11月7日のニュース:マレーシアカップ開幕-JDT・クダFA・ペナンFAがベスト8進出、AFC事務局長は州政府に依存するクラブを暫定的に容認、ケランタンFCはランカウィ島にリゾートをオープン

マレーシアカップ開幕-JDT・クダFA・ペナンFAがベスト8進出
 今季2020年シーズン最後の大会となるマレーシアカップが開幕しました。今季はMリーグ1部11クラブと2部5クラブの16クラブが参加する点は従来通りですが、1回戦からトーナメントと変則になっています。
 優勝チームにはAFCカップ出場権が与えられるこの大会は、11月22日の決勝まで熱戦が繰り広げられます。(試合のダイジェスト映像はMFLの公式Youtubeチャンネルより)

11月6日(金)マレーシアカップ1回戦
タンスリ・ダト・ハジ・ハサン・ユノススタジアム(ジョホール州ラーキン)
ジョホール・ダルル・タジムJDT 1-0 クチンFA
得点者:JDT-アリフ・アイマン(19分)、クチンFA-
 18歳のアリフ・アイマンのゴールで先制したJDTがそのまま逃げ切りベスト8進出を決めています。JDTは、次戦はサバFAの出場自体により1回戦を不戦勝となったクアラルンプールFAと対戦します。
 クチンFAの鈴木雄太選手と谷川由来選手もいずれも先発してフル出場しています。

シティースタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナンFA 3-1 フェルダ・ユナイテッドFC
得点者:ペナン-カサグランデ(37分)、アメル・アザハ(分)、リ・チャンフン(76分)、フェルダ-ニコラス・ヴェレズ(49分)
 リーグ戦では11試合で9ゴールを決めたカサグランデがこの試合でも先制ゴールを決め、ペナンFAがベスト8進出を決めています。ペナンFAはベスト8でUITM FCとケランタンFAの勝者と対戦します。
 今季でのMリーグ撤退が決まっているフェルダ・ユナイテッドFCはこの試合の敗戦で13年の歴史に幕を下ろしました。
 フェルダ・ユナイテッドFCの恵龍太郎選手は先発してフル出場しています。

ダルルアマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダFA 3-2 パハンFA
得点者:クダ-シャキル・ハムザ(17分)、クパ・シャーマン(36分)、チェチェ・キプレ( 44分)、パハン-ムスリム・アーマド(49分)、ファイザル・ラニ(88分)
 パハンFAの猛攻を防ぎ切ったクダFAがベスト8進出。クダFAはスランゴールFCとマラッカ・ユナイテッドFCの勝者がベスト8での対戦相手となります。
 パハンFAは77分のディクソン・ヌワカエメのPK失敗が最後まで響きました。

AFC事務局長は州政府に依存するクラブを暫定的に容認
 Mリーグの1部と2部のクラブに対し、マレーシアサッカー協会FAMは来季までに「民営化」を完了することを義務付けました。これにより各州サッカー協会(州FA)によって運営されていたクラブは、来季以降は州FAから独立して設立された運営会社がクラブを運営することになっています。
 しかし、企業や個人のスポンサーを獲得できていない(あるいは獲得する気がない?)クラブ運営会社の株式が州FAや州政府によって保持され、民営化後もこれまで同様、州政府からの公金支援でクラブが運営される図式は変わっていないようで、Mリーグ1部のジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーはこれを非難しています。
 この状況について、アジアサッカー連盟AFCのウインザー・ポール事務局長は、望ましいものではないとしながらも、新型コロナウィルスによる経済状況悪化、そして実際の民営化に必要期間を考慮すると、一時的にはやむなしと話していると、マレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 「州政府からの公金支援に依存せず、各クラブが運営費用を生み出す努力をするべきではあるが、新型コロナウィルスによる状況の悪化によってクラブが収入を生み出すことが難しいことは理解できる。その上で各クラブには州政府に依存せず、収入を生み出すための長期計画が必要になる。AFCはこれに向けて全てのクラブが努力することを期待している。」とウインザー事務局長は話しています。
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 新型コロナウィルスの影響は否定できないですが、州政府に依存しない完全な「民営化」達成の期限を区切り、その期限までに達成が無理なクラブは下部リーグに落として立て直しをしてもらう、というのも一つの方法かと思います。プロクラブを名乗りながら、州政府からの支援がなければ選手や監督、コーチに対する給料未払い問題を起こすようなクラブがある限り、Mリーグの評価は下がることはあれ、上がることはないでしょうから。

ケランタンFCはランカウィ島にリゾートをオープン
 Mリーグ2部のケランタンFC(来季から、現在はケランタンFA)がクラブが運営するリゾートをオープンしたことをクラブの公式Facebookで発表しています。
ランカウィ島にオープンしたということです。
 公式Facebook上の投稿によれば、このリゾートはザ・レッドウォリアーズ・リゾートの名称で、日本でも有名なリゾート地のランカウィ島でも最も多くの人が訪れるチェナン海岸に近いということです。(ちなみにランカウィ島はクダ州にあります。)
 マレーシア国内でも特にイスラム教の影響が強いケランタン州を本拠地とするケランタンFCのリゾートということで、イスラム法(シャリア法)に則り結婚した男女に限り同室での宿泊が可能ということです。
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 サッカークラブがリゾート経営に乗り出すべきかどうかは別にして、多額の未払い給料に苦しむケランタン州サッカー協会による運営時代とは打って変わって、ビジネスマンのノリザム・トゥキマン氏がオーナーとなったことで、多角的なクラブ経営を目指すケランタンFCは、マレーシアでクラブを運営する一つのモデルとなりそうです。


11月4日のニュース:クダ州FAは未払い給料を完済、クダ州FAは選手や監督、コーチとの来季契約は未だ検討中、JDTオーナーが名前ばかりの「民営化」を批判、スランゴール州政府は総工費2000億円超のスポーツ施設建設を発表

クダ州FAは未払い給料をやっと完済
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版はMリーグ1部のクダFAの選手や監督、コーチに対する給料未払い問題を抱えていたクダ州サッカー協会(クダ州FA)が、総額380万リンギ(およそ9580万円)にのぼる未払い給料の支払いを完了したと報じています。この未払い給料は今年の4月、5月、6月の3ヶ月分だということです。
 記者会見で支払い完了を発表したクダ州FAのムハマド・サヌシ会長は「シーズン終盤を好調で終えたチームは、今回の未払い給料支払いによって、その好調さを維持できると信じており、マレーシアカップ1回戦のパハンFAを破ることができるだろう。」と話しています。

