11月13日のニュース:マレーシアカップの中止が決定-AFCカップ出場権はTFCへ、スランゴールFCの新監督に前ヴィッセル神戸監督が就任か、JDTから移籍のジオゴはタイ1部リーグの最高給取りに

マレーシアカップの中止が決定-AFCカップ出場権はトレンガヌFCへ
 マレーシアカップを主催するマレーシアフットボールリーグMFLは、公式Facebookで今季のマレーシアカップ中止を発表しています。
 MFLは国内のスポーツを監督する青年スポーツ省を通じて、国家安全保障委員会NSCが発表した大会延期の再検討を求めていましたが、これが受け入れられなかったことから、中止を決定したとしています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、今回の中止決定はMFLは選手を含めた関係者全員の健康と安全を優先するNSCの決定を尊重した結果であると話す一方で、大会が延長された場合、選手の契約期間が11月末までであることから、契約延長によって様々な問題が生じる可能性があるとも中止決定の理由に挙げています。
 またマレーシアカップ優勝チームに与えられる予定であった来季2021年シーズンのAFCカップ出場権は、今回のマレーシアカップ中止の決定により今季Mリーグ3位のトレンガヌFCに与えられることも臨時役員会で決定されたしています。

スランゴールFCの新監督に前ヴィッセル神戸監督が就任か
 Mリーグ1部で5位となったスランゴールFCはリーグ戦中にサティアナタン・バスカラン監督を解任し、残りの試合はマイケル・ファイヒテンバイナーTD(テクニカルダイレクター)が代行監督を務めましたが、既に新監督が決まっているようです。
 その新監督とは今季、Jリーグのヴィッセル神戸で指揮をとりながら、家庭の事情を理由に9月に辞任していたトルステン・フィンク氏だとスポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 スタジアムアストロによれば、ドイツ出身のフィンク監督は既にマレーシア国内におり、渡航者全員に義務付けられている入国後2週間の隔離期間を過ごして最中であるとも報じています。
 昨年2019年にヴィッセル神戸の監督に就任したフィンク氏は同年の天皇杯、今年2月の富士ゼロックススーパーカップで優勝するなどの実績を残していました。
 なおフィンク氏が率いていたヴィッセル神戸は、今季のアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグでMリーグ覇者のジョホール・ダルル・タジムJDTと同じG組に入り、監督在任中だった今年2月12日のグループステージ開幕戦ではJDTを5-1と一蹴しています。
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 Mリーグ7連覇の覇者JDTとの今季の対戦では1-6と惨敗し、昨年までの過去5シーズンでもリーグ戦では10試合で1勝4分5敗とJDTには劣勢のスランゴールFCですが、フィンク監督が新監督に就任することになれば、スランゴールFC対JDTは俄然注目のカードとなります。
 Mリーグ1部では9勝2分0敗と今季無敗だったJDTが2020年に喫した唯一の黒星がACLのヴィッセル神戸戦だったことを考えると、JDTによる一強多弱状況を打破したいかつての王者スランゴールFCが探していたのは、まさに「JDTを破った経験のある監督」だったということかも知れません。

JDTから移籍のジオゴはタイ1部リーグの最高給取りに
 サッカー専門サイトのヴォケットFCは、Mリーグ1部チャンピオンのJDTからタイ1部リーグのBGパトゥム・ユナイテッドに移籍するジオゴがタイ1部リーグで最高の年棒が払われる選手となる可能性を報じています。
 ヴォケットFCはタイ国内メディアのサイアムスポーツの記事を引用し、JDTでプレーしていた際に支払われていた給料金額が高かったことから、BGパトゥム・ユナイテッドもそれに見合った金額を用意した結果、対1部リーグの最高級取りとなりそうだとしています。
 ジオゴ選手のBGパトゥム・ユナイテッドでの月給は330万バーツ(およそ1150万円)ということですが、このジオゴ選手の他のBGパトゥム・ユナイテッドの選手の給料は、チーム内2位のヴィクトル・カルドゾは月給100万バーツ(およそ348万円)、3位の清水エスパルスから移籍するとされているティーラシン・デーンダーは月給72万5000バーツ(およそ252万円)となっていますが、このチームでプレーするマレーシア代表のノーシャルル・イドラ・タラハは、チームの給料ランキングではトップ8に入っていないということです。

11月12日のニュース:JDTは政府の出国禁止措置によりACL出場取り止めに、政府はマレーシアカップ延期の決定を再検討せず、AFCは中断中のW杯予選日程の概要を発表

JDTは政府の出国禁止措置によりACL出場取り止めに
 今季のMリーグ1部で7連覇を達成したジョホール・ダルル・タジムJDTは、昨季2019年のMリーグ優勝チームとしてアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACLに出場しています。ヴィッセル神戸(日本)、広州恒大(中国)、水原三星(韓国)と同じG組に入り、ここまで1勝0分1敗のグループ2位につけています。
 このACLのG組は11月19日からカタールのドーハでの集中開催が決まっていますが、マレーシア政府の国家安全保障委員会NSCは新型コロナウィルス感染拡大防止のため自国民の国外渡航を禁じており、これによりJDTにも出国の許可が下りず、JDTはACLへの出場を取り止めことが、JDIの公式Facebookで発表されています。
 アリスター・エドワーズTD(テクニカルディレクター)名で出された発表では、アジア最高峰の大会に参加できなくなったことには失望しているとしながらも、マレーシア政府の決定を尊重し、またドーハへ渡航する予定だったJDTの選手や監督、コーチの安全は最優先されるべきであり、新型コロナウィルス感染が拡大する中ではこのような安全措置は理解していると述べています。

