン・リム自身も好セーブを連発して、JDTの猛攻を防ぎます。しかしサバの集中力が一瞬切れた35分、ラベル・コービン=オングの左からのクロスに完全にフリーで飛び込んだベルグソン・ダ・シルヴァが頭で合わせてゴールを決め、JDTが先制します。このゴールでベルグソン選手は今季のマレーシアカップで6ゴール目となり、ACLも合わせると今季45ゴールとまさにエースの活躍です。
 さらに41分にはアフィク・ファザイルがDFラインの裏へ出したパスを受けたアリフ・アイマンが横にいたフェルナンド・フォレスティエリに流すと、これをフォレスティエリがゴールし、JDTはリードを2点に広げ、前半を終了します。
 後半に入るとサバも反撃し、ペナルティーエリアの外から放ったパク・タエスーのシュートをJDTのGKファリザル・マーリアスが弾くと、これに詰めていた加賀山泰毅選手がこのこぼれ球を押し込んで1点差に迫ります。
 ファーストレグとの通算スコアが2点差となったJDTは、サファウィ・ラシド、アキヤ・ラシドを投入すると、ロスタイムの90+11分には左からドリブルでペナルティエリアへ持ち込んだアキヤ・ラシドをサバのジェラルド・ガディトが倒してPKを獲得しますが、サファウィ・ラシドがこれをゴールポストの上に外してしまいます。その直後の90+4分には、ジェラルド・ガディトが再び、アキヤ・ラシドを倒して2枚目のイエローで退場となると、90+5分には甘くなったDFのマークをかわしてシャフィク・アフマドがこの試合3点目となるゴールを決めて万事休す。JDTは昨季に続き、2季連続となるマレーシアカップ決勝進出を果たしています。
 ベストの布陣が組めず敗れたサバは、DFイルファン・ザカリア(KLシティ)や来季のスーパーリーグ撤退を発表したPJシティで今季マレーシア人選手最多ゴールを挙げた代表FWダレン・ロック、そして同じくPJシティのFW、S・クマーランの獲得に動いているという報道もあり、早くも来季に向けて動き出しているようです。
 サバの加賀山泰毅選手はは先発して、フル出場しています。

11月19日のニュース
クラブライセンス不交付で来季トップリーグ不参加のマラッカ・ユナイテッドFCはマラッカFCと名称変更して3部リーグに参戦
マレーシアカップ決勝会場がブキ・ジャリル国立競技場に決定-最高のVIP席チケットは6200円
マレーシア代表の2022-2024年用新ユニフォーム発表

今日11月19日は独立以来第15回となるマレーシアの国政選挙投票日。昨日は急遽、国民の祝日となり、週末を兼ねて実家へ戻って投票する人の帰省ラッシュで、多くの幹線道路は渋滞したようです。

また複数の州では州議会選挙が同時に行われますが、ここで州政府内の政権交代が起これば、Mリーグクラブの将来にも影響が出る可能性があります。Mリーグのクラブは大半が各州のサッカー協会(州FA)がその運営に関与しているだけでなく、州FA会長を州首相(州の知事)が兼任し、クラブの運営費用を州政府からの公金に依存しているケースが少なくありません。政権交代が起これば、州知事は交代、つまり州FA会長が交代することになります。この政権交代により州FAによるクラブ運営方針が変わるだけでなく、予算配分などにも影響があります。その良い例が昨季のペラFCです。2020年に州議会内で議員の鞍替えによる与野党逆転が起こった結果、ペラFCに多額の資金支援を認めていた州首相が失職し、同時に州FA会長を退任すると、新たな州首相が州FA会長に就任した途端、クラブへの支援を削減しました。その結果、給料未払いが起こり、2020年シーズン終了後、外国籍選手を含めた主力選手の大半が退団しただけでなく外国籍監督とも契約を解除、その結果、2020年は1部スーパーリーグで4位だったクラブは昨季2021年シーズンは11位にとなり2部プレミアリーグに降格しています。

こういった政治とサッカーの結びつきを断ち切ろうと、マレーシアサッカー協会FAMが取り組んでいるのがクラブの民営化です。クラブの運営を州FAからクラブ運営会社に移すことで、上記のような政権交代などによるクラブへの政治的影響を無くそうという目的ですが、大半の資金を州政府から受け取ってきたクラブの体質改善は難しく、完全な民営化ができているのはジョホール・ダルル・タジムJDTやクランタンFCしかありません。他のクラブもクラブ運営会社を立ち上げたものの、クラブの資金源となるスポンサーは州政府が運営する企業が大半で、結局のところ、州政府から直接支援を受けるのではなく、州政府系企業経由と見た目が変わっただけに過ぎません。

ここ数年は新型コロナ対策やインフレ対策などにより、州政府の財政にも以前ほどの余裕がなくなっていることから、政権交代をきっかけにMリーグクラブへの支援が見直される可能性があり、これによりMリーグの勢力分布が変わってしまう可能性もあります。

クラブライセンス不交付で来季トップリーグ不参加のマラッカ・ユナイテッドFCはマラッカFCと名称変更して来季の3部リーグに参戦

来季のクラブライセンスが交付されず、Mリーグ1部スーパーリーグへの参加ができなくなったマラッカ・ユナイテッドFCが、クラブ名をマラッカFCと変更して、来季はMリーグ3部に当たるM3リーグに参加することを発表しています。

今季のスーパーリーグで10位に終わったマラッカ・ユナイテッドFCは、Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLが設定した期限までに給料未払い問題が解決しなかったことから、国内のクラブライセンス交付機関である第一審期間FIBがクラブライセンスを交付しませんでした。これにより来季のスーパーリーグ参加が不可能となったマラッカ・ユナイテッドFCを運営するマラッカ・ユナイテッドサッカー協会MUSAは、協会名をマラッカ州サッカー協会MAFAと変更するとともに、クラブの名称もマラッカFC取りブランディングすることを発表しています。

マラッカ州首相でもあったスライマン・モハマド・アMUSA会長に代わり、新たに会長に就寝したヌル・アズミ・アフマッド氏は、マラッカ州サッカー協会の名称をMUSAからMAFAとすることについて、これまで結果を伴わなかったMUSAはクラブの再生にそぐわないとしてMAFAとすることにしたと説明しています。

また新生マラッカFCは、既に来季2月開幕のM3リーグに向けて練習を開始していることを明らかにしたヌル・アズミMAFA会長は、来季のFAカップ参戦、そして2024年のスーパーリーグ復帰がクラブの目標となると述べ、未払い給料問題の解決を最優先とするとともに、今後同様の問題が起こらないような運営を行うことも約束しています。

