1月3日のニュース(3):速報-タン代表監督が辞任

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイトでタン・チェンホー監督の辞任を発表しました。

FAMの発表によれば、先日終了したスズキカップ2020ではグループステージで敗退し、準決勝進出を逃した責任を取り、辞任を申し出ていたタン監督と話し合いを続けていたものの、翻意が困難と判断した結果、FAMは2022年末までとなっていたタン監督との契約を双方合意の上、解除することを決定したとしています。

2005年から2009年まではU20代表、2009年から2010年まではU23代表、またU23代表と同時にA代表のコーチも2009年から2013年まで務めていたタン監督は、この間、2009年の東南アジア競技大会通称シーゲームズではK・ラジャゴパル監督(現ブルネイ代表監督)の元でコーチとして優勝を経験し、翌2010年のスズキカップではA代表監督に就任したラジャゴパル監督を支えてマレーシアの代表のスズキカップ初優勝にも貢献しています。

A代表を離れ、2014年にMリーグ1部のクダFA(現クダ・ダルル・アマンFC)の監督に就任すると、2015年にはMリーグ1部優勝、2016年にはマレーシアカップ優勝を果たしました。

その後タン監督は、2017年5月にはポルトガル出身のネロ・ヴィンガダ氏がA代表の監督に就任するとともに再びA代表のコーチに就任しました。1996年にサウジアラビア代表監督としてAFC選手権アジアカップに優勝、2010年にはFCソウル監督としてKリーグ制覇と実績十分のヴィンガダ氏でしたが、マレーシア代表監督就任後の7試合で0勝2分5敗と1勝も挙げられず、さらにAFC選手権アジアカップ2019年大会予選で敗れたことにより、その就任からおよそ半年後の2017年12月に辞任し、それを受ける形でタン監督はコーチから昇格してA代表監督に就任しました。

A代表監督となった後の2019年に出場したスズキカップでは決勝でベトナムに敗れたものの、優勝した2010年以来7年振りにマレーシアを決勝進出させた他、新型コロナによる中断前のFIFAワールドカップ2020年大会アジア2次予選では一時はグループ2位につけるなど、2017年12月のA代表監督就任以来40試合で20勝4分16敗の成績を残しています。

 スズキカップ2020は惨敗でしたが、果たしてそれがタン監督だけの責任なのでしょうか。シンガポール出発直前にそれまでは「疲労」を理由に辞退していたアリフ・アイマンが加わる一方で、同じ「疲労」を理由に今年ほぼ全ての代表戦に出場してきたラヴェル・コービン=オング、ファリザル・マーリアスを招集せず(あるいは招集を認められず)、その一方で本当に代表に必要なのかが最後まで分からなかったギリェルメ・デパウラや今季試合出場時間がほとんどなかったシャールル・サアドが代わりに招集されましたが、ここで挙げた選手は全員がJDTの選手であることから、それが「偶然」と言われても疑念が拭いきれない代表選出でした。
 あるいはこの辞任は、自身が呼びたい選手を呼べず、それをサポートする気概も覚悟もなければ責任も取らないマレーシアサッカー協会にタン監督が三行半を突き付けたのかも知れません。しかしこのタン監督辞任で得をする人物がいるんだろうなぁ、マレーシアサッカー界には。
 いずれにしてもタン・チェンホー監督、お疲れ様でした。🙇‍♂️

1月3日のニュース(2):スズキカップ2020-決勝第2戦のインドネシアの攻撃的布陣は苦肉の策だった?、また代表選手がサバ加入-今度は代表GKがマラッカUから移籍、2部降格のUITM FCは今季出場辞退の可能性も

スズキカップ2020-決勝第2戦のインドネシアの攻撃的布陣は苦肉の策だった?

タイの優勝で幕を閉じた東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020ですが、決勝第2戦では逆転勝利を目指して攻撃的な布陣を採用したと見られていたインドネシア代表ですが、どうもうそういうことではなかったというチームの実情をAFPが報じています。

この記事によると、インドネシア代表でいずれもDFのリズキー・リド、エルカン・バゴット、ヴィクター・イグボネフォ、リズキー・ドウィ・フェブリアントの4選手がおよそ2時間の間、宿泊先のホテルを抜け出して「シャンプーと石鹸を買いに出た」ことが判明し、東南アジアサッカー連盟AFFの懲罰委員会による調査の結果、この4選手は新型コロナ感染対策予防手順に違反したとして、大会運営本部からタイ代表との決勝第2戦の出場を禁止されていたということです。

この4選手の内、リズキー・リド選手はタイ代表との決勝第1戦に先発し、バゴット選手も後半開始から途中出場しています。またヴィクター選手とリズキー・ドウィ・フェブリアント選手もベンチ入りしていました。

インドネシア代表のシン・テヨン監督は、決勝第2戦後の記者会見でディフェンダーの4選手が出場禁止となった理由は了承できると話す一方で、この4選手の欠場が決勝第2戦に影響を与えたことを認めて失望していると話しています。

また代表選手がサバ加入-今度は代表GKがマラッカUから移籍

昨季2021年シーズンは降格権から勝点3で1部スーパーリーグ残留を決めたサバFCは、シーズン終了後から大型補強を続けていますが、そこにまた大物が移籍です。

サバFCのクラブ公式Facebookでは、先日終了したスズキカップ2020でもマレーシア代表のゴールキーパーとしてグループステージ4試合全てに先発しフル出場したカイルル・ファーミ・チェ・マットがサバFCへの移籍を告知しています。

32歳のカイルル・ファーミ選手は、昨季途中からサバFCの指揮を取るオン・キムスイ監督のもとでプレー経験があり、2011年に東南アジア競技大会通称シーゲームズでオン監督率いるU23代表が優勝した際の正ゴールキーパーでした。

オン監督就任以来、このオフシーズンは同じスーパーリーグのクダ・ダルル・アマンFCからMFバドロル・バクティアルとDFリザル・ガザリ、またタイ1部のポリス・テロFCからはDFドミニク・タンといずれもスズキカップ2020に出場した代表選手を獲得しています。