クダ州FAは選手や監督、コーチとの来季契約は未だ検討中
 その一方でJDTに次ぐリーグ2位の成績を収めたクダFAですが、現時点で選手や監督、コーチには来季の契約の話はまだ何もされておらず、11月末に今季の契約が切れるということです。
 英字紙ニューストレイトタイムズは、クダ州FAのフィルダウス・アーマド名誉事務局長の話として、未払い給料問題の解決を優先したために、来季の契約についてはまだ何も決まっていないという談話を掲載しています。
 「今後の予定としては、財力以上の支払いはできないため、給与削減という形での運営費用の縮小を行う。現有戦力の70%から80%には残留を求める予定であるが、現在の契約内容を精査する必要があるため、このことについては選手、監督及びコーチにはまだ伝えていない。」
 「また選手がピッチ上以外でどのような貢献ができるかについても考えていきたい。具体的には、プレー以外にCSR活動やセールス、営業などについて選手に何ができるかを検討したい。」
 さらにフィルダウス名誉事務局長は、クダFAの選手たちは未払い給料問題を抱えながら、リーグ2位の成績を取ったことについては評価するとしながらも、契約更改については感情論は持ち込まないとも話しています。
 この他、アイディル・シャリン監督は他のMリーグクラブからのオファーを受けており、クダFAとの新たな2年契約について未だサインをしていないことも明らかにした上で、良い監督やコーチを持つことは重要だとしながらも、チームの成功には選手による貢献が大きいと話しています。
 「クダFAは豊かなクラブではないため、高額の給料を支払うことはできない。クラブの運営資金は賢く使わねばならないが、もし可能であればアイディル監督にはクラブに残って欲しい。」フィルダウス名誉事務局長はこのようにもコメントしています。
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 Mリーグの全クラブは民営化されることにより州サッカー協会が運営に関与できなくなるはずですが、このフィルダウス州FA名誉局長の発言は、これまでと全く変わらない立ち位置で行われているようで違和感があります。その辺りは次の記事のJDTのオーナーが指摘している点と関連します。

JDTオーナーが名前ばかりの「民営化」を批判
 Mリーグ1部7連覇を果たしたジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーでジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下が「公的資金を使っての民営化は見せかけの民営化」というタイトルで、JDTの公式Facebookに投稿しています。
 2013年以来、JDTは本拠地のあるジョホール州の州政府からの公的資金に依存しないクラブとして存在していることを誇りに思うと述べるイスマイル殿下は、「州政府の公金は(サッカークラブの運営ではなく)民衆が利益を享受するために使われるべきものであり、特に新型コロナウィルスが蔓延している現在は特にそうである。」と述べ、クラブ運営資金を生み出し、長期的な計画に投資することができるビジネス戦略を持つJDTは、競技場などのインフラを州政府に依存するだけでなく、毎年のクラブ運営資金までも州政府に依存するクラブとは別物であるとしています。
 またFAMが主導して行われている民営化については、実際には民営化と呼べるものではなく、州政府依存の従来の方法が何も変わっておらず見掛けだけのものに過ぎないと批判しています。
 さらにイスマイル殿下は「2013年に自らがJDTを立ち上げて民営化した際には、それを揶揄する者もいたが、JDTはピッチの内外で様々な成功を成し遂げている。その一方で2020年現在、他のMリーグクラブは民営化について新たなロゴの意匠を考えるくらいしかできていない。」と綴っています。

スランゴール州政府は総工費2000億円超のスポーツ施設建設を発表
 スランゴール州政府は劣化したシャーアラムスタジアムとその周辺を青少年スポーツ施設として総工費80億リンギ(およそ2010億円)かけて改修することを発表しています。スランゴール州政府が投資するMBI社のメディア部門であるメディアスランゴールによれば、この改修計画は州政府と民間企業の合弁で行われるということです。
 スランゴール州のアミルディン・シャリ州首相は「スランゴール州内地域の再開発は州政府が担う仕事の一つであり、長年の使用で劣化の激しいシャーアラムスタジアムとその周辺はその対象となっている。」と述べ、スランゴール州議会の2021年度予算審議の席上でこの計画を明らかにしたということです。
 アミルディン州首相は、老朽化により安全性に問題ありとMFLが判断し、今季は本拠地とするスランゴールFCが使用できなくなったシャーアラムスタジアムについて、ポリカーボネート製の屋根とその関連の補修だけで3000万リンギ(およそ7億5400万円)、スタジアム全体では2億5000万リンギ(およそ62億9000万円)が補修に必要であると発表しています。
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 シャーアラムスタジアムは8万を超える観客収容数を誇り、マレーシアはもとより、東南アジアでも有数の巨大スタジアムです。それでも開場から26年が経っており、老朽化は否めません。浮きと寒気が繰り返す熱帯の気候、その上、新しいものを作るのは大好きだが、施設維持や補修が苦手なマレーシア人気質もあり、その劣化の速度はおそらく日本の同等の施設よりもはるかに速いでしょう。また、本当にサッカーの人気が高ければ、陸上トラックを併設した多目的スタジアムではなく、収容規模を数万人減らしても観客の見やすいサッカー 専用スタジアムという選択肢も出てきても良いのではとも思います。

10月22日のニュース:JDTのフィゲロアTMが退団、JDTはジオゴの移籍と新外国籍選手の獲得も発表、フェルダUは名称を変更してMリーグ残留か、フェルダUの権利を引き継いだクラブのみがMリーグ参加可能-MFL

