1月18日のニュース(1)
ACL-JDTは川崎フロンターレや広州FCと同組に
AFCカップ-クダとKLシティは日本人所属クラブとの対戦も

ACL-JDTは川崎フロンターレや広州FCと同組に

アジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACLの今季2022年グループステージの組み合わせ抽選がクアラルンプールのAFCハウスで行われ、マレーシアから出場するMリーグ覇者のジョホール・ダルル・タジムJDTは、タイ代表のチャナティップ・ソンクラシンが加入した昨季のJリーグ覇者川崎フロンターレ、2013年と2015年のACL覇者広州FCと同じI組に入っています。なおI組のもう1チームは蔚山現代FC(韓国)とポートFC(タイ)が対戦するプレーオフの勝者となります。なお集中開催で行われるACLグループステージI組は4月15日から始まります。

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マレーシア国内では圧倒的な強さを誇るJDTですが、アジアの壁に跳ね返されて続けています。悲願となるグループステージ突破を目指すには、今季も厳しいグループに入ってしまいました。(まぁACLでは厳しくないグループなどそもそもないですが)4季連続グループステージ出場となるJDTは、昨季2021年は名古屋グランパス、浦項スティーラーズに敗れグループ3位、その前年2020年はヴィッセル神戸、広州恒大(当時、現広州FC)、水原三星(韓国)と同じ組になり水原三星戦では勝利を挙げたものの、新型コロナウィルス感染拡大による中断を挟んで集中開催地カタールで再開したグループステージは、マレーシア政府が不要不急の渡航を禁止したことから出場辞退しています。

AFCカップ-クダとKLシティは日本人所属クラブとの対戦も

またAFCはACLの下位大会に当たるAFCカップのグループステージ組み合わせ抽選を行い、マレーシアから出場するクダ(昨季スーパーリーグ2位)とKLシティ(昨季マレーシアカップ優勝)の両クラブの対戦相手も決まっています。

H組に入ったKLシティは、帰化選手となりシンガポール代表入りを目指すMF仲村京雅、DF山下柊哉の両選手を擁するタンピネス・ローヴァーズ(シンガポール、昨季国内リーグ4位)、PSMマカッサル(インドネシア、2019年国内カップ優勝)、そしてミャンマーのシャン・ユナイテッド(2020年国内リーグ1位)とエーヤワディー・ユナイテッド(2020年国内リーグ3位)の間で行われるプレーオフの勝者と同組になっています。

またG組のクダは、スズキカップ2020のマレーシア代表戦でゴールを決めたFWイルファン・ジャヤや、やはりマレーシア戦に出場したインドネシア代表正GKナデオ・アルガウィナタが所属するバリ・ユナイテッド(インドネシア、2019年国内リーグ1位)、DF大村真也、MF藤井亮、FW堀越大蔵の3選手が所属し、昨季2021年シーズンにはACLに出場しているカヤFC-イロイロ(フィリピン、2021年国内カップ戦優勝)、そしてMリーグのトレンガヌやペラでプレーしたDFチエリー・チャンタ・ビンが所属するビサカFC(カンボジア、2021年国内カップ戦優勝)とDF川上典洋が所属するヤングエレファンツ(カンボジア、2020年国内リーグ3位)が対戦するプレーオフの勝者と同組になっています。

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レベルの高いACLも面白いですが、東南アジアのクラブ同士の対戦が多いAFCカップも拮抗した試合が多く魅力的です。特にクダとKLシティにはこのAFCカップで好成績を上げて、クラブランキングの上昇、そしてマレーシアからのACLの出場枠を現在の1枠からプレーオフ出場を含めた1+1枠、そして将来的にはグループステージ2枠が獲得できるように頑張ってもらいたいです。

12月28日のニュース:FAMはスズキカップ早期敗退によるタン代表監督解任説を否定、代表FWシャフィクが古巣のクダ🔰へ期限付き移籍、FIFAによる資格停止処分を受けたプルリス州サッカー協会が活動再開

FAMはスズキカップ早期敗退によるタン代表監督解任説を否定

 マレーシアサッカー協会FAMは東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020でグループステージ敗退となったマレーシア代表のタン・チェンホー監督を解任する予定はないようです。
 前回2018年大会では準優勝したマレーシア代表ですが、現在シンガポールで開催中の2020年大会ではグループステージで2勝2敗でインドネシア、ベトナムに次ぐグループ3位となり準決勝進出を逃しており、前回大会に引き続きマレーシア代表の指揮を取ったタン監督の責任を指摘する声も出ており、FAMは大会敗退後、公式サイトで早期敗退の責任はタン監督ではなくFAMにあると表明するほどでした。それでもタン監督解任論は収まらず、このブログでも取り上げたようにKLシティFCのボジャン・ホダック監督の名前などもその後任として上がっています。
 そんな中、FAMのサイフディン・アブ・バカル事務局長は英字紙ニューストレイトタイムズの取材に対してタン監督の解任についてはFAM内で議論すらされていないと述べています。
 「あらゆる対外試合の後で代表チームのパフォーマンスに対する評価を行うことは、代表チーム運営委員会の標準作業手順であり、代表監督と代表チームマネージャからの報告を参考にしながら、代表チーム運営委員会の委員長でFAMのハミディン・アミン会長のもと話し合いを行い、その結果をFAM理事会で発表する手順は従来通りである。スズキカップで起こった問題点などを洗い出し、その反省点を6月のAFC選手権アジアカップ2023年大会最終予選に生かしたい。」と述べたサイフディン事務局長は、2022年末までの契約となっているタン監督を契約途中で解任することは考えていない話しています。
 サイフディン事務局長はこの時期に新監督を採用しても来年6月に迫ったアジアカップ予選までにチームをゼロから作る十分な時間がないこと、さらに新監督が必ずしも望むような結果をもたらすとは限らないことなどを挙げて、今は監督交代について議論する時期ではないとも述べ、タン監督の元でアジアカップ予選を戦うための環境を整えることが優先であるとしています。

🔰代表FWシャフィクが古巣のクダへ期限付き移籍

 Mリーグ1部スーパーリーグで2季連続で2位となったクダ・ダルル・アマンFCは、スズキカップ2020にも出場したマレーシア代表FWのシャフィク・アフマドがJDTから1年間の期限付きで移籍することをクラブ公式Facebookで発表しています。
 ペナン州出身で26歳のシャフィク選手ですが、2013年の高校卒業後に18歳でクダFA(現クダ・ダルル・アマンFC)のU21チームに入るとそこで頭角を表し、20歳のときにトップチームデビューを果たしています。2018年にJDTへ移籍するとチームのタイトル獲得にも貢献した他、U23代表、そしてA代表でもプレーするようになり、タン・チェンホー監督の元では主力選手となり、新型コロナ禍前に行われた2019年のW杯予選ではアラブ首長国連邦戦など2試合でゴールを決めるなど活躍していました。
 5季ぶりのクダ復帰となるシャフィク選手ですが、今季は選手層が厚いJDTではほとんど出場機会がなく、試合出場時間の不足から代表戦でもかつてほどの輝きを見せておらず、出場機会を求めて今回の移籍になりました。
 クダ・ダルル・アマンFCにとっても今季のチーム得点王FWクパー・シャーマンと同2位のチェチェ・キプレが揃って同じスーパーリーグへ移籍したことでストライカーのポジションが空席なため、この移籍は文字通り両者がウィンウィンとなる移籍となりました。
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 ちなみにこの記事の見出しに使われているのはご存知の初心者マーク(若葉マーク)です。マレーシアではこのようなマークは使わないのですが、クダ・ダルル・アマンFCのチームカラーが緑色と黄色(チームの相性もマレーシア語で緑色と黄色を表すHijau Kuningです)なことから、なぜかこのアイコンがクラブ公式サイトで使われています。

