12月5日のニュース
JDTのサファウィ・ラシドがタイ1部ラーチャブリーFCへ移籍
トレンガヌは過去3季マラッカでプレーしたFWソニー・ノルデを獲得
苦しい時の神頼みならぬTMJ頼み-5ヶ月分給料未払いのマラッカ・ユナイテッドの選手がジョホールオーナーに助けを求める

サファウィ・ラシドのタイリーグ移籍は驚くようなニュースですが、マレーシアリーグは今季が終了したばかり。選手の移籍はむしろこれからが本格化しますので、まだまだ驚くようなニュースが出てくる可能性もあります。

JDTのサファウィ・ラシドがタイ1部ラーチャブリーFCへ移籍

Mリーグ1部スーパーリーグのジョホール・ダルル・タジムJDTは、クラブ公式SNSでFWサファウィ・ラシドがタイ1部のラーチャブリーFCへ期限付き移籍することを発表しています。

マレーシアカップ優勝監督から転身したエクトル・ビドリオ テクニカル・ディレクター名で発表されたこの移籍は、サファウィ選手が現在、東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ出場の代表候補となっていることから、新チームへの合流はこのAFF選手権終了後となるということです。また同じ発表の中でJDTはマリ出身のFWムサ・シディベも同時にラーチャブリーFCへ期限付き移籍することも発表しています。

このJDTによる発表の前には、ラーチャブリーFCの会長がサファウィ選手の獲得がクラブ間で合意に至ったことをフライング気味に表明しており、JDTがこれを後追いする形で発表されています。

現在25歳のサファウィ選手は、2017年に当時のT-Team FC、現在のトレンガヌFC IIからJDTに移籍し、2018年には21歳で当時最年少のリーグMVPに選ばれると、翌年も連続してこの賞を受賞、また先日、このブログでも取り上げた2018年アジア競技大会でも、5得点を挙げるなど、クラブだけでなくマレーシアサッカーを牽引する存在となることが期待されていました。

2018年にはリーグ戦21試合出場で6ゴール、2019年も21試合出場で8ゴール、また新型コロナの影響でシーズンが11試合に短縮された2020年は7試合で7ゴールと活躍したサファウィ選手は、2021年にはポルトガル1部のポルティモネンセへ期限付き移籍しました。しかしトップチームでは出場機会を得られなかっただけでなく、U23チームでもわずか2試合に出場したのみで、1年も経たずにJDTに復帰しています。しかし2021年には同じポジションに彗星のように現れた当時19歳のFWアリフ・アイマンにポジションを奪われ、2021年は16試合、今季2022年は13試合と出場機会が減り、先発では途中出場が多くなり、完全にチームの主力ではなくなっています。

現在、AFF選手権に向けて合宿中のA代表でも、JDTの主力がケガや家庭の事情などの理由から今回の招集を辞退して休養に努める一方で、サファウィ選手が合宿に参加しているのは、疲れがたまるほど試合に出場していないことも意味しています。

かつての輝くを失ったとは言え、25歳のサファウィ選手はここで終わってしまう選手ではありません。移籍先のラーチャブリーFCは、現在リーグ3位とは言え、上位5チームの中では得点数が最低の21点と得点力の補強が必要なチーム。左足からの振り幅の短い強烈なシュートもあれば、ACLでも見せた右サイドからの美しいカーブをかけたシュートも打てるサファウィ選手は、出場機会があれば、必ず結果を残せるはず。この移籍が転期となること期待したいです。

トレンガヌは過去3季マラッカでプレーしたFWソニー・ノルデを獲得

今季スーパーリーグ2位に終わったトレンガヌFCは、数日前にトミスラフ・スタインブリュックナー新新監督の就任を発表しましたが、今度は新たな外国籍選手としてハイチ出身のストライカー、ソニー・ノルデの獲得を発表しています。

33歳のノルデ選手とは1年契約を結び、背番号が11となることも併せて発表されています。19歳でボカ・ジュニアーズ(アルゼンチン)と契約してプロ選手生活をスタートしたノルデ選手は、アトレティコ・サンルイス、アルタミラFC(いずれもメキシコ)でプレーした後、シェイク・ラッセルKC、シェイク・ジャマル・ダンモンディSJDクラブ(いずれもバングラディシュ)、ATKモフン・バガンFC、ムンバイ・シティFC(いずれもインド)、ジラFK(アゼルバイジャン)を経て、2020年から今季までスーパーリーグのマラッカ・ユナイテッドFCでプレーしています。

マラッカでは今季17試合に出場し、4ゴール、5アシストを記録している33歳のノルデ選手とトレンガヌの契約期間は1年、また背番号が11となることも併せて発表されています。

苦しい時の神頼みならぬTMJ頼み-5ヶ月分給料未払いのマラッカ・ユナイテッドの選手がジョホールオーナーに助けを求める

今季スーパーリーグで10位に終わったマラッカ・ユナイテッドFCは、選手への給料未払いが理由で来季のクラブライセンスが発給されず、スーパーリーグからの撤退を余儀なくされています。その後、来季はセミプロリーグの3部、M3リーグに参戦することが発表されていますが、給料未払い問題が未だ解決していないことが明らかになっています。

サッカー専門サイトのスムアニャボラによると、給料の未払いは既に終了した2022年シーズンの5ヶ月分あり、その支払いに進展がないことから、一部の選手がソーシャルメディア上で同じスーパーリーグのジョホール・ダルル・タジムのトゥンク・イスマイル殿下に助けを求める投稿をしているということです。

ジョホール州皇太子でもあるイスマイル殿下は、これまでも同様の問題を起こすクラブに対して厳しい批判を行なった結果、クラブが重い腰を上げる、といったケースがあり、マラッカの選手もこれを期待して、部外者のイスマイル殿下に異例の懇願を行なったとみられています。

自身のインスタグラムに投稿したのはワン・ザハルニザム、シュクリ・バハルン、ハスブラ・バカル他数名の選手で、マラッカ前オーナーのジャスティン・リム氏、そして前マラッカ州サッカー協会のスライマン・モハマド・アリ氏の両氏とも選手からの問い合わせに無視を決め込んでいることから、イスマイル殿下に仲裁を求めています。プロ意識に欠けるクラブには容赦ないイスマイル殿下が仲裁に入ることで、これまで沈黙を守っている旧経営陣も何らかの行動をせざるを得なくなる、とSNSに投稿した選手たちは考えているようです。

来季のクラブライセンスが発給されなかったマラッカ・ユナイテッドFCは、オーナーだったリム氏が所有する株式を売却して辞任し、それに合わせるようにマラッカ州首相でもあるスライマン会長も辞任しており、クラブ名も新たにマラッカFCとするなど組織一新を図ることが発表されています。州サッカー協会の新会長に就任したヌル・アズミ・アフマド氏は、就任の際にはこの給料未払い問題解決に取り組むことを約束しましたが、実際には何も解決していないことが今回の一件で明らかになりました。


11月19日のニュース
クラブライセンス不交付で来季トップリーグ不参加のマラッカ・ユナイテッドFCはマラッカFCと名称変更して3部リーグに参戦
マレーシアカップ決勝会場がブキ・ジャリル国立競技場に決定-最高のVIP席チケットは6200円
マレーシア代表の2022-2024年用新ユニフォーム発表

今日11月19日は独立以来第15回となるマレーシアの国政選挙投票日。昨日は急遽、国民の祝日となり、週末を兼ねて実家へ戻って投票する人の帰省ラッシュで、多くの幹線道路は渋滞したようです。

また複数の州では州議会選挙が同時に行われますが、ここで州政府内の政権交代が起これば、Mリーグクラブの将来にも影響が出る可能性があります。Mリーグのクラブは大半が各州のサッカー協会(州FA)がその運営に関与しているだけでなく、州FA会長を州首相(州の知事)が兼任し、クラブの運営費用を州政府からの公金に依存しているケースが少なくありません。政権交代が起これば、州知事は交代、つまり州FA会長が交代することになります。この政権交代により州FAによるクラブ運営方針が変わるだけでなく、予算配分などにも影響があります。その良い例が昨季のペラFCです。2020年に州議会内で議員の鞍替えによる与野党逆転が起こった結果、ペラFCに多額の資金支援を認めていた州首相が失職し、同時に州FA会長を退任すると、新たな州首相が州FA会長に就任した途端、クラブへの支援を削減しました。その結果、給料未払いが起こり、2020年シーズン終了後、外国籍選手を含めた主力選手の大半が退団しただけでなく外国籍監督とも契約を解除、その結果、2020年は1部スーパーリーグで4位だったクラブは昨季2021年シーズンは11位にとなり2部プレミアリーグに降格しています。

