10月28日のニュース:スランゴールFCはトップチームの5名と契約解除、パハン州FAはスマレに対する2年間の活動停止処分を発表、未消化のMリーグ最終戦2試合はいずれもマラッカで開催が決定

スランゴールFCはトップチームの5名と契約解除
 今季2020年シーズンの国内サッカーはマレーシアカップを残すのみとなりました。Mリーグ1部の11位までのチームと2部の上位5チーム(ただし、1部リーグにトップチームが出場しているセカンドチームは除く)の計16チームが出場する大会に出場するクラブはその準備に余念がないと思いますが、その中の一つであるスランゴールFCは、マレーシアカップ前に複数の選手と契約を解除し、2部リーグのセカンドチーム、スランゴール2から複数の若手を昇格させてマレーシアカップに臨むようです。
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によると、スランゴールFCのトップチームから契約を解除されたのは、ニック・スウィラッド(29)、ファリザル・ハルン(33)、キリル・ムヒミーン(33)、アンワル・イブラヒム(21)、そしてザーリル・アズリ・ザブリ(21)の5選手です。この5選手は契約期間満了となる来月11月分の給料も支払われており、クラブの練習施設の使用許可は与えられているものの、既にチーム練習への参加はしていないということです。
 この5選手の契約解除は、スランゴール2から昇格するコソボ共和国出身のバジラム・ネビヒ(32)、クエンティン・チェン(20)、ダニアル・アスリ(19)、アキル・ファドリ(21)、シャルル・ナジーム(21)がマレーシアカップに出場するための登録枠確保が理由とされています。
 しかし、ここでこの記事を書いたファラ・アズハリ記者は、マイケル・ファイヒテンバイナー監督代行に尋ねました。「いずれも元U19代表のアンワル・イブラヒムとザーリル・アズリ・ザブリはなぜ、契約解除なのか。」
 ファイヒテンバイナー監督代行は「その件に関してはコメントしない。私は現在チームに所属する選手とマレーシアカップに集中したいからだ。」と答えたようですが、ファラ・アズハリ記者がこの質問をしたのには理由があります。それはともにアンワル選手とザーリル選手は、サティアナタン・バースカラン監督が直々に契約したからという理由で解雇されたのではないかという噂があるからです。そしてファイヒテンバイナー監督代行は先月9月のシーズン途中に解雇されたサティアナタン監督に代わり、クラブのテクニカルディレクターから監督代行に就任しています。
 またスランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会は「選手の解雇は世界中どこでもデリケートな問題である。これもサッカービジネスの一部であり、個々のケースについてコメントはしない。」というコメントを発表しています。

パハン州FAはスマレに対する2年間の活動停止処分を発表
 パハン州サッカー協会(パハン州FA)は、元所属選手のモハマドゥ・スマレに対し、契約違反を犯したとして2年間のあらゆるサッカー活動の禁止処分を発表しています。
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版によると、パハン州FAの規律委員会は、現在はタイ1部リーグのポリス・テロFCと契約しているモハマドゥ・スマレに対して懲罰対象となる4件の規律違反があったとし、あらゆるサッカー活動に関わることを2年間禁止するとしています。
 スマレ選手不在のまま開催された規律委員会で、リザル・チェク・ハシム委員長は以下の4件の規律違反を発表しています。
1. パハン州FAに無断でメディアに対して発言を行ったこと。
2. 給料未払い問題についての紛争を、マレーシアサッカー 協会FAMの紛争解決部ヘノ事前通告なしにFIFAへ直接、訴え出たこと。
3. 契約期間中にも関わらず、今年8月3日から8月28日までの練習を無断で欠席したこと。
4. 契約期間中にも関わらず、今年8月28日のMリーグ公式戦のJDT戦に参加しなかったこと。
 なおこの4件についてそれぞれに2年間のあらゆるサッカー活動禁止処分が課されるということですが、4件の処分は同時に執行されるとして計2年間の処分が言い渡されています。
 決定した処分内容はFAMへ通知され、そこから関係各所へ伝達されるということです。
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 パハン州FAによる給料未払いが今年以前からあったことを理由として、パハン州FAが運営するチームを離脱したことをメディアに向けて述べたスマレ選手に対し、パハン州FAは2年間という厳しい処分を下しています。しかし、ここで注目されるのはこの処分の正当性で、パハン州FAからこの処分を通知されたFAMがどのような対応をするのかに関心が集まりそうです。
 これまでも経営が厳しい噂が出ていたパハン州FAが、振り上げた拳の行き場に困って下した処分でないことを祈りたいです。

未消化のMリーグ最終戦2試合はいずれもマラッカで開催が決定
 Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは公式Facebook上で、順延となっていたMリーグ1部と2部の最終節第11節の2試合をいずれもマラッカ・ユナイテッドFCの本拠地であるハンジェバスタジアムで開催することを発表しています。
 順延となっていたのは1部のサバFA対UITM FC戦と2部のクアラルンプールFA対クチンFA戦の2試合で、試合はいずれも10月31日でクアラルンプールFA対クチンFA戦が午後5時開始、サバFA対UITM FC戦は午後9時開始と発表されています。
 昨日10月27日までスランゴール州、クアラルンプールそしてプトラジャの首都圏には条件付き活動制限令CMCOが施行されていましたが、マレーシア政府はこれをさらに2週間延長することを発表したため、UITM FCの本拠地でスランゴール州シャーアラムにあるUITMスタジアムと、クアラルンプールFAの本拠地のクアラルンプールフットボールスタジアムでの試合開催について危ぶまれていました。
 CMCO施行下でのスポーツの試合は延期が求められていたことから、CMCO施行地域外にあるマラッカでの開催となったようです。
 いずれの試合も新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、当初の予定から既に一度、日程と試合会場は変更されており、これが2度目の変更となりました。




 

