7月16日のニュース:JDTのソーシャルメディアのフォロワー数は360万人、代表監督は8月のリーグ再開を希望、U19監督は新戦力にも期待

JDTのソーシャルメディアのフォロワー数は360万人
 Mリーグ1部ジョホール・ダルル・タジムJDTは公式Facebook上で、主要ソーシャルメディア上でのフォロワー数がMリーグで最多であることと発表しています。
 この発表によれば、JDTの公式Facebookページはおよそ250万人のフォロワーが、公式インスタグラムはおよそ90万人のフォロワーが、そして公式ツイッターはおよそ21万7000人のフォロワーがおり、合計でおよそ360万人のフォロワーがいるとしています。
 一方他のMリーグクラブについては、クダFAがおよそ90万2000人、スランゴールFCが50万5000人、そしてペラTBGが18万人のフォロワーを抱え、JDTに続いているとしています。
 またJDTのフォロワー数はマレーシア国内だけでなく、東南アジアでもトップクラスだとしており、インドネシアのプルシブ・バンドンの1490万人、プルシジャ・ジャカルタの660万人には劣るものの、タイのムアントン・ユナイテッドの260万人、ブリーラム・ユナイテッドの210万人やフィリピンのセレス・ネグロスFCの6万5000人、シンガポールのライオン・シティ・セーラーズFC(旧ホーム・ユナイテッドFC)の2万6000人より多くのフォロワーを持っているとしています。
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 ソースがないのでJDT以外のクラブのフォロワー数については、非公式なデータの可能性もありますが、それでも人口がおよそ2億6800万人のインドネシア、およそ1億70万人のフィリピン、6980万人のタイなどに比べ、人口がおよそ3200万人しかいないマレーシアのクラブながらこのフォロワー数の獲得は立派です。
 斯く言う私自身もJDTのソーシャルメディアのフォロワーの一人なのですが、JDTのソーシャルメディアが気に入っている点は、ページがマレーシア語と英語の2つの言語で書かれていることです。英語でも情報が得られるということでマレーシア国外にも一定数のフォロワーがいる可能性もあります。
(下はJDTの公式Facebookぺーじより)

代表監督は8月のリーグ再開を希望
 マレーシア政府はサッカーなど身体接触を含む競技の試合実施を8月15日から解禁とすることを発表していますが、国内リーグMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは、慎重な姿勢から当初の予定通り9月1日からのリーグ再開の可能性をほのめかしています。
 これに対してマレーシア代表のタン・チェンホー監督は、リーグ再開を必要以上に遅らせることは、10月からのW杯予選を控えるフル代表にとっては好ましくないと述べていると、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 再開日程についてMFLからはまだ公式な発表はないものの、多くのクラブが予定通り9月1日のリーグ再開を望んでいる一方で、リーグ再開が早まることで、収入が得られる時期も早まることから8月15日の再開を望んでいるクラブもあると、ニューストレイトタイムズは報じています。
 MFLやMリーグ各クラブの思惑とは別に、代表のタン監督はFIFAカレンダーで規定されている10月5日から13日の間で代表強化合宿を予定していることから、リーグ再開が早まれば3月半ば以降、実戦から遠ざかっている選手たちが自信や試合勘などを取り戻すことに使える時間が増え、それが代表チームにとっても好影響となると話しています。その一方で9月1日からの再開となれば各クラブは4週間で7試合から8試合を消化する日程となり、選手が疲労などからケガをする可能性が高くなることを心配しているとも述べています。
 この他にタン監督は、特に9月1日にリーグ再開となった場合、W杯予選前の実践は10月2日に予定されているバーレーン戦のみとし、Mリーグのクラブとの練習試合などは検討していないとしています。

U19監督は

U 19監督は新戦力にも期待
 10月に開催予定のアジアサッカー連盟AFC U19選手権は、開催地となるウズベキスタンで新型コロナウィルス感染者数が増加したことから、全国的なロックダウンが8月1日まで行われることが発表になっています。これが長引くことがあれば、U19選手権の開催も危ぶまれますが、このU19選手権に出場するマレーシアU19代表はそんな状況を気にせず、現在、強化合宿を開催中です。
 U19代表監督でオーストラリア出身のブラッド・マロニー監督は、7月6日から始まっている今回の合宿に初参加となるアダム・ナズミ・ザムリとザクリー・ライフ・ガジー・ヨーの両選手に注目していると、ニューストレイトタイムズの取材に答えています。
 初参加ながらコーチ陣の目に止まったというアダム選手はタイのプーケットにあるインターナショナルスクールに併設し、ブラジルのクルゼイロECが運営するアカデミー出身、またザクリー選手はイギリス中部レスターシャー州にあるブルックカレッジに併設するアカデミーの出身で、マレーシア国内のクラブ出身者や国家サッカー選手養成プロジェクトNFDP出身者が大半を占めるU19代表候補の中では異色の存在です。
 マロニー監督は、国外から参加の二人は既にチームに溶け込んでおり、その高い技術やサッカー選手としての質の高さは他の選手との良い意味での競争心を生み出していると話し、これにアメリカから参加し、今日7月16日には2週間の隔離が終わって練習参加が可能となるワン・クズリ・ワン・アーマド・カマルが加わることで、U19代表候補は最終選考へ向けてより高いレベルで競争できると話しています。

7月15日のニュース:Mリーグ4クラブのみが民営化手続き完了、MFLは身体接触を含む練習許可に練習試合許可は含まれていないことを警告、FAM会長-2030年までにアジアトップ5入りを目指す計画は順調に進行中

