2月26日のニュース:クチンシティもサラワク州外でのホームゲーム開催をMFLに正式申請、スウィラッドはタイ2部ノーンブワ・ピッチャヤに合流、経営難で消滅クラブの元選手らが未払い給料支払いを求めて民事訴訟を準備、2部ペラIIは今季リーグ残留が決定

クチンシティもサラワク州外でのホームゲーム開催をMFLに正式申請
 Mリーグ2部の鈴木雄太選手が所属するクチンシティはMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLに対し、3月5日に迎える今季のMリーグ開幕からのホームゲーム4試合について本拠地クチン市のあるサラワク州外での開催を正式に申請したと英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 サラワク州は州内に複数のレッドゾーン(過去2週間で累積感染患者40名以上の地域)を複数抱えており、州外からの全ての渡航者に対して14日間の検疫隔離を義務付けています。このためサラワク州でMリーグの試合が行われる場合、対戦チームは試合の2週間以上前に渡航せねばならない上、検疫隔離中は練習が行えないことから、既に発表されている今季の日程が予定通りに開催できないことが懸念されていました。
 この状況について、同じサラワク州クチン市を本拠地にするMリーグ2部のサラワク・ユナイテッドは、既に州外でのホームゲーム開催をMFLに申請しており、先日発表になった今季日程では、スランゴール州スラヤンにあるMPSスタジアムを本拠地として使用することが発表されています。
 一方、対応が後手に回ってしまったクチンシティは、当初はイスラム教の断食月が始まる4月半ばまではホームゲームを首都圏で開催し、それ以降はクチンを本拠地とする案や、全ての試合をアウェイとして行う案を検討していたということです。なお、クチンシティは第2節の3月9日にトレンガヌIIを迎えてのホームゲームが予定されていますが、試合会場はまだ決まっていません。
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 MPSスタジアムを本拠地として使用することが決まっているサラワク・ユナイテッドですが、このMPSスタジアムは照明の光度がMFLの試合には不十分であることから、ここで開催される試合はいずれもマレーシアではまだ日中の暑さが残る午後4時45分キックオフとなっています。
 サラワク・ユナイテッドのサティアナタン・バースカラン テクニカルディレクターは、他のMリーグ2部のクラブの本拠地同様、午後9時キックオフが可能なスタジアムを抑えることができなかったと話し、暑さに対応するため、チームが目指すプレッシングサッカーから戦術変更の可能性も示唆しています。

スウィラッドはタイ2部ノーンブワ・ピッチャヤに合流
 タイ2部リーグのノーンブワ・ピッチャヤFCは、マレーシア代表経験もあるニック・スウィラッドのチーム合流を公式Facebookで発表しています。
 昨季はMリーグ1部スランゴールに所属していたスウィラッド選手はシーズン中はベンチを温めることも多く、シーズン終了後に契約解除となり、今季はクアラルンプール・ユナイテッドと契約直前までいったものの、結局は契約に至りませんでした。
 スウィラッド選手が加入したノーンブワ・ピッチャヤは、現在、タイ2部リーグで15勝8分0敗で2位に勝点差4をつけて首位を走っており、スウィラッド選手は残り11試合の契約となっています。
 スランゴールでは出場機会が少なかったこともあり、2019年3月を最後に代表招集がないスウィラッド選手ですが、ノーンブワ・ピッチャヤで出場機会を積み、さらに代表のタン・チェンホー監督にもアピールできれば再び招集もあるだろうと、サッカー専門サイトのヴォケットFCは予想しています。

経営難で消滅クラブの元選手らが未払い給料支払いを求めて民事訴訟を準備
 先日の2月21日にパハン州初の「市」となった州都クアンタン。かつてここにはMリーグ2部プレミアリーグでプレーするクアンタンFAというチームがありました。昨年ヌグリスンビランFA(現ヌグリスンビランFC)を最後に引退した中武駿介氏もかつて在籍したこのクアンタンFAは、2017年シーズンから給料未払い問題が明らかになり、その後、2018年には4ヶ月以上給料を支払われていない選手たちがリーグ戦当日に試合会場に現れないという事件を起こし、この年のリーグ開幕からわずか2ヶ月後にはチームはリーグ追放処分を受け、その後、クアンタンFAはチームが解散となりました。
 このクアンタンFAを当時買収しようとしていたのが当時のMリーグ3部にあたるFAMカップに所属していたセミプロクラブのマルセラ・ユナイテッドでした。このマルセラ・ユナイテッドの会長はクアンタンFAを買収してマルセラ・クアンタンFAとすると公言していましたが、結局それも実現せず、クアンタンFA解散後はマルセラ・ユナイテッドへ移籍してプレーを続ける選手もいましたが、マルセラ・ユナイテッドもやはりリーグ途中で解散してしまいました。
 この結果、クアンタンFAとマルセラ・ユナイテッドに所属していた選手や監督、コーチらは給料は未払いながら、請求先となるクラブが解散するという事態に直面していました。その後も当時の関係者などに問題解決のために連絡を取ろうとするも、これまで何年間もなしの礫。だったようです。
 しかしマレーシアの通信社ブルナマは、この両クラブの選手や監督、コーチらが記者会見を開き、クアンタンFAの26名の元選手と7名の監督、コーチ、そしてマルセラ・ユナイテッドの21名の選手と5名の監督以下スタッフが、2018年シーズンの未払い給料問題を解決するため、両クラブに責任を持つ人物に対して14日以内に連絡を取流よう求めていると、選手たちの弁護士を務めるスハイル・ラヒミ・アブドル・ラザク氏が述べていると報じています。平均して4ヶ月から5ヶ月分の給料が未払いとなっていると話すスハイル氏は「選手や監督、コーチは1年契約を結びながら、現在に至るまで全く何も支払われていない。しかも何年も支払いを求めながら何も進歩していないことに疲弊している。」と話し、旧クラブ関係者の誰も応じない場合には民事訴訟を起こす考えも明かしています

