11月20日のニュース:トレンガヌFCはナフジ監督続投も今季のチーム得点王と契約更新せず、ケランタンFCはユスリ監督の契約を更新せず、フェルダUとUKM FCの来季Mリーグ不参加が確定

トレンガヌFCはナフジ監督続投も今季のチーム得点王と契約更新せず
 Mリーグ1部のトレンガヌFCは、ナフジ・ザイン監督の続投を発表する一方、大幅な選手の入れ替えを行うようだとマレーシア語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 既に退団を明らかにしたシンガポール出身のMFファリス・ラムリに続き、今季は11試合の短縮日程となったMリーグで9ゴールを挙げチーム得点王となったFWドミニク・ダ・シルヴァとの契約を更新しないことが、トレンガヌFCを運営するトレンガヌ州サッカー協会から発表されています。
 ベトナム1部リーグのサイゴンFCから加入して1年目のダ・シルヴァ選手は、他のMリーグクラブからのオファーの話があれば、国外よりもマレーシア国内での移籍を優先したいとも話しています。
 トレンガヌFCはダ・シルヴァ選手以外の外国籍選手との契約更改が行われていないことから、英国出身のMFリー・タック主将やウズベキスタン出身のMFサンジャル・シャアフメドフらの退団も噂されています。
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 Mリーグで今季3位となったトレンガヌFCは、今季のマレーシアカップが中止となったことから、優勝チームに与えられることになっていた来季のAFCカップ出場権が与えられており、本来ならアジアで戦うため来季へ向けての戦力補強が必要そうですが、新たな獲得選手のニュースが報じられない一方で、これだけ今季の主力選手が流失すると、せっかく棚ぼたでAFCカップ出場権を得たにもかかわらずその先には暗雲が立ち込めています。

ケランタンFCはユスリ監督の契約を更新せず
 今季Mリーグ2部で6位となったケランタンFCは、ユスリ・チェ・ラー監督とアシスタンコーチのテンク・ハムザ・ラジャ・ハサン、アズリ・マムード・、イスマイル・チャワリット・アブ・バカルの3名との契約を更新しないことを発表しています。
 ケランタンFCのノリザム・トゥキマン オーナーは、クラブが1部昇格を達成するためには厳しい決断を下す必要があるとし、そのためには自分が求める「勝者のメンタリティー」を持つ指導者が必要だったと話しています。
 マレーシア国内からだけでなく、スペインやハンガリー、ドイツなどからも監督職への応募を受けていることを明かしたノリザム オーナーは経験豊かで選手とともに強いチームを作ることができる人材を応募者から選びたいと話しています。

フェルダ・ユナイテッドFCとUKM FCの来季Mリーグ不参加が確定
 民営化に伴い新たに獲得したオーナーによる支援の内容がクラブ運営には不十分であるとして、マレーシアサッカー協会FAMから来季のMリーグ参加が認められていなかったMリーグ1部のフェルダ・ユナイテッドFCと同2部のUKM FCは、FAMに再考を求めていました。
 これについてFAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、両クラブからの再考依頼についてFAM内で協議を行った結果、やはり来季のリーグ参加資格を両クラブには与えないことを発表しています。
 「両クラブからの再考依頼を受け、追加提出された書類を精査した結果、FAMの決定は変わらず、来季のMリーグ参加は認められないことが決定した。なお、これは最終決定であり、これ以上の再考依頼は受け付けない。」とスチュアート事務局長は話しています。
 さらにスチュアート事務局長は、今回の決定により両クラブのMリーグ参加への道が完全に閉ざされたわけではなく、他の新規参入クラブ同様、まずはセミプロリーグのMリーグ3部であるM3リーグに参加し、そこから2部への昇格を目指す方法があるとも話しています。

11月7日のニュース:マレーシアカップ開幕-JDT・クダFA・ペナンFAがベスト8進出、AFC事務局長は州政府に依存するクラブを暫定的に容認、ケランタンFCはランカウィ島にリゾートをオープン

マレーシアカップ開幕-JDT・クダFA・ペナンFAがベスト8進出
 今季2020年シーズン最後の大会となるマレーシアカップが開幕しました。今季はMリーグ1部11クラブと2部5クラブの16クラブが参加する点は従来通りですが、1回戦からトーナメントと変則になっています。
 優勝チームにはAFCカップ出場権が与えられるこの大会は、11月22日の決勝まで熱戦が繰り広げられます。(試合のダイジェスト映像はMFLの公式Youtubeチャンネルより)

11月6日(金)マレーシアカップ1回戦
タンスリ・ダト・ハジ・ハサン・ユノススタジアム(ジョホール州ラーキン)
ジョホール・ダルル・タジムJDT 1-0 クチンFA
得点者:JDT-アリフ・アイマン(19分)、クチンFA-
 18歳のアリフ・アイマンのゴールで先制したJDTがそのまま逃げ切りベスト8進出を決めています。JDTは、次戦はサバFAの出場自体により1回戦を不戦勝となったクアラルンプールFAと対戦します。
 クチンFAの鈴木雄太選手と谷川由来選手もいずれも先発してフル出場しています。

シティースタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナンFA 3-1 フェルダ・ユナイテッドFC
得点者:ペナン-カサグランデ(37分)、アメル・アザハ(分)、リ・チャンフン(76分)、フェルダ-ニコラス・ヴェレズ(49分)
 リーグ戦では11試合で9ゴールを決めたカサグランデがこの試合でも先制ゴールを決め、ペナンFAがベスト8進出を決めています。ペナンFAはベスト8でUITM FCとケランタンFAの勝者と対戦します。
 今季でのMリーグ撤退が決まっているフェルダ・ユナイテッドFCはこの試合の敗戦で13年の歴史に幕を下ろしました。
 フェルダ・ユナイテッドFCの恵龍太郎選手は先発してフル出場しています。

ダルルアマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダFA 3-2 パハンFA
得点者:クダ-シャキル・ハムザ(17分)、クパ・シャーマン(36分)、チェチェ・キプレ( 44分)、パハン-ムスリム・アーマド(49分)、ファイザル・ラニ(88分)
 パハンFAの猛攻を防ぎ切ったクダFAがベスト8進出。クダFAはスランゴールFCとマラッカ・ユナイテッドFCの勝者がベスト8での対戦相手となります。
 パハンFAは77分のディクソン・ヌワカエメのPK失敗が最後まで響きました。

