1月14日のニュース
マレーシア人初のKリーガーが誕生-コギレスラワン・ラジがKリーグ2部の忠北清州FCと契約
ハディ・ファイヤッドがマレーシア復帰-ファジアーノ岡山からペラFCへ完全移籍
Mリーグにも韓流ブーム到来か-韓国出身のチェ・ムンシクがクランタンFCの監督に就任
JDTの代表選手コレクションが止まらない-代表GKシーハン・ハズミは噂通りジョホール加入

昨日の東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022の決勝ファーストレグは、大会2連覇を目指すタイと、今大会終了後に退任するパク・ハンソの花道を飾りたいベトナムが最後までスリリングな試合を見せてくれました。セカンドレグでホームに戻るタイはこの試合で欠場したティーラシン・デーンダーが復帰するのか、そしてこの試合でもゴールを決め、ティーラシン選手と6ゴールで並んだグエン・ティエン・リンとの大会得点王争いにも注目の、来週月曜日のセカンドレグが今から楽しみです。
 一方、準決勝で敗退したマレーシアでは、サポーターの関心は既に来月2月24日に開幕する2023年スーパーリーグへと移っています。各チームの陣容が整いつつある中、移籍、加入のニュースをいくつか紹介します。

マレーシア人初のKリーガーが誕生-コギレスラワン・ラジがKリーグ2部の忠北清州FCと契約

マレーシアの年代別代表やA代表でもプレー経験があるコギレスワラン・ラジがKリーグ2部の忠北清洲FCと契約したことを、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。「コギ」の愛称で呼ばれる24歳のコギレスワランは攻撃的MFで、昨季はMリーグ1部スーパーリーグのPJシティでプレーしていましたが、PJシティが今季のスーパーリーグから撤退する方針を発表したため、移籍先を探していました

昨季はセミプロリーグのKリーグ3部で14位だった清洲FCは、クラブ名を忠北清州FCとして今季からKリーグ2部に参加しますが、攻撃的MFのコギレスラワン選手はこの忠北清洲FCと1年契約を結んだということです。

今季のKリーグ2部にはインドネシア代表で今回の東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022にも出場したDFのアスナウィ・マンクアラムが安山グリナースFCへ加入することも発表されており、コギレスワラン選手が東南アジアからKリーグ2部に参加する今季2人目の選手となります。

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一時はシンガポール1部プレミアリーグのタンピネス・ローヴァーズへの移籍なども噂されていたコギレスワラン選手ですが、居心地良い東南アジアを飛び出した彼のチャレンジを応援するとともに、今後も続く選手が出るよう、まずはポジションを勝ち取って欲しいです。

Kリーグへ移籍したコギレスワラン選手だけでなく、今季は多くのマレーシア人選手がタイリーグへも移籍していることも注目です。1部リーグではディオン・コールズ(ブリーラム・ユナイテッド)、ジュニオール・エルドストール(PTプラチュワップFC)、サファウィ・ラシド(ラーチャブリーFC)、リリドン・クラスニキ(コーンケン・ユナイテッド)、2部リーグではザフアン・アゼマン(ウタイターニーFC)、スチュアート・ウォーク(カセサートFC)の合計6名がプレーします。近年では、タイリーグに移籍したノーシャルル・イドラン・タラハ(元BGパトゥム・ユナイテッド)、ドミニク・タン、モハマドゥ・スマレ(いずれも元ポリス・テロFC)らが全く活躍できなかっただけに、マレーシア人選手の評価を高めるような活躍を期待したいです。

ハディ・ファイヤッドがマレーシア復帰-ファジアーノ岡山からペラFCへ完全移籍

去る者もいれば戻って来る者もいる。

スーパーリーグのペラFCはクラブ公式SNSで、マレーシアの年代別代表でプレー経験があるハディ・ファイヤッドの加入を発表しています。ハディ選手はJDTのセカンドチームJDT IIを退団後、2019年に2月にJ2のファジアーノ岡山へ加入しており、Mリーグ復帰は5年ぶりとなります。

今月22日に23歳となるハディ選手は、マレーシア人選手として初めてJ2のクラブに移籍しましたが、岡山では出場機会を得ることができず、2021年には出場機会を求めてJ3のアスルクラロ沼津に期限付き移籍しました。しかし沼津へ移籍からわずか1ヶ月で右膝前十字靭帯(ACL)断裂の重傷を負い、このシーズンを棒に振りました。このケガから復帰した昨季は4月21日のヴァンラーレ八戸戦に84分から出場し、待望のJリーグデビューを果たしていました。その後も8月21日にはY.S.C.C.横浜で60分から、9月17日にはカターレ富山戦で83分から途中出場し、昨季の出場時間は合計43分、また出場した試合も含めベンチ入りは5試合でした。

ペラ州出身のハディ選手にとっては地元クラブでもあるペラFCは、一昨年に給料未払い問題により主力選手の大半が退団、移籍した結果、クラブ創設100周年となった年にクラブ史上初となる2部降格となっていました。またこの給料未払いの他、かつて在籍した外国籍選手への給料未払いもあったことから、FIFAは昨年1回目のトランスファーウィンドウ期間での新規選手の獲得を禁止する処分を課し、昨季のペラはシーズン前半はU23やU21の選手をやりくりして戦わなければならず、その結果、リーグ10チーム中で5勝2分11敗の9位に終わりました。しかし昨季終了後には携帯電話会社のXOX社がメインスポンサーとなり、元マレーシアU16代表監督で、バイエルン・ミュンヘンのユースチームコーチの経験もあるリム・ティオンキム氏が監督が就任すると、ベテラン選手を放出し、若い選手を多く獲得するなど、クラブの建て直しの過程にあり、その目玉の一つが今回のハディ選手獲得と言えそうです。

Mリーグにも韓流ブーム到来か-韓国出身のチェ・ムンシクがクランタンFCの監督に就任

来週月曜日1月16日に決勝戦セカンドレグが開催されフィナーレを迎える東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022では、準決勝に進んだ4チームの内、マレーシア、インドネシア、そしてベトナムの各代表チームは韓国人監督が指揮しており、東南アジアの代表チームには「韓流ブーム」がおとづれていますが、今季からスーパーリーグに加わるクランタンFCは、クラブ公式SNSで韓国出身のチェ・ムンシク(崔文植)監督の就任を発表しています。

元韓国代表のチェ氏は52歳で、韓国U16代表監督や、韓国の仁川で開催された2014年のアジア競技大会に出場したU23代表コーチなどを歴任している他、クラブレベルでは大田ハナシチズンFC(韓国)や延辺富徳FC(中国、2019年に解散)で監督経験があります。またMFだった現役選手時代の2001年にはJリーグの大分トリニータでもプレーしています。

なお昨季の監督を務めたザムベリ・ヤハヤはチェ監督のもとでコーチとして残留することも発表されています。

JDTの代表選手コレクションが止まらない-代表GKシーハン・ハズミは噂通りジョホール加入

三菱電機カップ2022準決勝で敗退したマレーシア代表のメンバーは、所属チームへ戻って2月24日に迫った今季の開幕に備えますが、昨季在籍したヌグリスンビランを退団することを表明し、三菱電機カップでは「無所属」となっていたGKシーハン・ハズミが噂通りジョホール・ダルル・タジム(JDT)に加入しています。

JDTのクラブ公式フェイスブックでは、新加入選手が本拠地のスルタン・イブラヒムスタジアムへリムジンで乗りつけるお約束の画像で加入が紹介されたシーハン選手は、背番号が33となることも明らかになっています。JDTオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下はこれまでも、マレーシア人選手はトップクラスの選手しか獲得しないと明言していた通り、三菱電機カップでは代表の正GKとして6試合中5試合に出場したシーハン選手が、JDTがこのオフに獲得した唯一のマレーシア人選手です。

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昨季は大ブレークを果たし、Mリーグアウォーズで2022年シーズンの最優秀GK賞を受賞した26歳のシーハン選手は、2021年まで4年連続で同賞を獲得してきた37歳のファイルズ・マーリアスとチームメートとなったことで、昨季リーグ9連覇を達成したJDTには代表GKが2人揃いました。これによりJDT内での正GK争いは激しいものになりそうですが、それと同時にまさかの同一チームから2人のGKが代表に選出、といった事態が起こるかも知れません。