2部ペラIIは今季リーグ残留が決定
 今期開幕を控えながらリーグ不参加が取り沙汰されていたMリーグ2部のペラIIは、噂されていたチームの解散やMリーグ3部にあたるセミプロリーグM3リーグではなく、今季も2部に出場することが決定したと、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 スタジアムアストロの取材に対してMリーグ1部ペラFCの運営理事会メンバーであるカイルル・シャーリル・モハメド氏は、ペラFCのセカンドチームであるペラIIは、今年1回目のトランスファーウィンドウが3月5日まで延長されたことで、選手確保のめどがったととしてリーグ残留を表明しています。
 「(ペラFCの)運営理事会内では解散の意見も出たことは事実だが、それはあくまでも最後の選択肢である。様々な意見を検討した結果、ペラIIは今季も2部でプレーすることを決定した。」
 また外国籍選手が1人も加入していない状況については、ペラIIは本来、トップチームのペラFCに供給する若手選手に出場機会を与えることが設立目的であることから、今季は外国籍選手を獲得しない可能性が高いとも述べています。

2月19日のニュース:W杯予選G組の残り試合は6月に集中開催方式による実施が決定、今季のMリーグ2部は10チーム編成か-ペラIIに脱退の可能性が浮上、今季Mリーグ開幕戦はJDTの本拠地で開催決定、2022年AFCクラブライセンス申請受付開始-スリ・パハンとサバは申請せず、UITMは主催トーナメント開催を前にワクチン接種を希望

W杯予選G組の残り試合は6月に集中開催方式による実施が決定
 マレーシアの通信社ブルナマは現在中断中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選について、マレーシアが所属する予選G組の残り試合全て6月に延期され、さらに集中開催方式で行われることが決定したと報じています。
 アジアサッカー連盟AFCのウインザー・ポール事務局長は、マレーシアの他にベトナム、タイ、アラブ首長国連邦、インドネシアが所属する予選G組についてはAFCの判断で6月開催とすることを各国サッカー協会とのオンラインミーティングで伝えたと、ブル生の取材に答えています。
 またウインザー事務局長は、今後は集中開催となる開催地の選別に取り掛かると話しています。なお開催地となるためにはAFCが設ける複数の条件を満たすことが求められており、その中には国境が開かれていて人の往来が自由に行われていることや、試合のため入国するチームや関係者に対し検疫隔離などの措置が義務付けられていないことなどが挙げられています。

今季のMリーグ2部は10チーム編成か-ペラIIに脱退の可能性が浮上
 今季のMリーグは3月5日に開幕しますが、開幕まで1ヶ月を切ったこの時期に2部のペラIIの出場事態の可能性が報じられています。ペラIIはMリーグ1部ペラのセカンドチームとして昨季からMリーグ2部でプレーしています。
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版は、Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのアブドル・ガニ・ハサン事務局長は、ブリタハリアン紙の取材に対し、ペラIIのトップチームであるMリーグ1部ペラとペラIIの処遇についての話し合いが行われていることを認める一方で、現時点で何も確定しておらず、話し合いをしていること以上は明かすことができないとも述べています。
 ペラIIはセミプロクラブとしてMリーグ3部M3リーグに降格して再出発するという噂もあり、2019年シーズンにはMリーグ1部で最下位となり2部に降格したとはいえ、わずか数年前までトップリーグにいたクラブがセミプロクラブになってしまうのは残念ですが、それ以上に残念なのは今後プロサッカー選手を目指す若い選手たちの受け皿も減ってしまうことです。
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 ペラIIがMリーグ2部を脱退すれば、今季から参戦するFAM-MSNプロジェクトチーム(マレーシアサッカー協会FAMと国家スポーツ評議会MSNが運営する国営サッカーアカデミーの出身者で構成される間にあわせのチーム)を加えても10チーム編成となるMリーグ2部。しかもこのFAM-MSNプロジェクトやMリーグ1部クラブのセカンドチームであるJDT II、トレンガヌII、スランゴール2の3チームには1部への昇格権はありません。つまり今季は残る6チームで2つの昇格権を争う確率1/3の「お得な」シーズンとなっており、各チームが例年以上に積極的に補強しているのはこの機会を逃さないためでもあります。

今季Mリーグ開幕戦はJDTの本拠地で開催決定
 今季のMリーグ開幕戦では昨季の1部リーグチャンピオンJDTと2位のクダ・ダルル・アマンが対戦しますが、*スンバンシーカップとも呼ばれるこの開幕戦について、今季も含めて7年連続でJDTの本拠地で開催されていることから、一部ではMリーグを運営するMFLがJDTを優遇しているという声が出ているようです。こういった声についてMFLのアブドル・ガニCEOは「スンバンシーカップはMリーグ1部スーパーリーグチャンピオンのものであり、試合会場を変更する必要はない。」と述べています。
 JDTがMリーグ1部7連覇を達成していることから起こっているこの事態について、それ以前からもスンバンシーカップはその年のMリーグ開幕戦として、その前年のMリーグ1部優勝チームの本拠地で行われており、JDTを優遇しているわけではないと話すアブドル・ガニCEOは、もし他のMリーグクラブがスンバンシーカップを開催したければ、1部スーパーリーグで優勝すれば良いだけのことであると、外野の声を一蹴しています。
*スンバンシーカップ(スンバンシー:sumbangsihはマレーシア語で」寄付」の意。この試合は英国プレミアリーグのFAコミュニティーシールドを模しています。本国ではリーグチャンピオンとFAカップチャンピオンが対戦する英国サッカー協会FA主催の大会ですが、マレーシアではリーグチャンピオンとマレーシアカップチャンピオンが対戦し、Mリーグ公式戦の一環として行われます。マレーシアカップは2部のクラブが優勝する可能性もあるので、そうなった時にはリーグ戦扱いはできないのですが、その際にどうなるのかは不明です。

2022年AFCクラブライセンス申請受付開始-スリ・パハンとサバは申請せず
 MFLは公式サイトで来季2022年シーズンのクラブライセンス申請の状況を公表していますが、それによると今季2021年シーズンにMリーグ1部および2部でプレーする全18クラブがMFLに国内リーグ用クラブライセンス申請を行っています。
 また今回はアジアサッカー連盟AFC主催のAFCチャンピオンズリーグやAFCカップに出場する際に必要となるAFCライセンスの申請も受け付けが始まっていますが、こちらはMリーグ全クラブではなく1部と2部合わせて11クラブが申請しているようです。その内訳は1部はスリ・パハンとサバを除く1部10クラブと2部はサラワク・ユナイテッドの1クラブだけです。
 なお国内リーグ用クラブライセンスの申請は2月9日に締め切られているということですが、AFCライセンスの申請は今後も様々な書類の提出期限が続くということです。

