9月25日のニュース:FAMとパハン州FAはお互いを非難、スランゴール州FAはスマレとの交渉はFAMの承認済みと主張するもFAMは否定、期限まで1週間となった民営化が完了しているのは現時点で12クラブ

FAMとパハン州FAはお互いを非難
 マレーシアサッカー協会FAMとMリーグ1部パハンFAを運営するパハン州サッカー協会(パハン州FA)はお互いに非難を応酬し合う状況になっています。
 パハン州FAを離れてタイ1部リーグのポリス・テロFC移籍を発表したモハマドゥ・スマレに対して、今月9月11日にパハン州FAはFAMへ不服申し立てを行いましたが、FAMの対応が不十分として、一昨日9月22日にFAMを強い調子で非難する声明を公式Facebookなどで公開しました。
 パハン州FAのノーリア・アブドル・マナフ事務局長は自身の名で出された公式声明で「(対応が遅れていることについて)FAMはFIFAの対応を待っているといることを理由にしているが、パハン州FAはこの理由を受け入れることはできない。マレーシア人選手に関する事例への対応はFAMの管轄であり、アジアサッカー連盟のウインザー・ポール事務局長もメディア向けの声明でこれを肯定している。」と述べ、パハン州FAも含め国内の州FAを統括する立場のFAMは、今回のスマレ選手に関する件についてパハン州FAの申し立てに真剣かつ速やかに対応するべきだとしています。
 さらにパハン州FAのノーリア事務局長は、FAMが早急に対応しない場合、マレーシア国内のスポーツに関する問題を裁定するスポーツコミッショナーにこの件についての裁定を仰ぐことも検討しているとしています。
 「パハンFAを離脱するに至った理由としてスマレ選手が挙げている内容は不正確な上にでっち上げであり、パハン州FAは事実に基づきスマレ選手の主張に異議を申し立てる用意がある。」と話すノーリア事務局長は、スマレ選手が離脱の最大の理由として挙げている契約内容とは異なる給料が過去3年間に渡り支払われていたことについても、これを全面的に否定しています。
 一方のFAMは公式サイトに反論を掲載し、パハン州FAによる非難は根拠がない上に無責任であるとしてこれを糾弾しています。
 FAMはこの件がパハン州FAから報告された当初から、スマレ選手に関する提訴をFIFAへ行うための手順や必要条件などを提示してパハン州FAに協力してきたと主張し、パハン州FAへの反論ではその事実を時間の経緯に沿って説明しています。その上でスマレ選手が契約破棄の根拠としている「給料未払いが発生した際には契約を破棄できる」という条項が使われた事実について自身の責任を理解するべきだと、パハン州FAの非難に応酬しています。

スランゴール州FAはスマレとの交渉はFAMの承認済みと主張するもFAMは否定
 またパハン州FAとFAMの論争の最中に明らかになったのが、Mリーグ1部スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会(スランゴール州FA)がスマレ選手に接触する際にFAMがこれを承認していたというニュースです。
 こちらはスランゴール州FAのジョハン・カマル・ハミドン事務局長がFAMに事前に資格紹介を行い、さらにFAMから承認を得た上で獲得交渉を行っていたことを明かし、これがパハン州FAのFAMに対するさらなる非難を産む原因になっています。
 英字紙ニューストレイトタイムズにはパハン州FA関係者の話として、パハン州FAとスマレ選手の「離婚調停」を行なっていたFAMが、その裏ではスランゴールFAとスマレ選手の「結婚」を承認していたと、FAMを非難しているとしています。
 しかもこの話がここで終わらないのがマレーシア。FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、FAMにはスランゴール州FAとスマレ選手の交渉を許可する資格も禁止もする資格もないと話し、スランゴール州FAのジョハン事務局長の問い合わせてに対しては、スマレ選手は契約内容に含まれていた「給料未払いが起こった際に契約を破棄できる」という条項を使って契約を破棄したという事実を伝えただけであると話しています。
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 正式な契約書が交わされていながらこの様な問題が発生すること自体、正直、理解ができませんし、誰かが(あるいは関係者全員が)自身に都合よくその内容を解釈しているのかも知れません。結局はプロサッカーチームの運営を各州の議員や公務員といったアマチュアが運営していることに起因している様に感じます。皇族を協会の会長に置くパハン州FAとスランゴール州FAがこの件に関連しているのは単なる偶然ではなく、そういった権威の下でそれを傘にきた輩が自身の権力闘争にサッカーを利用している図式が見え隠れしている気がします。監督をクビにしてもその任命責任が問われないスランゴール州FAはその際たるものでしょう。そのためにも次の記事で取り上げるクラブの民営化は何としても進めていかなければならない様に思います。

期限まで1週間となった民営化が完了しているのは現時点で12クラブ
 マレーシアサッカー協会FAMが期限を9月30日に設定したクラブの民営化ですが、現時点では12クラブが民営化手続きを完了していることをFAMが公式サイトで発表しています。マレーシアのプロクラブの大半は、各州サッカー協会(州FA)が運営していますが、FAMはアジアサッカー連盟AFCの指導に基づき、各州FAが運営するクラブを州FAから切り離す民営化を求めており、その期限はあと1週間ほどに迫っています。
 今回FAMが発表した民営化手続きが完了しているクラブは、ジョホール・ダルル・タジムJDT、PJシティFC、マラッカ・ユナイテッドFC、トレンガヌFC、サバ、ペラTBG(以上Mリーグ1部)、サラワク・ユナイテッドFC、ヌグリスンビラン、ケランタン・ユナイテッドFC、クチン・シティFC、クアラルンプール(以上Mリーグ2部)そしてMリーグ3部所属のマレーシア国軍FCの12クラブです。
 またこの他、Mリーグ1部のスランゴールFC、フェルダ・ユナイテッドFCと2部ケランタンは手続きの最終段階に入っていること、また1部のパハンとクダ、2部のペナンは手続きの最中であるともされています。
 その一方でマレーシア王立警察を母体とするPDRM FCと国立大学を母体とするUITM FCとUKM FCについては手続きを始めたばかりの段階ということで、FAMは速やかな対応を求める督促状を送ったとしています。
 民営化が完了しないクラブは、AFC主催のAFCチャンピオンズリーグやAFCカップなどの大会にはマレーシア代表として出場できない他、来季2021年以降は国内リーグのMリーグ1部と2部でもプレーするためのクラブライセンスが発給されません。
 なおFAMのプロ委員会のモハマド・フィルダウス・モハマド委員長名で出されたこの発表では、民営化手続きを完了していないクラブに対して9月30日の期限は決して延長されないとする一方で、必要な支援をいつでも行う用意があり、今季の1部と2部の全クラブが民営化手続きを期限までに完了することを望んでいるとも書かれています。

