2025/26マレーシアスーパーリーグ最終節第26節 試合結果とハイライト映像<br>・クチンがクラブ史上初の2位とACL2出場権獲得<br>・スランゴールは大勝も逆転2位ならず<br>・今季初昇格のイミグレセンは6位と健闘

2025/26スーパーリーグの今季最終節となる第26節の6試合が5月15日から17日にかけて行われています。前節で2位に浮上したクチンシティと勝点差1でこれを追うスランゴールの2位争いは最終節まで絡れ込んでいましたが、クチンシティが4位のクアラルンプールシティとの接戦を制し、クラブ史上初となる2位となるとともに、来季2026/27シーズンのACL2出場権を獲得しています。

なお今季のマレーシアスーパーリーグは13チーム編成のため、今節第26節はジョホール・ダルル・タジムの試合はありません。(試合のハイライト映像は、注がない限りマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeより)


ペナンが最終戦で8試合ぶりの勝利

ホームのペナンが1月14日以来、8試合ぶりの勝利を挙げ、今季を8位で終えています。開幕から6試合目で今季初勝利を挙げるなど、当初から苦しいシーズンとなったペナンでしたが、他クラブが成績不振を理由に次々と監督を解任する中で、昨季途中に就任したワン・ロハイミ監督は一時はリーグ最下位に低迷するも、最後まで指揮をとっています。試合後の会見ではワン・ロハイミ監督、昨季から95%の選手が入れ替わった新チームについて、昨季の10位から成績が改善したこともあってか、賞賛に値するとも述べています。シーズン中に給料未払いが明らかになるなど、ピッチ外での問題があった事を考えると、ワン・ロハイミ監督の賞賛は必ずしも的外れではないのかもしれません。

一方、16年ぶりにマレーシアリーグに復帰し、終盤は6試合未勝利のまま10位に終わったDPMMのジェイミー・マカリスター監督は、チームの得点30に対して失点57となった今季を振り返り、戦術が徹底できなかったことに加えて、1試合平均2.4という守備陣の強化を来季の課題と話していました。

なおDPMMは、今季最終戦にも出場したCBジョーダン・ロドリゲス(ブラジル) 、MFイブラヒム・サリー(ガーナ)、元マレーシア代表FWシャフィク・アフマド、同じマレーシア人のSBファイルズ・ザカリア、そして190cmの長身FWクリスチャン・イロビソ(ナイジェリア)の以上5選手の退団を試合後に発表した他、インドネシア代表で今季は4ゴール3アシストの成績を残したFWラマダン・サナンタも退団することが明らかになっています。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第26節
2026年5月15日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナン 2-1 DPMM
⚽️ペナン:ディラン・ウェンゼル=ホールズ(58分)、ステファノ・ブルンド(83分)
⚽️DPMM:ジョーダン・マレー(41分)
ペナンの鈴木ブルーノ選手はこの試合はベンチ外でした。


2度の監督交代も効果なし-トレンガヌは5位で今期終了

今季ジョホールと引き分け、全勝優勝を阻んだトレンガヌは4位から勝点差7の5位でシーズンを終えています。

過去5シーズンを3位、4位、2位、6位、5位と上位に迫る勢いを見せていたトレンガヌは、昨季途中から暫定監督として指揮をとっていたバドロル・アフザン氏が成績に監督に就任し、トップ3入りを今季の目標にスタート。しかい開幕直後こそ上位争いに絡むも、第10節に5位まで落ちると、そこからは上昇することなく、前半戦終了とともにバドロル監督は解任され(トレンガヌU20監督へ転籍)、テンク・ハズマン コーチが暫定監督に就任しました 。しかしテンク・ハズマン代行監督も7勝4分5敗と爆発的な成績は残せませんでした。特にジョホール、クチン、スランゴールの上位3チーム相手にいずれも1勝1分としながら、取りこぼしも多く、その結果、4位のクアラルンプールとの勝点差7では、上位進出は遠い目標でした。

シーズン終盤には、過去数シーズンのクラブ運営による負債を理由に来季の1部スーパーリーグを撤退する可能性が報じられましたが、こちらはシーズン終了後にクラブを運営するトレンガヌ州サッカー協会が1部残留を明言しています。ただし、来季のクラブが最優先するのは積み上がった負債の整理とクラブ運営の仕組みの再編成となることも併せて発表されています。トレンガヌ州サッカー協会のアフマド・シャーリザル・ヤハヤ事務局長は、今後は地元出身選手の育成など「持続可能なクラブ運営」となることについてサポーターに理解を求めたいと述べています。

この試合の指揮をとった元マレーシアU19やU23代表監督の経験もあるフアン・トーレス監督が今季3人目の監督となったサバも、苦しいシーズンを送りました。過去3シーズン続けて3位と安定した力を見せていましたが、その原動力となっていたオン・キムスゥイ氏が昨季途中にインドネシア1部のプルシス・ソロ監督就任のため退団。今季はジャン=ポール・ド・マリニー新監督が就任してスタートしました。しかし開幕からの10試合を2勝4分4敗、マレーシアカップも昇格組のマラッカ相手に1回戦で敗れると、マリニー監督が辞任してしまいます。コーチから昇格したアルト・リナス代行監督も、シーズン途中にマレーシア代表MFスチュアート・ウィルキン、新加入ながらチーム得点王として13試合で8ゴールを挙げていたFWアイディン・ムヤギッチの両主力をいずれも王者ジョホールに引き抜かれ、さらにトーレス監督となった後も9試合を2勝3分4敗と浮上の兆しは見えませんでした。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第26節
2026年5月15日@リカス・スタジアム(サバ州コタキナバル)
サバ 0-1 トレンガヌ
⚽️トレンガヌ:シェルヴォニ・マバツショエフ(81分)


今季初昇格のイミグレセンは6位と健闘

いずれも今季が初の1部スーパーリーグ昇格となった両チームの対戦は引き分けに終わっています。

今季1部初参戦のイミグレセンは、下部リーグ時代に使用していたスタジアムがスーパーリーグの規定を満たしていないことから、ペナン州立スタジアムを新たな本拠地として開幕しました。スーパーリーグの多くのクラブのように州のサッカー協会と密接に関係するわけではなく、マレーシア入国管理局(イミグレーション)のクラブが母体のチームは、その後、照明施設の不備を理由に途中からプルリス州のトゥンク・サイド・プトラ・スタジアムへと本拠地を移すなど、バタバタとしたシーズンになりました。ジョホール、クチン、スランゴールのトップ3チームに相手では未勝利でしたが、それ以外の相手には9勝5分4敗と勝ち越し、初年度で6位という好成績でシーズンを終えています。

なお今季終了後には、入国管理局を統括するマレーシア内務省のセイプディン・ナスティオン・イスマイル大臣は、来季はクラブの名称変更を含めたリブランディングを行うことを発表しています。新たな本拠地となったトゥンク・サイド・プトラ・スタジアムのあるプルリス州や隣接するクダ州のマレーシア北部には現在、スーパーリーグでプレーするクラブがなく、そういった地域のサッカーファン獲得のためのリブランディングであるとも説明しています。

そのイミグレセンと引き分けた同じく今季1部初参戦のマラッカは、マレーシア2部に当たるA1セミプロリーグの昨季の優勝チーム。チームを1部昇格に導いたK・デヴァン監督がそのまま今季も指揮を取りましたが、前半戦を12位で終えると、そのデヴァン監督は辞任しています。終わってみれば、昨季はA1セミプロリーグで優勝を争ったイミグレセンの勝点32に対して、マラッカは同19と大きく引き離された初の1部リーグとなりました。なお24試合でわずか18ゴールしか挙げられなかったことに加え、得点を挙げられなかった試合が全試合の半数に当たる12試合と得点力アップが来季の課題となります。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第26節
2026年5月16日@トゥンク・サイド・プトラ・スタジアム(プルリス州カンガー)
イミグレセン 1-1 マラッカ
⚽️イミグレセン:ファイヤド・ズルキフリ(46分)
⚽️マラッカ:ディノ・カレシッチ(69分)


ヌグリスンビランは終盤失速して7位

ジョホールとの開幕戦では敗れたものの3ゴールを挙げ(今季のジョホールの1試合最多失点)、スランゴールを2-1で破り、クチンと引き分けるなど、今季の「台風の目」との前評判に違わぬスタートを切ったヌグリスンビラン。しかし第4節以降は3勝5分6敗と勝ちきれない試合が続くと、ニザム・ジャミル監督への風当たりも強くなり、結局、辞任に追い込まれます。コーチから昇格したK・ラジャン代行監督の元では、DF大城蛍、MF平野佑一らをシーズン途中で補強、2勝5分と無敗ながらもリーグ下位のチームと引き分けるなど決め手を欠いた結果、7位で今季を終えています。

マレーシアリーグでは初となる1チームに同時の4名の日本人選手が所属したヌグリスンビランですが、今季最終戦終了後には大城、平野両選手に加えて、来季がチーム3シーズン目となるMF佐々木匠、そしてボスニア出身のFWヨバン・モティカの外国籍選手4名との契約更新が行われたことが発表されています。残る常安澪選手については、今季最終戦では先発して今季4点目となるゴールを決めたものの、外国籍選手の出場枠などもあり先発はわずか2試合にとどまったこともあり、退団が濃厚です。

またこの試合に敗れて12位に終わったクランタンは、4ヶ月に及ぶ給料未払いが続く中でのシーズンとなり、この試合後にも外国籍選手も含めた選手たちの窮状を訴えていました。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第26節
2026年5月16日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリ・スンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 2-1 クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズ
⚽️ヌグリスンビラン:クザイミ・ピー(9分)、常安澪(12分)
⚽️クランタン:アスラフ・アリフディン(28分)
ヌグリスンビランの大城蛍、平野佑一両選手は先発してフル出場、常安澪選手は先発して63分に佐々木匠選手と交代しています。佐々木匠選手は試合終了までプレーしています。


スランゴールは大勝も逆転2位ならず

2位クチンを勝点差2で追う最終節を迎えたスランゴールは、今季は伸び悩み、ブーイングを受けることもあったMFムカイリ・アジマルが自身初となるハットトリックを決めるなど、最下位のPDRMを相手に6点を挙げて大勝しましたが、クチンも勝利したため勝点差は埋まらず、昨季の2位から一つ順位を下げて今季は3位でシーズンを終えています。

昨シーズン途中に就任した喜熨斗勝史監督に期待を託してスタートした今季は、開幕からの5試合を2勝3敗とスタートダッシュに失敗すると、クラブはあっさりと喜熨斗監督を解任し、クリストファー・ギャメル代行監督を経て、前マレーシア代表監督のキム・パンゴンを招聘しました。