FIFAによる資格停止処分を受けたプルリス州サッカー協会が活動再開

 今季2021年シーズンのMリーグは1部スーパーリーグに12チーム、2部プレミアリーグには11チームが所属していましたが、この中にはマレー半島北端にあるプルリス州を本拠地とするクラブが一つもありません。マレーシアには13の州がありますが、Mリーグ1部と2部にクラブがないのはプルリス州だけです。
 プルリス州のサッカー活動の中心となるプルリス州サッカー協会は、かつてプルリスFA(名前がややこしいですがこちらはクラブの名称です)というクラブを運営していました。プルリスFAは2005年にはスーパーリーグで優勝し、2004年と2006年にはマレーシアカップも制覇したクラブでしたが、2010年に入ると2部プレミアリーグと当時の3部リーグに当たるFAMリーグの間で昇格と降格を繰り返すクラブになっていました。
 そんな中、2018年にプルリス州FAの会長に就任したアフマド・アミザル・シャイフィット氏は、高額の給料で元代表選手ら国内の有力選手、さらにはシンガポールや日本出身の選手を文字通りかき集めてプルリスFAの強化を図りましたが、2019年シーズン開幕前には未払い給料問題が発覚し、その後は給料を支払う財源がなく、未払い給料返済の目処が全く立たなかったことから、プルリスFAを運営していたプルリス州サッカー協会はFIFAにより2年間の活動停止処分を受けました。FAMもプルリスFAをMリーグから除名し、プルリス州サッカー協会のアフマド・アミザルプルリス会長には国内のあらゆるサッカー活動に関わる資格を生涯停止する処分を言い渡しました。
 そんな「黒歴史」を持つプルリス州サッカー協会ですが、現在の会長を務めるザムリ・イブラヒム会長は、プルリス・ユナイテッドFCが来季2年ぶりに開催されるMリーグ3部に当たるM3リーグへの参加を認められたと、マレーシアの通信社ブルナマの取材に応えています。
 M3リーグ以下を運営するアマチュアフットボールリーグAFLから2022年シーズンのリーグ参加を認められたと話すアフマド会長は、マレーシアサッカー協会FAMが運営するU21リーグのプレジデントカップ、U19のユースカップへの参加も同時に認められたことも明らかにしています。
 アフマド会長はプルリス・ユナイテッドFCがM3リーグへの参加がプルリス州のサッカー復興に役立つと信じていると話し、プルリス州スポーツ評議会と協力して州内リーグを来年2021年から再開し、プレジデントカップとユースカップチームでプレーする選手を21歳以下の選手を選抜したいとも述べています。


12月18日のニュース
主力が大挙退団のクダは来季の運営資金削減を発表
代表FWシャフィクはクダへ期限付き移籍へ
給料未払いを明らかにしたサラワクUの主将が契約を1年残し退団

主力が大挙退団のクダは来季の運営資金削減を発表

 Mリーグ1部スーパーリーグのクダ・ダルル・アマンFCは、過去に在籍した選手への給料未払いが発覚した上、現役選手らについても数ヶ月の給料遅配も報じられる中、今季は2位の成績を挙げ、来季のAFCカップ出場権も獲得しています。しかし今季終了後には在籍した外国籍選手5名全員の退団に加え、バドロル・バクティアル、リザル・ガザリの代表コンビも同じスーパーリーグのサバFCへ移籍することが発表され、来季は主力選手が大幅に入れ替わることが明らかになっています。
 そのクダ・ダルル・アマンFCが来季は資金を今季より大幅に削減して運営されると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。クダ州州首相でもあるクダ州サッカー協会のムハマド・サヌシ・ノー会長は、クダ・ダルル・アマンFCの運営資金が今季の3000万リンギ(およそ8億800万円)から2200万リンギ(およそ5億9200万円)となることを発表し、外国籍選手と主力マレーシア人選手の退団により資金削減が可能になったと話しています。
 昨年2020年5月にクダ州首相就任と同時にクダ州サッカー協会の会長にも就任したサヌシ会長は、政敵でもあった前会長下での外国籍選手を含む複数の選手との高額契約がクラブの財政を圧迫していたことが現役選手の給料遅配につながったとして前会長によるクラブ運営を批判し、今後はクラブの資金規模にあった運営を行うと述べ、、高額契約の選手が退団、移籍したことで今後は給料未払いの問題は発生させないとしています。
 クダ・ダルル・アマンFCが昨季、今季と2季連続スーパーリーグで2位となったのは、同じスーパーリーグのトレンガヌFCへ移籍することが発表されたリベリア代表のクパー・シャーマン、チェチェ・キプレ(コートジボワール)のフォワードコンビ、そしてサバFCへ移籍する代表コンビらの力が大きかったのですが、彼らを含め今季の主力7名が抜ける上に、クラブの資金が2割以上も削減される来季は、他のクラブが積極的に補強を起こっているのとは対照的で、優勝争いどころか10年振りのBクラス(7位以下)の可能性もあります。

代表FWシャフィクはそのクダへ期限付き移籍へ

 現在開催中のスズキカップ2020に出場中のマレーシア代表でプレーするFWシャフィク・アフマドはMリーグ1部スーパーリーグのJDTに所属していますが、代表選手でありながら選手層が厚いJDTでは出場機会に恵まれず、今季のJDTの公式戦(リーグ戦およびカップ戦)33試合中、出場したのはわずか8試合でそのうち先発は2試合しかありません。
 シーズン中にはソーシャルメディアで「試合に出ている仲間を見ているのは楽しいな」と皮肉混じりに自身の不遇を託つと、チームのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下からは「チームを去りたければ自由にすれば良い」と言い放たれるなど、今季は散々なシーズンになりました。
 そんなシャフィク選手が期限付きで同じスーパーリーグのクダ・ダルル・アマンFCに移籍が濃厚になったと英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。クダ・ダルル・アマンFCの前身のクダFAのユースで育ち、プロデビューもクダFAだった26歳のシャフィク選手は2018年にJDTに移籍するとその才能が開花し、代表では2018年に3ゴール(8試合)、そして翌2019年にはFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選のアラブ首長国戦やインドネシア戦でもゴールを決め、この年は最終的に5ゴール(9試合)を挙げるなどして代表の主力として活躍しました。
 しかし新型コロナの影響でワールドカップ予選が延期となり、さらに国内リーグも短縮されて開催された昨年2020年12月のシーズンオフには、シャフィク選手は自身が運転する車で事故を起こし、生後22日の長男を含む3名が亡くなりました。その事故の影響があったかどうかはわかりませんが、今季開幕を迎えるとJDTのトップチームにはシャフィク選手の名はなく、今季の初出場はチームの6試合目でしかも90分からの途中出場でした。結局今季のスーパーリーグでは4試合に出場し、うち1試合が先発、出場時間は4試合合計で91分、その後に行われたマレーシアカップでも4試合に出場し、うち先発1試合、出場時間は4試合合計で88分といった状況でした。
 それでもタン・チェンホー代表監督は6月にアラブ首長国連邦で開催されたワールドカップ予選、そして10月に行われた中東遠征のいずれにもシャフィク選手を代表チームに招集し続け、そしてスズキカップ2020出場に出場している24名のマレーシア代表にもその名を連ねています。
 クダ・ダルル・アマンFCの期限付き移籍についてクラブ運営会社のカマル・イドリス・アリCEOはJDTとの交渉が行われていることを認め、さらにシャフィク選手自身からは再びクダでプレーしたいという希望が明かされているということです。
 JDTのオーナーのイスマイル殿下はシャフィク選手の移籍先についてAFC主催大会に出場できるチームを条件にしていると話し、これに当てはまるのはいずれもAFCカップに出場するクダ・ダルル・アマンFCとKLシティFCしかないことから、シャフィク選手のクダ・ダルル・アマンFC移籍は濃厚と見られています。
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 シャフィク選手のファンとしては、出場機会を得るための移籍は望ましいことに思えます。タン代表監督が気に入っているとは言え、今後も試合に出なければ試合感は鈍り、いつかは代表に呼ばれなくなるどころか、このまま選手としても向上せずに選手生命を終えてしまう可能性すらあります。一方でクダでは出場機会が得られるだけでなく、スーパーリーグ随一の堅牢さを誇るJDTを相手にプレーすることになり、それを破って得点を挙げられればシャフィク選手もかつての輝きを取り戻してくれるかも知れません。

