7月30日のニュース:アセアン選手権「ヒュンダイカップ」-マレーシアはラオスに勝利、ワン・クザインは待望の代表初ゴール

アセアン選手権ヒュンダイカップB組第2節が7月29日に行われ、マレーシアがラオスを破り開幕から2連勝を挙げています。


7月25日に行われた初戦ではミャンマー相手に逆転勝利を収めたマレーシア。一方のラオスは、同じく初戦でタイに0−5と大差で敗れています。そんな両チームの対戦が行われたのはKLフットボールスタジアム。代表戦といえば8万5千人収容のTM国立競技場(ネーミングライツによりブキ・ジャリル国立競技場より変更)での開催が一般的でしたが、今大会では1万8千人収容のKLフットボールスタジアムがマレーシアのホームとされています。初戦のミャンマー戦は国内中継がなかったこともあり、代表戦の扱いが雑になっている印象すらあります。

KLフットボールスタジアムで最後に代表戦が行われたのは昨年5月29日のカーボベルデ戦でした。カーボベルデといえば、北中米W杯ではグループステージで優勝したスペイン相手に引き分け、初出場ながら決勝トーナメント進出を果たすとアルゼンチンには延長で敗れるなど注目を集めたチーム。そんなチームと1−1で引き分けた相性の良いスタジアムでもあります。(但しマレーシアは国籍偽装して代表入りしたガブリエル・パル迷路が出場したため、公式の試合結果はカーボベルデが3−0で勝利と変更されています。)

そしてこの日の両チームの先発XIは以下のとおり。マレーシアはGKアズリ・ガニ(ヌグリスンビラン)が先発し、左右のサイドバックにR・ルヴェンティラン(マラッカ)とジミー・レイモンド(クチンシティ)、2枚のCBにはウバイドラ・シャムスル(トレンガヌ)とロドニー・ケルヴィンを起用。中盤はアグエロをボランチとしてその前にシャドーストライカー適性が高いシャフィク・アフマド(前DPMM)、そしてエンドリッキを配置し、前線は中央にジョズエ、左右のWGに21歳のG・パヴィトラン(ジョホールU23)とスマレという布陣は、ジミー・レイモンドがアリフ・アフマド(ジョホールU 23)に代わって入った以外は初戦と同じメンバーです。一方のラオスは、かつてFC東京、セレッソ大阪、町田ゼルビアなどでコーチの経験もあるセルヴィア出身のヴラディツァ・グルイッチ監督が今年2月に就任し、A代表とU23代表の監督を兼ねることから、初戦のタイ戦では先発8名が23歳以下でした。しかし0-5と大敗したこともあってか、この日の試合ではメンバー8名を入れ替えています。(それでも先発中6名は23歳以下の選手でした。)

この試合は現地観戦しました。通常であれば自宅から車で30分前後で到着するKLフットボールスタジアムですが、この日は6時30分に家を出たものの、帰宅ラッシュに巻き込まれてしまい、スタジアムに着いたのはほぼ8時。その途中では白バイが先導する代表のバスにすぐ横を抜かれるテンションの上がる出来事もありました。(写真左、写真右はスタジアムに横付けされた代表のバス)


試合観戦の際は紙のチケットを買って記念品にしたいと思っていますが、この日の試合はオンライン購入のみ。しかもマレーシア側のチケットはキックオフ1時間前で既に「売り切れ」となっており、やむなくラオス側の席を購入しました。スタンドに入ってみると、試合開始まで1時間を切っているにも関わらずスタンドは5分程度しか埋まっていません。売り切れとは何だったのか…。しかもラオス側の席はゴール裏の半分程度のみで遠近感も解りにくい微妙な席でした。(写真下)

この試合はハリマウ・マラヤ(マレーシア語で「マラヤの虎」の意味)の愛称を持つマレーシア代表の最大サポーターグループ「ウルトラス・マラヤ」がボイコットを表明していたことも、スタジアムが静かだった原因の一つかもしれません。

このブログで何度も取り上げた南米やヨーロッパ出身選手7名による国籍偽装により、FIFAはマレーシア代表に対して、代表選手の資格を持たない選手が出場したことを理由に、前述したカーボベルデ戦を含む国際親善試合3試合の結果を全て0−3でマレーシアの負けとする処分を下しています。またアジアサッカー連盟AFCは、2027アジア杯予選のネパール戦とベトナム戦をFIFAと同じ理由で0-3でマレーシアの負けとする処分を下しました。この結果、マレーシアはアジア杯出場を逃し、さらに試合結果が変更になったためポイントも剥奪されました。この大会前のFIFAランキングでは、マレーシアは136位と、東南アジアではタイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンに次ぐ第5位となっています。またこの責任を取る形で、FAMは会長以下理事会全員が総辞職しています。

そんな中でもFIFAによる処分が発表になったときには、FAMによるFIFAへの不服申し立てを支持するなど、ウルトラス・マラヤは最後までFAMが行ったことは全てマレーシア代表のためと信じてきました。しかしFIFAへの不服申し立てが却下され、続いてスポーツ仲裁裁判所(CAS)へ求めた調停も却下されると、ウルトラス・マラヤはFAMに対して1)国籍偽装7選手のマレーシア国籍無効手続き、2)FAMから独立して設置された代表チーム運営組織から運営権を奪回すること、3)FAM役員の大幅刷新と構造改革を求め、これが聞き入れない場合はボイコットするという声明を発表していました。

2)については代表チーム運営組織のCEOだったロブ・フレンド氏との相互了承の元での契約解除などが進みました、新たな会長選を控えることから3)は保留、1)に至っては誰もその責任の所在を認めず、何も進展がないことから、この日の代表戦ボイコットにつながった次第です。

しかし試合開始当初は空席が目立ったスタンドも、試合開始から30分もすると席が埋まっていました。映画館でも映画の途中で入ってくる人が少なくないマレーシアなのですが、この試合も終わってみれば1万人越えと6割近くの席が埋まったことになります。この日は楽勝が予想されたラオスだったこともありますが、これがインドネシアやタイ、ベトナム相手であれば、もっと多くの観客が集まった可能性も大いにあります。

FAMには自浄能力がないとしてプレッシャーをかけるウルトラス・マラヤの行動はマレーシアサッカーを何とかしたいという気持ちで行われていることは理解できるものの、ボイコットは現場の選手への影響はあれど、騒動が落ち着くまで静かにしているだけの理事や役員には痛くも痒くもないのではという気がします。だとすればむしろ積極的にスタジアムに足を運び、戦っている選手たちに声援を送ることを選ぶのもマレーシアサッカーの炎を燃やし続ける行動であると言えるでしょう。志は同じサポーターの「分断」は残念でしかありません。


試合の方はG・パヴィトラン、モハマドゥ・スマレの両WGが果敢に攻め込むも、パスの精度の低さに加えて、中央ではラオスDF陣がエースのパウロ・ジョズエを厳しくマークしたためチャンスは作るもゴールには至らない展開がキックオフから続きます。本来ならばその隙をついてゴール前で仕事をしたいシャフィク・アフマドの往年のスピードを欠く上、判断も悪く機能しません。もう一人の2列目、エンドリッキも厳しいマークに合い、ラオスゴール近くまで運んではクリアされる展開が続きます。

しかし前半終了間際の45分、果敢にチャレンジを繰り返す21歳の右WGパヴィトランからのクロスをジョズエが押し込んで、ついにマレーシアが先制します。ジョズエは2戦連発、大会3点目のゴールとなりました。

前半を1−0で折り返すと、後半の57分には再びパヴィトランからのクロスが出ると、今度はこれをエンドリッキが押し込んでリードを広げます。さらに66分には同様のクロスにラオスDFヴィエンサイ・シダヴォンが反応しますが、これをクリアミスするとオウンゴールとなり、マレーシアに3点目が転がり込みます。

そして84分にはペナルティエリア外側でフリーキックを得ると、初戦に続きこの試合も途中出場となったアメリカ育ちのワン・クザイン(アメリカ2部スポーティングクラブ・ジャクソンビル)がキッカーに。この試合が代表戦2試合目となるワン・クザインが蹴ったボールはそれまで好守を見せていたラオスGKケオ=ウドン・スワンナサングソが伸ばした指先を掠めるようにゴールイン!ワン・クザインの記念すべき代表戦初ゴールでダメ押しの4点目を挙げたマレーシアが勝利しています。

この試合のMOMは2アシスト(相手オウンゴールも含めれば実質3アシスト)の21歳、G・パヴィトランとなりました。

アセアン選手権ヒュンダイカップ2026 B組第1節 
2026年7月28日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール、マレーシア)
マレーシア 4-0 ラオス
⚽️マレーシア:パウロ・ジョズエ(45分)、エンドリッキ・ドス・サントス(57分)、ヴィエンサイ・シダヴォン(66分OG)、ワン・クザイン・ワン・カマル(84分)
MOM:G・パヴィトラン(マレーシア)

この試合のハイライト映像。東南アジアサッカー連盟(AFF)の公式サイト「アセアンユナイテッドFC」より

なおこの日行われたB組のもう一試合は、前節第1節でマレーシアに敗れていたミャンマーが、この試合が大会初戦となったフィリピンを4-1で破っています。この結果、開幕から2連勝のマレーシアが首位に浮上し、この日試合がなかったタイは勝点3で2位、ミャンマーも勝点3ですが得失差で3位となっています。そして黒星スタートとなってフィリピンが4位、2連敗のラオスが5位となっています。B組の第3節は今週土曜日8月1日に予定されており、この日勝利したマレーシアはアウェイで前回大会準優勝のタイと、またマレーシアに敗れたラオスはホームにフィリピンを迎えてそれぞれ対戦します。このヒュンダイカップはA・B各組とも1回戦総当たりで対戦し、各組の上位2チームが準決勝に進みます。

アセアン選手権ヒュンダイカップ2026 B組順位表(第2節終了)

