Mリーグ1部スーパーリーグ2020年シーズン第5節結果

 3月16日から中断していたMリーグが再開し、8月28日(金)と8月30日(土)の両日に、1部スーパーリーグ第5節の6試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。)
 今節は、JDTを除き、試合前に下位だったチームが上位のチームを破る結果になっています。(試合のダイジェスト映像はMalaysia Football LeagueのYoutubeチャンネルより)

8月28日(金)
ダルル・マクマルスタジアム(パハン州クアンタン)
パハンFA 2-0 ジョホール ・ダルル・タジムJDT
得点者:パハン-ファイサル・ハリム(40分)、エラルド・グロン(45分)、JDT-レオナルド・ヴァレスケス(5分)、ラマダン・サイフラー(15分)、ゴンザロ・カブレラ(35分PK)
 ポルトガルリーグのポルティモネンセSCへの移籍が決まっているエースのサファウィ・ラシドをベンチスタートさせたJDTは、Mリーグが中断する第4節まではBチームのJDT IIに所属し、2部プレミアリーグでプレーしていたラマダン・サイフラーがトップチーム昇格後に即スタメン出場し、さらにゴールを決めるなど改めて選手層の厚さを披露しました。さらに代表でもプレーするパハンFAの高速ウイング、モハマドゥ・スマレ獲得の噂もあり、エースの移籍にも盤石の構えでリーグ7連覇に近づきました。
 一方のパハンFAは、前述のスマレ選手が過去1ヶ月ほど練習にも参加していないという報道があり、この日もベンチ入りしませんでした。また第4節までチーム最多の3ゴールを決めているFWイヴァン・カルロスもケガでスタメンを外れるなど満身創痍のチーム状態では2点を返すのがやっとでした。

ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラTBG 0-1 マラッカ・ユナイテッド
得点者:マラッカ-フェリス・ダニアル(52分)
 給料未払い問題で揺れるマラッカ・ユナイテッドがペラTBGの無敗記録をストップ。ペラTBGのオフサイドトラップを抜け出したフェリス・ダニアルが今季初ゴールを決めています。

トゥン・アブドル・ラザクスタジアム(パハン州ジェンカ)
フェルダ・ユナイテッド 0-1 UITM FC
得点者:UITM-マーク・ハートマン(38分)
 今節最大の番狂わせとなったこの試合は、マーク・ハートマンのゴールで大学生が主体のUITM FCがフェルダ・ユナイテッドを破り9位から3位に浮上。一方のフェルダ・ユナイテッドは5位から9位に順位を下げています。
 フェルダ・ユナイテッドの恵龍太郎選手はスタメンでフル出場しています。

スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 4-0 サバFA
得点者:トレンガヌ-ドミニク・ダ・シルヴァ(12分)、サンジャル・シャアフメドフ2(43分、71分)、ファリス・ラムリ(84分)
 Mリーグ再開前のスーパーリーグ展望で失点をどれだけ防げるかが上位進出の鍵となると予想したトレンガヌFCが2試合連続の完封勝利で首位JDTと勝点差3の2位に浮上しています。またこの試合でもゴールを決めたドミニク・ダ・シルヴァは5試合で6ゴールとリーグ得点王として好調を維持しています。
 一方、サバFAはやはりスーパーリーグ展望で実戦練習不足が懸念材料と書きましたが、やはりそれが露呈した格好になり、一気に降格圏内の11位まで順位を下げました。

クアラルンプール・フットボールスタジアム(クアラルンプール)
PDRM FC 0-2 クダFA
得点者:チェチェ・キプレ2(30分、36分PK)
 こちらも給料未払い問題が取り沙汰されているクダFAが最下位相手ながら快勝し、順位を8位から3位としています。クダFAを運営するクダ州サッカー協会は、このPDRM FC戦前に未払いとなっている3月から6月までの給料を完済すると約束していましたが、それが1週間先延ばしになり、チームの士気が低下しても致し方ない状況でしたが、相手がPDRM FCだったことも幸いしてか、勝点3を獲得しています。
 敗れたPDRM FCは、リーグ中断前の第4節まで活躍した正GKのブライアン・シーをケガで欠き、攻撃陣も機能せず、既に今季3度目の完封負けで、今季の成績を0勝1分4敗としています。

UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
スランゴール FC 0-0 PJシティFC
得点者:なし
 ケガから復帰のルフィアノ・セゴヴィアを先発させて攻撃重視のメンバーを組みながら前半を無得点で折り返すと、スランゴールFCは後半には昨季のチーム得点王イフェダヨ・オルセグンやワン・ザック・ハイカルら攻撃のカードをさらに切りましたが、PJシティFCのゴールを破ることはできませんでした。この引き分けは上位進出を狙うスランゴールFCにとっては負けにも等しい痛い引き分けでした。
 この試合の前にはスランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督が今季の契約切れと共に退任するという噂が出ており、この辺りも試合の結果に影響を及ぼしたかもしれません。
 PJシティFCは負けていれば、降格権内の11位に落ちるところでしたが、貴重な勝点1をもぎ取り10位に踏みとどまりました。

マレーシアスーパーリーグ順位表(第5節終了時)

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1JDT541087413
2トレンガヌFC5311149510
3ペラTBG52218538
4クダFA52128627
5UITM FC52126607
6マラッカU5302853*6
7パハンFA52038806
8スランゴールFC513167-16
9フェルダU512268-25
10PJシティFC512247-35
11サバFA512359-45
12PDRM FC501429-7*-2
*6位のマラッカUと12位のPDRM FCはそれぞれ、給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアスーパーリーグ ゴールランキング(第5節終了時)

ゴール数選手名所属試合数
7ドミニク・ダ・シルヴァトレンガヌFC4
4サンジャル・シャアフメドフトレンガヌFC4
3イフェダヨ・オルセグンら他5名

8月24日のニュース:Mリーグ再開に向けて1部スーパーリーグ展望Part1

Mリーグ1部スーパーリーグ展望Part1
 英字紙ニューストレイトタイムズはアジトパル・シン記者の署名記事で、8月26日から再開されるMリーグ1部スーパーリーグの展望を掲載していますので、今回はその記事の内容に便乗し、さらにボラセパマレーシアJP視点の(=素人感丸出しの)コメントをつけたものをお届けします。
 新型コロナウィルスの影響によって3月16日に中断して以来、およそ5ヶ月ぶりに再開されるMリーグ。今季2020年シーズンは従来のホームアンドアウェイ方式から1回戦総当たりとなり、無観客試合を条件に8月26日より再開されます。
 観衆がいないことによりホームチーム有利の常識は覆されるのか、リーグ6連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTの牙城を崩すチームは現れるのか、などシーズンは短縮されたとは言え興味は尽きません。それでは、シン記者の展望を見ていきましょう。なお順番はリーグ中断となった3月16日の第4節終了時の順位です。