Mリーグ1部スーパーリーグ2020年シーズン第8節結果

 9月19日(土)から9月21日(月)の3日間に、1部スーパーリーグ第8節の6試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。)
 *試合のダイジェスト映像は全てMFLの公式Youtubeより。

9月19日(土)
スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
ジョホール・ダルル・タジムJDT 6-1 スランゴールFC
得点者:JDT-サファウィ・ラシド2(45+2分、49分PK)、ジオゴ(64分)、ゴンザロ・カブレラ(67分)、ラマダン・サイフラー2(72分、75分)、スランゴール-ルフィアノ・セゴヴィア(81分)
 直接対決でJDTとの勝点差を詰めるどころか粉砕されたスランゴールFCは、累積警告でブレンダン・ガンを欠くなど苦しいメンバーではありましたが、それでもこの惨敗は許容されなかったのか、この試合から数時間後にサティアナタン・バスカラン監督が解任されています。
 JDTはリーグ再開後にBチームから昇格したラマダン・サイフラーが既に3ゴール目を決めており、改めて選手層の厚さを見せつけました。

UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UITM FC 2ー1 トレンガヌFC
得点者:UITM-アリフ・アンワル(5分)。ヴィクター・ニェノルド(61分)、トレンガヌFC-リー・タック(38分PK)
 某新聞の某記者からは予算のない大学生のチームはトップリーグにいるべきでないと辛辣なコメントをされていたUITM FCでしたが、第8節を終わって4位と大健闘どころか着実に勝ち星を重ねています。残り3試合はチームの士気が下がっていそうなスランゴールFC、降格圏内に低迷するPJシティFC、サバFAと続くため、リーグ2位に与えられる来季のAFCカップへの出場権獲得も見えてきました。

9月20日(日)
トゥン・アブドル・ラザクスタジアム(パハン州ジェンカ)
フェルダ・ユナイテッドFC 2-2 パハンFA
得点者:フェルダ-ニコラ・ラスポポヴィッチ(38分)、ハイカル・アズハ(45+2分PK)、パハン-ムスリム・アーマド(14分)、イヴァン・カルロス(79分PK)
 フェルダ・ユナイテッドFCの恵龍太郎選手は先発してフル出場しています。

ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州クルボン)
マラッカ・ユナイテッドFC 1-1 PJシティFC
得点者:マラッカ-ロメル・モラレス(72分)、PJ-コギレスワラン・ラジ(90+3分)

クアラルンプールフットボールスタジアム(クアラルンプール)
PDRM FC 0-2 ペラTBG
得点者:ペラ-シャーレル・フィクリ(分)、レアンドロ・ドス・サントス(87分)

9月21日(月)
クアラルンプールフットボールスタジアム(クアラルンプール)
クダFA 3-1 サバFA
得点者:クダ-クパ・シャーマン(26分)、チェチェ・キプレ(71分)、ファイヤッド・ズルキフリ(75分)、サバ-デニス・ブシェニング(28分)
 途中出場ながらファイヤッド・ズルキフリが1アシスト1ゴールと活躍した他、両エースが揃ってゴールを決めたクダFAがサバFAを振り切っています。

マレーシアスーパーリーグ順位表(第8節終了時)

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1JDT87102251722
2クダFA8512159616
2ペラTBG84221112-114
4UiTM FC841398113
5マラッカU8422117411
6トレンガヌFC83141513210
7パハンFA83141212010
8スランゴールFC82421015-510
9フェルダU81431013-37
10PJシティFC8153711-48
11サバFA8134815-76
12PDRM FC8026414-10-1
*5位のマラッカUと12位のPDRM FCはそれぞれ、給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアスーパーリーグ ゴールランキング(第8節終了時)

ゴール数選手名所属試合数
7ドミニク・ダ・シルヴァトレンガヌFC8
6チェチェ・キプレクダFA8
5シャーレル・フィクリペラTBG
5ゴンザロ・カブレラJDT8
5イフェダヨ・オルセグンスランゴールFC8
5チェチェ・キプレクダFA8
5イヴァン・カルロスパハンFA8
5クパ・シャーマンクダFA8

Mリーグ1部スーパーリーグ2020年シーズン第7節結果

 9月11日(金)と9月12日(土)の両日に、1部スーパーリーグ第6節の6試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。)
 *試合のダイジェスト映像は全てMFLの公式Youtubeより。

9月11日(金)
ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラTBG 1ー0 UITM FC
得点者:シャレル・フィクリ(4分)
 前節ではJDTに0ー7と大敗したペラTBGでしたが、この試合は開始直後4分のゴールを守り切って勝利しています。
 UITM FCは司令塔ラビ・アタヤを累積警告による出場停止で欠く苦しい布陣ながら善戦するも惜敗し、リーグ戦の連勝が3でストップしました。

スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌFC 0-1 ジョホール・ダルル・タジムJDT
得点者:JDT-サファウィ・ラシド(5分)
 JDTが3連勝、開幕からも7試合負けなしとなり、リーグ7連覇にまた一歩近づきました。AFCチャンピオンズリーグ過去10年のベストゴールを受賞したサファウイ・ラシドがゴールを決めています。
 下のハイライト映像にはありませんが、トレンガヌFCにとってはPKを与えられても良い場面が少なくと2度あり審判に泣かされた試合でもありました。これにはJDTのオーナーのトゥンク・イスマイル殿下も審判を非難するコメントを出すほどでした。

UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
スランゴールFC 1-1 マラッカ・ユナイテッドFC
得点者:スランゴール-サンドロ・ダ・シルヴァ(40分)、マラッカ-ウチェ・アグバ(39分)
 来季のAFCカップ出場を目指すスランゴールFCにとっては上位進出が遠のく引き分けでした。試合終了間際にはブレンダン・ガンが2枚目のイエローで退場となり、次節の注目カード、首位JDT戦に出場できなくなりました。
 一方のマラッカUはリーグ再開後は2勝1分と好調を維持しています。

9月12日(土)
トゥン・アブドル・ラザクスタジアム(パハン州ジェンカ)
フェルダ・ユナイテッドFC 1-2 クダFA
得点者:フェルダ-シャミ・ザムリ(41分)、クダ-チェチェ・キプレ(48分)、ハディン・アズマン(66分)
 クダFAが昨季までフェルダ・ユナイテッドに在籍していたハディン・アズマンの逆転ゴールでリーグ再開後3連勝し、今季最高位の2位に浮上しています。
 一方のフェルダ・ユナイテッドはリーグ再開から1分2敗と勝ち星がありません。
 フェルダ・ユナイテッドの恵龍太郎選手は先発でフル出場しています。

