インドネシアで開催中のU16女子の大会「スリカンディ・ムルデカ杯」に出場中のマレーシアU16女子代表は、昨日のこのブログでも紹介した通り、サウジアラビアU16女子を破って準決勝進出を果たしています。その立役者となったのが、14歳のFWリム・ユウです。この試合では7ゴールを挙げる活躍を見せたユウ選手に俄然、国内メディアの注目が集まっています。
ともにジョホールで生まれ育った両親を持つユウ選手は台湾で生まれましたが、両親の移住に伴い生後8ヶ月でアメリカに渡り、現在はワシントン州のクロスファイアープレミアアカデミーのU14でプレーしています。今大会がマレーシア代表デビューとなったユウ選手ですが、同時にアメリカのオリンピック選手育成プログラムにも参加しています。今後も活躍が続くようであれば、出生地の台湾も含めてユウ選手の代表入り争奪戦となる可能性があります。
アセアン選手権「ヒュンダイカップ」準決勝2ndレグ-マレーシアはグエン・スアン・ソンの2発に沈む
8月19日にアセアン選手権「ヒュンダイカップ」準決勝2ndレグがハノイで行われ、大会2連覇を目指すベトナムが、2大会ぶりの準決勝進出を果たしたマレーシアと対戦しました。以下が両チームの先発XIです。


マレーシアは準決勝1stレグからは、ケガで途中交代したロドニー・ケルヴィン(クチンシティ)に代わりアイサル・ハディ(ジョホールU23)がCBに入り、シャフィク・アフマド(KLシティ)に代わりジアド・エル・バシール(ジョホールU23)が2列目に入った以外は変更はありません。一方のベトナムは、1stレグのプレーヤーオブザマッチになったグエン・スアン・ソンがベンチスタートとなるなど、5人を入れ替える余裕を見せています。
それでもホームのベトナムは試合開始から優勢に進め、9分にはコーナーからドアン・ヴァン・ハウのヘディングシュートを、また22分にはグエン・ディン・バックの左足からのミドルシュートをいずれもマレーシアGKアズリ・ガニ(ヌグリスンビラン)の好守で防ぎます。マレーシアはピンチが続き、守勢に回る時間が多くなるも、ベトナムのゴールを許しません。
しかし25分にエゼキエル・アグエロ(インドネシア1部PSMマカッサル)がハムストリングを痛めてしまいます。ボランチとして全試合に出場してきたアグエロ選手はシャフィク・アフマドと交代しますが、今大会では準決勝1stレグのベストXIにマレーシアから唯一選ばれるなど、中盤のキーマンだったアグエロ選手の交代で、試合の流れはベトナムへと明らかに加速しました。
それでもGKガニ、そしてCBウバイドラー・シャムスル(トレンガヌ)を中心に全員で守るマレーシアがそれでもなんとかベトナムを完封して前半を折り返します。しかしその代償として、前半のベトナムのシュート数14本(内枠内3本)に対して、マレーシアのシュートは0本、コーナーキックもベトナム7本、マレーシア0本と得点する機会がないまま終わっています。
後半開始直後、ベトナムは再びドアン・ヴァン・ハウがヘディングシュートを放ち、再びGKアズリ・ガニの好守で得点機を逃します。そして51分にはマレーシアが右サイドのモハマドゥ・スマレ(ジョホール)からのボールをアリフ・アフマド(ジョホールU23)がゴール前へ送ります。ゴール前でシャフィク・アフマドが触れたボールはファーサイドのG・パヴィトラン(ジョホールU23)へ。パヴィトランのシュートはベトナムGKレ・ジャン・パトリックがブロック、さらにこのこぼれ球をパウロ・ジョズエがシュートしますが、GKレ・ジャンがパンチングでコーナーへ逃れます。
この試合初のコーナーキックを得たマレーシアは、ここから一気呵成にベトナムゴールを目指しますが、ベトナムの厳しい守備に跳ね返されます。さらに56分にはスマレをグエン・ハイ・ロンが踏みつけるプレーがありましたが、ボールに触れるどころか、ボールではなくスマレに向かって踏み出したグエン・ハイ・ロンに対して、この試合の大橋侑祐主審は、サウジアラビアのサミ・アフメド・アル=ジュレイスVARと確認しながらもイエローすら出ないクソ判定。しかもこれがなぜかベトナムのフリーキックとなるさらに理解不能なクソ判定が続きます。
