MFL第6節の結果まとめ

マレーシアフットボールリーグMFL第6節
*FIFA国際Aマッチ期間中に開催されるエアマリンカップ(3月20日と23日)とアジアサッカー連盟AFCのU23選手権予選兼東京オリンピック予選(3月22日から26日)開催前のため約3週間、MFLは試合がありません。リーグ戦再開は第7節は3月29日(金)からとなっています。

1部スーパーリーグ
パハンFA(4勝2分0敗)1-0クダFA(3勝2分1敗)
得点者:パハンFA−ズハイル・アイザット(87分)
リーグ2位のパハンFAはFWゼ・ラブことゼ・エドゥアルドが累積警告で、同3位のクダFAもDFレナン・アルヴェスは前節のレッドカードでそれぞれ出場停止となり、攻守の要を欠いたチーム同士の試合は両チーム無得点のまま引き分けかと思われた終盤に、途中出場のズハイル・アイザットが決勝ゴールを決め、ホームのパハンFAが逃げ切りました。今シーズン、ここまで出番のなかったズハイル選手のゴールにより、クダFAは今シーズン初黒星を喫しました。
 なおズハイル選手は、ムハマドゥ・スマレと交代で出場しましたが、ドラー・サレー監督に自ら出場を直訴し、ケガを押して出場したスマレ選手が途中交代したことにより、代表に選出されているエアマリンカップへの出場が危ぶまれています。

ペラTBG(1勝3分1敗)1-0プタリン・ジャヤ(PJ)シティFC(1勝1分4敗)
得点者:ペラTBG-ワンダー・ルイス(39分、PK)
ペラTBGは今シーズン初勝利。ノー・ハキム・ハサンがゴールエリアで倒された得たPKをワンダー・ルイスが決めた1点を守り、PJシティFCの反撃に耐え逃げ切ったペラTBGは勝点6となり、7位に浮上しました。

トレンガヌFC(2勝3分1敗)3-0マラッカ・ユナイテッド(4勝0分2敗)
得点者:トレンガヌFC:ナスルラ・ハニフ(24分)、サンジャル・シャアフメドフ(42分)、シャミン・ヤハヤ(74分)
開幕戦以来、これまでのホームの試合はすべて引き分けだったトレンガヌFCが今シーズン最多の3得点でホーム初勝利。24分にリー・タックのコーナーをマラッカ・ユナイテッド守備陣のマークを外したナスルラ・ハニフが頭で叩き込み先制。調子の上がらないチェチェ・キプレに代わってキャプテンマークを着けたGKモハマド・サフィアン・ラーマンが好セーブを連発してマラッカ・ユナイテッドを無得点に抑えている間に、再びリー・タックからのパスを受けたサンジャル・シャアフメドフがディフェンダーをかわし2点目のゴールを決め、前半を折り返しました。74分にはシャハリ・シャムスディンがディフェンスラインの裏へ絶妙のパス、そこへ走り込んだアーマド・シャミン・ヤハヤが3点目を決め、勝利を決定づけました。

PKNS FC(3勝2分1敗)2-0フェルダ・ユナイテッド(1勝3分2敗)
得点者:PKNS FC-ロメル・モラレス(24分)、タミルラン・コズバエフ(47分)
前半は一方的な試合でPKNS FCがリード。しかし攻撃の勢いが衰えた後半はフェルダ・ユナイテッドが反撃しましたが、開幕戦のトレンガヌFC戦、第2節のマラッカ・ユナイテッド戦でそれぞれ1失点した後は、3試合連続で相手を完封している守備陣がこの試合でも機能しました。キルギスタン代表で今年のAFC選手権にも出場したタミルラン・コズバエフ、マレーシア代表に初選出されたニコラス・スイラッドを中心にロドニー・セルヴィン、モハマド・カユム・マルジョニといった守備陣とGKザリフ・イフラン・ハシムディンの活躍で、第6節を終わってクダFAとともにリーグ最少の2失点で5位につけています。
 フェルダ・ユナイテッドの渡辺将基、池田圭両選手はスタメンフル出場しています。

JDT(5勝1分0敗)3-0PKNP FC(0勝1分5敗)
得点者:レアンドロ・ヴァレスケス(27分)、ジオゴ(36分、PK)、ゴンザロ・カブレラ(42分、PK)
この試合前まで負けなしのJDTと勝ち星のないPKNP FCの対戦は順当にJDTが勝利しました。27分にジオゴのシュートをGKが弾いたボールをレアンドロ・ヴァレスケスが押し込んで先制すると、自らがDFアマニ・アギナルドに倒されて得たPKをジオゴが決めて2点目、さらに42分には再びジオゴがGKに倒されて得たPKをゴンザロ・カブレラがゴールし3点目。カブレラ選手は6試合で5得点と現時点でのリーグ得点王で、ジアゴ選手、ヴァレスケス選手との3人でチーム総得点15点の内の10点をあげています。
 3月12日にはAFCチャンピオンズリーグACL第2戦の慶南FCをホームで戦うJDTにとって、このPKNP FC戦は大一番前のちょうど良い調整だったのかも知れません。
 今シーズン未だ未勝利のPKNP FCは、74分にキャプテンのアーマド・シュクリ・アブドラ・ハミドが退場となり10 人となった後は全くチャンスがありませんでした。4連敗となったPKNP FCは10位のPJシティFCとは勝点3差の11位となっています。

クアラルンプール(KL)FA2(0勝0分5敗)-3スランゴールFA(1勝3分1敗)
得点者:KLFA−シャウワン・シャーラン(5分)、インドラ・プトラ・マハユディン(38分)、スランゴールFA-サンドロ・ダ・シルヴァ(67分,PK)、モハマド・シャズワン・ザイノン(71分)、モハマド・アムリ・ヤハヤ(76分)
今シーズンともに未勝利チーム同士の対戦は、スランゴールFAが前半2失点のビハインドをひっくり返して逆転勝ちし、今シーズン初勝利を挙げました。しかし30分で交代したルフィノ・セゴヴィアが思いの外、重傷だったようで、スランゴールFAのホームページでは、4ヶ月間チームから離脱する必要があることが伝えられています。昨シーズンは19ゴールでリーグ最多得点を記録し、今シーズンもこの試合前までの5試合で、チーム総得点5点中3得点をあげるなどスランゴールFAの攻撃の中心だけに、この試合で今シーズン初勝利を挙げたスランゴールFAですが、今後も苦しい試合を強いられそうです。
 またこの試合後、開幕から5連敗となったKLFAのユスリ・チェ・ラー監督が辞任しています。開幕5試合の相手が、昨シーズンのFAカップ優勝チームのパハンFA、スーパーリーグ5連覇中のJDT、そしてACLプレーオフ出場のため延期にはなりましたがマレーシアカップ優勝チームのペラTBG、その後も昨シーズン5位のトレンガヌFC、同7位のマラッカ・ユナイテッドと上位相手との連戦が続き、悪い流れを変えることができませんでした。なおKLFAの苅部隆太郎選手はスタメンフル出場しています。
 この試合のGoal.comによるマッチレポートはこちら、またこの試合の観戦記はこちらです。