AFC事務局長は州政府に依存するクラブを暫定的に容認
 Mリーグの1部と2部のクラブに対し、マレーシアサッカー協会FAMは来季までに「民営化」を完了することを義務付けました。これにより各州サッカー協会(州FA)によって運営されていたクラブは、来季以降は州FAから独立して設立された運営会社がクラブを運営することになっています。
 しかし、企業や個人のスポンサーを獲得できていない(あるいは獲得する気がない?)クラブ運営会社の株式が州FAや州政府によって保持され、民営化後もこれまで同様、州政府からの公金支援でクラブが運営される図式は変わっていないようで、Mリーグ1部のジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーはこれを非難しています。
 この状況について、アジアサッカー連盟AFCのウインザー・ポール事務局長は、望ましいものではないとしながらも、新型コロナウィルスによる経済状況悪化、そして実際の民営化に必要期間を考慮すると、一時的にはやむなしと話していると、マレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 「州政府からの公金支援に依存せず、各クラブが運営費用を生み出す努力をするべきではあるが、新型コロナウィルスによる状況の悪化によってクラブが収入を生み出すことが難しいことは理解できる。その上で各クラブには州政府に依存せず、収入を生み出すための長期計画が必要になる。AFCはこれに向けて全てのクラブが努力することを期待している。」とウインザー事務局長は話しています。
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 新型コロナウィルスの影響は否定できないですが、州政府に依存しない完全な「民営化」達成の期限を区切り、その期限までに達成が無理なクラブは下部リーグに落として立て直しをしてもらう、というのも一つの方法かと思います。プロクラブを名乗りながら、州政府からの支援がなければ選手や監督、コーチに対する給料未払い問題を起こすようなクラブがある限り、Mリーグの評価は下がることはあれ、上がることはないでしょうから。

ケランタンFCはランカウィ島にリゾートをオープン
 Mリーグ2部のケランタンFC(来季から、現在はケランタンFA)がクラブが運営するリゾートをオープンしたことをクラブの公式Facebookで発表しています。
ランカウィ島にオープンしたということです。
 公式Facebook上の投稿によれば、このリゾートはザ・レッドウォリアーズ・リゾートの名称で、日本でも有名なリゾート地のランカウィ島でも最も多くの人が訪れるチェナン海岸に近いということです。(ちなみにランカウィ島はクダ州にあります。)
 マレーシア国内でも特にイスラム教の影響が強いケランタン州を本拠地とするケランタンFCのリゾートということで、イスラム法(シャリア法)に則り結婚した男女に限り同室での宿泊が可能ということです。
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 サッカークラブがリゾート経営に乗り出すべきかどうかは別にして、多額の未払い給料に苦しむケランタン州サッカー協会による運営時代とは打って変わって、ビジネスマンのノリザム・トゥキマン氏がオーナーとなったことで、多角的なクラブ経営を目指すケランタンFCは、マレーシアでクラブを運営する一つのモデルとなりそうです。


11月3日のニュース:マレーシアカップの詳細発表、UITM FC監督は来季は別のMリーグクラブの監督就任か、フェルダUとUKMの来季参入不可は決定事項-FAM

マレーシアカップの詳細発表
 マレーシアカップを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは公式Facebook上で、11月6日に開幕するマレーシアカップ1回戦の日程の詳細を発表しています。なお、左側がホームチームです。
11月6日(金曜日)
 ペナンFA対フェルダ・ユナイテッドFC
 ジョホール・ダルル・タジムJDT対クチンFA
 クダFA対パハンFA
11月7日(土曜日)
 トレンガヌFC対PJシティFC
 ペラTBG対ケランタン・ユナイテッドFC
11月8日(日)
 UITM FC対ケランタンFA
 スランゴールFC対マラッカ・ユナイテッドFC
 いずれの試合も午後9時キックオフで、このうち、JDTは今季から本拠地として使用しているスルタン・イブラヒムスタジアムが改修工事中のため、昨季まで本拠地としていたタンスリ・ダト・ハサン・ユーノススタジアム(通称ラーキンスタジアム)で試合を行うほか、本拠地があるスランゴール州内に条件付き活動制限令が施行中のUITM FCはペラIIのホームであるペラ州マンジュンのMPMスタジアムを、スランゴールFCは対戦相手マラッカ・ユナイテッドFCのホーム、ハンジェバスタジアムを使用します。

UITM FC監督は来季は別のMリーグクラブの監督就任か
 大学が運営するクラブとして初めてMリーグ1部に昇格したUITM FCは、昨季2019年シーズンは2部で5位ながら、1部で9位のPKNS FCがスランゴールFCのセカンドチームとして登録されたことで1部のクラブ数が減少したことにより、いわば棚ぼたで昇格したクラブです。しかし11試合と短縮されたリーグながら、初めての1部では伝統ある他のクラブを抑えて今季6位と大躍進を見せました。
 このUITM FCを率いたのが、マレーシアU22代表の元監督でドイツ出身のフランク・バーンハート監督ですが、大学生主体のクラブを率いて収めた好成績は他のMリーグクラブの目に留まったようで、来季はUITM FCを離れる可能性が高まっていると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 UITM FCは既に来季に向けて新監督を探しているという報道もあり、これによるとバーンハート監督にはUITM FCよりも好条件でのオファーが出されているということですが、そのクラブはどのクラブなのかは不明ということです。
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 限られた予算で運営されるUITM FCの布陣と今季が初の1部リーグながら6位という結果を見れば、バーンハート監督は今季のMリーグ最優秀監督の一人なのは明らかで、その実績をもとに獲得を目指すクラブがあっても驚きではありません。若い選手が多いケランタンFCや、保持ライセンスの問題で新たな監督を必要としている来季昇格組みのペナンFAやクアラルンプールFA辺りが関心を示しているのかもしれません。

フェルダUとUKMの来季参入不可は決定事項-FAM
 マレーシアサッカー協会は、メインスポンサーを失ったフェルダ・ユナイテッドFCとUKM FCから出されていた新たなスポンサーに関する資産情報や来季の経営計画ではシーズンを通してのクラブ経営が不可と判断し、来季のMリーグ参入を認めない決定を下したことはこのブログでも取り上げました。
 これについて両クラブの運営会社がFAMに決定の見直しを求めていましたが、スタジアムアストロによると、FAMは決定を再考する予定はないようです。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、両クラブに対して必要書類を用意する時間を十分に与えており、今回の決定が最終決定であることを強調しています。
 「両クラブのいう新たなメインスポンサーは年間100万リンギ(およそ2520万円)に満たない額しか用意できておらず、そういった企業あるいは個人が年間の運営費用に500万リンギ(およそ1億2600万円)は必要なクラブのスポンサーになれば、給料未払い問題が発生する可能性が十分にある。そして、FAMはそれを防ぐ立場にある。」とスチュアーと事務局長は話しています。
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 この件について同じスチュアート事務局長はFAMが特別委員会を設置して再検討を行うと話した、という別報道出ており、両クラブとも首の皮一枚つながっているといったところかも知れません。

