マレーシアカップ1回戦により中断していたスーパーリーグは第17節の3試合が1月31日と2月1日に行われています。1月5日に開いた今季2度目のトランスファーウィンドウは、昨日2月1日に閉じていますが、そんな中、国内リーグを運営するマレーシアンサッカーリーグ(MFL)が、クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズ(クランタン)に出されていた新規選手獲得禁止処分が2月1日日付で解除されたと発表しました。
クランタンは、今季2025/26シーズンの選手給与未払い問題により、マレーシアサッカー協会(FAM)、MFL、国際サッカー連盟(FIFA)からそれぞれ新規選手獲得禁止処分を受けていました。
MFLの発表によると、MFLとFIFAに報告されていた給与未払い問題については既に解決されたことが、FAMから通知書で確認されたということです。またマレーシアプロサッカー選手協会(PFAM)も、クランタンが抱えていた昨季分の未払い給料についてもクラブと当事者である選手23名の間で締結された和解合意書を受領したことを正式にMFLに対し通知し、新規選手獲得禁止処分の解除を認めたということです。
毎シーズン必ずどこかのクラブで起こるこの給料未払い問題は、問題を起こすクラブが悪いのは当然ですが、そういったクラブの財務状況を見抜けず、毎年クラブライセンスを交付している第一審機関(FIB)が、そもそも役割を果たしていないという批判もあり、マレーシアサッカー界の「闇」とも言える根深い問題の一つでもあります。
なお今季のマレーシアスーパーリーグは13チーム編成のため、今節第17節はサバの試合はありません。(試合のハイライト映像は、注がない限りマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeより。)
DPMMとマラッカは引き分け
リーグ戦では4連勝後に2連敗と順位の上下動を繰り返しながら、それでも順位を7位まで挙げてきたブルネイのDPMMと、前節第16節のPDRM戦で今季2勝目を挙げたマラッカの対戦は引き分けに終わっています。
ホームのDPMMは、かつてはサファウィ・ラシド(KLシティ)らとともにジョホールやマレーシア代表でも活躍したFWシャフィク・アフマドが7試合ぶりに先発すると、試合開始からキレッキレの動きを見せ、53分にはDPMM加入後初となる待望のゴールを決めて先制します。ここ数年はさまざまな問題もあり不遇な時を過ごしてきたシャフィク選手には、個人的には是非とも復活して欲しいところです。
しかし前半戦を12位で折り返したマラッカは、トランスファーウィンドウで加入し、この試合がマレーシアリーグデビューとなったエジプト出身、身長196センチの大型ストライカーのアフメド・シャムスディがまさに高さを生かしたヘディングシュートを決めてで同点に追いつきます。このアフメド選手はマレーシアカップ1回戦のサバ戦でも2ゴールを決めて、クラブ史上初の準々決勝進出の立役者となっており、他のクラブも警戒が必要です。
試合はその後、両チームともゴールを挙げられず、試合は引き分けに終わっています。
マレーシアスーパーリーグ2025/26 第17節
2026年1月31日@ハサナル・ボルキア国立競技場(ブルネイ)
DPMM 1-1 マラッカ
⚽️DPMM:シャフィク・アフマド(12分)
⚽️マラッカ:アフメド・シャムサルディン(53分)
首位ジョホールは今季8度目となる5ゴールを挙げて完勝も処分一時停止のヘリテイジ帰化選手起用は大丈夫?
