12月5日のニュース
JDTのサファウィ・ラシドがタイ1部ラーチャブリーFCへ移籍
トレンガヌは過去3季マラッカでプレーしたFWソニー・ノルデを獲得
苦しい時の神頼みならぬTMJ頼み-5ヶ月分給料未払いのマラッカ・ユナイテッドの選手がジョホールオーナーに助けを求める

サファウィ・ラシドのタイリーグ移籍は驚くようなニュースですが、マレーシアリーグは今季が終了したばかり。選手の移籍はむしろこれからが本格化しますので、まだまだ驚くようなニュースが出てくる可能性もあります。

JDTのサファウィ・ラシドがタイ1部ラーチャブリーFCへ移籍

Mリーグ1部スーパーリーグのジョホール・ダルル・タジムJDTは、クラブ公式SNSでFWサファウィ・ラシドがタイ1部のラーチャブリーFCへ期限付き移籍することを発表しています。

マレーシアカップ優勝監督から転身したエクトル・ビドリオ テクニカル・ディレクター名で発表されたこの移籍は、サファウィ選手が現在、東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ出場の代表候補となっていることから、新チームへの合流はこのAFF選手権終了後となるということです。また同じ発表の中でJDTはマリ出身のFWムサ・シディベも同時にラーチャブリーFCへ期限付き移籍することも発表しています。

このJDTによる発表の前には、ラーチャブリーFCの会長がサファウィ選手の獲得がクラブ間で合意に至ったことをフライング気味に表明しており、JDTがこれを後追いする形で発表されています。

現在25歳のサファウィ選手は、2017年に当時のT-Team FC、現在のトレンガヌFC IIからJDTに移籍し、2018年には21歳で当時最年少のリーグMVPに選ばれると、翌年も連続してこの賞を受賞、また先日、このブログでも取り上げた2018年アジア競技大会でも、5得点を挙げるなど、クラブだけでなくマレーシアサッカーを牽引する存在となることが期待されていました。

2018年にはリーグ戦21試合出場で6ゴール、2019年も21試合出場で8ゴール、また新型コロナの影響でシーズンが11試合に短縮された2020年は7試合で7ゴールと活躍したサファウィ選手は、2021年にはポルトガル1部のポルティモネンセへ期限付き移籍しました。しかしトップチームでは出場機会を得られなかっただけでなく、U23チームでもわずか2試合に出場したのみで、1年も経たずにJDTに復帰しています。しかし2021年には同じポジションに彗星のように現れた当時19歳のFWアリフ・アイマンにポジションを奪われ、2021年は16試合、今季2022年は13試合と出場機会が減り、先発では途中出場が多くなり、完全にチームの主力ではなくなっています。

現在、AFF選手権に向けて合宿中のA代表でも、JDTの主力がケガや家庭の事情などの理由から今回の招集を辞退して休養に努める一方で、サファウィ選手が合宿に参加しているのは、疲れがたまるほど試合に出場していないことも意味しています。

かつての輝くを失ったとは言え、25歳のサファウィ選手はここで終わってしまう選手ではありません。移籍先のラーチャブリーFCは、現在リーグ3位とは言え、上位5チームの中では得点数が最低の21点と得点力の補強が必要なチーム。左足からの振り幅の短い強烈なシュートもあれば、ACLでも見せた右サイドからの美しいカーブをかけたシュートも打てるサファウィ選手は、出場機会があれば、必ず結果を残せるはず。この移籍が転期となること期待したいです。

トレンガヌは過去3季マラッカでプレーしたFWソニー・ノルデを獲得

今季スーパーリーグ2位に終わったトレンガヌFCは、数日前にトミスラフ・スタインブリュックナー新新監督の就任を発表しましたが、今度は新たな外国籍選手としてハイチ出身のストライカー、ソニー・ノルデの獲得を発表しています。

33歳のノルデ選手とは1年契約を結び、背番号が11となることも併せて発表されています。19歳でボカ・ジュニアーズ(アルゼンチン)と契約してプロ選手生活をスタートしたノルデ選手は、アトレティコ・サンルイス、アルタミラFC(いずれもメキシコ)でプレーした後、シェイク・ラッセルKC、シェイク・ジャマル・ダンモンディSJDクラブ(いずれもバングラディシュ)、ATKモフン・バガンFC、ムンバイ・シティFC(いずれもインド)、ジラFK(アゼルバイジャン)を経て、2020年から今季までスーパーリーグのマラッカ・ユナイテッドFCでプレーしています。

マラッカでは今季17試合に出場し、4ゴール、5アシストを記録している33歳のノルデ選手とトレンガヌの契約期間は1年、また背番号が11となることも併せて発表されています。

苦しい時の神頼みならぬTMJ頼み-5ヶ月分給料未払いのマラッカ・ユナイテッドの選手がジョホールオーナーに助けを求める

今季スーパーリーグで10位に終わったマラッカ・ユナイテッドFCは、選手への給料未払いが理由で来季のクラブライセンスが発給されず、スーパーリーグからの撤退を余儀なくされています。その後、来季はセミプロリーグの3部、M3リーグに参戦することが発表されていますが、給料未払い問題が未だ解決していないことが明らかになっています。

サッカー専門サイトのスムアニャボラによると、給料の未払いは既に終了した2022年シーズンの5ヶ月分あり、その支払いに進展がないことから、一部の選手がソーシャルメディア上で同じスーパーリーグのジョホール・ダルル・タジムのトゥンク・イスマイル殿下に助けを求める投稿をしているということです。

ジョホール州皇太子でもあるイスマイル殿下は、これまでも同様の問題を起こすクラブに対して厳しい批判を行なった結果、クラブが重い腰を上げる、といったケースがあり、マラッカの選手もこれを期待して、部外者のイスマイル殿下に異例の懇願を行なったとみられています。

自身のインスタグラムに投稿したのはワン・ザハルニザム、シュクリ・バハルン、ハスブラ・バカル他数名の選手で、マラッカ前オーナーのジャスティン・リム氏、そして前マラッカ州サッカー協会のスライマン・モハマド・アリ氏の両氏とも選手からの問い合わせに無視を決め込んでいることから、イスマイル殿下に仲裁を求めています。プロ意識に欠けるクラブには容赦ないイスマイル殿下が仲裁に入ることで、これまで沈黙を守っている旧経営陣も何らかの行動をせざるを得なくなる、とSNSに投稿した選手たちは考えているようです。

来季のクラブライセンスが発給されなかったマラッカ・ユナイテッドFCは、オーナーだったリム氏が所有する株式を売却して辞任し、それに合わせるようにマラッカ州首相でもあるスライマン会長も辞任しており、クラブ名も新たにマラッカFCとするなど組織一新を図ることが発表されています。州サッカー協会の新会長に就任したヌル・アズミ・アフマド氏は、就任の際にはこの給料未払い問題解決に取り組むことを約束しましたが、実際には何も解決していないことが今回の一件で明らかになりました。