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1月7日のニュース
マレーシアサッカーファンの筋違いな非難にジェイ・チョウが対応
青年スポーツ省が国内14ヶ所に特設スクリーンを設置-本日の準決勝が視聴可能に
ブキ・ジャリルのピッチ改修期間中はJDTのスタジアムがマレーシア代表の本拠地に

本日1月7日は東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ準決勝のファーストレグがマレーシアのホーム、ブキ・ジャリル競技場で午後8時30分(マレーシア時間、日本時間午後9時30分)から開催されます。5万9000人分のチケットは24時間も経たずに完売するなど、マレーシアサッカーファンの期待も高まっています。最新のFIFAランキングでは、145位のマレーシアに対して、タイは111位と劣勢ですが、マレーシアとタイの対戦成績は直近6試合では昨年9月のキングズカップPK戦勝利の1勝を含むマレーシアの3勝3分、特にブキ・ジャリル国立競技場での対戦は全5試合でマレーシアの3勝2分とタイにとっては鬼門となる試合会場です。マレーシアはこの記録を伸ばすのでしょうか、それともタイが不名誉な記録をストップするのでしょうか。

マレーシアサッカーファンの筋違いな非難にジェイ・チョウが対応

最大収容人数8万7000人のブキ・ジャリル国立競技場ですが、今日の試合のために販売されたチケットは5万9000人分でした。これは1月15日に同じブキ・ジャリル国立競技場で開催される台湾のスーパースター、ジェイ・チョウのコンサートのためのステージ設営の準備と仮設状態のステージからではピッチを見ることができない2万1000人分にあたる座席が販売されなかったことが理由です。マレーシアサッカー協会にはこの不手際について非難が集まっただけでなく、一部のファンはジェイ・チョウのSNSに人種差別的な内容を含んだ罵詈雑言などを投稿する辞退となっており、これに対してジェイ・チョウ自身が冷静になるよう求めていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 「マレーシアのサッカーファンの皆さん。私はあなたたちがサッカーに真剣なのは理解しています。(1月15日の)コンサートを延期することには何も問題はありませんが、皆さんはそれを私にではなく、マレーシアサッカー協会やブキ・ジャリル国立競技場の管理者に依頼するべきです。コンサート延期するか否かは問題ではありません。私は自分のファンの前で歌わせて欲しいだけです。」と自身のSNSに投稿したジェイ・チョウですが、ハンナ・ヨー青年スポーツ相はコンサート開催のための会場予約は2019年に行われた一方で、三菱電機カップ開催のための予約が行われたのは昨年2022年であることを明らかにしており、マレーシア政府が介入し、代表戦を優先する形でコンサートを延期あるいは中止を求めれば、国際社会でマレーシアに対する否定的な評価につながりかねないと述べ、延期や中止の可能性を否定しています。

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昨年12月に就任したばかりのヨー青年スポーツ相では、この問題を知らされた時点はほぼ打つ手がなかったでしょう。またこの記事の中では、ブキ・ジャリル国立競技場を運営するマレーシアスタジアム社とFAMは既に座席数を減らすことで合意していたことも明らかになっています。こちらもこれまでのAFF選手権の日程を見る限りでは、年を超えて決勝が行われたのは前回2020年大会が初めてで、それも1月1日が決勝でしたので、まさか1月8日に準決勝がブキ・ジャリル国立競技場で開催することになるとは思っていなかった可能性もあります。あるいは、ここまで代表戦が観客を集められるとは思っておらず、5万9000人分を確保しておけば十分と考えていたのかも知れません。
 準決勝ファーストレグ前の記者会見では、タイ代表

青年スポーツ省が国内14ヶ所に特設スクリーンを設置-本日の準決勝が視聴可能に

青年スポーツ省は国家統一省と協力し、本日行われるAFF選手権三菱電機カップ2022準決勝ファーストレグのマレーシア対タイの試合が観戦できるように、マレーシア国内の14ヶ所に特設スクリーンを設置することを発表しています。
 「強力な応援でハリマウ・マラヤ(マレーシア語で「マレーの虎」ーマレーシア代表の愛称)を決勝へ連れて行こう!」というツイートと共にスクリーン設置を発表した青年スポーツ省のハンナ・ヨー大臣は、既に試合のチケットが売り切れている中で、試合会場に足を運べない多くのマレーシアサポーターのために、KL市内にあるムルデカ広場を初めてマレー半島各地や東マレーシアのサバ、サラワクにもスクリーンを設置するとして、観戦会場となる場所のリストも発表しています。

ブキ・ジャリルのピッチ改修期間中はJDTのスタジアムがマレーシア代表の本拠地に

本日の準決勝が行われるクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場は、今年3月に芝の張り替えを含めた大規模なピッチ改修が予定されています。その一方で3月20日から28日まではFIFAの国際マッチデー期間になっており、マレーシア代表のホームでもあるブキ・ジャリル国立競技場が使用できない状況の中、Mリーグのジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が代表が試合を行う代替地としてJDTのホーム、スルタン・イブラヒムスタジアムの提供を申し出たと、英字紙ニュースとレイトタイムズが報じています。
 またこれを受けたハンナ・ヨー青年スポーツ相は、「TMJ(Tunku Mahkota Johor「ジョホール州皇太子」の意)は青年スポーツ省を何度も手助けしてくれているが、今回もこの申し出に感謝するとともに、喜んでこの申し出を受けたい。」と述べて、イスマイル殿下のマレーシアサッカーへの貢献は計り知れないものだと賛辞を送ったということです。
 上で取り上げたジェイ・チョウのコンサートのように、ブキ・ジャリル国立競技場はサッカー以外のイベントでも使用されるため、今年3月は施設を完全に閉鎖して、カウグラスと呼ばれているマレーシアのサッカー場で一般的な草から、いわゆる高麗芝の一種で、マレーシアの環境にも適したゼオン・ゾイシアと呼ばれる芝への張り替えが計画されています。

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ちなみのこのゼオン・ゾイシアはJDTのホーム、スルタン・イブラヒムスタジアムやJDTの練習場に貼られている芝で、しかも今回のブキ・ジャリル国立競技場の芝の張り替えは140万マレーシアリンギ(およそ4200万円)かかるということですが、トゥンク・イスマイル殿下がその費用を支援することになっています。

12月5日のニュース
JDTのサファウィ・ラシドがタイ1部ラーチャブリーFCへ移籍
トレンガヌは過去3季マラッカでプレーしたFWソニー・ノルデを獲得
苦しい時の神頼みならぬTMJ頼み-5ヶ月分給料未払いのマラッカ・ユナイテッドの選手がジョホールオーナーに助けを求める

サファウィ・ラシドのタイリーグ移籍は驚くようなニュースですが、マレーシアリーグは今季が終了したばかり。選手の移籍はむしろこれからが本格化しますので、まだまだ驚くようなニュースが出てくる可能性もあります。

JDTのサファウィ・ラシドがタイ1部ラーチャブリーFCへ移籍

Mリーグ1部スーパーリーグのジョホール・ダルル・タジムJDTは、クラブ公式SNSでFWサファウィ・ラシドがタイ1部のラーチャブリーFCへ期限付き移籍することを発表しています。

マレーシアカップ優勝監督から転身したエクトル・ビドリオ テクニカル・ディレクター名で発表されたこの移籍は、サファウィ選手が現在、東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ出場の代表候補となっていることから、新チームへの合流はこのAFF選手権終了後となるということです。また同じ発表の中でJDTはマリ出身のFWムサ・シディベも同時にラーチャブリーFCへ期限付き移籍することも発表しています。

このJDTによる発表の前には、ラーチャブリーFCの会長がサファウィ選手の獲得がクラブ間で合意に至ったことをフライング気味に表明しており、JDTがこれを後追いする形で発表されています。

現在25歳のサファウィ選手は、2017年に当時のT-Team FC、現在のトレンガヌFC IIからJDTに移籍し、2018年には21歳で当時最年少のリーグMVPに選ばれると、翌年も連続してこの賞を受賞、また先日、このブログでも取り上げた2018年アジア競技大会でも、5得点を挙げるなど、クラブだけでなくマレーシアサッカーを牽引する存在となることが期待されていました。

2018年にはリーグ戦21試合出場で6ゴール、2019年も21試合出場で8ゴール、また新型コロナの影響でシーズンが11試合に短縮された2020年は7試合で7ゴールと活躍したサファウィ選手は、2021年にはポルトガル1部のポルティモネンセへ期限付き移籍しました。しかしトップチームでは出場機会を得られなかっただけでなく、U23チームでもわずか2試合に出場したのみで、1年も経たずにJDTに復帰しています。しかし2021年には同じポジションに彗星のように現れた当時19歳のFWアリフ・アイマンにポジションを奪われ、2021年は16試合、今季2022年は13試合と出場機会が減り、先発では途中出場が多くなり、完全にチームの主力ではなくなっています。

