6月2日のニュース
国際親善試合-マレーシアは香港に勝利
シャーミ・サファリが手術のため代表離脱
ペナンの新監督にザイナル前マラッカ・ユナイテッド監督が就任

6月8日から始まるAFC選手権アジアカップ2023年大会最終第3次予選のE組は、マレーシア、バーレーン、トルクメニスタン、バングラディシュの4カ国が出場してクアラルンプールで開催されますが、その先陣を切って昨日6月1日にトルクメニスタンとバーレーンがクアラルンプール入りしています。

トルクメニスタンはマレーシア入り前の5月27日にタイと試合を行い0-1で敗れています。またバーレーンは5月27日にミャンマーに2-0、一昨日5月31日にはタイに2-1と東南アジアのチームに連勝しています。のこうもう一つのチームであるバングラディシュは昨日、インドネシアにスコアレスドローと、各国とも最終第3次予選に向けた準備を進める中、FIFAランキング154位のマレーシアも先日のブルネイ戦に続き、昨日はキム・パンゴン監督がかつて指揮を取った同147位の香港代表との試合に臨みました。

国際親善試合-マレーシアは香港に勝利も士気高揚以外に見所なし

この試合でキム・パンゴン監督は、先週のブルネイ戦からDFディオン・クールズとMFシャマー・クッティ・アッバ以外の8名を入れ替えた先発XIを選択しています。
GKファリザル・マーリアス(JDT)
DFマシュー・デイヴィーズ(JDT)
DFシャールル・サアド(JDT)
DFディオン・クールズ(ベルギー1部SVズルテ・ワレヘム)
DFラヴェル・コービン=オン(JDT)
MFシャマー・クティ・アッバ(JDT)
MFアザム・アジー(スリ・パハン)
FWサファウィ・ラシド(JDT)
FWアリフ・アイマン(JDT)
FWダレン・ロック(PJシティ)
FWアキヤ・ラシド(JDT)

先発11名中8名がJDT、しかも元JDTのダレン・ロックとトランスファーウインドウ期間中にJDT移籍が噂されるアザム・アジーという布陣に対し、マレーシア同様、アジアカップ予選を控えるにもかかわらず、国内リーグの中断が長かった香港は明らかに動きが悪く、ブルネイ戦に続き、この試合もマレーシアが終始圧倒する試合になりました。

個人的には推しのダレン・ロックに両サイドのアキヤ・ラシドとアリフ・アイマンがボールを供給し、サファウィ・ラシドはダレン・ロックをサポートしながらも自由に動き回れるこのFW陣は良く機能し、この日の香港が相手ならもっと得点を挙げても良かったはずですが、前半はアキヤ・ラシドが倒されて得たPKをサファウィ・ラシドが決めた1点のみでした。

後半に入ると、キム監督はギリェルメ・デ・パウラ、モハマドゥ・スマレ、サフィク・ラヒム(いずれもJDT)、ファイサル・ハリム(トレンガヌ)を投入してさらにゴールを目指すも、この抗体では何も起こらず、後半もやはりファイサル・ハリムが倒されて得たFKが相手DFに当たってゴールとなっただけで、流れの中でのゴールは奪えませんでした。ちなみにこのFKを蹴ったサフィク・ラヒムは2014年のタイ戦以来となる8年ぶりの代表ゴール(通算16点目)でした。

ブルネイ、香港に連勝したものの両チームとも明らかに動きが悪く、そんな相手に2点しか挙げられなかったことが逆に不安です。この試合と並行しながら、同時刻に行われていたインドネシア対バングラディシュ戦もネット観戦しましたが、バングラディシュはブルネイや香港とは比べ物にならないほど当たりが激しく、アジアカップ予選は今回の国際親善試合のようにいかないことは明らかです。

そしてこの試合、最も強く感じたのはアキヤ・ラシドやサファウィ・ラシド、シャマー・クティ・アッバに所属するJDTでもっとプレー時間が与えられれば…ということでした。代表選手ながらJDTでは控えとなっている彼らがもっとプレー時間を与えられればもっと良い選手になるのではないかという思いでいっぱいでした。見ているこちらが楽しくなるようなアキヤ・ラシドのドリブル、サファウィ・ラシドの左足からの強烈なシュート、シャマー・クティ・アッバの試合を冷静に読む力は、今のJDTでの使われ方は文字通り宝の持ち腐れです。

6月1日(水)国際親善試合@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラルンプール)
マレーシア 2-0 香港
⚽️マレーシア:サファウィ・ラシド(31分PK)、サフィク・ラヒム(90分)

(下はマレーシアと香港の先発XIと試合のハイライト映像。映像はスタジアムアストロのYouTubeより。

シャーミ・サファリが手術のため代表離脱

アジアカップ最終第3次予選に向けて最後の調整に余念がないマレーシア代表にとっては痛いニュースです。先日のブルネイ戦にも先発したシャーミ・サファリ(JDT)が代表チームから離れることを、マレーシアサッカー協会FAMが公式Facebookで告知しています。

これによると、健康状態が良くないシャーミ選手に健康診断を受けさせたところ、頭痛や蓄膿(ちくのう)を引き起こす副鼻腔炎(ふくびくうえん)の疑いがあると言う診断結果が出たと言うことです。なお治療が必要ということで代表を離脱することが発表されたシャーミ選手ですが、所属するJDTはその後、シャーミ選手が本日、副鼻腔炎の手術を受けることを発表しています。

シャーミ選手の離脱により、アジアカップ予選に向けた代表候補は29名となりました。

ペナンの新監督にザイナル前マラッカ・ユナイテッド監督が就任

Mリーグ1部スーパーリーグで唯一、まだ今季勝ち星がないペナンは、トマス・トルチャ監督との契約解除し、マンズール・アズウィラ コーチを監督代行としたものの、マンズール代行監督も0勝2敗と状況は改善していません。

そのペナンが、ザイナル・アビディン・ハサン監督の就任をクラブ公式Facebookで発表しています。なおザイナル監督は今季終了まで指揮を取るということです。ザイナル監督はt2017年と2018年シーズンに前身のペナンFAの監督を務めたこともあり、今回が再登板となりますが、2017年は1部スーパーリーグで最下位12位となり2部降格、翌2018年は2部プレミアリーグで10位と前回は結果を残せませんでした。

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ペナン監督退任後、2019年シーズンから3季連続で監督を務めたマラッカ・ユナイテッドでは6位、9位、8位と満足のいく結果は残せなかったものの、給料未払い問題により勝点剥奪処分を3季連続で受け、シーズン途中で選手が退団するなど、ザイナル監督自身では何もできない環境の中、選手から支持され、選手のモチベーションを高く維持したことで、クラブの2部プレミアリーグ降格を防いだ功績は評価されるべきものです。モチベーションという点ではおそらく最低の段階にいるペナンにとっては、ザイナル新監督という人選はうってつけではないでしょうか。