2部降格のUITM FCは今季出場辞退の可能性も

昨季2021年シーズンにMリーグ1部スーパーリーグで最下位となり、今季2022年シーズンは2部プレミアリーグ降格が決まっているUITM FCが経営上の問題から今季のリーグ出場を辞退する可能性があると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

昨季のスーパーリーグで3勝4分15敗で最下位となったUITM FCは、国立大学のマラ工科大学UITMを母体とするクラブで、2020年はに大学のクラブとして初めてスーパーリーグでプレーしています。しかもこのシーズンは新型コロナの影響で試合数が半減したとは言え昇格初年度で6位となるなど大きな話題となりました。しかし2020年シーズン終了後にこの大躍進に貢献した外国籍選手5名の内、4名が退団するなど、この時点で運営資金が潤沢ではないことは明らかでした。

2021年シーズンは開幕から連敗が続き、前年から指揮を取るフランク・ベルンハルト監督を交代、外国籍選手を入れ替えるなどしたものの、シーズン初勝利は開幕から17試合目(Mリーグの1シーズンは22試合)では、2部降格は避けられませんでした。

ニューストレイトタイムズの記事では、今季プレミアリーグ参戦のためのスポンサーの獲得に困難を極めているとされており、Mリーグを運営するMFLものスチュアート・ラマリンガムCEOもUITM FCからの状況説明を待っている状態であると話し、Mリーグも事態を憂慮しているとしています。


1月3日のニュース(1):スズキカップ2020-決勝第2戦は引き分けもタイが2大会ぶりの優勝

スズキカップ2020決勝第2戦

2022年1月3日@シンガポール国立競技場(シンガポール)
タイ 2-2 インドネシア
得点者:タイ-アディサク・クライソーン(54分)、サーラット・ユーイェン (56分)、インドネシア-リッキー・カンブアヤ(7分)、エギィ・マウラナ(80分)

スズキカップ2020の決勝タイ対インドネシアの第2戦が行われ、インドネシアはタイと引き分けましたが、第1戦に4−0と勝利していたタイが通算スコアを6-2として、2016年大会以来2大会ぶりとなる通算第6回目の優勝を飾っています。

4点取らなければ優勝がないインドネシアはこの試合に攻撃的な布陣で臨みましたが、試合開始早々はタイに攻め込まれたものの、リッキー・カンブアヤが7分にゴールを決めて、通算スコアを1-4としました。次の1点がインドネシアに入れば2点差となり、勝負の行方がわからなくなりそうなところでしたが、後半に入るとタイがアディサク・クライソーン、サーラット・ユーイェンが立て続けにゴールを決めて逆に5点差に開きました。それでもインドネシアは80分にエディ・マウラナのゴールで1点を返しますが、第1戦のリードを生かして逃げ切ったタイが2大会ぶり6度目の優勝を決めています。

タイの強さはここまでの試合で分かっていたものの、この試合ではインドネシアが決勝まで進出してきた理由が分かったような気がします。新型コロナ前は競った試合になることはあっても、マレーシアが負けることはなかったインドネシアはシン・テヨン監督就任ととものメンバーも変わり、この試合で先制点を決め、MOMにも選ばれたリッキー・カンブアヤはシン監督が初めて代表に選出した選手で、2点目を決めたエディ・マウラナも代表初ゴールはシン監督のもとでプレーした今年になって初めて代表初ゴールを決めるなど、全く別のチームになっていました。6度目の決勝進出となったもの今回も悲願の初優勝には手が届きませんでしたが、インドネシアはシン監督のもとで着実に力をつけているのがわかるプレーぶりでした。

マレーシアのグループステージ敗退後には、チャナティップ選手のようにマレーシア代表の選手も国外のよりタフな環境でプレーして強さを身につけるべき、といった意見もソーシャルメディアだけでなく、現地紙など印刷メディアでも見かけましたが、そもそも海外のクラブがマレーシア人選手を求めるのか、また求められたとしておそらく今よりも低くなる給料を受け入れられるか、またでそういった挑戦をするモチベーションがそもそもあるのかどうかなどの議論が起こっていました。また、今回の結果で、これまではマレーシアでステップアップしてさらに他国のリーグを目指そうとしていた東南アジアの選手は、タイやシンガポール、さらにはインドネシアを飛び石にして、マレーシアには魅力を感じないのではないか、といった意見を掲載している現地紙もあり、いずれもマレーシアサッカーが東南アジアのトップから遅れをとっていることが明らかになった点を指摘しています。

マレーシアサッカーの2022年はタイやベトナム、さらにはインドネシアやシンガポールにどうやって追いつき、追い越すのかを模索する1年になりそうです。

(試合のハイライト映像はスズキカップ2020の公式YouTubeチャンネルより)

スズキカップ2020日程および結果

*既に終了している試合の詳細については、試合結果をクリックするとスズキカップ2020公式サイト(英語)へ飛ぶことができます。

<グループステージA組>

2021年12月5日(日)
東ティモール 2-0 タイ
シンガポール 3-0 ミャンマー

2021年12月8日(水)
ミャンマー 2-0 東ティモール
フィリピン 1-2 シンガポール

2021年12月11日(土)
東ティモール 0-7 フィリピン
タイ 4-0 ミャンマー

2021年12月14日(火)
フィリピン 1-2 タイ
シンガポール 2-0 東ティモール

2021年12月18日(土)
タイ 2-0 シンガポール
ミャンマー 2-3 フィリピン

<グループステージB組>

2021年12月6日(月)
カンボジア 1-3 マレーシア
ラオス 0-2 ベトナム

2021年12月8日(水)
マレーシア 4-0 ラオス
インドネシア 4-2 カンボジア

2021年12月12日(日)
ラオス 1-5 インドネシア
ベトナム 3-0- マレーシア

2021年12月15日(水)
カンボジア 3-0 ラオス
インドネシア 0-0 ベトナム

2021年12月19日(日)
ベトナム 4-0 カンボジア
マレーシア 1-4 インドネシア

グループステージA組順位

順位チーム試勝分負得失差勝点
1タイ4400912
2シンガポール430149
3フィリピン420266
4ミャンマー4103-63
5東ティモール4004-130

