9月21日のニュース:マレーシアカップグループステージの日程が発表、サッカー協会事務局長-練習試合はまだ確定していない、ケン・ワーデン元マレーシア代表監督逝去

 今日9月21日はマレーシア時間の午後3時(日本時間午後4時)からアセアン東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020年大会(昨年から順延されたため「2020年大会」となっています)のグループステージ君合わせ抽選がオンラインで行われます。(こちらで視聴可能です。)またMリーグ2部プレミアリーグは最終節の第22節が行われ、ヌグリスンビランFC、サラワク・ユナイテッドFC、トレンガヌFC IIによる三つ巴の優勝争いの決着がつきます。またプレミアリーグから5チームが参加するマレーシアカップへの出場チームが決定する可能性もありなど、慌ただしい1日になりそうです。

マレーシアカップグループステージの日程が発表
 マレーシアンフットボールリーグMFLは、今季2021シーズンのマレーシアカップの試合日程を発表し、今大会が100周年記念と日本のサッカー天皇杯と並ぶアジア最古のカップ戦は9月26日(日)にグループステージが開幕します。
 MFLは今回の日程発表に関して、本日9月21日に予定されているMリーグ2部プレミアリーグ最終節の第22節後にもリーグ戦が予定されていること、また10月のFIFA国際マッチデー期間にマレーシア代表は国外遠征を予定しており、帰国後に必要となる検疫隔離期間を考慮したとしています。
 2部プレミアリーグでは、試合前の新型コロナ検査で陽性者が見つかったことから検疫隔離となっていたケランタン・ユナイテッドFCがクチンシティFCと対戦するカードが9月24日に順延となっており、さらにこの試合の結果次第でマレーシアカップ出場チームが変動する可能性があることから、最終的なグループステージの組み分けは9月24日の試合後に発表されるとしています。
 またマレーシア代表は10月4日から12日までのFIFA国際マッチー期間にヨルダンに遠征し、ヨルダン、ウズベキスタンとの練習試合が予定されていますが、マレーシア政府は全ての渡航者に14日間の検疫隔離を義務付けており、マレーシア代表の選手たちもヨルダン遠征後にはこの検疫隔離となり、すぐに所属クラブに合流できないことから、MFLはこの点も考慮した日程を作成したということです。
 マレーシアカップグループステージの日程はこちらです。

サッカー協会事務局長-練習試合はまだ確定していない
 上のマレーシアカップ日程決定の経緯にもあるように、マレーシア代表は10月4日から12日までのFIFA国際マッチデー期間に国外合宿を検討しているとされていますが、マレーシアサッカー協会FAMのサイフディン・アブ・バカル事務局長は、この期間の活動について現時点では何も決まっていないと述べています。
 マレーシア語紙ハリアンメトロによると、新型コロナの1日あたりの新規感染者数が1万5000人を越え続けているマレーシアの現状を考えると、現時点で練習試合を計画するのは困難だと話しているということです。
 サイフディン事務局長は、10月の代表合宿に招集予定の選手が新型コロナ検査で陽性などによりこれに参加できなくなる場合に備えて、予備の代表候補をリストアップすることが重要だと話す一方で、実戦から離れている代表チームのために12月に開幕するAFFスズキカップの前には少なくとも2試合の練習試合を開催することを検討中であるとも話しています。
 「練習試合開催を打診するのが遅れたことと新型コロナの影響で練習試合の相手は現時点では決まっておらず、まずは代表合宿に招集する選手を決定した上で、練習試合を行うかどうかを確定する予定である。」とサイフディン事務局長は述べています。
 代表チームは12月5日から来年2022年1月1日の決勝まで続くAFFスズキカップと来年2月から始まるアジアサッカー連盟AFCアジアカップ2023年大会3次予選が控えていますが、スズキカップをいわば「ふるい」に使ってアジアカップ3次予選に出場する選手を選ぶという方針なのかも知れません。

ケン・ワーデン元マレーシア代表監督逝去
 マレーシアサッカー協会FAMは公式Facebookで元代表監督を務めたケン・ワーデン氏の訃報を伝えています。昨日9月20日に亡くなったワーデン氏は享年78でした。
 英国のプレストンで1943年2月2日に生まれたワーデン氏はオーストラリアで選手、そして指導者としてキャリアを積んだ後、1991年にスランゴールFA(当時、現在のスランゴールFC)の監督に就任すると、この年にリーグ戦(セミプロリーグ1部-当時の国内トップリーグ)では5位だったものの、FAカップ優勝、そしてマレーシアカップ準優勝(優勝はジョホールFA)を達成します。
 すると翌1992年1月には代表監督に就任し1993年末まで代表の指揮を取りましたが、ザイナル・アビディン・ハサン(現マラッカ・ユナイテッド監督)、ドラー・サレー(現スリ・パハンFC監督)、ムビン・モクタル、アズマン・アドナンなどスター揃いだった代表チームはW杯1994年アメリカ大会予選はグループステージで敗退、そして1993年の東南アジア競技大会通称シーゲームシンガポール大会ではベスト4進出を逃しました。
 代表監督を退いた1994年にはライバルのシンガポール代表監督に就任しますが、その年の途中には再びスランゴールFAに戻り、1995年と1996年のマレーシアカップ連覇を果たしました。
 その後、一度はオーストラリアに戻ったものの2002年にはスランゴールFAで3度目となるマレーシアカップに優勝したほか、サバFA(現サバFC)やトレンガヌFA(現トレンガヌFC)でも監督を務め、2015年にMリーグ2部プレミアリーグのKL SPA(現在は廃部)での指揮を最後に監督業を引退していました。
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 個人的には代表監督というよりもスランゴールFAの監督というイメージが強いワーデン氏には、1990年代にスランゴール州のPJオールドタウンにある仕立て屋で偶然に遭遇したことがあります。当時のスランゴール州では趙がつくほどの有名人だったワーデン氏に気づき、拙い英語で頑張ってください!というのが精一杯でしたが、満面の笑顔で「ありがとう」と返事をされて興奮したことを覚えています。店の外に出てもすぐに周りの人々から声をかけられて、それに丁寧に返事をしている姿も印象的でした。ご冥福をお祈りします。
(左はスランゴールFCの右はFAMの公式Facebookに掲載されたワーデン氏の訃報を知らせる投稿)

9月19日のニュース:代表は10月にヨルダンとウズベキスタンと対戦、ペラ州協会は3部降格のペラFC II解散発表もチーム関係者は再考を求める

代表は10月にヨルダンとウズベキスタンと対戦
 10月4日から12日までのFIFA国際マッチデー期間に合宿を予定しているマレーシア代表は、ヨルダン、ウズベキスタンと練習試合を行うと、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 8月30日から9月7日にかけての国際マッチデー期間に国内合宿と他国の代表を招いての練習試合を予定していたマレーシア代表は、マレーシア政府安全保障委員会NSCやマレーシア保健省から国内での練習試合開催を認められなかったことから、この期間は練習試合だけでなく合宿も行わず、日程がずれ込んでいた国内リーグの試合開催に充ててていました。
 そこで10月の国際マッチデー期間が再び無駄になることを避けるため、マレーシア代表はヨルダンの首都アンマンで、ヨルダン代表が主催し、ウズベキスタン代表が参加する3カ国間での練習試合に出場するということです。
 またこの練習試合でタン・チェンホー代表監督は、DFディオン・クールズ(デンマーク1部FCミッティラン)、FWルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)、DFジュニオール・エルドストール(タイ1部チョンブリーFC)、DFドミニク・タン(タイ1部ポリス・テロFC)ら「国外組」の招集を予定していることを明かしています。
 なおこの代表合宿後、マレーシア代表は今年12月5日開幕予定のアセアン東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ、そして2月から始まるAFC選手権アジアカップ2023年大会3次予選などが控えています。