10月24日のニュース:来季のMリーグ1部クラブの監督には保持ライセンスの特例適用か、タイメディアがスマレの給料を暴露、フェルダUの新たなオーナーの名前が浮上

来季のMリーグ1部クラブの監督には保持ライセンスの特例適用か
 マレーシアサッカー協会FAMはMリーグ1部の監督就任の条件としてアジアサッカー連盟AFCプロフェッショナルコーチングディプロマ(AFCプロディプロマ)または同等のライセンス保持を求めています。
 AFCからの指示で今季2020年シーズンから適用されたこの条件により、昨季のMリーグ2部で優勝し、1部に昇格したサバFAのジュリアス・アティン監督(当時)はAFCプロディプロマを保持していなかったため、優勝監督ながらコーチに降格し、外部からクルニアワン・ドゥイ・ユリアント現監督を招聘したという経緯があります。
 今季Mリーグ2部で優勝し来季の1部昇格を勝ち取ったペナンFAのマンズール・アズウィラ監督、そして同じく1部昇格を決めているクアラルンプールFAのニザム・アズハ・ユソフ監督はいずれもこのAFCプロディプロマを保持していないため、来季は両クラブとも新監督が指揮を取ることが予想されていましたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて、マンズール監督とニザム・アズハ監督が1部でも指揮を取ることができる特例適用の可能性が報じられています。
 スポーツ専門サイトのアストロアリーナは、FAMが決定権を持つAFCとは現在も協議中であり、最終決定ではないとしながらも、新型コロナウィルスによる影響をもとにAFCが特例を認める可能性があるとしています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長はこれについて「新型コロナウィルスによって、昨季(のサバFA昇格時)とは大きく異なっており、AFCはマレーシア国内の状況を考慮した上で、AFC主催大会に出場しないペナンFAとクアラルンプールFAに特例を認める可能性がある。」と話し、その理由として以下のような説明をしています。
 「Mリーグの監督、コーチが今年3月に参加を予定していたコーチングライセンス一次コースの最終モジュール(履修単位)は新型コロナウィルスの影響に延期されたままであり、最終モジュールの履修が終わっていないため、来年開催予定の二次コースも開催時期は未定である。」
 なおMリーグ1部の監督に保持が義務付けられているAFCプロディプロマは、2022年シーズン以降ははMリーグ2部の監督にもその保持が義務付けられことになっています。
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 この記事ではAFCプロディプロマの取得費用として6万6000リンギ(およそ167万円)がかかるとも書かれており、これが高いのか安いのかはわかりませんが、マレーシアサッカー協会FAMはAFCのAライセンスのコースまでしか開催できないようです。このためAFCプロディプロマ取得に関してはそのコース開催資格を持つ日本、中国、オーストラリア、カタールのいずれのサッカー協会で研修を受ける形になるようです。そう言えば、昨年のちょうど今頃、FAMが日本サッカー協会JFAによる研修に指導者を派遣していました。

タイメディアがスマレの給料を暴露
 タイ1部リーグのポリス・テロFCに移籍したムハマドゥ・スマレの月給は27万5000バーツ(およそ92万円)であることが明らかにされています。
 マレーシア語紙ブリタハリアンはタイメディアのサイアムスポートの記事を引用し、この金額はタイ1部リーグの外国籍選手としては最低レベルであること、そしてこの金額で契約したポリス・テロFCがラッキーだったと報じているとしています。
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 JDTのキャプテン、ハリス・ハルンは月給3万シンガポールドル超(およそ231万円)と報じられていますので、スマレ選手が代表の主力選手ということを考えると、マレーシア国内でも92万円は決して高額ではなさそうです。なおタイ1部リーグの外国籍選手の月給の相場というものが分かりませんが、この記事を書くために調べた際に、タイ代表DFタナブーン・ケサラットが昨年、ムアントン・ユナイテッドからチェンライ・ユナイテッドへ移籍した際に月給70万バーツ(およそ234万円)という記事を見つけました。

フェルダUの新たなオーナーが判明か
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版は、Mリーグの撤退を発表したフェルダ・ユナイテッドFCの新たなオーナーが判明したと報じています。
 記事の中で新たなオーナーとされているのはタナムラユキャピタル社TMCB社で、このTMCB社が、フェルダ・ユナイテッドFCの旧運営会社社員が設立した新たなクラブの運営会社ファイターズ社の主要株主となるようだと報道されています。
 記事によれば、TMCB社はファイターズ社がマレーシアサッカー協会FAMに提出した書類の審査後、認可が得られた段階で正式な発表を行う予定のようです。
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 TMCB社は今季フェルダ・ユナイテッドFCの今季のユニフォームの胸スポンサーの1社で、これまでもフェルダ・ユナイテッドFCとは無関係ではなかったようです。なお2015年創設のTMCB社は、同社の公式サイトを見る限りでは国外にも東南アジアや中国に支店を持つリース企業のようです。

10月16日のニュース:スマレがポリス・テロFCに合流、代表は12月に国外合宿を検討、MFLは条件付き活動制限令期間中の練習許可申請を行う予定

スマレがポリス・テロFCに合流
 マレーシア代表のムマハドゥ・スマレが移籍したタイ1部リーグのポリス・テロFCの練習に合流したことが、ポリス・テロFCの公式Facebookに投稿されています。なお、この前日には自身のインスタグラム上でタイへの渡航者に義務付けられている14日間の隔離措置の最終日であることを投稿していました。
 また明日10月17日に予定されているタイ1部リーグ第9節、アウェイゲームのPTプラチュワップFC戦にランサン・ヴィワチャイチョク監督が帯同を希望しているという報道もあり、さすがにベンチ入りの可能性はないにしても、スマレ選手への期待の大きさがわかります。
(写真左上は同じマレーシア代表のドミニク・タンとポーズを取るムハマド・スマレ。写真はいずれもポリス・テロFCの公式Facebookより。)

代表は12月に国外合宿を検討
 マレーシア語紙ハリアン・メトロ電子版によると、マレーシア代表は12月に国外での合宿を検討しているようです。
 代表チームマネージャーを務めるユソフ・マハディ氏は、来年2021年3月に再開が予定されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選、そして4月に予定されている東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップに備えて、昨年2019年11月のワールドカップ予選以降は全く活動が行われていない代表を再始動させる必要があると話しています。
 「タン監督やコーチとの話し合いをもとに、12月に代表候補合宿を行い、さらに外国のチームと練習試合を行う予定を立てているが、今後のマレーシア国内の新型コロナウィルスの感染状況次第では、感染が収束している他国での合宿開催の可能性もある。」と話すユソフ・マハディ代表チームマネージャーは、その候補地の一つとしてカタールを挙げています。
 「カタールは現在、多くの国際親善試合が開催されており、AFCチャンピオンズリーグが集中開催が予定されるなど比較的安全な場所と言えるので、マレーシア国内の感染状況や政府からの渡航許可が出るかなどについて今後も検討を続けていく。」とユソフ・マハディ代表チームマネージャーは話し、国外のチームとの対戦を検討している理由については、国内クラブはマレーシアカップ終了後の休養期間に入っていることに加え、その時期には多くの選手の契約期間が終了しておりチーム編成が難しい可能性を挙げています。

MFLは条件付き活動制限令期間中の練習許可申請を行う予定
 Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは、10月14日からクランバリー(首都圏のスランゴール州、クアラルンプールおよびプトラジャヤ)に施行中の条件付き活動宣言令CMCO期間中のMリーグクラブの練習許可を当局に求めていく考えがあることをマレーシア語紙シナルハリアン電子版が報じています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、クランバリーに本拠地を持つMリーグクラブがCMCO期間中は練習ができず、未消化となっているMリーグの試合や11月に開催されるマレーシアカップに備えた練習ができないという声を受けて、この練習許可の申請を行うとしていますが、申請が認められるかどうかはMFLの支配が及ばない部分であり、その点は理解して欲しいとしっかり言い訳もしています。
 アブドル・ガニCEOは、これまでMリーグは標準作業手順SOPを遵守し、開催された試合で新型コロナウィルスの感染者が一人も出ていないことを今回の申請先となる保健省と国家安全保障委員会が考慮してくれることを期待していると話す一方で、練習許可が下りた場合でも、スタジアムのような外部と遮断された会場で従来の標準作業手順SOPに沿った形で練習が行なわれるべきであるとしています。
 クランバレーに本拠地を持つクラブの内、UITM FCはサバFAと、クアラルンプールFAはクチンFAとそれぞれMリーグ最終節第11節の試合が新型コロナウィルス感染者急増により10月31日に延期されている他、上記の4クラブに加えてマレーシアカップに出場するスランゴールFC、PJシティFCもCMCOにより練習が禁止されており、これらのクラブからMFLに対して当局への働きかけを行う声が上がっていましたが、MFLはその重い腰をやっと上げることにしたようです。