1位 ジョホール・ダルル・タジムJDT(3勝1分0敗-勝点10)

<残り試合>*Aはアウェイ、Hはホーム
パハンFA(A)、ペラTBG(H)、トレンガヌFC(A)、スランゴールFC(H)、PJシティFC(A)、サバFA(H)、マラッカ・ユナイテッド(A)
<シン記者評>
 リーグ随一のスター軍団が、万が一7連覇を達成できなければ大きな失望となるが、その一方で一回戦総当たり方式とサポーターの不在がチームに影響を与える可能性もある。また、ここまで無敗できているものの、パハンFA、ペラTBG、トレンガヌFC、スランゴールFCなどリーグ上位との対戦が残っている。
 AFCチャンピオンズリーグを控えるJDTは、ベンヤミン・モラ監督が主力選手を中心にいわゆる「ローテーション」を導入して選手を入れ替える可能性もあるが、リーグ連覇のためには選手起用の失敗は許されない。
 Mリーグ自体よりもその価値が大きくなったJDTは国内リーグよりもACLのようなより大きな大会に集中すべきである。
<シン記者の今季順位予測>
 リーグ優勝
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 個人的に気になるのは、チーム練習に再開していないハリス・ハルン主将の状況です。膝の手術を受けた後、現在は母国のシンガポールで回復を待ち、チーム合流はリーグ再開直前になるということです。シンガポール代表の主将で、吉田達磨監督も全幅の信頼を寄せているというハリス選手はJDTでもチームの支柱であり、彼の回復が間に合わない場合、その穴はスター軍団といえ埋めるのは容易ではないでしょう。
 また、ここまで3勝1分の結果とは言え、相手は今季1部昇格組のUITM FCやPDRM FC、そして対戦時は明らかになってはいなかったものの、後に選手への給料が未払いであった(その結果モチベーションが低い可能性があった)クダFAにいずれも僅差で勝利しているだけで、リーグ5位のフェルダ・ユナイテッドとは引き分けるなど圧倒的な強さを見せつけたわけではありません。ACL前にチームが消耗しないように気を使いながらの選手起用を行う場合、残り7試合では1つでも取りこぼせば、それを挽回する余裕もないため、気の抜けない試合が続くことになりそうです。

2位 ペラTBG(2勝2分0敗-勝点8)

<残り試合>
マラッカ・ユナイテッド(H)、JDT(A)、UITM FC(H)、PDRM FC(A)、フェルダ・ユナイテッド(H)、パハンFA(A)、クダFA(H)
<シン記者評>
 ここまで無敗のペラTBGは、再開後もその調子を維持できれば打倒JDTの一番手になりうる。メフメト・ドゥラコビッチ監督はリーグが一回戦総当たりとなったことで、JDTの独壇場から各チームが同じ土俵に乗ったと考えており、二人合わせて5ゴールと攻撃陣を引っ張るシャレル・フィクリとギリェルメ・デ・パウラを筆頭に各ポジションに好選手が揃っており、第6節9月4日のJDTとの対戦に注目が集まる。
<シン記者の今季順位予想>
3位
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 主力選手のMFブレンダン・ガンとFWノー・ハキム・ハッサンが共にスランゴールへ移籍した一方で、今季からMリーグの他のクラブから加入した外国籍選手のFWデ・パウラとMFチエリー・チャンタ・ビンが機能し、戦力ダウンを感じさせないメンバーで戦えているペラTBG。やはり注目はシン記者が指摘する9月4日のJDT戦です。リーグ中堅どころとの試合はすでに終えているペラTBGが、もしこの試合でJDTに勝利することがあれば、17年ぶりのリーグ優勝も見えてきます。

3位 トレンガヌFC(2勝1分1敗-勝点7)


<残り試合>
サバFA (H)、マラッカ・ユナイテッド (A)、JDT (H)、UITM FC (A)、PDRM FC (H)、フェルダ・ユナイテッド (A)、パハンFA (H)
<シン記者評>
 トレンガヌFCは過去4試合でリーグ最多の10失点と、守備陣の底上げがリーグ再開時の課題となる。攻撃陣は過去4試合で10ゴールを決めており、攻守のバランスが取れれば、今季注目のチームとなりうる。
<シン記者の今季順位予想>
4位
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 8月22日のPJシティFC戦に勝利し、3位に浮上したトレンガヌFC。シン記者の指摘通り、得点も失点も多いこのチームは今季ここまで10得点と9失点で得失差+1ですが、過去の記録を見ても1部に昇格した2018年シーズンは得失差+1(32得点、31失点)で5位、2019年は同-2(35得点、37失点)で7位となっています。現在、6ゴールでリーグの得点王のFWドミニク・ダ・シルヴァ、FWリー・タック、MFサンジャル・シャアフメドフの外国籍選手を中心とした攻撃陣による得点は計算できるので、上位を狙うには守備陣が奮起し、このノーガードの打ち合いのような試合をどれだけ減らせるかが鍵になりそうです。 

4位 パハンFA(4試合-2勝0分2敗-勝点6)

<残り試合>
JDT (H), UITM FC (A), PDRM FC (H), フェルダ・ユナイテッド (A), クダFA (H), ペラTBG (H), トレンガヌFC (A)
<シン記者評>
 パハンFAの状況は謎に満ちている。チームは経営状況が厳しく、リーグ再開が決まった際には、今季の残りを辞退するという噂も出たほどで、今季終了後には多くの選手が放出されるという噂もある。選手の給料は支払われたということだが、チーム内のムードは決して良好とは言えず、ドラー・サレー監督がどれだけチームのやる気を引き出せるかがリーグ再開時の課題となる。
 今季の残り日程を見ると、PDRM FC戦以外は苦しい試合になることが予想される。
 Mリーグで最強のストライカーだったディクソン・ヌワカエメはかつての輝きを失っており、イヴァン・カルロスがその代役を務めることが期待される。
<シン記者の今季順位予想>
6位
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 過去3シーズンは2位、4位、2位と安定した力を示す一方で、これまでJDTのタイトル争いを脅かすことがなかったパハンFA。モハマドゥ・スマレ、アザム・アジーと代表のレギュラーMF2人を抱えるなど、各ポジションに人材が揃っていますが、このチームは少ない得点を全員で守り切って勝つスタイルなので、リーグ再開後は守備陣の活躍に注目です。
 シン記者が指摘している通り、スマレ選手には来季、JDT移籍の噂もあり、クラブ経営が苦しいのであれば、中途半端に上位を目指さず来季以降を目標にして、思い切った若手の登用に舵を切るのも面白いかも知れません。