こういった政治とサッカーの結びつきを断ち切ろうと、マレーシアサッカー協会FAMが取り組んでいるのがクラブの民営化です。クラブの運営を州FAからクラブ運営会社に移すことで、上記のような政権交代などによるクラブへの政治的影響を無くそうという目的ですが、大半の資金を州政府から受け取ってきたクラブの体質改善は難しく、完全な民営化ができているのはジョホール・ダルル・タジムJDTやクランタンFCしかありません。他のクラブもクラブ運営会社を立ち上げたものの、クラブの資金源となるスポンサーは州政府が運営する企業が大半で、結局のところ、州政府から直接支援を受けるのではなく、州政府系企業経由と見た目が変わっただけに過ぎません。

ここ数年は新型コロナ対策やインフレ対策などにより、州政府の財政にも以前ほどの余裕がなくなっていることから、政権交代をきっかけにMリーグクラブへの支援が見直される可能性があり、これによりMリーグの勢力分布が変わってしまう可能性もあります。

クラブライセンス不交付で来季トップリーグ不参加のマラッカ・ユナイテッドFCはマラッカFCと名称変更して来季の3部リーグに参戦

来季のクラブライセンスが交付されず、Mリーグ1部スーパーリーグへの参加ができなくなったマラッカ・ユナイテッドFCが、クラブ名をマラッカFCと変更して、来季はMリーグ3部に当たるM3リーグに参加することを発表しています。

今季のスーパーリーグで10位に終わったマラッカ・ユナイテッドFCは、Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLが設定した期限までに給料未払い問題が解決しなかったことから、国内のクラブライセンス交付機関である第一審期間FIBがクラブライセンスを交付しませんでした。これにより来季のスーパーリーグ参加が不可能となったマラッカ・ユナイテッドFCを運営するマラッカ・ユナイテッドサッカー協会MUSAは、協会名をマラッカ州サッカー協会MAFAと変更するとともに、クラブの名称もマラッカFC取りブランディングすることを発表しています。

マラッカ州首相でもあったスライマン・モハマド・アMUSA会長に代わり、新たに会長に就寝したヌル・アズミ・アフマッド氏は、マラッカ州サッカー協会の名称をMUSAからMAFAとすることについて、これまで結果を伴わなかったMUSAはクラブの再生にそぐわないとしてMAFAとすることにしたと説明しています。

また新生マラッカFCは、既に来季2月開幕のM3リーグに向けて練習を開始していることを明らかにしたヌル・アズミMAFA会長は、来季のFAカップ参戦、そして2024年のスーパーリーグ復帰がクラブの目標となると述べ、未払い給料問題の解決を最優先とするとともに、今後同様の問題が起こらないような運営を行うことも約束しています。

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今季のスーパーリーグとMリーグ2部のプレミアリーグが統合され、来季は新たに14チーム編成となる「新」スーパーリーグの発足に伴い、来季はプレミアリーグが開催されないことが決まっています。このためマラッカFCはアマチュアリーグのM3リーグ参戦を余儀なくされています。これにより、今季の主力選手の多くが退団することが予想され、既にGKブライアン・シーはペラFCへ、DFファドリ・シャスはヌグリスンビランFCへの加入などが発表されています。

なお同様の給料未払い問題により今季スーパーリーグ11位のサラワク・ユナイテッドFCもクラブライセンス不交付により、来季のスーパーリーグ参戦ができなくなっていますが、こちらについては来季の方針などは未だ発表になっていません。

マレーシアカップ決勝の会場がブキ・ジャリル国立競技場に決定-最高のVIP席チケットは6200円

現在準決勝まで進んでいるマレーシアカップは今年が第96回大会。今大会は11月26日に決勝が予定されていますが、その試合会場がクアラルンプールのブキ・ジャリル国立競技場に決定したことを、マレーシアカップを主催するマレーシアンフットボールリーグMFLが公式サイトで発表しています。一時は地方開催の可能性も報じられていた決勝戦ですが、MFLはピッチの状況、観客収容能力、サポーターのアクセスのしやすさなど様々な点から.ブキ・ジャリル国立競技場に決定したと説明しています。

またMFLはこのマレーシアカップ決勝のチケット価格も発表しています。今季のFAカップ決勝と同様で最も高額なメインスタンドVIP席は200マレーシアリンギ(およそ6200円)、最も安価な一般席は50マレーシアリンギ(およそ1500円)となっています。Jリーグと比べれば驚くような価格ではないかもしれませんが、Mリーグ1部スーパーリーグの公式戦の場合、チケットの価格帯は20マレーシアリンギ(およそ620円)から50マレーシアリンギであることを考えると、VIP席はなかなかいいお値段です。

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今年9月に8万4000人の観衆を集めた今季のFAカップの決勝を既に開催しているブキ・ジャリル国立競技場は、各クラブの本拠地と比べれば明らかにピッチの手入れ状況なども良く、昨季に続きマレーシアカップの決勝戦会場となったのは当然と言えます。国内のスタジアムではジョホール・ダルル・タジムJDTの本拠地、スルタン・イブラヒムスタジアムもピッチの管理が良いことで知られていますが、この決勝戦にはJDTが勝ち上がる可能性もあり、公正と中立を期すれば、スルタン・イブラヒムスタジアムでの開催は難しいのが現実です。

マレーシア代表の2022-2024年用新ユニフォーム発表

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、2022年から2024年までマレーシア代表が着用する新たなユニフォームを発表しています。

ハリマウ・マラヤ「マレーの虎」の愛称持つマレーシア代表のユニフォームは、虎の黄色時に黒の縞模様にちなんで、黄色と黒が基調になることが多いですが、今回はホームがほぼ全面が黄色で丸首の部分だけが黒で、アウェイは胴で濃淡の差はあるもののほぼ全面が袖と黒という配色になり、デザイン的にはこれまでのユニフォームよりもシンプルになっています。マレーシアがタイ、インドネシア、ベトナムと共催した2007年のAFC選手権アジアカップから代表ユニフォームを提供するナイキ社による今回のユニフォームのデザインのテーマは「胸のバッジのために」となっており、国のために戦う闘争心を象徴しているということです。

この新ユニフォームは今年12月20日に開幕する東南アジアサッカー連盟選手権、三菱電機カップの前に行われる12月9日の国際親善試合カンボジア戦から使用され、女子代表や年代別代表、フットサルやビーチサッカー代表もこのユニフォームを使用するということです。

ちなみにお値段はホーム、アウェイユニフォームとも299マレーシアリンギ(およそ9200円)で11月24日から国内スポーツショップのアル=イクサンの店舗とオンラインストア、そしてナイキ・マレーシアのオンラインストアで購入可能ということです。
(下の写真はマレーシアサッカー協会FAMのFacebookより。)

11月3日のニュース
MFLはマラッカとサラワクのクラブライセンス不交付への不服申し立てを却下-来季のスーパーリーグは16クラブでの開催が決定
今月末にジョホールがボルシア・ドルトムントと7年ぶりの親善試合開催
スーパーモクカップ閉幕-U13はブリーラム・ユナイテッドが3年越しの2連覇達成

MFLはマラッカとサラワクのクラブライセンス不交付への不服申し立てを却下-来季のスーパーリーグは16クラブでの開催が決定

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグは、今季1部スーパーリーグで8位のマラッカ・ユナイテッドと同11位のサラワク・ユナイテッドから出されていた国内クラブライセンス不交付に対する不服申し立てが却下されたことを、公式サイトで発表しています。これにより、来季から新たに再編成される1部スーパーリーグは16クラブで編成されることが確定しました。

国内クラブライセンス交付を請け負う第一審期間FIBは、マラッカ・ユナイテッドは未払い給料が完済されたことを証明する書類に不備があるとして、またサラワク・ユナイテッドはかつて在籍した外国籍選手が未払いとなっている給料についてFIFAの紛争解決室DRCの下した裁定が解決されていないとして、申請の出ていた18クラブ中、16クラブにクラブライセンスのは交付したものの、この2クラブについては交付を行いませんでした。

