1月14日のニュース:前PKNS FC監督は国外のクラブでの指導を視野に、カンボジアリーグ王者がマレーシアでのプレシーズンマッチツアーを終了

前PKNS FC監督は国外のクラブでの指導を視野に
 スランゴールFA(現スランゴールFC)に吸収合併され、スランゴールFCのBチームとなったPKNS FC前監督のラヤゴパル・クリシュナサミ氏は、マレーシア国外での監督に興味を持っているとマレー語氏シナルハリアン電子版が伝えています。
 現役時代にもプレーしたPKNS FCの他、ケランタンFA、スランゴールFA、サラワクFAでも監督経験のあるラヤゴパル氏は、昨年2019年10月に開幕したインドスーパーリーグISLで、12試合を経過した時点で8位に低迷するチェンナイインFCの監督就任が噂されていました。しかしジョン・グレゴリー監督が解任され空席となった監督のポストにはオーウェン・コイル氏が就任したことから、この話は立ち消えになってしまいました。
 ラヤゴパル氏自身はシナルハリアンの取材に対し、現在も東南アジアのクラブでの監督就任を希望している一方で、新たなシーズンに向けて多くのクラブで監督がすでに決まっていることを認めています。
 ラヤゴパル監督は、フル代表の監督として2010年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップで優勝している他、その前年2009年にはU22代表監督として東南アジア競技大会通称シーゲームズでも金メダルを獲得するなど現役監督しての実績はトップクラスです。フル代表監督を退いた2014年にはベトナム代表監督候補という報道もでるなど、その評価は国外でも高いようなので、近いうちにどこかの国のクラブの監督に就任する可能性は大有りです。
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 国外で監督を務めたマレーシア人指導者としては、前トレンガヌFC監督のイルファン・バクティ(2007年にインドネシア1部リーグのプルシプラ・ジャヤプラで監督)やそのイルファン氏のコーチングスタッフとしてインドネシアに渡り、イルファン氏が帰国後もインドネシアに残り、現在はマレーシアよりもインドネシアで名前が知られているラジャ・イサ氏(現インドネシア2部リーグのPSPSリアウ監督)がいます。

カンボジアリーグ王者がマレーシアでのプレシーズンマッチツアーを終了
 マレーシアに遠征していた昨季2019年カンボジアリーグ王者のプレア・カン・リーチ・スヴァイ・リエンFC(PKRSR FC)が3試合のプレシーズンマッチを終えたとスポーツ専門サイトのフォックススポーツが伝えています。
 PKRSR FCはスランゴールFC、フェルダ・ユナイテッド、そして昨日のトレンガヌFCとMFL1部の3クラブと対戦し、それぞれ4−0、2-1、4-3と3戦全勝でツアーを終えています。
 このPKRSR FCは、昨季のカンボジアリーグでは20勝5分1敗(しかも1敗はリーグ最終戦)と国内リーグではダントツの強さを誇り、アイルランド出身のコナー・ネストー監督がアイルランドサッカー協会の育成コーチや国内リーグのリムリックFCのU19監督などを歴任後、カンボジアでの監督就任2年目で優勝チームを作り上げています。
 なお、PKRSR FCは1月22日と29日に行われるアジアサッカー連盟AFCカップの予選ラウンドではラオスのマスター7FCと対戦し、この試合に勝つとAFCカップ本選に出場します。

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 昨日のトレンガヌFCとの試合は、私も後半だけ観戦しました。主将のリー・タックらが出場していなかったせいもあるかも知れませんが、私が観戦した時間帯はほぼトレンガヌFCのハーフ内で試合が行われている印象で、トレンガヌFCは前線にボールが渡ることがあっても結局シュートまで結びつかず、私が観戦する前までにどうやって3点も取ったのだろうという印象でした。

12月13日のニュース:プルリスFAのMFL復帰への道は険しい、ケランタン州サッカー協会に再びFIFAによる制裁の可能性が浮上

プルリスFAのMFL復帰への道は険しい
 昨季2019年シーズンにマレーシアフットボールリーグMFL2部で給料未払い問題と運営資金不足が明らかになり、開幕後わずか3試合でMFLよりリーグ出場停止処分となったプルリスFAのリーグ復帰の道のりはまだ険しいと、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が伝えています。
 プルリスFAはリーグ出場停止処分の他、昨季在籍したブラジル人FWバルチ・テイシェイラ・ジュニオールへの給料未払い問題が未解決のため、国際サッカー連盟FIFAによる選手獲得禁止処分も受けています。
 ニューストレイトタイムズによると、プルリスFAを運営するプルリス州サッカー協会PFAは、リーグ復帰に必要となるクラブの経済状況に関する書類をMFLに提出できていないということですが、上記のジュニオール選手の他、サフィ・サリー(PJシティFC)、カイリル・ムヒミーン(スランゴールFC)らマレーシア人選手に対しても未払い給料を抱えており、その総額は500万リンギ(およそ1億3500万円)とも言われ、これを完済することもリーグ復帰の条件です。
 PFAでは昨日1月12日に臨時総会と会長選が行われ、ザムリ・イブラヒム氏が新会長に選出されていますが、ザムリ会長は就任直後のインタビューで、マレーシアサッカー協会FAMを通じてFIFAに抗告の申し立てを行い、できるだけ早くチームを再建したいとしています。
 「サッカーに関するあらゆる活動が禁止されている現状では、チーム再建どころか未払い給料を支払うための資金を集めることもできないので、活動の余地が欲しい」と述べるザムリ会長は未払い給料完済を最優先事項とすると述べています。
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 MF再加盟が認められても、MFL3部にあたるM3リーグからのスタートとなるプルリスFAの道はまだまだ険しそうです。