8月15日のニュース:日本対マレーシアの親善試合計画が進行中?、FAMはクラブに民営化期限の遵守を求める、FAM-代表候補レベルでない選手の帰化申請は所属クラブの責任で行うべき

日本対マレーシアの親善試合計画が進行中?
 英国の大衆向け新聞ミラー電信版によると、日本代表対マレーシア代表の試合が来月9月に計画されているようです。
 日本で言えばいわば東スポ的な存在の大衆向けタブロイド紙のミラーは、「リバプールFCの南野拓実選手が今後はチーム内での役割が増すだろう」という見出しの記事記事を8月12日版に掲載しています。その記事では、来月9月から各国代表が参加して行われるヨーロッパサッカー連盟UEFAネイションズリーグが開幕しますが、国内リーグやUEFAチャンピオンズリーグなどの過密日程の中で行われることから、リバプールFCのユルゲン・クロップ監督はUEFAネイションズリーグに出場しないヨーロッパ出身ではない選手に依存する割合が上がるだろうとしています。そしてその記事の中に以下のような記述があります。
Now Minamino has been told that, while Japan do have friendlies against Malaysia and Lebanon in the pipeline – although not confirmed – for next month, he won’t be needed for any World Cup qualifiers in October and November.”
「日本代表は(確定はしていないが)来月、マレーシアとレバノンとの親善試合の計画を進めており、南野選手は10月と11月にあるW杯予選には招集されないことが、本人には既に伝えられている。」(ボラセパマレーシア訳)
 W杯予選に招集されない南野選手の出場機会は、同様に代表チームの試合が組まれていないアフリカ出身のモハメド・サラー(エジプト)やサディオ・マネ(セネガル)、ナビ・ケイタ(ギニア)らとともに増えるだろうとこの記事は結んでいます。
 「確定はしていない」、「計画中」という表現を含んでおり、またどこで開催される予定かなどは全く書かれておらず、また新型コロナウィルスの影響で国境を超えての移動には色々と制約がつきますが、もし実現すれば…と考えるだけでもワクワクします。

FAMはクラブに民営化期限の遵守を求める
 マレーシアサッカー協会FAMは、Mリーグ1部と2部の全てのクラブに対して、各州サッカー協会からの独立と民営化を求めており、その期限を9月30日としています。このブログでもMリーグのクラブを「クダFA」「ケランタンFA」と表記していますが、これは例えば「クダFA」というクラブが、クダ州サッカー協会(クダ州FA)によって運営されているクラブであることが理由です。そして、FAMは9月30日までに州FAが運営するクラブ「○○FA」が州FAから分割されて民営化された「○○FC」となることを求めています。そして、この民営化が期限までに達成されないクラブには、MリーグでのプレーするためのクラブライセンスをFAMは発給しないとしています。
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によれば、そんな中、FAMのクラブライセンス発給を担当する第一審期間FIBのフィルダウス・モハマド委員長は、Mリーグ1部パハンFAが民営化手続きを未だに始めていないことを明らかにした上で、「パハン州FAは、期限までに運営するパハンFAを民営化してパハンFCとすることに楽観的なようだが、クラブの歴史を考えると、万が一期限までに民営化が実現できなければ惜しいことになる。」と話しています。
 その一方でフィルダウス委員長は、ヌグリスンビラン州FAが運営するMリーグ2部のヌグリスンビランFAの民営化が完了し、来季はヌグリスンビランFCとなることについて、その真摯な取り組み姿勢を高く評価していると話しています。
 さらにフィルダウス委員長は、新型コロナウィルスの影響もあり、各州FAの民営化手続きの進捗状況を逐一把握することは難しいと話す一方で、9月30日の期限までに民営化手続きの最終段階にいるクラブには寛容な姿勢を示す可能性はあるかもしれないが、手続きの大半が残っているクラブに関しては、クラブライセンスの発給はないと話しています。

FAM-代表候補レベルでない選手の帰化申請は所属クラブの責任で行うべき
 スランゴール州FAが運営するスランゴールFCのBチームでMリーグ2部のスランゴール2に所属するアルミン・マイアー・ラフィは、ドイツ人の父親とマレーシアとシンガポール人の母親を持ち、シンガポールU23代表でのプレー経験がある23歳の守備的ミッドフィルダーです。
 現在は外国籍選手として在籍しているアルミン・マイヤー選手は、母方の祖父がマレーシア出身ということで、帰化した上でマレーシア国籍の取得も可能ですが、ニューストレイトタイムズ電子版は、マレーシアサッカー協会FAMにはアルミン・マイアー選手の帰化申請手続きの支援予定がないとしています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は「アルミン・マイアー選手は代表候補レベルの選手ではないため、FAMが支援を行う予定はない。もしスランゴール2がアルミン・マイアー選手をマレーシア人として登録したいのであれば、所属クラブのスランゴール2が帰化申請を支援するべきである。」と話しています。
 アルミン・マイヤー選手自身は、これまでもマレーシア代表としてプレーしたいことを公言しており、そのため現在、代表でプレーするマシュー・デイヴィーズやラヴェルコービン=オング同様、父母や祖父母にマレーシア人を持つヘリテージプレーと呼ばれる帰化選手となり、マレーシア国籍を取得したいと話しています。
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 今年に入って、いずれもマレーシアに連続5年居住というFIFAの帰化規定を満たしたコソボ共和国出身のリリドン・クラシニスキの帰化申請を達成し、ブラジル出身のギリェルメ・デ・パウラの帰化申請も支援しているFAMですが、代表チームの利益に直接繋がらない帰化申請は支援しない、というシビアな姿勢を打ち出しているようです。
 アルミン・マイヤー選手は、昨シーズンはMリーグ覇者ジョホール・ダルル・タジムJDTのBチームでMリーグ2部のJDT IIとテスト生として契約しながら、リーグ戦では出場機会がなく、今季からスランゴール2でプレーしています。
 

8月12日のニュース:活動停止処分期間中のプルリス州FAが密かに活動再開か、強化合宿中のU19代表は練習試合2試合を予定、パハンFAのレバノン出身選手はいまだ自国から出国できず