2部プレミアリーグ
UITM FC(3勝1分1敗)3-3ケランタンFA(1勝1分3敗)
得点者:UITM FC−ザルコ・コラチ(37分、41分、50分)、ケランタンFA-フラヴィオ・ベック・ジュニオール(36分)、ニック・アズリ・ニック・アリアス(79分)、ファウジ・ロスラン(83分)

PDRM FC(0勝1分5敗)0-1UKM FC(3勝1分2敗)
得点者:UKM FC-ミラド・ジナドプール(88分)

ヌグリ・スンビランFA(1勝4分1敗)0-0サバFA(3勝2分1敗)
得点者:なし
ヌグリ・スンビランFAの中武駿介選手はスタメンフル出場しています。

ペナンFA(2勝1分3敗)2-1スランゴール・ユナイテッド(3勝1分2敗)
得点者:ペナンFA-ディヤウルラーマン・ハスリ(55分)、ニキタ・パヴレンコ(64分、OG)、スランゴール・ユナイテッド−リザル・ファミ(17分)

トレンガヌFC II(2勝2分1敗)0−0JDT II(4勝1分0敗)
得点者:なし
トレンガヌFC IIの鈴木ブルーノ選手はスタメンフル出場しています。

MFL第5節の結果まとめ

マレーシアフットボールリーグMFL第5節の結果
1部スーパーリーグ
トレンガヌFC(1勝3分1敗)1-1ペラTBG(0勝3分1敗)
得点者:トレンガヌFC-リー・タック(90分、PK)、ペラTBG-ワンダー・ルイス(72分)
トレンガヌFCは、90分にリー・タックがペナルティーエリア内で倒されて得たPKを自分で決めて同点に追いつきました。ペラTBGは掴みかけていた今シーズン初勝利を手にすることはできませんでした。

スランゴールFA(0勝3分2敗)2−4JDT(4勝1分0敗)
得点者:レアンドロ・ヴァラスケス(7分、67分)、ジオゴ(13分)、ゴンザロ・カブレラ(41分)、スランゴールFA-エンドリック・サントス(32分)、ルフィノ・セゴヴィア(45分)
前半だけで5点が入った派手な試合は、JDTのレアンドロ・ヴァラスケスがこの日2点目となるゴールを決め、スランゴールFAを突き放しました。この日が34歳の誕生だったルフィノ・セゴヴィアのゴールも実らず、スランゴールFAの今シーズン初勝利はまたもお預けとなりました。

フェルダ・ユナイテッド(1勝3分1敗)1-0プタリン・ジャヤ(PJ)シティFC(1勝1分3敗)
得点者:池田圭(30分、PK)
ゴールエリア内でS・チャントゥルが倒されて得たPKをフェルダ・ユナイテッドの10番、池田圭がゴール。そのまま逃げ切り、フェルダ・ユナイテッドは今シーズン初勝利を挙げました。フェルダ・ユナイテッドのニズマン・ジャミル監督がチームへの貢献を称賛する池田選手、渡邉将基選手はともにスタメンでフル出場しました。

クダFA(3勝2分0敗)0−0PKNS FC(2勝2分1敗)
得点者:なし
両チーム合わせて9枚のカードが出された荒れた試合は、シュート数がクダFA14本に対して、攻撃の要となるFWクパ・シャーマンが第4節のPKNP FCでのレッドカードによる出場停止となっているPKNS FCはわずか2本でしたが、PKNS FCにとってはアウェイでの貴重な勝点1となりました。一方クダFAにとっては、この試合で勝点3を獲得すれば首位の可能性もありましたが、試合終了直前の87分にはクダFAのDFレナン・アルヴェスがボールとは関係ないところで、PKNS FCのFWファイザット・ガザリに頭突きを食らわせ一発退場となりました。MFLの規定では、通常のレッドカードは1試合出場停止が課せられますが、暴力行為に対するレッドカードは最低でも3試合以上の出場停止処分となります。
 第5節を終えて3位のクダFAは、次節の第6節は2位のパハンFAと、第7節は首位のJDTとの対戦が控えているだけに、アルヴェス選手の不用意なレッドカードがクダFAの今シーズンの行方に影響を及ぼす可能性があります。

PKNP FC(0勝1分3敗)0−3パハンFA(3勝2分0敗)
得点者:パハンFA-ゼ・ラヴ(2分)、ディクソン・ヌワカエメ(50分)、ノーシャルル・イドラン・タラハ(73分)
ここ2試合で2引き分けのパハンFAは、前節でレッドカードをもらったDFエラルド・グロンと、イエローカード累積3枚となったDFサフワン・バハルディンが出場停止、さらにはDFムスリム・アーマドが前節のスランゴールFA戦でのケガからの回復が遅れてベンチから外れるなど、前節まで先発してきたディフェンスのレギュラー3名を欠く苦しい試合でしたが、今シーズンまだ勝ち星のないPKNP FC相手に勝点3を獲得し、クダFAを抜いて2位に浮上しています。

マラッカ・ユナイテッド(4勝0分1敗)2−0クアラルンプール(KL)FA(0勝0分4敗)
得点者:マラッカ・ユナイテッド−ダルコ・マルコヴィッチ(14分)、ナズリン・ナウイ(16分)
今シーズン開幕から3連敗中のKLFAは、この試合も前半の早い時間帯に2点を奪われ、FWギリェルメ・デ・パウラをケガで欠く攻撃陣が反撃できないまま試合終了。開幕から泥沼の4連敗となり、MFLでの唯一、勝点0のチームとなっています。
KLFAの苅部隆太郎選手はスタメンでフル出場しています。

2部プレミアリーグ
ペナンFA1(1勝1分2敗)1-2UITM FC(3勝0分け1敗)
得点者:ペナンFA−ザルコ・コラチ、UITM FC-ロベルト・メンディ(39分、85分)

スランゴール・ユナイテッド(3勝1分1敗)0−0ヌグリ・スンビランFA(1勝3分1敗)
得点者:なし
ヌグリ・スンビランFAの中武駿介選手はスタメンでフル出場しています。

サバFA(3勝1分1敗)3−1PDRM FC(0勝1分4敗)
得点者:サバFA-ルイス・ジュニオール(4分、48分)、ロドリュブ・ パウノヴィッチ(43分)、PDRM FC-アルグジム・レゾヴィッチ(53分)