11月1日のニュース:フェルダUとUKM FCは来季のMリーグ出場不可をFAMが発表、ケランタンFCの新ロゴ発表、パハンFAも新ロゴの最終候補6作品を公開しサポーターに投票を求める

フェルダUとUKM FCは来季のMリーグ出場不可をFAMが発表
 マレーシアサッカー協会FAMは、Mリーグ1部のフェルダ・ユナイテッドFCと同2部のUKM FCの民営化が期限までに承認できなかったとして、来季のMリーグ1部および2部への参加が不可能となったことを公式サイト上で発表しています。
 FAMは10月5日にフェルダ・ユナイテッドFCとUKM FCを含むMリーグ1部と2部の全21クラブの民営化が完了したことを発表していましたが、その後、フェルダ・ユナイテッドFCとUKM FCについては来季の企業スポンサーや運営資金に関して新たな問題が発覚したことから、FAMは両クラブの新たな経営陣から詳しい説明と更なる書類の提出を求めていました。
 フェルダ・ユナイテッドFCについては、民営化自体は完了し、FAMはそれを承認したものの、その後にクラブを運営し、スポンサーでもある連邦土地開発庁FELDA(フェルダ)が来季2021年シーズンには参加しないという発表をメディア向けに行いました。これを受けて、フェルダ・ユナイテッドFCの新たな運営会社として設立されたファイターズ社は、連邦土地開発庁に代わって獲得した新たなスポンサーとその投資内容、さらにクラブの来季の運営計画をFAMに提出していましたが、FAMはこれらを精査した結果、来季のクラブ運営には不十分であると判断したということです。
 またUKM FCについては、今季、クラブを運営したマレーシア国立大学UKMから、来季はUKM FCに関する運営及び選手や監督、コーチの雇用について責任を負わないことがFAMに伝えられていたということです。UKM FCも新たな運営会社ヴァーシティーボーイズ社を設立した上で新たなスポンサーを獲得し、FAMにその投資内容とクラブの来季の運営計画を提出していましたが、UKM FCについても提出された計画では来季のクラブ運営には不十分と判断されました。
 FAMは、スポンサーを失った両クラブに対し、所属する選手や監督、コーチの生活が保証されるように新たなスポンサーを獲得する機会を与えたとする一方で、両クラブが示した財務状況では来季の途中で給料未払いといった問題が発生する可能性があり、そういったクラブがMリーグに参加することは承認できないことが決定の理由であるとしています。
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 この決定により、このままだと来季のMリーグは1部12クラブのままですが、1部から2部に降格するフェルダ・ユナイテッドFCと来季も2部でプレーする予定だったUKM FCの両クラブがリーグ参加不可となり2部は合計10クラブという編成になります。しかもその内の4クラブが1部所属クラブのセカンドチームという構成です。今季は3部リーグ以下は新型コロナウィルス感染拡大の影響で中止となっており、3部からの昇格させるクラブもありません。
 なお、別報道ではこの両クラブの運営会社の内、ファイターズ社は既にFAMに対して再検討を求めたということで、ヴァーシティーボーイズ社も同様の内容を書面でFAMに送るとしており、まだ決着と言うわけではなさそうです。

ケランタンFCの新ロゴ発表
 上の記事でも取り上げたように来季からMリーグの各クラブは民営化されますが、Mリーグ2部のケランタンFC(今季はケランタンFA)は、来季から採用される新たなロゴを公式Facebook上で発表しています。
 ケランタンFCのノリザム・トゥキマン オーナーは、このロゴについてクラブの公募で決まったロゴは、クラブが目指す大志と果たすべき目的を表していると話しています。
 数百の応募の中からノリザムオーナー自身が選んだロゴが発表された当初は、盗作疑惑も含めネット上で様々な批判が出ていましたが、当初のロゴはあくまでも案であるとして、いくつかの修正が加えられたものが正式なロゴとして発表されています。
 ロゴの上の2つの星はサポーターとクラブの強い結束を表し、外側の金色の輪はケランタンFCの価値の高さを、11本のラインはケランタン州内の11の地区を、中央にある厳格で獰猛な表情をした鹿のロゴは、経営陣とチームが常勝クラブを作るという目的に献身的に取り組むことを、そしてロゴ全体に使われている赤色は試合の最後まで全力で戦う勇気を示しているということです。

パハンFAも新ロゴの最終候補6作品を公開しサポーターに投票を求める
 Mリーグ1部のスリパハンFC(今季はパハンFA)を運営するパハン州サッカー協会も公式サイトで来季のチームロゴの最終候補6作品を公開し、サポーターによる投票を求めています。
 10月4日から10日の期間で応募者はパハン州出身者あるいは現在州内に居住している者という条件で行われたコンテストには全部で563の応募があり、その中から選考委員会が厳選した6候補はパハン州愛に溢れたものになっているということです。(ロゴのいくつかが採用している交わった剣はパハン州の紋章で、青色と黄色は現在のパハン州サッカー協会のロゴの色でもあります。また像のモチーフはクラブの愛称”Tok Gajah”-Gajahはマレーシア語で「象」を表しています。)
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 このコンテストで興味深いのは、候補の中のいくつかにはロゴと同時にクラブの名称も書かれていることです。パハン州サッカー協会は既に来季のクラブの名称をスリパハンFCとすることを発表していますが、候補の中には「パハンFC」や「マコタパハンFC」(マコタはマレーシア語で「王冠」の意味)などが書かれており、この記事を執筆している時点で1761票(総投票数の51%)と最も得票数が多い上段中央のロゴは「パハンFC」、次点の1416票(同41%)を集めている上段左のロゴは「マコタパハンFC」となっていることから、パハン州サッカー協会は、スリパハンFCという名には固執していないのかもしれません。

10月30日のニュース:Mリーグの複数クラブでライセンス申請に遅れ-来季は3部降格も、マレーシアカップにサバFAは出場できず、今季終了後の1部2部間の昇格と降格は通常通り実施