1月26日にスポーツ仲裁裁判所(CAS)は、国籍偽装が疑われる7人のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)に対してFIFAが科した12ヶ月の出場停止処分について、CASでの審理が完了するまで一時停止とする暫定措置を発令しています。
これを受けてジョホールは1月29日に行われた東南アジアクラブ選手権ショピーカップのシャン・ユナイテッド(ミャンマー)戦に、処分対象のFWジョアン・フィゲイレド、MFエクトル・ヘヴェル、DFジョン・イラザバルの3選手全員を早速、先発起用しています。
しかし、CASの広報担当者は、この暫定措置は、7選手の出場停止処分が最終決定が下されるまで一時停止されただけであり、処分に関する紛争は未解決のままであることを改めて強調しています。つまりCASによる最終決定がFIFAによる出場停止処分が正当であると認められた場合、ジョホールは資格のない選手を起用したことになってしまいます。
FIFA懲戒規定第19条では、資格のない選手が公式試合に出場した場合、違反したチームは、元のスコアがそれより悪かった場合を除き、3対0で負けとしてその試合を没収されると規定されており、この規定は、国内リーグや大陸間トーナメントを含む、FIFA公認のすべての大会に適用されるということです。つまり処分が確定していない現時点で処分対象の選手を起用することは、ジョホールはかなりのリスクを犯しているように見えます。しかし、一旦は代表戦の出場を認めながらそれを撤回したFIFAの処分こそが間違えていると一貫して主張しているクラブオーナーでジョホール州摂政のトゥンク・イスマイル殿下にとっては、どこ吹く風、といったところでしょうか。
CASの処分一時停止措置発表後、初の国内リーグ戦となったこの試合では、フィゲイレド選手が先発、へヴェル選手はベンチスタート、そしてイラザバルはベンチ外となりました。
そしてこの試合の先制点を挙げたのが、まさにフィゲイレド選手でした。国内リーグ戦の出場は昨年9月以来、10試合ぶりの出場でしたが、テト・マーティンから流れてきたボールを豪快に蹴り込んで、やはり10試合ぶりとなるゴールを決めています。
前半はこの1点のみで折り返したジョホールですが、後半は一気にギアを上げ、相手DFのオウンゴールで追加点を挙げると、リーグ通算ゴール数でトップに立つベルグソン・ダ・シウバが3点目と5点目を、そしてJ1の V・ファーレン長崎から加入したマルコス・ギリェルメがマレーシアリーグ初ゴールとなるチーム4点目を決めるなど、後半だけで4ゴールを挙げたジョホールがイミグレセンに完勝しています。
なおこの試合で勝利したジョホールは、2021年4月から続く国内リーグ無敗記録をついに100試合(!)としています。国内リーグ11連覇中、今季も4季連続の国内三冠(リーグ、マレーシアカップ、FAカップ)達成を目指すジョホールがこの間に残した成績は92勝8分となっています。
マレーシアスーパーリーグ2025/26 第17節
2026年2月1日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール 5-0 イミグレセン
⚽️ジョホール:ジョアン・フィゲイレド(21分)、ヴィニシウス・ミラニ(59分OG)、ベルグソン・ダ・シウバ2(60分、90+1分)、マルコス・ギリェルメ(66分)
スランゴールは2位を守るもトレンガヌと痛い引き分け
クチンシティ、クアラルンプールシティと激しい2位争いを繰り広げているスランゴールは、4位トレンガヌと対戦し、両チームのキャプテンがそれぞれゴールを決めて1−1の引き分けに終わっています。
試合はホームのトレンガヌが優勢に試合を進め、20分にはアキヤ・ラシドがスランゴールDFモハメド・アブアルナディのミスをついてボールを奪いゴールを決めますが、これはVARにより認められませんでした。しかしチームとしての連携ではスランゴールを上回るプレーを見せるトレンガヌは、何度もスランゴールのゴールに迫ります。
この試合がマレーシアリーグデビューとなったキュラソー代表FWヘルファネ・カスタネールも32分にはシュートを放ちますが、これはスランゴールGKカラムラー・アル=ハフィズが好セーブして防ぎます。司会攻撃の手を緩めないトレンガヌは、41分にエフサン・パンジシャンベのパスを受けたキャプテンのカレッカが豪快に蹴り込んでついに先制します。
後半に入っても、トレンガヌはサフワン・マズランはパンジシャンベのコーナーキックを頭で合わせてシュートを放ちますが、これはクロスバーに当たってしまい、追加点のチャンスを逃します。
一方、前半は試合開始直後にアルヴィン・フォルテスが放ったシュート1本に抑えられたスランゴールは、後半の57分にこちらもキャプテンのファイサル・ハリムがフォルテスカラのパスを受けると一気にトレンガヌのディフェンダー2人を巧みに抜き去りシュート!これがゴール右隅に決まり、スランゴールがついに追いつきます。