順位チーム勝点
1マレーシア22005056
2タイ11005053
3ミャンマー21015323
4フィリピン100114-30
5ラオス200209-90

7月27日のニュース:スーパーリーグ2026/27シーズン参加12クラブが決定し、試合日程も発表に

ニュースというには少し古いですが、来月開幕する2026/27シーズンの情報です。

スーパーリーグ2026/27シーズン参加12クラブが決定

昨季2025/26シーズンは奇数の13クラブが参加したマレーシア1部スーパーリーグですが、8月21日開催の2026/27シーズンの開幕を前に参加12クラブが以下のように決定しています。(*印は、AFC主催大会に出場するためのAFCクラブライセンスも取得しているクラブ)

*ジョホール・ダルル・タジム、*クチンシティ、*スランゴール、クアラルンプールシティ、*トレンガヌ、スターシティ(イミグレセンから改名)、*ヌグリスンビラン、*ペナン、*サバ、DPMM、マラッカ、クランタン・レッド・ウォリアーズ
注:DPMMはブルネイのクラブのため、マレーシアリーグ代表としてAFC大会への出場はできません。


昨季参加の13クラブの内、12位のクランタン・ザ・リアル・ウォリアーズは、リーグ参加に必要な運営資金の保持を証明する書類が用意できなかったことから、スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の第一審機関(FIB)による審査を通過することができませんでした。この結果、ナショナルクラブライセンスは交付されず、今季のリーグ参加の道が閉ざされました。

残った12クラブの内、マレーシア王立警察(PDRM)を母体とする昨季12位のPDRM FC、入国管理局(イミグレーション)を母体とする同6位のイミグレセン、同4位のクアラルンプールシティ、同11位のマラッカに対して、FIBは書類不備を理由に、追加の書類の提出を求めました。クアラルンプールシティ、イミグレセン、マラッカの3クラブはFIBが設けた期限までに追加書類が提出されたことにより、最終的にクラブライセンスの交付を受けたものの、PDRMは今月に入り、MFLに対してスーパーリーグ参加取りやめを公式に連絡してきたことが報じられています。なお参加取りやめの理由について、MFLは明らかにしていません。

PDRMの参加自体により、今季も再び奇数のクラブ数での試合となることが危ぶまれましたが、昨季3部のA1セミプロリーグで4位に終わったクランタン・レッド・ウォリアーズ、同6位UMダマンサラユナイテッド、同12位ブンガラヤの3クラブもスーパーリーグ入りを目指してナショナルクラブライセンスを申請し、特別クラブライセンスがこの3クラブには交付されていました。そしてこの中から最も運営が安定しているとしてクランタン・レッド・ウォリアーズに1部スーパーリーグ参加資格が与えられたということです。


一般的な昇格システムとマレーシアの特別な事情を説明すると、まず2部に当たるプレミアリーグは現在休止となっており、3部のA1セミプロリーグがマレーシアでは実質2部に当たります。またこのA1セミプロリーグは、スーパーリーグを頂点とするマレーシアサッカーリーグながら、同時にスーパーリーグクラブのU23チームも参加する特殊な構成となっています。昨季のA1セミプロリーグは1位がジョホールII(ジョホールU23)、2位がスランゴールII(スランゴールU23)、3位がクダ州サッカー協会選抜(クダFA)でしたが、ジョホール、スランゴールともトップチームがいるスーパーリーグへの参加は規則上禁じられており、またクダFAはA1セミプロリーグ残留を望んだことから、お鉢が回ってきたのが、クランタン・レッド・ウォリアーズというわけです。


しかし2024年12月に設立されたクランタン・レッド・ウォリアーズは、現在、FIFAから新規選手獲得禁止処分を受けています。これはかつてスーパーリーグに存在していたクランタンFCというクラブが複数の選手や監督、コーチへの給料未払い問題を抱えていたことと関連しています。2023年シーズンには最下位に終わったクランタンFCは、財務上の問題から2024/25シーズンのクラブライセンスの交付を受けられなかったことから、2024年半ばに解散してしまいます。

そのクランタンFCの取締役だったニック・ハフィズ・ナイム・ニック・ハッサン氏が会長となり、2024年12月に設立したのがクランタン・レッド・ウォリアーズでした。しかもそのロゴはクランタンFCと酷似している上、レッド・ウォリアーズという愛称もクランタンFCで使われていたものでした。(ニック・ハフィズ氏はその後、辞任しています。)

その後FIFAは、クランタンFCとクランタン・レッド・ウォリアーズは無関係と主張するニック・ハフィズ氏とクラブに説明を求めました。ニック・ハフィズ氏は、クランタン・レッド・ウォリアーズ設立時には既にクランタンFCの取締役を辞していたこと、レッドウォリアーズという愛称やロゴは「クランタン州のアイデンティティ」を示すものであり、クランタンFC固有のものでない、といった説明を行いましたが、FIFAはこれを不十分だと判断し、一旦は2025年1月に取り消されてた新規選手獲得禁止処分を、あらためてクランタン・レッド・ウォリアーズに科しています。現会長のムハマド・ザキ・ハルン氏は、FIFAの処分解除は近いと楽観視している発言をしていますが、果たしてどうなるのか。

スーパーリーグ2026/27シーズンの日程も発表に

スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグは2026/27シーズンの日程を発表しています。詳しい日程表はこちらから。

前年のリーグ覇者とマレーシアカップ優勝チームが対戦するスンパンシーカップは国内三冠のジョホール・ダルル・タジム(ジョホール)がホームのスルタン・イブラヒム・スタジアムにリーグ2位のクチンシティを迎えて開催されます。スンバンシーカップが変わっているのは、この試合が今季開幕戦も兼ねていて、勝者には勝点3が与えられること。シーズン開幕戦で前年の1位と2位が対戦するリーグが他にあるのかどうかはわかりませんが、この奇妙なカップ戦で、来年5月23日の最終節まで続く今季リーグ戦がスタートします。

スーパーリーグ12クラブと実質2部のA1セミプロリーグの4クラブの合計16クラブが出場するFAカップは8月10日に組み合わせ抽選が行われ、1回戦は9月1日と2日に行われ、そこから来年1月16日に予定されている決勝までリーグ戦の間を縫って行われます。

また今シーズンに第100回大会を迎えるアジア最古のカップ戦の一つ、マレーシアカップは12月31日に組み合わせ抽選が行われた後、来年1月22日に開幕し、5月30日に決勝が予定されています。こちらもFAカップと同じ16クラブによる大会です。


残念なのは、2つのカップ戦がいずれも同じ16クラブのみの大会となっていること。マレーシアカップはいわゆるトップクラブの大会とするとしても、FAカップはその名前からもマレーシアサッカー協会FAM傘下の各州サッカー協会(州FA)に加盟しているクラブに門戸を開いても良いのではと思います。それが無理ならば、A1セミプロリーグを運営するアマチュアフットボールリーグ(AFL)が主催するA1セミプロリーグ、A2アマチュアリーグ辺りまで門戸を開き、彼らもマレーシアサッカーのエコシステムの一員だということを実感させてあげるくらいはできるのではと思ってしまいます。

実際のところ、コロナ禍前の2020年と2019年は59クラブが、2018年には40クラブが、そしてそれ以前も30近くのクラブが出場する大会でした、2024/25シーズンからは16クラブが出場するマレーシアカップとは何の変わり映えもしない大会になってします。

7月26日のニュース:アセアン選手権「ヒュンダイカップ」開幕!マレーシアはミャンマー相手に逆転勝利

久しぶりの投稿となりました。さて、ワールドカップの興奮も冷めやらない中、アセアン選手権「ヒュンダイカップ」が開幕しました。開幕戦はブルネイとの予選から勝ち上がった東ティモール対前回王者ベトナム、そしてカンボジア対シンガポールの2試合。DF水野輝、MF小川雄大の両選手が先発XIに名を連ねるカンボジア対MF仲村京雅選手がスタメンのシンガポールの試合は個人的に注目でした。結果は前半にシンガポール、後半にカンボジアがそれぞれ得点する展開となりましたが、試合終了間際にファンディ3兄弟の末弟イルハンが決勝ゴールを決め、シンガポールが勝利しました。なおもう1試合はベトナムが東ティモール相手にグエン・ディン・バックのハットトリックやブラジル出身コンビの計3ゴールなどで7-0と圧勝しています。


また国外組では、東海サッカーリーグ2部のヴェンセドール三重ユナイテッドでプレーするFWハディ・ファイヤッド、アメリカ2部に当たるUSLチャンピオンシップのスポーティング・クラブ・ジャクソンビルでプレーするアメリカ生まれのMFワン・クザインがいずれも初めて代表に招集された他、過去2シーズンはベトナム1部のコンアン・ホーチミン・シティでプレーしたブラジル生まれの帰化選手MFエンドリッキ・ドス・サントスが召集されています。(その後、エンドリッキはマレーシアリーグのスター・シティ加入が発表になっています。)

また昨シーズンは国籍偽装問題などで注目を集めたマレーシア代表の帰化選手ですが、今回は前述のスマレ、エンドリッキの他、ミスター・クアラルンプールことブラジル生まれのパウロ・ジョズエ、昨季はタイ1部カンチャナブリー・パワーでプレーしたアルゼンチン生まれのMFエゼキエル・アグエロの計4選手が選出されている他、全員で25名の代表のうち、ジョホールのU23から選ばれた7選手を含めて9名は初の代表招集となるなど、この大会に暫定監督として臨むタン・チェンホー監督が代表メンバー選出に苦労したこともうかがえます。

一方のミャンマーは、今月に入ってノルウェー出身のヨルン・アンデルセン監督が2年契約で就任しています。北朝鮮や香港で代表監督を務めたこともあるアンデルセン監督の元、DFチョー・ミン・ウー(前トレンガヌ)、WGハイン・テット・アウン(前クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズ)、そしてヌグリスンビランでプレーするMFワイ・リン・アウンなど、マレーシアのサッカーファンには馴染みのある選手がメンバー入りしています。

