5月13日のニュース:代表監督はW杯予選再開時の選手の体調を憂慮、FAMはW杯予選代表選手候補合宿の早期招集を検討、ケランタンFAは来季のMリーグでプレーできない可能性も

代表監督はW杯予選再開時の選手の体調を憂慮
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版は、マレーシア代表のタン・チェンホー監督は現在中断中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選が再開した際に、試合に臨む選手の体調が不十分ではないかと憂慮していると報じています。
 W杯予選は10月再開の予定で、マレーシアサッカー協会FAMと国内リーグMリーグを運営するマレーシアフットボールMFLは、8月からのチーム練習開始および9月1日からのリーグ再開許可をマレーシア政府に求めていますが、タン監督はチーム練習再開からW杯予選までの期間が短すぎるとして、選手の体調が心配だと話しています。
 「実戦から数ヶ月間遠ざかっている選手が1ヶ月の練習だけで試合に臨めば、ケガを追うリスクが大いにある。選手層がさほど厚いわけではない代表チームにとっては、どの選手をケガで欠いても戦力ダウンは否めず、予選グループ2位という好機を生かせない可能性がある。」「各自で練習しているとはいえ、屋内の狭いスペースでの練習では明らかに不十分な上、精神的にも試合に臨める状況になっているかどうかが不安である。」そして「(W杯予選で同組の)タイのクラブはすでに練習を開始しており、(やはり同組の)ベトナムは6月からリーグが再開する。これらの国の選手は、予選が再開すれば優位な立場に立つことになる。」とタン監督は話しています。

FAMはW杯予選代表選手候補合宿の早期招集を検討
 スポーツ専門サイトのアストロアリーナは、マレーシアサッカー協会FAMが9月初旬に代表候補合宿の招集を行う計画があると報じています。
 また3月21日に予定されながら、新型コロナウィルスの影響で中止となったバーレーンとのアウェイでの練習試合も、W杯予選の次戦となるアラブ首長国連邦UAE戦前の10月8日に実施される可能性もあることも合わせて報じています。
 FAMのハミディン・アミン会長は、W杯予選に出場する代表選手の体調を整えるために9月の招集も一つの選択肢と考えていると話しています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長も、チーム内の連携強化のために予選前に複数回の代表候補合宿を行う可能性に加え、FAMが国内リーグMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLとの間でリーグの試合日程が代表の招集日程と重ならないよう調整することで同意していることも明らかにしています。

ケランタンFAは来季のMリーグでプレーできない可能性も
 FIFAから、かつてケランタンFA在籍した外国籍選手への未払い給料を今月末までに支払うよう求められているケランタン州サッカー協会KAFAの話題は、このブログでも連日取り上げていますが、今度はマレーシアサッカー協会FAMが来季2021年シーズンのクラブライセンスを発給しない可能性に言及しています。
 KAFAが2018年シーズンから2019年シーズン途中まで在籍したブラジル出身のカッシオ・フランシスコ・デ・ジーサスへの未払い給料62万9620リンギ(およそ1560万円)を今月末までに支払うことができなければ、FAMのクラブライセンス交付に関する審査を行う第一審機関FIBによる審査により、来季のMリーグに出場するために必要なクラブライセンス審が発給されない可能性があると、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長が述べていると、マレー語子ハリアンメトロ電子版が報じています。
 FIBは来季開幕前に、Mリーグの全てのクラブの今季2020年シーズンの給与支払い状況を精査し、その結果をもとに来季のMリーグ出場のためのクラブライセンスを発給するとしています。
 カシオ選手は2019年末までの契約をKAFAと結んでいましたが、契約満了前に契約解除となりましたが、この契約解除に同意していなかったカシオ選手がFIFAに不服申し立てを行った結果、FIFAは未払い給料の支払いをKAFAに命じています。

5月12日のニュース:ペラFAは今後の給料削減を検討、ケランタン州FAへの寄付は2日間でおよそ10万4000円、「今でも代表でプレーする準備はできている」-サフィー・サリ

ペラFAは今後の給料削減を検討
 新型コロナウィルスの影響で中断中のMリーグでは多くのクラブが給料削減を行っています。そんな中、ペラTBGを運営するペラ州サッカー協会PAFAは、これまで給料削減を行っていなかったものの、今後は給料削減について選手やスタッフと交渉を始める可能性があると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 PAFAのモハマド・アズリン・ナズリ名誉事務局長は、ペラTBGの選手は契約通りの給料を支払われていると話す一方で、選手やスタッフにはまだ伝えていないとしながら、今後は給料削減交渉を行う準備を進めていると話しています。
 「クラブと選手およびスタッフの双方にとって納得がいくような交渉を行い、わずかでもPAFAの経済的負担が軽減されるようにしたい」とモハマド・アズリン名誉事務局長は話しています。
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 リーグが中断して間もなく2ヶ月になり、これまでこのブログでも多くのクラブが給料削減を行ったことを取り上げてきましたが、未だに給料削減を行っていないクラブがあったとは正直驚きです。給料削減だけでなく、給料未払い問題を複数のクラブが抱える中、開幕から負けなしの2勝2分、ジョホール・ダルル・タジムJDTに次ぐ2位でリーグ中断期間に入ったペラTBGは運営するPAFAの財務状況が安定していることがその好成績につながっているのかも知れません。

ケランタン州FAへの寄付は2日間でおよそ10万4000円
 ケランタン州サッカー協会KAFAは、かつて在籍した外国籍選手の未払い給料62万9620リンギ(およそ1560万円)を今月末までに支払わうことを国際サッカー連盟FIFAに命じられています。もし支払えなければ、KAFAが運営するMリーグ2部のケランタンFAがリーグ戦の勝点剥奪(はくだつ)などの処分を受ける可能性がありますが、この他にも100万リンギ(およそ2480万円)近い従業員積立基金の雇用主負担分の未払いなどもあるとされ、KAFAの台所は火の車であることから、サポーターに寄付を募る告知を行ったことは先日のブログでも取り上げました。
 そしてこの告知から2日間で4197リンギ(およそ10万4000円)が集まったと、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 KAFAのアーマド・ムザッキル・ハミド実行委員長によると、およそ2000名のサポーターが一人当たり1リンギ(およそ25円)から10リンギ(およそ248円)の寄付を行ったということです。
 「KAFAは全ての寄贈者に感謝したい。数千人のサポーターが寄付をしたという事実によって、ケランタンFAが多くのサポーターに支持されていることがわかる。寄付はクダFAなど他のクラブのサポーターからも受けており、このまま寄贈者の数が数十万人になるかも知れない。」と夢のようなことを語っています。
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 支払い期限とされる5月30日まであと20日足らずですが、かつてはKAFAの会長も務め、本来ならクアラルンプールFA会長になるべきアヌアル・ムサ現連邦直轄地大臣はKAFAの支援を公言しています。ケランタン州出身でKAFAのアドバイザーを務めるアヌアル大臣の他、ザレッドウォリアーズTRWとして知られるケランタンFAのケランタン州外のサポーターも支援を明言していますが、果たして期限までに支払いできるのかどうかに注目が集まります。

