8月7日のニュース:18歳のルクマンがベルギー1部のクラブと5年契約で正式サイン、マレーシアの富豪はMリーグクラブの経営には興味なし、シャーアラムスタジアムの改修費用は63億円

18歳のルクマンがベルギー1部のクラブと5年契約で正式サイン
 U19代表のエースで将来は代表のエースと嘱望されているルクマン・ハキム・シャムスディンがベルギー1部リーグのKVコルトレイクと5年契約を正式に交わしました。
 クアラルンプール市内で行われた契約式は、KVコルトレイクのオーナーでもあるマレーシアの大富豪ヴィンセント・タン氏、先日まで登録されていたMリーグ2部スランゴール2を運営するスランゴール州サッカー協会のジョハン・カマル・ハミドン事務局長の他、駐マレーシアのベルギー大使も出席するなど華々しいイベントとなったようです。
 マレーシアの通信社ブルナマによれば、マレーシア人として初めてベルギーリーグでプレーするルクマン選手は、月給が2万から2万3000リンギ(およそ50万から58万円)で、住居と車が支給されるということです。
 現在、ルクマン選手は10月のアジアサッカー連盟AFC U19選手権出場に向けた代表候補合宿に参加中ですが、今月8月から開幕するベルギー1部リーグの出場に向けて、健康診断等を行うため、来週にはベルギーへ向けて出発する予定だということです。

マレーシアの富豪はMリーグクラブの経営には興味なし
 上でも紹介した通り、ルクマン選手が加入するベルギー1部KVコルトレイクは、マレーシア人実業家のヴィンセント・タン氏がオーナーです。マレーシア国内外でホテル・リゾート開発を行い、さらら保険業や宝くじ、セブンイレブンやスタバなどの国内フランチャイズも所有する複合企業ブルジャヤコーポレーションの創業者のタン氏は、KVルトレイクの他、今季はプレーオフで敗れ惜しくもプレミアリーグ昇格を逃し英国2部のカーディフシティーFCのオーナーでもあります。(ちなみにカーディフシティーの胸広告はVisit Malaysiaとマレーシア観光促進の広告です。)
 マレーシアの通信社ブルナマは、ルクマン選手の契約式でこのタン氏にMリーグクラブの買収について尋ねたようですが、タン氏は「ビジネスマンの視点で言えば、この新型コロナ禍でサッカークラブが利益を生み出すことは難しくなっている。それ以外にも、マレーシアのサッカー界には多くの良い友人がおり、そんな友人たちと競う気はない。」と語り、その予定はないとのことだったようです。
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 特に州FAが運営するクラブは、民営化を実現するために買収してくれるスポンサーを躍起になって探している最中です。大富豪のタン氏は、10年前にオーナーとなったカーディフシティFCにこれまで1億6500万英ポンド(およそ229億円)の私財を投入しているとされており、Mリーグのクラブ買収に興味がないのは金銭的な理由ではないのは明らかです。だとすれば、ビジネスマンとしてMリーグクラブの運営は利益が出ない、と判断したのかも知れません。

シャーアラムスタジアムの改修費用は63億円
 昨日のブログで取り上げたMリーグ1部スランゴールFCの本拠地シャーアラムスタジアムの改修工事ですが、ブルナマによればその費用は2億5000万リンギ(およそ63億円)ほどかかるということです。
 記者会見を行ったスランゴール州のアミルディン・シャリ州首相は、崩落の危険性が指摘されているポリカーボネート製の天井とそれを保持する鉄線の部分の交換だけで3000万リンギ(およそ7億5600万円)がかかると話し、築26年となるスタジアム全体の改修工事となると、その費用は2億5000万リンギ(およそ63億円)ほどになるだろうと話しています。
 アミルディン州首相は、最終的な改修内容は州政府が判断した上で、改修費用は州予算として計上すると話す一方、屋根の改修工事だけで少なくとも4ヶ月から6ヶ月はかかるだろうとしています。
 スランゴール州サッカー協会FASとは連絡を取り合っているとするアミルディン州首相は、スランゴールFCの来季の本拠地としてMBPJスタジアムを使うように依頼したこと、そしてシャーアラムスタジアムの開場は工事が長引けば2023年となるとも話したということです。

8月6日のニュース:シャーアラムスタジアムの改修工事は2022年に完了か、JDTにまた新たな勲章-アカデミーが国内トップの評価を受ける、ケランタン州FAはU19代表選手の父親からのクラブの買収提案を歓迎

シャーアラムスタジアムの改修工事は2022年に完了か
 シャーアラムスタジアムはMリーグ1部スランゴールFCの本拠地ですが、その老朽化により天井の一部が崩落する危険性があり、Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLはその改修が行われるまでMリーグの試合開催を禁じています。
 ホームを失ったスランゴールFCは、今月8月26日から再開予定のMリーグのホームゲームを同じスランゴール州シャーアラムにあるUITMスタジアムで開催することになっています。また、先日のこのブログでは来季2021年はやはりスランゴール州内にあるMBPJスタジアムをホームにする可能性があるという記事を取り上げましたが、それがいよいよ現実となりそうです。
 80000人以上の観衆が収容できるシャーアラムスタジアムは、国内で最大のクラブであるスランゴールFA(当時)のホームとして1994年に開場しました。
 しかし長年の使用による老朽化から、今季の開幕前にはMFLにより改修工事が終了し、観客の安全が確保できるまでは試合での使用が禁じられ、スランゴールFCは今季のホームゲーム初戦はブキジャリル国立競技場で開催しています。
 この現状についてシャーアラムスタジアムを所有するスランゴール州のアミルディン・シャリ州首相は、今年3月から予定していた改修工事が新型コロナウィルスの影響により発令された活動制限令MCOにより実行できなかったとして、改修工事はこれから始まること、そしてその工事期間として18ヶ月を予定し、その間はスタジアムを全面的に閉鎖することを明らかにしています。
 なおアミルディン州首相は、改修工事後に再開する際には収容可能な最大人数に開場できるよう、工事期間中は天井部分の修理だけでなく総合的な補修及び改修を行うと話しています。
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 新型コロナウィルスの影響で3月18日に中断したMリーグで、スランゴールFCが中断前の唯一のホームゲームを行ったブキジャリル国立競技場は、その後、MFLがMリーグのホームゲームの代替会場としての使用を禁じており、その結果、今季の残りホームゲームをUITMスタジアムで行うことになった、という経緯もあります。

