4月16日のニュース:FAカップは3回戦へ

FAカップは3回戦へ
マレーシアFAカップはいよいよ3回戦が今日4月16日は4試合、明日4月17日も4試合が行われ、ベスト8が決定します。
 3回戦の注目カードは何と言っても4月17日のジェラントゥトFA対ペラTBGの試合でしょう。マレーシアフットボールリーグMFLの4部アマチュアレベルのM4リーグに属するジェラントゥトFAについて、当地の英字紙ニューストレートタイムズのオンライン版が紹介記事を掲載しています。
 この記事によると、マレー半島東海岸のパハン州ジェラントゥト(ウィキペディアでは人口約9万人弱−筆者注)を拠点とするジェラントゥトFAは、外国人選手2名(ナイジェリアとギニア出身で、ともに大学生)を含む18歳から35歳までの28名の選手で構成されていて、大半が地元のジェラントゥト出身です。ジェラントゥト以外から来ている選手のためにチームは家を借り上げ宿舎とし、地元の食堂の援助で食事を提供しているとも書かれています。週に6日練習を行うものの、一月の運営費が10000マレーシアリンギ(約27万円)ということで、選手たちには固定給はなく、練習日には15マレーシアリンギ(約400円)、試合日には50マレーシアリンギ(約1350円)が支給されています。
 2011年からこのチームを指導しているアーマド・ナズリ・マット・ノー監督は、3回戦の会場がペラTBGのホームではなく、パハン州のジェンカにあるジェラントゥトFAのホーム、トゥン・アブドル・ラザクスタジアム(ここはフェルダ・ユナイテッドのホームです)となったことで安心したと語っています。ジェラントゥトFAの練習グラウンドはトゥン・アブドル・ラザクスタジアムと同じ人工芝のピッチということで、万が一、天然芝のピッチであるペラTBGのホームが会場となった場合には、練習ができる芝のグランドを探すのが大変だっただろう述べています。
 1回戦は同じM4リーグのチーム、2回戦はM3リーグのチームとここまでMFL1部スーパーリーグや2部プレミアリーグのチームの対戦がなく、組み合わせに恵まれたこともありますが、セミプロレベルとM3リーグ昇格を目指すジェラントゥトFAにとってはまさに自分たちの実力を測る良い機会ではないでしょうか。

FAカップ3回戦日程
4月16日(火)
スランゴールFA対フェルダ・ユナイテッド@スランゴール州シャー・アラムスタジアム
ケランタン・ユナイテッド(3)対トレンガヌFC@ケランタン州スルタン・モハマド4世スタジアム
クダFA対PJシティFC@クダ州ダルル・アマンスタジアム
ペナンFA(2)対KLFA@ペナン州シティースタジアム
4月17日(水)
UKM FC(2)対パハンFA@クアラルンプールKLフットボールスタジアム
PKNP FC対PDRM FC(2)@ペラ州マンジュン市営スタジアム
JDT対PKNS FC@ジョホール州タン・スリ・ダト・ハジ・ハサン・ユノススタジアム
ジェラントゥトFA(4)対ペラTBG@パハン州トゥン・アブドル・ラザクスタジアム
*(カッコ)内は各チームの所属リーグを表し、2は2部プレミアリーグ、3は3部M3リーグ、4は4部M4リーグ。数字無しは1部スーパーリーグ所属のチーム。

MFL第9節の結果まとめ

マレーシアフットボールリーグMFL第9節が行われました。以下1部スーパーリーグの結果です。
クダFA(4勝3分2敗)3−0トレンガヌFC(2勝3分4敗)
得点者:クダFA-ジョナサン・ボウマン(25分、PK)、ザクアン・アドハ(33分)、フェルナンド・ロドリゲズ(72分)
 クダFAは5試合ぶりの勝利で勝点15の3位に踏み留まっています。一方のトレンガヌFCはエースであるチェチェ・キプレの長引く不調と怪我がからの回復が遅れているリー・タックの不在が響き、6位のままです。

スランゴールFA(4勝3分2敗)1−1ペラTBG(1勝5分2敗)
得点者:スランゴールFA-サンドロ・ダ・シルヴァ(40分)、ペラTBG-ノー・ハキム・ハサン(36分)
 開幕当初は苦しんでいた愛称レッド・ジャイアンツのスランゴールFAが4試合負けなしで、9位、7位、5位、徐々に順位を上げてきていましたが、この試合は退場者も出し、連勝は3でストップしました。なお、2枚目のイエローで退場となったヌリズアン・アブ・ハサンは退場時に中指を立てたことが問題視されており、マレーシアサッカー協会FAMは懲罰対象として調査するとしています。
 一方のペラTBGは8試合中、5試合目の引き分けでなかなか浮上のきっかけが掴めません。