「今でも代表でプレーする準備はできている」-サフィー・サリ
 2010年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップでは決勝での3ゴールを含めた5ゴールを挙げ大会得点王としてマレーシアの優勝に貢献したサフィー・サリは、現在も代表でプレーしたい気持ちは決して衰えていないようです。
 Mリーグ1部のPJシティFCでプレーするサフィー選手は、現在中断中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選に出場する代表チームに招集されることがあれば、攻撃陣の強化に貢献できる自信があると、マレーシアの通信社ベルナマに話しています。
 .「これまで言い続けてきたように、現役選手としてプレーしている間は代表チームでプレーしたい、という気持ちは少しも衰えていない。招集される用意はいつでもできている。」、「これまでの経験と(自分のポジションが)代表では人材不足のストライカーであることから、きっと代表チームに貢献できる。」と語る36歳のサフィー選手が最後に代表に招集されたのは2017年のフィリピン代表との国際親善試合です。
 代表キャップ数79、代表通算ゴール23を誇るサフィ選手はスランゴールFA、インドネシア1部リーグのペリタ・ジャヤFC、JDT、PKNS FCを経て、昨季2019年シーズン途中からPJシティFCに加入しています。

5月11日のニュース:ケランタン州FAは未払い給料問題解決のためにサポーターからの寄付を募る、鈴木ブルーノ選手はTFC IIのプレミアリーグ優勝を信じる、Mリーグ4部のアマチュアクラブが元エスパニョール関係者をテクニカルアドバイザーとして契約

ケランタン州FAは未払い給料問題解決のためにサポーターからの寄付を募る
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版は、国際サッカー連盟FIFAにより今月5月30日までに未払い給料問題の解決を求められているケランタン州サッカー協会KAFAが、未払い給料を補うためにサポーターから寄付を募っているとと報じています。
 先日のこのブログでも取り上げましたが、KAFAは2018年から2019年にかけて在籍したブラジル出身のカッシオ・デ・ジーサスに対して62万9620リンギ(およそ1550万円)の未払い給料があり、今月末までに支払いを完了しなければ、リーグ戦の勝点剥奪や移籍期間トランスファーウィンドウでの新規選手獲得を禁じる裁定を受けることになっています。(KAFAは既に今年2020年の2回目と来年1回目のトランスファーウィンドウでの選手獲得を禁じられています。)
 そこでKAFAはサポーターに対して窮状を訴え、アーマド・ムザッキル・ハミド実行委員長名で寄付を募る告知をクラブの公式Facebookに掲載しています。
(以下はKAFA公式Facebookに掲載された告知。Kafa buka derma atas talian selamatkan bolasepak kelantan「Kafaはケランタンのサッカーを救うためのオンラインでの寄付を始める。」という見出しがついています。

 KAFAのムザッキル実行委員長は「Mリーグの中断と新型コロナウィルス拡大防止のための活動制限例MCOによって、収入を生み出し、負債を返済することが困難になっている。未払い給料問題を解消するためにKAFAはファンの支援が必要で、もし期限までに解消できなければ、KAFAはより厳しい状況に置かれることになる。」と述べています。
 なおケランタンFAがFIFAの制裁対象となるのは今回が初めてではなく、昨年はかつてKAFAのテクニカルダイレクターを務めたウルグアイ出身のアルフレッド・カルロス・ゴンザレスに対する未払い給料23万5686リンギ(およそ580万円)を期限までに支払わなかったことにより、FIFAの支持を受けたFAMがMリーグの勝点3の剥奪処分を下しています。
 なおKAFAはこの給料未払い問題以外にもマレーシアの年金制度にあたる従業員積立基金EPFの雇用主負担分100万リンギ(およそ2460万円)の未納なども明らかになっています。
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 かつて2012年にはリーグ戦、マレーシアカップ、FAカップと国内のタイトルを総なめしながら、そのわずか8年後には給料未払い問題解決にファンの寄付を募ることになったケランタンFAですが、2018年と2019年の給料未払いは、新型コロナウィルスとは全く無関係の放漫経営の結果なのは明らかで、個人的にはその穴埋めをサポーターに求めるのはいかがなものかと思いますが、KAFAのFacebookには次々と「寄付した!」というサポーターのコメントが増えています。
 ちなみにケランタン州はイスラム原理主義政党PASが州議会で与党を占めるイスラム色が非常に濃い州で、マレーシア航空のロゴにもなっているマレー凧(たこ)wauの凧上げやコマ回しgasingなどマレー文化や色濃く残す地域でもあります。また州都のコタバルは、太平洋戦争開戦の際、時差の都合で真珠湾攻撃よりも早く日本軍の侵攻が始まった戦場でもありました。

鈴木ブルーノ選手はTFC IIのプレミアリーグ優勝を信じる
 Mリーグ2部プレミアリーグで開幕から4連勝し首位でリーグ中断を迎えたトレンガヌFC II(TFC II)。このTFC IIで主将を務める鈴木ブルーノ選手はこのまま首位でリーグ優勝を成し遂げられると語っていると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは、9月からのリーグ再開を予定してMリーグ1部、2部とも1回戦総当たりという暫定日程を発表しています。
 鈴木選手は「新型コロナウィルスの影響により今期リーグ戦は残りは7試合だが、このチームは4連勝後も首位を維持するだけの力がある。(現在の首位という順位によって)チームは有利な立場におり、リーグ優勝を目指すには良い機会が与えられていると思っている。今季はチャレンジカップが中止されたので、TFC IIが優勝トロフィーを手にすることができるのはリーグ優勝だけである。」、「しかし(リーグが再開されれば)他のクラブも当然、優勝を狙って試合に挑んでくるので、大事なことは負けないことである。」と話し、リーグ中断期間中もピッチでは練習ができないものの、チームメイトがコンディションを維持していることを期待しているとも話しています。
 Mリーグ1部のトレンガヌFC(TFC)のBチームでロシャディ・ワハブ監督とサピアン・ワヒドコーチが率いるTFC IIは、リーグ中断前までの好調さを、リーグ再開が予定されている9月1日まで維持できれば、TFC IIがプレミアリーグで優勝するのは決して不可能ではないでしょう。
 最後に中止になったチャレンジカップについて鈴木選手は「2018年以来の優勝を目指していたチャレンジカップが中止になったのは残念だ」と話しています。
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 記事に出てくるチャレンジカップとは2018年に創設された国内のカップ戦です。リーグ戦終了後に行われるマレーシアカップへの出場資格がないMリーグ1部12位のクラブと2部6位以下のクラブが対象です。ただし、鈴木選手が所属するTFC IIのようにMリーグ1部所属クラブのBチームはマレーシアカップへの出場資格がないため、リーグ戦の順位にかかわらずチャレンジカップに出場します。
 ちなみにMリーグ中断期間中、マレーシアのテレビでは過去のリーグ戦やカップ戦の再放送を行なっていますが、その中でこの鈴木選手がTFC IIのAチーム、Mリーグ1部のトレンガヌFCに期限付き移籍(という呼び方が正しいのかどうかはわかりませんが)していた2018年の試合が放映されていました。攻撃ではTFCの主将リー・タック選手との息もあっていたので、またこの2人のコンビが見てみたいと思った次第です。