活動停止処分期間中のプルリス州FAが密かに活動再開か
 複数の在籍選手やコーチに対しての未払い給料が支払われなかったことから、国際サッカー連盟FIFAから2019年より2年間のあらゆるサッカー活動の停止処分を受けているプルリス州サッカー協会(プルリス州FA)が、マレーシアサッカー協会FAMの知らないうちに活動を再開しているという疑惑を英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 プルリス州に拠点を持つクラブのプルリス・ユナイテッドFCは今季2020年シーズンからMリーグ3部にあたるM3リーグに参加していますが、このプルリス・ユナイテッドFCがプルリス州FAを運営しているという疑惑が浮上しています。
 プルリス・ユナイテッドFCはプルリス州を拠点にするということで、クラブのM3リーグ参加の際には、プルリス州FAの元役員らと接触を持たないようFAMが警告していましたが、効果はなかったようです。
 今季まではMリーグ1部と2部を運営するマレーシアフットボールリーグMFLの下部組織であるアマチュアフットボールリーグAFLが3部のM3リーグと4部のM4リーグを運営していましたが、来季2021年シーズンからはFAMが3部と4部リーグを運営することなり、これによりこの疑惑が発覚したようです。
 FAMでクラブライセンス審査を担当する第一審査機関FIBのフィルダウス・モハマド委員長は、「プルリスFAは現在、2年間の活動停止処分期間中であり、どのような活動も許されていない。プルリス・ユナイテッドFCがどのようにしてM3リーグに参加できたのかは定かではないが、来季開幕前までには精査を行なって、事実を明らかにしたい。」と話しています。さらにFAM主導で行われている州FAが運営するクラブの民営化に際しては、法を守らないクラブがMリーグに戻れるような抜け穴を作らないようにするとも話しています。
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 このプルリス・ユナイテッドFCは今年3月には、給料の半分しか支払わず、しかも選手の同意なしに契約解除を行ったことが報じられるなど、既に問題が発生していましたが、それをAFL、そしてMFLが放置していた結果、このような事態になった可能性もあります。

強化合宿中のU19代表は練習試合2試合を予定
 10月にウズベキスタン で開催されるアジアサッカー連盟AFC U19選手権に出場するU19代表は、大会前にMリーグクラブと2試合の練習試合を行うことが予定されていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 第一次合宿と現在開催中の第二次合宿を合わせると既に5週間の練習を続けてきたチームは、待望の実戦練習として本日8月12日にはMリーグ1部のPJシティFCと、そして8月19日にはMリーグ2部のスランゴール2との対戦が組まれているということです。
 強い相手と練習試合を行いたいとするU19代表のブラッド・マロニー監督は、現在強化合宿が開催されているスランゴール州の両クラブを相手に、これまで練習で行ってきたことができるかどうかを確認する機会でもあり、良い腕試しになることを期待していると話しています。
 AFC U19選手権ではグループDに入るU19代表は、10月16日のグループステージ初戦でトルクメニスタンと、10月19日にはカタール、10月22日にはイエメンと対戦します。この大会では、各グループの上位2チームがベスト8としてノックアウトステージに進み、準決勝まで勝ち上がったチームは、来年2021年にインドネシアで開催されるU20W杯への出場権を獲得することができます。

パハンFAのレバノン出身選手はいまだ自国から出国できず
 Mリーグ1部パハンFAで今季からプレーするレバノン出身のDFカリル・ハミスは、Mリーグ再開の8月26日が近づく一方で、いまだに自国で足止めされていると、マレーシア語紙コスモ電子版が伝えています。
 カリル選手は、現在、レバノン政府が自国民の海外渡航を禁じていることからいまだに出国できていません。さらに出国許可が出る予定も立っていないことから、パハンFAのドラー・サレー監督は、カリル選手は今季中にチームに合流できない可能性が高いことを認めざるを得ないと話しています。新型コロナウィルスにより中断しているMリーグは、試合数が半分になっており、今季は9月末に終了する予定になっています。
 新型コロナウィルスに加え、先日、レバノンの首都のベイルートで起こった爆発事故の影響で、レバノンからの出国ははさらに難しくなっているという話もあります。
 ここにきてカリル選手との連絡も途絶えていると話すドラー監督は、同じくディフェンダーのムスリム・アーマドもケガが完治しておらず、リーグ再開に向けて頭が痛いとし、現有戦力で戦うしかないと話しています。
 リーグ中断時点で勝点6でリーグ3位のパハンFAは、8月26日のリーグ再開初戦で同じくリーグ首位のジョホール・ダルル・タジムとホームのダルル・マクムルスタジアムで対戦します。

8月11日のニュース:来季は複数のMリーグクラブに新たなオーナーが誕生か、ケランタンFA買収に投資家が名乗りを上げる、スランゴールFCとパハンFAは民営化後は共に皇族がクラブのトップに

来季は複数のMリーグクラブに新たなオーナーが誕生か
 マレーシアサッカー協会FAMは、国内リーグMリーグ1部と2部の全てのクラブに対して9月30日までに州サッカー協会(州FA)から独立した民営化クラブとなることを求めていますが、未払い給料問題を抱えるクラブが複数あり、その前途は多難かと思いきや、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版によると、Mリーグクラブ買収に関心がある企業や個人が一定数おり、そういった中から新たなオーナーが誕生する可能性もあるようです。
 Mリーグ1部ではペラTBGの他、クダFAやマラッカ・ユナイテッドといった数百万リンギを超える未払い給料を含めた負債を抱えるクラブや、やはり未払い給料が問題となっているMリーグ2部のケランタンFA、ペナンFAの他、クアラルンプールFAなども買収の対象となっているようです。
 この報道を裏付けるように、ケランタンFAを運営するケランタン州FAのフシン・デラマン事務局長は外国企業による買収の問い合わせを受けたことを明かし、未払い給料問題を抱えるクラブであっても、買収対象として関心を持たれていることに驚いたと話しています。
 またペラTBGを運営するペラ州FAのモハマド・アズリン・モハマド・ナズリ名誉事務局長も同様の問い合わせを受けていると話す一方、クアラルンプールFAのノクマン・ムスタファ事務局長は個人の資産家から調査を受けたことを明かしています。
 なお、イツのサッカー情報サイトトランスファマルクトによると上記の各クラブの資産価値は、Mリーグ1部のクダFAが2000万リンギ(およそ5億500万円)、マラッカ・ユナイテッドが1930万リンギ(およそ4億8700万円)、ペラTBGが1650万リンギ(およそ4億1600万円)、Mリーグ2部のクアラルンプールFAが1090万リンギ(およそ2億7500万円)、ペナンFAが840万リンギ(およそ2億1200万円)そしてケランタンFAが360万リンギ(およそ9080万円)となっています。