UITMは主催トーナメント開催を前にワクチン接種を希望
 Mリーグ1部のUITMが1部のペラ、2部のトレンガヌIIとトーナメントを開催するニュースは先日取り上げましたが、Mリーグで初のスポーツバブル方式のテストとなるこのトーナメントを前に、UTIMのムスタザ・アフマドCEOは、スポーツ関連事業者としてMリーグクラブが初期のワクチン接種対象となることを望んでいると話しています。
 マレーシア語紙ハリアンメトロによると、今回のトーナメント期間中、UITMは各試合の前後に選手29名を含む関係者42名にPCR検査や抗体検査を行うということですが、今回のトーナメントでは1人1試合あたり検査費用として480リンギ(およそ12600円)かかるとムスタザCEOは話しており、ワクチン接種が行われればそうした費用も軽減できるとしています。

Mリーグ2部プレミアリーグ2020年シーズン第11節結果

10月9日(金)に、2部プレミアリーグの最終節となる第11節の5試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。) なおクアラルンプールフットボールスタジアム(クアラルンプール)で予定されていたクアラルンプールFA 対クチンFAは順延になっていますが、日程はまだ発表されていません。

10月9日(金)
トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビランFA 1-2 サラワク・ユナイテッドFC
得点者:ヌグリスンビラン- イゴール・ルイス(48分)、サラワク-アダム・シリーン・タムビ(56分)、ミラード・ザニドプール(61分)
 ヌグリスンビランFAの中武駿介選手は先発してフル出場しています。

スルタン・ムハンマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタン・ユナイテッドFC 2-1スランゴール2
得点者:ケランタン-シャールル・ハキム(28分)、ガッサマ・アルフサイネイ(58分)、スランゴール-ダニアル・アスリ(14分)

スルタン・イスマイル・ナシルディン・シャースタジアム(トレンガヌ州クアラトレンガヌ)
トレンガヌFC II 1-0 ペナンFA
得点者:トレンガヌ-ジョーダン・ミンター(88分)
 トレンガヌFC IIの鈴木ブルーノ選手はベンチ入りしませんでしたが、新聞報道によればハムストリングを痛めているということです。

タン・スリ・ダト・ハジ・ハサン・ユノススタジアム(ジョホール州ラーキン)
JDT II 0-1 ケランタンFA
得点者:ケランタン-ダニアル・アシュラフ(28分)
 ケランタンFAの渡邉将基選手はベンチ入りしませんでしたが、JDT IIの廣瀬慧選手は先発してフル出場しています。

UMアリーナ(クアラルンプール)
UKM FC 2-1 ペラII
得点者:UKM-アカニ・サンデイ(19分PK)、バキウディン・シャムスディン(52分)、ペラ-アリフ・ナジミ(48分)

マレーシアプレミアリーグ 2020年シーズン最終順位表

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1+^ペナンFA118212491626
2トレンガヌFC II117131714322
3+^クアラルンプールFA106312112921
4JDT II114342017315
5+ケランタンFA1153313113*15
6+クチンFA104151519-413
7スランゴール2114161723-613
8+ケランタンU114071319-612
9UKM FC113351117-612
10サラワクU113251416-211
11ヌグリスンビランFA113261220-811
12ペラ II101541011-18
^ペナンFAとクアラルンプールFAは2位は2021年シーズンの1部昇格が決定しています。
+は上位5クラブに出場資格が与えられるマレーシアカップ出場権を獲得したクラブ(トップチームがMリーグ1部に在籍するクラブのセカンドチームにはマレーシアカップ出場資格はありません。)
*7位のケランタンFAは給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアプレミアリーグ2020年シーズン最終ゴールランキング

ゴール数選手名所属試合数
9カサグランデペナンFA11
8エンドリックペナンFA11
8フェルナンド・ロドリゲスJDT II10
7フランシス・コネクアラルンプールFA10
7ダニアル・サアリスランゴール210
7ジョーダン・ミンタートレンガヌFC II11

10月6日のニュース:Mリーグ1部フェルダUがMリーグ撤退を表明、Mリーグ20クラブに民営化承認、2021年シーズンのクラブライセンス発給は13クラブ-他の8クラブは条件付きで発給

Mリーグ1部フェルダUがMリーグ撤退を表明
 Mリーグ1部のフェルダ・ユナイテッドFCがMリーグからの撤退を発表しています。9月30日が期限となっていたMリーグ1部と2部のクラブに義務付けられていた民営化手続きについて、フェルダ・ユナイテッドFCと2部のUKM FCについては、期限までに民営化認可がマレーシアフットボール協会から発表されず、両クラブは提出した民営化申請書類に関してさらなる説明が必要とされ、その詳細は昨日10月5日に改めて発表される予定だったことはこのブログでも取り上げました。そここら急転直下のリーグ撤退発表です。
 「急転直下」と書きましたが、実はこの発表の前、フェルダ・ユナイテッドFCでは様々なことが起こっていたようです。発端はフェルダ・ユナイテッドFCの運営会社のアフィダル・アブ・オスマン事務局長以下の職員16名全員が9月1日付で突然解雇され、フェルダ・ユナイテッドFCの運営権がこの運営会社からクラブの母体であり政府系機関のフェルダ連邦土地開発庁自身に移ったことです。さらにそれまでフェルダ・ユナイテッドFCの運営会社が使用していたフェルダ本社ビル内の事務所は完全立ち入り禁止となりました。そして今度はこの立ち入り禁止となっていた事務所に泥棒が入る事件が起こりました。盗まれたのは2014年から2018年までの資料で、その資料はマレーシア汚職防止委員会MACCが必要としていたものだということです。MACCの職員がその書類を取りに事務所へ来た際にドアが破られ、監視カメラの向きが変えられ、天井に穴が開き、重要資料の入ったフォルダーがなくなっていることを発見しました。別の監視カメラの映像により「内部」の人間と思しき者の犯行であることが発覚し、現在、警察が捜査中という報道もあります。
 そんな「内部抗争」ともいえそうな事態の中で発表されたフェルダ・ユナイテッドFCの撤退ですが、マレーシアの通信社ブルナマの報道では、そもそもフェルダ自身が運営会社に代わってクラブの運営を担うことになった目的はクラブの支出の管理を含めた運営の透明性を確保することだったとされています。この目的でクラブの運営権を手にしたフェルダはクラブの存続を決定する権利も得ており、今回のリーグ撤退には違法性がないということです。
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 新型コロナウィルスによるリーグ中断までは、今季優勝したJDTと引き分けるなど1勝2分1敗の成績だったフェルダ・ユナイテッドFCは、リーグ再開となった第5節以降は0勝2分4敗と失速しましたが、この騒動による影響は少なからずあったのではないでしょうか。
 2007年に発足したフェルダ・ユナイテッドFCは3部リーグのFAMカップ(当時、現M3リーグ)でプレーしたものの、翌年2008年には2部プレミアリーグに昇格し、2010年にはプレミアリーグで優勝して1部スーパーリーグへ昇格しました。2014年には2部降格を経験するも翌年2015年には1年で1部に復帰するなど安定した力を発揮するクラブでした。
 しかしこの状況も近年では様変わりし、2017年にはクラブライセンス更新に必要な書類に不備があったことから1部で3位になりながら2部降格処分を受けています。そして2018年シーズンは2部で優勝し1部復帰を決めながら、シーズン末には選手や当時のサティアナタン・バスカラン監督、コーチに対する給料未払いが発覚し、その結果、外国籍選手全員を含む半数以上の主力選手との契約を解除しました。そして2019年シーズンは新たな外国籍選手に傘下の21歳以下と19歳以下チームから選手を昇格させて戦い、最終戦で1部残留を決めています。
 クラブの母体となっているフェルダ連邦土地開発庁は、当初は地方でジャングルを伐採し、農園を併設した入植地を開発し、土地を持たないマレー系マレーシア人を移住させる、いわば「貧困農民」対策のための政府機関として発足しましたが、現在では財源が政府から独立して運営されており、フェルダ傘下のFGVホールディングは世界第2位のパームオイル生産を誇るマレーシアでもトップ企業です。しかしこちらも近年は問題が多く、その豊かな財政は不正行為の温床ともされ、前会長は海外不動産にへの不当に高額な投資を主導し、その取引で不当な利益を得た疑いでマレーシア汚職防止委員会MACCに逮捕されています。また直近では先月9月30日にアメリカ政府が労働者虐待や児童労働を理由にFGVホールディングからのパーム油輸入禁止を発表するなど、フェルダを取り巻く環境は厳しくなっています。