現在、AFF選手権に向けて合宿中のA代表でも、JDTの主力がケガや家庭の事情などの理由から今回の招集を辞退して休養に努める一方で、サファウィ選手が合宿に参加しているのは、疲れがたまるほど試合に出場していないことも意味しています。

かつての輝くを失ったとは言え、25歳のサファウィ選手はここで終わってしまう選手ではありません。移籍先のラーチャブリーFCは、現在リーグ3位とは言え、上位5チームの中では得点数が最低の21点と得点力の補強が必要なチーム。左足からの振り幅の短い強烈なシュートもあれば、ACLでも見せた右サイドからの美しいカーブをかけたシュートも打てるサファウィ選手は、出場機会があれば、必ず結果を残せるはず。この移籍が転期となること期待したいです。

トレンガヌは過去3季マラッカでプレーしたFWソニー・ノルデを獲得

今季スーパーリーグ2位に終わったトレンガヌFCは、数日前にトミスラフ・スタインブリュックナー新新監督の就任を発表しましたが、今度は新たな外国籍選手としてハイチ出身のストライカー、ソニー・ノルデの獲得を発表しています。

33歳のノルデ選手とは1年契約を結び、背番号が11となることも併せて発表されています。19歳でボカ・ジュニアーズ(アルゼンチン)と契約してプロ選手生活をスタートしたノルデ選手は、アトレティコ・サンルイス、アルタミラFC(いずれもメキシコ)でプレーした後、シェイク・ラッセルKC、シェイク・ジャマル・ダンモンディSJDクラブ(いずれもバングラディシュ)、ATKモフン・バガンFC、ムンバイ・シティFC(いずれもインド)、ジラFK(アゼルバイジャン)を経て、2020年から今季までスーパーリーグのマラッカ・ユナイテッドFCでプレーしています。

マラッカでは今季17試合に出場し、4ゴール、5アシストを記録している33歳のノルデ選手とトレンガヌの契約期間は1年、また背番号が11となることも併せて発表されています。

苦しい時の神頼みならぬTMJ頼み-5ヶ月分給料未払いのマラッカ・ユナイテッドの選手がジョホールオーナーに助けを求める

今季スーパーリーグで10位に終わったマラッカ・ユナイテッドFCは、選手への給料未払いが理由で来季のクラブライセンスが発給されず、スーパーリーグからの撤退を余儀なくされています。その後、来季はセミプロリーグの3部、M3リーグに参戦することが発表されていますが、給料未払い問題が未だ解決していないことが明らかになっています。

サッカー専門サイトのスムアニャボラによると、給料の未払いは既に終了した2022年シーズンの5ヶ月分あり、その支払いに進展がないことから、一部の選手がソーシャルメディア上で同じスーパーリーグのジョホール・ダルル・タジムのトゥンク・イスマイル殿下に助けを求める投稿をしているということです。

ジョホール州皇太子でもあるイスマイル殿下は、これまでも同様の問題を起こすクラブに対して厳しい批判を行なった結果、クラブが重い腰を上げる、といったケースがあり、マラッカの選手もこれを期待して、部外者のイスマイル殿下に異例の懇願を行なったとみられています。

自身のインスタグラムに投稿したのはワン・ザハルニザム、シュクリ・バハルン、ハスブラ・バカル他数名の選手で、マラッカ前オーナーのジャスティン・リム氏、そして前マラッカ州サッカー協会のスライマン・モハマド・アリ氏の両氏とも選手からの問い合わせに無視を決め込んでいることから、イスマイル殿下に仲裁を求めています。プロ意識に欠けるクラブには容赦ないイスマイル殿下が仲裁に入ることで、これまで沈黙を守っている旧経営陣も何らかの行動をせざるを得なくなる、とSNSに投稿した選手たちは考えているようです。

来季のクラブライセンスが発給されなかったマラッカ・ユナイテッドFCは、オーナーだったリム氏が所有する株式を売却して辞任し、それに合わせるようにマラッカ州首相でもあるスライマン会長も辞任しており、クラブ名も新たにマラッカFCとするなど組織一新を図ることが発表されています。州サッカー協会の新会長に就任したヌル・アズミ・アフマド氏は、就任の際にはこの給料未払い問題解決に取り組むことを約束しましたが、実際には何も解決していないことが今回の一件で明らかになりました。


12月3日のニュース
AFF選手権出場の代表候補から11名辞退のジョホールオーナーがAFF選手権不要論

Mリーグ1部スーパーリーグ、ジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は「物言うオーナー」としても知られていますが、このイスマイル殿下が東南アジアサッカー連盟AFF選手権は「気を散らすもの」だとして、その必要性に疑問を投げかけています。

キム代表監督の選手招集拒否批判に反論

ことの発端は先月11月29日から始まっている代表候補合宿で当初、招集予定だった41名中、JDTから11名の辞退者が出たことでした。今月末に開幕するAFF選手権三菱電機カップは、FIFAの国際マッチカレンダー期間外ということもあり、各クラブは選手招集を拒否できることから、これ自体には何も問題はありませんが、これを受けてキム・パンゴン監督は「自身の監督経験の中で、これほど多くの主力選手が代表招集を拒否したのは初めてだ。」と暗に選手招集を拒否したクラブを批判する発言を行い、これに反応したのがイスマイル殿下でした。

イスマイル殿下は自身のインスタグラムに「選手は動き続ける機械ではなく、シーズン終了後には休養も必要だ。」と投稿し、代表招集辞退の正当性を説明しています。「Mリーグの選手たちは1月から練習と試合を続けてきている。しかもリーグ中断期間には代表合宿が繰り返し行われ、代表選手は全く休養を取ることができない。近隣諸国は試合があれば、その前の1週間に代表合宿を行なっているが、マレーシアは3週間選手を拘束する政界でも類がない長期の代表候補合宿を行う国である。」と代表合宿の方式を批判したイスマイル殿下は、かえす刀でAFF選手権にも言及しています。

AFF選手権重視は大局的見地の欠如

「AFF選手権はMリーグの選手と年間スケジュールをめちゃくちゃにするものものである。今回の大会は決勝が来年の1月15日に予定されているが、(春秋制を採用するMリーグの)各クラブは例年1月から練習を開始する。これで選手にいつ休養を取れと言うのか。」

イスマイル殿下の舌鋒はさらにキム監督にも向けられます。「代表チームの監督は何の考慮もせず、他人の持ち物を借りているだけの存在である。選手に投資し、給料を支払っているのは全てクラブである。その点を無視してクラブを批判するという姿勢はいかがなものか。」

「代表選手たちは(最終予選を突破し)アジアカップ2023年大会の出場権を獲得するなど、既にその義務を果たしている。世界の誰も注目しないAFF選手権にそれほど注力する必要は果たしてあるのか。マレーシアサッカーが成功するためにはもっと大局的に考える必要がある。」と述べています。

代表合宿初日の参加者は30名中17名

最終メンバー30名が発表された今回の代表候補合宿初日は、17名が参加したのみでした。なお11月26日に行われたマレーシアカップ決勝に出場したJDTの2選手とスランゴールの7選手は12月5日から参加することが発表されています。またU23代表候補にもなっているラーディアズリ・ラハリム(トレンガヌ)は12月6日に終わるU23代表候補合宿終了後に、またチェコ1部のFKヤブロネツでプレーするディオン・クールズ12月16日日にそれぞれ合流する予定です。

しかし、その後の報道で初日に参加した17名のうち、KLシティのDFデクラン・ランバートとMFアクラム・マヒナンも「個人的な事情」を理由に今回の合宿参加辞退を表明し、最終メンバーは結局、28名になっています。なおKLシティは今季AFCカップに出場し、9試合をアジア各地で戦っています。

強者ゆえに試合数が多くなるJDT

辞退した11名を含め、合計13名が今回の合宿に招集されたJDTは、リーグ戦22試合、いずれも優勝したFAカップとマレーシアカップではそれぞれ5試合と7試合、さらにACLではグループステージ4試合、ノックアウトステージ1試合とクラブとして今季39試合の公式戦を戦っています。さらに先日行われたインドネシア1部プルシス・ソロや、ドイツ1部ボルシア・ドルトムントとの親善試合や、開幕前に行なったMŠKジリナ(スロバキア1部)、スパルタ・モスクワ(ロシア1部)などとの合計6試合のプレシーズンマッチなども合わせれば2022年はクラブとして45試合こなしたことになります。

しかもJDTの選手の多くが代表でも主力選手として、3月にシンガポールで開かれたフィリピンとの3カ国対抗、アジアカップ2023年大会予選など今年の代表戦7試合にも出場しています。もちろん全員が全ての試合に出場しているわけではないですが、1年間にこれだけの試合をプレーした選手を、優勝しても東南アジアでの評価以上のものは得られないAFF選手権に出すよりは、来季のリーグ10連覇やACLのベスト8入などの目標のために十分に休養させたい、とイスマイル殿下が考えるのは理解できなくもありません。しかも来季はアジアカップがあり、年間日程は今季よりもさらに密になることも予想され上、アジアカップではまた選手がほぼクラブごと代表に招集されてしまうJDTにとっては、12月しか選手を休ませられる期間がないということです。.