政府はマレーシアカップ延期の決定を再検討せず
 マレーシア政府は今季のマレーシアカップ延期の決定について、マレーシアフットボールリーグMFLが求めている再検討をする予定がないようです。
 マレーシアの通信社ブルナマは、新型コロナウィルス関連を担当するスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)の話として、MFLからの再検討依頼があったとしながらも、選手を含めた関係者の間で感染が発生するリスクを避けるために決定を変更する予定はないとしています。
 「国家安全保障委員会の席上では、ピッチ上での選手同士の接触は避けられないことから感染のリスクが指摘されている。また選手や監督、コーチなど試合に関わる人間の数は多い上、大半が同じバスで移動し、同じ更衣室を使えば厳格な標準作業手順SOPを遵守することは難しい。また演劇のような娯楽では無観客の上、出演者全員がマスクをした上で社会的距離ソーシャルディスタンスを維持するなどのSOPの遵守は難しくないが、サッカーではそのようなわけにはいかない。」と一部から出ていた批判についてもサブリ上級相は答えています。
 しかしその一方で、新規感染者数に減少傾向が見られるようになれば、数週間でマレーシアカップを再開することは可能であるとも話しています。

AFCは中断中のW杯予選日程の概要を発表
 アジアサッカー連盟AFCは公式サイト上で、現在中断されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選の日程が理事会で承認されたと発表しています。
 これによるとアジア二次予選は来年2021年6月15日までに完了するしている必要があるとし、第7節と第8節は来年3月に、第9節と第10節は来年6月にそれぞれ開催し、アジア最終予選を来年9月に開催するとしています。
 またアジア最終予選は2022年3月末までに終了し、大陸間プレーオフはFIFAの国際試合カレンダー期間の2022年5月または6月に行うこと、またアジア最終予選A組とB組の3位動詞が対戦するアジア枠のプレーオフは従来のホームアンドアウェイ式ではなく1試合で決着をつけることも提案されています。
 また中国が開催を辞退したAFC U23選手権2022年大会とその次回大会となる2024年大会、さらにはAFC選手権2027年大会も西アジア諸国を対象に開催希望国を改めて募ることについても理事会で同意されたということです。
 この他、マレーシアも出場予定ながら延期となっているU19選手権は来年3月3日から20日まで当初の予定どおりウズベキスタンで、またU16選手権は日程は未定ながらバーレーンで開催されることも明らかにされています。

11月11日のニュース:MFLはマレーシアカップ延期の再検討を政府に求める、PDRM FCはモハマド・イシャク監督との契約を更新せず

MFLはマレーシアカップ延期の再検討を政府に求める
 新型コロナウィルス対策を担当するイスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)がマレー半島の大半に条件付き活動制限令CMCOが施行されている現状を踏まえ、マレーシアカップを延期すると述べた一方で、マレーシアカップを主催するマレーシアフットボールリーグMFLは公式声明を発表していないことは、昨日のこのブログで取り上げました。
 サブリ上級相の発言を受けてMFLは昨日11月10日に臨時役員会を開催し、マレーシアカップ延期の再検討をマレーシア政府の国家安全保障委員会NSCに対して求めることを決定したと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、NSCによる決定は国内の新型コロナウィルス感染状況を反映したものであることを理解しているとした上で、準決勝以降は、CMCOが施行されていないケランタン州コタバルやパハン州クアンタンを会場とした集中開催で試合を行うなど、より厳格な標準作業手順SOPを採用することで、マレーシアカップを継続したいと話しています。
 「MFLによる再検討の依頼はベスト8に残った全チームからも支持を受けており、この全チームがMFLと国家安全保障委員会が求めるSOPに従ってプレーするつもりである。準々決勝や準決勝で敗退したクラブは試合終了後、直ちに試合が開催されている州を離れる予定である。」と話すアブドル・ガニCEOは、さらに「マレーシアカップの延期によってMFLと各クラブはそのスポンサーに対しての義務を果たすことが難しくなるだけでなく、マレーシアカップ出場クラブと選手との契約は今月11月末に切れることから、延期は国内のサッカー産業全体にとって多大な影響を与えるものである。」と述べています。
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 この状況で問われるのがMFLのこれまでの姿勢です。現在同様、無観客試合で行われるべきであったMリーグの試合でも、JDTが優勝を決めた試合では選手の家族など一部関係者をスタジアムに入れるなどの「寛容な」対応をし、少人数なので問題ないと嘯いた前歴があります。Mリーグはここまで2ヶ月ほどのリーグ戦開催期間中、試合開催によりクラスターなども発生していないのは事実ですが、国家安全保障委員会がMFLをどの程度信用しているのかが問われそうです。
 また実際にマレーシアカップが延期となった場合、CMCOは12月9日まで施行される予定で、そこから再開が実際にできるのかどうかも疑問です。このマレーシアカップは優勝チームに来季2021年のAFCカップ出場権が与えられることにもなっており、もしこのまま中止となれば、今季Mリーグ3位のトレンガヌFCがその権利を与えられる可能性が最も高いチームです。

PDRM FCはモハマド・イシャク監督との契約を更新せず
 マレーシア王立警察が運営するMリーグ1部のPDRM FCは、今季開幕前に選手への給料未払いを理由に勝点3が剥奪されました。今季開幕後は勝星に恵まれず、最終的には勝点がマイナスのまま1部で最下位となり、来季の2部降格が決まってます。
 このPDRM FCで今季の監督を務めたモハマド・イシャク・クンジュ監督に対し、PDRM FCは今月11月末に切れる契約の更新を行わないと、マレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 先週行われたPDRM FCの経営に関する会合で決定されたということで、既にモハマド・イシャク監督にも伝えらえているということです。
 48歳のモハマド・イシャク監督は来季も続投を希望していることをメディアで公言していましたが、残念ながら実現しませんでした。