ケランタン州サッカー協会に再びFIFAによる制裁の可能性が浮上
 MFL2部のケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAは、再びFIFAによる制裁処分を受ける可能性が浮上していると英字紙スター電子版が伝えています。
 給料未払い問題を抱えることが明らかになっているMFL1部のマラッカ・ユナイテッド、PDRM FCとともにケランタンFAも、FAMに対して今季2020年シーズン開幕までに未払い給料を完済すると保証したとされていますが、かつてケランタンFAに在籍した複数の外国籍選手が給料未払いについての苦情申し立てをFIFAに行ったことが明らかになり、シーズン開幕前にもかかわらず勝点剥奪(はくだつ)という制裁を受ける可能性が浮上したということです。
 なおケランタンFAは昨季2019年シーズンには、2017年にテクニカル・ダイレクターを務めたウルグアイ出身のアルフレッド・ゴンザレス氏に対し、FIFAの懲罰委員会が設定した期限までに未払い給料を完済しなかったことにより、勝点3を剥奪される処分を受けています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、MFLの大半のクラブは今季開幕前に未払い給料完済が可能であるとしながらも、複数のクラブは数年前までさか上る未払い給料があることを認めています。ケランタンFAに関して言えば、先日取り上げた、カイルル・ファミ・チェ・マットやモハマド・バドリ・モハマド・ラジのように分割払いでの支払いに応じる選手がいる一方で、一括払いも求める選手もおり、KAFAと選手の間の協議が成立しなければ、KAFAは再度、FIFAの制裁対象となるとラマリンガム事務局長はスター電番の取材に答えています。
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 FIFAによる処分では、昨季2019年はMFL2部のペナンFAもFIFAから勝点6の剥奪処分を受け、MFL1部昇格を逃している他、2015年にはMFL1部のパハンFAもモロッコ出身のモハメド・ボルジがFIFAに2013年シーズン分の未払い給料の苦情申し立てを行い勝点6を剥奪されています。

1月12日のニュース:アキヤ・ラシドの移籍問題に裁定が下される、ペラTBGの今季新ジャージお披露目が無期延期に、U22代表新監督は3月頃までに決定-FAM

アキヤ・ラシドの移籍問題に裁定が下される
 フル代表やU22代表でもプレーするアキヤ・ラシドは2018年12月にそれまで在籍していたクダFAからジョホール・ダルル・タジムJDTへ移籍しましたが、この移籍について、アキヤ選手がクダFAとの契約期間中にJDTが入団交渉を行った「タッピングアップ」の疑惑が持ち上がりました。
 そこでクダFAはマレーシアサッカー協会FAMに提訴し、FAMはアキヤ選手には契約解除違約金25万リンギ(およそ670万円)の支払いと、JDTには育成費としてクダFAに7万5000リンギ(およそ200万円)の支払いを求める調停案を出しましたが、クダFAはこの金額がFAMとアキヤ選手の間で決められ、クダFAが関与していないことからこれを拒否し、アジア国際仲裁センターAIACにこの件を持ち込み、調停を求めていました。
 英字紙ニューストレイトタイムズによると、その裁定が昨日、発表されクダFAの申し立てを認めるものであったと報じています。(昨日取り上げた、JDTの練習にアキヤ選手の姿が見えなかった理由は、この裁定のためにクアラルンプールにあるAIACに来ていたのか知れません。)なお、ニューストレイトタイムズの記事によると、賠償金額などは確定していないということです。
 この裁定が出ると、JDTのFacebookではアリスター・エドワーズTD(テクニカルダイレクター)が、この裁定にはJDTは関与しておらず、クダFAとアキヤ選手間の問題であるとの見解を発表しています。
 またJDTのオーナーのTMJことジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下は自身のインスタグラムで、クダFAがアキヤ選手に対して30万リンギ(およそ805万円)の賠償金を請求していることを暴露しています。その上で、アキヤ選手は減額交渉を行うことも可能としながら、いくらであっても賠償金が払えるくらいアキヤ選手は裕福であるので心配は無用とコメントしています。

ペラTBGの今季新ジャージお披露目が無期延期に
 ペラTBGは昨日1月11日に予定されていた今季使用する新ジャージの発表と新入団選手紹介及びファン交流イベントを急遽、中止しました。
 サッカー専門サイトヴォケットFCによると、その理由は今季からユニフォームを供給するドイツのスポーツメーカーJAKO(ヤコ)社が事前に用意したユニフォームがペラTBGを運営するペラ州サッカー協会PAFAの求める品質でなかったことが理由と報じています。また、当日販売予定のユニフォームも全てメーカーに返却され、品質改善が求められたようです。
 JAKO社がこのような問題を起こすのは実は今回が初めてではなく、2017年シーズンにもパハンFAとの間で同様の問題が発生し、結局、パハンFAはその年はFILA(フィラ)社のユニフォームを採用しました。
 なお新たなイベントの日程は決まっていません。

U22代表新監督は3月頃までに決定-FAM
 優勝の期待も高かった東南アジア競技大会通称シーゲームでのグループステージ敗退により、新たに契約が延長されなかったU22代表のオン・キムスイ監督の後任は3月までに決定する予定であると、マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長が発表しています。
 現時点で外国籍4名を含む12名が候補者として名乗りをあげているようで、その候補者の中から、代表チーム運営委員会議長でもあるダト・ハミディン・モハマド・アミン会長が直々に選別するとしています。また、ラマリンガム事務局長は、今年はU22が出場する大会もないことから、人選を急ぐ必要がないとも述べています。
 この他、監督としての契約が更新されなかったオン監督は、若手選手育成部門のトップとしてFAMと契約することも発表されています。
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 現在アジアサッカー連盟AFCU23選手権がタイで開催中ですが、マレーシアはホーム開催となった予選で2勝1分ながら得失差で中国に次ぐグループ2位となり、2大会連続の出場を逃しています。シーゲームでの敗退だけでなく、AFC選手権への出場を逃したことも、オン監督との契約が更新されなかった理由と考えられています。

1月11日のニュース:JDTの新スタジアムでの練習公開でポドルスキ獲得の噂に拍車がかかる、トレンガヌFCの練習に新たな外国籍選手が参加も監督は沈黙を貫く、ヌワカエメが今季もパハンFAでプレーする可能性が浮上

