2月11日のニュース
今季のスーパーリーグ公式球がORBITA MFL1に決定
FAカップ1回戦および2回戦の組み合わせ発表-JDTは初戦で鈴木ブルーノ選手所属のPDRM FCと対戦
3月4日開幕のM3リーグの今季日程が発表

今季のスーパーリーグ公式球がORBITA MFL1に決定

マレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、今季のリーグ公式球にプーマ社のORBITA MFL1が採用されたことを公式サイトで発表しています。このORBITA MFL1はスーパーリーグ公式戦の他、マレーシアカップやFAカップなど今季MFLが主催するすべての公式戦で使用されるということです。

プーマ社のORBITAは、スペインのラ・リガやイタリアのセリエA、そして英国2部EFLチャンピオンシップなどでも採用されているボールです。なおMFLは一昨季、昨季にもプーマ社のMFL Accelerate 21.1 Proをリーグ公式球に採用しています。

FAカップ1回戦および2回戦の組み合わせ発表-JDTは初戦で鈴木ブルーノ選手所属のPDRM FCと対戦

今季のFAカップの1回戦と2回戦の組み合わせ抽選が行われ、昨季優勝のジョホール・ダルル・タジム(JDT)に加え、スーパーリーグ2位のトレンガヌFC以下、サバFC、ヌグリスンビランFC、スランゴールFC、KLシティFC、そして昨季の2部プレミアリーグで2位のクランタンFCと3位のクチンシティFCの合計8チームはシードされています。

このシードされた8チームは2回戦から登場する一方で、昨季のスーパーリーグの下位3チームのスリ・パハンFC、クダ・ダルル・アマンFC、ペナンFCと、プレミアリーグの会3チームのクランタン・ユナイテッドFC、PDRM FC、ペラFC、そして3部M3リーグの6チームの合計12チームはは1回戦から登場します。しかしなぜか、このうち4チームは1回戦が不戦勝となっており、1回戦から出場するPDRM FCは不戦勝で2回戦に進みJDTとの対戦が決まっており、同様に3部のPIB シャー・アラムFCはヌグリスンビランFCと、3部のマラッカFCはトレンガヌFCと、そしてクランタン・ユナイテッドFCはサバFCと2回戦での対戦が決まっています。

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FAカップは言わば日本の天皇杯にあたる全国規模の大会で、かつては4部リーグのチームにまで門戸が開かれていましたが、新型コロナ禍で2年間中止となり、3年ぶりに再開された昨季は3部リーグ以下ではシーズンそのものが中止されていたため1部と2部のチームのみが出場しました。しかし蓋を開けてみれば1部スーパーリーグの14チームと3部14チーム中6チームという何とも中途半端な大会となっています。しかも1回戦不戦勝の4チームを作るくらいなら、3部からもう4チーム出場させて不戦敗を無しとするとか、或いは3部の全14チームの4チームは予選ラウンドから、残る10チームを1回戦から出場させるなどのフォーマットも考えられたはず。今季は2部が休止されているため入れ替え戦がない3部のチームにとってこのFAカップは、この国のトップリーグのクラブとガチで試合ができる貴重な機会かと思うのですが、MFLも3部以下を統括するAFLもそういった発想はないようです。

3月4日開幕のM3リーグの今季日程が発表

Mリーグ3部にあたるM3リーグ以下を統括するアマチュアフットボールリーグAFLは、今季第3節までの日程を公式Facebookで発表しています。

昨季までの1部スーパーリーグと2部プレミアリーグが今季から統合、改編されて「新」スーパーリーグとなった結果、今季は2部プレミアリーグが中止となり、このM3リーグが実質2部リーグとなっています。またトップリーグであるプレミアリーグの改編に合わせて、これまでここのチームの判断に任されていたプロ選手との契約は、今季からは全チームに最低10名の選手とプロ契約を結ぶことを義務付けるなど、M3リーグもセミプロリーグ化へと舵を切っています。.

プロ選手との契約の義務化は、M3リーグ各クラブがプロクラブとして運営されるための経験を積ませるためだと説明するAFLのユソフ・マハディ会長は、実質国内2部リーグであるM3リーグの各クラブが今後トップリーグへ昇格するための準備として、この規則改変が必要だと説明しています。

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昨季スーパーリーグでプレーしたPJシティFCやプレミアリーグでプレーしたUITM FCが今季のスーパーリーグ参加を取りやめた他、給料未払い問題が未解決を理由にスーパーリーグでプレーするためのクラブライセンスが交付されなかったマラッカ・ユナイテッドFCとサラワク・ユナイテッドFCもスーパーリーグを離脱し、昨季の1部と2部で合わせて4つのプロクラブがスーパーリーグから撤退しています。これにより行き場を失った選手たちにとっても、M3リーグのセミプロリーグ化は朗報となっています。さらに今季のM3リーグには、ノーシャルル・イドラン・タラハやハフィズル・ハキムといった元マレーシア代表を揃え、監督には前述のPJシティFCで昨季の監督を務めたP・マニアム氏を起用するハリニFTなど、積極的な補強を行うチームあり、従来のM3リーグとは全く別物になりそうです。

1月6日のニュース
帰化選手リー・タックがクダと契約もスリ・パハンサポーターの怒りを買う
ムルデカ大会の10年ぶり開催が決定

東南アジアサッカー連盟選手権三菱電機カップ2022では、シンガポールに快勝し、2大会ぶりの準決勝進出を決めたマレーシア。今週土曜日1月9日にブキ・ジャリル競技場で行われる準決勝ファーストレグのチケットが完売したことをマレーシアサッカー協会FAMが公式SNSで告知しています。東南アジアでも最大級の観客収容数を誇るブキ・ジャリル国立競技場の収容人数は8万7000名ですが、FAMのSNSでは5万9000枚の時点で札止めとなっています。
 タイ戦の6日後の1月15日には、台湾出身でいわゆるマンドポップのスーパースター、ジェイ・チョウがこのブキ・ジャリル国立競技場でコンサートを行いますが、そのためのステージ設営におよそ2万1000人分の座席があるエリアが必要であることから、今週末のタイ戦のチケットは5万9000枚飲み販売となっているとFAMは説明しています。
 これを受けてチケットが入手できなかったファンの中には、ジェイ・チュウのSNSに否定的なコメントを投稿するといった全く筋違いな行動に出る者もいるようです。

帰化選手リー・タックがクダと契約もスリ・パハンサポーターの怒りを買う

英国出身のリー・タックは、マレーシア国内で5年以上継続してプレーし、FIFAの帰化選手としての登録要件を満たしたことから、所属するMリーグ1部スーパーリーグのスリ・パハンの支援もあり、昨年マレーシア国籍を取得しています。
 タック選手は帰化申請中だった昨季のリーグ戦ではスリ・パハンの外国籍選手枠が埋まっていたこともあり、出場機会がありませんでしたが、マレーシア国籍取得と同時にマレーシア人選手としての登録が可能となったリーグ戦終了後のマレーシアカップでは一回戦のトレンガヌ戦でゴールを挙げるなど活躍しています。
 さらにマレーシア国籍取得によりマレーシア代表でのプレーが可能になると、キム・パンゴン監督は早速、東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップに出場する代表に招集しています。
 国籍取得からは順風満帆に見えるタック選手ですが、現在、スリ・パハンサポーターの怒りを買っていると、英字紙スターが報じています。
 その理由はタック選手がスリ・パハンではなく、同じスーパーリーグのクダと契約をしたことにあります。スリ・パハンに在籍していた際には、クラブの支援によりマレーシア国籍を取得したにもかかわらず、クダと契約したことはスリ・パハンに対して後足で砂をかけるような行為であるというのが非難の内容です。
 この非難に対してタック選手は、スリ・パハンで今季もプレーしたかったものの、下交渉で同意できず、結局はクラブからの契約オファーがなかったことが、移籍を決断した理由だったと話しています。給料の削減を自ら申し出たにもかかわらず、正式なオファーがなく、将来が不安になったと話す話すタック選手は、今ではクダへの移籍は正しい決断だったとスターの取材に答えています。
 スリ・パハンは以前にもマレーシア国籍取得を支援したガンビア出身のムハマドゥ・スマレー(現JDT)にも「逃げられて」います。