給料未払いを明らかにしたサラワクUの主将が契約を1年残し退団

 今季Mリーグ2部で2位となり来季の1部昇格を決めているサラワク・ユナイテッドFCはシーズン終盤に一部選手への給料未払いが明らかになったものの、クラブのオーナーであるサラワク州サッカー協会がその速やかな解決を約束していましたが、実際にはその約束は守られていなかったようです。
 英字紙スターはサラワク・ユナイテッドFCのテイラー・リガン主将がクラブが給料未払い問題を解決する意思がないとして、1年の契約を残して退団し、この事態をFIFAに提訴済みであると報じています。この記事ではサラワク州サッカー協会はリガン選手を含めた複数の選手に対して給料未払いに加えて勝利給も未払いとなっているということです。さらにクラブの共同オーナーでもあるサラワク州サッカー協会のポサ・マジャイス会長は今年3月からクラブに姿を見せていないことにも失望していると話すリガン主将は、この現状を明らかにするためにチームを離れることを決意したと述べています。
 給料未払いの問題を抱えながらもプレーが続けられた理由として、チームメートや監督、コーチと良好な関係を挙げたリガン主将は、そういった仲間と一緒にプレーできたのは幸せだったとも話し、既に複数のクラブから受けている獲得オファーについてはクリスマス以降に決めたいとも話しています。
 来季1部昇格の権利を得ているサラワク・ユナイテッドFCですが、マレーシアサッカー協会FAMのクラブライセンス発給である第一審査機関FIBからはこの給料未払い問題の解決を条件とした上で来季のクラブライセンスを発給されており、サラワク州サッカー協会のマジャイス会長は10月までに未払い給料を完済したと述べていました。しかし11月には複数の選手がマレーシアプロサッカー選手会PFAMに給料未払いを訴え出ており、事態の真偽を確かめるためMリーグを運営するMFLがサラワク州サッカー協会とマジャイス会長から聞き取りを行うことが発表されていました。現時点ではこの聞き取りについては現時点では何も明らかになっていませんが、給料未払い問題が解決されていない場合にはクラブの来季1部昇格が取り消しになるだけでなく、クラブライセンスの発給を受けられなくなることも考えられ、その場合には来季のMリーグ参戦も不可能になります。
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 サラワク・ユナイテッドFCの1部昇格が取り消しになれば、今季2部プレミアリーグで5位となったクチンシティFCが昇格となることも考えられますが、サラワク・ユナイテッドFCには最悪の場合にはチーム解散といった噂も出ており、MFLによる聞き取りの結果に注目が集まります。
 サラワク・ユナイテッドFC(当時はサラワクFA)は2019年シーズンにプレミアリーグで最下位の11位となり、Mリーグ3部のM3リーグで2位となったクチンFA(当時、現在のクチンシティFC)との入れ替え戦に敗れて3部降格が決まりましたが、経営不安を抱えていた同じプレミアリーグで9位のスランゴール・ユナイテッドFCを買収し、クラブの本拠地をスランゴール州からサラワク州に移してサラワク・ユナイテッドFCと名称変更する離れ業で2部に留まっています。

12月14日のニュース:スズキカップ2020-隔離を終えた3選手がチーム復帰、JDTがカブレラは退団を発表-大型補強敢行へ、クダはマラッカより韓国籍DFを獲得

スズキカップ2020-隔離を終えた3選手がチーム復帰

 マレーシアの通信社ブルナマは、新型コロナ検査で陽性となったことから隔離されていた4選手の内、GKカイルルアズハン・カリド、FWファイサル・ハリム、DFクェンティン・チェンの3選手がシンガポール政府保健省より隔離完了証明書を受け取ったと報じています。
 シンガポール入国時の検査で陽性となったカイルルアズハン、ファイサル両選手は開幕前に隔離となったことから今大会はベンチ入りすらできていませんでしたが10日間の隔離を終えたことで合流可能となっています。また12月9日のラオス戦前の検査で陽性となっていたチェン選手は追加で行われたPCR検査の結果が陰性だったことから隔離期間に入る前にチーム合流が許されたとブルナマは報じています。なおラオス1000枚の検査ではチェン選手と同じく陽性となっていたアキヤ・ラシドについては10日間の隔離となることが決まったようです。
 この4選手の隔離に加えて、初戦で腹筋を痛めていたジュニオール・エルドストルはコンディション不良、また所属クラブの試合日程の都合で今週木曜日12月16日にシンガポール入り予定のディオン・クールズも不在だったことから、12月12日のベトナム戦ではベンチ入り総勢18名で臨んでいました。
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 3選手の復帰は喜ばしいことですが、12月12日のベトナム戦では主将のアイディル・ザフアンとケガから復帰したばかりのシャールル・サアドの2人のセンターバックがいずれもケガ(ハムストリング)により途中交代しており、カンボジア戦で負傷し療養中のエルドストル選手も含めて3名のセンターバックがケガをしてます。これにより本職のセンターバックで現在残っているのはドミニク・タン1人となっており、グループステージ突破がかかるインドネシア戦に向けてクールズ選手の合流が待ち望まれます。

JDTがカブレラは退団を発表-大型補強敢行へ

 今季Mリーグ1部スーパーリーグで8連覇を達成したJDTですが、マレーシアカップ決勝で敗れたからか、例年にない大型補強を行いそうです。
 その手始めとなりそうなのがJDTのクラブ公式Facebookで発表されたゴンザロ・カブレラの退団です。アルゼンチン出身のカブレラ選手は2017年に期限付きでJDTに移籍すると翌2018年には完全移籍し、主に左ウィングとして活躍してきカブレラ選手はスーパーリーグで43ゴールを、そして国内カップ戦やACLなども含めると通算で152試合に出場し66ゴールを挙げ、いずれのゴール数もJDTのクラブ最多記録となっています。32歳のカブレラ選手はアルゼンチン出身ですが、イラクのパスポートも保持しているためJDTではAFC枠で登録されることもありましたが、今季はシーズン途中にオーストラリア出身のDFシェーン・ローリーが加入したことから、通常の外国籍選手枠となる一方で、同一国に継続して5年居住することで帰化選手としての出場が可能となることから、マレーシア代表の次の帰化選手候補として名前が上がることもありましたが、JDT自身が若い選手のみが帰化選手候補となると明言したことから、JDTでの帰化はなくなりました。しかし他のMリーグクラブに移籍してそこで帰化選手になる可能性も残っていることから、来季もカブレラ選手がMリーグでプレーする可能性は十分あります。