先月10月12日にクラブライセンス不交付となった両クラブに対し、MFLは1週間の不服申し立て期間を設けており、今回の発表はその期間終了後に開催されたMFLのクラブライセンス不服申し立て委員会が両クラブの不服申し立てを却下したと、スチュアート・ラマリンガムCEOは説明していますが、具体的には不交付の理由となった書類不備に対して、今回の不服申し立てでどのような書類が提出されたかどうかについては秘匿が条件であるため、公開はできないとも話しています。またMFLは今回の不服申し立て却下という決定を両クラブに通達したものの、現時点では公式の返事は受け取っていないということです。

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今季のMリーグ1部スーパーリーグ(12クラブ)」と2部プレミアリーグ6クラブを統合した「新スーパーリーグ」が来季から発足することが決まっており、これにより当面はプレミアリーグは開催されず、新スーパーリーグの下はアマチュアフットボールリーグAFLが運営するセミプロリーグのM3リーグとなります。来季の国内クラブライセンスが交付されなかったマラッカとサラワクは新スーパーリーグには参加できないものの、M3リーグへ参加の可能性が残されています。

今月末にジョホールがボルシア・ドルトムントと7年ぶりの親善試合開催

今季のスーパーリーグとFAカップに優勝し、既に二冠を獲得しているジョホール・ダルル・タジムJDTは、クラブ公式Facebookでボルシア・ドルトムントとの国際親善試合を今月11月28日に本拠地のスルタン・イブラヒムスタジアムで開催することを発表しています。

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ボルシア・ドルトムントは、2015年7月9日にもJDTと国際親善試合を行なっています。この2日前の7月7日には等々力陸上競技場で川崎フロンターレを0-6で破っているドルトムントは、JDTがかつて本拠地として使用していたタン・スリ・ダト・ハジ・ハッサン・ユヌススタジアムで行われた試合でも、6-1とJDTに圧勝しています。この試合では、当時ドルトムントに所属していた香川真司選手がチーム4点目となるゴールを74分に挙げている他、当時セレッソ大阪から期限付き移籍していた丸岡満選手も途中出場し、香川選手のゴールをアシストしています。(以下は2015年のJDT対ドルトムントのハイライト映像。ブンデスリーガの公式YouTubeチャンネルより)

ボルシア・ドルトムントは、FIFAワールドカップ2022年大会によるリーグ中断期間を利用して「BVBアジアツアー2022」と銘打ったアジア遠征を開催し、JDT戦はこのツアーの一環です。ドルトムントのクラブ公式サイトによると、11月24日にシンガポールでライオンシティーセイラーズと対戦し、11月30日にはベトナムのハノイでベトナム代表と対戦します。またドルトムントは当初、インドネシアでの国際親善試合も予定していましたが、先月10月1日に125名以上の死者が出た東ジャワ州カンジュルハンスタジアムでの事故「カンジュルハンの悲劇」により、十分な安全対策が決まるまでサッカーの試合が開催できないため、その代わりとして組まれたのが、今回のJDT戦です。

スーパーモクカップ閉幕-U13はブリーラム・ユナイテッドが3年越しの2連覇達成

ユース国際招待大会のスーパーモクカップ2022年大会は10月30日にU12、U13、U14の各年代の決勝戦が行われ、優勝チームが決定しました。2019年以来3年ぶりの開催となった今大会は、前回に続きマレーシアのパハン州ガンバンにあるモクタル・ダハリアカデミーAMDのユースフットボールセンターを開場して開催されました。

U12は、マレーシアサッカー協会FAMと、マレーシア政府のスポーツ青年省傘下の国家スポーツ評議会が共同で運営する国家サッカー選手育成プログラムNFDP参加選手から選ばれたNFDPのBチームがNFDPのCチームを決勝で破り優勝、3位にはNFDPのAチームが入っています。また4位以下はて、キム・ヨンフンアカデミー(韓国)、ライオンシティーセイラーズ(シンガポール)と続きます。なおU12の各試合の詳細はこちらから。

U13は、前回2019年の第5回大会でもこのカテゴリーで優勝しているブリーラム・ユナイテッド(タイ)がAMDのチーム、AMDパンサーズU13を1-0で破って3年越しの大会2連覇を達成しています。また3位にはPVFフットボールアカデミー(ベトナム)、以下、アシアナサッカースクール(インドネシア)、NFDP、華城FC U13(韓国)、AMDクーガーズU13、イブラヒム・フィクリ校(マレーシア)と続いています。U13の各試合の詳細はこちらから。

またヨーロッパ勢同士による決勝となったU14は、NKオシエク(クロアチア)がパリ・サンジェルマン(フランス)を2-1で破って大会初優勝を遂げています。また3位にはAMDパンサーズU14を4-1で破ったセレッソ大阪が入り、敗れたAMDパンサーズU14が4位、以下、ファジアーノ岡山、AMDクーガーズU14、チョンブリーFC(タイ)。MFKルジョムベロク(スロバキア)、華城FC U14(韓国)、RFヤング・チャンプス(インド)となっています。U14の各試合の詳細はこちらから。


10月13日のニュース
来季のスーパーリーグは18ではなく16チームで開催?FIBが2チームの国内クラブライセンスを交付せず
国内総選挙がマレーシアカップの日程に影響も
AFCカップ決勝はブキ・ジャリル国立競技場での開催が決定

来季のスーパーリーグは18ではなく16チームで開催?FIBが2チームの国内クラブライセンスを交付せず

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、今季Mリーグ1部スーパーリーグ所属の10クラブと2部プレミアリーグ所属の6クラブに対して、来季2023年シーズンの国内クラブライセンスが交付されたことを発表しています。またスーパーリーグ所属のマラッカ・ユナイテッドとサラワク・ユナイテッドの2クラブは、交付条件を満たしていないとして、今回の交付が見送られたことも併せて発表しています。

MFLは、国内リーグ戦の試合数が少ないというFIFAの指導を受け、現在のスーパーリーグとプレミアリーグを統合して、来季は新たにスーパーリーグを再編することを発表しています。今季はスーパーリーグが12チーム、プレミアリーグは10チーム(ただし、統合の対象となるのは6チーム)で編成されており、新スーパーリーグは18チーム編成となる予定でしたが、これでマラッカ・ユナイテッドとサラワク・ユナイテッドを除いた16チーム編成となる可能性がでてきました。

MFLは、マレーシアフットボール協会FAMからマレーシアにおけるクラブライセンス制度の制定および運用の委任を受けており、マレーシアにおけるライセンス交付機関としてMリーグのクラブライセンス制度を運営し、Mリーグのクラブに対して国内クラブライセンスを交付します。なお、国内クラブライセンスの交付判定については、MFLから独立した第三者機関であるクラブライセンス交付第一審機関FIBが行っていますが、このFIBが今回、国内クラブライセンスが交付されなかった2クラブについて、その理由を説明しています。

マラッカ・ユナイテッドについては、選手や監督、コーチに対して未払いとなっている今年8月分の給料支払い証明が提出されておらず、さらにクラブの経営状況を示す複数の書類も未提出になっているということが、今回、FIBが国内クラブライセンスを交付しなかった理由としています。またサラワク・ユナイテッドについては、書類の不備に加え、FIFAの紛争解決室DRCが決定した、旧所属2選手の延滞債務も完済されていないことが理由としています。(なおこの「かつて所属した2選手」とは、このブログでも取り上げたサンドロ・ダ・シルヴァテイラー・リガンの両選手です。)

なお、今回の交付見送りに対して、マラッカ・ユナイテッド、サラワク・ユナイテッドとも、10月19日までに再度の国内クラブライセンス交付申請が可能となっていることも併せて発表されています。

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今回、国内クラブライセンス交付を見送られた2クラブについて、MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、来季は2部プレミアリーグが開催されないことから、両クラブはアマチュアフットボールリーグAFLが統括する3部リーグのM3リーグでのプレーが可能と述べています。ただし、その場合にはM3リーグがMFLの管轄外であるため、最終決定はAFLが行うということです。

国内総選挙がマレーシアカップの日程に影響も

マレーシアのイスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は10月10日付で下院解散を発表しました。これに伴う総選挙は、解散後60日以内に開催することが憲法で定められていますが、11月中旬になると各地で洪水を引き起こす北東モンスーンが到来することから、11月上旬の開催が有力視されています。 そしてこの総選挙日程が、10月25日開幕予定のマレーシアカップの開催日程にも影響を及ぼす可能性があると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

Mリーグを運営するMFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、Mリーグでのグループステージでは各スタジアムで多くの観衆が足を運ぶと期待されているとして、そのスタジアム警備が総選挙の日程次第では手薄になってしまう懸念があると述べています。