FAMは21クラブに民営化承認
 上のフェルダ・ユナイテッドFCのMリーグ撤退が発表された一方で、来季からのMリーグ1部と2部でプレーするための条件でもあるクラブの民営化承認を受けたクラブがマレーシアサッカー協会FAMの公式サイトで発表になっています。
 ジョホール・ダルル・タジムJDT、トレンガヌFC、ペラTBG、スランゴールFCが持つBチームはトップチームとセットで承認されており、Mリーグ1部と2部の全24クラブにM3リーグの国軍AF FCを含めた21クラブが民営化承認を受けています。
 なおこの中には上で取り上げたフェルダ・ユナイテッドFCも含まれていますが、このフェルダ・ユナイテッドFCと2部のUKM FCについては、提出された書類の内容についてさらなる説明が必要とされており、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロよれば、UKM FCはスライマン・フシン監督をクラブのオーナー兼経営陣の一人としている点の説明が求められ、フェルダ・ユナイテッドFCは現在の「内部抗争」についての説明が求められているとしています。しかしリーグ撤退を表明したフェルダ・ユナイテッドFCはその必要がなくなりました。
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 この民営化については2013年に計画されながら、2017年にアジアサッカー連盟AFCによる「アドバイス」を受けて実現につながったようです。これが実現しないと2021年以降はAFCチャンピオンズリーグやAFCカップなどAFC主催大会に出場できなくなることからFAMの尻に火がついた格好でしょうか。

2021年シーズンのクラブライセンス発給は13クラブ-他の8クラブは条件付きで発給 同じFAMの公式サイトでは、来季2021年シーズンの国内クラブライセンス発給状況についても発表されています。
 これによるとMリーグ1部スーパーリーグで今季2020年シーズンにプレーする12クラブのうち10クラブが来季のクラブライセンスを発給されているということです。なお、これにはフェルダ・ユナイテッドFCも含まれています。
 またパハンFAとマラッカ・ユナイテッドについては条件付きでライセンスが発給されているということです。
 Mリーグ2部プレミアリーグの8クラブ(*)ではケランタン・ユナイテッドFC、クアラルンプールFA、ヌグリスンビランFAがクラブライセンスの発給を受けており、残るクチンFA、ケランタンFA、UKM FC、ペナンFA、サラワク・ユナイテッドFCの5クラブについては、やはり条件付きでライセンスが発給されています。(*2部プレミアリーグのJDT II、トレンガヌFC II、スランゴール2、ペラIIの4クラブは1部クラブのBチームのため、トップチームと込みでライセンスが認められています。)
 なお条件付きでライセンスが発給されたクラブは10月31日までに追加の書類等を提出する必要があり、この期限に間に合わなかった場合には罰金、勝点削減、降格、そしてクラブライセンスの発給中止などの処分が科せられるということです。 またMリーグ1部と2部のクラブの内、9クラブがアジアサッカー連盟AFC主催の大会に出場できるAFCライセンスを合わせて申請し、JDT、クダFA、ペラTBG、トレンガヌFC、スランゴールFC、PJシティFC、フェルダ・ユナイテッドFC、クアラルンプールFAの8クラブがAFCライセンスの発給を受けたことも発表された一方で、マラッカ・ユナイテッドFCはAFCライセンスの発給条件を満たしていないため、発給されなかったということです。
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 FAMの公式サイトには国内クラブライセンスの申請条件と、条件付きでライセンスが発給された各クラブの問題が指摘されています。本日分は文字数も多くなったのでこちらについては次回のブログで紹介します。

Mリーグ2部プレミアリーグ2020年シーズン第10節結果

10月2日(金)から10月4日(日)の3日間に、2部プレミアリーグ第10節の6試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。)
*10月5日に一部内容を修正しました。

10月2日(金)
サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
サラワク・ユナイテッドFC 0-1 トレンガヌFC II
得点者:トレンガヌ-ジョーダン・ミンター(6分)
 前節第9節のケランタン・ユナイテッドFC戦でGKと接触し11分で交代した鈴木ブルーノ選手がハムストリングを痛めて今季絶望という報道があった他、トップチームのトレンガヌFCのDFババカル・ディアロのケガで開いた穴を埋めるため、DFアルグジム・レゾビッチがトップチームに昇格するなど外国籍選手2名を欠くトレンガヌFCでしたが、敵地でサラワク・ユナイテッドFCに勝利しています。
 トレンガヌFC IIの鈴木ブルーノ選手は前述の通り、ケガのためベンチ入りしませんでした。

MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール2 2-1 UKM FC
得点者:スランゴール-クェンティン・チェン(10分)、バジュラム・ネビヒ(34分)、UKM-ハフィジ・アミルディン(84分)

シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナンFA 4-0 ケランタン・ユナイテッドFC
得点者:ペナン-リ・チャンフン(18分)、アル・ハフィズ・ハルン(21分)、ボビー・ゴンザレス(53分)、カサグランデ(74分)
 ペナンFAは数字上優勝の可能性が残っていた2位のクアラルンプールFAがこの日の試合で引き分けたため、Mリーグ2部の優勝を決めています。ペナンFAにとっては2013年のFAMカップ(現M3リーグ)での優勝以来のタイトルとなります。
(下は優勝を報告するペナンFAのFacebook投稿と優勝を決めた試合のハイライト動画-いずれもペナンFA公式Facebookより)

MPMスタジアム(ペラ州マンジュン)
ペラII 0-0 クアラルンプールFA
得点者:なし

10月3日(土)
スルタン・ムハマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタンFA 2-2 ヌグリスンビランFA
得点者:アミルル・シャフィク(29分)、ニック・アキフ・シャヒラン(83分PK)、ヌグリスンビラン-アルミール・ネト(15分PK)、イゴール・ルイス(87分)
 ケランタンFAの渡邉将基選手は警告累積により出場停止、一方、ヌグリスンビランFAの中武駿介選手は先発してフル出場しています。

10月4日(日)
サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンFA 2-2 JDT II
得点者:クチンFA-ブライアン・ジョーンズ(23分PK)、鈴木雄太(58分)、JDT-フェルナンド・ロドリゲス(54分)
 今季からMリーグ2部でプレーするクチンFAが逆転勝ちの4連勝で5位以内を確定し、クラブ史上初のマレーシアカップ出場を確定させています。
 クチンFAの決勝ゴールを決めた鈴木雄太選手と谷川由来選手もいずれも先発してフル出場しています。
 JDT IIの廣瀬慧選手は先発して61分に交代しています。
 なお、クチンFAの勝利は地上波のニュースでも取り上げられました。

https://youtu.be/LqHz3Zr4Juc

マレーシアプレミアリーグ順位表(第10節終了時)

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1+^ペナンFA108202471726
2+^クアラルンプールFA106312112921
3トレンガヌFC II106131614219
4JDT II104332016415
5+クチンFA104151519-413
5スランゴール2104151621-513
6ケランタンFA1043313112*12
8ヌグリスンビランFA103251118-711
9ケランタンU103071118-79
10UKM FC10235916-69
11サラワクU102251215-38
12ペラ II101541011-18
^ペナンFAとクアラルンプールFAは2位以内が確定し、2021年シーズンの1部昇格が決定しています。
+は上位5クラブに出場資格が与えられるマレーシアカップ出場権を獲得したクラブ(Mリーグ1部にトップチームを持つBチームにはマレーシアカップ出場資格はありません。)
*5位のケランタンFAは給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアプレミアリーグ ゴールランキング(第10節終了時)

ゴール数選手名所属試合数
9カサグランデペナンFA10
8エンドリックペナンFA10
8フェルナンド・ロドリゲスJDT II10
7フランシス・コネクアラルンプールFA10
6ダニアル・サアリスランゴール29
6ジョーダン・ミンタートレンガヌFC II10


Mリーグ2部プレミアリーグ2020年シーズン第9節結果

9月25日(金)から9月27日(日)の3日間に、2部プレミアリーグ第8節の6試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。)

9月25日(金)
クアラルンプールフットボールスタジアム(クアラルンプール)
クアラルンプールFA 5-4 スランゴール2
得点者:クアラルンプール-ファクルル・アイマン(34分)、ニコラス・ドゥル(35分)、フランシス・コネ(42分)、インドラ・プトラ・マハユディン(72分)、イズリーン・イズワンディ(81分)、スランゴール-シャズワン・シャリヒン(5分)、バジラム・ネビヒ2(63分、69分)、ダニアル・アスリ(67分)
 この日の勝利で2位以上が確定したクアラルンプールFAが、1シーズンで来季のMリーグ1部スーパーリーグ復帰を決めています。

(1部復帰を祝うポスト-クアラルンプールFAの公式Facebookより)

スルタン・ムハマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタンFA 1-0 サラワク・ユナイテッドFC
得点者:ケランタン-ナズリン・ナウィ(84分PK)
 ケランタンFAの渡邉将基選手は先発してフル出場しましたが、この試合でもイエローをもらっています。

トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビランFA 2-4 クチン FA
得点者:ヌグリスンビラン-マテウス・ビーラ2(26分、50分)、クチン -ブライアン・アニゼシオ2(12分、23分)、ハドソン・ディアス( 21分)、ジミー・レイモンド(28分)
 かつて関東大学リーグで対戦経験があったという鈴木雄太選手と中武駿介選手のマレーシアでの再戦は、鈴木選手のクチンFAが今季最多の4ゴールを決め、中武選手のヌグリスンビランFAを破り、前節に続き勝利を収めています。
 ヌグリスンビランFAの中武駿介選手はスタメンでフル出場しています。
 クチンFAの鈴木雄太選手と谷川由来選手もいずれも先発してフル出場しています。

9月26日(土)
MPSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
UKM FC 1-2 ペナンFA
得点者:UKM-アカニ・サンディ(17分)、ペナン-カサグランデ(49分)、エンドリック(66分)

タン・スリ・ダト・ハジ・ハサンスタジアム(ジョホール州ラーキン)
JDT II 1-1 ペラII
得点者:JDT-フェルナンド・ロドリゲス(分)、ペラ-サチャ・ペトシ(64分PK)

9月27日(日)
スルタン・ムハマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタン・ユナイテッドFC 2-3 トレンガヌFC II
得点者:ケランタン-カイルル・イズワン(17分)、ガッサミー・アルフサイネイ(62分PK)、トレンガヌ-エンク・シャキル(23分)、ジョーダン・ミンタ2(24分、45+1分)
 トレンガヌFC IIの鈴木ブルーノ選手は9月25日(金)の1部スーパーリーグでトレンガヌFCの試合に先発しましたが、2日後のこの試合でも途中11分から出場し、試合終了までプレーする鉄人ぶりを発揮しています。

