12月28日のニュース:FAMはスズキカップ早期敗退によるタン代表監督解任説を否定、代表FWシャフィクが古巣のクダ🔰へ期限付き移籍、FIFAによる資格停止処分を受けたプルリス州サッカー協会が活動再開

FAMはスズキカップ早期敗退によるタン代表監督解任説を否定

 マレーシアサッカー協会FAMは東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020でグループステージ敗退となったマレーシア代表のタン・チェンホー監督を解任する予定はないようです。
 前回2018年大会では準優勝したマレーシア代表ですが、現在シンガポールで開催中の2020年大会ではグループステージで2勝2敗でインドネシア、ベトナムに次ぐグループ3位となり準決勝進出を逃しており、前回大会に引き続きマレーシア代表の指揮を取ったタン監督の責任を指摘する声も出ており、FAMは大会敗退後、公式サイトで早期敗退の責任はタン監督ではなくFAMにあると表明するほどでした。それでもタン監督解任論は収まらず、このブログでも取り上げたようにKLシティFCのボジャン・ホダック監督の名前などもその後任として上がっています。
 そんな中、FAMのサイフディン・アブ・バカル事務局長は英字紙ニューストレイトタイムズの取材に対してタン監督の解任についてはFAM内で議論すらされていないと述べています。
 「あらゆる対外試合の後で代表チームのパフォーマンスに対する評価を行うことは、代表チーム運営委員会の標準作業手順であり、代表監督と代表チームマネージャからの報告を参考にしながら、代表チーム運営委員会の委員長でFAMのハミディン・アミン会長のもと話し合いを行い、その結果をFAM理事会で発表する手順は従来通りである。スズキカップで起こった問題点などを洗い出し、その反省点を6月のAFC選手権アジアカップ2023年大会最終予選に生かしたい。」と述べたサイフディン事務局長は、2022年末までの契約となっているタン監督を契約途中で解任することは考えていない話しています。
 サイフディン事務局長はこの時期に新監督を採用しても来年6月に迫ったアジアカップ予選までにチームをゼロから作る十分な時間がないこと、さらに新監督が必ずしも望むような結果をもたらすとは限らないことなどを挙げて、今は監督交代について議論する時期ではないとも述べ、タン監督の元でアジアカップ予選を戦うための環境を整えることが優先であるとしています。

🔰代表FWシャフィクが古巣のクダへ期限付き移籍

 Mリーグ1部スーパーリーグで2季連続で2位となったクダ・ダルル・アマンFCは、スズキカップ2020にも出場したマレーシア代表FWのシャフィク・アフマドがJDTから1年間の期限付きで移籍することをクラブ公式Facebookで発表しています。
 ペナン州出身で26歳のシャフィク選手ですが、2013年の高校卒業後に18歳でクダFA(現クダ・ダルル・アマンFC)のU21チームに入るとそこで頭角を表し、20歳のときにトップチームデビューを果たしています。2018年にJDTへ移籍するとチームのタイトル獲得にも貢献した他、U23代表、そしてA代表でもプレーするようになり、タン・チェンホー監督の元では主力選手となり、新型コロナ禍前に行われた2019年のW杯予選ではアラブ首長国連邦戦など2試合でゴールを決めるなど活躍していました。
 5季ぶりのクダ復帰となるシャフィク選手ですが、今季は選手層が厚いJDTではほとんど出場機会がなく、試合出場時間の不足から代表戦でもかつてほどの輝きを見せておらず、出場機会を求めて今回の移籍になりました。
 クダ・ダルル・アマンFCにとっても今季のチーム得点王FWクパー・シャーマンと同2位のチェチェ・キプレが揃って同じスーパーリーグへ移籍したことでストライカーのポジションが空席なため、この移籍は文字通り両者がウィンウィンとなる移籍となりました。
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 ちなみにこの記事の見出しに使われているのはご存知の初心者マーク(若葉マーク)です。マレーシアではこのようなマークは使わないのですが、クダ・ダルル・アマンFCのチームカラーが緑色と黄色(チームの相性もマレーシア語で緑色と黄色を表すHijau Kuningです)なことから、なぜかこのアイコンがクラブ公式サイトで使われています。

FIFAによる資格停止処分を受けたプルリス州サッカー協会が活動再開

 今季2021年シーズンのMリーグは1部スーパーリーグに12チーム、2部プレミアリーグには11チームが所属していましたが、この中にはマレー半島北端にあるプルリス州を本拠地とするクラブが一つもありません。マレーシアには13の州がありますが、Mリーグ1部と2部にクラブがないのはプルリス州だけです。
 プルリス州のサッカー活動の中心となるプルリス州サッカー協会は、かつてプルリスFA(名前がややこしいですがこちらはクラブの名称です)というクラブを運営していました。プルリスFAは2005年にはスーパーリーグで優勝し、2004年と2006年にはマレーシアカップも制覇したクラブでしたが、2010年に入ると2部プレミアリーグと当時の3部リーグに当たるFAMリーグの間で昇格と降格を繰り返すクラブになっていました。
 そんな中、2018年にプルリス州FAの会長に就任したアフマド・アミザル・シャイフィット氏は、高額の給料で元代表選手ら国内の有力選手、さらにはシンガポールや日本出身の選手を文字通りかき集めてプルリスFAの強化を図りましたが、2019年シーズン開幕前には未払い給料問題が発覚し、その後は給料を支払う財源がなく、未払い給料返済の目処が全く立たなかったことから、プルリスFAを運営していたプルリス州サッカー協会はFIFAにより2年間の活動停止処分を受けました。FAMもプルリスFAをMリーグから除名し、プルリス州サッカー協会のアフマド・アミザルプルリス会長には国内のあらゆるサッカー活動に関わる資格を生涯停止する処分を言い渡しました。
 そんな「黒歴史」を持つプルリス州サッカー協会ですが、現在の会長を務めるザムリ・イブラヒム会長は、プルリス・ユナイテッドFCが来季2年ぶりに開催されるMリーグ3部に当たるM3リーグへの参加を認められたと、マレーシアの通信社ブルナマの取材に応えています。
 M3リーグ以下を運営するアマチュアフットボールリーグAFLから2022年シーズンのリーグ参加を認められたと話すアフマド会長は、マレーシアサッカー協会FAMが運営するU21リーグのプレジデントカップ、U19のユースカップへの参加も同時に認められたことも明らかにしています。
 アフマド会長はプルリス・ユナイテッドFCがM3リーグへの参加がプルリス州のサッカー復興に役立つと信じていると話し、プルリス州スポーツ評議会と協力して州内リーグを来年2021年から再開し、プレジデントカップとユースカップチームでプレーする選手を21歳以下の選手を選抜したいとも述べています。