「各スタジアムの警備や安全維持は警察が行っているが、総選挙の開催日程次第では、全国で行われる総選挙の投票会場に多くの警察官が配備されることはもちろん、その前の選挙運動期間中も様々な形で警察が動員される可能性がある。MFLとしては、10月20日に選挙委員会が日程を決定するために行う会議での発表を待ちたい。」と述べています。

AFCカップ決勝はブキ・ジャリル国立競技場での開催が決定

ACL決勝を新国立競技場開催の話となんだか似ているなぁ。

10月22日に行われるAFCカップ決勝は、Mリーグ1部スーパーリーグのKLシティとオマーンのアル・シーブクラブが対戦しますが、その試合会場が当初予定されていたKL指定の本拠地、KLフットボールスタジアムからブキ・ジャリル国立競技場へ変更されたと、マレーシア語紙のブリタ・ハリアンが報じています。

AFCカップを主催するアジアサッカー連盟からの公式発表は未だないものの、KLシティのボヤン・ホダック監督によると、「技術的な問題」により試合会場が変更されたと説明しています。

「AFCは、決勝戦ではVARを採用するとしており、そのためにはスタジアム内の照明が1800ルクス以上であることが条件となるが、KLフットボールスタジアムの照明はその条件を満たしていないことから、試合会場が変更となった。」と述べる一方で、「選手たちも自分も慣れ親しんだKLフットボールスタジアムでの試合を望んでいたが、技術的な問題ではどうしようもなく、我々はブキ・ジャリルで試合をせざるを得なくなった。」とも話しています。

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レバノンのアル・アヘドFCと北朝鮮の4.25体育団が対戦した2019年のAFCカップ決勝は、やはりこのKLフットボールスタジアムで開催され、アル・アヘドFCが1-0で勝利していますが、この時はまだ、VARはAFCカップには導入されていなかったのかな。

This is the second time KL City has played at Bukit Jalil National Stadium in the final after winning the Malaysia Cup last year.

Previously, the Cheras Football Stadium hosted the AFC Cup final when the Lebanese club, Al-Ahed defeated the North Korean club, April 25 1-0 in 2019.

10月11日のニュース
マレーシアが予選を1位突破し来年のAFC U17アジアカップ出場権を獲得
MFLはマレーシアカップ出場権剥奪のマラッカの選手の特例移籍案を拒否

マレーシアが予選を1位突破し来年のAFC U17アジアカップ出場権を獲得

見事なお手並み、お見逸れ致しました。

インドネシアのボゴールで開催されていたAFC U17アジアカップ予選B組は10月9日に最終第5節が行われ、ここまで2勝1分で2位につけていたマレーシアU16代表と、3勝全勝で首位のインドネシアU16代表が激突し、5-1で勝利したマレーシアがB組1位として本戦出場権を獲得しています。

前節第4節にアラブ首長国連邦UAEを相手にロスタイムのゴールで3-2と勝利し、代わってグループ2位となったマレーシアは、B組1位突破をかけて、開催国インドネシアと対戦しました。ここまでの3試合を3勝0敗、得点19失点2のインドネシアに対し、マレーシアのオスメラ・オマロ監督は、前節のUAE戦と全く同じ先発XIを起用しました。

試合は開始からからインドネシアに攻め込まれる展開となりましたが、マレーシアのGKファリシュ・ファルハンが再三、好セーブを見せてピンチを防ぐと、徐々にペースを掴み始めたマレーシアはザイヌルハキミ・ザイン(AMD U16)が今大会2点目となるゴールを17分に決めてマレーシアが先制すると、20分にはアラミ・ワフィ(AMD U16)がパレスチナ戦、UAE戦に続く今大会3点目となるゴールを決めてリードを広げます。さらに23分にはアンジャスミルザ・サフルディン(AMD U16)がやはり今大会3点目となるゴールを、また26分にはアフィク・ダニシュ(AMD U16)が今大会初ゴールを決め、試合開始から26分で4-0と大量リードします。さらに38分には相手パスを奪い、ドリブルでペナルティエリアに持ち込んだアンジャスミルザ・サフルディンが倒されてPKを得ると、アラミ・ワフィがこのPKを決めてさらにリードを広げます。

試合はこのまま進み、後半のロスタイムに失点し完封は逃したものの、マレーシアが5-1でインドネシアを破り、3勝1分で勝点10となりB組1位として、来年のU17アジアカップ本戦出場を決めています。マレーシアは開催国枠で出場した2018年大会に以来、通算6回目の出場、予選を突破しての出場は、アリフ・ハイカル(スランゴール)、アリフ・サフワン(UITM)、イズリーン・イズワンディ(KLシティ)らを擁した2016年以来となります。

また第5節のもう一つの試合は、パレスチナがグアムを4-0で破り、今回の予選で初勝利を挙げ、通算成績を1勝3敗で4位に、またグアムは通算成績を0勝1分3敗として5位で今回の予選を終えています。

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マレーシアは、1-1で引き分けたグアム戦以外の3試合はほぼ同じメンバーが先発し、グアム戦で主力を休ませるオスメラ・オマロ監督の戦略が功を奏しました。
 この日の試合でも、14-0と大勝したグアム戦と8名が同じ先発メンバーだったインドネシアに対し、マレーシアは1-1と引き分けたグアム戦の先発メンバーとは9名が異なっています。4試合をほぼ同じメンバーで戦ったインドネシアと、グアム戦を利用して選手を上手くローテーションしたマレーシアの選手マネージメントの差が出たと言っても良いでしょう。
 もちろんグアム戦で引き分けたときには、UAE戦、インドネシア戦が残っている中で、まさかこのまま予選敗退…という不安もよぎり、UAE戦もロスタイムのゴールで薄氷を履む勝利だったところから、この日のインドネシア戦も大丈夫か?という感じでしたが、蓋を開けてみれば堂々のグループ1位突破となりました。

AFC U17アジアカップ予選B組第5節
2022年10月9日@パカンサリスタジアム(インドネシア、ボゴール)
インドネシア 1-5 マレーシア
⚽️インドネシア:アルハン・カカ・プトラ(90+3分)
⚽️マレーシア:ザイヌルハキミ・ザイン(17分)、アラミ・ワフィ2(20分、38分)、アンジャスミルザ・サハルディン(23分)、アフィク・ダニシュ(38分)
🟨インドネシア(2):ナビル・アシュラ、アンドレ・パンゲストゥ
🟨マレーシア(1):アフィク・ダニシュ

AFC U17アジアカップB組 最終順位表

チーム勝点
1MYS4310134910
2IDN4301207139
3UAE420217966
4PSE4103710-33
5GUM4013128-271
UAE-アラブ首長国連邦、IDN-インドネシア、MYS-マレーシア、PSE-パレスチナ、GUM-グアム

AFC U17アジアカップは、昨日までに本戦出場する16チームが決定しています。東南アジアからはB組1位のマレーシアの他、ベトナム、タイ、ラオスの4チームが出場します。本戦が新型コロナ感染拡大のために中止になってしまった2020年大会ではインドネシアが東南アジア唯一の本戦出場、2018年はインドネシア、タイ、ベトナム(マレーシアは開催国として出場)、2016年はマレーシア、ベトナム、タイ、2014年はマレーシア(タイは開催国として出場)が出場と、過去5大会では東南アジアから4チームが予選を突破したことはありません。2023年大会は当初の開催国だったカタールが開催を辞退したため、未だ開催国は決まっていませんが、東南アジアの4チームには是非、その存在感を見せつけて欲しいです。

MFLはマレーシアカップ出場権剥奪のマラッカの選手の特例移籍案を拒否

給料未払い問題が未解決のため、今季のマレーシアカップ出場権剥奪処分を受けたMリーグ1部スーパーリーグのマラッカ・ユナイテッド(以下マラッカ)の選手について、マレーシアプロサッカー選手会PFAMは、Mリーグを運営するMFLに対して、マラッカ所属の選手がマレーシアカップに出場する他のクラブへの期限付き移籍を特例として認めるよう提案していましたが、MFLはこれを拒否したと、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

あと2節を残す今季のスーパーリーグですが、このリーグ戦終了後の10月25日開幕するのが、国内最大のカップ戦、マレーシアカップです。昨年開催100周年を迎えたこのマレーシアカップは、スーパーリーグ1位から11位までの11チームと、2部プレミアリーグの上位5チームの合計16チームが対戦しますが、もともとカップ戦から始まったマレーシアサッカーの原点とも言える大会です。