 さらにJDTの公式Facebookでは4名の外国籍選手と1名のマレーシア人選手との契約交渉中であることも報じられています。マレーシア人選手はスランゴールFCを退団したMFシャミ・サファリであることが濃厚ですが、4名の外国籍選手については何も明かされていません。
 なお4名の外国籍選手について1名はトップチームのJDTでプレーし、残る3名はセカンドチームのJDT IIに登録されるものの、ローテーションでシーズン中の入れ替えを行うとしています。現在JDT IIには2020年からプレーする廣瀬慧選手や今季JDT IIが所属したMリーグ2部プレミアリーグで16ゴールを挙げて得点王となったフェルナンド・ロドリゲスがいますが、この発表から察するに両選手ともJDT IIは今季で退団となりそうです。
 さらに英国1部プレミアリーグのウルヴァーハンプトン・ワンダラーズFC U23のナサニエル・シオ・ホンワンが来季2022年シーズンに向けて移籍し、英国生まれながらマレーシア人の母親を持つシオ選手がマレーシア人選手として登録されることも発表されている一方で、昨季、今季と2シーズンに渡ってJDTと同じMリーグ1部スーパーリーグでプレーしたブラジル出身のエンドリック・ドス・サントスを2023年(つまり来季ではなく2年後)に帰化選手として獲得することも発表しています。2018年からMリーグでプレーする現在26歳のエンドリック選手は来季もマレーシアでプレーすれば同一国に継続して5年居住となり、FIFAが規定する帰化選手としての登録が可能になります。

 JDTは期限付きで移籍する選手も発表しており、今季はJDT IIでプレーした元U23代表主将のMFイルファン・ファザイル(30)がU23時代のオン・キムスイ監督が指揮するサバFCへMFスチュアート・ウィルキンス(23)とともに移籍する他、2011年にはイルファン・ファザイルとともにスロバキアリーグのFC ViOnズラテー・モラフツェに派遣されたFWファドリ・シャス(30)とDFシャズワン・アンディック(25)がマラッカ・ユナイテッドFCへ移籍することも発表される一方で、現在、スズキカップにも出場しているシャフィク・アフマドも複数のクラブとやはり期限付き移籍について交渉中ということですが、その移籍先としてはマレーシアカップ2021を制したKLシティFC、Mリーグで今季2位のクダ・ダルル・アマンFCが有力とされています。

クダはマラッカより韓国籍DFを獲得

 今季Mリーグ1部スーパーリーグではJDTに次ぐ2位となり、来季のAFCカップ出場が決まっているクダ・ダルル・アマンFCですが、来季へ向けては5名の外国籍選手全員が退団し、代表選手2名も移籍が明らかになっており、アジアで戦うためのチーム強化が急務となっています。そんな中、今季は同じスーパーリーグのマラッカ・ユナイテッドFCでプレーしたチャン・ソグォンの加入がクラブ公式Facebookで明らかにされています。
 チャン選手は32歳のDFで、来季のクダ・ダルル・アマンFCの外国籍契約第1号となっています。韓国U23代表としてアジア競技大会に出場し銅メダルを獲得しているチャン選手は、2017年に当時 J2のファジアーノ岡山に完全移籍したものの、ケガのためわずか2試合出場しただけで退団し、2019年からはマラッカ・ユナイテッドFCでプレーしています。

12月9日のニュース:代表SBデイヴィーズが代表選出されなかった理由が明らかに、スズキカップ2020-ジュニオール・エルドストールがケガにより欠場へ、クダのエースがトレンガヌ移籍

 スズキカップが開催される一方で、Mリーグ各クラブは来季へ向けての巡撫を始めています。Mリーグ1部スーパーリーグのスリ・パハンFCは今季開幕から2試合で「アメリカ出身のトーマス・ドューリー監督とともに「休養」させられたアシスタントコーチのクリストファー・ギャメル氏の監督就任が濃厚となったようです。かつてはフィジー代表監督の経験もあるギャメル氏が今季10位とすんでのところで2部降格を免れ、今季所属の選手の内、外国籍選手5名や主将を務めたムスリム・アフマドら合計14選手との契約を更新しなかったスリ・パハンFCを立て直せるのでしょうか。
 また本山雅志、深井脩平、谷川由来の日本人3選手が所属する2部プレミアリーグのケランタン・ユナイテッドFCも、監督交代を含めた首脳陣刷新を発表しており、今季同じプレミアリーグのペラFCIIで指揮を取ったシャムスル・サアド氏に監督オファーを出しているとされています。

代表SBデイヴィーズが代表選出されなかった理由が明らかに

 現在シンガポールで開催中の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020に出場しているマレーシア代表には、タン・チェンホー監督が主力選手として起用してきた選手たちの中の数名が召集されていません。具体的には今季Mリーグ1部で8連覇を果たしたJDTのGKファリザル・マーリアスと、同じくJDTの両サイドバック、マシュー・デヴィーズとラヴェル・コービン=オングの3選手です。6月のFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選など今年行われた代表戦にはほぼ全試合出場しているこの3選手を招集しなかった理由として、タン監督は「6月のW杯予選、その直後のAFCチャンピオンズリーグ、さらにはMリーグ、マレーシアカップと今年1年間を通して代表とクラブの両方で国内外の試合に休まず出場してきた選手に疲労回復と休養を与えるために今回の招集を見送った。代表チームの首脳陣は彼らの能力を熟知しており、JDTの監督、コーチらとも話し合いを行った結果、今回の選手選考となった。」と説明していました。
 特に先日のMリーグ年間表彰で今季の最優秀ディフェンダーを受賞したマシュー・デイヴィーズが代表に召集されなかったことで、その理由が「休養」と言う分かりづらい理由だったことからネット上はざわつきました。
 そんな中、マシュー・デイヴィーズが自身のインスタグラムに投稿し、マレーシア決勝にフル出場した後、ドイツに渡ってヘルニアの手術を受けていたことを明らかにしています。「ドイツでのスポーツヘルニア手術は成功。6ヶ月間苦しんできたので、早く痛みのない状態で体を動かしたい。JDTの手配のおかげで世界でもトップクラスの医師に執刀してもらうことができた。やっとくつろげる!」と言うコメントとともに、ベッドの上の写真を公開したディヴィーズ選手ですが、W杯カップ予選の時期にヘルニアを患ったようで、その後もACL、Mリーグ、そしてマレーシアカップを戦い切ったことが明らかになった今、その闘志に敬意を表するとともに来季に向けて術後の回復と休養を十分に取り、6月のアジアカップ最終予選にはベストコンディションで臨んでもらいたいです。

スズキカップ2020-ジュニオール・エルドストールがケガにより欠場へ

 スズキカップ2020に出場中のマレーシアは、入国時の新型コロナ検査で選手2名が陽性反応を示したことから隔離を強いられており、24名でシンガポールへ乗り込んだ代表は現在、22名となっています。ところがさらにケガ人が出たとマレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。
 初戦のカンボジア戦で試合開始からわずか27分で交代していたジュニオール・エルドストルについて、試合後のタン・チェンホー監督は戦術上の交代であったと説明していましたが、本当の交代の理由はこの試合中に腹部を痛め、痛みと張りを訴えたからのようです。試合後の検査では休養が必要と診断されたエルドストル選手はすぐに戻れると思うとコメントしているようですが、エルドストル選手の休養により代表が現在、試合で起用できる選手は21名となってしまいました。
 所属するタイ1部のチョンブリーFCではセンターバックとして出場しているエルドストル選手ですが、カンボジア戦でタン代表監督は一つポジションを挙げて守備的MFとして起用していますが、中盤の選手はこれでバドロル・バクティアルとムカイリ・アジマルの2名だけになってしまいました。
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 タン監督は所属チームで左サイドバックでプレーする選手が複数いるにも関わらず、本来は右サイドバックのシャミ・サファリを起用し、上でも書いたように所属チームではセンターバックのエルドストル選手を中盤で起用するなど思い切ったポジション変更を行なっています。