ダルル・マクマルスタジアム(パハン州クアンタン)
パハンFA 2-1 PDRM FC
得点者:パハン-イヴァン・カルロス(37分)、ファイザル・ハリム(74分)、PDRM-アミル・サイフル(83分)
 パハンFAはFWディクソン・ヌワカエメを欠きながらも最下位のPDRM FCに勝利し、連敗を2で止めています。
 PDRM FCは給料未払い問題により勝点3を剥奪されており、このままだと勝点がマイナスでシーズンを終える可能性が出てきました。

MPPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティFC 1-1 サバFA
得点者:PJ-エリゼウ・アラウージョ(53分)、サバ-ロドリュブ・パウノヴィッチ(88分)
 ともに降格圏にいる両チームの争いは引き分けに終わっています。

マレーシアスーパーリーグ順位表(第7節終了時)

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1JDT76101641219
2クダFA7412128413
3ペラTBG7322912-311
4マラッカU741264210
5トレンガヌFC73131411310
6スランゴールFC724199010
7UITM FC731377010
8パハンFA7304101009
9フェルダU7133811-36
10PJシティFC7133610-46
11サバFA7133712-56
12PDRM FC7024310-7-1
*4位のマラッカUと12位のPDRM FCはそれぞれ、給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアスーパーリーグ ゴールランキング(第7節終了時)

ゴール数選手名所属試合数
7ドミニク・ダ・シルヴァトレンガヌFC7
5イフェダヨ・オルセグンスランゴールFC7
5チェチェ・キプレクダFA7
4サンジャル・シャアフメドフ他6名

Mリーグ1部スーパーリーグ2020年シーズン第6節結果

 9月4日(金)と9月5日(土)の両日に、1部スーパーリーグ第6節の6試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。)
 *試合のダイジェスト映像は全てMFLの公式Youtubeより

9月4日(金)
ジョホール・ダルル・タジムJDT 7-0 ペラTBG
得点者:アフィク・ファザイル(22分)、ゴンザロ・カブレラ3(36分、45分PK、63分)、ラマダン・サイフラー(45分+2分)、サファウィ・ラシド(79分)、アキヤ・ラシド(84分)
 JDTは、追撃候補の一つペラTBGを全く寄せ付けず、JDTがゴンザロ・カブレラのハットトリックなどを含む今季最多得点で圧勝。2位に勝点差6をつけ、独走態勢に入りつつあります。

リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバFA 1-2 スランゴールFC
得点者:サバ-ルドリュブ・パウノヴィッチ(65分)、スランゴール-イフェダヨ・オルセグン2(72分、81分)
 スランゴールFCは前節はベンチスタートだったイフェダヨ・オルセグンが先発し、終盤に2ゴールを決めリーグ再開後の初勝利を挙げています。
 一方、サバFAはリーグ再開から2連敗となっています。

ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州クルボン)
マラッカ・ユナイテッドFC 1-0 トレンガヌFC
得点者:マラッカ-ウチェ・アグバ(61分)
 マラッカ・ユナイテッドFCが連勝。過去2試合で6得点無失点で2連勝のトレンガヌFCは完封負けしています。

9月5日(土)
ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダFA 2-1 PJシティFC
得点者:クダ-クパ・シャーマン(24分)、チェチェ・キプレ(68分)、PJ-ワシントン・ブランダオ(16分)
 5バックで試合に臨んだPJシティが先制し、さらに守備的になった布陣をこじ開けたクダFAが連勝で2位に浮上。
 一方の3試合勝ち星なしのPJシティは11位のサバFAと勝点で並び、次節の直接対決が控えています。

UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UITM FC 1-0 パハンFA
得点者:ラフィ・ヤアコブ(63分)
 昇格組のUITM FCが前節のフェルダ・ユナイテッドFCに続き、昨季2位のパハンFAに勝利する大番狂わせで、順位を一つ上げ4位としています。
 パハンFAはリーグ再開以降2連敗で、モハマドゥ・スマレ不在が響いています。

クアラルンプールフットボールスタジアム(クアラルンプール)
PDRM FC 1-1 フェルダ・ユナイテッドFC
得点者:PDRM-エスカンダル・イスマイル(59分)、フェルダ-カイルル・アムリ(71分PK)
 PDRM FCが今季チーム3ゴール目となるエスカンダル・イスマイルのゴールで先制しましたが、フェルダ・ユナイテッドFCが追いつき引き分けに終わっています。
 フェルダ・ユナイテッドFCは最下位のPDRM FC相手に勝点3を獲得してリーグ順位をあげたいところでしたが、今季未勝利の相手に引き分けが精一杯でした。
 フェルダ・ユナイテッドFCの恵龍太郎選手は先発でフル出場しています。

マレーシアスーパーリーグ順位表(第6節終了時)

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1JDT65101541116
2トレンガヌFC63121410410
3クダFA6312107310
4UITM FC631276110
5マラッカU64029549
6スランゴールFC62318809
7ペラTBG6222812-48
8パハンFA620489-16
9フェルダU613279-26
10PJシティFC612359-45
11サバFA6123611-55
12PDRM FC6024310-7-1
*5位のマラッカUと12位のPDRM FCはそれぞれ、給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアスーパーリーグ ゴールランキング(第6節終了時)

ゴール数選手名所属試合数
7ドミニク・ダ・シルヴァトレンガヌFC6
5イフェダヨ・オルセグンスランゴールFC6
4サンジャル・シャアフメドフトレンガヌFC6
4ゴンザロ・カブレラJDT6
4クパ・シャーマンクダFA6
4チェチェ・キプレクダFA6

Mリーグ1部スーパーリーグ2020年シーズン第5節結果

 3月16日から中断していたMリーグが再開し、8月28日(金)と8月30日(土)の両日に、1部スーパーリーグ第5節の6試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。)
 今節は、JDTを除き、試合前に下位だったチームが上位のチームを破る結果になっています。(試合のダイジェスト映像はMalaysia Football LeagueのYoutubeチャンネルより)