JDTが新スタジアムでの練習公開でポドルスキ獲得の噂に拍車がかかる
 ジョホール・ダルル・タジムJDTの新たなホーム、完成したばかりのスルタン・イブラヒムスタジアムでの練習の様子がJDTのFacebookで公開されています。
 しかしその様子を伝える映像に主力選手のアキヤ・ラシドとマウリシオの姿が写っていないことからある憶測がソーシャルメディアを賑わせています。
 JDTは現在、外国籍選手枠5名が全て埋まっていることから、新たな外国籍選手の獲得では現実的ではないとされていましたが、マウリシオが練習に参加していない様子から、ヴィッセル神戸を退団したルーカス・ポドルスキのために外国籍選手枠1名が空いたのではないかという憶測です。
 JDTオーナーのTMJことジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下はポドルスキ選手から連絡があったことを公表し、近いうちにJDTがあるジョホール州にやってくることも明かしています。
 またアキヤ・ラシドについては、今季から東南アジア出身選手枠が新設される韓国リーグへの移籍が以前から噂されていることに加え、フィールド外でのアキヤ選手の行動についてクラブ規範を守らないことで罰金を貸したことや、プロ選手としての自覚がないとTMJが批判したこともあり、移籍の可能性は大いにありそうでうす。
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 ポドルスキ選手獲得の件については、既にジオゴやゴンザロ・カブレラといった攻撃陣を抱えるJDTが、DFのマウリシオを外し、FWのポドルスキを獲得するのは、今季のAFCチャンピオンズリーグACLでプレーする際にはリスクが大きすぎるのではないかとサッカー専門サイトのセムアニャボラが指摘するなど、噂で終わってしまう可能性もありますが、アキヤ選手については、素人から見ても明らかに伸び悩んでいると思いますので、個人的には他のクラブへ「修行」に出て、もっと(人間的に)成長してマレーシア に帰ってきて欲しいです。

トレンガヌFCの練習に新たな外国籍選手が参加も監督は沈黙を貫く
 今季開幕に向けて積極的な補強を行っているトレンガヌFCは、既に外国籍選手枠5名が埋まっていますが、そのトレンガヌFCの練習に新たな外国籍選手が参加していることをセムアニャボラが報じています。
 参加しているのはオーストラリア出身で昨季はオーストラリア2部リーグのクラブでプレーしていた22歳のクリストファー・フェイヤーズですが、トレンガヌFCは新加入のFWドミニク・ダ・シルヴァ(モーリタニア、ベトナム1部リーグのサイゴンFCより加入)、DFババカー・ディアロ(セネガル、フィンランド1部リーグのクオピオン・パロセウラより加入)、MFファリス・ラムリ(シンガポール、シンガポール1部リーグのホーガン・ユナイテッドより移籍)と昨季から残留するMFサンジャル・シャアフメドフ(ウズベキスタン)と主将のFWリー・タック(英国)の外国籍選手5名と既に契約しています。
 この状況で俄然、注目を浴びることになったのが主将を務めるリー・タックです。祖母がマレーシア人というタック選手は、これまでもマレーシア代表としてプレーしたいという希望を公言してきましたが、祖母がマレーシア人であることを証明する書類が見つかっていないということで、マレーシア国籍取得の申請ができていません。しかし、プレシーズン前の休暇で英国へ帰国していたタック選手がこれまで見つからなかった書類を見つけていれば、タック選手はマレーシア人選手として登録可能になり、もう一人外国籍選手の獲得が可能になります。
 これについてセムアニャボラは、トレンガヌFCのナフジ・ザイン監督に確認を取ろうとしたということですが、ナフジ監督からの返事はまだないと記事は結ばれています。

ヌワカエメが今季もパハンFAでプレーする可能性が浮上
 他のMFLクラブに比べると景気の良い話が聞こえてこないパハンFA。先日も今期開幕に向けたプレシーズントレーニング初日の参加者が15名しかおらず、今期在籍が確定している外国籍選手はフランス出身のDFエラルド・グロン選手のみという記事をアップしました。しかしここにきて、昨季も在籍した「鉄人」ことFWディクソン・ヌワカエメが今季もパハンFAでプレーするのでは、という可能性が浮上しています。
 その根拠となるのが、ヌワカエメ選手のインスタグラムで「お気に入りの場所の一つ、クアラルンプール」とマレーシアにいることが伝わるような投稿を繰り返しています。
 パハンFAはヌワカエメ選手の去就について明言をしていませんが、ヌワカエメ選手はパハンFAサポーターの「パハンFAに戻ってきて欲しい」という呼びかけに対して、無給でプレーすると答えるなど、残留に向けての動きがありそうです。
(写真はヌワカエメ選手のインスタグラムより)


 

1月10日のニュース:マラッカ州サッカー協会会長の発言に選手らが反発、さらにそこから別の問題も発生

昨季のマラッカ・ユナイテッドの主将がFAMに宣誓供述書を提出
 昨季2019年はマラッカ・ユナイテッドに在籍し、主将も務めたシュコール・アダンは、シーズン途中に給料未払い問題を公表、その後は試合出場を拒否し、そのまま退団していました。今季2020年はクアラルンプールFA(KLFA)に加入したシュコール選手ですが、事前に取り決められていた期間内に解決されなかった給料未払い問題に業を煮やし、給料やボーナスなどに関する主張を記載した宣誓供述書をマレーシアサッカー協会FAMに提出したと、ニュース専門サイトアストロアワニが報じました。
 シュコール選手に加えて、昨季マラッカ・ユナイテッドに在籍した13名の選手も同様の行動を取ったようですが、シュコール選手は第三者を介さずに提出したのに対し、13名の選手はマレーシアプロサッカー選手協会PFAMを代理人として提出しています。
 マラッカ州サッカー協会MUSAは契約選手に対し、その契約内容に関してメディア向けに公式発言をすることを禁じていましたが、給料未払い問題を抱える選手の中には破産宣告を強いられた選手もいるとのことで、シュコール選手はこの行動は自分一人のためではなく、他の選手のためでもあると述べています。

