8月23日のニュース:ペラFCは「休養」明けのチョン監督が今季最終戦まで指揮、Mリーグの新CEOにサッカー協会事務局長が就任か、JDTオーナー-クラブは仲良しグループでもなければ監獄でもない

ペラFCは「休養」明けのチョン監督が今季最終戦まで指揮
 Mリーグ1部ペラFCは8月2日にから「休養」していたチョン・イーファット監督の復帰を発表しています。なおチョン監督は今季Mリーグの残り3試合の指揮を取るということです。
 マレーシアの通信社ブルナマはペラFCのアズマン・ノーGM(ゼネラルマネージャー)の話として、チョン監督に代わるAライセンス保持者を見つけられなかったことを理由に挙げており、チョン監督の2週間の「休養」期間を8月16日付で終了したとしてます。なおMリーグ1部ではこのAライセンスの保持が監督就任の条件となっています。
 チョン監督が「休養」中はシャーリル・ニザム アシスタントコーチが監督代行を務めましたが、この間の3試合は0勝3敗で3得点10失点という成績でした。
 開幕直前にメフメト・ドゥラコビッチ前監督の辞任を受けて就任した地元ペラ州イポー出身のチョン監督の契約は2022年11月までとなっていますが、アズマンGMはチョン監督が来季もペラFCの指揮を取るかどうかは今季終了後に決定するということです。
 給料未払い問題が発覚し、シーズン半ばには今季開幕戦の先発XIの半数以上が退団したペラFCは第19節を終えて3勝4分12敗の11位とクラブ史上初の2部降格が目前に迫っています。
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 成績不振の原因をチョウ監督一人に押し付ける形になっていますが、開幕直前のドゥラコビッチ前監督辞任と主力選手の大量退団の責任は現場ではなく給料未払い問題を起こしたフロントの責任なのは明らかです。前任者のリザル・アリ・アイザリCEOが引責辞任し、それを引き継いだ自身には責任がないという立場からなのか前CEOが獲得した選手を非難する声明を度々出しているアズマンGMですが、その姿勢がチームの士気低下に影響しているという自覚はなさそうです。

Mリーグの新CEOにサッカー協会事務局長が就任か
 Mリーグを運営するMFLの新会長にアブドル・ガニ・ハサン氏が就任したことで、アブドル・ガニ氏の前職であったMFLのCEO職が空席になっていますが、その空席を埋めるのはマレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長となる可能性が高いと、マレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。
 44歳のスチュアート氏は、2008年にFIFAのプロリーグ化コンサルタントとなり、2010年から2011年まではCEOを務め、2012年にはAFCに加わるとクラブコンペティション責任者などの要職を2年間務めた後、4年間務めた電通スポーツアジアの副社長職を経て2018年7月から現職となるFAMの事務局長に就任しています。
 またこれに伴いFAMの新たな事務局長には現副事務局長で、AFCやカタールリーグやオマーンリーグでの勤務経験もあるモハマド・サイフディン・アブ・バカル氏が最有力候補とされています。.

JDTオーナー-クラブは仲良しグループでもなければ監獄でもない
 Mリーグ1部で7連覇中のJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が所属選手の批判とも取れるソーシャルメディア投稿に対して示した反応が注目を集めています。
 事の発端はJDTに所属するシャフィク・アフマドが「仲間の選手がプレーするのを見るのは楽しいな。」とツイートしたことでした。
 6月にアラブ首長国連邦で行われたFIFAワールカップ2022年大会アジア2次予選では先発1試合を含む全3試合に出場しながら、JDTでは後半戦に入ってからは出場どころかベンチ入りすらしていないシャフィク選手のこの投稿に対して、イスマイル殿下はクラブは仲良しグループではなく、プロ意識を持つ選手の集団であり、常に全力で練習に臨み、常に全力で試合に臨む選手にのみ出場機会が与えられると即座にツイートで反応しています。
 さらにイスマイル殿下は、クラブの方針に不満を持つ選手はいつでもクラブを去ることができるとし、クラブは選手を拘束する監獄でもないとして、単に出場機会を求めるのであれば他のクラブへ移籍することを止めるつもりはないともツイートしています。
 さらに選手はJDTに移籍する際にはそういった条件を理解しているはずだとして、不満があるのであればソーシャルメディアでそれを明らかにするのではなく、直接話し合いをもつべきだとシャフィク選手を諭しています。
 これをツイートの直後にシャフィク選手は当初のツイートを削除した上で、イスマイル殿下やクラブ、チームメイトに対して謝罪のコメントを投稿しています。
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 シャフィク選手は昨年12月に自身が運転していた車による事故で生後22日の息子と同乗していた義理の母を亡くし、夫人も重傷を負っていました。イスマイル殿下はこの事故の後、その傷を癒す時間も支援も十分に行なってきたことも明らかにし、その一方でシャフィク選手は以前とは変わってしまったとして、もう一度、真摯にサッカーに向き合うことを求めたいともしています。