Mリーグ4部のアマチュアクラブが元エスパニョール関係者をテクニカルアドバイザーとして契約
 以前このブログでもその健全な財務状況をFacebookで公開したことを取り上げたMリーグ4部M4リーグのアマチュアクラブ、クルテーFCが、スペイン人のテクニカル・アドバイザーと契約したことをクラブの公式ソーシャルメディアで発表しています。
 クルテーFCと契約したのはスペインリーグのRCDエスパニョールでかつて国際部門のマネージャーを務めていたオスカル・リエラ氏です。
 現在はスペインリーグの2部や4部の複数のクラブと共同で、外国籍選手がヨーロッパ市場向けに才能を披露する場を作るための環境づくりを行なっているリエラ氏は、マレーシアへ来るのは今年2020年の年末になるようですが、それまではバルセロナの自宅から「リモートワーク」でクルテーFCのテクニカル・ダイレクターを務めるチェ・ク・マルズキ氏とともに、クルテーFCからヨーロッパでのプロサッカー選手を目指すための育成プログラムの作成に関わるということです。
 クルテーFCのサイド・カイリ・アミエルCEOは、長年の経験と実践的な考え方を持つリエラ氏はクルテーFCのテクニカル・アドバイザーには最適の経歴を持つ人物で、リエラ氏のテクニカルアドバイザー任命は、クルテーFCが目指している地元出身の選手の育成および強化にとって重要な役割を果たすと考えていると話しています。
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 上記のケランタンFAのように、有力外国人選手を大金で雇い入れて、短期間で結果を出す方法もあれば、このクルテーFCのように長期的な視野に立って投資する方法もあるでしょう。小規模なMリーグクラブの中にはこのクルテーFCの運営方針を真似てみるべきクラブもありそうです。
(写真はクルテーFCの公式Facebookより)

5月10日のニュース:ザフアン・アゼマンはタイ3部リーグのクラブと契約解除、クアラルンプールFAはリーグ再開を待たずに解散も、クチンFAは今月からFAMの給料削減指針を採用

ザフアン・アゼマンはタイ3部リーグのクラブと契約解除
 タイ3部リーグでプレーするマレーシア人選手のアザフ・ザフアン・アゼマンが自らのインスタグラム上で契約解除となったことを発表しています。
 昨年2019年8月からタイ3部リーグのアーントーンFCに所属していたザフアン選手は、新型コロナウィルスの影響によりクラブとアゼマン選手が契約解除に合意したとしています。
 インスタグラムのコメントではクラブの会長、スタッフ、コーチ、チームメートそしてクラブ関係者全員に向けて、加入以来、世話になったことへの感謝の意を表し、またこのクラブにいつか戻って来たいと話しています。
 またアゼマン選手はヴォケットFCに対しては、タイに来たことは自分にとって大いに役に立ったこと、タイ3部とMリーグは違いがあるものの似ている点もたくさんあると話し、試合会場のピッチの状況はタイ3部の方がはるかに上で、質の高いプレーヤーもたくさんいるとも話しています。
 なおタイ1部には代表選手のノーシャルル・イドラン・タラハ(BGパトゥム・ユナイテッド)、ドミニク・タン(ポリス・テロ)が在籍しています。
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 タイリーグに関するツイートを見ると、3部だけでなく1部でも外国籍選手が次々に契約解除になっているようで、外国籍選手は全員が契約解除になるのではという噂もある様です。9月まで試合がないタイリーグは今後も契約解除が続きそうで、そうなればノーシャルル選手やタン選手にもその影響が及ぶ可能性もあります。

クアラルンプールFAはリーグ再開を待たずに解散も
 マレー語氏ハリアンメトロ電子版では、Mリーグ2部のクアラルンプールFAが経営困難に直面しており、予定されている9月のリーグ再開までクラブが存続できない可能性があると伝えています。
 クアラルンプールFAを運営するクアラルンプールサッカー協会KLFAのノクマン・ムスタファ事務局長によると。今期2020年シーズン開幕前には来季の1部復帰へ向けて相応の費用をかけてチームを強化したものの、一部のスポンサーや広告主からのスポンサー料や広告費が支払われておらず、選手およびスタッフへの給料支払いに支障が出ているとしており、「今後もこの状況が続けば、Mリーグの再開が予定されている9月までの3ヶ月間、クラブを存続させていくことが難しくなるだろう。」と話しています。
 クアラルンプールFAの苦境は、新型コロナウィルスによるリーグ中断に加えて、KLFA内での人事も影響しています。KLFAはクアラルンプールを統治する連邦直轄地大臣でもあったカリド・サマド前会長が昨年11月に就任後、2部に降格したクラブを1年で1部へ戻すための手厚い支援を約束していましたが、今年3月の政変でカリド氏は連邦直轄地大臣を解任され、連邦直轄地大臣が会長を務めるKLFAの会長職も辞任、その結果、クアラルンプールFAの運営方針も変更されています。
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 ここでもやはり公的機関や政府機関へ依存するMリーグクラブの問題点が露呈しています。マレーシアの連邦直轄地であるクアラルンプールは連邦政府の管轄で、KLFAの運営には他の州FA同様、公的資金が使われています。連邦直轄地大臣だったカリド氏の国民信用党はマハティール前首相率いる希望同盟の構成党でしたが、3月に発生した政変により希望同盟は政権を失い、野党となった国民信用党のカリド氏は大臣職を解任されてしまいました。カリド氏はKLFAの会長も辞任、KLFAはシーズン途中のトップ交代で方針転換を迫られた上、新型コロナウィルス対策で連邦政府からの支援方針も変更になり、経営困難に陥った、という図式です。

