1月4日のニュース:FAMは給料未払いクラブのMFL参加停止には消極的、MFLでは多くの選手が減給に直面

FAMは給料未払いクラブのMFL参加停止には消極的
 マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、給料未払い問題が解決していないクラブの今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL参加停止については慎重に対応したいと述べていると、スポーツ専門サイトフォックススポーツが報じています。。
 今季開幕を2月29日に控えるMFLですが、その参加クラブの中には昨季2019年シーズンの未払い給料問題が解決していないクラブが複数あり、給料を受け取っていない選手たちからはそういったチームの今季MFL参加をMFL自身やFAMが停止するべきという声が上がっています。
 これに対してラマリンガム事務局長は、この事態をFAMが手をこまねいて見ているわけではないとしながらも、クラブのMFL出場停止についてはその措置による影響の大きさを考慮して慎重に対応したいと述べています。
 「クラブが出場停止になれば、スポンサーを失い、サポーターも失い、結果的にはクラブの解散という事態も起こりうる。クラブが解散すれば、そのクラブと契約した選手やコーチ、クラブを運営するフロントなどなども収入源を失い、誰も得をしない状況となる可能性がある。」
 「例え分割払いのような方法になったとしても、クラブが未払い給料を選手に支払うことの方が、クラブが解散して一文も払われないよりは良いだろう。」
 「この方法は現実的で、大半のクラブはこの方法で未払い給料を支払えるだろうが、もし選手が全額を一括払いで求めるのであれば、難しいだろう。」などと発言しています。なお、給料未払い問題を抱えるクラブとしてマラッカ・ユナイテッド、PDRM FC(以上MFL1部)、サラワク・ユナイテッド、ペナンFA、ケランタンFA(以上MFL2部)などの名前が上がっています。
 またラマリンガム事務局長は、給料未払い問題を抱えるクラブに対しては「FAMの寛容さを利用することなく、真剣に問題に取り組むことを求め、必要な場合には今季のクラブライセンスの無効化なども含めた断固とした措置を取る用意があることも併せて強調しています。
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 メディアの報道によると、給料未払い問題を抱えるクラブの中には、給料が支払われていない選手たちの気持ちを逆撫でするように、今期に向けて新たな外国籍選手を獲得するクラブなどもあり、選手に給料を支払わないプロクラブを抱えるリーグMFLやそれを統括するサッカー協会FAMがこの状況にどう対処していくのかに注目です。

MFLでは多くの選手が減給に直面
 これまで高給を取っていたMFL所属クラブの選手たちの多くが、今季は50パーセント以上の減俸を受け入れて契約しているという代理人の話を英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が伝えています。代表クラスの選手は依然として高給を受け取っているものの、「元代表選手」や「準レギュラー」クラスの選手たちは、生活がかかっているためクラブとの契約獲得に必死で、従来より低い給料での契約を受け入れているとしています。
 今季はMFLの多くのクラブが年間運営資金削減を行っており、記事の中では、MFL2部のマレーシア国立大学UKMを母体とするUKM FCは運営資金が昨季の400万リンギ(およそ1億500万円)から今季は150万リンギ(およそ4000万円)となっていること、マラ工科大学UITMを母体とし、MFL1部に昇格したUITM FCは現役大学生が、同じ昇格組でマレーシア王立警察が母体のPDRM FCは新規採用の警察官が今季のチームの主力になっていることなどを報じ、ジョホール・ダルル・タジムJDT、スランゴールFC、クダFAなど今季に向けて大型補強を行ったクラブはむしろ例外的であるとしています。
 また、MFL2部に所属するJDT II、トレンガヌFC II、ペラTBG II、スランゴールFC IIといったMFL1部クラブのBチームは育成目的で若手主体のチーム編成となっており、これまで高給を取ってきた選手たちの所属先とはならないことや、スランゴールFCに合併吸収されて同クラブのBチーム、スランゴールFC IIとなったPKNS FC(昨季MFL1部9位)や、サラワクFA(同MFL2部11位)に買われたスランゴール・ユナイテッドFC(同MFL2部9位)の選手たちの多くは所属先を失ったため、市場に選手があふれているとしています。
 また記事の中では、所属先を探す選手からの問い合わせが例年になく多いと話す選手の代理人の談話を紹介し、これまでなら月額4万から5万リンギ(およそ105万から131万円)の給料を取っていた選手たちが、今季は1万5千から2万リンギ(およそ40万円から53万円)の給料でも契約していることを述べ、その結果、これまで月額2万リンギやそれ以下の給料を取っていた選手の所属先が見つからなくなって現状を紹介しています。中にはより低い給料でMFL3部にあたるM3リーグでプレーすることを選ぶ選手もいるそうですが、この代理人の話では、M3リーグではトップの選手でも月額5千リンギ(およそ13万円)を超えることはないそうです。
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 選手を苦しめる給料未払い問題の発生を防ぐためには、各クラブは「身の丈に合った経営」を行う必要がありますが、その一方でクラブが選手の給料を低く設定しすぎて、プロサッカー選手という職業に魅力がなくなれば、プロリーグそのものが衰退してしまう可能性もあります。雇用主である各クラブやリーグを運営するMFLは、マレーシアプロサッカー選手会PFAM、さらにはマレーシアサッカー協会FAMなどとも協議をしながら、問題解決の糸口を探る必要がありそうです。

1月2日のニュース:JDTはACLでヴィッセル神戸と対戦が決定、前U19代表監督はインドネシア1部リーグのクラブ監督に就任、未払い給料問題を抱えるPDRM FCは解決の期限を明言せず

JDTはACLでヴィッセル神戸と対戦が決定
 今季2020年のアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACLの本選から出場する昨季2019年マレーシアンフットボールリーグMFL1部チャンピオンのJDTは、ACLの予選グループGに入っていますが、このグループは広州恒大(中国)、水原三星(韓国)が入ることは決まっていましたが、残りの1チームは日本の天皇杯優勝チームということになっていました。
 昨日1月1日の天皇杯決勝でヴィッセル神戸が2-0で鹿島アントラーズを破ったため、このグループGにはヴィッセル神戸が入ることが決まりました。
 イニエスタやポドルスキといったビッグネームが在籍することから、マレーシアでも注目が集まるヴィッセル神戸と対戦するJDTは、昨年の鹿島アントラーズに続き、また日本勢との対戦となりました。
 ヴィッセル神戸とJDTが同じグループになると直ちにJDTオーナーのジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下がチームのFacebookにメッセージを寄せています。(写真下)