Mリーグ1部スーパーリーグ2020年シーズン第11節結果

10月10日(土)と10月11日(日)の2日間に、1部スーパーリーグ今季最終節となる第11節の5試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。)なお第11節の残るもう1試合であるサバFA 対 UITM FCは日程が変更になっていますが、詳細は発表になっていません。
*試合のダイジェスト映像は全てMFLの公式Youtubeより。

10月10日(土)
UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
スランゴールFC 6-1 フェルダ・ユナイテッドFC
得点者:スランゴール-ブレンダン・ガン(13分)、イフェダヨ・オルセグン3(45分、62分PK、88分)、サンドロ・ダ・シルヴァ2(70分、78分)、フェルダ-ダニアル・アミール(33分)
 前節第10節のPDRM FC戦を7ー0で大勝したスランゴールFCは、後半だけで5ゴールとフェルダ・ユナイテッドFCを一蹴。下位チーム相手の連勝しても、フェダヨ・オルセグンがこの試合でハットトリックを決めて得点王争いのトップに躍り出ても、結局は帳尻合わせなんだよぁ。
 この試合に敗れて今季11位が確定したフェルダ・ユナイテッドFCはMリーグ撤退報道が出ている中での試合でした。選手たちがどのような気持ちでこの試合に臨んだのかはわかりませんが、心中は穏やかではなかったことは想像に難くありません。しかしこの後もマレーシアカップが続くので、そこで最後の意地を見せてくれることを期待したいです。
 フェルダ・ユナイテッドFCの恵龍太郎選手はこの試合はベンチ入りしませんでした。

ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州クルボン)
マラッカ・ユナイテッドFC 0-5 ジョホール・ダルル・タジムJDT
得点者:JDT-レアンドロ・ヴァレスケス(分PK)、シャフィク・アーマド(75分)、アイディル・ザフアン(79分)、フェルナンド・ロドリゲス(85分)、ゴンザロ・カブレラ(90+3分)
 今季2020年シーズンの優勝を決めているJDTは今季5度目の完封勝ち。リーグは無敗でシーズンを終えています。

MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティFC 4-1 PDRM FC
得点者:PJ-ワシントン・ブランダオ2(42分、71分)、サフィ・サリー(55分)、コギレスワン・ラジ(66分)、PDRM-セルダール・ゲルディエフ(81分)
 今季開幕前に給料未払い問題により勝点3を剥奪されたPDRM FCは、前代未聞の勝点がマイナスでシーズンを終えています。

10月11日(日)
スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌFC 2-1 パハンFA
得点者:トレンガヌ-ドミニク・ダ・シルヴァ(16分PK) 、リー・TAC(82分)、パハン-ニック・シャリフ・ハッセフィ(13分)
 トレンガヌFCが逆転勝ちで今季3位を確定しました。
 パハンFAはニック・シャリフ・ハッセフィの3試合連続ゴールで先制したものの、その後が続かず、昨季2位から大きく順位を下げ、今季の7位以下が確定しました。

ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラTBG 2-3 クダFA
得点者:ペラ-レアンドロ・ドス・サントス2(42分、45+3分)、クダ-クパ・シャーマン(28分)、ファズルル・ダネル(31分)、レナン・アルヴェス(63分)
 クダFAは追いすがるペラTBGを振り切って勝利を収め、今期の2位を決定させるとともに来季のAFCカップ出場権を獲得しました。
 またペラTBGは得点王を争うシャーレル・フィクリが不発で、今季は4位で終了です。

マレーシアスーパーリーグ2020年シーズン最終順位表

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1JDT119203382526
2クダFA117132013722
3トレンガヌFC1161424141019
4ペラTBG115332119218
5スランゴールFC114522619717
6PJシティFC113531716114
7パハンFA114251818014
8UiTM FC104241415-114
9マラッカU113251316-3*11
10サバFA102351221-99
11フェルダU111461227-157
12PDRM FC11029529-24*-1
*8位のマラッカUと12位のPDRM FCはそれぞれ、給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアスーパーリーグ2020年シーズン最終ゴールランキング)

ゴール数選手名所属試合数
12イフェダヨ・オルセグンスランゴールFC11
10シャーレル・フィクリペラTBG10
8ドミニク・ダ・シルヴァトレンガヌFC10
7チェチェ・キプレクダFA10
7サファウィ・ラシドJDT10
7ゴンザロ・カブレラ11

10月8日のニュース:サバ州での感染拡大により最終節のサバFAのホームゲームが延期、クダFA監督の去就は最終節後に決定か、民営化後のペラTBGの新名称案について州FA会長が変更を示唆、撤退決定のフェルダU監督に複数のMリーグクラブからオファーの噂

サバ州での感染拡大により最終節のサバFAのホームゲームが延期
 Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは10月10日にサバ州コタキナバルで予定されていたMリーグ1部第11節のサバFA対UITM FCの延期を発表しています。
 10月7日の時点でマレーシア国内の新たな新型コロナウィルス感染者489名中、サバ州の感染者が282名となっており、サバFAの本拠地リカススタジアムがあるコタキナバルに条件付き活動制限令が発令されたことから、日程だけでなく試合会場の変更も検討されています。
 また第11節は最終節のため全試合が10月10日の午後9時キックオフとなっていましたが、ペラTBG対クダFA、トレンガヌFC対パハンFAの2試合は10月11日の同じ時間に変更になっています。
 MFLはMリーグの試合日程変更により、10月12日に予定されていたマレーシアカップの組み合わせ抽選が10月19日へ、10月16日に予定されていた1回戦の試合が10月25日とそれぞれ変更となったことも告知しています。

クダFA監督の去就は最終節後に決定か
 Mリーグ1部で最終節を残し2位につけているクダFAは、最終船は勝点1差で3位につけるペラTBGと対戦しますが、この試合に引き分け以上の結果なら来季のAFCカップの出場権獲得となることから、この試合には注目が集まっていますが、同じように注目が集まっているのがクダFAのアイディル・シャリン・サハク監督の去就です。
 クダFAは今季2020年シーズン開幕前はJDTの連覇を止める最有力候補と目されながら、新型コロナウィルスによりリーグが中断されるまでの4試合で1勝1分2敗と予想外の不振に苦しみましたが、その後、クラブを運営するクダ州サッカー協会(クダ州FA)が3月から選手や監督、コーチに給料を支払っていなかったことが発覚しました。
 それでも、リーグ再開後は5勝1敗と下馬評通りの戦いで、リーグ2位に与えられるAFCカップ出場資格獲得まであと一歩と迫っています。
 その一方で、クダ州FAによる給料未払いが明らかになった頃から、アイディル監督はクダFAを去り、退任が噂されているメフメト・ドゥラコビッチ監督に代わってペラTBG監督に就任するのではという話がメディアなどでも取り上げられるようになりました。
 この件についてマレーシアの通信社ブルナマのインタビューに答えたアイディル監督は、当然ながら今週末に控える最終節第11節のペラTBG戦に集中するだけで、他のことは何も考えていないというものでした。またクダ州FAについても経営陣が努力していることは理解していること、また少しずつではあるものの組織の変革が行われていることを認めた上で、全てが良い方向へ向かうのであれば、クダFAを去る必要派内とも話しているということです。
 シンガポール出身で43歳のアイディル監督は、クダFAの選手やコーチ陣、チームスタッフらとの関係は良好であるとして、去就の結論は急いでいないと話しています。
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 昨季2019年シーズンはFAカップで優勝し、ACLプレーオフの出場資格を得たものの、KリーグのFCソウルに敗れて本戦出場が果たせなかったクダFA。クダ州FAの会長は、アイディル監督が去りたいなら止めないと話していたこともアイディル監督退任の噂に拍車をかける結果になりましたが、クラブが民営化され、クダ州FA会長がボスではなくなったことで、アイディル監督残留の可能性が高まったように思います。