今季ホーム最終戦でもあったこの日の試合後にをサポーターに謝罪したキム監督でしたが、キム監督就任以来、スランゴールはリーグ戦は11試合連続無敗(8勝3分)でシーズンを終えています。ただし無敗とは言え、下位のサバとマラッカに引き分けたことが、取りこぼしがほとんどなかったクチンの勝点を上回ることができなかった原因でもあります。

3季連続の2位を逃したすらんごーるですが、来季に向けては、現在、ベトナム1部ハノイ公安でプレーしているブラジル出身のマレーシア代表帰化選手MFエンドリッキ、今季はクランタンでプレーした元マレーシア代表MFアザム・アジー、そしてキム監督がマレーシア代表監督時代に初招集したWGアディブ・ラオプ(ペナン)らの補強に動いているという報道もあります。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第26節
2026年5月17日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴール 6-0 PDRM
⚽️スランゴール:ムカイリ・アジマル3(8分、49分、89分)、アルヴィン・フォルテス2(27分、29分)、アリフ・イズワン(53分)


クチンがクラブ史上初の2位とACL2出場権獲得

1部スーパーリーグ昇格3シーズン目のクチンシティが、スランゴールとの2位争いを制して来季2026/27シーズンのACL2出場権を獲得しています。

初年度の13位から昨季の4位へと大躍進を果たし、昨季の最優秀監督賞を受賞したシンガポール出身のアイディン・シャリン監督が作り上げたのは、リーグ2位となる14失点(1位はジョホールの10点)の守り切るチーム。マレーシアリーグ6年目となる谷川由来とキャプテンのジェイムズ・オクウサの両CBと代表GKハジク・ナズリがこの試合でも、クアラルンプールシティの攻撃を封じています。また攻撃陣では今季代表デビューを果たしたFWラマダン・サイフラー、スランゴールから移籍して主力選手として活躍したWGダニアル・アスリの成長も躍進に貢献しています。

一方のクアラルンプールは、チーム得点王のマレーシア代表FWサファウィ・ラシドと守備の要CBジャンカルロ・ガリフオコの両選手が警告累積による出場停止となっていたことに加え、通算クラブ最多ゴール記録を持つ「ミスター・クアラルンプール」ことパウロ・ジョズエはチームと帯同しておらず、ベストメンバーとは言えない布陣でした。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第25節
2026年5月17日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティ 1-0 クアラルンプールシティ
⚽️トレンガヌ:ジェローム・ムパコ・エタメ(29分)
クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ最終順位表

チーム勝点
1ジョホール2423101171010770
2クチンシティ24165345143153
3スランゴール24154459203952
4クアラルンプール24127540291143
5トレンガヌ2410683934536
6イミグレセン2495103843-532
7ヌグリスンビラン2461173935429
8ペナン2467112641-1525
9サバ2458112944-1523
10DPMM2465133057-2723
11マラッカ2447131845-2719
12クランタン2443171763-4615
13PDRM2425171779-6211

2025/26スーパーリーグ最終得点ランキングトップ10

得点選手名所属
127ベルグソン・ダ・シウバジョホール
223クリゴール・モラレススランゴール
314ジャイロ・ダ・シウバジョホール
413サファウィ・ラシドクアラルンプール
13ロナルド・ンガクチン
611*アイディン・ムヤギッチジョホール
11ウィルマー・ホルダンイミグレセン
810エドゥアルド・ソーサイミグレセン
10ジョセフ・エッソヌグリスンビラン
10ディラン・ウェンゼル=ホールズペナン
*アイディン・ムヤギッチのゴール数は、今季途中まで在籍したサバで挙げた8ゴールも含みます

2025/26アセアン(東南アジア)クラブ選手権「ショピーカップ」準決勝1stレグ<br>・ジョホールは天敵ブリーラムに敗れる

2025/26アセアン(東南アジア)クラブ選手権「ショピーカップ」の準決勝1stレグが5月6日に行われています。マレーシアからは昨季のリーグ王者ジョホール・ダルル・タジム(ジョホール)と同2位のスランゴールが揃って準決勝進出を果たしています。いずれものマレーシアのクラブのホームでの開催となった1stレグでは、昨季のベトナムリーグ王者のナム・ディンと対戦したスランゴールはクリゴール・モラエスの2発で逃げ切って辛勝しましたが、タイリーグを連覇中のブリーラム・ユナイテッドと対戦したジョホールは完敗しています。

4日前の5月2日に行われたマレーシアスーパーリーグ第24節のクアラルンプールシティ戦では、7ゴールを挙げて大勝しただけでなく、クラブの1シーズン最多ゴール記録を103として、またもや新記録を樹立したジョホール。国内では圧倒的な強さを誇り、さらに国外でも今季はACLエリートでもクラブ初のベスト8進出を果たすなど、その強さは折り紙つき。しかしそんなジョホールの天敵がタイ王者ブリーラム・ユナイテッドです。下の表にあるように直近の4試合の対戦成績はジョホールの0勝2分2敗、しかも3試合で1ゴールと国内での無双ぶりが嘘のような結果です。

2024年12月3日2024/25ACLE グループリーグジョホール 0-0 ブリーラム
2025年3月4日2024/25ACLE ベスト16 1stレグブリーラム 0-0 ジョホール
2025年3月11日2024/25ACLE ベスト16 2ndレグジョホール 0-1 ブリーラム
2025年9月16日2025/26ACLE グループリーグブリーラム 2-1 ジョホール

過去3年間で5度目となるブリーラムとの対戦を前に、ジョホールのシスコ・ムニョス監督はこの試合に対して決勝戦のように臨むことを選手たちに求めていると話しています。

「これ(ブリーラムとの対戦)は決勝だと理解しなければならない。準決勝は私たちにとって決勝戦だ。ホームでの試合であり、良い雰囲気が必要だ。誰もが私たちを助けてくれると確信している。こうした重要な試合をホームで戦うとき、ファンが私たちに追加の力を与えてくれるからだ」と話したムニョス監督はこれまでの対戦結果がこの試合にとっては重要ではないと話し、チームが成長していることを強調しています。

「(ブリーラムと対戦した昨年9月)当時の我々のチームは成長の過程にあった。シーズン序盤には多くの新加入選手がおり、スタッフや監督も新しかった。しかし今は互いを最大限に活かす方法をより理解していると思う」と勝利への自信を示すとともに、前回対戦とは状況が全く異なることも指摘しています。

一方、「最初にアウェーで戦うことは有利になり得る。なぜなら、その試合をホームに持ち帰ることができるからだ」と会見で述べたブリーラムのマーク・ジャクソン監督は、さらに「相手を尊重しており、彼らが強いチームであることも分かっているが、我々はしっかり準備してきた。良い結果を求めており、前向きな姿勢で試合に臨むつもりだ」とこの試合への意気込みを語っています。

さらに「ジョホールを尊重しているが、自分たち自身にも自信がある。アウェーで結果を出し、その上で第2戦で勝負を決めたい」と自信を見せています。

そんな両チームの先発XIは以下の通りです。自国出身の選手はジョホールが2名(帰化選手を加えると4名)、ブリーラムが3名と、両チームとも主力は外国籍選手というメンバー編成です。


試合はタイ王者ブリーラムが先制します。34分に中央のMFペテル・ジュリから左サイドのタイ代表SBササラック・ハイプラコーンへ渡ったボールを、ササラックがゴール前へ出すと、ブラジル出身FWギリェルメ・ビッソリが身体を寄せるジョホールDFエディ・イスラフィロフをかわしてこのボールを落ちついて押し込み先制点を挙げます。

さらにブリーラムは、左サイドで粘ったビッソリから出たボールをタイ代表MFティーラトン・ブンマタンが素早くクロスを上げると、このボールを元セルビアU21代表のMFゴラン・チャウシッチが強力なヘディングで合わせて追加点を奪います。

前半を終えて2点を追う展開となったジョホールは、後半に入ると攻勢を強め、FWハイロを中心に攻撃しますが、国内リーグ得点王争いでトップに立つFWベルグソンがベンチ外の中、ブリーラムの堅守がこれをはね返します。しかしアディショナルタイムに入った直後、MFアヘル・アケチェが右サイドからのフリーキックを決めてついに1点差に詰め寄りますが、今度がブリーラムがビッソリのこの試合2点目となるゴールで再び2点差としたところで試合が終了しました。


ジョホールのシスコ・ムニョス監督は、この試合後の会見でジョホールサポーターに謝罪し、敗戦は守備のミスが痛手になったことを認めつつも、5月13日の準決勝2ndレグに向けては「自分たちを信じ、最後まで全力を尽くす必要がある。我々はクラブのエンブレムのために、そして(東南アジアNo.1のクラブとなるという)野心のために戦っている。あちらへ行って状況を変えなければならない」と述べています。

一方、2点のリードを得て決勝進出へ大きく前進し、大会連覇に向けて優位に立ったブリーラムのマーク・ジャクソン監督は「私は自分のチームを信じており、どの試合にも勝てると思っている。傲慢になっているわけではないが、チームの能力を信じているし、今季の優勝を共に勝ち取りたい」と語る一方で、「全体を通して選手たちは素晴らしい粘り強さと質を示した。本当に満足しているが、まだ前半が終わっただけだと理解している。だから次の試合に向けて集中し、準備しなければならない」と勝って兜の緒を締め直しています。


なおこの試合後にはブリーラムのネーウィン・チットチョープ会長がジョホールのオーナーで、ジョホール州摂政でもあるトゥンク・イスマイル殿下に対し、ブリーラムとジョホールで東南アジアのサッカーのレベルを上げようと共闘とも取れる発言をしています。一昨年の12月に対戦して引き分けた際には「次に対戦するときには容赦しない」」「イスマイル殿下はもっと積極的にチームを補強した方が良い」といった挑発的なコメントを連発していたことを考えると、大きく様変わりしていますが、これは強者目線での発言なのかも知れません。

またこの試合では、ジョホールが0-2とリードを許していた試合終盤に席を立つ観客が多く見られたことも報じられています。国内リーグでは起こりえない展開に不満だったのか、それともマレーシアリーグでは圧倒的に安い一般席10リンギ(およそ400円)の価値すらないと思ったのか、その辺りの真偽はわかりませんが、メディアの中にもこれを異様な光景と報じているものもありました。


2025/26アセアンクラブ選手権ショピーカップ準決勝1stレグ
2026年5月7日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジム 1-3 ブリーラム・ユナイテッド
⚽️ジョホール:アヘル・アケチェ(90+2分)
⚽️ブリーラム:ギリェルメ・ビッソリ2(34分、90+4分)、ゴラン・チャウシッチ(45+2分)
MOM:ギリェルメ・ビッソリ(ブリーラム・ユナイテッド)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。