前U19代表監督はインドネシア1部リーグのクラブ監督に就任
 昨年2019年5月までマレーシアU19代表の監督を務めたボジャン・ホダック氏がインドネシア1部リーグの強豪PSMマカッサルの監督として2年契約を結んだことが、AFCの公式サイトで報じられています。
 今季2020年のAFCカップ予選プレーオフで、東ティモールのレレノック・ユナイテッドFCと対戦するPSMマカッサルは、AFCカップ本選出場とリーグ戦優勝を目標にホダック氏と契約したされています。
 クロアチア出身のホダック氏は、プノンペン・クラウンFC(カンボジア)、山東魯能(中国)で監督、コーチを務めた後、ケランタンFA(2012年から2013年)、JDT(2014年〜2015年)、ペナンFA(2016年)とMFLのクラブを指導した他、マレーシア U19代表の監督を2017年〜2019年まで務め、東南アジアサッカー連盟AFF U19選手権では2018年大会でマレーシアを初優勝へ導き、さらにAFC U19選手権本選に12年ぶりの出場を果たしています。
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 2012年にケランタンFAの監督に就任するとリーグ戦、マレーシアFAカップ、マレーシアカップのいわゆるトレブル(Treble、三冠)を果たし、続く2013年もJDTを破りFAカップ2連覇を果たしました。翌2014年にJDT監督に就任すると、MFL6連覇の始まりとなるリーグ初優勝をもたらしています。このように申し分ない実績を持つホダック氏は、U19代表監督時代もマレーシア サッカー協会FAMが求めた結果を全て残してきましたが、昨年7月にはU19監督としての契約更新が行われませんでした

未払い給料問題を抱えるPDRM FCは解決の期限を明言せず
 マレーシア王立警察を母体とするPDRM FCは今季、MFL1部に昇格しますが、昨年2019年分の未払い給料問題が未だ解決していないことを、スポーツ専門サイトフォックススポーツが報じています。
 同サイトの記事によれば4ヶ月間、選手に対する給料の支払いが滞っているようで、2月28日に迫った今季のMFL開幕に間に合うのかどうかどころか、今季のMFLへの参加が認められるのかどうかも怪しくなってきています。
 昨季2度目のトランスファーウィンドウ期間中に大型補強を行い、外国籍選手とマレーシア人選手の新戦力を獲得した結果、MFL3部への降格争いにいた状況から一気にリーグ3位となり今季MFL1部昇格を勝ち取るまでに至ったPDRM FCですが、その頃から給料未払い問題の兆候は現れており、フォックススポーツでも給料を受け取れていない選手の声が紹介されたこともありました。
 また昨季途中に就任し、チームを立て直したエラヴァラサン・ランゴワン監督は辞任し、昨季在籍した多くの選手は退団し、今季のチームは現職の警察官が選手全体の半数以上となるなど、チーム運営が厳しい状況下では、未払い給料問題の解決は容易ではなさそうです。

12月30日のニュース:JDTオーナーがスランゴールFCサポーターに強烈なメッセージ、運営予算が決まらないパハンFAは来季への準備に遅れ、選手会は未払い給料問題を抱えるクラブのMFL参加停止を要望

JDTオーナーがスランゴールFCサポーターに強烈なメッセージ
 ブレンダン・ガン(元ペラTBG)を筆頭に、このシーズンオフに積極的な補強を行っているスランゴールFCは、サポーターから新たな「マラヤの王(King of Malaya)」と呼ばれ始めていることに対し、ジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーでジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下が皮肉を交えたメッセージ映像をJDTのFacebookに挙げています。。
 まずJDTは「マラヤの王」ではないと述べる一方で、世界中でJDTの名前は知られていると軽くジャブ。さらに「JDTはアジアクラブランキングで33位だが、他のMFLクラブは112位が最高位である」と述べ、さらに「王というのは借家に住まず、自身の家に住むものであり、もし王と呼ばれる者が借家住まいなら、その王とは一体どんな王なのか」と、総工費2億リンギ(およそ53億円)とされる自前のスルタン・イブラヒムスタジアムを来季から使用するJDTと、スランゴール州の公共施設であるシャーアラムスタジアムを使用するスランゴールFCを比べています。
 トゥンク・イスマイル殿下はさらに、クナンラン・スブラマニアム、アーマド・ハズワン・バクリ、アダム・ノー・アズリン、ファリザル・マリアスら、かつてスランゴールFAでプレーした選手たちの名前を挙げて、JDTが彼らをスランゴールFAから獲得する際には相当の金額を費やしたことも述べています。

運営予算が決まらないパハンFAは来季への準備に遅れ
 来季に向けてMFL各クラブが新戦力の加入のニュースが連日流れる中、景気の良い話が全くといって良いほど聞こえてこないのが、今季MFL2位に終わったパハンFAです。多くの主力選手が移籍、退団した一方で、新戦力加入もなく、来期の運営資金が不足しているという噂もあります。
 他のMFLクラブ同様、パハンFAでもプレシーズン前の練習が始まっていますが、参加しているのはわずか15名、そのうち外国籍選手はフランス出身のDFエラルド・グロンただ一人と英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 ディクソン・ヌワカエメ(ナイジェリア)、ラザラス・カイムビ(ナミビア)、サディル・ラムダニ(インドネシア、ベルギーのクラブへの移籍の噂あり)サフワン・バハルディン(シンガポール、スランゴールFC加入)ら外国籍選手が退団しただけでなく、代表でもプレーするノーシャルル・イドラン・タラハやズビル・モハマド・アズミ(サバFAに加入)、コギレスワラン・ラジ、ソロモン・ラジ(いずれもPJシティFCに加入)、アフィフ・アミルディン、レメゼイ・チェ・ロス、ワフユディン・シャムスディンらとも契約を更新していません。
 またUTIM FC監督就任の噂が出ていたドラー・サレー監督も一時は退団の意向を持っていたようですが、来季の指揮を取ることに合意し残留を決めたとも記事には書かれています。
 記事では、来季の運営資金が確定しておらず新戦力の補強が遅れていること、運営資金が十分でなければ、外部からの補強ではなく、プレジデントカップチーム(U21チーム)からの昇格などで三種を確保することになるという関係者からのコメントも掲載されています。
 今季はMFL1部では首位のJDTからは勝点10離された2位、マレーシアFAカップではペラTBGに、マレーシアカップではクダFAにそれぞれ準決勝で敗れています。