クダのエースがトレンガヌ移籍

 Mリーグ1部スーパーリーグで今季は4位に終わったトレンガヌFCは、同じスーパーリーグのクダ・ダルル・アマンFCで今季プレーしたリベリア代表FWのクパー・シャーマンの加入を公式Facebookで発表しています。
 今季はFIFAマッチデー期間中にMリーグの試合が強行されたことから、全試合に出場することができませんでしたが、それでもリーグ戦とマレーシアカップを合わせて23試合に出場し、14ゴールを挙げています。
 トレンガヌFCはMリーグが11試合に短縮となった昨季に6ゴールを挙げたモーリタニア出身のドミニク・ダ・シルヴァに代えて、インドネシア1部リーグでは2シーズンで35ゴール(42試合出場)の実績を提げ今季開幕前に加入したブラジル出身のFWデヴィッド・ダ・シルヴァがわずか7ゴール(13試合出場)に終わり、チームの得点数もリーグ5位の33得点に終わっています。
 なおトレンガヌFCは、上記のデヴィッド・ダ・シルヴァの他、同じくインドネシアリーグから移籍したマカン・コナテ(マリ)、デシ・マルセル(コートジボアール)、カルリ・デ・ムルガ(フィリピン)ら外国籍選手の退団を発表しています。これにより新加入のクパ・シャーマンと今季途中にセカンドチームから昇格したジョーダン・ミンター(ガーナ)、アルグジム・レゾヴィッチ(モンテネグロ)、ハビブ・ハルーン(バーレン)らが中心にチームを作り上げていく方針が見えてきました。なお退団するダ・シルヴァ、コナテの両選手は前所属のインドネシア1部リーグ、プルスバヤ・スラバヤへの復帰が濃厚な一方で、マルセル選手はシャーマン選手と交代するかのようにクダ加入の可能性が取り沙汰されています。
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 クパー・シャーマンが退団するクダは、このシャーマン選手と彼がW杯予選で不在だったときの穴を埋めて活躍したチェチェ・キプレ(コートジボアール)の2人とは契約を延長する一方で、ラビ・アタヤ(レバノン)、レノン・アルヴェス(ブラジル)、アヌマンサン・クマール(シンガポール)らの退団を発表しており、シャーマン選手のトレンガヌ移籍によって、チームの強化作の見直しが必要になりそうです。またキプレ選手もKLやスランゴールが獲得に動いていると言う報道もあり、クダは今季プレーした外国籍選手全員が退団となる可能性が高くなってきました。
 今季Mリーグ2位となり来季のAFCカップ出場が決まっているクダは、マレーシア人選手については代表コンビのMFバドロル・バクティアルと右サイドバックのリザル・ガザリがいずれもサバFCに移籍する一方で、右ウイングのアミルル・アズハン(ペラより加入)、MFカイルル・アズリン、右ウイングのアル=ハフィズ・ハルン、左ウィングのアメル・アズハル、左サイドバックのアズミール・アリス(いずれもペナンより加入)らを獲得しています。

11月25日のニュース:広告会社IMC社がペラFCを買収し新オーナーに、VAR導入には時間が必要-FAM審判委員長、サバFAが大型補強敢行か

広告会社IMC社がペラFCを買収し新オーナーに

 開幕後に未払い給料問題が発生したことから開幕戦の先発XIの内8名がシーズン途中に退団し、その結果、今季1部スーパーリーグでは11位となり来季は2部プレミアリーグ降格が決まっているペラFCはですが、このペラFCを運営するペラ州サッカー協会のムハマド・ヤザン会長代行は、広告会社のImpact Media and Communication社(IMC社)がクラブの株式100%を購入して新たなオーナーとなったことを発表しています。なお買収額は公表されていません。
 ペラ州サッカー協会の事務所で行われた記者会見では、IMC社が現在、ペラFCが直面している全ての問題を解決することは望んでおらず、ペラ州サッカー協会と協力して解決方法を模索していくと述べ、まず現在クラブに在籍する選手たちとの話し合いを持つとしています。
 なお今回の買収により、州サッカー協会が全ての株式を売却し、民営化されたMリーグクラブはJDT、PJシティFC、スリ・パハンFC、ケランタンFCに続く5クラブ目となります。
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 シーズン中も絶えず給料未払いが発生していたとされるペラFCの買収については今年4月に化粧品会社を経営するハスミザ・オスマン氏やスポーツ関連企業のコパ・アリーナ社が名乗りを上げ、特にコパ・アリーナ社とはかなり交渉が進んだものの、ペラ州サッカー協会が未払いとなっている給料などに加えて州内のサッカー活動支援など契約開始時からより多くの費用を要求したことから交渉が決裂していました。
 そんな中でやや唐突な印象もあるIMC社による買収劇ですが、ペラ州サッカー協会内でも一部にしか知らされていなかったという報道もあり、またで「全ての問題を解決することは望んでいない」といった点はコパ・アリーナ社との交渉内容とは少々異なるようで何かスッキリしない印象も残ります。

VAR導入には時間が必要-FAM審判委員長

 隣国タイやインドネシアでビデオアシスタントレフリーVARの導入が進む中、先日はJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下がMリーグもVAR導入の時期に来ていると発言しましたが、その実現にはまだ時間がかかりそうだと、マレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。
 この記事の中でマレーシアサッカー協会FAM審判委員会のS・シヴァサンダラム委員長は、国内でのVARの導入については実証実験の前の段階であり、導入に向けて様々な点の検討が残っていると話しています。
 「VAR導入についての議論は行われているが、導入には最低でも1800万リンギから2000万リンギ(およそ4億9000万円から5億4000万円)に費用が必要と試算されており、新型コロナ禍の現状でその費用の調達が調達可能な可能かどうかを精査する必要があり、またMリーグの試合を開催するスタジアムでのインターネット環境の改善もVAR導入には必要で、これらについては現在も検討中である。」と話すシヴァサンダラム委員長は、現時点ではVAR導入時期などについて述べることはできないとしています。

サバFAが大型補強敢行か

 今季のMリーグ1部スーパーリーグでは4勝7分11敗の9位に終わったサバFCですが、昨季から2季監督を務めたクルニアワン・ドゥイ・ユリアントを解任し、マレーシアカップ直前の10月1日に前FAMテクニカルディレクターのオン・キムスイ新監督が就任して以降はマレーシアカップグループステージを突破して準々決勝に進出するなど、新監督就任効果が現れているます。このサバFCが来季2022年シーズンに向けてはさらなる補強を行うようだと、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 スーパーリーグの大物選手を複数獲得することが噂されているサバFCですが、その噂に上っているのが、今季スーパーリーグではマレーシア人選手として最多ゴールを挙げているMFバドロル・バクティアル(クダ・ダルル・アマンFC)とクラブ史上初となるマレーシアカップ準決勝進出に貢献しているGKカイルル・ファミ・チェ・マット(マラッカ・ユナイテッドFC)の代表コンビです。
 スタジアムアストロの取材に対してオン監督は、新戦力の獲得についてはフロントの許可が必要だが、名前はまだ明らかにできないもののの新戦力を獲得するための交渉が行われているのは事実であることを認め、最終的にはチームの20%から30%のメンバーが入れ替わるだろうと話しています。
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 2011年の東南アジア競技大会通称シーゲームズで金メダルを獲得した当時のU23代表は、オン監督、バドロル主将、正GKカイルルというメンバーだったことから、バドロル、カイルル両選手の移籍は濃厚ですが、バドロル選手が所属するクダ・ダルル・アマンFCは来季へ向けて残留交渉を行っていると報じられています。
 ユース時代からクダFA(当時、現クダ・ダルル・アマンFC)一筋でプレーし、リーグ戦とカップ戦合わせて通算123ゴールを挙げてきたバドロル選手に加え、チームメートでやはり代表選手のDFリザル・ガザリもサバFC移籍が噂されており、これが実現すれば、2季連続スーパーリーグ2位のクダ・ダルル・アマンFCは来季は大きくメンバーが変わることになりそうです。


11月24日のニュース:スランゴールFC-5選手と長期契約締結の一方で今季更迭された監督が来季はコーチに、JDT選手の蛮行を見逃した審判に批判が集中-JDTオーナーは審判の質を批判しVAR導入を提案も問題はそこなのかな?、クダはアイディル監督との契約更新へ