マレーシアプレミアリーグ順位表(第9節終了時)

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1^ペナンFA97202071323
2^クアラルンプールFA96212112920
3トレンガヌFC II95131514115
4JDT II94321914515
5ケランタンFA94231192*11
6クチン FA93151318-510
7スランゴール293151420-610
8ヌグリスンビランFA9315916-710
9ケランタンU93061114-39
10UKM FC9234814-69
11サラワクU92241214-28
12ペラ II91441011-17
^ペナンFAとクアラルンプールFAは2位以内が確定し、2021年シーズンの1部昇格が決定しています。
*5位のケランタンFAは給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアプレミアリーグ ゴールランキング(第9節終了時)

ゴール数選手名所属試合数
8カサグランデペナンFA9
8エンドリックペナンFA9
7フランシス・コネクアラルンプールFA9
7フェルナンド・ロドリゲスJDT II9
6ダニアル・サアリスランゴール29

9月25日のニュース:FAMとパハン州FAはお互いを非難、スランゴール州FAはスマレとの交渉はFAMの承認済みと主張するもFAMは否定、期限まで1週間となった民営化が完了しているのは現時点で12クラブ

FAMとパハン州FAはお互いを非難
 マレーシアサッカー協会FAMとMリーグ1部パハンFAを運営するパハン州サッカー協会(パハン州FA)はお互いに非難を応酬し合う状況になっています。
 パハン州FAを離れてタイ1部リーグのポリス・テロFC移籍を発表したモハマドゥ・スマレに対して、今月9月11日にパハン州FAはFAMへ不服申し立てを行いましたが、FAMの対応が不十分として、一昨日9月22日にFAMを強い調子で非難する声明を公式Facebookなどで公開しました。
 パハン州FAのノーリア・アブドル・マナフ事務局長は自身の名で出された公式声明で「(対応が遅れていることについて)FAMはFIFAの対応を待っているといることを理由にしているが、パハン州FAはこの理由を受け入れることはできない。マレーシア人選手に関する事例への対応はFAMの管轄であり、アジアサッカー連盟のウインザー・ポール事務局長もメディア向けの声明でこれを肯定している。」と述べ、パハン州FAも含め国内の州FAを統括する立場のFAMは、今回のスマレ選手に関する件についてパハン州FAの申し立てに真剣かつ速やかに対応するべきだとしています。
 さらにパハン州FAのノーリア事務局長は、FAMが早急に対応しない場合、マレーシア国内のスポーツに関する問題を裁定するスポーツコミッショナーにこの件についての裁定を仰ぐことも検討しているとしています。
 「パハンFAを離脱するに至った理由としてスマレ選手が挙げている内容は不正確な上にでっち上げであり、パハン州FAは事実に基づきスマレ選手の主張に異議を申し立てる用意がある。」と話すノーリア事務局長は、スマレ選手が離脱の最大の理由として挙げている契約内容とは異なる給料が過去3年間に渡り支払われていたことについても、これを全面的に否定しています。
 一方のFAMは公式サイトに反論を掲載し、パハン州FAによる非難は根拠がない上に無責任であるとしてこれを糾弾しています。
 FAMはこの件がパハン州FAから報告された当初から、スマレ選手に関する提訴をFIFAへ行うための手順や必要条件などを提示してパハン州FAに協力してきたと主張し、パハン州FAへの反論ではその事実を時間の経緯に沿って説明しています。その上でスマレ選手が契約破棄の根拠としている「給料未払いが発生した際には契約を破棄できる」という条項が使われた事実について自身の責任を理解するべきだと、パハン州FAの非難に応酬しています。

スランゴール州FAはスマレとの交渉はFAMの承認済みと主張するもFAMは否定
 またパハン州FAとFAMの論争の最中に明らかになったのが、Mリーグ1部スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会(スランゴール州FA)がスマレ選手に接触する際にFAMがこれを承認していたというニュースです。
 こちらはスランゴール州FAのジョハン・カマル・ハミドン事務局長がFAMに事前に資格紹介を行い、さらにFAMから承認を得た上で獲得交渉を行っていたことを明かし、これがパハン州FAのFAMに対するさらなる非難を産む原因になっています。
 英字紙ニューストレイトタイムズにはパハン州FA関係者の話として、パハン州FAとスマレ選手の「離婚調停」を行なっていたFAMが、その裏ではスランゴールFAとスマレ選手の「結婚」を承認していたと、FAMを非難しているとしています。
 しかもこの話がここで終わらないのがマレーシア。FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、FAMにはスランゴール州FAとスマレ選手の交渉を許可する資格も禁止もする資格もないと話し、スランゴール州FAのジョハン事務局長の問い合わせてに対しては、スマレ選手は契約内容に含まれていた「給料未払いが起こった際に契約を破棄できる」という条項を使って契約を破棄したという事実を伝えただけであると話しています。
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 正式な契約書が交わされていながらこの様な問題が発生すること自体、正直、理解ができませんし、誰かが(あるいは関係者全員が)自身に都合よくその内容を解釈しているのかも知れません。結局はプロサッカーチームの運営を各州の議員や公務員といったアマチュアが運営していることに起因している様に感じます。皇族を協会の会長に置くパハン州FAとスランゴール州FAがこの件に関連しているのは単なる偶然ではなく、そういった権威の下でそれを傘にきた輩が自身の権力闘争にサッカーを利用している図式が見え隠れしている気がします。監督をクビにしてもその任命責任が問われないスランゴール州FAはその際たるものでしょう。そのためにも次の記事で取り上げるクラブの民営化は何としても進めていかなければならない様に思います。