ムルデカ大会の10年ぶり開催が決定

英字紙ニューストレイトタイムズは、今年2023年がマレーシアサッカー協会FAMの設立90周年となることから、この記念行事の一つとして、今年10月にムルデカ大会が10年ぶりに開催されるというFAMのノー・アズマン事務局長の発言を報じています。
 マレーシアの独立(マレーシア語でムルデカ)を記念し、1957年に始まったこのムルデカ大会は、これまでに41回開催されていますが、近年はマレーシア代表が弱くなったこともあり、2014年大会を最後に開催されていませんでした。
 ノー・アズマン事務局長は、このムルデカ大会を今年年末あるいは来年初頭に開催されるAFC選手権アジアカップ2023(カタール)に向けた準備の一環として開催する予定であると話しています。

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1957年に始まったこの大会は東南アジア最古の国際親善大会(およそ10年後にはタイでキングスカップが始まっています)として、北米を除く世界各地のクラブチームや代表チームが出場しています。第1回大会(1957年)の出場チームを見ると、マラヤ連邦の他は香港リーグ選抜、カンボジア、南ベトナム、シンガポール、インドネシア、タイ、ビルマとなっています。南ベトナム(現ベトナム)、ビルマ(現ミャンマー)といった国名に歴史を感じます。
 ちなみに日本もこのムルデカ大会に何度も出場しており、初めてムルデカ大会に出場したのは 1959年の第3回大会で、この時は1回戦で香港リーグ選抜と引き分け、再戦では2-5で敗れて2回戦に進めずに終わっています。日本代表の試合結果が掲載されている日本サッカー協会JFAのホームページによれば、敗れた香港戦での2ゴールはいずれも当時早稲田大学2年生だった(!)川淵三郎初代Jリーグチェアマンが決めています。
 ムルデカ大会での日本の最高成績は1963年に開催された第7回大会と1976年に開催されたでの準優勝です。いずれも7チームの1回戦総当たり方式で開催された両大会で、第7回大会は6試合で4勝1分1敗、優勝した台湾に0-2で敗れ、第20回大会では6試合で2勝4分0敗、決勝戦では優勝したマレーシアに0-2で敗れています。
 また日本が最後にムルデカ大会に出場したのは1986年の第30回大会でした。グループステージではチェコのSKシグマ・オロモウツに敗れてグループステージB組2位にとなった日本は、準決勝でA組1位のマレーシアと対戦し1-2で敗れています。ちなみにこの試合で日本のゴールを決めたのが「アジアの核弾頭」(ちょっと古いか)原博美選手で、マレーシアの2ゴールはMリーグ1部スーパーリーグで昨季ペナンの監督を務めたザイナル・アビディン・ハサンと同じスーパーリーグのスリ・パハンで監督を務めたドラー・サレーでした。日本は1985年から名称が変わったキリンカップを使って自国開催大会での代表強化に舵を切りつつあったことから、この大会を最後にムルデカ大会には出場していません。
 前述の川淵三郎氏や原博美氏の他、奥寺康彦選手らも出場しているこの大会は、車範根(チャ・ブンクン、韓国)やフセイン・サイード(イラク)などアジアのスーパースターも多く出場した大会でもありました。

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ちなみに私が初めて観戦したムルデカ大会が1988年の第32回大会でした。この32回大会の大会プログラムの表紙の写真をお見せしますが、タバコブランドのダンヒルが大会のスポンサーという、今では考えられない、古き良き時代だったことがわかります。


この32回大会の日程と出場国は以下の通りでした。

今では考えられませんが、ムルデカ大会やキリンカップなどの当時の国際大会は、ナショナルチームとクラブチームが混在する大会でした。この第32回大会も上の出場国中、オーストリアはFCチロル・インスブルック(この記事を書くために調べたところ、2002年に破産し、解散していました。)、ドイツはハンブルガーSVが出場しています。下がハンブルガーSVの紹介ページですが、マンフレート・カルツや、後にJリーグ浦和でプレーするウーベ・バイン、当時はまだ20歳のオリバー・ビアホフなどの名前が見えるのが興味深いです。

そしてこの大会のマレーシア代表のメンバー。なお、チームマネージャは当時のパハン州皇太子、現在はパハン州のスルタン(州王)で現在のマレーシア国王でもあるアブドラ国王です。


そんなムルデカ大会ですが、1990年代に入りアジアの各国代表がFIFAワールドカップやAFCアジアカップの予選などに注力するようになると、1957年の第1回から毎年開れた大会が隔年開催となり、またホストのマレーシア代表が弱くなったこともあり、参加するチームも東南アジアの代表チーム、さらにA代表ではなくU23代表の大会になるなど大会の「格」も下がり、2013年にタイ選抜、ミャンマー、シンガポールを招いて行われた第41回大会を最後に開かれていませんでした。(この記事は昨年8月31日の記事を一部再構成して使っています。)

 

1月2日のニュース
ボラセパマレーシアJPが選ぶマレーシアサッカー2022年重大ニュース-国内リーグとクラブ編

本来なら昨年末までにアップしておくべき記事でしたが、2023年につながる話題もあるのであえて新年早々の記事として掲載します。まずは国内リーグとクラブ編からスタートです。

ジョホールの一強時代はいつまで続くのか-ジョホールが国内リーグ9連覇と国内三冠達成に加えセカンドチームも2部で優勝

2022年シーズンも圧倒的な力を見せたジョホール・ダルル・タジム(JDT)が国内リーグ9連覇を達成、さらにFAカップではトレンガヌを、マレーシアカップではスランゴールを下して優勝し、クラブ史上初の国内三冠にも輝いています。

先月発表された2022年マレーシアリーグアウォードでも最優秀DF、最優秀MF、最優秀FW、そして年間MVPがいずれもJDTから選出されていることからもわかるように、JDTの主力選手は各ポジションで国内トップクラスの選手が集まっています。しかも、そのほぼ全員が代表チームでも主力であることから、JDTはいわばマレーシア代表に外国籍選手が加わったチーム編成。そりゃぁ強いに決まっています。しかも外国籍選手もリーグ新記録となる29ゴール、カップ戦なども合わせれば41ゴールと驚異的な数字を記録したベルグソン・ダ・シルヴァを筆頭にこれまた強力な布陣を揃えており、9連覇は順当な結果でもあります。オーナーでジョホール州の皇太子でもあるトゥンク・イスマイル殿下は、国内の有力選手を今後も獲得していくことを明言しており、2022年シーズンの最優秀GKを受賞した代表GKのシーハン・ハズミは今季所属したヌグリスンビランとの契約を更新していないことから、JDT入りが噂されています。
 また2部プレミアリーグではJDTのセカンドチーム、JDT IIが2位に勝点差5をつけて優勝しています。トップチームで出場機会のないマレーシア代表の選手がプレーし、外国籍選手も自国に戻れば代表チームでプレーする、他のクラブならトップチーム入りも可能なレベルの選手が在籍する陣容は、プレミアリーグでも頭ひとつ抜けています。ここから来季はトップチーム入りする若手もおり、JDTの時代はまだまだ続きそうです。