8月8日のニュース:JDTがアセアンのeサッカーリーグに参戦、スズキカップの組み合わせ抽選が延期、Mリーグ追放処分時のプルリスFA会長が死去

JDTがアセアンのeサッカーリーグに参戦
 Mリーグ1部スーパーリーグのJDTはクラブの公式Facebookで、東南アジアのトップクラブが対戦するeサッカー大会に参加することを発表しています。
 今回が第1回となるチャンピオンズeサッカー大会は今年9月9日から10月7日にかけて、プロエボリューションサッカーPES(日本名ウィニングイレブン)で争われ、JDTからは代表選手でもあるモハマドゥ・スマレが、2018年東南アジア競技大会通称シーゲームズで準決勝に出場したノーハイカル・ノー氏と組んで出場するということです。
 JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下はeサッカーへの進出に興奮していると同時に、東南アジアのトップクラブとの対戦を楽しみにしていると話しています。
 なおこの大会にはJDTの他、ブリーラム・ユナイテッドFC、チョンブリーFC(以上タイ)、プルシブ・バンドンFC(インドネシア)、タムピネス・ローヴァーズFC(シンガポール)、ユナイテッドシティFC(フィリピン)、ナガワールドFC(カンボジア)とホーチミンシティFC(ベトナム)が出場するということです。(以下はJDTの公式Facebookより)

スズキカップの組み合わせ抽選が延期
 東南アジアサッカー連盟AFFは予定されていたAFF選手権スズキカップ2020年大会の組み合わせ抽選の延期を公式サイトで発表しています。新たな日程は後日発表されるということです。
 組み合わせ抽選はシンガポールで開催される予定でしたが、新型コロナウィルスに対する対策が再び厳格化され、国内の他の重要なイベントも延期になっていることから、AFFもこれに従う形で延期を決めたということです。   
 スズキカップ2020年大会は、新型コロナウィルスの感染拡大により当初の日程が変更となり、現時点では今年12月5日に開幕し、来年2022年1月1日に決勝戦が予定されています。

Mリーグ追放処分時のプルリスFA会長が死去
 2019年にマレーシア半島最北部にあるプルリス州のサッカー協会会長を務めたアフマド・アミザル氏が亡くなったことをマレーシア語紙のハリアンメトロが報じています。
 アフマド・アミザル氏はプルリス州サッカー協会の会長に就任すると、州協会が運営し、当時Mリーグ2部に在籍していたプルリスFAを強化するために複数のマレーシア人と外国籍の有力選手を獲得したものの、リーグ開幕前から選手や監督、コーチらへの給料未払い問題が明らかになり、その解決が見通せないことからクラブは開幕3試合でリーグ追放処分を受けました。なお、プルリスFAが獲得した選手の中には現在、トレンガヌFC IIでプレーする渡邉将基選手も含まれていました。
 この騒動の後、アフマド・アミザル氏はプルリス州サッカー協会会長を在職4ヶ月という短い期間で辞職し、サッカー界からは姿を消し、話題に登ることもありませんでしたが、今回、アフマド・アミザル氏の父親が、息子の訃報をFacebook上で明らかにしました。


8月12日のニュース:活動停止処分期間中のプルリス州FAが密かに活動再開か、強化合宿中のU19代表は練習試合2試合を予定、パハンFAのレバノン出身選手はいまだ自国から出国できず

活動停止処分期間中のプルリス州FAが密かに活動再開か
 複数の在籍選手やコーチに対しての未払い給料が支払われなかったことから、国際サッカー連盟FIFAから2019年より2年間のあらゆるサッカー活動の停止処分を受けているプルリス州サッカー協会(プルリス州FA)が、マレーシアサッカー協会FAMの知らないうちに活動を再開しているという疑惑を英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 プルリス州に拠点を持つクラブのプルリス・ユナイテッドFCは今季2020年シーズンからMリーグ3部にあたるM3リーグに参加していますが、このプルリス・ユナイテッドFCがプルリス州FAを運営しているという疑惑が浮上しています。
 プルリス・ユナイテッドFCはプルリス州を拠点にするということで、クラブのM3リーグ参加の際には、プルリス州FAの元役員らと接触を持たないようFAMが警告していましたが、効果はなかったようです。
 今季まではMリーグ1部と2部を運営するマレーシアフットボールリーグMFLの下部組織であるアマチュアフットボールリーグAFLが3部のM3リーグと4部のM4リーグを運営していましたが、来季2021年シーズンからはFAMが3部と4部リーグを運営することなり、これによりこの疑惑が発覚したようです。
 FAMでクラブライセンス審査を担当する第一審査機関FIBのフィルダウス・モハマド委員長は、「プルリスFAは現在、2年間の活動停止処分期間中であり、どのような活動も許されていない。プルリス・ユナイテッドFCがどのようにしてM3リーグに参加できたのかは定かではないが、来季開幕前までには精査を行なって、事実を明らかにしたい。」と話しています。さらにFAM主導で行われている州FAが運営するクラブの民営化に際しては、法を守らないクラブがMリーグに戻れるような抜け穴を作らないようにするとも話しています。
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 このプルリス・ユナイテッドFCは今年3月には、給料の半分しか支払わず、しかも選手の同意なしに契約解除を行ったことが報じられるなど、既に問題が発生していましたが、それをAFL、そしてMFLが放置していた結果、このような事態になった可能性もあります。