選手会は未払い給料問題を抱えるクラブのMFL参加停止を要望
 年末になって次々と未払い給料問題が報じられる中、マレーシアプロサッカー選手会(PFAM)はMFLに対して、給料未払い問題を抱える6つのクラブの来季MFL参加停止を要望していると、スポーツ専門サイトスタジアムアストロが伝えています。
 6クラブとは来季MFL1部でプレーするマラッカ・ユナイテッドFCフェルダ・ユナイテッドFCトレンガヌFCPDRM FC、MFL2部でプレーするペナンFA、そしてケランタンFAです。
 PFAMのイズハム・イスマイルCEOは、スタジアムアストロとのインタビューで、MFL所属クラブは、全ての未払い給料問題を解決した上でリーグに参加するべきと述べています。同じインタビューの中で、今季はMFL2部でプレーしたPDRM FCは過去4ヶ月分の給料が選手やコーチ人に未払いとなっていることや、トレンガヌFCが今季プレーしたアーマド・シャミン・ヤハヤ(マラッカ・ユナイテッドFCに加入)に対して未払い給料を抱えていることなどを発表しています。また、マラッカ・ユナイテッドFCのカイルル・ファミ・チェ・マットもケランタンFAが抱える未払い給料を直ちに支払うことを求める発言をメディアに繰り返しています。
 PFAMのイズハムCEOは、この状況を放置しているMFLとFAMに対して直ちに対応を求めるとともに、同じような問題が来季開幕後も発生することを防ぐために、未払い給料問題を抱えるクラブのMFL参加停止を要望するとしています。
 これに対してMFLのダト・ガニ・ハサンCEOは、来季からMFL各クラブに導入される経済コントロールプログラムECPが、給料未払い問題解決につながるだろうと述べるにとどまり、明確な回答が得られなかったと、スタジアムアストロは報じています。

11月6日のニュース:FAMは来季クラブライセンス交付追加チームを発表、PKNS FCがスランゴールFAのBチーム化に同意か、MFLはBチーム参入の規定を内密に変更か

FAMは来季クラブライセンス交付追加チームを発表
 マレーシアフットボールリーグMFL1部の2クラブと2部の4クラブが新たに来季2020年シーズンのクラブライセンスの交付を受けたことを、マレーシアの通信社ベルナマが伝えています。
 今回、マレーシアサッカー協会FAMのクラブライセンス交付第一審機関より交付を受けたのは、マラッカ・ユナイテッド、PKNS FC(以上1部)、UKM FC、スランゴール・ユナイテッド、PDRM FC、ペナンFA(以上2部)の6クラブです。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長はこの6クラブの他にケランタンFAとサラワクFAにも、第三者による保証を証明する文書が出されたことにより、未払いの給料があるものの条件付きでライセンスの交付を行ったことも発表しています。ただしFAMはその保証が実行されるかどうかを見守るとしており、実行されない場合には交付されたクラブライセンスが無効になる可能性があることも示唆しています。
 またケランタンFA、サラワクFA、UKM FCについては10月30日の申請締め切り期限を守らなかったことで警告を受けたようです。
 なお来季のライセンス交付は、今年2019年6月30日の時点で未払い給料問題を解決したクラブが対象になっているとし、その後新たに発生した未払い問題については12月15日までにFAMにその解決法と解決時期を報告することを義務付けています。これについてラマリンガム事務局長は、今季の未払い給料等を来季へ持ち越させないための手段であると説明し、FAMのクラブライセンス委員会は未払い給料を抱えるクラブの解決法と解決時期が厳格に守られているかどうかのチェックを行っていくとしています。

PKNS FCがスランゴールFAのBチーム化に同意か
 スポーツ系サイトアストロアリーナによると、PKNS FCのフロントがスランゴールFAとの合併に同意し、PKNS FCがスランゴールFAのBチームとなることが決定したようです。
 スランゴールFAを統括するスランゴール州サッカー協会FASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長が明らかにしています。
 Bチーム参入についてはMFLの規定により参入1年前の申請が義務付けられていますが、ハミドン事務局長によれば、FASは既に最初の申請書をMFLに提出しており、PKNS FCからの合併についての同意書があれば、来季からのPKNS FCのBチーム化の実現にはさほど問題にはならないだろうと楽観視しています。
 また、PKNS FCがスランゴールFAのBチームとなった場合のPKNS FCとスランゴールFAのプレジデントカップ(U21)チームの処遇については、まだ未定としながらも、スランゴールFAのプレジデントカップチームが残る可能性が高いとしています。
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 なお「育成のPKNS FC」とも言えるPKNS FCは今季2019年のプレジデントカップで優勝し、U19チームが参加するユースカップでも昨季2018年は優勝、今季は準優勝している一方、スランゴールFAはプレジデントカップ、ユースカップとも今季は準々決勝でPKNS FCに敗れています。