Mリーグの複数クラブでライセンス申請に遅れ-来季は3部降格も
 マレーシア サッカー協会FAMは、来季2021年シーズンのMリーグに参加するためのクラブライセンス申請書類の提出期限を今月10月31日と定めていますが、それが完了していないクラブが3つあるようです。
 Mリーグ1部のパハンFAと2部の今季優勝チームであるペナンFA、そして同じく2部のUKM FCがその3クラブで、この内UKM FCは申請書類を全く提出していないと、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 なお、この3クラブの他、提出された書類に不備があるとされていたクチンFA、マラッカ・ユナイテッドFC、ケランタンFCは数日前に申請書類を全て提出済みであるということです。
 「外部から取り寄せる書類については、活動制限令MCOなども考慮し、提出期限を来年までとしてあるが、クラブ運営者自身が用意できる書類については、期限延長は認めない。規模の大きなクラブは必要書類も多いため、迅速に対応して期限を守ってもらいたい。」と話すFAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、来季のクラブライセンスを発給されないクラブはMリーグ1部あるいは2部でプレーすることは認められないとしており、申請書類の提出が完了していないクラブは3部降格となる可能性があります。

マレーシアカップにサバFAは出場できず
 マレーシアカップを主催するマレーシアフットボールリーグMFLは公式Facebook上で、サバFAが来月11月6日に開幕するマレーシアカップには出場しないことを発表しています。
 サバFAの本拠地があるサバ州は、マレーシア国内全体の新型コロナウィルス新規感染者数の半分以上を記録するなど感染拡大が続いており、州境を超えた移動などを禁じる活動制限令が11月9日までの期限で全州に施行されています。またボルネオ島からマレー半島へ渡航する場合には14日間の隔離期間を取ることが義務付けられています。
 MFLは現在、サバ州内にいるサバFAがマレー半島へ移動してマレーシアカップへ出場できるよう、国家安全保障委員会NSCなどに特例措置を求めてきたということですが、それが認められなかったことから、10月28日に開かれたMFLの取締役会でサバFAのマレーシアカップ不出場が決定されたことが発表されています。
 このため11月1日に予定されているマレーシアカップの組み合わせ抽選でサバFAとの対戦が組まれたチームは、1回戦は不戦勝となります。
 またMリーグ最終節第11節のサバFAのホームゲームとして予定されていたサバFA対UITM FC戦も、やはり新型コロナウィルスの影響で順延となっており、こちらは10月31日にマラッカ州ハンジェバスタジアムでの開催が発表されていましたが、この試合も中止となり、記録上は3-0 でUTIM FCの勝利となるということです。なお、この結果、Mリーグ1部の最終順位は以下のように決定しました。

マレーシア1部スーパーリーグ2020年シーズン最終順位表

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1JDT119203382526
2クダFA117132013722
3トレンガヌFC1161424141019
4ペラTBG115332119218
5スランゴールFC114522619717
6UITM FC115241715217
7PJシティFC113531716114
8パハンFA114251818014
9マラッカU113251316-3*11
10サバFA112361224-129
11フェルダU111461227-157
12PDRM FC11029529-24*-1
1位のJDTはAFCチャンピオンズリーグ本戦に出場、2位のクダFAはAFCカップ本戦に出場します。
11位のフェルダ・ユナイテッドFCと12位のPDRM FCは、来季の2部降格が決まっています。
*9位のマラッカUと12位のPDRM FCはそれぞれ、給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

今季終了後の1部2部間の昇格と降格は通常通り実施
 またMFLは同じ公式Facebook上で、首都圏に出されている活動制限令を遵守しつつ、マレーシアカップは予定通り開催すること、そして今季終了後の1部リーグからの降格と2部リーグからの昇格については、例年同様に行うことも発表しています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、マレーシアカップは11月1日組み合わせ抽選、11月8日開幕の日程に変更はないとし、活動制限令が出ている首都圏に本拠地を持つスランゴールFC、UITM FC、PJシティFC、クアラルンプールFAの各クラブについては、首都圏の外での試合会場の確保をMFLが行うとしています。
 またMリーグ1部のPDRM FCなど複数のクラブから出されていた、新型コロナウィルスによる変則日程を理由とした今季の降格見送りの提案と来季の1部リーグ14クラブ化を受け入れず、当初の予定通り、1部の11位と12位のクラブは2部へ降格、2部の1位と2位のクラブ(但し1部クラブのセカンドチームは除く)の昇格を行うとしています。この結果、1部からはMリーグ撤退を表明した11位のフェルダ・ユナイテッドFCと12位のPRDRM FCが降格、2部からは1位のペナンFAと3位のクアラルンプールFAが来季は1部に昇格します。
 また2部と3部の間の昇格と降格については、今季、3部のM3リーグがやはり新型コロナウィルスの影響で6月8日に中止となったことから、昇格、降格のいずれも見送りとなったことも発表しています。


 
 
 

10月29日のニュース:クダ・ダルルアマンFCのスポンサー候補が州FAに対して疑念、FAMはスマレとパハン州FA間の争議を静観する構え、Mリーグ新規加盟クラブはフェルダUの選手を獲得すべき

本日10月29日はイスラム教の開祖ムハンマドの誕生日でマレーシア国民の祝日です。

クダ・ダルルアマンFCのスポンサー候補が州FAに対して疑念
 マレーシアサッカー 協会FAMの指導により来季からMリーグ各クラブが民営化される中、クダ州民生活協同組合KAKBは、クダ州サッカー協会(クダ州FA)の手を離れて民営化されるクダFA(民営化後はクダ・ダルルアマンFC、KDA FC)のスポンサー候補に名乗りをあげていました。
 しかし一時は辞職願を提出しながら結局、それを撤回したクダ州FAのムハマド・サヌシ・ムハマド・ノー会長の一連の行動により、KAKBはスポンサーとなるかどうを再検討し始めたとスポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 このブログでも既報の通り、クダ州首相でもあるムハマド・サヌシクダ州FA会長は、ダルルアマンFCの株式はMBI社が80%、クダ州FAが20%を購入し、MBI社分についてはコンソーシアムを形成して外部から共同参画スポンサーを招き入れることを発表しています。なお、MBI社はクダ州政府が全面出資する州政府系企業です。
 KAKBは来季のKDA FCの運営会社であるダルルアマンFC社の株式51%取得に向けて、1500万リンギ(およそ3億7500万円)を用意し、来季のスポンサーとなることを目指していました。今回のクダ州FA会長の発言についてKAKBのアドバイザーを務めるシャイズワン・カマルザマン氏は以下のように述べています。
 「MBI社のトップはクダ州首相で、そのクダ州首相はクダ州FAの会長である。FAMが求めているクラブの民営化とは本来、州の公金を財源とする州FAからクラブ運営会社へ経営権が譲渡されることを指すが、これでは州FAから州政府系企業への経営権の移行に過ぎない。」と批判しています。
 「これでは『民営化』が実際に行われているようには思えず、従って経営権がクラブ運営会社に完全に移行することは期待できない。」と話しています。
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 クダ州FAで起こっていることは、既得権を手放したくない政治家と、自力では運営資金を集められないため政治家の口利きが必要な連盟の出来レースのように見えます。今季は選手への給料未払い問題を起こしたクダ州FAは、新たに2年契約を結んだアイディル監督が現存選手の大半が来季も残ると話していることから、来季も今季と変わらない運営費用がかかることが予想されます。もし外部から十分なスポンサーを確保できなければ、また選手に負担を強いることになるのでしょうか。