マラッカ州サッカー協会会長はシュコール選手を非難し、謝罪を要求
 シュコール選手がFAMに宣誓供述書を提出したことを受けて、マラッカ州サッカー協会MUSAのダミアン・ヨー会長は、「シュコール・アダン、火遊びをするつもりなら、火をやるよ。(原文の”play with fire”は 「危険なことに手を出す」とでも訳せば良いでしょうか。「そんなことをすると、悪い結果や危険なことになるだろう」と忠告するときの表現です。)と自身のFacebookでシュコール選手の行動を非難しています。
 MUSAは昨シーズン、マラッカ・ユナイテッドに所属した14選手に対する未払い給料の支払いは分割で行うことが決まっている一方で、それが予定より2ヶ月遅れていることについてはその理由を説明し、さらに話し合う用意があるとしており、ヨー会長は、今回のシュコール選手の行動により、1月15日に予定されていた最初の支払いが遅れるだけでなく、問題解決により多くの時間がかかる可能性を示唆しています。
 その上で、シュコール選手に対し、もし未払い給料を直ちに受け取りたければ、FAMに提出した宣誓供述書を取り下げた上でMUSAに謝罪すべきであると述べています。
 またヨー会長は、シュコール選手が給料未払い問題をFAMに持ち込んだことにより、新外国籍選手獲得にも影響が出ていると非難し、その例として交渉中であった英国EPLのエバートンでプレー経験のあるFWヴィクター・アニチェベが交渉を取りやめたとしています。

TMJはヨー会長にアドバイスを送る
 元マラッカ・ユナイテッドのマシュコール選手とマラッカ州サッカー協会MUSAヨー会長のやりとりに、ジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーTMJことジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下が興味を持ったようで、自身のインスタグラムで、シュコール選手が未払い給料の問題をFAMに持ち込んだことが明らかに不満なヨー会長に対して「まずは落ち着いて、(未払いの)給料をシュコール選手に払えよ」とアドバイスを送っています。

選手会会長はシュコール選手を支持
 またマレーシアプロサッカー選手会PFAMの会長を務めるPJシティFCのサフィ・サリーは、MUSAのヨー会長のシュコール選手の名誉を傷つける職業倫理に反する発言であると非難しています。
 サフィーPFAM会長は、シュコール選手は自らの権利を行使してだけであるとし、謝罪の必要はないとシュコール選手を支持しています。

ヨー会長はTMJに対して干渉をやんわりと拒絶
 TMJのアドバイスに対して、ヨー会長は自らのFacebookでこれを感謝しながらも、この問題についてはマラッカ州サッカー協会の内部規律に沿って対応するとし、やんわりと干渉を拒絶しています。

ヴィクター・アニチェベとの交渉決裂はシュコール選手とは無関係か
 マレー語紙ブリタハリアン電子版では、ヴィクター・アニチェベとMUSAの交渉が決裂したのは、シュコール選手がFAMに給料未払い問題を持ち込んだからではなく、単に選手側の要求確かすぎて応じられなかったからだという記事を掲載しています。
 記事によればアニチェべ選手の代理人は月額4万米ドル(およそ438万円)を要求し、MUSAがこれに応じられなかったとしています。

ヴィクター・アニチェべはMUSAとの交渉そのものを否定
 その一方でスポーツ専門サイトフォックスポーツは、ヴィクター・アニチェべ本人の話として、マラッカ州サッカー協会MUSAと契約交渉が決裂したどころか、交渉を行ったこと自体を否定していると報じています。
 フォックスポーツに対し、アニチェべ選手はMUSAとは交渉したこともなく、自分の名前を語る人や組織に何が起こっているのかについては全く知らないと述べています。
 このアニチェべ選手の発言により、MUSAのヨー会長が述べていたシュコール選手が給料未払い問題をFAMに持ち込んだことにより、アニチェべ選手の獲得交渉が不調に終わったという発言の信憑性が疑わしくなりました。
 フォックスポーツは、交渉中の選手が本当にアニチェべ選手だったのか、あるいは代理人に騙されていたのか、それともアニチェべ選手が事実を隠しているのか、真実は不明であるとしています。

 


 

1月9日のニュース:フェルダUにはオバメヤンのチームメートが加入、JDT IIに昨季MFL1部の得点王と日本人選手が加入、FIFAはFAMに対して罰金処分

フェルダUにはオバメヤンのチームメートが加入
 英字紙スター電子版は、マレーシアフットボールリーグMFL1部のフェルダ・ユナイテッドにMFフレデリック・ビュロがJ2リーグの岐阜FCから加入したと報じています。
 岐阜FC時代はフレデリックの登録名だったビュロ選手は、フランス、イギリスなどでプレー経験がある現役のガボン代表選手で、英国プレミアリーグ、アーセナル主将で快速FWピエール=エメリク・オバメヤンとはガボン代表でチームメートです。
 わずか1日のトライアウトでその技術に魅了されたというフェルダ・ユナイテッドのニザム・ジャミル監督は、今季のフェルダ・ユナイテッドの攻撃の中心になる選手と評価した上で、様々な国でのプレー経験は若手主体となる今季のチームにとって貴重だとし、またその控えめな姿勢がチームに良い作用を与えてくれるだろうと話しています。
 ビュロ選手の加入により、フェルダ・ユナイテッドは今季の陣容が決まりましたが、昨季在籍した渡邉将基選手、池田圭選手ら外国籍選手だけでなく、ハディン・アズマンらマレーシア人の主力選手の多くが去ったことにより、残留争いの一番手と目されていたチームは、カイルル・アムリ(シンガポール)以外は総入れ替えとなった外国籍選手枠も5人全てが埋まりました。
 シンガポールリーグのタンピネス・ローバーズ時代にはカイルル選手と攻撃陣をリードしたMF恵龍太郎選手、DFニコラ・ラスポポヴィッチ(セルビア、チェコリーグ2部のFKデュクラ・プラハより加入)、FWニコラス・ヴェレズ(アルゼンチン、ポルトガルリーグ1部のベレネンセスより加入)にビュロ選手が加わった布陣は十分な補強ができているように見えます。
 ニザム監督は外国籍選手の若返り(昨年は全員が30歳以上)により、バランスの取れたチーム構成になっていること、そして単なる数合わせといったシーズン前の評判を覆したいと話しています。