スランゴールFCが若手5選手と長期契約締結

 スランゴールFCは今季主力としてプレーした若手5選手との長期契約を結んだことをクラブ公式サイトで発表しています。今回長期契約を交わしたのは、AFC U23アジアカップ2022年大会予選に出場し本戦出場権を獲得したU22代表で主将を務め、来月12月のスズキカップに出場するA代表にも招集されているMFムカイリ・アジマル(20)、同じくU22代表の招集されながらケガで辞退となったアフロヘアーがトレードマークのDFシャルル・ナジーム(22)、昨季はMリーグ2部プレミアリーグでマレーシア人選手最多の7ゴールを挙げ、今季は1部スーパーリーグとマレーシアカップでやはりマレーシア人選手としてはチーム最多の6ゴールを挙げているFWダニアル・アスリ(21)、今季は24試合に出場し、かつてはJリーグでプレーすることが夢だと語ったこともあるMFアリフ・ハイカル(21)、そして来月12月開催されるスズキカップに出場するミャンマー代表に招集されているFWハイン・テット・アウン(20)の5名です。
 スランゴールFCはこれら若手選手の他、このブログでも取り上げたガン治療中のMFブレンダン・ガン(33)、代表GKのカイルルアズハン・カリド(32)、U22代表で今季は期限付き移籍していたペナンFCから復帰予定のDFクェンティン・チェン(22)の他、MFノー・ハキム・ハサン(30)、DFアシュマウイ・ヤキン(27)らと次々に契約を更新したことを発表しています。

ナイチェル前スランゴールFC監督はコーチに降格

 スランゴールFCは今季クラブのテクニカルダイレクターを務めたミヒャエル・ファイテンバイナー氏の来季監督就任を発表しましたが、今季開幕前に就任しながらチームがリーグ5位に終わり更迭されたカルステン・ナイチェル前監督と2年契約を結んでいたことからその去就に注目が集まっていました。
 そんな中、クラブ公式サイトでナイチェル前監督のトップチームアシスタントヘッドコーチ(?)就任が発表されました。マレーシアカップ準々決勝敗退から48時間後に更迭が発表されたナイチェル氏ですが、クラブ公式サイトでは「来季はナイチェル氏にはスランゴールFCのプレースタイルと哲学を浸透させるために、今季の経験を生かしたトップチームへの指導、そしてファイテンバイナー監督の支援を求めたい。」と淡々と述べられています。
 またスランゴールFCは前フェルダ・ユナイテッドFC(2019年に解散)監督で、スランゴールFCの前身、スランゴールFAでのプレー経験もあるニザム・ジャミル氏の来季のトップチームアシスタントヘッドコーチ(?)就任も発表されています。スランゴール州出身で、スランゴールFAでトップチームデビューを果たしたニザム氏はそこから2004年までプレーし、その後はPKNS FCなどでもプレー経験があります。

JDT選手の蛮行を見逃した審判に批判が集中-JDTオーナーは審判の質を批判しVAR導入を提案も問題はそこなのかな?

 11月22日に行われたマレーシアカップ2021準決勝第1試合のトレンガヌFC対JDT戦では、JDT選手がトレンガヌFCの選手に対して度を超えたラフプレーを繰り返し、しかもそれに対して主審がイエローカードすら出さなかったことから、この試合で主審を務めたモハマド・ヤシン氏に対する非難が集まっています。
 この試合で映像で確認できるだけでもJDTのシェーン・ローリーが自陣ペナルティエリア内で倒れたトレンガヌFCのジョーダン・ミンターを突き飛ばし、さらにそれを止めに入ったトレンガヌFCのGKスハイミ・フシンを投げ倒し、またJDTのナチョ・インサはトレンガヌFCのエンク・ヌル・シャキルに対してブロックやショルダーチャージというよりは明らかにエルボーをかまして倒していますが、いずれも主審の目の前で起こったにもかかわらず、両選手には注意が与えられただけだったことからトレンガヌFCの選手がもう抗議するも聞き入れられませんでした。
 これらの判定にたいしてトレンガヌFCサポーターからは、JDTのオーナーがジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下であることから、その威光を恐れてカードが出せなかったのではといった批判まで飛び出す事態になっています。
 その一方でJDTオーナーのイスマイル殿下も、この日の試合については自チーム選手の行為には触れなかったものの、この試合の審判の質が低かったことを指摘した上で、VARの導入を提案しています。
 「マレーシア人の審判の質が低いのはこの試合(トレンガヌFC対JDT)だけではない。Mリーグの多くの試合でも同様で、それも毎年繰り返されている。マレーシアサッカー協会FAMは何かしらの行動を起こすべきだ。」と自身のTwitterに投稿し、VAR導入を検討すべきと提言しています。
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 国内リーグやカップ戦における審判の問題はこれまで何度も取り上げられながら、解消されずにきたマレーシアサッカーの長年の問題点の一つです。FAMは審判のプロ化に向けた計画を発表したものの中断?頓挫?しているのが現状です。選手も監督、コーチ、さらにサポーターも審判に対して敬意を払わず信用もしていない中、前年2018年のマレーシアカップ決勝ではやはり判定に多くに批判が集まったことから、日本人の岡部拓人主審と八木あかね、野村修両副審が2019年のFAカップ決勝で審判を務めたこともあります。
 ただしこの審判の問題は、その質だけでなく、上の記事でトレンガヌFCサポーターが指摘しているような「見えざる手」の影響も否定できません。マレーシアサッカー協会FAMが審判を外部からのあらゆる干渉から守る覚悟、そして選手による不正行為を厳格に罰する覚悟を持っているか否かにかかっていますが、その覚悟は…まだ感じられません。

クダはアイディル監督との契約更新へ

 Mリーグでは昨季に続き2位となりAFCカップ出場権を獲得したクダ・ダルル・アマンFC。マレーシアカップは外国籍選手の離脱などもあり準々決勝で敗退していますが、今季3年目を終えたアイディル・シャリン・サハック監督は来季も続けて指揮を取るようだと、マレーシア語紙ブリタハリアンが報じています。
 2019年はリーグ4位、マレーシアカップ準優勝、マレーシアFAカップ優勝、昨季2020年と今季2021年はいずれもJDTに次ぐリーグ2位という成績を収めているクダ・ダルル・アマンFCですが、クラブ運営会社のカマル・イドリス・アリCEOはアイディル監督に対して来季の契約延長を申し出ていると話しています。
 「クラブとしては既に契約を延長したい旨をアイディル監督に伝えており、現在は返事を待っている状態である。来季のMリーグはさらに激しい争いになることが予想され、クラブにとってアイディル監督は必要であると考えている。来季の戦力についてはまだ明らかにすることはできないが、およそ80%は確定している。」と話したカマルCEOは、来季に向けて外国籍選手を中盤のポジションで補強することも明らかにしており、現在の候補者はいずれもMリーグでプレー経験があると話しています。

マレーシアカップ-準々決勝第2戦結果

 11月14日にマレーシアカップ準々決勝第2戦の4試合が行われ、JDT(Mリーグ1部今季1位)、トレンガヌFC(同4位)、KLシティFC(同6位)、マラッカ・ユナイテッド(同8位)の4チームがベスト4に進出しています。準々決勝と同様、準決勝もホームアンドアウェイ方式で行われ、第1戦は11月22日、第2戦は11月26日に予定されています。