FAMはスマレとパハン州FA間の争議を静観する構え
 昨日のこのブログでは、パハン州サッカー協会(パハン州FA)が契約違反を理由にムハマドゥ・スマレに対して2年間のあらゆるサッカー活動を禁じる懲戒処分を発表したことを取り上げましたが、これについてマレーシアサッカー協会FAMは静観するつもりのようです。
  マレーシア語紙ブリタハリアン電子版によれば、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、両者の争議は既にFIFAの審査対象となっていることから、FAMとしてはこの件についてはコメントを出す予定はなく、FIFAの判断を仰ぐつもりであると話しています。
 スマレ選手はFAMの紛争解決委員会ではなく、FIFAの紛争解決室に直接、この問題を持ち込んだこともパハン州FAによる処分の理由の一つとされています。なお、給料未払いなどの問題について、マレーシア人選手はFAMの紛争解決委員会へ、外国籍選手は直接、FIFAの紛争解決室へ申し立てることができますが、ガンビア出身ながらマレーシア国籍を取得しているスマレ選手はFAMの紛争解決室に申し立てを行うべきにも関わらず、そうしなかったことが処分理由となっています。
 この他、スチュアート事務局長は、パハン州FAからスマレ選手に対する処分内容については正式な通知を受け取っていると話しています。

Mリーグ新規加盟クラブはフェルダUの選手を獲得すべき
 Mリーグ撤退を表明したMリーグ1部のフェルダ・ユナイテッドFC。その旧運営会社社員が設立したファイターズ社は、来季Mリーグ参入を目指すクラブの運営会社ですがフェルダ・ユナイテッドFCのモハマド・ニザム・ジャミル監督はこのファイターズ社に対して、フェルダ・ユナイテッドFCの選手を採用するように働きかけているということです。
 マレーシア語紙シナルハリアン電子版はニザム監督の話として、新規加盟クラブがMリーグでプレー経験のある選手を獲得したいのであれば、フェルダ・ユナイテッドFCの選手を獲得するのが最善の方法だとしています。
 「新規加盟クラブがフェルダ・ユナイテッドFCの選手を獲得する予定があるかどうかは承知していないが、もしそのクラブをゼロから作り上げようとしているのならば、強いチームを作ることは非常に困難だろう。しかし、もしフェルダ・ユナイテッドFCの選手を核にし、足りない部分を補強するのであれば、チーム作りの困難さは軽減される。ただし、新規加盟クラブの経営陣やオーナーが、すべての選手を自らで集めてくるつもりなのであれば、自分にできることはない。」とニザム監督は述べています。
 また、ニザム監督は、フェルダ・ユナイテッドのFC選手も監督、コーチもファイターズ社からはこれまでは何の接触もないことも明かしています。

The Fighters’ representative who is also the former Secretary General of Felda United, Afizal Abu Othman in the Sinar Harian report yesterday also could not give confirmation on the fate of Felda United players whether they will be absorbed in the new team later.”Of course we are disappointed after knowing that Felda United will not play again next season. However, after a month we can accept it and there are players who are already thinking about future plans.”For myself, I am not angry because this is football. This kind of thing is normal and it is the right of management if they do not want to play in league competition again. We have to accept it, ”he explained.We’d like to notify you about the latest updatesYou can unsubscribe from notifications anytimePowered by iZooto

10月24日のニュース:来季のMリーグ1部クラブの監督には保持ライセンスの特例適用か、タイメディアがスマレの給料を暴露、フェルダUの新たなオーナーの名前が浮上

来季のMリーグ1部クラブの監督には保持ライセンスの特例適用か
 マレーシアサッカー協会FAMはMリーグ1部の監督就任の条件としてアジアサッカー連盟AFCプロフェッショナルコーチングディプロマ(AFCプロディプロマ)または同等のライセンス保持を求めています。
 AFCからの指示で今季2020年シーズンから適用されたこの条件により、昨季のMリーグ2部で優勝し、1部に昇格したサバFAのジュリアス・アティン監督(当時)はAFCプロディプロマを保持していなかったため、優勝監督ながらコーチに降格し、外部からクルニアワン・ドゥイ・ユリアント現監督を招聘したという経緯があります。
 今季Mリーグ2部で優勝し来季の1部昇格を勝ち取ったペナンFAのマンズール・アズウィラ監督、そして同じく1部昇格を決めているクアラルンプールFAのニザム・アズハ・ユソフ監督はいずれもこのAFCプロディプロマを保持していないため、来季は両クラブとも新監督が指揮を取ることが予想されていましたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて、マンズール監督とニザム・アズハ監督が1部でも指揮を取ることができる特例適用の可能性が報じられています。
 スポーツ専門サイトのアストロアリーナは、FAMが決定権を持つAFCとは現在も協議中であり、最終決定ではないとしながらも、新型コロナウィルスによる影響をもとにAFCが特例を認める可能性があるとしています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長はこれについて「新型コロナウィルスによって、昨季(のサバFA昇格時)とは大きく異なっており、AFCはマレーシア国内の状況を考慮した上で、AFC主催大会に出場しないペナンFAとクアラルンプールFAに特例を認める可能性がある。」と話し、その理由として以下のような説明をしています。
 「Mリーグの監督、コーチが今年3月に参加を予定していたコーチングライセンス一次コースの最終モジュール(履修単位)は新型コロナウィルスの影響に延期されたままであり、最終モジュールの履修が終わっていないため、来年開催予定の二次コースも開催時期は未定である。」
 なおMリーグ1部の監督に保持が義務付けられているAFCプロディプロマは、2022年シーズン以降ははMリーグ2部の監督にもその保持が義務付けられことになっています。
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 この記事ではAFCプロディプロマの取得費用として6万6000リンギ(およそ167万円)がかかるとも書かれており、これが高いのか安いのかはわかりませんが、マレーシアサッカー協会FAMはAFCのAライセンスのコースまでしか開催できないようです。このためAFCプロディプロマ取得に関してはそのコース開催資格を持つ日本、中国、オーストラリア、カタールのいずれのサッカー協会で研修を受ける形になるようです。そう言えば、昨年のちょうど今頃、FAMが日本サッカー協会JFAによる研修に指導者を派遣していました。