11月10日のニュース:マレーシアカップ準々決勝順延報道もMFLからの公式発表なし、ポルトガルリーグ1部第7節-サファウィはベンチ入りも出場なし

マレーシアカップ準々決勝順延報道もMFLからの公式発表なし
 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は新型コロナウィルス新規感染者数が減少しないことを理由に、マレーシアカップ準々決勝が延期されるだろうと述べています。
 さらにイスマイル上級相は、サッカーは接触が起こるスポーツであり、選手間で感染が広がる危険があることを保健省が憂慮しているとも述べています。
 「マレーシアカップは順延することで関係各所が同意しており、新たな日程は後日発表になる。サッカーファンには我慢して欲しい。」と昨日の記者会見で述べたことを英字紙スター電子版が報じています。
 感染者増が止まらないために政府はマレー半島の大半の州に条件付き活動制限令を施行せざるをえなくなったと話すイスマイル上級相は「保健省と新型コロナウィルス感染者の治療にあたる医療従事者は、感染を抑え込もうと全力を尽くしている。感染者の数が減り、無観客とは言え(試合ができる)状況に戻ってくれることを期待している。」とも話しています。
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 マレー半島ではプルリス州、ケランタン州、パハン州以外の全ての州に条件付き活動制限令が施行されており、幼稚園、保育園から高等学校まで全ての学校が休校になり、州を跨ぐ移動も原則禁止、商店や飲食店も営業時間が午前6時から午後10時までに制限されており、このような状況ではマレーシアカップ延期も止むを得ないのかもしれませんが、不思議なのはマレーシアカップ延期について英字紙スター以外にも、マレーシア語紙ブリタハリアンなどが取り上げている一方で、このをブログ書いている11月9日午後11時30分(マレーシア時間)の時点では、マレーシアカップを主催するマレーシアフットボールリーグMFLの公式Facebookでは何も告知されておらず、国営の通信社ブルナマでも何も報じられていません。(なので、実は確定していないのかも…。)
 MFLが抵抗しているのか、それともそもそもまだ確定ではないのか。その理由は不明です。
 実はこの記事が出る前には、すでにベスト8が決まり、11月12日と13日に予定されているマレーシアカップ準々決勝4試合を条件付き活動令が施行されていないケランタン州のコタバルとパハン州クアンタンで実施できるよう、MFLが国内のスポーツを統括する青年スポーツ省に提案し、国家安全保障委員会より認可を受ける予定であるという記事も出ていました。

ポルトガルリーグ1部第7節-サファウィはベンチ入りも出場は無し
 11月9日早朝(マレーシア時間)に開催されたポルトガル1部リーグ第7節のFCポルト対ポルティモネンセSCの試合は、日本では「中島翔哉と安西幸輝の日本人対決が実現」(Goal.com日本語版より)と注目されていたようですが、マレーシアのサッカーファンはJDTから期限付きで移籍しているサファウィ・ラシドがついにデビューか、と待ち望みにしていた試合でした。
 移籍後初のトップチームの試合でベンチ入りが明らかになり、さらにこの試合前にポルティモネンセの公式Facebookにサファウィ選手のユニフォーム姿の写真までが投稿されたことで、マレーシアの多くのサッカーファンの期待が高まりましたが、残念ながら出番はありませんでした。
 ポルティモネンセSCはこの試合も1-3で敗れ、最近5試合を1勝4敗として最下位に転落しました。

11月9日のニュース:マレーシアカップ1回戦終了-ベスト8が決定、「鉄人」はパハンFA退団へ、パハンFAのドラー監督の去就も未定、タイリーグオールスターに代表トリオは選出されず

マレーシアカップ1回戦終了-ベスト8が決定
 11月7日(土)と8日(日)にマレーシアカップ1回戦の残り4試合が行われ、7日はMリーグ1部で今季3位のトレンガヌFCが同9位のPJシティFCを1-0、1部4位のペラTBGが2部8位のケランタン・ユナイテッドFCを4−0で破り、順当にベスト8進出を決めています。
 また8日には1部リーグ5位のスランゴールFCが同9位のマラッカ・ユナイテッドFCを2−1、同6位のUITM FCが2部6位のケランタンFAを3-1で破り、こちらもリーグ上位が下位のクラブに勝利しペスト8へ名乗りをあげました。
 なお、ベスト8のカードは以下の通りです。
ペナンFA(2部1位)-UTIM FC(1部6位)
JDT(1部1位)-クアラルンプールFA(2部3位)
トレンガヌFC(1部3位)-ペラTBG(1部4位)
スランゴールFC(1部5位)-クダFA(1部2位)

マレーシアカップ1回戦
11月7日(土)
スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌFC 1-0 PJシティFC
得点者:トレンガヌ-サンジャル・シャアフメドフ(37分)
 サイドラインが不明瞭なため、試合開始前に改めてサイドラインを引き直すという、プロの試合としては前代未聞の理由により試合開始が30分近く遅れたものの、ホームのトレンガヌFCが順当に勝利を収めています。

ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラTBG 4-0 ケランタン・ユナイテッドFC
得点者:レアンドロ・ドス・サントス3(7分、21分、49分)、カレッカ(90+1分)

11月8日(日)
ハンジェバスタジアム(マラッカ州クルボン)
スランゴールFC 2-1 マラッカ・ユナイテッドFC
得点者:スランゴール-イフェダヨ・オモスイ(21分)、サンドロ・ダ・シルヴァ(52分)、マラッカ-ウチェ・アクバ(57分)

MPMスタジアム(ペラ州マンジュン)
UITM FC 3-2 ケランタンFA
得点者:UITM-アリフ・アヌアル2(12分、67分)、ラフィ・ヤアコブ(15分)、ケランタン-ダニアル・アシュラフ2(61分、63分)
 ケランタンFAの渡邉将基選手はベンチ入りしませんでした。