MFLはBチーム参入の規定を内密に変更か
 スポーツ系サイトフォックススポーツは、上記のPKNS FCのBチーム化について義務付けられている1年前の申請をMFLが公にしないまま変更したのではないかという疑惑を取り上げています。
 PKNS FCのBチーム化については、これまでも多くのメディアで報じられる一方、PKNS FCの監督、選手は反対を表明してきたため、正式な申請は今年中には不可能との予測が出ていました。
 しかし上記でも取り上げた通り、スランゴール州サッカー協会FASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、PKNS FCフロントの同意を得られてことから、来季2020年シーズンには、PKNS FCがスランゴールFAのBチーム、スランゴールFA IIとしてMFLに参加するかのような発言をしています。
 しかしフォックスポーツは、Bチーム参入の条件としてMFLが義務付けている参入1年前の申請という規定をFASが軽視しており、この規定を厳守すれば、今年11月に行われる申請によってBチーム参入が許可されるのは来年2020年11月であるとしています。その上で給料未払いなどの問題では期日を守ることを求めているMFLがこのFASの申請を受理し、来季2020年からスランゴールFAのBチーム、スランゴールFA IIの参入を認めるとなれば、正当な根拠が必要となるだろうとしています。
 特に今回のPKNS FCのBチーム化は、既存のクラブが他のクラブのBチームになるという特殊なケースであり、各クラブを統括するMFLはこの状況について繊細に対応するべきだとした上で、もしこのまま来季からPKNS FCがスランゴールFA IIとなるのであれば、各クラブにもサッカーファンにも公にしないまま内密に規定を変更したと取られても仕方がないと批判的に記事を結んでいます。
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 歴史もあり影響力の大きいFASに対してMFLがなし崩しで屈してしまうとしても、長いものには巻かれることを厭わないマレーシアではありそうなことですが、悪しき前例を一旦、作ってしまうとそれが自らの首をしめかねないので、MFLは威厳を持ってこの問題に対処するべきだと思います。

9月27日のニュース:FAMはMFL1部9クラブと2部3クラブに2020年シーズンのクラブライセンス交付

MはMFL1部の9クラブに2020年シーズンのクラブライセンス交付
 マレーシアサッカー協会FAMのホームページでは、今季2019年マレーシアフットボールリーグMFL1部に所属する12クラブの内、9クラブに来季2020年のクラブライセンスが交付されたことが告知されています。
 この9クラブは、ジョホール・ダルル・タクジムJDT、パハンFA、スランゴールFA、クダFA、ペラTBG、トレンガヌFC、プタリンジャヤPJシティFC、フェルダ・ユナイテッド、クアラルンプールKLFAの9クラブです。
 FAMによるクラブライセンス制度は、各クラブに対して「競技」「施設」「組織運営・人事体制」「財務」「法務」の5分野において一定の基準により審査を行い、第一審機関 (First Instance Body、FIB) がライセンス交付の決定を行います。
 またマラッカ・ユナイテッドとPKNS FCついては5分野のうち基準に満たない分野があるとして、10月30日の期限までにFAMの基準を満たすことができれば、来季のライセンスを交付するとしていますが、その期限を過ぎた場合は2部への降格処分が課せられます。現に2017年シーズンではMFL1部で3位となったフェルダ・ユナイテッドが、クラブライ選手が取得できずに2部降格となった例もあります。
 この他、PKNP FCは申請が却下されたため、クラブライセンスは交付されず、来季は2部降格が確定しています。(ただしPKNP FCは今季1部で11位となり、下位2チームが降格するMFLの入れ替え規定により、すでに降格が決まっています。)
 また、クラブライセンスが交付された9クラブの内、JDT、スランゴールFA、クダFA、ペラTBG、トレンガヌFC、KLFAの6クラブはアジアサッカー連盟AFCのクラブライセンスも合わせて交付されており、AFCチャンピオンズリーグやAFCカップに出場することになれば、その資格も取得しています。
 なお今回交付されたクラブライセンスは2020年の1年間のみ有効ですが、2020年シーズン中に何か問題発生した場合、FAMが資格停止する権限を持っています。
 個人的には今回ライセンスの交付が受けられなかったクラブも結局、マレー人特有の「ティダアパ」(Tidak apa apa、マレーシア語で「問題なし」)とうやむやになってしまうのではないかと思っていますが、FAMが本当に強固な姿勢を取れるのかどうかに注目してみたいです。

MFL2部は3クラブに2020年シーズンのクラブライセンス交付
 同じくマレーシアサッカー協会FAMのホームページでは、今季2019年マレーシアフットボールリーグMFL2部に所属する9クラブの内、3クラブに来季2020年のクラブライセンスが交付されたことが告知されています。(注:MFL2部は2019年は11クラブで構成されていますが、JDT IIとトレンガヌFC IIはそれぞれ1部のJDTとトレンガヌFCのBチームであるため審査対象外です。)
 この3クラブは、中武駿介選手が所属するヌグリ・スンビランFA、今季MFL2部で優勝し、来季は1部昇格が決まっているサバFA、そしてUITM FCの3クラブです。
 またPDRM FC、ペナンFA、スランゴール・ユナイテッドFCの3クラブについては5分野のうち基準に満たない分野があるとして、10月30日の期限までにFAMの基準を満たすことができれば、来季のライセンスを交付するとしていますが、その期限を過ぎた場合は3部となるM3リーグ(アマチュアリーグ)への降格処分が課せられます。
 さらにケランタンFA、サラワクFA、UKM FCの3クラブについては、今回がMFL2部プレミアリーグのクラブに資格審査を行う初年度ということから、10月30日まで資格審査を一時中断する一方で、やはり期限とする10月30日までに5分野で審査基準を満たすことができなければ、M3リーグ降格となると発表しています。

マレーシアカップ グループステージ第2節の結果まとめ

8月7日(水)と8日(木)に行われたマレーシアカップグループステージ第2節の結果です。

グループA
ヌグリ・スンビランFA1-2PKNS FC
得点者:ヌグリ・スンビランFA-イゴール・ルイス(90分)、PKNS FC-ガブリエル・ゲラ2(15分、31分)
 マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグのPKNS FCは、2部プレミアリーグのヌグリ・スンビランFAを破り、リーグ戦も含めて8試合ぶりの勝利となりました。
 ヌグリ・スンビランFAの中武駿介選手はスタメンでフル出場しています。

クダFA0-2トレンガヌFC
得点者:チェチェ・キプレ2(66分、87分)
 トレンガヌFCがFAカップ優勝チームのクダFAを敵地で破って2連勝です。

グループA順位試合得点失点得失差勝点
トレンガヌFC22005146
クダFA21o13303
PKNS FC210134-13
ヌグリ・スンビランFA200225-30

グループB
ジョホール・ダルル・タクジムJDT4-2プタリン・ジャヤ(PJ)シティFC
得点者:JDT-サファウィ・ラシド(9分)、ジオゴ2(47分、72分)、ゴンザロ・カブレラ(81分)、PJシティFC-ワシントン・ブラダオ(59分)、バラスクマル・ラマルー(70分)