この伝統ある大会に出場できなくなったマラッカは、収入面でも痛手を受け、その結果、選手への未払い給料問題がさらに長引く可能性他があることから、マラッカ所属のの選手の救済策として、PFAMはMFLに対して特例としてマレーシアカップ期間中の期限付き移籍を認めるよう提案していました。、

MFLは、現在が移籍が可能となるトランスファーウィンドウ期間でないこと、また1クラブのために特例としてトランスファーウィンドウを開くことはできないことを理由に挙げて、この提案は受け入れられないとしています。さらにマラッカは現在も継続中のスーパーリーグでプレーしており、中断期間でない時期のトランスファーウィンドウは開くことはできないこと、マレーシアカップの規定では大会のための追加登録はできないことなどを、MFLのスチュアート・ラムリンガムCEOは説明しています。

マラッカは、現在のオーナーであるケンチーム社のCEOで、マラッカの運営会社のCEOでもあるジャスティン・リム氏が、未払い給料問題を解決した後にクラブの全株式を売却するつもりであることも明らかにしており、この株式の売却が実現しなければ、マラッカは来季のスーパーリーグから撤退する最悪の可能性もあります。

9月27日のニュース
なかなか一筋縄ではいかない給料未払い問題関連2題
スランゴールのタン監督就任は皇太子からの電話が決め手

マラッカ州サッカー協会が来季のマラッカ・ユナイテッドの運営を発表

マラッカ州サッカー協会MUSAは臨時総会を開き、選手や監督、コーチらへの給料未払い問題を抱えるMリーグ1部スーパーリーグのマラッカ・ユナイテッド(以下マラッカ)の運営を行うことを発表しています。

マレーシアの通信社ブルナマによると、MUSAのヌル・アズミ会長の話として、MUSAがマラッカの運営会社の株式40%を、残る60%を今後発表される4つの会社が保有し、共同でクラブを運営していく計画だということです。

「この計画はマラッカが来季もスーパーリーグでプレーすることを目的としており、現在、クラブが抱えている未払い給料問題の解決に向けてMUSAとして何ができるかを理事会のメンバーと関係者とで模索し、最善方法を見つけたい。」と話したヌル・アズミ会長はこの日の臨時総会で、マラッカ州首相でMUSA会長を兼任していたスライマン・モハマド・アリに代わって会長に任命されています。

また給料未払い問題について問われたヌル・アズミ会長は、問題解決のためにMUSAのジャスティン・リムCEOと話し合いを持つ予定があると述べています。このリムCEOは、現在のマラッカ運営会社のオーナー、ケンチーム社のオーナーでもあります。なお、この話し合いでは未払いとなっている所得税と授業員積立金EPF、総額およそ60万リンギ(およそ1880万円)についても取り上げられると言うことです。

ヌル・アズミ会長は、ケンチーム社は未払いとなっていた6月からの3ヶ月分の給料ではなく、1ヶ月分の給料しか未だ払っておらず、Mリーグを運営するMFLが設けた期限までにこの問題が解決できなかった結果、マラッカはMFLによりマレーシアカップ出場権を剥奪された経緯を説明し。このケンチーム社に代わってMUSAが問題解決に取り組むことを明らかにした上で、そのためには時間がかかることを理解するようサポーターに求めています。

ゴム手袋製造メーカーのケンチーム社は、昨年2021年4月にマラッカの運営会社の株式70%を取得してオーナーとなり、残る30%をMUSAが保持していました。

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FIFAの指導を受けたマレーシアサッカー協会FAMは、これまで各州のサッカー協会(FA)が州政府からの公金を使って運営してきたMリーグクラブの民営化を進める「FAからFCへ」という動きを進めており、2024年までにこれを完了する予定としています。この動きにより多くのMリーグクラブが州FAから独立する形で民営化を進めていますが、今回のマラッカ州サッカー協会MUSAによるマラッカ・ユナイテッドの株式保有率増加は、この動きに逆行する形となっています。州政府が関与する州サッカー協会が運営の比率が高まれば、クラブの公的資金依存の体質は改善せず、FAMの目指すクラブのFC化の実現は遠のいてしまいます。未払い給料問題が年間行事のように発生しているマラッカ・ユナイテッドへのMUSAの関与が一時的なもののなのか、今後も続いていくものなのかはこの記事では明らかになっていませんが、これはマレーシアでのFC化の実現の難しさを示す実例と言えるでしょう。

サラワク・ユナイテッドの前監督はMFLに給料未払い問題の調査を依頼

マラッカ・ユナイテッド同様、給料未払い問題を抱えていたMリーグ1部スーパーリーグのサラワク・ユナイテッド(以下サラワク)は、Mリーグを運営するMFLの設定した期限までに未払い給料の分割払いについて選手や監督、コーチらとの合意に達したことを発表、MFLもこれを承認し、マレーシアカップ出場権の剥奪処分を逃れています。

しかし、今年6月にガン治療を理由に監督を辞任していたB・サティアナタン氏は、クラブの主張とは異なり、未払い給料支払い方法などについて合意に達しておらず、MFLに対して詳細の調査を求めていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています

サラワクのテクニカル・ディレクターだったサティアナタン氏は、E・エラヴァラサン監督がマレーシア代表のコーチに就任したことから、今季開幕前にサラワクの監督に就任しましたが、クラブと合意の上で今季途中の6月12日に健康上の理由から監督を自信していました。

「6月の辞任後、未払いとなっていた2021年の給料と今年2022年の2月から6月までの給料の支払いをクラブに求めたが、未だにを受け取っていない。さらに辞任の理由となったガン治療のために検査を受けた際には、クラブとの契約条件に含まれていた医療保険の保険料が支払われていないことも判明し、治療費の負担を強いられた。」と説明しています。さらにサティアナタン氏は、クラブがサティアナタン氏の支払い要求に応じていないことから、現在は弁護士を通じて訴訟を起こす準備をしていることも説明しています。

マレーシアサッカーコーチ協会の会長も務めるサティアナタン氏は「自分はクラブとの間で未払い給料の分割払いに合意する書類に署名しておらず、MFLには、クラブが提出した未払い給料に関する報告の内容の詳細を調査してもらいたい。クラブは未払い給料問題の解決を主張しているが、現時点では解決していない。」とのべて、MFLに調査を求めています。

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このサティアナタン氏の主張に対し、MFLは「選手らへの未払い給料の問題と(既にクラブを退団している)サティアナタン氏の未払い給料問題は『別の問題』である」という声明を発表しています。さらにMFLはクラブとサティアナタン氏の間の問題については審査の権限を持たないと説明し、両者による話し合いで解決しない場合には、サティアナタン氏はFAMのステータス委員会に審査を求めべきとしています。そしてステータス委員会での審査結果が出た段階で、MFLはその結果に基づいてサティアナタン氏の支援を行うことができると説明しています。

スランゴールのタン監督就任は皇太子からの電話が決め手

Mリーグ1部スーパーリーグのスランゴールFC(以下スランゴール)に前代表監督のタン・チェンホー氏が就任したことは、このブログでも取り上げましたが、監督就任の決め手となったのはスランゴール州サッカー協会会長でもあるスランゴール州皇太子のトゥンク・アミル殿下からの一本の電話だったことを、英字紙ニューストレイトタイムズとのインタビューで明らかにしています。

トゥンク・アミル殿下からの電話では、クラブが目指す方向性だけでなく、監督就任の際の契約条件などの説明も受けたと話したタン氏は、その電話で就任オファーを受けることを受諾したと話しています。

「トゥンク・アミル殿下は、スランゴールを次のレベルへと高める仕事を自分に託したいと述べてくれた。国内では最大クラブの一つであるスランゴールで仕事をすることは大きなプレッシャーもかかるが、名誉なことでもある。そして最も重要なことは、自分はその準備ができていると思っていることである。多くのコーチがスランゴールの監督になることを望んでいる中で。監督に就任したことは素直に嬉しい。」と述べたタン新監督は、代表監督辞任後もMリーグの試合を見続けており、スランゴールには質の高い選手が多いものの、安定感がないと言う問題を指摘し、まずはその問題を修正することから取り組みたいとしています。

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スランゴールの今季のリーグ戦は残り4試合で、リーグ戦後に開幕するマレーシアカップがタン監督の手腕を披露する場となりそうです。マレーシアカップ最多優勝33回を誇るかつての強豪も、マレーシアカップは2015年を最後に、リーグ戦は2010年を最後に優勝していません。近年は低迷が続き、特に今季はここまで18試合で5勝5分8敗、得点31失点32の8位と、首位のJDTからは勝点で23も離されてます。