UKM FC(1勝1分2敗)4-0サラワクFA(1勝0分4敗)
得点者:UKM FC-ミカエル・イジェジー(9分、PK)、マテオ・ロスカム(85分、PK)、ハリス・ファズリン(90分)、アクマル・ザヒル(90分)

JDT II(4勝0分0敗)2-0ケランタンFA(1勝1分2敗)
得点者:JDT II-ロザイミ・ラーマン(40分)、カイルラ・アブドルハリム(59分)

MFL第4節の結果まとめ

マレーシアフットボールリーグMFLは第4節。1部スーパーリーグ6試合、2部プレミアリーグは追放処分を受けたプルリスFA対ケランタンFA戦が延期となり、5試合が行われました。
MFL1部スーパーリーグ
クアラルンプール(KL)FA(0勝0分3敗)0-1トレンガヌFC(1勝2分1敗)
得点者:トレンガヌFC-イゴル・ゾニッチ(69分)
前半は苅部隆太郎からのキラーパスでGKと1対1の大チャンスをザフリ・ヤハヤがはずなどチャンスをモノにできなかったKLFAをトレンガヌFCが攻め続ける展開ながら0-0で終了。後半に入ると、トレンガヌFCの攻撃陣のミスとKLFAのGKファリズアン・カマルディンが連発したスーパーセーブで両チーム無得点が続き、迎えた69分にリー・タックの左からのCKにイゴル・ゾニッチが頭で合わせてゴールし、これが決勝点となりました。KLFAは前節のペラTBG戦が延期となったため3試合を消化していますが、勝点0と苦しい状況が続いています。
 KLFAの苅部隆太郎選手はこの試合も含め、全試合に先発、フル出場しています。

プタリン・ジャヤ(PJ)(1勝1分2敗)シティFC0-2クダFA(3勝1分0敗)
得点者:クダFA-シャルル・アズワリ(7分)、フェルナンド・オルテガ(41分)
プルリスFAからサフィ・サリ、新外国人としてセルジーニョの二人のFWを獲得して攻撃陣を強化したPJシティFCが、今シーズンここまで無敗のクダFAに挑んだ試合は、7分にシャルル・アズワリがフリーでヘディングシュートを決めてクダFAが先制しました。前半終了間際の41分には、自陣ゴール前でPJシティの不用意なパスを奪ったクダFAが一気にカウンターで攻め込み、オルテガが1対1となったGKを交わしてシュートし前半は2-0で終了。後半もクダFAが攻める時間の方が長かったものの両チームとも無得点で終了しました。

ペラTBG(0勝2分1敗)1-1フェルダ・ユナイテッド(0勝3分1敗)
得点者:ペラTBG-ジウマール・ダ・シルヴァ(71分、PK)、フェルダ・ユナイテッド-ハディン・アズマン(44分)
2月19日にアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACLプレーオフで蔚山現代に1-5と大敗したペラTBG。スーパーリーグ昨シーズン2位ながら、今シーズンはまだ勝ち星がありません。ホームにフェルダ・ユナイテッドを迎えた試合は、44分にフェルダ・ユナイテッドのキャプテン、ハディン・アズマンがFKを直接、ゴールし先制します。ペラTBGもゴール前でワンダー・ルイスが倒されて得たPKをジウマール・ダ・シルヴァが決め、同点に追いついたものの、その後は両チームとも得点できず試合終了となりました。
 フェルダ・ユナイテッドの池田圭選手と、この試合直前にフェルダ・ユナイテッドに加入した元プルリスFAの渡辺将基選手はともに先発し、フル出場しました。

JDT(3勝1分0敗)2-1マラッカ・ユナイテッド(3勝0分1敗)
得点者:JDT-ゴンザロ・カブレラ(35分、PK)、サファウィ・ラシド(43分)、マラッカ・ユナイテッド-パトリック・ライヒェルト(74分)
ここまで無敗同士が対戦する今節最も注目のカードは、35分にマラッカ・ユナイテッドのジャン・スクウォンが自陣ゴールエリアでハンドの反則を犯し、そのPKをゴンザロ・カブレラが決めてJDTが先制しました。43分にはジオゴのヒールパスから抜け出したサファウイ・ラシドがDF二人とGKをかわしてゴール。マラッカ・ユナイテッドも74分、JDT守備陣のパスをダルコ・マルコヴィッチがカット、そこからパトリック・ライヒェルトがゴールしますが、反撃はここまで。マラッカ・ユナイテッドは今シーズンの初黒星を喫しました。
 勝点3は満足だが、試合内容には不満が残るとしているJDTのルシアーノ・フィゲロア監督は、3月5日に控えるアウェイの鹿島アントラーズ戦に向け、選手の奮起を促したいとしています。

PKNS FC(2勝1分1敗)1-0PKNP FC(0勝1分3敗)
得点者:PKNS FC-クパ・シャーマン(2分)
ともに州政府設立の開発公社を母体とするクラブ同士の「公社ダービー」は、前節にスランゴールFAを4-0で破ったPKNS FCがクパ・シャーマンのゴールで先制し、GKザリフ・イルファンの活躍とPKNP FCのシュートが何度もゴールポストに阻まれる幸運のおかげでそのまま逃げ切りました。PKNP FCはシュート数ではPKNS FCを上回ったものの、1点が取れませんでした。
 PKNS FCはここまで4試合で3得点と好調のクパ・シャーマンが、69分にそれまでマンマークされ続けていたPKNP FCのフィリピン人DFアマニ・アギナルドへ肘打ちを食らわせて一発退場となっています。次節は首位クダFAとの対戦が控えており、チームにとっても痛いレッドカードでした。
 3試合で6失点のPKNP FCは、今シーズン初先発のGKカイルル・タキフの中途半端なパスから失点し、PKNS FCが10人となった機会を生かせませんでしたが、上記の新戦力のアマニ・アギナルドが存在感を見せつけ、課題となっていた守備陣の立て直しが期待できる試合でした。

パハンFA(2勝1分1敗)1-1スランゴールFA(0勝3分1敗)
得点者:パハンFA-ワン・ザフルニザム(34分)、スランゴールFA-ルフィノ・セゴヴィア(62分)
この試合前まで3試合で3得点のFWディクソン・ヌワカエメの代わりに、昨年末のアセアンサッカー連盟AFF選手権スズキカップで活躍したFWノーシャルル・イドラン・タラハを起用したパハンFAのドラー・サレー監督の戦略は、34分にムハマドゥ・スマレー、ゼ・ラブとつないだパスをワン・ザフルニザムがゴールし的中したように見えました。しかし、パハンFA攻撃陣が追加点のチャンスを逃していた間に、スランゴールFAが62分にキャプテンのルフィノ・セゴヴィアのゴールで追い付きます。パハンFAにとって誤算だったのはDFエラルド・グロンが2枚めのイエローで73分に退場となったこと。74分にはディクソン・ヌワカエメを投入し、勝点3を取りに行きますが、結局1-1のまま試合終了。上位陣から離されたくないパハンFAでしたが、不調のスランゴールFA相手に手痛い引き分けとなりました。