UITM FC0-2PKNP FC
得点者:PKNP FC-アマニ・アギナルド(45分)、ペドロ・サンドヴァル(85分)

グループB順位試合得点失点得失差勝点
JDT22007346
PKNP FC21013213
PJシティFC210145-33
UITM FC200215-40

グループC
ペナンFA2-1サバFA
得点者:ペナンFA-ジュリアン・ボッタロ(9分)、エヴァン・ウェンスレイ(73分OG)、サバFA-ロドリュブ・パウノヴィッチ(48分PK)

パハンFA3-0ペラTBG
得点者:エラルド・グロン(40分)、サディル・ラムダニ(68分)、ラザラス・カイムビ(82分)

グループC順位試合得点失点得失差勝点
パハンFA22006156
ペラTBG21013303
ペナンFA210134-13
サバFA200215-40

グループD
PDRM FC4-3フェルダ・ユナイテッド
得点者:PDRM FC-パトリック・ロナウジーニョ(37分)、ゴピナタン・ラマチャンドラ2(78分、88分)、アズミズ・アズミ(90分)、フェルダU-スピアー・チャントゥル(9分)、カイルル・アムリ2(18分、56分)
 今シーズンMFL1部10位のフェルダUが、54分にDFファリド・ラムリの退場で10人となったMFL2部3位のPDRM FCに逆転負け。フェルダUの渡邉将基選手、池田圭選手はともにベンチ入りしましたが、出場しませんでした。

マラッカ・ユナイテッド0-1スランゴールFA
得点者:スランゴールFA-エンドリック(61分)

グループD順位試合得点失点得失差勝点
スランゴールFA21103214
マラッカ・ユナイテッド21013213
PDRM FC210156-13
フェルダ・ユナイテッド201156-11

8月8日のニュース:FAMや州サッカー協会の反論に選手会がコメント、AFF U18選手権開幕、FAMはコーチを日本へ派遣

FAMや州サッカー協会の反論に選手会がコメント
 マレーシアプロサッカー選手会PFAMのイズハム・イスマイルCEOが、現在マレーシアサッカーリーグMFL所属の12クラブが総額約640万リンギ(約1億6300万円)の未払い給料があることを発表したことに対して、ヌグリ・スンビラン州サッカー協会を貶めるものだとして事務局長が謝罪を要求したり、マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長が内容が不正確で無責任であると応酬した件で、PFAMのイズハムCEOが新たにコメントを発表したことをマレー語紙ウトゥサン・マレーシア電子版が伝えています。
  イズハムCEOは記事の中で、発表内容はFAMやMFLに向けたものではなく、給料未払い問題を抱えるクラブに対して、滞りなくその問題を解決することに意識を向けさせるためのものであるとした上で、給料未払い問題の速やかな解決を求めているFAMのラマリンガム事務局長自身が反論したことに驚いたとも述べています。
 さらに、給料未払い問題は全て解決済みであるとして、いわれのない抽象であるとして選手会に対して公式謝罪を求めたヌグリ・スンビランFAを統括するヌグリ・スンビラン州サッカー協会に対しては、昨シーズン中にパハンFAから期限付き移籍したブラジル人DFアレックス・モラエスの給料はパハンFAとヌグリ・スンビランFAが折半するとしたものの、両クラブとも支払い期限の今年7月31日までに給料を支払っておらず、実際に支払ったのはPFAMによる発表の2日後であったことを指摘し、マラッカ・ユナイテッドについては、MFLから補助金が支給済みにも関わらず、給料未払い状態が継続していること、ケランタンFAでは、一部の選手に対して5年間も給料未払い状態が続いていることを指摘しています。
 給料の未払い問題はプロリーグの根幹に関わる重要な問題であるにも関わらず、「無責任」「事実無根」といった厳しい言葉で反論し、選手会との断絶も示唆するような発言をしたラマリンガム事務局長に対しても失望していると、選手会のイズハムCEOは発言しています。
 この問題についてFAMのダト・ハミディン・モハマド・アミン会長も給料未払い問題が存在することは認識している一方で、給料未払い問題の影響はFAMが推し進める長期プランには影響はほとんどないだろうと、マレー語紙ブリタ・ハリアンに語り、選手会のイズハムCEOの発言は単なる人気取りが目的なのではないか語るなど、選手会側とFAMの間には認識に齟齬(そご)があることが見て取れます。

AFF U18選手権開幕
 U15選手権に続き、アセアンサッカー連盟AFF U18選手権がベトナムのホーチミンで開幕しました。東南アジア諸国連合ASEANの各国とオーストラリアの12カ国が参加するこの大会では、開催国ベトナム、マレーシア、オーストラリア、タイ、シンガポール、そして日本人の行徳浩二監督が率いるカンボジアがグループB、インドネシア、東ティモール、ラオス、ミャンマー、フィリピン、ブルネイがグループAに分かれて予選ラウンドを戦います。
 オーストラリア人のブラドレー・マローニー新監督が率いるマレーシアは、ディフェンディングチャンピオンとして大会に臨みますが、開幕戦でベトナムと対戦し、1−0で敗れています。

FAMはコーチを日本へ派遣
 英字紙スター電子版は、マレーシアサッカー協会FAMと日本サッカー協会JFAの間で今年4月に締結された基本合意書MOUに基づき、マレーシア人コーチが日本へ派遣されることになったと報じています。
 FAMの代表団は8月26日に日本へ向けて出発しますが、マレーシアサッカー指導者協会FCAMの会長で、マレーシアフットボールリーグMFL1部スランゴールFAのサティアナタン・バスカラン監督は、特に若手コーチがJFAとの協力関係をりようして様々な知識を学んで欲しいと語っています
 またこのような機会を設けたFAMに感謝の意を表すとともに、FAMの国内サッカー再生プロジェクトであるマレーシアフットボールDNAプロジェクトのためにFCAMも協会メンバーであるマレーシア人コーチを育てていきたいとしています。