なお、マレーシア代表は12月9日のカンボジア、そして12月14日のモルジブとの親善試合後に23名の最終メンバーが決定し、FIFAワールドカップカタール大会決勝の3日後、12月21日に開幕するAFF選手権三菱電機カップでは、初戦となるミャンマー戦(ヤンゴン)に臨みます。



12月2日のニュース
Mリーグクラブが来季に向けて次々と新監督就任や選手獲得を発表

スペイン戦勝利おめでとうございます。W杯とは縁がないマレーシアサッカーは、月が変わった昨日12月1日には、多くのクラブが来季へ向けての補強を公表しています。

JDTはエステバン・ソラリ新監督の就任を発表

今季、スーパーリーグ、FAカップ、マレーシアカップの国内三冠を達成したMリーグ1部のジョホール・ダルル・タジムJDTは、クラブ公式ソーシャルメディアで、エクトル・ビドリオ監督のテクニカルディレクター就任とエステバン・ソラリ新監督の就任を発表しています。

ベネズエラ出身で54歳のビドリオ監督に代わって、来季から指揮を取るソラリ監督はアルゼンチン出身の42歳で、2019年1月からアルゼンチンU23代表のコーチを務めており、今月末まで契約が残っており、この任期を終えての就任となるようです。

ソラリ新監督就任を発表したJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は、以前からこのソラリ氏を高く評価しており、アルゼンチン代表のユースやCAリーベル・プレート(アルゼンチン)などからもオファーを受けていた中、なんとか説得してJDTが獲得できたと、クラブの公式Facebookに投稿されたインタビューで説明しています。

ソラリ新監督就任に伴い、今季、クラブをマレーシアカップ優勝に導いたエクトル・ビドリオ監督はクラブのテクニカルディレクターに、そして今季までテクニカルディレクターを務めていたオーストラリア出身のアリスター・エドワーズはクラブCEOにそれぞれ就任することも発表されています。

2013年のクラブ創設以来、史上初の国内三冠に輝いたJDTですが、このソラリ新監督の就任以外にも、シーズン途中にケガで離脱したシェーン・ローリーに代わりに、セカンドチームから急遽起用された22歳のセンターバック、フェロズ・バハルディン、今季2部プレミアリーグでリーグ2位の9ゴールを挙げた20歳のFWダリル・シャムらのトップチーム昇格を発表したイスマイル殿下は、来季からスーパーリーグの外国籍選手枠が9名(ただしベンチ入り6名、ピッチ上5名)となることから、そして新たなブラジル人ストライカーや東南アジア枠での攻撃的MFとDFの獲得など、既に来季に向けての準備が着々と進んでいることも明らかにしています。

ナフジ・ザイン監督退任のトレンガヌはテクニカルディレクターのトミスラフ・スタインブリュックナー新監督就任を発表

トレンガヌFCは、今季、テクニカル・ディレクターを務めたトミスラフ・スタインブリュックナー氏が来季の新監督に就任することを、クラブ公式Facebookで発表しています。スタインブリュックナー氏はクロアチア出身の56歳で、2015年にもトレンガヌ州のサッカークラブで監督を務めており、いわばトレンガヌのサッカーを熟知した人物でもあります。

今季までの過去4シーズンを指揮し、7位、3位、4位、2位と順調にチームを作り上げてきたナフジ・ザイン監督が、クラブ経営陣の対応に不満を表明し、提示されていた来季の契約延長オファーを拒否して監督不在となったトレンガヌですが、その対応は早かった。(というか既定路線だった?)

ナフジ監督に次ぐ、来季の監督候補だったとされるスタインブリュックナー氏は、2015年に当時のT-TeamFC(現トレンガヌII)の監督に就任すると、2014年のMリーグ1部スーパーリーグで11位となり、2部プレミアリーグに降格したチームを率いてプレミアリーグで3位となっており、この時にはサファウィ・ラシド(現JDT)、ノルハキム・ハサン(原スランゴール)らを指導し、その後は自身もプレーしたクロアチア1部リーグのNKオシエクのU17やU19など、クロアチアのクラブで監督を務めたのち、今季からトレンガヌFCのテクニカルディレクターを務めていました。

すタインブリュックナー監督の契約は、昨日12月1日から来年11月30日までに1年であることも発表されています。

サバは代表FWダレン・ロックらの加入を発表

今季のMリーグ1部スーパーリーグでJDTに次ぐ2位に付けながら、最終節に敗れて3位に終わったサバFC。JDTには得点数で25点差をつけられ、リーグ全体でも4位と、優勝を狙うには攻撃力が課題となったシーズンでした。スーパーリーグでのチーム最多ゴールはDF登録のパク・タエスーの8点とストライカー不在に苦しんだサバでしたが、これまで噂に上がっていた通り、代表FWダレン・ロックを獲得したことをクラブ公式ソーシャルメディアで発表しています。

今季はスーパーリーグのPJシティFCのフォワードとして、マレーシア人最多の9ゴールを挙げてたロック選手は、PJシティが来季のスーパーリーグ撤退を発表したことから、その去就が注目されていましたが、来季のAFCカップ出場が決まっているサバが獲得に動いていることはネット上でも噂になっていました。

前述したようにDFのパク選手が8得点、それに続くのがMFバドロル・バクティアルの6点と、今季は獲得した外国籍FWがほとんど機能しなかったサバにとっては大きな戦力アップとなりそうです。

またサバは今季、スーパーリーグのKLシティでプレーしたセンターバックのイルファン・ザカリアの獲得も発表しています。今季は4位のヌグリスンビランと並び、リーグ3位の26失点に終わったサバですが、来季はAFCカップもあることから試合数も増え、代表DFドミニク・タンを中心としたDF陣の選手層を厚くすることもチームの課題でした。なお、27歳のザカリア選手はU23代表、A代表でのプレー経験もあり、今季もKLシティでは21試合に出場しています。

この他、サバは現在行われているマレーシア代表候補合宿に初招集されたMFスチュアート・ウィルキンと新たに2年契約を結んだことも発表しています。

12月1日のニュース
どこでこんなに差がついた?上田綺世とサファウィ・ラシド(アジア大会のハイライト映像あり)

いよいよ今日はグループステージ突破がかかるスペイン戦ですが、このFIFAワールドカップ2022カタール大会に出場中の日本代表の中には、マレーシアでも名前が知られている選手が少なくありません。他の東南アジア諸国同様、マレーシアでも最も人気があるのは英国プレミアリーグEPLということもあり、そこでプレーする冨安健洋選手や三笘薫選手、またかつて在籍した南野拓実選手や吉田麻也選手、浅野拓磨選手らもEPLファンには知られています。

そんな中、今回のワールドカップのコスタリカ戦で先発した上田綺世選手はEPLではプレーしておらず、今季からベルギー1部のサークル・ブルッヘと地味なチームに所属していますが、マレーシアのコアなサッカーファンからは「マレーシアの前に立ちはだかった侍」として記憶されています。

