11月7日のニュース:マレーシアカップ開幕-JDT・クダFA・ペナンFAがベスト8進出、AFC事務局長は州政府に依存するクラブを暫定的に容認、ケランタンFCはランカウィ島にリゾートをオープン

マレーシアカップ開幕-JDT・クダFA・ペナンFAがベスト8進出
 今季2020年シーズン最後の大会となるマレーシアカップが開幕しました。今季はMリーグ1部11クラブと2部5クラブの16クラブが参加する点は従来通りですが、1回戦からトーナメントと変則になっています。
 優勝チームにはAFCカップ出場権が与えられるこの大会は、11月22日の決勝まで熱戦が繰り広げられます。(試合のダイジェスト映像はMFLの公式Youtubeチャンネルより)

11月6日(金)マレーシアカップ1回戦
タンスリ・ダト・ハジ・ハサン・ユノススタジアム(ジョホール州ラーキン)
ジョホール・ダルル・タジムJDT 1-0 クチンFA
得点者:JDT-アリフ・アイマン(19分)、クチンFA-
 18歳のアリフ・アイマンのゴールで先制したJDTがそのまま逃げ切りベスト8進出を決めています。JDTは、次戦はサバFAの出場自体により1回戦を不戦勝となったクアラルンプールFAと対戦します。
 クチンFAの鈴木雄太選手と谷川由来選手もいずれも先発してフル出場しています。

シティースタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナンFA 3-1 フェルダ・ユナイテッドFC
得点者:ペナン-カサグランデ(37分)、アメル・アザハ(分)、リ・チャンフン(76分)、フェルダ-ニコラス・ヴェレズ(49分)
 リーグ戦では11試合で9ゴールを決めたカサグランデがこの試合でも先制ゴールを決め、ペナンFAがベスト8進出を決めています。ペナンFAはベスト8でUITM FCとケランタンFAの勝者と対戦します。
 今季でのMリーグ撤退が決まっているフェルダ・ユナイテッドFCはこの試合の敗戦で13年の歴史に幕を下ろしました。
 フェルダ・ユナイテッドFCの恵龍太郎選手は先発してフル出場しています。

ダルルアマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダFA 3-2 パハンFA
得点者:クダ-シャキル・ハムザ(17分)、クパ・シャーマン(36分)、チェチェ・キプレ( 44分)、パハン-ムスリム・アーマド(49分)、ファイザル・ラニ(88分)
 パハンFAの猛攻を防ぎ切ったクダFAがベスト8進出。クダFAはスランゴールFCとマラッカ・ユナイテッドFCの勝者がベスト8での対戦相手となります。
 パハンFAは77分のディクソン・ヌワカエメのPK失敗が最後まで響きました。

AFC事務局長は州政府に依存するクラブを暫定的に容認
 Mリーグの1部と2部のクラブに対し、マレーシアサッカー協会FAMは来季までに「民営化」を完了することを義務付けました。これにより各州サッカー協会(州FA)によって運営されていたクラブは、来季以降は州FAから独立して設立された運営会社がクラブを運営することになっています。
 しかし、企業や個人のスポンサーを獲得できていない(あるいは獲得する気がない?)クラブ運営会社の株式が州FAや州政府によって保持され、民営化後もこれまで同様、州政府からの公金支援でクラブが運営される図式は変わっていないようで、Mリーグ1部のジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーはこれを非難しています。
 この状況について、アジアサッカー連盟AFCのウインザー・ポール事務局長は、望ましいものではないとしながらも、新型コロナウィルスによる経済状況悪化、そして実際の民営化に必要期間を考慮すると、一時的にはやむなしと話していると、マレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 「州政府からの公金支援に依存せず、各クラブが運営費用を生み出す努力をするべきではあるが、新型コロナウィルスによる状況の悪化によってクラブが収入を生み出すことが難しいことは理解できる。その上で各クラブには州政府に依存せず、収入を生み出すための長期計画が必要になる。AFCはこれに向けて全てのクラブが努力することを期待している。」とウインザー事務局長は話しています。
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 新型コロナウィルスの影響は否定できないですが、州政府に依存しない完全な「民営化」達成の期限を区切り、その期限までに達成が無理なクラブは下部リーグに落として立て直しをしてもらう、というのも一つの方法かと思います。プロクラブを名乗りながら、州政府からの支援がなければ選手や監督、コーチに対する給料未払い問題を起こすようなクラブがある限り、Mリーグの評価は下がることはあれ、上がることはないでしょうから。

ケランタンFCはランカウィ島にリゾートをオープン
 Mリーグ2部のケランタンFC(来季から、現在はケランタンFA)がクラブが運営するリゾートをオープンしたことをクラブの公式Facebookで発表しています。
ランカウィ島にオープンしたということです。
 公式Facebook上の投稿によれば、このリゾートはザ・レッドウォリアーズ・リゾートの名称で、日本でも有名なリゾート地のランカウィ島でも最も多くの人が訪れるチェナン海岸に近いということです。(ちなみにランカウィ島はクダ州にあります。)
 マレーシア国内でも特にイスラム教の影響が強いケランタン州を本拠地とするケランタンFCのリゾートということで、イスラム法(シャリア法)に則り結婚した男女に限り同室での宿泊が可能ということです。
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 サッカークラブがリゾート経営に乗り出すべきかどうかは別にして、多額の未払い給料に苦しむケランタン州サッカー協会による運営時代とは打って変わって、ビジネスマンのノリザム・トゥキマン氏がオーナーとなったことで、多角的なクラブ経営を目指すケランタンFCは、マレーシアでクラブを運営する一つのモデルとなりそうです。


11月6日のニュース:FAMは今月末に代表候補合宿実施を計画、タイ1部リーグ第12節-スマレは出場もタンはベンチ外、パハン州FAは来季のクラブ名称コンテストを開催も結局はその結果を無視

FAMは今月末に代表候補合宿実施を計画
 マレーシアサッカー協会FAMは今月11月末に代表合宿を予定していると、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、代表首脳陣が今週11月6日から始まるマレーシアカップの決勝戦が開催される11月22日後、直ちに合宿を開催することを希望していることを明かしています。
  昨年2019年11月以来1年近く代表の試合が行われていないため、今回予定されている合宿は短期間で選手と監督、コーチとの「顔合わせ」程度になるとになるとしていますが、マレーシア国内は現在も新型コロナウィルスの1日あたりの新規感染者が1000名前後で推移していることから、あくまでもこの感染状況が改善することが条件であると、スチュアーと事務局長は話しています。