グループステージB組最終順位
*インドネシアとベトナムは勝点と得失点差で並んだものの、インドネシアの総得点13に対してベトナムは9のため、インドネシアがB組の1位に決定

順位チーム試勝分負得失差勝点
*1インドネシア4310910
2ベトナム4310910
3マレーシア420206
4カンボジア4103-53
5ラオス4004-130

<準決勝第1回戦>

2021年12月22日(水)
シンガポール 1-1 インドネシア

2021年12月23日(木)
タイ 2-0 ベトナム

<準決勝第2回戦>

2021年12月25日(土)
インドネシア4 2- シンガポール

2021年12月26日(日)
ベトナム 0-0 タイ

<決勝第1回戦>

2021年12月29日(木)
インドネシア – タイ

<決勝第2回戦>

2022年1月1日(土)
タイ2 -2 インドネシア

1月1日のニュース:フットサルリーグ開幕が延期、協会はケランタンFC監督らに罰金処分

 新年あけましておめでとうございます。マレーシアの元旦は日本とは違い、国民の祝日の一つでしかありません。どの会社も大晦日も普通に仕事、今年は1月2日がたまたま日曜日ですが、例年なら2日からも通常業務です。そんな季節感のないマレーシアからお届けするこのブログですが、本日をもって4年目に突入します。

フットサルリーグの開幕が延期

マレーシアサッカー協会FAMは公式Facebookで、FAMが主催するマレーシアプレミアフットサルリーグMPFL2022年シーズンの第1節を1週間延期して1月14日から16日に開催することを発表しています。FAMはその理由として試合会場となるパナソニックスポーツコンプレックスがあるスランゴール州シャーアラムを含めた複数の州や地域で洪水の被害が出ていることを挙げています。

先月12月中旬にマレー半島を襲った豪雨は、最近よく聞く「観測史上最大の降雨量」だったということで、各地で洪水が発生したスランゴール州を中心におよそ7万人に被害が出たと報じられていいます。これにより1月7日に開幕予定だったMPFLは、この豪雨により複数の参加各チームのプレシーズンの予定も影響を受けたことが報じられていることから、1週間の延期が決定したと説明されています。

FAMはケランタンFC監督らに罰金処分

マレーシアサッカー協会FAMは12月31日に開催した懲罰委員会での審査内容を発表し、ケランタンFCのレザル・ザムベリ監督とJDTのサフィク・ラヒムに対する処分を発表しています。

懲罰委員会のバルジット・シン・シドウ委員長はレザル監督に対して最大で2ヶ月間のあらゆるサッカー関連活動の停止と罰金1万リンギ(およそ28万円)を、サフィク選手には3試合の出場停止をそれぞれ命じています。

レザル監督の処分は、9月30日のマレーシアカップグループステージ、ケランタンFC対サバFCの試合中の審判の判定に関し、審判を管理するFAMを抽象するような発言をメディアに対して行ったことに対するもので、バルジット委員長は12月30日から1ヶ月のサッカー関連活動停止期間中に問題が無ければ処分は終了するものの、問題があれば1月20日からさらに1ヶ月の追加停止処分を課すと話しています。また罰金処分については不服申し立てを行うことを認めるとしています。

一方のサフィク選手はは11月26日のマレーシアカップ準決勝のJDT対トレンガヌFC戦で、トレンガヌFCのファイサル・ハリム選手にみごとな頭突きを行ったことに対する処分です。なおサフィク選手はマレーシアカップ決勝で既に1試合の出場停止となっていることから、練習試合を除くMリーグ公式戦でさらに2試合の出場停止となること、さらに同様の懲罰対象行為が行われた場合にはより重い処分となることも併せて発表されています。


マレーシアサッカー2021年の10大ニュース

 今日は大晦日。ということで2021年のマレーシアサッカー界をボラセパマレーシアJP的視点で振り返ります。国内では、昨年同様、新型コロナに翻弄されたMリーグは日程が二転、三転しましたが、それでも2年ぶりに全試合が行われたシーズンになりましたが、その一方で複数のチームで給料未払い問題が明らかになりました。また国外ではU22代表がAFCU23アジアカップ本戦出場を決めた一方で、A代表はW杯予選、東南アジア選手権スズキカップといずれも思うような結果が残せなかった一年でした。

○KLシティFCが32年ぶりにマレーシアカップ制覇

 今季の国内カレンダー最後の大会となったマレーシアカップは今回が100周年記念大会でしたが、KLシティFCが戦前の下馬評を覆してJDTを2-0で破り、前身のクアラルンプールFA時代から数えると32年振りとなる優勝を飾りました。昨季はMリーグ2部プレミアリーグで2位となり、今季1部スーパーリーグに昇格したKLシティFCは、今季、リーグ戦、カップ戦ともホームのKLフットボールスタジアムでは無敗を誇り、来季は更なる活躍が期待されます。

○新型コロナの影響で3部リーグ以下やFAカップや各年代大会が中止

 Mリーグ1部スーパーリーグと2部プレミアリーグは全日程が開催されたものの、新型コロナの感染拡大を受け、日本の天皇杯にあたるFAカップが2年連続で中止となった他、Mリーグ3部に当たるセミプロリーグのM3リーグ以下の各リーグ戦、U21チームのリーグ戦であるプレジデントカップ、U19チームのリーグ戦ユースカップ、さらにはマレーシアプレミアフットサルリーグなどが中止となりました。

○複数のクラブで給料未払い問題発覚

 給料未払い問題はMリーグでは長年問題視されていましたが、新型コロナ禍ともあいまって各クラブとも経営が厳しくなった今季は、未払い給料を理由に開幕戦先発XIの内、最終的には何と9名が退団したペラFCの主力大量退団の他、クダ・ダルル・アマンFC、サバFC、サラワク・ユナイテッドFCなどでも同様の給料未払い問題が明らかになっています。これまではマレーシアの各州サッカー協会が運営していたMリーグクラブはAFCの指導により民営化が義務付けられましたが、州政府の予算を頼りに放漫経営されていたクラブは資金調達に失敗し、それによって選手や監督、コーチがとばっちりを受ける形になっています。