JDTのフィゲロア チームマネージャーが退団
 Mリーグ1部で7連覇を達成したジョホール・ダルル・タジムJDTで今季チームマネージャーを務めたルシアーノ・フィゲロア氏の退団がJDTの公式Facebookで報じられています。
 ビジャレアルCF(スペイン)やジェノアCFC(イタリア)などでもプレー経験がある元アルゼンチン代表のフィゲロア氏は2014年にギリシャリーグのパナシナイコスFCからJDTに移籍し、今季まで続くMリーグ1部7連覇の初年度、そして翌年2015年の連続優勝に貢献しただけでなく、東南アジアのクラブとしては初めて優勝を遂げたAFCカップ優勝にも貢献しています。フィゲロア氏は2015年シーズン後には引退し、2017年からはJDTの親善大使に就任しましたが、2018年シーズン開幕前に電撃現役復帰しMリーグ1部の試合に出場しましたが、このシーズン後に再び引退しています。その後、JDTのオーナーであるジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下からJDT監督に就任指名を受け、当時JDTのセカンドチーム監督だったベンヤミン・モラ現JDT監督をコーチとして采配を振るい、その後はモラ監督、フィゲロアチームマネージャーのコンビで2019年、2020年と連覇を達成しています。
 なおフィゲロア氏のJDTでの通算成績は71試合に出場し、43ゴールと14アシストとなっています。
 今回、家庭の事情で本国アルゼンチンへ帰国するということですが、JDTの公式Facebookにはオーナーのトゥンク・イスマイル殿下やクラブ、サポーターへの感謝の言葉と、それに応えるトゥンク・イスマイル殿下の言葉が掲載されています。
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 新型コロナウィルスによる今季リーグの中断期間中だった9月には、JDTのホーム、スルタン・イブラヒムスタジアムの一角が「フィゲロアスタンド」と命名されることが発表されるなど、選手として、そして引退後はマネージャーとしてクラブに対する貢献が高く評価されていたフィゲロア氏。今回退団するフィゲロア氏が入団した2014年から始まったリーグ7連覇は来年も続くのでしょうか。

JDTはジオゴの移籍と新外国籍選手の獲得も発表
 JDTの公式Facebookでは、フィゲロア氏の退団以外にも続々と新たな情報が公開されています。
 まずは11月19日から12月4日の予定でカタールで集中開催されるAFCチャンピオンズリーグに出場するJDTは、11月6日に開幕し同22日に決勝が予定されているマレーシアカップの優勝候補チームですが、両大会の日程が重なっていることからその対応が注目されていました。これについてはMリーグ2部でプレーするセカンドチームJDT IIの選手も含めたチーム編成となるようです。
 また、このブログでも取り上げたジオゴの移籍が正式に発表されています。なおタイへの移籍はマレーシアカップ終了後となると発表されています。なおジオゴに代わる外国籍選手としてカミーロ・ダ・シウヴァ・サンヴェッゾの獲得が発表されています。2010年シーズンには韓国1部リーグの慶南FCで短期間ながらプレー経験があり、今季はメキシコ1部リーグのマサトランFCでプレーしていたということです。
 この他、昨日のこのブログでJDT移籍の噂を取り上げた元フェルダ・ユナイテッドFCのダニエル・アミールの獲得も正式に発表された他、ベンヤミン・モラ監督とハリス・ハルン主将の残留も発表されています。
 移籍情報以外では、今季から使用している本拠地のスルタン・イブラヒムスタジアムのピッチ改修工事のため、マレーシアカップでは昨年まで使用したラーキンスタジアムことタン・スリ・ダト・ハジ・ハッサン・ユーヌススタジアムを使用すること、外国企業4社がチームとスタジアムのスポンサーに名乗りを上げていることなども発表されています。
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 発表内容を見れば見るほど、JDTは戦力面だけでなく、クラブの設備、運営の姿勢、高いプロ意識と他のMリーグクラブとはますますその差が開いていくようです。先日も来季に向けて契約更改を始めた記事を取り上げましたが、JDTと他のクラブとの差は実は戦力面での差以上に、クラブ運営トップの姿勢や意識の差が大きいようです。

フェルダ・ユナイテッドは名称を変更してMリーグ残留か
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版は、Mリーグ撤退が発表されたフェルダ・ユナイテッドFCの旧運営会社が新たなオーナーを既に獲得し、来季もMリーグ残留の可能性が高まっていることを報じています。
 フェルダ・ユナイテッドFCの旧運営会社のアフィザル・アブ・オスマン元事務局長は、新たな運営会社として立ち上げたThe Fighters社(ファイターズ社)を通じて、来季のMリーグ参加をFAMに申請中ということです。
 ファイターズ社の代表も務めるアフィザル氏は、新たなオーナーと来季のクラブ運営に関する経営計画をすでにマレーシアサッカー協会FAMに提出済みということで、現在はFAMによる認可を待っている状態だということです。
 「新たなオーナーやスポンサーについては、ファイターズ社が提出したクラブ民営化に関する経営計画をFAMが承認してから明らかにしたい。またFAMが承認した場合でもクラブの名称はフェルダ・ユナイテッドFCとはならないだろう。」とアフィザル氏は話しています。
 (旧運営会社から運営を引き継いだ)フェルダ連邦土地開発庁が運営から手を引区ことを表明したことから、今後はどこからクラブの運営資金が出るのかをFAMに説明したことを明らかにしたアフィザル氏は、ここ数日メディアで取り上げられているラヤット・ユナイテッド(Rakyat United)というクラブに名称が変更されるのではという問いには答えませんでした。
 また先日、プトラジャヤに新たなMリーグクラブの創設を明らかにしたアヌアル・ムサ連邦直轄地相との面会について問われたアフィザル氏は、アヌアル大臣がファイターズ社と協力して、新たなクラブがプトラジャヤを本拠地とすることが可能かどうかについて話し合ったことは明かしています。
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 フェルダ・ユナイテッドFCがラヤット・ユナイテッドとなるかどうかはわかりませんが、アヌアル大臣が明らかにした「プトラジャヤを本拠とするクラブ」の最有力候補となったことは、この記事から明らかなようです。

