1-3で敗れたベトナム戦後に「ピッチ上の実力という点では、我々は出場に値していた。しかし、ピッチ外の問題で打撃を受けた」と発言をしたマレーシア代表のピーター・クラモフスキー監督に冷ややかなコメントが集まっています。結局、マレーシアとは縁もゆかりもないことが明らかになった国籍偽装選手7名が出場、しかもエースのグエン・スアン・ソンをケガで欠いたベトナム戦での勝利に基づいて「実力」と述べているのであれば当然でしょう。クラモフスキー監督は、国籍偽装が明るみに出た際にもマレーシアサッカー協会(FAM)を批判したコメントが炎上しています。
マレーシア代表監督オファーが出された際には、FAMから独立して動く代表チーム運営から「ウチには近々、ブラジルやスペイン出身の帰化選手が大量に加わるので、東南アジアでは無双できるだけでなく、アジアの上位も狙えるチームになる。そうすればあなたのレジメがより見栄えが良いものになり、あなたが支えたポステコグルーのように欧州クラブの監督の座も狙える。」(注:全て筆者の想像です)なんて甘い言葉に誘われた可能性すらある所詮は「あちら側」のクラモフスキー監督の発言は、マレーシアサッカーとマレーシア代表の利益を純粋に考えたものとは思えないので、ただ聞き流すのが良さそうです。
最新のFIFAランキング発表-前回より17ランク下がった138位はクラモフスキー監督就任以前より悪化
4月1日に最新のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回1月19日に発表された135位から3位下げた138位となっています。マレーシアのFIFAランキングが138位となったのは2024年4月4日以来です。
その2024年を132位で終えていたマレーシアは、2025年11月には121位までランクを上げていましたが、FIFAのランキングサイトでも下げ幅が最大の-17位、失ったランキングポイントも最大の-59.67と紹介される名誉を得るほどの激しい下落となりました。
この乱高下の原因は、もちろん例の国籍偽装です。本来、代表としてプレーする資格のない選手たちのおかげで、格上のベトナム相手に11年ぶりの勝利を挙げ、国際親善試合とはいえ、史上初のW杯出場を決めたカーボベルデと引き分けるなど、2025年は8試合で7勝1分と無敗で1年を終えたハリマウ・マラヤ(マレーシア代表の愛称、意味は「マレーの虎」のFIFAランキングはほぼ右肩上がりで推移し続けました。しかし、FIFAが国籍偽装選手が出場した国際親善試合3試合(下の表の*印)の結果を全て、マレーシアの0-3の負けとする処分を下し、AFCもこれに合わせる形でアジア杯2027予選で国籍偽装選手が出場した2試合(下の表の#印)の結果をやはり0−3でマレーシアの負けとする処分を3月17日に科したことで、全5試合を4勝1分とした結果に基づくポイントが全て剥奪されています。
マレーシアのFIFAランキングの推移(2024年1月から2026年4月)
| ランキング発表日 | ランキング(増減) | ポイント | 代表戦試合結果 |
|---|---|---|---|
| 2024年12月9日 | 132位 | 1115.51 | |
| 2025年4月3日 | 131位 (+1) | 1123.57 | #3月25日⚪︎2-0ネパール |
| 2025年7月10日 | 125位 (+6) | 1138.48 | *5月29日△0-0カーボベルデ #6月10日⚪︎4-0ベトナム |
| 2025年9月18日 | 123位 (+2) | 1148.23 | *9月4日⚪︎2-1シンガポール *9月8日⚪︎1-0パレスチナ |
| 2025年10月17日 | 118位 (+5) | 1161.53 | 10月9日⚪︎3−0ラオス 10月14日⚪︎5-1ラオス |
| 2025年11月19日 | 116位 (+2) | 1168.41 | 11月18日⚪︎1-0ネパール |
| 2025年12月23日 | 121位 (-5) | 1145.89 | |
| 2026年1月19日 | 121位 (±0) | 1145.89 | |
| 2026年4月1日 | 138位 (-17) | 1086.22 | 3月31日●1-3ベトナム |
ヘクトル・ヘベル、ホン・イラサバル、ガブリエル・パルメロ、ファクンド・ガルセス、ロドリゴ・オルガド、イマノル・マチュカ、ジョアン・フィゲイレドの7名のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)が国籍を偽って代表戦に出女子ていたことにより、試合結果が無効になった結果として剥奪されたポイント合計59.67に加え、3月31日のAFCアジア杯2027大会予選最終戦でベトナムに3対1で敗れたこともあり、1年間を振り返ってみればクラモフスキー監督就任前より低い138位にまで順位を落としています。
単純比較できないことはわかっていますが、前任のキム・バンゴン監督(現スランゴールFC監督)が2022年1月の就任時に154位だったマレーシアを一時は130位まで押し上げ、2024年8月の辞任時には134位だったこと、しかもこれを国籍偽装選手の力を一切借りずに達成したことを考えると、パフォーマンスの低下すら感じるクラモフスキー監督の手腕そのものに疑問すら感じるとともに、「あちら側」の人間にこのまま代表監督を任せておくことが代表チームにとって良いのかという疑問も浮かんできます。
無くならない国内リーグの未払い給料問題-今度は前クダのTDとPDRMのキャプテンが苦境を明らかに