JDT IIに昨季MFL1部の得点王と日本人選手が加入
 マレーシアフットボールリーグMFL1部のジョホール・ダルル・タジムJDTはFacebook上で、JDTのBチームでMFL2部所属のJDT IIに昨季のMFL1部の得点王FWフェルナンド・ロドリゲス(前クダFA)とMF廣瀬慧(前インドネシアリーグ1部プルセラ・ラモンガン)両選手の加入を発表しています。
 昨季はクダFAで21ゴールを挙げたスペイン出身のロドリゲス選手は、今季はクダFAとの契約が更新されず、母国のリーグへ戻るのではとされていましたが、何とMFL2部のチームとの契約を選んだようです。とは言え、マレーシアでの実績は申し分ないので、AチームのJDTの外国籍選手の誰かが不調になれば直ちに入れ替えとなる可能性があります。
 また昨季はインドネシアでプレーした24歳の廣瀬選手は、プルセラ・ラモンガン加入1年目ながら34試合に出場し2ゴール、8アシストを記録しています。
 なお英字紙スター電子版によると、両選手とも2年契約を結んだとのことです。
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 今季は国内の試合の他、AFCチャンピオンズリーグなどが控えるJDTは、過密な日程に対処するため、今回獲得し両選手も含めていわゆるローテーション制を導入する可能性もあり、開幕時はMFL2部の両選手を1部で見ることができるかも知れません。
 なお廣瀬選手のJDT II加入により、今季2020年シーズンにMFLでプレーする日本人選手は恵龍太郎選手(フェルダ・ユナイテッド)、廣瀬慧選手(JDT II)、鈴木ブルーノ選手(トレンガヌFC II)、中武駿介選手(ヌグリ・スンビランFA)、鈴木裕太選手(クチンFA)の5名となりました。
(写真左からJDTIIのラファ・ギル監督、フェルナンデス選手、廣瀬選手、アリスター・エドワーズJDTテクニカルダイレクター。JDTのFacebookより)

FIFAはFAMに対して罰金処分
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版は、国際サッカー連盟FIFAがマレーシアサッカー協会に対し、サポーターによるフーリガン行為が発生したことを理由に5万スイスフラン(およそ562万円)の罰金を課したと報じています。
 昨年11月19日にブキジャリル国立競技場で行われたFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選のマレーシア対インドネシア戦では、41人のサポーターが逮捕された他、暴動鎮圧部隊が出動する事態となっていました。
 また10月10日にハノイで行われたワールドカップ予選ベトナム戦では、試合後に義務付けられている記者会見を頭痛を理由にキャンセルしたマレーシア代表のタン・チェンホー監督がFIFAより警告を受けています。
 なお今回のワールドカップ予選ではマレーシアも属するグループGのインドネシアが、ホームで行われたマレーシア戦とタイ戦でのサポーターによるフーリガン行為のため、24万5000スイスフラン(およそ2750万円)の罰金と1試合の無観客試合という処分を受けています。

1月6日のニュース:UITM FCには元U22監督が就任、MFLが今季前半の日程を発表、ケランタンFAが元代表GKらと未払い給料支払い方法で合意

UITM FCには元U22監督が就任
 今季2020年シーズンはマレーシアフットボールリーグMFL1部に昇格するUITM FCの新監督に元マレーシアU22代表監督を務めたフランク・バーンハート氏が就任することがUITM FCのFacebookで告知されています。
 UITM FCは、今季の昇格に貢献したイスマイル・ザカリア前監督が、財政事情から1部昇格にもかかわらず現役大学生主体のチーム作りを進めるフロントと合意に至らず辞任し監督不在となっていました。
 2015年から2017年までU22代表監督を務めたバーンハート氏は、マレーシアサッカー協会FAMの会長にJDTオーナーのトゥンク・イスマイル殿下が就任すると同時に解雇されていますが、これはFAM会長就任前から、バーンハート氏によるJDTの選手の招集期間の長さに不満を持っていた事が原因とされています。
 UITM FCの会長を務めるアジザン・アブドラ教授は、UITM FCがMFL1部でプレーするのを見るのが夢だったと語っていますが、MFL1部でプレーする大学を母体とする初のクラブとなったUITM FCは、MFL2部に在籍していた昨季と同じ額の運営予算でMFL1部を戦うことを明言しており、今後の新戦力補強次第ではMFL1部の数合わせで終わり、1シーズンにMFL2部へ戻る可能性は大いにあります。
(握手するバーンハート新監督とアジザン会長-UITM FCのFacebookより)