強化合宿中のU19代表は練習試合2試合を予定
 10月にウズベキスタン で開催されるアジアサッカー連盟AFC U19選手権に出場するU19代表は、大会前にMリーグクラブと2試合の練習試合を行うことが予定されていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 第一次合宿と現在開催中の第二次合宿を合わせると既に5週間の練習を続けてきたチームは、待望の実戦練習として本日8月12日にはMリーグ1部のPJシティFCと、そして8月19日にはMリーグ2部のスランゴール2との対戦が組まれているということです。
 強い相手と練習試合を行いたいとするU19代表のブラッド・マロニー監督は、現在強化合宿が開催されているスランゴール州の両クラブを相手に、これまで練習で行ってきたことができるかどうかを確認する機会でもあり、良い腕試しになることを期待していると話しています。
 AFC U19選手権ではグループDに入るU19代表は、10月16日のグループステージ初戦でトルクメニスタンと、10月19日にはカタール、10月22日にはイエメンと対戦します。この大会では、各グループの上位2チームがベスト8としてノックアウトステージに進み、準決勝まで勝ち上がったチームは、来年2021年にインドネシアで開催されるU20W杯への出場権を獲得することができます。

パハンFAのレバノン出身選手はいまだ自国から出国できず
 Mリーグ1部パハンFAで今季からプレーするレバノン出身のDFカリル・ハミスは、Mリーグ再開の8月26日が近づく一方で、いまだに自国で足止めされていると、マレーシア語紙コスモ電子版が伝えています。
 カリル選手は、現在、レバノン政府が自国民の海外渡航を禁じていることからいまだに出国できていません。さらに出国許可が出る予定も立っていないことから、パハンFAのドラー・サレー監督は、カリル選手は今季中にチームに合流できない可能性が高いことを認めざるを得ないと話しています。新型コロナウィルスにより中断しているMリーグは、試合数が半分になっており、今季は9月末に終了する予定になっています。
 新型コロナウィルスに加え、先日、レバノンの首都のベイルートで起こった爆発事故の影響で、レバノンからの出国ははさらに難しくなっているという話もあります。
 ここにきてカリル選手との連絡も途絶えていると話すドラー監督は、同じくディフェンダーのムスリム・アーマドもケガが完治しておらず、リーグ再開に向けて頭が痛いとし、現有戦力で戦うしかないと話しています。
 リーグ中断時点で勝点6でリーグ3位のパハンFAは、8月26日のリーグ再開初戦で同じくリーグ首位のジョホール・ダルル・タジムとホームのダルル・マクムルスタジアムで対戦します。

8月2日のニュース:二度目の検査で陰性反応もクチンFAの今季Mリーグ参加は再開直前まで確定せず、クダFAのエースは月給が300万円超えではないと明言、9月末の期限までに民営化しないクラブは来季は3部降格も

二度目の検査で陰性反応もクチンFAの今季Mリーグ参加は再開直前まで確定せず
 先日このブログでも取り上げたMリーグ2部クチンFAの選手5名が新型コロナウィルスの綿棒検査で陽性となった件ですが、その後、新たな進展があり、改めて行われた血液検査ではこの5名全員が陰性となっています。
 クチンFAのイスワンディ・アリ・ハサン事務局長は、この5名の選手は、3度目の検査を控えて現在は自宅隔離中だと明かした上で、状況が悪化し、Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLがリーグ出場辞退を求めた場合はそれを受け入れる用意があると話していることを、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 自宅隔離中というイスワンディ事務局長は「我々自身でリーグ出場辞退を申し出たくはないが、もしMFLからそのような依頼があれば、他のクラブに問題が及ばないよう、その依頼を受け入れる予定がある。」と話しています。
 なお現在のチームの状況は、8月8日までは選手及びスタッフ全員が自宅隔離となっており、選手は活動制限令MCO発令時と同様に各自が自宅でトレーニングを行なっているということです。
 またMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOはMリーグ再開となる8月26日の1週間前に、再度クチンFAの選手とスタッフの健康状態については検査を行い、その結果を理事会に諮って最終決定を下す予定であることを発表しています。
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 昨日8月1日の時点で678名の感染者が確認されているサラワク州ですが、州政府は現在、マレー半島からボルネオ島にあるサラワク州に入る場合には14日間の隔離措置を課しており、この措置が今後も続くとクチンFAのMリーグ出場の障害になる可能性も浮上しています。8月26日から短縮日程で再開されるMリーグ1部と2部は試合の間隔が詰まっており、最大でも7日間しかなく、クチンFAは再開初戦となる8月26日の第5節はホームゲームですが、第6節9月2日はペラIIとの試合はマレー半島でのアウェイ、そこから4日後の9月6日の第7節はホームでサラワク・ユナイテッドと「サラワクダービー」が控えています。

クダFAのエースは月給が300万円超えではないと明言
 マレー語紙ブリタハリアン電子版によると、Mリーグ1部クダFAのエースストライカーでリベリア出身のクパ・シャーマンは、自分の月給が12万5000リンギ(およそ311万円)ではないことを明らかにしています。
 過去5ヶ月間の給料が未払いとなっているクダFAですが、この6月にクダFAを運営するクダ州サッカー協会の新会長に就任したムハマド・サヌシ・ムハマド・ノー州首相が給料未払いは前経営陣の責任であると非難し、その中で月給12万5000リンギの選手と契約するなど予算を遥かに超える放漫経営だったと発言しました。
 これを受けてネット上ではこの高額取りは誰か、という「魔女狩り」が始まり、今季クダFAへ移籍してきた昨季のリーグ得点王のシャーマン選手ではないか、という声が上がっていましたが、これに対してシャーマン選手はこれを否定しています。
 「当初はこの件についてコメントする気はなかったが、自分の月給が12万5000リンギであるという噂が一人歩きし始めたので、これが真実ではないことを明らかにしたい。また、こういった噂を発した人物は、まず真実かどうかを確かめた上で発言するべきだ。」「たとえ実際にこのような金額を受け取っている選手がいるとしても、給料をメディアや大衆に公表することは、職業倫理に反することである。」とシャーマン選手は述べています。
 またシャーマン選手は5ヶ月間続いている給料未払いについて、給料未払いは我々選手だけでなく、その家族にも影響が及ぶことに加え、これ以上クラブが悪く見られることを避けるためにも、責任を負うべきものが直ちにこの問題の解決に取り組むべきだと話しています。