*****

今季のスーパーリーグとMリーグ2部のプレミアリーグが統合され、来季は新たに14チーム編成となる「新」スーパーリーグの発足に伴い、来季はプレミアリーグが開催されないことが決まっています。このためマラッカFCはアマチュアリーグのM3リーグ参戦を余儀なくされています。これにより、今季の主力選手の多くが退団することが予想され、既にGKブライアン・シーはペラFCへ、DFファドリ・シャスはヌグリスンビランFCへの加入などが発表されています。

なお同様の給料未払い問題により今季スーパーリーグ11位のサラワク・ユナイテッドFCもクラブライセンス不交付により、来季のスーパーリーグ参戦ができなくなっていますが、こちらについては来季の方針などは未だ発表になっていません。

マレーシアカップ決勝の会場がブキ・ジャリル国立競技場に決定-最高のVIP席チケットは6200円

現在準決勝まで進んでいるマレーシアカップは今年が第96回大会。今大会は11月26日に決勝が予定されていますが、その試合会場がクアラルンプールのブキ・ジャリル国立競技場に決定したことを、マレーシアカップを主催するマレーシアンフットボールリーグMFLが公式サイトで発表しています。一時は地方開催の可能性も報じられていた決勝戦ですが、MFLはピッチの状況、観客収容能力、サポーターのアクセスのしやすさなど様々な点から.ブキ・ジャリル国立競技場に決定したと説明しています。

またMFLはこのマレーシアカップ決勝のチケット価格も発表しています。今季のFAカップ決勝と同様で最も高額なメインスタンドVIP席は200マレーシアリンギ(およそ6200円)、最も安価な一般席は50マレーシアリンギ(およそ1500円)となっています。Jリーグと比べれば驚くような価格ではないかもしれませんが、Mリーグ1部スーパーリーグの公式戦の場合、チケットの価格帯は20マレーシアリンギ(およそ620円)から50マレーシアリンギであることを考えると、VIP席はなかなかいいお値段です。

*****

今年9月に8万4000人の観衆を集めた今季のFAカップの決勝を既に開催しているブキ・ジャリル国立競技場は、各クラブの本拠地と比べれば明らかにピッチの手入れ状況なども良く、昨季に続きマレーシアカップの決勝戦会場となったのは当然と言えます。国内のスタジアムではジョホール・ダルル・タジムJDTの本拠地、スルタン・イブラヒムスタジアムもピッチの管理が良いことで知られていますが、この決勝戦にはJDTが勝ち上がる可能性もあり、公正と中立を期すれば、スルタン・イブラヒムスタジアムでの開催は難しいのが現実です。

マレーシア代表の2022-2024年用新ユニフォーム発表

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、2022年から2024年までマレーシア代表が着用する新たなユニフォームを発表しています。

ハリマウ・マラヤ「マレーの虎」の愛称持つマレーシア代表のユニフォームは、虎の黄色時に黒の縞模様にちなんで、黄色と黒が基調になることが多いですが、今回はホームがほぼ全面が黄色で丸首の部分だけが黒で、アウェイは胴で濃淡の差はあるもののほぼ全面が袖と黒という配色になり、デザイン的にはこれまでのユニフォームよりもシンプルになっています。マレーシアがタイ、インドネシア、ベトナムと共催した2007年のAFC選手権アジアカップから代表ユニフォームを提供するナイキ社による今回のユニフォームのデザインのテーマは「胸のバッジのために」となっており、国のために戦う闘争心を象徴しているということです。

この新ユニフォームは今年12月20日に開幕する東南アジアサッカー連盟選手権、三菱電機カップの前に行われる12月9日の国際親善試合カンボジア戦から使用され、女子代表や年代別代表、フットサルやビーチサッカー代表もこのユニフォームを使用するということです。

ちなみにお値段はホーム、アウェイユニフォームとも299マレーシアリンギ(およそ9200円)で11月24日から国内スポーツショップのアル=イクサンの店舗とオンラインストア、そしてナイキ・マレーシアのオンラインストアで購入可能ということです。
(下の写真はマレーシアサッカー協会FAMのFacebookより。)

マレーシアカップ2022
準決勝1STレグ結果とハイライト映像

マレーシアサッカーの今季最後を飾るマレーシアカップはいよいよ準決勝。11月15日と16日にそれぞれ1試合ずつ行われています。各州の対抗戦として始まったマレーシアのサッカーの歴史を受け継ぐマレーシアカップは、リーグ戦とは違う「熱さ」をもっています。この準決勝2試合はいずれも観衆が1万4000人を超え、特にスランゴール対トレンガヌ戦は今季初めてチケットが売り切れるなど、サポーターが退去押し掛ければ、それに呼応するようにピッチ上でも選手が激しくぶつかりあいました。準決勝ファーストレグを見る限りでは、決勝進出がかかるセカンドレグはさらに「暑い」試合になりそうです。なお準決勝セカンドレグは11月20日にJDT対サバが、同21日にトレンガヌ対スランゴールがそれぞれ行われます。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準決勝 1STレグ
2022年11月15日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 0-1 JDT
⚽️JDT:アリフ・アイマン(34分)
🟨サバ(7):バドルル・アフェンディ、ファルハン・ロスラン、アムリ・ヤハヤ、ドミニク・タン、ジェラルド・ガディト、ハナフィ・トウキョウ、オン・キムスイ監督
🟨JDT(4):アリフ・アイマン、ベルグソン・ダ・シルヴァ、フェロズ・バハルディン、レアンドロ・ヴァレスケス
🟥JDT(1):フェロズ・バハルディン(🟨x2)
MOM:ダミエン・リム(サバ)
 マレーシアカップに優勝し悲願のAFCカップ出場権獲得を目指す今季リーグ2位のサバと、リーグ、FAカップに続き年間三冠を目指すジョホール・ダルル・タジムJDTの対戦は、両チーム合わせてイエローカード11枚、レッドカード1枚が出されるほどともに激しい闘志をむき出しにした試合となりました。
 試合はJDTが試合開始から好機を作るものの、マレーシアカップでは連戦、攻守を見せるサバGKデミアン・リムの活躍もあり得点にならない展開が続きました。しかしついに34分、若きエース、アリフ・アイマンがペナルティエリアの外からディフェンダーを交わしてシュート。これが決まってJDTが先制します。そしてここからがJDTの本領が発揮されます。ベルグソン・ダ・シルヴァを中心とした攻撃力が注目されるJDTですが、今季リーグ戦22試合で12失点とその守備力も今季未だ国内無敗を支える原動力でもあります。73分にはフェロズ・バハルディンが2枚目のイエローカード(これは素人目には先にボールに触っているようにも見えましたが)で退場となり10人となるも、この1点を守り切っています。
 サバの加賀山泰毅選手は先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022準決勝 1STレグ
2022年11月16日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 3-1 トレンガヌ
⚽️スランゴール:リッチモンド・アンクラ(37分)、カイオン(43分)、シャルル・ナジーム(57分)
⚽️トレンガヌ:チェチェ・キプレ(19分)
🟨スランゴール(1):ムカイリ・アジマル
🟨トレンガヌ(2):クパー・シャーマン、アザルル・ナザリス
MOM:リッチモンド・アンクラ(スランゴール)
 リーグ5位とはいえタン・チェンホー監督就任以来、リーグ戦からマレーシアカップにかけて8戦無敗と好調が続くスランゴールと、ここ3ヶ月ではFAカップ決勝でJDTに敗れたのが唯一の敗戦と、こちらもやはり好調なリーグ2位トレンガヌの対戦となったこの試合は、スランゴールが3つのゴールを決め、リーグ戦では2敗していたトレンガヌに雪辱を果たしています。
 試合はキャプテン、チェチェ・キプレのフリーキックで19分にトレンガヌが先制しましたが、スランゴールは37分、ムカイリ・アジマルからのコーナーキックをリッチモンド・アンクラが190cmの長身を生かしたヘディングで同点ゴール。さらに43分位は同じムカイリ・アジマルからのコーナーキックにエースのカイオンがダイビングヘッドでゴールを決め逆転します。さらに57分には再びムカイリ・アジマルのコーナーキックにシャルル・ナジームがやはり頭で合わせゴール!全く同じような3つのゴールでスランゴールが快勝し、リーグ最多となる34回目のマレーシアカップ優勝に向けて近づきました。
 一方のトレンガヌは、この日の敗戦で、リーグ戦からマレーシアカップへと続いた連勝が8でストップしています。さらにこの試合前日には、クラブとの関係が悪化したナフジ・ザイン監督がマレーシアカップ後に退任することが発表されましたが、選手の動きを見る限りでは、チームのモラルは低下しておらず、ホームに戻ってのセカンドレグではこのナフジ監督の花道を飾るべく、決勝を目指す戦いが見られそうです。