ケランタンFA買収に投資家が名乗りを上げる
 上の記事と関連して同じハリアンメトロは、Mリーグ2部ケランタンFAの買収に投資家のノリザム・トゥキマン氏が名乗りを挙げていると報じています。
 U19代表候補のワン・クザインの父親であるアメリカ在住の大学教諭ワン・カマル・ワン・ナピが買収から手を引く一方で、ケランタン州FAはこのノリザム氏と交渉を行い、既に同意書にサインする寸前まで話が進んでいるということです。
 ケランタン州FAのフシン・デラマン事務局長によれば、ノリザム氏はケランタンFAの再生計画なども明かし、ここまでの話し合いは順調に進んでいるということで、今後は詳細を詰めた後に、公式な契約にサインされる予定であると話しています。

スランゴールFCとパハンFAは民営化後は共に皇族がクラブのトップに
 Mリーグクラブ民営化関連では、共にMリーグ1部のスランゴールFCとパハンFAが共に皇族がクラブのトップとなりそうだと、ハリアンメトロが報じています。
 スランゴールFCが民営化される際には、スランゴール州皇太子のトゥンク・アミル・シャア・スルタン・サラフディン・イドリス・シャア殿下を筆頭株主とし、これにスランゴール州FAも一部株式を保有する他、スランゴール州の機関であるスランゴール開発公社PKNSや州首相企業MBIなども株式を持つということです。なお一部の株式はサポーターに対しても売り出される可能性があることを、スランゴール州FAのシャーリル・モクタル副会長は明らかにしています。
 一方パハンFAを運営するパハン州FAはパハン州皇太子のトゥンク・アブドル・ラーマン・スルタン・アーマド・シャア殿下がオーナーを務める企業を中心としたグループが買収する形で民営化が行われる予定だということです。
 Mリーグにはジョホール州皇太子でTMJの愛称で知られるトゥンク・イスマイル殿下がオーナーのジョホール・ダルル・タジムJDTがありますが、JDTはトゥンク・イスマイル殿下が単独オーナーですが、スランゴールFCとパハンFAは皇太子を中心としたグループによる運営となりそうです。
 なおドイツのサッカー情報サイトトランスファマルクトによると、スランゴールFCは1950万リンギ(およそ4億9200万円)、パハンFAは1420万リンギ(およそ3億5800万円)の資産価値があるとなっています。

8月2日のニュース:二度目の検査で陰性反応もクチンFAの今季Mリーグ参加は再開直前まで確定せず、クダFAのエースは月給が300万円超えではないと明言、9月末の期限までに民営化しないクラブは来季は3部降格も

二度目の検査で陰性反応もクチンFAの今季Mリーグ参加は再開直前まで確定せず
 先日このブログでも取り上げたMリーグ2部クチンFAの選手5名が新型コロナウィルスの綿棒検査で陽性となった件ですが、その後、新たな進展があり、改めて行われた血液検査ではこの5名全員が陰性となっています。
 クチンFAのイスワンディ・アリ・ハサン事務局長は、この5名の選手は、3度目の検査を控えて現在は自宅隔離中だと明かした上で、状況が悪化し、Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLがリーグ出場辞退を求めた場合はそれを受け入れる用意があると話していることを、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 自宅隔離中というイスワンディ事務局長は「我々自身でリーグ出場辞退を申し出たくはないが、もしMFLからそのような依頼があれば、他のクラブに問題が及ばないよう、その依頼を受け入れる予定がある。」と話しています。
 なお現在のチームの状況は、8月8日までは選手及びスタッフ全員が自宅隔離となっており、選手は活動制限令MCO発令時と同様に各自が自宅でトレーニングを行なっているということです。
 またMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOはMリーグ再開となる8月26日の1週間前に、再度クチンFAの選手とスタッフの健康状態については検査を行い、その結果を理事会に諮って最終決定を下す予定であることを発表しています。
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 昨日8月1日の時点で678名の感染者が確認されているサラワク州ですが、州政府は現在、マレー半島からボルネオ島にあるサラワク州に入る場合には14日間の隔離措置を課しており、この措置が今後も続くとクチンFAのMリーグ出場の障害になる可能性も浮上しています。8月26日から短縮日程で再開されるMリーグ1部と2部は試合の間隔が詰まっており、最大でも7日間しかなく、クチンFAは再開初戦となる8月26日の第5節はホームゲームですが、第6節9月2日はペラIIとの試合はマレー半島でのアウェイ、そこから4日後の9月6日の第7節はホームでサラワク・ユナイテッドと「サラワクダービー」が控えています。

クダFAのエースは月給が300万円超えではないと明言
 マレー語紙ブリタハリアン電子版によると、Mリーグ1部クダFAのエースストライカーでリベリア出身のクパ・シャーマンは、自分の月給が12万5000リンギ(およそ311万円)ではないことを明らかにしています。
 過去5ヶ月間の給料が未払いとなっているクダFAですが、この6月にクダFAを運営するクダ州サッカー協会の新会長に就任したムハマド・サヌシ・ムハマド・ノー州首相が給料未払いは前経営陣の責任であると非難し、その中で月給12万5000リンギの選手と契約するなど予算を遥かに超える放漫経営だったと発言しました。
 これを受けてネット上ではこの高額取りは誰か、という「魔女狩り」が始まり、今季クダFAへ移籍してきた昨季のリーグ得点王のシャーマン選手ではないか、という声が上がっていましたが、これに対してシャーマン選手はこれを否定しています。
 「当初はこの件についてコメントする気はなかったが、自分の月給が12万5000リンギであるという噂が一人歩きし始めたので、これが真実ではないことを明らかにしたい。また、こういった噂を発した人物は、まず真実かどうかを確かめた上で発言するべきだ。」「たとえ実際にこのような金額を受け取っている選手がいるとしても、給料をメディアや大衆に公表することは、職業倫理に反することである。」とシャーマン選手は述べています。
 またシャーマン選手は5ヶ月間続いている給料未払いについて、給料未払いは我々選手だけでなく、その家族にも影響が及ぶことに加え、これ以上クラブが悪く見られることを避けるためにも、責任を負うべきものが直ちにこの問題の解決に取り組むべきだと話しています。

