Mリーグ1部スーパーリーグ第22節結果

 Mリーグ1部スーパーリーグの今季最終節第22節の6試合が9月12日の行われました。JDTが既に今季優勝を決めている一方で、AFCカップ出場権の懸かった2位争いは最終節までもつれていましたが、2位のクダ・ダルル・アマンFCが勝利し、直接対決となった3位ペナンFCと4位トレンガヌFCが引き分けたため、クダ・ダルル・アマンFCが2位を確定し、来季のAFCカップ出場権を獲得しています。また2部降格の決まっている11位のペラFCと12位のUITM FCは揃って勝利したため順位は変わらず、ペラFCがマレーシアカップの出場権を獲得しています。

2021年9月12日@スタジアム(クダ州アロースター)
クダ・ダルル・アマンFC 4-1 マラッカ・ユナイテッドFC
得点者:クダ-チェチェ・キプレ2(24分、31分PK)、バドロル・バクティアル(67分)、ファイヤド・ズルキフリ(69分)、マラッカ-アドリアーノ(50分)
 W杯予選で自国の代表チームに招集されたエースFWクパー・シャーマンと司令塔MFラビ・アタヤが離脱して以降の3試合を2分1敗と勝ち星がなかったクダ・ダルル・アマンFCがこの試合で引き分け以下なら3位以下に転落の可能性もありましたが、エースのシャーマン不在の中、代わりのエースとしてチームを引っ張ってきたチェチェ・キプレがこの試合でも2ゴールを挙げる活躍で、クダ・ダルル・アマンFCが2季連続となる2位でリーグ戦を終え、来季のAFCカップ出場資格を獲得しています。キプレ選手は今季10ゴール11アシスト、また主将のバドロル・バクティアルもこの試合の1ゴールも合わせてマレーシア人選手最多の7ゴールを挙げるなど、主力選手の離脱を総合力で補った結果の2位死守でした。
 一方、今季8位のマラッカ・ユナイテッドFCは昨季の9位から順位を1つ上げていますが、給料未払いで勝点3が剥奪されなければ7位の成績でした。クラブは給料未払い問題が明らかになり2年連続勝点剥奪処分を受けており、選手は逆境に耐えて頑張ったものの、経営陣には「たら」「れば」を言う資格もないでしょう。

2021年9月12日@シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナンFC 2-2 トレンガヌFC
得点者:ペナン-シェリディン・ボボエフ(40分)、カサグランデ(45+1分)、トレンガヌ-アルグジム・レゾヴィッチ(25分)、リー・タック(80分)
 2位のクダ・ダルル・アマンFCの試合結果次第では、逆転2位浮上のチャンスがあった両チームの対戦は、アブドル・ラティフ・スハイミが13分に退場となったことで10人となったペナンFCが圧倒的に不利に見えましたが、トレンガヌFCのデヴィッド・ダ・シルヴァのPKをペナンFCのGKサミュエル・サマーヴィルが止めてトレンガヌFCは先制機を逸します。それでもトレンガヌFCは先日、このブログでも取り上げたアルグジム・レゾヴィッチの今季初ゴールで先制し、このまま主導権を握るのかと思われたその15分後にペナンFCがシェリディン・ボボエフのゴールで同点、さらに前半終了間際にはエースのカサグランデが頭で合わせて1人少ないペナンFCがリードして前半を終了しました。
 後半もトレンガヌFCが優勢に進めながらもそれに持ちこたえていたペナンFCですが、80分にはリー・タックが同点ゴールを決め、さらに逆転を目指すも試合はこのまま2-2で終了しています。
 今季3位となったペナンFCは2001年の1部リーグ(当時の名称はプレミア1リーグ)優勝以来の好成績で1部昇格初年度を終えています。
 一方のトレンガヌFCは、前半戦は2位で折り返しながら、後半戦は3勝2分4敗、特に2位争いが佳境に入った最後の4試合では3分1敗と大失速した結果、昨季より順位を1つ下げて4位で今季を終えています。

2021年9月12日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラFC 2-1 サバFC
得点者:ペラ-ナナ・ポク2(20分、70分)、サバ-パク・タエスー(85分)
 既に2部降格を決めているペラFCはこの試合での順位変動はないものの、勝てばリーグ戦後のマレーシアカップ出場権が獲得、負ければ2部のクラブとチャレンジカップ出場となるためプライドを賭けての試合となりました。前半戦はUITM FCでプレーし11試合で2ゴールという成績だったペラFCのナナ・ポクがこの試合だけで2ゴールを決め、サバFCの反撃を振り切っています。
 FAMのテクニカルディレクターを務めていたオン・キムスイ氏の新監督就任が発表されたサバFCでしたが、シーズン最後で5連敗、しかもこの間は1得点16失点、後半戦全体でも0勝3分6敗(4得点20失点)のチームをマレーシアカップへ向けてオン新監督がどう立て直すのかに注目です。

2021年9月12日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴールFC 1-2 PJシティFC
得点者:スランゴール-イフェダヨ・オルセグン(45+4分PK)、PJ-カイリル・ムハイミーン(21分)、シャーミ・ザムリ(69分)
 今季は共にMBPJスタジアムを本拠地とする両チームの「スランゴールダービー」は、今季ここまで25ゴールを挙げているイフェダヨ・オルセグンが開始早々にPJシティFCゴールがシュートを放つなど、スランゴールFC優勢で始まりましたが、ケガによる長期離脱から先発復帰2試合目となったダレン・ロックが加わったPJシティFCはカイリル・ムハイミーンのゴールで先制します。前半終了間際にスランゴールFCは自身が倒されていたPKをイフェダヨ選手が決めてリーグ新記録となる26ゴールで同点とし、試合は1-1で折り返しました。後半開始直後には、スランゴールFCのGKカイルルアズハン・カリドがロック選手を倒してPKを与えてしまいますが、ロック選手が蹴ったPKはゴールポストに当たり、PJシティFCはリードを奪えないまま試合が進むも、69分にはゴールエリアの外からシャーミ・ザムリがロングシュートをゴール左上に決めて再びPJシティFCがリードします。追いつきたいスランゴールFCでしたが、85分には主将のシャーミ・サファリがプロフェッショナルファウルで一発退場となり万事休す。不安定な戦いを続けた今季を象徴するような敗戦で今季の最終成績を5位としたスランゴールFCに対し、1部スーパーリーグで唯一、外国籍選手0名で臨んだPJシティFCは大方の予想を覆す7位で今季を終えています。

2021年9月12日@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UITM FC 1-0 スリ・パハンFC
得点者:UITM-クォン・ヨンヒョン(24分PK)
 11位のペラFCが勝ったため、最終順位が最下位の12位となったUITM FCですが、後半戦は3勝2分4敗と今季の勝ち星は全て後半戦で記録しています。短縮日程となったものの昨季は6位だったチームの外国籍選手を主将のヴィクター・ニレノルド以外全て放出するなど疑問の残る運営方針の結果が2部降格へ繋がっています。
 新監督としてアメリカ出身のトーマス・ドゥーリー新監督を招聘しながら開幕戦から2連敗すると、いきなり「休養」させる不思議な対応をとったスリ・パハンFCでしたが、昨季の8位という成績から一旦は監督を解任すたドラー・サレー監督をその後任として復帰させてもチームが改善されるはずもなく、プロフェッショナルらしくない経営陣の元では10位で1部残留を果たせたのはむしろ喜ぶべきことかも知れません。