マレーシアカップ準々決勝第2戦
2021年11月18日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティFC 1-0 スランゴールFC(2試合通算:KLシティFC 3-0 スランゴールFC)
得点者:KL-ロメル・モラレス(51分)
 絶好調を維持するロメル・モラレスがマレーシアカップ8試合で10ゴール目となるゴールを決めたKLシティFCが準々決勝2試合に連勝して、1992年以来29年振りとなる準決勝進出を決めています。KLシティFCの今季ホーム無敗記録はこの日の勝利で15試合(12勝3分)に伸びています。
 ケガでグループステージでの出場がなかった今季のリーグ得点王イフェダヨ・オルセグンが復帰したスランゴールFCは準々決勝1回戦とは明らかに別のチームで、選手同士の連動も目に見えて良くなっていました。後半には検疫隔離明けのU22代表主将のMFムカイリ・アジマルを投入するなど総力戦で臨みましたが、総合力で上回ったKLシティFCの軍門に降りました。
 いずれも首都圏クランバリーに本拠地を持つ両チームが対戦した「クランバリーダービー」に連勝したKLシティFCは準決勝ではマラッカ・ユナイテッドと対戦します。

2021年11月18日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッドFC 2-1 サバFC(2試合通算:マラッカ・ユナイテッドFC 3-1 サバFC)
得点者:マラッカ-アドリアーノ(3分)、ソニー・ノルデ(77分)、サバ-リスト・ミトレフスキ(90+3分PK)
 マラッカ・ユナイテッドFCがソニー・ノルデの2戦連発となるゴールなどでサバFCを破り、クラブ史上初となる準決勝進出を決めています。

2021年11月18日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
JDT 0-0 クダ・ダルル・アマンFC(2試合通算:JDT 1-0 クダ・ダルル・アマンFC)
得点者:JDT-アリフ・アイマン(40分)
 2019年に続く連覇(2020年は新型コロナ感染拡大により中止)を目指すJDTが19歳のFWアリフ・アイマンのゴールで挙げた1点を守り切り、準決勝に進んでいます。
 今季のMリーグ1部1位と2位の対決となった準々決勝第1戦のホームゲームを0-0で終えたクダ・ダルル・アマンFCは初戦を欠場したチェチェ・キプレが先発し、GKシャーリル・サアリの好セーブを連発しましたが、今季ホームでは12勝1分1敗と圧倒的な強さを誇るJDTの前に敗れています。
 JDTは準決勝でトレンガヌFCと対戦しますが、今季唯一の黒星がホームでのトレンガヌFC戦です。

2021年11月18日UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
サラワク・ユナイテッドFC 2-4 トレンガヌFC(2試合通算:サラワク・ユナイテッドFC 3-6 トレンガヌFC)
得点者:サラワク-サンドロ・ダ・シルヴァ(71分)、ウチェ・アグバ(89分)、トレンガヌ-ジョーダン・ミンター2(2分、64分)、ファイサル・ハリム(12分)、ファイズ・ナシル(45分)
 ホームでの準々決勝初戦に2-1と勝利していたトレンガヌFCはこの日もジョーダン・ミンターとファイサル・ハリムのFWコンビが絶好調。ミンター選手がマレーシアカップ4得点目となるゴールを決めて先制すると、ハリム選手も2戦連発となるマレーシアカップ5得点目となるゴールを決めるなど、前半で3−0、通算成績を5-1としてリードを広げて勝利したトレンガヌFCは、JDTと準決勝で対戦します。

マレーシアカップ2021-準々決勝第1戦結果

 情報が古くなってしまいましたが11月14日にマレーシアカップ準々決勝第1戦の4試合が行われました。今季のマレーシアカップ準々決勝に残ったののはJDT(今季のMリーグ1部スーパーリーグ1位)、クダ・ダルル・アマンFC(同2位)、トレンガヌFC(同4位)、スランゴールFC(同5位)、KLシティFC(同6位)、マラッカ・ユナイテッドFC(同8位)、サバFC(同9位)、サラワク・ユナイテッドFC(2部プレミアリーグ2位)の8チームです。ホームアンドアウェイ方式で行われるマレーシアカップはこの日の第1戦の後、第2戦は11月18日に予定されています。

マレーシアカップ準々決勝第1戦
2021年11月14日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴールFC 0-2 KLシティFC
得点者:KL-ロメル・モラレス(14分)、ハディン・アズマン(82分)
 共に首都圏に本拠地を持つ両クラブの対戦は伝統的に*クランバリーダービーと呼ばれています。今季のMリーグ1部での対戦ではいずれも1-1の引き分けに終わっていることからこの試合も拮抗することが予想されましたが、グループステージからの好調を維持するロメル・モラレスがマレーシアカップに入ってから7試合で9ゴール目となる先制ゴールを挙げてKLシティFCがリードを奪うと、シャーレル・フィクリを中心にスランゴールFCは反撃を試みるもグループステージ6試合で4失点のKLシティFC守備陣がその前に立ちはだかります。数少ない好機もオフターゲットのシュートが目立つなど、ケガによりマレーシアカップには出場していない今季リーグ得点王のイフェダヨ・オルセグン、アラブ首長国のドバイで合宿中のシンガポール代表に招集されたサフアン・バハルディン、さらにはU23アジアカップ予選に出場しモンゴルから帰国後の検疫隔離期間が延長されてチームに合流できていないムカリ・アジマルら主力を欠くチームは少なくともこの試合ではKLシティFCの脅威とはなりませんでした。
 第2戦はKLシティFCのホーム、KLフットボールスタジアムで行われますが、今季のKLシティFCはリーグ戦11試合、マレーシアカップ3試合の計14試合でホームでは無敗記録を継続中です。

2021年11月14日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバFC 1-2 マラッカ・ユナイテッドFC
得点者:マラッカ-ソニー・ノルデ(52分)
 グループステージでは5勝1分と無敗で突破したマラッカ・ユナイテッドFCに対して、最終戦のPJシティFC戦に1-0と辛勝して準々決勝に進出したサバFCの対戦は、試合開始から好機を演出し続けたソニー・ノルデがマレーシアカップでは4ゴール目となる得点を決めて、アウェイとなるコタキナバルでマラッカ・ユナイテッドFCに貴重な勝利をもたらしています。

2021年11月14日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダ・ダルル・アマンFC 0-0 JDT
得点者:なし
 2ヶ月分の給料未払いが封じられていたクダ・ダルル・アマンFCについて、試合前にはJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下と、クダ・ダルル・アマンFCを運営するクダ州サッカー協会会長でもあるモハマド・サヌシ・モハマド・ノークダ州首相の舌戦がソーシャルメディア上で繰り広げられるなど場外でも賑わったこの試合は、試合前に未払い給料が完済されたとの報道もあり、クダ・ダルル・アマンFCの選手たちのモチベーションも上がっていました。
 今季のMリーグでは0-2、0-1とJDTに完敗しているクダ・ダルル・アマンFCは、直近の過去20試合の対戦でもJDTに対して2勝4分14敗と明らかに分が悪く、さらにこの試合ではFIFAワールドカップ2022年大会アジア最終予選に出場するレバノンにラビ・アタヤが、またAFFスズキカップに向けてアラブ首長国連邦のドバイで合宿中のシンガポールが親善試合にアヌマンサン・モハン・クマールを招集、さらに今季のMリーグでチーム2位の10ゴールを挙げているチェチェ・キプレがケガと主力の外国籍選手3名抜きで今季のMリーグチャンピオンとの対戦となりました。
 そういった諸々の事情からクダ・ダルル・アマンFCのアイディル・シャリン監督はホームゲームにも関わらず守備重視の布陣を選択、「勝つ」ための戦術ではなく「負けない」戦術で臨みました。開始直後から双方はオンザボールはもちろん、オフザボールでも激しく当たり合うやや荒れ気味の試合になりましたが、レノン・アルヴェスとロドニー・ケルヴィンが最後まで守備陣をコントロールし続けたクダ・ダルル・アマンFCが守りきり、試合は結局0-0で終了しています。