8月28日(金)
ダルル・マクマルスタジアム(パハン州クアンタン)
パハンFA 2-0 ジョホール ・ダルル・タジムJDT
得点者:パハン-ファイサル・ハリム(40分)、エラルド・グロン(45分)、JDT-レオナルド・ヴァレスケス(5分)、ラマダン・サイフラー(15分)、ゴンザロ・カブレラ(35分PK)
 ポルトガルリーグのポルティモネンセSCへの移籍が決まっているエースのサファウィ・ラシドをベンチスタートさせたJDTは、Mリーグが中断する第4節まではBチームのJDT IIに所属し、2部プレミアリーグでプレーしていたラマダン・サイフラーがトップチーム昇格後に即スタメン出場し、さらにゴールを決めるなど改めて選手層の厚さを披露しました。さらに代表でもプレーするパハンFAの高速ウイング、モハマドゥ・スマレ獲得の噂もあり、エースの移籍にも盤石の構えでリーグ7連覇に近づきました。
 一方のパハンFAは、前述のスマレ選手が過去1ヶ月ほど練習にも参加していないという報道があり、この日もベンチ入りしませんでした。また第4節までチーム最多の3ゴールを決めているFWイヴァン・カルロスもケガでスタメンを外れるなど満身創痍のチーム状態では2点を返すのがやっとでした。

ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラTBG 0-1 マラッカ・ユナイテッド
得点者:マラッカ-フェリス・ダニアル(52分)
 給料未払い問題で揺れるマラッカ・ユナイテッドがペラTBGの無敗記録をストップ。ペラTBGのオフサイドトラップを抜け出したフェリス・ダニアルが今季初ゴールを決めています。

トゥン・アブドル・ラザクスタジアム(パハン州ジェンカ)
フェルダ・ユナイテッド 0-1 UITM FC
得点者:UITM-マーク・ハートマン(38分)
 今節最大の番狂わせとなったこの試合は、マーク・ハートマンのゴールで大学生が主体のUITM FCがフェルダ・ユナイテッドを破り9位から3位に浮上。一方のフェルダ・ユナイテッドは5位から9位に順位を下げています。
 フェルダ・ユナイテッドの恵龍太郎選手はスタメンでフル出場しています。

スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 4-0 サバFA
得点者:トレンガヌ-ドミニク・ダ・シルヴァ(12分)、サンジャル・シャアフメドフ2(43分、71分)、ファリス・ラムリ(84分)
 Mリーグ再開前のスーパーリーグ展望で失点をどれだけ防げるかが上位進出の鍵となると予想したトレンガヌFCが2試合連続の完封勝利で首位JDTと勝点差3の2位に浮上しています。またこの試合でもゴールを決めたドミニク・ダ・シルヴァは5試合で6ゴールとリーグ得点王として好調を維持しています。
 一方、サバFAはやはりスーパーリーグ展望で実戦練習不足が懸念材料と書きましたが、やはりそれが露呈した格好になり、一気に降格圏内の11位まで順位を下げました。

クアラルンプール・フットボールスタジアム(クアラルンプール)
PDRM FC 0-2 クダFA
得点者:チェチェ・キプレ2(30分、36分PK)
 こちらも給料未払い問題が取り沙汰されているクダFAが最下位相手ながら快勝し、順位を8位から3位としています。クダFAを運営するクダ州サッカー協会は、このPDRM FC戦前に未払いとなっている3月から6月までの給料を完済すると約束していましたが、それが1週間先延ばしになり、チームの士気が低下しても致し方ない状況でしたが、相手がPDRM FCだったことも幸いしてか、勝点3を獲得しています。
 敗れたPDRM FCは、リーグ中断前の第4節まで活躍した正GKのブライアン・シーをケガで欠き、攻撃陣も機能せず、既に今季3度目の完封負けで、今季の成績を0勝1分4敗としています。

UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
スランゴール FC 0-0 PJシティFC
得点者:なし
 ケガから復帰のルフィアノ・セゴヴィアを先発させて攻撃重視のメンバーを組みながら前半を無得点で折り返すと、スランゴールFCは後半には昨季のチーム得点王イフェダヨ・オルセグンやワン・ザック・ハイカルら攻撃のカードをさらに切りましたが、PJシティFCのゴールを破ることはできませんでした。この引き分けは上位進出を狙うスランゴールFCにとっては負けにも等しい痛い引き分けでした。
 この試合の前にはスランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督が今季の契約切れと共に退任するという噂が出ており、この辺りも試合の結果に影響を及ぼしたかもしれません。
 PJシティFCは負けていれば、降格権内の11位に落ちるところでしたが、貴重な勝点1をもぎ取り10位に踏みとどまりました。

マレーシアスーパーリーグ順位表(第5節終了時)

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1JDT541087413
2トレンガヌFC5311149510
3ペラTBG52218538
4クダFA52128627
5UITM FC52126607
6マラッカU5302853*6
7パハンFA52038806
8スランゴールFC513167-16
9フェルダU512268-25
10PJシティFC512247-35
11サバFA512359-45
12PDRM FC501429-7*-2
*6位のマラッカUと12位のPDRM FCはそれぞれ、給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアスーパーリーグ ゴールランキング(第5節終了時)

ゴール数選手名所属試合数
7ドミニク・ダ・シルヴァトレンガヌFC4
4サンジャル・シャアフメドフトレンガヌFC4
3イフェダヨ・オルセグンら他5名

8月26日のニュース:Mリーグ再開に向けて1部スーパーリーグ展望Part3

Mリーグ1部スーパーリーグ展望Part2
 Mリーグ再開まであと2日となりました。昨日、一昨日に続き、ニューストレイトタイムズのアジトパル・シン記者によるMリーグ1部スーパーリーグの展望に便乗し、ボラセパマレーシアJP視点の(=素人感丸出しの)コメントをつけたものをお届けします。今日は第4節終了時の9位から12位のチームについてです。

9位 UITM FC(1勝1分2敗-勝点4)

<残り試合>
フェルダ・ユナイテッド (A)、パハンFA (H)、ペラTBG (A)、トレンガヌFC (H)、スランゴールFC (A)、PJシティFC (H)、サバFA (A)
<シン記者評>
 UITM FCは今季の降格候補の一つ。そもそも大学のクラブが国内のトップリーグでプレーする必要もなければ、他のプロクラブと競い合うだけの資金力もない。現にリーグ再開前の練習試合ではJDTに0-8と惨敗しており、リーグの頭数合わせ的な存在である。フランク・バーンハート監督にとっては、ペラTBG、トレンガヌFC、スランゴールFC、そしてPJシティFCといった相手との対戦は頭が痛いだろう。
<シン記者の今季順位予想>
11位
<ボラセパマレーシア的私見>
 Mリーグの規則に則って1部昇格してきたUITM FCをこき下ろすよりも、シン記者はむしろこのクラブを昇格させてしまった2部の他の「プロ」クラブの不甲斐なさを非難すべきではないでしょうか。
 とは言え、降格候補のクラブであることは事実です。他のクラブにとっては、このUITM FC相手に勝点はもちろん、得失差を有利にするためにもゴールを量産しにかかるでしょうから、そこを逆手にとってジャイキリを狙い、リーグを盛り上げてもらいたいです。そしてそのためには自身へのマークが集まりがちなMFラビ・アタヤが周りを生かす役割に徹することができるかどうか次第でしょう。

