10月17日のニュース:FAMは8名の審判を処分、フェルダU旧運営会社職員がクラブ消滅を救う動き、サファウィ・ラシドのデビュー戦は「世界で最もリッチな選手」との対戦

FAMは8名の審判を処分
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版は、マレーシアサッカー協会FAMが今季Mリーグの試合を担当した審判8名に処分を下したと報じています。
 FAM審判委員会のムハマド・ダリ・ワヒド委員長は、査定に基づき2名の審判に後日決定される期限までの資格停止処分を、また他の2名の審判には2週間の資格停止処分を、残る4名の審判には戒告処分が出されたと述べています。なお、本来であれば処分を受けた審判は3部のM3リーグやU21チームが争うプレジデントカップなどの試合を担当して改善を図るということですが、今季はいずれも新型コロナウィルスの影響で中止になっていることから、資格停止などの処分が科されているということです。また戒告処分を受けた審判については今季の残りは線審のみを担当することも発表しています。
 ダリ委員長は複数のクラブが審判に不満を持っていることは理解していると話していますが、多くのクラブがメディアに対してその不満を述べるにとどまり、FAMの審判委員会に対してに今季はこれまでに正式な意見書を提出しているのはUITM FC、PJシティFC、トレンガヌFC、そしてサバFAの4クラブのみであることを明かす一方で、今季は1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグとも全体としては審判委員会が満足できるレベルで試合が進められていると話しています。
 ダリ委員長はこの他、マレーシアカップでは新たに10名の審判が起用されることも明らかにしています。
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 Mリーグでは審判のレベルの低さが度々話題になり、昨季2019年のマレーシアFAカップ決勝戦には、日本サッカー協会JFAを通じて依頼した主審、副審、線審計4名の日本人審判が担当するといったこともありました。FAMは審判のプロ化案なども発表していますが、実際には何も進んでいないようで、まだまだ審判に関する問題は起こりそうです。

フェルダU旧運営会社職員がクラブ消滅を救う動き
 今季をもってMリーグからの撤退を発表したフェルダ・ユナイテッドFCに新たな動きです。クラブの旧運営会社関係者がMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグを訪れ、新たなスポンサーに関する書類を手渡す予定であると英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 旧運営会社であるファイターズ社のアフィザル・アブ・オスマン前事務局長は、クラブの名称は変わる可能性を認めながら、来季もチームが存続できることに希望を持っていると話しています。
 創部以来13年間Mリーグでプレーしたフェルダ・ユナイテッドFCは、クラブの運営権がファイターズ社からクラブの母体でもある政府関係機関のフェルダ(連邦土地直轄庁)に移った直後の10月6日に経済的理由を挙げてMリーグからの撤退を発表しています。また撤退発表とともに旧運営会社の職員16名全員が解雇されましたが、この旧職員がフェルダ・ユナイテッドFC存続のために活動を続けています。
 アフィザル前事務局長は、クラブは新しいスポンサーを獲得できたとして、MFLが期限とした10月19日までにクラブ存続のための書類を用意したいと話しています。なお新しいスポンサーについて、アフィザル前事務局長は何も明かしていないということです。
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 この記事を読んで思いついたのは、もしかしてこのフェルダ・ユナイテッドFCがプトラジャヤを本拠地とするクラブになるのでは、ということです。プトラジャヤを含む連邦直轄地を担当するアヌアル・ムサ連邦直轄地相が、来季からプトラジャヤにMリーグクラブができると発言してネット上で炎上した記事を先日、取り上げましたが、フェルダが手放したクラブをそのまま横滑りでプトラジャヤに持ってくれば、撤退によるリーグのチーム数減を心配するMFLが、新クラブを下部リーグからスタートさせず、そのままMリーグに残す可能性もあります。
 フェルダ・ユナイテッドFCでプレーする選手の中にはプトラジャヤに住んでいる方もいるようなので、実現すれば朗報ではないでしょうか。

サファウィ・ラシドのデビュー戦は「世界で最もリッチな選手」との対戦
 Mリーグ1部のジョホール・ダルル・タジムJDTからポルトガル1部リーグのポルティモネンセSCに移籍したサファウィ・ラシドは、本日10月17日に行われる第4節でCSマリティモ戦でのベンチ入りが期待されていますが、この試合は東南アジア出身選手が所属するチーム同士の争いとしても注目されています。
 その理由はCSマリティモにブルネイ出身のファイク・ボルキアが所属しているからです。ブルネイのボルキアと聞いてピンと来た方がいるかも知れませんが、このファイク・ボルキア選手はブルネイ国王ハサナル・ボルキアの甥にあたます。世界でも有数の裕福なブルネイ王家の一員でもあることから、「世界一リッチなサッカー選手」とも呼ばれています。
 とは言え、サッカーの実力で言えば、今年9月に英国1部リーグのレスターシティU23からCSマリティモに移籍してきたファイク・ボルキア選手の市場価値はトランスファマルク上では「評価なし」であるのに対し、サファウィ選手は30万ユーロ(およそ3700万円)とされており、その差は歴然です。
 額面通りの実力なら、2人がフィールドで対峙する機会はなさそうですが、それでもポルトガルという異国の地でマレーシアの選手とブルネイの選手が対戦するというのは東南アジアのサッカーファンにとっては十分注目に値するのではないでしょうか。特にサファウィ選手は開幕から3試合でわずか勝点1のポルティモネンセSCの救世主となれるかどうかも注目です。
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 今日の試合はマレーシアの衛星放送アストロアリーナでも生中継されるようです。史上初となるポルトガルリーグ生中継で果たしてサファウィ選手の勇姿は見られるでしょうか。なおチャンネルは801と802HDです。