エリートアカデミーに何が起こっているのか
マレーシアフットボールリーグMFL所属クラブのU19チームが対戦するユースリーグには、マレーシア国内から選手が選抜されている国家サッカー選手養成プログラムNFDPの中核をなすエリートアカデミーのモクター・ダハリアカデミーAMDのU16チームも参加していますが、このAMD U16が出場した試合で撮られた写真が様々な憶測を生んでいます。
マレー語紙ハリアンメトロ電子版によれば、ロゴが外された古いユニフォームを着た選手たちが写った写真についてコメントしたのはKJことカイリー・ジャマルディン科学・テクノロジー・イノベーション相です。2013年から2018年の総選挙で下野するまでNFDPを統括する青年スポーツ相を務め、在任中はマレーシア人として初めてヨーロッパでプレーし、当時バイエルン・ミュンヘンU19チームのアシスタントコーチを務めていたたリム・テオンキム氏をNFDPへ招聘しました。今年2月末に起こった政権交代により再入閣を果たしたカイリー大臣は、停滞していたユース育成プログラム改善に尽力したこともあり、この「異変」に敏感に反応し、NFDPの公式インスタグラムに「2019年の予算として配分された4500万リンギ(およそ11億2000万円)はどこへいったのか」とこの状況に疑問を呈するコメントを残しました。
(胸部分にあったロゴが外されたユニフォーム-NFPD公式インスタグラムより)
しかしカイリー大臣のコメントはその後なぜか削除され、その後NFPDがインスタグラムに削除を求めたこと、またその理由としてコメントがAMDの評判を貶めるものであることがその理由であることが公表されました。
ユニフォームの問題以外にも、各地のNFDP参加のトレーニングセンターの閉鎖、トレーニング用具の供給の遅れ、コーチの給与削減なども起こっているようで、ここ数年間の政治の不安定によってサッカー界の将来を担う貴重なプロジェクトが個人の利益を目論む輩につけ込まれていると記事は結んでいます。
ケランタンFAU21の
U21とU19チームの給料未払いをケランタン州協会会長が認める
ケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAがリーグ中断による入場料収入減から所属選手の給料削減を検討している事はこのブログでも取り上げましたが、プレジデントカップに出場するU21チームにも給料未払い問題があることをKAFAのフシン・デラマン事務局長が認めたことをマレー語紙ブリタハリアンが報じています。
U21チームの29名とU19の22名の合計51名の選手に対し、昨季2019年シーズンの給料4ヶ月分に加えて今季は全く給料が支払われていない他、トレーニングにかかる費用等も選手負担で、過去7ヶ月間に渡ってこの状態が放置されているということです。
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このような状況が過去数ヶ月にわたって起こっていることを把握できないまま、ケランタンFAの今季リーグ参加を承認したマレーシアサッカー協会FAMやリーグ主催者のマレーシアフットボールリーグMFLの調査能力の低さ(あるいは問題意識の希薄さ)によって、あらゆるサッカー活動が止まり、収入減に苦しむクラブが出てくることが予想される今後も同様の問題が露呈する可能性が高まってきました。
ミャンマー代表監督がマレーシアとの試合を拒否した理由とは
新型コロナウィルス感染者が増加する状況下では世界各地でサッカー活動が止まっていますが、今月3月に予定されていたマレーシア代表とミャンマー代表の国際親善試合を中止されています。
マレーシアサッカー協会FAMがミャンマー代表を招待する形で行われる予定だった試合は、新型コロナウィルスの影響により中止になっていますが、ミャンマーの英字紙ミャンマータイムズ電子版によれば、ミャンマー代表の監督を務めるドイツ人のアントワーヌ・ヘイ氏が直近のFIFAランキングで136位のミャンマーが同154位のマレーシアに敗れた場合、FIFAランキングが下がってしまうことを恐れたことも中止の理由の一つであるというミャンマーサッカー協会MFFのウ・コ・コ・テイン事務局長のコメントを伝えています。
2018年にミャンマー代表とU23代表の両チームの監督に就任しながら、同年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップでの敗退で一旦解任されながら、昨季から再びミャンマー代表監督に復帰したヘイ監督は、ミャンマーよりがFIFAランキングが高い国との試合を希望しているというウ・コ・コ・テインMFF事務局長のコメントも記事には併せて掲載されています。