PJシティFC(2勝2分5敗)0−1JDT(7勝2分0敗)
得点者:JDT-シャフィク・アーマド(29分)
 観戦記にも書きましたが、各選手が積極的に動き、展開のスピード感が明らかに格上のJDTが点差以上の実力差を見せつけて快勝しました。
 昨年末のアセアンサッカー連盟AFC選手権スズキカップの準優勝メンバーながら、5試合ぶりのスタメンとなったシャフィク・アーマドは本来のフォワードではなく、ミッドフィルダーとして出場しましたが、ゴールを決めた場面では、サファウイ・ラシドのパスに中盤から飛び出しゴールを決めています。
 後半はアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACL山東魯能戦の疲れからか動きが鈍くなりましたが、それでもPJシティFCは脅威とはなりませんでした。

フェルダ・ユナイテッド(1勝4分4敗)1-1KLFA(1勝1分6敗)
得点者:フェルダ・ユナイテッド-アズミ・ラヒム(34分)、KLFA-インドラ・プトラ・マハユディン(57分)
 KLFAは前節、今シーズン初勝利を記録しましたが、この試合でもアウェイで貴重な勝点1を降格を争う可能性があるフェルダ・ユナイテッドから挙げています。
 フェルダ・ユナイテッドの池田圭選手、渡邉将基選手、KLFAの苅部隆太郎選手は全員、スタメンでフル出場しています。特に苅部隆太郎選手はユスリ・チェ・ラー監督解任後、3試合ぶりのスタメンでした。

PKNP FC(3勝1分5敗)1-0マラッカ・ユナイテッド(4勝1分4敗)
得点者:PKNP FC-クザイミ・ピエ(66分、OG)
 PKNPは3連勝で7位に浮上、一方のマラッカ・ユナイテッドは過去4試合で勝ちがなく6位となっています。

PKNS FC(3勝3分3敗)1-2パハンFA(6勝2分1敗)
得点者:PKNS FC-チャン・ワタナカ(13分)、パハンFA-ディクソン・ヌワカエメ(26分)、ゼ・ラヴ(79分)
 JDTにこれ以上離される訳にはいかないパハンFAは9試合連続で勝点を挙げ、JDTとの勝点差2をキープ。PKNS FCはカウンター攻撃で先制したものの、その後が続きませんでした。
 今シーズン5ゴール目を挙げたパハンFAのディクソン・ヌワカエメ選手は、PKNP FCのジャンカルロ選手、JDTのジアゴ選手とともにスーパーリーグ得点王争いの2位グループを構成、1位のJDTゴンザロ・カブレラ選手(6点)を追随しています。

2部プレミアリーグの結果は以下の通り。
ケランタンFA(1勝4分3敗)0-1 PDRM FC(1勝2分5敗)
得点者:PDRM FC-リー・チャンフン(83分)
 MFLで唯一勝ち星のなかったPDRM FCがついに勝点3を獲得しました。
 一方、先週FIFAの裁定により勝点3をはく奪となったケランタンFAは、この敗戦により順位を10位と降格圏まで下げています。

JDT II(5勝3分0敗)3−0ヌグリ・スンビランFA(2勝4分2敗)
得点者:JDT II-ルーカス・オンティベロス(12分)、シャズワン・アンディク(23分)、モハマド・ガダー(64分)
 ヌグリ・スンビランFAの中竹俊介選手はスタメン・フル出場しています。

サバFA(4勝3分2敗)1−1UITM FC(4勝2分2敗)
得点者:サバFA-ロドリュブ・パウノヴィッチ(49分)、UITM FC-ロベルト・メンディ(84分)
 UITM FCのロベルト・メンディ選手は今シーズン5ゴール目を挙げ、プレミアリーグの得点王争いをリードしています。同じUITM FCのザルコ・コラチ選手、JDT IIのモハマド・ガダー選手、サラワクFAのハドソン・ディアズ選手らが4点で続いています。

UKM FC(2勝3分3敗)2-2スランゴール・ユナイテッド(4勝2分3敗)
得点者:UKM FC-リズアン・カミス(39分OG)、マテオ・ロスカム(90分)、スランゴール・ユナイテッド-ランギ・オフタワン(54分)、ヤジド・ザイニ(75分)