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代表チームのクラブ化(JDTの場合はクラブの代表チーム化ですが)は代表チーム強化の近道ですが、それが諸刃の剣でもあることが露呈したのが、現在開催中の東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022です。この大会はFIFA国際マッチカレンダー期間外であることから、この大会に出場する代表チームに招集された選手のリリースは各クラブには義務付けられていませんが、これを理由にJDTから代表候補合宿に招集された13名(この数字もすごいですが)中、招集に応じたのはわずか2名で、残る11名が辞退する事態が起こっています。リーグ戦に加えて優勝したFAカップとマレーシアカップ、そして後述しますがACLと国内の他のどのクラブよりも試合をしているJDTの選手にとって、国内日程が全て終了した11月末から、来年2月に開幕する2023年シーズンに向けてトレーニングが始まるまでの期間は、休養やケガの治療などに充てる貴重なオフシーズンです。また、選手は機械ではない、というイスマイル殿下の意見は正論中の正論ですが、その結果、マレーシア代表はベストな布陣を組めずに三菱電機カップに臨まざるを得なくなっています。

Mリーグ1部と2部を統合する大改編発表-しかし当初の18チーム編成が結局15チームに

昨年7月に発表されたリーグ改編ではFIFAの指導のもと、国内リーグ戦の試合数増を目的として、現行の1部スーパーリーグ12チームと2部プレミアリーグの6チームを合わせた「新スーパーリーグ」を2023年に18チームで開催し、その一方でプレミアリーグは一時休止となることが発表されました。
 今年2月24日に開幕が予定されている新スーパーリーグでは、各クラブの登録選手は従来の30名から32名に拡大し、外国籍選手枠もトップチーム5名、セカンドチーム4名だったものが、アジア(AFC)枠1名、東南アジア(AFF)枠1名を含めた9名に改定され、試合当日はアジア枠1名、東南アジア枠1名を含めた6名がのベンチ入りが可能になっています。(ただしピッチ上ではこれまで通りアジア枠、東南アジア枠を含めた最大5名)
 また新たにU23リーグに当たる「リザーブリーグ」を新設し、現行のプレミアリーグでプレーしていたJDT、トレンガヌ、JDTのセカンドチームに加え、各クラブはこのリザーブリーグにもチームを出場させることを義務付けることが決まっています。また今季プレミアリーグでプレーしたFAM-MSNプロジェクトはこのリザーブリーグ参加が決まっています。こちらは登録選手の上限は30名ですが、その内、23歳以上の選手は外国籍選手を含めた最大で5名が登録可能、また23歳以上の選手はピッチ上では外国籍選手2名を含めた最大で3名がプレー可能となっています。

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スーパーリーグが拡大することで、2023年シーズンは年間34試合と昨季の22試合から試合数が50%以上増える予定でしたが、この拡大案が発表された後にどんでん返しが待っていました。スーパーリーグ10位のマラッカ・ユナイテッドと11位のサラワク・ユナイテッドの両クラブに対して、国内クラブライセンス交付を司る第一審機関FIBがクラブ経営資金に関する情報が不十分だとして申請を却下、さらに両クラブによる再審査の要請も同様の理由で却下されたことから、両クラブは今季のスーパーリーグ参加資格を失っています。これにより今季のスーパーリーグは当初、予定されていた18チームから16チームへと減少しました。サラワク、マラッカの両チームは昨季中も給料未払いが起こるなど、運営に問題があるクラブだったことから、この両チームへの国内クラブライセンス不交付は、時として身内に甘いマレーシアサッカー界を考えると大英断であり、評価されるべき決定です。
 しかしこれだけではありませんでした。今度は昨季9位のPJシティがリーグ撤退を表明しました。PJシティは成績は9位であったものの、外国籍選手が1人もおらず、他のクラブに比べるとマレーシア人選手が出場機会を多く得られることから、チームからはFWダレン・ロック、MF V・ルヴェンティラン、GKアラムラー・アル=ハフィズといった代表選手が育つなど、マレーシアサッカーへの貢献度は高いクラブでした。しかし、外国籍枠9名となる今季は、マレーシア人選手のみというクラブの運営方針とリーグ改編の内容が合致しないとして、リーグ撤退を発表しています。これによりさらにチーム数が減ったスーパーリーグは全15チーム、試合数は28試合となり、試合数は3割にも満たないわずか6試合増と、当初の目的が十分果たせない改編となっています。

東マレーシアに本拠地を持つクラブに明暗-サバとクチンシティは大躍進もサラワク・ユナイテッドは3部から出直しへ

2021年シーズンの終盤にマレーシアサッカー協会FAMのテクニカルディレクターからサバの監督へと転身したオン・キムスイ監督の実質1年目となった昨季、1部スーパーリーグのサバは2021年の9位から3位へと大躍進し、今季のAFCカップ出場権を獲得しています。残念だったのはリーグ終盤に失速し、最終節の第22節でも敗れて最後の最後にリーグ2位から3位となってしまったこと。それでも今季加入の加賀山泰毅の貢献もあり、来季はアジアの舞台に挑みます。
 また2部プレミアリーグでは、谷川由来選手が所属するクチンシティがクラブ史上最高位となる3位となりました。前述したように今季からスーパーリーグとプレミアリーグが統合されるため、昨季は1部と2部の入れ替えがありませんでしたが、もし実施されていても、クチンシティは堂々の1部昇格を果たしていたところでした。昨季開幕前には2022年シーズンを最後に退任するとしていた名将イルファン・バクティ監督の今季続投も決定、またMリーグ4年目を迎える谷川由来選手の残留も濃厚のようなので、2019年の入れ替え戦で3部から昇格して以来、わずか3年で1部昇格を果たしたクラブがスーパーリーグで果たしてどのようなプレーを見せてくれるのかに注目です。
 サバ州のコタキナバルを本拠地とするサバ、そしてサラワク州のクチンを本拠地とするクチンシティが東マレーシア(サバ州とサラワク州はクアラルンプールがあるマレー半島とは離れたボルネオ島にあるため、こう呼ばれています。)の明の部分だとすれば、暗に当たるのが、国内クラブライセンスが交付されずスーパーリーグへの参観資格を失ったサラワク・ユナイテッドです。昨季中もE・エラヴァラサン前監督が代表チームのコーチに就任したことで、後任となったB・サティアナタン氏への給料未払いが明らかになっていますが、国内クラブライセンス不交付の直接的な原因は2021年シーズンに在籍した際の給料が未払いとなっていた外国籍選手がFIFAの紛争解決室へこの問題を持ち込み、FIFAによる支払い裁定が下されたにもかかわらず、これを支払わなかったことにあります。
 なおこのサラワク・ユナイテッドは来季は2部プレミアリーグが開催されないため、3部のセミプロリーグ、M3リーグに出場することが決まっています。ちなみにこのサラワク・ユナイテッドはサラワク州サッカー協会も運営に関わる州のトップチームである一方で、同じサラワク州のクチン市を本拠地とするクチンシティは位置的にはその下位となるチームです。言い換えれば東京都サッカー協会が運営するクラブが3部に降格し、世田谷区サッカー協会が運営するクラブが1部に昇格するといった状況です。実はこのサラワク・ユナイテッドは、前身のサラワクFAが2019年の2部と3部の入れ替え戦でこのクチンシティに敗れて3部降格となったところを、当時資金難に苦しんでいた2部でスランゴール州に本拠地があったスランゴール・ユナイテッドを買収して、本拠地をサラワク州に移してサラワク・ユナイテッドと改変するという「寝技」を使って2部に生き残った前歴もありクラブなので、今季の3部スタートは順当と言えば、順当かもしれません。

12月1日のニュース
どこでこんなに差がついた?上田綺世とサファウィ・ラシド(アジア大会のハイライト映像あり)

いよいよ今日はグループステージ突破がかかるスペイン戦ですが、このFIFAワールドカップ2022カタール大会に出場中の日本代表の中には、マレーシアでも名前が知られている選手が少なくありません。他の東南アジア諸国同様、マレーシアでも最も人気があるのは英国プレミアリーグEPLということもあり、そこでプレーする冨安健洋選手や三笘薫選手、またかつて在籍した南野拓実選手や吉田麻也選手、浅野拓磨選手らもEPLファンには知られています。