フェルダ・ユナイテッドの権利を引き継いだクラブのみがMリーグ参加可能-MFL
 Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは、新たなクラブが来季2021年シーズンからMリーグ1部あるいは2部に参加する場合は、Mリーグ撤退を表明したフェルダ・ユナイテッドFCの権利を引き継いだクラブのみが可能であるとしています。
 ブリタハリアン電子版は、MFLのアブドル・オスマン・ガニCEOの話として、Mリーグに参加するクラブはMリーグ3部にあたるM3リーグからスタートするのが原則であるが、今回の場合はフェルダ・ユナイテッドがMFLに対して正式にリーグからの撤退を申請した場合に限り、その権利を引き継ぐクラブにのみMリーグ1部あるいは2部からの参加を認める可能性があるとしています。
 その一方でオスマン・ガニCEOは、フェルダ・ユナイテッドFCはMリーグからの撤退について未だ文書による正式な報告をしておらず、同クラブが撤退を確定していない現状では、同クラブに代わってのMリーグ参加は認められないとも話しています。またフェルダ・ユナイテッドFC自身が代わりのクラブを指名する場合には、具体的なクラブ名を上げる必要もあるとしています。
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 何か歯切れの悪い記事になってしまいましたが、ここにも前述のラヤット・ユナイテッドが関連しています。ラヤット・ユナイテッドがフェルダ・ユナイテッドFCに代わってMリーグに参加するという噂がここ数日取り上げられていますが、双方とも何も正式なコメントを出していません。状況から判断すると、フェルダ・ユナイテッドFCがラヤット・ユナイテッドとして再出発するのだろうという予想は立ちますが、確定するまでにはまだ時間がかかりそうです。

10月21日のニュース:JDTは早くも来季へ向けて主力選手と契約更改開始、リーグ撤退のフェルダUの若きエースはJDTからのオファーを認める、ポリス・テロFCのスマレがタイリーグデビューに前進

JDTは早くも来季へ向けて主力選手と契約更改開始
 Mリーグ1部で7連覇を達成したジョホール・ダルル・タジムJDTが早くも主力選手と来季の契約を結んだことを公式Facebookで告知しています。
 契約期間などの詳細は明らかになっていませんが、「JDTが選手との契約更新」のタイトルで、クラブオーナーのジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下と各選手が契約書にサインをしている写真がFacebookに挙がっています。
 サインをしているのは、クナラン・スブラマニアム、ゲイリー・スティーヴン・ラバット、モハマド・ファリザル・マーリアス、モハマド・アイディル・ザフアン・アブドル・ラザク、アーマド・ハズワン・バクリ、アダム・ノー・アズリン、モハマド・ラマダン・サイフラー・ウスマン、ムハマド・ナズミ・ファイズ・マンソール、そしてムハマド・アキヤ・アブドル・ラシドら、いずれも代表経験があったり、現在も代表でプレーする主力選手です。
 この他、顔がわからなかった選手が数名写っていましたが、他のメディアの報道ではJDT IIのムハマド・アイマン・ダニシュ・アズリ・アブドル・アジムとムハマド・フェロズ・バハルディンということです。

リーグ撤退のフェルダ・ユナイテッドの若きエースはJDTからのオファーを認める
 Mリーグ徹底が発表になった1部リーグのフェルダ・ユナイテッドのダニエル・アミール・ノーヒシャムは、Mリーグ1部チャンピオンのJDTからオファーを受けていることを認める発言をしています。
 「ボーイ」の愛称を持つダニエル選手は、スポーツ専門チャンネルのアストロ・アリーナとのインタビューで、JDTからのオファーを受けていることを認めつつも、契約解除違約金が高額なことから、契約には至っていないと話しています。
 「自分はJDTでプレーをしたいと思っている。JDTが提供してくれる物、つまり(オーナーの)トゥンク・イスマイル殿下が与えてくれるものは、サッカー選手なら誰でも欲しいと思う物であり、自分がプロサッカー選手であることが実感できる物である。」とダニエル選手はインタービューで話しています。
 U23でもプレーしたダニエル選手はインタビューの最後に。来季はどのチームでプレーするかを決める前に、まずはマレーシアカップに集中したいと話しています。
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 リーグを撤退するクラブが選手の保有権を首長することができるのかどうかはわかりませんが、契約解除違約金を支払う対象はフェルダ・ユナイテッドFCの運営会社なのでしょう。昨年もJDTがオファーを持ちかけたという話が出た際には、契約解除違約金として100万リンギ(およそ2540万円)を設定したことをこのブログでも取りあげましたが、その額が現在も設定されているのかも知れません。
 タイトルには「若きエース」と書きましたが、ダニエル選手が若い割にはケガが多い印象で、その辺りもJDTがダニエル選手に設定された違約金が高いと感じている点かも知れません

ポリス・テロFCのスマレがタイリーグデビューに前進
 タイ1部リーグのポリス・テロFCに加入したマレーシア代表のムハマドゥ・スマレが練習試合でゴールを決めたことが、マレーシア後紙ハリアン・メトロ電子版で報じられています。
 タイ2部リーグのウタニ・タイFCとの練習試合に出場したスマレ選手はポリス・テロFCが4-3で勝利したこの試合で4点目のゴールを決めたということです。14日におよぶ検疫隔離期間をチームと離れて過ごし、先週、チームに合流したばかりのスマレ選手ですが、この試合がタイ入国後、初の実戦経験となりました。
 ポリス・テロFCは今週末の10月25日(日)にホームでのムアントン・ユナイテッド戦が控えていますが、この試合がスマレ選手のタイデビュー戦となるかに注目が集まります。
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 数日前のコンディションが不十分という報道から一転しての練習試合出場により、いよいよ大リーグデビューが近づいてきたということかも知れません。

10月17日のニュース:FAMは8名の審判を処分、フェルダU旧運営会社職員がクラブ消滅を救う動き、サファウィ・ラシドのデビュー戦は「世界で最もリッチな選手」との対戦

FAMは8名の審判を処分
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版は、マレーシアサッカー協会FAMが今季Mリーグの試合を担当した審判8名に処分を下したと報じています。
 FAM審判委員会のムハマド・ダリ・ワヒド委員長は、査定に基づき2名の審判に後日決定される期限までの資格停止処分を、また他の2名の審判には2週間の資格停止処分を、残る4名の審判には戒告処分が出されたと述べています。なお、本来であれば処分を受けた審判は3部のM3リーグやU21チームが争うプレジデントカップなどの試合を担当して改善を図るということですが、今季はいずれも新型コロナウィルスの影響で中止になっていることから、資格停止などの処分が科されているということです。また戒告処分を受けた審判については今季の残りは線審のみを担当することも発表しています。
 ダリ委員長は複数のクラブが審判に不満を持っていることは理解していると話していますが、多くのクラブがメディアに対してその不満を述べるにとどまり、FAMの審判委員会に対してに今季はこれまでに正式な意見書を提出しているのはUITM FC、PJシティFC、トレンガヌFC、そしてサバFAの4クラブのみであることを明かす一方で、今季は1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグとも全体としては審判委員会が満足できるレベルで試合が進められていると話しています。
 ダリ委員長はこの他、マレーシアカップでは新たに10名の審判が起用されることも明らかにしています。
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 Mリーグでは審判のレベルの低さが度々話題になり、昨季2019年のマレーシアFAカップ決勝戦には、日本サッカー協会JFAを通じて依頼した主審、副審、線審計4名の日本人審判が担当するといったこともありました。FAMは審判のプロ化案なども発表していますが、実際には何も進んでいないようで、まだまだ審判に関する問題は起こりそうです。