民営化後のペラTBGの新名称案について州FA会長が変更を示唆
 Mリーグ1部のペラTBGはクラブの民営化によって名称がボス・ガウラスFCとなることは先日のこのブログでも伝えましたが、クラブの本拠地がある「ペラ」の名前がなくなることについて多くのサポーターが不満の声を上げていることについて、ペラ州サッカー協会(ペラ州FA)のアーマド・ファイザル・アズム会長は「ボス・ガウラスFC」という名称は、単にFAMへの民営化申請に際して使用したものであると話し、正式な手続きを経てペラFCに変更したいという意向を明らかにしています。
 マレーシアの通信社ブルナマによると、ペラ州首相でもあるアーマド・ファイザル会長は、州名の「ペラFC」という名称を使用する際には州政府内での承認を得る必要があり、民営化申請を迅速に行うために一時的に「ボス・ガウラスFC」を使用したと説明しており、民営化承認を受けたことによって、今後は州政府内で「ペラFC」への名称変更について話し合う予定だとして、ペラ州のサッカーファンに対して心配しないようにと話しているということです。

撤退決定のフェルダU監督に複数のMリーグクラブからオファーの噂
 Mリーグ1部のフェルダ・ユナイテッドFCが今季を最後にMリーグから撤退することが発表されましたが、ニザム・ジャミル監督には既にMリーグの複数のクラブから監督のオファーが来ているようだと、サッカー専門サイトのヴォケットFCが報じています。
 2018年のシーズン終了後、給料未払い問題などにより前任のサティアナタン・バスカラン監督が辞任し、コーチから昇格したニザム監督は、やはり給料未払い問題で外国籍選手を含め主力選手の半数以上が退団したクラブを率い、予算が十分でないクラブながら監督1年目の昨季は10位の成績を残しています。2年目の今季は新型コロナウィルスによるリーグ中断までの4試合は1勝2分1敗としながら、8月28日のリーグ再開後は0勝2分4敗とし、最終節を残して10位まで勝点差2の11位という成績です。
 40歳のニザム監督は、トレンガヌFCのナフジ・ザイン監督(42歳)、ペナンFAのマンズール・アズウィラ監督(43歳)らと共に将来有望な「若手」マレーシア人監督と目されています。
 現役時代の大半をスランゴールFA(現スランゴールFC)でプレーしたことから、スランゴールFCサポーターからは、解雇されたサティアナタン監督の後任として期待をされていますが、スランゴール州サッカー協会は既に次の監督の人選を終えているという噂もあり、来季もMリーグクラブでニザム監督が指揮を取るとすれば、スランゴールFC以外のクラブになりそうです。

10月6日のニュース:Mリーグ1部フェルダUがMリーグ撤退を表明、Mリーグ20クラブに民営化承認、2021年シーズンのクラブライセンス発給は13クラブ-他の8クラブは条件付きで発給

Mリーグ1部フェルダUがMリーグ撤退を表明
 Mリーグ1部のフェルダ・ユナイテッドFCがMリーグからの撤退を発表しています。9月30日が期限となっていたMリーグ1部と2部のクラブに義務付けられていた民営化手続きについて、フェルダ・ユナイテッドFCと2部のUKM FCについては、期限までに民営化認可がマレーシアフットボール協会から発表されず、両クラブは提出した民営化申請書類に関してさらなる説明が必要とされ、その詳細は昨日10月5日に改めて発表される予定だったことはこのブログでも取り上げました。そここら急転直下のリーグ撤退発表です。
 「急転直下」と書きましたが、実はこの発表の前、フェルダ・ユナイテッドFCでは様々なことが起こっていたようです。発端はフェルダ・ユナイテッドFCの運営会社のアフィダル・アブ・オスマン事務局長以下の職員16名全員が9月1日付で突然解雇され、フェルダ・ユナイテッドFCの運営権がこの運営会社からクラブの母体であり政府系機関のフェルダ連邦土地開発庁自身に移ったことです。さらにそれまでフェルダ・ユナイテッドFCの運営会社が使用していたフェルダ本社ビル内の事務所は完全立ち入り禁止となりました。そして今度はこの立ち入り禁止となっていた事務所に泥棒が入る事件が起こりました。盗まれたのは2014年から2018年までの資料で、その資料はマレーシア汚職防止委員会MACCが必要としていたものだということです。MACCの職員がその書類を取りに事務所へ来た際にドアが破られ、監視カメラの向きが変えられ、天井に穴が開き、重要資料の入ったフォルダーがなくなっていることを発見しました。別の監視カメラの映像により「内部」の人間と思しき者の犯行であることが発覚し、現在、警察が捜査中という報道もあります。
 そんな「内部抗争」ともいえそうな事態の中で発表されたフェルダ・ユナイテッドFCの撤退ですが、マレーシアの通信社ブルナマの報道では、そもそもフェルダ自身が運営会社に代わってクラブの運営を担うことになった目的はクラブの支出の管理を含めた運営の透明性を確保することだったとされています。この目的でクラブの運営権を手にしたフェルダはクラブの存続を決定する権利も得ており、今回のリーグ撤退には違法性がないということです。
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 新型コロナウィルスによるリーグ中断までは、今季優勝したJDTと引き分けるなど1勝2分1敗の成績だったフェルダ・ユナイテッドFCは、リーグ再開となった第5節以降は0勝2分4敗と失速しましたが、この騒動による影響は少なからずあったのではないでしょうか。
 2007年に発足したフェルダ・ユナイテッドFCは3部リーグのFAMカップ(当時、現M3リーグ)でプレーしたものの、翌年2008年には2部プレミアリーグに昇格し、2010年にはプレミアリーグで優勝して1部スーパーリーグへ昇格しました。2014年には2部降格を経験するも翌年2015年には1年で1部に復帰するなど安定した力を発揮するクラブでした。
 しかしこの状況も近年では様変わりし、2017年にはクラブライセンス更新に必要な書類に不備があったことから1部で3位になりながら2部降格処分を受けています。そして2018年シーズンは2部で優勝し1部復帰を決めながら、シーズン末には選手や当時のサティアナタン・バスカラン監督、コーチに対する給料未払いが発覚し、その結果、外国籍選手全員を含む半数以上の主力選手との契約を解除しました。そして2019年シーズンは新たな外国籍選手に傘下の21歳以下と19歳以下チームから選手を昇格させて戦い、最終戦で1部残留を決めています。
 クラブの母体となっているフェルダ連邦土地開発庁は、当初は地方でジャングルを伐採し、農園を併設した入植地を開発し、土地を持たないマレー系マレーシア人を移住させる、いわば「貧困農民」対策のための政府機関として発足しましたが、現在では財源が政府から独立して運営されており、フェルダ傘下のFGVホールディングは世界第2位のパームオイル生産を誇るマレーシアでもトップ企業です。しかしこちらも近年は問題が多く、その豊かな財政は不正行為の温床ともされ、前会長は海外不動産にへの不当に高額な投資を主導し、その取引で不当な利益を得た疑いでマレーシア汚職防止委員会MACCに逮捕されています。また直近では先月9月30日にアメリカ政府が労働者虐待や児童労働を理由にFGVホールディングからのパーム油輸入禁止を発表するなど、フェルダを取り巻く環境は厳しくなっています。