10位 PJシティFC(1勝1分2敗-勝点4)


<残り試合>
スランゴールFC (A)、クダFA (A)、サバFA (H)、マラッカ・ユナイテッド (A)、JDT (H)、UITM FC (A)PDRM FC (H)
<シン記者評>
 中堅どころのクラブながらスランゴール州プタリンジャヤ(PJ)を中心に存在感をアピールし、一定のファンを集めているPJシティFC。
 デヴァン・クッパサミー監督率いるクラブはリーグ中断前は安泰感を欠いていたものの、リーグ再開前の練習試合を見る限りでは、リーグの上位チームに一泡吹かせる実力をつけてきている。
<シン記者の今季予想順位>
8位
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 リーグ再開前に飛び込んできたのはFWデムバ・カマラが母国のギニアから未だ出国できていないと言うニュースです。ギニア政府が自国民の移動を禁じていると言う報道もあり、新型コロナによるリーグ中断期間中に帰国したデムバ選手は明後日に迫ったリーグ再開に間に合わないことは明らかです。下手をすればこのままマレーシアに戻ることなく今季2020年シーズン終了の可能性もあるようで、そうなるとPJシティFCも降格争いに巻き込まれてしまう可能性があります。

マラッカ・ユナイテッド(2勝0分2敗-勝点3 *勝点3が剥奪されています。)

<残り試合>ペラTBG (A)、トレンガヌFC (H)、スランゴールFC (A)、PJシティFC (H)、サバFA (A)、クダFA (A)、JDT (H)
<シン記者評>
 過去数シーズンに渡り未払い給料問題を抱えていたことが発覚し、しかもそれが解決していないことから今季開幕後に勝点3を剥奪されたマラッカ・ユナイテッド。タイ出身のナザことDFナルポン・プッソーンは2月の給料と3月の給料の4分の1しか払われなかったことから退団しています。
 マラッカ・ユナイテッドは勝点3の11位ながら、他の降格候補はマラッカ・ユナイテッドより更に劣るため、今季は1部に残留するだろう。
 元代表のザイナル・アビディン監督や同じ元代表主将のサフィク・ラヒムらは、そんなマラッカ・ユナイテッドに在籍していることで時間を無駄にしているように思える。今季終了後は、負債まみれのチームを直ちに離れるべきである。
<シン記者の今季順位予想>
10位
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 昨季は上記のサフィク・ラヒムやカイルル・ファミ・チェ・マットなど往年の代表選手を集めて強化を図りながら、結果は残せず、債務が残ったといったところでしょう。その結果が未払い給料が発生し、勝点剥奪処分を受ける、と言うマレーシアのプロリーグでの「あるある」を実践したマラッカ・ユナイテッド。
 昨季はシーズン途中で主将のシュコル・アダンが未払い給料問題を理由に、チームの遠征に帯同せず、そのまま退団となっています。
 同じようなことが今季も繰り返されれば、

12位 PDRM FC(0勝1分3敗-勝点マイナス2点 *勝点3が剥奪されています。)

<残り試合>クダFA (H)、フェルダ・ユナイテッド (H)、パハンFA(A)、ペラTBG (H)、トレンガヌFC (A)、スランゴールFC (H)、PJシティFC (A)
<シン記者評>
 今季開幕前に、給料未払い問題が未解決であったことから勝点3を剥奪されたPDRM FC。限られた予算で運営される現職警察官とプロ選手の混合チームはプロリーグでプレーしているものの、一部の選手には手当てしか支給されておらず、その実態はアマチュアクラブのような運営が行われている。
 リーグ中断期間中に帰国、その後の合流を拒否しているアントニオ・ジャーマンを欠き、4試合で勝点1のチームは、リーグ再開後も勝点がプラスに転じる可能性が低く、今季終了後に2部降格となることが誰がどうみても確定していると言える。
<シン記者の今季順位予想>
12位
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 活動制限令MCO期間中は選手を兼ねる警察官の仕事がメディアで取り上げられるなど、サッカーとは関係のないところで注目を浴びましたが、言い換えれば、それくらいしか話題性もないクラブです。昨今話題になっている民営化の実現も難しそうなクラブは今季終了と共に降格、そして二度と1部復帰することはなさそうです。

8月2日のニュース:二度目の検査で陰性反応もクチンFAの今季Mリーグ参加は再開直前まで確定せず、クダFAのエースは月給が300万円超えではないと明言、9月末の期限までに民営化しないクラブは来季は3部降格も

二度目の検査で陰性反応もクチンFAの今季Mリーグ参加は再開直前まで確定せず
 先日このブログでも取り上げたMリーグ2部クチンFAの選手5名が新型コロナウィルスの綿棒検査で陽性となった件ですが、その後、新たな進展があり、改めて行われた血液検査ではこの5名全員が陰性となっています。
 クチンFAのイスワンディ・アリ・ハサン事務局長は、この5名の選手は、3度目の検査を控えて現在は自宅隔離中だと明かした上で、状況が悪化し、Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLがリーグ出場辞退を求めた場合はそれを受け入れる用意があると話していることを、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 自宅隔離中というイスワンディ事務局長は「我々自身でリーグ出場辞退を申し出たくはないが、もしMFLからそのような依頼があれば、他のクラブに問題が及ばないよう、その依頼を受け入れる予定がある。」と話しています。
 なお現在のチームの状況は、8月8日までは選手及びスタッフ全員が自宅隔離となっており、選手は活動制限令MCO発令時と同様に各自が自宅でトレーニングを行なっているということです。
 またMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOはMリーグ再開となる8月26日の1週間前に、再度クチンFAの選手とスタッフの健康状態については検査を行い、その結果を理事会に諮って最終決定を下す予定であることを発表しています。
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 昨日8月1日の時点で678名の感染者が確認されているサラワク州ですが、州政府は現在、マレー半島からボルネオ島にあるサラワク州に入る場合には14日間の隔離措置を課しており、この措置が今後も続くとクチンFAのMリーグ出場の障害になる可能性も浮上しています。8月26日から短縮日程で再開されるMリーグ1部と2部は試合の間隔が詰まっており、最大でも7日間しかなく、クチンFAは再開初戦となる8月26日の第5節はホームゲームですが、第6節9月2日はペラIIとの試合はマレー半島でのアウェイ、そこから4日後の9月6日の第7節はホームでサラワク・ユナイテッドと「サラワクダービー」が控えています。