フェルダU旧運営会社職員がクラブ消滅を救う動き
 今季をもってMリーグからの撤退を発表したフェルダ・ユナイテッドFCに新たな動きです。クラブの旧運営会社関係者がMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグを訪れ、新たなスポンサーに関する書類を手渡す予定であると英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 旧運営会社であるファイターズ社のアフィザル・アブ・オスマン前事務局長は、クラブの名称は変わる可能性を認めながら、来季もチームが存続できることに希望を持っていると話しています。
 創部以来13年間Mリーグでプレーしたフェルダ・ユナイテッドFCは、クラブの運営権がファイターズ社からクラブの母体でもある政府関係機関のフェルダ(連邦土地直轄庁)に移った直後の10月6日に経済的理由を挙げてMリーグからの撤退を発表しています。また撤退発表とともに旧運営会社の職員16名全員が解雇されましたが、この旧職員がフェルダ・ユナイテッドFC存続のために活動を続けています。
 アフィザル前事務局長は、クラブは新しいスポンサーを獲得できたとして、MFLが期限とした10月19日までにクラブ存続のための書類を用意したいと話しています。なお新しいスポンサーについて、アフィザル前事務局長は何も明かしていないということです。
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 この記事を読んで思いついたのは、もしかしてこのフェルダ・ユナイテッドFCがプトラジャヤを本拠地とするクラブになるのでは、ということです。プトラジャヤを含む連邦直轄地を担当するアヌアル・ムサ連邦直轄地相が、来季からプトラジャヤにMリーグクラブができると発言してネット上で炎上した記事を先日、取り上げましたが、フェルダが手放したクラブをそのまま横滑りでプトラジャヤに持ってくれば、撤退によるリーグのチーム数減を心配するMFLが、新クラブを下部リーグからスタートさせず、そのままMリーグに残す可能性もあります。
 フェルダ・ユナイテッドFCでプレーする選手の中にはプトラジャヤに住んでいる方もいるようなので、実現すれば朗報ではないでしょうか。

サファウィ・ラシドのデビュー戦は「世界で最もリッチな選手」との対戦
 Mリーグ1部のジョホール・ダルル・タジムJDTからポルトガル1部リーグのポルティモネンセSCに移籍したサファウィ・ラシドは、本日10月17日に行われる第4節でCSマリティモ戦でのベンチ入りが期待されていますが、この試合は東南アジア出身選手が所属するチーム同士の争いとしても注目されています。
 その理由はCSマリティモにブルネイ出身のファイク・ボルキアが所属しているからです。ブルネイのボルキアと聞いてピンと来た方がいるかも知れませんが、このファイク・ボルキア選手はブルネイ国王ハサナル・ボルキアの甥にあたます。世界でも有数の裕福なブルネイ王家の一員でもあることから、「世界一リッチなサッカー選手」とも呼ばれています。
 とは言え、サッカーの実力で言えば、今年9月に英国1部リーグのレスターシティU23からCSマリティモに移籍してきたファイク・ボルキア選手の市場価値はトランスファマルク上では「評価なし」であるのに対し、サファウィ選手は30万ユーロ(およそ3700万円)とされており、その差は歴然です。
 額面通りの実力なら、2人がフィールドで対峙する機会はなさそうですが、それでもポルトガルという異国の地でマレーシアの選手とブルネイの選手が対戦するというのは東南アジアのサッカーファンにとっては十分注目に値するのではないでしょうか。特にサファウィ選手は開幕から3試合でわずか勝点1のポルティモネンセSCの救世主となれるかどうかも注目です。
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 今日の試合はマレーシアの衛星放送アストロアリーナでも生中継されるようです。史上初となるポルトガルリーグ生中継で果たしてサファウィ選手の勇姿は見られるでしょうか。なおチャンネルは801と802HDです。

10月15日のニュース:プトラジャヤにMリーグクラブ発足案を述べた大臣がネット上で炎上、ペラTBGのマレーシア人得点王が多くのクラブから関心を集める、JDTのジオゴはタイ1部のBGパトゥムUへ移籍か

プトラジャヤにMリーグクラブ発足案を述べた大臣がネット上で炎上
 マレーシアにはクアラルンプール、プトラジャ、ラブアンと3つの連邦直轄地がありますが、この地域を担当するアヌアル・ムサ連邦直轄地相の発言がネット上で炎上していると、サッカー専門サイトのヴォケットFCが報じています。
 ことの発端は、連邦直轄地の一つであるプトラジャヤにも来季からMリーグに参加するクラブを発足させるとツイッターに投稿したことでした。
 しかしこの内容が投稿されたタイミングは、自身が担当する連邦直轄地のプトラジャヤやクアラルンプール、そしてスランゴール州に対して条件付き活動制限令CMCOが10月14日から施行されることが発表された直後だったことから、多くの批判が集まりました。学校や宗教施設は閉鎖され、地区を跨いだ移動は原則禁止となるなど住民の生活が制約される政策発表後の投稿に対しては、「感染拡大を防ごうというときに内容が不適切」「CMCO発令地域担当大臣として無神経すぎ」「安っぽい売名行為」などと批判され炎上する事態になっています。
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 アヌアル連邦直轄地相は、2009年から2016年まで出身地であるケランタン州サッカー協会の会長を務め、在任中の2012年にはケランタン州サッカー協会が運営するケランタンFAが1部リーグ、マレーシアカップ、FAカップの国内三冠を達成するなど、ケランタン州のサッカーの黄金時代を支えた人物なので、単なる人気取りで発言したわけではないとは思いますが、条件付き活動令施行が報じられた直後で、不安と不満がいっぱいの地域住民には好意的には受け取られなかったようです。
 ただし批判を別にして考えると、3部リーグにあたるかつてのFAMリーグでは金融庁が母体のMOF FC、公益事業委員会が母体のSPA FCがプレーし、そのFAMが発展解消されてできたM3リーグ(今季は新型コロナのため中止)には入国管理局が母体のイミグレーションFCが現在も在籍するなど、マレーシアの行政の中心地であるプトラジャヤにはMリーグクラブの母体となる可能性があるクラブがあります。
 ただしマレーシアサッカー協会FAMが現在、進めている民営化は、政府機関などが直接、Mリーグのクラブを運営することを禁じており、その辺りとの兼ね合いがどうなるかによりそうです。

