2025/26アセアン(東南アジア)クラブ選手権「ショピーカップ」の準決勝1stレグが5月6日に行われています。マレーシアからは昨季のリーグ王者ジョホール・ダルル・タジム(ジョホール)と同2位のスランゴールが揃って準決勝進出を果たしています。いずれものマレーシアのクラブのホームでの開催となった1stレグでは、昨季のベトナムリーグ王者のナム・ディンと対戦したスランゴールはクリゴール・モラエスの2発で逃げ切って辛勝しましたが、タイリーグを連覇中のブリーラム・ユナイテッドと対戦したジョホールは完敗しています。
4日前の5月2日に行われたマレーシアスーパーリーグ第24節のクアラルンプールシティ戦では、7ゴールを挙げて大勝しただけでなく、クラブの1シーズン最多ゴール記録を103として、またもや新記録を樹立したジョホール。国内では圧倒的な強さを誇り、さらに国外でも今季はACLエリートでもクラブ初のベスト8進出を果たすなど、その強さは折り紙つき。しかしそんなジョホールの天敵がタイ王者ブリーラム・ユナイテッドです。下の表にあるように直近の4試合の対戦成績はジョホールの0勝2分2敗、しかも3試合で1ゴールと国内での無双ぶりが嘘のような結果です。
| 2024年12月3日 | 2024/25ACLE グループリーグ | ジョホール 0-0 ブリーラム |
| 2025年3月4日 | 2024/25ACLE ベスト16 1stレグ | ブリーラム 0-0 ジョホール |
| 2025年3月11日 | 2024/25ACLE ベスト16 2ndレグ | ジョホール 0-1 ブリーラム |
| 2025年9月16日 | 2025/26ACLE グループリーグ | ブリーラム 2-1 ジョホール |
過去3年間で5度目となるブリーラムとの対戦を前に、ジョホールのシスコ・ムニョス監督はこの試合に対して決勝戦のように臨むことを選手たちに求めていると話しています。
「これ(ブリーラムとの対戦)は決勝だと理解しなければならない。準決勝は私たちにとって決勝戦だ。ホームでの試合であり、良い雰囲気が必要だ。誰もが私たちを助けてくれると確信している。こうした重要な試合をホームで戦うとき、ファンが私たちに追加の力を与えてくれるからだ」と話したムニョス監督はこれまでの対戦結果がこの試合にとっては重要ではないと話し、チームが成長していることを強調しています。
「(ブリーラムと対戦した昨年9月)当時の我々のチームは成長の過程にあった。シーズン序盤には多くの新加入選手がおり、スタッフや監督も新しかった。しかし今は互いを最大限に活かす方法をより理解していると思う」と勝利への自信を示すとともに、前回対戦とは状況が全く異なることも指摘しています。
一方、「最初にアウェーで戦うことは有利になり得る。なぜなら、その試合をホームに持ち帰ることができるからだ」と会見で述べたブリーラムのマーク・ジャクソン監督は、さらに「相手を尊重しており、彼らが強いチームであることも分かっているが、我々はしっかり準備してきた。良い結果を求めており、前向きな姿勢で試合に臨むつもりだ」とこの試合への意気込みを語っています。
さらに「ジョホールを尊重しているが、自分たち自身にも自信がある。アウェーで結果を出し、その上で第2戦で勝負を決めたい」と自信を見せています。
そんな両チームの先発XIは以下の通りです。自国出身の選手はジョホールが2名(帰化選手を加えると4名)、ブリーラムが3名と、両チームとも主力は外国籍選手というメンバー編成です。


試合はタイ王者ブリーラムが先制します。34分に中央のMFペテル・ジュリから左サイドのタイ代表SBササラック・ハイプラコーンへ渡ったボールを、ササラックがゴール前へ出すと、ブラジル出身FWギリェルメ・ビッソリが身体を寄せるジョホールDFエディ・イスラフィロフをかわしてこのボールを落ちついて押し込み先制点を挙げます。
さらにブリーラムは、左サイドで粘ったビッソリから出たボールをタイ代表MFティーラトン・ブンマタンが素早くクロスを上げると、このボールを元セルビアU21代表のMFゴラン・チャウシッチが強力なヘディングで合わせて追加点を奪います。
前半を終えて2点を追う展開となったジョホールは、後半に入ると攻勢を強め、FWハイロを中心に攻撃しますが、国内リーグ得点王争いでトップに立つFWベルグソンがベンチ外の中、ブリーラムの堅守がこれをはね返します。しかしアディショナルタイムに入った直後、MFアヘル・アケチェが右サイドからのフリーキックを決めてついに1点差に詰め寄りますが、今度がブリーラムがビッソリのこの試合2点目となるゴールで再び2点差としたところで試合が終了しました。
ジョホールのシスコ・ムニョス監督は、この試合後の会見でジョホールサポーターに謝罪し、敗戦は守備のミスが痛手になったことを認めつつも、5月13日の準決勝2ndレグに向けては「自分たちを信じ、最後まで全力を尽くす必要がある。我々はクラブのエンブレムのために、そして(東南アジアNo.1のクラブとなるという)野心のために戦っている。あちらへ行って状況を変えなければならない」と述べています。
一方、2点のリードを得て決勝進出へ大きく前進し、大会連覇に向けて優位に立ったブリーラムのマーク・ジャクソン監督は「私は自分のチームを信じており、どの試合にも勝てると思っている。傲慢になっているわけではないが、チームの能力を信じているし、今季の優勝を共に勝ち取りたい」と語る一方で、「全体を通して選手たちは素晴らしい粘り強さと質を示した。本当に満足しているが、まだ前半が終わっただけだと理解している。だから次の試合に向けて集中し、準備しなければならない」と勝って兜の緒を締め直しています。
なおこの試合後にはブリーラムのネーウィン・チットチョープ会長がジョホールのオーナーで、ジョホール州摂政でもあるトゥンク・イスマイル殿下に対し、ブリーラムとジョホールで東南アジアのサッカーのレベルを上げようと共闘とも取れる発言をしています。一昨年の12月に対戦して引き分けた際には「次に対戦するときには容赦しない」」「イスマイル殿下はもっと積極的にチームを補強した方が良い」といった挑発的なコメントを連発していたことを考えると、大きく様変わりしていますが、これは強者目線での発言なのかも知れません。
またこの試合では、ジョホールが0-2とリードを許していた試合終盤に席を立つ観客が多く見られたことも報じられています。国内リーグでは起こりえない展開に不満だったのか、それともマレーシアリーグでは圧倒的に安い一般席10リンギ(およそ400円)の価値すらないと思ったのか、その辺りの真偽はわかりませんが、メディアの中にもこれを異様な光景と報じているものもありました。
2025/26アセアンクラブ選手権ショピーカップ準決勝1stレグ
2026年5月7日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジム 1-3 ブリーラム・ユナイテッド
⚽️ジョホール:アヘル・アケチェ(90+2分)
⚽️ブリーラム:ギリェルメ・ビッソリ2(34分、90+4分)、ゴラン・チャウシッチ(45+2分)
MOM:ギリェルメ・ビッソリ(ブリーラム・ユナイテッド)