そしてこの日の両チームの先発XIは以下のとおり。マレーシアはGKアズリ・ガニ(ヌグリスンビラン)が先発し、左右のサイドバックにR・ルヴェンティラン(マラッカ)とアリフ・アフマド(ジョホールU23)、2枚のCBにはウバイドラ・シャムスル(トレンガヌ)とロドニー・ケルヴィンを起用。中盤はアグエロをボランチとしてその前にシャドーストライカー適性が高いシャフィク・アフマド(前DPMM)、そしてエンドリッキを配置し、前線は中央にジョズエ、左右のWGに21歳のG・パヴィトラン(ジョホールU23)とスマレという布陣です。


先制したのはミャンマーでした。左サイドを上がったウイン・ナイン・トゥン(ミャンマー1部ヤンゴンシティ)がそのままペナルティエリアに持ち込みシュートを放つも、これをケルヴィンがブロック。しかしそのこぼれ球をミャット・カウン・カン(ミャンマー1部ヤンゴンシティ)が押し込んでゴール。前半はこのままミャンマーが1点リードで折り返します。

マレーシアが追いついたのは52分でした。エンドリッキの右コーナーキックをファーサイドのスマレが折り返し、これをジョズエが押し込んで同点に追いつきます。その5分後にはエンドリッキからのパスを受けたスマレがドリブルで持ち込みますが、ペナルティエリアでミャンマーDFナンダ・チョーに倒されるとこれがPKとなります。これをキャプテンのジョズエが左コーナーへ決めて、ついにマレーシアが逆転します。その後は両チームともゴールを上げることはできず、アディショナルタイム5分を過ぎたところで大橋侑祐主審の笛が鳴り試合終了。マレーシアが初戦勝利でスタートしています。

なおこの試合では先発したロドニー・ケルヴィン、アリフ・アフマド、そして途中出場のワン・クザインが代表戦デビューを果たしています。

ちなみにこの試合はなぜかマレーシア国内では中継されず、文字速報を追いながら、SNSに上がる失点・得点シーンを探し、試合後にハイライト映像を見ることしかできませんでした。

アセアン選手権ヒュンダイカップ2026 B組第1節 
2026年7月25日@トゥウンナ・スタジアム(ヤンゴン、ミャンマー)
ミャンマー 1-2 マレーシア
⚽️ミャンマー:ミャット・カウン・カン(10分)
⚽️マレーシア:パウロ・ジョズエ2(52分、57分PK)
MOM:パウロ・ジョズエ(マレーシア)

この試合のハイライト映像。東南アジアサッカー連盟(AFF)の公式サイト「アセアンユナイテッドFC」より

なおこの日行われたB組のもう一試合は、前回大会準優勝のタイがラオスを5−0と一蹴しています。B組の第2節は今週火曜日7月28日に予定されており、この日勝利したマレーシアはホームでラオスと、また敗れたミャンマーはアウェイでフィリピンとそれぞれ対戦します。このヒュンダイカップはA・B各組とも1回戦総当たりで対戦し、各組の上位2チームが準決勝に進みます。

アセアン選手権ヒュンダイカップ2026 B組順位表(第1節終了)

順位チーム勝点
1タイ11005053
2マレーシア11002113
3フィリピン00000000
4ミャンマー100112-10
5ラオス100105-50

6月1日のニュース<br>・2027年U20アジア杯予選の組み合わせ決定ーマレーシアはオーストラリア・インドネシアと同じH組に

6月11日のメキシコ対南アフリカの試合で開幕する北中米W杯は、出場各国が最終メンバーを発表していますが、マレーシアリーグでプレーする選手の中からもW杯に出場する選手が3名います。今季2025/26シーズンはリーグ3位に終わったスランゴールからはMFノー・アル=ラワブデとDFモハマド・アブアルナディがヨルダン代表の最終候補に残り、昨日行われたスイス代表との国際親善試合にも出場しています。北中米W杯では、アルゼンチン、アルジェリア、オーストリアと同組のJ組に入っているヨルダンからは、ここ数年で5名の選手がスランゴールでプレーしており、前述のスイス戦には、FWアリー・アルワン(カタール1部アル・スィリーヤ)や、かつて審判に暴力行為を働きマレーシアサッカー協会から永久出場停止処分を受けたDFヤザン・アル=アラブ(韓国1部ソウルFC)など懐かしい名前も見られます。なお、ヨルダン代表招集決定後には、スランゴールでは通算83試合出場のMFノー・アル=ラワブデ、同53試合出場のモハマド・アブアルナディの両選手がクラブを離れるとも受け取れるメッセージをSNSに投稿しており、来季も彼らがスランゴールでプレーするかどうかは不明です。

また今季途中にインドネシア1部プルシス・ソロからトレンガヌに加入したFWヘルファネ・カスタネールは、W杯初出場を果たしたカリブ海の島国キュラソー代表の最終候補に残っています。トレンガヌでは9試合で2ゴール5アシストと目立った成績を残すことができなかったカスタネール選手ですが、5月30日に行われたスコットランドとの国際親善試合に後半から途中出場しています。かつてはオランダ領アンティルとして知られる地域の一部だったキュラソーは、日本プロ野球で1シーズン60本のホームラン最多記録を持つウラディミール・バレンティン(元ヤクルト・ソフトバンク)や、MLBのスーパースターとして活躍後、2013年の楽天ゴールデンイーグルスの初優勝に貢献したアンドリュー・ジョーンズ、WBCでオランダ代表監督を務めたヘンスリー・ミューレンス(元ロッテ・ヤクルト)ら日本の野球ファンには馴染みのある選手を輩出している国ですが、今回のW杯ではドイツ、コートジボアール、エクアドルと同じE組に入っています。

話をマレーシアに戻すと、国籍偽装問題によりアジア杯の出場を逃したマレーシアにとっては、W杯出場はまだまだ先の話。まずは東南アジアでタイやベトナムとの勝負に勝たねばなりません。今回の北中米W杯の決勝が行われる7月19日から5日後の7月24日からはアセアンサッカー連盟が主催するアセアン選手権「ヒュンダイカップ」が始まりますが、これが新たなマレーシア代表のスタートとなります。

2027年U20アジア杯予選の組み合わせ決定ーマレーシアはオーストラリア・インドネシアと同じH組に

AFC U20アジア杯予選2027の組み合わせ抽選が5月28日にクアラルンプールのAFCハウスで行われ、マレーシアはオーストラリア、インドネシア、ラオスと共にH組に入っています。このH組はラオスを試合会場に8月31日から9月6日まで開催されます。今回の予選では、予選全8組の1位と、各組2位の内の成績上位7チームが、大会開催国の中国と共に本戦に出場します。

トレンガヌFC監督就任の噂も出ているマレーシアU20代表のナフジ・ザイン監督は、前回2025年大会で初優勝を果たしたオーストラリアに加え、「永遠のライバル」インドネシア、そして年代別代表戦ではマレーシアも苦戦する開催国ラオスといずれもアセアン東南アジアサッカー連盟所属の3カ国と同組となったことについて、U20代表の選手たちが成長していくためには、いずれは対戦しなければならない相手であり、本戦に出場できるようできる限りの準備はしたいと話しています。

ところでU23代表監督も兼ねるナフジ監督は、本日6月1日にインドネシアのメダンを中心に開幕するアセアンU19選手権にマレーシアU19代表を率いて出場します。マレーシアサッカー協会が発表したU19代表のメンバーを見ると、ジョホール・ダルル・タジム(JDT)のU21チームのJDT IIIから8名、同じくU19チームのJDT IVから7名(中には17歳でチーム最年少のFWアラヤン・ハキームも含まれています)、さらにスランゴールからはU20やU18でプレーする6名が選ばれています。

しかしこのU19代表の中でも注目されているのは、クロアチア3部のNKトルニェ所属のSBルカ・ホダックです。インドネシア1部プルシブ・バンドンの監督として、今季2025/26シーズンにインドネシアリーグ3連覇を達成したボヤン・ホダック監督を父に持つルカ選手はクアラルンプール生まれ、しかも母親がマレーシアのペナン出身であることから、唯一の「海外組」としてU19代表に加わっています。

なおアセアンU19選手権では、マレーシアはグループステージでB組に入っており、明日6月2日にシンガポール、6月5日にブルネイ、そして6月8日には前回大会準優勝のタイと対戦します。この大会はラオスを除くアセアン10カ国とアセアンサッカー連盟加盟のオーストラリアの合計11カ国がグループステージではAからCまでの3組に分かれて対戦し、各組の1位と2位のチームの内、最も成績の良い1チームが準決勝に進みます。

マレーシアだけでなく前参加チームが8月からのU19アジア杯予選前の準備として臨むこの大会ですが、ちなみにマレーシアがこのアセアンU19選手権で優勝したのは過去2回、2018年と2022年ですが、2018年優勝時のマレーシアU19代表の監督は、ルカ選手の父親のボヤン・ホダック氏でした。なおボヤン監督が率いたU19代表は、同じ2018年のAFC U20アジア杯(当時の名称はAFC U19選手権)にも出場していますが、マレーシアがU20アジア杯に出場したのはこの2018年が最後。監督として父親が果たしたマレーシアのU20アジア杯出場を、今度はその息子が選手として再びU20アジア杯出場となれば、マレーシアのサッカーファンからすれば胸熱です。

2025/26マレーシアスーパーリーグ最終節第26節 試合結果とハイライト映像<br>・クチンがクラブ史上初の2位とACL2出場権獲得<br>・スランゴールは大勝も逆転2位ならず<br>・今季初昇格のイミグレセンは6位と健闘

2025/26スーパーリーグの今季最終節となる第26節の6試合が5月15日から17日にかけて行われています。前節で2位に浮上したクチンシティと勝点差1でこれを追うスランゴールの2位争いは最終節まで絡れ込んでいましたが、クチンシティが4位のクアラルンプールシティとの接戦を制し、クラブ史上初となる2位となるとともに、来季2026/27シーズンのACL2出場権を獲得しています。