2021年9月12日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
JDT 2-1 KLシティFC
得点者:JDT-ナズミ・ファイズ(16分)、ニック・シャールル・アズミ(70分OG)、KL-ムハマド・イズリーン(25分)
 今季の王者JDT相手に善戦も、最後はオウンゴールで敗れたKLシティFCですが、1部復帰後最初のシーズンながら6位で今季を終えています。これは1999年の1部(当時の名称はプレミア1リーグ)の5位以来最高位の成績です。
 リーグ8連覇を達成したJDTは来季は4季連続のAFCチャンピオンズリーグ出場権を獲得しています。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ最終順位

ClubGWDLGFGAGDP
1#JDT2218315094157
2^KDA22134544281643
3PEN2212553730741
4TFC22115633211338
5SEL22106645301536
6KL228952720733
7PJ2266101628-1224
8MU225982531-6*21
9SBH2247112138-1719
10PHG2246122337-1418
11@PRK2244142045-2516
12@UITM2234151641-2513
#JDTが2021年シーズンの優勝を果たし2022年AFCチャンピオンズリーグ出場権を獲得しています。
^クダ・ダルル・アマンFCは2022年AFCカップの出場権を獲得しています。
@ペラFCとUITM FCは2022年シーズンの2部降格が決定しています。
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点最終ランキング

選手(クラブ)ゴール数
1*イフェダヨ・オルセグン(SEL)26
2ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)23
3クパー・シャーマン(KDH)13
4カサグランデ(PEN)12
5パウロ・ジョズエ(KL)10
チェチェ・キプレ(KDH)10
*イフェダヨ選手の26ゴールはMリーグのシーズン最多ゴール新記録となっています。
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

9月11日のニュース:新型コロナ陽性反応者が出たケランタンUの試合が延期、ディスカバリーチャンネルがMリーグ8連覇のJDTのドキュメンタリーを今晩放映、協会テクニカルディレクターのオン・キムスイ氏が辞任しサバFC監督就任

 昨夜の試合で2位のヌグリスンビランFCが1位のサラワク・ユナイテッドFCを直接対決で下し、最終節を前に首位に浮上する一方で、消化試合数が少ない4位のトレンガヌFC IIもスランゴールFC 2に勝利し、計算上は優勝の可能性が残るなど、最終節まで優勝争いが続くプレミアリーグ。マレーシアカップ出場権争いも激しくなっていますが、そんな中、日程変更を余儀なくされるニュースが入ってきました。

新型コロナ陽性反応者が出たケランタンUの試合が延期
 をMリーグを運営するMFLは、本日9月11日に予定されていたMリーグ2部プレミアリーグのクチンシティFC対ケランタン・ユナイテッドFCの延期を公式サイトで発表しています。
 ジョホール州バシルグダンのMBPGスタジアムで開催予定だったこの試合は、試合に先立って行われた新型コロナ検査でケランタンFCの選手2名が陽性反応を反応を示したことから、MFL理事会が延期の決定を下したということです。
 保健省による標準作業手順SOPに従って、ケランタン・ユナイテッドFCは陰性反応を示した選手や監督、コーチも含めたチーム全員が昨日9月10日より隔離検疫期間に入っています。なおこの隔離検疫期間中は練習などの活動は全面的に禁止されています。
 また今回延期となった試合の新たな日程は近日中に発表されるということです。
*****
 Mリーグ2部プレミアリーグは9月21日に最終節の第22節の開催が予定されています。これまで陽性反応者が出た1部スーパーリーグのクダ・ダルル・アマンFCとプレミアリーグのクチンシティFCは、2週間の隔離検疫期間に実戦復帰前の練習期間を合わせておよそ1ヶ月後にリーグ戦に復帰しており、この前例に従えば、ケランタン・ユナイテッドFCは最速でも10月10日に試合を行うことになります。なおMリーグの終了後にはマレーシアカップが控えており、プレミアリーグの上位5位(スーパーリーグクラブのセカンドチームは除く)までに与えられる出場権争いに今回延期になったクチンシティFC対ケランタン・ユナイテッドFCの結果が影響を与える可能性があルことを考えると、ケランタン・ユナイテッドFCが全日程を消化した後にマレーシアカップが遅れて開幕する可能性もあります。12月には代表が出場する東南アジアサッカー連盟AFFスズキカップが控えており、10月4日から12日までのFIFA国際マッチデー期間には代表合宿や練習試合なども予定されていることから、マレーシアカップを10月の国際マッチデー期間前に終了させておきたかったMFLも予定の変更が迫られそうです。

ディスカバリーチャンネルがMリーグ8連覇のJDTのドキュメンタリーを本日9月11日に放映
 今季2021年シーズンの優勝をすでに決めているJDTのドキュメンタリーが本日9月11日の午後9時(マレーシア時間、日本時間では午後10時)にディスカバリーチャンネルで放映されると、JDTの公式Facebookが告知しています。
 ”Fearless: Rise of the Southern Tigers”「怖いもの知らず:南の虎の隆盛」とでも訳せば良いでしょうか。なお南の虎とは公式Facebookでも採用されているJDTのニックネームです。
 この番組は東南アジア各国や台湾、香港での放映ということですが、JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は「アジアの多くの視聴者がJDTのサクセスストーリーだけでなく、成功するためにピッチ内外でどれほど努力をしてきたをみられることを嬉しく思う。」というコメントを発表しています。
 このドキュメンタリーでは、2013年にイスマイル殿下がオーナーとなって以降、JDTとその本拠地があるジョホール州のサッカーがどのように変容していったのか、またイスマイル殿下のジョホール州やサッカーに対する今後の構想なども語られるとしています。
 またこのドキュメンタリーにはイスマイル殿下の他、テクニカルディレクターのアリスター・エドワーズ、スポーツディレクターのマーティン・プレスト、ベンヤミン・モラ監督などのインタビューなども含まれているということです。

協会テクニカルディレクターのオン・キムスイ氏が辞任しサバFC監督就任
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、オン・キムスイTD(テクニカルディレクター)の辞任を発表しています。
 FAMのサイトによれば、オン氏がMリーグ1部サバFC監督のオファーを受け、これを受諾したことに伴う辞任だということで、現在のTDの仕事は9月30日まで務めるということです。
 50歳のオン氏は2007年からFAMでU16、U17、U23、フル代表など監督を歴任した後、今年1月からFAMのテクニカルディレクターに就任していました。2011年にはU23代表が出場する東南アジア競技大会通称シーゲームズのインドネシア大会で金メダル、続く2017年のクアラルンプール大会では銀メダルを獲得、また当時はハリマウムダと呼ばれたU22代表を率いてMリーグ2部プレミアリーグで優勝も果たしています。また2018年アジア競技大会インドネシア大会では、U23代表監督としてグループステージを突破し、ベスト16に進み日本代表と対戦しましたが、90分に上田綺世選手のPKで惜敗しています。
*****
 2005年にマラッカFA(現マラッカ・ユナイテッドFC)を指揮して以来のMリーグ復帰となるオン氏ですが、2019年に1部スーパーリーグ昇格後はインドネシア出身のクルニアワン・ドゥイ・ユリアント監督の元で昨季2020年は10位、今季も最終節を残して現在9位と1部残留争いをするクラブをどう立て直すのか、その手腕に注目です。