クチンFAは今月からFAMの給料削減指針を採用
 東マレーシア(ボルネオ島)のサッカー専門サイトのサラワク・クロックスは、Mリーグ2部のクチンFAが今月5月からの選手およびスタッフに対する給料削減について、先日、マレーシアサッカー協会FAMが発表した指針に沿って行うと報じています。
 クチンFAのファズルディン・アブドル・ラーマン会長によると、クラブはFAMが示す指針に従うことには依存はなく、この指針に沿ってマレーシア人選手、外国籍選手およびスタッフに対して給料削減を行うとしています。
 ファズルディン会長は「新型コロナウィルスによって影響を受けた他の産業と同様に、Mリーグの各クラブも困難ではあるがFAMの指針に沿った給料削減を行う必要がある」と話しています。
 FAMは自らが示した指針について、既に給料削減についての選手およびスタッフとの合意が得られているクラブには適用できないとしていることから、クチンFAが既に行った給料削減について選手との合意に達していたのは4月分までということがわかります。
 なおクチンFAには鈴木雄太選手と谷川由来選手が在籍しています。

5月9日のニュース:タイのクラブがジオゴ獲得を画策か、その一方でJDTはタイの選手獲得を画策か、そこでMリーグにお勧めのタイ代表5選手

リーグ中断が2ヶ月近く続き、給料未払い問題以外はMリーグ関連のネタが少なくなってきたので、今回は「噂」をもとにした記事3本です…。

タイのクラブがジオゴ獲得を画策?
 サッカー専門サイトのヴォケットFCによると、タイのバンコクをホームとするクラブが、Mリーグ1部ジョホール・ダルル・タジムJDTのエース、ジオゴ・ルイス・サントスの獲得を狙っているという「噂」がある様です。
 タイのサッカー関連のツイッターAll Things Thai Footballが以下の様な内容をツイートしているということです。
・バンコクをホームにするタイリーグの「トップクラブ」が、JDTのジオゴ・ルイス・サントス獲得についての問い合わせをJDTに対して行った。
・そのJDTはタイ代表でプレーする選手の獲得を目論んでいる。
この噂を取り上げたAll Things Thai Footballは、JDTとこのトップクラブとの間の交換トレードの可能性についても言及しているということです。
 この噂をもとにヴォケットFCが調べたところ、バンコクにホームを持つクラブは1部リーグ所属でマレーシア代表のドミニク・タンが在籍するポリス・テロFC、ポートFC、そして3部のバンコクFCがあり、この内、ポートFCは昨季2019年シーズンのタイFAカップのチャンピオンです。
 また経営的にはタイで最大のレムチャバン港とバンコク港を運営するタイ港湾公社もオーナーの一つであることから、ポートFCが上記の3クラブの中では最も可能性が高いクラブであるとヴォケットFCの記事は結んでいます。
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 JDT加入までの2015年から2018年まではタイ1部のブリーラム・ユナイテッドでプレーし、105試合出場したリーグ戦で、101ゴールを挙げるなど、驚異的な記録を残しているジオゴ選手は、2015年にはブリーラム・ユナイテッドのの国内5冠に貢献するなど

その一方でJDTはタイの選手獲得を画策?
 同じTwitter投稿をもとに、フットボール・トライブのマレーシア版はJDTのタイ代表選手獲得の噂を取り上げています。
 現在、中段中のMリーグはリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLが9月再開を計画しているものの、マレーシア政府による認可を待っている状態です。そんな中でMリーグのクラブが選手の獲得に動くのかどうかはわかりませんが、フットボール・トライブは、JDTの外国籍選手全員が30歳を超えている事実を挙げて、その可能性を探っています。
 「ジオゴ選手は33歳でJDTで最年長の外国籍選手であり、主将のハリス・ハルンは今年30歳になる。しかし、選手の年齢は、選手がピークのパフォーマンスを維持できていれば問題にならない。現JDTのチームマネージャーを務めるルシアーノ・フィゲロアは35歳までJDTでプレーし、37歳で一度現役に復帰している。この事実からわかることは、JDTの外国籍選手はあと数年はプレーしても不思議ではない。」と、結局は噂扱いかと思いきや、「しかし、JDTがAFCチャンピオンズリーグでより上のレベルを目指すのであれば、選手を入れ替える可能性は否定できない。」とも述べています。

Mリーグにお勧めのタイ代表5選手
 JDTがタイ代表獲得、というのはあくまでも噂なのですが、少々気の早いヴォケットFCは、Mリーグでプレーすればリーグの質を高めてくれるだろうタイ代表選手5名を紹介しています。なお各選手の評価はヴォケットFCの評価をそのまま使っています。
1)FWスパチャイ・ジャディード (ブリーラム・ユナイテッド)
22歳のスパチャイ選手は、ウィングとしてもストライカーとしてもプレーできる現在、売り出し中の若手のエースです。
2)MFティティパン・プアンチャン(BGパトゥム・ユナイテッド)
昨季2019年シーズンはJリーグの大分でプレーしたティティパン選手は、その経験でクラブのプレーの質を高めてくれる選手です。
3)攻撃的MFエカニット・パンヤ(チェンライ・ユナイテッド)
昨季のタイ1部リーグのチャンピオン、チェンライ・ユナイテッドの主力として優勝に貢献したエカニット選手は、弱冠20歳ながらフル代表でもプレーしています。
4)DFアディソン・プロムラク(ムアントン・ユナイテッドFC)
タイでプレーするDFの中でもトップクラスのアディソン選手は、クラブでは2016年のタイリーグ優勝、代表では2012年と2014年のAFF選手権スズキカップ優勝など多くのタイトルを獲得しています。
5)エリアス・ドラ(ポートFC)
ポートFCの主力の1人で、西野朗氏のタイ代表監督就任とともに代表へ招集されるようになった優れたDFです。
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 2つ目の記事を参考にすると、ポートFCがジオゴ選手と交換で選手を放出するとなれば、当てはまるのはドラ選手となります。代表選手としての経験は少ないものの、年齢が27歳、しかも198cmのセンターバックはJDTの現職マウリシオよりも年齢で4歳、身長で13cm高く、ACLでは守備力が課題のJDTの補強ポイントとも合致します。