マレーシアサッカーの今季最後を飾るマレーシアカップはいよいよ準決勝。11月15日と16日にそれぞれ1試合ずつ行われています。各州の対抗戦として始まったマレーシアのサッカーの歴史を受け継ぐマレーシアカップは、リーグ戦とは違う「熱さ」をもっています。この準決勝2試合はいずれも観衆が1万4000人を超え、特にスランゴール対トレンガヌ戦は今季初めてチケットが売り切れるなど、サポーターが退去押し掛ければ、それに呼応するようにピッチ上でも選手が激しくぶつかりあいました。準決勝ファーストレグを見る限りでは、決勝進出がかかるセカンドレグはさらに「暑い」試合になりそうです。なお準決勝セカンドレグは11月20日にJDT対サバが、同21日にトレンガヌ対スランゴールがそれぞれ行われます。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準決勝 1STレグ
2022年11月15日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 0-1 JDT
⚽️JDT:アリフ・アイマン(34分)
🟨サバ(7):バドルル・アフェンディ、ファルハン・ロスラン、アムリ・ヤハヤ、ドミニク・タン、ジェラルド・ガディト、ハナフィ・トウキョウ、オン・キムスイ監督
🟨JDT(4):アリフ・アイマン、ベルグソン・ダ・シルヴァ、フェロズ・バハルディン、レアンドロ・ヴァレスケス
🟥JDT(1):フェロズ・バハルディン(🟨x2)
MOM:ダミエン・リム(サバ)
 マレーシアカップに優勝し悲願のAFCカップ出場権獲得を目指す今季リーグ2位のサバと、リーグ、FAカップに続き年間三冠を目指すジョホール・ダルル・タジムJDTの対戦は、両チーム合わせてイエローカード11枚、レッドカード1枚が出されるほどともに激しい闘志をむき出しにした試合となりました。
 試合はJDTが試合開始から好機を作るものの、マレーシアカップでは連戦、攻守を見せるサバGKデミアン・リムの活躍もあり得点にならない展開が続きました。しかしついに34分、若きエース、アリフ・アイマンがペナルティエリアの外からディフェンダーを交わしてシュート。これが決まってJDTが先制します。そしてここからがJDTの本領が発揮されます。ベルグソン・ダ・シルヴァを中心とした攻撃力が注目されるJDTですが、今季リーグ戦22試合で12失点とその守備力も今季未だ国内無敗を支える原動力でもあります。73分にはフェロズ・バハルディンが2枚目のイエローカード(これは素人目には先にボールに触っているようにも見えましたが)で退場となり10人となるも、この1点を守り切っています。
 サバの加賀山泰毅選手は先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022準決勝 1STレグ
2022年11月16日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 3-1 トレンガヌ
⚽️スランゴール:リッチモンド・アンクラ(37分)、カイオン(43分)、シャルル・ナジーム(57分)
⚽️トレンガヌ:チェチェ・キプレ(19分)
🟨スランゴール(1):ムカイリ・アジマル
🟨トレンガヌ(2):クパー・シャーマン、アザルル・ナザリス
MOM:リッチモンド・アンクラ(スランゴール)
 リーグ5位とはいえタン・チェンホー監督就任以来、リーグ戦からマレーシアカップにかけて8戦無敗と好調が続くスランゴールと、ここ3ヶ月ではFAカップ決勝でJDTに敗れたのが唯一の敗戦と、こちらもやはり好調なリーグ2位トレンガヌの対戦となったこの試合は、スランゴールが3つのゴールを決め、リーグ戦では2敗していたトレンガヌに雪辱を果たしています。
 試合はキャプテン、チェチェ・キプレのフリーキックで19分にトレンガヌが先制しましたが、スランゴールは37分、ムカイリ・アジマルからのコーナーキックをリッチモンド・アンクラが190cmの長身を生かしたヘディングで同点ゴール。さらに43分位は同じムカイリ・アジマルからのコーナーキックにエースのカイオンがダイビングヘッドでゴールを決め逆転します。さらに57分には再びムカイリ・アジマルのコーナーキックにシャルル・ナジームがやはり頭で合わせゴール!全く同じような3つのゴールでスランゴールが快勝し、リーグ最多となる34回目のマレーシアカップ優勝に向けて近づきました。
 一方のトレンガヌは、この日の敗戦で、リーグ戦からマレーシアカップへと続いた連勝が8でストップしています。さらにこの試合前日には、クラブとの関係が悪化したナフジ・ザイン監督がマレーシアカップ後に退任することが発表されましたが、選手の動きを見る限りでは、チームのモラルは低下しておらず、ホームに戻ってのセカンドレグではこのナフジ監督の花道を飾るべく、決勝を目指す戦いが見られそうです。