Mリーグ4クラブのみが民営化手続き完了
 マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、現時点で国内リーグMリーグのクラブの内、4クラブが民営化の手続きを完了していることを公表しています。マレーシアの通信社ブルナマによると、スチュアート事務局長は具体的なクラブ名は公表しなかったものの、Mリーグの4クラブが民営化手続きを終えており、このほかに12クラブが手続きを進めている最中と言うことですが、残る6クラブはFAMが定めた今年9月30日の期限を前に民営化手続きに着手すらしていないと言うことです。
 サッカークラブの「民営化」と言う表現に違和感があるかも知れませんが、Mリーグの多くのクラブは、マレーシア国内の各州サッカー協会(州FA)によって運営されているいわば公営クラブで、このブログでもクラブ名をクダFA、ケランタンFAといったように州名プラスFAという表記を使っているのもこれが理由です。
 Mリーグクラブの民営化については、アジアサッカー連盟も関心を示しているとされ、来季2021年シーズン開幕までに民営化が完了しないクラブには様々な障害が生じる可能性があるということで、FAMも民営化を奨励しています。
 「州FA所属のクラブが民営化する際にはいくつかの段階を踏む必要があり、2020年は新たにクラブ(FC)を新設する段階とFAMは位置付けている。FC新設後は、州FAからFCへの運営権の移行を含む次の段階に進むことになる。」と話すスチュアート事務局長は、今年は新型コロナウィルスの影響や、連邦政府内の政変に伴う州政府内の政権交代などによって、民営化の進行が遅れていることには理解を示し、FAMは各州FAを支援する用意があるとしています。
 この民営化は、州政府に選手の給料を含めた大半の運営資金を依存する多くのクラブの運営方法を改めるとともに、その経営健全化へと舵を切る切り札と目されています。
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 多くの州で、州首相が州FA会長を兼任する状況は、その会長職が単なる名誉職となっているだけでなく、今年のように政変で会長が交代を強いられるなど、本来なら長期的展望を持って運営されるべき各州FAが政治家に翻弄されているのが現状です。
 また現在の形態は、公金が投入されることをいいことに、経営手腕がない名ばかりの役員が高額で選手と契約し、その挙句に給料未払い問題を起こしていることとも無関係ではありません。この民営化が実現すれば、プロクラブを名乗りながら、選手への給料を支払えないFAが淘汰されていく可能性もあり、Mリーグが名実ともにプロリーグへとなる日も近づくのではないかと思います。

MFLは身体接触を含む練習許可に練習試合許可は含まれていないことを警告
 いよいよ本日7月15日よりMリーグ各クラブは身体接触を含む通常練習が可能になりますが、Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグは、身体接触を含めた練習の許可には練習試合実施の許可は含まれていないことを明言しています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、身体接触を含めた練習の解禁は練習試合の実施も可能になるわけではないとし、MFLは各クラブが標準作業手順SOPを遵守した上で練習を続けることを求めているとマレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 「MFLはどのクラブにも練習試合実施許可を出していないが、これは身体接触を含めた第二段階練習解禁後も選手やスタッフなどの安全と健康を考慮した上で、SOPが遵守されるかどうかを確認することを優先しているからである。これが確認された後には、時期を見計らった上で練習試合の実施を許可する予定である。」と話すガニCEOは、リーグ再開時期について問われると、各クラブが使用するスタジアムの消毒や除染、さらに施設の修理などを行って、再開後に問題が発生しないよう十分な準備の時間を確保できるようにした上で、再開時期を決定したいと話しています。

FAM会長-2030年までにアジアトップ5入りを目指す計画は順調に進行中
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上に、7月14日に就任から3年目となるハミディン・モハマド・アミン会長の2年間の実績報告などを掲載しています。
 Mリーグ1部ジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーでもあるジョホール皇太子トゥンク・イスマイル殿下辞任の後を受けて2018年7月に就任したハミディン会長は、スランゴール州サッカー協会FASの事務局長の経験もある元銀行家で、それまで政治家や王族が歴任してきたFAMの会長職についた初めての「民間人」です。
 会長就任後には2023年のAFC選手権アジアカップ出場、2016年までにFIFAランキング100位内、そして2030年までにアジアのトップ5入りとFIFAランキング70位以内などの目標を打ち出しましたが、当時はその目標は高すぎるという声が大半でした。
 しかし代表チームは2023年AFC選手権の予選を兼ねるFIFAW杯アジア二次予選ではベトナムに次ぐ2位につけており、FAMの公式サイトでは、ハミディン会長が提唱する2030年までのアジアトップ5入りを目指す指針F:30は順調に進行中であるとしています。
 またサッカー振興の礎となるコーチの養成のためのマレーシアコーチ憲章では、AFCプロコーチ養成コースの開催、プロ審判憲章ではプロ審判候補者の絞り込みが行われており、こちらも順調に進行中であるとFAM公式サイトでは伝えられています。
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 ハミディン会長は、かつてはマレーシアよりも弱かった日本が今ではアジアでもトップクラスの代表チームを擁することから、同じアジア人として日本から学びたいという発言を何度も繰り返しており、実際に日本サッカー協会JFAとの積極的な関係構築や、プロコーチ養成コースの一環としてJリーグのセレッゾ大阪や大宮アルディージャへの派遣、また昨年は国内カップ戦FAカップの決勝戦を日本から主審と副審を読んで開催するなど、日本に追いつき、追い越せという姿勢が見て取れます。

7月13日のニュース:Mリーグはリーグ再開に慎重姿勢、ウズベキスタンで10月に開催予定のAFC U19選手権に暗雲、汚職防止委員会が公立大学サッカー部のチームマネージャーを逮捕

Mリーグはリーグ再開に慎重姿勢
 先日のこのブログでも伝えましたが、8月15日からサッカーを含むスポーツの試合実施が解禁になることが発表されていますが、国内リーグのMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは再開について慎重姿勢であると、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 Mリーグは3月16日より中断中ですが、今月7月15日からは身体接触を含むチーム練習が可能となり、8月15日から試合実施が可能になることが、7月11日に行われたマレーシア政府の新型コロナウィルス関する定例記者会見で発表されています。
 当初のMリーグ再開は9月1日を予定していたMFLも、これに合わせて日程の前倒しを行う可能性がありましたが、MFLのガニ・アブドル・ハサンCEOはリーグ再開には慎重期することが重要だとして、試合実施許可が出たからといって、リーグを慌てて再開することは考えていないと語っています。
 さらにガニCEOは、MFLはMリーグ1部と2部で使用される20のスタジアムの消毒作業作業などが徹底されているかどうかの確認も必要だと話し、再開日程については予定通り9月1日となる可能性があるとしています。
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 Mリーグの各クラブに対しては、標準作業手順SOPに従った上で、身体接触を含まない練習の再開許可は既に出ており、7月15日から可能となる身体接触を含む練習が可能となることで、練習第2段階に入りますが、Mリーグ1部ではPDRM FC、2部ではケランタンFA、UKM FC、サラワク・ユナイテッドが練習再開許可を得られていません。綿棒検査で選手やスタッフの陰性が証明され、練習で使用する会場を消毒した上で登録することなどが練習許可申請の条件になっています。リーグ再開を9月1日と見越し、練習再開許可を未だに得られていないクラブにとって、リーグ再開が8月15日となれば明らかに時間が不足する可能性もあることが、ガニCEOの発言の根底にあるかも知れません。