タイメディアがスマレの給料を暴露
 タイ1部リーグのポリス・テロFCに移籍したムハマドゥ・スマレの月給は27万5000バーツ(およそ92万円)であることが明らかにされています。
 マレーシア語紙ブリタハリアンはタイメディアのサイアムスポートの記事を引用し、この金額はタイ1部リーグの外国籍選手としては最低レベルであること、そしてこの金額で契約したポリス・テロFCがラッキーだったと報じているとしています。
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 JDTのキャプテン、ハリス・ハルンは月給3万シンガポールドル超(およそ231万円)と報じられていますので、スマレ選手が代表の主力選手ということを考えると、マレーシア国内でも92万円は決して高額ではなさそうです。なおタイ1部リーグの外国籍選手の月給の相場というものが分かりませんが、この記事を書くために調べた際に、タイ代表DFタナブーン・ケサラットが昨年、ムアントン・ユナイテッドからチェンライ・ユナイテッドへ移籍した際に月給70万バーツ(およそ234万円)という記事を見つけました。

フェルダUの新たなオーナーが判明か
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版は、Mリーグの撤退を発表したフェルダ・ユナイテッドFCの新たなオーナーが判明したと報じています。
 記事の中で新たなオーナーとされているのはタナムラユキャピタル社TMCB社で、このTMCB社が、フェルダ・ユナイテッドFCの旧運営会社社員が設立した新たなクラブの運営会社ファイターズ社の主要株主となるようだと報道されています。
 記事によれば、TMCB社はファイターズ社がマレーシアサッカー協会FAMに提出した書類の審査後、認可が得られた段階で正式な発表を行う予定のようです。
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 TMCB社は今季フェルダ・ユナイテッドFCの今季のユニフォームの胸スポンサーの1社で、これまでもフェルダ・ユナイテッドFCとは無関係ではなかったようです。なお2015年創設のTMCB社は、同社の公式サイトを見る限りでは国外にも東南アジアや中国に支店を持つリース企業のようです。

10月22日のニュース:JDTのフィゲロアTMが退団、JDTはジオゴの移籍と新外国籍選手の獲得も発表、フェルダUは名称を変更してMリーグ残留か、フェルダUの権利を引き継いだクラブのみがMリーグ参加可能-MFL

JDTのフィゲロア チームマネージャーが退団
 Mリーグ1部で7連覇を達成したジョホール・ダルル・タジムJDTで今季チームマネージャーを務めたルシアーノ・フィゲロア氏の退団がJDTの公式Facebookで報じられています。
 ビジャレアルCF(スペイン)やジェノアCFC(イタリア)などでもプレー経験がある元アルゼンチン代表のフィゲロア氏は2014年にギリシャリーグのパナシナイコスFCからJDTに移籍し、今季まで続くMリーグ1部7連覇の初年度、そして翌年2015年の連続優勝に貢献しただけでなく、東南アジアのクラブとしては初めて優勝を遂げたAFCカップ優勝にも貢献しています。フィゲロア氏は2015年シーズン後には引退し、2017年からはJDTの親善大使に就任しましたが、2018年シーズン開幕前に電撃現役復帰しMリーグ1部の試合に出場しましたが、このシーズン後に再び引退しています。その後、JDTのオーナーであるジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下からJDT監督に就任指名を受け、当時JDTのセカンドチーム監督だったベンヤミン・モラ現JDT監督をコーチとして采配を振るい、その後はモラ監督、フィゲロアチームマネージャーのコンビで2019年、2020年と連覇を達成しています。
 なおフィゲロア氏のJDTでの通算成績は71試合に出場し、43ゴールと14アシストとなっています。
 今回、家庭の事情で本国アルゼンチンへ帰国するということですが、JDTの公式Facebookにはオーナーのトゥンク・イスマイル殿下やクラブ、サポーターへの感謝の言葉と、それに応えるトゥンク・イスマイル殿下の言葉が掲載されています。
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 新型コロナウィルスによる今季リーグの中断期間中だった9月には、JDTのホーム、スルタン・イブラヒムスタジアムの一角が「フィゲロアスタンド」と命名されることが発表されるなど、選手として、そして引退後はマネージャーとしてクラブに対する貢献が高く評価されていたフィゲロア氏。今回退団するフィゲロア氏が入団した2014年から始まったリーグ7連覇は来年も続くのでしょうか。

JDTはジオゴの移籍と新外国籍選手の獲得も発表
 JDTの公式Facebookでは、フィゲロア氏の退団以外にも続々と新たな情報が公開されています。
 まずは11月19日から12月4日の予定でカタールで集中開催されるAFCチャンピオンズリーグに出場するJDTは、11月6日に開幕し同22日に決勝が予定されているマレーシアカップの優勝候補チームですが、両大会の日程が重なっていることからその対応が注目されていました。これについてはMリーグ2部でプレーするセカンドチームJDT IIの選手も含めたチーム編成となるようです。
 また、このブログでも取り上げたジオゴの移籍が正式に発表されています。なおタイへの移籍はマレーシアカップ終了後となると発表されています。なおジオゴに代わる外国籍選手としてカミーロ・ダ・シウヴァ・サンヴェッゾの獲得が発表されています。2010年シーズンには韓国1部リーグの慶南FCで短期間ながらプレー経験があり、今季はメキシコ1部リーグのマサトランFCでプレーしていたということです。
 この他、昨日のこのブログでJDT移籍の噂を取り上げた元フェルダ・ユナイテッドFCのダニエル・アミールの獲得も正式に発表された他、ベンヤミン・モラ監督とハリス・ハルン主将の残留も発表されています。
 移籍情報以外では、今季から使用している本拠地のスルタン・イブラヒムスタジアムのピッチ改修工事のため、マレーシアカップでは昨年まで使用したラーキンスタジアムことタン・スリ・ダト・ハジ・ハッサン・ユーヌススタジアムを使用すること、外国企業4社がチームとスタジアムのスポンサーに名乗りを上げていることなども発表されています。
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 発表内容を見れば見るほど、JDTは戦力面だけでなく、クラブの設備、運営の姿勢、高いプロ意識と他のMリーグクラブとはますますその差が開いていくようです。先日も来季に向けて契約更改を始めた記事を取り上げましたが、JDTと他のクラブとの差は実は戦力面での差以上に、クラブ運営トップの姿勢や意識の差が大きいようです。