9月末の期限までに民営化しないクラブは来季は3部降格も
 マレーシアサッカー協会FAMは。9月30日に設定されている期限までに民営化されなかったクラブに対して、来季2021年シーズンをMリーグ3部降格処分を下す可能性があると、ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 FAMの民営化特別委員会のフィルダウス・モハマド委員長は、これまで民営化が完了しているのは6クラブのみであり、現在手続きを行っているのは8クラブであることを明らかにしています。
 民営化が完了しているのは1部のジョホール・ダルル・タジムJDT、PJシティFC、2部のサラワク、ヌグリ・スンビラン、3部のマレーシア国軍FC、現在はリーグに参加していないプルリスの6クラブということです。(注:2019年までMリーグ所属のプルリスFAを運営していたプルリス州サッカー協会は給料未払い問題が未解決のため、その運営クラブのリーグ参加が認められていません。)
 民営化クラブ(FC)の設立は、Mリーグ1部と2部に運営クラブが所属する20団体(1部のJDT、スランゴールFC、ペラTBG、トレンガヌFCの4クラブはBチームが2部に所属)およびマレーシア国軍、プルリス州FAに求められており、各州サッカー協会(州FA)が運営するクラブは民営化に加え、州FAから完全に独立した存在となる必要があります。またJDTやPJシティFCのように既に州FAから独立して運営されているクラブについては民営化が求められています。
 またフィルダウス委員長は民営化手続きを始めていないクラブとしてMリーグ1部ではクダ、ペラ、サバ、マレーシア王立警察PDRM、パハン、UITM FC、2部ではクアラルンプールの名を挙げる一方で、このうちの5つのクラブはFAMが支援を行なっていることも明らかにし、期限までは2ヶ月しかないことを警告した上で、期限内に民営化が完了しないクラブは来季はMリーグ3部のM3リーグからスタートする可能性にも言及しています。
 この民営化促進はアジアサッカー連盟主導のものであること、そしてマレーシアは東南アジアの他国に比べると遅れを取っていることも明らかにしたフィルダウス委員長は「この民営化を実施することにより、負債を抱えた後、それを残したまま運営から手を引く無責任な運営団体を根絶することができ、さらに優良なスポンサーを集めることになる。」として、Mリーグのクラブで拡大している未払い給料の問題の解決にもつながると話しています。

7月18日のニュース:Mリーグの8月26日再開が決定、Mリーグ再開日程に対する各監督の反応、U19代表合宿にワン・クズリが合流

Mリーグの8月26日再開が決定
 マレーシア国内リーグのMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは3月半ばから中断しているリーグ戦を8月26日から再開することを公式Facebookなどを通じ発表しています。
 Mリーグ1部スーパーリーグと2部プレミアリーグは新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて3月16日以来中断しています。なお3部以下はすでに今季の中止が決定しています。
 リーグ再開についてMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、各クラブの選手が試合を行う体調を取り戻すのに十分な時間を確保することがこの8月26日を選んだ理由のうちの一つとし、MFLが任命するマッチコミッショナーが再開前にリーグ戦で使用される各スタジアムの消毒や殺菌状況の確認を行うと話しています。
 この他、リーグ再開に先駆け、MFL各クラブは無観客を条件として8月3日からは練習試合が解禁になることや、試合会場が確保できないと言う前代未聞の理由で延期となったMリーグ1部第4節3月14日のPJシティFC対トレンガヌFC戦と、雷雨のため試合途中で中止となったMリーグ2部第2節3月6日のUKM FC対ケランタンFA戦の振替試合はこれに先立ち8月22日に開催されることも併せて発表になっています。
(8月26日からのリーグ再開を知らせるMFL公式Facebookページ

Mリーグ再開日程に対する各監督の反応
 マレー語氏ブリタハリアンは、8月26日からの再開が決まったMリーグについて、各クラブの監督の声を紹介しています。
 他のクラブに先駆けて8月22日に再開後の初戦を迎えるMリーグ1部PJシティFCのデヴァン・クップサミー監督は、選手たちはトレンガヌFCとの対戦に向けて用意ができていると語った上で、「選手たちの体調は満足いく状態になっており、ここまでケガ人が出ていないことも良い傾向である。」と話しています。
 Mリーグ1部スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督は、8月26日の再開に向けてどのクラブもチームを仕上げるのに十分な時間が与えられているとし、練習試合が解禁となる8月3日以降には練習試合を5試合ほど組みたい。残り試合が7試合しかない事から、全選手が再開後の初戦から全力でプレーができるように準備したい。」と話しています。
 またマラッカ・ユナイテッドのザイナル・アビディン・ハサン監督も試合感を取り戻すために練習試合は必要であると述べ、体調を仕上げるだけでは不十分であるとしています。
 一方、パハンFAのドラー・サレー監督は、再開が(当初予定されていた)9月1日でも8月26日でも違いはないとし、選手たちはボールのタッチなどの感覚を取り戻しつつあることから、再開まで1ヶ月間あるのでそこで集中的に練習を行うことができれば十分であると話しています。

U19代表合宿にワン・クズリが合流
 マレーシアの通信社ブルナマは、アメリカ育ちのワン・クズリ・ワン・アーマド・カマルが、現在開催中のU19代表候補合宿に合流したと報じています。
 アメリカ2部リーグにあたるUSLチャンピオンシップに所属するセントルイスFCのアカデミーでプレーするワン・クズリ選手は、現在マレーシアへの入国者全員に課されている2週間の自宅検疫期間を経て、さらに2度の綿棒検査で陰性が確認された後、35番目の選手としてチームに合流しています。
 国内メディアとの会見の席上で、ワン・クズリ選手はチームに貢献するために、自分ができることをやるつもりであると話しています。
 「自分は攻撃の起点になるのが得意な選手なので、多くのチャンスを作って多くのゴールに貢献したい。また機会があれば積極的に前でもプレーしたい。」と話しています。
 また同じブルナマの記事では、このワン・クズリ選手の兄でもあるワン・アーマド・ファイサル青年スポーツ相代理がU19代表合宿を訪れたことを伝え、その際に大臣代理の弟だと言うことで特別扱いをされることはなく、選手選考はブラッド・マロニーU19代表監督の専権事項であると話しています。
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 このファイサル青年スポーツ相代理のU19代表候補合宿は非公式なものでしたが、ネット上では本人が何と言おうと選手選考に悪い影響を与えることはあっても、良い絵鏡を与えることがないと言う批判が出ており、この二人の父親であるワン・アーマド・カマル氏も、ワン・クズリ選手がサッカーに集中しようとしている状況を妨げるようなことはすべきでないと、ファイサル青年スポーツ相代理を批判するコメントをソーシャルメディアに投稿しています。