ウズベキスタンで10月に開催予定のAFC U19選手権に暗雲
 アジアサッカー連盟AFCは、新型コロナウィルス感染拡大の収束に伴い、公式サイト上で今季のAFC主催の各大会の改定日程を発表しています。その内、マレーシアも出場権を獲得しているU19選手権は10月14日から31日の日程で、ウズベキスタンで開催されることになっています。
 しかしウズベキスタン全土が新型コロナウィルスの「赤色地域」に移行したとして、ウズベキスタン政府は7月10日から8月1日まで全国一律で移動や活動の制限措置の再強化を行うことを発表しています。この間は配達を除く飲食店の営業禁止やスポーツ施設の営業行為の禁止、屋外での3名以上での団体行動の禁止などの措置が取られることになっています。
 ニューストレイトタイムズ電子版は、この「ロックダウン」は状況が改善されなければ、8月1日以降も延長される可能性もあるとして、AFC U19選手権が今年中に開催されない可能性もあるのではないかとし、U19代表のブラッド・マロニー監督にその辺りの対応についてインタビューした記事を掲載しています。
 マロニー監督は「我々が(その決定に)関与できることではないので、状況を見守るしかない。日程変更などの発表があるまでは、従来の予定通りに準備を進めていきたい。」と話し、7月15日から解禁になる身体接触を含む練習が許可されたことを歓迎するとともに、練習試合なども組んでいきたいと話しています。 

汚職防止委員会が公立大学サッカー部のチームマネージャーを逮捕
 ニューストレイトタイムズ電子版によると、スタンゴール州にある公立大学のサッカー部のチームマネージャーが職権乱用の疑いでマレーシア汚職防止委員会により勾留されているということです。
 シャーアラム裁判所で勾留命令書が出されたというこのチームマネージャーは、マレーシア汚職防止法違反の疑いで勾留されているということです。
 42歳のこのチームマネージャーは大学内では青年スポーツ担当の職員ということで、汚職防止委員会は、この人物が自身の地位を使って、自分と利害関係にある会社を代理人に任命して、大学サッカー部が外国籍選手を獲得する際に利益を得ていた容疑がかけられているということです。
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 記事の中ではこの大学がMリーグに所属しているかどうかは述べられていませんが、もしそうだとすると、Mリーグ2部に所属し、マラ工科大学UITMが運営するUITM FCとマレーシア国立大学UKMが運営するUKM FCが国立大学を母体とするクラブなので、このいずれかの可能性があります。
 ちなみにこの記事が出た後に、UITMの体育課に勤務する知り合いに聞いたところでは、学内でそのような話は出ていないということですので、もしこれがMリーグのクラブに関する話なら、UKM FCの可能性が高そうです。

7月11日のニュース:Mリーグは8月15日から再開か、カリド選手のゴールデンブーツに125万円の値が つく、スランゴールFC監督はカリド選手に同情も引退後の準備不足も指摘

Mリーグは8月15日から再開か
 マレーシア政府による新型コロナウィルス関連の定例記者会見の席上で、身体接触を含むスポーツの練習が7月15日より、そしてサッカーなどの試合の実施が8月15日より許可されることが発表されています。
 英字紙スター電子版によると、イスマイル・ヤアコブ上級相は昨日7月10日に行われた定例会見の席上でサッカー、ラグビー、ホッケー、セパタクロー、バスケットボール、スカッシュなどの身体接触を含む球技と空手やテコンドー、シラットなどの格闘系競技の身体接触を含む練習が可能になることを発表しています。これに伴いフットサル場などの商業運動施設も営業が可能になるということです。
 また身体接触を含まないバドミントンなどの競技やモータースポーツはこの7月15日より試合実施が許可される一方、身体接触を含むサッカーやラグビーなどの競技の試合実施については、1ヶ月遅れて8月15日から可能になるということです。
 なお身体接触を含む競技か否かにかかわらず、どの競技も観客を入れた上での試合開催については許可されていません。
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 8月15日からの試合実施許可が出たことで、Mリーグの再開時期も当初予定されていた9月1日から前倒しになりそうです。当初はMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは9月中の4週間に各クラブが毎週2試合を実施してリーグ戦の残り8試合を消化する過密日程を発表していましたが、8月中旬のリーグ再開が可能となれば、日程に余裕が生まれ、各クラブも歓迎することでしょう。

カリド選手のゴールデンブーツに125万円の値がつく
 ペラFA(現ペラTBG)や代表でプレーしたストライカーのカリド・ジャムルスがMリーグ得点王を記念するゴールデンブーツやメダル、ユニフォームなどをオークションにかけたことはマレーシアのサッカーファンに様々な反応を引き起こしましたが、英字紙ニューストレイトタイムズによれば、そのゴールデンブーツに5万リンギ(およそ125万円)の値がつけられたということです。
 2002年のペラFA時代に22ゴールを挙げて獲得した記念の品に対して、サバ州からのオークション参加者によってつけられた5万リンギという値段は、カリド選手が最低落札価格として設定した1万500リンギ(およそ26万2000円)を大きく上回っています。
 カリド選手はゴールデンブーツの状態はとても良いわけではないが、他のクラブの外国籍フォワードと競った結果の品には尊重されるべき価値があるだろうと話しています。
 2児の父ながら過去3年間は無職というカリド選手は、同情は不要だが、今後は人生で意味のある仕事につきたいと話す一方で、支援を申し出たペラ州政府がこの5万リンギより高い値をつけるかどうかを1週間ほど待つと話しています。
 またカリド選手の苦境を知った青年スポーツ省のワン・アーマド・ファイサル・ワン・アーマド・カマル大臣代行とも面会したカリド選手は「自分は貴重な経験を持っているので、これを分かち合いたいと持っているが、コーチの職を与えられなければそれも無理で、(パハンFA監督の)ドラー・サレーや(マラッカ・ユナイテッド監督の)ザイナル・アビディン・ハサンのように選手から指導者へと転身することもできない。自分のような元選手は、そういった機会がなければ消え去るのみである。」と話しています。
 B級コーチライセンスを持っているというカリド選手は、ファイサル大臣代行との面会の内容は明かしていないということですが、ファイサル大臣代行はカリド選手はサッカー界の財産であるとして、青年スポーツ省として支援したいと話しています。
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 かつての名選手ということで同情する声も少ないくないですが、無職だった過去3年間に、Mリーグ1部や2部では無理でも、下部リーグやアマチュアリーグで指導経験を積むくらいの時間も余裕もあったと思うのですが、それもせずに泣きを入れる辺りは今後の指導者としての資質に疑問符がつきそうな気もします。