そんな中、今回のワールドカップのコスタリカ戦で先発した上田綺世選手はEPLではプレーしておらず、今季からベルギー1部のサークル・ブルッヘと地味なチームに所属していますが、マレーシアのコアなサッカーファンからは「マレーシアの前に立ちはだかった侍」として記憶されています。

上田選手がU23日本代表のメンバーとしてU23マレーシア代表と対戦したのは、2018年にインドネシアで開催されたアジア競技大会でした。この大会でU23マレーシア代表はグループステージで韓国やバーレーンと同組になりながら、戦前の予想を覆してグループを1位で通過しました。圧巻だったのは、A代表でもプレーするファン・ヒチャンや、当時既にトットナムに在籍していたソン・フンミンを擁する前回2014年の覇者、韓国を2-1で撃破した試合でした。この試合ではサファウィ・ラシド(ジョホール・ダルル・タジムJDT)が2ゴールを決めて活躍しました。そしてベスト16に進出したマレーシアは、グループステージではベトナムに敗れてグループ2位で勝ち上がってきた日本と対戦。ベトナムに敗れていたことで、マレーシアは韓国に続き日本も撃破できるのでは、と期待が高まりました。

今回のW杯カタール大会参加メンバーでは森保一監督を筆頭に、板倉滉、前田大然、そして当時はまだ大学生だった三笘薫などの選手がプレーするU23日本代表がこの対戦では圧倒的な主導権を握る中、U23マレーシア代表は試合終盤まで善戦し、そしてこのまま延長戦かと思われた88分、自陣のペナルティエリア内でマレーシアのドミニク・タン(現サバFC)が上田綺世選手を倒してPKを与えてしまいます。上田選手が自分で蹴ったPKが決まり、このまま日本が1-0で逃げ切り、今大会、ここまで快進撃を続けてきたマレーシアのベスト8進出の夢が潰えました。また日本はこのまま決勝まで勝ち上がったものの、韓国に延長戦で1-2で敗れ、銀メダルに終わっています。

試合終盤にはエース、サファウィ・ラシド(現JDT)のシュートがゴールポストにあたり、シャフィク・アフマド(現JDT)のヘディングシュートが枠を外れるなどチャンスがなかったわけではありませんでしたが、オン・キムスイ監督(当時、現サバFC監督)率いるチームの挑戦は残り数分を持ち堪えられずに終わってしまいました。それでも日本代表相手に冷や汗をかかせるだけのパフォーマンスは示したマレーシア代表でした。ちなみにこの大会では、決勝まで進出した上田綺世選手は大会通算3ゴールだったのに対し、グループステージで敗れたサファウィ・ラシドは、韓国戦の2ゴールを含めて4ゴールを挙げています。

それから4年。上田綺世選手は、クラブレベルではベルギー1部のサークル・ブルッヘへ移籍し、今季17試合全てに先発出場して7ゴールを挙げています。 また、U23代表からA代表へ昇格し、現在開催中のカタールワールドカップに出場し、コスタリカ戦では先発出場を果たしているのはご存知の通りです。その一方で、サファウィ・ラシドは、順調に代表のエースとなることが期待されたものの、所属するJDTでは同じポジションでアリフ・アイマンが台頭してきたこともあり、この2年間は先発機会が激減しています。2018年、2019年と2年続けてリーグMVPとなり、順調にスターへの道を歩んでいたサファウィ選手ですが、2020年にポルティモネンセへ期限付き移籍したものの、トップチームでの出場機会はなく、1年でJDTに戻りましたが、既にアリフ・アイマンがその穴を埋めるどころか、あまり暑活躍をしていたところから、転落が始まりました。今季は試合出場時間が通算631分、先発出場2試合と出場機会が激減し、直近ではクラブ史上初の国内三冠達成となった今季のマレーシアカップ決勝でも先発はおろか、ベンチ外となるなど、歓喜の瞬間に立ち会うことができませんでした。

国外移籍の成功、不成功で2人の間にこんな差がついてしまったのか。

それでも、サファウィ選手の力はキム・パンゴン監督からの評価が高く、多くの選手(噂では11名とも)がケガや家庭の事情などを理由に代表招集を辞退したJDTからはラマダン・サイフラーと共に、今月末に開幕する東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022出場の代表候補30名に選ばれています。2010年大会以来、優勝から遠ざかっているマレーシアにとっては、出場機会が減っているとは言え、今季4ゴール、6アシストを記録したサファウィ・ラシドの左足からの強烈なシュートは大きな武器です。

三菱電機カップでかつての輝きを見せてJDTの主力に返り咲くのか、それとも出場機会を求めて来季は他のMリーグクラブへ移籍するのか。出場機会が得られれば、実力を示すことができる選手なので、まずは東南アジアの各国代表相手に大暴れしてもらいたいです。

マレーシアカップ2022
準決勝 2NDレグ結果とハイライト映像(1)

一昨日行われたマレーシア下院選挙では、97歳のマハティール元首相が1969年以来となる落選し「時代の終わり」といった報道も出る一方で、野党連合「希望同盟」、与党連合「国民連盟」そして前回選挙では国民連盟を支えた「国民戦線」の三つ巴の争いの中、いずれの政党連合も単独で過半数の112議席を確保することができず、野党連合と与党連合がそれぞれ連立政権に向けた交渉を進めていると報じられています。

この総選挙の影響を受け、一部日程が変更になったマレーシアカップは準決勝のセカンドレグ、JDT対サバが11月20日に行われています。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準決勝 2NDレグ
2022年11月20日@スルタン・イスマイルスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 3-1 サバ(通算スコア:JDT 4-1 サバ)
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ(35分)、フェルナンド・フォレスティエリ(41分)、シャフィク・アフマド
⚽️サバ:加賀山泰毅(47分)
🟨JDT(1):ナズミ・ファイズ
🟨サバ(1):ジェラルド・ガディト
🟥サバ:ジェラルド・ガディト
MOM:ダミエン・リム(サバ)
 選手層の厚さの差か。
 リーグ戦終了後に行われるマレーシアカップは,準決勝となると各チームともシーズンの疲れも出てきます。ファーストレグで敗れているサバは,この試合ではMFバドロル・バクティアルやDFリザル・ガザリをケガで欠いた上、控えの選手がGK1名をふくめて5名と満身創痍の状態で臨みました。一方のジョホール・ダルル・タジムJDTは、ケガのDFシェーン・ローリーに代わり起用されてきたDFフェロズ・バハルディンが準決勝ファーストレグのレッドカードで、またMFレアンドロ・ヴァレスケスも警告累積でいずれもこの試合出場停止と、やはりベストメンバーで臨むことができません。しかしそこは選手層が厚いJDT。主力選手欠場を全く感じさせないどころか、試合開始から攻勢をかけ、前半は大半の時間がサバのサイドでプレーされる状況でした。
 しかしファーストレグでMOMとなったサバのGKダミエン・リムを中心にサバDF陣がこの試合でもJDTの前に立ちはだかり、ダミエン・リム自身も好セーブを連発して、JDTの猛攻を防ぎます。しかしサバの集中力が一瞬切れた35分、ラベル・コービン=オングの左からのクロスに完全にフリーで飛び込んだベルグソン・ダ・シルヴァが頭で合わせてゴールを決め、JDTが先制します。このゴールでベルグソン選手は今季のマレーシアカップで6ゴール目となり、ACLも合わせると今季45ゴールとまさにエースの活躍です。
 さらに41分にはアフィク・ファザイルがDFラインの裏へ出したパスを受けたアリフ・アイマンが横にいたフェルナンド・フォレスティエリに流すと、これをフォレスティエリがゴールし、JDTはリードを2点に広げ、前半を終了します。
 後半に入るとサバも反撃し、ペナルティーエリアの外から放ったパク・タエスーのシュートをJDTのGKファリザル・マーリアスが弾くと、これに詰めていた加賀山泰毅選手がこのこぼれ球を押し込んで1点差に迫ります。
 ファーストレグとの通算スコアが2点差となったJDTは、サファウィ・ラシド、アキヤ・ラシドを投入すると、ロスタイムの90+11分には左からドリブルでペナルティエリアへ持ち込んだアキヤ・ラシドをサバのジェラルド・ガディトが倒してPKを獲得しますが、サファウィ・ラシドがこれをゴールポストの上に外してしまいます。その直後の90+4分には、ジェラルド・ガディトが再び、アキヤ・ラシドを倒して2枚目のイエローで退場となると、90+5分には甘くなったDFのマークをかわしてシャフィク・アフマドがこの試合3点目となるゴールを決めて万事休す。JDTは昨季に続き、2季連続となるマレーシアカップ決勝進出を果たしています。
 ベストの布陣が組めず敗れたサバは、DFイルファン・ザカリア(KLシティ)や来季のスーパーリーグ撤退を発表したPJシティで今季マレーシア人選手最多ゴールを挙げた代表FWダレン・ロック、そして同じくPJシティのFW、S・クマーランの獲得に動いているという報道もあり、早くも来季に向けて動き出しているようです。
 サバの加賀山泰毅選手はは先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022
準々決勝2ndレグ結果とハイライト映像