なお今季のマレーシアスーパーリーグは13チーム編成のため、今節第26節はジョホール・ダルル・タジムの試合はありません。(試合のハイライト映像は、注がない限りマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeより)


ペナンが最終戦で8試合ぶりの勝利

ホームのペナンが1月14日以来、8試合ぶりの勝利を挙げ、今季を8位で終えています。開幕から6試合目で今季初勝利を挙げるなど、当初から苦しいシーズンとなったペナンでしたが、他クラブが成績不振を理由に次々と監督を解任する中で、昨季途中に就任したワン・ロハイミ監督は一時はリーグ最下位に低迷するも、最後まで指揮をとっています。試合後の会見ではワン・ロハイミ監督、昨季から95%の選手が入れ替わった新チームについて、昨季の10位から成績が改善したこともあってか、賞賛に値するとも述べています。シーズン中に給料未払いが明らかになるなど、ピッチ外での問題があった事を考えると、ワン・ロハイミ監督の賞賛は必ずしも的外れではないのかもしれません。

一方、16年ぶりにマレーシアリーグに復帰し、終盤は6試合未勝利のまま10位に終わったDPMMのジェイミー・マカリスター監督は、チームの得点30に対して失点57となった今季を振り返り、戦術が徹底できなかったことに加えて、1試合平均2.4という守備陣の強化を来季の課題と話していました。

なおDPMMは、今季最終戦にも出場したCBジョーダン・ロドリゲス(ブラジル) 、MFイブラヒム・サリー(ガーナ)、元マレーシア代表FWシャフィク・アフマド、同じマレーシア人のSBファイルズ・ザカリア、そして190cmの長身FWクリスチャン・イロビソ(ナイジェリア)の以上5選手の退団を試合後に発表した他、インドネシア代表で今季は4ゴール3アシストの成績を残したFWラマダン・サナンタも退団することが明らかになっています。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第26節
2026年5月15日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナン 2-1 DPMM
⚽️ペナン:ディラン・ウェンゼル=ホールズ(58分)、ステファノ・ブルンド(83分)
⚽️DPMM:ジョーダン・マレー(41分)
ペナンの鈴木ブルーノ選手はこの試合はベンチ外でした。


2度の監督交代も効果なし-トレンガヌは5位で今期終了

今季ジョホールと引き分け、全勝優勝を阻んだトレンガヌは4位から勝点差7の5位でシーズンを終えています。

過去5シーズンを3位、4位、2位、6位、5位と上位に迫る勢いを見せていたトレンガヌは、昨季途中から暫定監督として指揮をとっていたバドロル・アフザン氏が成績に監督に就任し、トップ3入りを今季の目標にスタート。しかい開幕直後こそ上位争いに絡むも、第10節に5位まで落ちると、そこからは上昇することなく、前半戦終了とともにバドロル監督は解任され(トレンガヌU20監督へ転籍)、テンク・ハズマン コーチが暫定監督に就任しました 。しかしテンク・ハズマン代行監督も7勝4分5敗と爆発的な成績は残せませんでした。特にジョホール、クチン、スランゴールの上位3チーム相手にいずれも1勝1分としながら、取りこぼしも多く、その結果、4位のクアラルンプールとの勝点差7では、上位進出は遠い目標でした。

シーズン終盤には、過去数シーズンのクラブ運営による負債を理由に来季の1部スーパーリーグを撤退する可能性が報じられましたが、こちらはシーズン終了後にクラブを運営するトレンガヌ州サッカー協会が1部残留を明言しています。ただし、来季のクラブが最優先するのは積み上がった負債の整理とクラブ運営の仕組みの再編成となることも併せて発表されています。トレンガヌ州サッカー協会のアフマド・シャーリザル・ヤハヤ事務局長は、今後は地元出身選手の育成など「持続可能なクラブ運営」となることについてサポーターに理解を求めたいと述べています。

この試合の指揮をとった元マレーシアU19やU23代表監督の経験もあるフアン・トーレス監督が今季3人目の監督となったサバも、苦しいシーズンを送りました。過去3シーズン続けて3位と安定した力を見せていましたが、その原動力となっていたオン・キムスゥイ氏が昨季途中にインドネシア1部のプルシス・ソロ監督就任のため退団。今季はジャン=ポール・ド・マリニー新監督が就任してスタートしました。しかし開幕からの10試合を2勝4分4敗、マレーシアカップも昇格組のマラッカ相手に1回戦で敗れると、マリニー監督が辞任してしまいます。コーチから昇格したアルト・リナス代行監督も、シーズン途中にマレーシア代表MFスチュアート・ウィルキン、新加入ながらチーム得点王として13試合で8ゴールを挙げていたFWアイディン・ムヤギッチの両主力をいずれも王者ジョホールに引き抜かれ、さらにトーレス監督となった後も9試合を2勝3分4敗と浮上の兆しは見えませんでした。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第26節
2026年5月15日@リカス・スタジアム(サバ州コタキナバル)
サバ 0-1 トレンガヌ
⚽️トレンガヌ:シェルヴォニ・マバツショエフ(81分)


今季初昇格のイミグレセンは6位と健闘

いずれも今季が初の1部スーパーリーグ昇格となった両チームの対戦は引き分けに終わっています。

今季1部初参戦のイミグレセンは、下部リーグ時代に使用していたスタジアムがスーパーリーグの規定を満たしていないことから、ペナン州立スタジアムを新たな本拠地として開幕しました。スーパーリーグの多くのクラブのように州のサッカー協会と密接に関係するわけではなく、マレーシア入国管理局(イミグレーション)のクラブが母体のチームは、その後、照明施設の不備を理由に途中からプルリス州のトゥンク・サイド・プトラ・スタジアムへと本拠地を移すなど、バタバタとしたシーズンになりました。ジョホール、クチン、スランゴールのトップ3チームに相手では未勝利でしたが、それ以外の相手には9勝5分4敗と勝ち越し、初年度で6位という好成績でシーズンを終えています。

なお今季終了後には、入国管理局を統括するマレーシア内務省のセイプディン・ナスティオン・イスマイル大臣は、来季はクラブの名称変更を含めたリブランディングを行うことを発表しています。新たな本拠地となったトゥンク・サイド・プトラ・スタジアムのあるプルリス州や隣接するクダ州のマレーシア北部には現在、スーパーリーグでプレーするクラブがなく、そういった地域のサッカーファン獲得のためのリブランディングであるとも説明しています。

そのイミグレセンと引き分けた同じく今季1部初参戦のマラッカは、マレーシア2部に当たるA1セミプロリーグの昨季の優勝チーム。チームを1部昇格に導いたK・デヴァン監督がそのまま今季も指揮を取りましたが、前半戦を12位で終えると、そのデヴァン監督は辞任しています。終わってみれば、昨季はA1セミプロリーグで優勝を争ったイミグレセンの勝点32に対して、マラッカは同19と大きく引き離された初の1部リーグとなりました。なお24試合でわずか18ゴールしか挙げられなかったことに加え、得点を挙げられなかった試合が全試合の半数に当たる12試合と得点力アップが来季の課題となります。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第26節
2026年5月16日@トゥンク・サイド・プトラ・スタジアム(プルリス州カンガー)
イミグレセン 1-1 マラッカ
⚽️イミグレセン:ファイヤド・ズルキフリ(46分)
⚽️マラッカ:ディノ・カレシッチ(69分)


ヌグリスンビランは終盤失速して7位

ジョホールとの開幕戦では敗れたものの3ゴールを挙げ(今季のジョホールの1試合最多失点)、スランゴールを2-1で破り、クチンと引き分けるなど、今季の「台風の目」との前評判に違わぬスタートを切ったヌグリスンビラン。しかし第4節以降は3勝5分6敗と勝ちきれない試合が続くと、ニザム・ジャミル監督への風当たりも強くなり、結局、辞任に追い込まれます。コーチから昇格したK・ラジャン代行監督の元では、DF大城蛍、MF平野佑一らをシーズン途中で補強、2勝5分と無敗ながらもリーグ下位のチームと引き分けるなど決め手を欠いた結果、7位で今季を終えています。

マレーシアリーグでは初となる1チームに同時の4名の日本人選手が所属したヌグリスンビランですが、今季最終戦終了後には大城、平野両選手に加えて、来季がチーム3シーズン目となるMF佐々木匠、そしてボスニア出身のFWヨバン・モティカの外国籍選手4名との契約更新が行われたことが発表されています。残る常安澪選手については、今季最終戦では先発して今季4点目となるゴールを決めたものの、外国籍選手の出場枠などもあり先発はわずか2試合にとどまったこともあり、退団が濃厚です。

またこの試合に敗れて12位に終わったクランタンは、4ヶ月に及ぶ給料未払いが続く中でのシーズンとなり、この試合後にも外国籍選手も含めた選手たちの窮状を訴えていました。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第26節
2026年5月16日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリ・スンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 2-1 クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズ
⚽️ヌグリスンビラン:クザイミ・ピー(9分)、常安澪(12分)
⚽️クランタン:アスラフ・アリフディン(28分)
ヌグリスンビランの大城蛍、平野佑一両選手は先発してフル出場、常安澪選手は先発して63分に佐々木匠選手と交代しています。佐々木匠選手は試合終了までプレーしています。


スランゴールは大勝も逆転2位ならず

2位クチンを勝点差2で追う最終節を迎えたスランゴールは、今季は伸び悩み、ブーイングを受けることもあったMFムカイリ・アジマルが自身初となるハットトリックを決めるなど、最下位のPDRMを相手に6点を挙げて大勝しましたが、クチンも勝利したため勝点差は埋まらず、昨季の2位から一つ順位を下げて今季は3位でシーズンを終えています。

昨シーズン途中に就任した喜熨斗勝史監督に期待を託してスタートした今季は、開幕からの5試合を2勝3敗とスタートダッシュに失敗すると、クラブはあっさりと喜熨斗監督を解任し、クリストファー・ギャメル代行監督を経て、前マレーシア代表監督のキム・パンゴンを招聘しました。