ペラ州協会は3部降格のペラFC II解散発表も、チーム関係者は再考を求める
 今季Mリーグ1部スーパーリーグで11位となったペラFCは来季の2部プレミアリーグ降格が決まっていますが、今季2部プレミアリーグでプレーしたペラFCのセカンドチーム、ペラFC IIはMリーグを運営するMFLが定めた「トップチームとセカンドチームは同一リーグに所属できない」という規定により、来季は3部M3リーグへ降格となってしまいました。これを受けてペラ州サッカー協会のモハマド・ヤザン会長代行は、2年以内にペラFCを1部へ復帰させることが最優先課題だとして、ペラFC IIの解散を決定したと報じられましたが、ペラFCのモハマド・ラシディ・アブドル・ラヒムTM(チームマネージャー)は、ペラFC IIの解散を決定する前には十分な検討が必要であるとの述べています。
 マレーシアの通信社ブルナマはモハマド・ラシディTMの談話を掲載し、チームの解散は所属する選手や監督およびコーチに影響を与えるだけでなく、将来のペラFCへと続く選手育成へも直接影響を及ぼすとして、ペラ州サッカー協会に再考を求めていると報じています。
 「ペラFCはシーズン中に選手を入れ替えて(セカンドチームの)ペラFC IIの選手を起用することもある他、ペラFC IIの選手の中にはU21リーグのプレジデントカップやU19リーグのユースカップではプレーできない年齢の選手もおり、こういった選手たちはペラFC IIが解散した場合にはサッカー選手という職業を続けていくことを断念せざるを得なくなるという事実も考慮した上で(ペラ州サッカー協会には)最終決定を下して欲しい。」とのべるモハマド・ラシディTMは、ペラFC IIが降格するM3リーグは運営費用がプレミアリーグよりも低く抑えられること、またセミプロリーグのM3リーグに参加することで、現在ペラFC IIに所属する選手たちのさらなる技術向上が図れ、そこからトップチームのペラFCへ選手が供給できる可能性などを指摘した他、今季ペラFCで起こった給料未払い問題とそれによる主力選手の大量退団などで低下したクラブのイメージが、セカンドチームのペラFC II解散でさらに悪化する懸念もあると話しています。
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 ペラFC IIの前身はPKNP FCはペラ州政府機関のペラ州開発公社PKNPが母体のクラブチームで、2018年シーズンに1部スーパーリーグに昇格すると、このシーズンは9位、翌2019年シーズンは11位で2部降格となったことで、PKNP FCはペラFCに吸収合併される形でペラFC IIが誕生しました。ペラFC(合併当時はペラFA)、PKNP FCともにペラ州政府からの資金で運営されていたこともあり、運営の一本化が目的の合併でした。そんな経緯もあり、かつて1部スーパーリーグでもプレーしたクラブを「解散」するというペラ州サッカー協会の発表には驚きましたが、民営化されたはずのクラブに未だに州サッカー協会が「指導」する関係性が変わっていないことにも驚きです。


9月18日のニュース:2部プレミアリーグ-トレンガヌFCIIが連勝で優勝戦線に浮上、来季の2部プレミアリーグは10チーム編成が決定、マレーシアカップ-陽性反応者が出たチームは不戦敗の新ルールを適用、試合中と試合後に暴力行為のサラワクUに合計110万円超の罰金処分

 試合前の新型コロナ検査で陽性者が出たことからチーム全体が検疫隔離期間に入っていたケランタン・ユナイテッドFCですが、順延されていたクチンシティFC戦の新たな試合日程が9月24日となることがMFLの公式サイトで発表されました。また来週9月21日の最終第22節に予定されていたトレンガヌFC II戦は予定通り行われるということです。

Mリーグ2部プレミアリーグ第13節(7月24日より順延)
2021年9月17日@MBPGスタジアム(ジョホール州パシルグダン)
クチンシティFC 0-2 トレンガヌFC II
得点者:トレンガヌ-ジミー・レイモンド(71分OG)、ヌル・アズファ・フィクリ・アズハ(85分)
 連勝で順位を上げてきたクチンシティFCは、この試合を含めて残り3試合で勝点1を積み上げることができれば2年連続のマレーシアカップ出場が決まります。一方のトレンガヌFCIIは優勝戦線に残るにはなんとしてもこの試合での勝利が必要です。そんな両チームの対戦は終盤のゴールでトレンガヌFC IIが勝利し、既に1部昇格を決めているヌグリスンビランFCとサラワク・ユナイテッドFCとともに優勝争いは最終節に持ち越されました。
 クチンシティFCの鈴木雄太選手とトレンガヌFC IIの渡邉将基選手はいずれも先発してフル出場しています。

2021年シーズンMリーグ2部プレミアリーグ(第21節終了時)

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11FAM1913151256-446
#ヌグリスンビランFCとサラワク・ユナイテッドFCは来季の1部昇格が決定しています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:NS-ヌグリスンビランFC、SU-サラワク・ユナイテッドFC、TFC-トレンガヌFC II、PRK-ペラFC II、SEL-スランゴールFC 2、KEL-ケランタンFC、KU-ケランタン・ユナイテッドFC、KCH-クチンシティFC、FAM-FAM MSNプロジェクト

来季の2部プレミアリーグは10チーム編成が決定
 Mリーグを運営するMFLは来季のMリーグ2部プレミアリーグが従来の12チームではなく10チームで編成されることが確定したことを発表しています。
 既に今季の日程が全て終了しているMリーグ1部スーパーリーグからは、11位のペラFCと12位のUITM FCが来季は2部に降格することが決定しています。これにより来季はペラFCとそのセカンドチームであるペラFC IIがともに2部プレミアリーグに在籍することになりますが、この状況についてMFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、同一クラブのトップチームとセカンドチームは同じリーグに在籍できないことを定めてMFLの規定により、セカンドチームのペラFC IIがM3リーグに降格になることを説明しています。
 さらにMリーグ3部に当たるM3リーグは昨季2020年シーズンに続き今季も2年連続で中止が決定していることから、M3リーグからプレミアリーグへ昇格するクラブがないことが決定しており、この結果、今季11クラブで開催されたプレミアリーグのクラブは2増(ペラFC、UITM FC)1減(ペラFC II)となることから、MFLは来季2022年シーズンを10クラブ編成で行うことを決定したということです。
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 来季の2部プレミアリーグは今季よりさらにチーム数が少ない10チームになりますが、言い換えればM3リーグのチームにとっては上位4位内に入れば、2部昇格のチャンスが回ってくる可能性があります。そう考えると、来季は降格の心配がない2部プレミアリーグよりも、M3リーグの方が白熱した試合が見られるかも知れません。

マレーシアカップ-陽性反応者が出たクラブは不戦敗の新ルールを適用
 今季のMリーグでは1部スーパーリーグではクダ・ダルル・アマンFC、2部プレミアリーグではクチンシティFCとケランタン・ユナイテッドFCで試合前の新型コロナ検査で陽性者が見つかり、これにより試合日程が大きく変更されることがありましたが。
 このような試合日程変更を避けるためMFLは今月末から開催予定のマレーシアカップに新ルールを適用するとマレーシア語紙ブリタハリアンが報じています。
 そのルールとは、チーム内に陽性者が出て、チーム全体が検疫隔離となった場合には、その隔離期間中に予定されている試合は延期とせず、隔離されているチームの不戦敗扱いとする、というものです。
 ブリタハリアンの取材に対して、MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOはこの新たなルールは既にMリーグの全てのクラブに通達されており、これまでクラブから反対意見は挙がっていないと述べています。
 スチュアートCEOは、Mリーグクラブと選手、監督及びコーチとの契約は11月30日までとなっていること、また10月4日から12日のFIFA国際マッチデー期間中には国外でのマレーシア代表の合宿と練習試合も予定されており、その際にはマレーシア政府が都全ての渡航者に求めている14日間の検疫隔離期間も考慮に入れなければならないことから、マレーシアカップは決勝戦が予定されている11月30日までに終了する必要性があることから、この新ルールを導入する必要があることを説明しています。
 さらにスチュアートCEOは、今季のMリーグでは日程に余裕もあったことから、試合の順延などで対応してきたものの、マレーシアカップ以降も年末のアセアン東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ、さらに年が明ければAFCアジアカップ2023年大会3次予選の準備なども始まることから、陽性者が出た場合でも試合を順延できるほど日程に余裕がないことも認めています。
 ただし、今後マレーシア政府保健省や新型コロナ対策をたんとする国家安全保障委員会NSCが従来の方針を変更して、陽性者のみの検疫隔離でチーム全体の隔離不要となった場合には、陽性者がでたクラブも予定通り試合を行うことが可能であるとしています。