期限まで1週間となった民営化が完了しているのは現時点で12クラブ
 マレーシアサッカー協会FAMが期限を9月30日に設定したクラブの民営化ですが、現時点では12クラブが民営化手続きを完了していることをFAMが公式サイトで発表しています。マレーシアのプロクラブの大半は、各州サッカー協会(州FA)が運営していますが、FAMはアジアサッカー連盟AFCの指導に基づき、各州FAが運営するクラブを州FAから切り離す民営化を求めており、その期限はあと1週間ほどに迫っています。
 今回FAMが発表した民営化手続きが完了しているクラブは、ジョホール・ダルル・タジムJDT、PJシティFC、マラッカ・ユナイテッドFC、トレンガヌFC、サバ、ペラTBG(以上Mリーグ1部)、サラワク・ユナイテッドFC、ヌグリスンビラン、ケランタン・ユナイテッドFC、クチン・シティFC、クアラルンプール(以上Mリーグ2部)そしてMリーグ3部所属のマレーシア国軍FCの12クラブです。
 またこの他、Mリーグ1部のスランゴールFC、フェルダ・ユナイテッドFCと2部ケランタンは手続きの最終段階に入っていること、また1部のパハンとクダ、2部のペナンは手続きの最中であるともされています。
 その一方でマレーシア王立警察を母体とするPDRM FCと国立大学を母体とするUITM FCとUKM FCについては手続きを始めたばかりの段階ということで、FAMは速やかな対応を求める督促状を送ったとしています。
 民営化が完了しないクラブは、AFC主催のAFCチャンピオンズリーグやAFCカップなどの大会にはマレーシア代表として出場できない他、来季2021年以降は国内リーグのMリーグ1部と2部でもプレーするためのクラブライセンスが発給されません。
 なおFAMのプロ委員会のモハマド・フィルダウス・モハマド委員長名で出されたこの発表では、民営化手続きを完了していないクラブに対して9月30日の期限は決して延長されないとする一方で、必要な支援をいつでも行う用意があり、今季の1部と2部の全クラブが民営化手続きを期限までに完了することを望んでいるとも書かれています。

Mリーグ2部プレミアリーグ2020年シーズン第8節結果

9月18日(金)から9月20日(日)の3日間に、2部プレミアリーグ第8節の6試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。)

9月18日(金)
サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
サラワク・ユナイテッドFC 2−1 ケランタン・ユナイテッドFC
得点者:サラワク-アムリ・ヤハヤ(7分)、パトリック・ウレー(18分)、ケランタン-アルフサイネイ・カッサーマ(79分PK)
 ザハスミ・イスマイル監督を「休養」させたケランタン・ユナイテッドFCは、モハマド・ナズルレルワン・マクモル新監督も連敗が止められず4連敗となっています。

9月19日(土)
シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナンFA 2-1 クアラルンプールFA
得点者:エンドリック(45分)、ラファエル・ヴィトール(90+2分)、クアラルンプール-インドラ・プトラ・マハユディン(71分)
 1位と2位の対決となったこのカードは、ペナンFAが勝利しています。この勝利によって昇格資格を持つ他のクラブを含めても上位2位に入ることが決まり、来季1部スーパーリーグへの自動昇格権を獲得しています。

MPMスタジアム(ペラ州マンジュン)
ペラII 0-0 ヌグリスンビランFA
得点者:なし
 ヌグリスンビランFAの中武駿介選手はスタメンでフル出場しています。

9月20日(日)
サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンFA 2-0 ケランタンFA
得点者:クチン-鈴木雄太(67分)、谷川由来(77分)
 クチンFAは日本人コンビの2ゴールに加え今季初完封勝利を挙げ、これで2連勝。今季初めて最下位を脱出しています。
 クチンFAの鈴木雄太選手と谷川由来選手はいずれも先発してフル出場し、それぞれ今季初ゴールも決めています。
 ケランタンFAの渡邉将基選手は先発してフル出場しましたが、この試合でイエローをもらっています。

(ゴールを挙げた鈴木選手に駆け寄る谷川選手-クチンFAのFacebookより)

スルタン・イスマイル・ナシルディン・シャースタジアム(トレンガヌ州クアラトレンガヌ)
トレンガヌFC II 2-2 UKM FC
得点者:トレンガヌ-チェ・アリフ・チェ・カマルディン(18分)、鈴木ブルーノ(20分)、UKM-バキウディン・シャムスディン2(47分、85分)
 トレンガヌFCIIはこの引き分けでリーグ再開からの連敗を4で止めています。
 トレンガヌFC IIの鈴木ブルーノ選手は先発でフル出場し、今季2度目のゴールを決めています。

(ゴールを挙げた鈴木選手-トレンガヌFC IIのFacebookより)

MPPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール2 1-6 JDT II
得点者:スランゴール-ダニアル・アスリ(57分)、JDT-ニコラス・フェルナンデス2(21分、33分)
フェルナンド・ロドリゲス2(25分、49分)、チェ・ラシド・チェ・ハリム(69分)、シャズワン・アンディック(71分)
 トップチームがスランゴールFCを6-1と粉砕した翌日に、JDTのBチームがスランゴールFCのBチームを同じスコアで撃破するという作り話の様な試合でした。
 JDT IIの廣瀬慧選手は先発して、今季初のフル出場を果たしています。

マレーシアプレミアリーグ順位表(第8節終了時)

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1ペナンFA86201861220
2クアラルンプールFA8521168817
3JDT II84221813514
4トレンガヌFC II84131212013
5スランゴール283141015-510
6ヌグリスンビランFA8314712-510
7ケランタンU8305911-29
8UKM FC8232712-59
9ケランタンFA832310918
10サラワクU82231213-18
11クチンFA8215916-77
12ペラ II8134910-16
*9位のケランタンFAは給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアプレミアリーグ ゴールランキング(第8節終了時)

ゴール数選手名所属試合数
7カサグランデペナンFA8
7エンドリックペナンFA8
6フランシス・コネクアラルンプールFA8
6フェルナンド・ロドリゲスJDT II8
5ダニアル・サアリスランゴール28
5パトリック・ウエーサラワク・ユナイテッド8

Mリーグ2部プレミアリーグ2020年シーズン第7節結果

 9月11日(金)と9月12日(土)の両日に、2部プレミアリーグ第6節の6試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。)
 1位のペナンFAと2位のクアラルンプールFAがいずれも勝利し、1部昇格を狙うライバルとの勝点差を8としています。

9月11日(金)
MPSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
UKM FC 1-0 ケランタン・ユナイテッドFC
得点者:UKM-ハイズ・ハニフ(90分)

9月12日(土)
サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンFA 2-1 サラワク・ユナイテッドFC
得点者:クチン-ハイロル・モクタル(18分)、ラフィエザン・ラザリ(87分)、サラワクU-パトリック・ロナルジーニョ(60分)
 ともにサラワク州クチンを本拠地とする2チームのサラワクダービーでは、クチンFAが今季初勝利を挙げています。
 クチンFAの鈴木雄太選手と谷川由来選手はいずれも先発してフル出場しています。

スルタン・ムハマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタンFA 1-0 ペラII
得点者:ケランタン-ニック・アキフ・シャヒラン(45分+1分)
 ケランタンFAの渡邉将基選手は先発でフル出場しています。