タイ1部リーグ第12節-スマレは出場もタンはベンチ外
 タイ1部リーグ第12節は1試合が行われ、マレーシア代表のドミニク・タンとモハマドゥ・スマレが所属するポリス・テロFCはホームで昨季チャンピオンのシンハー・チェンライ・ユナイテッドFCと対戦し0-1で敗れています。
 前節第11節に対1部リーグデビューを果たしたスマレ選手は、79分にMFナロン・ジャンサウェックと交代で出場し、試合終了までプレーしましたが、タン選手は今季初めてペンチ入りしませんでした。
 この敗戦によりポリス・テロFCは3連敗となり、過去7試合勝ち星なしとなっています。

パハン州FAは来季のクラブ名称コンテストを開催も結局はその結果を無視
 11月1日のこのブログでは、パハン州サッカー協会(パハン州FA)が民営化に伴う来季発足する新たなクラブのロゴと名称のコンテストで集まった候補を挙げて、サポーターによる人気投票を行なっていることを取り上げました。その際には、パハン州FAが来季のクラブ名称として既に発表していたスリパハンFCの他、パハンFCやマコタパハンFCという名称もロゴの候補に併記されたことから、スリパハンFCが最終決定ではない可能性があるようだと書きました。
 しかし今回、新たに発表された新クラブ名のコンテストでは。投票できる名称が3つしかなく、しかもスリパハンFC以外の候補が「スリインデラプラFC」と「インデラプラFC」とこれまで全く取り上げられたことのない名称が突如、候補になりました。(インデラプラは15世期ごろまで存在した旧パハン王国の首都の名前です)その一方で、前述のパハンFCやマコタパハンFCが候補から外れたため投票ができなくなっています。
 サッカー専門サイトのスムアニャボラは、既に締め切られた新クラブロゴのコンテストではパハンFCの名所を含むロゴが全投票数の57%にあたる2861票を集め1位、マコタパハンFCの名称を含むロゴが1828票(同37%)を集め2位になっている点を指摘し、当初はロゴおよび名称コンテストとしていたにも関わらず、この結果を無視していることから、パハン州FAが当初発表したスリパハンFCが採用できなくなることを恐れて、絶対に選ばれないような名称を対抗馬に据えたのではないかと指摘しています。
 新クラブ名称への人気投票はスリパハンFCがダントツ1位で票を集めていますが、その得票数自体は1436票とロゴの人気投票に比べると遥かに少ないことから、多くのサポーターがこの3つしかない投票先に不満を示した結果、投票を控えているのではないかと分析しています。
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 ここまでパハン州FAがスリパハンFCの名称にこだわるのは、当初発表した名称からの変更では州FAとしてのメンツが立たないといった理由か、あるいは既に「スリパハンFC」を商標登録しており、これを使って一儲けしようという戦略だったのが当てが外れ、慌てた結果のドタバタ劇か、結局はそんなつまらない理由だったりするのかもしれませんが、新クラブとして旗揚げする以上、サポーターからも愛される名称になることを期待したいです。
 

11月5日のニュース:UKM FCは来季のMリーグ2部参加を諦めない、サラワク州FA会長がMリーグ脱退を示唆も反対派が州FA会長に辞任を求める

UKM FCは来季のMリーグ2部参加を諦めない
 Mリーグ2部のUKM FCはクラブ運営のメインスポンサーとなっていたUniverisiti Kebangsaan Malaysia(UKM)マレーシア国立大学が来季以降の運営に関わらないことを発表し、クラブ存続の危機にありました。クラブの新たな運営会社となったヴァーシティボーイズ社は、来季に向けて新たなスポンサーを獲得し、その支援に基づく運営計画をマレーシアサッカー協会FAMに提出しましたが、運営資産に問題ありとの判断から、来季のMリーグ参加は不可との決定を下されています。
 しかしこのバーシティーボーイズ社が新たなスポンサーがさらなる資金の投入を決定したとして、来季もMリーグ2部への参加を画策していると、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 ヴァーシティーボーイズ社によると、未だ名前を明かしていないこのスポンサーは、現在のスポンサーという立場からクラブのオーナーになる意思を示しているということです。これにより新たなオーナーは350万リンギ(およそ8760万円)の資金を追加で投入し、これに他の複数のスポンサーからの支援を合わせると、クラブの来季の運営予算はおよそ500万リンギ(およそ1億2500万円)に達するとしています。
 ヴァーシティーボーイズ社の関係者は「追加投入される350万リンギがあれば来季、2部リーグに参加するのに十分だと考えている。他のクラブのような大盤振る舞いはできないものの、手始めに獲得する外国籍選手を2名程度にするなどの方法を考えている。経営状況に関する書類は近々、FAMに提出されることになっており、来季は2部への参加が可能だと確信している。」と話しています。
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 フェルダ・ユナイテッドFCとUKM FCが来季のMリーグ残留をめぐって、FAMとやり取りする様子を見ながら思うのは、両クラブとも来季は3部リーグのM3リーグに参加し、そこで優勝して2部昇格を目指す、という方針ではダメなのだろうか、ということです。Mリーグは両クラブが1部と2部に参加はできないとしていますが、これは2部までがプロリーグという扱いであるからで、セミプロリーグの3部以下への参入については、これを特に否定はしていません。
 またUKM FCの運営会社のコメントにもありますが、例えば外国籍選手枠をフルに使わなければ、他のクラブに比べて戦力は低下するわけで、例え2部に参加することができても他のクラブと争えるだけの戦力を用意できなければ、来季は下位に低迷し、結局は3部に降格、そしてその結果スポンサー撤退となる可能性があります。
 民営化は、クラブにとっても初めての経験ですが、そういったクラブを支援するスポンサーにとっても新たな経験となるはず。クラブに理念がなく、スポンサーもクラブを単なる広告塔としか見ていないのであれば、今年起こるはずだった悲劇が単に来年に先延ばしになるだけのような気がします。