2025/26アセアン(東南アジア)クラブ選手権「ショピーカップ」準決勝1stレグ(1)<br>・スランゴールはナムディンに辛勝

2025/26アセアン(東南アジア)クラブ選手権「ショピーカップ」の準決勝1stレグが5月6日に行われています。マレーシアからは昨季のリーグ王者ジョホール・ダルル・タジム(ジョホール)と同2位のスランゴールが揃って準決勝進出を果たしています。昨季のベトナムリーグ王者のナム・ディンをホームに迎えたスランゴールはクリゴール・モラエスの2発で逃げ切って辛勝しましたが、タイリーグを連覇中のブリーラム・ユナイテッドと対戦したジョホールは完敗しています。


スランゴールはナムディンに辛勝

今季も国内タイトルとは無縁のままシーズンを終えるスランゴールにとって、このショピーカップは、クラブの名誉をかけた大会でもあります。今大会のグループリーグ最終節では負ければグループリーグ敗退という中で、タイの強豪BGパトゥム・ユナイテッドと引き分けて準決勝に滑り込んでいます。

そして迎えた準決勝の1stレグの両チームの先発XIは以下の通り。スランゴールはリーグ戦でも直近の数試合で先発しているシーク・イズハンがショピーカップ初先発を果たした他、カーボベルデ出身のWGアルヴィン・フォルテスが警告累積でこの試合は出場停止となっています。


試合は攻勢に見えながらも決定機を作れない中で、徐々に相手に流れがいってしまうまさに今季のスランゴールを象徴するような展開で始まります。3月のアジア杯予選最終節ではマレーシアを粉砕したブラジル出身FWグエン・スアン・ソンからのボールを受けたDFワルバーが強烈なシュートを放ちますが、GKシーク・イズハンがパンチングで凌ぎます。その後はファイサル・ハリムが相手ペナルティエリアまでドリブルで持ち込みチャンスをつくもシュートには至らず、逆にナムディンのFWチャドラック・アコロがスランゴールDF陣を翻弄して角度のないところからシュートを放ちますが、これもシーク・イズハンがブロックします。

スランゴールの最初のシュートは20分でした。左サイドを上がったウーゴ・ブムスからフリーとなっていたファイサル・ハリムへ絶妙のパスが出ますが、ファイサルのシュートはGKカイケの正面へ。カイケはキャッチできなかったものの、DFがこれをクリアして事なきを得ます。

南アフリカ代表WGパーシー・タウ、ブラジル出身の長身MFカイオ・セザールらが次々とチャンスを作り、ナムディンが徐々にベースを掴んでいく中で、38分にスランゴールがカウンターから先制します。ヨルダン代表MFノー・ラワブデのフィードをブムスが頭で繋いだボールは右サイドをオーバーラップしてきたSBクェンティン・チェンの足元へ。このボールをゴール前へ流すと、そこに走り込んできたFWクリゴール・モラエスが1対1となったGKカイケの股下を抜いてゴールを決めて、1−0とします。

しかしナムディンはさらにペースを上げ、前半終了間際の44分にはスランゴールDF陣がタウにペナルティエリアへの侵入を許すと、そこから出たボールをベトナム代表SBグエン・ヴァン・ヴィが押し込んで、ナムディンはあっさり同点に追いつきます。

後半に入ると58分にスランゴールが逆転します。中盤でファイサル・ハリムが相手DF数名をしっかりと惹きつけてから右サイドでフリーとなっていたチャンにパス。そこからの低いクロスを受けたモラエスが飛び出したGKをかわしてから落ち着いてゴール!再びスランゴールがリードを奪います。

しかしここから自陣に引き気味になった事で中盤でナムディンにスペースを与えると、スランゴールは防戦一方となってしまいます。それでも耐え抜いたスランゴールは、ボール保持率もシュート数もコーナーキックの数も全てナムディンを下回りながら、なんとか逃げ切って先勝しています。

準決勝2ndレグは来週5月13日にナムディンのホーム、ティエン・チュオン・スタジアムで行われます。

2025/26東南アジアクラブ選手権ショピーカップ準決勝1stレグ
2026年5月6日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴール 2-1 ナムディン
⚽️スランゴール:クリゴール・モラエス2(38分、58分)
⚽️ナムディン:グエン・ヴァン・ヴィ(44分)
MOM:クリゴール・モラエス(スランゴール)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第22節 試合結果とハイライト映像:<br>クアラルンプールは快勝も監督休養へ<br>ジョホールの国内リーグ戦連勝記録が27で止まる・<br>・スランゴールは痛恨の引き分けで3位後退<br>・クチンは快勝で2位浮上

スーパーリーグ第22節の6試合が4月10日から12日にかけて行われ、クチンシティが2位に浮上しています。残り試合が4試合で勝点43のクチンシティは、リーグ8位のDPMM FC、今節ジョホールと引き分けた同5位トレンガヌFC、同12位マラッカFC、そしてリーグ最終戦では現在4位のクアラルンプールシティとの対戦が控えています。

勝点でクチンシティに並ぶも得失差で3位のセランゴールは、残り試合が3試合とクチンシティより1試合少なく、リーグ順位11位のケランタン、同9位のペナン、そして最下位13位のPDRMとの対戦が残っていますが、この試合を全勝しても、クチンシティが残り4試合を3勝1分で乗り切れば、3位にとどまります。

また勝点42で4位のKLシティは、残り3試合が王者ジョホール、6位ヌグリスンビラン、そして最終戦がおそらく鍵を握るクチンシティといった強豪との対戦が残っており、チームが2位となる可能性は限りなく低いですが、クチンシティに一泡吹かせることになれば、スランゴールの2位をアシストする可能性もあります。

なお今季のマレーシアスーパーリーグは13チーム編成のため、今節第22節はマラッカの試合はありません。(試合のハイライト映像は、注がない限りマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeより。)


トップ3を目指すクアラルンプールは快勝も監督休養へ

マレーシアカップ準決勝ではジョホール・ダルル・タジム(ジョホール)に2試合で1−8と粉砕されたクアラルンプールシティ(クアラルンプール)。ホームでの1stレグで0−4と破れると、リスト・ヴィダコヴィッチ監督はその試合後会見で、すでにリーグ夕ようを決めているジョホール相手に2ndレグでの逆転は無理と白旗を挙げるとともに、2位争いに残るためにリーグ戦のこのクランタン戦を優先する旨の発言をしていました。

現在リーグ4位のクアラルンプールは同11位のクランタンを相手にサファウィ・ラシドとクパー・シャーマンのゴールで2−0と快勝したものの、そのヴィダコヴィッチ監督の名が試合前に提出されたベンチ入りメンバー表になかったことが注目を集めています。この件を報じた英字紙スターによると、ヴィダコヴィッチ監督はチームと共に試合が行われたクランタン州のコタバルへは遠征したということです。

今季2025/26シーズンが残り3試合の時点で勝点42と、2021シーズン以来の最高成績に到達したクアラルンプールですが、クラブ経営陣はヴィダコヴィッチ監督をシーズン終了まで彼を休養させる決定を下したということです。これまでも歯に衣着せぬ発言を繰り返していたヴィダコヴィッチ監督ですが、前述の「白旗を上げる」発言はさすがにサポーターや経営陣の反感を買ったとみられており、クラブからの正式発表も数日中に出されると予想されています。

なおクアラルンプールは次節第23節は試合がないため、今月はもう試合がありません。残り3節の日程は、第24節では5月2日に再びジョホールと再びアウェイで対戦し、第25節は5月10日にはホームでヌグリ・スンビラン、最終節となる第26節では5月15日にクチンとアウェイで対戦する予定になっています。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第22節
2026年4月10日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズ 0-2 クアラルンプールシティ
⚽️クアラルンプール:サファウィ・ラシド(20分)、クパー・シャーマン(54分)


最後は9人となったペナンがイミグレセン相手に引き分け

40分にDFアディブ・ラオプが相手のファウルに反応して蹴り返し1発レッド、そして90分には1対1の得点機でのファウルでDFステファノ・ブルンドがVARの介入後にイエロー取り消しで1発レッドで退場となったペナンが、イミグレセンとの試合を引き分けで終えています。

シーズン途中に本拠地をペナン州バトゥ・カワンのペナン州立スタジアムから、プルリス州カンガーのトゥンク・サイド・プトラ・スタジアムに変更して2試合目となったイミグレセンは、新たな本拠地での勝利を逃しています。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第22節
2026年4月11日@トゥンク・サイド・プトラ・スタジアム(プルリス州カンガー)
イミグレセン 0-0 ペナン
ペナンの鈴木ブルーノ選手はベンチ外でした。


ジョホールの国内リーグ戦連勝記録が27で止まる

4月7日のマレーシアカップ準決勝2ndレグではクアラルンプールに圧勝し、通算成績8−1で決勝進出を決めたばかりのジョホール。既に優勝を決めているリーグ戦も開幕20連勝中で、特にホームのスルタン・イブラヒム・スタジアムでは10戦10勝、しかも57得点6失点と圧倒的な成績を残しています。

アルジェリア代表FWリヤド・マフレズの劇的なフリーキックで準々決勝出場を決め、大会2連覇を狙うアル・アハリ・サウジ戦をさらに今週金曜日4月17日に控えるマレーシアの絶対王者にとっては、今節のトレンガヌ戦はいわば重要な試合前の最後の「調整」程度だろうと予測されていました。

対するトレンガヌは、アキヤ・ラシド、バキウディン・シャムスディンの左右両WGをいずれもケガで、また3月31日のアジア杯2027予選でフィリピン代表を破って本大会出場を決めたタジキスタン代表FWシェルヴォニ・マバトショエフは体調不良でベンチ外と、暫定監督のテンク・ハズマン監督代行にとっては主力を欠く苦しい状況での試合でした。

キックオフから自陣内でのプレーが続くトレンガヌは192cmのGKラーディアズリ・ラハリムが採算の好セーブを見せますが、23分にペナルティエリア内の混戦からエースのベルグソン・ダ・シルバがゴールを決めて、ジョホールが先制します。トレンガヌは今季最初の対戦となった10月31日の試合では、ジョホールに0−5と敗れており、またゴールラッシュで大敗の予感が漂う中、次にゴールを挙げたのはトレンガヌでした。

この試合ではベンチ外のシェルヴォニ・マバトショエフとともに3月31日のアジア杯予選フィリピン戦に出場し、タジキスタンの2大会連続アジア杯出場権獲得に貢献したMFエフソニ・パンシャンベがカレッカからのパスを胸でトラップ、そこから反転して放ったシュートはジョホールGKシーハン・ハズミが反応できず、同点弾となります。