9月末の期限までに民営化しないクラブは来季は3部降格も
 マレーシアサッカー協会FAMは。9月30日に設定されている期限までに民営化されなかったクラブに対して、来季2021年シーズンをMリーグ3部降格処分を下す可能性があると、ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 FAMの民営化特別委員会のフィルダウス・モハマド委員長は、これまで民営化が完了しているのは6クラブのみであり、現在手続きを行っているのは8クラブであることを明らかにしています。
 民営化が完了しているのは1部のジョホール・ダルル・タジムJDT、PJシティFC、2部のサラワク、ヌグリ・スンビラン、3部のマレーシア国軍FC、現在はリーグに参加していないプルリスの6クラブということです。(注:2019年までMリーグ所属のプルリスFAを運営していたプルリス州サッカー協会は給料未払い問題が未解決のため、その運営クラブのリーグ参加が認められていません。)
 民営化クラブ(FC)の設立は、Mリーグ1部と2部に運営クラブが所属する20団体(1部のJDT、スランゴールFC、ペラTBG、トレンガヌFCの4クラブはBチームが2部に所属)およびマレーシア国軍、プルリス州FAに求められており、各州サッカー協会(州FA)が運営するクラブは民営化に加え、州FAから完全に独立した存在となる必要があります。またJDTやPJシティFCのように既に州FAから独立して運営されているクラブについては民営化が求められています。
 またフィルダウス委員長は民営化手続きを始めていないクラブとしてMリーグ1部ではクダ、ペラ、サバ、マレーシア王立警察PDRM、パハン、UITM FC、2部ではクアラルンプールの名を挙げる一方で、このうちの5つのクラブはFAMが支援を行なっていることも明らかにし、期限までは2ヶ月しかないことを警告した上で、期限内に民営化が完了しないクラブは来季はMリーグ3部のM3リーグからスタートする可能性にも言及しています。
 この民営化促進はアジアサッカー連盟主導のものであること、そしてマレーシアは東南アジアの他国に比べると遅れを取っていることも明らかにしたフィルダウス委員長は「この民営化を実施することにより、負債を抱えた後、それを残したまま運営から手を引く無責任な運営団体を根絶することができ、さらに優良なスポンサーを集めることになる。」として、Mリーグのクラブで拡大している未払い給料の問題の解決にもつながると話しています。

5月8日のニュース:ケランタンFAにリーグ除名の危機、PJシティFCは未払い給料問題なし、クダFAのサポーターグループが州FAに給料未払い問題の早期解決を要望

ケランタンFAにリーグ除名の危機
 マレー語紙ハリアンメトロ電子版は、国際サッカー連盟FIFAはMリーグ2部プレミアリーグのケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAに対し、2018年シーズンに同クラブに加入し2019年シーズン途中に移籍した外国籍選手のDFカッシオ・フランシスコ・デ・ジーザス(現在はインドネシア1部リーグのバリトプテラに在籍)に対する未払い給料14万5944米ドル60セント(およそ1550万円)を30日以内に支払うことを命じたと報じています。
 4月23日付で発表されたこの決定により、もし期限内にKAFAが支払いを行われなければ、FIFAの懲罰委員会からの処分を受け、KAFAはマレーシア国内であらゆるレベルでのサッカー活動への参加が禁じられることになります。
 新型コロナウィルス感染拡大によりリーグが中断していることよって入場料収入が途絶え、マレーシア人選手への未払い給料も数千米ドルあると言われているKAFAにとっては、最悪の場合、リーグ再開を待たずにMリーグから除名となる可能性もあります。
 またFIFAは今年2回目と来年1回目の2回のトランスファーウィンドウ移籍期間中にケランタンFAが新たな選手を獲得することを禁じています。この措置はマレーシア人選手と外国籍選手の両方に適用され、現在、所属する選手との契約を解除しながら、新たな選手を獲得して同様の「違反」行為が行われることをFIFAが未然に防ぐための措置だとハリアンメトロは説明しています。
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 KAFAについては、昨日ちょうどこのブログでも、Mリーグが9月に再開となった場合には協会やクラブを支えるスポンサーの功績に報いるために、試合を中継することを望んでいるという記事を取り上げましたが、そうしないとスポンサーや広告主は約束していたスポンサー代や広告費を支払わない可能性もあることからの提言だったのだろうと思います。
 昨年2019年にはプルリス州サッカー協会PFAがやはり外国籍選手への給料未払いにより、FIFAから未払い給料を支払うまで、あらゆるサッカー活動の禁止を命じられ、その結果、PFAが運営していたプルリスFAは昨季途中でMリーグ2部プレミアリーグから除名されています。

PJシティFCは未払い給料問題なし
 上記のケランタンFAの様にMリーグの各クラブが経営に苦しむ中、PJシティFCには未払い給料問題がないと、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 PJシティFCのチームマネージャーであるK・ラジェンドラン氏によると、選手およびスタッフはこれまでの給料を遅延なく支払われていると話す一方で、選手およびスタッフに対する給料削減の内容については詳細を明かしていないということです。
 「削減額はクラブが選手およびスタッフとの間で合意されたものであり、強制したものではない。選手は新型コロナウィルスによってもたらされた現状を十分理解しており、今回の給料削減は、クラブと選手が妥協したものである。今後はマレーシアサッカー協会FAMによる給料削減に関する指針を考慮する。」「選手およびスタッフの給料削減を行うことで、最も重要な『遅配なく給料が支払われている』を強調したい。」と述べています。
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 PJシティFCは、州政府や政府機関から資金援助を受けていないMリーグのクラブのうちの一つで、Mリーグ1部と2部をあわせても、この他にはMリーグ1部のジョホール・ダルル・タジムJDTとMリーグ2部のサラワク・ユナイテッドしかありません。州政府や政府機関が新型コロナウィルス対策で予想外の支出を強いられ、そのしわ寄せが各クラブの運営費用に影響を及ぼし、給料の遅配や未払いにつながっている中、「民営化」されているクラブにも影響がないわけではないでしょうが、選手およびスタッフが不安になる様な事態にはなっていない様です。