クダFAのエースは月給が300万円超えではないと明言
 マレー語紙ブリタハリアン電子版によると、Mリーグ1部クダFAのエースストライカーでリベリア出身のクパ・シャーマンは、自分の月給が12万5000リンギ(およそ311万円)ではないことを明らかにしています。
 過去5ヶ月間の給料が未払いとなっているクダFAですが、この6月にクダFAを運営するクダ州サッカー協会の新会長に就任したムハマド・サヌシ・ムハマド・ノー州首相が給料未払いは前経営陣の責任であると非難し、その中で月給12万5000リンギの選手と契約するなど予算を遥かに超える放漫経営だったと発言しました。
 これを受けてネット上ではこの高額取りは誰か、という「魔女狩り」が始まり、今季クダFAへ移籍してきた昨季のリーグ得点王のシャーマン選手ではないか、という声が上がっていましたが、これに対してシャーマン選手はこれを否定しています。
 「当初はこの件についてコメントする気はなかったが、自分の月給が12万5000リンギであるという噂が一人歩きし始めたので、これが真実ではないことを明らかにしたい。また、こういった噂を発した人物は、まず真実かどうかを確かめた上で発言するべきだ。」「たとえ実際にこのような金額を受け取っている選手がいるとしても、給料をメディアや大衆に公表することは、職業倫理に反することである。」とシャーマン選手は述べています。
 またシャーマン選手は5ヶ月間続いている給料未払いについて、給料未払いは我々選手だけでなく、その家族にも影響が及ぶことに加え、これ以上クラブが悪く見られることを避けるためにも、責任を負うべきものが直ちにこの問題の解決に取り組むべきだと話しています。

9月末の期限までに民営化しないクラブは来季は3部降格も
 マレーシアサッカー協会FAMは。9月30日に設定されている期限までに民営化されなかったクラブに対して、来季2021年シーズンをMリーグ3部降格処分を下す可能性があると、ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 FAMの民営化特別委員会のフィルダウス・モハマド委員長は、これまで民営化が完了しているのは6クラブのみであり、現在手続きを行っているのは8クラブであることを明らかにしています。
 民営化が完了しているのは1部のジョホール・ダルル・タジムJDT、PJシティFC、2部のサラワク、ヌグリ・スンビラン、3部のマレーシア国軍FC、現在はリーグに参加していないプルリスの6クラブということです。(注:2019年までMリーグ所属のプルリスFAを運営していたプルリス州サッカー協会は給料未払い問題が未解決のため、その運営クラブのリーグ参加が認められていません。)
 民営化クラブ(FC)の設立は、Mリーグ1部と2部に運営クラブが所属する20団体(1部のJDT、スランゴールFC、ペラTBG、トレンガヌFCの4クラブはBチームが2部に所属)およびマレーシア国軍、プルリス州FAに求められており、各州サッカー協会(州FA)が運営するクラブは民営化に加え、州FAから完全に独立した存在となる必要があります。またJDTやPJシティFCのように既に州FAから独立して運営されているクラブについては民営化が求められています。
 またフィルダウス委員長は民営化手続きを始めていないクラブとしてMリーグ1部ではクダ、ペラ、サバ、マレーシア王立警察PDRM、パハン、UITM FC、2部ではクアラルンプールの名を挙げる一方で、このうちの5つのクラブはFAMが支援を行なっていることも明らかにし、期限までは2ヶ月しかないことを警告した上で、期限内に民営化が完了しないクラブは来季はMリーグ3部のM3リーグからスタートする可能性にも言及しています。
 この民営化促進はアジアサッカー連盟主導のものであること、そしてマレーシアは東南アジアの他国に比べると遅れを取っていることも明らかにしたフィルダウス委員長は「この民営化を実施することにより、負債を抱えた後、それを残したまま運営から手を引く無責任な運営団体を根絶することができ、さらに優良なスポンサーを集めることになる。」として、Mリーグのクラブで拡大している未払い給料の問題の解決にもつながると話しています。

7月23日のニュース:MFLは地域リーグにもSOPの遵守を要望、第一子の出産に立ち会えなかったUITM FCのフランス人DFは一時帰国を希望、ケランタンFAの監督はチームの現状をポジティブに受け止める、ワン・クズリは次回のU19代表合宿に不参加の可能性も

MFLは地域リーグにもSOPの遵守を要望
 新型コロナウィルスの新たな感染者数が連日一桁だった先週とは打って変わって二桁代となっているマレーシアでは、感染の第二波が心配されています。公共の場でのマスクの着用を義務化とそれを破った場合には罰金あるいは禁固刑が検討されるなど、マレーシア政府は必死の対応で感染拡大を防ごうとしています。
 3月半ばから続く活動制限令も当初のいわゆるロックダウン状態から、現在ではそれが大幅に緩和され、徐々に日常が取り戻されつつありますが、その一方で、商業施設などでは現在も義務化されている入店の際の検温や追跡アプリの入力のチェックが行われず、店側も客側も対応がおざなりになっているのを目にすることも多くなっています。
 そういった雰囲気の中、7月15日よりサッカーなど身体接触を含むスポーツを行うことが可能になっていますが、ここで感染者が多発する様なことがあれば、Mリーグの再開に支障があるのではという懸念が広がっています。
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、このサッカー解禁に伴い、地域のアマチュアリーグなどが再開され、 マレーシアサッカー協会FAMや青年スポーツ省による標準作業手順SOPが守られずにそこでクラスターが形成されることがあれば、Mリーグの再開許可が取り消される可能性もあると報じています。
 これについてMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、「各地域のアマチュアリーグの運営者に対してSOPの遵守を徹底することを強く求めたい。試合を実施する際に感染予防対策が撮れているとは正直思えない。MFLが身体接触を含めた練習の解禁直後に練習試合を許可していないのは、予防対策に万全を期すことが理由だが、各地域のアマチュアリーグもそういった対策を講じた上で運営されることを強く望んでいる。」と話しています。