このタイミングでベトナムのキム・サンシク監督が動きます。59分にそのグエン・ハイ・ロンをグエン・スアン・ソンと交代させ、さらにグエン・タイ・ロクのブラジル出身コンビを投入します。クソ判定によるフリーキックからの一連のプレーで早速、グエン・スアン・ソンがシュートを放つと、スタジアムの熱気は高まります。そしてそのわずか3分後にはベトナムに追加点が生まれます。
ベトナムのパス回しに翻弄され、クリアすらできないマレーシアDF陣の隙をつくチュオン・ティエン・アインのシュートはゴール前でファリス・ダニシュ(ジョホールU23)がブロックするも、そのこぼれ球を「そこにいた」グエン・スアン・ソンが押し込んで、ベトナムがついにこの試合で先制します。
さらに89分にはゴールキックからグエン・スアン・ソンがマレーシアDFアイサル・ハディのマークをものともせずに一気にペナルティエリアまでドリブルで持ち込むと、GKアズリ・ガニの股下を抜くシュートでこの試合2点目、そして大会5点目となるゴールを決めます。この得点マレーシアを通算成績4-0で破ったベトナムは、大会2連覇を目指してタイとの決勝に臨みます。
アセアン選手権「ヒュンダイカップ」2026 準決勝2ndレグ
2026年8月19日@ミーディン国立競技場(ベトナム、ハノイ)
ベトナム 2-0 マレーシア(通算成績4-0)
⚽️ベトナム:グエン・スアン・ソン2(62分、89分)
なお、今大会に出場したマレーシア代表の中で、6名の選手が代表初キャップを獲得しています。(代表デビューのGSはグループステージ、SFは準決勝)これを見ても今大会のマレーシア代表は4年齢的にも経験的にもまだ未熟な選手が多かったことがわかります。しかし彼らを含めた若い選手たちにとっては、今大会での経験は必ずどこかで活かせるはず。特にジョホールU23の選手たちには、青田買いされて、出場機会を与えられず、結局ローン移籍というありがちなルートを辿ったとしても、帰化選手で強化を進める代表チームに割って入れるよう選手になって欲しいです。
| 選手氏名(年齢、所属) | 代表デビュー | 出場試合数(先発) |
|---|---|---|
| MFワン・クザイン(27) (米国2部スポーティングJAX) | GSミャンマー戦 (2026年7月25日) | 4試合(2試合) |
| SBアリフ・アフマド(23) (ジョホールU23) | GSミャンマー戦 (2026年7月25日) | 5試合(4試合) |
| SBファリス・ダニシュ(20) (ジョホールU23) | GSタイ戦 (2026年8月1日) | 4試合(3試合) |
| CBアイサル・ハディ(22) (ジョホールU23) | SF1stレグ:ベトナム戦 (2026年8月16日) | 2試合(1試合) |
| MFジアド・エル・バシャール (21)(ジョホールU23) | SF1stレグ:ベトナム戦 (2026年8月16日) | 2試合(1試合) |
| MFイブラヒム・マヌシ(24) (ジョホール) | SF1stレグ:ベトナム戦 (2026年8月16日) | 1試合(0試合) |
| FWハディ・ファイヤッド(26) (ヴェンセドール三重U) | SF2ndレグ:ベトナム戦 (2026年8月19日) | 1試合(0試合) |
この試合の観客は公式発表が3万7906人、クアラルンプールで行われた準決勝1stレグが1万141人とファンの「熱さ」にもはっきりとその差が現れています。FIFA国際マッチカレンダー(FIFAデイズ)外のため、マレーシアでは2025/26シーズンのリーグ王者ジョホールや2位のクチンシティ、3位のスランゴールなど多くのチームが主力選手を参加させなかった今大会。FIFAデイズ外での開催は今に始まった事ではないですが、来月からFIFAの肝煎りで始まるアセアンカップと共存できるのかは気になります。伝統がある大会ながら各国がベストメンバーでチームを編成しないのならば、いっそアセアンカップなどやめてこのアセアン選手権を9月と10月のFIFAデイズに移して開催し、東南アジア最大の大会という歴史を終わらせないでほしいと思います。
スーパーリーグ開幕:ジョホール監督が心理戦か「クチンシティはジョホールからのローン選手を開幕戦で起用すべきでない」