マレーシアカップ グループステージ:第1節の結果まとめ

 マレーシアサッカー界2019年シーズン最後のイベント、マレーシアカップが開幕しました。11月2日(土)の決勝へ向けて、マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグの今シーズン上位11チームと2部プレミアリーグの*上位5チームの計16チームが4つのグループに分かれて行うグループステージの第1節が、8月2日(金)から4日(日)にかけて開催されました。
 *MFL2部プレミアリーグで今シーズン2位となったジョホール・ダルル・タクジムIIと4位となったトレンガヌFC IIは、いずれもMFL1部スーパーリーグのJDTとトレンガヌFCのBチームであるため、マレーシアカップへの出場資格がありません。このためプレミアリーグ6位のヌグリ・スンビランFAと7位のペナンFAが両チームの代わりに繰り上がり出場します。

グループA
クダFA(1部スーパーリーグ4位)、トレンガヌFC(同7位)、PKNS FC(同9位)、ヌグリ・スンビランFA(2部プレミアリーグ6位)
(試合は左側がホーム)

ヌグリ・スンビランFA1-3クダFA
得点者:ヌグリ・スンビランFA-フェリス・ダニアル(78分)、クダFA-ジョナサン・ボーマン2(4分、83分PK)、シャキル・ハムザ(72分)
 ヌグリ・スンビランFAの中武駿介選手はスタメンでフル出場しています。

トレンガヌFC3-1PKNS FC
得点者:トレンガヌFC-サンジャル・シャアフメドフ2(6分、90分)、ナスルラ・ハニフ(38分)、PKNS FC-ジャフリ・フィルダウス・チュウ(30分)
 今季後半は完全に失速したPKNS FCは、この試合でも一旦、追いついたものの突き放されてしまい、マレーシアカップに入っても勢いを取り戻せていません。一方のトレンガヌFCは正GKのスフィアン・アブドル・ラーマンが8月1日(木)の練習中に心臓発作を発症し、欠場しています。

グループB
JDT(1部スーパーリーグ1位)、プタリン・ジャヤ(PJ)シティFC(同8位)、PKNP FC(同11位)、UITM FC(2部プレミアリーグ5位)

JDT3-1UITM FC
得点者:JDT-ジオゴ2(16分、85分)、サファウィ・ラシド(65分PK)、UITM FC-ザルコ・コラチ(90分)
 MFL1部優勝チームのJDTがUITM FCをホームで一蹴しましたが、観客は5,860人と今季最小で、JDTのハリス・ハルン主将がFacebookにメッセージを出してファンにスタジアムに足を運ぶよう懇願する事態になりました。

PJシティFC2-1PKNP FC
得点者:PJシティFC-ペドロ・エンリケ(12分)、エリゼウ(82分)、PKNP FC-ペドロ・サンドヴァル(38分)
 MFL1部チーム同士の試合は、今季の順位どおりの結果でした。

グループC
パハンFA(1部スーパーリーグ2位)、ペラFA(同5位)、サバFA(2部プレミアリーグ1位)、ペナンFA(同7位)

パハンFA3-1ペナンFA
得点者:パハンFA-ディクソン・ヌワカエメ(59分)、モハマドゥ・スマレ(66分)、ムスリム・アーマド(84分)、ペナンFA-ジュリアン・ボッタロ(51分)
 今シーズン後半戦で快進撃を続けてきたペナンFAが先制しましたが、パハンFAがそこから逆転勝ち。

ペラFA3-0サバFA
得点者:ペラFA-ブレンダン・ガン(45分)、カレッカ(51分)、レアンドロ・ドス・サントス(90分)
 昨年2018年のマレーシアカップ優勝チームであるペラFAと、今シーズンのMFL2部優勝し来シーズンは1部に昇格するサバFAの対戦は、ペラFAが貫禄勝ちでした。

グループD
スランゴールFA(1部スーパーリーグ3位)、マラッカ・ユナイテッド(同6位)、フェルダ・ユナイテッド(同10位)、PDRM FC(2部プレミアリーグ3位)

スランゴールFA2−2フェルダ・ユナイテッド
得点者:スランゴールFA-シャズワン・ザイノン(34分)、イフェダヨ・オルセグン(40分)、フェルダ・ユナイテッド-クリスティ・ジャヤシレン(42分)、カイルル・アムリ(86分PK)
 第1節では、MFLで順位が上のチームが順当に勝利を収めましたが、唯一の例外がこの引き分けでした。スランゴールはMFL1部でも今季前半にフェルダUに敗戦したことで勢いに乗ることができなかったので、マレーシアカップでも今後が心配です。
 フェルダ・ユナイテッドの渡邉将基選手はベンチ入りしましたが出場せず、池田圭選手はベンチ入りしていません。

マラッカ・ユナイテッド3-1PDRM FC
得点者:マラッカ・ユナイテッド-ナズリン・ナウィ2(21分、62分)、パトリック・ライヒェルト(55分)、PDRM FC-リ・チャンホン(8分)
 MFL2部のPDRM FCが先制しましたが、MFL1部のマラッカUが逆転ガチしています。

7月30日から31日のニュース:マレーシアカップの日程が発表、MFL2部プレミアリーグの3チームがマレーシアカップで旋風を巻き起こすか

マレーシアカップの日程が発表
 マレーシアFAカップも終わり、2019年のマレーシアサッカー界では最後の大会となるマレーシアカップを残すのみとなりました。今年で第93回大会となるアジアで最も歴史のあるカップ戦の一つとされるマレーシアカップの予選ラウンドの日程がマレーシアフットボールリーグMFLのホームページで告知されています。。
 8月2日(金)から始まる予選ラウンドでは、MFL1部スーパーリーグの上位11チームと2部プレミアリーグの上位5チーム(ただし、それぞれ1部スーパーリーグ所属のジョホール・ダルル・タクジムJDTとトレンガヌFCのBチームであるJDT IIとトレンガヌFC IIは上位5位以内に入っていますが、出場できません)の計16チームが4つのグループに別れてホームアンドアウェイ形式で試合を行い、各グループの上位2チームがベスト16に進出します。
 またこのマレーシアカップに出場できないチームには、昨年2018年からチャレンジャーカップという大会が用意されており、スーパーリーグ最下位12位のクアラ・ルンプール(KL)FAとプレミアリーグのJDT II、トレンガヌFC IIと6位以下のチームが参加します。
 マレーシアカップの日程はこちら、チャレンジャーカップの日程はこちらです。