9月24日のニュース
M3リーグはKLローヴァーズとPIB FCが本日の決勝で激突
プロ選手会がマラッカへの早急な処分をFAMに求める

M3リーグはKLローヴァーズとPIB FCが本日の決勝で激突

Mリーグ3部に当たるM3リーグは、今季は全20チームがA、B組2組に分かてリーグ戦を行い、各組の上位4チームがノックアウト形式の決勝トーナメントに進出する方式で開催されました。ホームアンドアウェイ形式で行われたこの決勝トーナメントを勝ち上がり、今日9月24日の決勝戦に駒を進めたのはいずれもB組3位のPIB FCと4位のKLローヴァーズFCですが、スポーツ専門サイトのスタジアム・アストロは今日のM3リーグ決勝戦前の記者会見の様子を報じています。

KLローヴァーズでプレーするDFヒシャムディン・シャアリは、かつてはMリーグ1部スーパーリーグのペラやKLシティでのプレー経験があるだけでなく、試合数は少ないものの年代別代表やA代表でもプレーしている選手です。プロ12年目を迎えたこのヒシャムディン選手ですが、これまで「決勝戦」と名のつく試合には出場したことがなく、今日の決勝戦を心待ちにしていると話しています。

記者会見での質疑応答で、ペラ在籍時代に準決勝進出が自身の最高記録だと話したヒシャムディン選手は、KLフットボールスタジアムで開催される決勝では対戦するPIB FCを破って優勝したいと抱負を述べています。

またKLローヴァーズのザムリ・ハサン監督は、2月の開幕当初から苦しんでいたチームは、13試合を終了した時点では(決勝トーナメント出場権のある)4位から勝点差5をつけられて7位だったものの、5月の断食月明けの時期辺りからは、問題点を改善し、新戦力が加わったことで何とか目標としていた決勝トーナメントに出場できた、と話し、不調の時も目標を見失わなかった選手たちに感謝したいと話しています。

一方、PIB FCのK・ラマチャンドラン監督は、KLローヴァーズのキャプテン、フィルダウス・ファウジら主力2選手が累積警告により決勝は出場停止になっている点を問われると、それが有利に働くとは考えておらず、決勝戦はより準備ができているチームが勝利するだろうと話すにとどめています。

なおグループステージとなるリーグ戦では同じB組だったこともあり、今季は2度対戦している両チームですが、いずれの試合も2-2と同じスコアで引き分けていることから、ラマチャンドラン監督は決勝ではリーグ戦とは異なる戦術で臨みたいとも話しています。

プロ選手会がマラッカへの早急な処分をFAMに求める

給料未払い問題が期限までに解決できなかったMリーグ1部スーパーリーグのマラッカ・ユナイテッド(以下マラッカ)に対し、Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、リーグ終了後に開幕するマレーシアカップの出場権剥奪の処分を下したことは、このブログでも取り上げました。

この処分に対してマレーシアプロサッカー選手会PFAMは、MFLに対して特例を設け、マラッカの選手がマレーシアカップ終了までの期間に、他のMリーグクラブへの期限付き移籍を認めるよう提案しています。

「現在も、マラッカの選手は未払い給料が完済されておらず、PFAMはこの状況を非常に憂慮している。この状況においてPFAMは、マラッカの選手がマレーシアカップに出場する他のチームへの期限付き移籍を許可するよう提言したい。」という声明を発表し、MFLの理事会に特別措置の検討を求めています。

またPFAMはマレーシアサッカー協会FAMに対して、「PFAMはマラッカの選手に代わり、マレーシアサッカー協会FAMに未払い給料についての報告を既に行っており、これをもとにFAMにはマラッカの経営陣に対して事情聴取をして欲しい。」とも述べ、事情聴取を行うFAM内の紛争解決委員会NDRCの早急な開催を求めています。

9月22日のニュース
キングズカップ初戦-キム監督はタイと初対戦
前代未聞!給料未払い問題未解決のマラッカにマレーシアカップ出場権剥奪処分
ベンヤミン・モラ監督辞任の真相が明らかに

キングズカップ初戦-キム監督はタイと初対戦

本日9月22日の午後9時30分(マレーシア時間)にタイのチェンマイでキックオフとなるキングズカップのタイ戦。直近のFIFAランキングでは、タイの111位に対してマレーシアは147位と大きく離されていますが、両チームの直接対決では、2014年12月17日のAFF選手権スズキカップ(現三菱電機カップ)決勝初戦で0-2とタイに敗れて以降は、マレーシアが3勝2分0敗と5戦負けなしとなっています。

2021年6月15日 FIFAワールドカップ2022アジア二次予選
 @アール・マクトゥーム・スタジアム(アラブ首長国連邦、ドバイ)
 タイ 0-1 マレーシア
2019年11月14日 FIFAワールドカップ2022アジア二次予選
 @ブキ・ジャリル国立競技場(マレーシア、クアラ・ルンプール)
 マレーシア 2-1 タイ
2018年12月5日 AFF選手権スズキカップ
 @ラジャマンガラ国立競技場 (タイ、バンコク)
 タイ 2-2 マレーシア
2018年12月1日 AFF選手権スズキカップ
 @ブキ・ジャリル国立競技場(マレーシア、クアラ・ルンプール)
 マレーシア 0-0 タイ
2017年12月20日 AFF選手権スズキカップ
 @ブキ・ジャリル国立競技場(マレーシア、クアラ・ルンプール)
 マレーシア 3-2 タイ
2017年12月17日 AFF選手権スズキカップ
 @ラジャマンガラ国立競技場 (タイ、バンコク)
 タイ 2-0 マレーシア

ちなみに両チームのこれまでの通算対戦成績は、マレーシアの40勝34分37敗とほぼ互角です。

今日の対戦はキム・パンゴン監督にとってタイとは初の対戦で、東南アジアのチームとは今年3月にシンガポールで行われた3カ国対抗でシンガポール、フィリピンと対戦して以来となります。6月のAFC選手権アジアカップ最終予選を突破し、自国開催を除くと43年ぶりに本戦出場を決めているマレーシアのキム監督は、今回のキングズカップ、そして年末のAFF選手権三菱電機カップをその準備としてさまざまなテストをしたいと話しています。

前代未聞!給料未払い問題未解決のマラッカにマレーシアカップ出場権剥奪処分

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、給料未払い問題が期限までに解決しなかったMリーグ1部スーパーリーグのマラッカ・ユナイテッド(以下マラッカ)に対して、今季のマレーシアカップ出場権の剥奪処分を公式サイト上で発表しています。

給料未払いが発生していたマラッカに対し、MFLは今月9月20日を期限として未払い給料の完済、または分割払いの予定について選手や監督、コーチから合意を得るよう求めていましたが、期限までにMFLに提出されたのは6月分までの給料支払い証明までで、それ以降の給料については支払いも、支払い計画に関する合意も得られていないことから、MFLは昨日9月21日に理事会を開いた上で、今回の処分を決定したということです。

また、同様の給料未払い問題を抱えていた同じスーパーリーグのサラワク・ユナイテッド(以下サラワク)は、選手に対しては8月分まで、監督、コーチには7月分までの支払いが行われ、未払い分の8月分については監督、コーチとチームとの間で分割払いの予定について合意に達したことから、マレーシアカップ出場権剥奪は免れています。

MFLはマラッカ、サラワク両チームに対して、今後同様の問題が起これば、来季のクラブライセンスが発給されない可能性についても言及し、問題解決に真剣に取り組むことを求めています。

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1921年に第1回大会が開催されたマレーシアカップは、今年96回大会を迎える国内最大のサッカー大会です。リーグ戦が開催される遥か前から州対抗の大会として始まったこの大会は、その決勝では8万5000人を収容するブキ・ジャリル国立競技場が満員になる、リーグ戦以上にサポーターの関心も高く、この大会への出場権剥奪は非常に重い処分と言えます。

本来ならば、リーグ戦での勝点剥奪、さらには下部リーグ降格といった処分が課せられるところですが、来季のMリーグは1部スーパーリーグと2部プレミアリーグが合併して新たに18チームでスーパーリーグが再編成されることが発表されており、従来の処分では十分な罰則とならないことから、今回のマレーシアカップ出場権剥奪となりました。多くのサポーターを集めるマレーシアカップに出場できないことは収入面でもチームにとっては痛手で、給料未払い問題解決がさらに長引く可能性もあります。