その後はGKラーディアズリの好セーブやゴールポストに助けられてジョホールの得点を許さなかったトレンガヌがジョホールの開幕からの連勝記録をストップしています。なおジョホールが国内リーグで勝点3を取れなかったのは、昨季2024/25シーズン7月31日のPDRM戦での引き分け以来27試合ぶりのことです。またトレンガヌは2022年シーズン4月21日にジョホールを1−0で破っており、国内リーグで最後にジョホールに黒星をつけたチームでもあります。

*****

この試合後、ジョホールのシスコ・ムニョス監督は「時には顔に一撃を受けるのも悪くない。それが目を覚ますきっかけになることもある」と語り、結果には失望し、試合内容も良くなかったことを認めながらも、「ミスから学び、前に進むだけだ。それ以上でもそれ以下でもない。」と気を引き締めていました。一方、試合後にまるで勝利したかのような喜びようを見せていたトレンガヌのテンク・ハズマン監督代行は、この引き分けは幸運だったとし、試合ではJDTの得点力が本来の力を発揮していなかったと語っています。

またジョホールは、1989年から1994年にかけてコートジボワールのクラブ、ASECミモザスが樹立した108試合無敗の世界記録の更新を目指しており、ここまで2022年シーズンからこの試合まで105試合連続無敗のジョホールは、今季のリーグ戦は残り3試合と来季2026/27シーズン開幕戦まで無敗を維持すれば、新記録達成となります。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第22節
2026年4月11日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジム 1-1 トレンガヌ
⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シルバ(23分)
⚽️トレンガヌ:エフソニ・パンシャンベ(36分)


スランゴールはサバ相手に痛恨の引き分け

今節前まで2位のスランゴールは勝点42で、3位のクチンシティに勝点差2をつけていますが、そのクチンシティは試合数が1試合少なく、また4位のクアラルンプールシティも勝点39と、来季のACL2や東南アジアクラブ選手権ショピーカップ出場権のかかる2位争いは熾烈を極めています。

そんな三つ巴の争いの中で、スランゴールは10位のサバとホームで対戦して、痛恨の引き分けを喫しています。この結果、セランゴールは残り3試合で勝点9を獲得する必要がある一方で、同時にクチンシティが残り4試合で勝点3を落とすことも期待しなければならなくなりました。

試合は前半31分にエース、ファイサル・ハリムのゴールで先制しましたが、そのわずか3分後にはマレーシアU23代表FWファーガス・ティアニーがスランゴールDF3人をかわす素晴らしいドリブルを見せて同点ゴールを決めると、その後は両チームともゴールを破ることはできませんでした。

後半はスランゴールのボールポゼッション率が圧倒的に高かったものの、自陣深くに下がり、いわゆる「パーク・ザ・バス」の守備的な試合運びを選んだサバを相手に決定的なチャンスを作ることができませんでした。前節のクアラルンプールシティ戦、そしてマレーシアカップ準決勝のクチンシティ戦と、ここ数試合のスランゴールは組織的に守る相手を崩すことができない試合展開が続いています。

スランゴールのキム・パンゴン監督はこの試合後に「2位で終える可能性は非常に低い。我々はこの試合に勝つべきだったし、最後まで戦い続けなければならない」と述べ、最後まで諦めずに戦うしかないと話す一方で、チームは最善を尽くしたが、失望させるような結果となったことをサポーターに謝罪したいとも述べています。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第22節
2026年4月11日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴール 1-1 サバ
⚽️スランゴール:ファイサル・ハリム(31分)
⚽️サバ:ファーガス・ティアニー(34分)


クチンは快勝でスランゴールに代わって2位浮上

クチンシティが最下位のPDRMに快勝し、ついにリーグ2位に浮上しています。

クチンシティのFWラマダン・サイフラーは、下部組織から過ごしたジョホールでは選手層の厚さからトップチームではなかなか出場機会を得られませんでしたが、昨季ローン移籍でクチンシティに加入するとその才能を如何なく発揮し、完全移籍した今季は主力選手の一人として活躍しています。アジア杯2027予選ではついにマレーシア代表デビューも果たした25歳のラマダン選手は、この日のPDRM戦でも後半に2ゴールを上げチームを勝利に導いています。

クチンシティは開始2分で、チーム得点王のFWロナルド・ンガの3試合ぶりのゴールが先制点となる理想的なスタート。しかしPDRMも43分にFWアミルル・ワイエ・ヤコブがこぼれ球を押し込む自身今季初ゴールで試合を振り出しに戻します。

しかし後半に入るとラマダンが2ゴールを決めて、クチンシティが再びリードを奪います。48分のフリーキックはゴール前の谷川由来選手に合わせたものが直接、ゴールイン。さらに63分には狙いすましてゴール右上に見事なフリーキックを決めます。さらにジェローム・ンパコ・エタメが68分に頭で合わせて4点目を追加したクチンシティが完勝し、ついに2位に浮上しています。

*****

この試合前までは19試合で10失点と、リーグ優勝のジョホール(20試合で7失点)に次ぐ、リーグ2位の失点の少なさが示すように、自慢の守備力で勝ち切ってきたクチンシティですが、アイディル・シャリン監督は決定力不足が依然として課題であり、早急に改善しなければならないと述べています。

チームとして早い時間帯に得点することを狙っており、選手たちは非常に良い立ち上がりを見せた一方で、好機は多く作ったが決めきれなかったことが、今後の改善点になるとアイディル監督は試合後に述べています。

この試合では、代表GKハジク・ナズリや、出場機会が少なかったスランゴールから移籍して今季はレギュラーポジションを掴んだMFダニアル・アスリなど主力を休ませ、次戦となる今週末4月18日のマレーシアカップ準決勝2ndレグのスランゴール戦を見据えた選手起用を行ったアイディル監督ですが、クラブ初のリーグ2位、そしてマレーシアカップ決勝進出に向けて、しっかりと準備ができているようです。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第22節
2026年4月12日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティ 4-1 PDRM
⚽️クチンシティ:ロナルド・ンガ(2分)、ラマダン・サイフラー2(48分、62分)、ジェローム・ンパコ・エタメ(68分)
⚽️PDRM:アミルル・ワイエ・ヤアコブ(34分)
クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。


断食明けの祝日ハリラヤやFIFAデイズ、そしてマレーシアカップ準決勝などで1ヶ月ほど試合がなかった両チームの対戦は2-2の引き分けに終わっています。

前節第21節3月13日の最下位PDRM戦こそ6−1と大勝したものの、今年に入ってからは0勝2分4敗と苦しい試合が続いているヌグリスンビラン。ジョホール、スランゴール、クチンシティといった上位との対決が続いたとはいえ、5位のトレンガヌとは勝点差9と話される一方で、9位までのペナンとは勝点差3の間に4チームがひしめいており、1節ごとに順位が変動しています。

8位のDPMMと引き分けた試合後の会見でヌグリスンビランのK・ラジャン監督は攻撃陣は決定力不足が、守備陣は相手の攻撃への対応が遅れたことが引き分けの原因と分析し、ホームで戦うというアドバンテージを活かすことができなかったことを悔いていました。

一方、DPMMのジェイミー・マカリスター監督は、アウェーでの引き分けは良い結果だとのべ、さらに元マレーシア代表FWサフィク・アフマドのパフォーマンス向上が、前線においてチームに良い影響を与えていると残り試合への期待も述べています。

試合では、前半31分に佐々木匠が先制点を決めてヌグリスンビランがリードしましたが、後半の48分にクリスティアン・イロビソ、さらに61分にはハケメ・ヤジドがゴールを決めて、DPMMが逆転しました。すると72分にジョセフ・エッソが同点ゴールを決めてヌグリスンビランが引き分けに持ち込んでいます

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第22節
2026年4月12日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリ・スンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 2-2 DPMM
⚽️ヌグリスンビラン:佐々木匠(31分)、ジョセフ・エッソ(74分)
⚽️DPMM;クリスチャン・イロビソ(49分)、ハケメ・ヤジド(61分)
ヌグリスンビランの佐々木匠、大城蛍、平野佑一の各選手は先発してフル出場、常安澪選手は80分から交代出場し、試合終了までプレーしています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ順位表(第22節終了)

チーム勝点
1ジョホール2120109478661
2クチンシティ20134337102743
3スランゴール21134443202343
4クアラルンプール21126338191942
5トレンガヌ209563427732
6ヌグリスンビラン205873330323
7イミグレセン2064102640-1422
8DPMM2064102649-2322
9ペナン2055102335-1220
10サバ193792341-1816
11クランタン2143141541-2615
12マラッカ1935111439-2514
13PDRM2024141562-4710

2025/26スーパーリーグ得点トップ10(第22節終了)

得点選手名所属
121ベルグソン・ダ・シウバジョホール
219クリゴール・モラレススランゴール
314ジャイロ・ダ・シウバジョホール
413サファウィ・ラシドクアラルンプール
512ロナルド・ンガクチン
610*アイディン・ムヤギッチジョホール
77ディラン・ウェンゼル=ホールズペナン
78エドゥアルド・ソーサイミグレセン
8オスカル・アリバスジョホール
97アリフ・アイマンジョホール
7ジョアン・フィゲイレドジョホール
7ラマダン・サイフラークチンシティ
7ジョセフ・エッソヌグリスンビラン
136ヤン・マベラ他6名トレンガヌ
*アイディン・ムヤギッチのゴール数は、今季途中まで在籍したサバで挙げた8ゴールも含みます

マレーシアカップ2025/26 準決勝2ndレグ(1):ジョホール対クアラルンプール-ジョホールが順当に勝利し、6季連続で決勝進出

4月7日(火)にマレーシアカップ2025/26準決勝のジョホール・ダルル・タジム(ジョホール)対クアラルンプールシティ(クアラルンプール)の試合が行われ、3日前の4月4日に行われた1stレグで4-0と圧勝していたジョホールが、この試合でも4-1で勝利し、通算成績を8-1として決勝進出を決めています。ジョホールはこれで6シーズン連続でマレーシアカップ決勝進出となります。。

アウェイの試合で4-0と大きなリードを得ていたジョホールは、1stレグからは、マレーシア代表入りが濃厚とされるブラジル出身のFWベルグソン・ダ・シルバ、スペイン出身のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)MFナチョ・メンデス、そしてケガから復帰したDFシャーミ・サファリ以外の先発8名を入れ替えてこの試合に臨んでいます。一方、ジョホールほど選手層が厚くないクアラルンプールは、1stレグから6名を入れ替えています。

試合はジョホールが開始から積極的に攻め、36分にクアラルンプールのCBでこちらもマレーシア代表入り間近とされるオーストラリア出身のジャンカルロ・ガリフオコがジョホールMFネネを自陣ペナルティエリア内で倒してPKを与えてしまいます。しかしそのPKを蹴ったベルグソンはボールをゴールポストに当てて外してしまいます。