マレーシアカップ2022
準々決勝2ndレグ結果とハイライト映像

 TMマレーシアカップ2022の準々決勝4試合のセカンドレグが11月12日と13日に行われ・いよいよベスト4が決定しています。準決勝進出を決めたのは、リーグ優勝、FAカップ優勝に続く三冠を目指すジョホール・ダルル・タジムJDT、リーグ2位のトレンガヌ、リーグ3位のサバ、そしてリーグ5位のスランゴールの4チームで、準決勝のカードはJDT対サバ、トレンガヌ対スランゴールと決まりました。なお、マレーシアカップの優勝チームには来季のAFCカップ出場権が与えられますが、スーパーリーグ1位として既にACL出場を決めているJDT、そしてスーパーリーグ2位となったことでAFCカップ出場権を獲得しているトレンガヌが優勝した場合には、スーパーリーグ3位のサバがAFCカップ出場権を獲得することが決まっています。
 なお準決勝ファーストレグは11月20日と21日に予定されています。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準々決勝 2NDレグ
2022年11月11日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 1-1 クチンシティ(通算スコア:サバ 2-1 クチンシティ)
⚽️サバ:加賀山泰毅(94分)
⚽️クチンシティ:ウマレン・バチョク(83分OG)
🟨サバ(1):イルファン・ファザイル、アルト・リナス、ハナフィ・トウキョウ
🟨クチンシティ(1):アリフ・ハサン
MOM:加賀山泰毅(サバ)
 いずれも東マレーシア(ボルネオ島)に本拠地を持つ両チームの「ボルネオダービー」は、ファーストレグではMリーグ1部スーパーリーグ3位のサバが2部プレミアリーグ3位のクチンシティに1-0で勝利していますが、内容はほぼ互角で、セカンドレグでも接戦が予想されました。サバには加賀山泰毅、クチンシティには1回戦のペナン戦ではMOMにも選ばれている谷川由来選手が在籍しており、日本人選手対決ともなったこの試合は、豪雨で試合開始が30分遅れた上、ピッチに水が浮く最悪のコンディションの中で始まりました。
 試合はアウェイのクチンシティが試合開始からホームのサバを圧倒しましたが、クチンシティのシュートがゴールの枠を捉えることができず、また枠内に飛んだシュートには絶好調のサバGKダミエン・リムが立ちはだかり、得点を挙げることができません。またクチンシティのGKシャイフル・ワジジもこうセーブを見せ、前半は0-0で終了します。
 後半に入っても、クチンシティはサバゴールを破ることができないまま試合が進み、このままサバが逃げ切るかと思われた83分、クチンシティのコーナーキックは直接、シュートにはつながらなかったものの、ゴール前の混戦からサバのウマレン・バチョクに当たったボールがそのままゴールイン!土壇場でクチンシティが通算スコア1-1に追いつきます。
 90分内で決着をつけたいクチンシティはその後も好機を作りますが、またもやGKダミエン・リムの攻守に阻まれ、試合は延長に入ります。そして延長戦開始直後の94分、右サイドからのサディル・ラムダニのクロスに加賀山泰毅が頭で合わせゴール!通算スコア2-1とサバが再び、リードを奪います。クチンシティはその後もジョセフ・カラン・ティー、アイルトン・フェレイラが好機を生かせず、試合はこのまま終了し、加賀山選手の今季通算4ゴール目となるマレーシアカップ初ゴールが決勝点となり、サバが準決勝を決めています。
 クラブ史上初のベスト4進出を逃したクチンシティですが、スーパーリーグ12位のペナンを破り、同3位のサバとも接戦を繰り広げ、来季昇格するスーパーリーグでも堂々と渡り合えることを証明しました。今季限りで退任を発表していたイルファン・バクティ監督は、来季も指揮を取るという報道も出ており、来季のスーパーリーグでのクチンシティの活躍が楽しみです。
  クチンシティの谷川由来選手、サバの加賀山泰毅選手はいずれも先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022準々決勝 2NDレグ
2022年11月11日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 5-0 クランタン(通算スコア:JDT 8-0 クランタン)
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ3(12分、34分、37分)、シャーミ・サファリ(40分)、ナズミ・ファイズ(45+1分)
🟨JDT(1):ナチョ・インサ
🟨クランタン(3):ムハイミン・イズディン・アスリ、シャフィク・アル=ハフィズ、ズルファーミ・アブドル・ハディ
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
 ファストレグでは、スーパーリーグ覇者のJDTがプレミアリーグ2位のクランタンを3-0で破っており、このセカンドレグではクランタンがホームのJDTを相手に、意地を見せられるかどうかだけが注目でした。
 JDTのエクトル・ビドリオ監督は、マレーシアカップ1回戦のPJシティ戦、そしてクランタンとの準々決勝ファーストレグと1度として同じ先発XIを起用していませんが、この試合でも過去3試合とは異なる先発XIを起用、しかも、この試合も含め4試合全てに先発した選手は1人もいません。しかし誰が先発しても今季のJDTは強い!この試合もJDTのエース、ベルグソン・ダ・シルヴァが前半だけでハットトリックを達成。ちなみにベルグソン選手はリーグ戦で29ゴール、FAカップで4ゴール、また今季のACLで6ゴールを挙げており、マレーシアカップはここまで5ゴールと今季通算44ゴール挙げ、準決2試合、そして決勝まで進めば年間50ゴールも見えてきます。JDTはさらにシャーミ・サファリ、ファイズ・ナズミもゴールを決めており、前半で5-0としたJDTが、後半は今季出場機会が少なかった選手を起用する余裕を見せ、通算スコア8-0でクランタンを粉砕しています。
 クランタンのリザル・ザムベリ・ヤハヤ監督にとっては、屈辱的な結果となりましたが、ノリザム・トゥキマン オーナーは、来季昇格するスーパーリーグに向けて、新監督を起用することを既に明らかにしており、まだ2年契約が残るリザル・ザムベリ監督は来季もコーチとして残るのかは未定です。
 クランタンの原健太選手は後半から出場して、試合終了までプレーしています。