試合中と試合後に暴力行為のサラワクUに合計110万円超の罰金処分
 マレーシアサッカー協会FAMは試合後に審判を小突くなどの暴力行為を働いたMリーグ2部サラワク・ユナイテッドFCの3選手と監督および2コーチに対する処分を公式サイトで発表しています。
 FAM懲罰委員会は9月17日に会合を開き、2部プレミアリーグの9月10日のサラワク・ユナイテッドFC対ヌグリスンビランFCとの試合中と試合後に起こった事態に対する処分を発表しています。この試合でゴール前のクロスを補給する際にヌグリスンビランFCの選手を蹴って一発退場となったサラワク・ユナイテッドFCのGKシャルビニー・アラウィーに対しては、この試合の騒動の張本人であるとして、罰金7000リンギ(およそ18万円)とMリーグ5試合の出場停止処分が課されています。これにより、シャルビニー選手は今季最終節第22節の出場ができなくなりました。
 またモハマド・アメル・サイディン、モハマド・バドルル・アフェンディ両選手にはMリーグ2試合の出場停止処分、またE・エラヴァラサン監督に対しては試合後にFAMの許可なく記者会見を行ったことで罰金1万リンギ(およそ26万円)に加え、12ヶ月間の保護観察期間に同様の違反を繰り返した場合を条件に12ヶ月間のベンチ入り停止処分を課しています。この他、アバン・フォメイ・アバン・サアデリ アシスタントチームマネージャーには2試合のベンチ入り停止と罰金1万リンギ、ルディー・ブジャン キットマンは6ヶ月間のベンチ入り停止と罰金1万リンギの処分も合わせて発表されています。

9月17日のニュース:2億6000万円超えのピッチ改修費用に疑問の声、サッカー協会は女子国内選手権大会も中止を決定、マレーシアカップに向けてトレンガヌFCは2部の得点王を昇格か

2億6000万円超えのピッチ改修費用に疑問の声
 新内閣発足早々、リーグ拡大についてマレーシアサッカー協会FAMと議論したとソーシャルメディア上で明かしながら、FAMが否定すると早々に発言を撤回して謝罪したアフマド・ファイザル・アズム青年スポーツ相が、また新たな火種を提供しています。
 マレーシア代表の本拠地にもなっているクアラルンプールのブキジャリル国立競技場のピッチ改修について、管理会社ムルデカスタジアム社会長で格安航空会社エアアジアCEOでもあるトニー・フェルナンデス氏は今年3月にブキジャリル国立競技場のピッチ改修費用にはおよそ1000万リンギ(およそ2億6300万円)が必要だと発言したことが報じられました。しかしこれについてアフマド・ファイザル青年スポーツ相はこの1000万リンギという金額は、ブキジャリル国立競技場だけでなくマレーシア国内にある他の競技場のピッチ改修費用の総額であると発言したことから、ブキジャリル国立競技場のピッチ改修費用が正確にはいくらなのかという疑問の声が上がっているとマレーシア語紙ブリタハリアンが報じています。
 3月の時点でトニー会長はブキジャリル国立競技場のピッチを国際基準にするため、フィールドの管理に加えて排水及び換気施設の整備、芝育成のため照明設備、そしてフィールド管理者養成などが計画に含まれていると説明し、昨年7月から始まった計画は完了するまでに最低でも9ヶ月間は必要であると説明していました。
 トニー会長の「ピッチ改修に1000万リンギ必要」という発言には、JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下も疑問を示しており、その根拠としてJDTの本拠地であるスルタン・イブラヒムスタジアムの例を挙げています。イスマイル殿下によれば、昨年2020年に開場したばかりのスルタン・イブラヒムスタジアムのピッチはZoisya芝(日本でいう高麗芝)を使っており、給水及び排水施設やその他の費用を含めても140万リンギ(およそ3680万円)であると話しています。

サッカー協会は女子国内選手権大会も中止を決定
 マレーシアサッカー協会FAMは今季の女子国内選手権大会に当たるトゥン・シャリファ・ロジアカップの中止を発表しています。
 国内の新型コロナの感染状況や選手や監督、コーチ及び関係者全員の安全を考慮した結果、FAM女子サッカー委員会がこの大会の中止を決定したということですが、FAM主催の大会としてはU21リーグのプレジデントカップ、U19リーグのユースカップ、フットサルリーグのマレーシアプレミアフットサルリーグMPFLに続く中止決定で、いずれの大会も昨年2020年に続いて2年連続で中止となっています。
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 MFLが運営するMリーグは予定通り開催され、さらにマレーシアカップまで行われる一方で、FAMが統括するユース、フットサル、そして女子サッカーについては今回の中止決定により都合4つのリーグ・大会が「失われた2年」を被ることになりました。FAMにすれば様々な点を考慮した上での中止決定だとは思いますが、もしこれがMFLのような独立した団体や法人によって運営されている大会であれば、規模を縮小してでも開催という選択が取られたも知れません。そう考えると、ユース、フットサル、女子サッカーにもプロ化とは言わないまでも、FAMから独立した運営会社の設立などを検討する必要があるように思います。

マレーシアカップに向けてトレンガヌFCは2部の得点王を昇格か
 今季のMリーグ1部スーパーリーグを4位で終えたレンガヌFCは、最終節までの4試合を0勝1分3敗とシーズン終盤で失速しましたが。この4試合の合計得点は3、しかもその内2試合は完封負けと攻撃陣が特に不振を極めたことがその失速の原因でした。
 マレーシア語紙ブリタハリアンは、この状況についてトレンガヌFCを運営するTFC社のアブドル・ラシド・ジュソCEOが昨季のリーグ3位から順位をひとつ下げてしまったこと、そして昨季は3位になったことで獲得したAFCカップ出場権が今季は獲得できなかったことに失望したと述べていると報じています。(マレーシアにはAFCカップ本選出場権が2枠あり、マレーシアサッカー協会FAMは昨季2020年シーズンはMリーグ1部の2位と3位にそれぞれ出場権を与えましたが、今季はMリーグ1部2位とマレーシアカップ優勝チームにそれぞれ出場権を与えることを発表しています。)
 「クラブは今季の目標としてMリーグでは昨季の3位より上の順位となること、そして来季のAFCカップ出場権獲得だったが、Mリーグでは残念な結果に終わった。しかしAFCカップ出場権獲得についてはまだ達成可能である。ただしトレンガヌFCが最後にマレーシアカップに優勝したのは20年前であり、優勝が容易でないことは承知しているが、可能性も十分あると考えている。」と述べたアブドル・ラシドCEOは、今季のチャレンジカップが中止となったことで、このチャレンジカップに出場予定だったセカンドチームのトレンガヌFC IIの選手をマレーシアカップで起用することを示唆しています。
 アブドル・ラシドCEOは「トレンガヌFC IIの選手にとっては実戦の機会が減ってしまったことは残念だが、マレーシアカップに出場するトップチーム強化のために、トレンガヌFC IIの選手を起用する予定である。」と述べ、攻撃陣のテコ入れに2部プレミアリーグで現在得点王(10試合出場で16得点)のジョーダン・ミンターを昇格させる他、MFデチ・マルセル、DFアルグジム・レゾヴィッチらもトップチームに合流する予定であることを明かしています。
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 昨季3位のチームから外国籍選手を総入れ替えして臨んだ今季の結果が4位となったトレンガヌFCですが、開幕前には若手を積極的に使う方針を明らかにし、その結果として10月の代表候補合宿にも招集される可能性もあるMFハキミ・アブドラが彗星のように登場し、代表合宿中のケガで今シーズンを棒に振ることにはなったものの将来の代表の守護神となる可能性もあるGKラハディアズリ・ラハリムなどが台頭してきたのも事実です。また選手獲得などの責任を負うのがCEOなのか、ナフジ・ザイン監督なのかは分かりませんが、昨季は8試合で9得点を挙げたFWドミニク・ダ・シルヴァの代わりに獲得したデヴィッド・ダ・シルヴァが13試合で6得点と新外国籍選手獲得が効果的ではなかったことも考えると今季の4位は至極順当に思えます。
*9/17-最初の投稿時にGKラハディアズリ・ラハリムとGKナスルルハク・ビディンの名前を間違えていました。お詫びして訂正します。