しかし、前半を0−0で折り返した後半の48分でした。自身のミスを取り返すようにネネからのクロスをベルグソンが頭で合わせてゴール!ジョホールが先制します。

さらにジョホールはその3分後、ナチョ・メンデスがゴール前のアフィク・ファザイルへクロスを送りますが、クアラルンプールGKハフィズル・ハキムが反応よく飛び出しますが、これがセーブともパンチングとならず、そのまま詰めていたシャーミ・サファリの足元へ。これを落ち着いて決めたシャーミ選手の2024年5月25日以来、およそ2年ぶりのゴールでジョホールがリードを広げます。クアラルンプールにとっては、前半何度も好セーブを見せていたハフィズル選手だっただけに悔いが残ります。

さらに58分には、GKハフィズル選手が前目のポジションを取っているのを見逃さなかったベルグソンがミドルシュートを放って、この試合自身2点目となるゴールを決めると、クアラルンプールもザフリ・ヤハヤのコーナーキックに合わせGGことガリフオコ選手がヘディングシュートを放つと、ジョホールのヘリテイジ帰化選手で19歳のGKクリスチャン・アバドが反応できず、なんとか1点を返します。しかし88分にはシーズン途中でサバから加入したアイディン・ムヤギッチがダメ押しのゴールを決めたジョホールが1stレグに続く連勝で通算成績を8-1として、4シーズン連続国内三冠(リーグ戦、マレーシアFAカップ、マレーシアカップ)に王手をかけた試合でした。

ジョホールはもうひとつの準決勝で1stレグを引き分けているスランゴールとクチンシティの2ndレグ(4月18日)の勝者と、5月23日にTM国立競技場(旧ブキ・ジャリル国立競技場)で開催される決勝で対戦します。

4月4日のマレーシアカップ準決勝1stレグから、中三日で開催されたこの日の2ndレグ。ジョホールがACL準々決勝を4月17日に戦うことにより変更された日程です。なお今回のマレーシアカップ準決勝の前の3月31日には、アジア杯2027大会予選最終節ベトナム戦が行われ、クアラルンプールからはパウロ・ジョズエ、サファウィ・ラシドの両FWが代表入りしましたが、両選手は代表戦から中三日となった準決勝1stレグのみの出場でした。一方のジョホールは代表デビューが期待されたヘリテイジ帰化選手のナチョ・メンデスがケガで代表入りを辞退した一方で準決勝2試合でいずれも先発、またリーグ戦の出場時間がわずか133分(5試合)のMFナズミ・ファイズが代表入りし、このマレーシアカップ準決勝2試合では、1stはベンチ外、2ndレグは68分からの出場でした。

マレーシアカップ2025/26 準決勝2ndレグ
2026年4月7日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジム 4-1 クアラルンプールシティ(通算成績8-1)
⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シルバ2(49分、58分)、シャーミ・サファリ(52分)、アイディン・ムヤギッチ(89分)
⚽️クアラルンプール:ジャンカルロ・ガリフオコ(68分)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。

マレーシアカップ2025/26 準決勝1stレグ(1):ジョホール対クアラルンプール-国内三冠を狙う王者が圧勝

今季2025/26シーズンのマレーシア1部スーパーリーグはまだ4試合を残すも、既に今季のリーグ優勝を決めているジョホール・ダルル・タジム(ジョホール)は、今季のマレーシアFAカップも優勝しています。そして4季連続の国内三冠(リーグ戦、FAカップ、マレーシアカップ)達成のためには、このマレーシアカップが最後に必要なタイトルとなります。

国内で圧倒的な強さを誇るジョホールは、2020年シーズンからは手に入るほぼ全てのタイトルを獲得していますが、唯一、2021年のマレーシアカップでは決勝で敗れています。そしてその相手がクアラルンプールシティ(クアラルンプール)でした。

当時のクアラルンプールは名将ボヤン・ホダック監督(現インドネシア1部プルシブ・バンドン監督)が率いており、決勝ではこの年にリーグ8連覇を果たしていたジョホールを2-0で破り、クラブとしては32年ぶりの優勝を果たしました。

そんな両チームの顔合わせとなった今シーズンの準決勝ですが、ジョホールは1回戦、そして準々決勝の4試合(マレーシアカップは決勝以外は全てホームアンドアウェイ方式で行われます)で、19得点2失点と圧倒的な力で勝ち上がってきたのに対し、クアラルンプールは1回戦で3部A1セミプロリーグでプレーするペラFAに2試合合計3−2、準々決勝ではトレンガヌ相手にやはり3−2と薄氷を履む思いでここまで勝ち上がっています。

ホームのクアラルンプールは2021年のマレーシアカップ決勝でもゴールを決めているFWパウロ・ジョズエ、そしてジョホールからローン移籍中のFWサファウィ・ラシドら、3月31日のアジア杯予選ベトナム戦でもプレーした両選手が中3日で先発する一方、ジョホールはその代表戦を「ケガ」で辞退したヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)のナチョ・メンデス、そして今季はリーグ戦15試合に出場し、マレーシア人選手としてはGKシーハン・ハズミに次ぐ15試合出場(13試合先発)ながら、ピーター・クラモフスキー監督が代表に招集しなかったMFアフィク・ファザイルら休養十分な選手が先発に名を連ねています。

この試合はスタジアムで観戦しましたが、いざ始まってみるとなぜか既視感がありました。クアラルンプールは手を抜いているのではないだろうが、ゴールを挙げようという必死さがない。むしろそれは相手のジョホールの方がはるかに強い。ゴール近くまではボールを運ぶものの、自分たちのスタイルに固執しているのか、ひたすらサイドからのクロスを上げようとするも、そこをことごとジョホールに潰される。

あれ?これって、アジア杯予選で最終節でベトナムに対峙したマレーシアと同じだ。開始5分、ベルグソン・ダ・シルバのゴールで先制されると、クアラルンプールの選手たちの動きが悪くなる。失うものがないはずなのに、埒が開かない同じ戦術を繰り返す。中央突破を試すでもなく、ミドルシュートを打つでもなく、手を替え品を替えて争おうという気配がない。終わってみれば、むしろよく4失点で済んだな、という試合でした。

そして極め付けは、試合後のリスト・ヴィダコヴィッチ監督の会見でした。「ジョホールが相手と決まった時点で、我々のマレーシアカップは終わっていた。2試合でジョホールに勝つのは不可能だ。」と話したクアラルンプールの監督は、チームがベストパフォーマンスを発揮してもジョホールには敵わないと話したということです。

「ジョホールはリーグでは他のチームより上のクラスにいる。彼らに誰よりも早く、誰よりも強い。そんなチームに勝つには良い選手が必要だ。」

「我々は強いチームを相手にホームで0−4で敗れた。(2ndレグが行われる)ジョホールでこの結果を覆すのは可能性が極めて低く、現実的であるべきだと考えている。」

と話したヴィダコヴィッチ監督は、チームは(今日4月7日の)マレーシアカップ準決勝2ndレグではなく、(4月10日の)次のリーグ戦に向けて備えさせたいと話し、その理由として「マレーシアカップについては、もう何の希望もない」と語っています。

個人的には、ジョホールを油断させるための方便と思いたいところですが、これまで歯に衣着せぬ発言をしてきたヴィダコヴィッチ監督だけに本音が漏れたのかもしれません。少なくとも、ホダック監督なら例えそう思っていてもこんなことは言わなかっただろうなぁ。

2026年4月4日@KLフットボールスタジアム
クアラルンプールシティ 0-4 ジョホール・ダルル・タジム
⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シルバ(5分)、アヘル・アケチェ2(31分、83分)、オスカル・アリバス(59分)

この試合のハイライト映像。マレーシアンフットボールリーグのYouTubeチャンネルより。

4月4日のニュース:最新のFIFAランキング発表-前回より17ランク下がった138位はクラモフスキー監督就任以前より悪化<br>無くならない国内リーグの未払い給料問題-今度は前クダのTDとPDRMのキャプテンが苦境を明らかに<br>クチンシティ選手の不正出場事件-リーグが落ち度を認めクラブは罰金処分を受けるも試合結果の変更なしで責任の所在は曖昧に

1-3で敗れたベトナム戦後に「ピッチ上の実力という点では、我々は出場に値していた。しかし、ピッチ外の問題で打撃を受けた」と発言をしたマレーシア代表のピーター・クラモフスキー監督に冷ややかなコメントが集まっています。結局、マレーシアとは縁もゆかりもないことが明らかになった国籍偽装選手7名が出場、しかもエースのグエン・スアン・ソンをケガで欠いたベトナム戦での勝利に基づいて「実力」と述べているのであれば当然でしょう。クラモフスキー監督は、国籍偽装が明るみに出た際にもマレーシアサッカー協会(FAM)を批判したコメントが炎上しています。

マレーシア代表監督オファーが出された際には、FAMから独立して動く代表チーム運営から「ウチには近々、ブラジルやスペイン出身の帰化選手が大量に加わるので、東南アジアでは無双できるだけでなく、アジアの上位も狙えるチームになる。そうすればあなたのレジメがより見栄えが良いものになり、あなたが支えたポステコグルーのように欧州クラブの監督の座も狙える。」(注:全て筆者の想像です)なんて甘い言葉に誘われた可能性すらある所詮は「あちら側」のクラモフスキー監督の発言は、マレーシアサッカーとマレーシア代表の利益を純粋に考えたものとは思えないので、ただ聞き流すのが良さそうです。


最新のFIFAランキング発表-前回より17ランク下がった138位はクラモフスキー監督就任以前より悪化

4月1日に最新のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回1月19日に発表された135位から3位下げた138位となっています。マレーシアのFIFAランキングが138位となったのは2024年4月4日以来です。

その2024年を132位で終えていたマレーシアは、2025年11月には121位までランクを上げていましたが、FIFAのランキングサイトでも下げ幅が最大の-17位、失ったランキングポイントも最大の-59.67と紹介される名誉を得るほどの激しい下落となりました。

この乱高下の原因は、もちろん例の国籍偽装です。本来、代表としてプレーする資格のない選手たちのおかげで、格上のベトナム相手に11年ぶりの勝利を挙げ、国際親善試合とはいえ、史上初のW杯出場を決めたカーボベルデと引き分けるなど、2025年は8試合で7勝1分と無敗で1年を終えたハリマウ・マラヤ(マレーシア代表の愛称、意味は「マレーの虎」のFIFAランキングはほぼ右肩上がりで推移し続けました。しかし、FIFAが国籍偽装選手が出場した国際親善試合3試合(下の表の*印)の結果を全て、マレーシアの0-3の負けとする処分を下し、AFCもこれに合わせる形でアジア杯2027予選で国籍偽装選手が出場した2試合(下の表の#印)の結果をやはり0−3でマレーシアの負けとする処分を3月17日に科したことで、全5試合を4勝1分とした結果に基づくポイントが全て剥奪されています。