FAMは21クラブに民営化承認
 上のフェルダ・ユナイテッドFCのMリーグ撤退が発表された一方で、来季からのMリーグ1部と2部でプレーするための条件でもあるクラブの民営化承認を受けたクラブがマレーシアサッカー協会FAMの公式サイトで発表になっています。
 ジョホール・ダルル・タジムJDT、トレンガヌFC、ペラTBG、スランゴールFCが持つBチームはトップチームとセットで承認されており、Mリーグ1部と2部の全24クラブにM3リーグの国軍AF FCを含めた21クラブが民営化承認を受けています。
 なおこの中には上で取り上げたフェルダ・ユナイテッドFCも含まれていますが、このフェルダ・ユナイテッドFCと2部のUKM FCについては、提出された書類の内容についてさらなる説明が必要とされており、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロよれば、UKM FCはスライマン・フシン監督をクラブのオーナー兼経営陣の一人としている点の説明が求められ、フェルダ・ユナイテッドFCは現在の「内部抗争」についての説明が求められているとしています。しかしリーグ撤退を表明したフェルダ・ユナイテッドFCはその必要がなくなりました。
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 この民営化については2013年に計画されながら、2017年にアジアサッカー連盟AFCによる「アドバイス」を受けて実現につながったようです。これが実現しないと2021年以降はAFCチャンピオンズリーグやAFCカップなどAFC主催大会に出場できなくなることからFAMの尻に火がついた格好でしょうか。

2021年シーズンのクラブライセンス発給は13クラブ-他の8クラブは条件付きで発給 同じFAMの公式サイトでは、来季2021年シーズンの国内クラブライセンス発給状況についても発表されています。
 これによるとMリーグ1部スーパーリーグで今季2020年シーズンにプレーする12クラブのうち10クラブが来季のクラブライセンスを発給されているということです。なお、これにはフェルダ・ユナイテッドFCも含まれています。
 またパハンFAとマラッカ・ユナイテッドについては条件付きでライセンスが発給されているということです。
 Mリーグ2部プレミアリーグの8クラブ(*)ではケランタン・ユナイテッドFC、クアラルンプールFA、ヌグリスンビランFAがクラブライセンスの発給を受けており、残るクチンFA、ケランタンFA、UKM FC、ペナンFA、サラワク・ユナイテッドFCの5クラブについては、やはり条件付きでライセンスが発給されています。(*2部プレミアリーグのJDT II、トレンガヌFC II、スランゴール2、ペラIIの4クラブは1部クラブのBチームのため、トップチームと込みでライセンスが認められています。)
 なお条件付きでライセンスが発給されたクラブは10月31日までに追加の書類等を提出する必要があり、この期限に間に合わなかった場合には罰金、勝点削減、降格、そしてクラブライセンスの発給中止などの処分が科せられるということです。 またMリーグ1部と2部のクラブの内、9クラブがアジアサッカー連盟AFC主催の大会に出場できるAFCライセンスを合わせて申請し、JDT、クダFA、ペラTBG、トレンガヌFC、スランゴールFC、PJシティFC、フェルダ・ユナイテッドFC、クアラルンプールFAの8クラブがAFCライセンスの発給を受けたことも発表された一方で、マラッカ・ユナイテッドFCはAFCライセンスの発給条件を満たしていないため、発給されなかったということです。
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 FAMの公式サイトには国内クラブライセンスの申請条件と、条件付きでライセンスが発給された各クラブの問題が指摘されています。本日分は文字数も多くなったのでこちらについては次回のブログで紹介します。

Mリーグ1部スーパーリーグ2020年シーズン第10節結果

10月2日(金)、10月3日(土)そして10月5日(月)の3日間に、1部スーパーリーグ第10節の6試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。)
*試合のダイジェスト映像は全てMFLの公式Youtubeより。

10月2日(金)
スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
ジョホール・ダルル・タジムJDT 4-1 サバFA
得点者:JDT-ジオゴ(38分)、サファウィ・ラシド2(57分、81分)、レアンドロ・ヴァレスケス(84分)、サバ-デニス・ブシェニング(74分)
 この試合前までに優勝まで勝点1と迫っていたJDTがサバFAを破り、Mリーグ1部今季2020年シーズンの優勝とMリーグ1部7連覇を決めています。ポルトガル1部リーグのポルティモネンセSCへの移籍が決まっているエースのサファウィ・ラシドが2ゴールを決めるなど快勝でした。
 一方のサバFAはサバ州内で新型コロナウィルス感染者が急増し、試合前に2度の検査を受けた他、チャーター機でジョホール入りするなど対コロナ対策は十分でしたが、試合の方は今季を象徴するような展開でした。この日の敗戦でサバFAの1部残留は最終節の結果次第となりました。
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 試合後は選手関係者以外は無観客の中、レーザーショーは繰り広げられるわ、花火は上がるわと、相変わらずド派手なイベントで優勝が祝われましたが、個人的にはリーグ再開後はケガでプレーできなかったキャプテンのハリス・ハルンが登場してトロフィーを受け取った場面が一番感動しました。
(以下の写真はJDTの公式Facebookより)

UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UITM FC 2-4 PJシティFC
得点者:UITM-グスタヴォ・アルメイダ2(45+4分PK、75分PK)、PJ-バラトクマール・ラマルー(45分)、アナウィン・ジュジーン(48分)、コギレスワン・ラジ(66分)、ワシントン・ブランダオ(79分)
 今季ここまで1勝の9位PJシティFCが4位のUITM FCを破り、1試合を残して今季1部残留を決めています。
 UITM FCはここ2試合ケガで欠場しているウスマン・ファネに加え、この試合ではマーク・ハートマンもケガで欠場するなど主力となる外国籍選手を欠く苦しい布陣では下位のPJシティFCとはいえ大学生主体のクラブでは太刀打ちできませんでした。

10月3日(土)
クアラルンプールフットボールスタジアム(クアラルンプール)
PDRM FC 0ー7 スランゴールFC
得点者:イフェダヨ・オルセグン2(20分、74分)、シーン・セルヴァラジ2(26分、34分)、ブレンダン・ガン(70分)、サフアン・バハルディン(80分)、ルフィノ・セゴヴィア(83分)
 降格が決定している最下位のチームを相手に何点取ろうと今更という感じですが、解任されたサティアナタン・バスカラン前監督に代わり前節から指揮を取るマイケル・ファイヒテンバイナー監督代行は、自身が監督していたスランゴールFCのBチーム、スランゴール2からFWハリム・サアリの他、18歳のムカイリ・アジマルや20歳のアリフ・ハイカルを昇格させて試合に使うなど、すでに来季に向けての準備を始めているようです。