クダFAのサポーターグループが州FAに給料未払い問題の早期解決を要望
 クダFAのサポーターグループの代表が、クダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAに対して、2ヶ月分の給料未払い問題の早期解決を求めていると、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 クダFAのサポーターグループ25団体を束ねる「赤鷲連合(クダFAのニックネームはHelang Merah赤鷲です)」を代表するモハマド・サファリザル・モハマド・ソブリ氏は、2月と3月の給料を支払っていないとされるKFAが選手およびスタッフの福利に責任を負わない姿勢に失望していると話しています。
 「KFAのアスミルル・アヌアル・アリス名誉事務局長は、未払い給料問題に直ちに対応するとメディアに発表しておきながら、状況は改善どころかさらに悪化している。クダFAサポーターグループは、この事態がこれ以上悪化しないためにも直ちに未払い給料を支払い、クラブのイメージをこれ以上悪くしないでもらいたい。」
 「もし、スポンサーからの支援や広告収入が滞っているのであれば。スポンサーとお交渉を続けつつも、直ちに状況を選手およびスタッフに説明し、理解を求める努力をすべきである。」とサファリザル氏は述べています。
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 別のメディアでは、クダFAの選手およびスタッフには2月分の給料は30%のみが支払われ、3月分については全くの未払いと報じられています。
 またこの状況については、マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長も、クダ州サッカー協会KFAが選手およびスタッフの給料削減をFAMが作成した指針に基づいて行うことを望むのであれば、まずは遅配となっている2月と3月の未払い給料を支払うか、選手との間で遅配分を分割で支払うことの合意を得るかが必要であると述べています。

2月4日のニュース:クラスニキがマレーシア国籍取得、FAMはプルリス州のクラブに州FAとは関わらないよう警告、AFCが本日緊急総会-コロナウィルスによりACL日程に変更も

クラスニキがマレーシア国籍取得
 今季ジョホール・ダルル・タジムJDTに加入したコソボ出身MFリリドン・クラスニキがマレーシア国籍を取得したことが、マレーシアサッカー協会FAMのホームページにて告知されています。
 クラスニキ選手は、昨季2019年はマラッカ・ユナイテッド(ただしケガのため試合出場はリーグ戦5試合のみ)、その前の4シーズンはクダFAでプレーし、国際サッカー連盟FIFAが規定する帰化選手申請の条件を満たしていました。
 FAMもクラスニキ選手の帰化の意思を確認した上で、同様の条件を満たしているブラジル出身のギリェルメ・デ・パウラ(ペラTBG)とともに、2人の帰化申請を後押しする意向を示していましたが、そのクラスニキ選手は1月1日付でマレーシア帰化申請が認められ、晴れてマレーシア人となりました。
 ただし、残念ながら即、フル代表入りとはいかないようで、FAMはFIFAに対してクラスニキ選手の国籍取得に関する書類等を送付後、審査を経る必要があるようですので、3月に迫ったFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選に間に合うかどうは微妙です。
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 クラスニキ選手は、MFLでは今後はマレーシア人選手登録となるため、JDTは既にいる5人の外国籍選手に加えてクラスニキ選手も同時にフィールド上に入ることが可能です。クラスニキ選手国籍取得のニュースは、マレーシア代表にとっては朗報ですが、JDTのライバルとなるマレーシアフットボールリーグMFLの他クラブにとっては悲報かもしれません。
(右はマレーシア の身分証明書MyKadを得たクラスニキ選手とFAMのりマリンガム事務局長-写真はFAMのホームページより)

FAMはプルリス州のクラブに州FAとは関わらないよう警告
 国際サッカー連盟FIFAは、給料未払い問題を解決しないプルリス州サッカー協会PFAに対し、昨年2019年よりサッカーに関するあらゆる活動の禁止処分を科しています。これに伴いマレーシアサッカー協会FAMは、今季2020年シーズンのMFL3部M3リーグに参加するPFA傘下の3クラブに対し、PFA自体とは無関係でいること、またフロントには元あるいは現PFA関係者を含めないよう警告していると、マレー語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、「プルリス」あるいは「(PFAが運営していたクラブチームの愛称)ノーザンライオンズ」をクラブ名に採用しているクラブにPFAの影響が見受けられる場合には、FIFAの査察が入る可能性や新たな処分が下される可能性があることから、FAMとしても監視を行う意向があることを明らかにしています。
 今季のM3リーグにはプルリス・ユナイテッドFC、クアラプルリスFC、MAHSAノーザンライオンズFCの3クラブが参加しますが、今回の警告は、これらのクラブが対象です。なお、プルリス・ユナイテッドFCについては、PFA関係者がフロントにいることが発覚したことから、先日日程が発表になった今季のFAカップへの出場が認められませんでした
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 PFAに対するFIFAの処分の解除は未払い給料完済が条件となっていますが、プルリスノーザンライオンズFC(当時MFL2部所属)、ノーザンライオンズII(同MFL3部)、プレジデントカップチーム(U21)、ユースカップチーム(U19)、フットサルチーム(男女)に対して300万リンギ(およそ7900万円)を超える未払い給料があるとされており、現時点ではMFLへの参加も認められていないため、スポンサー獲得もできない状態が続いており、未払い給料問題解決の目処は立っていません。