JDTにまた新たな勲章-アカデミーが国内トップの評価を受ける
 Mリーグ1部を7連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTに新たな勲章です。JDTの公式Facebookページでは、JDTのアカデミーがマレーシアサッカー協会FAMよりトップの評価にあたるゴールド評価とその証書を受け取ったことを発表しています。
 このゴールド評価を受けたJDTのアリスター・エドワーズTD(テクニカルダイレクター)は、この評価はアカデミーにとって、ここまでの努力がFAMに認められたことへの喜びに加え、さらに高みを目指すためのモチベーションになると話しています。
 またJDTの本社で、このゴールド評価の証書と記念の盾をエドワーズTDに手渡したFAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は 国内の草の根レベルの育成を行うアカデミーを対象にリーダーシップ、計画性、設備、教育、草の根レベルでの試合運営の5つの点で審査した結果、JDTのアカデミーはどの面でも優れた評価を得た結果の表象であると話しています。
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 2000年代までマレーシアのサッカーを長年に渡って牽引してきたのが最初の記事で取り上げたスランゴールFA(現スランゴールFC)だとすれば、直近の10年間で国内に的なしとなったのがこのJDTと言えます。
 ジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下の豊富な財源に基づく投資と積極的な運営は、運営資金が州政府の公的補助頼りである大半のMリーグクラブを凌駕し、その結果が1部リーグ7連覇という結果になって現れています。
 JDTもかつてはジョホール州サッカー協会傘下のクラブでしたが、イスマイル殿下による民営化で成功しており、現在、FAMが各州サッカー協会に求めているクラブの民営化の成功例と言えるでしょう。
(中央左がFAMのスチュアート事務局長、中央右がJDTのエドワーズTD-写真はJDTの公式FBより)

ケランタン州FAはU19代表選手の父親からのクラブの買収提案を歓迎
 ケランタン州サッカー協会KAFAは、運営するMリーグ2部ケランタンFAに対するワン・カマル・ナピ氏の買収提案を歓迎する意思を示していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 現在行われているU19代表候補合宿にアメリカから参加しているワン・カマル・ワン・クズリの父親でもあり、アメリカ在住の大学教授でもあるワン・カマル氏は460万リンギ(およそ1億1600万円)とされるケランタンFAの現在の負債が完済されることを条件に、300万とも言われる所有権を購入したいと話しているということです。
 KAFAのフシン・デラマン事務局長はワン・カマル氏から直接の連絡は受けていないとする一方で、民営化を目指しているケランタンFAにとっては良い話であるとしています。
 「KAFAは現在、民営化後のケランタンFCを運営するTRW社の価値を評価している最中であり、それが決まりTRW社の売却が決まれば、ケランタンFCに関する460万リンギの負債はKAFAが全面的に負担する。」とデラマン事務局長は話しています。
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 別のメディアでは、ケランタンFCの売却後もKAFAが年間100万リンギ(およそ2520万円)のロイヤルティを要求しているという話があり、ワン・カマル氏は、ケランタンFCの所有権購入後もKAFAの影響が残ることを嫌っていることから、買収に躊躇しているという報道もあり、この話は一筋縄ではいかなそうです。

8月4日のニュース:ケランタン州FAに勝点剥奪処分が下る、そのケランタン州FA内部から今季リーグ戦出場辞退すべきの声も上がる、U19代表の第二次合宿開始で将来のエース二人の共演に期待が集まる

ケランタン州FAに勝点剥奪処分が下る
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、Mリーグ2部のケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAに対して、未払い給料問題の解決の遅れを理由にケランタンFAの勝点3剥奪(はくだつ)処分を課したことを発表しています。
 FAMのクラブライセンス発給を担当する第一審交付機関FIBの会合で下された処分は、KAFAが期限までにかつて在籍した選手に対して約束された未払い給料の分割支払いを行わなかったことが理由であることも公表されています。本来は4月30日を期限としたいたこの支払いは、3月18日に新型コロナウィルス感染防止に伴う活動制限令MCOが発令され、Mリーグが中断されたことなどを考慮し、FIBはその期限を7月30日まで延期されました。しかし7月30日になっても未払い給料は選手やスタッフに支払われなかったことから、FAMは当初の期限を守らなかったKAFAに対して勝点3の剥奪処分を下したとしています。
 なおKAFAは7月30日付でFAMに対して手紙を送り、支払い期限を今季2020年シーズン終了まで延長することを求めていたということです。
 さらにFIBは新たな未払い給料の支払い期限として8月31日を設定し、この期限が守られない場合には、KAFAに対しては来季2021年シーズンのMリーグに出場するために必要なクラブライセンスは発給されないとしています。
 なおFIBの会合では、KAFAの他、Mリーグ1部マラッカ・ユナイテッドを運営するマラッカ州サッカー協会MUSA、PDRM FCを運営するマレーシア王立警察サッカー協会PDRM FA、サラワク・ユナイテッドを運営するサラワク州サッカー協会FASについても議題に取り上げられ、KAFAを含めた4団体全てが内国歳入庁(日本では国税庁に相当)への滞納金があり、FASを除く3団体は従業員積立基金と従業員社会保障制度にも滞納金があることが明らかになっており、こちらの滞納金も8月31日までに完済されない場合には、来季のクラブライセンス発給に影響が出る可能性があるとしています。
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 ケランタンFAはこの勝点剥奪処分により、Mリーグ2部プレミアリーグの7位(勝点4)から10位(勝点1)に転落し、11位のクチンFA、12位のペラIIとは勝点で並び、得失差のおかげで10位となっています。この現状に加え、昨日のこのブログでも取り上げましたが、未払い給料に愛想を尽かした選手の退団が噂されているケランタンFAは、来季の1部復帰どころから、3部降格の可能性も見えてきました。