5月8日のニュース:ケランタンFAにリーグ除名の危機、PJシティFCは未払い給料問題なし、クダFAのサポーターグループが州FAに給料未払い問題の早期解決を要望

ケランタンFAにリーグ除名の危機
 マレー語紙ハリアンメトロ電子版は、国際サッカー連盟FIFAはMリーグ2部プレミアリーグのケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAに対し、2018年シーズンに同クラブに加入し2019年シーズン途中に移籍した外国籍選手のDFカッシオ・フランシスコ・デ・ジーザス(現在はインドネシア1部リーグのバリトプテラに在籍)に対する未払い給料14万5944米ドル60セント(およそ1550万円)を30日以内に支払うことを命じたと報じています。
 4月23日付で発表されたこの決定により、もし期限内にKAFAが支払いを行われなければ、FIFAの懲罰委員会からの処分を受け、KAFAはマレーシア国内であらゆるレベルでのサッカー活動への参加が禁じられることになります。
 新型コロナウィルス感染拡大によりリーグが中断していることよって入場料収入が途絶え、マレーシア人選手への未払い給料も数千米ドルあると言われているKAFAにとっては、最悪の場合、リーグ再開を待たずにMリーグから除名となる可能性もあります。
 またFIFAは今年2回目と来年1回目の2回のトランスファーウィンドウ移籍期間中にケランタンFAが新たな選手を獲得することを禁じています。この措置はマレーシア人選手と外国籍選手の両方に適用され、現在、所属する選手との契約を解除しながら、新たな選手を獲得して同様の「違反」行為が行われることをFIFAが未然に防ぐための措置だとハリアンメトロは説明しています。
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 KAFAについては、昨日ちょうどこのブログでも、Mリーグが9月に再開となった場合には協会やクラブを支えるスポンサーの功績に報いるために、試合を中継することを望んでいるという記事を取り上げましたが、そうしないとスポンサーや広告主は約束していたスポンサー代や広告費を支払わない可能性もあることからの提言だったのだろうと思います。
 昨年2019年にはプルリス州サッカー協会PFAがやはり外国籍選手への給料未払いにより、FIFAから未払い給料を支払うまで、あらゆるサッカー活動の禁止を命じられ、その結果、PFAが運営していたプルリスFAは昨季途中でMリーグ2部プレミアリーグから除名されています。

PJシティFCは未払い給料問題なし
 上記のケランタンFAの様にMリーグの各クラブが経営に苦しむ中、PJシティFCには未払い給料問題がないと、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 PJシティFCのチームマネージャーであるK・ラジェンドラン氏によると、選手およびスタッフはこれまでの給料を遅延なく支払われていると話す一方で、選手およびスタッフに対する給料削減の内容については詳細を明かしていないということです。
 「削減額はクラブが選手およびスタッフとの間で合意されたものであり、強制したものではない。選手は新型コロナウィルスによってもたらされた現状を十分理解しており、今回の給料削減は、クラブと選手が妥協したものである。今後はマレーシアサッカー協会FAMによる給料削減に関する指針を考慮する。」「選手およびスタッフの給料削減を行うことで、最も重要な『遅配なく給料が支払われている』を強調したい。」と述べています。
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 PJシティFCは、州政府や政府機関から資金援助を受けていないMリーグのクラブのうちの一つで、Mリーグ1部と2部をあわせても、この他にはMリーグ1部のジョホール・ダルル・タジムJDTとMリーグ2部のサラワク・ユナイテッドしかありません。州政府や政府機関が新型コロナウィルス対策で予想外の支出を強いられ、そのしわ寄せが各クラブの運営費用に影響を及ぼし、給料の遅配や未払いにつながっている中、「民営化」されているクラブにも影響がないわけではないでしょうが、選手およびスタッフが不安になる様な事態にはなっていない様です。

クダFAのサポーターグループが州FAに給料未払い問題の早期解決を要望
 クダFAのサポーターグループの代表が、クダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAに対して、2ヶ月分の給料未払い問題の早期解決を求めていると、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 クダFAのサポーターグループ25団体を束ねる「赤鷲連合(クダFAのニックネームはHelang Merah赤鷲です)」を代表するモハマド・サファリザル・モハマド・ソブリ氏は、2月と3月の給料を支払っていないとされるKFAが選手およびスタッフの福利に責任を負わない姿勢に失望していると話しています。
 「KFAのアスミルル・アヌアル・アリス名誉事務局長は、未払い給料問題に直ちに対応するとメディアに発表しておきながら、状況は改善どころかさらに悪化している。クダFAサポーターグループは、この事態がこれ以上悪化しないためにも直ちに未払い給料を支払い、クラブのイメージをこれ以上悪くしないでもらいたい。」
 「もし、スポンサーからの支援や広告収入が滞っているのであれば。スポンサーとお交渉を続けつつも、直ちに状況を選手およびスタッフに説明し、理解を求める努力をすべきである。」とサファリザル氏は述べています。
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 別のメディアでは、クダFAの選手およびスタッフには2月分の給料は30%のみが支払われ、3月分については全くの未払いと報じられています。
 またこの状況については、マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長も、クダ州サッカー協会KFAが選手およびスタッフの給料削減をFAMが作成した指針に基づいて行うことを望むのであれば、まずは遅配となっている2月と3月の未払い給料を支払うか、選手との間で遅配分を分割で支払うことの合意を得るかが必要であると述べています。

5月7日のニュース:リーグを短縮日程としてでもマレーシアカップを開催する理由、帰化選手のクラスニキが代表戦出場可能に、ケランタン州協会は2部リーグの放映拡大を要望