上田選手がU23日本代表のメンバーとしてU23マレーシア代表と対戦したのは、2018年にインドネシアで開催されたアジア競技大会でした。この大会でU23マレーシア代表はグループステージで韓国やバーレーンと同組になりながら、戦前の予想を覆してグループを1位で通過しました。圧巻だったのは、A代表でもプレーするファン・ヒチャンや、当時既にトットナムに在籍していたソン・フンミンを擁する前回2014年の覇者、韓国を2-1で撃破した試合でした。この試合ではサファウィ・ラシド(ジョホール・ダルル・タジムJDT)が2ゴールを決めて活躍しました。そしてベスト16に進出したマレーシアは、グループステージではベトナムに敗れてグループ2位で勝ち上がってきた日本と対戦。ベトナムに敗れていたことで、マレーシアは韓国に続き日本も撃破できるのでは、と期待が高まりました。

今回のW杯カタール大会参加メンバーでは森保一監督を筆頭に、板倉滉、前田大然、そして当時はまだ大学生だった三笘薫などの選手がプレーするU23日本代表がこの対戦では圧倒的な主導権を握る中、U23マレーシア代表は試合終盤まで善戦し、そしてこのまま延長戦かと思われた88分、自陣のペナルティエリア内でマレーシアのドミニク・タン(現サバFC)が上田綺世選手を倒してPKを与えてしまいます。上田選手が自分で蹴ったPKが決まり、このまま日本が1-0で逃げ切り、今大会、ここまで快進撃を続けてきたマレーシアのベスト8進出の夢が潰えました。また日本はこのまま決勝まで勝ち上がったものの、韓国に延長戦で1-2で敗れ、銀メダルに終わっています。

試合終盤にはエース、サファウィ・ラシド(現JDT)のシュートがゴールポストにあたり、シャフィク・アフマド(現JDT)のヘディングシュートが枠を外れるなどチャンスがなかったわけではありませんでしたが、オン・キムスイ監督(当時、現サバFC監督)率いるチームの挑戦は残り数分を持ち堪えられずに終わってしまいました。それでも日本代表相手に冷や汗をかかせるだけのパフォーマンスは示したマレーシア代表でした。ちなみにこの大会では、決勝まで進出した上田綺世選手は大会通算3ゴールだったのに対し、グループステージで敗れたサファウィ・ラシドは、韓国戦の2ゴールを含めて4ゴールを挙げています。

それから4年。上田綺世選手は、クラブレベルではベルギー1部のサークル・ブルッヘへ移籍し、今季17試合全てに先発出場して7ゴールを挙げています。 また、U23代表からA代表へ昇格し、現在開催中のカタールワールドカップに出場し、コスタリカ戦では先発出場を果たしているのはご存知の通りです。その一方で、サファウィ・ラシドは、順調に代表のエースとなることが期待されたものの、所属するJDTでは同じポジションでアリフ・アイマンが台頭してきたこともあり、この2年間は先発機会が激減しています。2018年、2019年と2年続けてリーグMVPとなり、順調にスターへの道を歩んでいたサファウィ選手ですが、2020年にポルティモネンセへ期限付き移籍したものの、トップチームでの出場機会はなく、1年でJDTに戻りましたが、既にアリフ・アイマンがその穴を埋めるどころか、あまり暑活躍をしていたところから、転落が始まりました。今季は試合出場時間が通算631分、先発出場2試合と出場機会が激減し、直近ではクラブ史上初の国内三冠達成となった今季のマレーシアカップ決勝でも先発はおろか、ベンチ外となるなど、歓喜の瞬間に立ち会うことができませんでした。

国外移籍の成功、不成功で2人の間にこんな差がついてしまったのか。

それでも、サファウィ選手の力はキム・パンゴン監督からの評価が高く、多くの選手(噂では11名とも)がケガや家庭の事情などを理由に代表招集を辞退したJDTからはラマダン・サイフラーと共に、今月末に開幕する東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022出場の代表候補30名に選ばれています。2010年大会以来、優勝から遠ざかっているマレーシアにとっては、出場機会が減っているとは言え、今季4ゴール、6アシストを記録したサファウィ・ラシドの左足からの強烈なシュートは大きな武器です。

三菱電機カップでかつての輝きを見せてJDTの主力に返り咲くのか、それとも出場機会を求めて来季は他のMリーグクラブへ移籍するのか。出場機会が得られれば、実力を示すことができる選手なので、まずは東南アジアの各国代表相手に大暴れしてもらいたいです。

マレーシアカップ2022決勝
ジョホールが逆転勝利でクラブ史上初の国内三冠達成

世間はワールドカップで盛り上がる中、マレーシアでは今季最後の公式戦マレーシアカップの決勝が行われています。マレーシアがまだ英領マラヤだった1921年にマラヤカップとして第1回大会が開催されたこの大会は、太平洋戦争中の中断を経て、マレーシアの成立によりマレーシアカップと名を変えて現在に至り、今回は第96回大会。Mリーグ1部スーパーリーグ9連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTに今季5位のスランゴールが挑む図式となりました

戦前の予想では、コロナ禍の影響で中止された2020年大会を挟み、3大会連続で決勝進出となったJDTが有利の声も多かった一方で、2016年以来6年ぶりの決勝に臨むスランゴールは大会最多の33回優勝を誇り、今年9月に前マレーシア代表監督を務めたタン・チェンホー監督が就任以来、9勝1敗と調子を上げてきていることから、接戦が予想されました。

マレーシアカップ2022決勝
2022年11月26日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラ・ルンプール)
スランゴール 2-0 JDT
⚽️スランゴール:カイオン(45分PK)、ムカイリ・アジマル(分)
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ(45+2分)、フェルナンド・フォレスティエリ(59分)
🟨スランゴール(2):ムカイリ・アジマル、アリフ・ハイカル
🟨JDT(3):ラヴェル・コービン=オング、フェルナンド・ヴェラスケス、マシュー・デイヴィーズ
MOM:フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)
 準決勝セカンドレグで出場停止となっていたアフィク・ファザイルとフェロズ・バハルディンが先発XIに戻ったJDTのエクトル・ビダリオ監督は、準決勝ファーストレグと同じ4-3-3の布陣を選択、一方のスランゴールは、準決勝セカンドレグで守備の要、センターバックのヤザン・アル=アラブがレッドカードをもらってこの試合出場停止となっており、タン監督は同じヨルダン代表の守備的MFバハ・アブドル・ラーマンを代わりに起用した他、ファーストレグで先発したFWノル・ハキム・ハサンに代えてDFリッチモンド・アンクラを先発させ、やはり4-3-3の布陣を採用しています。
 公式発表では7万9988名の大観衆を集めた決勝の勝者には来季のAFCカップ出場権がかかっており、アジアの舞台を目指すスランゴールが試合開始から怒涛の攻撃を見せ、さらに守備では各選手がJDTのパスコースをしっかりと封じ、両サイドのラヴェル・コービン=オング、アリフ・アイマンを機能させず、リーグ得点王のベルグソン・ダ・シルヴァまでなかなかボールが渡らない展開でした。
 スランゴール攻勢で試合が進む一方で、後期期を活かせない展開が続く中、45分にペナルティエリア内でJDTのマシュー・デイヴィーズがカイオンを倒し、スランゴールがPKを獲得。これをカイオン自身が決めて、スランゴールが1-0とリードします。
 しかしJDTも前半終了間際のロスタイムに、スランゴールのペナルティーエリアのすぐ外でレアンドロ・ヴェレスケスが倒され、PKを得ます。このPKは決まらなかったものの、その流れで得たコーナーキックをエース、ベルグソン・ダ・シルヴァが頭で合わせてゴール!JDTが前半終了間際に追いつき、試合は1-1で折り返します。
 しかし後半に入ると、前半飛ばしすぎたのか、スランゴール各選手の運動量が目に見えて落ち始め、JDTの選手の動きに遅れだし、スランゴールはJDTの攻撃をクリアするの精一杯という場面が目立ち始めた59分、ハーフラインからドリブルで持ち込んだアリフ・アイマンが、ゴール前のベルグソン・ダ・シルヴァへ素晴らしいパスが通り、GKと1対1となったシュートはスランゴールGKカイルルアズハン・カリドが反応良く止めたものの、そのセカンドボールに詰めていたフェルナンド・フォレスティエリがこれをゴールし、JDTが2-1とリードします。
 この試合で興味深かったのはスランゴールのタン監督の采配です。1-2とリードを許した直後の63分には守備的MFバハ・アブドル・ラーマンに代えてFWノル・ハキムを投入した際には、同時にA代表初招集が発表されたばかりの22歳のDFアリフ・ハイカルも合わせて投入、さらに75分にはエースのカイオンとキャプテンのブレンダン・ガンに代えてU23代表FWコンビのダニアル・アスリとシャヒル・バシャーをピッチに送りこみます。そしてこの若い選手たちはその期待に応えて最後までJDTゴールを脅かすなど、試合には敗れたもの、今季は不安定な戦いを見せたスランゴールに来季への期待を抱かせるプレーを見せてくれました。
 またこの試合の結果、マレーシアカップ優勝チームに与えられる来季のAFCカップ出場権は、JDTが既に来季のACL出場権を持つため、スーパーリーグ3位のサバに与えられることになりました。
 このマレーシアカップ決勝でMリーグは今季の国内日程を全て終了し、その結果はJDTが国内三冠を達成して幕を閉じました。
 以下はマレーシアカップ決勝のハイライト映像、試合後の選手インタビュー、そして試合後の監督の記者会見の様子です。(映像はいずれもMFLのYouTubeチャンネルより)