そのケランタン州FA内部から今季リーグ戦出場辞退すべきの声も上がる
 マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版は、未払い給料問題で揺れるケランタン州サッカー協会内KAFAから、8月26日再開予定のMリーグへの出場辞退の声が上がっていると報じています。
 Mリーグの各クラブは4ヶ月以上の中断を経て練習を再開し、リーグ再開に備えて準備を進めていますが、KAFAは上の記事で取り上げた未払い給料問題に加え、マレーシアサッカー協会FAMが9月30日を期限としているクラブの民営化手続きへの着手も遅れているということです。
 この状況下でKAFAのフシン・デラマン事務局長は、KAFA内の役員会の一部メンバーからは・現在抱えている問題の解決に専念し、運営するケランタンFAの今季のMリーグへの出場は辞退した方が良いのではないかという提案が出ていることを明らかにしています。
 「Mリーグに出場すれば、毎試合で移動や宿泊、安全対策などに費用がかかる。さらに今季は無観客試合で行われることから、入場料という貴重な収入を失うことになる。それならば期限が2ヶ月しか残されていないクラブの民営化と未払い給料の支払いに専念するべきだという意見が出ている。」とデラマン事務局長は語っているということです。

U19代表の第二次合宿開始で将来のエース二人の共演に期待が集まる
 8月3日から始まったU19代表候補第二次合宿では、将来の代表を背負う二人の選手の共演にサポーターの期待が高まっています。
 ベルギーのKVコルトレイクと5年契約を結んだ18歳のFWルクマン・ハキム・シャムスディンと、アメリカ育ちでアメリカ2部リーグのセントルイスFC U19でプレーする18歳のワン・クズリ・ワン・アーマドは、今回の代表候補合宿で始めてコンビを組みますが、これは多くのマレーシア人サポーターが楽しみにした共演の実現であるとマレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 第一次合宿には参加しなかったルクマン選手は、今回招集されたことに喜ぶと同時に、できるだけ早くチームに溶け込みたいと話しています。また、ワン・クズリ選手については、そのプレーは映像で見たことしかないものの、良い選手であることはわかっているので、早く一緒にトレーニングを行いたいとしています。
 「ワン・クアラ選手はU19代表に貢献してくれることは確かだが、自分自身も最終メンバーに残るために練習でも試合でも常に全力で臨みたい。新しい選手が加わることで競争心も生まれるので、そういった選手たちの参加は自分にとっても励みになる。」取るクマン選手は話しています。

8月3日のニュース:クダFA選手が未払い給料問題を正式に申し立て、クアラルンプールFAは来季はKLユナイテッドとして民営化、スランゴールFCは来季もMBPJスタジアムをホームとする可能性が浮上、ケランタンFA監督は給料未払いの状況下での選手のモチベーション低下を憂慮

クダFA選手が未払い給料問題を正式に申し立て
 マレーシアサッカー協会は、Mリーグ1部のクダFAの選手からマレーシアプロサッカー選手会PFAMに対して未払い給料に関する正式な申し立てが行われた報告を受けたことを明らかにしています。
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、この報告を受けたFAMはクダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAに対して、今月8月31日までに未払い給料の支払いを強く指示し、支払われない場合には来季2021年シーズンのMリーグに出場するライセンスがKFAに発給されない可能性があるとしてます。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、2月からの5ヶ月間、給料が支払われていないとするクダFAの選手23名の連記による申し立てがPFAMになされ、PFAMからFAMに正式に報告されたと話しています。
 スチュアート事務局長は、未払い給料問題が8月31日までに解決しない場合には、この問題はPFAMからFAMの案件となり、来季2021年シーズンのMリーグ出場のためのライセンス発給に影響が出ることは必至であると話しています。
 さらにスチュアート事務局長は今季のFAカップが新型コロナウィルスの影響で中止となったことから、昨季のFAカップ優勝チームのクダFAが来季2021年のアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ予選に出場資格を得たことを発表した上で、給料未払い問題の解決が遅れれば、FAMはこのACL予選の出場権剥奪も検討するとしています。
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 これまでメディアでは公然の事実として語られながら、正式な申し立てが行われていないことから対処のしようがないとスチュアート事務局長が繰り返してきたクダFAの未払い給料問題がいよいよ解決に向けて動き出したようです。
 その一方で別のメディアでは、3名の外国籍選手が弁護士を立てて8月14日を期限とした未払い給料の支払いを求め、それが実現しない場合には退団も辞さないという報道もあり、8月31日とされる期限を前に今後の展開が注目されます。

クアラルンプールFAは来季はKLユナイテッドとして民営化
 Mリーグ2部のクアラルンプールFAを運営するクアラルンプールサッカー協会KLFAは、9月30日の期限までにクラブの民営化を完了し、2年後を目処にKLFAから完全に独立したクラブチームとすることを目指していると、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 KLFAのノクマン・ムスタファ事務局長は、来季のMリーグ1部および2部への出場だけでなく、AFC主催大会に出場するためにはクラブの民営化が条件となっていること挙げ、民営化されたクラブをKLユナイテッドと名付けると発表しています。
 またマレーシアサッカー協会FAMのクラブライセンス担当部署への問い合わせの結果、KLFAから完全に独立したクラブとするための期間としてして2年の猶予が与えられているとして、この間に企業スポンサーなどを獲得し、クラブにおけるKLFAの持ち株を放出すると話しています。
 「クラブの民営化後もKLFAは運営会社を設立するまで、クラブの主要株主として関与するが、同時に新たなクラブへの投資を希望する企業を獲得できるよう努めていく。まずは民営化クラブとして歩き始め、5社から6社のスポンサーを獲得するというのがKLFAが現在考えているプランである。」とノクマン事務局長は述べています。
 またMリーグ1部のペラTBGを運営しているペラ州サッカー協会PAFAのアズリン・ナズリ名誉理事は、「民営化を行わなければ、ペラTBGは(Mリーグ3部の)セミプロリーグでプレーすることになるが、そうするわけにはいかないので、期限の9月30日までには民営化手続きを完了したい。」として、今週に予定されているPAFAの総会で民営化についての計画を発表するとしています。