○JDTが前人未到のリーグ8連覇

 Mリーグ1部スーパーリーグではジョホール州皇太子がオーナーのJDT(ジョホール・ダルル・タジム)がリーグ8連覇を達成しています。22試合で16勝3分1敗、得点50失点9はいずれもリーグ1位で、2位のクダ・ダルル・アマンFCに勝点差14をつける圧勝でした。帰化選手を集め、他のクラブからも有力選手が集まる布陣はマレーシアA代表の選手でも控えに回ることがある選手層の厚さで国内では敵なしですが、アジアの壁は越えられず、AFCチャンピオンズリーグでは今季もグループステージ突破には至りませんでした。

○元日本代表本山雅志選手がMリーグでプレー

 隣国タイではかつては岩政大樹選手や茂庭照幸選手、ここ数年ではハーフナー・マイク選手や細貝萌選手など「元日本代表」の選手たちがプレーしていた時期がありましたが、ついにマレーシアにもその時が来ました。しかもこの国にやってきたのはあの本山雅志選手です。所属するケランタン・ユナイテッドFCはMリーグ2部プレミアリーグのチームですが、それでもその注目度は非常に高いものでした。
 ケランタン・ユナイテッドFCでは、深井脩平選手、Mリーグでは先輩に当たる谷川由来選手、さらに東山晃監督(現テクニカルディレクター)らとともに今季を戦った本山選手は、自身はケガなどもあり満足なシーズンとはならなかったかも知れませんが、それでもマレーシア人選手たちに対しては圧倒的な存在感は見せたMリーグ1年目でした。

○Mリーグのチケット販売が完全デジタル化

 無観客試合で開幕したMリーグがスタジアムでの観戦を許可したのは4月初旬でしたが、その翌月には再び無観客となり、それが10月下旬まで続きました。スタジアム観戦再開後は新型コロナ対策もありMリーグのチケットはスタジアムでの当日売りがなくなり、オンラインで購入し自身でプリントアウトする完全デジタル化に移行しました。チケット購入時には身分証明書番号、外国人であればパスポート番号の入力が必要になり、スタジアムでの入場の際もチケットとパスポートの提示を求められる徹底振りでした。まぁそこはマレーシアなんで、コロナが落ち着けば元に戻ってしまうかも知れません。

○外国籍選手ゼロのPJシティFCがスーパーリーグ7位

 今季のMリーグ1部スーパーリーグで唯一、登録選手全員がマレーシア人選手のみ、つまり外国籍選手ゼロだったPJシティFCは開幕前の大方の予想に反し、12チーム中7位と大健闘しました。チームからは10月の中東遠征でGKカラムラー・アル=ハフィズが初の代表招集となった他、スズキカップ2020に出場した代表にはこのカラムラー選手とMFコギレスワラン・ラジ、FWダレン・ロック(ただしケガで辞退)の3選手が招集されるなど、マレーシア人選手だけのクラブが外国籍選手を補強した他のMリーグクラブと対等に戦えることを証明しました。

○スーパーリーグ昇格初年度でペナンFCが3位に

昨季のMリーグ2部プレミアリーグで優勝し、KLシティFCとともに今季1部に昇格したペナンFC。昨季の優勝監督でもあるマンズール・アズウィラ監督が1部スーパーリーグで監督を務めるのに必要なAFCプロ指導者ライセンスを保持していなかったことから、マンズール関東はコーチとなり、チェコ出身のトマス・トゥルカ監督が監督に就任しました。するとチームはMリーグの台風の目となり、一時はAFCカップ出場権が与えられるリーグ2位も見えましたが、最後は力尽きて3位に終わりました。それでも昇格初年度の3位は立派ですが、リーグ戦後のマレーシアカップに入るとチームは勝ち星から見放され、グループステージで敗退するとトゥルカ監督退陣を求める一部サポーターも現れるなど、少なくともリーグ戦終了時は順風満帆に見えたペナンFCですが、来季に不安を残してシーズンを終えています。

○スズキカップ2020で代表はベスト4進出を逃す

 隔年で行われる東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップの2020年大会がシンガポールで集中開催され、マレーシア代表はグループステージで敗退しています。2020年に予定されていた大会が順延となったことからスズキカップ2020と銘打たれたこの大会に前回2018年大会の準優勝チームとして出場したマレーシア代表でしたが、ラオス、カンボジアに勝利したものの、前回大会の覇者ベトナム、そしてFIFAランキングではマレーシアより順位が低いインドネシアに完敗しています。
 本来は選手30名を登録できるところを24名しかしないなど不可解なことも多く、代表選手選考には「見えない手」の影響があったのではなどとも言われていますが、真相は藪の中です。いずれにしても準決勝に進んだタイ、シンガポール、ベトナム、インドネシアには明らかに見劣りするプレーにタン・チェンホー監督更迭論なども出ましたが、マレーシアサッカー協会FAMはこれを否定しました。

U23代表はAFC U23アジアカップ予選を突破

 愚兄賢弟と言えば言い過ぎ。A代表が思うような結果を出せなかった2021年ですが、U23代表は10月にモンゴルで開催されたAFC U23アジアカップ予選を突破し、来年2022年6月にウズベキスタンで開催される本戦出場を決めています。前回2020年大会予選では中国と同組になるも勝点で並びながら得失差で涙を飲んだU22代表でしたが、今回はタイとの引き分けを含む3試合全てを完封して予選J組を首位で突破しています。このU22代表は2月には東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権、5月には東南アジア競技大会通称シーゲームズも控えており、サポーターの信頼を失い気味の兄の分まで頑張って欲しいです。

12月30日のニュース(2):FAM-MSNプロジェクトはハサン・サザリ新監督を発表、アセアンの選手はMリーグに興味なし?