Mリーグ1部スーパーリーグ第21節結果

 9月3日から5日にかけて、Mリーグ1部スーパーリーグ第21節が開催されました。前節でJDTの優勝とリーグ8連覇が決まっていますが、AFCカップ出場権の懸かる2位争いは、前節終了時点で2位のクダ・ダルル・アマンFCと同3位のトレンガヌFCが揃って敗れた一方で、同4位のペナンFCが勝利して今季初となる2位に浮上しています。しかし次節最終節の結果次第ではまだ順位が変わル可能性があるため、決着は最終節まで持ち越しとなっています。
 また2部降格争いは11位のペラFCと12位のUITM FCの2部降格が今節で決まりました。なおペラFCはクラブ史上初となる2部降格となっています。(正確にはMリーグが1部と2部に別れてからなので31年ぶりです。)
 またスランゴールFCのイフェダヨ・オルセグンがサバFCを相手にハットトリックを達成し、シーズン最多となる3回のリーグ記録を樹立するとともに、今季通算ゴールを25とし、こちらもリーグ新記録を達成しています。しかし2位のベルグソン・ダ・シルヴァが2ゴール差でイフェダヨ選手を追走しており、得点王争いの決着も最終節まで持ち越しとなっています。
 試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルよりお借りしています。

2021年9月3日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッドFC 2-1 ペラFC
得点者:マラッカ-マヌエル・オット(67分)、ソニー・ノルデ(79分)、(分)、ペラ-セルヒオ・アグエロ(30分PK)
 この試合で引き分け以下ならば2部降格が決まる11位ペラFCが前節を終えて8位のマラッカ・ユナイテッドFCと対戦。PKで先制するなど前半を優勢に進めながら追加点の奪えなかったペラFCを後半にマラッカ・ユナイテッドFCが逆転し、ペラFCの2部降格が決定しました。負けられない重要な試合で今季初出場となるGKモハマド・ナスルラー・アブドル・アジズを先発メンバーに起用した理由は不明ですが、試合終了後にナスルラー・アジズ選手が大泣きしていたことが印象的でした。
 給料未払い問題により勝点3を剥奪されたことで、1部残留危機にあったマラッカ・ユナイテッドFCはこの日の逆転勝利で1部残留を決めています。

2021年9月4日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティFC 2-1 クダ・ダルル・アマンFC
得点者:KL-ロメル・モラレス(6分PK)、サフィ・サリ(26分)、クダ-チェチェ・キプレ(34分)
 今週はFIFAの国際マッチデー期間に当たることから、チーム得点王のFWクパー・シャーマン(リベリア)とMFラビ・アタヤ(レバノン)がそれぞれ自国の代表チームに招集されて欠場中のクダ・ダルル・アマンFC。主力選手を欠くものの来季のAFCカップ出場権獲得のためにリーグ2位の座を死守したいところでしたが、サフィ・サリの今季初ゴールなどで2点を挙げたKLシティに敗れています。
 次節の最終節第22節がアウェイマッチのKLシティFCは、この日の勝利で今季はホームで無敗(7勝5分)の記録を達成しています。

2021年9月4日@MBBJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティFC 0-0 UITM FC
得点者:PJ-カイリル・ムハイミン(39分)
 降格を争うチーム同士となったこの試合は9位のPJシティFCが12位のUITM FCを破り、PJシティFCの1部残留とUITM FCの2部降格が決定しています。
 外国籍選手が1名もいないことから、開幕前は2部降格の最有力候補とされていたPJシティFCの1部残留は、この試合で敗れたUITM FCやペラFCといった5名の外国籍選手枠を使いながら2部に降格するクラブにとっては強烈な皮肉になったのではないでしょうか。

2021年9月4日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌFC 0-1 JDT
得点者:JDT-シェイン・ローリー(45+2分)
 JDTに今季唯一の黒星をつけているトレンガヌFCは、この日はチーム得点王のFWデヴィッド・ダ・シルヴァがベンチ入りしなかったものの、将来のエース候補でJDT戦でゴールを挙げているFWハキミ・アブドラが後半戦で初めて先発し、JDTのGKファリザル・マーリアスに阻まれたものの惜しいシュートをはなちます。また守備陣は試合開始からリーグ得点王のベルグソン・ダ・シルヴァを厳しくマークしチャンスを与えず、このまま0-0で前半終了かと思われたロスタイムにトレンガヌFCゴール前の混戦からDFシェーン・ローリーが今季初ゴールを決めてJDTが先制し、結局これが決勝点となり、JDTが1-0で逃げ切っています。

2021年9月5日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
スリ・パハンFC 1-2 ペナンFC
得点者:パハン-ケニー・アティウ(61分)、ペナン-エンドリック(67分)、ダニアル・アシュラフ(72分)
 2位を争うクダ・ダルル・アマンFCとトレンガヌFCがいずれも前日に敗れ、この試合に勝てば今季初の2位に浮上することがわかっていたペナンFCと、やはり前日の結果で今季の1部残留が確定した10位のスリ・パハンFCの対戦は、前半は動きが悪いペナンFCに対し、積極的にゴールを狙うスリ・パハンFCが押し気味に進めたものの両チーム無得点で終了。後半に入るとスリ・パハンFCがリードし、ますますペナンFCのプレッシャーがかかるかと思われましたが、67分のエンドリックのシュートをスリ・パハンFCのGKヘルミ・エリザがまさかのキャッチミスでゴールを許し、ペナンFCが同点に追いつきます。そこからはペナンFCが攻撃のペースを上げ、5分後の72分にはカサグランデのパスをDFの裏に抜け出したダニアル・アシュラフが決めてこれが決勝点となり、ペナンFCが勝利しています。この勝利でペナンFCは今季最高位となる2位に浮上しています。

2021年9月5日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバFC 0-6 スランゴールFC
得点者:スランゴール-イフェダヨ・オルセグン3(22分、24分、88分)、ムカイリ・アジマル(45+2分)、ノー・ハキム・ハサン(46分)、ダニアル・アスリ(75分)
 スランゴールFCが今季最多となる6ゴールでサバFCに圧勝。この試合でリーグ新記録となるシーズン最多となる3度目のハットトリックを決めたエースのイフェダヨ・オルセグンは、この日のゴールで今季通算25得点となり、Mリーグのシーズン最多得点の新記録を達成するとともに今季得点王争いのトップに立ちました。
 前節終了後に2試合を残してクルニアワン・ドゥイ・ユリアント監督を「休養」させたサバFCは、この試合前にペラFCとUITM FCが敗れたため1部残留が確定し、重圧のかからない状況だったにもかかわらずホームで今季最多失点で大敗しています。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第21節終了時)

ClubGWDLGFGAGDP
1#JDT2117314884051
2PEN2112453528740
3KDA20123537241339
4TFC21114631181337
5SEL21106544281636
6KL218942618833
7MU215972427-3*21
8PJ2156101427-1321
9SBH2147102036-1619
10PHG2146112336-1318
11@PRK2134141844-2613
12@UITM2023151238-269
#JDTが2021年シーズンの優勝を果たしAFCチャンピオンズリーグ出場権を獲得しています。
@ペラFCとUITM FCは2022年シーズンの2部降格が決定しています。
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第20節終了時)

選手(クラブ)ゴール数
1イフェダヨ・オルセグン(SEL)25
2ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)23
3クパー・シャーマン(KDH)13
4カサグランデ(PEN)11
5パウロ・ジョズエ(KL)10
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