スランゴールFCは来季もMBPJスタジアムをホームとする可能性が浮上
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版は、Mリーグ1部スランゴールFCが来季のホームゲームをスランゴール州プタリンジャヤにあり、同じ1部のPJシティFCのホームであるMBPJスタジアムで開催する可能性があると報じています。
 スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督は、スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASがMBPJスタジアムを来季のホームとすると決定した場合には異論はないと話しています。
 この発言は数日前にFASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長が、本来の本拠地であるシャーアラムスタジアムで行われる予定の改修工事の終了時期が定かではないことから、来季のスランゴールFCのホームゲームの開催地としてMBPJスタジアムを候補に挙げた発言を受けてのものです。
 なおスランゴールFCは、Mリーグを運営するマレーシアフットボーリーグMFLが崩落の危険のある天井の修理が終わっていないシャーアラムスタジアムの使用を禁じていることから、8月26日に再開する今季Mリーグの残りのホームゲームを全てMBPJスタジアムで開催することを発表しています。
 サティアナタン監督は(収容観客数が8万人の)シャーアラムスタジアムに比べ、公称2万5000人収容のMBPJスタジアムでは、サポーターが入りきれない可能性があると述べる一方で、来季2021年シーズン開幕時にシャーアラムスタジアムの改修が終わっていない場合の代案を用意しておく必要があると述べています。

ケランタンFA監督は給料未払いの状況下での選手のモチベーション低下を憂慮
 マレーシア語紙コスモ!電子版によれば、Mリーグ2部ケランタンFAのユスリ・チェ・ラー監督は、過去4ヶ月以上に渡って給料を支払われていない選手やスタッフのモチベーション低下を心配していると話しています。
 先週7月31日はイスラム教の重要な祭日であるハリラヤ・アイディルアドハ(ハリラヤ・ハジ)でしたが、ユスリ監督はこの祭日を祝えるよう、せめて半月分の給料を全員に支給してくれるようにとケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAに掛け合ったということですが、それも聞き入れられず、質素な祝事しかできなかったことを明らかにしています。なおKAFAはユスリ監督の依頼を受けた後で、わずかな金額を支給したということですが、祝辞の準備にすら足りない額だったとユスリ監督は述べています。
 この件については、ケランタンFAのファリシャム・イスマイル主将も自身のインスタグラムでKAFA経営陣への失望をあらわにしていたということで、ユスリ監督は受け取った金額は明らかにできないとしながらも、ファリシャム主将があらわにした失望から推し量れるだろうと話しています。
 ケランタンFAは8月26日のリーグ再開に向けて、7月22日より練習を再開し、ユスリ監督は経営陣に全額ではなくとも一部給料を支払うための話し合いを続けているということですが、選手の精神状態を考えると、リーグ再開後に全員が全力でプレーできるのかどうかが心配であると述べています。
 渡邉将基選手が所属するケランタンFAは、リーグ中断前には3試合で1勝1分1敗の7位につけており、他のチームに先駆けて8月22日に雷雨で中止となった第2節のUKM FCとの試合でリース再開後の初戦に臨みます。
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 ケランタンFAは新型コロナウィルス感染防止のためのリーグ中断中に韓国出身のカン・サンジョ(康承助)選手が退団していますが、カン選手に続いて退団したという複数のマレーシア人選手の名前もネット上で見られます。KAFAはこれを否定していますが、8月22日の対UKM FC戦のメンバーがリーグ中断前とは大きく変わっている可能性もあります。

8月2日のニュース:二度目の検査で陰性反応もクチンFAの今季Mリーグ参加は再開直前まで確定せず、クダFAのエースは月給が300万円超えではないと明言、9月末の期限までに民営化しないクラブは来季は3部降格も

二度目の検査で陰性反応もクチンFAの今季Mリーグ参加は再開直前まで確定せず
 先日このブログでも取り上げたMリーグ2部クチンFAの選手5名が新型コロナウィルスの綿棒検査で陽性となった件ですが、その後、新たな進展があり、改めて行われた血液検査ではこの5名全員が陰性となっています。
 クチンFAのイスワンディ・アリ・ハサン事務局長は、この5名の選手は、3度目の検査を控えて現在は自宅隔離中だと明かした上で、状況が悪化し、Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLがリーグ出場辞退を求めた場合はそれを受け入れる用意があると話していることを、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 自宅隔離中というイスワンディ事務局長は「我々自身でリーグ出場辞退を申し出たくはないが、もしMFLからそのような依頼があれば、他のクラブに問題が及ばないよう、その依頼を受け入れる予定がある。」と話しています。
 なお現在のチームの状況は、8月8日までは選手及びスタッフ全員が自宅隔離となっており、選手は活動制限令MCO発令時と同様に各自が自宅でトレーニングを行なっているということです。
 またMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOはMリーグ再開となる8月26日の1週間前に、再度クチンFAの選手とスタッフの健康状態については検査を行い、その結果を理事会に諮って最終決定を下す予定であることを発表しています。
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 昨日8月1日の時点で678名の感染者が確認されているサラワク州ですが、州政府は現在、マレー半島からボルネオ島にあるサラワク州に入る場合には14日間の隔離措置を課しており、この措置が今後も続くとクチンFAのMリーグ出場の障害になる可能性も浮上しています。8月26日から短縮日程で再開されるMリーグ1部と2部は試合の間隔が詰まっており、最大でも7日間しかなく、クチンFAは再開初戦となる8月26日の第5節はホームゲームですが、第6節9月2日はペラIIとの試合はマレー半島でのアウェイ、そこから4日後の9月6日の第7節はホームでサラワク・ユナイテッドと「サラワクダービー」が控えています。