AFCが本日緊急総会-コロナウィルスによりACL日程に変更も
 マレーシアの通信社ベルナマによると、アジアサッカー連盟AFCは明日、本日2月4日にクアラルンプールにあるAFC本部で緊急会合を開催し、中国湖北省武漢市でのコロナウィルス感染拡大による影響を受け、今季のAFCチャンピオンズリーグACL東地区の日程変更を話し合う予定のようです。
 東地区のグループEには北京国安、グループFには上海申花、グループGには広州恒大、グループHには上海上港と、4つのグループ全てに中国のクラブが含まれており、各グループの初戦は2月11日と12日に予定されていますが、オーストラリア政府が外国人の中国からの入国を一時的に禁じているため、オーストラリアサッカー協会は、2月11日に予定されているパース・グローリー対上海申花、2月12日のシドニーFC対上海上港の2試合の延期を求めています。
 多くの国が中国からの入国を一時的に制限している他、中国への渡航を制限或は禁止している国もあり、いずれにしても当初の予定どおりの日程では開催されそうにありません。

1月17日のニュース:フル代表の中東遠征は予定通り実施、マット・ヨーがタイ1部リーグのクラブに正式加入、ケランタンFAとケランタンUが今季のクラブライセンス取得

フル代表の中東遠征は予定通り実施
 フル代表は3月にFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選のアラブ首長国連邦UAE戦を控えていますが、アメリカとイランの対立により中東情勢が緊迫したことによりその実施があやぶまれていました。これについてFAMのダト・ハミディン・・モハマド・アミン会長は、マレーシア内務省やアジアサッカー連盟AFC、またUAEサッカー協会によって安全が保障されたことにより、フル代表の遠征は予定通り実施すると英字紙スター電子版に語っています。
 フル代表はUAE遠征前にバーレーン代表とブキジャリル国立競技場で国際親善試合を行ったのち、3月26日に予定されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選でアラブ首長国連邦UAEと対戦する予定になっています。
 なおUAE戦後のフル代表は、3月31日にホームでのベトナム戦、6月9日のアウェイでのタイ戦という日程が残っています。なお、6月のタイ戦の前にはクウェート代表との国際親善試合も予定されています。

マット・ヨーがタイ1部リーグのクラブに正式加入
 フル代表でもプレーする33歳のベテランFWノーシャルル・イドラ・タラハの正式加入が新たな所属先となるBGパトゥム・ユナイテッドFCのFacebookで発表されています。既にタイ入りし、健康診断を残すだけという話はこのブログでも一昨日、取り上げましたが、ついに入団が正式に決まったようです。
 昨季タイ2部リーグで優勝し、今季は1部に昇格するBGパトゥム・ユナイテッドFCには、大分から期限付き移籍を終えてタイリーグに復帰するMFティティパン・プアンチャンもおり、ティティパン選手からのパスを受けてノーシャルル選手がゴール!といった場面も見られるかも知れません。
(写真はBGパトゥム・ユナイテッドFCのFacebookより)

ケランタンFAとケランタンUが今季のクラブライセンス取得
 MFL2部のケランタンFAとケランタン・ユナイテッドFCがマレーシアフットボールリーグMFL参加に必要なクラブライセンスを取得したことをマレーシアの通信社ベルナマが報じています。
 ケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会のフシン・デラマン事務局長によると、マレーシアサッカー協会FAMとアジアサッカー協会AFCが規定したライセンス取得のための6条件の内の5つを満たしていることから、ケランタンFAに条件付きではあるもののライセンスが発行されたとのことです。
 また昨季はMFL3部にあたるM3リーグで優勝し、今季からMFL2部でプレーするケランタン・ユナイテッドFCのワン・モハマド・ズル・イクマン事務局長は、ライセンス取得により新たな選手との契約が可能となったことから、戦力を強化してリーグ戦に臨みたいとベルナマに語っています。
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 クラブライセンスを獲得したとはいえ、ケランタンFAはFAMから最後通帳を受けた3クラブの1つです。クラブライセンス取得条件の残る1つの条件は財政面ということで、給料未払い問題と関連している可能性もあります。2018年シーズン終了後、自動昇格となる条件を満たさないまま3部からMFL2部に参加したものの、リーグ開幕後に出場停止処分を受けたプルリスFAのようなことにならないよう、FAMとMFLには厳格な審査をお願いしたいです。

12月13日のニュース:プルリスFAのMFL復帰への道は険しい、ケランタン州サッカー協会に再びFIFAによる制裁の可能性が浮上

プルリスFAのMFL復帰への道は険しい
 昨季2019年シーズンにマレーシアフットボールリーグMFL2部で給料未払い問題と運営資金不足が明らかになり、開幕後わずか3試合でMFLよりリーグ出場停止処分となったプルリスFAのリーグ復帰の道のりはまだ険しいと、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が伝えています。
 プルリスFAはリーグ出場停止処分の他、昨季在籍したブラジル人FWバルチ・テイシェイラ・ジュニオールへの給料未払い問題が未解決のため、国際サッカー連盟FIFAによる選手獲得禁止処分も受けています。
 ニューストレイトタイムズによると、プルリスFAを運営するプルリス州サッカー協会PFAは、リーグ復帰に必要となるクラブの経済状況に関する書類をMFLに提出できていないということですが、上記のジュニオール選手の他、サフィ・サリー(PJシティFC)、カイリル・ムヒミーン(スランゴールFC)らマレーシア人選手に対しても未払い給料を抱えており、その総額は500万リンギ(およそ1億3500万円)とも言われ、これを完済することもリーグ復帰の条件です。
 PFAでは昨日1月12日に臨時総会と会長選が行われ、ザムリ・イブラヒム氏が新会長に選出されていますが、ザムリ会長は就任直後のインタビューで、マレーシアサッカー協会FAMを通じてFIFAに抗告の申し立てを行い、できるだけ早くチームを再建したいとしています。
 「サッカーに関するあらゆる活動が禁止されている現状では、チーム再建どころか未払い給料を支払うための資金を集めることもできないので、活動の余地が欲しい」と述べるザムリ会長は未払い給料完済を最優先事項とすると述べています。
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 MF再加盟が認められても、MFL3部にあたるM3リーグからのスタートとなるプルリスFAの道はまだまだ険しそうです。