MFL2部プレミアリーグの3チームがマレーシアカップで旋風を巻き起こすか
1. PDRM FCはウレーとアグバに注目
 MFL2部プレミアリーグ最終節でペナンFAに敗れ、1部昇格を逃したかと思われたものの、FIFAによるペナンFAの勝点6剥奪(はくだつ)処分でいわば棚ぼたで昇格が転がり込んできたPDRM FC。今週から始まるマレーシアカップへ向けてリベリア人FWパトリック・ウレーとナイジェリア人FWウチェ・アグバが活躍を約束していると英字紙スター電子版が伝えています。
 マレーシア王立警察を母体とするPDRM FCは愛称コップス(Cops、ロボコップのコップ、「警官」の俗語です)と知られていますが、プレミアリーグの後半戦の好成績は1部昇格に十分値するものでした。後半戦10試合で7勝3敗の成績は、2部優勝のサバFAに続く好成績ですが、その牽引役がウレー選手とアグバ選手でした。
 シーズン前半はウレー選手はワントップのストライカーとしてプレーしましたが期待されたほどゴールは挙げられませんでしたが、今年2度目のトランスファーウィンドウ期間にアグバ選手が加入すると、二人のコンビが効果的に機能し、ウレー選手は19試合で6ゴール、アグバ選手は7試合で7ゴールと活躍し、1部昇格の立役者となっています。
 マレーシアカップでは、PDRM FCはフェルダ・ユナイテッド、マラッカ・ユナイテッド、スランゴールFAと同組ですが、ウエー選手は2016年に期限付き移籍で在籍したスランゴールFAとの対戦を楽しみだと語り、19試合で9ゴールを挙げたチームには今でも良い思い出が残っていると話しています。
 その一方で、チーム自体は初戦から厳しい試合になりそうです。初戦となるマラッカ・ユナイテッド(マラッカU)戦は、マラッカUから期限付き移籍となっているFWゴピナタン・ラマチャンドラは移籍元クラブのマラッカUとの試合には出場できない上、上記のアグバ選手の他、FWカイルル・イズアン・アブドラ、GKシャリル・サアリがが累積警告のため出場停止となっています。
 なおエラヴァラサン・エランゴワン監督は、このマレーシアカップを来シーズン昇格する1部スーパーリーグの準備と位置づけたいとしています。

MFL2部プレミアリーグの2チームがマレーシアカップで旋風を巻き起こすか
2. 失望から立ち上がったペナンFA
はジャイアントキリングを狙う
 マレーシアカップへの出場は4シーズンぶりとなるペナンFAは、同組となった1部スーパーリーグ2位のパハンFA、昨年のチャンピオンペラTBGとの対戦が、現在のチームの実力を知る良い機会になるだろうと、マンゾール・アズワラ・アブドル・ワヒドペナンFA監督が英字紙スター電子版に語っています。
 FIFAの裁定によって勝点6を剥奪され、1部スーパーリーグへの自動昇格圏を失ったペナンFAですが、リーグ戦については既に終わったこととして、現在は来年の1部昇格を目指してチームを立て直したいとしています。またマレーシアカップでは1部スーパーリーグのクラブから勝点1を奪う(つまり引き分ける)ことを目標にしながら、ジャイアンのキリングの機会を狙っていきたいともマンゾール監督は語っています。

MFL2部プレミアリーグの3チームがマレーシアカップで旋風を巻き起こすか
3. UITM FCはJDTとの対戦でプロから学びことを望む
 今シーズンの2部プレミアリーグでは台風の目となったUITM FC。シーズン中、一時はリーグ首位まで上り詰め、1部昇格まであと一歩と迫りながら、終盤は失速してわずか勝点1差で昇格を逃し、最終順位はリーグ5位でした。
 プロ選手中心のクラブを押しのけて5位に躍進したUITM FCは、チームの所属選手の90%がUITM(マラ工科大学)の学生です。イスマイル・ザカリアUITM FC監督は、チームに対して結果だけを求めることを重視せず、「楽しく」サッカーをするように選手に求めていると英字紙スター電信版に語っています。
 MFL2部プレミアリーグで今シーズン初めてプレーした選手もいたというチームは、マレーシアカップでは、ジョホール・ダルル・タクジムJDT、プタリン・ジャヤ(PJ)シティFC、PKNP FCと1部スーパーリーグのチームと同組になっていますが、イスマイル監督は1部優勝チームのJDTと対戦し、UITM FCの選手たちに真のプロチームとはどういうものかを経験させたいとしています。
 UITM FCの中心となるのはモンテネグロ出身で今シーズン13ゴールを挙げているFWザルコ・コラチですが、ザカリア監督は、7ゴールを挙げながら怪我のためシーズン途中で契約解除となったロベルト・メンディを失ったことが後半戦不調の大きな要因とし、その代わりに獲得しながら期待に添うことができていないブラジル出身のMFマイコン・カリジュリがマレーシアカップでは調子を上げてくれることを望んでいると話しています。

MFL第22節の結果まとめ

マレーシアフットボールリーグMFLは7月19日(金)から21日(日)までに行われた第22節がいよいよ最終節です。
 1部スーパーリーグはジョホール・ダルル・タクジムJDT、2部プレミアリーグはサバFAと優勝チームがすでに決まっており、最終節では、1部からの降格争いと2部からの昇格争いに注目が集まりました。

MFL1部スーパーリーグ
優勝:ジョホール・ダルル・タクジムJDT
2部降格:PKNP FC、クアラ・ルンプール(KL)FA

JDT3-3トレンガヌFC
得点者:JDT-レオナルド・ヴァレズケズ(31分)、サファウィ・ラシド(36分)、ゴンザロ・カブレラ(45分)、トレンガヌFC-サンジャル・シャアフメドフ(24分)、セルヒイ・アンドレイエフ(65分)、リー・タック(79分)
 JDT地は、この試合が行われたタン・スリ・ハジ・ハサン・ユノススタジアム、通称ラーキンスタジアムから、新たに建設されたスルタン・イブラヒムスタジアムへと本拠地を移転します。ホームでの無敗記録が止まった前節、そして引き分けに終わった今節と、JDTはラーキンスタジアムでの最後を飾ることはできませんでした。