クダFAのエースは月給が300万円超えではないと明言
 マレー語紙ブリタハリアン電子版によると、Mリーグ1部クダFAのエースストライカーでリベリア出身のクパ・シャーマンは、自分の月給が12万5000リンギ(およそ311万円)ではないことを明らかにしています。
 過去5ヶ月間の給料が未払いとなっているクダFAですが、この6月にクダFAを運営するクダ州サッカー協会の新会長に就任したムハマド・サヌシ・ムハマド・ノー州首相が給料未払いは前経営陣の責任であると非難し、その中で月給12万5000リンギの選手と契約するなど予算を遥かに超える放漫経営だったと発言しました。
 これを受けてネット上ではこの高額取りは誰か、という「魔女狩り」が始まり、今季クダFAへ移籍してきた昨季のリーグ得点王のシャーマン選手ではないか、という声が上がっていましたが、これに対してシャーマン選手はこれを否定しています。
 「当初はこの件についてコメントする気はなかったが、自分の月給が12万5000リンギであるという噂が一人歩きし始めたので、これが真実ではないことを明らかにしたい。また、こういった噂を発した人物は、まず真実かどうかを確かめた上で発言するべきだ。」「たとえ実際にこのような金額を受け取っている選手がいるとしても、給料をメディアや大衆に公表することは、職業倫理に反することである。」とシャーマン選手は述べています。
 またシャーマン選手は5ヶ月間続いている給料未払いについて、給料未払いは我々選手だけでなく、その家族にも影響が及ぶことに加え、これ以上クラブが悪く見られることを避けるためにも、責任を負うべきものが直ちにこの問題の解決に取り組むべきだと話しています。

9月末の期限までに民営化しないクラブは来季は3部降格も
 マレーシアサッカー協会FAMは。9月30日に設定されている期限までに民営化されなかったクラブに対して、来季2021年シーズンをMリーグ3部降格処分を下す可能性があると、ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 FAMの民営化特別委員会のフィルダウス・モハマド委員長は、これまで民営化が完了しているのは6クラブのみであり、現在手続きを行っているのは8クラブであることを明らかにしています。
 民営化が完了しているのは1部のジョホール・ダルル・タジムJDT、PJシティFC、2部のサラワク、ヌグリ・スンビラン、3部のマレーシア国軍FC、現在はリーグに参加していないプルリスの6クラブということです。(注:2019年までMリーグ所属のプルリスFAを運営していたプルリス州サッカー協会は給料未払い問題が未解決のため、その運営クラブのリーグ参加が認められていません。)
 民営化クラブ(FC)の設立は、Mリーグ1部と2部に運営クラブが所属する20団体(1部のJDT、スランゴールFC、ペラTBG、トレンガヌFCの4クラブはBチームが2部に所属)およびマレーシア国軍、プルリス州FAに求められており、各州サッカー協会(州FA)が運営するクラブは民営化に加え、州FAから完全に独立した存在となる必要があります。またJDTやPJシティFCのように既に州FAから独立して運営されているクラブについては民営化が求められています。
 またフィルダウス委員長は民営化手続きを始めていないクラブとしてMリーグ1部ではクダ、ペラ、サバ、マレーシア王立警察PDRM、パハン、UITM FC、2部ではクアラルンプールの名を挙げる一方で、このうちの5つのクラブはFAMが支援を行なっていることも明らかにし、期限までは2ヶ月しかないことを警告した上で、期限内に民営化が完了しないクラブは来季はMリーグ3部のM3リーグからスタートする可能性にも言及しています。
 この民営化促進はアジアサッカー連盟主導のものであること、そしてマレーシアは東南アジアの他国に比べると遅れを取っていることも明らかにしたフィルダウス委員長は「この民営化を実施することにより、負債を抱えた後、それを残したまま運営から手を引く無責任な運営団体を根絶することができ、さらに優良なスポンサーを集めることになる。」として、Mリーグのクラブで拡大している未払い給料の問題の解決にもつながると話しています。

7月30日のニュース:U19代表候補二次合宿のメンバーが発表、Mリーグの今季残り試合の日程発表、試合会場が用意できなかったPJシティFCに制裁金

U19代表候補二次合宿のメンバーが発表
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイトにて、FAM本部グラウンドで8月3日から4週間の予定で行われるU19代表候補二次合宿の参加メンバー30名を発表しています。
 二次合宿には7月26日に終了した一次合宿35名から残った26名に、FAMと青年スポーツ省が運営する国家サッカー選手養成プログラムNFDPのエリートアカデミーAMDのU17チームからGKシャミ・アディブ・ハイカル・モハマド・シュクリ、MFジアド・アル・バシール・ノーヒシャム、トレンガヌFCのGKアーマド・イルファン・イブラヒム、そしてベルギー1部リーグKVコルトレイクと契約したルクマン・ハキム・シャムスディンの4名が加わります。また、参加が危ぶまれていたアメリカ出身のワン・クズリ・ワン・カマルも二次合宿への参加が発表されています。今回の30名のリストはこちらです。なおこのブラグでも取り上げたドイツ出身のベックラー兄弟は今回の30名には含まれていません。
 U19代表のブラッド・マロニー監督は今回の合宿でも選手の評価と選考を続け、最終メンバー23名を決めたいと話しています。
 U19代表は10月にウズベキスタンで開催されるアジアサッカー連盟AFC U19選手権に出場し、予選グループDでタジキスタン、カタール、イエメンととタシュケント郊外のオルマリクにあるFC AGMKのホームAGMKスタジアムで対戦します。またこの大会の上位4チームは来年2021年にインドネシアで開催されるFIFA U20W杯への出場権を獲得します。