サラワク州FA会長がMリーグ脱退を示唆も反対派が州FA会長に辞任を求める
 サラワク州のサッカー専門サイトのサラワククロックスは、サラワク州サッカー協会(サラワク州FA)のポサ・マジャイス会長が、財務状況が改善しないことからMリーグ撤退の可能性について言及したと報じる一方で、サラワク州FAの全会長を含む州内の有力サッカー関係者がこぞってポサ会長の辞任を求めていることも同時に報じています。
 ポサ会長は財務状況を改善する方法がなければ、サラワク州FAは来季のMリーグから撤退する他に手段はないと話しています。
 ただしここでサラワククロックスが疑問視しているのは、サラワク州FAがMリーグから撤退することによる影響です。サラワク州FAが運営していたMリーグ2部のサラワク・ユナイテッドFCは、このブログでも何度も取り上げた民営化によって、サラワク州FAから独立しており、サラワク州FAが直接、運営するクラブはMリーグには存在しないことになっていることから、その影響が不明であるとしています。
 その一方で、このポサ会長の発言が出た直後にかつてのサラワクFA(クラブ)の元監督を務めたアワン・マーヤン氏やサラワクFAの元選手のルーカス・カラン氏、さらには元サラワク州FA会長のワイリ・アバン氏らがポサ会長の辞任を求める記者会見を開いたことも報じられています。この席上ではサラワク州FA傘下のクラブがMリーグから脱退すればその影響は計り知れないとして、これに反対を表明しただけでなく、ポサ会長に直ちに辞任するよう求め、より経験と能力がある人物を会長にするように求めています。
 ワイリ・アバン元会長は「このような決断は州内の若い選手たちの発展を妨げるものであり、ポサ会長はサラワク州FAの財政問題を解決できる新たな会長に道を譲るべきである。」と話しています。
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 この2017年からサラワク州FA会長を務めるポサ会長は、昨季はリーグからの分配金が削減されたをめぐり、Mリーグからの脱退をほのめかすなど「武闘派」の会長である一方、サラワク州内ではその運営方法をめぐ理、今回同様、サッカー関係者から辞任を求める声が上がったこともある人物です。

11月4日のニュース:クダ州FAは未払い給料を完済、クダ州FAは選手や監督、コーチとの来季契約は未だ検討中、JDTオーナーが名前ばかりの「民営化」を批判、スランゴール州政府は総工費2000億円超のスポーツ施設建設を発表

クダ州FAは未払い給料をやっと完済
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版はMリーグ1部のクダFAの選手や監督、コーチに対する給料未払い問題を抱えていたクダ州サッカー協会(クダ州FA)が、総額380万リンギ(およそ9580万円)にのぼる未払い給料の支払いを完了したと報じています。この未払い給料は今年の4月、5月、6月の3ヶ月分だということです。
 記者会見で支払い完了を発表したクダ州FAのムハマド・サヌシ会長は「シーズン終盤を好調で終えたチームは、今回の未払い給料支払いによって、その好調さを維持できると信じており、マレーシアカップ1回戦のパハンFAを破ることができるだろう。」と話しています。

クダ州FAは選手や監督、コーチとの来季契約は未だ検討中
 その一方でJDTに次ぐリーグ2位の成績を収めたクダFAですが、現時点で選手や監督、コーチには来季の契約の話はまだ何もされておらず、11月末に今季の契約が切れるということです。
 英字紙ニューストレイトタイムズは、クダ州FAのフィルダウス・アーマド名誉事務局長の話として、未払い給料問題の解決を優先したために、来季の契約についてはまだ何も決まっていないという談話を掲載しています。
 「今後の予定としては、財力以上の支払いはできないため、給与削減という形での運営費用の縮小を行う。現有戦力の70%から80%には残留を求める予定であるが、現在の契約内容を精査する必要があるため、このことについては選手、監督及びコーチにはまだ伝えていない。」
 「また選手がピッチ上以外でどのような貢献ができるかについても考えていきたい。具体的には、プレー以外にCSR活動やセールス、営業などについて選手に何ができるかを検討したい。」
 さらにフィルダウス名誉事務局長は、クダFAの選手たちは未払い給料問題を抱えながら、リーグ2位の成績を取ったことについては評価するとしながらも、契約更改については感情論は持ち込まないとも話しています。
 この他、アイディル・シャリン監督は他のMリーグクラブからのオファーを受けており、クダFAとの新たな2年契約について未だサインをしていないことも明らかにした上で、良い監督やコーチを持つことは重要だとしながらも、チームの成功には選手による貢献が大きいと話しています。
 「クダFAは豊かなクラブではないため、高額の給料を支払うことはできない。クラブの運営資金は賢く使わねばならないが、もし可能であればアイディル監督にはクラブに残って欲しい。」フィルダウス名誉事務局長はこのようにもコメントしています。
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 Mリーグの全クラブは民営化されることにより州サッカー協会が運営に関与できなくなるはずですが、このフィルダウス州FA名誉局長の発言は、これまでと全く変わらない立ち位置で行われているようで違和感があります。その辺りは次の記事のJDTのオーナーが指摘している点と関連します。

JDTオーナーが名前ばかりの「民営化」を批判
 Mリーグ1部7連覇を果たしたジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーでジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下が「公的資金を使っての民営化は見せかけの民営化」というタイトルで、JDTの公式Facebookに投稿しています。
 2013年以来、JDTは本拠地のあるジョホール州の州政府からの公的資金に依存しないクラブとして存在していることを誇りに思うと述べるイスマイル殿下は、「州政府の公金は(サッカークラブの運営ではなく)民衆が利益を享受するために使われるべきものであり、特に新型コロナウィルスが蔓延している現在は特にそうである。」と述べ、クラブ運営資金を生み出し、長期的な計画に投資することができるビジネス戦略を持つJDTは、競技場などのインフラを州政府に依存するだけでなく、毎年のクラブ運営資金までも州政府に依存するクラブとは別物であるとしています。
 またFAMが主導して行われている民営化については、実際には民営化と呼べるものではなく、州政府依存の従来の方法が何も変わっておらず見掛けだけのものに過ぎないと批判しています。
 さらにイスマイル殿下は「2013年に自らがJDTを立ち上げて民営化した際には、それを揶揄する者もいたが、JDTはピッチの内外で様々な成功を成し遂げている。その一方で2020年現在、他のMリーグクラブは民営化について新たなロゴの意匠を考えるくらいしかできていない。」と綴っています。