マレーシアカップ2022
準決勝 2NDレグ結果とハイライト映像(1)

一昨日行われたマレーシア下院選挙では、97歳のマハティール元首相が1969年以来となる落選し「時代の終わり」といった報道も出る一方で、野党連合「希望同盟」、与党連合「国民連盟」そして前回選挙では国民連盟を支えた「国民戦線」の三つ巴の争いの中、いずれの政党連合も単独で過半数の112議席を確保することができず、野党連合と与党連合がそれぞれ連立政権に向けた交渉を進めていると報じられています。

この総選挙の影響を受け、一部日程が変更になったマレーシアカップは準決勝のセカンドレグ、JDT対サバが11月20日に行われています。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準決勝 2NDレグ
2022年11月20日@スルタン・イスマイルスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 3-1 サバ(通算スコア:JDT 4-1 サバ)
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ(35分)、フェルナンド・フォレスティエリ(41分)、シャフィク・アフマド
⚽️サバ:加賀山泰毅(47分)
🟨JDT(1):ナズミ・ファイズ
🟨サバ(1):ジェラルド・ガディト
🟥サバ:ジェラルド・ガディト
MOM:ダミエン・リム(サバ)
 選手層の厚さの差か。
 リーグ戦終了後に行われるマレーシアカップは,準決勝となると各チームともシーズンの疲れも出てきます。ファーストレグで敗れているサバは,この試合ではMFバドロル・バクティアルやDFリザル・ガザリをケガで欠いた上、控えの選手がGK1名をふくめて5名と満身創痍の状態で臨みました。一方のジョホール・ダルル・タジムJDTは、ケガのDFシェーン・ローリーに代わり起用されてきたDFフェロズ・バハルディンが準決勝ファーストレグのレッドカードで、またMFレアンドロ・ヴァレスケスも警告累積でいずれもこの試合出場停止と、やはりベストメンバーで臨むことができません。しかしそこは選手層が厚いJDT。主力選手欠場を全く感じさせないどころか、試合開始から攻勢をかけ、前半は大半の時間がサバのサイドでプレーされる状況でした。
 しかしファーストレグでMOMとなったサバのGKダミエン・リムを中心にサバDF陣がこの試合でもJDTの前に立ちはだかり、ダミエン・リム自身も好セーブを連発して、JDTの猛攻を防ぎます。しかしサバの集中力が一瞬切れた35分、ラベル・コービン=オングの左からのクロスに完全にフリーで飛び込んだベルグソン・ダ・シルヴァが頭で合わせてゴールを決め、JDTが先制します。このゴールでベルグソン選手は今季のマレーシアカップで6ゴール目となり、ACLも合わせると今季45ゴールとまさにエースの活躍です。
 さらに41分にはアフィク・ファザイルがDFラインの裏へ出したパスを受けたアリフ・アイマンが横にいたフェルナンド・フォレスティエリに流すと、これをフォレスティエリがゴールし、JDTはリードを2点に広げ、前半を終了します。
 後半に入るとサバも反撃し、ペナルティーエリアの外から放ったパク・タエスーのシュートをJDTのGKファリザル・マーリアスが弾くと、これに詰めていた加賀山泰毅選手がこのこぼれ球を押し込んで1点差に迫ります。
 ファーストレグとの通算スコアが2点差となったJDTは、サファウィ・ラシド、アキヤ・ラシドを投入すると、ロスタイムの90+11分には左からドリブルでペナルティエリアへ持ち込んだアキヤ・ラシドをサバのジェラルド・ガディトが倒してPKを獲得しますが、サファウィ・ラシドがこれをゴールポストの上に外してしまいます。その直後の90+4分には、ジェラルド・ガディトが再び、アキヤ・ラシドを倒して2枚目のイエローで退場となると、90+5分には甘くなったDFのマークをかわしてシャフィク・アフマドがこの試合3点目となるゴールを決めて万事休す。JDTは昨季に続き、2季連続となるマレーシアカップ決勝進出を果たしています。
 ベストの布陣が組めず敗れたサバは、DFイルファン・ザカリア(KLシティ)や来季のスーパーリーグ撤退を発表したPJシティで今季マレーシア人選手最多ゴールを挙げた代表FWダレン・ロック、そして同じくPJシティのFW、S・クマーランの獲得に動いているという報道もあり、早くも来季に向けて動き出しているようです。
 サバの加賀山泰毅選手はは先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022
準決勝1STレグ結果とハイライト映像

マレーシアサッカーの今季最後を飾るマレーシアカップはいよいよ準決勝。11月15日と16日にそれぞれ1試合ずつ行われています。各州の対抗戦として始まったマレーシアのサッカーの歴史を受け継ぐマレーシアカップは、リーグ戦とは違う「熱さ」をもっています。この準決勝2試合はいずれも観衆が1万4000人を超え、特にスランゴール対トレンガヌ戦は今季初めてチケットが売り切れるなど、サポーターが退去押し掛ければ、それに呼応するようにピッチ上でも選手が激しくぶつかりあいました。準決勝ファーストレグを見る限りでは、決勝進出がかかるセカンドレグはさらに「暑い」試合になりそうです。なお準決勝セカンドレグは11月20日にJDT対サバが、同21日にトレンガヌ対スランゴールがそれぞれ行われます。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準決勝 1STレグ
2022年11月15日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 0-1 JDT
⚽️JDT:アリフ・アイマン(34分)
🟨サバ(7):バドルル・アフェンディ、ファルハン・ロスラン、アムリ・ヤハヤ、ドミニク・タン、ジェラルド・ガディト、ハナフィ・トウキョウ、オン・キムスイ監督
🟨JDT(4):アリフ・アイマン、ベルグソン・ダ・シルヴァ、フェロズ・バハルディン、レアンドロ・ヴァレスケス
🟥JDT(1):フェロズ・バハルディン(🟨x2)
MOM:ダミエン・リム(サバ)
 マレーシアカップに優勝し悲願のAFCカップ出場権獲得を目指す今季リーグ2位のサバと、リーグ、FAカップに続き年間三冠を目指すジョホール・ダルル・タジムJDTの対戦は、両チーム合わせてイエローカード11枚、レッドカード1枚が出されるほどともに激しい闘志をむき出しにした試合となりました。
 試合はJDTが試合開始から好機を作るものの、マレーシアカップでは連戦、攻守を見せるサバGKデミアン・リムの活躍もあり得点にならない展開が続きました。しかしついに34分、若きエース、アリフ・アイマンがペナルティエリアの外からディフェンダーを交わしてシュート。これが決まってJDTが先制します。そしてここからがJDTの本領が発揮されます。ベルグソン・ダ・シルヴァを中心とした攻撃力が注目されるJDTですが、今季リーグ戦22試合で12失点とその守備力も今季未だ国内無敗を支える原動力でもあります。73分にはフェロズ・バハルディンが2枚目のイエローカード(これは素人目には先にボールに触っているようにも見えましたが)で退場となり10人となるも、この1点を守り切っています。
 サバの加賀山泰毅選手は先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022準決勝 1STレグ
2022年11月16日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 3-1 トレンガヌ
⚽️スランゴール:リッチモンド・アンクラ(37分)、カイオン(43分)、シャルル・ナジーム(57分)
⚽️トレンガヌ:チェチェ・キプレ(19分)
🟨スランゴール(1):ムカイリ・アジマル
🟨トレンガヌ(2):クパー・シャーマン、アザルル・ナザリス
MOM:リッチモンド・アンクラ(スランゴール)
 リーグ5位とはいえタン・チェンホー監督就任以来、リーグ戦からマレーシアカップにかけて8戦無敗と好調が続くスランゴールと、ここ3ヶ月ではFAカップ決勝でJDTに敗れたのが唯一の敗戦と、こちらもやはり好調なリーグ2位トレンガヌの対戦となったこの試合は、スランゴールが3つのゴールを決め、リーグ戦では2敗していたトレンガヌに雪辱を果たしています。
 試合はキャプテン、チェチェ・キプレのフリーキックで19分にトレンガヌが先制しましたが、スランゴールは37分、ムカイリ・アジマルからのコーナーキックをリッチモンド・アンクラが190cmの長身を生かしたヘディングで同点ゴール。さらに43分位は同じムカイリ・アジマルからのコーナーキックにエースのカイオンがダイビングヘッドでゴールを決め逆転します。さらに57分には再びムカイリ・アジマルのコーナーキックにシャルル・ナジームがやはり頭で合わせゴール!全く同じような3つのゴールでスランゴールが快勝し、リーグ最多となる34回目のマレーシアカップ優勝に向けて近づきました。
 一方のトレンガヌは、この日の敗戦で、リーグ戦からマレーシアカップへと続いた連勝が8でストップしています。さらにこの試合前日には、クラブとの関係が悪化したナフジ・ザイン監督がマレーシアカップ後に退任することが発表されましたが、選手の動きを見る限りでは、チームのモラルは低下しておらず、ホームに戻ってのセカンドレグではこのナフジ監督の花道を飾るべく、決勝を目指す戦いが見られそうです。