マレーシアカップ2022準々決勝 2NDレグ
2022年11月12日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 2-2 スランゴール
⚽️ヌグリスンビラン:マテウス・アウヴェス(25分)、ザクアン・アドハ(45+1分)
⚽️スランゴール:カイオン(10分)、ヤザン・アル=アラブ(45分)
🟨ヌグリスンビラン(2):マテウス・アウヴェス、クザイミ・ピー、
🟨スランゴール(1):バハー・アブドッラフマーン
🟥ヌグリスンビラン(1):ズカイリ・ズルキプリ
MOM:シーハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)
 スーパーリーグ4位のヌグリスンビランが、同5位のスランゴールをホームに迎えたセカンドレグは2-2の引き分けに終わったものの、ファーストレグで2-0と勝利していたスランゴールが通算スコアを4-2として、準決勝進出を決めています。
 試合はスランゴールがカイオンのゴールで先制するものの、ヌグリスンビランも相手ペナルティエリア内でザムリ・ラムリが倒されていたPKをマテウス・アウヴェスが決めて、すぐさま同点に追いつきます。その後、スランゴールも45分にゴール前の混戦から出たクリアボールをヤザン・アル=アラブが巧みなボレーシュートでゴールを決めて、再びリードを奪います。しかし、ヌグリスンビランも、サクアン・アドハが前半ロスタイムにゴールを決め、前半は2-2で終了します。
 その後は両チームともゴールがなく、試合は2-2で引き分けに終わり、ファーストレグのとの通算成績を4-2としたスランゴールが準決勝進出を決めています。
 ヌグリスンビランにとって痛かったのは、センターバックとしての守備だけでなく、コーナーキックやゴール付近でのセットプレーではその長身を生かした攻撃参加が脅威となるエロルド・グロンが、ファーストレグで出されたレッドカードによりこの試合は出場停止となっていたこと。ヌグリスンビランのK・デヴァン監督は、点を取らなければならなかったこともあり、ファーストレグの5-3-2から、この試合では3-4-3にシステム変更するなど、苦肉の策でこの試合に臨みました。また、試合終盤の81分にズカイリ・ズルキプリがダニアル・アスリを踏みつけて一発レッドで退場なったことも痛かった!10人になったヌグリスンビランにはスランゴール相手にゴールを挙げる力は残っておらず、ベスト8で敗退しています。またスランゴールはタン・チェンホー監督就任以来の無敗記録を8に伸ばしています。

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月12日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 3-1 KLシティ(通算スコア:トレンガヌ 4-1 KLシティ)
⚽️トレンガヌ:マヌエル・オット(22分)、チェチェ・キプレ(63分)、クパー・シャーマン(89分)
⚽️KLシティ:ハキミ・アジム・ロスリ(45+1分)
🟨トレンガヌ(0)
🟨KLシティ(4):ジャンカルロ・ガリフオコ、アクラム・マヒナン、パウロ・ジョズエ
MOM:ファイサル・ハリム(トレンガヌ)
 ファーストレグを1-0で勝利していたスーパーリーグ2位のトレンガヌが、セカンドレグでも同5位で昨季のマレーシアカップ覇者、KLシティを破り、準決勝進出を決めています。
 マヌエル・オットのゴールで先制を許したKLシティは、前半終了間際に体調不良のロメル・モラレスに代わって先発したハキミ・アジム・ロスリのゴールで通算スコアを再び1点差とします。
 しかし、後半に入ると攻撃力の差が明らかになり、エース不在のKLシティに対して、63分にはtyチェ・キプレが、そして89分にはクパー・シャーマンがマレーシアカップ4試合で7ゴール目となるゴールを決めて、KLシティを突き放しています。がホームに迎えた試合は、1回戦2試合で5ゴールを挙げたトレンガヌのクパー・シャーマンがゴールを決め、トレンガヌが1-0で勝利しています。
 準決勝進出を決めたトレンガヌですが、この試合後の記者会見では、今月末に契約が切れるナフジ・ザイン監督が契約延長のオファーレターをクラブの経営陣からではなく、練習の際にキットマン経由で受け取ったことを認めています。クラブが設定した今季のKPI(重要業績評価指標)を達成したにもかかわらず、来季の契約内容についての話し合いの席も持たれなかったことも明らかにし、クラブには契約延長の可否を決める権利も、その伝達方法の選択の権利もあるとしながらも、過去3年間の自身の貢献が評価されているとは感じられないと述べたナフジ監督は、契約延長を受けるかどうかの返答は、近々クラブに対して行うと述べています。なお、ナフジ監督には来季のクダ監督就任の噂も出ており、リーグ2位監督が移籍すれば、スーパーリーグの勢力図が大きく変わる可能性があります。

マレーシアカップ2022
準々決勝1STレグ結果とハイライト映像

TMマレーシアカップ2022の準々決勝4試合のファーストレグが11月5日と6日に行われています。行われた4試合は、いずれも今季リーグ戦での成績上位チームが勝利する順当な結果ととなりましたが、4試合中3試合でレッドカードが出されるなど、今季最後のタイトルを目指す各チームの試合は激しさを増してきています。なお準々決勝セカンドレグは11月11日と12日に予定されています。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月5日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティ 0-1 サバ
⚽️サバ:バドロル・バクティアル(69分)
🟨クチンシティ(1):アダム・シリーン
🟨サバ(2):リザル・ガザリ、イルファン・ファザイル
MOM:ダミアン・チェン(サバ)
 いずれも東マレーシア(ボルネオ島)に本拠地を持つ両チームの「ボルネオダービー」となったこのカードは、1回戦でMリーグ1部スーパーリーグ12位のペナンを破って準々決勝に進出した2部プレミアリーグ3位のクチンシティが、スーパーリーグ3位のサバをホームに迎えて対戦しました。クラブ史上初となるマレーシアカップ準々決勝進出を祝い、この試合を主催するクチンシティは、この試合が入場無料となることを事前に発表し、公式発表では今季最多の2万154人の観衆がサラワク州立スタジアムに集まりました。
 試合はホームのクチンシティが前半を優勢に進めるものの、マレーシアカップでは先発で起用されているサバのGKダミエン・チェンが相手のセットプレーからのシュートを好セーブし、またクチンシティのGKシャイフル・ワジジも加賀山泰毅選手のロングシュートを止めるなど、前半は0-0で終了しました。後半に入っても両GKの頑張りでしまった試合になりましたが、69分にサバが決勝点を挙げます。クチンシティGKのシャイフル・ワジジがサバのファルハン・ロスランのシュートを反応よく防いだものの、そこに詰めていたキャプテンのバドロル・バクティアルがそのこぼれ球をゴール!サバがついにクチンシティのゴールをこじ開けました。その後クチンシティも反撃しますが、この試合のMOMにも選ばれたダミエン・チェンがサバゴールに立ちはだかり、この1点を守り切って勝利しています。
 クチンシティの谷川由来選手、サバの加賀山泰毅選手はいずれも先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月5日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン 0-3 JDT
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ(29分)、シャフィク・アフマド(37分)、レアンドロ・ヴァレスケス(74分)
🟨クランタン(3):アリプ・アミルディン、ジャスミル・メハト、イクワン・ヤゼク
🟨JDT(0):アフィク・ファザイル、レアンドロ・バレスケス、シャールル・サアド、ナサニエル・シオ
🟥クランタン(1):ジャスミル・メハト(試合終了後)
🟥JDT(1):アフィク・ファザイル(🟨x2)
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
 互いに特徴的なオーナーの両チームの対戦は、今季スーパーリーグ9連覇を達成したジョホール・ダルル・タジムJDTが、エースのベルグソン・ダ・シルヴァのゴールなどで、プレミアリーグ2位のクランタンに快勝しています。
 マレーシアでも有数のサッカーどころでもあるクランタンは、10年前の2012年にはスーパーリーグ、FAカップ、マレーシアカップの三冠も達成する強豪チームを擁していましたが、2013年のFAカップ優勝を最後にタイトルから遠ざかっています。当時チームを運営していたクランタン州サッカー協会KAFAのミスマネージメントもあり、2019年からは2部プレミアリーグでプレーしています。そんなクラブを実業家のノリザム・トゥキマン氏が2020年9月に買収し、そこからかつての栄華を目指して復活の道を進んできているクランタンが、今季既に二冠を獲得し、このマレーシアカップ優勝で三冠達成をもくろむJDTと対戦しました。
 試合は代表GKファリザル・マーリアスらをベンチスタートさせる余裕を見せたJDTの一方的な試合となり、後半76分にはJDTのアフィク・ファザイルがこの試合2枚目のイエローで退場となるものの、試合の大勢には影響がなく、ホームのクランタンが無得点で敗れています。
 クランタンの原健太選手は先発して、前半終了後に交代しています。