スランゴール州政府は総工費2000億円超のスポーツ施設建設を発表
 スランゴール州政府は劣化したシャーアラムスタジアムとその周辺を青少年スポーツ施設として総工費80億リンギ(およそ2010億円)かけて改修することを発表しています。スランゴール州政府が投資するMBI社のメディア部門であるメディアスランゴールによれば、この改修計画は州政府と民間企業の合弁で行われるということです。
 スランゴール州のアミルディン・シャリ州首相は「スランゴール州内地域の再開発は州政府が担う仕事の一つであり、長年の使用で劣化の激しいシャーアラムスタジアムとその周辺はその対象となっている。」と述べ、スランゴール州議会の2021年度予算審議の席上でこの計画を明らかにしたということです。
 アミルディン州首相は、老朽化により安全性に問題ありとMFLが判断し、今季は本拠地とするスランゴールFCが使用できなくなったシャーアラムスタジアムについて、ポリカーボネート製の屋根とその関連の補修だけで3000万リンギ(およそ7億5400万円)、スタジアム全体では2億5000万リンギ(およそ62億9000万円)が補修に必要であると発表しています。
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 シャーアラムスタジアムは8万を超える観客収容数を誇り、マレーシアはもとより、東南アジアでも有数の巨大スタジアムです。それでも開場から26年が経っており、老朽化は否めません。浮きと寒気が繰り返す熱帯の気候、その上、新しいものを作るのは大好きだが、施設維持や補修が苦手なマレーシア人気質もあり、その劣化の速度はおそらく日本の同等の施設よりもはるかに速いでしょう。また、本当にサッカーの人気が高ければ、陸上トラックを併設した多目的スタジアムではなく、収容規模を数万人減らしても観客の見やすいサッカー 専用スタジアムという選択肢も出てきても良いのではとも思います。

11月3日のニュース:マレーシアカップの詳細発表、UITM FC監督は来季は別のMリーグクラブの監督就任か、フェルダUとUKMの来季参入不可は決定事項-FAM

マレーシアカップの詳細発表
 マレーシアカップを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは公式Facebook上で、11月6日に開幕するマレーシアカップ1回戦の日程の詳細を発表しています。なお、左側がホームチームです。
11月6日(金曜日)
 ペナンFA対フェルダ・ユナイテッドFC
 ジョホール・ダルル・タジムJDT対クチンFA
 クダFA対パハンFA
11月7日(土曜日)
 トレンガヌFC対PJシティFC
 ペラTBG対ケランタン・ユナイテッドFC
11月8日(日)
 UITM FC対ケランタンFA
 スランゴールFC対マラッカ・ユナイテッドFC
 いずれの試合も午後9時キックオフで、このうち、JDTは今季から本拠地として使用しているスルタン・イブラヒムスタジアムが改修工事中のため、昨季まで本拠地としていたタンスリ・ダト・ハサン・ユーノススタジアム(通称ラーキンスタジアム)で試合を行うほか、本拠地があるスランゴール州内に条件付き活動制限令が施行中のUITM FCはペラIIのホームであるペラ州マンジュンのMPMスタジアムを、スランゴールFCは対戦相手マラッカ・ユナイテッドFCのホーム、ハンジェバスタジアムを使用します。

UITM FC監督は来季は別のMリーグクラブの監督就任か
 大学が運営するクラブとして初めてMリーグ1部に昇格したUITM FCは、昨季2019年シーズンは2部で5位ながら、1部で9位のPKNS FCがスランゴールFCのセカンドチームとして登録されたことで1部のクラブ数が減少したことにより、いわば棚ぼたで昇格したクラブです。しかし11試合と短縮されたリーグながら、初めての1部では伝統ある他のクラブを抑えて今季6位と大躍進を見せました。
 このUITM FCを率いたのが、マレーシアU22代表の元監督でドイツ出身のフランク・バーンハート監督ですが、大学生主体のクラブを率いて収めた好成績は他のMリーグクラブの目に留まったようで、来季はUITM FCを離れる可能性が高まっていると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 UITM FCは既に来季に向けて新監督を探しているという報道もあり、これによるとバーンハート監督にはUITM FCよりも好条件でのオファーが出されているということですが、そのクラブはどのクラブなのかは不明ということです。
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 限られた予算で運営されるUITM FCの布陣と今季が初の1部リーグながら6位という結果を見れば、バーンハート監督は今季のMリーグ最優秀監督の一人なのは明らかで、その実績をもとに獲得を目指すクラブがあっても驚きではありません。若い選手が多いケランタンFCや、保持ライセンスの問題で新たな監督を必要としている来季昇格組みのペナンFAやクアラルンプールFA辺りが関心を示しているのかもしれません。

フェルダUとUKMの来季参入不可は決定事項-FAM
 マレーシアサッカー協会は、メインスポンサーを失ったフェルダ・ユナイテッドFCとUKM FCから出されていた新たなスポンサーに関する資産情報や来季の経営計画ではシーズンを通してのクラブ経営が不可と判断し、来季のMリーグ参入を認めない決定を下したことはこのブログでも取り上げました。
 これについて両クラブの運営会社がFAMに決定の見直しを求めていましたが、スタジアムアストロによると、FAMは決定を再考する予定はないようです。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、両クラブに対して必要書類を用意する時間を十分に与えており、今回の決定が最終決定であることを強調しています。
 「両クラブのいう新たなメインスポンサーは年間100万リンギ(およそ2520万円)に満たない額しか用意できておらず、そういった企業あるいは個人が年間の運営費用に500万リンギ(およそ1億2600万円)は必要なクラブのスポンサーになれば、給料未払い問題が発生する可能性が十分にある。そして、FAMはそれを防ぐ立場にある。」とスチュアーと事務局長は話しています。
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 この件について同じスチュアート事務局長はFAMが特別委員会を設置して再検討を行うと話した、という別報道出ており、両クラブとも首の皮一枚つながっているといったところかも知れません。

11月2日のニュース:Mリーグは今季全日程終了、マレーシアカップの組み合わせ決定、タイ1部リーグ第11節-ノーシャルルは出場せず

Mリーグは今季全日程終了
 Mリーグは順延されていた2部プレミアリーグ第11節のクアラルンプールFA対クチンFAの試合が10月31日に開催され、これで今季の全日程を終了しました。
 同じく順延されていた1部スーパーリーグ第11節のサバFA対UITM FC戦が中止となったことで、午後5時キックオフが予定されていた試合は、午後9時に変更となりました。