トレンガヌFC II(3勝3分2敗)1-2サラワクFA(2勝2分4敗)
得点者:トレンガヌFC II-アカニ・サンデイ(16分)、サラワクFA-ハドソン・ディアス2(39分、74分)
 トレンガヌFC IIの鈴木ブルーノ選手はスタメン、フル出場しています。

観戦記:4月14日MFL1部スーパーリーグ第9節PKNS FC対パハンFA@シャー・アラムスタジアム

連日のマレーシアフットボールリーグMFL観戦です。今回は昨日のMBPJスタジアムと同じスランゴール州にあるシャー・アラムスタジアムへ来ました。シャー・アラムはスランゴール州の州都です。

お約束の屋台仮設店舗が駐車場からスタジアム周辺にかけて開店していました。店の外にはマフラー(?)が売られています。

店内の様子です。オレンジ色はPKNS FCのホームジャージ。チームの愛称がレッドアンツ(赤アリ)だからこんな色です。黄色はパハンのホーム、黒はアウェイジャージです。ちなみにこちらは2018年モデルで、FILA社製ジャージです。

こちらは2019年モデル。やはり黄色がホームで黒がアウェイ、アンブロ社製です。

チケットの値段はこの通り。グランドスタンドが25マレーシアリンギ(約680円)、オープンスタンドが15マレーシアリンギ(約410円)、7歳から12歳の子どもは5マレーシアリンギ(135円です)。

15マレーシアリンギのグランドスタンドのチケットを買いました。

今回はスタジアム内で売られている食べ物を紹介します。手前は揚げソーセージや揚げワンタン、隣の袋はサンドイッチです。向こうに見えるのは焼きそばやココナツミルクで炊いたご飯にサンバルと呼ばれるチリソースがついてくるマレーシアの国民食ナシルマッです。

イスラム教の被り物(トゥドゥン、最近ではアラビア語の影響でヒジャブとも呼ばれます)を被った少女が店番です。スタジアム内の食べ物は全てハラル(イスラム教で禁止されていない)食べ物です。当然、豚肉を使ったものやアルコールは売られていません。手前と向こうで山積みになっているのはラムリバーガーと呼ばれるマレーシアのあちこちで見かける人気バーガーです。でも、そんなには美味しくないです…。

飲み物類。1.5リットル入りのペットボトルをプラスチックカップに小分けにして販売しています。1杯2マレーシアリンギ(約55円)です。

ちなみに私が自分で買ったのはこちら。マレーシアの焼きそばミーゴレンとりんご味(もちろん人工の)炭酸水ザッペル。合わせて7マレーシアリンギでした。ミーゴレンは辛い上に油っこくて手ごわかった…。

そうこうしているうちに選手が出てきました。

今回はパハンFA側に座りましたが、思いの外、サポーターが多かったです。パハン州はスランゴール州に隣接しているとは言え、東海岸まで続くマレー半島では最大の州で、熱帯雨林で有名なタマンネガラ国立公園や合法カジノのゲンティン・ハイランドがあります。

ゴール裏には少数ながら、パハンFAのハードコアサポーターもいました。

試合はPKNSが13分に敵陣ゴール前からのカウンターで攻撃、カンボジア代表のチャン・ワタナカのゴールで先制しました。

しかし、前節で下位のPJシティFCと引き分け、JDTにこれ以上離される訳にはいかないパハンFAは24分にディクソン・ヌワカエメが持ち味を活かし、ディフェンダーを背負いながら体を張ってのゴールで同点に追いつきました。

同点のまま、前半は終了しました。

75分にゼ・ラヴことゼ・エドゥアルドが逆転ゴールを決めました。

このまま試合は終了。パハンFAは2位を堅守、PKNS FCは順位を6位と下げました。

観戦記:4月13日MFL1部スーパーリーグ第9節プタリンジャヤシティFC対JDT@MBPJスタジアム

スランゴール州ケラナジャヤにあるMBPJスタジアムが今日の試合の会場です。このブログにはアップしませんでしたが、3月30日のプタリンジャヤ(PJ)シティFC対PKNS FCの試合も見に来たのですが、その時とは打って変わって大混雑していました。ちなみにスタジアムの名称となっているMBPJはMajilis Bandaraya Petaling Jaya(プタリンジャヤ特別市)の意味で、PJシティFCはここをホームとしています。

JDTの移動用バス。メタリックのバスが2台止まっていました。

Boys of StraitsはJDTのサポーターグループの名称。自前のバスまで持っているのでしょうか。すごい!