今季ホーム最終戦でもあったこの日の試合後にをサポーターに謝罪したキム監督でしたが、キム監督就任以来、スランゴールはリーグ戦は11試合連続無敗(8勝3分)でシーズンを終えています。ただし無敗とは言え、下位のサバとマラッカに引き分けたことが、取りこぼしがほとんどなかったクチンの勝点を上回ることができなかった原因でもあります。

3季連続の2位を逃したすらんごーるですが、来季に向けては、現在、ベトナム1部ハノイ公安でプレーしているブラジル出身のマレーシア代表帰化選手MFエンドリッキ、今季はクランタンでプレーした元マレーシア代表MFアザム・アジー、そしてキム監督がマレーシア代表監督時代に初招集したWGアディブ・ラオプ(ペナン)らの補強に動いているという報道もあります。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第26節
2026年5月17日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴール 6-0 PDRM
⚽️スランゴール:ムカイリ・アジマル3(8分、49分、89分)、アルヴィン・フォルテス2(27分、29分)、アリフ・イズワン(53分)


クチンがクラブ史上初の2位とACL2出場権獲得

1部スーパーリーグ昇格3シーズン目のクチンシティが、スランゴールとの2位争いを制して来季2026/27シーズンのACL2出場権を獲得しています。

初年度の13位から昨季の4位へと大躍進を果たし、昨季の最優秀監督賞を受賞したシンガポール出身のアイディン・シャリン監督が作り上げたのは、リーグ2位となる14失点(1位はジョホールの10点)の守り切るチーム。マレーシアリーグ6年目となる谷川由来とキャプテンのジェイムズ・オクウサの両CBと代表GKハジク・ナズリがこの試合でも、クアラルンプールシティの攻撃を封じています。また攻撃陣では今季代表デビューを果たしたFWラマダン・サイフラー、スランゴールから移籍して主力選手として活躍したWGダニアル・アスリの成長も躍進に貢献しています。

一方のクアラルンプールは、チーム得点王のマレーシア代表FWサファウィ・ラシドと守備の要CBジャンカルロ・ガリフオコの両選手が警告累積による出場停止となっていたことに加え、通算クラブ最多ゴール記録を持つ「ミスター・クアラルンプール」ことパウロ・ジョズエはチームと帯同しておらず、ベストメンバーとは言えない布陣でした。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第25節
2026年5月17日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティ 1-0 クアラルンプールシティ
⚽️トレンガヌ:ジェローム・ムパコ・エタメ(29分)
クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ最終順位表

チーム勝点
1ジョホール2423101171010770
2クチンシティ24165345143153
3スランゴール24154459203952
4クアラルンプール24127540291143
5トレンガヌ2410683934536
6イミグレセン2495103843-532
7ヌグリスンビラン2461173935429
8ペナン2467112641-1525
9サバ2458112944-1523
10DPMM2465133057-2723
11マラッカ2447131845-2719
12クランタン2443171763-4615
13PDRM2425171779-6211

2025/26スーパーリーグ最終得点ランキングトップ10

得点選手名所属
127ベルグソン・ダ・シウバジョホール
223クリゴール・モラレススランゴール
314ジャイロ・ダ・シウバジョホール
413サファウィ・ラシドクアラルンプール
13ロナルド・ンガクチン
611*アイディン・ムヤギッチジョホール
11ウィルマー・ホルダンイミグレセン
810エドゥアルド・ソーサイミグレセン
10ジョセフ・エッソヌグリスンビラン
10ディラン・ウェンゼル=ホールズペナン
*アイディン・ムヤギッチのゴール数は、今季途中まで在籍したサバで挙げた8ゴールも含みます

2025/26アセアン(東南アジア)クラブ選手権「ショピーカップ」準決勝1stレグ<br>・ジョホールは天敵ブリーラムに敗れる

2025/26アセアン(東南アジア)クラブ選手権「ショピーカップ」の準決勝1stレグが5月6日に行われています。マレーシアからは昨季のリーグ王者ジョホール・ダルル・タジム(ジョホール)と同2位のスランゴールが揃って準決勝進出を果たしています。いずれものマレーシアのクラブのホームでの開催となった1stレグでは、昨季のベトナムリーグ王者のナム・ディンと対戦したスランゴールはクリゴール・モラエスの2発で逃げ切って辛勝しましたが、タイリーグを連覇中のブリーラム・ユナイテッドと対戦したジョホールは完敗しています。

4日前の5月2日に行われたマレーシアスーパーリーグ第24節のクアラルンプールシティ戦では、7ゴールを挙げて大勝しただけでなく、クラブの1シーズン最多ゴール記録を103として、またもや新記録を樹立したジョホール。国内では圧倒的な強さを誇り、さらに国外でも今季はACLエリートでもクラブ初のベスト8進出を果たすなど、その強さは折り紙つき。しかしそんなジョホールの天敵がタイ王者ブリーラム・ユナイテッドです。下の表にあるように直近の4試合の対戦成績はジョホールの0勝2分2敗、しかも3試合で1ゴールと国内での無双ぶりが嘘のような結果です。

2024年12月3日2024/25ACLE グループリーグジョホール 0-0 ブリーラム
2025年3月4日2024/25ACLE ベスト16 1stレグブリーラム 0-0 ジョホール
2025年3月11日2024/25ACLE ベスト16 2ndレグジョホール 0-1 ブリーラム
2025年9月16日2025/26ACLE グループリーグブリーラム 2-1 ジョホール

過去3年間で5度目となるブリーラムとの対戦を前に、ジョホールのシスコ・ムニョス監督はこの試合に対して決勝戦のように臨むことを選手たちに求めていると話しています。

「これ(ブリーラムとの対戦)は決勝だと理解しなければならない。準決勝は私たちにとって決勝戦だ。ホームでの試合であり、良い雰囲気が必要だ。誰もが私たちを助けてくれると確信している。こうした重要な試合をホームで戦うとき、ファンが私たちに追加の力を与えてくれるからだ」と話したムニョス監督はこれまでの対戦結果がこの試合にとっては重要ではないと話し、チームが成長していることを強調しています。

「(ブリーラムと対戦した昨年9月)当時の我々のチームは成長の過程にあった。シーズン序盤には多くの新加入選手がおり、スタッフや監督も新しかった。しかし今は互いを最大限に活かす方法をより理解していると思う」と勝利への自信を示すとともに、前回対戦とは状況が全く異なることも指摘しています。

一方、「最初にアウェーで戦うことは有利になり得る。なぜなら、その試合をホームに持ち帰ることができるからだ」と会見で述べたブリーラムのマーク・ジャクソン監督は、さらに「相手を尊重しており、彼らが強いチームであることも分かっているが、我々はしっかり準備してきた。良い結果を求めており、前向きな姿勢で試合に臨むつもりだ」とこの試合への意気込みを語っています。

さらに「ジョホールを尊重しているが、自分たち自身にも自信がある。アウェーで結果を出し、その上で第2戦で勝負を決めたい」と自信を見せています。

そんな両チームの先発XIは以下の通りです。自国出身の選手はジョホールが2名(帰化選手を加えると4名)、ブリーラムが3名と、両チームとも主力は外国籍選手というメンバー編成です。


試合はタイ王者ブリーラムが先制します。34分に中央のMFペテル・ジュリから左サイドのタイ代表SBササラック・ハイプラコーンへ渡ったボールを、ササラックがゴール前へ出すと、ブラジル出身FWギリェルメ・ビッソリが身体を寄せるジョホールDFエディ・イスラフィロフをかわしてこのボールを落ちついて押し込み先制点を挙げます。

さらにブリーラムは、左サイドで粘ったビッソリから出たボールをタイ代表MFティーラトン・ブンマタンが素早くクロスを上げると、このボールを元セルビアU21代表のMFゴラン・チャウシッチが強力なヘディングで合わせて追加点を奪います。

前半を終えて2点を追う展開となったジョホールは、後半に入ると攻勢を強め、FWハイロを中心に攻撃しますが、国内リーグ得点王争いでトップに立つFWベルグソンがベンチ外の中、ブリーラムの堅守がこれをはね返します。しかしアディショナルタイムに入った直後、MFアヘル・アケチェが右サイドからのフリーキックを決めてついに1点差に詰め寄りますが、今度がブリーラムがビッソリのこの試合2点目となるゴールで再び2点差としたところで試合が終了しました。


ジョホールのシスコ・ムニョス監督は、この試合後の会見でジョホールサポーターに謝罪し、敗戦は守備のミスが痛手になったことを認めつつも、5月13日の準決勝2ndレグに向けては「自分たちを信じ、最後まで全力を尽くす必要がある。我々はクラブのエンブレムのために、そして(東南アジアNo.1のクラブとなるという)野心のために戦っている。あちらへ行って状況を変えなければならない」と述べています。

一方、2点のリードを得て決勝進出へ大きく前進し、大会連覇に向けて優位に立ったブリーラムのマーク・ジャクソン監督は「私は自分のチームを信じており、どの試合にも勝てると思っている。傲慢になっているわけではないが、チームの能力を信じているし、今季の優勝を共に勝ち取りたい」と語る一方で、「全体を通して選手たちは素晴らしい粘り強さと質を示した。本当に満足しているが、まだ前半が終わっただけだと理解している。だから次の試合に向けて集中し、準備しなければならない」と勝って兜の緒を締め直しています。


なおこの試合後にはブリーラムのネーウィン・チットチョープ会長がジョホールのオーナーで、ジョホール州摂政でもあるトゥンク・イスマイル殿下に対し、ブリーラムとジョホールで東南アジアのサッカーのレベルを上げようと共闘とも取れる発言をしています。一昨年の12月に対戦して引き分けた際には「次に対戦するときには容赦しない」」「イスマイル殿下はもっと積極的にチームを補強した方が良い」といった挑発的なコメントを連発していたことを考えると、大きく様変わりしていますが、これは強者目線での発言なのかも知れません。