9月4日のニュース:JDTオーナーは退任に向けて後任を指名か、U20代表は当初のメンバーから6名が変更に、FAMとMFLの会長が新閣僚と会談

 昨日9月3日に行われたMリーグ1部第21節でペラFCはマラッカ・ユナイテッドFCに敗れて来季の2部降格が決まっています。残る1枠も計算上は残留の可能性があるUITM FCが引き分け以下で降格が決まります。

JDTオーナーは退任に向けて後任を指名か
 Mリーグ1部でリーグ8連覇を果たしたJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は自身のインスタグラム上で、退任の可能性を示唆しましたが、その後任にジョホール州政府系企業の会長が候補に上がっていると、マレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。
 サポーターから辞任した場合の後任は誰なのか、という問いに答える形でイスマイル殿下は自身のインスタグラムにジョホール州政府系企業のJコープ社のサイド・モハメド・サイド・イブラヒム会長兼CEOの写真を投稿しています。
 イスマイル殿下はサッカークラブの運営に「飽きてきた」ことを明らかにし、今後は何か新しいことに挑戦したいと話す位方で、自身が本当にJDTを去るか否かについてその可能性は五分五分である述べたことから、その去就、さらにはその後任に注目が集まっています。
 しかしその一方で、自身がクラブを去ればスポンサーの撤退や選手及びスタッフの移籍、退団など、クラブが大きく変わってしまう可能性があることを憂慮しているとも述べており、未だ明確な形での方針は明らかにしていません。

U20代表は当初のメンバーから6名が変更に
 アジアサッカー連盟AFC U23アジアカップ予選に向けて第1次合宿を行っているU20代表は、当初の招集メンバー27名から、ケガなどにより6名が変更になっています。
 先日、Mリーグ1部デビューを果たしたGKシーク・イズハン・ナズレル・アズマン(スランゴールFC 2)やMリーグ2部で9試合に先発したGKナビル・アシラフ・ラムリ(FAM-MSNプロジェクト)の両GKを筆頭にDFヘイリー・ハキム・ママット(トレンガヌFC II)、MFアフマド・アイサル・ハディ・モハマド・シャプリ(JDT II)、FWアイマン・アリフ・モハマド・アフィズル(クダ・ダルル・アマンFC)、MFムハマド・ハズワン・ハサン(FAM-MSNプロジェクト)がケガで合宿への参加を辞退し、この代わりにGKムハマド・アズリ・アブドル・ガニ(ペラFC II)、MFチア・ルオハン、MFムハマド・アリフ・アブドル・ムタリブ(いずれもJDT II)の3名が新たに招集され、現在は24名が合宿に参加しています。
 9月7日まで予定されている第1次合宿ですが、今週末はMリーグ2部は試合がないため、現在2位のヌグリスンビランFC、そして最下位のFAM-MSNプロジェクトの両2部クラブとの練習試合を行う予定であることも報じられています。今回のU20代表は前回の合宿から6ヶ月以上空いているもののの、チームは今回初招集となった選手も含め、満足のいくパフォーマンスを見せているとブラッド・マロニー監督は、今週末の練習試合で第2次合宿へ招集するメンバーの選考を行いたいとハリアンメトロの取材に答えています。
 パリオリンピック出場を目指すマレーシアサッカー協会FAMの長期プロジェクトに伴い、このU20代表は「経験を積む」ために年代が一つ上となるU23アジアカップ予選に出場し、10月27日から31日までモンゴルのウランバートルで開催される予選J組でタイ、ラオス、そして集中開催地となっているモンゴルと対戦します。

FAMとMFLの会長が新閣僚と会談
 先月8月に発足したイスマイル・サブリ・ヤアコブ新首相率いる新内閣が発足しましたが、マレーシアサッカー協会FAMのハミディン・アミン会長とMリーグを運営するMFLのアブドル・ガニ・ハサン会長がそれぞれ新閣僚と会談を行っています。
 マレーシア語紙ハリアンメトロはアブドル・ガニMFL会長がカイリー・ジャマルディン保健相をプトラジャヤの保健省に訪ねて会談したことを伝えています。アブドル・ガニ会長はこの会談でサポーターのスタジアムでの観戦実現に向けて、他国同様、厳格な標準作業手順SOPに基づいた上で2度のワクチン接種を終えたサポーターに限りスタジアムへの入場許可を申請したと報じています。またこの会談では保健省、青年スポーツ省、国家安全保障委員会によって設けられたSOPに従って開催されている今季のMリーグの現状について青年スポーツ相も歴任したカイリー・ジャマルディン保健相に説明を行ったことです。今季のMリーグは開幕時の3月にスタジアムでの感染が許可されたものの、新型コロナ観戦拡大により昨季同様、無観客での開催を余儀なくされています。
 一方、アフマド・ファイザル・アズム青年スポーツ相は、スランゴール州プタリンジャヤのFAM本部にハミディン・アミン会長を訪ねています。モハマド・ユソフ・マハディ、S・シヴァサンドラム両会長代理とともにアフマド・ファイザル青年スポーツ相を歓迎したハミディン会長は、2022年に第1期が終了するF:30プログラム(2030年までにマレーシア代表のアジアトップ5入りを目指すプログラム)や、青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会NSCとFAMが共同して運営する国家サッカー育成プログラムNFDP、さらにプトラジャヤに建設が予定されているナショナルトレーニングセンターなどについて、FAMと青年スポーツ省との間の協力関係や国内サッカー事情について意見を交換したということです。


8月31日のニュース:今季2試合を残しサバFCのクルニアワン監督が「休養」、クラブ史上初の2部降格危機のペラFCは「政治」の力を使って1部残留を画策か、JDTは優勝賞金でフロントライナーの家族を支援

 今日8月31日はムルデカデーと呼ばれる独立記念日で、マレーシア国民の祝日です。しかしこの8月31日を「マレーシアの独立記念日」とするのは間違いで、この日は1957年にマレー半島の英領マラヤが英国から「マラヤ連邦」として独立を果たした日で、サバやサラワクを含めたマレーシアの建国は1963年9月16日まで待たねばなりません。言い換えれば、サバやサラワクではこの1957年8月31日という日付には何の意味もありません。(1963年8月31日に英国直轄植民地だったサバ(当時の名称は北ボルネオ)が自治政府を樹立し独立していますので、厳密に言えばサバの人々にとってはこの日がサバの「独立記念日」ではあります。ちなみにサラワクも同年7月22日にやはり英国直轄植民地から自治政府を設立して独立し、マラヤ連邦、サバ、サラワクそして当時はシンガポールも含めた地域が合同でマレーシアという国家が設立しました。シンガポールはその翌年1964年にマレーシアから離脱し、独自で独立国家となりました。