リーグを短縮日程としてでもマレーシアカップを開催する理由
 マレーシアの国内リーグMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは、現在中断中のMリーグ再開に向けて、マレーシア政府が9月再開を許可した際の日程を発表しています。それぞれ全12クラブで争うMリーグ1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグとも今季2020年シーズンは1回戦総当たりの11試合(中断前に4試合は実施済み)とし、日本で言えば天皇杯にあたるFAカップは中止を決めています。
 その一方で、試合形式は変更になったものの、中止とはならなかったのがマレーシアカップです。このマレーシアカップはMリーグ終了後に行われ、スーパーリーグの上位11クラブとプレミアリーグの上位5クラブ(ただしスーパーリーグ所属クラブのBチームは出場権なし)の合計16クラブで争われるカップ戦です。
 マレー語紙ブリタハリアン電子版は、なぜ、FAカップが中止となりながら、マレーシアカップは実施となったかを解説する記事を掲載しています。
 MFLがマレーシアカップの開催にこだわったは、このカップ戦が持つ歴史と名声が大きな要因である、と話すのはMFLのアブ・ガニ・ハサンCEOです。「前身のマラヤカップから数えると今年がちょうど100周年となるマレーシアカップは、国内サッカーの重要なブランドであり、多くのサポーターが郷愁を感じるカップ戦であることから、(リーグが9月再開となった場合の)限られた時間の中で、FAカップや(マレーシアカップに出られないクラブが出場する)チャレンジカップを犠牲にしてでも開催するという結論に至った。」
 また、アブドル・ガニCEOは、マレーシアカップの優勝クラブが、マレーシア代表としてアジアサッカー連盟AFCカップに出場するとしたMFLの発表は間違いではないとしています。MFLはFAカップとマレーシアカップの優勝クラブのどちらか一方をマレーシア代表して選ぶことができるとした上で、FAカップが中止となった今、マレーシアカップの優勝クラブがAFCカップに出場できると話しています。
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 英国の植民地であった当時の英領マラヤで、英国海軍の戦艦HMSマラヤより寄贈されたカップ「マラヤカップ」を争奪する大会として1921年に第1回大会が開かれたマラヤカップは、1967年カラはマレーシアカップと名称を変え、現在に至ります。日本の天皇杯(天皇杯JFA全日本サッカー選手権大会)も同じ1921年に第1回を開催しており、両大会はアジア最古の大会とされています。
 ところが両大会は性格が大きく異なり、マレーシアカップが16のプロクラブだけが出場する大会、日本で言えばJリーグカップのような大会なのに対して、天皇杯はアマチュアクラブも地方予選から参加する大会だということ。ちなみにマレーシアでアマチュアとプロが参加する全国大会はFAカップですが、こちらは第1回大会が1990年で、1994年から始まったJ歴史や伝統を持ち出されるとマレーシアカップには太刀打ちできません。
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 ところで、マレーシアカップ優勝クラブがAFCカップに出場するというアブ・ガニCEOの発言を読んで、少々気になる点があります。というのはAFCカップの出場権が「全国レベルの国内カップ戦優勝クラブ」に与えられるという点です。これまで、Mリーグ1部スーパーリーグの優勝クラブは国内1位のクラブとしてACLチャンピオンズリーグACLの本戦へ、FAカップ優勝クラブは国内2位のクラブとしてACL予選に出場してきました。16のプロクラブだけの大会であるマレーシアカップが果たして「全国レベルの国内カップ戦」とAFCに認められるのかどうかは定かではありません。

帰化選手のクラスニキが代表戦出場可能に
 今季からジョホール・ダルル・タジムJDTでプレーするリリドン・クラスニキは国際サッカー連盟FIFAが規定する「18歳に達した後から5年以上その国で継続居住歴を持つ」という帰化条件を満たしたことから、今年2月にマレーシアの国籍を取得し、JDTではマレーシア人選手として登録されています。
 マレーシア国内ではマレーシア人選手としてのプレーが可能となったものの、代表でのプレーについては、FIFAによる承認が必要でしたが、ブリタハリアン電子版では、マレーシアサッカー協会FAMのもとにFIFAより承認を伝える連絡が入ったということです。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長によれば、FIFAは帰化規定中の「5年」を厳密に計算したところ3月25日がちょうど5年目に当たる日だったとし、この日をもって5年経過となり、クラスニキ選手はFIFAから正式にマレーシア人選手として承認されたとしています。
 ラマリンガム事務局長は、もう1人の帰化選手であるギリェルメ・デ・パウラ(ペラTBG)については、FIFAからは何の連絡も受け取っていないと話しています。
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 このクラスニキ選手が代表でのプレーを承認された3月25日は、FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFCアジアカップ2023年大会予選のアラブ首長国UAE戦が予定されていた3月26日の前日で、クラスニキ選手が実際にUAE戦に出場できるのかどうかは定かではありませんでした。しかし、幸か不幸かこのUAE戦が新型コロナウィルスの影響で延期となったことで、クラスニキ選手は予選再開後は問題なく出場する資格を得ることができました。

ケランタン州協会は2部リーグの放映拡大を要望
 渡邉将基選手が所属するケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAは、予定されているMリーグの9月再開が実現した際には、所属するMリーグ2部プレミアリーグの放映を拡大するように求めていると、ブリタハリアン電子版が報じています。
 KAFAのスポンサー委員会のアーマド・ムザッキル・ハミド委員長は、リーグ再開となっても無観客試合が予定されていることから、クラブを支援するスポンサーの功績を称える行動が必要であると述べています。
 「(MFLの規定により)KAFA自身がライブストリーム配信やソーシャルメディアで中継を配信をすることができないため、2部プレミアリーグの放映権を持つメディアに対して試合の放映を要請したい。観客を入れずにリーグが再開した場合、(KAFAが運営する)ケランタンFAの試合を放送することでスポンサーの功績を認める必要がある」とアーマド・ムザッキル委員長は話しています。

5月3日のニュース:MFLのリーグ再開案に対する各クラブの反応

 マレーシア政府の指示によって9月再開あるいは今季中止のいずれかの可能性まで絞られたマレーシアの国内リーグMリーグ。それぞれ12クラブで構成されるMリーグ1部スーパーリーグと2部プレミアリーグは従来はホームアンドアウェイで22試合を戦う予定でしたが、Mリーグを運営するMFLは9月再開となった場合は各クラブと1度ずつのみの対戦となる全11試合(リーグ中断前に実施済みの4試合を含む)という日程へと変更することを発表しています。
 この新たな日程について、いくつかのチームの反応が当地のメディアに取り上げられています。

スランゴールFC監督は再開予定発表を歓迎も不安要素にも言及
 スランゴールFCのサティアナアン・バスカラン監督は9月に再開を予定するMFLの案を歓迎しながらも、現時点では不透明な要素が多いと語っていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 「リーグ再開前に練習試合を行うことが許可されるのか、また、再開前の練習の際のソーシャルディスタンスをどうするのかなど、MFLは指針を示す必要がある。」と話すサティアナタン監督は、リーグが11試合で開催される予定となったことはスランゴールFCにとっては不利になったとも話しています。
 「AFCチャンピオンズリーグやAFCカップへの出場権を獲得するためには、現在の5位から最低でも2位にならなければならず、残り試合が7試合しかない状況はクラブにとって大変厳しい」と語っています。
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 リーグ中断前の4試合で1勝2分1敗だったスランゴールFCは、フェルダ・ユナイテッド、サバFAとともに勝点5となっていますが、得失差によりサバFAが4位隣、スランゴールFCは得失差も同じフェルダ・ユナイテッドと5位を分け合う状況になっています。

最下位PDRM FC監督は早くも2部降格を心配
 マレー語紙ブリタハリアン電子版では、Mリーグ1部のPDRM FCが早くも今季終了後の2部降格について心配している、と報じています。
 リーグ中断前の4試合を0勝1分3敗として最下位に位置するPDRM FCのモハマド・イシャク・クンジュ・モハマド監督は、リーグ再開の意思を示したことは、選手およびスタッフの生活が守られると話す一方で、従来通り1部から2クラブが降格、2部から2クラブが昇格というルールが短縮される予定の今季リーグでも適用されるのかどうかに最も関心があると話しています。
 PDRM FCは、未払い給料問題が期限までに解決できなかったことを理由に、今季開幕前に勝点3の剥奪(はくだつ)処分を受けており、現在の勝点は-2となっています。
 「最終的には(Mリーグを運営する)MFLが決定することではあるが、通算で11試合となる今季のリーグ戦に限っては降格と昇格を行わないという方法もあると思う。」と話しています。
 またモハマド・イシャク監督は、サッカーという産業に関わる全ての人間にとって、MFLとマレーシアサッカー協会FAMがリーグ再開方針を示したことは、全員の福利を守るという点で評価できるとも話しています。