またこの試合では、ジョホールが0-2とリードを許していた試合終盤に席を立つ観客が多く見られたことも報じられています。国内リーグでは起こりえない展開に不満だったのか、それともマレーシアリーグでは圧倒的に安い一般席10リンギ(およそ400円)の価値すらないと思ったのか、その辺りの真偽はわかりませんが、メディアの中にもこれを異様な光景と報じているものもありました。


2025/26アセアンクラブ選手権ショピーカップ準決勝1stレグ
2026年5月7日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジム 1-3 ブリーラム・ユナイテッド
⚽️ジョホール:アヘル・アケチェ(90+2分)
⚽️ブリーラム:ギリェルメ・ビッソリ2(34分、90+4分)、ゴラン・チャウシッチ(45+2分)
MOM:ギリェルメ・ビッソリ(ブリーラム・ユナイテッド)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。

2025/26アセアン(東南アジア)クラブ選手権「ショピーカップ」準決勝1stレグ(1)<br>・スランゴールはナムディンに辛勝

2025/26アセアン(東南アジア)クラブ選手権「ショピーカップ」の準決勝1stレグが5月6日に行われています。マレーシアからは昨季のリーグ王者ジョホール・ダルル・タジム(ジョホール)と同2位のスランゴールが揃って準決勝進出を果たしています。昨季のベトナムリーグ王者のナム・ディンをホームに迎えたスランゴールはクリゴール・モラエスの2発で逃げ切って辛勝しましたが、タイリーグを連覇中のブリーラム・ユナイテッドと対戦したジョホールは完敗しています。


スランゴールはナムディンに辛勝

今季も国内タイトルとは無縁のままシーズンを終えるスランゴールにとって、このショピーカップは、クラブの名誉をかけた大会でもあります。今大会のグループリーグ最終節では負ければグループリーグ敗退という中で、タイの強豪BGパトゥム・ユナイテッドと引き分けて準決勝に滑り込んでいます。

そして迎えた準決勝の1stレグの両チームの先発XIは以下の通り。スランゴールはリーグ戦でも直近の数試合で先発しているシーク・イズハンがショピーカップ初先発を果たした他、カーボベルデ出身のWGアルヴィン・フォルテスが警告累積でこの試合は出場停止となっています。


試合は攻勢に見えながらも決定機を作れない中で、徐々に相手に流れがいってしまうまさに今季のスランゴールを象徴するような展開で始まります。3月のアジア杯予選最終節ではマレーシアを粉砕したブラジル出身FWグエン・スアン・ソンからのボールを受けたDFワルバーが強烈なシュートを放ちますが、GKシーク・イズハンがパンチングで凌ぎます。その後はファイサル・ハリムが相手ペナルティエリアまでドリブルで持ち込みチャンスをつくもシュートには至らず、逆にナムディンのFWチャドラック・アコロがスランゴールDF陣を翻弄して角度のないところからシュートを放ちますが、これもシーク・イズハンがブロックします。

スランゴールの最初のシュートは20分でした。左サイドを上がったウーゴ・ブムスからフリーとなっていたファイサル・ハリムへ絶妙のパスが出ますが、ファイサルのシュートはGKカイケの正面へ。カイケはキャッチできなかったものの、DFがこれをクリアして事なきを得ます。

南アフリカ代表WGパーシー・タウ、ブラジル出身の長身MFカイオ・セザールらが次々とチャンスを作り、ナムディンが徐々にベースを掴んでいく中で、38分にスランゴールがカウンターから先制します。ヨルダン代表MFノー・ラワブデのフィードをブムスが頭で繋いだボールは右サイドをオーバーラップしてきたSBクェンティン・チェンの足元へ。このボールをゴール前へ流すと、そこに走り込んできたFWクリゴール・モラエスが1対1となったGKカイケの股下を抜いてゴールを決めて、1−0とします。

しかしナムディンはさらにペースを上げ、前半終了間際の44分にはスランゴールDF陣がタウにペナルティエリアへの侵入を許すと、そこから出たボールをベトナム代表SBグエン・ヴァン・ヴィが押し込んで、ナムディンはあっさり同点に追いつきます。

後半に入ると58分にスランゴールが逆転します。中盤でファイサル・ハリムが相手DF数名をしっかりと惹きつけてから右サイドでフリーとなっていたチャンにパス。そこからの低いクロスを受けたモラエスが飛び出したGKをかわしてから落ち着いてゴール!再びスランゴールがリードを奪います。

しかしここから自陣に引き気味になった事で中盤でナムディンにスペースを与えると、スランゴールは防戦一方となってしまいます。それでも耐え抜いたスランゴールは、ボール保持率もシュート数もコーナーキックの数も全てナムディンを下回りながら、なんとか逃げ切って先勝しています。

準決勝2ndレグは来週5月13日にナムディンのホーム、ティエン・チュオン・スタジアムで行われます。

2025/26東南アジアクラブ選手権ショピーカップ準決勝1stレグ
2026年5月6日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴール 2-1 ナムディン
⚽️スランゴール:クリゴール・モラエス2(38分、58分)
⚽️ナムディン:グエン・ヴァン・ヴィ(44分)
MOM:クリゴール・モラエス(スランゴール)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第22節 試合結果とハイライト映像:<br>クアラルンプールは快勝も監督休養へ<br>ジョホールの国内リーグ戦連勝記録が27で止まる・<br>・スランゴールは痛恨の引き分けで3位後退<br>・クチンは快勝で2位浮上

スーパーリーグ第22節の6試合が4月10日から12日にかけて行われ、クチンシティが2位に浮上しています。残り試合が4試合で勝点43のクチンシティは、リーグ8位のDPMM FC、今節ジョホールと引き分けた同5位トレンガヌFC、同12位マラッカFC、そしてリーグ最終戦では現在4位のクアラルンプールシティとの対戦が控えています。

勝点でクチンシティに並ぶも得失差で3位のセランゴールは、残り試合が3試合とクチンシティより1試合少なく、リーグ順位11位のケランタン、同9位のペナン、そして最下位13位のPDRMとの対戦が残っていますが、この試合を全勝しても、クチンシティが残り4試合を3勝1分で乗り切れば、3位にとどまります。

また勝点42で4位のKLシティは、残り3試合が王者ジョホール、6位ヌグリスンビラン、そして最終戦がおそらく鍵を握るクチンシティといった強豪との対戦が残っており、チームが2位となる可能性は限りなく低いですが、クチンシティに一泡吹かせることになれば、スランゴールの2位をアシストする可能性もあります。

なお今季のマレーシアスーパーリーグは13チーム編成のため、今節第22節はマラッカの試合はありません。(試合のハイライト映像は、注がない限りマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeより。)


トップ3を目指すクアラルンプールは快勝も監督休養へ

マレーシアカップ準決勝ではジョホール・ダルル・タジム(ジョホール)に2試合で1−8と粉砕されたクアラルンプールシティ(クアラルンプール)。ホームでの1stレグで0−4と破れると、リスト・ヴィダコヴィッチ監督はその試合後会見で、すでにリーグ夕ようを決めているジョホール相手に2ndレグでの逆転は無理と白旗を挙げるとともに、2位争いに残るためにリーグ戦のこのクランタン戦を優先する旨の発言をしていました。

現在リーグ4位のクアラルンプールは同11位のクランタンを相手にサファウィ・ラシドとクパー・シャーマンのゴールで2−0と快勝したものの、そのヴィダコヴィッチ監督の名が試合前に提出されたベンチ入りメンバー表になかったことが注目を集めています。この件を報じた英字紙スターによると、ヴィダコヴィッチ監督はチームと共に試合が行われたクランタン州のコタバルへは遠征したということです。

今季2025/26シーズンが残り3試合の時点で勝点42と、2021シーズン以来の最高成績に到達したクアラルンプールですが、クラブ経営陣はヴィダコヴィッチ監督をシーズン終了まで彼を休養させる決定を下したということです。これまでも歯に衣着せぬ発言を繰り返していたヴィダコヴィッチ監督ですが、前述の「白旗を上げる」発言はさすがにサポーターや経営陣の反感を買ったとみられており、クラブからの正式発表も数日中に出されると予想されています。

なおクアラルンプールは次節第23節は試合がないため、今月はもう試合がありません。残り3節の日程は、第24節では5月2日に再びジョホールと再びアウェイで対戦し、第25節は5月10日にはホームでヌグリ・スンビラン、最終節となる第26節では5月15日にクチンとアウェイで対戦する予定になっています。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第22節
2026年4月10日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズ 0-2 クアラルンプールシティ
⚽️クアラルンプール:サファウィ・ラシド(20分)、クパー・シャーマン(54分)


最後は9人となったペナンがイミグレセン相手に引き分け

40分にDFアディブ・ラオプが相手のファウルに反応して蹴り返し1発レッド、そして90分には1対1の得点機でのファウルでDFステファノ・ブルンドがVARの介入後にイエロー取り消しで1発レッドで退場となったペナンが、イミグレセンとの試合を引き分けで終えています。

シーズン途中に本拠地をペナン州バトゥ・カワンのペナン州立スタジアムから、プルリス州カンガーのトゥンク・サイド・プトラ・スタジアムに変更して2試合目となったイミグレセンは、新たな本拠地での勝利を逃しています。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第22節
2026年4月11日@トゥンク・サイド・プトラ・スタジアム(プルリス州カンガー)
イミグレセン 0-0 ペナン
ペナンの鈴木ブルーノ選手はベンチ外でした。


ジョホールの国内リーグ戦連勝記録が27で止まる

4月7日のマレーシアカップ準決勝2ndレグではクアラルンプールに圧勝し、通算成績8−1で決勝進出を決めたばかりのジョホール。既に優勝を決めているリーグ戦も開幕20連勝中で、特にホームのスルタン・イブラヒム・スタジアムでは10戦10勝、しかも57得点6失点と圧倒的な成績を残しています。

アルジェリア代表FWリヤド・マフレズの劇的なフリーキックで準々決勝出場を決め、大会2連覇を狙うアル・アハリ・サウジ戦をさらに今週金曜日4月17日に控えるマレーシアの絶対王者にとっては、今節のトレンガヌ戦はいわば重要な試合前の最後の「調整」程度だろうと予測されていました。