マレーシアサッカーの今季最後を飾るマレーシアカップはいよいよ準決勝。11月15日と16日にそれぞれ1試合ずつ行われています。各州の対抗戦として始まったマレーシアのサッカーの歴史を受け継ぐマレーシアカップは、リーグ戦とは違う「熱さ」をもっています。この準決勝2試合はいずれも観衆が1万4000人を超え、特にスランゴール対トレンガヌ戦は今季初めてチケットが売り切れるなど、サポーターが退去押し掛ければ、それに呼応するようにピッチ上でも選手が激しくぶつかりあいました。準決勝ファーストレグを見る限りでは、決勝進出がかかるセカンドレグはさらに「暑い」試合になりそうです。なお準決勝セカンドレグは11月20日にJDT対サバが、同21日にトレンガヌ対スランゴールがそれぞれ行われます。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準決勝 1STレグ
2022年11月15日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 0-1 JDT
⚽️JDT:アリフ・アイマン(34分)
🟨サバ(7):バドルル・アフェンディ、ファルハン・ロスラン、アムリ・ヤハヤ、ドミニク・タン、ジェラルド・ガディト、ハナフィ・トウキョウ、オン・キムスイ監督
🟨JDT(4):アリフ・アイマン、ベルグソン・ダ・シルヴァ、フェロズ・バハルディン、レアンドロ・ヴァレスケス
🟥JDT(1):フェロズ・バハルディン(🟨x2)
MOM:ダミエン・リム(サバ)
 マレーシアカップに優勝し悲願のAFCカップ出場権獲得を目指す今季リーグ2位のサバと、リーグ、FAカップに続き年間三冠を目指すジョホール・ダルル・タジムJDTの対戦は、両チーム合わせてイエローカード11枚、レッドカード1枚が出されるほどともに激しい闘志をむき出しにした試合となりました。
 試合はJDTが試合開始から好機を作るものの、マレーシアカップでは連戦、攻守を見せるサバGKデミアン・リムの活躍もあり得点にならない展開が続きました。しかしついに34分、若きエース、アリフ・アイマンがペナルティエリアの外からディフェンダーを交わしてシュート。これが決まってJDTが先制します。そしてここからがJDTの本領が発揮されます。ベルグソン・ダ・シルヴァを中心とした攻撃力が注目されるJDTですが、今季リーグ戦22試合で12失点とその守備力も今季未だ国内無敗を支える原動力でもあります。73分にはフェロズ・バハルディンが2枚目のイエローカード(これは素人目には先にボールに触っているようにも見えましたが)で退場となり10人となるも、この1点を守り切っています。
 サバの加賀山泰毅選手は先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022準決勝 1STレグ
2022年11月16日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 3-1 トレンガヌ
⚽️スランゴール:リッチモンド・アンクラ(37分)、カイオン(43分)、シャルル・ナジーム(57分)
⚽️トレンガヌ:チェチェ・キプレ(19分)
🟨スランゴール(1):ムカイリ・アジマル
🟨トレンガヌ(2):クパー・シャーマン、アザルル・ナザリス
MOM:リッチモンド・アンクラ(スランゴール)
 リーグ5位とはいえタン・チェンホー監督就任以来、リーグ戦からマレーシアカップにかけて8戦無敗と好調が続くスランゴールと、ここ3ヶ月ではFAカップ決勝でJDTに敗れたのが唯一の敗戦と、こちらもやはり好調なリーグ2位トレンガヌの対戦となったこの試合は、スランゴールが3つのゴールを決め、リーグ戦では2敗していたトレンガヌに雪辱を果たしています。
 試合はキャプテン、チェチェ・キプレのフリーキックで19分にトレンガヌが先制しましたが、スランゴールは37分、ムカイリ・アジマルからのコーナーキックをリッチモンド・アンクラが190cmの長身を生かしたヘディングで同点ゴール。さらに43分位は同じムカイリ・アジマルからのコーナーキックにエースのカイオンがダイビングヘッドでゴールを決め逆転します。さらに57分には再びムカイリ・アジマルのコーナーキックにシャルル・ナジームがやはり頭で合わせゴール!全く同じような3つのゴールでスランゴールが快勝し、リーグ最多となる34回目のマレーシアカップ優勝に向けて近づきました。
 一方のトレンガヌは、この日の敗戦で、リーグ戦からマレーシアカップへと続いた連勝が8でストップしています。さらにこの試合前日には、クラブとの関係が悪化したナフジ・ザイン監督がマレーシアカップ後に退任することが発表されましたが、選手の動きを見る限りでは、チームのモラルは低下しておらず、ホームに戻ってのセカンドレグではこのナフジ監督の花道を飾るべく、決勝を目指す戦いが見られそうです。