2021年11月14日スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌFC 0-0 サラワク・ユナイテッドFC
得点者:トレンガヌ-ファイサル・ハリム(17分)、ファイズ・ナシル(51分)、サラワク-シャールル・ニザム(22分OG)
 Mリーグ1部スーパーリーグではシーズン終盤に失速して4位に終わったトレンガヌFCですが、リーグ戦後のマレーシアカップではセカンドチームでMリーグ2部プレミアリーグでプレーするセカンドチームのトレンガヌFC IIの選手も含めた選手層の厚さを見せつける形でグループリーグを5勝1分けと無敗で突破し、この準々決勝に進んでいます。試合ではマレーシアカップに入ってもリーグ戦からの好調を維持しているファイサル・ハリムがペナルティエリアの外から豪快にシュートを決めて先制し、オウンゴールで動転するもののこの試合ではたびたび好機を演出していた身長156cmの小兵ファイズ・ナシルが地震で決勝ゴールを決めて2-1でトレンガヌFCが勝利しています。
 一方、プレミアリーグ勢としては唯一、準々決勝に残ったサラワク・ユナイテッドFCはジャイキリを目論んでこの試合に臨みましたが、前半の序盤には構成を見せたものの、その後は守勢に回ることが多く、むしろ1点差で済んだのは幸いでした。しかしこの最小得点差のまま耐え切ったことで準々決勝第2戦ではジャイキリの機会が残ったとも言えそうです。


11月14日のニュース:迷走するペラFCはGMを解職して新CEOを任命もサッカー協会の規定に違反か、クダ・ダルル・アマンFCで給料2ヶ月分と勝利給の未払いが明らかに、クダ・ダルル・アマンFCのクパ・シャーマンはW杯予選出場のリベリア代表辞退しマレーシアカップ出場へ

迷走するペラFCはGMを解職してCEOを任命もサッカー協会の規定に違反か
 Mリーグ1部で11位となり来季は2部に降格するペラFCは、シーズン中に発覚した給料未払い問題から開幕戦先発XIの内8名が退団、さらにマレーシアカップでも遠征費用不足からペラ州選出の国会議員に寄付を求めるなどの窮状が明らかになっています。
 そのペラFCがアズマン・ノーGM(ゼネラルマネージャー)をクラブ運営会社の理事に任命すると同時にGM職を廃止しましたが、当のアズマンGMはこれについて知らされておらず、驚いているとマレーシア語紙ウトゥサンマレーシアが報じています。
 ソーシャルメディア上で自身の理事任命を知ったと話すアズマンGMは、ペラFCを実質的に運営しているペラ州サッカー協会からはこの理事任命については事前に何も知らされていなかったと述べています。11月11日のマレーシアカップグループステージ、スランゴールFC戦後に会見を開いた際に、自身が務めていたGM職がどうなるのかは不明であると述べる一方で、現在空席となっているクラブのCEOにペラ州サッカー協会のハイルル・アンワル・モハメド氏が新たに任命された人事に対しては疑問を呈しています。
 「(給料未払い問題が発覚し、その責任を取って辞任した)リザル・アリ・ナイズ・アリ前CEOの辞職後にはペラFCは今後はCEO職を置かないという声明を出している。しかも今回任命されたハイルル・アンワル氏ははペラ州サッカー協会の執行委員であり、マレーシアサッカー協会FAMはMリーグクラブの民営化実現に向けて、州サッカー協会内の人間がクラブ運営会社内に役職を持つことを禁じている。ハイルル・アンワル氏がペラFCのCEOとなるためには、ペラ州サッカー協会執行委員を辞職しなければならない。」と述べて、この人事が不透明なプロセスを経て行われていることを示唆しています。

クダ・ダルル・アマンFCで給料2ヶ月分と勝利給の未払いが明らかに
 今季のMリーグで2位となりAFCカップ出場権を獲得しているクダ・ダルル・アマンFCは、シーズン開幕直後から数ヶ月に渡り給料未払いが起こっていたことが発覚し、JDTの対抗馬一番手として期待されながらスタートダッシュに失敗していた理由が明らかになりまし。その後は順当に順位を上げて最終的には2位になり、リーグ戦後のマレーシアカップでもグループステージを突破して準々決勝に進出しています。
 しかしクダ・ダルル・アマンFCが再び給料未払い問題に見舞われているとウトゥサンマレーシアが報じています。本日11月14日の準々決勝初戦ではJDTと本拠地ダルル・アマンスタジアムで対戦するクダ・ダルル・アマンFCは既に2ヶ月分の給料が支払われていないことに加えて、リーグ戦で13勝、マレーシアかップグループステージは2勝しているチームに対して12試合分の勝利給も払われていないということで、ウトゥサンマレーシアは今夜のJDT戦に臨むチームのモチベーションは大きく下がってしまう可能性があると報じる一方で、マレーシアカップグループステージの最後の2試合(1-3で勝利した11月6日のクチンシティFC戦と0-2で敗れた11月9日のマラッカ・ユナイテッドFC戦)では選手たちは全力で試合に臨める心境ではなかったいうチーム内関係者の話も紹介しています。さらに経営陣からはチームの現状についてここまで何の説明がないことも選手たちを落胆させているということです。
 なおこれについてコメントを求めら得たクダ州首相でもあるムハマド・サヌシ・モハマド・ノー クダ州サッカー協会会長は、チームの苦境について何も知らされていないと話す一方で、クダ州サッカー協会はこれに感知しておらずクダ・ダルル・アマンFCが自身で解決するべき問題であると話しているということです。

クダのクパ・シャーマンはW杯予選出場のリベリア代表辞退しマレーシアカップ出場へ
 明日11月14日よりホームアンドアウェイ方式でマレーシアカップ準々決勝が始まりますが、JDTと対戦するクダ・ダルル・アマンFCのFWクパー・シャーマンはFIFAW杯2022年大会アフリカ予選を戦っている母国リベリア代表からの召集を辞退して、マレーシアカップに臨むとマレーシア語紙のハリアンメトロが報じています。
 11月14日にはナイジェリアと、そして11月17日には中央アフリカと対戦するリベリアはアフリカ1次予選C組で4試合を終えて1勝3敗となっており1次予選敗退が既に決まっていることから、ピーター・バトラー監督に代表辞退の許可を求めたことを明かしています。なおバトラー監督は2000年台前半にはサバFA(現在のサバFC)やケランタンFA(現在のケランタンFC)などでも監督経験があります。
 「リベリア代表は残り2試合で既に予選敗退も決まっており、バトラー監督にはマレーシアに残ってクダ・ダルル・アマンFCのマレーシアカップ準々決勝の試合に貢献したいと説明した。」と話したシャーマン選手はMリーグ8連覇を達成し、リーグ優勝との2冠を目指すJDTとの準々決勝は厳しいものになることが予想されるが、全力で臨みたいとも述べています。
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 アフリカ1次予選でリベリアが挙げている唯一の勝利は中央アフリカ戦の1-0で勝った試合ですが、この試合の決勝ゴールを決めているのがシャーマン選手です。ハリアンメトロではクダ・ダルル・アマンFCのために残りたいとなっていますが、アフリカのスポーツ専門サイト「アフリカトップスポーツ」の記事では、シャーマン選手が保持している居住許可が11月21日に切れ、W杯予選のために出国すると再入国ができないという理由で代表召集を辞退していると報じられています。ハリアンメトロとアフリカトップスポーツのどちらの理由が本当なのかは別にして、W杯アジア最終予選に出場しているラビ・アタヤ(レバノン)、東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップに向けてアラブ首長国連邦のドバイで合宿中のシンガポール代表に合流予定のアヌマンサン・モハン・クマールと既に外国籍選手2名が不在のクダ・ダルル・アマンFCにとってシャーマン選手がJDT戦に出場できるのは心強いでしょう。