対するトレンガヌは、アキヤ・ラシド、バキウディン・シャムスディンの左右両WGをいずれもケガで、また3月31日のアジア杯2027予選でフィリピン代表を破って本大会出場を決めたタジキスタン代表FWシェルヴォニ・マバトショエフは体調不良でベンチ外と、暫定監督のテンク・ハズマン監督代行にとっては主力を欠く苦しい状況での試合でした。

キックオフから自陣内でのプレーが続くトレンガヌは192cmのGKラーディアズリ・ラハリムが採算の好セーブを見せますが、23分にペナルティエリア内の混戦からエースのベルグソン・ダ・シルバがゴールを決めて、ジョホールが先制します。トレンガヌは今季最初の対戦となった10月31日の試合では、ジョホールに0−5と敗れており、またゴールラッシュで大敗の予感が漂う中、次にゴールを挙げたのはトレンガヌでした。

この試合ではベンチ外のシェルヴォニ・マバトショエフとともに3月31日のアジア杯予選フィリピン戦に出場し、タジキスタンの2大会連続アジア杯出場権獲得に貢献したMFエフソニ・パンシャンベがカレッカからのパスを胸でトラップ、そこから反転して放ったシュートはジョホールGKシーハン・ハズミが反応できず、同点弾となります。

その後はGKラーディアズリの好セーブやゴールポストに助けられてジョホールの得点を許さなかったトレンガヌがジョホールの開幕からの連勝記録をストップしています。なおジョホールが国内リーグで勝点3を取れなかったのは、昨季2024/25シーズン7月31日のPDRM戦での引き分け以来27試合ぶりのことです。またトレンガヌは2022年シーズン4月21日にジョホールを1−0で破っており、国内リーグで最後にジョホールに黒星をつけたチームでもあります。

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この試合後、ジョホールのシスコ・ムニョス監督は「時には顔に一撃を受けるのも悪くない。それが目を覚ますきっかけになることもある」と語り、結果には失望し、試合内容も良くなかったことを認めながらも、「ミスから学び、前に進むだけだ。それ以上でもそれ以下でもない。」と気を引き締めていました。一方、試合後にまるで勝利したかのような喜びようを見せていたトレンガヌのテンク・ハズマン監督代行は、この引き分けは幸運だったとし、試合ではJDTの得点力が本来の力を発揮していなかったと語っています。

またジョホールは、1989年から1994年にかけてコートジボワールのクラブ、ASECミモザスが樹立した108試合無敗の世界記録の更新を目指しており、ここまで2022年シーズンからこの試合まで105試合連続無敗のジョホールは、今季のリーグ戦は残り3試合と来季2026/27シーズン開幕戦まで無敗を維持すれば、新記録達成となります。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第22節
2026年4月11日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジム 1-1 トレンガヌ
⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シルバ(23分)
⚽️トレンガヌ:エフソニ・パンシャンベ(36分)


スランゴールはサバ相手に痛恨の引き分け

今節前まで2位のスランゴールは勝点42で、3位のクチンシティに勝点差2をつけていますが、そのクチンシティは試合数が1試合少なく、また4位のクアラルンプールシティも勝点39と、来季のACL2や東南アジアクラブ選手権ショピーカップ出場権のかかる2位争いは熾烈を極めています。

そんな三つ巴の争いの中で、スランゴールは10位のサバとホームで対戦して、痛恨の引き分けを喫しています。この結果、セランゴールは残り3試合で勝点9を獲得する必要がある一方で、同時にクチンシティが残り4試合で勝点3を落とすことも期待しなければならなくなりました。

試合は前半31分にエース、ファイサル・ハリムのゴールで先制しましたが、そのわずか3分後にはマレーシアU23代表FWファーガス・ティアニーがスランゴールDF3人をかわす素晴らしいドリブルを見せて同点ゴールを決めると、その後は両チームともゴールを破ることはできませんでした。

後半はスランゴールのボールポゼッション率が圧倒的に高かったものの、自陣深くに下がり、いわゆる「パーク・ザ・バス」の守備的な試合運びを選んだサバを相手に決定的なチャンスを作ることができませんでした。前節のクアラルンプールシティ戦、そしてマレーシアカップ準決勝のクチンシティ戦と、ここ数試合のスランゴールは組織的に守る相手を崩すことができない試合展開が続いています。

スランゴールのキム・パンゴン監督はこの試合後に「2位で終える可能性は非常に低い。我々はこの試合に勝つべきだったし、最後まで戦い続けなければならない」と述べ、最後まで諦めずに戦うしかないと話す一方で、チームは最善を尽くしたが、失望させるような結果となったことをサポーターに謝罪したいとも述べています。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第22節
2026年4月11日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴール 1-1 サバ
⚽️スランゴール:ファイサル・ハリム(31分)
⚽️サバ:ファーガス・ティアニー(34分)


クチンは快勝でスランゴールに代わって2位浮上

クチンシティが最下位のPDRMに快勝し、ついにリーグ2位に浮上しています。

クチンシティのFWラマダン・サイフラーは、下部組織から過ごしたジョホールでは選手層の厚さからトップチームではなかなか出場機会を得られませんでしたが、昨季ローン移籍でクチンシティに加入するとその才能を如何なく発揮し、完全移籍した今季は主力選手の一人として活躍しています。アジア杯2027予選ではついにマレーシア代表デビューも果たした25歳のラマダン選手は、この日のPDRM戦でも後半に2ゴールを上げチームを勝利に導いています。

クチンシティは開始2分で、チーム得点王のFWロナルド・ンガの3試合ぶりのゴールが先制点となる理想的なスタート。しかしPDRMも43分にFWアミルル・ワイエ・ヤコブがこぼれ球を押し込む自身今季初ゴールで試合を振り出しに戻します。

しかし後半に入るとラマダンが2ゴールを決めて、クチンシティが再びリードを奪います。48分のフリーキックはゴール前の谷川由来選手に合わせたものが直接、ゴールイン。さらに63分には狙いすましてゴール右上に見事なフリーキックを決めます。さらにジェローム・ンパコ・エタメが68分に頭で合わせて4点目を追加したクチンシティが完勝し、ついに2位に浮上しています。

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この試合前までは19試合で10失点と、リーグ優勝のジョホール(20試合で7失点)に次ぐ、リーグ2位の失点の少なさが示すように、自慢の守備力で勝ち切ってきたクチンシティですが、アイディル・シャリン監督は決定力不足が依然として課題であり、早急に改善しなければならないと述べています。

チームとして早い時間帯に得点することを狙っており、選手たちは非常に良い立ち上がりを見せた一方で、好機は多く作ったが決めきれなかったことが、今後の改善点になるとアイディル監督は試合後に述べています。

この試合では、代表GKハジク・ナズリや、出場機会が少なかったスランゴールから移籍して今季はレギュラーポジションを掴んだMFダニアル・アスリなど主力を休ませ、次戦となる今週末4月18日のマレーシアカップ準決勝2ndレグのスランゴール戦を見据えた選手起用を行ったアイディル監督ですが、クラブ初のリーグ2位、そしてマレーシアカップ決勝進出に向けて、しっかりと準備ができているようです。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第22節
2026年4月12日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティ 4-1 PDRM
⚽️クチンシティ:ロナルド・ンガ(2分)、ラマダン・サイフラー2(48分、62分)、ジェローム・ンパコ・エタメ(68分)
⚽️PDRM:アミルル・ワイエ・ヤアコブ(34分)
クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。


断食明けの祝日ハリラヤやFIFAデイズ、そしてマレーシアカップ準決勝などで1ヶ月ほど試合がなかった両チームの対戦は2-2の引き分けに終わっています。

前節第21節3月13日の最下位PDRM戦こそ6−1と大勝したものの、今年に入ってからは0勝2分4敗と苦しい試合が続いているヌグリスンビラン。ジョホール、スランゴール、クチンシティといった上位との対決が続いたとはいえ、5位のトレンガヌとは勝点差9と話される一方で、9位までのペナンとは勝点差3の間に4チームがひしめいており、1節ごとに順位が変動しています。

8位のDPMMと引き分けた試合後の会見でヌグリスンビランのK・ラジャン監督は攻撃陣は決定力不足が、守備陣は相手の攻撃への対応が遅れたことが引き分けの原因と分析し、ホームで戦うというアドバンテージを活かすことができなかったことを悔いていました。

一方、DPMMのジェイミー・マカリスター監督は、アウェーでの引き分けは良い結果だとのべ、さらに元マレーシア代表FWサフィク・アフマドのパフォーマンス向上が、前線においてチームに良い影響を与えていると残り試合への期待も述べています。

試合では、前半31分に佐々木匠が先制点を決めてヌグリスンビランがリードしましたが、後半の48分にクリスティアン・イロビソ、さらに61分にはハケメ・ヤジドがゴールを決めて、DPMMが逆転しました。すると72分にジョセフ・エッソが同点ゴールを決めてヌグリスンビランが引き分けに持ち込んでいます

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第22節
2026年4月12日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリ・スンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 2-2 DPMM
⚽️ヌグリスンビラン:佐々木匠(31分)、ジョセフ・エッソ(74分)
⚽️DPMM;クリスチャン・イロビソ(49分)、ハケメ・ヤジド(61分)
ヌグリスンビランの佐々木匠、大城蛍、平野佑一の各選手は先発してフル出場、常安澪選手は80分から交代出場し、試合終了までプレーしています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ順位表(第22節終了)

チーム勝点
1ジョホール2120109478661
2クチンシティ20134337102743
3スランゴール21134443202343
4クアラルンプール21126338191942
5トレンガヌ209563427732
6ヌグリスンビラン205873330323
7イミグレセン2064102640-1422
8DPMM2064102649-2322
9ペナン2055102335-1220
10サバ193792341-1816
11クランタン2143141541-2615
12マラッカ1935111439-2514
13PDRM2024141562-4710