Mリーグの今季残り試合の日程発表
 国内リーグMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは、8月26日から再開される今季2020年Mリーグ1部と2部の試合日程を公式Facebook上で発表しています。
 第4節を終えて中断となっていた1部、2部とも8月26日に第5節から再開し、26日に3試合、翌27日に3試合が予定されています。また最終節となる第11節は9月22日と23日に1部、2部とも3試合が行われるなど、4週間で7試合を消化して今季が終了します。また中断前の日程のうち、延期となっていた1部のトレンガヌFC対PJシティFCと、2部のケランタンFA対UKM FCの試合は、この日程に先駆けて8月22日に開催されます。なお全ての試合は無観客で行われます。
 この他、暫定ルールとして5人の選手交代が可能となる一方で、交代機会はフルタイムで3回、延長で1回、前半と後半の間で1回となることや、今季終了後の1部から2部への降格と、2部から1部への昇格は従来通り、2チーム降格、2チーム昇格となることも発表されています。
 また現在、新型コロナウィルス感染者数が増加傾向にあるサバ州とサラワク州に状況についてはMFLは監視を続けていくとしています。

試合会場が用意できなかったPJシティFCに制裁金
 マレー語紙ブリタハリアン電子版は、3月14日に予定されていたMリーグ1部第4節でホームチームながら試合会場を用意できなかったPJシティFCに3万リンギ(およそ74万円)の制裁金が課されたことを報じています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOはこの処分について先月の理事会で決まったものだと話し、制裁金の他、PJシティFCには厳重な注意と警告が与えられたと話しています。
 ガニCEOは試合会場に関する問題を軽視するべきではないことを、全てのMリーグクラブに示すための処分でもあると話して、このような事態は関係者全員が被害を被るだけでなく、試合日程を作成するMFLにとっても迷惑であると話しています。
 この3月14日の試合は、PJシティFCの本拠地MBPJスタジアムの改修が予定日までに終わらなかったため使用できず、代わりとなる周辺のスタジアムを探したものの空きが見つかりませんでした。そこでさらにPJシティFCはこの試合をトレンガヌFCの主催試合としてトレンガヌFCの本拠地スルタンミザンザイナルアビディンスタジアムでの開催を提案したものの、トレンガヌFCは航空券や宿泊など移動の手配を済ませていたことから、PJシティFCの提案を受け入れることができず、結局、試合は延期となりました。

7月28日のニュース:マレーシアがACLグループステージの開催地に決定、クダ州協会新会長-未払い給料問題解決のために州政府からの補填は行わない

マレーシアがACLグループステージの開催地に決定
 アジアサッカー連盟AFCの公式サイトでは、AFCチャンピオンズリーグACLのグループGとHの開催地としてマレーシアが決定したことを発表しています。
 新型コロナウィルス感染拡大により日程が大幅に変更となったACLは、各グループの残り試合を一か所で集中的に開催することは既に発表になっていましたが、Mリーグ1部の覇者としてACLに出場中のジョホール・ダルル・タジムJDTが所属するグループGとグループHの残り試合の開催地がマレーシアに決定したということです。
 グループGにはJDTの他、ヴィッセル神戸、広州恒大淘宝FC(中国)、水原三星(韓国)が、またグループHは横浜F・マリノス、上海上港FC(中国)、全北現代モーターズFC(韓国)、シドニーFC(オーストラリア)が所属しています。
 10月17日から11月1日までの予定で開催されるこのグループステージに加え、マレーシアではグループGとHの上位2クラブによるノックアウトステージとなるベスト16の2試合(11月4日)、ベスト8の2試合(11月25日)、ベスト4の1試合(11月28日)も合わせて開催されることが発表になっています。なお、今季のACLではノックアウトステージが従来のホームアンドアウェイ形式から一発勝負となっています。
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 このACL開催については、締め切り直前にマレーシアサッカー協会FAMが開催権獲得に名乗りを上げたことが、AFCの公式サイトでも明らかにされています。現在、マレーシア国内ではJDTのホーム、スルタン・イブラヒムスタジアムが国内では最高のスタジアムですが、JDTがACLに出場していることで、JDTの本拠地での開催はないでしょう。となれば次の候補はクアラルンプールのブキジャリル国立競技場での開催の可能性が高くなります。もしブキジャリル国立競技場で開催され、新型コロナウィルスの観戦が収まり観客を入れての試合となれば、東アジアのトップクラブの試合を是非、観戦したいです。

クダ州協会新会長-未払い給料問題解決のために州政府からの補填は行わない
 Mリーグ1部のクダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAの会長に就任したムハマド・サヌシ・モハメド・ノー州首相は総額が1060万リンギ(およそ2億6200万円)とされる未払い給料やその他の負債について、その返済のために州政府は補填は行わないと話しています。
 7月に就任したサヌシKFA会長は、KFAは新たなスポンサーを獲得のための交渉を行なっており、州民のために使われるべき州政府の予算を未払い給料支払いに充てるつもりはないと話していますが、具体的に交渉中とされる企業の名前は明かしていないということです。
 クダFAの選手矢監督、コーチは過去5ヶ月間の給料が未払いになっている他、国民年金にあたる従業員積立基金やクラブが負担する所得税の支払いも滞っているということです。
 サヌシKFA会長は未払い給料問題は、実際には昨年から続いており、前クダ州知事でもあるムクリズ・マハティール前KFA会長率いる経営陣による収支を無視した運営が原因だと指摘し、現状改善のための会合を8月3日に開くとしています。
 「KFAに抜本的な改革が必要となれば、改革を行い、選手の給料を削減する必要があるとなれば、削減案を提示するつもりである。KFAの前経営陣はなぜ月給12万5000リンギ(およそ310万円)を払って選手と契約したのが理解できない。身の丈にあった経営が全くできていなかったということだ。」と話すサヌシKFA会長は、昨年から続いた未払い給料問題が、自身の就任に合わせるように表面化した野には何か理由があるのだろうと語っています。
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 中央政府での政変の影響を受け、今年の5月にクダ州首相に就任したサヌシ氏は、これまでの州首相と同様にKFA会長にも就任しましたが、最初に直面したのがこの未払い給料問題でした。そのためこの未払い給料が単なるサッカーの問題ではなく、クダ州議会でもそれまでの野党が選挙も経ずに一夜のうちに与党になってしまったことから、前経営陣(前政権)を叩くのには好都合な政治的な攻撃の材料になっているのかも知れません