マレーシアのFIFAランキングの推移(2024年1月から2026年4月)
ランキング発表日ランキング(増減)ポイント代表戦試合結果
2024年12月9日132位1115.51
2025年4月3日131位 (+1)1123.57#3月25日⚪︎2-0ネパール
2025年7月10日125位 (+6)1138.48*5月29日△0-0カーボベルデ
#6月10日⚪︎4-0ベトナム
2025年9月18日123位 (+2)1148.23*9月4日⚪︎2-1シンガポール
*9月8日⚪︎1-0パレスチナ
2025年10月17日118位 (+5)1161.5310月9日⚪︎3−0ラオス
10月14日⚪︎5-1ラオス
2025年11月19日116位 (+2)1168.4111月18日⚪︎1-0ネパール
2025年12月23日121位 (-5)1145.89
2026年1月19日121位 (±0)1145.89
2026年4月1日138位 (-17)1086.223月31日●1-3ベトナム

ヘクトル・ヘベル、ホン・イラサバル、ガブリエル・パルメロ、ファクンド・ガルセス、ロドリゴ・オルガド、イマノル・マチュカ、ジョアン・フィゲイレドの7名のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)が国籍を偽って代表戦に出女子ていたことにより、試合結果が無効になった結果として剥奪されたポイント合計59.67に加え、3月31日のAFCアジア杯2027大会予選最終戦でベトナムに3対1で敗れたこともあり、1年間を振り返ってみればクラモフスキー監督就任前より低い138位にまで順位を落としています。

単純比較できないことはわかっていますが、前任のキム・バンゴン監督(現スランゴールFC監督)が2022年1月の就任時に154位だったマレーシアを一時は130位まで押し上げ、2024年8月の辞任時には134位だったこと、しかもこれを国籍偽装選手の力を一切借りずに達成したことを考えると、パフォーマンスの低下すら感じるクラモフスキー監督の手腕そのものに疑問すら感じるとともに、「あちら側」の人間にこのまま代表監督を任せておくことが代表チームにとって良いのかという疑問も浮かんできます。


無くならない国内リーグの未払い給料問題-今度は前クダのTDとPDRMのキャプテンが苦境を明らかに

マレーシア北部のクダ州を本拠地とするクダ・ダルル・アマンFCは、2007と2008年にマレーシアのクラブとしては初めて国内三冠(リーグ戦、マレーシアカップ、マレーシアFAカップ)を2シーズン連続で達成したいわば名門クラブ。しかしながら、マレーシアのクラブの御多分に漏れず、放漫経営と*民営化失敗により経営が破綻し、今季からは3部のA1セミプロリーグで再出発を図っています。

そのクダでMFとして現役時代を過ごし、2シーズン連続国内三冠達成にも貢献、クラブのテクニカル・ディレクター(TD)を務めているチリ出身のネルソン・サン・マルティン氏が給料未払いとなっている苦境を、英字紙スターが伝えています。

記事によれば、現在もクダのTDとしての契約が続いているにも関わらず、サン・マルティン氏は自身のSNSに給料未払いの現状を述べるとともに、投げ銭用のQRコードを添付しているということで、状況は切迫しているようです。

2024年から始まった未払いや遅配により経済的には逼迫している明らかにしたサン・マルティン氏は、2025年11月にTDとしての契約を更新したにも関わらず、1月分の給料の一部が支払われたのを最後に、それ以降は給料の支払いがないどころか、2025年11月以前の契約期間中の未払いもある中、クラブとの連絡も取れなくなっているということです。

現在、サン・マルティン氏は現役時代に自身を応援してくれたクダのサポーターによる支援によりなんとか生活できていると、スターの取材に答えるとともに、クダのモハマド・ダウド・バカル オーナーに対して現在の状況を訴えるために、直接対話の機会を求めたいと述べています。


また今季のマレーシア1部スーパーリーグで最下位に沈むPDRMのキャプテンで、韓国出身のパク・テスも、チームが給料未払い問題を抱えていることを明らかにし、このピッチ外の問題がクラブの不振の原因の一端であると述べています。

19試合を終えて勝点10で最下位のPDRMは、シーズンを通して給料の遅配・未払い問題が慢性的に起こっていることは、多くのメディアによって報じられていますが、このニュースを取り上げている英字紙スターは、5ヶ月分を超える給料の未払いが起こっており、これにより今年1月のトランスファーウィンドウでは、外国籍選手3名を含めた複数の選手がこの給料未払いを理由に退団しています。

今季サバから加入し、ここまでここまで3ゴール4アシストを挙げている36歳のパク選手は、自分の成績には満足していると語る一方で、エディ・ガピル監督やマレーシア人選手は、ピッチ外の問題がなければ、もっと良い成績を残せているはずだとも述べています。またチームの主力となるはずの外国籍選手が現在は3名しかいないこともチームにとっては痛手であると説明しています。

「このシーズンは自分だけでなくチーム全体にとって苦しい状況が続いている。チームの集中力を削がれるようなことがピッチ外で何度も起きている。それでもピッチに立てば、チームは全力を尽くしている。」

パク選手は最後までチーム全員が結束して残り5試合となったリーグ戦を戦いたいと話し、自身は最後までキャプテンとしてチームにポジティブな影響を与え続けたいとも述べています。


未登録選手のリーグ戦出場事件-リーグが落ち度を認め、クラブへ罰金処分も試合結果の変更なしで責任の所在は曖昧に

3月14日に行われたマレーシアスーパーリーグ第21節ペナン対クチンシティの試合で、クチンシティがこの試合のベンチ入りメンバーリストに名前がない選手を起用した件に関する報告と担当者の処分について、リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)が公式声明を発表しています。

声明では、ペナン、クチンシティの両クラブに加え、マッチコミッショナー、ゲームコーディネーター、第4審判からそれぞれ提出された報告書をもとに特別委員会を開催して協議を行なった結果、クチンシティがベンチ入りメンバーリストにスコット・ウッズの名を記して提出していたにも関わらず、試合の出場選手リストを作成したマッチコミッショナーがその名をこの試合の出場選手リストに記載し忘れたことが原因としてます。

さらにこのミスをマッチコミッショナー自身だけでなく、ゲームコーディネーター、第4審判のいずれもがそのミスに気づかなかったとされています。マッチコミッショナーは、試合前のロッカールームでの出場選手のチェックといった本来行われるべき手順を行わず、また出場選手リストにその名が書かれていないウッズ選手がアディショナルタイムに交代出場した際には、ゲームコーディネーター、第4審判ともに出場選手リストに名がないにも関わらず、十分な確認をせずに出場を認めてしまったとしています。

今回の混乱についてMFLは今回の試合のマッチコミッショナーを停職12ヶ月、ゲームコーディネーターを停職6ヶ月とすることを発表しています。また第4審判については、マレーシアサッカー協会(FAM)の審判委員会に処分を委ねるとしています。


決められた手順に従わなかった担当者への処分は当然として、MFLは同時にクチンシティにも3万リンギ(およそ120万円)の罰金処分を科すとともに、チームリストに掲載する情報の正確性を確保する義務を怠ったとして厳重注意を与えることも発表しています。罰金処分を科すということは、クチンシティにもなんらかの落ち度があったことを示しているはずですが、その一方でクチンシティがペナンを1対0で破った試合結果はそのまま有効とも発表しています。

現在クチンシティはスランゴールとの2位争いの最中で、2位スランゴールとの勝点差はわずか2です。この試合がクチンシティの負けとなれば、試合数が1試合少ないクチンシティですが残り試合を全勝しても、スランゴールが全勝すれば勝点差を埋められず3位となります。このようなリーグ終盤ですっきりしない処分を発表するMFLには、より明快な説明を求めたくなります。

4月2日のニュース:アジア杯2027予選最終節ベトナム戦は完敗-改めて東南アジアトップの差が明らかに

再び暗黒の時代へと向かうのか。

日本がウェンブリーでイングランド相手に金星を挙げた数時間前、マレーシアはアジア杯2027年大会予選最終節のベトナム戦に臨み、1−3で敗れています。昨年1月に就任したピーター・クラモフスキー監督にとっては初黒星となります。

この結果、この予選の最終成績は3勝3敗で勝点9の2位となり、予選各組1位のみに与えられた本戦出場枠を獲得できず、予選突破による出場は43年ぶりとなった前回2023年大会に続く連続出場はなりませんでした。(2007年大会はタイ、ベトナム、インドネシアとの共同開催国枠での出場あり)

昨年3月25日のネパール戦と6月10日のベトナム戦は、国籍を偽装した選手が出場していたことでいずれもマレーシアが勝利していましたが、その結果を取り消すとともに0-3でマレーシアの負けとする処分をAFCが発表しました。これによりこの日のベトナム戦でたとえマレーシアが勝利しても、ベトナムの勝点に追いつくことができないことがわかっており、試合前の段階で予選敗退はわかっていました。言わばプライド以外には何も賭かっていないこの試合のマレーシアの先発XIは以下の通りでした。

いずれもマレーシア国外で生まれ育った国籍偽装組と張り合えるだけの力を持つ唯一のマレーシア生まれの選手、アリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジム)もこの試合はケガで欠場と、文字通り「手負の虎」となったマレーシア代表。FWはそのアリフ選手に代わりブラジル出身の帰化選手パウロ・ジョズエ(クアラルンプールシティ)が、またサファウィ・ラシド(クアラルンプールシティ)に代わりファイサル・ハリム(スランゴール)が2トップ。中盤は左右のサイドハーフがラヴェル・コービン=オング(ジョホール)とディオン・クールズ(セレッソ大阪)中央にノーア・ライネ(スランゴール)、スチュアート・ウィルキン、ナズミ・ファイズ(いずれもジョホール)、そして3バックはウバイドラー・シャムスル(トレンガヌ)、ハリス・ハイカル(スランゴール)、マット・ディヴィーズ(ジョホール)と、メンバー的には、昨年11月のアジア杯予選ネパール戦からはFW陣以外にメンバー変更はありません。


現地時間午後7時のキックオフながら気温27度、しかし涼しい風も吹くティエン・チュオン・スタジアムでの試合は、マレーシアのディオン・コールズが開始1分でシュートを放つも枠を外すと、今度はホームのベトナムが6分、チュオン・ティエン・アインのコーナーキックからド・ドゥイ・マンが頭で合わせて先制ゴール!ベトナムがあっさりとリードを奪います。

マレーシアも11分にはパウロ・ジョズエのパスに抜け出したファイサル・ハリムが、さらに13分にはファイサルからのパスを受けたスチュアート・ウィルキンが同点ゴールを狙ってシュートを放つもいずれもゴールとはなりません。逆に24分にはグエン・ホアン・ドゥックが放った強烈なミドルシュートがマレーシアのゴールポストを直撃して、あわや追加点か、という危ない場面もありました。