FAM-MSNプロジェクトはハサン・サザリ新監督を発表

今季Mリーグ2部プレミアリーグに参戦し、11チーム中11位の再開となったFAM-MSNプロジェクトは、来季もプレミアリーグ参戦が決まっていますが、今季を指揮を取ったユスリ・チェ・ラー監督は任期1年を残して既に退任していますが、その後任にハサン・サザリ氏が就任したことがマレーシアサッカー協会FAMの公式サイトで発表されています。

FAM-MSNプロジェクトは、マレーシアサッカー協会FAMと青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会MSNが共同で運営する国家サッカー選手養成プログラムNFDPとその中核をなすエリートアカデミーのモクタル・ダハリアカデミーAMDに所属するする18歳から19歳の選手で構成されているチームで、今季初参戦となったプレミアリーグでは20試合で1勝3分16敗、得点12失点56という成績で10位とは勝点差11をつけられて最下位でした。

就任が発表されたハサン・サザリ新監督は、2010年代前半にハリマウ・ムダC(ヤングタイガーズC)と呼ばれていたU19代表監督の経験に加え、A代表やU23代表のアシスタントコーチやFAM内でコーチングコースの指導教官なども歴任しています。11名の候補者の中から選ばれたハサン新監督は今季から残留するコーチ陣とともに2022年1月1日より指導を開始するということです。

アセアンの選手はMリーグに興味なし?

東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020でマレーシア代表はグループステージで敗退しましたが、マレーシアの英字紙ニューストレイトタイムズはこの結果によって、マレーシアの国内リーグMリーグでプレーするアセアン出身選手が激減する可能性を指摘しています。

サッカー選手の代理人に話を聞いているこの記事では、今回のスズキカップ2020での代表チームの早期敗退により、Mリーグの「質」に疑問が持たれ、その結果としてMリーグクラブがアセアン出身の選手を獲得することが難しくなるという声が紹介されています。さらにその結果としてアセアンのトップレベルの選手はタイリーグに活躍の場を求めるようになると指摘しています。

Mリーグクラブに所属しているアセアン出身選手にはKLシティFCのケヴィン・メンドーザ(フィリピン)、スランゴールFCのサフアン・バハルディン(シンガポール)、サバFCのサディル・ラムダニ(インドネシア)らがいますが、今後はMリーグが各クラブに認めているアセアン出身選手枠を使って有力選手を獲得することは難しくなるだろうと話す代理人もいます。またMリーグでプレーするくらいならむしろタイの2部リーグでのプレーを選ぶ選手や、レベルの高さからベトナムリーグを検討する選手も増えていると話すこの代理人は、今後はMリーグはスズキカップで露呈したマレーシア代表のレベルの低さから、Mリーグがアセアン出身の選手にとって「最後の選択肢」となるだろうと述べています。

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東南アジアのEPL(英国プレミアリーグ)となるべく進化し続けるタイリーグに比べれば、現在のMリーグが見劣りするのは紛れもない事実です。古くはキャティサック・セーナームアン(タイ)、バンバン・パムンカス(インドネシア)などアセアン各国の主力が集まっていたMリーグも今は昔。噂レベルですが、スズキカップ2020にも出場してたイエスペル・ニホルム(フィリピン)をMリーグクラブも獲得に動いていたようですが、結局タイリーグ入りしたようですし、タイリーグでプレーする選手たちもそこから日本や韓国、さらには欧州を目指す選手もいる中、Mリーグで満足する選手で溢れるマレーシア国内リーグはキャリアップの役には立たなそうです。

12月30日のニュース(1):スズキカップ2020-決勝第1戦はタイが圧勝

スズキカップ2020決勝第1戦

2021年12月29日@シンガポール国立競技場(シンガポール)
インドネシア 0-4 タイ
得点者:タイ-チャナティップ・ソングラシン2(2分、52分)、スパチョク・サラチャット(67分)、ボディン・ファラ(83分)

スズキカップ2020の決勝インドネシア対タイの第1戦が行われ、タイがチャナティップ・ソンクラシンの2ゴールなどで4-0と大勝し、2022年1月1日の決勝第2戦に大きなアドバンテージを得て、2016年大会以来の優勝へ大きく前進しました。

試合開始からフィリップ・ローラー、トリスタン・ドーの両SBが高い位置でプレスをかけるタイは、開始2分でそのローラーがインドネシアDFに囲まれながらも、マイナスのパスをフリーのチャナティップ・ソングラシンへ。これをチャナティップがゴール右上に決めてタイが先制します。

37分にエリアス・ドラーが負傷退場すると、フォーメーションを変えたタイに対してインドネシアもチャンスを作るようになり、40分にはアルフェアンドラ・デワンガがタイGKシワラック・テースーンヌーンと1対1の決定機を得ますが、放ったシュートはゴールポストの遥か上に外れます。一方タイも前半ロスタイムにはボディン・ファラとやはり1対1になったインドネシアGKナデオ・アルガウィナタがパンチングでシュートを防ぎ、前半はタイが1点をリードして終了しました。

インドネシアのシン・テヨン監督は後半開始から長身のエルカン・バゴットに加えてエヴァン・ディマスとカデック・アグンを早々と投入し、セットプレーに正気を見出そうとしますが、逆に52分にはカウンターから前掛かり気味になっていたインドネシアDF陣をかわしてスパチョク・サラチャットがゴール前に持ち込むと、そこから走り込んできたチャナティップ選手へパス。これを決めたチャナティップ選手がこの試合2点目を挙げて、タイが2-0とリードを広げます。

インドネシアは61分にはイルファン・ジャヤがGKと1対1になりますが、ここでもタイGKシワラック・テースーンヌーンがシュートをブロックし、インドネシアはゴールを奪えません。