9月16日のニュース:マレーシアカップの組み合わせが決定、サッカー協会のTD候補にNFPDのイシャラレンTDが浮上、来季2部降格のペラFCが新たなオーナー候補と交渉へ、1部昇格決定のヌグリスンビランFCに州政府が報奨金、AFC女子アジアカップ予選出場の代表が予選開催地パレスチナ到着

 今日9月16日はマレーシアデー。この日は1957年に英国から独立していたマラヤ連邦と、英国統治下から独立したボルネオ島のサバ、サラワク、シンガポールが合併してマレーシアが成立した1963年9月16日を記念する国民の祝日です。(しかしシンガポールは2年後の1964年にマレーシアから追い出されてしまいますが…。)

マレーシアカップの組み合わせが決定
 英国海軍の軍艦HMSマラヤ(HMSはHer Majesty Shipの意)からカップの寄贈を受けて1921年に第1回大会が開催されたマラヤカップは、1941年から1948年までは太平洋戦争による中断を挟んだものの、1967年からは名称が現在のマレーシアカップとなり、今年は第1回大会から数えてちょうど100周年を迎える、日本のサッカー天皇杯と並ぶアジア最古のカップ戦の一つです。
 マレーシアサッカーの歴史はこのカップ戦で始まったという理由ももあり、Mリーグ以上に盛り上がるこのマレーシアカップですが、100周年記念大会となる今季大会の組み合わせ抽選が昨日9月15日に行われました。
 マレーシアカップに出場できるのは、Mリーグ1部スーパーリーグの上位11チームと2部プレミアリーグの上位5チーム(スーパーリーグのクラブのセカンドチームは除く)の計16チームで、組み合わせ抽選ではこの16チームが4つのグループに振り分けられました。この16チームは2回戦総当たりで行われるグループステージを経て、各グループの上位2チームが進むノックアウトステージの準々決勝に進み、そこから準決勝までやはりホームアンドアウェイ方式で決勝を目指します。そして一発勝負となる決勝戦を制したチームは、来季のAFCカップ出場権を獲得します。。
 抽選の結果決まった各グループは以下の通りです。(”Kumpulan”はマレーシア語で「グループ」、LP(”Liga Premier”)は2部プレミアリーグチームを指し、LPの後の数字は順位を表します。プレミアリーグは今週末に最終節第22節が開催予定で、まだ今季の最終順位が決まっていないためこのような表記になっています。)
 グループA:ペナンFC(スーパーリーグ3位)、KLシティFC(同6位)、スリ・パハンFC(同10位)、プレミアリーグ2位のチーム
 グループB:トレンガヌFC(スーパーリーグ4位)、スランゴールFC(同5位)、ペラFC(同11位)、プレミアリーグ3位のチーム
 グループC:クダ・ダルル・アマンFC(スーパーリーグ2位)、マラッカ・ユナイテッドFC(同8位)、プレミアリーグ1位のチーム、プレミアリーグ5位のチーム
 グループD:JDT(スーパーリーグ1位)、PJシティFC(同じ7位)、サバFC(同9位)、プレミアリーグ4位のチーム
 プレミアリーグから参加する5チームのうち、現在1位のヌグリスンビランFCと2位のサラワク・ユナイテッドFCは既に出場が確定していますが、残る3枠は鈴木ブルーノ選手が所属するPRDM FC、鈴木雄太選手が所属するクチンシティFC、本山雅志、深井脩平、谷川由来の3選手が所属するケランタン・ユナイテッドFC、そしてケランタンFCの4チームが激しく争っている最中です。
 なお日程は9月25日から11月10日までがグループステージ期間で、準々決勝(11月14日と18日)、準決勝(11月22日と26日)、そして決勝は11月30日に開催が予定されています。

FAMのTD候補にNFPDのイシャラレンTDが浮上
 マレーシアサッカー協会FAMのオン・キムスイTD(テクニカルディレクター)は、今月いっぱいで辞任し、来月からはMリーグ1部スーパーリーグのサバFCの監督に就任することが発表されていますが、このオンTDの後任にFAMとスポーツ青年省が共同で運営する国家サッカー選手育成プログラムNFDPのサアド・イシャラレンTDが候補に上がっているとマレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。
 フランス出身のイシャラレンTDは2016年からNFDPで育成プログラム作成や選手発掘などを単とした後、2019年1月から現職を務めていますが、NFDP着任前にはパリ・サンジェルマンFCのアカデミーでヘッドコーチを務めており、その時の選手にはフランス代表のプレスネル・キンペンベ(パリ・サンジェルマンFC)やアドリアン・ラビオ (ユベントスFC)などがいます。
 マレーシア国内及び国外で選手育成に関わってきたイシャラレン氏の経験はFAMのテクニカルディレクターとしては申し分ないこと、またNFPD運営にも関わっている青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会NSCとの関係も良好であることなどを理由に、この記事ではイシャラレン氏のFAMのTD就任の可能性が高いとしています。

来季2部降格のペラFCが新たなオーナー候補と交渉へ
 今季のMリーグ1部スーパーリーグで11位となり、来季は2部降格が決まっているペラFCは新たなオーナー候補の企業が名乗り出ていることを、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 サッカーチーム経営を専門とする企業のコパ・アリーナ社との協議に入る予定であることを明らかにしたペラFCのアズマン・ノーGM(ゼネラルマネージャー)は、同社より先週正式に書面で申し出を受け、ペラFCの株式譲渡についての話し合いが近日中に行われると述べています。.
 ブルナマの取材に対して、最終決定権はペラ州サッカー協会にあると答えたアズマンGMは、選手及び監督、コーチ人の給料やプレミアリーグの試合の移動及び宿泊費用などで少なくとも1000万リンギ(およそ2億6300万円)の予算が来季は必要だと述べています。

1部昇格決定のヌグリスンビランFCに州政府が報奨金
 ヌグリスンビラン州政府は来季のMリーグ1部昇格を決めたヌグリスンビランFCの選手及び監督、コーチ全員に2000リンギ(およそ5万3000円)の報奨金を贈ったとブルナマが報じています。
 ヌグリスンビラン州のアミルディン・ハルン州首相は自身が主催した食事会の席で、今回の報奨金は1部昇格に加えてマレーシアカップ出場権獲得を讃えるものだとし、新型コロナ禍の中でのこれらを成し遂げたクラブを称賛しています。
 ヌグリスンビランFCのアドバイザーも務めるアミルディン州首相は、国家復興計画NRPが第4段階に入れば、スタジアムに観衆を入れての試合開催も検討していると述べています。

AFC女子アジアカップ予選出場の代表が予選開催地パレスチナ到着
 アジアサッカー連盟AFC女子アジアカップ2022年大会予選に出場するマレーシア女子代表が予選開催地のパレスチナに到着したことがマレーシアサッカー協会FAMの公式Facebookで報告されています。
 ニュースなどでもよく聞くヨルダン川西岸に昨日9月15日早朝に到着した女子代表は、パレスチナのアッ=ラームにあるファイサル・アルフサイニー国際スタジアムを会場として行われる予選H組で9月19日にはタイと、22日にはパレスチナと対戦します。なお今回の予選ではグループ1位チームが本大会への出場資格を獲得します。
 この予選H組では前回の2018年大会でベスト4だったタイが1位突破の最有力候補である一方、マレーシアは2008年大会予選以来4大会ぶりの予選出場となっています。
(下の映像は女子代表の国内合宿中の様子。FAMの公式YouTube

9月15日のニュース:Mリーグ2部-クチンシティFCが7位浮上でマレーシアカップが射程圏内に、今季のM3リーグの中止が正式決定、今季のチャレンジカップも中止が決定

Mリーグ2部-クチンシティFCが7位浮上でマレーシアカップが射程圏内に
 延期されていたMリーグ2部プレミアリーグ第18節の1試合が行われ、クチンシティFCがFAM-MSNプロジェクトを2-0で破り、2連勝で7位に浮上しています。後半戦に入って4勝2分1敗と好調を維持するクチンシティFCは、この試合の勝利の結果、今季残り3試合で1勝あるいは勝点3以上挙げることができれば、本日、組合せ抽選が行われるマレーシアカップへの2年連続出場が確定します。