ケランタン州サッカー協会に再びFIFAによる制裁の可能性が浮上
 MFL2部のケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAは、再びFIFAによる制裁処分を受ける可能性が浮上していると英字紙スター電子版が伝えています。
 給料未払い問題を抱えることが明らかになっているMFL1部のマラッカ・ユナイテッド、PDRM FCとともにケランタンFAも、FAMに対して今季2020年シーズン開幕までに未払い給料を完済すると保証したとされていますが、かつてケランタンFAに在籍した複数の外国籍選手が給料未払いについての苦情申し立てをFIFAに行ったことが明らかになり、シーズン開幕前にもかかわらず勝点剥奪(はくだつ)という制裁を受ける可能性が浮上したということです。
 なおケランタンFAは昨季2019年シーズンには、2017年にテクニカル・ダイレクターを務めたウルグアイ出身のアルフレッド・ゴンザレス氏に対し、FIFAの懲罰委員会が設定した期限までに未払い給料を完済しなかったことにより、勝点3を剥奪される処分を受けています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、MFLの大半のクラブは今季開幕前に未払い給料完済が可能であるとしながらも、複数のクラブは数年前までさか上る未払い給料があることを認めています。ケランタンFAに関して言えば、先日取り上げた、カイルル・ファミ・チェ・マットやモハマド・バドリ・モハマド・ラジのように分割払いでの支払いに応じる選手がいる一方で、一括払いも求める選手もおり、KAFAと選手の間の協議が成立しなければ、KAFAは再度、FIFAの制裁対象となるとラマリンガム事務局長はスター電番の取材に答えています。
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 FIFAによる処分では、昨季2019年はMFL2部のペナンFAもFIFAから勝点6の剥奪処分を受け、MFL1部昇格を逃している他、2015年にはMFL1部のパハンFAもモロッコ出身のモハメド・ボルジがFIFAに2013年シーズン分の未払い給料の苦情申し立てを行い勝点6を剥奪されています。

11月9日のニュース:トレンガヌFCは新たな外国籍ストライカーを獲得へ、トレンガヌFCはファリス・ラムリをアセアン枠で獲得、クダFAはジョナサン・ボーマンも退団、復活したピヤは6年ぶりの優勝を味わう

トレンガヌFCは新たな外国籍ストライカーを獲得へ
 エースストライカーのFWチェチェ・キプレが退団するトレンガヌFCはヨーロッパ、南米、アフリカから代わりのストライカーを獲得する予定であると、スポーツ系サイトのスタジアムアストロが伝えています。
 既に数名がリストアップされているようで、モハマド・ナフジ・ザイン監督は、来月予定されているトライアウトを経て、獲得選手が最終決定する予定であるとしています。
 また同じ記事内では、来季2020年シーズンはトレンガヌFCのプレジデントカップチーム(U21)とユースカップチーム(U19)の選手にトップチームでの出場機会がより多く与える予定であるとも述べ、来季も在籍するリー・タック選手が主将として若手とベテランの融合するチームを率いてくれることを期待していると述べています。

トレンガヌFCはファリス・ラムリをアセアン枠で獲得
 12名の退団者を出したトレンガヌFCは、来季は大きく布陣が変わりそうですが、上記で取り上げた外国籍FWが確定する前に、シンガポール出身の攻撃的MFムハマド・ファリス・ラムリをアセアン枠で獲得したことを同じスタジアムアストロが報じています。
 2018年にはマレーシアフットボールリーグMFL1部のPKNS FCでプレーし、今季2019年は開幕前にMFL2部のプルリスFAと契約したファリス選手でしたが、プルリスFAの抱える給料未払い問題により、1試合も出場しないまま退団していました。その後プルリスFAは開幕直後にMFLより追放処分を受け、、ファリス選手は、シンガポールの1部リーグであるプレミアリーグのホーガン・ユナイテッドに移籍していました。
 トレンガヌFCのアセアン枠は、今季在籍したDFチエリー・チャンタ・ビン(カンボジア)と来季の契約を結ばない事から空席となっていましたが、27歳のファリス選手はこのアセアン枠選手として1年契約を結んでいます。

クダFAはジョナサン・ボーマンも退団へ
 今季から指揮を取るアイディル・シャリン監督のもと、MFL1部スーパーリーグ4位、FAカップ優勝、マレーシアカップ準優勝という結果を残したクダFAですが、先日このブログでも伝えたスペイン出身のFWフェルナンド・ロドリゲズの退団に続き、アルゼンチン出身のFWジョナサン・ボーマンの退団も発表されました。
 今季はリーグ戦と2つのカップ戦合計で16ゴールを挙げたボーマン選手の退団は、同じく今季21ゴールを挙げたフェルナンデズ選手の退団とともに、来季2020年にはさらに上位を目指したいクダFAにとっては大きな痛手になりそうです。
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 退団決定後にはクダFAを統括するクダ州サッカー協会が2人を送り出すための夕食会を開き、またクダFAのサポーターグループからも温かい言葉が贈られたとのことなので、今季の成績による解雇というよりは、来季から各クラブの財務状況に合わせた運営を求めて導入される経済コントロールプログラムECPの影響もあるかも知れません。
 なおクダFAは、PKNS FCのクパ・シャーマン、元トレンガヌFCのチェチェ・キブレに興味を持っているという報道もあり、ロドリゲズ、ボーマン両選手の穴を埋めるのはこの2人になる可能性もあります。