スタジアム周辺にはお約束の屋台があちこちにありました。

JDTの2019年練習用ジャージまで売られています。(でも多分コピーです)

今回はオープンスタンド(15マレーシアリンギ、400円ほど)で観戦しました。

PKNS FC側に座ったのですが、こちら側にはみ出すほどJDTの応援が多かったです。というか、PKNS FCの応援はゴール裏のサポーターのみでした…。

JDTのサポーターグループBoys of Straitsは今日も元気でした。

バックスタンドから見たメインスタンド

さあ、試合開始です。

この試合唯一の得点が入ったのは28分、サファウイ・ラシドからのパスを受けたシャフィク・アーマドのシュートが決まりました。中央で祝福されている28番がシャフィク選手です。

試合はこの1点のみでしたが、MFLには珍しくスピード感のある試合はJDTがPJシティFCに完勝でした。夕方に大雨が降ったためグラウンドコンディションが悪く、途中で選手が足を取られる場面も何度かありました。特にペナルティーエリアの手前がかなり緩かったようで、そこからゴール前にパスを出す際に踏ん張れない様子も見られました。そこの状態が良ければ、もっと大差でJDTがかっていたかもしれない試合でした。

4月12日のニュース:ケランタンFAに勝点3はく奪の処分

ケランタンFAに勝点3はく奪の処分
マレーシアサッカー協会FAMのホームページによると、マレーシアフットボールリーグMFLに所属するケランタンFA(KAFA)に対して、今シーズン所属しているMFL2部プレミアリーグで勝点3はく奪の処分が科されました。この処分はKAFAの前テクニカルダイレクターを務めていたウルグアイ人のアルフレッド・カルロス・ゴンザレズに対する契約違反に対して、KAFAが誠実に対応していないことを重く見た、国際サッカー連盟FIFAの指示に基づきFAMが科したものですが、
 給料未払い問題に端を発したこの騒動については、FAMのホームページに詳しいタイムラインが掲載されていますので、これを見ていきます。

2018年1月19日
マレーシアサッカー協会FAMが、KAFAの契約違反に関するゴンザレズ氏の不服申し立てに関する書簡を国際サッカー連盟FIFAより受け取る。
2018年1月20日
FIFAからKAFAへ同年3月12日までに状況説明を求める書簡を送るも、KAFAは返答せず。
2018年6月19日
FIFAの紛争解決室がKAFAに対し、未払い給料、賠償金、訴訟費用の支払いを命じる。
2018年8月19日
KAFAよりFIFAに対して、ゴンザレズ氏のコーチ資格に関する調査が終了するまで、支払いの延期を求める書簡が送られる。
2018年10月16日
アジアサッカー連盟AFCがFAMとKAFAに対して、ゴンザレズ氏のコーチ資格は正当なものであることを知らせる書簡をFAMとKAFAに送る。
2018年10月22日
FIFAは、この訴訟が懲罰委員会の管轄となることを発表。
2019年2月18日
FIFAに対して、KAFAの経営がKRW社となったことを知らせ、その結果として、未払い債務はKRW社によって引き継がれたことも合わせて報告。
2019年3月6日
FIFAが懲罰委員会の最終決定として、KAFAはゴンザレズ氏に対して、未払い給料、罰金、訴訟費用を合わせた23万5千マレーシアリンギを30日以内に支払うことをKAFAに命じています。その際に、もしこの命令が守られない場合、参加リーグでの勝点を3点がはく奪されると警告しました。
 また、KAFAが罰を受けないように、FAMがKAFAに対して、支払い状況の報告を求め、さらに4月2日までに支払いを完了するよう忠告しました。
2019年4月3日
KAFAとKRW社との間で発生した問題のため、現時点ではKRW社が未払い給料などを支払うことができないとKAFAがFIFAに報告。その上で未払い債務は全てKAFAが引き継ぐ代わりに、支払い期限の30日間の延長をFIFAに依頼。
2019年4月10日
KAFAの保持するプロクラブの勝点3をはく奪を命じる正式な通達をFAMがFIFAより受け取る。さらにFIFAは、FAMがこの通達に従わない場合は、FAMに対して、FIFAが支援する全ての大会への参加禁止も含めた懲罰措置をとることも合わせて通達。
 FAMは国内リーグを運営するマレーシアサッカーリーグMFLへFIFAからの通達を伝え、勝点3を剥奪することを正式に書面で伝えることを依頼。