さぁここから、というスランゴールの追撃に水を刺したのは、この試合がマレーシアデビューとなったウーゴ・ブモスでした。73分にカスタネールへの危険なタックルがVARの介入でイエローから1発レッドとなり、スランゴールは10人でプレーすることを余儀なくされてしまいます。それでも試合終盤には新戦力のペルナンブコ、キム・ジホの両WGを次々投入して、勝点3を取りにかかり、アディショナルタイムには、クリゴール・モラエスがトレンガヌGKと1対1となる場面もありましたが、ここまで何度も好セーブを見せていたラーディアズリ・ラハリムはここでも身体を張ってゴールを許さず、試合は1−1の引き分けに終わっています。
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またこの試合前にスランゴールのウルトラス「ウルトラセル」のメンバー33名が現地警察に拘束されたことが報じられています。これはウルトラセルのメンバーおよそ400名がクラブの旗を掲げて街中からクアラトレンガヌ市内にかかる橋を行進し、途中で照明弾を発射するなどして車両の進路を塞ぐなどの交通妨害をしたためで、拘束されたメンバー33名はスタジアムに姿を見せることはなかったということです。
さらに本日午後の警察発表によると、拘束された17歳から43歳までの男性33名中21名が大麻の陽性反応を示し、全員が麻薬所持、麻薬検査での陽性反応、公務執行妨害の疑いで逮捕されたたということです。その中には大学生7人と中学生1人も含まれているということです。何やってんだよぉ、ウルトラセル…。
マレーシアスーパーリーグ2025/26 第17節
2026年2月1日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 1-0 スランゴール
⚽️トレンガヌ:カレッカ(43分)
⚽️スランゴール:ファイサル・ハリム(57分)
2025/26マレーシアスーパーリーグ順位表(第17節終了)
| チーム | 試 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 | 差 | 勝点 | |
| 1 | ジョホール | 16 | 16 | 0 | 0 | 73 | 6 | 67 | 48 |
| 2 | スランゴール | 16 | 10 | 2 | 4 | 34 | 17 | 17 | 32 |
| 3 | クチンシティ | 15 | 9 | 4 | 2 | 29 | 8 | 21 | 31 |
| 4 | クアラルンプール | 16 | 8 | 6 | 2 | 27 | 15 | 12 | 30 |
| 5 | トレンガヌ | 16 | 7 | 4 | 5 | 29 | 24 | 5 | 25 |
| 6 | ペナン | 16 | 5 | 3 | 8 | 2 | 27 | -7 | 18 |
| 7 | DPMM | 16 | 5 | 3 | 8 | 21 | 40 | -19 | 18 |
| 8 | ヌグリ・スンビラン | 15 | 4 | 5 | 6 | 20 | 21 | -1 | 17 |
| 9 | イミグレセン | 15 | 4 | 3 | 8 | 22 | 33 | -11 | 15 |
| 10 | クランタン | 16 | 4 | 3 | 9 | 14 | 31 | -17 | 15 |
| 11 | サバ | 14 | 3 | 5 | 6 | 19 | 29 | -10 | 14 |
| 12 | マラッカ | 15 | 2 | 4 | 9 | 10 | 34 | -24 | 10 |
| 13 | PDRM | 16 | 1 | 4 | 11 | 12 | 45 | -33 | 7 |
2025/26スーパーリーグ得点トップ10(第17節終了)
| 得点 | 選手名 | 所属 | |
| 1 | 16 | クリゴール・モラレス | スランゴール |
| 16 | ベルグソン・ダ・シウバ | ジョホール | |
| 3 | 12 | ジャイロ・ダ・シウバ | ジョホール |
| 4 | 10 | ロナルド・ンガ | クチン |
| 5 | 8 | サファウィ・ラシド | クアラルンプール |
| 8 | *アジディン・ムヤギッチ | ジョホール | |
| 8 | ディラン・ウェンゼル=ホールズ | ペナン | |
| 8 | 7 | アリフ・アイマン | ジョホール |
| 7 | ジョアン・フィゲイレド | ジョホール | |
| 10 | 6 | ヤン・マベラ | トレンガヌ |
| 6 | カレッカ | トレンガヌ | |
| 6 | ヨヴァン・モティカ | ヌグリ・スンビラン | |
| 6 | ジョセフ・エッソ | ヌグリ・スンビラン | |
| 6 | チェチェ・キプレ | ペナン | |
| 6 | エドゥアルド・ソーサ | イミグレセン |