4月16日のニュース(2)
MFLがペラの追加の勝点剥奪処分を発表
ヴィダコヴィッチ監督退任のマラッカの新監督にタン前代表監督の名前が浮上
ジュニオール・エルドストールにJDT復帰の噂
MリーグへのVAR導入は時期尚早-元FAM審判委員長

MFLがペラの追加の勝点剥奪処分を発表

Mリーグを運営するMFLは公式サイト上で、給料未払い問題の解決が遅れている2部プレミアリーグのペラに対して、勝点6が剥奪処分を科されたことを発表しています。

この発表によると、クラブライセンス交付を行う第一審期間FIBの決定を伝える形で、昨年11月の時点で申告されたトップチーム及びセカンドチームの首脳陣および選手の未払い給料が現在に至るまで支払われていないことに加え、今季契約している首脳陣および選手に対する未払い給料も支払われていないことによる処分ということです。

第1回目の支払い期限となっていた3月31日までに未払い給料が支払われなかったことから、ペラは既に今季リーグ戦の勝点3剥奪の処分を受けており、今回の処分を加えると合計で勝点9を剥奪されるという前代未聞の処分を受けています。

FIBのシーク・モハマド・ナシル委員長は、次の猶予として4月21日までに未払い給料の支払いが行われない場合には、FIBとMFL理事会でさらなる処分が課される可能性があると話しています。

ヴィダコヴィッチ監督退任のマラッカの新監督にタン前代表監督の名前が浮上

Mリーグ1部プレミアリーグのマラッカは、開幕から4試合で0勝1分3敗と勝ち星がなく、メディアに未払い給料問題についての不満を口にしたリスト・ヴィダコヴィッチ前監督がそれを咎められたことからチームを去ったことは、このブログでも紹介しました。

空席となったマラッカの後任監督候補にタン・チェンホー前代表監督の名前が上がっていると、マレーシア語紙のウトゥサン・マレーシアが報じています。

タン前監督は前任のデイヴ・ミッチェル氏が開幕直後に更迭された2014年4月から代表チームのコーチに就任した2017年4月まではクダFA(当時、現クダ・ダルル・アマンFC)で監督を務めています。2015年にはクラブを2部プレミアリーグで優勝させて1部昇格を果たし、翌2016年には昇格初年度で3位となるとともに同年のマレーシアカップで優勝を果たすなど、Mリーグでの実績も十分な人材であるのは確かです。

昨年末の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020での惨敗の印象が強いですが、就任以来7試合で1勝も挙げられなかったネロ・ヴィンガダ氏の代表監督辞任により、2018年12月にコーチから昇格したタン前監督は、その年のスズキカップでマレーシア代表を2大会ぶりとなる決勝進出に導き、さらに2019年のFIFAワールドカップ2022年大会予選でもインドネシアを破り、タイと引き分け、アラブ首長国連邦とは接戦を繰り広げるなど、マレーシア人監督としてトップクラスの評価を受けていました。

マラッカのオーナーで、中華系マレーシア人のジャスティン・リム氏はウトゥサン・マレーシアの取材に対して「Mリーグを熟知している経験豊富な指導者」をすでにリストアップしていると述べていることから、ウトゥサン・マレーシアはタン前代表監督がマラッカの新監督の最有力候補であると記事を結んでいます。

ジュニオール・エルドストールにJDT復帰の噂

タイ1部リーグのチョンブリーFCでプレーするDFジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・ナダル・アマルハン・マデルナー)にJDT復帰の噂があると、サッカー専門サイトのヴォケットFCが伝えています。

東マレーシアのサバ州出身の母親とスウェーデン人の父親を持つエルドストール選手は、スウェーデンと英国で育ちましたが、マレーシア国籍を取得し、マレーシア人選手登録で2013年にMリーグのサラワクFA(当時)に加入、2シーズンプレーしました。2015年にはJDTに移籍して2018年までプレーし、在籍3シーズンでリーグ優勝3回(2015年から2017年)、マレーシアカップ優勝1回(2016年)、FAカップ優勝1回(2017年)、そしてJDT初のアジアタイトルとなったAFCカップ優勝(2015年)も経験しています。

2017年シーズン終了後は背筋痛などを理由にJDTを退団し、引退していましたが、2019年に英国のアマチュアクラブで現役復帰すると、昨年2021年2月にはチョンブリーFCに加入し、センターバックとしてレギュラーポジションを獲得、さらに同年6月には3年振りにマレーシア代表にも招集され、FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選にも出場していますが、初戦のアラブ首長国戦でアキレス腱を痛め(当時は腹部のケガと発表)、残るベトナム戦、タイ戦には出場できませんでした。

なおエルドストール選手は、今季タイ1部リーグでは2月10日の第21節スパンブリーFC戦以降はベンチ入りもしていません。

MリーグへのVAR導入は時期尚早-元FAM審判委員長

今季のMリーグはまだ第4節までしか終了していませんが、マレーシアサッカー協会FAMが認めたものも含めて多くの誤審がクラブやファンから失望や怒りを勝っています。この状況を改善するために、MリーグはVARを導入するべきだという声も大きくなっています。

マレーシア語紙シナルハリアンの取材に答えた元FAMの審判委員長のスブヒディン・サレー氏は「いくつかの誤審は審判の位置どりが悪いことが理由で起こっており、そういった場合にはVARにより異なる角度からプレーを検証することで正しい判定を下すことが可能になる。しかしそれ以外のケースについてはVARを導入したからといって誤審がなくなるものではない。」と説明し、そもそもMリーグはVAR導入の用意ができていないとコメントしてます。

FIFAワールドカップやU20W杯で主審を務めた経験もあるスブヒディン氏は、VARを導入すれば誤審がなくなるというのは全く誤った考えである、と前置きした上で、VARを使いこなすためには技術、経験、知識などを含め審判自身のレベルが一定以上であることが必要であると述べています。その上で正確な判定ができない審判がVARの映像を見ても、現在と同様の解釈、同様の判定しか望めず、同様の誤審は起こるだろうと述べています。

その上でスブヒディン氏は「(VARの画像として利用される)Mリーグのテレビ中継の映像はVARに採用するレベルに達していないが、それよりも前にまず、現在の審判の質の向上が最優先されるべきであり、技術的に十分なレベルに達するまで育成し続けていくことが必要だ。」と述べています。

今季のMリーグでは1部スーパーリーグでいずれもスリ・パハンが、クダ戦では同点ゴールをオフサイド判定で取り消され、またPJシティ戦では線審がオフサイドとしながら主審がこの判定を覆してPJシティの同点ゴールを認め、どちらの裁定もマレーシアサッカー協会FAMの審判委員会が試合後の検証の結果、誤審を認めています。

Mリーグでは審判の質については毎シーズン議論の対象になり、VARの即時導入が叫ばれており、隣国タイでは既に国内リーグでVARが導入され、インドネシア国内リーグも2022/2023年シーズンからの導入が検討されています。

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上記のスブヒディン氏がマレーシアサッカー協会FAMの審判委員長だった際には、審判のプロ化が計画され、20名ほどがリストアップされていましたが、新型コロナの感染が拡大するとそれを理由にプロ化計画の中断を発表しました。それ以降は何の進展もないようですので、スブヒディン氏が主張するようにプロ化も含めた審判の技術向上のための取り組みがVAR導入に優先されるべきことのように思います。