この件に関してFAMは、各州のFAなど個々の所属団体が最終的に責任を負うことになるため、FIFAやAFCによる指導に従うよう求めています。また、今回の件では、KAFAは勝点3をはく奪されただけでなく、FIFAが裁定を下した通りの金額を払う義務はまだ残っています。これが履行されない場合、今後のさらなる懲罰の対象となる可能性があります。

4月11日のニュース:クランタンFAの迷走が止まらない

クランタンFAの迷走が止まらない
マレー半島東海岸北端に位置するケランタン州のサッカー協会ケランタンFA(KAFA)は、昨シーズンから給料未払い問題を抱えていましたが、今年の1月末、このKAFAと共同して、ケランタンFAの所有するプロクラブチームであるケランタン・レッドウォリアーズも含めた州内のサッカー活動の活性化を目指して、マイインスピレーション社はKRW社を設立しました。それからわずか3ヶ月後の4月4日、KRW社の株式の70%を保有するこのマイインスピレーション社が、KAFAとの協力関係の破棄とKRW社からの撤退を発表しました。マイインスピレーション社のアーマド・ファジル・モハマッドCEOは、KAFAとビビ・ラムジャニ・イリアス・カーンKAFA会長に対する信用がなくなったことを理由に挙げて、撤退を決めたとしています。
 その後、選手としてプレーして以来、今年25年ぶりにケランタンFAに戻り、レッドウォリアーズを指揮しているマルコ・クラリエヴィッチ監督や、かつてはレッドウォリアーズで国内リーグとカップ戦の優勝に主将として貢献したピヤことモハマド・バダリ・ラジ、ウルグアイ人FWラウル・タラゴナといった選手たちはKRW社が給料を支払っていることから、最大スポンサーであったマイインスピレーション社の撤退後のKRW社やKAFAの経済状況に合わせて、スタッフや選手の契約見直しを行うことをビビ・ラムジャニKAFA会長が4月8日の記者会見で示唆し、混迷が深まっていました。
 さらに同じ4月8日には、モハマド・バダリ・ラジ選手が正式に契約破棄を申し入れたのに対し、KAFAのダト・スリ・アファンディ・ハムザ副会長が、ラジ選手に対して正式な回答をするまでは練習に参加することを命じ、これに対して給料の週払いが約束されていながら、実際には栄養費として1日20マレーシアリンギ(約550円)しか支払われていないことを暴露するなど、選手とマネージメントの間の泥試合の体をなしてきていました。
 そして本日、KRW社の新たな取締役会議が開催され、4月12日に予定されているホームでのPDRM FCのチケット売上による収益は、スタジアム使用料などを除いた全額が選手の給料に回されると発表しています。
 ケランタンFAが所属するマレーシアフットボールリーグMFL2部プレミアリーグでは、既にプルリスFAの給与未払い問題により、プルリスFAのプロクラブプルリス・ノーザンライオンズがリーグ追放となっており、レッドウォリアーズのファンの間では、第二のノーザンライオンズとなるのではという不安の声も上がっています。
 マレーシアでは、特にマレー系国民の間では人気ナンバーワンスポーツのサッカーですが、しかしマレーシアのFAには「身の丈にあった経営」という考え方はないのでしょうか…。

4月9日のニュース:JDTはACL3戦目で山東魯能と対戦

JDTはACL3戦目で山東魯能と対戦
マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグ昨シーズンの優勝チームであるジョホール・ダルル・タクジム(JDT)は、アジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACLグループEの第3戦に臨み、アウェイで山東魯能(シャンドン・ルーネン)に1−2で敗れました。