今季2試合を残しサバFCのクルニアワン監督が「休養」
 Mリーグ1部のサバFCはクラブの公式Facebook上で、クルニアワン・ドゥイ・ユリアント監督の休養を発表しています。リーグ中断期間を挟み7月24日から始まった後半戦でサバFCは7試合で3分4敗、前半戦の最終戦から数えると3分5敗で5月5日以来白星がありません。
 サバFCは8月28日の第20節で最下位のUITM FCにも0-4で敗れ、現在は4勝7分9敗のリーグ7位となり、11位のペラFCとは勝点差6となっています。今季の残り2試合を1分1敗で終えても得失差に関係なく1部残留が決まりますが、クルニアワン監督ではこの成績すら危ういということなのでしょう。なおサバFCは次節は現在5位のスランゴールFC、そして最終節は降格を争う11位ペラFCとの対戦が残っています。
 なおクルニアワン監督が休養中はブルハン・アジュイ アシスタントコーチが監督代行を務め、ジュリアス・アティンが新たにアシスタントチームマネージャーに就任することも発表されています。いずれもかつてはサバFC(当時はサバFA)でプレーした経験があります。

クラブ史上初の2部降格危機のペラFCは「政治」の力を使って1部残留を画策か
 マレーシアサッカー協会FAMは公式Facebook上にスチュアート・ラマリンガム事務局長名で投稿を行い、自身も、またハミディン・アミンFAM会長もスーパーリーグのチーム数を現行の12から16へ増やすことについて誰とも話し合いを持っていないことを表明しています。さらに投稿では「Mリーグの1部スーパーリーグや2部プレミアムリーグでプレーするチーム数や。2部から1部への昇格および1部から2部への降格チーム数については、Mリーグを運営するMFLとその理事会の管轄下にあり、FAMはこれに関知していない。」とも述べています。
 FAMがこのような声明を発表したのは、ソーシャルメディア上で拡散しているある映像が原因です。この映像では先週の新内閣発足に伴い新たに就任したアフマド・ファイザル・アズム青年スポーツ相が、1部スーパーリーグを16チームとすることで、現在11位と低迷するペラFCが2部に降格せずに済むのではないかと尋ねられたことに対し、青年スポーツ省はそれを指導する権限はないと述べる一方で、ハミディンFAM会長やスチュアート事務局長とはリーグを16チームに拡大についての話し合いを持ったと述べています。
 2018年5月からペラ州首相を務めていたアフマド・ファイザル氏は、昨年2020年3月に連邦政府で起こった政権交代の影響を受け、与野党の力関係が逆転したペラ州議会で不信任案が可決され同年12月にペラ州首相を辞任しましたが、今年1月までペラ州サッカー協会会長も務めていた経緯もあり、連邦政府内で国内スポーツを統括する立場にあるアフマド・ファイザル青年スポーツ相がリーグ拡大という裏技を使って、ペラFCの2部降格を阻止しようとしているといった見方が広まっていました。
 さらにMリーグを運営するMFLも公式サイト上で声明を発表し、今季の1部からの降格と2部からの昇格チーム数については従来通り行うことを発表しており、FAM、MFLともネット上に広まるペラFCの「1部残留工作」の噂の打ち消しに躍起になっています。

JDTは優勝賞金でフロントライナーの家族を支援
 Mリーグ1部で残り2試合を残し第20節に今季の優勝とリーグ8連覇を達成したJDTは、今回のタイトルを新型コロナの感染拡大阻止と戦う全てのフロントライナーに捧げたいとクラブの公式サイトで明らかにしています。
 今回の優勝は自らの命を危険に晒しながら日夜、新型コロナと戦うフロントライナーのおかげだとして、JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は今季の優勝賞金をフロントライナーの家族の支援のための基金とすると述べています。
 これを取り上げた英字紙スターは、今季の優勝賞金とおよそ50万リンギ(およそ1320万円)だと報じ、これまでにJDTは新型コロナ感染拡大前からJDT基金を通じで同様の社会貢献を行なってきたともしています。
 同じ記事では、Mリーグで外国籍監督として初のリーグ3連覇を達成したベンヤミン・モラ監督は今回の優勝をイスマイル殿下に捧げるとともに、今季唯一の黒星をつけられたトレンガヌFC戦と対戦する次節では、主力を温存することなくベストメンバーで望むと話しています。



Mリーグ1部スーパーリーグ第20節結果

 8月27日から29日にかけて、Mリーグ1部スーパーリーグ第20節が開催されました。今節は首位のJDTがスリ・パハンFCに勝利し、2試合を残しながら今季優勝を決めています。またこの優勝でリーグ8連覇も達成しています。次節からの残り2節はAFCカップ出場権がかかるリーグ2位、3位争いと2部降格をめぐる争いがさらに激化しそうです。
 試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルよりお借りしています。

2021年8月27日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
JDT 3-0 スリ・パハンFC
得点者:ベルグソン・ダ・シルヴァ3(8分、41分、45分)
 前半だけでハットトリックを決めたベルグソン・ダ・シルヴァの活躍でJDTが快勝し、今季優勝とリーグ8連覇を決めています。この試合では、先日このブログでも取り上げた代表FWシャフィク・アフマドも後半戦初めてベンチ入りし、60分からの途中出場ながらシュートを放つなど今季3試合目の出場を果たしています。
 一方のスリ・パハンFCはエラルド・グロンやアダム・ノー・アジーら主力選手6名がケガで出場できず、試合前から困難な試合になることは明らかでしたが、やはりJDTになすすべなく破れ、今季残り2試合は1部残留をかけた戦いが続きます。

2021年8月28日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダ・ダルル・アマンFC 1-0 ペラFC
得点者:クダ-クパー・シャーマン(19分)
 Mリーグを運営するMFLは来季のAFCカップ出場資格はMリーグ1部スーパーリーグ2位とマレーシアカップ優勝チームに与えられることを発表し、各チームは今季2位を目指して争いを激化させています。そんな中、11位のペラFCを相手にクダ・ダルル・アマンFCが勝利し、2位に浮上しています。
 ペラFCはこの試合で引き分けを挟み6連敗とまた一歩、2部降格に近づいています。

2021年8月28日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤヤ)
スランゴールFC 1-1 マラッカ・ユナイテッドFC
得点者:スランゴール-ハイン・テット・アウン(18分)、マラッカ-マヌエル・オット(90+4分)
 ハイン・テット・アウンのゴールで先制したスランゴールFCは、28分にDFアシマウィ・ヤキンがいわゆるプロフェッショナルファウルで退場となりますが、10人となってもこの1点を守り切り5連勝目前となったロスタイムに失点して引き分けています。スランゴールFCのカルステン・ナイチェル監督が89分に守備の選手ではなくFWダニアル・アスリとウィングのシーン・シヴァラジを投入した選手交代には疑問も残りますが、この引き分けでスランゴールFCの今季トップ3でのフィニッシュは難しくなりました。
 一方、2部降格争いの中にいるマラッカ・ユナイテッドFCにとっては貴重な引き分けとなりました。

2021年8月28日@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UTIM FC 4-0 サバFC
得点者:UTIM-クォン・ヨンヒョン(15分PK)、ジョエル・ヴィニシウス(17分)、シーン・ジッネッリ2(59分、66分)
 最下位12位のUITM FCがホームで7位のサバFCに今季最多となる4得点で圧勝し、1部残留の可能性が残りました。KLシティFCから期限付き中のGKザミル・スラマットが移籍後2試合目となるクリーンシートを達成すれば、同じくKLシティFCから期限移籍中のシーン・ジッネッリが2得点を挙げてUITM FCの勝利に貢献しています。
 サバFCは4月17日に自身のホームで行われた同じカードでは4-0と勝利していましたが、この日は同じ得点差で敗れて後半戦はこれで3分4敗となり、この試合後にはクルニアワン・ドゥイ・ユリアント監督の「休養」が発表されています。