10月31日(土)
マラッカ州ハンジェバスタジアム
クアラルンプールFA 0-2 クチンFA
得点者:クチンFA-ブライアン・アニゼシオ(21分)、鈴木雄太(38分)
 前節第10節に続く鈴木選手のゴール(今季通算3ゴール目)などでクチンFAが快勝しています。この結果、今季2部に昇格したばかりのクチンFAは、リーグ4位の好成績で今シーズンを終了しています。
 クチンFAの鈴木雄太選手と谷川由来選手もいずれも先発してフル出場しています。
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 新型コロナウィルスの影響でリーグが中断となるまでの4試合は0勝1分3敗で3得点6失点と2部の壁に苦しんだクチンFAですが、8月28日にリーグが再開されると、そこからの7試合は5勝0分2敗で14得点13失点、特に直近の5試合に関して12得点4失点で5連勝を飾り、内2試合は完封勝ちするなど調子を上げてきており、11月6日に開幕するマレーシアカップへ臨みます。
 また今季2020年シーズンの2部プレミアリーグ最終順位は以下の通りです。

マレーシアプレミアリーグ2020年シーズン最終順位表

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1+^ペナンFA118212481626
2トレンガヌFC II117131714322
3+^クアラルンプールFA116322114721
4+クチンFA115151719-216
5JDT II114342017315
6+ケランタンFA1153314113*15
7スランゴール2114161723-613
8ケランタンU114071319-612
9UKM FC113351117-612
10サラワクU113261416-211
11ヌグリスンビランFA113261220-811
12ペラ II111551113-28
^ペナンFAとクアラルンプールFAは2021年シーズンの1部昇格が決定しています。
+は上位5クラブに出場資格が与えられるマレーシアカップ出場権を獲得したクラブ(Mリーグ1部にトップチームを持つBチームにはマレーシアカップ出場資格はありません。)
*5位のケランタンFAは給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアカップの組み合わせ決定
 マレーシアフットボールリーグMFLは公式Facebook上で、11月6日に開幕するマレーシアカップの1回戦組み合わせ抽選の結果を発表しています。1部スーパーリーグの上位11クラブと2部プレミアリーグ5クラブ(1部にトップチームを持つセカンドチームのクラブは除く)が出場するこの大会は、11月1日にスランゴール州にあるMFL本部で組み合わせ抽選が行われました。
 MFLによって出場不可となったサバFAを除く15クラブはまずホームゲームとなるAグループとアウェイゲームとなるBグループに分けられ、Aグループには1部の上位6クラブであるJDT、クダFA、トレンガヌFC、ペラTBG、スランゴールFC、UITM FCと2部上位2クラブのペナンFAとクアラルンプールFAが入り、残りはBグループに割り振られました。そこから抽選により、以下のような組み合わせが決定しています。
<マレーシアカップ1回戦の組み合わせ(左側がホームチーム)
ペナンFA対フェルダ・ユナイテッドFC
UITM FC対ケランタンFA
ジョホール・ダルル・タジムJDT対クチンFA
クアラルンプールFA対サバFA(*但しサバFAは不出場のためクアラルンプールFAは1回戦不戦勝が決定)
トレンガヌFC対PJシティFC
ペラTBG対ケランタン・ユナイテッドFC
クダFA対パハンFA
スランゴールFC対マラッカ・ユナイテッドFC

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 上の図を見てもわかるように、昨季のチャンピオンJDTが入った左側のやぐらでは8クラブ中、JDT以外の1部クラブはUITM FCとフェルダ・ユナイテッドFCの2クラブしかおらず、もう一方のやぐらはケランタン・ユナイテッドFC以外の7クラブが全て1部クラブという、JDTにとっては何とも有利な組み合わせになっています。

タイ1部リーグ-ノーシャルルは出場せず
 タイリーグ 1部第11節の残り試合が11月1日に開催され、マレーシア代表のノーシャルル・イドラ・タラハが所属するBGパトゥム・ユナイテッドは、昨季の1部優勝チームで、日本人の滝雅美監督率いるシンハー・チェンライ・ユナイテッドと対戦し、1-0で勝利を収め開幕からの無敗記録を11と伸ばしています。
 なおノーシャルル選手はベンチ入りしたものの、出場はありませんでした。
 第11 節終了時のタイ1部リーグは、このBGパトゥム・ユナイテッドが9勝2分0敗で首位、また前日10月31日にスパンブリーFCに0-5と敗れた、マレーシア代表のドミニク・タンとモハマドゥ・スマレが所属するポリス・テロFCは10位に順位を下げています。

11月1日のニュース:フェルダUとUKM FCは来季のMリーグ出場不可をFAMが発表、ケランタンFCの新ロゴ発表、パハンFAも新ロゴの最終候補6作品を公開しサポーターに投票を求める

フェルダUとUKM FCは来季のMリーグ出場不可をFAMが発表
 マレーシアサッカー協会FAMは、Mリーグ1部のフェルダ・ユナイテッドFCと同2部のUKM FCの民営化が期限までに承認できなかったとして、来季のMリーグ1部および2部への参加が不可能となったことを公式サイト上で発表しています。
 FAMは10月5日にフェルダ・ユナイテッドFCとUKM FCを含むMリーグ1部と2部の全21クラブの民営化が完了したことを発表していましたが、その後、フェルダ・ユナイテッドFCとUKM FCについては来季の企業スポンサーや運営資金に関して新たな問題が発覚したことから、FAMは両クラブの新たな経営陣から詳しい説明と更なる書類の提出を求めていました。
 フェルダ・ユナイテッドFCについては、民営化自体は完了し、FAMはそれを承認したものの、その後にクラブを運営し、スポンサーでもある連邦土地開発庁FELDA(フェルダ)が来季2021年シーズンには参加しないという発表をメディア向けに行いました。これを受けて、フェルダ・ユナイテッドFCの新たな運営会社として設立されたファイターズ社は、連邦土地開発庁に代わって獲得した新たなスポンサーとその投資内容、さらにクラブの来季の運営計画をFAMに提出していましたが、FAMはこれらを精査した結果、来季のクラブ運営には不十分であると判断したということです。
 またUKM FCについては、今季、クラブを運営したマレーシア国立大学UKMから、来季はUKM FCに関する運営及び選手や監督、コーチの雇用について責任を負わないことがFAMに伝えられていたということです。UKM FCも新たな運営会社ヴァーシティーボーイズ社を設立した上で新たなスポンサーを獲得し、FAMにその投資内容とクラブの来季の運営計画を提出していましたが、UKM FCについても提出された計画では来季のクラブ運営には不十分と判断されました。
 FAMは、スポンサーを失った両クラブに対し、所属する選手や監督、コーチの生活が保証されるように新たなスポンサーを獲得する機会を与えたとする一方で、両クラブが示した財務状況では来季の途中で給料未払いといった問題が発生する可能性があり、そういったクラブがMリーグに参加することは承認できないことが決定の理由であるとしています。
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 この決定により、このままだと来季のMリーグは1部12クラブのままですが、1部から2部に降格するフェルダ・ユナイテッドFCと来季も2部でプレーする予定だったUKM FCの両クラブがリーグ参加不可となり2部は合計10クラブという編成になります。しかもその内の4クラブが1部所属クラブのセカンドチームという構成です。今季は3部リーグ以下は新型コロナウィルス感染拡大の影響で中止となっており、3部からの昇格させるクラブもありません。
 なお、別報道ではこの両クラブの運営会社の内、ファイターズ社は既にFAMに対して再検討を求めたということで、ヴァーシティーボーイズ社も同様の内容を書面でFAMに送るとしており、まだ決着と言うわけではなさそうです。