4月14日のニュース
未払い給料問題を抱えるペラは勝点剥奪処分を免れるか
Mリーグの今季監督交代第1号はマラッカ

未払い給料問題を抱えるペラは勝点剥奪処分を免れるか

Mリーグ2部プレミアリーグのペラは、第1回期限として設定された3月31日までに未払い給料が支払われなかったことから、リーグ戦での勝点3を剥奪されていますが、第2回期限は本日4月14日となっています。もし本日中に未払い給料が完済されなければ、さらに勝点6が剥奪されることが決まっており、ここまで3試合で1勝しか挙げていないペラは、この処分を受けることがあれば前代未聞のマイナスの勝点となる可能性が出てきました。

ペラの現在のオーナーであるインパクト・メディア・アンド・コミュニケーション社(IMC社)は、新たなオーナーの最有力候補で特殊車両製造会社のJRリソーシーズ社との最終交渉段階に入っているとされ、株式譲渡は時間の問題であることをIMC社も明らかにしています。

資金力のない現オーナーから新たなオーナーへの株式譲渡はペラにとっては明るいニュースですが、給料未払い問題はまた別の話で、新オーナーが本日中に未払い給料を支払わなければ、勝点6剥奪は避けられません。

クラブライセンスを統括する第一審期間のシーク・ナシル委員長も、オーナーの交代についてはコメントせず、およそ93万5000リンギ(およそ2790万円)に上る給料の未払いが完済されたかどうかの報告がMリーグを運営するMFLから上がってくることを待っているとしています。

Mリーグの今季監督交代第1号はマラッカ

スポーツ専門サイトのアストロアリーナは、マラッカ・ユナイテッドのリスト・ヴィダコヴィッチ監督がクラブと合意の上、契約を解除したようだと報じています。

ボスニアヘルツェゴヴィナ出身のヴィダコヴィッチ監督は、前任のザイナル・アビディン・ハサン監督に変わり、今季開幕前に就任したばかりでしたが、Mリーグで1勝も上げられないままチームを去ることになりました。

ヴィダコヴィッチ監督は先日、メディアに対して給料未払いが3ヶ月に及ぶことなどを明らかにし、選手のモチベーションを維持することが難しいと話しましたが、マラッカ・ユナイテッド経営陣が未払い給料は1ヶ月分だと主張した上で、誤った情報をメディアに話した者は処分すると発表しており、これがヴィダコヴィッチ監督を指すことは明らかでした。

アストロアリーナはヴィダコヴィッチ監督との契約解除について、マラッカ・ユナイテッド経営陣にコメントを求めたということですが、記事執筆の時点では回答を得られていないということです。

4月13日のニュース
代表はアジアカップ予選のウォームアップにミャンマー、香港と対戦
マラッカ・ユナイテッドCEO-外国籍選手の欠場はボイコットではない

いよいよ今週開幕するAFCチャンピオンズリーグACL東地区ですが、グループステージI組はマレーシアのジョホールが集中開催地となっています。JDT、川崎フロンターレ、蔚山現代(韓国)、広州恒大(中国)の4チームで構成されるI組は、4月15日の川崎対蔚山現代、JDT対広州恒大で開幕します。

今季好調のJDTですが、国内では無敵とも言えるこのメンバーで悲願のグループステージ突破が果たせるのかに注目が集まります。国内リーグに注力する広州恒大は若い選手を中心とした布陣ということですので、ここでしっかり勝利するという前提で、蔚山現代、川崎フロンターレ相手に1つでも勝ち星を挙げることができれば、グループステージの先が見えてきます。ただし不安材料は先週末の試合で味方選手と交錯して脳震盪を起こし退場したGKファリザル・マーリアスの容態です。JDTのオーナーで、ジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は療養中のファリザル選手を見舞い、なぜかゴルフセットを送ったとクラブの公式Facebookでは伝えられていますが、ACLに出場できるのかどうかは、未だ不明です。

代表はアジアカップ予選のウォームアップにミャンマー、香港と対戦

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、ミャンマー、香港両代表チームとマレーシア代表が国際親善試合を行うことを発表しています。

キム・パンゴン監督の名前で出されたこの告知によると、6月8日から14日までクアラルンプールで開催されるAFC選手権アジアカップ最終予選のウォームアップとして行われるこの2試合では、マレーシア代表は5月27日にミャンマー代表と、6月1日には香港代表といずれもブキジャリル国立競技場で対戦します。

FIFAランキング154位のマレーシア代表はアジアカップ最終予選では、トルクメニスタン(同134位)、バーレーン(同89位)、バングラディシュ(同188位)と戦うことから、西アジアや中央アジアのチームのとの対戦も噂されていましたが、同じアセアンのミャンマー(同152位)、そしてキム代表監督がかつて指導した香港(同147位)との対戦になりました。

またこの国際親善試合に向けて、Mリーグ1部スーパーリーグ第8節野試合が終わる5月18日の翌日、5月19日から3週間の代表合宿を行うことも発表されています。

マラッカ・ユナイテッドCEO-外国籍選手の欠場はボイコットではない

リスト・ヴィダコヴィッチ監督が未払いとなっている給料が3ヶ月分であることを明らかにしたマラッカ・ユナイテッドは、第4節の4月9日のKLシティ戦では、外国籍選手5名中2名しか出場させず、残りの3選手はベンチ外でした。このことから、未払い給料が原因でベンチ外になったのではとの憶測が流れていましたが、マラッカ・ユナイテッドの経営陣はこれを真っ向から否定し、ベンチ外だったのはケガや体調不良が理由であったと述べています。

サッカー専門サイトのスムアニャボラによると、4月9日の試合に欠場したイフェダヨ・オルセグン、アドリアノ、エマヌエル・オティの3選手について、マラッカ・ユナイテッドのアクラム・アブドラCEOは、ソーシャルメディア上で取り沙汰されている未払い給料を理由とした試合ボイコットではなく、ケガと体調不良によるものだと説明しています。

またマレーシア語紙ハリアンメトロは、マラッカ・ユナイテッド経営陣が、チーム内での給料未払いを公表したリスト・ヴィダコヴィッチ監督に対して、「不正確な情報を公表した」ことを理由に処分を行う可能性があると伝えています。

ヴィダコヴィッチ監督は、給料未払い問題をメディアに公表する前にクラブ経営陣と話し合いを行うべきところを行わず、未払い給料が1ヶ月分にも関わらず3ヶ月分あると述べるなど、「不正確な情報」をメディアに提供したことが処分の理由ということです。

記事の中ではヴィダコヴィッチ監督は既に自らの非を認めて経営陣に謝罪したとも報じていますが、クラブオーナーのデヴィッド・リム氏は、同様の問題が起こらないようにするためにも、厳罰を処すると述べています。