67分には再び右サイドのフィリップ・ローラーがクロス。これをポックラウ・アナンがスルーし、ペナルティエリアの外からスパチョク・サラチャットゴール左隅に決め、これでタイが3-0、さらに83分にはインドネシアのクリアミスを奪ったボディン・ファラのシュートが決まり、タイが4-0として勝負あり。最後は第3GKのカウィン・タンマサッチャーナンを投入する余裕まで見せたタイが、シュート数19、内オンターゲット9、一方のインドネシアはシュート数4、オンターゲット1と、最後はインドネシアをスコア以上に圧倒しました。決勝戦は2試合制で行われますが、第2戦の意味すら無くなりそうなタイの圧勝でした。

(映像はスズキカップ2020公式YouTubeチャンネルより)

スズキカップ2020日程および結果

*既に終了している試合の詳細については、試合結果をクリックするとスズキカップ2020公式サイト(英語)へ飛ぶことができます。

<グループステージA組>

2021年12月5日(日)
東ティモール 2-0 タイ
シンガポール 3-0 ミャンマー

2021年12月8日(水)
ミャンマー 2-0 東ティモール
フィリピン 1-2 シンガポール

2021年12月11日(土)
東ティモール 0-7 フィリピン
タイ 4-0 ミャンマー

2021年12月14日(火)
フィリピン 1-2 タイ
シンガポール 2-0 東ティモール

2021年12月18日(土)
タイ 2-0 シンガポール
ミャンマー 2-3 フィリピン

<グループステージB組>

2021年12月6日(月)
カンボジア 1-3 マレーシア
ラオス 0-2 ベトナム

2021年12月8日(水)
マレーシア 4-0 ラオス
インドネシア 4-2 カンボジア

2021年12月12日(日)
ラオス 1-5 インドネシア
ベトナム 3-0- マレーシア

2021年12月15日(水)
カンボジア 3-0 ラオス
インドネシア 0-0 ベトナム

2021年12月19日(日)
ベトナム 4-0 カンボジア
マレーシア 1-4 インドネシア

グループステージA組順位

順位チーム試勝分負得失差勝点
1タイ4400912
2シンガポール430149
3フィリピン420266
4ミャンマー4103-63
5東ティモール4004-130

グループステージB組最終順位
*インドネシアとベトナムは勝点と得失点差で並んだものの、インドネシアの総得点13に対してベトナムは9のため、インドネシアがB組の1位に決定

順位チーム試勝分負得失差勝点
*1インドネシア4310910
2ベトナム4310910
3マレーシア420206
4カンボジア4103-53
5ラオス4004-130

<準決勝第1回戦>

2021年12月22日(水)
シンガポール 1-1 インドネシア

2021年12月23日(木)
タイ 2-0 ベトナム

<準決勝第2回戦>

2021年12月25日(土)
インドネシア4 2- シンガポール

2021年12月26日(日)
ベトナム 0-0 タイ

<決勝第1回戦>

2021年12月29日(木)
インドネシア – タイ

<決勝第2回戦>

2022年1月1日(土)
タイ – インドネシア(20時30分@シンガポール国立競技場)

12月29日のニュース:FAMはマロニーU22代表監督との契約を更新、AFFU23選手権の組み合わせ発表-マレーシアはインドネシアと同組に、女子代表GKはクリーンシートでインドリーグデビュー

FAMはマロニーU23代表監督との契約を更新

マレーシアサッカー協会FAMは、AFCU23アジアカップ予選を突破し、来年の本戦出場を決めたマレーシアU22代表のブラッド・マロニー監督との契約を更新したとスポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。なお今回の契約期間は2年間ということです。

スタジアムアストロの取材に対しFAMのサイフディン・アブ・バカル事務局長は、オーストラリア出身のマロニー監督の業績を評価した結果、契約延長を決定したと述べています。「FAMの契約延長オファーをマロニー監督が受け入れたことで、マロニー監督はU22代表監督して指導にあたる。来年2022年は5月に東南アジア競技大会(通称シーゲームズ)がベトナムで、6月にはAFCU23アジアカップ2022年大会がウズベキスタンでそれぞれ開催されるが、シーゲームズでは金メダル獲得を、またU23アジアカップでも好成績が期待できるようなチームを作り上げてくれた。」と話しています。

AFC U23アジアカップ2022出場を決めたU22代表は予選でタイと引き分けてグループ首位で予選を突破するなど、東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020ではグループスタージで敗退したA代表とは対照的な2021年となりました。スズキカップ2020出場のA代表には、アリフ・アイマン(JDT)、クエンティン・チェン、ムカイリ・アジマル(いずれもスランゴールFC)、ルクマン・ハキム(ベルギー1部KVコルトレイク)らU22代表組も含まれていますが、AFC U23アジアカップ本戦に出場するU22代表と、同じ6月に予定されているAFCアジアカップ2023大会予選に出場するA代表との間で選手の「奪い合い」が起こる可能性もあります。

AFFU23選手権の組み合わせ発表-マレーシアはインドネシアと同組に

来年2022年2月に開催される東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権の組み合わせが発表になり、マレーシアはA代表がスズキカップで惨敗したインドネシアと同組になっています。上の記事でも取り上げたマロニー監督にとっては契約更新後の初の公式戦となります。

2月14日から26日にかけてカンボジアのプノンペンで開催されるこの大会にはAFF加盟11カ国が出場し、FAMのサイフディン事務局長とU22代表のマロニー監督が出席して行われたシンガポールでの組み合わせ中の結果、マレーシアはインドネシア、ミャンマー、ラオスと同じB組となり、開催国のカンボジア、フィリピン、東ティモール、ブルネイが入るA組、タイ、ベトナム、シンガポールのスズキカップ4強中3チームが集まったC組がそれぞれグループステージを戦い、各組の1位と2位チームのうち最も成績の良いチームが準決勝へ進みます。

スズキカップの3強が集まり文字通り「死の組」となったC組に注目が集まりそうですが、マレーシアにとってもスズキカップでインドネシアに敗れたA代表の「仇討ち」となります。ただしインドネシアA代表のシン・テヨン監督はU22代表も兼ねており、マレーシア同様、A代表の選手数名かU22代表に加わるとされており、仇討ちどころか返り討ちにならないように気をつけてもらいたいです。