ペラTBGのマレーシア人得点王が多くのクラブから関心を集める
 先日終了したばかりのMリーグ1部でマレーシア人選手として最多の10ゴール(11試合)を決めたエキィことシャーレル・フィクリ(ペラTBG)にMリーグの複数のクラブだけでなく、国外のクラブも関心を示していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 25歳のシャーレル選手に関心を示しているクラブの中でもクランバレー(スランゴール州とクアラルンプールが構成する首都圏)に本拠地を持つMリーグ1部のクラブと来季に向けてチーム強化に積極的な2部のクラブが特に強い関心を示している他、インド1部ISL(インドスーパーリーグ)の1クラブもシャーレル選手に注目していることも報じられていますが、本人曰くインドへの移籍には興味がないとのことです。。
 ペラTBGと契約延長の交渉中であることを認めたシャーレル選手ですが、現時点ではまだ何も合意していないことを明かし、他のクラブの話を聞く用意があるとしています。なおシャーレル選手とペラTBGの契約は今年12月31日に切れるということです。

JDTのジオゴはタイ1部のBGパトゥムUへ移籍か
 タイの人気サッカー専門サイトがMリーグ1部ジョホール・ダルル・タジムJDTのジオゴことジオゴ・ルイス・サントスのタイ1部リーグのBGパトゥム・ユナイテッド移籍を報じているということです。
 この記事を掲載したマレーシアのサッカー専門サイトのヴォケットFCによると、ジオゴはタイ1部リーグの後半戦開始に合わせて移籍するということで、メディカルチェックを経てバンコクで契約書にサインする予定であるということです。なお、今季から秋春制に移行しているタイ1部リーグの後半戦は1月9日と10日に予定されている第17節からとなっています。
 2019年に同じタイ1部リーグのブリーラム・ユナイテッドから移籍金500万バーツ(当時のレートでおよそ2200万円)でJDTに移籍したジオゴは、JDT在籍2年間で2019年と2020年のMリーグ1部優勝、2019年のマレーシアカップ優勝に貢献しています。
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 BGパトゥム・ユナイテッドが積極的にフォワードを補強する中、代表のFWノーシャルル・イドラ・タラハの出場機会はますます少なくなりそうです…。

10月13日のニュース:首都圏に2週間の条件付き活動宣言令施行-今後の日程変更は必至、JDT主将は来季も残留-英国2部リーグ移籍は噂でした

首都圏に2週間の条件付き活動宣言令施行-今後の日程変更は必至
 マレーシア政府のイスマイル・サブリ上級大臣兼国防大臣は、10月14日午前0時から10月27日までスランゴール州、クアラルンプール及びプトラジャヤの全域における条件付き活動宣言令CMCOの施行を決定したことを発表しています。
 CMCOの再施行はスランゴール州のクラン地区やプタリン地区を中心に首都圏で新型コロナウィルスの感染者数が急増している状況を受けたものですが、CMCO期間中は経済活動は通常通り行うことができるものの、多くの人が集まる学校や宗教施設は閉鎖、全てのスポーツ及びレクリエーション活動は禁止となる他、施行地域内の地区(スランゴール州は9つ、クアラルンプールは11の地区に分かれています)をまたいだ移動が原則禁止されます。
 この状況下では10月25日に開幕予定のマレーシアカップは延期となる可能性は高いですが、マレーシアカップの開催者であるマレーシアフットボールリーグMFLからはこの記事の執筆時点では何の発表もありません。なお、マレーシアカップは10月16日開幕の予定が既に一度変更になっている経緯もあります。またこのマレーシアカップ前に予定されていた、Mリーグ第11節の1部リーグのサバFA対UITM FC戦、2部リーグのクアラルンプールFA対クチンFAについても当然、日程変更が必要となりますが、こちらについてもまだMFLからの発表はありません。
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 マレーシアは今月10月に予定されていたAFCチャンピオンズリーグのグループGとHの集中開催地として立候補しながら、結局は新型コロナウィルス観戦者数が急増したことで開催を断念しています。今回のCMCOも2週間で状況が好転するかどうかも不明で、アジア最古のリーグ戦とされるマレーシアカップは、最悪の場合には太平洋戦争以来となるカップ中止の可能性も出てきました。
 またこのマレーシアカップ優勝クラブにはAFCカップ本戦出場資格が与えられることになっていましたが、中止となった場合にはMリーグ1部で3位のトレンガヌFCにその資格が与られる可能性が高いです。

JDT主将は来季も残留-英国2部リーグ移籍は噂でした
 マレーシアの通信社ブルナマはMリーグ1部で7連覇を達成したジョホール・ダルル・タジムJDTのハリス・ハルン主将が来季もJDTに残留すると報じています。
 昨日のこのブログでも取り上げましたが、ハリス選手は英国2部リーグ移籍の噂がメディアで報じられていました。
 自身のFacebookに契約書にサインしているような写真を投稿し、「サイン完了!いざコヴェントリーへ」というキャプションを添えたことから、メディア上ではハリス選手が英国2部リーグのコヴェントリーシティ移籍が報じられていました。
 しかし実際は海外の大学との連携カリキュラムを持つシンガポールの高等教育期間PSBアカデミーから奨学金を受けてコヴェントリー大学のビジネスおよびマーケティングの学位取得のためのコースを履修するのが事実のようです。ハリス選手はこのPBSアカデミーのブランド大使も務めるということです。
 まだ数年はプレーしたいと話すハリス選手は、同時に引退後の準備を始める必要があることから教育面での重要な決断を下すに至ったと話し、自分の決断が他の運動選手たちにも現役生活を送っている間に将来のことが考えるべきとブランド大使らしく話しています。