フェルダ・ユナイテッドは名称を変更してMリーグ残留か
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版は、Mリーグ撤退が発表されたフェルダ・ユナイテッドFCの旧運営会社が新たなオーナーを既に獲得し、来季もMリーグ残留の可能性が高まっていることを報じています。
 フェルダ・ユナイテッドFCの旧運営会社のアフィザル・アブ・オスマン元事務局長は、新たな運営会社として立ち上げたThe Fighters社(ファイターズ社)を通じて、来季のMリーグ参加をFAMに申請中ということです。
 ファイターズ社の代表も務めるアフィザル氏は、新たなオーナーと来季のクラブ運営に関する経営計画をすでにマレーシアサッカー協会FAMに提出済みということで、現在はFAMによる認可を待っている状態だということです。
 「新たなオーナーやスポンサーについては、ファイターズ社が提出したクラブ民営化に関する経営計画をFAMが承認してから明らかにしたい。またFAMが承認した場合でもクラブの名称はフェルダ・ユナイテッドFCとはならないだろう。」とアフィザル氏は話しています。
 (旧運営会社から運営を引き継いだ)フェルダ連邦土地開発庁が運営から手を引区ことを表明したことから、今後はどこからクラブの運営資金が出るのかをFAMに説明したことを明らかにしたアフィザル氏は、ここ数日メディアで取り上げられているラヤット・ユナイテッド(Rakyat United)というクラブに名称が変更されるのではという問いには答えませんでした。
 また先日、プトラジャヤに新たなMリーグクラブの創設を明らかにしたアヌアル・ムサ連邦直轄地相との面会について問われたアフィザル氏は、アヌアル大臣がファイターズ社と協力して、新たなクラブがプトラジャヤを本拠地とすることが可能かどうかについて話し合ったことは明かしています。
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 フェルダ・ユナイテッドFCがラヤット・ユナイテッドとなるかどうかはわかりませんが、アヌアル大臣が明らかにした「プトラジャヤを本拠とするクラブ」の最有力候補となったことは、この記事から明らかなようです。

フェルダ・ユナイテッドの権利を引き継いだクラブのみがMリーグ参加可能-MFL
 Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは、新たなクラブが来季2021年シーズンからMリーグ1部あるいは2部に参加する場合は、Mリーグ撤退を表明したフェルダ・ユナイテッドFCの権利を引き継いだクラブのみが可能であるとしています。
 ブリタハリアン電子版は、MFLのアブドル・オスマン・ガニCEOの話として、Mリーグに参加するクラブはMリーグ3部にあたるM3リーグからスタートするのが原則であるが、今回の場合はフェルダ・ユナイテッドがMFLに対して正式にリーグからの撤退を申請した場合に限り、その権利を引き継ぐクラブにのみMリーグ1部あるいは2部からの参加を認める可能性があるとしています。
 その一方でオスマン・ガニCEOは、フェルダ・ユナイテッドFCはMリーグからの撤退について未だ文書による正式な報告をしておらず、同クラブが撤退を確定していない現状では、同クラブに代わってのMリーグ参加は認められないとも話しています。またフェルダ・ユナイテッドFC自身が代わりのクラブを指名する場合には、具体的なクラブ名を上げる必要もあるとしています。
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 何か歯切れの悪い記事になってしまいましたが、ここにも前述のラヤット・ユナイテッドが関連しています。ラヤット・ユナイテッドがフェルダ・ユナイテッドFCに代わってMリーグに参加するという噂がここ数日取り上げられていますが、双方とも何も正式なコメントを出していません。状況から判断すると、フェルダ・ユナイテッドFCがラヤット・ユナイテッドとして再出発するのだろうという予想は立ちますが、確定するまでにはまだ時間がかかりそうです。

10月21日のニュース:JDTは早くも来季へ向けて主力選手と契約更改開始、リーグ撤退のフェルダUの若きエースはJDTからのオファーを認める、ポリス・テロFCのスマレがタイリーグデビューに前進

JDTは早くも来季へ向けて主力選手と契約更改開始
 Mリーグ1部で7連覇を達成したジョホール・ダルル・タジムJDTが早くも主力選手と来季の契約を結んだことを公式Facebookで告知しています。
 契約期間などの詳細は明らかになっていませんが、「JDTが選手との契約更新」のタイトルで、クラブオーナーのジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下と各選手が契約書にサインをしている写真がFacebookに挙がっています。
 サインをしているのは、クナラン・スブラマニアム、ゲイリー・スティーヴン・ラバット、モハマド・ファリザル・マーリアス、モハマド・アイディル・ザフアン・アブドル・ラザク、アーマド・ハズワン・バクリ、アダム・ノー・アズリン、モハマド・ラマダン・サイフラー・ウスマン、ムハマド・ナズミ・ファイズ・マンソール、そしてムハマド・アキヤ・アブドル・ラシドら、いずれも代表経験があったり、現在も代表でプレーする主力選手です。
 この他、顔がわからなかった選手が数名写っていましたが、他のメディアの報道ではJDT IIのムハマド・アイマン・ダニシュ・アズリ・アブドル・アジムとムハマド・フェロズ・バハルディンということです。

リーグ撤退のフェルダ・ユナイテッドの若きエースはJDTからのオファーを認める
 Mリーグ徹底が発表になった1部リーグのフェルダ・ユナイテッドのダニエル・アミール・ノーヒシャムは、Mリーグ1部チャンピオンのJDTからオファーを受けていることを認める発言をしています。
 「ボーイ」の愛称を持つダニエル選手は、スポーツ専門チャンネルのアストロ・アリーナとのインタビューで、JDTからのオファーを受けていることを認めつつも、契約解除違約金が高額なことから、契約には至っていないと話しています。
 「自分はJDTでプレーをしたいと思っている。JDTが提供してくれる物、つまり(オーナーの)トゥンク・イスマイル殿下が与えてくれるものは、サッカー選手なら誰でも欲しいと思う物であり、自分がプロサッカー選手であることが実感できる物である。」とダニエル選手はインタービューで話しています。
 U23でもプレーしたダニエル選手はインタビューの最後に。来季はどのチームでプレーするかを決める前に、まずはマレーシアカップに集中したいと話しています。
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 リーグを撤退するクラブが選手の保有権を首長することができるのかどうかはわかりませんが、契約解除違約金を支払う対象はフェルダ・ユナイテッドFCの運営会社なのでしょう。昨年もJDTがオファーを持ちかけたという話が出た際には、契約解除違約金として100万リンギ(およそ2540万円)を設定したことをこのブログでも取りあげましたが、その額が現在も設定されているのかも知れません。
 タイトルには「若きエース」と書きましたが、ダニエル選手が若い割にはケガが多い印象で、その辺りもJDTがダニエル選手に設定された違約金が高いと感じている点かも知れません