「オーナー就任以来、このクラブ再建のために自分は多くのことを犠牲にしてきた。そこまでして再建したいにも関わらず、給料未払いのようなことでクラブ再建への道筋をを台無しにしたくない。」と述べたリムオーナーは、ヴィダコヴィッチ監督の発言により、自分にも非難の矛先が向かっていると話し、一部サポーターからは人種差別的な抽象も受けていることを明らかにしています。

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マラッカ・ユナイテッドは過去3季に渡り、未払い給料問題が発生し、リーグ戦の勝点剥奪処分なども受けた経緯もあったことから、オーナー1年目のリム氏は「給料を払わないチーム」と言った負のイメージ払拭に乗り出していた矢先のヴィダコヴィッチ監督の発言に腹を立てたのかもしれません。それでも1ヶ月分だろうと3ヶ月分であろうと、未払いは未払いなので、そこは勘違いしないでもらいたいところです。

またこのヴィダコヴィッチ監督は、辞任か解任かは不明ですが、開幕わずか4試合で既にチームを離れたという噂もあり、それが事実であれば、今季のMリーグ監督交代第1号となります。


2022年シーズン開幕直前!
Mリーグ1部スーパーリーグクラブ紹介第4回
PJシティFC & マラッカ・ユナイテッドFC

Mリーグ2022年シーズンは2月26日のピアラ・スンバンシー(チャリティーカップ)で開幕しますが、今季開幕前に今季のMリーグ1部スーパーリーグの12クラブを紹介する第4回は、昨季Mリーグ7位のPJシティFCと同8位のマラッカ・ユナイテッドFCです。

PJシティFC(2021年シーズンスーパーリーグ7位)

本拠地:MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
2021年シーズン成績:7位(6勝6分10敗)得点16(リーグ11位タイ)失点31(同8位タイ)
過去5シーズンの成績:2017年8位-2018年7位-2019年6位-2020年9位-2021年7位
監督:P・マニアム(マレーシア)
外国籍選手:
在籍外国籍選手なし

主なマレーシア人選手(*は新加入選手、#は2021年にマレーシア代表に招集された選手):
 #GKカラムラー・アル=ハフィズ
 DFラフィ・ナグールガニ
 DF P・カナダサン
 DFシュクリ・ハミド
 DF D・クガン
 DFフィレモン・アニル
 DFマハリ・ジュスリ
 DFラジェス・プルマイ
 MF S・チャンドラン
 MF V・ルヴェンティラン
 MF K・グルサミー
 MFサルモン・ラジ
 #MFコギレスワラン・ラジ
 FWシャーミ・ザムリ
 FWカイリル・ムハイミーン
 #FWダレン・ロック
 *FW S・クマーラン(マラッカ・ユナイテッドFCより加入)
 *FWアルーン・クマル(ヌグリスンビランFCより加入)

チーム紹介:
スーパーリーグで唯一の外国籍選手が1人もいないクラブがこのPJシティFCです。初めてこの方針を採用した昨季は、2部降格の一番手かと思われたものの、フタを開けてみればリーグ最小の16点得点(22試合)ながら勝点24を挙げ、堂々の7位でシーズンを終えています。外国籍選手がいなければ、当然ですがマレーシア人選手の出場時間も増えるわけで、十分な試合出場時間を確保したことで実績も積んだダレン・ロック、コギレスワラン・ラジ、そしてカラムラー・アル=ハフィズの3選手が代表に招集されています。(ただしロック選手はケガしていた箇所を代表合宿中に悪化させ途中辞退)

前身がインド系マレーシア人のためのサッカークラブだったことから、インド系の選手が多いのもこのクラブの特徴でが、今季はヌグリスンビランとマラッカ・ユナイテッドからやはりインド系の選手が加入していますが、アルーン・クマル、S・クマーラン両選手とも昨季所属していたクラブでは攻撃陣の主力選手としてプレーしており、昨季の「負けないサッカー」はマレーシア人選手だけでも十分にスーパーリーグでプレーできることを示せたことから、今季さらに点を取って「勝つサッカー」へと変貌を遂げられるかどうかを見てみたいクラブです。

ボラセパマレーシアJP的注目選手
・ダレン・ロック
昨季は開幕戦からゴールを重ねるもケガで長期離脱。シーズン終盤に復帰し、スズキカップ2020出場の代表合宿に招集されるものまたケガで辞退となったダレン・ロックは、ストライカー不足の代表の救世主となり得る存在ですが、キム・パンゴン新監督にアピールするためにもまずはケガなくシーズンを迎えて欲しいです。身体の強さを生かして泥臭く得点を挙げるスタイルは、現在の代表にはいないタイプの選手です。

・コギレスワラン・ラジ
3年振りの代表復帰となったスズキカップ2020では代表初ゴールを含む2ゴールを決めるなど、昨季はいい形でシーズンを終えたコギレスワラン・ラジですが、今季はPJシティでアタッキングミッドフィルダーとしての地位を確立し、キム監督の元でも代表チームでプレーしたいところ。フォワードのS・クマーランが加入したことで、今季はフォワードとの兼業はなさそうなので、スズキカップでも見せた得意の中盤からのオーバーラップを生かし、まずはチームでゴールを量産したいところです。

マラッカ・ユナイテッドFC(2021年シーズンスーパーリーグ8位)

本拠地:ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
2021年シーズン成績:7位(5勝9分8敗)得点25(リーグ7位)失点31(同8位)
過去5シーズンの成績:2017年8位-2018年7位-2019年6位-2020年9位-2021年8位
監督:リスト・ヴィダコヴィッチ(ボスニア)
外国籍選手:
 *FWイフェダヨ・オルせグン(カタール/ナイジェリア-AFC枠)
 *FWエマヌエル・オッティ(ガーナ)
FWアドリアーノ(ブラジル) 
MFソニー・ノルデ(ハイチ)
 *DFジャスティン・バース(フィリピン/オランダ-アセアン枠)

主なマレーシア人選手(*は新加入選手、#は2021年にマレーシア代表に招集された選手):
 *GKブライアン・シー(ペナンFCより加入)
 DFワン・アミルル・アフィク
 DFファリス・シャー
 DFカイルル・アンワル
 DFアクマル・ザヒル
 DFシャミン・ヤハヤ
 *DFシャズワン・アンディック(JDT IIより期限付き移籍で加入)
 MFワン・ザハルルニザム
 *MFシャールル・アズワリ(ケランタン・ユナイテッドFCより加入)
 *MFシュクリ・バハルン(サバFCより加入)
 *MFファドリ・イドリス(ペナンFCより加入)
 *FWファドリ・シャス(JDT IIより期限付き移籍で加入)
 *FWノーシャールル・イドラン・タラハ(サラワク・ユナイテッドFCより加入)