 TMマレーシアカップ2022の準々決勝4試合のセカンドレグが11月12日と13日に行われ・いよいよベスト4が決定しています。準決勝進出を決めたのは、リーグ優勝、FAカップ優勝に続く三冠を目指すジョホール・ダルル・タジムJDT、リーグ2位のトレンガヌ、リーグ3位のサバ、そしてリーグ5位のスランゴールの4チームで、準決勝のカードはJDT対サバ、トレンガヌ対スランゴールと決まりました。なお、マレーシアカップの優勝チームには来季のAFCカップ出場権が与えられますが、スーパーリーグ1位として既にACL出場を決めているJDT、そしてスーパーリーグ2位となったことでAFCカップ出場権を獲得しているトレンガヌが優勝した場合には、スーパーリーグ3位のサバがAFCカップ出場権を獲得することが決まっています。
 なお準決勝ファーストレグは11月20日と21日に予定されています。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準々決勝 2NDレグ
2022年11月11日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 1-1 クチンシティ(通算スコア:サバ 2-1 クチンシティ)
⚽️サバ:加賀山泰毅(94分)
⚽️クチンシティ:ウマレン・バチョク(83分OG)
🟨サバ(1):イルファン・ファザイル、アルト・リナス、ハナフィ・トウキョウ
🟨クチンシティ(1):アリフ・ハサン
MOM:加賀山泰毅(サバ)
 いずれも東マレーシア(ボルネオ島)に本拠地を持つ両チームの「ボルネオダービー」は、ファーストレグではMリーグ1部スーパーリーグ3位のサバが2部プレミアリーグ3位のクチンシティに1-0で勝利していますが、内容はほぼ互角で、セカンドレグでも接戦が予想されました。サバには加賀山泰毅、クチンシティには1回戦のペナン戦ではMOMにも選ばれている谷川由来選手が在籍しており、日本人選手対決ともなったこの試合は、豪雨で試合開始が30分遅れた上、ピッチに水が浮く最悪のコンディションの中で始まりました。
 試合はアウェイのクチンシティが試合開始からホームのサバを圧倒しましたが、クチンシティのシュートがゴールの枠を捉えることができず、また枠内に飛んだシュートには絶好調のサバGKダミエン・リムが立ちはだかり、得点を挙げることができません。またクチンシティのGKシャイフル・ワジジもこうセーブを見せ、前半は0-0で終了します。
 後半に入っても、クチンシティはサバゴールを破ることができないまま試合が進み、このままサバが逃げ切るかと思われた83分、クチンシティのコーナーキックは直接、シュートにはつながらなかったものの、ゴール前の混戦からサバのウマレン・バチョクに当たったボールがそのままゴールイン!土壇場でクチンシティが通算スコア1-1に追いつきます。
 90分内で決着をつけたいクチンシティはその後も好機を作りますが、またもやGKダミエン・リムの攻守に阻まれ、試合は延長に入ります。そして延長戦開始直後の94分、右サイドからのサディル・ラムダニのクロスに加賀山泰毅が頭で合わせゴール!通算スコア2-1とサバが再び、リードを奪います。クチンシティはその後もジョセフ・カラン・ティー、アイルトン・フェレイラが好機を生かせず、試合はこのまま終了し、加賀山選手の今季通算4ゴール目となるマレーシアカップ初ゴールが決勝点となり、サバが準決勝を決めています。
 クラブ史上初のベスト4進出を逃したクチンシティですが、スーパーリーグ12位のペナンを破り、同3位のサバとも接戦を繰り広げ、来季昇格するスーパーリーグでも堂々と渡り合えることを証明しました。今季限りで退任を発表していたイルファン・バクティ監督は、来季も指揮を取るという報道も出ており、来季のスーパーリーグでのクチンシティの活躍が楽しみです。
  クチンシティの谷川由来選手、サバの加賀山泰毅選手はいずれも先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022準々決勝 2NDレグ
2022年11月11日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 5-0 クランタン(通算スコア:JDT 8-0 クランタン)
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ3(12分、34分、37分)、シャーミ・サファリ(40分)、ナズミ・ファイズ(45+1分)
🟨JDT(1):ナチョ・インサ
🟨クランタン(3):ムハイミン・イズディン・アスリ、シャフィク・アル=ハフィズ、ズルファーミ・アブドル・ハディ
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
 ファストレグでは、スーパーリーグ覇者のJDTがプレミアリーグ2位のクランタンを3-0で破っており、このセカンドレグではクランタンがホームのJDTを相手に、意地を見せられるかどうかだけが注目でした。
 JDTのエクトル・ビドリオ監督は、マレーシアカップ1回戦のPJシティ戦、そしてクランタンとの準々決勝ファーストレグと1度として同じ先発XIを起用していませんが、この試合でも過去3試合とは異なる先発XIを起用、しかも、この試合も含め4試合全てに先発した選手は1人もいません。しかし誰が先発しても今季のJDTは強い!この試合もJDTのエース、ベルグソン・ダ・シルヴァが前半だけでハットトリックを達成。ちなみにベルグソン選手はリーグ戦で29ゴール、FAカップで4ゴール、また今季のACLで6ゴールを挙げており、マレーシアカップはここまで5ゴールと今季通算44ゴール挙げ、準決2試合、そして決勝まで進めば年間50ゴールも見えてきます。JDTはさらにシャーミ・サファリ、ファイズ・ナズミもゴールを決めており、前半で5-0としたJDTが、後半は今季出場機会が少なかった選手を起用する余裕を見せ、通算スコア8-0でクランタンを粉砕しています。
 クランタンのリザル・ザムベリ・ヤハヤ監督にとっては、屈辱的な結果となりましたが、ノリザム・トゥキマン オーナーは、来季昇格するスーパーリーグに向けて、新監督を起用することを既に明らかにしており、まだ2年契約が残るリザル・ザムベリ監督は来季もコーチとして残るのかは未定です。
 クランタンの原健太選手は後半から出場して、試合終了までプレーしています。