10月12日のニュース:クダ州FAが会長の辞職願受領を拒否、タイ1部リーグ-マットヨーは出場なし、JDT主将は英国2部のクラブへ移籍か

 Mリーグ1部のクダFAを運営するクダ州サッカー協会(クダ州FA)はムハマド・サヌシ・ムハマド・ノー会長から提出されていた辞職願の受領を拒否したことが、マレーシアの通信社ブルナマにより報じられています。
 クダ州FAのアブドル・ラーマン・アブドラ副会長は10月10日に開かれた執行部特別委員会で受領拒否が全会一致で決議されたことを明かし、クダ州首相でもあるムハマド・サヌシ会長は就任以来、様々な問題を解決するなどその運営手腕を発揮しているだけでなく、クダ州FAが運営するクダFAは現在、Mリーグ1部で2位となるなど、現時点で辞任する明確な理由がない、というのがクダ州FAによる受領拒否の理由であるということです。
 辞職の意思が固い場合にはせめて今年いっぱいまでの在職を求めるよう説得を続けると話すアブドル・ラーマン副会長ですが、クダ州FAとしては2022年の任期満了まで会長を勤めることを期待していると話しています。
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 今年2月の政変による与野党逆転の結果、5月にクダ州首相に就任したムハマド・サヌシは従来の州首相と同様にクダ州FA会長に就任したのが7月でした。その後、3月から起こっていたとされるクダFAの選手や監督、コーチへの未払い給料を一部解消するなどそれなりの結果は残しています。それでも5月から8月までの給料は未払いとなっており、副会長が言う「手腕を発揮」と言えるレベルではない気もします。現在運営しているクダFAが来季から民営化され、今後の収入源が不安になるクダ州FAは、現職州首相の「金を引っ張ってくる力」に対する期待を込めて慰留を希望していると考えられますが、「政治」と「サッカー」を切り離す機会を自ら手放そうとしていることまでは頭が回らないのか、それとも背に腹は変えられなのか。いずれにしてもサッカーにとってはプラスにならないような気がします。

タイ1部リーグ-マットヨーは出場なし
 タイ1部リーグは選手に新型コロナ感染者が出たことから順延となっていた第5節の2試合を10月10日(土)に開催しています。
 マレーシア代表FWのノーシャルル・イドラ・タラハが在籍するBGパトゥム・ユナイテッドはブリーラム・ユナイテッドを1−0で破り、今シーズン負けなしの7勝1分と、2位との勝点差を7として首位を快走しています。
 なおこの試合はマットヨーことノーシャルル選手はベンチ入りはしたものの、出場しませんでした。
 またポリス・テロFCに加入したマレーシア代表のFWモハマドゥ・スマレは、クラブの公式Facebookで隔離検疫期間が終了したことを明かし、ジムでのトレーニングを行う映像を投稿しています。1部16チーム中8位のポリス・テロFCのゴール数は、上位8チームの中で最小となっており、スマレ選手への期待は高まっているのではないでしょうか。

JDT主将は英国2部のクラブ移籍か
 Mリーグ1部7連覇を達成したジョホール・ダルル・タジムJDTの主将でシンガポール出身のハリス・ハルンがJDTを退団し、英国のクラブへの移籍を匂わす投稿を自身のFacebookで行っています。
 シンガポール代表でも主将を務めるハリス選手は10月11日に”I have just signed. Coventry here I come.”「(契約書への)サイン完了。いざコヴェントリーへ」というキャプションとともに契約書にサインしている姿の写真を投稿しています。
 ハリス選手は具体的にクラブ名をあげていませんが、この写真をもとにシンガポールのザモニター電子版は、英国2部リーグのコヴェントリーシティへの移籍を予想しています。なおコヴェントリーシティは2部24チーム中、現在1勝1分2敗の18位です。
 なお、シンガポールのメディアによれば、ハリス選手はコヴェントリー大学にも入学したということですが、詳細は伝えられていません。
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 今季は膝のケガのために大半のシーズンを棒に振ったハリス選手ですが、2013年にJDTと契約し、期限付き移籍で他のクラブでのプレーを経て、2018年からその強烈なキャプテンシーでJDTの連覇を牽引してきました。
 29歳という年齢は国外でプレーする最後のチャンスかもしれませんが、その活躍には期待したいです。

Mリーグ1部スーパーリーグ2020年シーズン第11節結果

10月10日(土)と10月11日(日)の2日間に、1部スーパーリーグ今季最終節となる第11節の5試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。)なお第11節の残るもう1試合であるサバFA 対 UITM FCは日程が変更になっていますが、詳細は発表になっていません。
*試合のダイジェスト映像は全てMFLの公式Youtubeより。

10月10日(土)
UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
スランゴールFC 6-1 フェルダ・ユナイテッドFC
得点者:スランゴール-ブレンダン・ガン(13分)、イフェダヨ・オルセグン3(45分、62分PK、88分)、サンドロ・ダ・シルヴァ2(70分、78分)、フェルダ-ダニアル・アミール(33分)
 前節第10節のPDRM FC戦を7ー0で大勝したスランゴールFCは、後半だけで5ゴールとフェルダ・ユナイテッドFCを一蹴。下位チーム相手の連勝しても、フェダヨ・オルセグンがこの試合でハットトリックを決めて得点王争いのトップに躍り出ても、結局は帳尻合わせなんだよぁ。
 この試合に敗れて今季11位が確定したフェルダ・ユナイテッドFCはMリーグ撤退報道が出ている中での試合でした。選手たちがどのような気持ちでこの試合に臨んだのかはわかりませんが、心中は穏やかではなかったことは想像に難くありません。しかしこの後もマレーシアカップが続くので、そこで最後の意地を見せてくれることを期待したいです。
 フェルダ・ユナイテッドFCの恵龍太郎選手はこの試合はベンチ入りしませんでした。

ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州クルボン)
マラッカ・ユナイテッドFC 0-5 ジョホール・ダルル・タジムJDT
得点者:JDT-レアンドロ・ヴァレスケス(分PK)、シャフィク・アーマド(75分)、アイディル・ザフアン(79分)、フェルナンド・ロドリゲス(85分)、ゴンザロ・カブレラ(90+3分)
 今季2020年シーズンの優勝を決めているJDTは今季5度目の完封勝ち。リーグは無敗でシーズンを終えています。

MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティFC 4-1 PDRM FC
得点者:PJ-ワシントン・ブランダオ2(42分、71分)、サフィ・サリー(55分)、コギレスワン・ラジ(66分)、PDRM-セルダール・ゲルディエフ(81分)
 今季開幕前に給料未払い問題により勝点3を剥奪されたPDRM FCは、前代未聞の勝点がマイナスでシーズンを終えています。

10月11日(日)
スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌFC 2-1 パハンFA
得点者:トレンガヌ-ドミニク・ダ・シルヴァ(16分PK) 、リー・TAC(82分)、パハン-ニック・シャリフ・ハッセフィ(13分)
 トレンガヌFCが逆転勝ちで今季3位を確定しました。
 パハンFAはニック・シャリフ・ハッセフィの3試合連続ゴールで先制したものの、その後が続かず、昨季2位から大きく順位を下げ、今季の7位以下が確定しました。

ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラTBG 2-3 クダFA
得点者:ペラ-レアンドロ・ドス・サントス2(42分、45+3分)、クダ-クパ・シャーマン(28分)、ファズルル・ダネル(31分)、レナン・アルヴェス(63分)
 クダFAは追いすがるペラTBGを振り切って勝利を収め、今期の2位を決定させるとともに来季のAFCカップ出場権を獲得しました。
 またペラTBGは得点王を争うシャーレル・フィクリが不発で、今季は4位で終了です。

マレーシアスーパーリーグ2020年シーズン最終順位表

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1JDT119203382526
2クダFA117132013722
3トレンガヌFC1161424141019
4ペラTBG115332119218
5スランゴールFC114522619717
6PJシティFC113531716114
7パハンFA114251818014
8UiTM FC104241415-114
9マラッカU113251316-3*11
10サバFA102351221-99
11フェルダU111461227-157
12PDRM FC11029529-24*-1
*8位のマラッカUと12位のPDRM FCはそれぞれ、給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアスーパーリーグ2020年シーズン最終ゴールランキング)

ゴール数選手名所属試合数
12イフェダヨ・オルセグンスランゴールFC11
10シャーレル・フィクリペラTBG10
8ドミニク・ダ・シルヴァトレンガヌFC10
7チェチェ・キプレクダFA10
7サファウィ・ラシドJDT10
7ゴンザロ・カブレラ11

10月9日のニュース:フェルダUに来季Mリーグ残留の可能性が浮上か、ポルティモネンセSCがサファウィ・ラシドを披露、Mリーグ2部のクチンFA対KLFAの試合日程が変更

フェルダUに来季Mリーグ残留の可能性が浮上か
 先日報じられたMリーグ1部のフェルダ・ユナイテッドFCのリーグ撤退ですが、新たな展開が報じられています。
 マレーシアのスポーツ専門サイトのスタジアムアストロは、フェルダ・ユナイテッドFCの運営会社FUFC the Fighters社(Fighters社)から経営を引き継ぎながら、Mリーグ撤退の決断を下したフェルダ連邦土地開発庁ですが、フェルダの経営トップが来季のMリーグ参加を了承していると報じています。
 またFighters社のニック・ハスルル・ザイヌディン会長とアフィザル・アブ・オスマン事務局長がマレーシアサッカー協会FAMを訪れて、状況説明を行なったとも報じられていますが、その際にスタジアムアストロがインタビューを求めた際には、後日、声明を発表すると答えるに止まっています。
 来季2021年シーズンに参加する条件として、FAMはMリーグ1部と2部の全クラブに民営化が求められていましたが、フェルダ自体はフェルダ・ユナイテッドFCがその手続きを行うことを認め、クラブはFAMより条件付きながら民営化承認を受けていました。そんな中で突如発表されたリーグ撤退には不明な点が多くありましたが、その内容が少しずつ明らかになっています。
 民営化に際して、フェルダはFAMに対してフェルダ・ユナイテッドFCがこれまで使用していたクラブのロゴとフェルダ・ユナイテッドFCの名称使用を禁じることを通達しているということですが、その一方で、フェルダ・ユナイテッドFCのFIghters社はフェルダの支援を受けずにクラブ運営が可能であるとしています。
 Fighters社のアフィザル事務局長は、今後はFAMとフェルダ間の話し合いになるとして、フェルダ経営陣がリーグ撤退について再検討してくれることを望んでいると話しています。

ポルティモネンセSCがサファウィ・ラシドを披露
 Mリーグ1部ジョホール・ダルル・タジムJDTからポルトガル1部のポルティモネンセSCに今季末までの期限付きで移籍したサファウィ・ラシドがクラブの公式サイトで紹介されています。
 ポルティモネンセSCのロジニー・サンパイオ会長は「サファウィ選手を知っている人は多くないが、中島翔哉選手(現FCポルト)を獲得したときも同様だった。サファウィ選手には中島選手と同じように成功してもらいたい。」と記者会見で話しています。
 背番号29のユニフォームを着て会見に参加したサファウィ選手は、自分の実力が示せるような機会が与えられることを望んでいるとし、クラブの勝利のために全力で貢献したいと話しています。「中島選手やブルーノ・タバタ(現スポルティングCP)ら多くの選手がこのクラブからより大きなクラブへと移籍していることを知っている。しかし自分はこのクラブのためにできることをやっていきたいと話しています。

サファウィ選手の記者会見の様子-ポルティモネンセSCの公式Youtubeより

Mリーグ2部のKLFA対クチンFAの試合日程が変更
 Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは本日10月9日にクアラルンプールフットボールスタジアムで開催予定だったクアラルンプールFA対クチンFAの試合日程の変更を発表しています。
 Mリーグ今季最終節となる試合でしたが、クチンFAはアウェイとなるクアラルンプールFA戦後に本拠地のあるサラワク州に戻るとサラワク州政府が渡航者に求める2週間の自宅隔離を行わなければなりません。その場合、Mリーグ終了後の10月25日開幕予定のマレーシアカップ1回戦までほとんど練習を行えなくなることから、クチンFAから日程変更の公式な要望が出ていたということです。
 新たな日程はまだ発表になってはいませんが、クアラルンプールFA戦後にサラワク州に戻らずにマレー半島に残ってマレーシアカップ1回戦に臨むような日程となるようです。
 マレーシアカップはMリーグ1部の上位11クラブと2部の上位5クラブに出場資格が与えられますが、クチンFAは前節第10節でJDTのBチームJDT IIを破り5位以上を確定させており、クラブ史上初となるマレーシアカップ出場権を獲得しています。