チーム紹介:
2020年、2021年シーズンと2季連続で選手や監督、コーチへの給料未払いが発覚し、勝点剥奪処分を受けたマラッカ・ユナイテッドFC(以下マラッカ)は、代表選手で正GKのカイルル・ファーミ・チェ・マットや昨季のチーム得点王S・クマーランらがチームを去っています。その一方でチームに残った選手たちの多くは過去3季指揮を取ったザイナル・アビディン・ハサン監督の残留を条件にしていたとされていますが、今年1月に入るとクラブはリスト・ヴィダコヴィッチ新監督の就任とザイナル監督の退任を発表しています。ザイナル監督では「タイトル」が取れる見込みがないという監督交代の理由をクラブのCEOが明らかにする一方で、給料未払いのままプレーし続けた選手たちがリーグ戦後のマレーシアカップでは1983年以来となる準決勝を果たしたのはザイナル監督が選手を鼓舞し続けたからとも言われており、開幕をおよそ1ヶ月に控えての監督交代が裏目に出る可能性もあります。

それでもCEO自らが「タイトル」を口にするだけのことはあり、シーズンオフの戦力補強は積極的に行われ、中でも最大の補強は昨季のリーグ得点王イフェダヨ・オルセグンの獲得です。マラッカへは2018年シーズン以来4季振りの復帰となるイフェダヨ選手は、昨季は26ゴールを挙げており、これはマラッカのチーム総ゴール数25を上回っています。リーグでも屈指となった得点力に加え、JDTのセカンドチームJDT IIからいずれも元代表のDFシャズワン・アンディックとFWファドリ・シャスも獲得するなどメンバーは揃ったマラッカですが、ここ数年のようなピッチ外での問題がなければトップ5入りが期待できる布陣です。

ボラセパマレーシアJP的注目選手
・イフェダヨ・オルセグン
イフェダヨ・オルセグンは、昨季のリーグ戦26ゴールを含め、過去3季在籍したスランゴールでは。リーグ戦43試合出場で50ゴールを挙げているスーパーリーグ屈指のストライカーです。昨季のスランゴールは若い選手が多く、自身へのマークが厳しくなりがちな中での26ゴールだったことを考えると、昨季から残留するアドリアーノや新戦力のエマヌエル・オティらFW陣や、そしてスーパーリーグでは一二を争う攻撃的MFソニー・ノルデらと共にプレーする今季はさらなるゴール数も期待できそうです。

・ノーシャールル・イドラン・タラハ
2019年シーズンにパハンFA(当時、現スリ・パハンFC)でプレーした後、タイ1部のBGパトゥム・ユナイテッドへ移籍するも出場機会に恵まれず、昨季は2部プレミアリーグのサラワク・ユナイテッドでプレーしていたマット・ヨーことノーシャールル選手。コロナ前の2019年末のFIFAワールドカップ予選では代表FWとして先発にその名を連ねていましたが、昨年6月に再開したW杯予選では出番もなく、昨年末のスズキカップでは代表へ招集されることもなく、このまま表舞台から消えてしまうのかと思われましたが、3年振りのスーパーリーグ復帰となりました。マラッカではスーパーサブ的な起用となるのか、それとも外国籍選手との競争に勝ってレギュラーポジションを奪取するのかは分かりませんが、自身の代表復帰も含め、復活に期待したいです。
 

2月3日のニュース
今季1部昇格のヌグリスンビランも外国籍枠5名が決定
マラッカUの補強は止まらず-今度は元代表FWマットヨーを獲得

W杯アジア最終予選ではベトナムが中国を撃破し、女子W杯につながるAFC女子アジアカップではフィリピンがW杯出場を決めるなど、今週は東南アジアのサッカー界に良いニュースが溢れています。昨年末のスズキカップ2020に優勝したタイや準優勝のインドネシアなど周辺国のレベルが上がる中、マレーシアは完全に取り残されている状況です。(涙)キム・パンゴン監督が主任したマレーシア代表ですが、周辺国においていかれないためには、国内リーグのレベルアップが必須ですが、今季開幕まであと1ヶ月ほどとなったMリーグ各クラブの補強も完了してきています。

今季1部昇格のヌグリスンビランも外国籍枠5名が決定

昨季はMリーグ2部プレミアリーグで優勝し、4季振りの1部復帰を果たしたヌグリスンビランFC(以下ヌグリスンビラン)が新外国籍選手2名との契約したことを発表しています。いずれもストライカーの28歳のマテウス・アウヴェス(ブラジル)と26歳のコッシ・アデトゥ(トーゴ)で、英字紙スターによれば、アウヴェス選手はタイ1部のチョンブリーFCやプラチュワップFC、ポリス・テロなどでプレーした後、昨季は韓国2部の牙山ムグンファFCでプレーしています。なおこのアウヴェス選手は、かつてMリーグで一度プレーしており、2017年シーズンにはパハンFA(当時、現在のスリ・パハンFC)に在籍し、リーグ戦とカップ戦合わせてシーズン24ゴールを挙げて、チームをFAカップ決勝へ導く活躍をしており、5年ぶりのMリーグ復帰となります。ヌグリスンビランのK・デヴァン監督は、アウヴェス選手がパハンFAを退団した以降はタイ、韓国とMリーグより高いレベルのリーグでプレーしたきたことに触れ、その経験を踏まえればパハンFA在籍時よりも良い選手になっていることを期待していると話しています。

一方のアデトゥ選手は2013年以来ガーナ、リベリア、エジプトなどプレーした経験がありますが、今回のヌグリスンビランとの契約がアジアのクラブとの初契約となるということです。デヴァン監督は、アデトゥ選手についてはいわゆるターゲットマンとして期待していると話し、チーム練習に参加したばかりながら、そのシュート能力の高さも評価していると話しています。

ヌグリスンビランはこの他、昨季までスリ・パハンで3季プレーしたDFエラルド・グロン(フランス)を獲得している他、フィリピン1部のセレス・ネグロス(現ユナイテッドシティ)やインドネシア1部のプルシブ・バンドンでのプレー経験がある攻撃的MFオミド・ナザリ(フィリピン/イラン)をアセアン東南アジア枠で、MFデヴィッド・マウーター(タジキスタン/ガーナ)をAFC枠で獲得しています。

マラッカUの補強は止まらず-今度は元代表FWマットヨーを獲得

Mリーグ1部スーパーリーグのマラッカ・ユナイテッドは昨季は26ゴール(22試合)を挙げてリーグ得点王となったFWイフェダヨ・オルセグンが4季振りに復帰し、昨季はJリーグのベガルタ仙台でプレーしたMFエマヌエル・オッティ(ガーナ)、フィリピンの悪童DFジャスティン・バースらが加入する一方、今季のクラブの目標として掲げている「最低1つのタイトル」のためにザイナル・アビディン・ハサン監督を解任し、リスト・ヴィダコヴィッチ新監督を迎え入れるなど、5勝9分8敗の8位からチームを立て直すために積極的な補強を進めています。そんな中で今度は、昨季は2部プレミアリーグのサラワク・ユナイテッドでプレーした代表FWのノーシャールル・イドラン・タラハと契約を結んだことをがクラブ公式Twitterに投稿されています。