マレーシアカップ2022準々決勝 2NDレグ
2022年11月12日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 2-2 スランゴール
⚽️ヌグリスンビラン:マテウス・アウヴェス(25分)、ザクアン・アドハ(45+1分)
⚽️スランゴール:カイオン(10分)、ヤザン・アル=アラブ(45分)
🟨ヌグリスンビラン(2):マテウス・アウヴェス、クザイミ・ピー、
🟨スランゴール(1):バハー・アブドッラフマーン
🟥ヌグリスンビラン(1):ズカイリ・ズルキプリ
MOM:シーハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)
 スーパーリーグ4位のヌグリスンビランが、同5位のスランゴールをホームに迎えたセカンドレグは2-2の引き分けに終わったものの、ファーストレグで2-0と勝利していたスランゴールが通算スコアを4-2として、準決勝進出を決めています。
 試合はスランゴールがカイオンのゴールで先制するものの、ヌグリスンビランも相手ペナルティエリア内でザムリ・ラムリが倒されていたPKをマテウス・アウヴェスが決めて、すぐさま同点に追いつきます。その後、スランゴールも45分にゴール前の混戦から出たクリアボールをヤザン・アル=アラブが巧みなボレーシュートでゴールを決めて、再びリードを奪います。しかし、ヌグリスンビランも、サクアン・アドハが前半ロスタイムにゴールを決め、前半は2-2で終了します。
 その後は両チームともゴールがなく、試合は2-2で引き分けに終わり、ファーストレグのとの通算成績を4-2としたスランゴールが準決勝進出を決めています。
 ヌグリスンビランにとって痛かったのは、センターバックとしての守備だけでなく、コーナーキックやゴール付近でのセットプレーではその長身を生かした攻撃参加が脅威となるエロルド・グロンが、ファーストレグで出されたレッドカードによりこの試合は出場停止となっていたこと。ヌグリスンビランのK・デヴァン監督は、点を取らなければならなかったこともあり、ファーストレグの5-3-2から、この試合では3-4-3にシステム変更するなど、苦肉の策でこの試合に臨みました。また、試合終盤の81分にズカイリ・ズルキプリがダニアル・アスリを踏みつけて一発レッドで退場なったことも痛かった!10人になったヌグリスンビランにはスランゴール相手にゴールを挙げる力は残っておらず、ベスト8で敗退しています。またスランゴールはタン・チェンホー監督就任以来の無敗記録を8に伸ばしています。

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月12日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 3-1 KLシティ(通算スコア:トレンガヌ 4-1 KLシティ)
⚽️トレンガヌ:マヌエル・オット(22分)、チェチェ・キプレ(63分)、クパー・シャーマン(89分)
⚽️KLシティ:ハキミ・アジム・ロスリ(45+1分)
🟨トレンガヌ(0)
🟨KLシティ(4):ジャンカルロ・ガリフオコ、アクラム・マヒナン、パウロ・ジョズエ
MOM:ファイサル・ハリム(トレンガヌ)
 ファーストレグを1-0で勝利していたスーパーリーグ2位のトレンガヌが、セカンドレグでも同5位で昨季のマレーシアカップ覇者、KLシティを破り、準決勝進出を決めています。
 マヌエル・オットのゴールで先制を許したKLシティは、前半終了間際に体調不良のロメル・モラレスに代わって先発したハキミ・アジム・ロスリのゴールで通算スコアを再び1点差とします。
 しかし、後半に入ると攻撃力の差が明らかになり、エース不在のKLシティに対して、63分にはtyチェ・キプレが、そして89分にはクパー・シャーマンがマレーシアカップ4試合で7ゴール目となるゴールを決めて、KLシティを突き放しています。がホームに迎えた試合は、1回戦2試合で5ゴールを挙げたトレンガヌのクパー・シャーマンがゴールを決め、トレンガヌが1-0で勝利しています。
 準決勝進出を決めたトレンガヌですが、この試合後の記者会見では、今月末に契約が切れるナフジ・ザイン監督が契約延長のオファーレターをクラブの経営陣からではなく、練習の際にキットマン経由で受け取ったことを認めています。クラブが設定した今季のKPI(重要業績評価指標)を達成したにもかかわらず、来季の契約内容についての話し合いの席も持たれなかったことも明らかにし、クラブには契約延長の可否を決める権利も、その伝達方法の選択の権利もあるとしながらも、過去3年間の自身の貢献が評価されているとは感じられないと述べたナフジ監督は、契約延長を受けるかどうかの返答は、近々クラブに対して行うと述べています。なお、ナフジ監督には来季のクダ監督就任の噂も出ており、リーグ2位監督が移籍すれば、スーパーリーグの勢力図が大きく変わる可能性があります。

マレーシアカップ2022
準々決勝1STレグ結果とハイライト映像

TMマレーシアカップ2022の準々決勝4試合のファーストレグが11月5日と6日に行われています。行われた4試合は、いずれも今季リーグ戦での成績上位チームが勝利する順当な結果ととなりましたが、4試合中3試合でレッドカードが出されるなど、今季最後のタイトルを目指す各チームの試合は激しさを増してきています。なお準々決勝セカンドレグは11月11日と12日に予定されています。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月5日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティ 0-1 サバ
⚽️サバ:バドロル・バクティアル(69分)
🟨クチンシティ(1):アダム・シリーン
🟨サバ(2):リザル・ガザリ、イルファン・ファザイル
MOM:ダミアン・チェン(サバ)
 いずれも東マレーシア(ボルネオ島)に本拠地を持つ両チームの「ボルネオダービー」となったこのカードは、1回戦でMリーグ1部スーパーリーグ12位のペナンを破って準々決勝に進出した2部プレミアリーグ3位のクチンシティが、スーパーリーグ3位のサバをホームに迎えて対戦しました。クラブ史上初となるマレーシアカップ準々決勝進出を祝い、この試合を主催するクチンシティは、この試合が入場無料となることを事前に発表し、公式発表では今季最多の2万154人の観衆がサラワク州立スタジアムに集まりました。
 試合はホームのクチンシティが前半を優勢に進めるものの、マレーシアカップでは先発で起用されているサバのGKダミエン・チェンが相手のセットプレーからのシュートを好セーブし、またクチンシティのGKシャイフル・ワジジも加賀山泰毅選手のロングシュートを止めるなど、前半は0-0で終了しました。後半に入っても両GKの頑張りでしまった試合になりましたが、69分にサバが決勝点を挙げます。クチンシティGKのシャイフル・ワジジがサバのファルハン・ロスランのシュートを反応よく防いだものの、そこに詰めていたキャプテンのバドロル・バクティアルがそのこぼれ球をゴール!サバがついにクチンシティのゴールをこじ開けました。その後クチンシティも反撃しますが、この試合のMOMにも選ばれたダミエン・チェンがサバゴールに立ちはだかり、この1点を守り切って勝利しています。
 クチンシティの谷川由来選手、サバの加賀山泰毅選手はいずれも先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月5日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン 0-3 JDT
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ(29分)、シャフィク・アフマド(37分)、レアンドロ・ヴァレスケス(74分)
🟨クランタン(3):アリプ・アミルディン、ジャスミル・メハト、イクワン・ヤゼク
🟨JDT(0):アフィク・ファザイル、レアンドロ・バレスケス、シャールル・サアド、ナサニエル・シオ
🟥クランタン(1):ジャスミル・メハト(試合終了後)
🟥JDT(1):アフィク・ファザイル(🟨x2)
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
 互いに特徴的なオーナーの両チームの対戦は、今季スーパーリーグ9連覇を達成したジョホール・ダルル・タジムJDTが、エースのベルグソン・ダ・シルヴァのゴールなどで、プレミアリーグ2位のクランタンに快勝しています。
 マレーシアでも有数のサッカーどころでもあるクランタンは、10年前の2012年にはスーパーリーグ、FAカップ、マレーシアカップの三冠も達成する強豪チームを擁していましたが、2013年のFAカップ優勝を最後にタイトルから遠ざかっています。当時チームを運営していたクランタン州サッカー協会KAFAのミスマネージメントもあり、2019年からは2部プレミアリーグでプレーしています。そんなクラブを実業家のノリザム・トゥキマン氏が2020年9月に買収し、そこからかつての栄華を目指して復活の道を進んできているクランタンが、今季既に二冠を獲得し、このマレーシアカップ優勝で三冠達成をもくろむJDTと対戦しました。
 試合は代表GKファリザル・マーリアスらをベンチスタートさせる余裕を見せたJDTの一方的な試合となり、後半76分にはJDTのアフィク・ファザイルがこの試合2枚目のイエローで退場となるものの、試合の大勢には影響がなく、ホームのクランタンが無得点で敗れています。
 クランタンの原健太選手は先発して、前半終了後に交代しています。