7月9日のニュース:一時帰国中の外国籍選手もマレーシア入国へ、青年スポーツ相がU19代表合宿を視察

パハンFAの外国籍選手はチーム合流に見通しが立たず
 英字紙スター電子版によると、Mリーグ1部パハンFAは、現在、国外滞在中の外国籍選手のマレーシア入国許可を出入国管理局より取得したものの、その選手たちのマレーシアへ来る手段がなくチームへの合流が遅れそうだということです。
 パハンFAにはMリーグ1部の規定通り5名の外国籍選手が所属していますが、その内、現在マレーシア国外にいるのがいずれも自国に帰国しているレバノン出身のカリル・カミスとフィリピン出身のアダム・リードです。
 パハンFAのチームマネージャーを務めるモハマド・スフィアン氏によると、出入国管理局のカイルル・ザイミー・ダウド局長自身がパハンFAを含めMリーグの複数のクラブの外国籍選手の入国申請の審査を行い、いずれの外国籍選手にもマレーシアの入国許可が認められたということです。
さらにモハマド・スフィアン チームマネージャーは「カリル、リード両選手も入国許可が出たものの、レバノンでは新型コロナウィルス感染が拡大中、またフィリピンでも新たな感染者が1000人単位で増加しているということで、航空会社の運行便数が制限されていることから、マレーシアへ戻る便を確保できてない。またマレーシア到着後も症状がなければ数日間の隔離検疫期間を経て、チームに合流できるだろう。」と話しています。
 今週から練習を再開したパハンFAの残る3名の外国籍選手であるディクソン・ヌワカエメ(ナイジェリア)、イヴァン・カルロス(ブラジル)、エラルド・グロン(フランス)は、活動制限令MCOが3月半ばに発令された際もマレーシアに残り、現在はチームの練習に参加しているということです。

クダFA監督は外国籍選手の早期合流を期待
 また英字紙ニューストレイトタイムズは、練習を再開しているMリーグ1部クダFAの外国籍選手のチーム合流が遅れる見通しだということです。
 フィリピンに帰国中のアミン・ナザリは、マレーシア入国に必要な綿棒検査を受け、既に新型コロナウィルスの陰性が確認されている一方、ブラジルに帰国中のレノン・アウヴェスは現在、綿棒検査の結果を待っているとされています。
 自身も綿棒検査を経てマレーシア入国を許可されたシンガポール出身のアイディル・シャリン監督はアミン、アウヴェス両選手が来週までには合流できることを期待していると話しています。

青年スポーツ相がU19代表合宿を視察
 マレーシアサッカー協会FAMと共同で国家サッカー選手養成プログラムNFDPを運営している青年スポーツ省のリーザル・メリカン・ナイナ・メリカン大臣が、AFCU19選手権に出場する代表選手候補合宿を見学し、チームの核となっているNFDP出身者を含めた選手を激励したと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 スランゴール州プタリンジャヤにあるFAMの施設で行われているU19代表候補合宿をFAMのハミディン・モハマド・アミン会長と共に訪れたレーザル・メリカン青年スポーツ相は、NFDPの出身者がU19代表のレベルを高め、青年スポーツ省の予算を投入し、歴代大臣が関わってきたNFDPが結果を出すことを期待している、と述べています。
 本日7月9日には、現在は身体接触を含まない練習のみが許可されているスポーツの練習方法について、身体接触許可をを認めるかどうかの政府閣議が行われる予定で、現在は体力トレーニングが中心になっているU19代表も、数日以内に通常練習へと移行できる可能性を示唆した上で、10月にウズベキスタンで開催されるU19選手権へは万全の準備で臨んでもらいたいとも話しています。

6月5日のニュース:犬を抱いたスマレの姿にサポーターが騒つく、ケランタン州協会はカッシオに未払い給料のディスカウントを求める、マットヨーは名誉毀損でマレーシアの英字紙を相手取って訴訟を起こす

犬を抱いたスマレの姿にサポーターがネット上で騒つく
 MリーグのパハンFAでプレーするモハマドゥ・スマレは、ガンビア出身ながら、マレーシアで初めてFIFAの規定による帰化選手となり、現在は代表チームの主力選手として活躍しています。
 このスマレ選手は、自身のインスタグラムでインスタグラムライブを行い、ファンの質問に答えることがあるのですが、、先日、自身のインスタグラムライブで犬を抱いている映像をアップしたことから、ネット上が騒ついているとマレー語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 一般にイスラム教徒は犬を忌み嫌うのですが、イスラム教徒であるスマレ選手が犬を抱いている映像をアップしたことで、その行いを自身の宗教に反しているのではと問うコメントが直ちにあったということです。なお、ブリタハリアンによれば、スマレ選手は即座に反論することはなかったということです。
 そしてその後、改めて「犬を抱くことによって自分の信仰心が変わるものではなく、犬も神が創り出したものであり、愛情を注ぐことは間違っていない。」というコメントを返したスマレ選手は、その犬は自分が飼っているものではなく、訪ねてきた知人が連れてきたものであることも併せて説明したということです。
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 イスラム教徒と犬は確かに相容れないもののようで、国民の7割近くがイスラム教徒であるマレーシアでは、野良犬狩りはあっても、野良猫狩りの話は聞いたことがなく、野良猫は本当にあちらこちらで見かけます。
 ところでイスラム教では、犬をかうことが全面的に禁じられているわけではなく、家畜を追い込む牧羊犬や狩り、あるいは農耕のために飼う犬は問題がないとされていますが、その一方で愛玩用、つまりペットとして犬を飼うことについては多くの意住む京都が否定的な考えを持っています。

ケランタン州協会はカッシオに未払い給料のディスカウントを求める
 Mリーグ2部のケランタンFAを運営するクランタン州サッカー協会KAFAは、FIFAよりその未払い給料を支払うことを命じられているカッシオ・フランシスコ・デ・ジーザス選手に未払いとなっている給料の支払額の減額を求める予定があると、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 KAFAの行動委員会のアーマド・ムザッキル・ハミド委員長は、カッシオ選手への支払いが命じられている62万9620リンギ(およそ1600万円)の未払い給料について、減額を依頼するのも未払い給料解決の方法の一つと考えていると話しています。
 これまでに分割払いと支払い期限の延長といった方法が検討されていると話すムザッキル委員長は、これらの提案に加えて、支払額の減額も検討していくとしています。
 しかしカッシオ選手の弁護士を務めるザフリ・アミヌラシド氏は、カッシオ選手の権利をひじするため、KAFAとの再交渉は2社で直接行わず、スポーツ仲介裁判所CASの調停という形で行いたいとしています。
 また同じ記事の中でムザッキル委員長は、現在もKAFAがサポーターから募っている寄付は、カッシオ選手への未払い給料問題を解決するだけではなく、他の未払い問題の解決にも使うことを表明しています。これは先週、別の外国籍選手であるブルーノ・ロペスへの未払い給料14万1100リンギ(およそ360万円)の解決をFIFAに迫られただでなく、総額で200万リンギ(およそ5100万円)とされる未払い給料があるとされるケランタンFAのマレーシア人選手への支払いも視野に入れた発言だと考え