ダルル・マクムールスタジアム(パハン州クアンタン)
パハンFA 3-3 ペラTBG
得点者:パハン-ディネシュ・ラジャシンガム(8分)、ニック・シャリフ・ハセフィ(27分)、イヴァン・カルロス(41分)、ペラ-パルティバン・ジャナセカラン2(47分、90+2分)、シャーレル・フィクリ(84分)
 フィルダウス・サイヤディを先発で起用し、従来の4-4-2から4-2-3-1とギリェルメ・デ・パウラと好調のシャーレル・フィクリを縦に配置する布陣で臨んだペラTBGでしたが、前半を終わってパハンFAが3ゴールを挙げ、すわ第6節JDT戦の0-7大敗の悪夢再現かと思われた試合は、後半は逆にペラTBGが3ゴールを挙げ引き分けに終わっています。

トゥン・アブドル・ラザクスタジアム(パハン州ジェンカ)
フェルダ・ユナイテッドFC 0-3 トレンガヌFC
得点者:トレンガヌ:ドミニク・ダ・シルヴァ(5分)、サンジャル・シャアフメドフ (38分)、リー・タック(65分)
 フェルダ・ユナイテッドFCはこの日の敗戦で自力での降格権脱出が不可能となり、最終節となる次節第11節でUITM FCに勝利し、9位のサバFAがスランゴールFCと引き分け以下の場合に1部残留が決まります、と事前に書いていたのですが、フェルダ・ユナイテッドFCは今季限りでMリーグ撤退が突然、発表されています。
 フェルダ・ユナイテッドFCの恵龍太郎選手は先発してフル出場しています。

10月5日(月)
クアラルンプールフットボールスタジアム(クアラルンプール)
クダFA 1-0 マラッカ・ユナイテッドFC
得点者:シャキル・ハムザ(19分)
 10月2日にクダFAの本拠地クダ州のダルルアマンスタジアムで予定されていた試合は、新型コロナウィルス感染者が国内最多のサバ州で試合から戻ったマラッカ・ユナイテッドFCの検査と自宅隔離により一度は10月4日に延期され、さらにクダ州での新型コロナウィルス感染者も急増したことから、日程と試合会場までもが変更になる事態となりました。
 前節第9節のパハンFA戦で敗れ、リーグ再開後からの連勝が4でストップしたクダFAでしたが、この試合はマラッカ・ユナイテッドFCの猛攻に耐えて逃げ切りました。クダFAは最終節となる次節第11節ではAFCカップ出場権が与えられる2位の座をかけて勝点差1の3位のペラTBGとの直接対決が控えています。

マレーシアスーパーリーグ順位表(第10節終了時)

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1JDT108202882023
2クダFA106131711619
3ペラTBG105321916318
4トレンガヌFC105142213916
5パハンFA104241716114
6スランゴールFC103522018214
7UiTM FC104241315-214
8マラッカU103241211211
9PJシティFC102531315-211
10サバFA102351221-99
11フェルダU101451120-97
12PDRM FC10028425-21-1
*8位のマラッカUと12位のPDRM FCはそれぞれ、給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアスーパーリーグ ゴールランキング(第10節終了時)

ゴール数選手名所属試合数
10シャーレル・フィクリペラTBG10
9イフェダヨ・オルセグンスランゴールFC10
8ドミニク・ダ・シルヴァトレンガヌFC10
7チェチェ・キプレクダFA10
7サファウィ・ラシドJDT10

9月29日のニュース:サバから戻ったマラッカUはチーム全員が自宅隔離、期限まで1日を残し未だに民営化に着手していないクラブ、サバ州議会選挙の結果を受けサバ州FA会長が辞任

サバから戻ったマラッカUはチーム全員が自宅隔離
 新型コロナウィルスの新規感染者数がマレーシア国内では突出して増えているサバ州は、過去2週間で900名近い新規感染者が確認されており、9月28日の時点でもマレーシア国内の新規感染者115名中98名が同州内での感染者であるだけでなく、他の州で感染が確認された11名もサバ州への渡航歴が判明するなど、いわゆるホットスポットになっています。マレーシア政府は9月27日からサバ州から隣接するサラワク州、さらにマレー半島への渡航者全員に対し、空港などで新型コロナウィルス検査の義務化とその検査結果が出るまでの自宅隔離措置を発表しています。
 マレーシアの通信社ブルナマによると、9月27日(日)にMリーグ1部第9節の試合をサバFAの本拠地であるサバ州コタキナバルのリカス・スタジアムで戦ったマラッカ・ユナイテッドFCの選手や関係者も、マレーシア政府によるサバ州からの感染拡大防止措置により自宅隔離となっているようです。
 この自宅隔離は新型コロナウィルス検査の結果が出るまで続くことになっており、万が一呼吸困難などの症状が14日以内に発生して場合には再度の検査も必要になります。
 新型コロナウィルスによる中断からのリーグ再開後の4試合で2勝2分と順位をあげてきたマラッカ・ユナイテッドFCでしたが、コタキナバルでの試合ではサバFAに2-3で敗れ、サバFAに今季2020年シーズン初勝利をプレゼントするなど残念な結果となっています。それに加え試合前日の9月26日に発表されたこの自宅隔離措置により、マラッカ・ユナイテッドFCにとってはまさに踏んだり蹴ったりの東マレーシア遠征となってしまったようです。
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 新型コロナウィルス感染拡大を防ぐため、リーグ再開後は無観客で試合を行なっているMリーグですが、今節第10節にはサバFAは今週末にアウェイのジョホール・ダルル・タジムJDT戦が控えています。クラスターが発生した州内の複数の地域でロックダウンが実施されているサバ州から渡航するサバFAの選手や監督、コーチおよび関係者もジョホール州があるマレー半島へ入る際には検査が必要で、その後はホテルでの隔離も必要となります。ここまで無観客が功を奏して進められてきたMリーグに新規感染者が発生しないことを祈りたいと思います。

未だに民営化に着手していないクラブ
 マレーシアサッカー協会FAMは、9月23日に民営化手続きが完了したMリーグ1部と2部に所属する12クラブを発表しましたが、その際に明日9月30日が期限となっている民営化手続きが遅れているクラブとして1部のUITM FCとPDRM FC、2部のUKM FCの3クラブの名も挙げられました。
 明日9月30日までに民営化手続きが完了しないクラブは、来季2021年シーズンはMリーグ3部にあたるセミプロリーグのM3リーグでプレーすることになっていますが、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版によると、その3クラブのうち1クラブは未だ民営化手続きに着手していないということです。
 FAMのプロサッカー委員会のモハマド・フィルダウス・モハマド委員長は、上記の3クラブの内の2クラブは手続きが進んでおり、期限までに民営化手続きが完了するだろうと話す一方で、残る1クラブについては手続きが進んでおらず、FAMとして支援することができないと話し、期限となる9月30日まで静観するとしています。
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 国立大学を運営母体とするUITM FCとUKM FC、そしてマレーシア王立警察が運営するPDRM FCの中で、UITM FCは大学運営のクラブとしては初めてMリーグ1部でぷれーしていますが、今季のリーグの台風の目になっています。またMリーグ2部のUKM FCも今季2勝を挙げるなど検討しています。となると民営化手続きに遅れが出ているのは給料未払いで今季開幕前に勝点剥奪を受けたPDRM FCの可能性が高そうです。