7月27日のニュース:スランゴールFCのエースは未だチームに合流できず、ペナン州協会は5000万円を超える未払い給料を完済、代表監督は11月にもう1試合練習試合を希望

スランゴールFCのエースは未だチームに合流できず、
 Mリーグ1部スランゴールFCはチームの得点王が未だチームに合流できていないと、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 Mリーグ再開予定の8月26日までちょうど1ヶ月となり、各クラブが試合に向けて練習のペースを上げる中、今季4試合で3得点を挙げているスランゴールFCのイフェダヨ・オルセグンは帰国中のナイジェリアから出国できていないということです。
 活動制限令MCOが発令された後に母国に戻ったオルセグン選手は、ナイジェリア政府が自国民の出国を制限していることから、国内で足止めを食らっており、マレーシアへ戻る予定は決まっていません。.
 昨季2019年シーズンの途中でスランゴールFCに加入しながら12ゴールを挙げ、チームの得点王に輝いたオルセグン選手の合流が遅れれば、リーグ中断時点で6位のスランゴールFCは、今季の目標である上位3位以内に入ってアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ、あるいはAFCカップの出場が危ぶまれることになります。

ペナン州協会は5000万円を超える未払い給料を完済
 Mリーグ2部のペナンFAを運営するペナン州サッカー協会FAPは、総額1200万リンギ(およそ5110万円)の未払い給料を完済したと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 PFAのアマル・プリトパル・アブドラ会長は、今年4月から6月までの選手及びスタッフに対する未払い給料の支払いは今月から始まっており、この未払い給料問題が解決したことで、チームは8月26日に再開予定のMリーグに集中できるだろうとと話しています。
 今季のMリーグ2部では昇格圏の2位以内を目指しているペナンFAですが、リーグ中断までの4試合では2勝2分と首位のトレンガヌFC IIとは勝点差が4の3位につけています。この日、練習を視察したペナン州のチョウ・コンヨー州首相と会談したアマル会長はリーグ再開後もシーズン当初のパフォーマンスを維持できれば、2017年シーズン以来となる来季のMリーグ1部昇格も可能だと話しています。

代表監督は11月にもう1試合練習試合を希望
 10月に再開されるFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼アジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ2023年大会予選を前に、マレーシア代表はクウェート代表との練習試合を予定していますが、代表のタン・チェンホー監督は少なくとももう1試合の練習試合を希望していると、マレー語紙コスモ電子版が伝えています。
 10月8日に行われるアウェイのアラブ首長国連邦UAEとのW杯予選を前に、マレーシアは10月2日にバーレーンのマナマで、また11月にはホームのブキジャリル国立競技場でクウェートと練習試合を行う予定ですが、タン監督は11月にもう1試合の練習試合を希望しているということです。
 なおマレーシアのW杯アジア二次予選の日程は、10月8日のUAE戦の後は10月12日にホームでのベトナム戦、そして11月17日には二次予選最終戦となるアウェイのタイ戦と続きます。
 タン監督によれば、9月24日からの開始が予定されている代表候補合宿から10月いっぱいまでは日程的に余裕がないものの、FIFAの国際マッチデーとなっている11月2日から11日は予定が入っていないとして、ここにもう1試合の練習試合を組むことが可能だとしています。
 「この(11月2日から11日の)期間にはクウェート戦が予定されているが、)W杯アジア二次予選となる)タイ戦はアジア三次予選に進めるか否かがかかる試合になる可能性があるため、できる限りの準備を行った上で臨みたい。そのためにもこの期間にもう1試合の練習試合をマレーシアサッカー協会FAMに依頼している。」とタン監督は話しています。

7月25日のニュース:クチン FAの選手から新型コロナウィルスの陽性反応、ベックラー兄弟はU19代表の秘密兵器となるか、今季終了後の1部と2部の入れ替えは従来通り実施

クチン FAの選手から新型コロナウィルスの陽性反応
 Mリーグ2部クチンFAは公式Facebook上で、選手の一人から新型コロナウィルスの陽性反応が出たことを発表しています。
 この選手はクチン市内のセントサ病院に勤務しており、この病院で発生したクラスターで感染した可能性があるということです。
 クラブ内で新型コロナウィルスの感染者が出たことにより、クチンFAは練習を中止し、選手やその他の関係者の安全のため、当局の指示に従った対応を取るとしています。
 最初の感染者が7月19日に確認されたこの「セントサ病院クラスター」は、これまでに61人が検査を受け、16人に陽性反応が出ているということですが、その感染経路は現在も不明ということです。

ベックラー兄弟はU19代表の秘密兵器となるか
 マレーシアの通信社ブルナマは、ドイツ出身のベックラー兄弟がマレーシアU19代表の次回の合宿に参加する可能性があると報じています。
 17歳で左サイドバックのジョシュア・ヨハン・ベックラーは、ドイツ6部リーグのロートヴァイス・フランクフルトに所属していますが、ドイツ国内では期待の若手という評価を集めているということで、ドイツ国内のクラブ以外からも練習参加の誘いなどを受けているということです。
 ジュリアン選手は「自分はスピードのある左サイドバック、あるいは左ウイングとされているので、U19代表に招集されることがあれば、そのスピードでゴールを量産したい。」と話しています。
 一方18歳でゴールキーパーのジュリアン・ヨハン・ベックラーは、昨年2019年7月ににジョホール・ダルル・タジムJDTと既に契約を交わしており、JDTのU21チームであるJDT IIIに加入が予定されています。
 このジュリアン選手は、ボジャン・ホダック前監督が指揮を取っていたU19代表候補合宿に参加経験がありますが、その時にはまだマレーシア国籍を取得しておらず、代表チームに加わることができませんでした。
 ジュリアン選手は、晴れてマレーシア国籍を取得したことから、8月3日から予定されているU19代表候補第二次合宿に兄弟揃って招集されることを希望しており、もしそうなれば、ブラッド・マロニー監督やチームメートに自分の実力を披露して、高い評価を得たいとしています。