Mリーグ2部プレミアリーグ第18節(8月11日より順延)
2021年9月14日@MBPGスタジアム(ジョホール州パシルグダン)
クチンシティFC 2-0 FAM-MSNプロジェクト
得点者:クチン-ジョセフ・カラン・ティー(13分)、マイケル・イジェジ(49分)
 クチンシティFCの鈴木雄太選手は先発してフル出場しています。

2021年シーズンMリーグ2部プレミアリーグ(第21節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#NS19115329141538
2#SU19114436132737
3JDT1996437191833
TFC1888235171832
5PDRM197572021-125
6SEL195952624224
7KCH176651917224
8KEL197392127-624
8KU1862102127-620
10PRK1945101435-2117
11FAM1913151254-426
#ヌグリスンビランFCとサラワク・ユナイテッドFCは来季の1部昇格が決定しています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:NS-ヌグリスンビランFC、SU-サラワク・ユナイテッドFC、TFC-トレンガヌFC II、PRK-ペラFC II、SEL-スランゴールFC 2、KEL-ケランタンFC、KU-ケランタン・ユナイテッドFC、KCH-クチンシティFC、FAM-FAM MSNプロジェクト

今季のM3リーグの中止が決定
 アマチュアフットボールリーグAFLは公式Facebook上で今季2021年シーズンのM3リーグ中止を発表しています。M3リーグはMリーグ3部にあたるリーグで、1部スーパーリーグと2部プレミアリーグはマレーシアンフットボールリーグMFLが統括していますが、M3リーグ以下はAFLが統括しています。
 「AFLは今年11月からのM3リーグ開催に向けて、関係各所と交渉するなど尽力してきたが、運営や安全という観点からAFLと各クラブの負担が大きいことから、大半のM3クラブの同意を得た上で今季2021年シーズンの中止、そして来季2022年シーズン開催へ焦点を向けることを決定した。」というモハマド・ユソフ・マハディAFLチェアマン名での投稿をFacebookに掲載しています。
 来季2022年シーズンは2月開幕を目指し、今季リーグに参加予定だった30クラブ全てがそのまま参加する形で行われるということです。
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 これで2年連続中止が決定したM3リーグですが、今季は2度の延期だけでなく、外国籍選手および外国籍指導者の登録禁止など、AFLは様々な方法での開催を模索してきました。昨季は開幕から2試合で中止となりましたが、今季は1試合も行われないままの中止となっています。
 この結果、今季の2部プレミアリーグとの入れ替え戦も消滅してしまったわけで、リーグの活性化への影響はもちろん、U21リーグやU19リーグの中止と合わせて、国内サッカーの底上げという点では昨年と合わせて「失われた2年」となってしました。
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 M3リーグ中止決定に関連して、サッカー専門サイトのヴォケットFCは関連記事を掲載しています。この記事では今回の発表が9月9日に行われたM3リーグを運営するアマチュアフットボールリーグAFLの理事会、そしてAFLとM3クラブとの会合の結果によるものであり、上のAFLの発表にもあるように大半のクラブが今季中止に同意していたということです。
 またAFLはリーグが中止となったことでクラブと選手や監督、コーチとの契約問題についても言及しています。今季のリーグ中止は誰にも管理できない「不可抗力」(force majeure)によるものであることから、原則としてクラブと選手や監督、コーチはその内容の見直しも含め、契約維持を求めたいとする一方で、契約解除に関しては罰則などは科さないとしています。

今季のチャレンジカップも中止が決定
 Mリーグを運営するMFLは、Mリーグ終了後に予定されていた今季のチャレンジカップの中止を公式サイトで発表しています。
 MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、試合の中継もなく無観客開催で行われることについてのスポンサーの意見、試合開催や移動、宿泊などを負担する一方で入場料収入が期待できないクラブの負担、そして減少傾向にあるとは言え、現在も1日の新規感染者数が1万5000人を超える状況下での開催の困難さを中止判断の要因に挙げ、チャレンジカップ開催強行が与える影響などを考慮したと述べています。
 スチュアートCEOは、MFLが一方的に中止を決定したわけではなく、出場予定だったMリーグ各クラブとの間で合意を得た上での中止でことを強調し、クラブと選手、監督、コーチとの契約はチャレンジカップが中止となっても当初の契約内容を維持することも同意されていると話しています。
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 通常であればMリーグは7月末に閉幕し、そこからマレーシアカップが始まります。しかしマレーシアカップに出場できるのはMリーグ1部スーパーリーグの上位11チームと2部プレミアリーグの上位5チームの全16チーム、しかもスーパーリーグにトップチームがあるクラブのセカンドチームもマレーシアカップには出場できません。つまり、Mリーグ1部と2部合わせて24チームある中で残る8チームは7月でその年の公式戦が全て終了してしまうことになります。
 そんな中で発案されたのがチャレンジャーカップでした。2018年から始まった大会はマレーシアカップ同様、出場8チームを2つのグループに分けて行うグループステージをホームアンドアウェイ方式で行い、各グループの上位2チームがノックアウトステージとなる準決勝、決勝と進んで優勝チームが決定します。これによりグループステージで敗れたチームでも最低6試合、決勝まで進出すれば10試合の試合を行うことができ、シーズンも10月半ばまで続くことになります。今季でいればスーパーリーグ最下位のUITM FC、セカンドチームのトレンガヌFC II、JDT II、スランゴールFC 2、ペラFC IIなどの出場する予定だったチャレンジャーカップですが、これらのチームは例年より早いシーズン終了となってしまうことになりました。

9月14日のニュース:これがリーグ8連覇の秘訣!?JDTは選手の規律違反に罰金100万円、タイ1部リーグ第2節-代表コンビのエルドストールはフル出場もタンは出番なし、女子アジアカップ予選出場の代表23名が発表、AFFフットサルカップにマレーシアから2チームが出場

 これがリーグ8連覇の秘訣!? JDTは選手の規律違反に罰金100万円
 マレーシア語紙ブリタハリアンは、JDTが規律違反した選手に対する処分内容を報じています。
 オーナーでジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下によれば、チーム内での規律を維持するため、選手と結ぶ契約書にはクラブが設ける様々な規律や行動規範がが明確に記載されており、それに違反した場合には選手、コーチ、監督を問わず、罰金処分が課されるということです。
 「選手がソーシャルメディアで不適切な投稿をした場合の罰金は4万リンギ(およそ106万円)、練習に遅刻した場合は1万5000リンギ(およそ39万8000円)が課せられる。(代表選手の)アキヤ・ラシドは遅刻してこの罰金処分を受けたことがある。また選手の夫人が不適切な投稿をしたクラブの名を汚すようなことをすればその選手に罰金を、また監督やコーチは練習開始2時間前に練習場に来ることを求めているので、これに遅れればチームマネージャーがその責任を負って罰金処分を受ける。もし罰金が支払えなければ、借金をしてでも払わせる。」と出演したテレビ番組内でイスマイル殿下が明かしたということです。
*****
 マレーシア人は時間に「寛容」なことはよく知られています。先日のパラリンピック東京大会でも一旦は金メダルを獲得した砲丸投げのマレーシア人選手が、競技前の呼び出しに遅刻したことから失格処分を受け、その処分が厳しすぎると国中がIOCに抗議する事態になりました。常識的に考えれば、決められた時間遅刻した時点でアウトですが、そういう思考にならないマレーシア人には不当な処分に映ったのでしょう。パラリンピックレベルですら時間厳守を気にしないのは、それが日常で容認されているからで、そういったマレーシアで選手に時間厳守や規律保持を求めるにはイスマイル殿下のように「痛み」を伴う処分が一番効果的かも知れません。失敗を「失敗」と認識しなければ、何も学べないですからね。

タイ1部リーグ第2節-代表コンビのエルドストールはフル出場もタンは出番なし
 2021/2022年シーズンのタイ1部リーグ第2節が先週末に開催され、チョンブリーFCでプレーする代表DFジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・マデル・アマラン・マデルネル)は先発してフル出場しています。開幕戦ではベンチ入りしなかったポリス・テロFCの代表DFドミニク・タンはこの試合ではベンチ入りしましたが出場機会はありませんでした。