ケランタンFCの新ロゴ発表
 上の記事でも取り上げたように来季からMリーグの各クラブは民営化されますが、Mリーグ2部のケランタンFC(今季はケランタンFA)は、来季から採用される新たなロゴを公式Facebook上で発表しています。
 ケランタンFCのノリザム・トゥキマン オーナーは、このロゴについてクラブの公募で決まったロゴは、クラブが目指す大志と果たすべき目的を表していると話しています。
 数百の応募の中からノリザムオーナー自身が選んだロゴが発表された当初は、盗作疑惑も含めネット上で様々な批判が出ていましたが、当初のロゴはあくまでも案であるとして、いくつかの修正が加えられたものが正式なロゴとして発表されています。
 ロゴの上の2つの星はサポーターとクラブの強い結束を表し、外側の金色の輪はケランタンFCの価値の高さを、11本のラインはケランタン州内の11の地区を、中央にある厳格で獰猛な表情をした鹿のロゴは、経営陣とチームが常勝クラブを作るという目的に献身的に取り組むことを、そしてロゴ全体に使われている赤色は試合の最後まで全力で戦う勇気を示しているということです。

パハンFAも新ロゴの最終候補6作品を公開しサポーターに投票を求める
 Mリーグ1部のスリパハンFC(今季はパハンFA)を運営するパハン州サッカー協会も公式サイトで来季のチームロゴの最終候補6作品を公開し、サポーターによる投票を求めています。
 10月4日から10日の期間で応募者はパハン州出身者あるいは現在州内に居住している者という条件で行われたコンテストには全部で563の応募があり、その中から選考委員会が厳選した6候補はパハン州愛に溢れたものになっているということです。(ロゴのいくつかが採用している交わった剣はパハン州の紋章で、青色と黄色は現在のパハン州サッカー協会のロゴの色でもあります。また像のモチーフはクラブの愛称”Tok Gajah”-Gajahはマレーシア語で「象」を表しています。)
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 このコンテストで興味深いのは、候補の中のいくつかにはロゴと同時にクラブの名称も書かれていることです。パハン州サッカー協会は既に来季のクラブの名称をスリパハンFCとすることを発表していますが、候補の中には「パハンFC」や「マコタパハンFC」(マコタはマレーシア語で「王冠」の意味)などが書かれており、この記事を執筆している時点で1761票(総投票数の51%)と最も得票数が多い上段中央のロゴは「パハンFC」、次点の1416票(同41%)を集めている上段左のロゴは「マコタパハンFC」となっていることから、パハン州サッカー協会は、スリパハンFCという名には固執していないのかもしれません。

10月31日のニュース:スマレはパハン州FAの処分に当惑、クアラルンプールFAの来季監督候補にAFCカップ優勝監督の名が挙がる、(速報)タイ1部リーグ-スマレがついにデビューもチームは惨敗

スマレはパハン州FAの処分に当惑
 Mリーグ1部のパハンFAを運営するパハン州サッカー協会(パハン州FA)は、今季途中にチームを離脱するなどの契約違反を理由にモハマドゥ・スマレに対し2年間のサッカー活動禁止処分を科すことを発表しましたが、これについてスマレ選手自身は当惑しているようです。
 マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版によると、パハン州FAの処分についてスマレ選手は自身とパハン州FAとの契約は既に破棄されており、パハン州FAが支配下選手でもない自分に果たして処分を科すこと自体が可能なのかどうかと疑問を持っていると話しています。
 「FIFAやマレーシアサッカー協会FAMによる処分であれば理解できるが、州サッカー協会が選手のサッカー活動を禁止する処分を下した話は今までに聞いたことがない。」
 給料未払い問題を理由に契約を破棄した上でクラブを離れたとしているスマレ選手は、今回の処分の内容についてはメディアを通じて知ったもので、パハン州FAから正式な通知を受け取るまではさらなるコメントを控えたいとしています。
 今回の処分が言い渡されたパハンFAの規律委員会への出席を求める通知を受け取っていたことは認めたスマレ選手は、自分はタイにいることをパハン州FAは知っていながら、委員会への出席を求められたことも理解できないとし、通知は弁護士に渡して弁護士と連絡を取り合うようパハン州FAに伝えたと話しています。
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 今回のパハン州FAによる処分はパハン州FAが管轄する区域、つまりパハン州内でのみ効力を有するという報道もあり、そうなればスマレ選手が州内リーグでもプレーしようとしない限り何の問題にもならないとも言われています。スマレ選手は既にこの問題をFIFAに持ち込んでいることから、FAMもFIFAによる調査の結果を待つことを表明しており、この問題の解決は長期戦となりそうです。

クアラルンプールFAの来季監督候補にAFCカップ優勝監督の名が挙がる
 来季はMリーグ1部に昇格するクアラルンプールFAの監督候補に元クダFA監督のラモン・マルコート氏が上がっていることをこのブログでも取り上げましたが、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、この他にも有力候補がいるようです。
 候補に上がっているのは昨季2019年のAFCカップ優勝監督でレバノン出身のバッセム・マーマー氏で、マーマー氏はアル・アヘドFC(レバノン)を率いて、4.25体育団(北朝鮮)を破り、レバノンのクラブとして初めてAFCカップで優勝しています。
 43歳のマーマー氏は今季はクウェート1部リーグのアル・アラビSCと契約したものの、リーグ戦2試合を終え1分1敗となった時点で解任されています。
 クアラルンプールサッカー協会のカリド・アブドル・サマド会長は「監督がどの国出身かは重要ではないが、できればアジア出身が好ましい。ヨーロッパから監督を招聘しても我々の文化に合わない可能性があるので、これは給料以外にも考慮が必要な点である」と話しています。
 今季2部で3位となり、来季は1部に昇格するクアラルンプールFAは、今季、2部で指揮を取ったニザム・アズハ・ユソフ監督が1部クラブで監督を務めるのに必要なAFCプロフェッショナルコーチングディプロマ(AFCプロディプロマ)を保持していないことから、新たな監督を獲得する必要があります。
 ニザム現監督は外部からの監督招聘について、クアラルンプールサッカー協会にマレーシア人監督を招聘することを希望すると話し、前トレンガヌFCのイルファン・バクティ・アブ・サリム氏や、ペラTBGのセカンドチームのペラIIのアブ・バカル・ファジム監督らの名前を挙げて