今季終了後の1部と2部の入れ替えは従来通り実施
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、Mリーグの1部と2部の入れ替えは従来どおり行われるということです。
 新型コロナウィルス感染拡大により第4節終了後に中断に入ったMリーグは、従来のホームアンドアウェイ形式から1回戦総当たりとなり、試合数が半減して再開しますが、リーグ終了後の入れ替えについては、1部スーパーリーグの11位と12位のクラブが降格し、2部プレミアリーグの1位と2位((1部のBチームは除く)が昇格するという従来通りの方式で行われることを、Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOが明言しています。
 また、今季は既に中止が決定している3部M3リーグと2部プレミアリーグの間の昇格と降格についてガニCEOは、来季から3部を運営するマレーシアサッカー協会FAMがM3リーグから2部へ昇格する2クラブを選び、2部の11位と12位が降格する方式になると話しています。

7月24日のニュース:スランゴールFCは今季のシャーアラムスタジアムでの試合開催を断念、W杯で対戦するUAEが新監督就任を発表

スランゴールFCは今季のシャーアラムスタジアムでの試合開催を断念
 サッカー専門サイトのGoal. comは、Mリーグ1部のスランゴールFCが8月26日のリーグ再開後は老朽化の進むシャーアラムスタジアムでの試合を開催しない予定であると報じています。
 スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、現在中断中の今季2020年シーズンが8月26日に再開されても、これまで本拠地として使用してきたシャーアラムスタジアムではホームゲームを開催しない予定であるとGoal. comに語っています。
 スランゴールFCは同じMリーグ1部のUITM FCが使用するUITMスタジアムを、またスランゴールFCのBチームであるMリーグ2部のスランゴール2は同1部のPJシティFCが使用するMBPJスタジアムで今季のホームゲームを開催するということです。
 シャーアラムスタジアムはMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLより、その一部が崩落する可能性がある屋根の修理などが完了するまで使用許可が下りないとされており、リーグ中断前のホームゲームではブキジャリル国立競技場でホームゲームを開催しています。
 FASのハミドン事務局長は「シャーアラムスタジアムの所有者であるスランゴール州政府は修理費用や修理にかかる期間などが明らかにしておらず、リーグ再開後にホームゲームの開催地を変更となれば、チームが試合に集中できなくなる恐れがあることから、今季はシャーアラムスタジアムの使用を断念した。」と話しています。
 また来季2021年シーズンにはシャーアラムスタジアムを再び本拠地とするかどうかについて問われたハミドン事務局長は、スタンゴール州政府による修理工事の予定次第だとし、長期間かけて修理が行われる場合には、来季もシャーアラムスタジアムでのホームゲームは行わない可能性も示唆しています。
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 1994年開場のシャーアラムスタジアムは最大収容人数が8万人の巨大スタジアムです。柿落としとして開かれた大会にバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、リーズ・ユナイテッド(英国)、フラメンゴ(ブラジル)などを招くなど華々しく開場し、その後もその規模に沿った観衆を集めましたが、近年は通常のリーグ戦なら観衆が1万人を切ることも少なくありません。
 またスタジアムの屋根とともに問題とされるのがピッチの状態の悪さです。雨が多いマレーシアではやむを得ないことなのでしょうが、試合前にスコールに見舞われるとその後はピッチに水が浮くことがしばしばあり、水が引いても田んぼの様な状態です。
 使用するスランゴールFCは改善を求め、管理するスランゴール州政府は現状をよしとして修理を放置するなど、両者の間に明らかに温度差があることから、サッカーのレベルアップという観点から言えば、スランゴールFCはシャーアラムスタジアムを出て、別の本拠地を考えるという選択肢も個人的にはアリだと思います。

W杯で対戦するUAEが新監督就任を発表
 10月に再会が予定されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選でマレーシアと同組のアラブ首長国連邦UAEに新監督就任が発表されています。
 UAEの英字紙ザナショナル電子版は、UAEサッカー協会がコロンビア出身のホルヘ・ルイス・ピント新監督の就任を発表したことを報じています。ピント監督は母国の小rんビア代表監督の経験がある他、2014年のブラジルW杯ではコスタリカ代表監督としてチームをベスト8に導き、その後に就任したホンジュラス代表監督では兼任したU23代表監督としてチームを2016年のリオオリンピックでベスト4に導くなどの実績があります。
 予選グループでは、消化試合数は1試合少ないもののベトナム、マレーシア、タイの東南アジア勢に続く4位と低迷するUAEをアジア三次予選に導くことが求められているピント監督は今週、UAE入りし、早速行われた記者会見では自らを最も情熱的なサッカーコーチであるとし、事前に映像を取り寄せて代表選手たちについての研究ができていること、そしてまずは守備の強化に着手したいことなどを話し、来週からボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボで行われる3週間の合宿で選手の力量を正確に把握したいとしています。
 W杯予選再開初戦で、マレーシアはこのピント新監督率いるUAEと10月8日にUAEのホームで対戦します。
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 UAEはW杯予選開始の際に指揮を取っていたオランダ人のベルト・ファン・マルワイク前監督を成績不振を理由に昨年2019年12月に解任、さらにその後に就任したセルビア人のイヴァン・ヨヴァノヴィッチ前監督を1試合も試合をしないまま解任しており、このピント監督はこの3年間で6人目のUAE代表監督です。
 マレーシア代表はW杯予選再開後の初戦となる10月8日にこのピント新監督率いるUAEとで対戦しますが、まだ代表候補合宿どころか、国内リーグの各クラブですら練習試合を行えない状況です。一方、UAEは新型コロナウィルス感染の影響で国内リーグの今季中止が既に決定しており、むしろ国内リーグに気兼ねすることなく上記の通り代表強化合宿が行われます。