ポリス・テロFCのスマレがタイリーグデビューに前進
 タイ1部リーグのポリス・テロFCに加入したマレーシア代表のムハマドゥ・スマレが練習試合でゴールを決めたことが、マレーシア後紙ハリアン・メトロ電子版で報じられています。
 タイ2部リーグのウタニ・タイFCとの練習試合に出場したスマレ選手はポリス・テロFCが4-3で勝利したこの試合で4点目のゴールを決めたということです。14日におよぶ検疫隔離期間をチームと離れて過ごし、先週、チームに合流したばかりのスマレ選手ですが、この試合がタイ入国後、初の実戦経験となりました。
 ポリス・テロFCは今週末の10月25日(日)にホームでのムアントン・ユナイテッド戦が控えていますが、この試合がスマレ選手のタイデビュー戦となるかに注目が集まります。
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 数日前のコンディションが不十分という報道から一転しての練習試合出場により、いよいよ大リーグデビューが近づいてきたということかも知れません。

10月17日のニュース:FAMは8名の審判を処分、フェルダU旧運営会社職員がクラブ消滅を救う動き、サファウィ・ラシドのデビュー戦は「世界で最もリッチな選手」との対戦

FAMは8名の審判を処分
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版は、マレーシアサッカー協会FAMが今季Mリーグの試合を担当した審判8名に処分を下したと報じています。
 FAM審判委員会のムハマド・ダリ・ワヒド委員長は、査定に基づき2名の審判に後日決定される期限までの資格停止処分を、また他の2名の審判には2週間の資格停止処分を、残る4名の審判には戒告処分が出されたと述べています。なお、本来であれば処分を受けた審判は3部のM3リーグやU21チームが争うプレジデントカップなどの試合を担当して改善を図るということですが、今季はいずれも新型コロナウィルスの影響で中止になっていることから、資格停止などの処分が科されているということです。また戒告処分を受けた審判については今季の残りは線審のみを担当することも発表しています。
 ダリ委員長は複数のクラブが審判に不満を持っていることは理解していると話していますが、多くのクラブがメディアに対してその不満を述べるにとどまり、FAMの審判委員会に対してに今季はこれまでに正式な意見書を提出しているのはUITM FC、PJシティFC、トレンガヌFC、そしてサバFAの4クラブのみであることを明かす一方で、今季は1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグとも全体としては審判委員会が満足できるレベルで試合が進められていると話しています。
 ダリ委員長はこの他、マレーシアカップでは新たに10名の審判が起用されることも明らかにしています。
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 Mリーグでは審判のレベルの低さが度々話題になり、昨季2019年のマレーシアFAカップ決勝戦には、日本サッカー協会JFAを通じて依頼した主審、副審、線審計4名の日本人審判が担当するといったこともありました。FAMは審判のプロ化案なども発表していますが、実際には何も進んでいないようで、まだまだ審判に関する問題は起こりそうです。

フェルダU旧運営会社職員がクラブ消滅を救う動き
 今季をもってMリーグからの撤退を発表したフェルダ・ユナイテッドFCに新たな動きです。クラブの旧運営会社関係者がMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグを訪れ、新たなスポンサーに関する書類を手渡す予定であると英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 旧運営会社であるファイターズ社のアフィザル・アブ・オスマン前事務局長は、クラブの名称は変わる可能性を認めながら、来季もチームが存続できることに希望を持っていると話しています。
 創部以来13年間Mリーグでプレーしたフェルダ・ユナイテッドFCは、クラブの運営権がファイターズ社からクラブの母体でもある政府関係機関のフェルダ(連邦土地直轄庁)に移った直後の10月6日に経済的理由を挙げてMリーグからの撤退を発表しています。また撤退発表とともに旧運営会社の職員16名全員が解雇されましたが、この旧職員がフェルダ・ユナイテッドFC存続のために活動を続けています。
 アフィザル前事務局長は、クラブは新しいスポンサーを獲得できたとして、MFLが期限とした10月19日までにクラブ存続のための書類を用意したいと話しています。なお新しいスポンサーについて、アフィザル前事務局長は何も明かしていないということです。
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 この記事を読んで思いついたのは、もしかしてこのフェルダ・ユナイテッドFCがプトラジャヤを本拠地とするクラブになるのでは、ということです。プトラジャヤを含む連邦直轄地を担当するアヌアル・ムサ連邦直轄地相が、来季からプトラジャヤにMリーグクラブができると発言してネット上で炎上した記事を先日、取り上げましたが、フェルダが手放したクラブをそのまま横滑りでプトラジャヤに持ってくれば、撤退によるリーグのチーム数減を心配するMFLが、新クラブを下部リーグからスタートさせず、そのままMリーグに残す可能性もあります。
 フェルダ・ユナイテッドFCでプレーする選手の中にはプトラジャヤに住んでいる方もいるようなので、実現すれば朗報ではないでしょうか。

サファウィ・ラシドのデビュー戦は「世界で最もリッチな選手」との対戦
 Mリーグ1部のジョホール・ダルル・タジムJDTからポルトガル1部リーグのポルティモネンセSCに移籍したサファウィ・ラシドは、本日10月17日に行われる第4節でCSマリティモ戦でのベンチ入りが期待されていますが、この試合は東南アジア出身選手が所属するチーム同士の争いとしても注目されています。
 その理由はCSマリティモにブルネイ出身のファイク・ボルキアが所属しているからです。ブルネイのボルキアと聞いてピンと来た方がいるかも知れませんが、このファイク・ボルキア選手はブルネイ国王ハサナル・ボルキアの甥にあたます。世界でも有数の裕福なブルネイ王家の一員でもあることから、「世界一リッチなサッカー選手」とも呼ばれています。
 とは言え、サッカーの実力で言えば、今年9月に英国1部リーグのレスターシティU23からCSマリティモに移籍してきたファイク・ボルキア選手の市場価値はトランスファマルク上では「評価なし」であるのに対し、サファウィ選手は30万ユーロ(およそ3700万円)とされており、その差は歴然です。
 額面通りの実力なら、2人がフィールドで対峙する機会はなさそうですが、それでもポルトガルという異国の地でマレーシアの選手とブルネイの選手が対戦するというのは東南アジアのサッカーファンにとっては十分注目に値するのではないでしょうか。特にサファウィ選手は開幕から3試合でわずか勝点1のポルティモネンセSCの救世主となれるかどうかも注目です。
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 今日の試合はマレーシアの衛星放送アストロアリーナでも生中継されるようです。史上初となるポルトガルリーグ生中継で果たしてサファウィ選手の勇姿は見られるでしょうか。なおチャンネルは801と802HDです。