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月6日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 2-0 ヌグリスンビラン
⚽️スランゴール:カイオン(56分PK)、アリフ・ハイカル(90+1分)
🟨スランゴール(1):カイオン
🟨ヌグリスンビラン(1):ハリズ・カマルディン
🟥ヌグリスンビラン(1):エロルド・グロン
MOM:シーハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)
 スーパーリーグ5位のスランゴールが、同4位のヌグリスンビランをホームに迎えた試合は、スランゴールが好機に次ぐ好機を得ながらも、攻撃陣の精度の低さやヌグリスンビランGKのシーハン・ハズミのスーパーセーブもあり、前半は0-0で終わります。
 後半に入っても、好機を得るものの、それを活かせないスランゴールにとっては、嫌な流れのまま進んだ試合は56分に動きました。ヌグリスンビランのペナルティエリアでエロルド・グロンがシャルル・ナジームを倒してPKを与えてしまいます。(実際にはボールに行っているクリーンなタックルにも見えますが)、しかもこの判定に執拗に抗議を続けるグロン選手に対して主審がレッドカードを示し、ヌグリスンビランは10人になってしまいます。
 数的有利を生かしたスランゴールは終了間際にアリフ・アイカルが数少ないDFをかわしてダメ押しのゴールを決めて勝利し、タン・チェンホー監督就任以来の無敗記録を7に伸ばしています。

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月6日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティ 0-1 トレンガヌ
⚽️トレンガヌ:クパー・シャーマン(15分)
🟨KLシティ(3):パウロ・ジョズエ、デクラン・ランバート、アリフ・シャキリン
🟨トレンガヌ(4):クパー・シャーマン、アディブ・ザイヌディン、ハビブ・ハルーン、シャミルザ・ユソフ
🟥トレンガヌ(1):スハイミ・フシン
MOM:シャミルザ・ユソフ(トレンガヌ)
 スーパーリーグ2位のトレンガヌを同5位のKLシティがホームに迎えた試合は、1回戦2試合で5ゴールを挙げたトレンガヌのクパー・シャーマンがゴールを決め、トレンガヌが1-0で勝利しています。
 AFCカップで他のクラブよりも試合数が多いKLシティは、この試合でも疲労蓄積が心配されましたが、前年の覇者として臨むマレーシアカップでは、そのモチベーションは切れておらず、試合開始からパウロ・ジョズエがトレンガヌゴールに迫るなど、試合を優位に運びます。しかし、好調のクパー・シャーマンが、相手ゴール前の混戦からそのこぼれ球を押し込んで、トレンガヌが開始15分でリードを奪います。
 試合はそのまま、一進一退の攻防を繰り返しながら進み、問題の62分を迎えます。自陣からパウロ・ジョズエのロングボールに反応したKLシティのロメル・モラレスが抜け出そうとしたところを、トレンガヌのGKスハイミ・フシンがペナルティエリアのすぐ外で倒し、スハイミ選手は一発レッドで退場、KLシティはFKを得ます。しかし、スハイミ選手に代わって入ったGKシャミルザ・ユソフがパウロ・ジョズエのこのFKを止めると、さらにゴール前に詰めていたロメル・モラレスのシュートも再び止める大活躍で失点を防ぎます。今季トップチーム初出場となったチームの第3GKが勝負どころで大仕事を成し遂げたトレンガヌが準決勝に一歩近づいています。

Mリーグ1部スーパーリーグ 2022年シーズン第9節結果とハイライト(3)

8月29日に、これまで延期されていたMリーグ1部スーパーリーグ第9節の1試合が行われています。

2022年8月29日(月)@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 4-0 マラッカ・ユナイテッド
⚽️JDT:フェルナンド・フォレスティエリ(13分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ3(33分、42分、85分)、
🟨JDT(3):レアンドロ・ヴァレスケス、シェーン・ローリー、ダニアル・アミル
🟨マラッカ(0)
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
 ACL出場により、リーグ戦の延期が多いJDTはこの日から11日間に3試合を行う厳しい日程ですが、ACL浦和戦後、初の国内試合となったこの試合では、浦和戦大敗の鬱憤を晴らすかのような快勝で首位を堅持、試合数が1試合多い2位のサバとの勝点差を6に広げて、史上初のリーグ9連覇へまた一歩前進しています。
 ACL浦和戦では出場停止になっていたMFレアンドロ・ヴァレスケスや外国籍選手枠の都合で出番のなかったDFカルリ・デ・ムルガ、さらには今季トップチーム初先発となったGKハジック・ナズリやMFダイアル・アミルなど、JDTのエクトル・ビドリオ監督は、ACL浦和戦とはメンバーを入れ替えて臨みましたが、そんなメンバーでも試合開始から終始マラッカを圧倒し、今季無敗記録を15まで伸ばしています。
 マラッカは、3ヶ月分の給料未払いが明らかになっている他、ジャスティン・リムCEOが辞任の噂を否定するなど、毎年繰り返される運営サイドの問題で現場が混乱する中での試合でした。王者JDT相手に先発した外国籍選手がFWアドリアーノ1人では太刀打ちできるはずもなく、GKブライアン・シーが好セーブを連発したにもかかわらず4失点で敗れています。しかも75分には交代枠5名を使い切った後にカイルル・アンワル・シャールディンがケガで退場し10名となり、さらにその後はシェーン・ローリーのタックルを受けたシャールル・アズワリまで退場となるなど、むしろよく4失点で済んだ試合だったと言えます。

2022年シーズン スーパーリーグ順位表(第17節終了時)

チーム勝点
1JDT1513204373641
2SAB16112326141435
3NSE1795324141032
4TRE168262016426
5SRP176382727021
6KLC156362925-521
7KDA145361925-617
8MEL154562023-317
9SEL154462626016
11PJC173771627-1116
11SWU1742111537-2214
12PEN1614111934-257
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

2022年シーズン スーパーリーグ 得点ランキング(第17節終了時)

ゴール数選手名所属
120ベルグソン・ダ・シルヴァJDT
213フェルナンド・フォレスティエリJDT
311カイオンSEL
49ロナルド・ンガKDA
57ダレン・ロックPJC
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

Mリーグ2部プレミアリーグ
2022年シーズン第12節結果とハイライト(2)

Mリーグ2部プレミアリーグは、延期されていた第12節の2試合が8月24日と25日に行われています。10チームが争うプレミアリーグは、既に16節まで終了しており、優勝争いはJDT II、クランタン、トレンガヌII、クチンシティの4チームに絞られています。
 Mリーグは来季は1部スーパーリーグと2部プレミアリーグを統合して1部18チームに再編されることが発表されており、今季プレミアリーグ所属のチームはその順位にかかわらず、来季はスーパーリーグでプレーすることが決まっています。このため残る2節はこの4チームがプレミアリーグ優勝というプライドをかけた戦いとなります

2022年8月24日(火)@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティ 1-0 スランゴール2
⚽️クチンシティ:ラメシュ・ライ(25分)
🟨クチンシティ(2):ズルアズラン・イブラヒム、アダム・シリーン・テムビ、
🟨スランゴール(1):ザーリル・アズリ・ザブリ
MOM:シャイフル・ワジジ・モハマド(クチンシティ)
 クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

2022年8月25日(水)@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
FAM-MSNプロジェクト 0-2 JDT II
⚽️JDT II:レヴィ・マディンダ(4分)、ジュニオール・エルドストール(53分)
🟨FAM(0)
🟨JDT(3):アズリフ・ナスルルハク、ダニアル・ハキム、ナフィズディン・ファウジ
🟥JDT(1):ナフィズディン・ファウジ(🟨x2)
MOM:ジュニオール・エルドストール(JDT II)