スランゴールFC監督はカリド選手に同情も引退後の準備不足も指摘
 Mリーグ1部スタンゴールFCの監督でもあるマレーシアサッカーコーチ協会MFCAのサティアナタン・バスカラン会長は、Mリーグ1部と2部を併せて24クラブしかない現状は、マレーシア人指導者にとってプロコーチの職に就くには厳しい環境であると述べています。
 現在のMリーグではある程度の実績を持つ指導者しか監督、コーチになることは難しいとした上で、いったんコーチとしての仕事を失えば、また実績を積むまでは次のクラブを見つけることは難しいと話しています。
 (マンCの)ペップ・グアルディオラや(リバプールFCの)ユルゲン・クロップなら、こちらがクラブを探さずともクラブの方から自分を見つけてくれるが、過去の名選手という程度で指導者としての実績がなければ、他のマレーシア人指導者や外国籍指導者との勝負に勝つ必要があると話しています。
 「マレーシア国内にはA級あるいはB級コーチライセンスを持つ指導者が何千人といる。元代表選手というだけでコーチの職に着けると考えているのであれば、アドバンストA級のコーチライセンスを持ちながら仕事がない元代表選手の名を何名でも挙げることができる。」と述べるサティアナタン会長は、上記のカリド選手の苦境について、自分がケランタンFA監督時代の選手であったこともあり、記念の品を手放さなければならないのは残念だと話しています。
 しかし誰もがコーチになれるわけではないという現実を認識するべきだとも話すサティアナタン会長は、選手の多くが現役引退後の生活についての計画がないことが問題だと指摘しています。その上で、マレーシア国軍が除隊後の生活のための教育プログラムを用意していることを指摘し、サッカー選手にも同様のプログラムを導入するべきかもしれないと述べています。

7月10日のニュース:ACLの日程発表-JDTの初戦は10月17日の広州恒大淘宝戦、ケランタン州協会は来季のクラブのMリーグ残留に楽観的、今度は元スランゴールFCのGKが優勝メダルをオークションに

ACLの日程発表-JDTの初戦は10月17日の広州恒大淘宝戦
 アジアサッカー連盟AFCの公式サイトでは、10月から再開予定のAFCチャンピオンズリーグACLAFCカップの新たな日程が発表になっています。
 ACLのグループGに入るMリーグ1部ジョホール・ダルル・タジムJDTの再開初戦は10月17日の広州恒大淘宝戦となっています。またその6日後の10月23日には水原三星戦、さらに10月29日にはヴィッセル神戸戦、そしてグループスタージ最終戦となる広州恒大淘宝戦は11月1日に予定されています。
 なお試合会場については、これまでのホームアンドアウェイ開催から一か所集中開催となることが発表になっていますが、具体的な場所はまだ発表されていません。
 またグループステージ終了後のノックアウトステージも、今季は12月5日に予定されている決勝戦までの全ての対戦がホームアンドアウェイ形式から一発勝負の形式となることも併せて発表されています。
 今季のACLでJDTは初戦のヴィッセル神戸戦(アウェイ)に1−5と大敗したものの、次戦の水原三星戦(ホーム)では2-1と快勝しましたが、その後、ACLは新型コロナウィルスの影響で中断されていました。
 この他、AFC主催の各大会の日程も以下の通り発表になっています。
AFC U19選手権:10月14日から31日までウズベキスタンで開催。
AFC U16選手権:11月25日から12月12日までバーレーンで開催。
AFC フットサル選手権:11月4日から15日までトルクメニスタンで開催。
AFC フットサルクラブ選手権:12月2日から13日までアラブ首長国連邦で開催。

ケランタン州協会は来季のクラブのMリーグ残留に楽観的
 Mリーグ2部ケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAは、複数の給料未払い問題を抱えるものの、来季もMリーグに残留できると楽観的な予測を持っていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 マレーシアサッカー協会FAMは、KAFAは要求に応じる形で未払い給料問題解決の期限を6月30日から8月31日まで延長していますが、KAFAのフシン・デラマン事務局長はこの2ヶ月間の間に未払い給料の支払いを分割で行うとしています。
 その一方で、KAFAのスポンサー委員会のアーマド・ムザッキル・ハミド委員長は青年スポーツ省のリーザル・メリカン・ナイナ・メリカン大臣を表敬訪問し、未払い給料問題解決のため青年スポーツ省によるKAFAへの支援を依頼したとされています。
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 同じ記事の中では、ケランタンFAの練習再開が8月1日となることも明らかにされており、その理由として監督がリーグ開幕までの練習期間は1ヶ月で十分だとしたことが理由にされています。
 Mリーグの各クラブが次々と練習を再開する中、7月も自宅練習を選手に求める姿勢を見ると、ケランタンFAは練習再開に必要とされる標準作業手順SOPに必要とされる余分な費用など負担を避けることが目的ではないかと勘ぐってしまいます。