2021年8月29日@シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナンFC 2-1 PJシティFC
得点者:ペナン-カサグランデ(5分)、シェリディン・ボボエフ(45+1分)、PJ-P・ラジェス(64分)
 エースのカサグランデとシェリディン・ボボエフがいずれも2試合連続ゴールを決めたペナンがFCが勝利しています。ペナンFCは今季2部から昇格したチームですが、いきなりトップ3でのフィニッシュの可能性が見えてきました。
 PJシティFCは残り2試合で降格圏の11位まで勝点差5となり、次節第21節の最下位UITM FC戦での勝利が1部残留の条件となります。

2021年8月29日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティFC 1-0 トレンガヌFC
得点者:KL-パウロ・ジョズエ(29分)
 今季2部から昇格したKLシティFCのボジャン・ホダック監督が今季の目標にあげた1部残留が既に確定しており、チームもこの試合の勝利で後半戦は3勝4分と無敗記録を更新しています。
 一方、今季2位とAFCカップ出場権を狙うトレンガヌFCは、下位のクラブ相手に痛すぎる敗戦で3位に後退しています。次節第21節はリーグ覇者のJDTと、そして最終節の第22節では3位を争うペナンFCと好調なチームとの直接対決が控えており、3位を死守できるかどうかに注目です。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第20節終了時)

ClubGWDLGFGAGDP
1#JDT2016314783951
2KDA18122433191438
3TFC20114531171437
4PEN201145337637
5SEL2096538281033
6KL207942417730
7SBH204792030-1019
8MU204972125-4*18
9PJ204691327-1418
10PHG1945102032-1217
11PRK2034131742-2513
12UITM1923141237-259
#JDTが2021年シーズンの優勝を果たしAFCチャンピオンズリーグ出場権を獲得しています。
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第20節終了時)

選手(クラブ)ゴール数
1ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)23
2イフェダヨ・オルセグン(SEL)22
3クパー・シャーマン(KDH)13
4カサグランデ(PEN)11
5パウロ・ジョズエ(KL)10
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

8月28日のニュース:JDTが2試合を残してリーグ8連覇達成、協会が「マラヤの虎」ブランド売り込みに国内大手スポーツ店と販売代理店契約締結、フットサルクラブが地元パハン州企業とスポンサー契約締結で今季初優勝を目指す

JDTが2試合を残してリーグ8連覇達成
 8月27日にMリーグ第20節の1試合が行われ、本拠地のスルタン・イブラヒムスタジアムでスリ・パハンFCと対戦したJDTはこの試合に3-0で勝利し、今季のMリーグ優勝とリーグ8連覇を達成しています。
 エースのベルグソン・ダ・シルヴァが前半でハットトリックを決めるなど、2部降格危機のスリ・パハンFCを相手に危なげなく勝利を挙げたJDTはこの勝利によって今季の勝点が51となり、残り2試合を残し2位のトレンガヌFC以下どのチームもこれに追いつくことができなり、優勝が決まりました。

協会が「マラヤの虎」ブランド売り込みに国内大手スポーツ店と販売代理店契約締結
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイトで国内スポーツ用品大手のアル-イサンと公式販売代理店契約を結んだことを発表しています。
 この発表によると9月16日から国内のアル-イサン全店でマレーシア代表のグッズの販売が開始されるということです。アル-イサンとの公式販売代理店契約今年5月に締結されていたということですが、商品販売開始時期の調整と新型コロナウィルス感染拡大が続いている状況から、この時期になったことが明かされています。
 FAMのハミディン・アミン会長によると、マレー半島部に125店舗を運営するアル-イサンと提携することで、「マラヤの虎」の愛称で知られるマレーシア代表のサポーターがどのような公式グッズを求めているかといった情報をFAMが入手する貴重な経路となるだけでなく、「マラヤの虎」ブランドを国内はもちろん海外へも発信することが可能になるだろうと述べています。
 なおマレーシア代表公式グッズと子供向けブランドの「スーパーリマウ」の新商品が9月16日より年末の東南アジアサッカー連盟AFF選手スズキカップまで順次、発表されるということです。
 アル-イサンはその傘下にサッカーウェア専門ブランド「フットボールリパブリック」を持ち、Mリーグ1部のトレンガヌFCやマラッカ・ユナイテッドFCに練習用や試合用ユニフォームを提供しています。ただし、マレーシア代表はナイキとユニフォーム提供について契約中なので、代表ユニなどはアル-イサンとフットボールリパブリックいずれのブランドでも作成できないでしょう。

フットサルクラブが地元パハン州企業とスポンサー契約締結で今季初優勝を目指す
 マレーシアプレミアフットボールリーグMPFLに所属するパハンレンジャーズはクラブの公式Facebook上で、鉱物探査や採掘を行う企業のSMGB社がの今季2021n年シーズンのスポンサーとなったことを伝えています。
 今回のスポンサー契約によってSMGB社はパハンレンジャーズのMPFL参戦のための運営資金支援する他、クラブが行うフットサル教室やアカデミーの運営、さらには地元パハン州のテメルローの先住民族オランアスリを中心としたフットサル選手発掘などにも支援を行なっていくということです。
 パハンレンジャーズの会長で現マレーシア国王のアブドラ国王の弟君であるファハド・ムアッザム・シャー殿下は今回のSMGB社とのスポンサーシップ契約について、クラブが国内フットサル界で成功を収め、新たな歴史を作るための大きな力になるだろうと述べています。
 パハンレンジャーズはマレーシアプレミアフットサルリーグMPFL初年度となった2019年にはリーグ準優勝した強豪で、フットサル代表にも11名が選出されています。MPFLは昨季2020年シーズンは新型コロナ禍により中止となりましたが、今季2021年シーズンは10月あるいは11月に開幕が予定されており、パハンレンジャーズはリーグ初優勝を目指して参戦します。この他、パハンレンジャーズは2020年にはスペインのレバンテ・ウニオン・デポルティーボやタイのチョンブリーブルーウェイヴといった国外のフットサルクラブとも協力契約を結んでいます。

8月25日のニュース:出場機会不足に不満を述べた選手へのJDTオーナーの反応に多くのサポーターが同意、そのJDTオーナーが退任をほのめかす?、代表は10月に国内合宿と海外遠征を開催か、 ペラFCが未払いとなっていた7月分の給料を支給