PKNS FC2-3スランゴールFA
得点者:PKNS FC-ロメル・モラレス(3分)、タミルラン・コズバエフ(79分)、スランゴールFA-サンドロ・ダ・シルヴァ(40分)、イフェダヨ・オルセグン2(44分、52分)
 ともにシャー・アラムスタジアムを本拠地とする両チームは、MFL第3節で対戦し、その際にはPKNS FCが4点を挙げてスランゴールFAに圧勝。スランゴールFAのファンからはサティアナタン監督更迭を求める声が上がりましたが、終わってみればスランゴールFAはリーグ3位でシーズンを終えました。
 スランゴールFAのBチーム化が噂されるPKNS FCは、その噂が出た6月中旬以降は2分5敗の成績で、あわや2部降格というところまで順位を下げました。もし、PKNS FCがスランゴールFAのBチームとなることが決定すれば、JDT II、トレンガヌFC IIといったBチーム同様、2部プレミアリーグでプレーすることになります。

パハンFA4-1マラッカ・ユナイテッド
得点者:パハンFA-ラザラス・カイムビ2(2分、69分)、モハマドゥ・スマレ(41分)、サディル・ラムダニ(90分)、マラッカU-ルカ・ミルノヴィッチ(58分)

フェルダ・ユナイテッド5-1クダFA
得点者:フェルダU-ジョシネル・シャアド(6分)、ファイズ・マズラン(32分)、カイルル・アムリ(85分)、ジャサズリン・ジャマルディン(90分)、池田圭(90分)、クダFA-ジョナタン・ボーマン(78分PK)
 フェルダ・ユナイテッドがクダFA相手にまさかの勝利で1部スーパーリーグ残留を決めています。第20節から降格争いのライバルKLFAに勝利し、PKNP FCとは引き分けたものの、負ければ2部プレミアリーグ降格が決まるこの試合、上位チームのクダFA相手では苦戦が予想されましたが、蓋を開けてみればフェルダ・ユナイテッドの快勝でした。
 一方のクダFAはこの敗戦で、今シーズンの成績が4位となってしまいました。

プタリン・ジャヤ(PJ)シティFC1-0PKNP FC
得点者:PJシティ-ワシントン・ブランダオ(75分PK)
 この試合に勝てば1部残留の可能性が大きかったPKNP FCでしたが、残念ながら2部降格となっています。

ペラTBG2-1クアラ・ルンプール(KL)FA
得点者:ペラTBG-カレッカ2(32分、68分)、KLFA-ルーク・ウッドランド(77分)
 KLFAは2部プレミアリーグ降格です。

順位チーム勝点勝数分け負数得点失点得失差
1JDT531651491930
2パハンFA431273372116
3スランゴールFA37107541356
4クダFA3497837298
5ペラTBG3389536315
6マラッカ・U3396736342
7トレンガヌFC307963537-2
8PJシティFC2682122229-7
9PKNS FC2156113738-1
10フェルダ・U1947112743-16
11PKNP FC1637122240-19
12KLFA1442162449-25

MFL2部プレミアリーグ
優勝:サバFA
1部昇格:サバFA、PDRM FC
3部との入替戦出場:サラワクFA

UITM FC1-1ヌグリ・スンビランFA
得点者:UITM FC-パク・ヨンジュン(24分)、ヌグリ・スンビランFA-中武駿介(63分)
 勝点30のPDRM FCがペナンFAに敗れたため、勝点28で並んでいる両チームは、この試合に勝てば1部昇格でした。UITM FCが先制するも中武駿介選手のゴールでヌグリ・スンビランFAが同点に追いつきますが、試合はそのまま終了。UITM FC、ヌグリ・スンビランFAは1部昇格ならず。
 ヌグリ・スンビランFAの中武駿介選手はスタメンでフル出場しています。

PDRM FC1-2ペナンFA
得点者:PDRM FC-パトリック・ロナルジーニョ(30分)、ペナンFA-カサグランデ(6分)、アル・ハフィズ・ハルン(53分)
 UITM FCとヌグリ・スンビランFAが引き分けたおかげで、最終節に大逆転でペナンFAが1部昇格を勝ち取ったかと思いましたが、最後に大どんでん返しが待っていました。

サラワクFA3-1スランゴール・ユナイテッド
得点者:ボビー・ゴンザレス(32分)、クロヴィス・フランクリン(60分OG)、ハドソン・ディアス(75分)、スランゴール・ユナイテッド-ノーシャミル・ガニ(6分)
 最終戦に勝利したものの、サラワクFAはプレミアリーグ最下位の11位。MFL3部に当たるM3リーグの準優勝チームであるケランタン・ユナイテッドと入れ替え戦を行います。M3リーグの優勝チーム、鈴木雄太選手が所属するクチンFAは自動昇格となり、来シーズンはプレミアリーグ入りしますが、クチンはサラワク州の州都です。例えるなら、東京都サッカー協会のチームが3部との入れ替え戦に出場する一方で、新宿区サッカー協会のチームが2部昇格となるような状況です。

トレンガヌFC II2-1サバFA
得点者:ハイディル・スハイニ(45分)、リズアン・ラザリ(55分)、サバFA-アギナルド・ポリカルポ(64分)
 トレンガヌFC IIの鈴木ブルーノ選手はスタメンでフル出場しています。

ケランタンFA2-0UKM FC
得点者:ケランタンFA-ニック・アズリ・ニック・アリアス(59分)、ニック・アキフ・シャヒラン(90分)

順位チーム勝点勝数分け負数得点失点得失差
1サバFA431343331716
2JDT II33965311912
3PDRM FC3093830273
4トレンガヌFC II308662124-3
5UITM FC2985733258
6ヌグリ・スンビランFA2985729254
7ペナンFA24641032275
8UKM FC2264192832-4
9スランゴール・U2163112437-13
10ケランタンFA174882332-9
11サラワクFA1644122544-19

*ペナンFAとケランタンFAは、過去に在籍した選手、スタッフへの給与未払い問題への対応が不十分だったことから、国際サッカー連盟FIFAの裁定により、それぞれ勝点3と勝点6を剥奪(はくだつ)されています。