今度は元スランゴールFCのGKが優勝メダルをオークションに
 MリーグのペラFAや代表で活躍したカリド・ジャムルスが、経済的な困窮を理由に自身が獲得したMリーグ得点王のトロフィーであるゴールデンブーツやユニフォームなどをオークションに出した話は先日取り上げましたが、今度はかつてのスランゴールFA、現在のスランゴールFCでプレーしたGKが優勝メダルをやはりオークションにかけています。
 2005年にスランゴールFAでプレーしたジャムサリ・サビアンは、この年獲得したMリーグ2部プレミアリーグの優勝メダル、FAカップの優勝メダル、そしてマレーシアカップの優勝メダルの写真を自身のFacebookに挙げ、購入希望者を募っています。
 2003年に当時の1部リーグだったプレミアリーグ1(現在のスーパーリーグ)で13チーム中12位となり、2部リーグプレミアリーグへ降格となったスランゴールFAは、2005年には2部で優勝しただけなく、2部のクラブとしては初となる国内の二つのカップ戦を制覇していますが、ジャムサリ・サビアン選手はその3つの優勝記念メダルを手放すとしています。
 Facebook上では特に理由は述べられていませんが、これだけのものを手放すというのにはそれなりの理由があるのでしょう。
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 この2005年のスランゴールFAは現在はパハンFAの監督を務めるドラー・サレー監督と、やはり現在はクアラルンプールFAでプレーするシュコル・アダン主将が率い、マレーシアカップ決勝では9万3569人の観衆を記録したブキジャリル国立競技場でプルリスFAを3-0で破り、FAカップ決勝はペラFA(現ペラTBG)をやはりブキジャリル国立競技場で4-2で破っています。いずれの決勝戦もインドネシア代表で活躍し、インドネシアサッカー界のレジェンドであるバンバン・パムンカスが2得点を決めて勝利に貢献しています。
(写真はいずれもジャムサリ・サビアン選手のFacebookより。写真左は2部プレミアリーグ(Liga Premier)、FAカップ(Piala FA)、マレーシアカップ(Piala Malaysia)のメダル。写真右はGKユニのジャムサリ・サビアン選手とスランゴールFAのメンバー)

7月9日のニュース:一時帰国中の外国籍選手もマレーシア入国へ、青年スポーツ相がU19代表合宿を視察

パハンFAの外国籍選手はチーム合流に見通しが立たず
 英字紙スター電子版によると、Mリーグ1部パハンFAは、現在、国外滞在中の外国籍選手のマレーシア入国許可を出入国管理局より取得したものの、その選手たちのマレーシアへ来る手段がなくチームへの合流が遅れそうだということです。
 パハンFAにはMリーグ1部の規定通り5名の外国籍選手が所属していますが、その内、現在マレーシア国外にいるのがいずれも自国に帰国しているレバノン出身のカリル・カミスとフィリピン出身のアダム・リードです。
 パハンFAのチームマネージャーを務めるモハマド・スフィアン氏によると、出入国管理局のカイルル・ザイミー・ダウド局長自身がパハンFAを含めMリーグの複数のクラブの外国籍選手の入国申請の審査を行い、いずれの外国籍選手にもマレーシアの入国許可が認められたということです。
さらにモハマド・スフィアン チームマネージャーは「カリル、リード両選手も入国許可が出たものの、レバノンでは新型コロナウィルス感染が拡大中、またフィリピンでも新たな感染者が1000人単位で増加しているということで、航空会社の運行便数が制限されていることから、マレーシアへ戻る便を確保できてない。またマレーシア到着後も症状がなければ数日間の隔離検疫期間を経て、チームに合流できるだろう。」と話しています。
 今週から練習を再開したパハンFAの残る3名の外国籍選手であるディクソン・ヌワカエメ(ナイジェリア)、イヴァン・カルロス(ブラジル)、エラルド・グロン(フランス)は、活動制限令MCOが3月半ばに発令された際もマレーシアに残り、現在はチームの練習に参加しているということです。

クダFA監督は外国籍選手の早期合流を期待
 また英字紙ニューストレイトタイムズは、練習を再開しているMリーグ1部クダFAの外国籍選手のチーム合流が遅れる見通しだということです。
 フィリピンに帰国中のアミン・ナザリは、マレーシア入国に必要な綿棒検査を受け、既に新型コロナウィルスの陰性が確認されている一方、ブラジルに帰国中のレノン・アウヴェスは現在、綿棒検査の結果を待っているとされています。
 自身も綿棒検査を経てマレーシア入国を許可されたシンガポール出身のアイディル・シャリン監督はアミン、アウヴェス両選手が来週までには合流できることを期待していると話しています。

青年スポーツ相がU19代表合宿を視察
 マレーシアサッカー協会FAMと共同で国家サッカー選手養成プログラムNFDPを運営している青年スポーツ省のリーザル・メリカン・ナイナ・メリカン大臣が、AFCU19選手権に出場する代表選手候補合宿を見学し、チームの核となっているNFDP出身者を含めた選手を激励したと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 スランゴール州プタリンジャヤにあるFAMの施設で行われているU19代表候補合宿をFAMのハミディン・モハマド・アミン会長と共に訪れたレーザル・メリカン青年スポーツ相は、NFDPの出身者がU19代表のレベルを高め、青年スポーツ省の予算を投入し、歴代大臣が関わってきたNFDPが結果を出すことを期待している、と述べています。
 本日7月9日には、現在は身体接触を含まない練習のみが許可されているスポーツの練習方法について、身体接触許可をを認めるかどうかの政府閣議が行われる予定で、現在は体力トレーニングが中心になっているU19代表も、数日以内に通常練習へと移行できる可能性を示唆した上で、10月にウズベキスタンで開催されるU19選手権へは万全の準備で臨んでもらいたいとも話しています。

7月8日のニュース:ペラ州政府がかつての名選手の支援を検討、FAMはアフリカ出身の帰化選手候補の審査を書類不十分により終了、「日本は東南アジアの才能豊かな若い選手に常に注目している」ヤクルト濱田社長

ペラ州政府がかつての名選手の支援を検討
 マレーシアの通信社ブルナマは、かつてペラ州サッカー協会PAFAが運営するペラFA(現ペラTBG)で活躍したストライカーのカリド・ジャムルスへの経済支援をペラ州政府が検討していると報じています。
 ペラ州のアーマド・ファイザル・アズム州首相は、ペラFAや代表で活躍したかつての名選手が苦境を聞くたびに心が痛むと話し、カリド選手に対してどのような支援を行えるかをPAFAと話し合ったことを明かしています。
 カリド選手は先週、現在の経済的困窮状況を明らかにした上で、2002年シーズンに17ゴールを決めて獲得したMリーグ得点王表彰のゴールデンブーツを1万500リンギ(およそ26万4000円)で手放したことを自身のFacebook上で明らかにしていました。このゴールデンブーツの他、現役時代のユニフォームや獲得した様々なメダルなどの記念品も併せてオークションで売却したとして、代表でも2004年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権で6ゴールを決めたかつての名選手の現状に同情が集まっていました。
 2012年を最後にMリーグでプレーしていないカリド選手は過去3年間は無職だったとも報じられています。