マットヨーの愛称で知られる35歳のノーシャールル選手の加入は、前述のイフェダヨ選手や昨季から残留するソニー・ノルデ(ハイチ)、アドリアーノ(ブラジル)らマラッカ・ユナイテッドの強力FW陣にさらに厚みを加えることになりそうです。またMリーグではケランタン、JDT、ヌグリスンビラン、トレンガヌ、パハンなどでプレーし、リーグ優勝3回、マレーシアカップ優勝2回、FAカップ優勝2回とまさに「タイトル」を知る選手でもあり、代表では80試合以上に出場し14ゴールを挙げています。経験豊富なGKカイルル・ファーミ・チェ・マットがチームを去り、経験のあるベテランがいなくなったマラッカ・ユナイテッドにとっては、マットヨーの経験は貴重な財産となりそうです。

1月31日のニュース
マラッカUのCEOがザイナル監督解任の理由を説明
タイ1部リーグ第18節-エルドストールがスズキカップ後初の先発フル出場
タイ1部リーグ第24節-エルドストールは終了間際に途中出場もチームは2位浮上

マラッカUのCEOがザイナル監督解任の理由を説明

昨季はMリーグ1部スーパーリーグで5勝9分8敗の8位に終わったマラッカ・ユナイテッドは2019年から監督を務めていたザイナル・アビディン・ハサン氏を解任し、今季はボスニア・ヘルツェゴビナ出身のリスト・ヴィダコヴィッチ監督を就任させていますが、この監督交代について、マラッカ・ユナイテッドのジャスティン・リムCEOは、今季クラブが目指す「最低でも一つのタイトル」という目標達成が理由であると説明しています。

スポーツ専門チャンネルのナディ・アリーナのインタビューに対してリムCEOは、ザイナル前監督への過去3年間の指導への感謝の気持ちを表した上で、タイトル獲得のためには監督交代が必要だと判断し、ヴィダコヴィッチ監督は期待に応えてくれると信じていると話しています。「クラブとしては当初はザイナル前監督に今季も続投を依頼する予定でいたが、タイトル獲得という今季の目標を達成するためにはこれまでの方針とは異なる抜本的な変革が必要だと考えた末に監督交代を決めた。」と話したリムCEOはヴィダコヴィッチ監督の人選について、ザイナル監督の元では過去3季はタイトル争いとは縁がなかったが、ヴィダコヴィッチ監督はフィリピン1部リーグで3連覇(当時のセレス・ネグロスFC、現ユナイテッドシティFCで2017年から2019年まで3連覇達成)している実績を評価したと話しています。

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監督を務めた過去3季はいずれも給料未払い問題が発生し、2020年と2021年の両シーズンにはこの給料未払いを理由に勝点3を剥奪されるなど、自身の能力が問題ではなく、経営陣に足を引っ張られた中で「タイトルが取れなかった」ことを理由に解任されるのはザイナル前監督にとっても笑福しかねる部分があるでしょう。以前のこのブログでも触れましたが、今季残留した選手の中にはザイナル監督残留を理由に残った選手たちもいます。マラッカ・ユナイテッドはヴィダコヴィッチ新監督に加え、昨季はスランゴールでリーグ得点王を獲得したイフェダヨ・オルセグンを獲得するなど補強に余念がありませんが、開幕まで1ヶ月と迫った中でのザイナル監督解任が選手たちに動揺をもたらしかねず、タイトルどころか昨季から残る選手と新加入選手間の不協和音に発展する可能性すらあります。

タイ1部リーグ第18節-エルドストールがスズキカップ後初の先発フル出場

タイ1部リーグ第18節が1月22日と23日に開催され、マレーシア代表のDFジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・マデル・アマラン・マデルネル)が所属するチョンプリーFCは今季から1部に昇格したコーンケン・ユナイテッドFCを相手に3試合ぶりの勝利を挙げ、リーグ3位を維持しています。

2022年1月23日@チョンブリースタジアム
チョンブリーFC 2-0 コーンケン・ユナイテッドFC
前節第17節に続いて先発したジュニオール・エルドストールは、スズキカップ2020後は初となるフル出場し、勝利に貢献しています。
(試合のハイライト映像はタイリーグの公式YouTubeチャンネルより)

タイ1部リーグ順位表(第18節終了時)

順位チーム得失差勝点
1ブリーラムU1712232038
2バンコクU1710341433
3チョンブリーFC189541532
順位は上位3チームとマレーシア人選手が所属するチョンブリーFCのみ表示しています。
タイ1部リーグ第24節-エルドストールは終了間際に途中出場もチームは2位浮上

変則日程となったタイ1部リーグ第24節が1月29日と30日に開催され、マレーシア代表のDFジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・マデル・アマラン・マデルネル)が所属するチョンプリーFCは、第10節では1-2と敗れていたポートFCを相手に一度は追いつかれながらもデニス・ムリーリョのゴールで3-2と勝利し、リーグ2位に浮上しています。

2022年1月30日@チョンブリースタジアム
チョンブリーFC 3-2 ポートFC
前節第18節では先発してフル出場したジュニオール・エルドストールですが、この試合では後半ロスタイム90+5分からの出場となりましたが、そのわずかな時間にイエローカードをもらっています。
(試合のハイライト映像はタイリーグの公式YouTubeチャンネルより)

タイ1部リーグ順位表(第24節終了時-第19節から23節は未消化のため暫定)

順位チーム得失差勝点
1ブリーラムU1813232142
2チョンブリーFC1910541635
3バンコクU1910351333
順位は上位3チームとマレーシア人選手が所属するチョンブリーFCのみ表示しています。

1月24日のニュース
マラッカUの新監督起用は吉と出るか凶と出るか
マラッカUは昨季のMリーグ得点王を含む新加入の外国籍選手を発表

Mリーグ1部のマラッカ・ユナイテッドはクラブ公式Twitterでリスト・ヴィダコヴィッチ監督の就任を発表しています。 ボスニア・ヘルツェゴビナ出身のヴィダコヴィッチ監督は過去3季監督を務めたザイナル・アビディン・ハサンに代わっての就任です。53歳のヴィダコヴィッチ監督は、今季開幕後わずか5試合で辞任した元JDT監督のマリオ・ゴメス氏に代わって昨年10月にインドネシア1部リーグのボルネオFCの監督に就任していましたが、それからわずか2ヶ月で自身も辞任し、マラッカ・ユナイテッドの監督に就任しています。

2006年から2007年にかけてはセルビア代表チームのアシスタントコーチの経験があるヴィダコヴィッチ監督は、スペインではムルシア、エシハ、カディスといったクラブでの指導経験がある他、フィリピン1部のセレス・ネグロスFC(現ユナイテッドシティFC)では2017年から2019年までの3連覇を、またモルディブ1部リーグでは2020/2021年シーズンのマジヤS&RCでリーグを制しています。

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過去3季連続で給料未払い問題が明らかになったマラッカ・ユナイテッドは、2020年と2021年の両シーズンはいずれも勝点3を剥奪される状況下で指揮を取ったザイナル・アビディン監督への選手の信頼は厚く、給料が支払われていなかった中、昨季は38年ぶりとなるマレーシアカップ準決勝進出を決めたのも、ザイナル・アビディン監督がいたからだと話す選手がいる一方で、給料未払いが続いたにも関わらず今季もクラブに在留した選手の多くが、ザイナル・アビディン監督が今季も指揮を取るとクラブから説明されたからだとしている選手もいることから、こういった「ザイナル・アビディ監督派」とヴィダコヴィッチ監督あるいは経営陣との間で確執が生じる可能性も秘めています。