ベンヤミン・モラ監督辞任の真相が明らかに

Mリーグ1部スーパーリーグのジョホール・ダルル・タジム(以下JDT)のオーナーで、ジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下がサポーターとの交歓会を開催し、その際にベンヤミン・モラ前監督の今年7月の突如辞任の真相を明らかにしています。

スーパーリーグ8連覇中で今季もほぼ優勝間違いなしのJDTとモラ前監督が袂を分かったニュースは、あまりも唐突だったことから様々な憶測を呼び、その一つがチームのレジェンドプレーヤーでもあるサフィク・ラヒムとの確執でした。これについてイスマイル殿下はこれを否定する一方で、ロッカールームでのチーム内の調和を取るためだったと説明しています。

現在でもモラ前監督とは連絡を取り合う中であることを述べた上で、イスマイル殿下は就任以来リーグ4連覇中、しかもチーム史上初となるACLグループステージ突破を達成したモラ監督に対して、今季は選手たちの反応がこれまでとは異なってきたことから、監督交代の好機と判断したと説明しています。また、モラ監督も他のチームでキャリアアップを図りたいと申し出たということです。

「JDTの選手は正確な指示を出し、尊敬に値する監督を求めている。また自分自身もチームの安定性を維持できる監督が必要と考えており、その結果、モラ監督が同意した上で、辞任に至った。」と説明しています。

またイスマイル殿下は、モラ前監督の後任として就任したエクトル・ビダリオ監督について、今季がビダリオ監督にとってMリーグの初シーズンであることを理解した上、新たに環境に慣れる時間が必要であることを理解するようサポーターに求めています。

9月4日のニュース
パハンのリー・タックがマレーシア国籍取得
エリートアカデミーの2選手が欧州クラブのトライアルに参加
ケランタンの来季の監督候補に元U16代表監督らの名前が上がる
プロ選手会がマラッカの給料未払いを公表

パハンのリー・タックがマレーシア国籍取得も一部からは疑問の声が

英国出身でスリ・パハン(以下パハン)の契約中のリー・タックがマレーシア国籍を取得したと、英字紙スターが報じています。34歳のタック選手が自身のインスタグラムで国籍取得を明らかにしたということです。

2017年にヌグリスンビランと契約してたタック選手は、2018年から2020年まではトレンガヌ、2021年からはパハンと契約しています。

パハンは、このタック選手とセルヒオ・アグエロことエセキエル・アグエロのいずれも2017年からMリーグでプレーする両選手のマレーシア国籍を取得を支援する方針を明らかにしていました。なお、スターはアグエロ選手のマレーシア国籍取得については明らかにされていないと報じています。

マレーシア人の父母や祖父母を持たない帰化選手は、いずれもMリーグ1部のジョホール・ダルル・タジム(以下JDT)に所属するモハマドゥ・スマレ(ガンビア出身)、ギリエルメ・デ・パウラ(ブラジル出身)、リリドン・クラスニキ(コソボ出身)の3選手がいます。(クラスニキ選手は、今季はタイ1部のコーンケン・ユナイテッドFCに期限付き移籍中)

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マレーシアサッカー協会FAMは、2018年に代表チーム強化を目的とした「帰化支援プログラム」を設け、FIFAの規定に従い、国内で5年以上継続してプレーした外国籍選手を対象にマレーシア国籍取得申請を支援していました。上記のデ・パウラ、クラスニキの両選手はこのプログラムによって、マレーシア国籍を取得した選手です。しかし、この両選手が2020年に行われたFIFAワールドカップ2022年大会予選で活躍できなかっただけでなく、最終的には先発メンバーから外れるなど、代表チームへの貢献がほとんどなかったことから、「代表チームの役に立たない帰化選手を生み出すことは、利点がないどころか、マレーシア人選手の出場機会を奪う欠陥プログラムである。」として、国内のサッカーファンや選手OBがFAMと帰化支援プログラムを激しく非難し、その結果、FAMは帰化支援プログラムの一時凍結を打ち出す事態に追い込まれています。
 今回マレーシア国籍を取得してタック選手は当初、祖母がマレーシア人であると主張し、それを理由にFAMの支援を得て、マレーシア国籍取得の申請を行おうとしていましたが、それを証明する書類が提出できなかったことから、一部ではその主張に疑惑の声が上がっただけでなく、非難すら受けていました。
 また様々な理由から、現在でも西マレーシア(マレー半島部)では10000万人以上、東マレーシア(ボルネオ島)ではそれ以上とも言われるマレーシア国籍を持たない子供たちがお李、義務教育を受けられないなどの不利益を被っており、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)からは状況の改善勧告を受け、国内のNGOが彼らの国籍申請を支援する一方で、その多くがマレー系ではないことから、マレーシア政府がその申請を却下するケースが多く発生しています。このため、パハンのオーナーであるパハン州王族の支援を受け、申請からわずか数ヶ月でタック選手が国籍を取得できたことから、NGOや複数の国会議員からはマレーシア政府の「ダブルスタンダード」についても激しい非難が集まっています。

エリートアカデミーの2選手が欧州クラブのトライアルに参加

モクタル・ダハリアカデミーAMDは、マレーシア政府青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会MSNとマレーシアサッカー協会FAMが共同で運営する「国家サッカー養成プログラム」NFDPの中核をなす国内トップのエリートサッカーアカデミーです。このアカデミーに所属するいずれも17歳の2選手が欧州クラブのトライアルに参加すると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

ハイカル・ダニシュとロヒシャム・ハイカルの2選手は、やはりAMD所属のアブ・カリリとともに今年6月にフランス2部のアヌシーFCとルクセンブルグ1部のラシンFCユニオン・ルクセンブルクへおよそ2週間野「留学」を行いましたが、その際にハイカル、ロヒシャム両選手に対してラシンFCが興味を示した結果、今回、契約を前提としたトライアル参加を求められたと、ティ・リアンカー青年スポーツ省副大臣が説明しています。

今月9月14日から始まるAFC U20アジアカップ予選(モンゴル)に出場するマレーシアU19代表にも選出されているハイカル、ロヒシャム両選手は、契約となれば、ベルギー1部KVコルトレイクに所属するルクマン・ハキムに続いてヨーロッパのクラブに所属するAMDの卒業生となります。

さらにティ・リアンカー青年スポーツ省副大臣は、2002年生まれ2019年卒業の1期生から2004年生まれ2021年卒業の3期生までの卒業生117名中、前述のルクマン選手を除く残り116名全員がMリーグクラブとプロ契約を結んだことを明らかにし、マレーシア政府とFAMが運営するAMDの実績を強調しています。

ケランタンの来季の監督候補に元U16代表監督らの名前が上がる

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、来季2023年シーズンは現在の1部スーパーリーグと2部プレミアリーグを統合して、18チームによる1部スーパーリーグとする第改革案を発表しており、今季の順位にかかわらず、プレミアリーグの全クラブが、MFLの設ける規定を満たせば、来季はスーパーリーグでプレーすることになります。

この結果、1部スーパーリーグへの昇格争いがなくなってしまい、やや迫力に欠けるMリーグ2部プレミアリーグですが、10チームで構成される今季は今週末に開催されている第17節を含めて残り2節となりました。そんな中でJDTのセカンドチームJDT IIと激しく首位争いを繰り広げているのが、クランタンFC(以下クランタン)です。

そのクランタンが来季の候補をリストアップし、その中には元U16代表監督で、この前の記事でも取り上げた、マレーシア政府青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会MSNとマレーシアサッカー協会FAMが共同で運営する「国家サッカー選手養成プログラム」NFDPの責任者も務めたリム・ティオンキム氏も含まれていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

この記事では、クランタンの「物言う」オーナー、ノリザム・トゥキマン氏の話として、このリム氏のテクニカルディレクター就任の可能性もあるとしています。

「来季の1部昇格に向けて、現在はヨーロッパや韓国、日本出身の候補者10名をリストアップしている。リム氏とは電話で話をしただけで、直接、面会はしていないことから、現時点では監督となるのか、テクニカルディレクターとなるのかは決まっていない。チームはできる限り最善の監督を見つけたいと思っており、リム氏はあくまでも候補者の1人である。」と話したノリザムオーナーは、新たな監督には実績だけでなく、クランタンの今後のビジョンを自分と共有できる人物であることも求めたいとも話しています。