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月6日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 2-0 ヌグリスンビラン
⚽️スランゴール:カイオン(56分PK)、アリフ・ハイカル(90+1分)
🟨スランゴール(1):カイオン
🟨ヌグリスンビラン(1):ハリズ・カマルディン
🟥ヌグリスンビラン(1):エロルド・グロン
MOM:シーハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)
 スーパーリーグ5位のスランゴールが、同4位のヌグリスンビランをホームに迎えた試合は、スランゴールが好機に次ぐ好機を得ながらも、攻撃陣の精度の低さやヌグリスンビランGKのシーハン・ハズミのスーパーセーブもあり、前半は0-0で終わります。
 後半に入っても、好機を得るものの、それを活かせないスランゴールにとっては、嫌な流れのまま進んだ試合は56分に動きました。ヌグリスンビランのペナルティエリアでエロルド・グロンがシャルル・ナジームを倒してPKを与えてしまいます。(実際にはボールに行っているクリーンなタックルにも見えますが)、しかもこの判定に執拗に抗議を続けるグロン選手に対して主審がレッドカードを示し、ヌグリスンビランは10人になってしまいます。
 数的有利を生かしたスランゴールは終了間際にアリフ・アイカルが数少ないDFをかわしてダメ押しのゴールを決めて勝利し、タン・チェンホー監督就任以来の無敗記録を7に伸ばしています。

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月6日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティ 0-1 トレンガヌ
⚽️トレンガヌ:クパー・シャーマン(15分)
🟨KLシティ(3):パウロ・ジョズエ、デクラン・ランバート、アリフ・シャキリン
🟨トレンガヌ(4):クパー・シャーマン、アディブ・ザイヌディン、ハビブ・ハルーン、シャミルザ・ユソフ
🟥トレンガヌ(1):スハイミ・フシン
MOM:シャミルザ・ユソフ(トレンガヌ)
 スーパーリーグ2位のトレンガヌを同5位のKLシティがホームに迎えた試合は、1回戦2試合で5ゴールを挙げたトレンガヌのクパー・シャーマンがゴールを決め、トレンガヌが1-0で勝利しています。
 AFCカップで他のクラブよりも試合数が多いKLシティは、この試合でも疲労蓄積が心配されましたが、前年の覇者として臨むマレーシアカップでは、そのモチベーションは切れておらず、試合開始からパウロ・ジョズエがトレンガヌゴールに迫るなど、試合を優位に運びます。しかし、好調のクパー・シャーマンが、相手ゴール前の混戦からそのこぼれ球を押し込んで、トレンガヌが開始15分でリードを奪います。
 試合はそのまま、一進一退の攻防を繰り返しながら進み、問題の62分を迎えます。自陣からパウロ・ジョズエのロングボールに反応したKLシティのロメル・モラレスが抜け出そうとしたところを、トレンガヌのGKスハイミ・フシンがペナルティエリアのすぐ外で倒し、スハイミ選手は一発レッドで退場、KLシティはFKを得ます。しかし、スハイミ選手に代わって入ったGKシャミルザ・ユソフがパウロ・ジョズエのこのFKを止めると、さらにゴール前に詰めていたロメル・モラレスのシュートも再び止める大活躍で失点を防ぎます。今季トップチーム初出場となったチームの第3GKが勝負どころで大仕事を成し遂げたトレンガヌが準決勝に一歩近づいています。

TMマレーシアカップ2022
1回戦結果とハイライト映像(1)

今季のマレーシアのフットボールシーズンのフィナーレとなるTMマレーシアカップが開幕し、1回戦の4カードで勝者が決まっています。Mリーグ1部スーパーリーグの上位11チーム(ただしリーグ10位のマラッカ・ユナイテッドは給料未払い問題が解決していないことから出場権が剥奪され、12位のペナンが繰り上がり出場)と2部プレミアリーグの上位5チーム(ただし、スーパーリーグ所属クラブのセカンドチームは除く)の合計16チームが出場するこの大会の優勝チームには来季のAFCカップ出場権が与えられます。注目は何と言ってもジョホール・ダルル・タジムJDTがクラブ史上初となる三冠を達成するのかどうか。圧倒的な強さで9連覇を達成したスーパーリーグ、そして6年ぶりの優勝を果たしたFAカップに続き、昨季は優勝候補筆頭ながら決勝でKLシティに敗れたJDTが、3季ぶりにマレーシアカップ優勝を果たすかどうかが最大の関心です。

またTMマレーシアカップ優勝チームには来季のAFCカップ出場権が与えられますが、スーパーリーグ王者として既にACLに出場することが決まっているJDTが優勝すれば、スーパーリーグ3位のサバが繰り上げ出場となることも決まっています。
*試合のハイライト映像はいずれもMFLの公式YouTubeチャンネルより

TMマレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月26日@シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナン 2-2 クチンシティ
⚽️ペナン:ルーカス・シルヴァ2(38分、77分)
⚽️クチンシティ:アリフ・ハサン(45分)、アブ・カマラ(73分)
🟨ペナン(1):ファイズ・マズラン
🟨クチンシティ(3):アミル・アムリ・サレー、チェ・アリフ・チェ・カマルディン、アリフ・ハサン
MOM:ルーカス・シルヴァ(ペナン)
セカンドレグ
2022年10月31日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティ 2-1 ペナン(通算スコア:クチンシティ 4-3 ペナン)
⚽️クチンシティ:アリフ・ハサン(72分)、ワン・ファイズ・スライマン(118分)
⚽️ペナン:ルーカス・シルヴァ(22分)
🟨クチンシティ(3):ラフィザン・ラザリ、ズルアズラン・イブラヒム、アミル・アムリ・サレー
🟨ペナン(4):ジェフリ・フィルダウス・チュウ、ルーカス・シルヴァ、T・サラヴァナン、アリフ・アル=ラシド
MOM:谷川由来(クチンシティ)
 2部プレミアリーグ3位のクチンシティと1部スーパーリーグ12位のペナンが対戦。ファストレグでは、今季プレミアリーグの得点王アブ・カマラのゴールでクチンシティがリードを奪うも、ペナンはエースのルーカス・シルヴァがこの試合2ゴール目を挙げて追いつき引き分けています。
 セカンドレグは、クチンシティはアリフ・ハサン、ペナンはルーカス・シルヴァがいずれも2戦連続のゴールを挙げて1-1としましたが、その後、90分では決着がつかず延長戦に入りました。延長戦も後半に入り、残り時間が5分を切り、いよいよPK戦突入かと思われましたが、ゴール前の混戦からクチンシティに待望の決勝ゴール!残り時間を守り切ってクチンシティがベスト8進出を決めると共に、来季の1部スーパーリーグでも十分通用するチームであることを証明した試合でした。
 ペナンはリーグ最下位でマレーシアカップも1回戦敗退と今季は散々な成績でした。1年前のリーグ3位からは大きく成績を落とし、改めてトマス・トルチャ前監督の解任の代償が大きかったシーズンでした。
 クチンシティの谷川由来選手は、ファストレグ、セカンドレグともに先発してフル出場し、セカンドレグではMOMにも選ばれています。

TMマレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月26日@UITMスタジアム(スランゴール州シャー・アラム)
UITM 1-2 サバ
⚽️UITM:ジョージ・アトラム(90+1分)
⚽️サバ:バドロル・バクティアル(44分)、マクシアス・ムサ(70分)
🟨UITM(2):アフザル・アクバル、ファレズ・アイマン
🟨サバ(1):ラウィルソン・バトゥイル
MOM:バドロル・バクティアル(サバ)
セカンドレグ
2022年10月31日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 1-1 UITM(通算スコア:サバ 3-2 UITM)
⚽️サバ;ファルハン・ロスラン(66分PK)
⚽️UITM:ファレズ・アイマン・マルズキ(90+2分)
🟨サバ(1):ラウィルソン・バトゥイル
🟨UITM(1):アフザル・アクバル
MOM:レンディ・リニン(UITM)
 2部プレミアリーグ7位のUITMと1位スーパーリーグ3位のサバが対戦。ファーストレグでは点差以上に安定した試合運びで勝利したサバでしたが、セカンドレグはそうはいきませんでした。豪雨により試合開始が1時間近く遅れ、しかもピッチは水が浮く最悪のコンディションの中、昨季までサバに在籍していたUITMのGKレンディ・リニンの再三の好手もあり、ホームのサバはゴールを挙げることができません。そんな中、UITMのアフザル・アクバルが66分に自陣ペナルティエリア内で痛恨のハンド。これで得たPKをファルハン・ロスランが決めて、サバが試合の主導権を握ります。しかしここからUITMも猛反撃に転じますが、90+2分にファレズ・アイマン・バトゥイルのゴールで1点を返すのみとなり、通算スコア3-2でサバが辛くもベスト8進出を決めています。なお、サバはベスト8で同じ東マレーシア(ボルネオ島)に本拠地を持つクチンシティとの「ボルネオダービー」を戦うことにもなりました。
 サバの加賀山泰毅選手は、ファストレグでは先発して、66分に交代、セカンドレグでは先発して75分に交代しています。なお次戦のボルネオダービーはクチンシティの谷川由来選手とサバの加賀山選手との日本人選手対決にもなりました。

TMマレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月26日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティ 0-4 JDT
⚽️JDT:シャールル・サアド(5分)、サファウィ・ラシド(39分)、アキヤ・ラシド(70分)、フェルナンド・フォレスティエリ(80分)
🟨PJシティ(0)
🟨JDT(0)
MOM:シャールル・サアド(JDT)
セカンドレグ
2022年10月31日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 2-0 PJシティ(通算スコア:JDT 6-0 PJシティ)
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ(4分)、フェルナンド・フォレスティエリ(73分)
🟨JDT(3)ダリル・シャム、フェロズ・バハルディン、シャールル・サアド
🟨PJシティ(1):D・クガン
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
 1部スーパーリーグ9位と同1位の対戦。ファストレグの10日ほど前にPJシティのP・ラジェスが交通事故で亡くなり、この試合はラジェス選手の追悼試合として行われましたが、リーグ王者はそこは容赦なし。今季スーパーリーグ得点王のベルグソン・ダ・シルヴァはベンチ外、ツートップのもう1人、フェルナンド・フォレスティエリもベンチスタートながら、開始5分でCKからシャールル・サアドのヘッディングゴールで先制すると、39分には両外国籍選手欠場で先発の機会が回ってきたサファウィ・ラシドが技ありのゴールを決めて前半を2-0とします。後半に入っても、いずれも途中出場のアキヤ・ラシドとフォレスティエリ選手のゴールでJDTが4-0と快勝しています。
 セカンドレグでは、GKファリザル・マーリアス、両サイドバックのマシュー・デイヴィーズ、ラヴェル・コービン=オングを外し、2部プレミアリーグ、マレーシア人得点王のダリル・シャムが先発し、新加入のジョルディ・アマトがひっそりと国内デビューを果たすなど、ローテーションでこの試合に臨んだJDTでしたが、やはり開始4分でベルグソンのゴールで先制したJDTが、フェルナンド・フォレスティエリの2戦連発ゴールで2-0と快勝。通算スコア6-0でベスト8へ順当に進出しています。

TMマレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月26日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
サラワク・ユナイテッド 0-1 クランタン
⚽️クランタン:原健太(82分)
🟨サラワク(1):ボリス・コック
🟨クランタン(2):アリプ・アミルディン、イクワン・ヤゼク
MOM:ニック・アミン・アフマド(クランタン)
セカンドレグ
2022年10月31日@スルタン・モハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン 1-1 サラワク・ユナイテッド(通算スコア:クランタン 2-1 サラワク・ユナイテッド)
⚽️クランタン:ヌルシャミル・アブドル・ガニ(13分) 
⚽️サラワク:ラジャ・イムラン(31分)
🟨クランタン(3):ニック・アミン・アフマド、ジャスミル・メハット、ラティフ・スライミ
🟨サラワク(3):S・ヴィーノッド、ボリス・コック、S・チャントゥル
MOM:ラジャ・イムラ(サラワク・ユナイテッド)
 2部プレミアリーグ2位のクランタンと1部スーパーリーグ11位のサラワク・ユナイテッドが対戦。ファストレグを原健太選手の今季初ゴールで勝利したクランタンが、セカンドレグでは1-1と引き分け、通算スコア2-1としてベスト8へ進出しています。
 クランタンの原健太選手は、ファストレグでは58分に交代出場し、1ゴールを挙げて、試合終了までプレーしています。セカンドレクでは72分から出場し、試合収容までプレーしています。

10月13日のニュース
来季のスーパーリーグは18ではなく16チームで開催?FIBが2チームの国内クラブライセンスを交付せず
国内総選挙がマレーシアカップの日程に影響も
AFCカップ決勝はブキ・ジャリル国立競技場での開催が決定

来季のスーパーリーグは18ではなく16チームで開催?FIBが2チームの国内クラブライセンスを交付せず

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、今季Mリーグ1部スーパーリーグ所属の10クラブと2部プレミアリーグ所属の6クラブに対して、来季2023年シーズンの国内クラブライセンスが交付されたことを発表しています。またスーパーリーグ所属のマラッカ・ユナイテッドとサラワク・ユナイテッドの2クラブは、交付条件を満たしていないとして、今回の交付が見送られたことも併せて発表しています。

MFLは、国内リーグ戦の試合数が少ないというFIFAの指導を受け、現在のスーパーリーグとプレミアリーグを統合して、来季は新たにスーパーリーグを再編することを発表しています。今季はスーパーリーグが12チーム、プレミアリーグは10チーム(ただし、統合の対象となるのは6チーム)で編成されており、新スーパーリーグは18チーム編成となる予定でしたが、これでマラッカ・ユナイテッドとサラワク・ユナイテッドを除いた16チーム編成となる可能性がでてきました。

MFLは、マレーシアフットボール協会FAMからマレーシアにおけるクラブライセンス制度の制定および運用の委任を受けており、マレーシアにおけるライセンス交付機関としてMリーグのクラブライセンス制度を運営し、Mリーグのクラブに対して国内クラブライセンスを交付します。なお、国内クラブライセンスの交付判定については、MFLから独立した第三者機関であるクラブライセンス交付第一審機関FIBが行っていますが、このFIBが今回、国内クラブライセンスが交付されなかった2クラブについて、その理由を説明しています。

マラッカ・ユナイテッドについては、選手や監督、コーチに対して未払いとなっている今年8月分の給料支払い証明が提出されておらず、さらにクラブの経営状況を示す複数の書類も未提出になっているということが、今回、FIBが国内クラブライセンスを交付しなかった理由としています。またサラワク・ユナイテッドについては、書類の不備に加え、FIFAの紛争解決室DRCが決定した、旧所属2選手の延滞債務も完済されていないことが理由としています。(なおこの「かつて所属した2選手」とは、このブログでも取り上げたサンドロ・ダ・シルヴァテイラー・リガンの両選手です。)

なお、今回の交付見送りに対して、マラッカ・ユナイテッド、サラワク・ユナイテッドとも、10月19日までに再度の国内クラブライセンス交付申請が可能となっていることも併せて発表されています。

*****

今回、国内クラブライセンス交付を見送られた2クラブについて、MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、来季は2部プレミアリーグが開催されないことから、両クラブはアマチュアフットボールリーグAFLが統括する3部リーグのM3リーグでのプレーが可能と述べています。ただし、その場合にはM3リーグがMFLの管轄外であるため、最終決定はAFLが行うということです。

国内総選挙がマレーシアカップの日程に影響も

マレーシアのイスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は10月10日付で下院解散を発表しました。これに伴う総選挙は、解散後60日以内に開催することが憲法で定められていますが、11月中旬になると各地で洪水を引き起こす北東モンスーンが到来することから、11月上旬の開催が有力視されています。 そしてこの総選挙日程が、10月25日開幕予定のマレーシアカップの開催日程にも影響を及ぼす可能性があると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

Mリーグを運営するMFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、Mリーグでのグループステージでは各スタジアムで多くの観衆が足を運ぶと期待されているとして、そのスタジアム警備が総選挙の日程次第では手薄になってしまう懸念があると述べています。

「各スタジアムの警備や安全維持は警察が行っているが、総選挙の開催日程次第では、全国で行われる総選挙の投票会場に多くの警察官が配備されることはもちろん、その前の選挙運動期間中も様々な形で警察が動員される可能性がある。MFLとしては、10月20日に選挙委員会が日程を決定するために行う会議での発表を待ちたい。」と述べています。

AFCカップ決勝はブキ・ジャリル国立競技場での開催が決定

ACL決勝を新国立競技場開催の話となんだか似ているなぁ。

10月22日に行われるAFCカップ決勝は、Mリーグ1部スーパーリーグのKLシティとオマーンのアル・シーブクラブが対戦しますが、その試合会場が当初予定されていたKL指定の本拠地、KLフットボールスタジアムからブキ・ジャリル国立競技場へ変更されたと、マレーシア語紙のブリタ・ハリアンが報じています。

AFCカップを主催するアジアサッカー連盟からの公式発表は未だないものの、KLシティのボヤン・ホダック監督によると、「技術的な問題」により試合会場が変更されたと説明しています。

「AFCは、決勝戦ではVARを採用するとしており、そのためにはスタジアム内の照明が1800ルクス以上であることが条件となるが、KLフットボールスタジアムの照明はその条件を満たしていないことから、試合会場が変更となった。」と述べる一方で、「選手たちも自分も慣れ親しんだKLフットボールスタジアムでの試合を望んでいたが、技術的な問題ではどうしようもなく、我々はブキ・ジャリルで試合をせざるを得なくなった。」とも話しています。

*****

レバノンのアル・アヘドFCと北朝鮮の4.25体育団が対戦した2019年のAFCカップ決勝は、やはりこのKLフットボールスタジアムで開催され、アル・アヘドFCが1-0で勝利していますが、この時はまだ、VARはAFCカップには導入されていなかったのかな。

This is the second time KL City has played at Bukit Jalil National Stadium in the final after winning the Malaysia Cup last year.

Previously, the Cheras Football Stadium hosted the AFC Cup final when the Lebanese club, Al-Ahed defeated the North Korean club, April 25 1-0 in 2019.