マットヨーは名誉毀損でマレーシアの英字紙を相手取って訴訟を起こす
 マレーシアの通信社ブルナマのマレーシア語電子版によると、タイのBGパトゥム・ユナイテッドでプレーするマットヨーこと、ノーシャルル・イドラン・タラハが、マレーシアの英字紙ニューストレイトタイムズとその編集者2名を相手取った訴訟をおこなしたことが報じられています。
 このブログでも取り上げましたが、昨季在籍したMリーグのパハンFAからBGパトゥム・ユナイテッドに移籍した際に、このノーシャルル選手がタイ国内の代理人業者のプロ24社とマレーシアやシンガポールを基盤に代理人業務を行うアブドル・ハリム・アブドル・シュコル氏の両者と契約したいわゆる二股契約であり、プロ24社がタイサッカー協会FATに報告し、これによりノーシャルル選手はFATにより出国を止められているとニューストレイトタイムズが報じました。
 これについてノーシャルル選手は、昨年2019年11月30日にパハンFAを退団後、プロ24社と契約し、移籍先を探し始め、その後、プロ24社によりタイ1部リーグのスコータイFCよりオファーを受けたものの、望んでいた給料とは開きがあったことから契約に至らなかったと、裁判所に提出した書類で明らかにしています。さらにその後、アブドル・ハリム氏によってBGパトゥム・ユナイテッドとの契約に至ったものの、新型コロナウィルス感染拡大により、タイリーグの各クラブが選手と給与削減交渉を始めた際にアブドル・ハリム氏が姿を消し、その理由が二股契約であったこともニューストレイトタイムズは報じました。
 これについてノーシャルル選手は、プロ24社によるFATへの訴えも、FATによる出国禁止措置もなかったこと、BGパトゥム・ユナイテッドとの契約時にはプロ24社とはすでに契約関係になかったことを挙げ、ニューストレイトタイムズの記事が事実に基づかない名誉毀損にあたるとして訴訟を起こしたとしています。
 なお裁判は7月22日予定されているということです。

 

6月4日のニュース:FAMは国内リーグの早期再開の可能性を探る、FAM会長がサポーターの質問に答えるイベントを実施、パハン州FAは給料未払いではなく遅配と説明も事実ははっきりせず

FAMは国内リーグの早期再開の可能性を探る
 マレーシアの通信社ブルナマによると、マレーシアサッカー協会FAMの FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局は、国内リーグMリーグが予想より早く再開する手応えを感じているということです。
 10月以降に控える代表候補合宿を完全隔離型で実施できるよう、国家安全保障委員会へ提出する必要書類を作成しているというスチュアート事務局長は、新型コロナウィルス新規感染者の減少傾向により、7月からのチーム練習再開、そして8月からのリーグ再開の可能性が出てきていると話しています。
 「ここ数週間の(減少傾向にある)新規感染者数を見れば、早期再開の可能性はあると考えているが、それを期待しているわけではなく、FAMとしてはただ待つしかないことは理解している。しかし、今後、新規感染者数がさらに減少すれば、予想よりも早くサッカーを見ることができる日が帰ってくる可能性があると考えている。」とも話しています。
 さらにスチュアート事務局長は「現時点では、FAMとMFLは、8月からのチーム練習再開と9月からのリーグ再開と考えており、それより早くなることがあれば、関係者全員にとって朗報となる。」とも話しています。
 FAMとMFLは先月5月に、7月からのチームトレーニング再開および8月からのリーグ再開についての要望書をマレーシア政府に提出しましたが、拒否されています。
 感染者数がマレーシアよりも圧倒的に多かった韓国やドイツのリーグが開幕し、同様にイタリアやスペインも6月中のリーグ再開が決まる中、スチュアート事務局長は他国とマレーシアを比べることに意味はなく、今は新たな感染者数を増やさないためにも、各自が責任ある行動をとることが大事であるとしています。

FAM会長がサポーターの質問に答えるイベントを実施
 マレーシアサッカー協会FAMの公式Facebookでは、サポーターにハミディン・アミン会長に対する質問を募っています。
 この記事を書いている時点で150ほどの質問が挙がっていますが、この中から選ばれた質問に対し、ハミディン会長がビデオの形で回答するということです。
 挙がっている質問を見ると、数が多いのが「帰化選手」についてです。次の帰化選手候補が誰かをたずねる質問もあれば、帰化選手による代表強化策はマレーシアのFIFAランクが上がるまで続くものなのか、また帰化選手を増やすことでマレーシア人選手の機会が奪われるという考えをどう思うかなど、興味深い質問もあります。
 さらにはMリーグのチーム数を現在の12から15あるいは18へ増やすべき、リーグ戦とは別にカップ戦では外国籍選手の登録数を減らすべき、また代表専用のトレーニング施設を建設してはどうかなどの意見もあります。
 こういった質問の中から、国内リーグを運営するマレーシアフットボールMFLの会長でもあるハミディンFAM会長がどんな質問を選び、またどのように答えるのかは、また後日このブログでも取り上げる予定です。
(下はFAMの公式Facebookより。「あなたは質問するだけ、会長が答えます」と書かれています。)

パハン州FAは給料未払いではなく遅配と説明も事実ははっきりせず
 マレー語紙ハリアンメトロ電子版はMリーグのパハンFAを運営するパハン州サッカー協会PFAが2ヶ月分を支払っていないと報じましたが、これに対してPFAは記事の内容が不正確であると抗議をしているということです。
 ハリアンメトロは昨日、PFAが複数の選手の給料を2ヶ月支払っていないと報じましたが、PFAの関係者の話しでは、これは給料未払いではなく遅配であり、その遅れも報道された2ヶ月ではなく2週間程度であると反論しています。しかも遅配となっているのは選手ではなく、スタッフであることし、このPFAの関係者は常に選手の福利に気を配っていることも併せて主張しています。
 ハリアンメトロは、クダFA、ケランタンFA、マラッカ・ユナイテッドなど、すでにネット上で明らかになっている給料未払い問題を抱えるクラブとは別に、他にも同様のクラブがあるとして、パハンFAを取り上げ、3月以降は給料未払いとなっており、クラブのスタッフが今年2月以降は1ヶ月分の給与しか支払われていないと話す記事を掲載していました。
 なおハリアンメトロはPFAの経営陣に対し、この給料未払い問題について問い合わせを行ったということですが、記事の執筆時までには返事がもらえなかったことも明かしています。