本日8月21日に2026/27シーズンが開幕するマレーシアスーパーリーグ。開幕戦となるのは前年の王者とマレーシアカップ優勝チームが対戦する「スンバンシーカップ」です。日本で言えば現在の「富士フィルムスーパーカップ」にあたるこのカップ戦は、そもそも英国の「コミュニティーシールド」を模したものですが、マレーシア独自の謎システムがあります。
1)リーグ戦の第1節として行われ、勝者には通常のリーグ戦同様、勝点3が与えられる。
2)開催地は中立地ではなく、前年リーグ王者の本拠地とする。
リーグ12連覇中のジョホールはマレーシアカップでも4連覇中のため、このスンバンシーカップでは過去3シーズンに渡り、ジョホールがホームで前年リーグ2位のチームと対戦する図式になっています。
2024年にはこのスンバンシーカップの5日前にジョホールと対戦するスランゴールのエース、ファイサル・ハリムが公衆の面前で酸攻撃を受け、皮膚だけでなく皮下脂肪、筋肉、骨などの深い組織まで損傷する4度の火傷を負いました。スランゴールは選手や関係者の安全に不安があるとしてスンバンシーカップの延期を求めるも、主催者のマレーシアんフットボールリーグ(MFL)はこれを拒否。スランゴールは結局、出場を辞退してシーズンの貴重な勝点を、しかも最大のライバルとなるジョホール相手に失っています。(ちなみにファイサル選手への酸攻撃は、事件が起きたショッピングモールの防犯カメラに映像が残っていたにもかかわらず、司法長官が1年後の2025年5月にこの事件を「証拠の不足」を理由にNFA(No Further Action:警察などの捜査機関が「これ以上の捜査や起訴を行わない」と判断して捜査を終了させること)とすることを公式に発表して、ファイサル選手やサッカーファンだけでなく多くの市民も失望させられました。)
話が逸れてしまいましたが、本日開催のスンバンシーカップはジョホールと昨季リーグ2位のクチンシティが対戦しますが、ここでもモヤモヤするニュースが入ってきています。それは試合前日会見でのジョホールのシスコ・ムニョス監督の発言です。
ムニョス監督は対戦相手のクチンシティに対して、ジョホールからローン移籍している選手をスンバンシーカップには起用しない方が良い、と「アドバイスした」ことがサッカー専門サイトのマカンボラで報じられています。
日本人の谷川由来選手と、フィリピン1部カヤFCから新加入の山崎海舟選手が所属するクチンシティには、いずれもマレーシア代表経験者のナズミ・ファイズ、サファウィ・ラシド、ライアンとデクランのランバート兄弟、そして元ボスニアU19代表のアイディン・ムヤギッチの大量5人がジョホールからローン移籍しています。またマレーシアU23代表のガブリエル・ニステルローイが昨年からローン移籍中です。
「ジョホールからクチンシティにローン移籍している選手たちについて、私が最も重要だと考えているのは、選手たちの安全と健全性だ。(ローン移籍中の選手が)試合中にミスした場合、その状況について判断したり、さまざまな憶測をしたりする人たちが出てくる可能性があることを理解する必要がある。」
「選手たちの安全と彼らの将来を考えて、可能であれば今回の状況に関係する選手(=ジョホールからのローン移籍選手)を出場させないことを望んでいる。そうすることで、試合後に望ましくない事態が起きるのを避けることができだろう。」
「我々はこれを前向きな観点から捉えてる。彼らには、今後もクチンシティを助け、自分たちの能力を証明するための十分な時間が残されています」とムニョス監督は試合前の記者会見で述べたということです。
何言ってんだろ、この人。
クチンシティはキャプテンのジェームズ・オクウォサ、ジェローム・ンパコ・エタメ、ロナルド・ンガ・ワンジャが調整不足で開幕戦出場が危ぶまれている他、先日のアセアン選手権に出場したジミー・レイモンドとロドニー・ケルヴィンは大会中のケガで今日の試合には出場しないことをクチンシティのアイディル・シャリン監督が明らかにしています。
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ジョホールは今日の開幕戦で敗れることがなければ、世界記録(こういうのが大好きなクラブなので)の109試合連続無敗を達成するということで、SNSなどで派手に告知、宣伝しています。目的のためなら手段を選ばないジョホールがピッチ外でも心理戦を仕掛けている中、アイディル監督がどのような先発XIを選ぶのかに注目です。