MFLが今季前半の日程を発表
 マレーシアフットボールリーグMFLのホームページでは、MFL1部スーパーリーグMFL2部プレミアリーグの今季前半日程を発表しています。
 2月28日に行われる、昨季のMFL1部チャンピンJDTとFAカップチャンピオンのクダFAがJDTの新しいホームとなるスルタン・イブラヒムスタジアムで対戦するスンバンシーカップ(日本で言えば「富士ゼロックススーパーカップ」に該当しますが、この試合はMFL1部公式戦でもあります。)を皮切りに前半戦最終節となる第11節(5月13日)までの日程が発表になっています。
 日程がリーグ前半のみと発表となっているのは、FIFAワールドカップアジア二次予選兼2023年アジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ予選や、AFCチャンピオンズリーグACLを考慮したもので、開幕が例年に比べて遅くなっているのは、各クラブが予算以上の選手獲得に歯止めをかける経済コントロールプログラムECPが今季から導入され、開幕前に各クラブから提出される経営状況を精査する時間を確保するためとしています。
 またMFLのホームページでは、リーグ戦日程の他、FAカップやマレーシアカップの日程も発表になっています。今年のFAカップは予選がMFL開幕前の2月3日から始まり、本選は2月22日に1回戦が始まり、決勝は7月25日、またマレーシアカップは8月4日からグループステージが始まり、決勝は10月31日に予定されています。
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 ムスリム(イスラム教徒)が選手の大半を占めるマレーシアのプロサッカーリーグMFLですが、断食月(今年2020年は4月24日から5月23日の予定)中の試合実施について各クラブから特に反対意見も出なかったようで、昨年同様、試合開始時間を午後10時からとして行われます。これは断食明けとなる日没後の礼拝マグリブ(Magrib)が今年の断食月の頃だと午後7時20分過ぎとなるため、この時間に断食明けの食事をしてから試合に臨みます。もっと早く試合を開始しても良いのでは、と思う方がいるかも知れませんが、就寝前に行う1日の最後の礼拝イシャ(Isha)は同じく午後8時30分過ぎですので、この礼拝の後に試合開始となります。なお、断食月以外でもMFLの試合は1部、2部を問わずほとんどの試合が午後9時開始となっています。
 断食月中にプレーするムスリムの選手も大変ですが、断食月中の試合は午前0時近くに終了するため、観戦者にとってもなかなか大変です。特にムスリムのサポーターは、日の出と同時に始まる断食(今年だと午前6時前後)前には朝食を終えてないと日没まで何も食べられなくなってしまうため、眠るのが遅い時間になるにもかかわらず早起きを強いられます。

ケランタンFAが元代表GKらと未払い給料支払い方法で合意
 MFL2部のケランタンFAがかつて所属した元代表GKのカイルル・ファミ・チェ・マットと元キャプテンのピヤことモハマド・バドリ・ラジと未払い給料の支払い方法で合意したと英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
  驚いたことに2016年から持ち越された未払い給料はアペックことカイルル選手が14万3000リンギ(およそ378万円)、ピヤことバドリ選手は18万リンギ(およそ475万円)とのことで、これを5ヶ月の分割払いで支払うことがケランタンFAを運営するレッドウォリアーズ社と両選手との間で合意されたということです。
 2009年から2018年までケランタンFAに在籍したカイルル選手と2007年から2018年まで在籍したバドリ選手はともにケランタンFAがリーグ戦、FAカップ、マレーシアカップの三冠を獲得した2012年、マレーシアカップ連覇を果たした2013年と絶頂時の頃の主力選手でした。
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 別のメディアでは今月1月から5月までの間に未払い給料を完済すると話すレッドウォリアーズ社のダト・ワン・ラケミ・ザハリ代表の話を紹介していますが、気になるのは今月分の支払いは、先日行われたクダFAとケランタンFAの練習試合の入場料収入で支払われたと話している点です。未払い給料を解決するために設定された試合ではないでしょうから、このような自転車操業を行なっているようでは、この入場料収入の本来の使い道(現役選手の給料かもしれませんし、スタッフの給料かもしれません)がとばっちりを受けることになりかねません。
 昨季、ケランタンFAはかつて在籍した外国籍選手が給料未払い給料問題をFIFAに提訴し、その結果としてリーグ戦では勝点3を剥奪されています。また上でも述べた経済コントロールプログラムECPの導入により、未払い問題の解決の目処が立たないクラブは今季のクラブライセンスが発給されない可能性もあり、それを裂けつためにケランタンFAは給料未払い問題解決を急いでいるようです。ただしビッグネームの二人の問題が片付いても、他にも同じように未払い給料問題で困っている選手が複数いるとされるケランタンFAの前途は多難のように見えます。 


 

1月4日のニュース:FAMは給料未払いクラブのMFL参加停止には消極的、MFLでは多くの選手が減給に直面

FAMは給料未払いクラブのMFL参加停止には消極的
 マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、給料未払い問題が解決していないクラブの今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL参加停止については慎重に対応したいと述べていると、スポーツ専門サイトフォックススポーツが報じています。。
 今季開幕を2月29日に控えるMFLですが、その参加クラブの中には昨季2019年シーズンの未払い給料問題が解決していないクラブが複数あり、給料を受け取っていない選手たちからはそういったチームの今季MFL参加をMFL自身やFAMが停止するべきという声が上がっています。
 これに対してラマリンガム事務局長は、この事態をFAMが手をこまねいて見ているわけではないとしながらも、クラブのMFL出場停止についてはその措置による影響の大きさを考慮して慎重に対応したいと述べています。
 「クラブが出場停止になれば、スポンサーを失い、サポーターも失い、結果的にはクラブの解散という事態も起こりうる。クラブが解散すれば、そのクラブと契約した選手やコーチ、クラブを運営するフロントなどなども収入源を失い、誰も得をしない状況となる可能性がある。」
 「例え分割払いのような方法になったとしても、クラブが未払い給料を選手に支払うことの方が、クラブが解散して一文も払われないよりは良いだろう。」
 「この方法は現実的で、大半のクラブはこの方法で未払い給料を支払えるだろうが、もし選手が全額を一括払いで求めるのであれば、難しいだろう。」などと発言しています。なお、給料未払い問題を抱えるクラブとしてマラッカ・ユナイテッド、PDRM FC(以上MFL1部)、サラワク・ユナイテッド、ペナンFA、ケランタンFA(以上MFL2部)などの名前が上がっています。
 またラマリンガム事務局長は、給料未払い問題を抱えるクラブに対しては「FAMの寛容さを利用することなく、真剣に問題に取り組むことを求め、必要な場合には今季のクラブライセンスの無効化なども含めた断固とした措置を取る用意があることも併せて強調しています。
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 メディアの報道によると、給料未払い問題を抱えるクラブの中には、給料が支払われていない選手たちの気持ちを逆撫でするように、今期に向けて新たな外国籍選手を獲得するクラブなどもあり、選手に給料を支払わないプロクラブを抱えるリーグMFLやそれを統括するサッカー協会FAMがこの状況にどう対処していくのかに注目です。