マラッカUは昨季のMリーグ得点王を含む新加入の外国籍選手を発表

マラッカ・ユナイテッドは昨季は同じ1部スーパーリーグのスランゴールFCで26ゴール(22試合)を挙げてリーグ得点王に輝いたFWイフェダヨ・オルセグンの加入をクラブ公式Twitterで発表しています。マラッカ・ユナイテッドには4季ぶりの復帰となるイフェダヨ選手は、前回在籍した201年にはリーグ戦とカップ戦合わせて21試合で20ゴールを挙げています。

またマラッカ・ユナイテッドはガーナ出身の左ウイングのエマヌエル・オッティとフィリピン代表のセンターバック、ジャスティン・バースの加入も発表しています。昨季はJリーグのベガルタ仙台に在籍し、リーグ戦7試合出場にとどまったオッティ選手は仙台移籍前はポルトガル2部リーグのFCヴィゼラやデンマーク2部リーグのエスビャウfB、インドネシア1部リーグのマドゥラ・ユナイテッドFCでもプレー経験があります。またオランダ人の父を持つ21歳のバース選手はオランダ1部リーグのAZアルクマールのユースを経て、オランダ2部リーグでAZアルクマールのセカンドチームであるヨングAZでプレーした後、タイ1部リーグのラーチャブリーFCを経て、昨季はフィリピン1部リーグのユナイテッドシティFCでプレーしています。

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昨季からMFソニー・ノルデとFWアドリアーノが残留し、今回発表になった3選手と合わせて、外国籍選手枠5名が埋まったマラッカは、アルジェリアとカタールの両国籍を持つイフェダヨ選手がアジア枠、フィリピン代表のバース選手がアセアン東南アジア枠での登録となりそうです。ところでバース選手は昨年末の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップにもフィリピン代表として出場していますが、年代別代表でもプレーしています。フィリピンで開催された2019年の東南アジア競技大会通称シーゲームズでは、19歳ながらフィリピンU23代表のメンバーとしてマレーシアU23代表と対戦していますが、このときに試合後のあいさつで礼を欠く行為を働き一悶着を起こしたことがあり、これを覚えているサポーターからは開幕後に激しくヤジられる可能性もあります。




1月20日のニュース
ザイナル・アビディン監督が交代すればマラッカUはチーム崩壊も
パハンにはラオス代表のエースが加入か

ザイナル・アビディン監督が交代すればマラッカUはチーム崩壊も

Mリーグ1部スーパーリーグのマラッカ・ユナイテッドは、新規選手獲得禁止などの処分を課せられることがわかるとようやく昨季の未払い給料を支払うなど経営陣に問題のあるクラブですが、どうも問題はそれだけではなさそうだとスポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。具体的には、3月4日の今季Mリーグ開幕まで残り1ヶ月半ほどのこの時期にマラッカ・ユナイテッドで指揮官の交代騒動が起こっているということです。

マラッカ・ユナイテッドは2019年シーズンからザイナル・アビディン・ハサン監督が指揮を取っていますが、今季に向けたマラッカ・ユナイテッドのプレシーズン練習は始まっているものの、その練習にザイナル・アビディン監督が不在であることから、監督交代が起こるのではという噂が日増しに大きくなっています。そんな中、給料未払いが言わば「年中行事」となったマラッカ・ユナイテッドにもかかわらず、昨季のメンバーは大半がチーム残留を選んでいますが、これは今季2022年シーズンもザイナル・アビディン監督が指揮を取ることが確約されたことが理由であると、チームのベテランDFモハマド・ラズマン・ロスランがスタジアムアストロに明かしています。給料が支払われていなかった昨季もマレーシアカップでベスト4進出を果たしたのは、ザイナル・アビディン監督が指揮を取っていたからだと説明したラズマン選手は、今季のチームの指揮を誰が取るのかを知らされていないとも話しています。

「クラブの経営陣は今季の監督とトップチームの選手を近いうちに発表すると聞いてはいるが、経営陣がどのような判断を下すのかは全く知らされていないが、大半の選手が契約を更新したのはザイナル・アビディン監督が今季も指揮を取るという説明を受けたからだ。契約を更新した選手の中には、他のクラブから獲得オファーを受けていた選手もいるが、彼らもザイナル・アビディン監督が指揮を取ると聞いて残留を決意している。」と話したラズマン選手は、もしザイナル・アビディン監督が交代するとしたら選手たちはどう反応するかという問いに対し、経営陣に約束を破られた選手は残念であるだろうし、実際にチームがどうなるかは正直わからないと不安を述べています。

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2019年シーズンからザイナル・アビディン監督が指揮を取るマラッカ・ユナイテッドは、過去3シーズンは6位、9位、8位という成績で、2020年シーズン終了後には、成績不振を理由に条件付きでザイナル・アビディン監督の契約が延長になった経緯もあります。しかしその一方で、経営陣による給料未払い問題により、2020年と2021年シーズンにはそれぞれ勝点3を剥奪される処分を受けています。もし剥奪された勝点3を上乗せして順位を見直すと2020年は9位から7位に、2021年も8位から7位に浮上します。しかも上でラズマン選手が話しているように給料を支払われないまま戦っていた選手のモチベーションに影響がないはずがなく、この成績をザイナル・アビディン監督の責任とするのは全くの筋違いに思えます。メディア上ではザイナル・アビディン監督の後任として、マレーシア代表監督を辞任したタン・チェンホー氏やKLシティでアシスタントコーチを務めるネナド・バチナ氏の名前がソーシャルメディア上では取り沙汰されており、交代劇が起これば、今度こそ選手の不満も爆発し、チームが崩壊してしまう可能性もあります。

パハンにはラオス代表のエースが加入か

Mリーグ1部で昨季10位のパハンにラオス代表のエースが加入するとマレーシア語紙ブリタハリアンが報じています。加入するとされているのは昨年末に開催された東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020にもラオス代表のメンバーとして全試合にチームのワントップとして先発出場したストライカーのビリー・ケトケオポムポンです。両親はラオス出身ながらフランスで生まれ育ったケトケオポムポン選手は、スズキカップ2020で初めてラオス代表としてプレーしていますが、フランスでは今季は2部リーグのUSLダンケルクに所属していました。AJオセールやアンジェSCOなどでもプレー経験があるケトケオポムポン選手の加入についてパハンは公式に発表していませんが、既にマレーシア入りし、現在は検疫隔離中だとブリタハリアンは報じています。31歳のケトケオポムポン選手の加入は、昨季はリーグ7位の23得点(22試合)と攻撃力不足に泣いたパハンにとっては大きな戦力アップが期待されると共に、5人の外国籍選手枠が全て埋まったことになります。