前半を最小失点で折り返したマレーシアでしたが、後半開始直後の51分にブラジル出身の帰化選手グエン・スアン・ソンにゴールを許すと、その4分後にも再びゴールを決められてしまいます。この試合前までで代表戦7試合で8ゴールを挙げていたグエン・スアン・ソンは、昨年6月のベトナム戦ではケガのため出場がありませんでしたが、マレーシアはこの日の試合で初めて対峙しその怖さを思い知らされました。またいずれのゴールも自陣でボールを奪われた後のプレーが起点になっており、課題を残す失点でもありました。

マレーシアは77分、ゴール前のプレーでダニエル・ティン(タイ1部ラーチャブリー)が倒されて得たPKをベトナム1部ハノイ公安でプレーするエンドリック・ドス・サントスが決めて1点を返すも焼け石に水。このまま試合は終わり、6戦全勝のベトナムがF組首位として来年1月にサウジアラビアで開かれるアジア杯2027年大会に、タイ、シンガポールの東南アジア組とともに出場し、マレーシアは韓国と引き分けるなど健闘した前回2023年大会に続く出場とはなりませんでした。


試合後の会見でクラモフスキー監督は、得点機を生かしていれば違った結果になっていただろうと話す一方で、選手を非難する代わりに、最後まで強豪ベトナムに対して闘志を見せた選手たちの精神力を誇りに思うと話しています。

「早い時間帯でゴールを決められたが、選手たちは冷静に対応できた。前半に4、5個あった得点機に同点弾を決めていたら、結果は違ったものになっていたかもしれない。」

「ベトナムは良いチームで、グエン・スアン・ソンと(代表戦2試合目となった)ドー・ホアン・ヘンの2人のブラジル出身選手もとても良かった。ビジターとしてプレーした中で、また我々が過去半年間置かれていた(国籍偽装問題が連日取り上げられる)状況の中での試合だったにも関わらず、選手たちが強い精神力と決意を持ち、集中を切らすことなくプレーしたことに私も心を動かされた。」

「ピッチ上では結果を残しながら、ピッチ外の問題で傷ついた選手たちは、自分自身だけでなく応援してくれるサポーターや国家のため、そして次代に続く選手たちのために全力を尽くしてくれた。」とも話していました。


AFCアジア杯2027年大会予選F組第6節
2027年3月31日@ティエン・チュオン・スタジアム(ベトナム、ナムディン)
ベトナム 3-1 マレーシア
⚽️ベトナム:ド・ドゥイ・マン(6分)、グエン・スアン・ソン2(51分、59分)
⚽️マレーシア:エンドリック・ドス・サントス(89分PK)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナの公式YouTubeチャンネルより。

下の写真はベトナムのサポーターが掲げていたものです。(seasia goalのFacebookより)描かれているのは祖父母がマレーシア生まれと偽り、国籍を偽装してマレーシア国籍を取り、マレーシア代表としてアジア杯予選に出場した7選手です。ファクンド・ガルセス、ロドリゴ・オルガド、ジョアン・フィゲイレド、エクトル・へヴェル、ジョン・イラザバル、イマノル・マチュカ、そしてガブリエル・パルメロが「自分たちは虎(マレーシア代表の愛称)ではなく、観光客だ。」と皮肉たっぷりに述べていますが、外国からやってきたこの7名の観光客と彼らを手引きした国内にいる一連の集団のせいで、マレーシアのサッカーはFIFAランキング170位代に低迷したおよそ8年前の暗黒時代に逆戻りさせられてしまいそうです。

またアジア杯出場とならなかったことで、今後、マレーシア代表が何を目標にするのかも気になります。今年は8月に新設のFIFAアセアンカップ、そして9月から10月にかけては東南アジアサッカー連盟(AFF)が主催するアセアン選手権「ヒュンダイカップ」が予定されています。このような近い日程で東南アジアのチーム同士の対戦が続くことの意義は別として、これら目先の大会で好成績を残すために現在のメンバーを維持するのか、それとも次のアジア杯大会予選/W杯年予選を見据えた将来的なチームへとシフトするのかも重要な観点となります。

FIFA国際マッチカレンダーで開催されるFIFAアセアンカップに対して、カレンダー外の開催となるヒュンダイカップでは、これまでの例を見てもジョホールを筆頭に所属選手の召集を拒むクラブも出ることが予想されるので、例えばアセアンカップは主力中心のマレーシアA、そしてヒュンダイカップは若手主体のマレーシアBで臨む、といった方針も考えられます。特にマレーシア代表チームの運営がマレーシアサッカー協会から独立して以来、A代表強化への執着の一方で、U23代表はU23アジア杯予選、U23アセアン選手権と公式戦以外は合宿も国際親善試合も行なっておらず、放置されたままであることからも、U23代表、さらにはその下の年代別代表の強化も必要でしょう。

またAFCは次回大会となる2031年、そしてのその次の大会となる2035年の開催国決定について、そのプロセスを中止すると発表、さらに次回大会以降はUEFA欧州選手権と同じ偶数年に開催する案も浮上しています。そうなれば次のアジア杯は2032年開催となることが濃厚で、この大会を目指すのであれば、若い選手を登用する代表チーム強化方針も考えられます。(代表チーム運営陣がそこまでマレーシアサッカーのことを考えていればの話ですが…。)

3月31日のニュース:アジア杯予選最終戦ベトナム戦を前に

2週間ぶりの更新となってしまいました。

マレーシア代表でプレーする7名のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)の代表資格を巡って、FIFAの規律委員会は昨年9月25日、帰化書類の偽造があったとして、選手には12か月間の全てのサッカー活動禁止と罰金、マレーシアサッカー協会(FAM)には罰金の処分を科すことを決定しました。この処分に対して7選手とFAMは不服申し立てを行うも、昨年11月上旬には申し立てを受けたFIFA控訴委員会がこの処分を支持することを発表しました。

すると今度は翌12月上旬、FAMと7選手はFIFAに提出された書類が偽造されたことを認める一方で、偽造書類作成への関与を否定するとともに、12ヶ月間の出場停止など制裁の軽減を求めてCASに控訴を行いました。これを受けたCASは最終判断が出されるまでの間はFIFAによる制裁処分を執行猶予とすることを発表、3月4日には7選手の1人でもあるジョアン・フィゲイレド(ジョホール・ダルル・タジム)がACLエリートのラウンド16の広島戦に出場し、ジョホールの勝利に貢献しています。

そしてその翌日3月5日にはCASが最終決定を発表し、処分対象期間の12か月間は短縮されなかったものの、処分内容は「サッカー活動禁止」から「公式戦出場停止」に軽減されました。これを受けてフィゲイレド選手は決定発表後の3月11日の広島との2ndレグには出場できなくなりました。

またCASの最終決定を受けて、AFCも代表資格がない選手を起用したとしてマレーシア代表への処分を発表し、昨年3月のネパール戦(マレーシアが2−0で勝利)と同6月のベトナム戦(こちらもマレーシアが2-0で勝利)、について、その結果がいずれも0-3でマレーシアの負けとする処分を下しています。これにより、それに以前にFIFAによって試合結果が変更された3試合と合わせて、5試合の試合結果が全て0−3となりました。

試合日大会対戦相手元の結果変更後
2025年3月25日アジア杯2027 予選ネパール2-0 (勝)0-3 (負)
2025年6月10日アジア杯2027 予選ベトナム4-0 (勝)0-3 (負)
2025年5月29日国際親善試合カーボベルデ1-1 (分)0-3 (負)
2025年9月4日国際親善試合シンガポール2-1 (勝)0-3 (負)
2025年9月85日国際親善試合パレスチナ1-0 (勝)0-3 (負)

これにより、アジア杯2027予選は5戦全勝、勝点15でF組首位だったマレーシアは、3勝2敗で勝点9となる一方で、マレーシアに代わって首位となったベトナムの勝点は15となり、本日予定されているF組最終節の結果に関係なくベトナムがF組首位を確定させるとともに、来年1月にサウジアラビアで開催されるアジア杯本大会の出場を決めています。


本日3月31日午後8時(マレーシア時間、日本時間午後9時)にベトナム北部の都市ナムディンのティエン・チュオン・スタジアムでキックオフとなるF組最終節ベトナム対マレーシアの試合は、ベトナムのアジア杯出場が決まっているからかチケットの売れ行きが悪いといった報道も見られ、またベトナムのキム・サンシク監督は2−0で勝利すると余裕の発言をしていますが、マレーシアにとってはプライドを賭けた勝負になります。この試合で敗れれば、やはり国籍偽装選手がいなければベトナムとは渡り合えないという評価になるわけで、昨年からマレーシア代表の指揮を取るピーター・クラモフスキー監督も、7勝1分と無敗で終えたはずの代表監督1年目が、結局、勝利したのは格下のラオスとネパールだけの3勝4敗となってしまいました。

しかしクラモフスキー監督このベトナム戦で招集したメンバーには疑問の疑問の声が上がっています。その選手は34歳のDFジュニオール・エルドストール(ジョホール・ダルル・タジムII)です。ジョホールのセカンドチームで3部のセミプロA1リーグでプレーするジョホール・ダルル・タジムIIに所属するエルドストール選手は、今季は1部スーパーリーグでの出場がなく、カップ戦1試合の28分のみの出場にも関わらず、昨年10月のアジア杯予選ラオス戦、11月のアジア杯ネパール戦に続く代表招集です。クラモフスキー監督は、エルドストール選手の経験と特に「ロッカールームでのリーダーシップ」を評価しての招集であると説明しています。

また招集されないことで疑問の声が上がったのが、ナチョ・メンデスでした。スペイン生まれで27歳のMFは、スペイン2部のスポルティング・デ・ヒホンで200試合以上に出場している選手ですが、このメンデス選手は祖父がマレーシアのペナン出身ということで昨年7月にマレーシア国籍を取得したヘリテイジ帰化選手で、マレーシア国籍取得と同時期にジョホール・ダルル・タジムに移籍しています。しかし国籍偽装7選手が出場しなかった昨年10月と11月のアジア杯予選には、代表に招集されませんでした。今季はジョホールでリーグ戦では全試合にベンチ入りし、先発18試合、途中出場2試合と全ての試合に出場しています。またACLエリートでもラウンド16の広島戦では3月4日の1stレグ、そして3月11日の2ndレグいずれにも先発してフル出場しています。そのメンデス選手が大小に招集されないことが明らかになると、メンデス選手の持つマレーシアのルーツが国籍偽装の7選手と同様に偽装なのではないかという声が上がりました。しかし、クラモフスキー監督は体調不良を理由に今回のベトナム戦に招集しなかったと説明していますが、多くの国内サッカーファンはその説明を信じていないようです。