 ここまでアウェイの鹿島アントラーズ戦に1−2で敗れ、ホームの慶南FC戦を1−1と引き分けたJDTは、ベンジャミン・モラ ヘッドコーチががマレーシアのクアラルンプールで行われている10日間のAFCプロコーチング・ディプロマ取得クラスに出席中で、代行としてホルヘ・アルバレス フィットネスコーチが指揮を取りました。
 対戦する山東魯能は、ここまで初戦の慶南FC戦、第2戦の鹿島アントラーズ戦をともに2−2と引き分けています。
 山東魯能の1点目は30分のコーナーキックからでした。JDTのDFコーヴィン・オングのマークをかわしながら(と言うよりも引きづりながら)山東魯能MFマルアン・フェライニがヘディングシュートを決めました。元ベルギー代表のフェライニ選手は、2018年FIFAワールドカップの日本対ベルギー戦で、ベルギーが同点に追いつく2点目のゴールをヘディングで決めたあのアフロヘアーの選手です。
 山東魯能の2点目は39分のPKでした。山東魯能FWグラツィアーノ・ペッレがロングボールに反応したところ、ペナルティーエリア内でJDTのDFアイディル・ザフアン・アブドル・ラザクに倒されてPKを獲得しました。ペッリ選手は自分でPKを蹴り込み、山東魯能がリードを2点に広げました。JDTのGKファリザル・マーリアスはコースを読んで反応したのですが、わずかに及びませんでした。
 JDTは59分に、MFサファウィ・ラシドが相手選手と競り合いながらも、右サイドから得意の左足を一閃。ボールは綺麗なカーブを描きながら左のトップコーナーに吸い込まれる美しいゴールを決め、1点を返しました。
 JDTが1点を返した後は、山東魯能はやや引き気味になり、JDTのボール保持率は明らかに上がりましたが、ゴール前まではなかなか運べない状況が続きました。それでも90分を超え、アディショナルタイムに入ったところでJDTは相手ペナルティエリアのすぐ外でPKを獲得しました。同点のチャンスでMFゴンザロ・カブレラが蹴ったボールはゴールポスト直撃でゴールならず。試合はそのまま終了しました。
 AFCによるこの試合のゲームスタッツはこちら、マッチレポートはこちらです。 

ACLグループEは第3節を終了し、以下の順位となっています。
1 鹿島アントラーズ 2勝1分0敗 勝点7
2 山東魯能     1勝2分0敗 勝点5 
3 慶南FC 0勝2分1敗 勝点2
4 JDT 0勝1分2敗 勝点1

ACLグループEの第4節は4月24日に予定されており、JDTはホームに山東魯能を迎え、鹿島アントラーズがホームに慶南FCを迎えます。

4月5日のニュース:FAカップは3回戦へ

FAカップは3回戦へ
マレーシアフットボールリーグMFLが主催するFAカップは、MFL1部スーパーリーグ12チーム、2部プレミアリーグ9チーム(JDT IIとトレンガヌFC IIはそれぞれスーパーリーグ所属のJDTとトレンガヌFCの下部組織のため出場しません)、3部M3リーグ14チーム、4部M4リーグ24チームがトーナメント形式で対戦します。日本で言えば天皇杯にあたる大会と言えるかもしれません。このFAカップ3回戦の組み合わせ抽選が行われました。
 2月中旬に行われた予選ラウンドは、M3リーグとM4リーグに所属する全38チームのうち予選免除となった2チームを除く36チームがノックアウト形式で対戦し、そこから勝ち上がった18チームと予選ラウンドを免除となった2チームが1回戦へ進出しました。
 この1回戦は3月中旬に行われ、そこから勝ち上がった10チームに加えて、スーパーリーグとプレミアリーグの合わせて20チームが登場する2回戦が行われたのが4月3日と4日でした(ただしJDTは2回戦はシードで試合なし)。
 この2回戦では、PDRM FCとサラワクFAのプレミアリーグチーム同士の対戦(悪天候のため順延となり、この記事を書いている時点ではまだ試合は行われていません)、PKNS FC対マラッカ・ユナイテッドのスーパーリーグチーム同士の対戦(PKNS FCが出場停止の解けたクパ・シャーマンの活躍でマラッカ・ユナイテッドを3−2で撃破)があった他は、上位リーグチーム対下位リーグチームの対戦となりました。その中ではM3リーグのケランタン・ユナイテッドが2部プレミアリーグトップを走るサバFAを1−0で破るジャイアントキリングや、M4リーグのジェラントゥットFA(パハン州)がM3リーグのジョホール・バルFAに3−0で勝つなどの波乱はありましたが、それ以外は上位リーグチームが下位リーグチームに勝利しています。
 ちなみに2回戦のカードの一つにM3リーグのクチンFA(東マレーシアのサラワク州のチーム)対フェルダ・ユナイテッド(MFL1部スーパーリーグ)がありましたが、ここでは日本人対決が実現しています。クチンFAにはシーズン開幕前にケランタンFA(MFL2部プレミアリーグ)のトライアウトに参加しながら、契約まで至らずクチンFAと契約した鈴木雄太選手が在籍し、フェルダ・ユナイテッドの池田圭選手、渡邊将基選手と対戦しました。鈴木選手、池田選手、渡邊選手ともスタメンでフル出場し、結果はフェルダ・ユナイテッドがクチンFAを1−0で破っています
 3回戦の組み合わせ抽選では、快進撃を続けるM4リーグのジェラントゥットFAは昨年のFAカップ優勝チームであるペラTBGと対戦することが決まった他、ケランタン・ユナイテッドが同じマレー半島東海岸のトレンガヌ州を拠点とするスーパーリーグのトレンガヌFCとの対戦となるなど、興味深いカードがいくつかあります。