ヌグリスンビランFAは来季昇格に向けて全勝を目指す
 2部プレミアリーグに所属するヌグリスンビランFAは、中断前の4試合を1勝0分3敗としていますが、今季のMリーグが1回戦総当たりとなったことについて、サザリ・サイドン監督は、残り試合を全勝するつもりで臨む必要があるとマレー語紙ブリタハリアン電子版に語っています。
 「開幕から4試合の結果が思わしくなかったことにより、チームにはプレッシャーがかかっているが、これまで以上に努力する必要がある。来季、スーパーリーグへ昇格するためには全試合に勝利する必要がある。さもなければ、来季もプレミアリーグに残ることになる。それは(プレミアリーグの上位5クラブに出場権が与えられる)
今季のマレーシアカップ出場についても同様である。」
 「予定されている9月のリーグ再開の前に予定されているチームとしての練習期間は2週間とされているが、その短期間に選手、監督、コーチはチームを準備するのは容易ではなく、しかも再開後の日程はおよそ1ヶ月で7試合をこなすハードスケジュールとなっているため、ヌグリスンビランFAにとっては難題となるだろう」と話しています。
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 MFLは9月1日再開、9月27日リーグ終了、4週間で8節を行う予定を立てています。またリーグ戦で5位以内に入れなければ、マレーシアカップの出場権なく、例年ならマレーシアカップに出場資格がないクラブを対象としたチャレンジカップという大会がありますが、MFLは今季のチャレンジカップの中止を発表しています。

UKM FCはホームゲーム数の公平な分配を求める
 2部プレミアリーグに所属するUKM FCは、9月再開となった場合、第2節が雷雨で中止となっているため、残りは8試合となりますが、その際にはホームとアウェイの試合数配分を公平にすることをMFLに要望していると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 UKM FCのモハマド・ファイラス・シャフィ名誉事務局長は、まだMFLからは何も通達がないとした上で、ホームのチームは試合では有利であるとして、各クラブのホームとアウェイの試合数を不公平がないように分配することを求めています。
 UKM FCは中断前の3試合を1勝1分1敗としています。

4月29日のニュース:FAMはMリーグ再開が8月中に実現しなければ今季中止の方針、2022年までにMリーグ全クラブを民営化、マラッカUは2月分の遅配給料を支払い開始

FAMはリーグ再開が8月中に実現しなければ今季中止の方針
 マレーシアサッカー協会FAMが現在中断中のMリーグが8月中に再開できない場合には、今季の残り試合を中止することを検討していると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 FAMのモハマド・ユソフ・マハディ副会長は、3月18日より中断している国内リーグMリーグについて、10月あるいは11月に再開となった場合には年内に全日程を終了することは不可能だとし、8月中にマレーシア政府よりリーグ戦再開が実現しない場合には全日程を中止せざるを得ないだろうと話しています。
 リーグ再開についてはマレーシア政府による許可を待つしかないと話すユソフ副会長のコメントは、昨日4月28日の定例記者会見でのイスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相がMリーグ再開についてのコメントに反応したものです。サブリ上級相は活動制限令が解除となった後でも直ちにMリーグの再開許可は出ないだろうとして、例えば6月中に解除となった場合は、10月からの再開になるだろうとコメントしていました。

Mリーグクラブの民営化
 マレーシアの国内リーグMリーグの大半のクラブは、マレーシア各州サッカー協会(州FA)によって運営されています。このブログでもクラブ名が○○FAとなっているクラブは、その○○州FAがそのクラブを運営していることを表しています。
 国内リーグは元は各州対抗の試合だったという歴史的背景もありますが、州FAがMリーグクラブを運営する最大の利点は、州政府から運営資金が提供されることです。ただし政治家が金だけ出して、口を出さないわけはないので、州FAの会長はサッカーについては全く素人で、他にやるべき仕事を大量に抱える各州の州知事が務めています。
 そういったクラブが大口スポンサーとして州政府を抱えながら給料未払い問題を起こす構造は定かではないですが、1989年のセミプロリーグ化、そして1994年の完全プロリーグ化以降も長年、この運営形態が維持されてきました。
 しかし、新型コロナウィルスの影響によってこれまでの「日常」が大きく変わっている現在、州FAが運営するクラブを民営化する時期に来ているのではないか、という記事をマレー語紙ハリアンメトロ電子版が掲載しています。
 新型コロナウィルス感染拡大の影響で、マレーシア各州政府はその対策に新たな州予算を設けて対応していますが、新たな支出を強いられた州政府が当初予定していた多くの予算をこの新型コロナウィルス対策へと回していることから、スポンサー料として州FAへ回る予定だった予算もそちらへ振り分けられ、その結果とし、Mリーグの多くのクラブが運営資金不足から選手、スタッフの給料削減をせざるを得ない状況になっています。
 マレーシアサッカー協会FAMのクラブライセンスプロジェクトチームのモハマド・フィルダウス・モハメド委員長によると、現在のMリーグ1部スーパーリーグと2部プレミアリーグに所属する24クラブ中、ジョホール・ダルル・タジムJDT、PJシティFC(以上スーパーリーグ)、サラワク・ユナイテッド(プレミアリーグ)の3クラブが完全に民営化されたクラブということです。言い換えれば、これらのクラブは選手、スタッフへの給料支払いが州政府の財政状況に左右されずに運営されるクラブであるということです。(筆者注:州FAが運営するクラブ以外でも、フェルダ・ユナイテッドはマレーシア政府の機関である連邦土地開発庁が、UKM FCとUITM FCはそれぞれ国立大学が、PDRM FCはマレーシア警察が運営するクラブで、州政府同様、公的機関が運営するクラブです。)
 フィルダウス委員長は「新型コロナウィルス感染拡大後に表面化したクダFAの給料未払い問題から明らかなように、州政府が優先するのは州民の福利であり、州FAのクラブへの対応はその後になる」、「もしクラブのオーナーがサッカーを愛し、十分な資金を持つ企業や個人であれば、対応方法は異なるだろう」と話し、Mリーグのクラブを運営する各州FAはクラブのオーナーとなる企業や個人を見つけて民営化を進めるべきであると述べています。また「クラブのオーナーは1人や2人である必要はなく、最大8人で構成する運営委員会によるクラブ所有も可能である」とも話しています。
 FAMのクラブライセンスプロジェクトチームは、2021年シーズン開幕までにMリーグの全てのクラブが州FAから独立した民営化クラブとなることを支援する目的で昨年2019年5月に設立され、各州FAのクラブは今年9月を期限としてクラブ名からFAを外しFCして登録することになっていました。なお、フィルダウス委員長は新型コロナウィルスの影響から、この期限を延長する予定であることを明言し、各クラブの完全民営化は2022年までに完了したいとしています。
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 このブログでもスランゴールFC、トレンガヌFC、マラッカ・ユナイテッド、ペラTBGなどFAがつかないクラブ名を使ってきましたが、実情はこれらのクラブも州政府からの予算で運営されているクラブであり、名称にFAがついたクラブと何ら変わりはないということです。