FAMはアフリカ出身の帰化選手候補の審査を書類不十分により終了
 マレーシアサッカー協会FAMは、コンゴ民主共和国出身のマルセル・カロンダから申請されていた帰化選手審査を終了すると公式サイトで発表しています。
 22歳のカロンダ選手は祖父がサバ州出身であるとしてマレーシア人の血筋を持つHeritage Playerの資格で帰化を申請していました。
 しかしFAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長の発表によると、FAMはコンゴ共和国サッカー協会FECOFOOTや当地のコンゴ共和国領事館を取る一方で、カロンダ選手から提出されていた書類をマレーシア法務省下の国家登録局JPNに提出したところ、JPNからは一部の内容が無効であるという連絡を受け取ったということです。
 FAMは既にカロンダ選手に審査終了の連絡を通知したということです。
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 実はこのカロンダ選手については、3月頃から当地のサッカーファンの間では話題になっていました。しかし、その後も何の確証も現れず、単なる噂とカロンダ選手自身の主張のみを根拠に期待だけが大きくなっていったこともあり、このブログでは積極的には扱わないことを決め、取り上げたのも先月の一度だけでした。
 ここ数年は帰化選手の増加によってマレーシア代表の力が底上げされているのは事実ですが、マレーシア国内でプレーもせず、突然、マレーシア人の血筋を引いていると主張する外国籍選手は、所詮、現在居住する国では代表になれない選手たちが機会を求めているだけに過ぎないような気がします。
(下は公式Facebookに掲載されたカロンダ選手の審査終了の告知)

「日本はアセアンの才能豊かな若い選手に常に注目している」ヤクルト濱田社長
 マレーシアの国営テレビRTMにJ2岡山のハディ・ファイヤッド選手とヤクルトマレーシアの濱田浩志社長が出演したと、マレーシアのサッカー専門サイトのヴォケットFCが報じています。
 「国外へ選手派遣は有意義か、時間の無駄か」と題されたこの番組の中で司会者のニニ・イブラヒム氏は岡山からオンラインで出演したファディ選手に対して、現地の気候や文化、日本の新型コロナウィルス対策などサッカー以外の話題なども含めたインタビューを行い、ハディ選手もAチーム入りを目指す強い決意を表明しました。
 続いて番組に登場したの濱田社長は、新型コロナウィルスによって現在は停止しているものの、ヤクルト社がこれまで行ってきたマレーシア国内の草の根レベルのサッカー支援、そして今年後半に予定されている国内大会への支援、そして優勝チームの日本派遣などについて説明しました。
 その後、司会者からハディ選手を支援する理由を尋ねられた際は、ハディ選手の支援は同社の企業の社会的責任活動CSRの一環であると述べています。さらに他のマレーシア人選手を今後日本へ派遣する予定があるかどうかを尋ねられた濱田社長は、同社はサッカー選手の代理人ではないので、日本国内のクラブへの橋渡しはするが、選手を受け入れるかどうかは先方のクラブ次第であると述べた他、もし自ら望んで日本へ行きたい選手がいれば、日本のクラブへ紹介することはできる、と答え、その際には日本はアセアン(東南アジア諸国連合)の才能豊かな若い選手に常に注目していると話しています。
 なお、この番組の映像はこちらからご覧になれます。

7月6日のニュース:元U16監督の外国クラブへの若手派遣は意味なしの意見に元U23監督が反論、スランゴール州FAがサッカーコンサルとの契約を発表、ルクマンの渡欧が決定

元U16監督-外国クラブへの若手派遣は意味なし
 かつてU 16代表の監督を務めた他、マレーシア政府青年スポーツ省とマレーシアサッカー協会が共同して運営する国家サッカー選手養成プログラムNFDP内のエリートアカデミーであるモクタル・ダハリアカデミーAMDのテクニカルダイレクターも務めたリム・ティオンキム氏は、若手選手の外国クラブへの「派遣」は時間の無駄であり、教育を受ける機会を奪うものだと、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版とのインタビューで話しています。
 リム氏は、コーチの外国クラブへの派遣には、コーチの育成という観点から意味があるので賛成する一方で、若手選手の派遣には反対であると述べています。
 「マレーシアは日本や韓国と違い、外国のクラブのスカウト網には含まれていない。もし、スカウトされたという話があれば、それはうそだ。また、高校や大学に在学中の選手を外国のクラブへ派遣するとなった場合、その間の教育はどうなるのだろうか。教育は重要であり、もしその選手がプロになれなかった場合には、その後の人生では何を頼りに生きていくのかまで検討されているようには思えない。」
 自身は1980年代後半にドイツ1部リーグのヘルタ・ベルリンでもプレーし、その後はバイエルン・ミュンヘンのユースチームのコーチを務めたリム氏は、若手選手が外国クラブの目に留まる機会を作るためには国際大会に出場させることが近道であると述べています。
 「当初は10年計画として2002年に始まったNFPDだが、その後の2013年にNFPDの計画責任者として参加した私が直近の目標としていたのは2019年のU17 W杯への出場だった。具体的にはこの大会に出場し、各国から集まる監督、コーチ、そして世界各地のクラブのスカウトの目に留まる機会を作り、その後はNFDPの卒業生が海外のクラブでプレーするという目標を立てていた。」
 「海外、特にヨーロッパのクラブにマレーシアの選手が評価されるのは難しい。現在のNFPDも卒業生に海外のクラブでプレーさせるという目的は変わっていないが、実現は難しくなっている。と言うのもFAMは日本に選手を送り込んでおり、これは単なるマーケティングが目的である。」と話すリム氏は、自分をドイツから招聘した当時の青年スポーツ相のカイリ・ジャマルディン現科学技術およびイノベーション相とともに現在のNFDPの状況を憂いており、「若い選手には技術習得や性格形成などの機会を十分に与えるべきだが、現在のNFDPは直ちに結果を求めようとしている。」と批判的な意見を述べています。
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 2013年にバイエルン・ミュンヘンからNFDPへ三顧の礼をもって迎え入れられたリム氏は、2016年にはAMDのテクニカルダイレクターに、さらに2019年のU17W杯出場を目指したU16監督にも就任しました。しかしU17W杯のアジア予選を兼ねたアジアサッカー連盟AFC U16選手権2018年大会がマレーシアで開催されながら、グループステージ最下位で敗退した結果、リム氏はU16監督を解任され、2019年以降はNFDPとの契約が更新されず、事実上の解任となりました。
 ただしこの「解任」は、この年の選挙で1953年のイギリスからの独立後初の政権交代が起こった結果、旧与党が推奨するもの全てを否定するような「魔女狩り」にも似た風潮が生まれ、そのとばっちりを受けたような面もある解任だったと言う印象です。