MFL2部プレミアリーグ
サラワクFA(1勝0分3敗)1-2サバFA(2勝1分1敗)
得点者:サラワクFA-ペドロ・エンリケ(44分)、サバFA- ロドリュブ・ パウノヴィッチ(36分)、サブリ・サハル(39分)
マレーシアはマレー半島部と、東マレーシアと呼ばれるボルネオ島に分かれていますが、そのボルネオ島に本拠地を持つ両チームの「ボルネオダービー」は、両クラブの勢いがそのまま現れた結果になりました。

PDRM FC(0勝1分3敗)0-1スランゴール・ユナイテッド(3勝0分1敗)
得点者:スランゴール・ユナイテッド-ラスラム・カーン(27分)
MFL3部にあたるFAMカップ(現Mリーグ3)から昇格し、初めてプレミアリーグで戦うスランゴール・ユナイテッドは好調を維持、この勝利で単独2位に浮上しています。

トレンガヌFC II(2勝1分1敗)0-0UKM FC(1勝1分2敗)
得点者:なし
トレンガヌFC IIの鈴木ブルーノ選手は、この試合で4試合連続の先発でフル出場していますが、開幕戦以来のゴールはなりませんでした。

UITM FC(2勝0分2敗)1-2JDT II(4勝0分0敗)
得点者:UITM FC-ムハマド・ラフィ・マット・ヤコブ(12分)、JDT II-ブルーノ・ソアレス(20分)、モハマド・ロザイミ・アブドル・ラーマン(45分)
JDT IIは開幕から4連勝で首位をキープ。

ヌグリ・スンビランFA(1勝2分1敗)1-1ペナンFA(1勝1分2敗)
得点者:ヌグリ・スンビランFA-中武駿介(32分)、ペナンFA-ジュリアン・ボッターロ
ここまで全試合先発でフル出場の中武駿介選手は、この試合も先発でフル出場し、今シーズン2点目を決めています。

2月21日のニュース:プルリスFAはMFLより追放、各クラブが新外国人加入を発表、2016年のFIFAプスカシュ賞受賞者は現在所属クラブなし

プルリスFAはMFLより追放
マレーシアフットボールMFLのケヴィン・ラムリンガンCEOは、2019年シーズンのプレーを継続するために十分な経営状況にないとして、プルリスFAのMFLよりの即時追放を発表しました。今シーズン開幕前から、いやMFL2部プレミアリーグ昇格前から懸念されていた給料未払い問題で揺れ続けたプルリスFAは、予想されていたとは言え最も残念な形で退場することなりました。
 昨シーズン終了後の1部スーパーリーグと2部プレミアリーグのチーム入れ替えの際、12チームで構成されるプレミアリーグからは1位のフェルダ・ユナイテッドと2位のフェルクラFCが昇格することになっていましたが、経営状況悪化からフェルクラFCが解散となり、3位のMIFA(現在のプタリン・ジャヤ(PJ)シティFC)が繰り上がりで昇格しました。1部スーパーリーグからはケランタンFAとヌグリ・スンビランFAが降格したものの、合計11チームとなり、3部FAMカップ(現Mリーグ3)から追加で昇格チームを選ぶことになりました。その際に候補に上がったのがATM FC(軍隊のクラブチーム)、クチンFAとプルリスFAの3クラブ。MFLが経営状況やファンの支持などを総合的に評価した結果、プルリスFAが選ばれました。実はこの時点で給料未払い問題が既に発覚しており、それにもかかわらず昇格したため「裏口入学」ならぬ「裏口昇格」とも言われました。MFL側は昇格を決定した時点では問題が見られなかったとしていますが、シーズン途中で11チームになってしまうようなプルリスFAを選んだMFLにも責任がある気がします。
 選手の移籍期間が終了していますが、プルリスFAに所属していた選手に対しては、30日間の猶予を与える特別措置が取られ、この間に選手たちは新たな所属先を探すことになります。

プルリスFAのFacebookより。Singa Utaraはチームの愛称Northern Lionsを、Dalam Kenanganは「故人を偲ぶ」という意味のマレーシア語、1963はプルリスFAが創設された年を表しています。

各クラブが新外国人加入を発表
トランスファーウィンドウは昨日、2月20日に閉じました。この期間中にPDRM FCは新外国人選手としてリベリア出身のFWパトリック・ロナウジーニョ・ウレー(27)と契約しました。ウレー選手は2012年から2018年までPKNS FCやスランゴールFAなどでプレー経験もあります。PDRM FCは開幕から3試合で0勝2分1敗、2得点5失点という成績で、12チームで構成されているマレーシアフットボールリーグMFL2部プレミアリーグで最下位です。ウレー選手の加入でPDRM FCの得点力不足の解消が期待されています。
 またPKNP FCもフィリピン出身のDFアマニ・アギナルド(23)を獲得しています。既にフィットネステストは終えており、国際移籍証明書ITCが届けば、今週末の試合に出場できる状態のようです。PKNP FCは今シーズンここまで、MFトマス・アビー(ガーナ)、FWカリドゥ・イエロ(セネガル)、DFシヨブシュ・アスロロフ(タジキスタン)、FWヤーセル・ピント(パレスチナ)4名の外国員で戦っており、アギナルド選手の加入で外国人枠5が全て埋まったことになります。
 プルリスFAからサフィ・サリー選手が移籍したプタリン・ジャヤ(PJ)シティFCにも、ブラジル人MFセルジーニョ(30)が加盟しています。タイや韓国でのプレー経験があるセルジーニョ選手の加入で、既に5人の外国人枠が埋まっていたPJシティFCは、第3節でゴールを上げているFWジャンカルロ・ロドリゲスをPKNP FCへ期限付き移籍させています。

2016年のFIFAプスカシュ賞受賞者は現在所属クラブなし
FIFAが制定するFIFAプスカシュ賞はその年の最も優れたゴールをした選手を対象とした賞ですが、2016年には当時ペナンFAに所属していたモハマド・ファイズ・サブリが、まるで物理の法則に逆らうかのような軌道の素晴らしいフリーキックが、オンライン投票で60%近い票を集め受賞しています。ところがこのサブリ選手は現在、所属クラブがない状態になっています。2018年シーズン終了後にペナンFAとの契約を満了し、その後はペナンFAからセレクション参加を求められるもこれを拒否、家庭の事情で他クラブへの移籍もできず、現在に至っているようです。しかしサブリ選手自身はサッカーを諦めておらず、次のトランスファーウインドウが開く5月にMFL復帰を目指しているようです。