(速報)タイ1部リーグ-スマレがついにデビューもチームは惨敗
 タイ1部リーグ第11節の1試合が行われ、マレーシア代表のドミニク・タンとモハマドゥ・スマレが所属するポリス・テロFCは、アウェイでスパンブリーFCと対戦し0-5で敗れています。
 この試合では、タン選手が第7節以来4試合ぶりに先発出場しましたが、45分に昨季はMリーグのマラッカ・ユナイテッドFCでプレーしたフィリピン出身のパトリック・ライヒェルトに先制ゴールを決められ、ポリス・テロFCは0-1をリードを許しました。
 その後は48分、63分、64分と立て続けにゴールを決められると、72分にはついにスマレ選手がDFサンチャイ・ノンタシラに代わって投入され、タイ1部リーグデビューを果たしています。
 試合はその後もスパンブリーFCが1点を追加し、ポリス・テロFCは5失点と守備陣が崩壊して敗れています。タン選手はフル出場、スマレ選手も試合終了まで出場しています。

10月30日のニュース:Mリーグの複数クラブでライセンス申請に遅れ-来季は3部降格も、マレーシアカップにサバFAは出場できず、今季終了後の1部2部間の昇格と降格は通常通り実施

Mリーグの複数クラブでライセンス申請に遅れ-来季は3部降格も
 マレーシア サッカー協会FAMは、来季2021年シーズンのMリーグに参加するためのクラブライセンス申請書類の提出期限を今月10月31日と定めていますが、それが完了していないクラブが3つあるようです。
 Mリーグ1部のパハンFAと2部の今季優勝チームであるペナンFA、そして同じく2部のUKM FCがその3クラブで、この内UKM FCは申請書類を全く提出していないと、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 なお、この3クラブの他、提出された書類に不備があるとされていたクチンFA、マラッカ・ユナイテッドFC、ケランタンFCは数日前に申請書類を全て提出済みであるということです。
 「外部から取り寄せる書類については、活動制限令MCOなども考慮し、提出期限を来年までとしてあるが、クラブ運営者自身が用意できる書類については、期限延長は認めない。規模の大きなクラブは必要書類も多いため、迅速に対応して期限を守ってもらいたい。」と話すFAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、来季のクラブライセンスを発給されないクラブはMリーグ1部あるいは2部でプレーすることは認められないとしており、申請書類の提出が完了していないクラブは3部降格となる可能性があります。

マレーシアカップにサバFAは出場できず
 マレーシアカップを主催するマレーシアフットボールリーグMFLは公式Facebook上で、サバFAが来月11月6日に開幕するマレーシアカップには出場しないことを発表しています。
 サバFAの本拠地があるサバ州は、マレーシア国内全体の新型コロナウィルス新規感染者数の半分以上を記録するなど感染拡大が続いており、州境を超えた移動などを禁じる活動制限令が11月9日までの期限で全州に施行されています。またボルネオ島からマレー半島へ渡航する場合には14日間の隔離期間を取ることが義務付けられています。
 MFLは現在、サバ州内にいるサバFAがマレー半島へ移動してマレーシアカップへ出場できるよう、国家安全保障委員会NSCなどに特例措置を求めてきたということですが、それが認められなかったことから、10月28日に開かれたMFLの取締役会でサバFAのマレーシアカップ不出場が決定されたことが発表されています。
 このため11月1日に予定されているマレーシアカップの組み合わせ抽選でサバFAとの対戦が組まれたチームは、1回戦は不戦勝となります。
 またMリーグ最終節第11節のサバFAのホームゲームとして予定されていたサバFA対UITM FC戦も、やはり新型コロナウィルスの影響で順延となっており、こちらは10月31日にマラッカ州ハンジェバスタジアムでの開催が発表されていましたが、この試合も中止となり、記録上は3-0 でUTIM FCの勝利となるということです。なお、この結果、Mリーグ1部の最終順位は以下のように決定しました。

マレーシア1部スーパーリーグ2020年シーズン最終順位表

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1JDT119203382526
2クダFA117132013722
3トレンガヌFC1161424141019
4ペラTBG115332119218
5スランゴールFC114522619717
6UITM FC115241715217
7PJシティFC113531716114
8パハンFA114251818014
9マラッカU113251316-3*11
10サバFA112361224-129
11フェルダU111461227-157
12PDRM FC11029529-24*-1
1位のJDTはAFCチャンピオンズリーグ本戦に出場、2位のクダFAはAFCカップ本戦に出場します。
11位のフェルダ・ユナイテッドFCと12位のPDRM FCは、来季の2部降格が決まっています。
*9位のマラッカUと12位のPDRM FCはそれぞれ、給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

今季終了後の1部2部間の昇格と降格は通常通り実施
 またMFLは同じ公式Facebook上で、首都圏に出されている活動制限令を遵守しつつ、マレーシアカップは予定通り開催すること、そして今季終了後の1部リーグからの降格と2部リーグからの昇格については、例年同様に行うことも発表しています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、マレーシアカップは11月1日組み合わせ抽選、11月8日開幕の日程に変更はないとし、活動制限令が出ている首都圏に本拠地を持つスランゴールFC、UITM FC、PJシティFC、クアラルンプールFAの各クラブについては、首都圏の外での試合会場の確保をMFLが行うとしています。
 またMリーグ1部のPDRM FCなど複数のクラブから出されていた、新型コロナウィルスによる変則日程を理由とした今季の降格見送りの提案と来季の1部リーグ14クラブ化を受け入れず、当初の予定通り、1部の11位と12位のクラブは2部へ降格、2部の1位と2位のクラブ(但し1部クラブのセカンドチームは除く)の昇格を行うとしています。この結果、1部からはMリーグ撤退を表明した11位のフェルダ・ユナイテッドFCと12位のPRDRM FCが降格、2部からは1位のペナンFAと3位のクアラルンプールFAが来季は1部に昇格します。
 また2部と3部の間の昇格と降格については、今季、3部のM3リーグがやはり新型コロナウィルスの影響で6月8日に中止となったことから、昇格、降格のいずれも見送りとなったことも発表しています。