復活したピヤは6年ぶりの優勝を味わう
 ケランタンFA時代には主将として2012年のマレーシアフットボールリーグMFL、FAカップ、マレーシアカップの同一年3冠制覇(トレブル)も経験しているMFモハマド・バドリ・モハマド・ラジにとって、今季2019年途中から入団したケランタン・ユナイテッドでM3リーグでの優勝に貢献したことは、自らの選手生命を蘇らせる結果にもなったと、マレーシアの通信社ベルナマが報じています。
 ピヤの愛称で知られる37歳のバドリ・ラジ選手は、昨年2018年5月にケランタンFAとの契約が切れ、同年末にM3リーグからMFL2部プレミアリーグに昇格したプルリスFAと契約しましたが、上のファリス・ラムリ選手の記事で書いたように、プルリスFAはMFLを追放され、ピヤ選手もプルリスFAを退団していました。その後も昨季2018年のケランタンFAの給料未払いも明らかになり、所属クラブもないままでしたが、今年6月にケランタン・ユナイテッドと契約していました。
 「昨年末から今年の初めてにかけて自分が経験した苦境を思うと、優勝チームでプレーすることは2度とないと思っていたが、自分にプレーする機会を与えてくれたケランタン・ユナイテッドと、ザハスミ・イスマイル監督、そして応援してくれたサポーターに感謝したい」とピヤ選手は語っています。
 来年は38歳となるピヤ選手は、引退については考えたこともなく、自分に機会が与えられれば、ケランタン・ユナイテッドをさらに上のレベルへ引き上げられるよう、できるだけ長くチームに貢献したいとも語っています。

10月28日のニュース:AFCカップの決勝はKLで開催、FAMはU21とU19大会廃止の噂を否定、M3リーグはケランタン・ユナイテッドが優勝

AFCカップの決勝はKLで開催
 アジアサッカー連盟AFCが主催するAFCカップは、AFCチャンピオンズリーグACLの出場枠が与えられているAFCクラブチームランキングの上位14カ国以外の国および地域のリーグ戦やカップ戦の優勝チームに出場権が与えられる大会で、2015年には、マレーシアフットボールリーグMFLの優勝チーム、ジョホール・ダルル・タクジムJDTも優勝を経験しています。
 今季2019年の決勝戦は4.25 SC(北朝鮮)対アル・アヘドSC(レバノン)が対戦しますが、その会場が二転三転し、結局、マレーシアの首都クアラルンプールになったことが英字紙マレーメイル電子版で報じられています。
 当初は北朝鮮の平壌で11月2日に予定されていた決勝戦ですが、10月15日にやはり北朝鮮の金日成競技場で行われたFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選の北朝鮮対韓国の試合が中継なしの無観客試合として行われたことを受け、AFCは試合の中継権やスポンサーへの配慮から、決勝の舞台を平壌から中国の上海へ変更することを10月22日に発表していました。
 しかしAFCは10月25日に新たな告知として、AFCカップ決勝は上海からマレーシアの首都クアラルンプールで、予定よりも2日遅い11月4日に行われることを発表しています。AFCは再度の変更理由を明らかにしていません。
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 AFCの本部があるマレーシアのクアラルンプールでは、これまでも中立地域での試合会場を提供することが度々ありました。またマレーシアの国教であるイスラム教の教徒が人口の半数以上を占めるレバノンのクラブと、マレーシアとも国交のある北朝鮮のクラブの対戦場所として、クアラルンプールは無難な選択かもしれません。

FAMはU21とU19大会廃止の噂を否定
 マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、マレーシアフットボールリーグMFL所属クラブのU21チームの大会であるプレジデントカップと、U19チームの大会であるユースカップ廃止の噂を否定していると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが伝えています。
 ラマリンガム事務局長は、両大会の廃止を否定する一方で、フォーマットの変更については、選手、コーチ、審判など関係者全員にメリットがあるような方式を現在検討中だとも述べています。
 FAMは年齢制限のない育成目的のリーグの発足を検討しているという話もあり、そこからU21チームとU19チームに限定されている両大会の廃止という話が出回った可能性がありますが、ラマリンガム事務局長はプレシデントカップとユースカップの有用性を強調した上で、廃止については現在は検討されていないとしています。

M3リーグはケランタン・ユナイテッドが優勝
 マレーシアフットボールリーグMFLの3部にあたるM3リーグでは、マレー半島北東部のケランタン州に本拠地を持つケランタン・ユナイテッドが2節を残して優勝を果たしています。
 14のクラブで構成されているセミプロリーグのM3は、ケランタン・ユナイテッドと鈴木啓太選手が所属する、東マレーシアのサラワク州に本拠地を持つクチンFAに優勝争いが絞られていましたが、10月27日にランカウィ島で開催されたアウェイのグローリー・ユナイテッド戦に5-0で快勝し勝点が65となり、2位のクチンFAに勝点差12をつけて優勝を決めています。
 なおケランタン・ユナイテッドのガンビア出身のFWアルフサイニ・ガッサマはこの日の4得点で27得点となり、やはりこの日、ゴールを決めたチームメイトのマレーシア人FWファクラル・ザマンと共にリーグの得点王レースのトップとなっています。
 ケランタン・ユナイテッドはM3リーグ優勝により来季2020年のMFL2部ブレミアリーグへの自動昇格権を獲得しています。また3位のマレーシア国軍FCに勝点5の差をつけている2位クチンFAはMFL2部11位のサラワクFAと入れ替え戦を行う可能性が高くなってきました。
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 本来ならば、MFL2部の11位、12位がMFL3部の1位、2位とそれぞれ入れ替え戦を行うことになっていますが、今季のMFL2部は開幕直後にプルリスFAが給料未払い問題により助名処分を受けており、M3優勝のケランタン・ユナイテッドには自動昇格権が与えられています。またケランタン・ユナイテッドのMFL2部昇格により、MFL2部にはケランタン州サッカー協会が統括するケランタンFAとケランタン・ユナイテッドの2クラブが同時に在籍することになりました。
 また、クチンFAが対戦する可能性があるサラワクFAはサラワク周サッカー協会が統括するクラブで、いわば上部組織である東京都サッカー協会が統括するクラブチームとその下部組織である新宿区サッカー協会のクラブチームが入れ替え戦を戦うような状況になる可能性があります。
(写真は優勝を決めたケランタン・ユナイテッドのFacebookより。”Kita Juara”は「俺たちはチャンピオンだ」の意味のマレーシア語です。)