出場機会不足に不満を述べた選手へのJDTオーナーの反応に多くのサポーターが同意
 「チームメートがサッカーをしているのを見るのは楽しいな。」と間接的に自身の出場機会がないことをツイートしたJDTのFWシャフィク・アフマドが、オーナーからクラブは仲良しグループではなく、不満があるなら他のクラブへ移籍することを止めない、と反応されたニュースは先日このブログでも取り上げましたが、このトゥンク・イスマイル ジョホール州皇太子の反応については様々な意見が出ていることを、マレーシア語紙ウトゥサンマレーシアが報じています。
 このイスマイル殿下によるクラブ公式Facebookへの投稿にはこの執筆時点で1万7000件の「いいね」と2900件近いコメントがついていますが、その多くがイスマイル殿下に同意すると同時に、JDTでは出場機会が得られないシャフィク選手に移籍を勧める内容です。「JDTヘ移籍する前にプレーしていたクダ・ダルル・アマンFC(当時はクダFA)に戻るべき」といったものから「シャフィク選手自身は努力はしているのだろうが、これまでにリーグ2位の20ゴール(17試合)を挙げているブラジル出身のFWベルグソン・ダ・シルヴァにポジション争いで勝つのは難しい。」、「スランゴールFCに来い。JDTを除けばスランゴールFCは給料もいいぞ。」まであり、さらには「(高給とされるJDTでプレーすることで)銀行口座に金がたくさんあるなら、それで十分ではないか。出場機会が少ないことなど気にするな。」といった皮肉混じりのものもあります。
 そんな中で「我々マレーシアサポーターはシャフィク選手が代表でプレーするところを見たいが、JDTに残り控えのままでは次の代表に招集されることも難しくなる。6月のW杯予選では役立たずだったギリェルメ・デ・パウラが代表に招集されたのも彼がペラFCの主力選手だったからだ。」といった意見に代表されるように、FWに人材不足の現在の代表には、新型コロナ禍による中断前に行われた一昨年のW杯予選でアラブ首長国連邦やインドネシア相手にゴールを挙げたシャフィク選手は必要な選手なのは明らかです。
 なおイスマイル殿下は既にシャフィク選手と直接話し、JDTでは試合出場の用意ができているとチームが判断すれば試合に出ることができ、シャフィク選手も同様であると伝えたことを明かすとともにこの件に関してはこれで解決したとも述べています。
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 ボラセパマレーシアJPでは、今季開幕前にJDTの注目選手としてこのシャフィク選手を取り上げました。U23代表から順調に成長し26歳となる今年は同じJDTのサファウィ・ラシドとともに代表を引っ張る存在として期待したからでした。しかし、今季はトップチームでの先発出場どころかベンチ入りしたのがわずか3試合、試合出場は1試合でそれも90分からの出場でした。また、7月24日から始まった後半戦ではこれまで1試合もベンチ入りしていません。昨年2020年12月には自らが運転していた自動車の事故で生後1年未満の息子を失うなど悲惨な出来事も経験したシャフィク選手が、イスマイル殿下が指摘しているようにその事故を境に別人になってしまったのかどうかは外部からはわかりませんが、自身の選手としてのキャリア、特に代表選手としてのキャリアを考えるのであれば、国外も含めて他のクラブへ移籍を考えてみるのも悪くないのでは、とファンの一人として思ってしまいます。

JDTオーナーが退任をほのめかす?
 JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が退任をほのめかすような投稿を自身のインスタグラムに行ったと、マレーシア語紙のブリタハリアンが報じています。
 イスマイル殿下がオーナーを務めるJDTは昨季までMリーグ7連覇を達成し、今季も次節に勝利すれば8連覇が決まる状況ですが、そんな中で以下のような投稿を行なっています。
 「これまでJDTがピッチ内外で成功を収めるよう尽力してきた結果、JDTは立派なブランドになった。最高の設備のもと、過去8年間でトップチームはリーグ戦やカップ戦などで18回の優勝を、ユースレベルでは10回の優勝を達成した。」という投稿はさておき、多くのサポーターに衝撃を与えたのは、その投稿の最後に書かれた「これが私からクラブへの最後の贈り物だ。」という部分でした。10月から建設が始まる本拠地スルタン・イブラヒムスタジアムに隣接する巨大なトレーニング施設の写真が添えられたこの投稿に対し、多くのサポーターやメディアはイスマイル殿下がJDTオーナーを退任するのではと色めき立っています。
 イスマイル殿下の真意は現時点では不明ですが、今週末の第20節にもJDTのリーグ8連覇が決まる可能性があり、その後には何か重大な発表があるかも知れません。

代表は10月に国内合宿と海外遠征を開催か
 マレーシアサッカー協会FAMが10月に代表合宿と練習試合を企画しているとマレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。
 代表チームは今年12月には昨年から延期された東南アジア(アセアン)サッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020年大会が、そして来年2月にはアジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ2023年大会3次予選が控えていますが、FIFAの国際マッチカレンダー期間の今月8月30日から9月7日までは、新型コロナ禍により終了が遅れたリーグ戦中期間である上、マレーシア政府が全ての渡航者に求めている14日間の検疫隔離期間によって、代表チームは他国の代表チームを招いて練習試合を行うことも、他国へ遠征に行くこともできず予定されていた代表合宿が中止に追い込まれています。
 Mリーグを運営するMFLの新たなCEO就任が決まったマレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、代表チームの予定として10月には国内での代表合宿と国外での練習試合開催を検討中であることをハリアンメトロによる取材で明らかにしています。

ペラFCが未払いとなっていた7月分の給料を支給
 給料未払いが明らかになり主力選手が大量退団した結果、Mリーグ1部で11位と低迷するペラFCの選手らに対し、今週末に予定されているMリーグ第20節の前に未払いとなっている7月分の給料が支払われることをウトゥサンマレーシアが報じています。
 今季は残り3試合となり、現在11位と2部降格危機にある中で、未払い給料を支払うことで選手の士気を高めたいとペラFCのアズマン・ノーGM(ゼネラルマネージャー)は話しています。
 8月1日付で就任したアズマンGMは、2部降格を食い止めるため最終戦までできる限りの泥苦を続けたいとも話し、ペラFCのサポーターにも12番目の選手として最後までチームへの応援を続けて欲しいと訴えています。
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 このように未払い給料支払いをメディアに公表しながら、その裏では全額ではなく一部のみを支払っていた、といった他のクラブの事例もあるので、ここは選手らには支払いを事前に伝えても、メディアには支払ってからそれを公表すれば良いのではないか、とも思ったりもします。今回のメディアへの公表はアズマンGMによる自チームのサポーターを含めた対外的なアピールなのかもしれませんが、アズマンGM就任以降のペラFCは3試合で最下位のUITM FCでの敗戦も含め0勝3敗、3得点10失点と、いまさら未払い給料を支払っても焼け石に水といった印象です。

8月24日のニュース:スチュアートFAM事務局長がMリーグのCEOに就任、インドスーパーリーグのクラブがクラスニキの期限付き移籍を正式に発表、現在改修中のシャーアラムスタジアムが来季開場へ

スチュアートFAM事務局長がMリーグのCEOに就任
 マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長がMリーグを運営するMFLの新たなCEOに就任したことがMFLの公式サイトで発表されています。
 MFL前会長のハミディン・アミン氏が兼任していたマレーシアサッカー協会の会長職に専念するために辞任し、トコロテン式に前CEOのアブドル・ガニ・ハサン氏が8月12日にMFLの会長に就任したことで空席になったMFLのCEO職は当初は東南アジア最大の格安航空会社エアアジアグループCEOのトニー・フェルナンデス氏の名前なども上がっていましたが、このブログでも予想記事を取り上げた通り、15年以上に渡り国内外のサッカー事業に関わってきた44歳のスチュアート氏がMFL理事会の満場一致を経て順当にCEOに就任しています。なおスチュアート氏は9月1日付けてCEOに就任するということです。

インドスーパーリーグのクラブがクラスニキの期限付き移籍を正式に発表
 インドスーパーリーグのオディシャFCはクラブの公式サイトで、Mリーグ1部のJDTからMFリリドン・クラスニキが期限付きで移籍することを正式に発表しています。
 インド南東部のオディシャ州の州都ブバネーシュワルを本拠地とするオディシャFCは、クラスニキ選手がアルバニアU21代表、コソボ代表、そして帰化したマレーシアでも代表でプレーと3ヶ国の代表でプレーした経歴などを紹介している他、インドでのシーズン開幕を楽しみにしており、早くキコ・ラミレス監督やチームメートに合流し、試合ではファンを喜ばせたいというクラスニキ選手のコメント、そして優れた体躯と技術を持ち合わせたいわゆる「ボックストゥボックス」MFのクラスに貴選手には攻撃と守備の両面で期待しているというラミレス監督のコメントなども発表しています。