元U23監督-海外クラブへの派遣は時間の無駄ではない
 上で取り上げたリム氏の意見に対して、元U23代表監督で、現在はマレーシアサッカー協会FAMのユース育成部門の責任者を務めるオン・キムスイ氏は、高いレベルの海外クラブに派遣することは、若い選手が成長するための道を切り開くものであると反論しています。
 「FAMは海外のクラブへ派遣した選手の状況を把握しており、派遣先のクラブもきちんとした組織を選んでいる。ヨーロッパのクラブは運営しているアカデミーが複数のレベルに分かれており、派遣する若手選手はアカデミーで練習中の選手ではなく、派遣する選手と同じ年代のトップチームと一緒に練習させることを目標にしている。」
 「我々は派遣先のクラブを選別する必要があるが、どのクラブであっても選手を派遣して直ちに我々の求めることが実現するわけではない。そのためにはクラブとの関係を構築して、長期間にわたって派遣を続ける必要があり、結果が出るまでには時間がかかることも承知している。」と話すオン氏は、FAMは現在、これまでの日本サッカー協会JFAとの関係に加えて、韓国サッカー協会KFAやヨーロッパの複数のクラブとの練習参加などの派遣プログラムを計画中ということです。
 またNFDPの状況にも常に目を配っていると話すオン氏は、第1期卒業生のサッカー人生が不安定な状況であるという指摘に対しては、全員がMリーグクラブに所属しており、10月に開催予定のAFC U19選手権に出場するチームの核となっていることまた、さらに昨年はこの卒業生たちが東南アジアサッカー連盟AFF U19選手権やAFC U19選手権に出場したことを指摘し、放置されているという指摘は当たらないとしています。

スランゴール州FAがサッカーコンサルとの契約を発表
 Mリーグ1部スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASは公式サイト上で、サッカー専門のコンサルティング会社であるハーカス・コンサルタンシー・グループHCG社と契約したことを発表しています。
 HCG社はバレンシア(スペイン)、ベンフィカ(ポルトガル)、AZアルクマール(オランダ)、レンジャーズ(スコットランド)といったヨーロッパのクラブの他、サイゴンFC(ベトナム)やタンピネス・ローバーズ(シンガポール)などとも契約しているということです。
 持続可能な運営、そしてスランゴールFCの完全民営化を目指すFASは、スカウティングやトレーニング、大会の開催やスタジアムの商業価値増大などサッカー関係の様々なサポートを行うHCG社と契約することで、ビジネスとしてサッカークラブ運営だけでなく、かつての黄金期を取り戻せるようクラブとしてのレベルアップを目指すということです。

ルクマンの渡欧が決定
 同じFASの公式サイトでは、Mリーグ2部、スランゴールFCのBチームであるスランゴール2に所属するルクマン・ハキム・シャムスディンのKVコルトレイクへの移籍を発表しています。
 マレーシア人富豪のヴィンセント・タン氏がオーナーを務めるベルギー1部リーグのKVコルトレイクはルクマン選手と5年契約を結んでいますが、新型コロナウィルスノエ教により、ルクマン選手はクラブに合流できないまま、ベルギーリーグは中断後にリーグ日程を短縮して2019/2020年シーズンを終えてしまったことから、練習環境を求めてスランゴール2と契約していました。
 上記でも取り上げたNFDPの第1期卒業生の一人でもあるルクマン選手は、チームはグループステージ敗退となりながら、2018年のAFC U16選手権では唐山翔自(現ガンバ大阪)らと得点王を分け合い、今年10月に開催されるAFC U19選手権予選でもやはり試合出場は2試合ながら得点王となるなど、マレーシアサッカーの将来を担う期待の星ですが、この度、FASとKVコルトレイクの間で移籍が合意されたということです。
 FASが育てたわけではないルクマン選手の移籍について、かなりの量の説明付きで報じているのは個人的には少々違和感がありますが、18歳のルクマン選手を暖かく送り出そうというFASの気持ちは伝わってくる移籍告知です。

7月4日のニュース:代表はW杯予選前にバーレーンと練習試合実施、FIFAからの支給金は各州FAには分配されず、マレーシア人マネージャーが明かすヤンゴンU成功の秘密

代表はW杯予選前にバーレーンと練習試合実施
 今年3月に予定されながら、新型コロナウィルス感染拡大により延期となり、その後は実施が危ぶまれていたバーレーンとの練習試合が行われることになったとマレー語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 10月2日に予定されているマナマでのアウェイマッチでは、最新のFIFAランキングで99位のバーレーンに同154位のマレーシアが挑むかたちですが、10月8日にやはりアウェイマッチとなるW杯予選のアラブ首長国連邦戦が控えるマレーシアにとっては、格好の腕試しとなるでしょう。
 代表のタン・チェンホー監督は、このバーレーン戦をUAE戦を控える代表にとって中東のプレースタイルと気候に慣れるための貴重な機会だと話しています。
 マレーシア代表はW杯アジア二次予選のグループDで現在、2位に付けており、残るUAE戦(10月8日)、ベトナム戦(10月13日ホーム)、タイ戦(11月17日アウェイ)の結果次第では、W杯三次予選への進出は難しくとも、開催国枠で出場した2007年以来のアジアカップ出場権獲得が期待されています。