タイ1部リーグ第2節
2021年9月11日@チャンアリーナ
ブリーラム・ユナイテッドFC 3-1 ポリス・テロFC
 ブリーラムが逆転勝ちで2位に浮上。ポリス・テロのドミニク・タンは今季初のベンチ入りも出場機会はありませんでした。
(試合の映像はブリーラム・ユナイテッドFCの公式YouTubeチャンネルより)

2021年9月12日@SCGスタジアム
ムアントン・ユナイテッドFC 3-3 チョンブリーFC
 3-0から引き分けたチョンブリーFCでしたが、3点目献上のPKを与えたジュニオール・エルドストールは自身のTwitterでVARを批判していますが、映像を見る限りではどちらとも言えない微妙なPK裁定でした。エルドストール選手は2戦連続で先発してフル出場しています。
(試合の映像はチョンブリーFCの公式YouTubeチャンネルより)

https://youtu.be/Ut7u97zGh78

タイ1部リーグ順位表(第2節終了)

順位チーム試合得失差勝点
1BGパトムU211024
2ブリーラムU211024
3シンハ・チェンライU211014
11チョンブリーFC202002
15ポリス・テロFC2011-21

女子アジアカップ予選出場の代表23名が発表
 マレーシアサッカー協会FAMはアジアサッカー連盟AFC女子アジアカップ2022年大会予選に出場する代表23名を公式サイトで発表しています。
 ジェイコブ・ジョセフ監督率いる女子代表は8月21日よりFAMの施設と国家スポーツ評議会NSCのブキジャリルにある施設で、候補選手25名を招集して合宿を行っていました。
 予選H組に入るマレーシアは集中開催地となるパレスチナへ向けて本日9月14日にKL国際空港を出発する予定で、パレスチナのアルラムで開催される予選H組ではタイ(9月19日)、パレスチナ(9月22日)との対戦が組まれています。
 代表23名のメンバーはこちらです。(下の告知はFAMの公式サイトより)

AFFフットサルカップにマレーシアから2チームが出場
 タイで開催される東南アジアサッカー連盟AFFフットサルカップ2021年大会に、マレーシアからスランゴールMACとパハンレンジャーズの2クラブが参加します。
 9月13日から17日までタイのナコーンラーチャシーマー(コラート)で開催されるこの大会は今回で6回目の開催となり、地元タイからはフリーファイア・ブルーウェーブ・チョンブリーとポートFCが、またカンボジアからはモハハンオールスターズFCが出場し、一回戦総当たり形式で行われます。
 過去5大会は全てタイのクラブが優勝しており、2015年から2017年はポートFCが、2018年と2019年はいずれもバンコクBTSがチャンピオンとなっています。(バンコクBTSはその後、PTTブルーウェイブ・チョンブリーと合併して現在のフリーファイア・ブルーウェーブ・チョンブリーとなっています)
 今回のAFFフットサルカップ2021年大会に出場するスランゴールMACは2019年のマレーシアプレミアフットサルリーグMPFLのチャンピオンで、フットサルマレーシア代表GKアズルル・ハディ・トフィクをはじめ、アズリ・ラーマン、アズワン・イスマイルらが所属しています。またパハンレンジャーズはフットサル界のJDTとも呼ばれており、カイルル・エフェンディ・バーリン、アワルディン・マット・ナウィ、サイフル・ニザム・モハマド・アリ、アブ・ハニファ・ハサン、リズワン・バクリらが所属しています。
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 スランゴールMACとパハンレンジャーズが所属するMPFLは昨季に続き今季2021年シーズンも中止が決定し、2年間の実戦不足はかなり大きなハンデとなりますが、近年、フル代表はタイに対して好成績を残し、また先日のACLではJDTがラーチャーブリーFCを相手にやはり好成績を上げているので、フットサルクラブもそれに続いて欲しいですね


 

Mリーグ1部スーパーリーグ第22節結果

 Mリーグ1部スーパーリーグの今季最終節第22節の6試合が9月12日の行われました。JDTが既に今季優勝を決めている一方で、AFCカップ出場権の懸かった2位争いは最終節までもつれていましたが、2位のクダ・ダルル・アマンFCが勝利し、直接対決となった3位ペナンFCと4位トレンガヌFCが引き分けたため、クダ・ダルル・アマンFCが2位を確定し、来季のAFCカップ出場権を獲得しています。また2部降格の決まっている11位のペラFCと12位のUITM FCは揃って勝利したため順位は変わらず、ペラFCがマレーシアカップの出場権を獲得しています。

2021年9月12日@スタジアム(クダ州アロースター)
クダ・ダルル・アマンFC 4-1 マラッカ・ユナイテッドFC
得点者:クダ-チェチェ・キプレ2(24分、31分PK)、バドロル・バクティアル(67分)、ファイヤド・ズルキフリ(69分)、マラッカ-アドリアーノ(50分)
 W杯予選で自国の代表チームに招集されたエースFWクパー・シャーマンと司令塔MFラビ・アタヤが離脱して以降の3試合を2分1敗と勝ち星がなかったクダ・ダルル・アマンFCがこの試合で引き分け以下なら3位以下に転落の可能性もありましたが、エースのシャーマン不在の中、代わりのエースとしてチームを引っ張ってきたチェチェ・キプレがこの試合でも2ゴールを挙げる活躍で、クダ・ダルル・アマンFCが2季連続となる2位でリーグ戦を終え、来季のAFCカップ出場資格を獲得しています。キプレ選手は今季10ゴール11アシスト、また主将のバドロル・バクティアルもこの試合の1ゴールも合わせてマレーシア人選手最多の7ゴールを挙げるなど、主力選手の離脱を総合力で補った結果の2位死守でした。
 一方、今季8位のマラッカ・ユナイテッドFCは昨季の9位から順位を1つ上げていますが、給料未払いで勝点3が剥奪されなければ7位の成績でした。クラブは給料未払い問題が明らかになり2年連続勝点剥奪処分を受けており、選手は逆境に耐えて頑張ったものの、経営陣には「たら」「れば」を言う資格もないでしょう。

2021年9月12日@シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナンFC 2-2 トレンガヌFC
得点者:ペナン-シェリディン・ボボエフ(40分)、カサグランデ(45+1分)、トレンガヌ-アルグジム・レゾヴィッチ(25分)、リー・タック(80分)
 2位のクダ・ダルル・アマンFCの試合結果次第では、逆転2位浮上のチャンスがあった両チームの対戦は、アブドル・ラティフ・スハイミが13分に退場となったことで10人となったペナンFCが圧倒的に不利に見えましたが、トレンガヌFCのデヴィッド・ダ・シルヴァのPKをペナンFCのGKサミュエル・サマーヴィルが止めてトレンガヌFCは先制機を逸します。それでもトレンガヌFCは先日、このブログでも取り上げたアルグジム・レゾヴィッチの今季初ゴールで先制し、このまま主導権を握るのかと思われたその15分後にペナンFCがシェリディン・ボボエフのゴールで同点、さらに前半終了間際にはエースのカサグランデが頭で合わせて1人少ないペナンFCがリードして前半を終了しました。
 後半もトレンガヌFCが優勢に進めながらもそれに持ちこたえていたペナンFCですが、80分にはリー・タックが同点ゴールを決め、さらに逆転を目指すも試合はこのまま2-2で終了しています。
 今季3位となったペナンFCは2001年の1部リーグ(当時の名称はプレミア1リーグ)優勝以来の好成績で1部昇格初年度を終えています。
 一方のトレンガヌFCは、前半戦は2位で折り返しながら、後半戦は3勝2分4敗、特に2位争いが佳境に入った最後の4試合では3分1敗と大失速した結果、昨季より順位を1つ下げて4位で今季を終えています。

2021年9月12日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラFC 2-1 サバFC
得点者:ペラ-ナナ・ポク2(20分、70分)、サバ-パク・タエスー(85分)
 既に2部降格を決めているペラFCはこの試合での順位変動はないものの、勝てばリーグ戦後のマレーシアカップ出場権が獲得、負ければ2部のクラブとチャレンジカップ出場となるためプライドを賭けての試合となりました。前半戦はUITM FCでプレーし11試合で2ゴールという成績だったペラFCのナナ・ポクがこの試合だけで2ゴールを決め、サバFCの反撃を振り切っています。
 FAMのテクニカルディレクターを務めていたオン・キムスイ氏の新監督就任が発表されたサバFCでしたが、シーズン最後で5連敗、しかもこの間は1得点16失点、後半戦全体でも0勝3分6敗(4得点20失点)のチームをマレーシアカップへ向けてオン新監督がどう立て直すのかに注目です。