MFLでは多くの選手が減給に直面
 これまで高給を取っていたMFL所属クラブの選手たちの多くが、今季は50パーセント以上の減俸を受け入れて契約しているという代理人の話を英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が伝えています。代表クラスの選手は依然として高給を受け取っているものの、「元代表選手」や「準レギュラー」クラスの選手たちは、生活がかかっているためクラブとの契約獲得に必死で、従来より低い給料での契約を受け入れているとしています。
 今季はMFLの多くのクラブが年間運営資金削減を行っており、記事の中では、MFL2部のマレーシア国立大学UKMを母体とするUKM FCは運営資金が昨季の400万リンギ(およそ1億500万円)から今季は150万リンギ(およそ4000万円)となっていること、マラ工科大学UITMを母体とし、MFL1部に昇格したUITM FCは現役大学生が、同じ昇格組でマレーシア王立警察が母体のPDRM FCは新規採用の警察官が今季のチームの主力になっていることなどを報じ、ジョホール・ダルル・タジムJDT、スランゴールFC、クダFAなど今季に向けて大型補強を行ったクラブはむしろ例外的であるとしています。
 また、MFL2部に所属するJDT II、トレンガヌFC II、ペラTBG II、スランゴールFC IIといったMFL1部クラブのBチームは育成目的で若手主体のチーム編成となっており、これまで高給を取ってきた選手たちの所属先とはならないことや、スランゴールFCに合併吸収されて同クラブのBチーム、スランゴールFC IIとなったPKNS FC(昨季MFL1部9位)や、サラワクFA(同MFL2部11位)に買われたスランゴール・ユナイテッドFC(同MFL2部9位)の選手たちの多くは所属先を失ったため、市場に選手があふれているとしています。
 また記事の中では、所属先を探す選手からの問い合わせが例年になく多いと話す選手の代理人の談話を紹介し、これまでなら月額4万から5万リンギ(およそ105万から131万円)の給料を取っていた選手たちが、今季は1万5千から2万リンギ(およそ40万円から53万円)の給料でも契約していることを述べ、その結果、これまで月額2万リンギやそれ以下の給料を取っていた選手の所属先が見つからなくなって現状を紹介しています。中にはより低い給料でMFL3部にあたるM3リーグでプレーすることを選ぶ選手もいるそうですが、この代理人の話では、M3リーグではトップの選手でも月額5千リンギ(およそ13万円)を超えることはないそうです。
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 選手を苦しめる給料未払い問題の発生を防ぐためには、各クラブは「身の丈に合った経営」を行う必要がありますが、その一方でクラブが選手の給料を低く設定しすぎて、プロサッカー選手という職業に魅力がなくなれば、プロリーグそのものが衰退してしまう可能性もあります。雇用主である各クラブやリーグを運営するMFLは、マレーシアプロサッカー選手会PFAM、さらにはマレーシアサッカー協会FAMなどとも協議をしながら、問題解決の糸口を探る必要がありそうです。

1月2日のニュース:JDTはACLでヴィッセル神戸と対戦が決定、前U19代表監督はインドネシア1部リーグのクラブ監督に就任、未払い給料問題を抱えるPDRM FCは解決の期限を明言せず

JDTはACLでヴィッセル神戸と対戦が決定
 今季2020年のアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACLの本選から出場する昨季2019年マレーシアンフットボールリーグMFL1部チャンピオンのJDTは、ACLの予選グループGに入っていますが、このグループは広州恒大(中国)、水原三星(韓国)が入ることは決まっていましたが、残りの1チームは日本の天皇杯優勝チームということになっていました。
 昨日1月1日の天皇杯決勝でヴィッセル神戸が2-0で鹿島アントラーズを破ったため、このグループGにはヴィッセル神戸が入ることが決まりました。
 イニエスタやポドルスキといったビッグネームが在籍することから、マレーシアでも注目が集まるヴィッセル神戸と対戦するJDTは、昨年の鹿島アントラーズに続き、また日本勢との対戦となりました。
 ヴィッセル神戸とJDTが同じグループになると直ちにJDTオーナーのジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下がチームのFacebookにメッセージを寄せています。(写真下)

前U19代表監督はインドネシア1部リーグのクラブ監督に就任
 昨年2019年5月までマレーシアU19代表の監督を務めたボジャン・ホダック氏がインドネシア1部リーグの強豪PSMマカッサルの監督として2年契約を結んだことが、AFCの公式サイトで報じられています。
 今季2020年のAFCカップ予選プレーオフで、東ティモールのレレノック・ユナイテッドFCと対戦するPSMマカッサルは、AFCカップ本選出場とリーグ戦優勝を目標にホダック氏と契約したされています。
 クロアチア出身のホダック氏は、プノンペン・クラウンFC(カンボジア)、山東魯能(中国)で監督、コーチを務めた後、ケランタンFA(2012年から2013年)、JDT(2014年〜2015年)、ペナンFA(2016年)とMFLのクラブを指導した他、マレーシア U19代表の監督を2017年〜2019年まで務め、東南アジアサッカー連盟AFF U19選手権では2018年大会でマレーシアを初優勝へ導き、さらにAFC U19選手権本選に12年ぶりの出場を果たしています。
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 2012年にケランタンFAの監督に就任するとリーグ戦、マレーシアFAカップ、マレーシアカップのいわゆるトレブル(Treble、三冠)を果たし、続く2013年もJDTを破りFAカップ2連覇を果たしました。翌2014年にJDT監督に就任すると、MFL6連覇の始まりとなるリーグ初優勝をもたらしています。このように申し分ない実績を持つホダック氏は、U19代表監督時代もマレーシア サッカー協会FAMが求めた結果を全て残してきましたが、昨年7月にはU19監督としての契約更新が行われませんでした

