1月9日のニュース(1):U22代表の候補選手が発表

マレーシアフットボール協会(FAM, Football Association of Malaysia)は、本日1月9日から始まる強化合宿に招集するU22代表候補選手を発表しています。(リンク先の記事はマレー語です)。今回の合宿は、2月17日から3月2日まで開催されるAFF(アセアンサッカー連盟)のU22選手権、さらには3月22日から26日にクアラルンプールで開催される2020年のAFC U23選手権の予選へ向けての強化合宿です。AFF U22選手権ではマレーシアは開催国カンボジア、インドネシア、シンガポール、ミャンマーのいるB組に、AFC U23選手権予選では予選J組に入り、中国、フィリピン、ラオスと同組になっています。初めて開催されるAFF U22選手権で好成績を収め、続くAFC U23選手権予選へ弾みをつけたいところです。

2020年のAFC U23選手権は東京オリンピックのアジア予選も兼ねており、上位3チームに入れば、東京オリンピックへの出場権も獲得できます。(開催国枠を持つ日本が上位3位に入れば、準決勝進出で出場権獲得となります。)ソ連によるアフガニスタン侵攻のため、参加をボイコットした1980年のモスクワオリンピック以来の出場を目指すには、予選を突破して本選に参加し、さらにグループステージ突破が目標となります。

2018年のAFC U23選手権でベスト8まで進んだマレーシアは、日本、韓国、ベトナム、北朝鮮とともに第1シードになり、これらの国とのグループステージでの対戦は避けられましたが、J組のメンバーを見てもグループステージ突破は簡単ではありません。グループ1位は難しいとしても、2位の上位4チームにまで(U23選手権の開催国であるタイがグループ1位を取れば、2位の上位5チームまで)に与えられる本選出場権を目指すことになりそうです。

またAFC U23選手権の後には東南アジア競技大会、通称SEA Gamesも控えています。昨年ジャカルタで開催されたアジア競技大会がアジア版オリンピックだとすると、2年毎に開催される東南アジア競技大会は東南アジア版オリンピックとも言えるこの地域最大のスポーツイベントです。前回2017年大会はマレーシアが開催国となったものの、サッカーの決勝はタイに0-1と苦杯を喫しているので、今回の開催国フィリピンではなんとしても金メダルを狙いたいところです。2019年は前半がAFC U23選手権予選、後半がSEA Gamesというのがこの年代の重要な目標です。

<U22代表候補選手(カッコ内は所属チーム)>
*#^ニック・アキフ・シャヒラン・ニック・マット MF
ムハマド・ダニアル・ハキム・ドラマン MF
モハマド・シャルール・ニザム・ロス・ハスニ DF
^ムハマド・シャイフル・アリアス DF
アフィック・サラウディン FW
ムハマド・ジャズアエルール・ジャスミ FW(以上クランタン)
*ダニエル・アミール・ノーヒシャム MF
^ムハマド・ザリル・アズリ MF
^ムハマド・アズリ・アブ・ガニ GK
アザルル・ナザリス・アズハ DF(以上フェルダ・ユナイテッド)
ダミアン・リム・チェンカイ GK
アリフ・アル・ラシド・アリフィン MF
*ムハマド・ジャフリ・チュウ FW(以上PKNS)
アリウスディウス・ジャイス FW
エバン・ウェンスリー・ウェンセスラウス DF
ジョーダン・オレンショウ MF(以上サバ)
#*コジレスワラン・ラジ FW
#モハマド・ファイサル・アブドゥル・ハリム FW(以上パハン)
モハマド・ハリズ・カマルディン DF(JDT II)
モハマド・ファズルル・ダネル・モハマド・ニザム DF (クダ)
ムハマド・ダニシュ・ハジック・サイプル・ヒシャムDF(ヌグリ・スンビラン)
ムハマド・ナジルル・アフィフ・イブラヒム DF(ペラ)
ムハマド・アミルル・ハジック・ロスミザル DF(スランゴール)
ムハマド・イザン・シャミ・ムスタパ FW(トレンガヌ)
カトゥル・アヌア・モハマド・ジャリル GK(KL)
*は2018AFC U23選手権のメンバー、#印は2018アジア競技大会のメンバー、^印は2018AFF U19選手権のメンバー

この強化合宿参加メンバーは1月13日から19日までタイのバンコクへ遠征し、練習試合を3試合(1月14日対バンコク・グラス、1月16日対アーミー・ユナイテッド、1月18日対アユタヤ・ユナイテッド)行います。U22を指揮するオン・キムスイ監督の談話では、今回のメンバーに、AFF選手権 スズキカップでも活躍し、大会後の休養を終えてクラブのプレシーズン練習に参加しているサファウィ・ラシド(JDT)やシャミ・サファリ(スランゴール)などが最終的に加わって、AFC U23選手権予選に臨む予定のようです。