2021年9月12日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴールFC 1-2 PJシティFC
得点者:スランゴール-イフェダヨ・オルセグン(45+4分PK)、PJ-カイリル・ムハイミーン(21分)、シャーミ・ザムリ(69分)
 今季は共にMBPJスタジアムを本拠地とする両チームの「スランゴールダービー」は、今季ここまで25ゴールを挙げているイフェダヨ・オルセグンが開始早々にPJシティFCゴールがシュートを放つなど、スランゴールFC優勢で始まりましたが、ケガによる長期離脱から先発復帰2試合目となったダレン・ロックが加わったPJシティFCはカイリル・ムハイミーンのゴールで先制します。前半終了間際にスランゴールFCは自身が倒されていたPKをイフェダヨ選手が決めてリーグ新記録となる26ゴールで同点とし、試合は1-1で折り返しました。後半開始直後には、スランゴールFCのGKカイルルアズハン・カリドがロック選手を倒してPKを与えてしまいますが、ロック選手が蹴ったPKはゴールポストに当たり、PJシティFCはリードを奪えないまま試合が進むも、69分にはゴールエリアの外からシャーミ・ザムリがロングシュートをゴール左上に決めて再びPJシティFCがリードします。追いつきたいスランゴールFCでしたが、85分には主将のシャーミ・サファリがプロフェッショナルファウルで一発退場となり万事休す。不安定な戦いを続けた今季を象徴するような敗戦で今季の最終成績を5位としたスランゴールFCに対し、1部スーパーリーグで唯一、外国籍選手0名で臨んだPJシティFCは大方の予想を覆す7位で今季を終えています。

2021年9月12日@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UITM FC 1-0 スリ・パハンFC
得点者:UITM-クォン・ヨンヒョン(24分PK)
 11位のペラFCが勝ったため、最終順位が最下位の12位となったUITM FCですが、後半戦は3勝2分4敗と今季の勝ち星は全て後半戦で記録しています。短縮日程となったものの昨季は6位だったチームの外国籍選手を主将のヴィクター・ニレノルド以外全て放出するなど疑問の残る運営方針の結果が2部降格へ繋がっています。
 新監督としてアメリカ出身のトーマス・ドゥーリー新監督を招聘しながら開幕戦から2連敗すると、いきなり「休養」させる不思議な対応をとったスリ・パハンFCでしたが、昨季の8位という成績から一旦は監督を解任すたドラー・サレー監督をその後任として復帰させてもチームが改善されるはずもなく、プロフェッショナルらしくない経営陣の元では10位で1部残留を果たせたのはむしろ喜ぶべきことかも知れません。

2021年9月12日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
JDT 2-1 KLシティFC
得点者:JDT-ナズミ・ファイズ(16分)、ニック・シャールル・アズミ(70分OG)、KL-ムハマド・イズリーン(25分)
 今季の王者JDT相手に善戦も、最後はオウンゴールで敗れたKLシティFCですが、1部復帰後最初のシーズンながら6位で今季を終えています。これは1999年の1部(当時の名称はプレミア1リーグ)の5位以来最高位の成績です。
 リーグ8連覇を達成したJDTは来季は4季連続のAFCチャンピオンズリーグ出場権を獲得しています。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ最終順位

ClubGWDLGFGAGDP
1#JDT2218315094157
2^KDA22134544281643
3PEN2212553730741
4TFC22115633211338
5SEL22106645301536
6KL228952720733
7PJ2266101628-1224
8MU225982531-6*21
9SBH2247112138-1719
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11@PRK2244142045-2516
12@UITM2234151641-2513
#JDTが2021年シーズンの優勝を果たし2022年AFCチャンピオンズリーグ出場権を獲得しています。
^クダ・ダルル・アマンFCは2022年AFCカップの出場権を獲得しています。
@ペラFCとUITM FCは2022年シーズンの2部降格が決定しています。
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点最終ランキング

選手(クラブ)ゴール数
1*イフェダヨ・オルセグン(SEL)26
2ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)23
3クパー・シャーマン(KDH)13
4カサグランデ(PEN)12
5パウロ・ジョズエ(KL)10
チェチェ・キプレ(KDH)10
*イフェダヨ選手の26ゴールはMリーグのシーズン最多ゴール新記録となっています。
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

9月12日のニュース:マレーシアサッカー協会が設立95周年、ケランタンFCオーナーはクラブの1部昇格に向けて増資を表明、トレンガヌFCはレゾビッチの帰化支援を開始

マレーシアサッカー協会が設立95周年
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で昨日9月11日に協会設立95周年となったことを発表し、その歴史を紹介しています。
 現在のマレーシアカップ、当時のHMSマラヤカップは既に1921年より始まっていましたが、このHMSマラヤカップ運営理事会メンバーのスランゴール、ペラ、マラッカ、ヌグリスンビランにシンガポールが加わった設立メンバーが、当時の英領マラヤ内及び国際試合を統括する組織として結成されたのが始まりだとしています。
 初代の会長に就任したのは、現在はマレーシア有数の複合企業体サイムダービー社の創始者の一人でもあったスコットランド人の会計士、ジョン・ミドルトン・サイム氏でした。
 その後1932年には組織名がマラヤサッカー協会FAMとなり、英国政府植民地省の*海峡植民地大臣やセイロン(現スリランカ)提督などを務めたアンドリュー・コールデコット卿が会長に就任しています。1936年からは年次総会と理事選挙が毎年行われるようになり、1940年には英国出身者以外では初めてとなるA.R.シンガム氏が事務局長に就任しています。
 太平洋戦争終了後には再び英国出身者が会長に就任したものの、後にマラヤ連邦初代首相となるトゥンク・アブドル・ラーマンがマレー系として初めて会長に就任すると、FAMは1954年のアジアサッカー連盟AFC創設にも大いに貢献したということです。
 さらに1957年のマラヤ連邦独立を記念して始まったムルデカ大会(ムルデカはマレーシア語で「独立」を意味します)などの成功を経て、1961年にはクアラルンプール氏内に本部が建設されました。国内環境の整備に合わせるように翌1962年にはマレーシア代表はアジア大会で銅メダルを獲得するなどマレーシアサッカーの認知度も上がっていきます。
 1963年にマラヤ連邦、サバ、サラワク、シンガポールが合併してマレーシアが成立するとマラヤサッカー協会からマレーシアサッカー協会へと名称が変更され、マレーシアサッカーの絶頂期とも言える1970年代から1980年代を迎えます。1972年のミュンヘン大会、1980年のモスクワ大会とオリンピック出場を果たし(ただし1980年はソ連のアフガン侵攻に抗議した西側諸国に歩調を合わせて辞退)、1974年アジア競技大会銅メダル獲得、1976年アジアカップ本戦出場なども果たしています。
 1979年にはFAM本部が現在のスランゴール州プタリンジャヤに移転し、1984年には現マレーシア国王のアブドラ国王の父君でパハン州スルタンのスルタン・アフマド・シャー殿下がFAMの会長に就任し、1989年のセミプロリーグ創設、さらに1994年のプロ化へと続いていきます。また1997年には宮本恒靖、柳沢敦、中村俊輔らの日本代表も出場したFIFAユースワールドカップ(現U20ワールドカップ)も開催しています。
 2000年代に入ると2004年にはMリーグ1部スーパーリーグが現行の形で行われるようになり、2007年にはAFCアジアカップをタイ、ベトナム、インドネシアと共同開催しています。またU23代表は2009年、2011年と連続して東南アジア競技大会通称シーゲームズで優勝、フル代表は2010年には東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップで初優勝も飾っています。
 2014年には30年以上会長職を務められたスルタン・アフマド・シャー殿下が退任し、当時はパハン州皇太子だった現マレーシア国王のアブドラ国王が会長に、そして2017年にはJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が会長にそれぞれ就任しました。そして2018年には民間人初となるハミディン・アミン会長が就任し、現在は会長職2期に入っています。
*****
 日本サッカー協会JFAは設立から今年で100周年を迎えますが、この国の協会はそれに遅れること5年で発足しています。1968年メキシコ大会銅メダル獲得以降は1996年までオリンピック予選で敗退を続けていた日本に対し、マレーシアは1974年、1980年と2度のオリンピック出場権を獲得するなど、1970年代から80年代にかけては、マレーシアが日本を凌駕していたことは明らかです。また国内リーグのプロ化も1993年のJリーグ開始とほぼ同時期だったにもかかわらず、現在は日本がFIFAランキング24位、マレーシアは154位となっています。どこでこうなった…。