FIFAからの支給金は各州FAには分配されず
 国際サッカー連盟FIFAから新型コロナウイルス感染による財政難への取り組みを手助けするために、マレーシアサッカー協会FAMに対して支給された150万米ドル(およそ1億6100万円)について、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、Mリーグクラブや、クラブを運営する各州FAに分配する予定はないことを明らかにしています。
 スチュアート事務局長がマレー語紙ブリタハリアンに語ったところによると、この支給金は新型コロナウイルス感染症の大流行で影響を受けたサッカーコミュニティーを手助けする救済が目的であり、未払い給料問題を抱えるクラブを支援することはFIFAの指針に反するものであるとして、剰余金が出た場合でもクラブへの分配は行わないとしています。
 6月29日にアジアサッカー連盟AFCのウインザー・ジョン事務局長は、FIFAが各国FAに対して150万米ドルを支給することを明らかにしており、スチュアートFAM事務局長の発言は、このAFCからの告知を受けて支援を求める可能性がある州FAに釘を刺すためのものと考えられています。

マレーシア人マネージャーが明かすヤンゴンU成功の秘密
 サッカー専門サイトのヴォケットFCは、ミャンマー1部リーグのヤンゴン・ユナイテッドFCのスポーツマネージャーを務めるマレーシア人のカイルル・アヌアル・アズミ氏とのインタビュー掲載し、ヤンゴン・ユナイテッドFCのビジネスモデルとその成功を紹介しています。
 2018年から現在の職についているカイルル・アヌアル氏によると、ヤンゴン・ユナイテッドFCはクラブ所有の施設が生み出す収入のおかげで、スポンサー代や広告料、入場料収入、グッズの売り上げといった収入に依存せずに運営ができていると話しています。
 ヤンゴン・ユナイテッドFCは4面の屋外フットサルコート、1面の屋内フットサルコート、バスケットボールコート、ジム、プール、バドミントンコートなどを所有し、これらを一般に開放して収入を得ている他、さらに所有する多目的ホールでは企業のイベントやディナーパーティー、そして結婚式の会場としても貸し出されているそうです。
 またサッカーアカデミー やスイミングスクールも併設されているということで、収入だけでなく地域社会のスポーツ文化育成などにも一役買っており、カイルル・アヌアル氏によれば、スポーツ施設を含めた施設の貸し出しで一月あたり15万リンギカラ17万リンギ(およそ376万円から426万円)の収入があるということです。
 今季もAFCカップに出場しているヤンゴン・ユナイテッドFCは、2013年からは横浜F・マリノスともパートナーシップ提携を行っているということです。
 この記事は、Mリーグのクラブもヤンゴン・ユナイテッドFCを見習って、より大きな視点でサッカークラブを運営するべきだと締めくくっています。
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 下はヤンゴン・ユナイテッドFCが所有するスポーツ施設の紹介映像ですが、これを見る限りでは総合スポーツ施設という感じで、ヨーロッパのスポーツクラブがモデルになっているような感じです。Mリーグのクラブは州政府の予算頼りのクラブが大半で、サッカークラブがビジネスとして成功するためには、公金に頼らないクラブ運営から始めなければなりませんが、その道はまだまだ遠そうです。

7月3日のニュース:今度はクランタン州FAの副会長が辞任、青年スポーツ相-身体接触を含む競技の再開は時間の問題、AFC選手権出場のU19代表候補合宿参加者35名が発表

今度はクランタン州FAの副会長が辞任
 わずか数日前に、現職の会長と会長補佐が「休職」となったケランタン州サッカー協会KAFAで、今度は副会長が辞任したことを、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 ワン・アブドル・ラヒム・ワン・アブドラ会長とアファンディ・ハムザ会長補佐の休職を発表したKAFAですが、後を追うようにモハマド・ロウィ・ドラー副会長が辞表を提出して退職しています。モハマド・ロウィ副会長は2019年に現職に就任し、副会長の任期は2023年まとなっていました。
 「自分はビジネスマンであり時間的な制約もあることから、KAFAの仕事に全力で取り組むことが難しくなっている。副会長としてKAFAのスポンサー獲得にも知って牌していることから辞職を申し出た。」と話すモハマド・ロウィ副会長からの辞職願について、KAFA事務局は受け取ったことを認めているということです。
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 このブログで何度も取り上げているように給料未払い問題の解決も見えない中、会長、会長補佐に続いて副会長までいなくなってしまったケランタン州FAの迷走はまだしばらくは続きそうです。

青年スポーツ相-身体接触を含む競技の再開は時間の問題
 国内のスポーツを監督する青年スポーツ省のリーザル・メリカン・ナイナ・メリカン大臣は、国家安全保障委員会と保健省による正式発表は来週行われるとした上で、サッカーやセパタクローなどの競技再開が近いと語っていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 身体接触を含む練習再開については、7月9日に行われる閣議で議論されることは、昨日のこのブログでも取り上げましたが、これについてリーザル青年スポーツ相は、このようなスポーツを再開することで、国民に対してこれまでの日常に戻っていることが実感できるものとされることから、閣議では前向きに検討される可能性が高いと述べています。

AFC選手権出場のU19代表候補合宿参加者35名が発表
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上でアジアサッカー連盟AFC U19選手権に出場するマレーシアU19代表候補合宿参加選手35名を発表しています。
 代表候補合宿は7月6日から26日までスランゴール州プタリンジャヤPJのFAM施設で行われます。
 昨年2019年11月にカンボジアで開催された予選の最終戦では、優勝候補だった同組のタイに1ー0で勝利し本戦出場資格を獲得していますが、その時のU18代表からは14名が残っています。
 この他、今回の招集メンバーで注目を集めるのは、マレーシア人の両親を持つアメリカ出身のワン・アーマド・クズリ・ワン・アーマド・カマルと、FAMとマレーシア青年スポーツ省が共同で運営する国家サッカー選手養成プログラムNFDPのチームで主将経験があり現在はタイのプーケットにあるブリティッシュインターナショナルスクールプケットBISPクルゼイロサッカーアカデミー所属のムハマド・アダム・ナズミ・ザムリです。クズリ選手は、兄のワン・クザイン・ワン・カマルが昨年末の東南アジア競技大会シーゲームズ出場のU23代表候補合宿に参加しています。
 また今回招集された35人以外には、U19選手権予選突破に貢献した主力選手のルクマン・ハキム・シャムスディン(KVコルトレイク-ベルギー)、ムカイリ・アジュマル・マハディ、ハリス・ハイカル・アダム・アフカル(いずれもスランゴール2)ら7人は、次の代表候補合宿からの参加が予想されています。
 10月14日から30日までウズベキスタンで開催されるAFC U19選手権では、マレーシアはグループDに回り、カタール、タジキスタン、イエメンと同組になっています。