サバ州議会選挙の結果を受けサバ州FA会長が辞任
 東マレーシア(ボルネオ島)にあるサバ州は上でも取り上げた新型コロナウィルス感染者の急増だけでなく、先週末に投開票が行われた州議会選挙でも国内の関心が集まっていました。これは今回の州議会選挙が今年3月に成立したムヒディン・ヤシン首相率いる政権にとって初の大型選挙であり、総選挙を経ずして成立した現政権の信任選挙とも見られていたことが理由です。
 9 月26日に行われた投開票の結果、ムヒディン首相率いるプリブミ統一党を含む7 党で構成された野党連合の「サバ人民連盟」が、サバ遺産党(ワリサン)を中心とした与党連合「ワリサンプラス」を破り勝利し、いわゆる「ねじれ」が起きていたサバ州議会でも政権交代が実現しました。
 そしてこの州議会選挙の結果を受け、選挙で敗れたサバ遺産党の副党首でサバ州議会議員でもあるサバ州サッカー協会(サバ州FA)のアンソニー・ピーター会長が9月28日辞任しています。また今回の政権交代に伴いサバ州政府関係者が参加しているサバ州FAの経営陣の交代も行われる見通しです。
 辞任前日の9月27日にサバFAの今季2020年シーズン初勝利を見届け、サバ州FA会長在任時代には自身ができる限りのことを行ったとし、サバFAの新たな経営陣がさらに良い結果をもたらしてくれることを望んでいると話しています。
 2018年末に会長に就任したピーター氏の在任中にサバ州FAは、過去数年間で蓄積した数百万リンギ(1リンギはおよそ25.3円)とされる負債を返済した一方、ピッチ上ではサバFAは2019年シーズンにはMリーグ2部で23年ぶりに優勝し、7年ぶりのMリーグ1部昇格を果たしています。
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 これまでこのブログでも取り上げてきたクダ州FAやマラッカ州FA同様、州議会や州政府との関係が密接なサバ州FAも政権交代の直接的な影響を受けました。マレーシアサッカー協会FAMは積極的に州FAと、州FAが運営するMリーグのプロクラブとを切り離して民営化しようとしているのは、今回のような経営陣の突然交代や、州政府に依存した資金による無秩序な運営など、サッカーとは関係のない政治によって州FAが影響を受ける現状を打破する目的もあります。

Mリーグ1部スーパーリーグ2020年シーズン第9節結果

 9月25日(金)から9月27日(日)の3日間に、1部スーパーリーグ第9節の6試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。)
 *試合のダイジェスト映像は全てMFLの公式Youtubeより。

9月25日(金)
ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラTBG 5-1 フェルダ・ユナイテッドFC
得点者:ペラ-シャーレル・フィクリ4(17分、48分、69分、86分)、ギリェルメ・デ・パウラ(53分)、フェルダ-ニコラス・ヴェレズ(62分)
 シャーレル・フィクリの4ゴールを含む5ゴールでペラTBGが圧勝。シャーレル選手自身も得点王争いのトップに立っています。ちなみにMリーグ1部でマレーシア人選手が得点王を獲得したのは2011年のアブドル・ハディ・ヤハヤ(当時トレンガヌFA、現在のトレンガヌFC)が最後ですが、Mリーグは2009年から2011年まで外国籍選手の加入を認めていませんでした。このため外国籍選手と競い合って得点王を取ったのは2004年シーズンに15ゴールを挙げたインドラ・プトラ・マハユディン(現クアラルンプールFA、当時はパハンFAに在籍)まで遡らなければなりません。
 フェルダ・ユナイテッドFCの恵龍太郎選手は先発してフル出場しています。

スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌFC 4-0 PDRM FC
得点者:トレンガヌ-ファリス・ラムリ2(8分、75分)、リー・タック2(26分、45+2分)
 PDRM FCはこの日の敗戦で11位以下が確定し、来季の2部プレミアリーグ降格が決まりました。
 トレンガヌFCのBチームにあたるMリーグ2部トレンガヌFC IIに所属する鈴木ブルーノ選手がこの試合で今季初のトップチームに昇格し、この試合では先発して74分に交代しています。

MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティFC 2-2 ジョホール・ダルル・タジムJDT
得点者:PJ-クリスティ・ジャヤシーラン(38分)、グルサミー・カンダサミー(45+2分)、JDT-サファウィ・ラシド(36分)、ゴンザロ・カブレラ(45+5分PK)
 この試合に勝てばリーグ7連覇が決まったJDTの前に立ちはだかったのは、PJシティFCのGKカラムラー・アル・ハフィズでした。下のハイライト映像以外でも好セーブを連発し、2部降格の危機にあるPJシティFCに貴重な勝ち点1をもたらしました。
 一方のJDTはAFCチャンピオンズリーグを睨んでか、好調のラマダン・サイフラーをベンチスタートさせるなど選手層の厚さを見せつけての引き分けでした。

9月26日(土)
UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
スランゴールFC 3-3 UITM FC
得点者:スランゴール-イフェダヨ・オルセグン2(25分、90+5分)、サンドロ・ダ・シルヴァ(45+5分)、UITM-グスタヴォ・アルメイダ2(49分、59分)、ラビ・アタヤ(62分)
 UITM FCは1点リードのままインジャリータイムに入りながら、試合終了間際にゴール前で痛恨のハンド。これで得たPKをイフェダヨ・オルセグンが決めてスランゴールFCが何とか引き分けに持ち込みました。
 前節第8節JDT戦の大敗後に選手によるサティアナタン・バスカラン前監督に対するサボタージュ疑惑などがネット上で取り沙汰されましたが、その疑いはこの試合で晴れたのではないでしょうか。監督に原因はなくスランゴールFCは単に弱いチームで、選手はボイコットしていたわけではなく単に実力不足だったということでした。

ダルル・マクムールスタジアム(パハン州クアンタン)
パハンFA 2-1 クダFA
得点者:パハン-アダム・リード(41分)、シャリフ・ハッセフィ(46分)、クダ-チェチェ・キプレ(14分)
 この試合で勝てばJDTの残り試合の結果では優勝の可能性も残っていたクダFAでしたが、この敗戦で優勝どころかAFCカップ出場権のかかるリーグ2位もペラTBGとの争いとなり、最終節第11節での直接対決に俄然注目が集まります。
 動きの悪いクダFA相手とは言え快勝したパハンFAは連勝で、遅まきながら調子を上げてきました。

9月27日(日)
リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバFA 3-2 マラッカ・ユナイテッドFC
得点者:サバ-デニス・ブシェニング2(25分、65分)、ロドリュブ・パウノヴィッチ(72分PK)、マラッカ-ウチェ・アグバ(16分)、ソニー・ノルデ(45+3分)
 サバFAは8月28日のリーグ再開後の初勝利。一方、再開後は2勝2分と順位を上げてきたマラッカ・ユナイテッドはリーグ再開後の初黒星となりました。

マレーシアスーパーリーグ順位表(第9節終了時)