2025/26スーパーリーグ得点トップ10(第22節終了)

得点選手名所属
121ベルグソン・ダ・シウバジョホール
219クリゴール・モラレススランゴール
314ジャイロ・ダ・シウバジョホール
413サファウィ・ラシドクアラルンプール
512ロナルド・ンガクチン
610*アイディン・ムヤギッチジョホール
77ディラン・ウェンゼル=ホールズペナン
78エドゥアルド・ソーサイミグレセン
8オスカル・アリバスジョホール
97アリフ・アイマンジョホール
7ジョアン・フィゲイレドジョホール
7ラマダン・サイフラークチンシティ
7ジョセフ・エッソヌグリスンビラン
136ヤン・マベラ他6名トレンガヌ
*アイディン・ムヤギッチのゴール数は、今季途中まで在籍したサバで挙げた8ゴールも含みます

マレーシアカップ2025/26 準決勝2ndレグ(1):ジョホール対クアラルンプール-ジョホールが順当に勝利し、6季連続で決勝進出

4月7日(火)にマレーシアカップ2025/26準決勝のジョホール・ダルル・タジム(ジョホール)対クアラルンプールシティ(クアラルンプール)の試合が行われ、3日前の4月4日に行われた1stレグで4-0と圧勝していたジョホールが、この試合でも4-1で勝利し、通算成績を8-1として決勝進出を決めています。ジョホールはこれで6シーズン連続でマレーシアカップ決勝進出となります。。

アウェイの試合で4-0と大きなリードを得ていたジョホールは、1stレグからは、マレーシア代表入りが濃厚とされるブラジル出身のFWベルグソン・ダ・シルバ、スペイン出身のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)MFナチョ・メンデス、そしてケガから復帰したDFシャーミ・サファリ以外の先発8名を入れ替えてこの試合に臨んでいます。一方、ジョホールほど選手層が厚くないクアラルンプールは、1stレグから6名を入れ替えています。

試合はジョホールが開始から積極的に攻め、36分にクアラルンプールのCBでこちらもマレーシア代表入り間近とされるオーストラリア出身のジャンカルロ・ガリフオコがジョホールMFネネを自陣ペナルティエリア内で倒してPKを与えてしまいます。しかしそのPKを蹴ったベルグソンはボールをゴールポストに当てて外してしまいます。

しかし、前半を0−0で折り返した後半の48分でした。自身のミスを取り返すようにネネからのクロスをベルグソンが頭で合わせてゴール!ジョホールが先制します。

さらにジョホールはその3分後、ナチョ・メンデスがゴール前のアフィク・ファザイルへクロスを送りますが、クアラルンプールGKハフィズル・ハキムが反応よく飛び出しますが、これがセーブともパンチングとならず、そのまま詰めていたシャーミ・サファリの足元へ。これを落ち着いて決めたシャーミ選手の2024年5月25日以来、およそ2年ぶりのゴールでジョホールがリードを広げます。クアラルンプールにとっては、前半何度も好セーブを見せていたハフィズル選手だっただけに悔いが残ります。

さらに58分には、GKハフィズル選手が前目のポジションを取っているのを見逃さなかったベルグソンがミドルシュートを放って、この試合自身2点目となるゴールを決めると、クアラルンプールもザフリ・ヤハヤのコーナーキックに合わせGGことガリフオコ選手がヘディングシュートを放つと、ジョホールのヘリテイジ帰化選手で19歳のGKクリスチャン・アバドが反応できず、なんとか1点を返します。しかし88分にはシーズン途中でサバから加入したアイディン・ムヤギッチがダメ押しのゴールを決めたジョホールが1stレグに続く連勝で通算成績を8-1として、4シーズン連続国内三冠(リーグ戦、マレーシアFAカップ、マレーシアカップ)に王手をかけた試合でした。

ジョホールはもうひとつの準決勝で1stレグを引き分けているスランゴールとクチンシティの2ndレグ(4月18日)の勝者と、5月23日にTM国立競技場(旧ブキ・ジャリル国立競技場)で開催される決勝で対戦します。

4月4日のマレーシアカップ準決勝1stレグから、中三日で開催されたこの日の2ndレグ。ジョホールがACL準々決勝を4月17日に戦うことにより変更された日程です。なお今回のマレーシアカップ準決勝の前の3月31日には、アジア杯2027大会予選最終節ベトナム戦が行われ、クアラルンプールからはパウロ・ジョズエ、サファウィ・ラシドの両FWが代表入りしましたが、両選手は代表戦から中三日となった準決勝1stレグのみの出場でした。一方のジョホールは代表デビューが期待されたヘリテイジ帰化選手のナチョ・メンデスがケガで代表入りを辞退した一方で準決勝2試合でいずれも先発、またリーグ戦の出場時間がわずか133分(5試合)のMFナズミ・ファイズが代表入りし、このマレーシアカップ準決勝2試合では、1stはベンチ外、2ndレグは68分からの出場でした。

マレーシアカップ2025/26 準決勝2ndレグ
2026年4月7日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジム 4-1 クアラルンプールシティ(通算成績8-1)
⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シルバ2(49分、58分)、シャーミ・サファリ(52分)、アイディン・ムヤギッチ(89分)
⚽️クアラルンプール:ジャンカルロ・ガリフオコ(68分)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。

マレーシアカップ2025/26 準決勝1stレグ(1):ジョホール対クアラルンプール-国内三冠を狙う王者が圧勝

今季2025/26シーズンのマレーシア1部スーパーリーグはまだ4試合を残すも、既に今季のリーグ優勝を決めているジョホール・ダルル・タジム(ジョホール)は、今季のマレーシアFAカップも優勝しています。そして4季連続の国内三冠(リーグ戦、FAカップ、マレーシアカップ)達成のためには、このマレーシアカップが最後に必要なタイトルとなります。

国内で圧倒的な強さを誇るジョホールは、2020年シーズンからは手に入るほぼ全てのタイトルを獲得していますが、唯一、2021年のマレーシアカップでは決勝で敗れています。そしてその相手がクアラルンプールシティ(クアラルンプール)でした。

当時のクアラルンプールは名将ボヤン・ホダック監督(現インドネシア1部プルシブ・バンドン監督)が率いており、決勝ではこの年にリーグ8連覇を果たしていたジョホールを2-0で破り、クラブとしては32年ぶりの優勝を果たしました。

そんな両チームの顔合わせとなった今シーズンの準決勝ですが、ジョホールは1回戦、そして準々決勝の4試合(マレーシアカップは決勝以外は全てホームアンドアウェイ方式で行われます)で、19得点2失点と圧倒的な力で勝ち上がってきたのに対し、クアラルンプールは1回戦で3部A1セミプロリーグでプレーするペラFAに2試合合計3−2、準々決勝ではトレンガヌ相手にやはり3−2と薄氷を履む思いでここまで勝ち上がっています。

ホームのクアラルンプールは2021年のマレーシアカップ決勝でもゴールを決めているFWパウロ・ジョズエ、そしてジョホールからローン移籍中のFWサファウィ・ラシドら、3月31日のアジア杯予選ベトナム戦でもプレーした両選手が中3日で先発する一方、ジョホールはその代表戦を「ケガ」で辞退したヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)のナチョ・メンデス、そして今季はリーグ戦15試合に出場し、マレーシア人選手としてはGKシーハン・ハズミに次ぐ15試合出場(13試合先発)ながら、ピーター・クラモフスキー監督が代表に招集しなかったMFアフィク・ファザイルら休養十分な選手が先発に名を連ねています。

この試合はスタジアムで観戦しましたが、いざ始まってみるとなぜか既視感がありました。クアラルンプールは手を抜いているのではないだろうが、ゴールを挙げようという必死さがない。むしろそれは相手のジョホールの方がはるかに強い。ゴール近くまではボールを運ぶものの、自分たちのスタイルに固執しているのか、ひたすらサイドからのクロスを上げようとするも、そこをことごとジョホールに潰される。

あれ?これって、アジア杯予選で最終節でベトナムに対峙したマレーシアと同じだ。開始5分、ベルグソン・ダ・シルバのゴールで先制されると、クアラルンプールの選手たちの動きが悪くなる。失うものがないはずなのに、埒が開かない同じ戦術を繰り返す。中央突破を試すでもなく、ミドルシュートを打つでもなく、手を替え品を替えて争おうという気配がない。終わってみれば、むしろよく4失点で済んだな、という試合でした。

そして極め付けは、試合後のリスト・ヴィダコヴィッチ監督の会見でした。「ジョホールが相手と決まった時点で、我々のマレーシアカップは終わっていた。2試合でジョホールに勝つのは不可能だ。」と話したクアラルンプールの監督は、チームがベストパフォーマンスを発揮してもジョホールには敵わないと話したということです。

「ジョホールはリーグでは他のチームより上のクラスにいる。彼らに誰よりも早く、誰よりも強い。そんなチームに勝つには良い選手が必要だ。」

「我々は強いチームを相手にホームで0−4で敗れた。(2ndレグが行われる)ジョホールでこの結果を覆すのは可能性が極めて低く、現実的であるべきだと考えている。」

と話したヴィダコヴィッチ監督は、チームは(今日4月7日の)マレーシアカップ準決勝2ndレグではなく、(4月10日の)次のリーグ戦に向けて備えさせたいと話し、その理由として「マレーシアカップについては、もう何の希望もない」と語っています。

個人的には、ジョホールを油断させるための方便と思いたいところですが、これまで歯に衣着せぬ発言をしてきたヴィダコヴィッチ監督だけに本音が漏れたのかもしれません。少なくとも、ホダック監督なら例えそう思っていてもこんなことは言わなかっただろうなぁ。

2026年4月4日@KLフットボールスタジアム
クアラルンプールシティ 0-4 ジョホール・ダルル・タジム
⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シルバ(5分)、アヘル・アケチェ2(31分、83分)、オスカル・アリバス(59分)

この試合のハイライト映像。マレーシアンフットボールリーグのYouTubeチャンネルより。