現在改修中のシャーアラムスタジアムが来季開場へ
 Mリーグ1部スランゴールFCの本拠地シャーアラムスタジアム(スランゴール州)は1994年開場の8万人収容の巨大スタジアムですが、老朽化による施設の劣化によりMリーグの公式戦では使用が禁止され、2020年より改修工事が始まっています。
 総額3億5000万リンギ(およそ91億円)とされるその膨大な費用により、長期化が予想されていた改修工事ですが、これが遅くとも来年初めには終了するだろうとマレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。
 シャーアラムスタジアムを管理するスランゴール州のアミルディン・シャリ州首相は改修費用をスランゴールFCの会長でスランゴール州皇太子のテンク・アミル・シャー殿下がその一部を負担することとなったということです。
 シャーアラムスタジアムが使えないスランゴールFCは、昨季はUITMスタジアムをUITM FCと、今季はMBPJスタジアムをPJシティFCと共用しています。
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 シャーアラムスタジアムでは2020年1月にプレシーズンマッチとして開催されたスランゴール・アジアチャレンジ2020で、この時には当時細貝萌が所属していたバンコク・ユナイテッドFC(タイ)、ハノイFC、プルシブ・バンドンFCが参加しましたが、この大会を最後にスタジアムの使用が禁止され、また新型コロナウィルス感染が拡大や改修費用工面の問題などから、来季2022年もスランゴールFCはMBPJスタジアムを本拠地とするのではとも言われていました。
 拙宅から車で30分以上がかかるシャーアラムスタジアムより、15分程度で行けるMBPJスタジアムでホームゲームを開催してくれる方が、スランゴールFCサポーターとしては嬉しいのですが…。そもそも近年は8万人どころかその半分の観衆も入ることがなくなったシャーアラムスタジアムを来季に間に合うように急いで改修するよりも、サッカー観戦だけでなく試合のない日も足を運びたくなるような総合娯楽施設化なども視野に入れるなどして「ホワイトエレファント」とはならないようにしてもらいたいです。

8月23日のニュース:ペラFCは「休養」明けのチョン監督が今季最終戦まで指揮、Mリーグの新CEOにサッカー協会事務局長が就任か、JDTオーナー-クラブは仲良しグループでもなければ監獄でもない

ペラFCは「休養」明けのチョン監督が今季最終戦まで指揮
 Mリーグ1部ペラFCは8月2日にから「休養」していたチョン・イーファット監督の復帰を発表しています。なおチョン監督は今季Mリーグの残り3試合の指揮を取るということです。
 マレーシアの通信社ブルナマはペラFCのアズマン・ノーGM(ゼネラルマネージャー)の話として、チョン監督に代わるAライセンス保持者を見つけられなかったことを理由に挙げており、チョン監督の2週間の「休養」期間を8月16日付で終了したとしてます。なおMリーグ1部ではこのAライセンスの保持が監督就任の条件となっています。
 チョン監督が「休養」中はシャーリル・ニザム アシスタントコーチが監督代行を務めましたが、この間の3試合は0勝3敗で3得点10失点という成績でした。
 開幕直前にメフメト・ドゥラコビッチ前監督の辞任を受けて就任した地元ペラ州イポー出身のチョン監督の契約は2022年11月までとなっていますが、アズマンGMはチョン監督が来季もペラFCの指揮を取るかどうかは今季終了後に決定するということです。
 給料未払い問題が発覚し、シーズン半ばには今季開幕戦の先発XIの半数以上が退団したペラFCは第19節を終えて3勝4分12敗の11位とクラブ史上初の2部降格が目前に迫っています。
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 成績不振の原因をチョウ監督一人に押し付ける形になっていますが、開幕直前のドゥラコビッチ前監督辞任と主力選手の大量退団の責任は現場ではなく給料未払い問題を起こしたフロントの責任なのは明らかです。前任者のリザル・アリ・アイザリCEOが引責辞任し、それを引き継いだ自身には責任がないという立場からなのか前CEOが獲得した選手を非難する声明を度々出しているアズマンGMですが、その姿勢がチームの士気低下に影響しているという自覚はなさそうです。

Mリーグの新CEOにサッカー協会事務局長が就任か
 Mリーグを運営するMFLの新会長にアブドル・ガニ・ハサン氏が就任したことで、アブドル・ガニ氏の前職であったMFLのCEO職が空席になっていますが、その空席を埋めるのはマレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長となる可能性が高いと、マレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。
 44歳のスチュアート氏は、2008年にFIFAのプロリーグ化コンサルタントとなり、2010年から2011年まではCEOを務め、2012年にはAFCに加わるとクラブコンペティション責任者などの要職を2年間務めた後、4年間務めた電通スポーツアジアの副社長職を経て2018年7月から現職となるFAMの事務局長に就任しています。
 またこれに伴いFAMの新たな事務局長には現副事務局長で、AFCやカタールリーグやオマーンリーグでの勤務経験もあるモハマド・サイフディン・アブ・バカル氏が最有力候補とされています。.

JDTオーナー-クラブは仲良しグループでもなければ監獄でもない
 Mリーグ1部で7連覇中のJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が所属選手の批判とも取れるソーシャルメディア投稿に対して示した反応が注目を集めています。
 事の発端はJDTに所属するシャフィク・アフマドが「仲間の選手がプレーするのを見るのは楽しいな。」とツイートしたことでした。
 6月にアラブ首長国連邦で行われたFIFAワールカップ2022年大会アジア2次予選では先発1試合を含む全3試合に出場しながら、JDTでは後半戦に入ってからは出場どころかベンチ入りすらしていないシャフィク選手のこの投稿に対して、イスマイル殿下はクラブは仲良しグループではなく、プロ意識を持つ選手の集団であり、常に全力で練習に臨み、常に全力で試合に臨む選手にのみ出場機会が与えられると即座にツイートで反応しています。
 さらにイスマイル殿下は、クラブの方針に不満を持つ選手はいつでもクラブを去ることができるとし、クラブは選手を拘束する監獄でもないとして、単に出場機会を求めるのであれば他のクラブへ移籍することを止めるつもりはないともツイートしています。
 さらに選手はJDTに移籍する際にはそういった条件を理解しているはずだとして、不満があるのであればソーシャルメディアでそれを明らかにするのではなく、直接話し合いをもつべきだとシャフィク選手を諭しています。
 これをツイートの直後にシャフィク選手は当初のツイートを削除した上で、イスマイル殿下やクラブ、チームメイトに対して謝罪のコメントを投稿しています。
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 シャフィク選手は昨年12月に自身が運転していた車による事故で生後22日の息子と同乗していた義理の母を亡くし、夫人も重傷を負っていました。イスマイル殿下はこの事故の後、その傷を癒す時間も支援も十分に行なってきたことも明らかにし、その一方でシャフィク選手は以前とは変わってしまったとして、もう一度、真摯にサッカーに向き合うことを求めたいともしています。