FAカップ3回戦組み合わせ(カッコ内は所属リーグのランク、1は1部スーパーリーグ、2は2部プレミアリーグ、3はM3リーグ、4はM4リーグにそれぞれ所属するチームを表します。)
UKM FC(2)対パハンFA(1)
スランゴールFA(1)対フェルダ・ユナイテッド(1)
PKNP FC(1)対PDRM FC(2)とサラワクFA(2)の勝者
JDT(1)対PKNS FC(1)
ケランタン・ユナイテッド(3)対トレンガヌFC(1)
ジェラントゥットFA(4)対ペラTBG(1)
クダFA(1)対プタリン・ジャヤ(PJ)シティFC(1)
ペナンFA(2)対クアラルンプール(KL)FA(1)
(以下はMFLのFacebookより)

MFL第7節の結果まとめ

マレーシアフットボールリーグMFL第7節
FIFA国際Aマッチ期間が明けて、MFLが再開しています。
MFL1部スーパーリーグの結果は以下の通りです。

クダFA(3勝3分1敗)1-1JDT(5勝2分0敗)
得点者:クダFA-フェルナンド・ロドリゲス(31分)、JDT-サファウイ・ラシド(10分)
アジアサッカー連盟AFC U23選手権予選でマレーシアU23代表のキャプテンを務めたJDTのサファウイ・ラシドが先制ゴールを決めるも、クダFAが追いつきドロー。

スランゴールFA(2勝3分2敗)1-0トレンガヌFC(2勝3分2敗)
得点者:スランゴールFA-ファイズ・ナシル(56分)
エアマリンカップのアフガニスタン戦で代表デビューし、いきなりゴールを決めたファイズ・ナシルがこの試合でも決勝ゴールを決めています。

マラッカ・ユナイテッド(4勝1分2敗)0−0ペラTBG(1勝4分1敗)
得点者:なし

フェルダ・ユナイテッド(1勝3分3敗)1-3パハンFA(5勝1分1敗)
得点者:フェルダ・ユナイテッド−チアゴ・ジュニオー(49分)、パハンFA-ノーシャルル・イドラン・タラハ(45分)、ゼ・ラヴ(64分)、ファイザル・ハリム(90分)
フェルダ・ユナイテッドの渡邉将基、池田圭両選手はスタメン、フル出場しています。

プタリン・ジャヤ(PJ)シティ・ユナイテッド(2勝1分4敗)1-0PKNS FC(3勝2分2敗)
得点者:PJシティ・ユナイテッド−アイズルリズワン・ラザリ(60分)
PJシティ・ユナイテッドは4試合ぶりの勝ち星です。

PKNP FC(1勝1分5敗)4-0クアラルンプール(KL)FA(0勝0分6敗)
得点者:PKNP FC-ヤシル・ピント(7分)、G・ムゲンティラン(32分)、ジャンカルロ2(63分、90分)
今シーズン勝ち星なしの両チームの対戦は、PKNP FCが快勝し初勝利を上げました。KLFAはレッドカード2枚をもらい開幕からの連敗が6となりました。
KLFAの苅部隆太郎選手は今シーズン初のベンチ外でした。

ケランタンFA(1勝3分2敗)1-1トレンガヌFC II(2勝3分1敗)
得点者:ケランタンFA-ラウル・タラゴナ(19分)、トレンガヌFC II-ズアシャラフ・ズルキフリ(22分)
トレンガヌFC IIの鈴木ブルーノ選手はスタメンでフル出場しています。

MFL2部プレミアリーグの結果は以下の通りです。

UKM FC(2勝1分3敗)0-1ヌグリ・スンビランFA(2勝4分1敗)
得点者:ヌグリ・スンビランFA-リズアン・アブダンロー(31分)
ヌグリ・スンビランFAの中武駿介選手はスタメンでフル出場しています。