2月20日のニュース:サフィ・サリーはPJシティFCへ移籍か、サティアナタン監督は続投へ、ペラTBGはACLプレイオフで敗退

サフィ・サリーはPJシティFCへ移籍か
給料未払い問題の解決が進まないプルリスFAの元代表FWサフィ・サリーが移籍を決めたようです。現在の練習場となっているクアラルンプールのマラヤ大学グラウンドで、プルリスFAとの契約が解除されていないため移籍先のクラブ名はまだ明かせないものの、クランバリー(クアラルンプールとスランゴール州一体の総称)に本拠地を持つクラブへの移籍を決意したと述べています。
 この日がプルリスFAとの最後の練習となるだろうと述べたサフィ選手は、これまで既に5つのクラブからオファーを受けていることを認め、それらはかつて所属したスランゴールFAの他、プタリン・ジャヤ(PJ)シティFC、ケランタンFA、UITM FCなどであると述べています。複数のメディアがPJシティFC入りの可能性が高いとしていますが、果たしてどのチームが2010年のアセアンサッカー連盟AFF選手権スズキカップの得点王を獲得するのでしょうか。

サフィ選手の移籍先と噂されるPJシティFCのFacebookにはこんなティザー告知が…。

サティアナタン監督は続投へ
開幕からの3試合で0勝2分1敗と苦戦が続くスランゴールFA。第3節は同じシャー・アラムスタジアムをホームにするPKNS FCとの対戦でしたが0−4と大敗しました。この試合の後、サティアナタン監督は今後の進退については、スランゴール州サッカー協会に一任するとしていました。これについて州サッカー協会のジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、サティアナタン監督と州サッカー協会会長でスランゴール州皇太子のテンク・アミル・シャー・スルタン・シャラフディン・イドリス・シャー殿下が話し合いを持ったことを認め、その席では進退についての議論はなく、協会としてはサティアナタン監督を支え、クラブが抱えている問題をどう解決するかに時間を割いたことも述べています。
 また3試合で1得点と期待通りの働きができていないという非難が集まっているアントニオ・ジャーマンについては、トランスファーウインドウが閉じるまでに代わりを務める選手が見つからない限りは、契約解除の予定はないとしています。

ペラTBGはACLプレイオフで敗退
2月19日にアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACL出場権を賭けたプレーオフを韓国の蔚山現代と戦ったペラTBGは5−1で敗れ、ACL本戦出場はなりませんでした。
 ペラTBGは23分にアミルル・アザン・アズナンのOGで失点したものの、前半は最小失点の0−1で折り返します。しかし後半に入ると蔚山現代のMFミックス・ディスケルドが56分、58分と立て続けにゴールを決められ突き放されます。その後もMFリ・ドンキョンが70分に、FWジュニオール・ネグラオが87分にそれぞれゴールし、ペラTBGもDFナジール・ナイム・ビン・チェ・ハシムのゴールで90分に1点を返しましたが焼け石に水。ペラTBGのACL本選出場は来年以降に持ち越しとなりました。

MFL第3節の結果まとめ

1部スーパーリーグ
トレンガヌFC(0勝2分1敗)2-2JDT(2勝1分0敗)

得点者:トレンガヌFC-カイルル・イズアン(7分)、カマル・アジジ(90分)、JDT-サファウイ・ラシド(63分)、ジオゴ(68分)
JDTは2018年シーズンから続く連勝が12でストップ。

クダFA(2勝1分0敗)4-0フェルダ・ユナイテッドFC(0勝2分1敗)
得点者:クダFA-ザクアン・アドハ(17分)、アンマル・アルムバラキ(42分)、シャキル・ハムザ(54分)、ファズル・ダネル(74分)
クダFAはパハンFA、JDT、マラッカ・ユナイテッドと勝点7で並ぶものの、得失点差でリーグ首位に躍り出ました。

PKNP FC(0勝1分2敗)2-3プタリン・ジャヤ(PJ)シティFC(1勝1分1敗)
得点者:PKNP FC-カリドウ・イェロ(29分)、ハフィズ・ラムダン(52分)、PJシティFC-ペドロ・エンリケ(45分)、ジャンカルロ(74分)、R・バラトクマル(82分)
PKNP FCは勝点1のまま、PJシティFCは今シーズン初勝利です。

マラッカ・ユナイテッド(2勝1分0敗)1-1パハンFA(2勝1分0敗)
得点者:マラッカ・ユナイテッド-サフィク・ラヒム(90分、PK)、パハンFA-エラルド・グロン(5分)
開幕から2連勝したクラブ同士の試合は、試合終了間近にPKで引き分けに。

スランゴールFA(0勝2分1敗)0-4PKNS FC(1勝1分1敗)
得点者:PKNS FC-ニコラス・スイラッド(29分)、クパ・シャーマン(50分)、チャン・ワタナカ(80分)、ロメル・モラレス(90分)
ともにシャー・アラム・スタジアムをホームとする両クラブは、この試合ホームとなったスランゴールが屈辱的な大敗を喫しました。

第3節に予定されていたKLFA対ペラTBGの試合は、2月19日にペラTBGがアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACLプレーオフに出場するため、順延となっています。

2部プレミアリーグ
ヌグリ・スンビランFA(1勝1分1敗)1-4UITM FC(2勝0分1敗)
得点者:ヌグリ・スンビランFA-マテウス・フェルナンデス(45分)、UTIM FC-アズリディン・ロスリ2(25分、62分)、ロベルト・メンディ(58分)、ザルコ・コラチ(90分)
UITM FCは外国人選手を除けば大学(UITMは大学名)の学生が主体のクラブ。ヌグリ・スンビランFAのように各州のサッカー協会FAによるクラブが主流のマレーシアでこの勝利はまさにジャイアントキリングです。この勝利でUITM FCは2位に浮上。

JDT II(3勝0分0敗)2-1プルリスFA(1勝0分2敗)
得点者:JDT II-ブルーノ・ソアレス(73分)、ニコラス・フェルナンデス(90分)、プルリスFA-ケヴィン・オセイ(86分)
JDT IIはプレミアリーグ唯一の全勝をキープ。給料未払い問題で揺れるプルリスFAは勝点3のまま。

スランゴール・ユナイテッド(2勝0分1敗)3-2サラワクFA(1勝0分2敗)
得点者:スランゴール・ユナイテッド-セルジオ・エゼケル(8分)、ハディ・ヤハヤ(78分、PK)、ラスラム・カーン(90分)、サラワクFA-ハドソン・ディアス(16分)、ボビー・ゴンザレス(89分)
今シーズンより3部にあたるMリーグ3(旧FAMカップ)から昇格したばかりのスランゴール・ユナイテッドの快進撃は、第3節までの最大のサプライズです。激しい雷雨の中で行われた試合は前半を終わって1-1。サラワクFAのファルハン・アブドラ監督が選手の安全を案じて一時中断を申し入れるも、主審は後半も試合を続行。しかしスランゴール・ユナイテッドが2点目を入れたところで、一転して主審が一時中断を宣言。サラワクFAの抗議も実らず、スランゴール・ユナイテッドは3位に浮上。