第一子の出産に立ち会えなかったUITM FCのフランス人DFは一時帰国を希望
 Mリーグ1部UITM FCのフランス出身のMFウスマン・ファネは、活動制限令発令後も帰国せずマレーシア国内に残っていましたが、そのために第一子のしゅっさに立ち会うことができなかったと英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 「数ヶ月もサッカーをせず、しかも家族が一緒にいなければ多くの人は影響を受けるだろうが、自分は強い意志を持っており、サッカーが自分の仕事であるので、そういったことでサッカーへの集中が妨げられることはない。」と話すファネ選手のリーグ再開前に一時帰国して家族と再会したいという希望に対して、UITM FCもそれを許可する方向で話が進んでいるということです。
 残り7試合は全て出場したいと話すファネ選手は、クラブの目標であるリーグ8位以内を実現できるよう、リーグ再開後はできるだけ多くの勝ち点を詰みあげたいと話しています。

ケランタンFAの監督はチームの現状をポジティブに受け止める
 Mリーグの多くのクラブは身体接触を含まない練習が解禁された6月15日を皮切りにに練習を再開していましたが、練習再開に必要な書類がMリーグを運営するMFLに提出されていなかったとされるMリーグ2部ケランタンFAは、一昨日7月21日から練習を再開しています。
 このブログでもケランタンFAについて取り上げるときは未払い給料問題に関連する話題ばかりですが、ニューストレイトタイムズ電子版によると、ユスリ・チェ・ラー監督はポジティブな気持ちで練習再開を迎えているということです。
 「シーズン再開に向けての準備の時間が多くないことは理解しているが、試合までに選手全員が試合をするだけの体力を取り戻しているだろう。」と話していいます。
 ケランタンFAは今季第2節のUKM FCとの試合が激しい雷雨で中止になっており、その再戦のため他のクラブに先駆けて7月22日に再開後の初戦を迎えます。これについてユスリ監督は「UKM FCも(練習再開に必要な書類がMリーグを運営するMFLに提出されていなかった)問題から練習を再開したの数日前であり、この初戦はどちらにも勝つチャンスがあると思っている。活動制限令MCO中に(韓国出身の)カン・サンジョが退団しており、残っている選手でやりくりするしかないが、リーグ再開までにこれ以上退団する選手がでないことを祈っている。」と話しています。
 渡邉将基選手も在籍するケランタンFAは新型コロナウィルスによるリーグ中断までの3試合で1勝1分1敗の7位となっています。

ワン・クズリは次回のU19代表合宿に不参加の可能性も
 アメリカ出身で現在開催中のU19代表候補合宿に参加中のワン・クズリ・ワン・カマルは8月3日から始まる二次合宿には参加しないと、マレー語紙ハリアンメトロが報じています。
 U19代表のブラッド・マロニー監督は、ワン・クズリ選手が所属するアメリカ2部リーグUSLチャンピオンシップに所属するセントルイスFCのアカデミーとの最初の取り決め通り、この第一次合宿が終了後直ちに、アメリカへ帰国することを明かしています。
 新型コロナウィルスの新たな感染者が増える傾向にあることから、マレーシア政府は自国民、外国人を問わず入国の際には政府指定のホテルで2週間の検疫期間を過ごすことを再び義務化しており、再び合宿に参加する場合でも入国から2週間は合流することができません。
 マロニー監督は「ワン・クズリ選手はこの合宿では良いプレーを見せており、周りともうまくやっているようである。二次合宿に参加してくれれば、さらに良くなるだろうと期待している。」と話し、ワン・クズリ選手の二次合宿参加については問題なく参加できる方法を模索していると話しています。
 今週末に一時合宿を終了するU19代表は10月14日から31日までウズベキスタンのタシケントで開催されるAFC U19選手権に出場することになっています。

6月27日のニュース:Mリーグ16クラブに練習再開許可、FAMはプロ契約を逃したエリートアカデミー出身者に大学進学の道を模索、クダFAのアズミール・ユソフが退団を発表、Mリーグクラブの監督が相次いで観客を入れての試合を要望

Mリーグ16クラブに練習再開許可
 マレーシアの通信社ブルナマは、国内リーグのMリーグを主催するマレーシアフットボールリーグMFLが、1部スーパーリーグと2部プレミアリーグのそれぞれ8クラブに第一段階の練習再開許可を与えたことを報じています。
 この16クラブは、綿棒テストの結果や消毒済みの練習場の登録、フィールド上での身体接触プレーの禁止が守れられているかなどを監視する責任者の任命などMFLが設けた練習再開基準を満たした上で、必要書類を全て提出したクラブだということです。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは「(身体接触プレーが禁じられている)第一段階の練習は、(身体接触プレーが可能になる)第二段階の練習へと進めるかどうかの重要な基準となる。各クラブが練習中も社会的距離(ソーシャルディスタンス)として3mから5mを維持するなど標準作業手順SOPを守っているかを注視したい。Mリーグの全クラブからの協力が得られれば、第二段階の練習への移行も予定より早まる可能性がある。」と述べています。
 なお練習再開許可が出ているMリーグ1部のクラブは、UITM FC、スランゴールFC、ジョホール・ダルル・タジムJDT、トレンガヌFC、ペラTBG、マラッカ・ユナイテッド、フェルダ・ユナイテッドFC、クダFAの8クラブ、Mリーグ2部はヌグリスンビランFA、スランゴール2、JDT II、トレンガヌFC II、ペナンFA、クチン FA、ペラIIとクアラルンプールFAの8クラブです。

FAMはプロ契約を逃したエリートアカデミー出身者に大学進学の道を模索
 マレーシアサッカー協会FAMは、教育省とともに運営するプロサッカー選手養成のエリートアカデミーであるモクタル・ダハリ・アカデミーAMDの卒業生に大学進学の道を開こうとしていると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 18歳までの選手を対象としているAMDから1年間に40から50人の選手が卒業しますが、その全員がMリーグクラブと契約できるわけではないことから、プロ契約を逃した卒業生が大学など高等教育機関へ進学して、スポーツ科学などの勉強を続けることができるよう、高等教育省が設けているスポーツ選手優遇プログラムを通じての進学が可能になるようにしたいと、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長が高等教育省のスポーツ部門のトップを務めるペカン・ラムリ氏との会談の席上で述べています。
 「このルートでの進学が可能になれば、進学先大学のサッカー部でのプレーも可能になり、その後のMリーグクラブ入団などにもつながる可能性もある。この実現に向けて、FAMと高等教育省との間で戦術機協力関係を築くために、近々両者の間で了解覚書MOUを交わす予定もある。」とスチュアート事務局長は述べています。