ディクソン・ヌワカエメはパハンFA退団へ
 11月6日に行われた対クダFA戦に敗れたパハンFAのFWディクソン・ヌワカエメが自身のTwitterで「この試合がパハンFAのユニフォームを着てプレーした最後の試合で、このように終わって欲しくなかった。」と退団をほのめかす投稿を行っています。
 Orang Besi(マレーシア語でorangは「人」、besiは「鉄」なので「鉄人」)の愛称でパハンFAサポーターから親しまれた34歳のヌワカエメ選手はナイジェリア出身で、2014年にケランタンFAからパハンFAへ移籍すると、この年のFAカップ決勝のフェルダ・ユナイテッドFC戦では1ゴール、マレーシアカップ決勝のJDT戦では2ゴールを決めていずれもチームを優勝に導き、パハンFAの2冠達成に貢献しています。(ちなみに前年にはケランタンFAでもFAカップ準決勝で2ゴールを決め、ケランタンFAのFAカップ優勝にも貢献しています。)
 ヌワカエメ選手はリーグ戦でも2014年は6ゴール、翌年2015年には9ゴールを決め、パハンFAはこの2シーズンともリーグ3位となっています。
 2016年にはフランス1部リーグのアンジェSCOに移籍したものの、昨季2019年シーズンにパハンFAに復帰すると、リーグ戦で7ゴールを決めるなどクラブを前季のリーグ4位から2位へと押し上げたものの、今季はケガなどもあり先発した試合もわずか4試合でリーグ通算2ゴールと以前のような活躍はできていませんでした。
 しかしその一方で、この試合でもフル出場しており、Mリーグで自分を必要とするクラブがあれば話を聞く用意があるとして、34歳のヌワカエメ選手は現役続行に意欲を示しています。

パハンFAのドラー監督の去就も未定
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版は、マレーシアカップ1回戦で敗退したパハンFAのドラー・サレー監督の去就についてはまだ何も決まっていないようだと報じています。
 2010年から2013年までパハンFAで監督を務めたのち、2017年に4年ぶりに復帰したドラー監督は2017年にはリーグ2位、2018年は4位、昨季2019年シーズンには再び2位となり、カップ戦でも2017年にはFAカップ準優勝、2018年にはFAカップ優勝という成績を収め、今季も好成績が期待されていました。
 しかし今季は開幕前に代表選手でもあるマシュー・デイヴィーズがJDTに移籍した他、新型コロナウィルスによる中断期間中にはやはり代表選手のモハマドゥ・スマレがチームを離れてタイのクラブへ移籍、また上でも取り上げたディクソン・ヌワカエメの不調などからリーグ8位に終わり、マレーシアカップも1回戦敗退という成績に終わっています。
 マレーシアカップ1回戦終了後、ドラー監督は来季の去就はパハンFAを運営するパハン州サッカー協会が決めることであると話し、どのような結果になっても受け入れる用意はあると話しています。

タイリーグオールスターに代表トリオは選出されず
 サッカー専門サイトのヴォケットFCは、11月14日に予定されているタイ代表対タイリーグオールスターのメンバーに、現在、タイ1部リーグでプレーするマレーシア代表トリオが一人も選出されなかったことを報じています。
 この試合では、新型コロナウィルスの影響により他国代表と試合ができない西野朗監督率いるタイ代表がタイリーグオールスターと対戦しますが、タイリーグオールスターはタイ1部リーグでプレーする外国籍選手17名と代表に選出されていないタイ人選手5名の計22名で構成され、監督は先月10月にバンコク・ユナイテッドの監督を辞任したばかりのアレシャンドロ・「マノ」・ポルキン氏が指揮を取りますが、このタイリーグオールスターにはマレーシア代表のノーシャルル・イドラン・タラハ(BGパトゥム・ユナイテッド)、ドミニク・タン、モハマドゥ・スマレ(いずれもポリス・テロFC)の3名は選出されませんでした。
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 この11月14日は、本来ならばFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選のタイ代表対マレーシア代表が予定されていたFIFAの国際マッチデーでしたが、新型コロナウィルスの影響でワールドカップ予選が来年に延期となったことで日程的には空いており、今回の試合が実現しています。
 今回のタイリーグオールスターのメンバーは、タイサッカー協会FATの公式サイトで発表されており、代表トリオのチームメートからポリス・テロFCのFWグレッグ・フーラ (フランス)やDFクォン・デヒ(韓国)、BGパトゥム・ユナイテッドのMF丸岡満やMFチャウワット・ヴィラチャード(タイ)らが選出されている他、東南アジア出身選手としてフィリピン代表のGKミカエル・ファルケスゴーア(バンコク・ユナイテッド)、DFマルティン・シュトイブレ (ポートFC)らが選ばれています。

11月7日のニュース:マレーシアカップ開幕-JDT・クダFA・ペナンFAがベスト8進出、AFC事務局長は州政府に依存するクラブを暫定的に容認、ケランタンFCはランカウィ島にリゾートをオープン

マレーシアカップ開幕-JDT・クダFA・ペナンFAがベスト8進出
 今季2020年シーズン最後の大会となるマレーシアカップが開幕しました。今季はMリーグ1部11クラブと2部5クラブの16クラブが参加する点は従来通りですが、1回戦からトーナメントと変則になっています。
 優勝チームにはAFCカップ出場権が与えられるこの大会は、11月22日の決勝まで熱戦が繰り広げられます。(試合のダイジェスト映像はMFLの公式Youtubeチャンネルより)

11月6日(金)マレーシアカップ1回戦
タンスリ・ダト・ハジ・ハサン・ユノススタジアム(ジョホール州ラーキン)
ジョホール・ダルル・タジムJDT 1-0 クチンFA
得点者:JDT-アリフ・アイマン(19分)、クチンFA-
 18歳のアリフ・アイマンのゴールで先制したJDTがそのまま逃げ切りベスト8進出を決めています。JDTは、次戦はサバFAの出場自体により1回戦を不戦勝となったクアラルンプールFAと対戦します。
 クチンFAの鈴木雄太選手と谷川由来選手もいずれも先発してフル出場しています。

シティースタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナンFA 3-1 フェルダ・ユナイテッドFC
得点者:ペナン-カサグランデ(37分)、アメル・アザハ(分)、リ・チャンフン(76分)、フェルダ-ニコラス・ヴェレズ(49分)
 リーグ戦では11試合で9ゴールを決めたカサグランデがこの試合でも先制ゴールを決め、ペナンFAがベスト8進出を決めています。ペナンFAはベスト8でUITM FCとケランタンFAの勝者と対戦します。
 今季でのMリーグ撤退が決まっているフェルダ・ユナイテッドFCはこの試合の敗戦で13年の歴史に幕を下ろしました。
 フェルダ・ユナイテッドFCの恵龍太郎選手は先発してフル出場しています。

ダルルアマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダFA 3-2 パハンFA
得点者:クダ-シャキル・ハムザ(17分)、クパ・シャーマン(36分)、チェチェ・キプレ( 44分)、パハン-ムスリム・アーマド(49分)、ファイザル・ラニ(88分)
 パハンFAの猛攻を防ぎ切ったクダFAがベスト8進出。クダFAはスランゴールFCとマラッカ・ユナイテッドFCの勝者がベスト8での対戦相手となります。
 パハンFAは77分のディクソン・ヌワカエメのPK失敗が最後まで響きました。

AFC事務局長は州政府に依存するクラブを暫定的に容認
 Mリーグの1部と2部のクラブに対し、マレーシアサッカー協会FAMは来季までに「民営化」を完了することを義務付けました。これにより各州サッカー協会(州FA)によって運営されていたクラブは、来季以降は州FAから独立して設立された運営会社がクラブを運営することになっています。
 しかし、企業や個人のスポンサーを獲得できていない(あるいは獲得する気がない?)クラブ運営会社の株式が州FAや州政府によって保持され、民営化後もこれまで同様、州政府からの公金支援でクラブが運営される図式は変わっていないようで、Mリーグ1部のジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーはこれを非難しています。
 この状況について、アジアサッカー連盟AFCのウインザー・ポール事務局長は、望ましいものではないとしながらも、新型コロナウィルスによる経済状況悪化、そして実際の民営化に必要期間を考慮すると、一時的にはやむなしと話していると、マレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 「州政府からの公金支援に依存せず、各クラブが運営費用を生み出す努力をするべきではあるが、新型コロナウィルスによる状況の悪化によってクラブが収入を生み出すことが難しいことは理解できる。その上で各クラブには州政府に依存せず、収入を生み出すための長期計画が必要になる。AFCはこれに向けて全てのクラブが努力することを期待している。」とウインザー事務局長は話しています。
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 新型コロナウィルスの影響は否定できないですが、州政府に依存しない完全な「民営化」達成の期限を区切り、その期限までに達成が無理なクラブは下部リーグに落として立て直しをしてもらう、というのも一つの方法かと思います。プロクラブを名乗りながら、州政府からの支援がなければ選手や監督、コーチに対する給料未払い問題を起こすようなクラブがある限り、Mリーグの評価は下がることはあれ、上がることはないでしょうから。

ケランタンFCはランカウィ島にリゾートをオープン
 Mリーグ2部のケランタンFC(来季から、現在はケランタンFA)がクラブが運営するリゾートをオープンしたことをクラブの公式Facebookで発表しています。
ランカウィ島にオープンしたということです。
 公式Facebook上の投稿によれば、このリゾートはザ・レッドウォリアーズ・リゾートの名称で、日本でも有名なリゾート地のランカウィ島でも最も多くの人が訪れるチェナン海岸に近いということです。(ちなみにランカウィ島はクダ州にあります。)
 マレーシア国内でも特にイスラム教の影響が強いケランタン州を本拠地とするケランタンFCのリゾートということで、イスラム法(シャリア法)に則り結婚した男女に限り同室での宿泊が可能ということです。
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 サッカークラブがリゾート経営に乗り出すべきかどうかは別にして、多額の未払い給料に苦しむケランタン州サッカー協会による運営時代とは打って変わって、ビジネスマンのノリザム・トゥキマン氏がオーナーとなったことで、多角的なクラブ経営を目指すケランタンFCは、マレーシアでクラブを運営する一つのモデルとなりそうです。


11月3日のニュース:マレーシアカップの詳細発表、UITM FC監督は来季は別のMリーグクラブの監督就任か、フェルダUとUKMの来季参入不可は決定事項-FAM

マレーシアカップの詳細発表
 マレーシアカップを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは公式Facebook上で、11月6日に開幕するマレーシアカップ1回戦の日程の詳細を発表しています。なお、左側がホームチームです。
11月6日(金曜日)
 ペナンFA対フェルダ・ユナイテッドFC
 ジョホール・ダルル・タジムJDT対クチンFA
 クダFA対パハンFA
11月7日(土曜日)
 トレンガヌFC対PJシティFC
 ペラTBG対ケランタン・ユナイテッドFC
11月8日(日)
 UITM FC対ケランタンFA
 スランゴールFC対マラッカ・ユナイテッドFC
 いずれの試合も午後9時キックオフで、このうち、JDTは今季から本拠地として使用しているスルタン・イブラヒムスタジアムが改修工事中のため、昨季まで本拠地としていたタンスリ・ダト・ハサン・ユーノススタジアム(通称ラーキンスタジアム)で試合を行うほか、本拠地があるスランゴール州内に条件付き活動制限令が施行中のUITM FCはペラIIのホームであるペラ州マンジュンのMPMスタジアムを、スランゴールFCは対戦相手マラッカ・ユナイテッドFCのホーム、ハンジェバスタジアムを使用します。