マラッカUは2月分の遅配給料を支払い開始
 マレー語紙ブリタハリアン電子版によると、Mリーグ1部のマラッカ・ユナイテッドは遅配となっていた2月分の給料を昨日4月28日より支払い始めたようです。
 マラッカ州サッカー協会MUSAのモハマド・ユソフ・マハディ副会長(筆者注:最初の記事に出てくるFAM副会長と同一人物です。念のため)は、60万リンギ(およそ1470万円)を超える未払い給料をマレーシア人選手と外国籍選手に支払ったということです。
 3月末に起こったマレーシア国会での政変でマラッカ州知事も、それまでの国会与党出身者から政変後に与党となった政党出身者へと交代した結果(筆者注:マレーシアでは州知事を選ぶ地方選挙はなく、州議員による選挙で選ばれます)、2月分の給料遅配問題が解決したと話すMUSAのユソフ副会長は、こちらも遅配となっている3月分の給料についても近いうちに支払いが始まると話しています。

4月28日のニュース:Mリーグの今後について各監督の意見は、Mリーグは早ければ10月再開の可能性が浮上

国内リーグの今後について各監督の意見は
 マレーシア国内リーグのMリーグは1部スーパーリーグと2部プレミアリーグは第4節終了時点で、3部M3リーグは第2節終了時点でそれぞれのリーグが中断しています。新型コロナウィルス感染拡大を防ぐためにマレーシア全土に発令中の活動制限令解除後MCO解除のMリーグの早期再開について、マレーシア政府が否定的であることは先日このブログでも取り上げましたが、ここ数日で早期再開どころか年内再開すら怪しくなり、今季2020年シーズンはこのまま終了という気配が濃厚になっています。
 マレーシア政府のイスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相が「ピッチ上に22人が集まるサッカーも、集団が形成される活動であり、活動制限令MCOが解除になっても許可されないであろう」と話したことから、検討されていた無観客試合すら実施が難しい状況になっていますが、そんな状況について、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が各クラブの反応を取り上げています。
 スーパーリーグで首位のジョホール・ダルル・タジムJDTを勝点2で追うペラTBGのメフメト・ドゥラコビッチ監督は、リーグ最下位の是非は専門家に任せるべきだと話しています。「マレーシア政府の保健省や国家安全保障委員会が再開許可を出せば、再開すれば良いし、そうでなければ選手やスタッフ、審判など関係者全員の安全を優先するべきだ」「自分たちは専門家の意見を聞く立場であって、リーグ再開の是非を決める立場にない。例えリーグを再開する必要があっても、関係者全員の安全が最優先である」と話しています。
 一方、スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督は今季のリーグ中止後の影響が心配であるとしています。「リーグが中止となった場合には、クラブは選手やスタッフの契約内容見直しを行う必要があるだろう。また、来季2021年シーズンのアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグにマレーシア代表としてどのクラブが出場するべきなのかも疑問である」開幕4試合でスランゴールFCは上位のクラブとの対戦が続いたとは不運であったとも述べて、第4節までの結果でACL出場クラブを決めるべきではないことをほのめかしています。
 また、今季スーパーリーグに昇格したばかりのUITM FCでチームマネージャーを務めるムスタザ・アーマド氏は、第4節で12位のPDRM FCを破って、今季初勝利を飾ったチームの調子が上向いてきたところでの中断だったして、スーパーリーグ12クラブ中11位ながら、UITM FCはリーグ再開を望んでいると話しています。
 フェルダ・ユナイテッドFCのニザム・ジャミル監督は「第4節終了時点で5位という順位には満足しているが、リーグは本来なら22試合あり、現在の各クラブの順位はリーグの状況を正確には反映していない」と述べ、とにかく政府の方針が決定するのを待つしかないと語っています。
 この他、スーパーリーグ最下位12位でリーグ中断となったPDRM FCのイシャク・クンジュ監督はこの中断のおかげで今季の2部降格が猶予されたと考え、このままリーグが中止となれば、来季2021年シーズンもPDRM FCは1部スーパーリーグで戦えると話し、そうなれば評価を覆す可能性はあると話しています。
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 筆者注:突然ですが、今回から国内リーグの表記をこれまでの「MFL」から「Mリーグ」とすることにしました。国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは組織名であり、記事の中でこの組織を指す場合とリーグそのものを指す場合に同じ表記では曖昧となることからの措置です。

 マレーシアの通信社ブルナマによると、活動制限令が解除されてから最大で4ヶ月後にはMリーグが再開される可能性があるということです。
 本日4月28日の定例記者会見の席上で、イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相は、現在中断中のMリーグの再開について、現在発令中の活動制限令が解除となった後、4ヶ月程度の「冷却期間」が必要だと述べたということです。
「マレーシアサッカー協会と国内リーグを統括するマレーシアフットボールMFLがMリーグを7月に再開する希望があることは理解しているが、活動制限令が解除されてから1、2ヶ月での再開は時期尚早である。しかし、活動制限令が6月中に解除となれば、10月あるいは11月のリーグ再開については、無観客試合などの条件付きで、政府が許可する可能性がある」と述べています。
 しかしその一方で、サブリ上級相はMリーグ再開についての最終判断は、保健省の指示や助言を仰ぐことも明言しています。「保健省による助言は必要であり、FAMと(FAMを統括する)スポーツ青年省からのリーグ再会の提案を受けた段階で、マレーシア政府が最終決断を下す」と述べています。
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 マレーシア政府関係者がMリーグ再開の具体的な時期について述べたのは今回が初めてです。これは朗報と言えるのではないでしょうか。ただし10月あるいは11月に再開許可が出た場合、時期的に今季2020年シーズンの再開となるのか、2020/2021シーズンとなるのかは不明です。