サバFA(1勝1分1敗)3-1トレンガヌFC II(2勝0分1敗)
得点者:サバFA-パク・テス(50分)、ルカ・ミルノヴィッチ(65分)、リコ・ナイジェル(74分)、トレンガヌFC II-ラムジ・スフィアン(40分)
サバFAのピーター・アンソニー会長が打ち出した応援用のドラムなどの楽器やバナーを持ち込む際には事前に審査を受けることを求めた新しい規制に反発した一部ファンが試合前にボイコットを呼びかけるなど、緊張した雰囲気で始まった試合でしたが、ホームのサバFAが今シーズン初勝利を挙げました。

ペナンFA(1勝0分2敗)1-0PDRM FC(0勝1分2敗)
得点者:ペナンFA-アフィク・アズミ(29分)

UKM FC(1勝0分2敗)0-1ケランタンFA(1勝1分1敗)
得点者:ケランタンFA-フラヴィオ・ベック・ジュニア(90分、PK)
カンボジアで開催されているアセアンサッカー連盟AFF U22選手権に出場するマレーシア代表に5名を送り込んでいるケランタンFAは戦力ダウンの予想を覆す今シーズン初勝利を挙げました。


2月16日のニュース:移籍期間終了間近での噂いろいろ、クチンFAのトライアウトに鈴木雄太選手が参加、プルリスFAのファンが募金活動開始

移籍期間終了間近での噂いろいろ
2018年11月29日から始まっていた選手の移籍や登録期間、いわゆるトランスファーウィンドウが2月20日で終了します。既にマレーシアフットボールリーグMFLは開幕から第2節までを終了し、主力にケガ人が出ているチーム、予想していたような結果を残せていないチームなどが、選手を放出、あるいは駆け込みで新たな戦力と契約をすることが予想されます。
 特に給料未払い問題で注目を浴びている2部プレミアリーグのプルリスFAの選手たちの去就に注目が集まっており、元マレーシア代表FWサフィー・サリがスランゴールFAやプタリン・ジャヤ(PJ)シティFCへ移籍するのではという噂や、元ケランタンFAでキャプテンも務めたモハマド・バドリ・モハマド・ラジはケランタンFAが未払い給料問題を解決するまではケランタンFAに戻ることはないと会見しています。その一方で、そのケランタンFAが3人の「スター」選手を獲得予定と発表するなど周辺がざわついています。
 またここまで0勝2分0敗のスランゴールFAのB・サティアナタン監督が、新戦力のアントニオ・ジャーマンが期待はずれであることを認め、今シーズン、パハンFAに復帰して活躍するディクソン・ヌワカエメと契約直前まで行きながら、獲得資金不足で断念していたことを明かしてみたり、トレンガヌFCのイルファン・バクティ・アブ・サリム監督やPKNP FCのアブ・バカル・ファジム監督が機能していない外国人選手に不満を述べるなど、国内移籍だけでなく、国外からの新戦力獲得を目論むチームもありそうです。

クチンFAに日本人MF鈴木雄太が入団!
トライアウトを受けていた日本人MF鈴木雄太選手がマレーシアフットボールリーグMFLの3部にあたるMリーグ3に所属するクチンFAへの入団が決まりました。おめでとうございます!鈴木選手はMFL開幕前には2部リーグにあたるプレミアリーグに所属するケランタンFAで練習参加していましたが、結局、契約に至りませんでした
 報道では、マレーシアでも展開しているヤクルトがスポンサーになるとのことで、鈴木選手と契約するクチンFAは一銭も払わずに済むようです。
 ちなみにヤクルトはJDT IIからJリーグファジアーノ岡山へ移籍したハディ・ファイヤッド選手のトライアウトの費用も負担したようなので、日本とマレーシアをサッカーで結ぶ役割を今後も果たしていくかも知れません。

クチンFAのファズルディン・ラーマン会長と握手する鈴木選手(クチンFAのFacebookより)

プルリスFAのファンが募金活動開始
給料未払い問題で注目を集めるプルリスFAのファンが募金活動を始めたようです。昨シーズン、プレーした18名の選手への給料未払いと、今シーズンプレーしている選手の1月分と2月分の給料が払われていないとされるプルリスFAは、マレーシアフットボールリーグから受け取ることになっている100万リンギ(日本円で約2700万円)の2019年助成金を使って未払い給料の一部を支払う予定のようですが、優先されるのはあくまでの昨年プレーした選手たちで、100万リンギでは今シーズンの残り期間の給料を賄うことはとうてい無理です。
 そんな窮状を救おうとプルリスFAのファンが募金活動を始めました。プルリスFAのダト・アーマド・アミザル・シャフィト・アーマド・ラフィ会長は、現在いくつかのスポンサーと交渉中としながらも、具体的な問題解決の時期は明言できていません。プルリス州はマレーシア北部の州ですが、プルリスFAは首都クアラルンプールにあるマラヤ大学のグラウンドを練習拠点とし、学内の寮に宿泊している選手もいるようです。しかしここも今後、使用料が払われなければ退去の可能性もあります。プロ選手としては屈辱的な環境で、果たしてプルリスFAの選手たちがいつまでモチベーションを維持できるのか気になります。

マラヤ大学グラウンドで練習するプルリスFA(Facebookより)

2月15日のニュース:ペラTBGのMFL日程が変更、国際大会への選手招集に応じたクラブへの補償措置をMFLが検討、PJシティFCがマンチェスターシティFCの抗議でロゴ変更

ペラTBGのMFL日程が変更
2月12日のアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACL予選2回戦で香港のキッチーFC(傑志)を破ってプレーオフに進出することになったペラTBG。次のマレーシアフットボールリーグMFLの試合は、本日2月15日に予定されている敵地でのKLFA戦ですが、これが8日間で3試合目となることから、ペラ州サッカー協会PAFAは15日のKLFAの日程変更をMFLに申し入れていましたが、Fダト・スリ・アーマド・ファイザル・アズミPAFA会長はこの要求がMFLによって拒絶されたとしていました。MFLはこれを了承し、とりあえず本日のKLFAとの試合は延期となりました。
 ペラTBGは、来週2月19日にACL本選出場が懸かるプレーオフを蔚山現代FCと敵地で対戦します。2012年にはACL優勝の経験もある蔚山現代FCは勝つのが難しい相手ですが、ペラTBGにとってはしっかりと準備ができるような日程変更になって良かったです。