リム・ティオンキム氏は、現役時代はヨーロッパでプレー経験がある数少ないマレーシア人で、引退後はドイツ1部バイエルンミュンヘンのユースチームコーチを務めていました。2013年にNFDPが立ち上げられるとそのテクニカルディルクターとして、招聘され、その後2016年にはNFDPのエリートアカデミーAMDの責任者に就任しました。しかし同時に就任したU16代表が、自国開催となった2018年のAFC U16選手権のグループステージを最下位で敗退すると、U16代表監督とAMD責任者としての月給が手取りで17万5000リンギ(現在のレートでおよそ550万円)と明らかになるなど逆風が吹く中、当時の青年スポーツ大臣の一存で、2020年までとなっていた契約が解除されています。

プロ選手会がマラッカの給料未払いを公表

マレーシアプロサッカー選手会PFAMは、Mリーグ1部スーパーリーグのマラッカ・ユナイテッド(以下マラッカ)で2ヶ月分の給料未払い問題について、報告を受けたことを明らかにしています。

PFAMのイズハム・イスマイルCEOは、6月と7月の給料が未払い、さらに1月分の給料でも一部で未払いが起こっているとして、マラッカの運営に勧告を発するとともに、マレーシアサッカー協会FAMの紛争解決室NDRCへ申立を行なったことも発表しています。

「FAMのNDRCには問題解決のため、直ちに、選手から事情聴取するための日程を作成することを求めたい。」と述べたイズハムCEOは、他のクラブの選手でも給料未払いが起こっている場合には直ちにPFAMに報告するするよう、呼びかけています。

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またか、と言ったマラッカの給料未払い問題です。一昨季、昨季といずれも同様の問題から3点の勝点剥奪などの厳しい処分を受けていますが、来季のリーグ再編に向けて2部への降格が行われないため、現在8位のマラッカですが、これまで以上に問題意識が低いのかもしれません。FAMはマレーシアカップの出場権剥奪などの処分を検討しているようですが、どれほどの効果があるのかは不明です。


6月24日のニュース
タイリーグの三冠覇者ブリーラム・ユナイテッドがヌグリスンビランと対戦
マレーシアのFIFAランキングが147位に-140位代は8年ぶり
スランゴールはマラッカ退団のソニー・ノルデを獲得せず
イラクやウェールズと争奪戦のジャアミ・クレシがFAM訪問

今日からAFCカップのグループステージが開幕し、クアラルンプールが開催地となているH組のKLシティFCはボジャン・ホダック監督がかつて指揮を取ったPSMマカッサルと、またインドネシアのバリ島で開催されるG組のクダはバリ・ユナイテッドとそれぞれ対戦します。

タイリーグの三冠覇者ブリーラム・ユナイテッドがヌグリスンビランと対戦

Mリーグ1部スーパーリーグで3位と好調のヌグリスンビランが、2021/22シーズンのタイリーグ1部でリーグ戦と2つのカップでいずれも優勝しているブリーラム・ユナイテッドと対戦することが発表されています。

アセアンチャリティーシールド2022と銘打たれたこの試合は、7月16日にタイ南部のマレーシア国境に近いパタニ県にあるタイ3部リーグ、パタニFCのホームとなっているレインボースタジアムで開催される予定ということです。

タイ王者と昨季2部プレミアリーグで優勝し、今季1部スーパーリーグに昇格したばかりのヌグリスンビランが対戦する理由などは不明です。また秋冬制に以降したタイリーグはこの時期がプレシーズン期間ですが、Mリーグはリーグ戦の最中です。ただし7月のヌグリスンビランの日程を見ると7月3日の第12節サバ戦の次の試合は第13節のトレンガヌ戦は7月27日となっており、移動も含めて7月16日の試合に支障はなさそうです。

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マレーシアの国境に近いパタニ県は1909年の英泰条約(バンコク条約)でタイの領土と確定しましたが、この時、マレーシアに割譲されたクダ、プルリス、クランタン、トレンガヌとは隣り合った地域で、現在でもマレー系住民(=イスラム教徒)が多いことから、マレー文化が浸透しています。そのため「深南部」と呼ばれることの地域は、仏教国タイからの分離独立を目指す一部のイスラム過激派武装総指揮によるテロなどが起こり、それに対して政府が報復する図式から宗教的対立と見る向きもあります。

マレーシアのFIFAランキングが147位に-140位代は8年ぶり

最新となる今年6月のFIFAランキングが発表され、男子は147位、女子は85位となっています。男子は前回3月の発表から7ランク、女子は3ランク上昇しています。男子のランキングが140位代となるのは2014年に141位となって以来、およそ8年ぶりです。ただし、この141位はいわば「瞬間最大風速」で、年間ランキングが140位代となるのは2011年が最後です。

なおマレーシア男子の147位は145位の香港、146位のレソトと148位のクウェート、149位のボツワナに挟まれています。またAFCアジアサッカー連盟内では25位、東南アジアではベトナム(97位)、タイ(111位)、フィリピン(134位)に続く4位となっています。

その他の東南アジア諸国は、インドネシアが155位、ミャンマーが158位、シンガポール159位、カンボジアが174位、ラオスが183位、ブルネイ190位、そして東ティモールが199位となっています。

一方女子はマレーシアの85位に対して、ベトナム32位、タイ43位、ミャンマー48位、フィリピン53位、ラオス83位、インドネシア95位、シンガポール132位となっており、ブルネイと東ティモールの記録はFIFAの公式サイトには掲載されていません。

スランゴールはマラッカ退団のソニー・ノルデを獲得せず

一昨日のこのブログでも取り上げましたが、先週末に行われたMリーグ1部スーパーリーグ第10節を最後にマラッカ・ユナイテッドを退団したソニー・ノルデは、移籍先が決まっていませんが、同じスーパーリーグのスランゴールはノルデ選手獲得の意思がないことを表明していると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。

昨季マラッカ・ユナイテッドの指揮を取ったザイナル・アビディン・ハサン監督が今季もを指揮を取ることを条件に契約を延長したノルデ選手は、契約書にサインした後の今季開幕直前になって、突如ザイナル監督の交代が発表になったことから経営陣への不信感を募らせていたと話し、先月から今月にかけて開いているトランスファーウィンドウ中にマラッカ・ユナイテッドとの契約を解除して退団しています。

このノルデ選手には、昨季終了後にもクダやサラワク・ユナイテッドなど接触したとされており、今回のトランスファーウィンドウでもスランゴール移籍が噂されていました。

スタジアムアストロの取材に対し、スランゴールのミヒャエル・ファイヒテンバイナー監督は、ノルデ選手が良い選手であることは認めるものの、既に所属しているを外国籍選手に満足しており、新たな外国籍選手獲得の必要はないと話し、今回のトランスファーウィンドウでノルデ選手の獲得に否定的な回答をしています。なおスランゴールは6月19日のスーパーリーグ第10節で、サラワク・ユナイテッドを7-0で破ったこともあり、ここでの選手入れ替えは不要という判断に至ったと思われます。

イラクやウェールズと争奪戦のジャアミ・クレシがFAM訪問

このブログでも何度か取り上げている英国1部プレミアリーグのブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFC U18でプレーするFWジャアミ・クレシは、英国生まれながらもマレーシア人の母親を持つことから、将来のマレーシア代表入りが期待されることからこのブログでも何度か取り上げています。そのクレシュ選手がマレーシアサッカー協会FAM本部を訪れて、その際の写真を自身のインスタグラムに投稿したことから、マレーシア国籍取得の期待が俄然、高まっています。

ロンドン生まれのクレシュ選手は、イラクとウェールズの血を引く父親とマレーシア人の母親を持つことから、出生地のイングランドに加え、イラク、ウェールズ、マレーシアの各代表でのプレー資格がありますが、FAMだけでなく、イラクやウェールズのサッカー協会からも代表入りを打診されています。

これまでには自身のソーシャルメディア上でイラクのサッカーファンに代表入りをほのめかしたこともあるクレシュ選手ですが、FAMのサイフディン・アブ・バカル事務局長との会談後にスタジアムアストロの取材に答え、「今回の会談は貴重な機会だったが、今後も英国でプレーするつもりである。マレーシア代表のアジアカップ予選は観戦し、(キム・パンゴン)新監督のもとでチームのレベルが上がった印象がある。」と述べています。またサイフディン事務局長も、クレシュ選手が将来の代表入りに近づいたといった話もしており、近々何かしらの動きがあるかもしれません。

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マレーシア人の父母あるいは祖父母を持つ海外生まれの選手を帰化させる動きは近年、顕著で先日のアジアカップ2023年大会最終予選でも6名が、マレーシア人とは血縁関係がない帰化選手と区別して「レガシー」帰化選手と呼ばれる海外出身の選手でした。