マレーシアカップ2022
準々決勝2ndレグ結果とハイライト映像

 TMマレーシアカップ2022の準々決勝4試合のセカンドレグが11月12日と13日に行われ・いよいよベスト4が決定しています。準決勝進出を決めたのは、リーグ優勝、FAカップ優勝に続く三冠を目指すジョホール・ダルル・タジムJDT、リーグ2位のトレンガヌ、リーグ3位のサバ、そしてリーグ5位のスランゴールの4チームで、準決勝のカードはJDT対サバ、トレンガヌ対スランゴールと決まりました。なお、マレーシアカップの優勝チームには来季のAFCカップ出場権が与えられますが、スーパーリーグ1位として既にACL出場を決めているJDT、そしてスーパーリーグ2位となったことでAFCカップ出場権を獲得しているトレンガヌが優勝した場合には、スーパーリーグ3位のサバがAFCカップ出場権を獲得することが決まっています。
 なお準決勝ファーストレグは11月20日と21日に予定されています。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準々決勝 2NDレグ
2022年11月11日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 1-1 クチンシティ(通算スコア:サバ 2-1 クチンシティ)
⚽️サバ:加賀山泰毅(94分)
⚽️クチンシティ:ウマレン・バチョク(83分OG)
🟨サバ(1):イルファン・ファザイル、アルト・リナス、ハナフィ・トウキョウ
🟨クチンシティ(1):アリフ・ハサン
MOM:加賀山泰毅(サバ)
 いずれも東マレーシア(ボルネオ島)に本拠地を持つ両チームの「ボルネオダービー」は、ファーストレグではMリーグ1部スーパーリーグ3位のサバが2部プレミアリーグ3位のクチンシティに1-0で勝利していますが、内容はほぼ互角で、セカンドレグでも接戦が予想されました。サバには加賀山泰毅、クチンシティには1回戦のペナン戦ではMOMにも選ばれている谷川由来選手が在籍しており、日本人選手対決ともなったこの試合は、豪雨で試合開始が30分遅れた上、ピッチに水が浮く最悪のコンディションの中で始まりました。
 試合はアウェイのクチンシティが試合開始からホームのサバを圧倒しましたが、クチンシティのシュートがゴールの枠を捉えることができず、また枠内に飛んだシュートには絶好調のサバGKダミエン・リムが立ちはだかり、得点を挙げることができません。またクチンシティのGKシャイフル・ワジジもこうセーブを見せ、前半は0-0で終了します。
 後半に入っても、クチンシティはサバゴールを破ることができないまま試合が進み、このままサバが逃げ切るかと思われた83分、クチンシティのコーナーキックは直接、シュートにはつながらなかったものの、ゴール前の混戦からサバのウマレン・バチョクに当たったボールがそのままゴールイン!土壇場でクチンシティが通算スコア1-1に追いつきます。
 90分内で決着をつけたいクチンシティはその後も好機を作りますが、またもやGKダミエン・リムの攻守に阻まれ、試合は延長に入ります。そして延長戦開始直後の94分、右サイドからのサディル・ラムダニのクロスに加賀山泰毅が頭で合わせゴール!通算スコア2-1とサバが再び、リードを奪います。クチンシティはその後もジョセフ・カラン・ティー、アイルトン・フェレイラが好機を生かせず、試合はこのまま終了し、加賀山選手の今季通算4ゴール目となるマレーシアカップ初ゴールが決勝点となり、サバが準決勝を決めています。
 クラブ史上初のベスト4進出を逃したクチンシティですが、スーパーリーグ12位のペナンを破り、同3位のサバとも接戦を繰り広げ、来季昇格するスーパーリーグでも堂々と渡り合えることを証明しました。今季限りで退任を発表していたイルファン・バクティ監督は、来季も指揮を取るという報道も出ており、来季のスーパーリーグでのクチンシティの活躍が楽しみです。
  クチンシティの谷川由来選手、サバの加賀山泰毅選手はいずれも先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022準々決勝 2NDレグ
2022年11月11日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 5-0 クランタン(通算スコア:JDT 8-0 クランタン)
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ3(12分、34分、37分)、シャーミ・サファリ(40分)、ナズミ・ファイズ(45+1分)
🟨JDT(1):ナチョ・インサ
🟨クランタン(3):ムハイミン・イズディン・アスリ、シャフィク・アル=ハフィズ、ズルファーミ・アブドル・ハディ
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
 ファストレグでは、スーパーリーグ覇者のJDTがプレミアリーグ2位のクランタンを3-0で破っており、このセカンドレグではクランタンがホームのJDTを相手に、意地を見せられるかどうかだけが注目でした。
 JDTのエクトル・ビドリオ監督は、マレーシアカップ1回戦のPJシティ戦、そしてクランタンとの準々決勝ファーストレグと1度として同じ先発XIを起用していませんが、この試合でも過去3試合とは異なる先発XIを起用、しかも、この試合も含め4試合全てに先発した選手は1人もいません。しかし誰が先発しても今季のJDTは強い!この試合もJDTのエース、ベルグソン・ダ・シルヴァが前半だけでハットトリックを達成。ちなみにベルグソン選手はリーグ戦で29ゴール、FAカップで4ゴール、また今季のACLで6ゴールを挙げており、マレーシアカップはここまで5ゴールと今季通算44ゴール挙げ、準決2試合、そして決勝まで進めば年間50ゴールも見えてきます。JDTはさらにシャーミ・サファリ、ファイズ・ナズミもゴールを決めており、前半で5-0としたJDTが、後半は今季出場機会が少なかった選手を起用する余裕を見せ、通算スコア8-0でクランタンを粉砕しています。
 クランタンのリザル・ザムベリ・ヤハヤ監督にとっては、屈辱的な結果となりましたが、ノリザム・トゥキマン オーナーは、来季昇格するスーパーリーグに向けて、新監督を起用することを既に明らかにしており、まだ2年契約が残るリザル・ザムベリ監督は来季もコーチとして残るのかは未定です。
 クランタンの原健太選手は後半から出場して、試合終了までプレーしています。

マレーシアカップ2022準々決勝 2NDレグ
2022年11月12日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 2-2 スランゴール
⚽️ヌグリスンビラン:マテウス・アウヴェス(25分)、ザクアン・アドハ(45+1分)
⚽️スランゴール:カイオン(10分)、ヤザン・アル=アラブ(45分)
🟨ヌグリスンビラン(2):マテウス・アウヴェス、クザイミ・ピー、
🟨スランゴール(1):バハー・アブドッラフマーン
🟥ヌグリスンビラン(1):ズカイリ・ズルキプリ
MOM:シーハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)
 スーパーリーグ4位のヌグリスンビランが、同5位のスランゴールをホームに迎えたセカンドレグは2-2の引き分けに終わったものの、ファーストレグで2-0と勝利していたスランゴールが通算スコアを4-2として、準決勝進出を決めています。
 試合はスランゴールがカイオンのゴールで先制するものの、ヌグリスンビランも相手ペナルティエリア内でザムリ・ラムリが倒されていたPKをマテウス・アウヴェスが決めて、すぐさま同点に追いつきます。その後、スランゴールも45分にゴール前の混戦から出たクリアボールをヤザン・アル=アラブが巧みなボレーシュートでゴールを決めて、再びリードを奪います。しかし、ヌグリスンビランも、サクアン・アドハが前半ロスタイムにゴールを決め、前半は2-2で終了します。
 その後は両チームともゴールがなく、試合は2-2で引き分けに終わり、ファーストレグのとの通算成績を4-2としたスランゴールが準決勝進出を決めています。
 ヌグリスンビランにとって痛かったのは、センターバックとしての守備だけでなく、コーナーキックやゴール付近でのセットプレーではその長身を生かした攻撃参加が脅威となるエロルド・グロンが、ファーストレグで出されたレッドカードによりこの試合は出場停止となっていたこと。ヌグリスンビランのK・デヴァン監督は、点を取らなければならなかったこともあり、ファーストレグの5-3-2から、この試合では3-4-3にシステム変更するなど、苦肉の策でこの試合に臨みました。また、試合終盤の81分にズカイリ・ズルキプリがダニアル・アスリを踏みつけて一発レッドで退場なったことも痛かった!10人になったヌグリスンビランにはスランゴール相手にゴールを挙げる力は残っておらず、ベスト8で敗退しています。またスランゴールはタン・チェンホー監督就任以来の無敗記録を8に伸ばしています。

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月12日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 3-1 KLシティ(通算スコア:トレンガヌ 4-1 KLシティ)
⚽️トレンガヌ:マヌエル・オット(22分)、チェチェ・キプレ(63分)、クパー・シャーマン(89分)
⚽️KLシティ:ハキミ・アジム・ロスリ(45+1分)
🟨トレンガヌ(0)
🟨KLシティ(4):ジャンカルロ・ガリフオコ、アクラム・マヒナン、パウロ・ジョズエ
MOM:ファイサル・ハリム(トレンガヌ)
 ファーストレグを1-0で勝利していたスーパーリーグ2位のトレンガヌが、セカンドレグでも同5位で昨季のマレーシアカップ覇者、KLシティを破り、準決勝進出を決めています。
 マヌエル・オットのゴールで先制を許したKLシティは、前半終了間際に体調不良のロメル・モラレスに代わって先発したハキミ・アジム・ロスリのゴールで通算スコアを再び1点差とします。
 しかし、後半に入ると攻撃力の差が明らかになり、エース不在のKLシティに対して、63分にはtyチェ・キプレが、そして89分にはクパー・シャーマンがマレーシアカップ4試合で7ゴール目となるゴールを決めて、KLシティを突き放しています。がホームに迎えた試合は、1回戦2試合で5ゴールを挙げたトレンガヌのクパー・シャーマンがゴールを決め、トレンガヌが1-0で勝利しています。
 準決勝進出を決めたトレンガヌですが、この試合後の記者会見では、今月末に契約が切れるナフジ・ザイン監督が契約延長のオファーレターをクラブの経営陣からではなく、練習の際にキットマン経由で受け取ったことを認めています。クラブが設定した今季のKPI(重要業績評価指標)を達成したにもかかわらず、来季の契約内容についての話し合いの席も持たれなかったことも明らかにし、クラブには契約延長の可否を決める権利も、その伝達方法の選択の権利もあるとしながらも、過去3年間の自身の貢献が評価されているとは感じられないと述べたナフジ監督は、契約延長を受けるかどうかの返答は、近々クラブに対して行うと述べています。なお、ナフジ監督には来季のクダ監督就任の噂も出ており、リーグ2位監督が移籍すれば、スーパーリーグの勢力図が大きく変わる可能性があります。