昨季2度目のトランスファーウィンドウ期間に加入しパハンの1部残留に大きな貢献をしたMFマヌエル・イダルゴと、期限付き移籍していたトレンガヌからもどったMFリー・タックが残留したパハンは、ケトケオポムポン選手に加えて、ヨルダンの年代別代表やA代表の経験もあるストライカーのマフムード・ザアタラ(ヨルダン1部リーグのアル・サルトSCから加入)、センターバックのヨハン・マルシャル(フランス2部FCソショー=モンベリアルより加入。ちなみに弟はマンチェスターUやフランス代表でプレーするアントニー・マルシャル)らの新戦力に加え、今季Mリーグで6年目を迎えるFWエセキエル・アグエロがFIFAの規定を満たしていることから、マレーシアの国籍が取れ次第、帰化選手としてマレーシア人選手登録で出場する可能性があります。

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スズキカップ2020ではラオス代表の中で1人だけ図抜けている印象だったケトケオポムポン選手のパハン加入を決断した理由について、ブリタハリアンは2016年にアンジェSCOでチームメートだった元パハンのディクソン・ヌワカエメの後押しがあったこともその一つであるという裏話も紹介しています。在籍時は「鉄人」の愛称でサポーターからの人気が非常に高かったヌワカエメ選手が、こんな形で現在もパハンの力になっているというのはなかなか良い話でした。

1月15日のニュース
スンバンシーカップのJDT本拠地開催はMFLによる忖度の結果?
やっぱりそうなったかぁ。代表DFシャーミ・サファリもJDT移籍
マラッカ・ユナイテッドが未払い給料を完済

マレーシア版FAコミュニティシールドとも言えるスンバンシーカップは前年のMリーグ覇者とマレーシアFAカップチャンピオンが対戦する試合です。昨季2021年シーズンは新型コロナ観戦拡大防止を理由にFAカップが中止となったことから、今季はMリーグ8連覇を果たしたJDTと32年ぶりにマレーシアカップに優勝したKLシティが2月26日に対戦します。そしてこれまでMリーグ公式戦の一部でシーズン開幕戦として行われてきたスンバンシーカップですが、今季2022年シーズンのスンバンシーカップはリーグ戦からは独立した試合として開催することをMリーグを運営するMFLは発表しています。

今季のスンバンシーカップは過去7年間同様、JDTの本拠地で開催されますが、今季はMリーグの公式戦ではなくなったにも関わらず、中立地ではなく相変わらずJDTの本拠地で開催されることに疑問の声が上がりました。本家英国のFAコミュニティーシールドはその前身のチャリティーシールド時代の1970年代に中立地であるウェンブリースタジアムで開催されるようになっており、ホームのJDTが圧倒的に有利となる今回の開催方針に対して「なぜ中立地での開催でないのか」という国内サッカーファンの疑問は至極当然です。

Mリーグ開幕戦として開催されてきたスンバンシーカップは、JDTの連覇が始まった翌年の2015年からは7年連続でJDTの本拠地で開催されており、この間JDTは6勝1敗と圧倒的な成績を残しています。唯一の負けを記録した2017年も90分間では決着がつかずPK戦にも連れ込んだ結果、クダに敗れた1敗でした。(リーグ戦の一環なら、そもそもPK戦まで行って勝者を決める必要はないはずですが。)そこでスンバンシーカップがアウェイの試合となることを憂慮したJDTに対してMFLが忖度した結果、開催地がスルタン・イブラヒムスタジアムになったのではといった意見も出てます。

そんな中でサッカー専門サイトのラ・ボラ・マレーシアは、この疑問に対するMFLのスチュアート・ラマリンガムCEOの回答を伝えています。この記事によれば開催地をJDTの本拠地スルタン・イブラヒムスタジアムとしたことについて、その理由を「人の移動を極力少なくするため」だと説明しているということです。この記事では詳しい説明はされておらず、JDTの本拠地でスンバンシーカップを開催することが何故、「人の移動を極力少なくする」ことになる根拠は不明ですが、まぁそこはマレーシア、放っておけばそんな声も聞こえなくなる、とこれ以上の説明がされることはないでしょう。

やっぱりそうなったかぁ。代表DFシャーミ・サファリもJDT移籍

Mリーグ1部スーパーリーグのJDTは公式Facebookで代表DFシャーミ・サファリの加入を発表しています。23歳のシャーミ選手は右サイドバック(スズキカップ2020ではまさかの左サイドバック起用でしたが)で、契約期間を1年残しながら前所属のスランゴールFCとの契約を双方合意の上で昨年11月末に解除していました。契約解除後にはJDT移籍が噂されていましたが、昨年中は何の動きもなかったことからその去就に注目が集まっていました。

JDTには同じ代表右サイドバックのマシュー・デイヴィーズが在籍していますが、昨年末にスポーツヘルニアの手術を受けており、シャーミ選手がデイヴィーズ選手が完治するまでの単なる繋ぎとなるのか、デイヴィーズ選手復帰後にもポジション争いを続けられるのかは不明ですが、シャーミ選手の加入により、代表選手すら控えに回るJDTの既に分厚い選手層がさらに厚くなったことは事実です。

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スランゴール州のクアラスランゴール出身で2017年にスランゴールFCのトップチームに昇格したシャーミ選手は通算80試合出場で11ゴールの記録を残して退団しました、私自身が個人的にもシャーミ選手のファンなので退団は非常に残念でしたが、その移籍先がよりによってJDTなのは少々モヤモヤします。しかし昨季のスランゴールFCでの起用方法には同じくらいモヤモヤを感じていたので、ここは新天地での活躍に期待したいです。

シャーミ・サファリといえばこのゴール!スズキカップ2018のタイ戦で決めたゴール(スズキカップの公式YouTubeチャンネルより)

マラッカ・ユナイテッドが未払い給料を完済

先日のこのブログでも取り上げたMリーグ1部スーパーリーグのマラッカ・ユナイテッドの給料未払い問題が解決したことを、選手を支援してクラブと交渉を続けていたマレーシアプロサッカー選手会PFAMがTwitterで発表しています。

マラッカユナイテッドの選手から未払いとなっていた3ヶ月分の給料の全額が支払われた連絡を受け取ったとして、PFAMは問題が解決した選手を祝福するとともに、マラッカ・ユナイテッドのジャスティン・リム オーナーと経営陣に対して迅速な対応を感謝するというコメントも出していますが、その一方で2度と同様の問題が起こらないよう注意を払うよう釘を刺すことも忘れませんでした。。
さらPFAMは今回の件を教訓に他のMリーグクラブに対して、選手の給料支払いについてより敏感になるよう求めています。

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MFLが期限に遅れた場合の処分を発表すると直ちに片付いた今回の給料未払い問題は、交渉だけでは解決せず、実害が起こって初めて対処するというマレーシアではよくある事例でした。結局、未払いによる実害を被ったのは選手や首脳陣だけで、この問題の根本についてはその責任が問われないというのもマレーシア的。世界的には通用しないこの仕組みでクラブを運営しながら、やれアジアだ、世界だというのはやはり無理があると言わざるを得ないです。