その一方でケガからの代表復帰を果たしたのがいずれもジョホールのDFフェロズ・バハルディンとシャーミ・サファリです。25歳のCBのフェロズ選手は、ベトナム戦に出場すれば2024年10月以来の代表戦となり、シャーミ選手が出場すれば2023年9月以来の代表戦となります。2024/25シーズンにはリーグ最優秀DFに選ばれたフェロズ選手は昨年1月に膝前十字靭帯を痛めて長期離脱、そしてマレーシアのサッカーファンなら誰でも知っている2018年の当時のスズキカップ(現ヒュンダイカップ)東南アジア選手権、タイ戦でのスーパーゴールが代名詞のシャーミ選手は、一昨年11月に痛めたやはり膝前十字靭帯のケガからの復帰です。

またいずれも国内で5シーズン以上プレーし、マレーシア国籍を取得と同時に今回代表入りが期待されていたブラジル出身で国内リーグ最多ゴール記録を更新中のFWベルグソン・ダ・シウバ(ジョホール・ダルル・タジム)、そしてオーストラリア出身のCBジャンカルロ・ガリフオコ(クアラルンプールシティ)は招集されませんでした。これはクラモフスキー監督が、例の7人がいない代表でもベトナムに通用することを見せたいという願望(あるいは自身)によるものなのではないかという気がします。

この試合で代表引退が噂されているパウロ・ジョズエ(クアラルンプールシティ)の去就なども含め、アジア杯出場権を失ったいわば「手負の虎」がどこまで「黄金の龍」(ベトナム代表のニックネーム)と戦えるのでしょうか。

2025/26ACLエリート ラウンド16 1stレグ:ジョホールはホームで広島に勝利-2点の貯金を持って2ndレグへ

2025/26AFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)のラウンド16の1回戦が3月4日に行われ、マレーシアから出場のジョホール・ダルル・タジム(ジョホール)はホームでサンフレッチェ広島と対戦し、1stレグとなるこの試合に3-1で快勝しています。

ACLEの前身ACL時代の2019年に初出場を果たしたジョホールは、同年5月8日の鹿島戦での勝利以来、Jリーグのクラブ相手に8試合白星がありませんでしたが、今季のACLEリーグステージ最終戦で、すでにノックアウトステージ進出を決めていた神戸を相手に勝利し、そしてこの広島戦勝利はクラブ初となるJリーグクラブ相手の連勝となりました。またこの試合では観客数も、今季ホーム開催のACLEでは最大となった神戸戦(3万1673人)に次ぐ、3万1225人を集めています。


試合前日に行われた会見にはキャプテンのナチョ・インサとシスコ・ムニョス監督が出席しています。インサ選手はその席上で、守備、攻撃のいずれもよく組織されている日本のチームは、ボールを素早く動かし、試合のあらゆる局面で強さを発揮すると述べる一方で、ジョホールとしてはコンパクトに、そして互いに連動してスペースをコントロールしたいと話していました。

さらにホームアンドアウェイ方式では、180分間を通じた冷静さと知性が求められるとも話し、その上で熱気に満ちたスタジアムで1stレグを戦えることは重要だとも述べています。また勝利の鍵は個人の輝きではなくチームワークにあると強調した上で「我々はボールを保持し、プレッシャーに対処し、相手が前から圧力をかけてきたときにも対応できることを示してきた。ACLEでの戦い方をチームは理解しており、試合に向けて自信はある。」とも話していました。

またシスコ・ムニョス監督もインサ選手の見解に同意するとともに、試合開始1分から全力で試合に入る必要があると述べる一方で、90分間すべてをコントロールすることはできないことは承知しているとも話しています。「特に(広島が)我々を押し込んでくる場面では、耐えなければならない時間帯もあるだろう。試合にはさまざまな局面があり、良い時間帯もあれば悪い時間帯もある中で、あらゆる面で強さを発揮し、チャンスを生かし、あらゆる可能性に備えたい。」

さらにムニョス監督は、広島が3トップと攻撃的ミッドフィールダー2人で臨み、積極的にプレスをかける攻撃的なアプローチを取ることを予想しているとも述べて、それに備えながらも、いつリスクを取り、どう切り替えるのかを見極めたいとも話していました。


そして以下のこの試合の両チームの先発XIです。リーグステージ最終戦の神戸戦からはMFエクトル・へヴェルとFWベルグソン・ダ・シウバに代わり、警告累積で神戸戦は出場停止になっていたWGオスカル・アリバス、そしてFWジャイロが復帰しています。また「マレーシアの至宝」MFアリフ・アイマンをケガで欠くチームは、リーグステージ最終戦の神戸戦同様、マレーシア生まれの選手が1人もいない先発XIとなっています。25番のFWジョアン・フィゲイレド、30番のキャプテンでMFナチョ・インサ、28番のMFナチョ・メンデスの3選手は、マレーシアにルーツを持つヘリテイジ帰化選手でマレーシア人として登録されています。またベンチ入りの12名を見てもマレーシア生まれの選手はMFアフィク・ファザイルとGKシーハン・ハズミの2名のみで、この試合の出場登録23選手中21名が、マレーシア以外で生まれ育った選手です。

またフィゲイレド選手とベンチスタートとなったDFジョン・イラザバルは、現在スポーツ仲裁裁判所(CAS)で審理が行われている国籍偽装疑惑を持たれている7名のマレーシア代表選手のうちの2名でもあります。

前回2月10日のリーグステージでの対戦では、ホームのジョホールとは気温差が30度近くある極寒の広島での試合だったことに加え、開始16分でCBホナタン・シルバがハンドにより1発レッドとなった結果、早い時間帯で10人となってしまったこともあり、先制しながらも逆転負けしたジョホール。勝手知ったるホームでは開始から積極的に仕掛けると、3分にはラウル・パラのパスを受けたジョアン・フィゲイレドが広島DFキム・ジュソンをドリブルでかわして強烈なシュートを放ちますが、広島GK大迫敬介が素早く反応し、枠の外へ弾き出します。一方、広島も14分に先制の絶好機を迎えたが、ペナルティエリア手前からの川辺駿のフリーキックは得点には至りません。さらに17分にはオスカル・アリバスからのパスを受けたナチョ・メンデスがシュートを放ちますが、今度は大迫選手がセーブします。

24分にはジョホールにアクシデントが起こります。今年6月には40歳となるキャプテンのナチョ・インサがケガで交代を余儀なくされ、ムニョス監督はアヘル・アケチェを投入します。さらにその直後にはジョホールGKアンドニ・スビアウレの中途半端なゴールキックを鈴木章斗がカットし、シュートを放つもののスビアウレの正面に飛び、ジョホールはことなきを得ます。

しかしその直後に今度は広島にトラブル。ネネに肘打ちした広島DFキム選手が26分にショーン・エヴァンス主審からこの試合2枚目のイエローをもらい、早々と退場し、3週間前の試合とは逆に、広島が残る60分以上を10人で戦うこととなります。

数的有利となったジョホールは32分、ショートコーナーからペナルティエリアの外でフリーとなっていたメンデスへパス。そこからのシュートはGK大迫選手の手が届かなかったものの、ゴールポストに弾かれ、先制機を逃します。一方の広島も給水タイムからの再開後にジョホール陣内へ攻め込み、まずは小原基樹のクロスを荒木隼人が至近距離からヘディングシュート、さらに松本泰志 、中野就斗が続けてゴールを狙いますが、いずれも枠を捉えられません。

前半終了間際にはマルコス・ギリェルメのシュートをフィゲイレドが頭で合わせてコースを変えるもゴールポストに阻まれ、続くアケチェのシュートはGI大迫選手ががっちりセーブします。結局、前半はジョホールのシュートが11本(枠内4本)、広島のシュートが5本(同2本)、ボールの保持率はジョホール64%、広島36%に終わり、両チームともに無得点で折り返します。

後半に入ってもジョホールの勢いは衰えず、ジャイロ・ダ・シウバとフィゲイレドの両FWを中心にゴールを狙うと、51分、ついに試合が動きます。ギリェルメのコーナーキックはクリアされたものの、それを拾ったメンデスからフリーとなっていた右サイドのアケチェに渡ると、ペナルティエリアの外から放ったシュートが決まり、ついにジョホールが均衡を破ります。

さらに63分にはエディ・イスラフィロフのシュートが広島の選手に当たるとこれが後半から出場のベルグソン・ダ・シウバの足元へ。国内リーグでは今季17試合で19ゴールを挙げながら、ACLE では出場機会がなかなか与えられない不遇のエースがこれを蹴り込むと、これが自身の今季ACLE初ゴールとなり、ジョホールはリードを広げます。

さらに85分には「Jクラブキラー」として今年1月に獲得した前東京のギリェルメが、先月の広島戦、神戸戦に続く、対Jクラブ3連発となるゴールを決めるとスルタン・イブラヒム・スタジアムは大興奮状態に盛り上がります。

しかしその1分後には広島のロングスローから荒木選手が放ったシュートをGKスビアウレがブロックするも、これがゴール前のネネに当たってオウンゴールとなり、広島は1点を返しますが、試合はこのまま終了し、ジョホールが2点のリードを持って2ndレグに臨みます。


胸スポンサーで見るとトヨタ(ジョホール、実際にはトヨタとマレーシアの現地企業との合弁会社「UMWトヨタモーター社」がスポンサー)対マツダ(広島)の対戦となった試合は、終わってみれば、ジョホールのシュート28本(枠内8本)、広島は8本(同4本)と、地の利を生かして勝ち切ったジョホール。この試合の勝利でジョホールとJクラブとの通算対戦成績は14試合3勝2分9敗となりました。(途中で出場辞退となった2020年の神戸戦の結果を含む)

次戦となる広島との2ndレグは来週3月11日に行われますが、気になるのは、ジョホールの3勝が全てホームゲームで、アウェイではJクラブ相手に勝利を挙げた経験が1度もないこと。いずれもコロナ禍により集中開催となった2021年(タイのバンコク)、2022年(ジョホール)のACLの結果を除けば、日本国内での試合は6試合0勝1分5敗、2得点18失点と惨敗した記録しか残っていません。マレーシアのクラブとして初のベスト8進出を目指すジョホールにとっては、このアウェイのジンクスを覆すことができれば、悲願のベスト8進出となります。

2026/26ACLエリート リーグステージ第8節
2026年3月4日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジム 3-1 サンフレッチェ広島
⚽️ジョホール:アヘル・アケチェ(52分)、ベルグソン・ダ・シウバ(63分)、マルコス・ギリェルメ(85分)
⚽️広島:ネネ(分OG)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。