女子代表GKはクリーンシートでインドリーグデビュー

インドのアマチュアクラブで挑戦中のマレーシア女子代表GKヌルル・アズリン・マズランは、加入したミサカ・ユナイテッドFCの試合に初先発し、クリーンシートデビュー飾っています。またたヌルル・アズリン選手が所属するミサカ・ユナイテッドFCは4ゴールを挙げてバンガロールブレイブズを破り、ヌルル・アズリン選手のデビューに花を添えています。

インドについてこの日で6日目であると話した21歳のヌルル・アズリン選手は、マレーシアの通信社ブルナマの取材に対して、次戦となるキックスタートFC戦でも先発したいと述べています。ヌルル・アズリン選手は来年2022年1月31日までこのミサカ・ユナイテッドFCと契約しています。

2015年と2018年に国内最優秀選手に選ばれているヌルル・アズリン選手はマレーシア国内でのプレートの違いを問われると、練習内容自体は大きく違いはないと話す一方で、時には14度まで下がる寒さには閉口していると述べています。


12月28日のニュース:FAMはスズキカップ早期敗退によるタン代表監督解任説を否定、代表FWシャフィクが古巣のクダ🔰へ期限付き移籍、FIFAによる資格停止処分を受けたプルリス州サッカー協会が活動再開

FAMはスズキカップ早期敗退によるタン代表監督解任説を否定

 マレーシアサッカー協会FAMは東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020でグループステージ敗退となったマレーシア代表のタン・チェンホー監督を解任する予定はないようです。
 前回2018年大会では準優勝したマレーシア代表ですが、現在シンガポールで開催中の2020年大会ではグループステージで2勝2敗でインドネシア、ベトナムに次ぐグループ3位となり準決勝進出を逃しており、前回大会に引き続きマレーシア代表の指揮を取ったタン監督の責任を指摘する声も出ており、FAMは大会敗退後、公式サイトで早期敗退の責任はタン監督ではなくFAMにあると表明するほどでした。それでもタン監督解任論は収まらず、このブログでも取り上げたようにKLシティFCのボジャン・ホダック監督の名前などもその後任として上がっています。
 そんな中、FAMのサイフディン・アブ・バカル事務局長は英字紙ニューストレイトタイムズの取材に対してタン監督の解任についてはFAM内で議論すらされていないと述べています。
 「あらゆる対外試合の後で代表チームのパフォーマンスに対する評価を行うことは、代表チーム運営委員会の標準作業手順であり、代表監督と代表チームマネージャからの報告を参考にしながら、代表チーム運営委員会の委員長でFAMのハミディン・アミン会長のもと話し合いを行い、その結果をFAM理事会で発表する手順は従来通りである。スズキカップで起こった問題点などを洗い出し、その反省点を6月のAFC選手権アジアカップ2023年大会最終予選に生かしたい。」と述べたサイフディン事務局長は、2022年末までの契約となっているタン監督を契約途中で解任することは考えていない話しています。
 サイフディン事務局長はこの時期に新監督を採用しても来年6月に迫ったアジアカップ予選までにチームをゼロから作る十分な時間がないこと、さらに新監督が必ずしも望むような結果をもたらすとは限らないことなどを挙げて、今は監督交代について議論する時期ではないとも述べ、タン監督の元でアジアカップ予選を戦うための環境を整えることが優先であるとしています。

🔰代表FWシャフィクが古巣のクダへ期限付き移籍

 Mリーグ1部スーパーリーグで2季連続で2位となったクダ・ダルル・アマンFCは、スズキカップ2020にも出場したマレーシア代表FWのシャフィク・アフマドがJDTから1年間の期限付きで移籍することをクラブ公式Facebookで発表しています。
 ペナン州出身で26歳のシャフィク選手ですが、2013年の高校卒業後に18歳でクダFA(現クダ・ダルル・アマンFC)のU21チームに入るとそこで頭角を表し、20歳のときにトップチームデビューを果たしています。2018年にJDTへ移籍するとチームのタイトル獲得にも貢献した他、U23代表、そしてA代表でもプレーするようになり、タン・チェンホー監督の元では主力選手となり、新型コロナ禍前に行われた2019年のW杯予選ではアラブ首長国連邦戦など2試合でゴールを決めるなど活躍していました。
 5季ぶりのクダ復帰となるシャフィク選手ですが、今季は選手層が厚いJDTではほとんど出場機会がなく、試合出場時間の不足から代表戦でもかつてほどの輝きを見せておらず、出場機会を求めて今回の移籍になりました。
 クダ・ダルル・アマンFCにとっても今季のチーム得点王FWクパー・シャーマンと同2位のチェチェ・キプレが揃って同じスーパーリーグへ移籍したことでストライカーのポジションが空席なため、この移籍は文字通り両者がウィンウィンとなる移籍となりました。
*****
 ちなみにこの記事の見出しに使われているのはご存知の初心者マーク(若葉マーク)です。マレーシアではこのようなマークは使わないのですが、クダ・ダルル・アマンFCのチームカラーが緑色と黄色(チームの相性もマレーシア語で緑色と黄色を表すHijau Kuningです)なことから、なぜかこのアイコンがクラブ公式サイトで使われています。