未払い給料問題を抱えるPDRM FCは解決の期限を明言せず
 マレーシア王立警察を母体とするPDRM FCは今季、MFL1部に昇格しますが、昨年2019年分の未払い給料問題が未だ解決していないことを、スポーツ専門サイトフォックススポーツが報じています。
 同サイトの記事によれば4ヶ月間、選手に対する給料の支払いが滞っているようで、2月28日に迫った今季のMFL開幕に間に合うのかどうかどころか、今季のMFLへの参加が認められるのかどうかも怪しくなってきています。
 昨季2度目のトランスファーウィンドウ期間中に大型補強を行い、外国籍選手とマレーシア人選手の新戦力を獲得した結果、MFL3部への降格争いにいた状況から一気にリーグ3位となり今季MFL1部昇格を勝ち取るまでに至ったPDRM FCですが、その頃から給料未払い問題の兆候は現れており、フォックススポーツでも給料を受け取れていない選手の声が紹介されたこともありました。
 また昨季途中に就任し、チームを立て直したエラヴァラサン・ランゴワン監督は辞任し、昨季在籍した多くの選手は退団し、今季のチームは現職の警察官が選手全体の半数以上となるなど、チーム運営が厳しい状況下では、未払い給料問題の解決は容易ではなさそうです。

1月1日のニュース:新監督就任のヌグリ・スンビランFAは中武駿介選手ら外国籍選手が全員残留決定、フェルダUはプレシーズンマッチでメダンの大会に参加、韓国U23代表はシャーアラムスタジアムでの練習試合をピッチ不良でキャンセル

新監督就任のヌグリ・スンビランFAは中武駿介選手ら外国籍選手が全員残留決定
 昨季2019年シーズン最終戦で、勝点で並ぶUITM FCと引き分け、得失差によりマレーシアンフットボールリーグMFL1部昇格を逃したヌグリ・スンビランFAはサザリ・ザイドン新監督の就任と昨季在籍した4名の外国籍選手全員の残留を発表しています。
 昨季のアシスタントコーチから昇格したサザリ監督は、ヌグリ・スンビランFAのU19チームに当たるプレジデントカップチームやテクニカルダイレクターなども経験していますが、そのサザリ監督は「大量の選手を入れ替えれば、チーム作りはゼロからとなり、時間がかかる」とし、僅差で昇格を逃したチームの全体的な底上げを図ることで、今季2020年シーズンは自動昇格となる2位内を目指すと英字紙スター電子版に語っています。
 チームの状況が安定していなかったことが昨季最大の問題点と考えるサザリ監督は、精神的な強さと冷静なプレーで調子が悪いときでも勝点を確実に積み上げられるようになる必要があると語っています。
 残留する外国籍選手のDFマテウス・フェルナンデス・ビーラ・リアル、FWホセ・アルミール・バロス・ネト、FWイゴール・カルネイロ・ルイス(いずれもブラジル出身)とMF中武駿介選手に加え、スランゴールFCに吸収された昨季のMFL1部クラブPKNS FCの元主将のDFムハマド・シャーロム・アブドル・カラムら6名の選手が加入する他、プレジデントカップチームから昇格する選手らが今季のチームを構成します。
 ベテランを中心に補強を行ったクアラルンプールFA(MFL1部から降格)、ペナンFA、ケランタンFAがMFL2部優勝争いのライバルであるとするサザリ監督は、これらのチームとヌグリ・スンビランFAの間に力の差はないので、シーズンを通して安定した力を出せるかどうかが鍵になると話しています。

フェルダUはプレシーズンマッチでメダンの大会に参加
 MFL開幕まで2ヶ月となり、各クラブが国内外でプレシーズンのトレーニング中です。ジョホール・ダルル・タクジムJDTはアラブ首長国連邦UAEクダFAはカンボジアへ遠征する中、フェルダ・ユナイテッドは、インドネシアのメダンで開催される大会に参加すると、インドネシアのスポーツ専門サイト、インドスポートドットコムが報じています。
 1月17日から19日まで開催される大会はインドネシアサッカー協会PSSIの元会長の名を冠したエディ・ラーマヤディカップで、インドネシア2部リーグのPSMSメダンの本拠地タラダンスタジアムで開催され、PSMSメダン、フェルダ・ユナイテッドの他、ボーウング・ケット・アンコールFC(カンボジア)、ゲイラン・インターナショナルFC(シンガポール)の4チームが参加します。

韓国U23代表はシャーアラムスタジアムでの練習試合をピッチ不良でキャンセル
 今月1月8日からタイで開催されるアジアサッカー連盟AFC U23選手権兼2020年東京オリンピックアジア予選の準備のため、マレーシアで合宿中だった韓国U23代表が、スランゴールFCのホームであるシャーアラムスタジアムで予定されていたサウジアラビアU23代表との練習試合をピッチ不良のためキャンセルしたと、サッカー専門サイトのヴォケットFCが伝えています。
 先月12月28日にマレーシア入りしていた韓国U23代表の試合中止は、試合前に降った大雨でピッチの状態が不良となったためとしていますが、1月3日に予定されているオーストラリアU23代表との練習試合は、現時点では予定通り行うようです。
 オーストラリアU23代表との練習試合後は、韓国U23代表は1月5日にタイ入りし、タイ南部のソンクラで開催される1月9日の中国U23代表との初戦に臨みます。
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 この時期のマレーシア東海岸側は乾季ということにはなっていますが、全く雨が降らないわけではなく、短時間に大雨が降ることも少なくありません。またマレーシアのスタジアムは、降雨量に対してピッチの排水設備が不十分なことが多く、MFL1部の試合でもピッチ上に水たまりがあちこちあるような状況下で試合が行われることもしばしばあります。韓国U223代表はオリンピック出場のかかる大事な試合前に、水が浮くようなピッチでプレーして不用意なケガは避けたいということからの判断なのでしょう。