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1JDT97202471723
2ペラTBG95221613317
3クダFA95131611516
4UiTM FC94231211114
5トレンガヌFC94141913613
6パハンFA94141413113
7マラッカU93231210211
8スランゴールFC92521318-511
9PJシティFC9163913-49
10サバFA92341117-69
11フェルダU91441117-67
12PDRM FC9027418-14-1
*7位のマラッカUと12位のPDRM FCはそれぞれ、給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアスーパーリーグ ゴールランキング(第9節終了時)

ゴール数選手名所属試合数
9シャーレル・フィクリペラTBG9
7ドミニク・ダ・シルヴァトレンガヌFC9
7チェチェ・キプレクダFA9
7イフェダヨ・オルセグンスランゴールFC9
5ゴンザロ・カブレラJDT9

9月25日のニュース:FAMとパハン州FAはお互いを非難、スランゴール州FAはスマレとの交渉はFAMの承認済みと主張するもFAMは否定、期限まで1週間となった民営化が完了しているのは現時点で12クラブ

FAMとパハン州FAはお互いを非難
 マレーシアサッカー協会FAMとMリーグ1部パハンFAを運営するパハン州サッカー協会(パハン州FA)はお互いに非難を応酬し合う状況になっています。
 パハン州FAを離れてタイ1部リーグのポリス・テロFC移籍を発表したモハマドゥ・スマレに対して、今月9月11日にパハン州FAはFAMへ不服申し立てを行いましたが、FAMの対応が不十分として、一昨日9月22日にFAMを強い調子で非難する声明を公式Facebookなどで公開しました。
 パハン州FAのノーリア・アブドル・マナフ事務局長は自身の名で出された公式声明で「(対応が遅れていることについて)FAMはFIFAの対応を待っているといることを理由にしているが、パハン州FAはこの理由を受け入れることはできない。マレーシア人選手に関する事例への対応はFAMの管轄であり、アジアサッカー連盟のウインザー・ポール事務局長もメディア向けの声明でこれを肯定している。」と述べ、パハン州FAも含め国内の州FAを統括する立場のFAMは、今回のスマレ選手に関する件についてパハン州FAの申し立てに真剣かつ速やかに対応するべきだとしています。
 さらにパハン州FAのノーリア事務局長は、FAMが早急に対応しない場合、マレーシア国内のスポーツに関する問題を裁定するスポーツコミッショナーにこの件についての裁定を仰ぐことも検討しているとしています。
 「パハンFAを離脱するに至った理由としてスマレ選手が挙げている内容は不正確な上にでっち上げであり、パハン州FAは事実に基づきスマレ選手の主張に異議を申し立てる用意がある。」と話すノーリア事務局長は、スマレ選手が離脱の最大の理由として挙げている契約内容とは異なる給料が過去3年間に渡り支払われていたことについても、これを全面的に否定しています。
 一方のFAMは公式サイトに反論を掲載し、パハン州FAによる非難は根拠がない上に無責任であるとしてこれを糾弾しています。
 FAMはこの件がパハン州FAから報告された当初から、スマレ選手に関する提訴をFIFAへ行うための手順や必要条件などを提示してパハン州FAに協力してきたと主張し、パハン州FAへの反論ではその事実を時間の経緯に沿って説明しています。その上でスマレ選手が契約破棄の根拠としている「給料未払いが発生した際には契約を破棄できる」という条項が使われた事実について自身の責任を理解するべきだと、パハン州FAの非難に応酬しています。

スランゴール州FAはスマレとの交渉はFAMの承認済みと主張するもFAMは否定
 またパハン州FAとFAMの論争の最中に明らかになったのが、Mリーグ1部スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会(スランゴール州FA)がスマレ選手に接触する際にFAMがこれを承認していたというニュースです。
 こちらはスランゴール州FAのジョハン・カマル・ハミドン事務局長がFAMに事前に資格紹介を行い、さらにFAMから承認を得た上で獲得交渉を行っていたことを明かし、これがパハン州FAのFAMに対するさらなる非難を産む原因になっています。
 英字紙ニューストレイトタイムズにはパハン州FA関係者の話として、パハン州FAとスマレ選手の「離婚調停」を行なっていたFAMが、その裏ではスランゴールFAとスマレ選手の「結婚」を承認していたと、FAMを非難しているとしています。
 しかもこの話がここで終わらないのがマレーシア。FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、FAMにはスランゴール州FAとスマレ選手の交渉を許可する資格も禁止もする資格もないと話し、スランゴール州FAのジョハン事務局長の問い合わせてに対しては、スマレ選手は契約内容に含まれていた「給料未払いが起こった際に契約を破棄できる」という条項を使って契約を破棄したという事実を伝えただけであると話しています。
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 正式な契約書が交わされていながらこの様な問題が発生すること自体、正直、理解ができませんし、誰かが(あるいは関係者全員が)自身に都合よくその内容を解釈しているのかも知れません。結局はプロサッカーチームの運営を各州の議員や公務員といったアマチュアが運営していることに起因している様に感じます。皇族を協会の会長に置くパハン州FAとスランゴール州FAがこの件に関連しているのは単なる偶然ではなく、そういった権威の下でそれを傘にきた輩が自身の権力闘争にサッカーを利用している図式が見え隠れしている気がします。監督をクビにしてもその任命責任が問われないスランゴール州FAはその際たるものでしょう。そのためにも次の記事で取り上げるクラブの民営化は何としても進めていかなければならない様に思います。

期限まで1週間となった民営化が完了しているのは現時点で12クラブ
 マレーシアサッカー協会FAMが期限を9月30日に設定したクラブの民営化ですが、現時点では12クラブが民営化手続きを完了していることをFAMが公式サイトで発表しています。マレーシアのプロクラブの大半は、各州サッカー協会(州FA)が運営していますが、FAMはアジアサッカー連盟AFCの指導に基づき、各州FAが運営するクラブを州FAから切り離す民営化を求めており、その期限はあと1週間ほどに迫っています。
 今回FAMが発表した民営化手続きが完了しているクラブは、ジョホール・ダルル・タジムJDT、PJシティFC、マラッカ・ユナイテッドFC、トレンガヌFC、サバ、ペラTBG(以上Mリーグ1部)、サラワク・ユナイテッドFC、ヌグリスンビラン、ケランタン・ユナイテッドFC、クチン・シティFC、クアラルンプール(以上Mリーグ2部)そしてMリーグ3部所属のマレーシア国軍FCの12クラブです。
 またこの他、Mリーグ1部のスランゴールFC、フェルダ・ユナイテッドFCと2部ケランタンは手続きの最終段階に入っていること、また1部のパハンとクダ、2部のペナンは手続きの最中であるともされています。
 その一方でマレーシア王立警察を母体とするPDRM FCと国立大学を母体とするUITM FCとUKM FCについては手続きを始めたばかりの段階ということで、FAMは速やかな対応を求める督促状を送ったとしています。
 民営化が完了しないクラブは、AFC主催のAFCチャンピオンズリーグやAFCカップなどの大会にはマレーシア代表として出場できない他、来季2021年以降は国内リーグのMリーグ1部と2部でもプレーするためのクラブライセンスが発給されません。
 なおFAMのプロ委員会のモハマド・フィルダウス・モハマド委員長名で出されたこの発表では、民営化手続きを完了していないクラブに対して9月30日の期限は決して延長されないとする一方で、必要な支援をいつでも行う用意があり、今季の1部と2部の全クラブが民営化手続きを期限までに完了することを望んでいるとも書かれています。