ケランタンFCオーナーはクラブの1部昇格に向けて増資を表明
 Mリーグ2部プレミアリーグのケランタンFCは来季の1部昇格に向けスター選手獲得を目指すことを表明しています。
 昨年2020年9月に就任したノリザム・トゥキマン オーナーは、就任直後には給料が高い主力選手を中心に放出し、Mリーグ経験の少ない若い選手と外国籍選手という編成で今季のプレミアリーグに望みましたが、2節を残して18試合で7勝3分8敗で7位という成績で1部昇格には程遠い成績です。
 この状況についてマレーシア語紙ウトゥサンマレーシアは、チーム強化に向けてノリザムオーナーがより多額の投資を行い、チーム強化のためにスター選手を獲得する意向があることを自身のFacebookに投稿していると報じています。
 2012年にはMリーグ、マレーシアカップ、FAカップの全てに優勝し国内タイトルを総なめにしたこともあるケランタンFA(当時)ですが、投資家としても知られるノリザムオーナー就任の際には、元のオーナーのケランタン州サッカー協会による放漫経営により、かつて在籍した選手も含めて未払い給料など多くの負債を抱えている状態であったことから、コスト削減の目的もあり主力選手の放出を行っていました。

トレンガヌFCはレゾビッチの帰化支援を開始
 サッカー専門サイトのヴォケットFCは、トレンガヌFC IIでプレーするモンテネグロ出身のDFアルグジム・レゾヴィッチの帰化を支援し、来季のMリーグではマレーシア人選手登録を目指していると報じています。
 トレンガヌFCのズルファドリ・ロジTM(チームマネージャー)がサポーターからの問いに対して自身のツイッターに返信を投稿し、レゾヴィッチ選手と契約した際からそれを視野に入れていたことを認め、Mリーグでの5年目を終える来季2022年シーズンを完了することを条件としながらも、既にその準備を始めていることを明らかにしています…
 2018年にPDRM FCに加入したレゾヴィッチ選手は2019年もPDRM FCでプレーした後、2020年からはトレンガヌFC IIに加入し、今季はトレンガヌFC IIで14試合、そしてトップチームのトレンガヌFCでもここまで3試合に出場しています。
 29歳のレゾヴィッチ選手はマレーシア人女性と結婚していることも、マレーシア国籍取得には有利に働く可能性があります。

Mリーグ2部プレミアリーグ第21節結果

 9月10日から11日にかけてMリーグ2部プレミアリーグ第21節が開催されました。リーグ優勝争い、マレーシアカップ出場権争いとも最終節まで持ち越しになっています。また今節予定されていたクチンシティFC対ケランタン・ユナイテッドFCは、試合前の検査でケランタン・ユナイテッドFCの選手2名が陽性となったため、試合が順延になっています。

2021年9月10日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
サラワク・ユナイテッドFC 0-1 ヌグリスンビランFC
得点者:ヌグリスンビラン-フランシス・コネ(90+2分)
 今節注目のカード。首位サラワク・ユナイテッドFCと2位ヌグリスンビランFCはこの試合前の勝点差は2で、この試合の勝者がプレミアリーグ優勝に近づきますが、試合は開始から激しいものとなりました。
 0-0で折り返した試合は66分にゴール前に上がったクロスをサラワク・ユナイテッドFCのGKシャルビニー・アラウィーが捕球する際にヌグリスンビランFCの選手を蹴って一発レッドで退場。本人は捕球中の不可抗力のような抗議をしていましたが、スパイクの底が相手選手にあたる明らかな反則行為でした。しかしここで得たPKをフランシス・コネがゴールバー上に外すミスキックでヌグリスンビランFCは先制機を逃します。
 試合はこのまま0-0で終了かと思われたロスタイムにフランシス・コネがアルーン・クマールのクロスを頭で合わせて決勝ゴールを決め、ヌグリスンビランFCが勝利しています。
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 プレミアリーグの試合ながらMリーグを運営するMFLの公式YouTubeチャンネルで放映されたこの試合は開始から激しく両チームがぶつかりましたが、マレーシアサッカーの醜い面が現れる試合にもなりました。サラワク・ユナイテッドFCのシャルビニー選手は退場の判定に納得せず審判を小突き、退場する際には選手交代を告げるボードを挙げるをはたき、試合終了後にはサラワク・ユナイテッドFCの選手やコーチ陣が主審に詰め寄っただけでなく、激しく小突くなどの悪態も見られるなどマレーシアサッカー協会FAMの処分は必至でしょう。またこの試合では決勝ゴールを挙げたコネ選手がゴール後にシャツを脱ぎ、この試合で2枚目のイエローを出されて退場となるおまけもついています。

2021年9月10日@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
FAM-MSN プロジェクト 0-2 ペラFC
得点者:ペラ-ムハマド・アキル・ヒルマン・ダニアル・ロスラン(84分)、ムハマド・アダム・ナズミ・ザムリ(86分)  

2021年9月10日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴールFC2 1-4 トレンガヌFC II
得点者:スランゴール-シャルヴィン・セルヴァクマラン(71分)、トレンガヌ- モハマド・ラムジ・スフィアン(26分)、エンク・ムハマド・ヌル・シャキル(41分)、アフマド・ジクリ・モハマド・カリリ(54分OG)、ジョーダン・ミンター(90+1分)
 この試合の勝利で最終節の上位2チームの結果次第では、トレンガヌFC IIにも計算上は優勝の可能性が残りました。
 トレンガヌFC IIの渡邉将基選手は先発してフル出場しています。

2021年9月11日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタンFC 0-3 JDT II
得点者:JDT-モハマド・ファドリ・シャス(11分)、フェルナンド・ロドリゲス(17分)、廣瀬慧(57分)
 今季2点目のゴールを挙げたJDTの廣瀬慧選手は先発してフル出場しています。

 今節予定されていたクチンシティFC対ケランタン・ユナイテッドFCは、試合前の検査でケランタン・ユナイテッドFCの選手2名が陽性となったため、試合が順延になっています。

2021年シーズンMリーグ2部プレミアリーグ順位(第21節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1NS19115329141538
2NS19114436132737
3JDT1996437191833
TFC1888235181732
5PDRM197572021-125
6SEL195952624224
7KEL197392127-624
8KCH165651717021
8KU1862102127-620
10PRK1945101435-2117
11FAM1913151254-426
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:NS-ヌグリスンビランFC、SU-サラワク・ユナイテッドFC、TFC-トレンガヌFC II、PRK-ペラFC II、SEL-スランゴールFC 2、KEL-ケランタンFC、KU-ケランタン・ユナイテッドFC、KCH-クチンシティFC、FAM-FAM MSNプロジェクト
*今季の2部プレミアリーグは11チームが参加のため、各節で1チームだけ試合がありません。第21
節はPDRM FCの試合がありませんでした。

2021年シーズンMリーグ2部プレミアリーグ得点ランキング(第21節終了時)

選手名(クラブ)ゴール数
1ジョーダン・ミンター(TFC)16
フェルナンド・ロドリゲス(JDT)16
3ウチェ・アグバ(SU)13
4ガッサマ・アルフセイネイ(KU)10
5ジョージ・アトラム(SEL)9
6アライン・アコノ(NS)8
ヌルシャミル・アブドル・ガニ(KEL)8
アズハド・ハラズ・アルマン(FAM)8
クラブ名:NS-ヌグリスンビランFC、SU-サラワク・ユナイテッドFC、TFC-トレンガヌFC II、PRK-ペラFC II、SEL-スランゴールFC 2、KEL-ケランタンFC、KU-ケランタン・ユナイテッドFC、KCH-クチンシティFC、FAM-FAM MSNプロジェクト