 
 
 

10月29日のニュース:クダ・ダルルアマンFCのスポンサー候補が州FAに対して疑念、FAMはスマレとパハン州FA間の争議を静観する構え、Mリーグ新規加盟クラブはフェルダUの選手を獲得すべき

本日10月29日はイスラム教の開祖ムハンマドの誕生日でマレーシア国民の祝日です。

クダ・ダルルアマンFCのスポンサー候補が州FAに対して疑念
 マレーシアサッカー 協会FAMの指導により来季からMリーグ各クラブが民営化される中、クダ州民生活協同組合KAKBは、クダ州サッカー協会(クダ州FA)の手を離れて民営化されるクダFA(民営化後はクダ・ダルルアマンFC、KDA FC)のスポンサー候補に名乗りをあげていました。
 しかし一時は辞職願を提出しながら結局、それを撤回したクダ州FAのムハマド・サヌシ・ムハマド・ノー会長の一連の行動により、KAKBはスポンサーとなるかどうを再検討し始めたとスポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 このブログでも既報の通り、クダ州首相でもあるムハマド・サヌシクダ州FA会長は、ダルルアマンFCの株式はMBI社が80%、クダ州FAが20%を購入し、MBI社分についてはコンソーシアムを形成して外部から共同参画スポンサーを招き入れることを発表しています。なお、MBI社はクダ州政府が全面出資する州政府系企業です。
 KAKBは来季のKDA FCの運営会社であるダルルアマンFC社の株式51%取得に向けて、1500万リンギ(およそ3億7500万円)を用意し、来季のスポンサーとなることを目指していました。今回のクダ州FA会長の発言についてKAKBのアドバイザーを務めるシャイズワン・カマルザマン氏は以下のように述べています。
 「MBI社のトップはクダ州首相で、そのクダ州首相はクダ州FAの会長である。FAMが求めているクラブの民営化とは本来、州の公金を財源とする州FAからクラブ運営会社へ経営権が譲渡されることを指すが、これでは州FAから州政府系企業への経営権の移行に過ぎない。」と批判しています。
 「これでは『民営化』が実際に行われているようには思えず、従って経営権がクラブ運営会社に完全に移行することは期待できない。」と話しています。
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 クダ州FAで起こっていることは、既得権を手放したくない政治家と、自力では運営資金を集められないため政治家の口利きが必要な連盟の出来レースのように見えます。今季は選手への給料未払い問題を起こしたクダ州FAは、新たに2年契約を結んだアイディル監督が現存選手の大半が来季も残ると話していることから、来季も今季と変わらない運営費用がかかることが予想されます。もし外部から十分なスポンサーを確保できなければ、また選手に負担を強いることになるのでしょうか。

FAMはスマレとパハン州FA間の争議を静観する構え
 昨日のこのブログでは、パハン州サッカー協会(パハン州FA)が契約違反を理由にムハマドゥ・スマレに対して2年間のあらゆるサッカー活動を禁じる懲戒処分を発表したことを取り上げましたが、これについてマレーシアサッカー協会FAMは静観するつもりのようです。
  マレーシア語紙ブリタハリアン電子版によれば、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、両者の争議は既にFIFAの審査対象となっていることから、FAMとしてはこの件についてはコメントを出す予定はなく、FIFAの判断を仰ぐつもりであると話しています。
 スマレ選手はFAMの紛争解決委員会ではなく、FIFAの紛争解決室に直接、この問題を持ち込んだこともパハン州FAによる処分の理由の一つとされています。なお、給料未払いなどの問題について、マレーシア人選手はFAMの紛争解決委員会へ、外国籍選手は直接、FIFAの紛争解決室へ申し立てることができますが、ガンビア出身ながらマレーシア国籍を取得しているスマレ選手はFAMの紛争解決室に申し立てを行うべきにも関わらず、そうしなかったことが処分理由となっています。
 この他、スチュアート事務局長は、パハン州FAからスマレ選手に対する処分内容については正式な通知を受け取っていると話しています。

Mリーグ新規加盟クラブはフェルダUの選手を獲得すべき
 Mリーグ撤退を表明したMリーグ1部のフェルダ・ユナイテッドFC。その旧運営会社社員が設立したファイターズ社は、来季Mリーグ参入を目指すクラブの運営会社ですがフェルダ・ユナイテッドFCのモハマド・ニザム・ジャミル監督はこのファイターズ社に対して、フェルダ・ユナイテッドFCの選手を採用するように働きかけているということです。
 マレーシア語紙シナルハリアン電子版はニザム監督の話として、新規加盟クラブがMリーグでプレー経験のある選手を獲得したいのであれば、フェルダ・ユナイテッドFCの選手を獲得するのが最善の方法だとしています。
 「新規加盟クラブがフェルダ・ユナイテッドFCの選手を獲得する予定があるかどうかは承知していないが、もしそのクラブをゼロから作り上げようとしているのならば、強いチームを作ることは非常に困難だろう。しかし、もしフェルダ・ユナイテッドFCの選手を核にし、足りない部分を補強するのであれば、チーム作りの困難さは軽減される。ただし、新規加盟クラブの経営陣やオーナーが、すべての選手を自らで集めてくるつもりなのであれば、自分にできることはない。」とニザム監督は述べています。
 また、ニザム監督は、フェルダ・ユナイテッドのFC選手も監督、コーチもファイターズ社からはこれまでは何の接触もないことも明かしています。

The Fighters’ representative who is also the former Secretary General of Felda United, Afizal Abu Othman in the Sinar Harian report yesterday also could not give confirmation on the fate of Felda United players whether they will be absorbed in the new team later.”Of course we are disappointed after knowing that Felda United will not play again next season. However, after a month we can accept it and there are players who are already thinking about future plans.”For myself, I am not angry because this is football. This kind of thing is normal and it is the right of management if they do not want to play in league competition again. We have to accept it, ”he explained.We’d like to notify you about the latest updatesYou can unsubscribe from notifications anytimePowered by iZooto