FIFAによる資格停止処分を受けたプルリス州サッカー協会が活動再開

 今季2021年シーズンのMリーグは1部スーパーリーグに12チーム、2部プレミアリーグには11チームが所属していましたが、この中にはマレー半島北端にあるプルリス州を本拠地とするクラブが一つもありません。マレーシアには13の州がありますが、Mリーグ1部と2部にクラブがないのはプルリス州だけです。
 プルリス州のサッカー活動の中心となるプルリス州サッカー協会は、かつてプルリスFA(名前がややこしいですがこちらはクラブの名称です)というクラブを運営していました。プルリスFAは2005年にはスーパーリーグで優勝し、2004年と2006年にはマレーシアカップも制覇したクラブでしたが、2010年に入ると2部プレミアリーグと当時の3部リーグに当たるFAMリーグの間で昇格と降格を繰り返すクラブになっていました。
 そんな中、2018年にプルリス州FAの会長に就任したアフマド・アミザル・シャイフィット氏は、高額の給料で元代表選手ら国内の有力選手、さらにはシンガポールや日本出身の選手を文字通りかき集めてプルリスFAの強化を図りましたが、2019年シーズン開幕前には未払い給料問題が発覚し、その後は給料を支払う財源がなく、未払い給料返済の目処が全く立たなかったことから、プルリスFAを運営していたプルリス州サッカー協会はFIFAにより2年間の活動停止処分を受けました。FAMもプルリスFAをMリーグから除名し、プルリス州サッカー協会のアフマド・アミザルプルリス会長には国内のあらゆるサッカー活動に関わる資格を生涯停止する処分を言い渡しました。
 そんな「黒歴史」を持つプルリス州サッカー協会ですが、現在の会長を務めるザムリ・イブラヒム会長は、プルリス・ユナイテッドFCが来季2年ぶりに開催されるMリーグ3部に当たるM3リーグへの参加を認められたと、マレーシアの通信社ブルナマの取材に応えています。
 M3リーグ以下を運営するアマチュアフットボールリーグAFLから2022年シーズンのリーグ参加を認められたと話すアフマド会長は、マレーシアサッカー協会FAMが運営するU21リーグのプレジデントカップ、U19のユースカップへの参加も同時に認められたことも明らかにしています。
 アフマド会長はプルリス・ユナイテッドFCがM3リーグへの参加がプルリス州のサッカー復興に役立つと信じていると話し、プルリス州スポーツ評議会と協力して州内リーグを来年2021年から再開し、プレジデントカップとユースカップチームでプレーする選手を21歳以下の選手を選抜したいとも述べています。


12月27日のニュース(2):スズキカップ2020-タイがベトナムを完封し2大会ぶりに決勝進出

スズキカップ2020準決勝第2戦

2021年12月26日@シンガポール国立競技場(シンガポール)
タイ 0-0 ベトナム(通算スコア 2-0)
得点者:なし

スズキカップ2020の準決勝タイ対ベトナムの第2戦が行われ、結果は0-0のスコアレスドローとなり、第1戦に2-0と勝利していたタイが通算スコアを2-0として2大会ぶりの決勝進出を決めています。昨日の準決勝でシンガポールを破り既に決勝進出を決めているインドネシアとタイの決勝戦は奇しくも2017年大会の決勝戦と同じカードとなりました。

第1戦で0-2と敗れているベトナムはゴールを決めない限り決勝進出の可能性がないことから、試合開始と同時に攻撃モードでタイゴールに迫りますが、タイもこのリードを守るための引き気味の布陣ではなく最終ラインを高く保ってベトナムに対抗します。

しかし33分にはこの最終ラインを抜けたベトナム選手と1対1となったタイGKチャッチャイ・ブドプロムがこの選手と交錯し負傷退場となるアクシデントが起こりますが、交代出場のシワラック・テースーンヌーンもベトナムの猛攻に対して危なげないプレーでゴールを死守、チームもベトナムを完封しました。

タイが安定した強さを見せて、ここ数年間東南アジアで1強だったベトナムを破り、盟主交代が見えた試合でした。しかし決勝の相手インドネシアはシンガポールと延長戦を戦った疲労も残っているとは言え、悲願のスズキカップ初優勝、そして2017年大会決勝で敗れた雪辱を果たすために全力で向かってくるでしょう。来年元旦の決勝第2戦までまだまだ熱い試合が続きそうです。

(映像はスズキカップ2020公式YouTubeチャンネルより)

スズキカップ2020日程および結果

*既に終了している試合の詳細については、試合結果をクリックするとスズキカップ2020公式サイト(英語)へ飛ぶことができます。

<グループステージA組>

2021年12月5日(日)
東ティモール 2-0 タイ
シンガポール 3-0 ミャンマー

2021年12月8日(水)
ミャンマー 2-0 東ティモール
フィリピン 1-2 シンガポール

2021年12月11日(土)
東ティモール 0-7 フィリピン
タイ 4-0 ミャンマー

2021年12月14日(火)
フィリピン 1-2 タイ
シンガポール 2-0 東ティモール

2021年12月18日(土)
タイ 2-0 シンガポール
ミャンマー 2-3 フィリピン

<グループステージB組>

2021年12月6日((月))
カンボジア 1-3 マレーシア
ラオス 0-2 ベトナム

2021年12月8日(水)
マレーシア 4-0 ラオス
インドネシア 4-2 カンボジア

2021年12月12日(日)
ラオス 1-5 インドネシア
ベトナム 3-0- マレーシア

2021年12月15日(水)
カンボジア 3-0 ラオス
インドネシア 0-0 ベトナム

2021年12月19日(日)
ベトナム 4-0 カンボジア
マレーシア 1-4 インドネシア

グループステージA組順位

順位チーム試勝分負得失差勝点
1タイ4400912
2シンガポール430149
3フィリピン420266
4ミャンマー4103-63
5東ティモール4004-130

グループステージB組最終順位
*インドネシアとベトナムは勝点と得失点差で並んだものの、インドネシアの総得点13に対してベトナムは9のため、インドネシアがB組の1位に決定

順位チーム試勝分負得失差勝点
*1インドネシア4310910
2ベトナム4310910
3マレーシア420206
4カンボジア4103-53
5ラオス4004-130

<準決勝第1回戦>

2021年12月22日(水)
シンガポール 1-1 インドネシア

2021年12月23日(木)
タイ 2-0 ベトナム

<準決勝第2回戦>

2021年12月25日(土)
インドネシア4 2- シンガポール

2021年12月26日(日)
ベトナム 0-0 タイ

<決勝第1回戦>

2021年12月29日(木)
インドネシア – タイ(20時30分@シンガポール国立競技場)

<決勝第2回戦>

2022年1月1日(土)
タイ – インドネシア(20時30分@シンガポール国立競技場)