UITM FC監督は来季は別のMリーグクラブの監督就任か
 大学が運営するクラブとして初めてMリーグ1部に昇格したUITM FCは、昨季2019年シーズンは2部で5位ながら、1部で9位のPKNS FCがスランゴールFCのセカンドチームとして登録されたことで1部のクラブ数が減少したことにより、いわば棚ぼたで昇格したクラブです。しかし11試合と短縮されたリーグながら、初めての1部では伝統ある他のクラブを抑えて今季6位と大躍進を見せました。
 このUITM FCを率いたのが、マレーシアU22代表の元監督でドイツ出身のフランク・バーンハート監督ですが、大学生主体のクラブを率いて収めた好成績は他のMリーグクラブの目に留まったようで、来季はUITM FCを離れる可能性が高まっていると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 UITM FCは既に来季に向けて新監督を探しているという報道もあり、これによるとバーンハート監督にはUITM FCよりも好条件でのオファーが出されているということですが、そのクラブはどのクラブなのかは不明ということです。
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 限られた予算で運営されるUITM FCの布陣と今季が初の1部リーグながら6位という結果を見れば、バーンハート監督は今季のMリーグ最優秀監督の一人なのは明らかで、その実績をもとに獲得を目指すクラブがあっても驚きではありません。若い選手が多いケランタンFCや、保持ライセンスの問題で新たな監督を必要としている来季昇格組みのペナンFAやクアラルンプールFA辺りが関心を示しているのかもしれません。

フェルダUとUKMの来季参入不可は決定事項-FAM
 マレーシアサッカー協会は、メインスポンサーを失ったフェルダ・ユナイテッドFCとUKM FCから出されていた新たなスポンサーに関する資産情報や来季の経営計画ではシーズンを通してのクラブ経営が不可と判断し、来季のMリーグ参入を認めない決定を下したことはこのブログでも取り上げました。
 これについて両クラブの運営会社がFAMに決定の見直しを求めていましたが、スタジアムアストロによると、FAMは決定を再考する予定はないようです。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、両クラブに対して必要書類を用意する時間を十分に与えており、今回の決定が最終決定であることを強調しています。
 「両クラブのいう新たなメインスポンサーは年間100万リンギ(およそ2520万円)に満たない額しか用意できておらず、そういった企業あるいは個人が年間の運営費用に500万リンギ(およそ1億2600万円)は必要なクラブのスポンサーになれば、給料未払い問題が発生する可能性が十分にある。そして、FAMはそれを防ぐ立場にある。」とスチュアーと事務局長は話しています。
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 この件について同じスチュアート事務局長はFAMが特別委員会を設置して再検討を行うと話した、という別報道出ており、両クラブとも首の皮一枚つながっているといったところかも知れません。

11月2日のニュース:Mリーグは今季全日程終了、マレーシアカップの組み合わせ決定、タイ1部リーグ第11節-ノーシャルルは出場せず

Mリーグは今季全日程終了
 Mリーグは順延されていた2部プレミアリーグ第11節のクアラルンプールFA対クチンFAの試合が10月31日に開催され、これで今季の全日程を終了しました。
 同じく順延されていた1部スーパーリーグ第11節のサバFA対UITM FC戦が中止となったことで、午後5時キックオフが予定されていた試合は、午後9時に変更となりました。

10月31日(土)
マラッカ州ハンジェバスタジアム
クアラルンプールFA 0-2 クチンFA
得点者:クチンFA-ブライアン・アニゼシオ(21分)、鈴木雄太(38分)
 前節第10節に続く鈴木選手のゴール(今季通算3ゴール目)などでクチンFAが快勝しています。この結果、今季2部に昇格したばかりのクチンFAは、リーグ4位の好成績で今シーズンを終了しています。
 クチンFAの鈴木雄太選手と谷川由来選手もいずれも先発してフル出場しています。
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 新型コロナウィルスの影響でリーグが中断となるまでの4試合は0勝1分3敗で3得点6失点と2部の壁に苦しんだクチンFAですが、8月28日にリーグが再開されると、そこからの7試合は5勝0分2敗で14得点13失点、特に直近の5試合に関して12得点4失点で5連勝を飾り、内2試合は完封勝ちするなど調子を上げてきており、11月6日に開幕するマレーシアカップへ臨みます。
 また今季2020年シーズンの2部プレミアリーグ最終順位は以下の通りです。

マレーシアプレミアリーグ2020年シーズン最終順位表

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1+^ペナンFA118212481626
2トレンガヌFC II117131714322
3+^クアラルンプールFA116322114721
4+クチンFA115151719-216
5JDT II114342017315
6+ケランタンFA1153314113*15
7スランゴール2114161723-613
8ケランタンU114071319-612
9UKM FC113351117-612
10サラワクU113261416-211
11ヌグリスンビランFA113261220-811
12ペラ II111551113-28
^ペナンFAとクアラルンプールFAは2021年シーズンの1部昇格が決定しています。
+は上位5クラブに出場資格が与えられるマレーシアカップ出場権を獲得したクラブ(Mリーグ1部にトップチームを持つBチームにはマレーシアカップ出場資格はありません。)
*5位のケランタンFAは給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアカップの組み合わせ決定
 マレーシアフットボールリーグMFLは公式Facebook上で、11月6日に開幕するマレーシアカップの1回戦組み合わせ抽選の結果を発表しています。1部スーパーリーグの上位11クラブと2部プレミアリーグ5クラブ(1部にトップチームを持つセカンドチームのクラブは除く)が出場するこの大会は、11月1日にスランゴール州にあるMFL本部で組み合わせ抽選が行われました。
 MFLによって出場不可となったサバFAを除く15クラブはまずホームゲームとなるAグループとアウェイゲームとなるBグループに分けられ、Aグループには1部の上位6クラブであるJDT、クダFA、トレンガヌFC、ペラTBG、スランゴールFC、UITM FCと2部上位2クラブのペナンFAとクアラルンプールFAが入り、残りはBグループに割り振られました。そこから抽選により、以下のような組み合わせが決定しています。
<マレーシアカップ1回戦の組み合わせ(左側がホームチーム)
ペナンFA対フェルダ・ユナイテッドFC
UITM FC対ケランタンFA
ジョホール・ダルル・タジムJDT対クチンFA
クアラルンプールFA対サバFA(*但しサバFAは不出場のためクアラルンプールFAは1回戦不戦勝が決定)
トレンガヌFC対PJシティFC
ペラTBG対ケランタン・ユナイテッドFC
クダFA対パハンFA
スランゴールFC対マラッカ・ユナイテッドFC