本日2月15日の試合が延期になったことを伝えるKL Hawks(KLFA)の告知(KL HawksのFacebookより)

国際大会への選手招集に応じたクラブへの対応をMFLが検討
2月17日から26日までカンボジアで行われるアセアンサッカー連盟AFFのU22選手権は、FIFAカレンダーに含まれていないため、各クラブが選手招集に応じる義務はありませんが、所属クラブが招集を拒否したことから主力選手を含む5人が出場を辞退しています。
 この問題について、マレーシアサッカー協会FAMでかつて規律委員会の委員長を務めた経験もあるカマルディン・アブドラ氏は、国際大会がFIFAカレンダーに含まれている、いないに関わらず、各クラブがFAMによる招集に応じることを義務付ける規則を作るべきだとしています。
 しかしこの問題は世界中に散見し、どの国も関係者全員が満足するような解決策が見つけられていないわけですから、カマルディン氏の言うように規則を作ってそれを一方的にクラブに押し付けるというのは、やや前時代的な対応に思えます。
 またMFLのケヴィン・ラムリンガンCEOは、スーパーリーグとプレミアリーグを運営するMFLとしてFAMにどのような協力ができるかを考えたいとし、例えば国際大会への選手招集に応じたMFLのクラブについては、各クラブに登録が認められている30名の選手枠を35名に拡大する案などを披露し、代表チームとクラブ双方とってウィンウィンになるような環境を作りたいとしています。

PJシティFCがマンチェスター・シティFCの「アドバイス」でロゴ変更
2019年シーズンから1部スーパーリーグに昇格したプタリン・ジャヤ(PJ)シティFCが、イギリスプレミア・リーグのマンチェスター・シティFCから「アドバイス」を受け、ロゴを変更していました。自身がマンチェスター・シティのファンであるというPJシティFCのオーナー、ダト・スリ・ヴィジェイ・エスワラン氏は大きな問題ではないとしています。ちなみにPJシティFCのホーム用ユニフォームもマンチェスター・シティFCと同じスカイブルーです。(写真は左からPJシティFCの旧ロゴ、マンチェスター・シティFCのロゴ、一番右がPJシティFCの新しいロゴです。)

PJシティFCのユニフォーム(PJ CITY FCのFacebookより)

2月14日のニュース:Shopeeは今年もFAカップのスポンサーに、U22代表に追加招集、KLFA監督は新外国人選手獲得を経営陣に求める

Shopeeは今年もFAカップのスポンサーに
シンガポールを拠点に、アセアンや台湾に展開するeコマース(電子商取引)サイトを運営しているShopeeが、昨年に続き、2019年もマレーシアサッカー協会FAMとFAカップのスポンサーになることで契約を更改しました。同社がマレーシアで展開するオンラインサイトでは、マレーシアフットボールMFLのチケットや公式グッズなども販売しており、昨年の実績では同サイトで30000枚のチケットを販売したそうです。(ネット購入はスタジアムでの購入より安く、特にこのshopeeのサイトはチケット1枚購入すると、もう1枚無料!なんてこともやっていました。)
 マレーシアFAカップは、マレーシアカップと並ぶ国内有数のカップ戦で、マレーシアカップが日本のサッカー天皇杯と同じ1921年(大正10年)創設の伝統ある大会でMFL所属チームのみが出場するのに対し、FAカップは開始が1990年と新しいカップ戦で、日本のサッカー天皇杯と同じ様に全国各地で予選を行い、アマチュアチームも参加する大会です。
 今年のFAカップは今週末の2月16日(土)より予選が始まりますが、特に今年は史上最多となる38のアマチュアチームが出場することが話題になっています。なお昨年はアマチュアチームの出場は7チームのみでしたが、今年は3部にあたる旧FAMカップ、今年から名称が変わったマレーシアリーグ3(Mリーグ3、このMリーグ3以下は全てアマチュアチームで構成)所属の全14チームと、4部にあたるMリーグ4から24のアマチュアチームが参加し、1部スーパーリーグと2部プレミアリーグでプレーする24のプロチームとともに頂点を目指します。

U22代表に追加招集
2月17日にカンボジアのプノンペンで開幕するアセアンサッカー連盟AFFのU22選手権に向けて、合宿中のマレーシアU22代表チームですが、複数のクラブが選手招集を拒否したため、昨シーズンはペナンFAでプレーし、2019年にプタリン・ジャヤ(PJ)シティFCに加わったMF、K・ティヴェンドランとヌグリ・スンビランFAのDFダニシュ・ハジック・サイプル・ハシムの二人が追加招集されました。
 また代表合宿への参加辞退をする選手が出れば、その分は別の選手のチャンスにもなるわけで、この状況についてケランタンFAのMFニック・アキフ・シャイラン・ニック・マットは、複数のMFが参加辞退をしていることから、このAFF U22選手権で活躍して、3月にクアラルンプールで行われるアジアサッカー連盟AFC U23選手権予選兼東京オリンピック予選でも招集されるようにしたいと述べています。
 またU22代表のオン・キムスイ監督は、今回の招集を拒否する権利が各クラブにあることを理解している一方で、招集を依頼するために直接、クラブや選手に電話を入れているにもかかわらず、それを無視するクラブ、選手に対しては礼を欠いていると非難しています。

合宿で指示を出すオン監督(FAMのFacebookより)
練習用ユニフォームも何種類かあるんですね(FAMのFacebookより)

KLFA監督は新外国人選手獲得を経営陣に求める
2019年シーズン開幕戦第1節ではパハンFAに1-3、第2節ではJDTに1-4と連敗スタートとなったKLFA。インドネシア人DFアクマド・ジュフリヤントと帰化選手DFハイル・ジョーンズの二人を怪我で欠き、シーズン開幕前には給料未払い問題からシャズワン・アンディックがJDTに移籍したKLFAの守備陣は2試合で7失点と壊滅的です。この状況にユスリ・チェ・ラーKLFA監督は、今シーズン新加入の守備的MF苅部隆太郎をセンターバックで起用するなど様々な手を試みていますが、結果は出ていません。これ以上順位を下げると降格もままならないとし、ユスリ監督はチーム経営陣に外国人DFの新たな獲得を依頼しているとメディアに公表しました。いわゆるトランスファーウインドウは2月20日に閉じるので、できるだけ早い対応を求めています。
 昨シーズン4位のパハンFA、同1位のJDT、そして明日第3節では昨シーズン2位のペラFAと、開幕から昨年の上位陣との対戦が続くのは辛いところですが、ダイジェスト版とは言え、第1節と第2節の失点シーンを見る限りでは、新戦力獲得など何か思い切った手を打たない限り状況は改善しそうにありません。
 2017年途中からKLFAを指揮し、プレミアリーグからスーパーリーグに昇格させたファビオ・マキエル氏が現在、MFLの2チームが自分に興味を持っているとしていますが、もしそれが本当であれば、彼が指揮するのはKLFAの可能性も大いにあります。