2022年シーズン プレミアリーグ順位表(第16節終了時)

チーム得失差勝点
1JDT16113234132136
2KEL16113225111436
3TRE1593427151230
4KCH169342718930
5KLU166642116524
6PDRM166372026-621
7UITM1542101524-914
8SEL163491223-1113
9PRK1651101427-137
10FAM161213931-225
ペラ(PRK)は給料未払い問題の解決が遅れたことにより、勝点9の剥奪処分を受けています。
KEL-クランタン、PRK-ペラ、KLU-クランタン・ユナイテッド、TRE-トレンガヌII、SEL-スランゴール2、FAM-FAM・MSNプロジェクト、KCH-クチンシティ、JDT-JDTII

2022年シーズン プレミアリーグ 得点ランキング(第16節終了時)

ゴール数選手名所属
110アブ・カマラKCH
28フェルナンド・ロドリゲスJDT
8ンジョク・ジェイコブKLU
8マルティン・アダメックPDRM
57ジョーダン・ミンターTRE
7ダリル・シャムJDT
KEL-クランタン、PRK-ペラ、KLU-クランタン・ユナイテッド、TRE-トレンガヌII、SEL-スランゴール2、FAM-FAM・MSNプロジェクト、KCH-クチンシティ、JDT-JDTII

8月26日のニュース
地元紙が加賀山泰毅選手を特集
タン前代表監督が来季から現場復帰か
サラワクで4ヶ月の給料未払い問題が発覚も、チームマネージャーは即時支払いを約束

ACLでは浦和が全北現代との死闘を制して東地区の王者となりました。浦和に敗れたJDTにとっては、このまま浦和が今季のACL王者となってくれれば、負けた甲斐もあろうかというところでしょう。西地区王者との決勝は来年2月とまだ先の話で、その際に浦和がどのようなメンバーになっているかはわかりませんが、日本だけでなく東南アジアの希望も背負って決勝を闘ってもらいたいです。

地元紙が加賀山泰毅選手を特集

英字紙ではマレーシアで最大発行部数を誇るザ・スターが、今季からMリーグ1部スーパーリーグのサバでプレーしている加賀山泰毅選手を特集しています。

T・アヴィネシワラン記者の署名入り記事では、右、左のどちらでもウィングとしてプレーできるだけでなく、攻撃的MFやストライカーとしてもプレーする加賀山選手の「多才さ」が、今季ここまでリーグ2位のサバの好調さに大きな影響を及ぼしているとしています。

チームの勝利に貢献するのであれば、試合ごとに異なるポジションでプレーすることを厭わないと話す加賀山選手は、「アタッキングサードではどのような役割を任せられてもやる気でいるので、オン(・キムスイ)監督がどこで使ってくれても、何かしらの貢献はできると思っている。」と記事の中で答えている加賀山選手は、「様々なポジションでプレーすることによって、より完璧な選手となることに近づけていると思う。」とも話しています。

加賀山選手は、ここまでサバの全試合(16試合)に出場し、ゴール数は2と少ないものの、数多くのアシストでチームの勝利に貢献しています。流れるようなドリブルや正確なパスの供給、そして計算されたポジショニングなどにより、加賀山選手をサバにとって欠かすことができない選手にしています。

チームの好調を維持するためにも、さらにゴールを挙げ、アシスト数も増やしたいと話す加賀山選手は、「チームが現在2位ではあるものの、まだ今季は何も成し遂げていない。順位について考えるのはあくまでもリーグ戦終了後であり、今は目の前の試合に集中しなければならない。」とも述べています。

また、最後にサバの好調の原因を問われると、チームワークと規律が保たれていることを挙げ、「我々は選手全員がハードワークし、全員がチームのために一生懸命になっている。」と説明しています。

タン前代表監督が来季から現場復帰か

英字紙ニューストレイトタイムズは、昨年12月の東南アジアサッカー連盟選手権AFFスズキカップを最後に代表監督を辞任したタン・チェンホー氏が来季2023年シーズンにはMリーグクラブの監督に就任する可能性が高いと報じています。

今季低迷し、今月8月にはミヒャエル・ファイヒテンバイナー監督を更迭したものの、現在もリーグ戦4連敗中の1部スーパーリーグのスランゴールや、クラブ創設100周年という記念すべき年に2部プレミアリーグに降格し、その2部でも10チーム中9位と苦しむペラなどがその候補となるだろうと、この記事では紹介しています。

実際にソーシャルメディア上では、かつてはMリーグを席巻したスランゴールの復権をタン氏に期待する声がある他、タン氏がペラのボビー・ファリド・シャムスディンCEOと話し合いをしている場面を写した写真がSNSに上がるなど、実際に火のないところには煙は立たない、といった状況でもあります。

タン氏は「現場復帰について急ぐつもりはない」というコメントをこれまでも繰り返しており、ニューストレイトタイムズが最近、インタビューを行った際には、Mリーグでの監督復帰については「良い話があれば」と述べるに止まっています、その一方で、来季からスーパーリーグのチーム数が現行の12チームから18チームとなることにより、現場復帰の意欲をそそるような機会が得られる可能性にも言及しています。

「サッカーを愛する気持ちは変わっておらず、現場から長期間離れるつもりもない。来季(のリーグ再編)によりMリーグは面白くなると思うので、どのように面白くなるかに注目している。(今後、監督に就任する)クラブは未だ決めておらず、現在チームを指揮する監督にも配慮し、シーズン途中に監督に就任するつもりはない。複数のチームと接触していることは事実だが、何も決まっていることはない。」と述べたタン氏のMリーグは実績は錚々たるものです

2014年から2017年まで監督を務めたクダでは、2015年に2部から1部にチームを昇格させ、同じ年にはスランゴールに決勝で敗れたものの、マレーシアカップの決勝にチームを導いています。翌2016年にはマレーシアカップを優勝を果たすとともに、1部でもチームを3位に躍進させていますが、同時にイフワット・アクマル、アリフ・ファルハン、ファルハン・ロスラン(いずれもクダ)、シャフィク・アフマドやアキヤ・ラシド(いずれも現JDT)やハリム・サアリ(同スランゴール)ら現在もトップチームでプレする選手たちを育てた実績もあります。

「若い選手の育成、そして観客を楽しませるサッカーをするチームを築くことが現在の自分の希望なので、長期間にわたって関われるチームと仕事をすることを望んでいる。そのためには、健全に経営されていることがチームを選ぶ重要な要因になる。」とも話すタン氏の現場復帰はさほど遠い未来ではなさそうです。

サラワクで4ヶ月の給料未払い問題が発覚も、チームマネージャーは即時支払いを約束

新たな給料未払い問題が発覚しています。マレーシア語紙のブリタ・ハリアンは1部スーパーリーグのサラワク・ユナイテッド(以下サラワク)では、選手の給料が4ヶ月にわたって支払われていないと報じています。またマレーシアプロサッカー選手会PFAMも、サラワクの選手からも報告を受けていると、この事実を認めています。

PFAMは6月14日と7月8日の2度にわたってチームに対して、未払い給料問題の解決を求める書簡を送っているということですが、この記事が出た8月24日の時点では、未払い給料が完済されたという報告を選手からは受け取っていないという声明を出しています。さらにPFAMは6月にはチームの家賃滞納により、サラワクの選手たちが宿舎からの退去通知を受け取っていることも明らかにしています。

サラワクで給料未払い問題が明らかになったのは今回が初めてではなく、昨季も同様の問題が起こっています。その際にマレーシアサッカー協会FAMの役員であるポサ・マジャイス サラワク会長が「未払いではなく単なる遅配である」と嘯いた「前科」があるなど、そもそも運営に問題がある人材がトップを務めるチームです。

そして昨季同様、メディアで報道されると慌てて対応する状況も変わっておらず、この記事が出たその翌日には、ポサ会長は全ての未払い給料は来週中に完済される予定であるとメディアに話しています。