ケランタンFA(1勝3分2敗)1-1トレンガヌFC II(2勝3分1敗)
得点者:ラウル・タラゴナ(19分)、トレンガヌFC II-ズアシャラフ・ズルキフリ(22分)

セランゴール・ユナイテッド(3勝1分3敗)1-2UITM FC(4勝1分1敗)
得点者:スランゴール・ユナイテッド−ハディ・ヤハヤ(79分)、UITM FC-ザルコ・コラチ(33分)、アズリディン・ロスリ(45分)

サバFA(4勝2分1敗)2-0ペナンFA(2勝1分4敗)
得点者:サバFA−ルイス・ジュニオール2(3分、54分)

JDT II(4勝2分0敗)1-1サラワクFA(2勝1分4敗)
得点者:JDT II-ルーカス・オンティヴェロ(11分)、サラワクFA-ハドソン・ディアス(72分)


3月13日のニュース:JDTのACL2試合目は慶南FCとホームで引き分け、スランゴールFAの監督が外国人偏重報道に苦言

JDTのACL2試合目は慶南FCとホームで引き分け
アジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACLは、JDTがホームに慶南FCを迎えて第2節が行われ、ACL初出場のJDTが同じくACL初出場となる慶南FCと1-1で引き分け、ACLで初の勝点1を獲得しました。
 ACL初のホームでの試合となったJDTは前半から積極的に攻めますが、慶南GKのリ・バムスーの好守もあり、両チーム無得点で前半を折り返します。試合が動いたのは52分、MFリ・ヨンジェのコーナーキックをDFクァク・テフィがJDT守備陣のマークを外しヘディングでゴール!しかし、JDTも63分にゴールエリア内で慶南DFソン・ジュフンが犯したハンドで得たPKをジオゴが決めて同点に追いつきます。そこから怒涛の攻撃を続けますが、サファウイ・ラシドがGKと1対1のチャンスで止められたり、シュートが何度もゴールポストに阻まれるなど好機を生かせず、こちらの新聞でもfrustrating「欲求不満の」と形容詞が付くほど惜しい引き分けで終わりました。
 またこの試合は、当初スタメンが発表されていたJDTの不動の守護神で、マレーシダ代表でもゴールを守るファリザル・マーリアスが試合前のウォーミングアップ中にケガをし、今シーズンのマレーシアフットボールリーグMFLでも出場経験のない控えGKのイザム・タルミジと急遽交代するハプニングもありましたが、そんなアクシデントを感じさせない堂々としたプレーも印象的でした。
 総シュート数を比べてもJDTの21本に対して慶南FCは6本(うちゴール枠内へはそれぞれ7本と2本)と、昨年のKリーグ2位のチームに対して一歩も引かないどころか、堂々とした戦いぶりで、今後、ホームで行われる山東魯能戦(4月24日)や鹿島アントラーズ戦(5月8日)では、勝点3を獲得できるのでは、と期待を持たせてくれるような試合でした。

JDT Southern Tigers のFacebookより

スランゴールFAの監督が外国人偏重報道に苦言
MFL第6節にKLFAを破って今シーズン初勝利をあげたスランゴールFA。このKLFA戦の前に、B・サティナタン監督がメディアの外国人監督偏重に苦言を呈していたと、当地のマレーシア語紙ウトゥサン・マレーシアのオンライン版が伝えています。
 「今日(3月10日のKLFFA戦)の試合で、スランゴールFAが負ければ、前JDT監督のマリオ・ゴメスと交代か、と報道するだろうが、その老人がインドネシアでどうなったか、メディアはチェックしているのか」(筆者注−60歳のサティナタン監督より2歳年上のマリオ・ゴメス前JDT監督は、2018年にインドネシアリーグ1部リガ1のプルシブ・バンドンと2年契約を結びましたが、1年目が4位に終わったことで契約途中で解雇されています。)
 「なぜマレーシア人監督でなく外国人監督と交代するような報道ばかりするのか。」「悪口を言うわけではないが、なぜマリオ・ゴメスや(現マレーシアU19代表監督の)ボジャン・ホダック、(前クダFA監督の)ラモン・マルコテの話ばかりなのか。」
 そして最後には「JDT以外では、スランゴールFAとペラTBGでタイトルを取った(現ペラTB監督の)メメット・デュラコヴィッチだけではないか」と話すなど、自信の首が危ういプレッシャ−からか、外国人監督偏重報道に対する不満をぶちまけたようです。