マレーシア北部のクダ州を本拠地とするクダ・ダルル・アマンFCは、2007と2008年にマレーシアのクラブとしては初めて国内三冠(リーグ戦、マレーシアカップ、マレーシアFAカップ)を2シーズン連続で達成したいわば名門クラブ。しかしながら、マレーシアのクラブの御多分に漏れず、放漫経営と*民営化失敗により経営が破綻し、今季からは3部のA1セミプロリーグで再出発を図っています。
そのクダでMFとして現役時代を過ごし、2シーズン連続国内三冠達成にも貢献、クラブのテクニカル・ディレクター(TD)を務めているチリ出身のネルソン・サン・マルティン氏が給料未払いとなっている苦境を、英字紙スターが伝えています。
記事によれば、現在もクダのTDとしての契約が続いているにも関わらず、サン・マルティン氏は自身のSNSに給料未払いの現状を述べるとともに、投げ銭用のQRコードを添付しているということで、状況は切迫しているようです。
2024年から始まった未払いや遅配により経済的には逼迫している明らかにしたサン・マルティン氏は、2025年11月にTDとしての契約を更新したにも関わらず、1月分の給料の一部が支払われたのを最後に、それ以降は給料の支払いがないどころか、2025年11月以前の契約期間中の未払いもある中、クラブとの連絡も取れなくなっているということです。
現在、サン・マルティン氏は現役時代に自身を応援してくれたクダのサポーターによる支援によりなんとか生活できていると、スターの取材に答えるとともに、クダのモハマド・ダウド・バカル オーナーに対して現在の状況を訴えるために、直接対話の機会を求めたいと述べています。
また今季のマレーシア1部スーパーリーグで最下位に沈むPDRMのキャプテンで、韓国出身のパク・テスも、チームが給料未払い問題を抱えていることを明らかにし、このピッチ外の問題がクラブの不振の原因の一端であると述べています。
19試合を終えて勝点10で最下位のPDRMは、シーズンを通して給料の遅配・未払い問題が慢性的に起こっていることは、多くのメディアによって報じられていますが、このニュースを取り上げている英字紙スターは、5ヶ月分を超える給料の未払いが起こっており、これにより今年1月のトランスファーウィンドウでは、外国籍選手3名を含めた複数の選手がこの給料未払いを理由に退団しています。
今季サバから加入し、ここまでここまで3ゴール4アシストを挙げている36歳のパク選手は、自分の成績には満足していると語る一方で、エディ・ガピル監督やマレーシア人選手は、ピッチ外の問題がなければ、もっと良い成績を残せているはずだとも述べています。またチームの主力となるはずの外国籍選手が現在は3名しかいないこともチームにとっては痛手であると説明しています。
「このシーズンは自分だけでなくチーム全体にとって苦しい状況が続いている。チームの集中力を削がれるようなことがピッチ外で何度も起きている。それでもピッチに立てば、チームは全力を尽くしている。」
パク選手は最後までチーム全員が結束して残り5試合となったリーグ戦を戦いたいと話し、自身は最後までキャプテンとしてチームにポジティブな影響を与え続けたいとも述べています。
未登録選手のリーグ戦出場事件-リーグが落ち度を認め、クラブへ罰金処分も試合結果の変更なしで責任の所在は曖昧に
3月14日に行われたマレーシアスーパーリーグ第21節ペナン対クチンシティの試合で、クチンシティがこの試合のベンチ入りメンバーリストに名前がない選手を起用した件に関する報告と担当者の処分について、リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)が公式声明を発表しています。
声明では、ペナン、クチンシティの両クラブに加え、マッチコミッショナー、ゲームコーディネーター、第4審判からそれぞれ提出された報告書をもとに特別委員会を開催して協議を行なった結果、クチンシティがベンチ入りメンバーリストにスコット・ウッズの名を記して提出していたにも関わらず、試合の出場選手リストを作成したマッチコミッショナーがその名をこの試合の出場選手リストに記載し忘れたことが原因としてます。
さらにこのミスをマッチコミッショナー自身だけでなく、ゲームコーディネーター、第4審判のいずれもがそのミスに気づかなかったとされています。マッチコミッショナーは、試合前のロッカールームでの出場選手のチェックといった本来行われるべき手順を行わず、また出場選手リストにその名が書かれていないウッズ選手がアディショナルタイムに交代出場した際には、ゲームコーディネーター、第4審判ともに出場選手リストに名がないにも関わらず、十分な確認をせずに出場を認めてしまったとしています。
今回の混乱についてMFLは今回の試合のマッチコミッショナーを停職12ヶ月、ゲームコーディネーターを停職6ヶ月とすることを発表しています。また第4審判については、マレーシアサッカー協会(FAM)の審判委員会に処分を委ねるとしています。
決められた手順に従わなかった担当者への処分は当然として、MFLは同時にクチンシティにも3万リンギ(およそ120万円)の罰金処分を科すとともに、チームリストに掲載する情報の正確性を確保する義務を怠ったとして厳重注意を与えることも発表しています。罰金処分を科すということは、クチンシティにもなんらかの落ち度があったことを示しているはずですが、その一方でクチンシティがペナンを1対0で破った試合結果はそのまま有効とも発表しています。
現在クチンシティはスランゴールとの2位争いの最中で、2位スランゴールとの勝点差はわずか2です。この試合がクチンシティの負けとなれば、試合数が1試合少ないクチンシティですが残り試合を全勝しても、スランゴールが全勝すれば勝点差を埋められず3位となります。このようなリーグ終盤ですっきりしない処分を発表するMFLには、より明快な説明を求めたくなります。