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 上の図を見てもわかるように、昨季のチャンピオンJDTが入った左側のやぐらでは8クラブ中、JDT以外の1部クラブはUITM FCとフェルダ・ユナイテッドFCの2クラブしかおらず、もう一方のやぐらはケランタン・ユナイテッドFC以外の7クラブが全て1部クラブという、JDTにとっては何とも有利な組み合わせになっています。

タイ1部リーグ-ノーシャルルは出場せず
 タイリーグ 1部第11節の残り試合が11月1日に開催され、マレーシア代表のノーシャルル・イドラ・タラハが所属するBGパトゥム・ユナイテッドは、昨季の1部優勝チームで、日本人の滝雅美監督率いるシンハー・チェンライ・ユナイテッドと対戦し、1-0で勝利を収め開幕からの無敗記録を11と伸ばしています。
 なおノーシャルル選手はベンチ入りしたものの、出場はありませんでした。
 第11 節終了時のタイ1部リーグは、このBGパトゥム・ユナイテッドが9勝2分0敗で首位、また前日10月31日にスパンブリーFCに0-5と敗れた、マレーシア代表のドミニク・タンとモハマドゥ・スマレが所属するポリス・テロFCは10位に順位を下げています。

10月28日のニュース:スランゴールFCはトップチームの5名と契約解除、パハン州FAはスマレに対する2年間の活動停止処分を発表、未消化のMリーグ最終戦2試合はいずれもマラッカで開催が決定

スランゴールFCはトップチームの5名と契約解除
 今季2020年シーズンの国内サッカーはマレーシアカップを残すのみとなりました。Mリーグ1部の11位までのチームと2部の上位5チーム(ただし、1部リーグにトップチームが出場しているセカンドチームは除く)の計16チームが出場する大会に出場するクラブはその準備に余念がないと思いますが、その中の一つであるスランゴールFCは、マレーシアカップ前に複数の選手と契約を解除し、2部リーグのセカンドチーム、スランゴール2から複数の若手を昇格させてマレーシアカップに臨むようです。
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によると、スランゴールFCのトップチームから契約を解除されたのは、ニック・スウィラッド(29)、ファリザル・ハルン(33)、キリル・ムヒミーン(33)、アンワル・イブラヒム(21)、そしてザーリル・アズリ・ザブリ(21)の5選手です。この5選手は契約期間満了となる来月11月分の給料も支払われており、クラブの練習施設の使用許可は与えられているものの、既にチーム練習への参加はしていないということです。
 この5選手の契約解除は、スランゴール2から昇格するコソボ共和国出身のバジラム・ネビヒ(32)、クエンティン・チェン(20)、ダニアル・アスリ(19)、アキル・ファドリ(21)、シャルル・ナジーム(21)がマレーシアカップに出場するための登録枠確保が理由とされています。
 しかし、ここでこの記事を書いたファラ・アズハリ記者は、マイケル・ファイヒテンバイナー監督代行に尋ねました。「いずれも元U19代表のアンワル・イブラヒムとザーリル・アズリ・ザブリはなぜ、契約解除なのか。」
 ファイヒテンバイナー監督代行は「その件に関してはコメントしない。私は現在チームに所属する選手とマレーシアカップに集中したいからだ。」と答えたようですが、ファラ・アズハリ記者がこの質問をしたのには理由があります。それはともにアンワル選手とザーリル選手は、サティアナタン・バースカラン監督が直々に契約したからという理由で解雇されたのではないかという噂があるからです。そしてファイヒテンバイナー監督代行は先月9月のシーズン途中に解雇されたサティアナタン監督に代わり、クラブのテクニカルディレクターから監督代行に就任しています。
 またスランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会は「選手の解雇は世界中どこでもデリケートな問題である。これもサッカービジネスの一部であり、個々のケースについてコメントはしない。」というコメントを発表しています。

パハン州FAはスマレに対する2年間の活動停止処分を発表
 パハン州サッカー協会(パハン州FA)は、元所属選手のモハマドゥ・スマレに対し、契約違反を犯したとして2年間のあらゆるサッカー活動の禁止処分を発表しています。
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版によると、パハン州FAの規律委員会は、現在はタイ1部リーグのポリス・テロFCと契約しているモハマドゥ・スマレに対して懲罰対象となる4件の規律違反があったとし、あらゆるサッカー活動に関わることを2年間禁止するとしています。
 スマレ選手不在のまま開催された規律委員会で、リザル・チェク・ハシム委員長は以下の4件の規律違反を発表しています。
1. パハン州FAに無断でメディアに対して発言を行ったこと。
2. 給料未払い問題についての紛争を、マレーシアサッカー 協会FAMの紛争解決部ヘノ事前通告なしにFIFAへ直接、訴え出たこと。
3. 契約期間中にも関わらず、今年8月3日から8月28日までの練習を無断で欠席したこと。
4. 契約期間中にも関わらず、今年8月28日のMリーグ公式戦のJDT戦に参加しなかったこと。
 なおこの4件についてそれぞれに2年間のあらゆるサッカー活動禁止処分が課されるということですが、4件の処分は同時に執行されるとして計2年間の処分が言い渡されています。
 決定した処分内容はFAMへ通知され、そこから関係各所へ伝達されるということです。
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 パハン州FAによる給料未払いが今年以前からあったことを理由として、パハン州FAが運営するチームを離脱したことをメディアに向けて述べたスマレ選手に対し、パハン州FAは2年間という厳しい処分を下しています。しかし、ここで注目されるのはこの処分の正当性で、パハン州FAからこの処分を通知されたFAMがどのような対応をするのかに関心が集まりそうです。
 これまでも経営が厳しい噂が出ていたパハン州FAが、振り上げた拳の行き場に困って下した処分でないことを祈りたいです。