クアラルンプールフットボールスタジアム(クアラルンプール)
クアラルンプールFA 4-1 トレンガヌFC II
得点者:クアラルンプール-フランシス・コネ2(12分PK、47分)、パウロ・ジョズエ(20分)、ズハフリ・ヤハヤ(90分+5分)、トレンガヌ-ジョーダン・ミンター(82分)
 この勝利で勝点で並びながらも、得失差でペナンFAに次ぐ2位となっているクアラルンプールFAは次節第8節でペナンFAと直接対決します。
 一方のトレンガヌFC IIは新型コロナウィルスによる中断からの再開後は3連敗となっています。
 トレンガヌFC IIの鈴木ブルーノ選手は先発でフル出場しています。

トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビランFA 2-1 スランゴール2
得点者:ヌグリスンビラン-アルミール・ネト2(30分、87分)、スランゴール-クエンティン・チェン(29分)
 ヌグリスンビランFAの中武駿介選手はスタメンでフル出場しています。

タン・スリ・ダト・ハジ・ハサン・ユノススタジアム(ジョホール州ラーキン)
ジョホール・ダルル・タジムJDT II 1-2 ペナンFA
得点者:JDT-フェロズ・バハルディン(31分)、ペナン-カイル・アズリン(4分)、エンドリック(44分)
 JDT IIの廣瀬慧選手は先発出場し、83分に交代しています。

マレーシアプレミアリーグ順位表(第7節終了時)

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1ペナンFA75201651117
2クアラルンプールFA7520156917
3トレンガヌFC II74031010012
4JDT II73221212011
5スランゴール2731399010
6ケランタンU730489-19
7ヌグリスンビランFA7304712-59
8ケランタンFA732210738
9UKM FC7223510-58
10ペラ II7124910-15
11サラワクU7123910-15
12クチンFA7115716-94
*8位のケランタンFAは給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアプレミアリーグ ゴールランキング(第7節終了時)

ゴール数選手名所属試合数
7カサグランデペナンFA7
6エンドリックペナンFA7
6フランシス・コネクアラルンプールFA6
4パウロ・ジョズエ他5名

Mリーグ2部プレミアリーグ2020年シーズン第6節結果

 9月4日(金)と9月5日(土)の両日に、2部プレミアリーグ第6節の6試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。)

9月11日(金)
シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナンFA 2-0 ヌグリスンビランFA
得点者:ペナン-カサグランデ(6分)、リ・チャンフン(62分)
 ホームのペナンFAがリーグ再開から2連勝で首位に躍り出ました。リーグ得点王のカサグランデがこの試合でもゴールを決め、6試合で7ゴールと好調を維持しています。ちーむも今季はまだ無敗です。
 一方、ヌグリスンビランFAはMリーグ1部への自動昇格となるリーグ2位まで勝点差8となってしまい、昇格争いから脱落です。
 ヌグリスンビランFAの中武駿介選手はスタメンでフル出場しています。

スルタン・ムハマド4世スタジアム(ケランタン州コタ・バル)
ケランタン・ユナイテッドFC 0-2 クアラルンプールFA
得点者:クアラルンプール-パウロ・ジョスエ2(63分、90分+2分)
 クアラルンプールFAがリーグ中断を挟み3し、勝点14として2位に浮上しています。首位のペナンFA同様、6試合無敗で勝点では並んでいるものの、得失差により2位となっています。
 ケランタン・ユナイテッドFCはリーグ再開から2連敗です。

サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
サラワク・ユナイテッドFC 0-0 UKM FC
得点者:なし

9月5日(土)
MPMスタジアム(ペラ州マンジュン)
ペラII 5-1 クチンFA
得点者:ペラ-カイルル・アシュラフ・サヒザ(15分)、ナズミ・アーマド(26分)、アディブ・ラオプ2(50分、57分)、サシャ・ペッシ(89分)、クチン-ジョセフ・カラン・ティ(55分)
 今季初勝利を目指した両チームの戦いはペラIIが勝利し、今季初白星を飾っています。
 一方、クチンFAはこの試合でも勝利を得られず今季勝ち星のない唯一のクラブになってしまいました。
 クチンFAの鈴木雄太選手と谷川由来選手はいずれも先発してフル出場しています。

スルタン・イスマイル・ナサルディン・シャースタジアム(トレンガヌ州クアラトレンガヌ)
トレンガヌFC II 2-3 JDT II
得点者:トレンガヌ-エンク・ヌル・シャキル2(1分、55分)、JDT-キコ・インサ2(11分、27分)、フェルナンド・ロドリゲス(66分)
 Bチーム同士の対戦は、リーグ中断まで4連勝だったトレンガヌFC IIが前節に続いて連敗しています。
 勝利したJDT IIは、代表招集も噂されている帰化選手のリリドン・クラスニキが先発出場。このままだと選手層が厚いトップチームで出場機会のないBチームの選手が代表招集という可能性もありそうです。
 トレンガヌFC IIの鈴木ブルーノ選手は先発でフル出場していますが、JDT IIの廣瀬慧選手はベンチ入りしませんでした。

MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール20-0 ケランタンFA
得点者:なし
 新オーナーが決まり心機一転が期待されたケランタンFAでしたが、引き分けに終わり上位浮上のきっかけが掴めないままBクラスに低迷しています。
 一方、スランゴール2はこの試合後にU19代表候補合宿に参加する選手が離脱するため今後は選手層の薄さに苦しみそうです。
 ケランタンFAの渡邉将基選手は警告累積による出場停止によりベンチ入りしませんでした。

マレーシアプレミアリーグ順位表(第6節終了時)

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1ペナンFA64201441014
2クアラルンプールFA6420115614
3トレンガヌFC II640296312
4JDT II63211110111
5スランゴール2631267110
6ケランタンU63038809
7ヌグリスンビランFA6204511-66
8ケランタンFA62229725
9ペラ II61239905
10サラワクU 6123910-15
11UKM FC6123410-65
12クチンFA6015515-101
*8位のケランタンFAは給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアプレミアリーグ ゴールランキング(第6節終了時)

ゴール数選手名所属試合数
7カサグランデペナンFA6
5エンドリックペナンFA6
4ダニアル・アスリスランゴール26
4フェルナンド・ロドリゲスJDT II6
4フランシス・コネクアラルンプールFA6
4フェリックス・チディケランタン6