FAMホームページより

タン・チェンホー監督は2020年まで監督契約を延長

昨年末のAFF(アセアンサッカー連盟)選手権 スズキカップの決勝で惜しくも敗れたマレーシア代表。そのチームを率いたタン・チェンホー監督と新たに2020年12月31日までの契約を結んだことが、マレーシアフットボール協会(FAM)から発表されました。タン監督とFAMとの契約は昨年12月31日に切れており、その後の動向が注目されていましたが、契約延長は順当なので、私も含め多くのファンが安心したでしょう。

FAMによると、昨年12月15日のスズキカップ決勝ベトナム戦の後、タン監督は2週間の休暇を取っていたことから、新たな契約の発表まで時間が空いてしまったとのことです。今後、タン監督には、Hariamu Malaya(マレーの虎)のニックネームを持つ代表チームを、2020年のスズキカップ、2022年開催ワールドカップの予選、そして2023年開催アジアカップの予選といった大会で好成績が求められています。

一番左がタン監督、一番右はスチュアート・ラマリンガムFAM事務局長(FAMホームページより)


マレーシア代表の2018年 (1) U23代表

2019年のアジアのサッカーはアジアカップとともに幕を開けましたが、マレーシアは予選で惨敗したため、残念ながら出場しません。それでもここ10年近く暗黒の時代を過ごしていたマレーシアのサッカーにとって、昨年2018年はフル代表を含めた各年代で良い結果を残すことができた年でした。そこで今回から数回に分けて、各年代ごとにその成績を見ていきます。まずは一年間を通して好調であったU23代表から始めましょう。

U23代表チームはAFC U23選手権に初出場を果たしただけでなく、ノックアウトステージまで進む快挙を果たしました。前年にタイで行われた予選ラウンドでは、インドネシアを3−0、モンゴルを2−0で勝利し、タイには0−3で破れたものの、タイがモンゴル、インドネシアとそれぞれ引き分けてくれた恩恵もあり、予選グループを1位で突破し、今年1月に中国で行われた本戦では、イラク、ヨルダン、サウジアラビアと行った強豪と同組となったグループステージをなんと突破したのです。イラクには1−4と完敗でしたが、ヨルダンとは1−1で引き分け、そしてなんとサウジアラビアには1−0と番狂わせを演じて快勝しました。グループステージを2位で通過し準々決勝に進出したマレーシアは韓国と対戦し、戦前の予想に反して、一時は同点に追いつく接戦でしたが最後は1−2で負けてしまいました。しかし2018年のマレーシア国内ベストヤングプレーヤー、ベストミッドフィルダー、そしてMVPにも選ばれたサファウィ・ラシドを筆頭に攻撃陣が頑張った結果が、初出場ながらベスト8という輝かしい結果となりました。

U23代表チームは、8月にジャカルタで開催されたアジア競技大会でも快進撃を続けました。韓国、バーレーン、キルギスタンと同組になったグループステージでは、初戦のキルギスタン戦を3−1で快勝した勢いに乗り、続く韓国も2−1で撃破するこれまた大番狂わせを見せました。プレミアリーグのトットナムでプレーするソン・フンミンを先発から外す余裕を見せた韓国ですが、今回はマレーシアがAFC U23選手権のリベンジに成功しました。ちなみにこの試合で2点を挙げたのが、前述したSafawi Rasidでした。この勝利でグループステージ突破を確定させたマレーシアは、先発8人を入れ替えて主力を休ませたバーレーン戦は2−3と破れましたが、予選グループ2位でノックアウトステージとなるベスト16へ進みました。ベスト8を賭けた試合の相手はU21代表を送り込んできた日本でした。予選グループを1位で突破していれば相手がイランでしたので、U21の日本のほうがベスト8進出のチャンスが有るかと思いましたが、89分にPK(このPKを与えたファウルの判定は個人的には微妙と思いましたが)を与えてしまい0-1でした日本のメディアでも「辛勝」「紙一重の勝利」などの見出しがつけられるほどの惜敗だっただけに残念!なお、Fox Sports Asiaと英字サッカー雑誌Four Four Twoのエディターによるこの大会のベスト11にSafawi Rasidが選出されました。

U23マレーシア代表 2018年戦績
<AFC U23選手権>
グループステージ
2018.01.10 1-4 イラク     得点者:サファウィ・ラシド
2018.01.13 1-1 ヨルダン    得点者:サファウィ・ラシド
2018.01.16 1-0 サウジアラビア 得点者:ダニアル・アミール
ノックアウトステージ(準々決勝)
2018.01.20 1-2 韓国      得点者:タナバラン
<アジア競技大会>
グループステージ
2018.08.15 3-1キルギスタン 得点者:サファウィ・ラシド, アクヤ・ラシド, シャフィック・アーマド
2018,08.17 2-1韓国     得点者:サファウィ・ラシド 2
2018.08.20 2-3バーレーン  得点者:シャミ・サファリ, サファウィ・ラシド
ノックアウトステージ(ベスト16)
2018.08.24 0−1日本     得点者:なし

中国で行われたAFC U23のメンバー(FAMホームページより)
ジャカルタアジア競技大会、2-1で勝利した韓国戦の1コマ(FAMホームページより)