未消化のMリーグ最終戦2試合はいずれもマラッカで開催が決定
 Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは公式Facebook上で、順延となっていたMリーグ1部と2部の最終節第11節の2試合をいずれもマラッカ・ユナイテッドFCの本拠地であるハンジェバスタジアムで開催することを発表しています。
 順延となっていたのは1部のサバFA対UITM FC戦と2部のクアラルンプールFA対クチンFA戦の2試合で、試合はいずれも10月31日でクアラルンプールFA対クチンFA戦が午後5時開始、サバFA対UITM FC戦は午後9時開始と発表されています。
 昨日10月27日までスランゴール州、クアラルンプールそしてプトラジャの首都圏には条件付き活動制限令CMCOが施行されていましたが、マレーシア政府はこれをさらに2週間延長することを発表したため、UITM FCの本拠地でスランゴール州シャーアラムにあるUITMスタジアムと、クアラルンプールFAの本拠地のクアラルンプールフットボールスタジアムでの試合開催について危ぶまれていました。
 CMCO施行下でのスポーツの試合は延期が求められていたことから、CMCO施行地域外にあるマラッカでの開催となったようです。
 いずれの試合も新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、当初の予定から既に一度、日程と試合会場は変更されており、これが2度目の変更となりました。




 

10月27日のニュース:タイ1部リーグ第10節-タンとノーシャルルは途中出場、ポルトガル1部リーグ-サファウィはトップチーム合流へ、制限付き活動制限令延長はマレーシアカップの日程に影響なし-MFL

タイ1部リーグ第10節-タンとノーシャルルは途中出場
 タイ1部リーグは10月24日と25日に第10節が開催されました。マレーシア代表のムハマドゥ・スマレとドミニク・タンが所属するポリス・テロFCは10月25日にSCGムアントン・ユナイテッドを迎えてのホームゲームを行いましたが、1-3と敗れています。
 前節第9節はベンチ入りしながら出場機会がなかったタン選手ですが、この日は同じDFのアイザック・ホニーに代わって59分から出場し試合終了までプレーしています。またスマレ選手はクラブが課している12日間のフィットネスプログラムを終了していないということで、ベンチ入りしませんでした。
 またノーシャルル・イドラ・タラハが所属するBGパトゥム・ユナイテッドはスコータイFCとのアウェイゲームに臨み、3−2で勝利しています。前節第9節はベンチ入りしながら出場機会がなかったノーシャルル選手は、この日は同じFWのシロー・チャットーンと交代で78分から出場し試合終了までプレーています。
  第10節を終了して、開幕から無敗のBGパトゥム・ユナイテッドは8勝2分で2位のチェンライ・ユナイテッドに勝点差6をつけて首位を快走、一方のポリス・テロFCはここ5試合で3分2敗の成績で、通算成績を4勝3分3敗として8位となっています。

ポルトガル1部リーグ-サファウィはトップチーム合流へ
 ポルトガル1部リーグのポルティモネンセSCと契約した代表FWのサファウィ・ラシドは、現地時間10月24日に開催されたU23リーグのマリティモSC U23戦への出場がありませんでした。前節第5節は同じU23リーグのスポルティングCP U23戦に出場し、メディアだけでなくパウロ・セルジオ監督からも高く評価する発言があった一方で、その次の試合ではベンチ入りすらしなかったことから謎が深まっていましたが、その疑問にサファウィ選手が答えています。
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版によると、ポルティモネンセSC U23チームに内に新型コロナウィルス感染者が見つかったことから、サファウィ選手はチームとは別行動を取っていたようです。
 また、サファウィ選手はトップチームのこの翌日からトップチームの練習に参加することも明らかにしており、今週末に予定されているポルトガル1部リーグ第6節のCDサンタ・クララ戦への出場の可能性も出てきています。

制限付き活動制限令延長はマレーシアカップの日程に影響なし-MFL
 昨日10月26日のマレーシア保健省の発表では新規感染者が全国で1200名を超えるなど、連日、1日あたりの感染者数の記録を更新し続ける新型コロナウィルス。収束の気配すら見えないことから、スランゴール州、クアラルンプールそしてプトラジャヤの首都圏に施行されていた条件付き活動制限例CMCOは本日1027日を期限としていましたが、これが11月9日とさらに2週間の延長が発表されています。
 これを受けて国内リーグのMリーグ、さらに来月開催予定のマレーシアカップを主催するマレーシアフットボールリーグMFLが声明を発表し、未消化のMリーグの試合とマレーシアカップは予定通り実施予定であることを明らかにしています。
 Mリーグ1部最終節第11節の未消化試合は1部UITM FC対サバFA、同2部クアラルンプールFA対クチンFA戦がいずれも10月31日に開催予定となっている他、マレーシアカップは11月1日に組み合わせ抽選、1回戦は11月6日開幕という予定がMFLから発表されています。
 マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版は、MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、CMCOが施行されている地域に本拠地を持つスランゴールFC、クアラルンプールFA、PJシティFCそしてUITM FCについて、MFLが適切な試合会場を確保する予定であるとしています。
 「サッカーは産業であり、CMCO施行中に工場が稼働しているのと同様に、試合を続けていくべきである。」とアブドル・ガニCEOは話しています。
 新型コロナウィルス感染拡大に伴い、首都圏には10月14日より本日10月27日まで2週間の期限付き活動制限令が施行され、可能な限り出勤を控えてリモートワークを行うことが奨励されていました。しかし2週間近く経っても感染者数が減るどころか増加を続けており、昨日、この活動制限令のさらに2週間の延長が発表されました。
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 新規感染者数が1200名を超えたとはいえ、7割以上が東マレーシア(ボルネオ島)のサバ州に集中しており、首都圏ではスランゴール州で200名弱以外はクアラルンプールが10数名、プトラジャやは昨日は新規感染者が0名と、政府が数字を操作しているのではという疑惑が出るほど少ない数でした。