KLFAを指揮していた頃のファビオ氏

MFL第2節の結果まとめ

2月8日(金)に行われたマレーシアフットボールリーグMFL第2節の結果です。
1部スーパーリーグ(左側がホーム)
JDT(2勝0分0敗) 4-1 クアラルンプール(KL)FA(0勝0分2敗)
得点者:JDT-ゴンザロ・カブレラ(45分PK)、シャフィク・アーマド(52分)、ジアゴ(59分)アズリフ・ナスルルハク(89分)、KLFA-シルヴァノ・コーンヴァリウス(77分)
KLFAは2018年スーパーリーグでJDTに黒星をつけた唯一のチームですが、この試合はハームタイム直前にゴールエリア内でKLFAのDFザイフル・ハキムがJDTのFWサファウィ・ラシドを倒してPKを献上。これをゴンザロ・カブレラが決めてJDTが先制しました。JDTの2点目は、KLFA守備陣が左サイドを上ってきたラヴェル・コービン=オングにクロスを上げるための十分なスペースを与え、走り込んできたシャフィク・アーマドがそのクロスを完全にフリーの状態でシュートしゴール、3点目もコーナーキックに対してGKシャビニー・アラウイもボールへ行くのか、シュートに備えるのか曖昧な反応をし、DF二人がかりでマークしていたジアゴにゴールを決められてしまいました。
 この試合前に攻撃の要と期待されているFWギレルメ・デ・パウロが足の故障で少なくとも3試合は欠場の可能性があることが発表になり、FWシルヴァノ・コーンヴァリウス一人に頼り切りの状況を改善するため、苅部隆太郎を攻撃的MFとして起用する戦術も考えられているようです。JDTとの試合もシュート数が4本(ゴール枠内は2本)では勝てないですねぇ。

ペラTBG(0勝1分1敗) 1-1 クダFA(1勝1分0敗)
得点者:ペラTBG-ブレンダン・ガン(18分)、クダFA-レナン・アルヴェス(21分)
ゴールエリアの外からブレンダン・ガンが鮮やかなループシュートを決めてペラTBGが先制しましたが、その数分後、ゴール前へのフリーキックに反応したGKハフィズル・ハキムが自軍DFとぶつかってこぼれたボールをレナン・アルベスがゴールし、クダFAがすぐ同点に追いつきました。その後、両チームともチャンスが有りながら、得点できず引き分けとなりました。
 前半は非常に拮抗した試合だったのですが、後半65分に主審のハムダン・アワンが負傷のため(ネット観戦していましたが、退場後にアイシングなどしていたのでおそらく肉離れだと思います)退場したところで一騒動ありました。代わりの主審と交代して試合再開となるところでしたが、この代わりの主審アブドラ・ハリム・ラムランがペラ州の審判だったことから、クダFAのアイディル・シャリン・サハック監督が猛抗議し、ペラTBGの試合にペラ州の主審では試合続行はできないとして、試合の残り時間を別の日に行うことを提案しました。中継からはアイディル監督の「(アジアサッカー連盟)AFCの試合を100試合プレーしてきたが、こんなに準備ができていない状況を経験したことがない!」(アイディル監督はシンガポール人なのですが、シンガポール人はマレー系でも英語が第1言語なのか、と思いながら抗議を聞きました)というド正論の怒号がはっきり聞こえてきましたが、マッチコミッショナーが何の反論もできず、ただ現状を受け入れて試合を続行して欲しいという対応に終始する様子を見て、選手やスタッフにプロ意識を求めている一方で、事務方はまだまだアマチュアかぁ、という印象を持ちました。
 試合は予備審判のシャーリン・オマル主審に交代して再開しましたが、交代したオマル主審がゲームをコントロールできず、マレーシアのサッカーの悪い典型である明らかにボールへ行っていないタックルやチャージなどラフプレーが頻発しましたが、運営側の不手際で中断した試合では、選手ばかりを責めるのは酷なような気もしました。しかも中断時間を含めるとあと5分位は残っているのでは、という時間帯に試合が終了するなど、最後まで残念な試合でした。

PKNS FC (0勝1分1敗)0-1 マラッカ・ユナイテッド(2勝0分0敗)
得点者:マラッカ・ユナイテッド-サフィク・ラヒム(25分)

パハンFA(2勝0分0敗)3-0トレンガヌFC(0勝1分1敗)
得点者:パハンFA-ディクソン・ヌワカエメ(13分)、エロルド・グーロン(51分)、ノーシャルル・イドラン・タラハ(90分)

プタリン・ジャヤ(PJ)シティFC(0勝1分1敗)1-1スランゴールFA(0勝2分0敗)
得点者:PJシティFC-ペドロ・エンリケ(80分、PK)、スランゴールFA-ルフィノ・セゴヴィア(90分、PK)
この試合のGoal.comによる採点はこちらです。

フェルダ・ユナイテッド(0勝2分0敗)1-1PKNP FC(0勝1分1敗)
得点者:フェルダ・ユナイテッド-ハディン・アズマン(68分)、PKNP FC- トマス・アビー(36分)

2部プレミアリーグ
UITM FC(1勝0分1敗)0-3 プルリスFA(1勝0分1敗)
得点者:プルリスFA-カイリル・ムヒミーン2(33分、40分)、ケヴィン・オセイ(73 分)

ケランタンFA(0勝1分1敗)3-3 サバFA(0勝1分1敗)
得点者:ケランタンFA-フラヴィオ・ベック(6分、PK)、ロイルソン・バトゥイル(53分、OG)、ダニアル・ハキム(53分)サバFA-ルカ・ミルノヴィッチ(12分)、マクシウス・ムサ(78分、86分)

トレンガヌFC II(2勝0分0敗)1-0 スランゴール・ユナイテッド(1勝0分1敗)
得点者:トレンガヌFC II-アカニ・サンデイ(67分、PK)

サラワクFA(1勝0分1敗)2−0ペナンFA(0勝0分2敗)
得点者:サラワクFA−ボビー・ゴンザレス2(63分、84分)

PDRM FC(0勝1分1敗)1-1ヌグリ・スンビランFA(1勝1分0敗)
得点者:PDRM FC-リー・チャンホーン(45分、PK)、ヌグリ・スンビランFA-中武駿介(45分)
今シーズンMFLの日本人初得点!

JDT II(2勝0分0敗)2-1UKM FC(1勝0分1敗)
得点者:JDT II-モハマド・ガダル(19分)、S・クマルハン(55分)、UKM FC-K・ルーベン(45分)