クダFAのアズミール・ユソフが退団を発表
 クダFAの選手が自ら契約解除を申し出ているという話はここでも取り上げましたが、これまで名前が明かされていなかったこの選手がアズミール・ユソフであることがわかりました。
 アズミール選手が自身のインスタグラムで明らかにしたもので、これまでの報道通り、クダFAを揺らしている給料未払い問題とは無関係で、自らが行っている仕事に専念したいことが理由であるとしています。
 2016年の1シーズンを過ごした後、昨季2019年にクダFAに復帰していたアズミール選手は退団後は、自身が関わっているというクダ州のイスラム教義に基づいた宗教学校の建設に関わっていくとしています。

Mリーグクラブの監督が相次いで観客を入れての試合を要望
 Mリーグ2部クアラルンプールFAのニザム・アズハ・ユソフ監督は、Mリーグ再開時には観客を入れての試合開催を提案していると、マレー語紙ハリアンメトロが報じています。
 マレーシアでは新型コロナウィルス感染拡大を防ぐため営業が禁止されていた映画館や劇場が7月1日から営業再開となりますが、これを例に挙げたニザム監督は、人数を制限し、人が集まる映画館やモスクなど宗教施設などと同様の標準作業手順SOPを守った上での観戦なら可能なのではないかと述べています。
 「従来は5000人収容の施設なら、入場者を1000人に制限するなどすれば、感染も可能なのではないか。サポーターの存在は選手の力を引き出す源になる。」とニザム監督は話しています。
 またMリーグ1部スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督もサポーターのSOP遵守を信用して、観戦許可をでしても良いのではないかと述べています。
 8万人収容可能なスランゴールFCのホーム、シャーアラムスタジアムでは社会的距離(ソーシャルディスタンス)の確保も可能だと話すサティアナタン監督は、マレーシア政府が発表している感染者数が減少していることもあり、マレーシア政府が観戦許可を出すことを期待していると話しています。
 「サポーターの存在はサッカーの試合では不可欠である。リーグ再開当初は人数制限が必要だとは思うが、たとえ少人数であっても感染の許可が出ることを望んでいる。」とサティアナタン監督は話しています。

6月22日のニュース:PJシティFCは練習場がなく練習再開できず、練習再開許可後もあえて練習を始めないクラブの現状

PJシティFCは練習場がなく練習再開できず
 Mリーグ各クラブは身体接触を伴わない練習再開に向けて、準備を始めていますが、Mリーグ1部のPJシティFCは、選手の準備はできているものの、練習場がないという事態になっていると、英字紙スター電子版が報じています。
 PJシティFCのホームは、スランゴール州プタリンジャヤにあるMBPJスタジアムですが、今年2月の今季開幕前に終了予定だった改修工事は終了したもののMリーグを主催するマレーシアフットボールリーグMFLによる施設検査が終わっていないことから使用できず、また、練習場として使っていたマラヤ大学構内のフィールドも使えなくなっているということです。なおマレーシア政府は新型コロナウィルス感染拡大防止のため、国内の全ての大学に対して年内はキャンパスでの講義を禁止し、オンライン授業に切り替えるよう命じており、これにより大学構内のすべての施設も使用できなくなっているということです。
 また、Mリーグのクラブは関係者以外との接触を避けるため、開かれたグラウンドでの練習を禁止していることから、現在、PJシティFCは、同じスランゴール州内で使用可能なスタジアムを探しているということです。
 PJシティFCのデヴァン・クッパサミー監督は、クラブは先週には綿棒検査を終え、全員が陰性であったことから、選手は練習再開に向けて準備ができていると話し、本日6月22日からの練習再開を望んでいると話しています。
 綿棒検査の際に選手たちと久しぶりに会ったと話すデヴァン監督は、各選手とも体重管理がしっかりできていたとして、練習再開後は、まず身体接触の必要がない体力トレーニング中心の練習から始める予定であるとしています。
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 新型コロナウィルスによる3月18日から中断したMリーグは、第4節まで終了していますが、その第4節にはトレンガヌFCをホームで迎え撃つ予定だったPJシティFCは、その時はまだ改修が終了していなかったMBPJスタジアムが使用できなかったことから、「試合会場の用意ができない」という理由でMリーグ公式戦を延期するという前代未聞の事態を引き起こしています。

練習再開許可後もあえて練習を始めないクラブの現状
 マレーシア政府保健省、青年スポーツ省、そして国家安全保障委員会かによる協議を経て、身体接触を含まない練習許可が出されたMリーグの各クラブについて、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版は、直ちに練習を始めないクラブの姿勢を疑問視し、さらに今季リーグの中止を提案する長文の記事を掲載しています。
 練習許可が出て以来、Mリーグ1部と2部合わせて24クラブのうち、MFLに対して練習を再開申請を行ったのはこれまで7クラブにとどまっており、そのうちジョホール・ダルル・タジムJDT、スランゴールFCとそのBチームスランゴール2、UITM FC、そしてヌグリ・スンビランFAの5クラブが実際に練習再開を許可されています。申請を行ったクラブではトレンガヌFCとトレンガヌFC IIは練習再開の条件となっている標準作業手順SOPに沿った準備ができていないとして、練習再開申請はMFLによって却下されたということです。
 また残る17クラブが練習を直ちに再開しない理由についてニューストレイトタイムズは、リーグ中断による収入源を理由に給料未払い問題が起こっている複数のクラブでは、選手や監督、コーチが練習再開へのモチベーションを欠いているのではないかと分析しています。
 MFLが求めている標準作業手順SOPに沿った練習再開申請では、各クラブに綿棒検査の結果提出が求められており、検査だけで1クラブ(選手30名、監督、コーチ5名)あたり9000リンギ(およそ22万5000円)から1万3000リンギ(およそ32万6000円)ほどの費用がかかります。また、開かれたグラウンドでの練習は禁じられていることから、スタジアムを使用する際のの使用料やその消毒費用など多くの経費がかかり、収入源に苦しむクラブには練習再開までの費用が負担になっている可能性も指摘しています。
 さらに選手あたり5000リンギ(およそ12万5000円)の給料が未払いになっているクラブにとって、SOPに従った練習実施にかかる費用の負担が大きいことから、ニューストレイトタイムズは、身体接触を含めた練習が可能になるまでは、選手に自宅でのトレーニングを求めるクラブが出てくるのではないかと予測し、Mリーグ各クラブの経営基盤の脆さを指摘しています。
 またMFLに対しては、今年から導入されたクラブの経営状況を審査する経営コントロールプログラムの審査を通ったクラブで未払い給料が発生していることから、プログラム自体が機能していないのではないかと指摘し、より厳格な適用を求めています。
 その上で、今季に関しては持続可能な経営状況にないクラブが多い点を指摘し、リーグ中止も一つの選択肢ではないかと提案しています。