Mリーグ2部プレミアリーグ第19節結果

 8月20日から22日にかけてMリーグ2部プレミアリーグ第19節が開催されました。

2021年8月20日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
スランゴールFC 2 1-1 JDT II
得点者:スランゴール-アレクサンダー・アギヤクワ(21分PK)、JDT-フェルナンド・ロドリゲス(45+1分)
 JDT IIの廣瀬慧選手は先発してフル出場しています。

2021年8月21日@MBPGスタジアム(ジョホール州パシルグダン)
クチンシティFC 3-1 ケランタンFC
得点者:クチン-モハマド・アリフ・ハサン(13分)、マイケル・イジェジー(34分)、ジョセフ・カラン・ティー(57分)、ケランタン-クリストス・インズィディス(32分)
 後半戦開幕となった7月24日のトレンガヌFC II戦前の検査で新型コロナ陽性者が見つかり、2週間の検疫隔離期間などを経てやっと後半戦初戦に臨んだクチンシティFCは、この試合からは本来の本拠地であるサラワク州クチンのサラワク州立スタジアムではなくジョホール州のMBPGスタジアムを今季の暫定本拠地として使うことになるなどさまざまな困難に直面しましたが、4月27日以来およそ4ヶ月ぶりの試合となったこの試合を今季最多の3得点で勝利しています。
 この試合ではマルコ・ラギニ監督に代わりリーザル・ザムベリ・ヤハヤ アシスタントコーチが指揮を取ったケランタンFCは同点に追いつくのが精一杯。マレーシアカップ出場権を争うクチンシティFC相手に敗れています。
 クチンシティFCの鈴木雄太選手は先発してフル出場しています。

2021年8月21日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタン・ユナイテッドFC 0-2 ヌグリスンビランFC
得点者:ヌグリスンビラン-ザクアン・アドハ(11分PK)、フランシス・コネ(82分)
 この日の試合も含め、直近の4試合で3得点という成績で、試合後にナズルレルワン・マクモル監督がメディアにストライカー不在を嘆く事態となっているケランタン・ユナイテッドFCは引き分けを挟み3連敗となり、シーズン中の監督交代という荒療治がここまでは功を奏していません。
 一方のヌグリスンビランFCはこの日の勝利で、リーグ戦後のマレーシアカップ出場権を獲得するとともに2部の上位2チームに与えられる1部への自動昇格権にまた一歩近づきました。
 ケランタン・ユナイテッドFCの深井脩平、谷川由来両選手は先発してフル出場、本山雅志選手は64分から交代出場し、試合終了までプレーしています。

2021年8月22日@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
FAM-MSN プロジェクト 0-4 サラワク・ユナイテッドFC
得点者:FAM-、サラワク-サンドロ・ダ・シルヴァ(22分)、テイラー・リガン(43分)
 サラワク・ユナイテッドFCが最下位のFAM-MSN プロジェクトに圧勝して首位に浮上し、マレーシアカップ出場権を確定させています。次節は昇格のライバルPDRM FCとの直接対決が控えています。

2021年8月22日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラFC II 0-3 PDRM FC
得点者:ペラ-、PDRM-鈴木ブルーノ2(15分、29分)、ナビル・ラトピ(22分)
 3枚のレッドカードが出された荒れた試合は、PDRM FCが今季初となる鈴木ブルーノの1試合2得点などで快勝し、今季最高位となる5位に浮上しています。PDRM FCは次節第20節は首位のサラワク・ユナイテッドFCと、最終第22節には現在2位のヌグリスンビランFCとの直接対決が控えており、他力本願ながら計算上は残り試合全勝で逆転での1部昇格の可能性が残りました。
 PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は先発してフル出場し、FAMのCMS(Competition Management System)が発表するMOMに選ばれています。

2021年シーズンMリーグ2部プレミアリーグ順位(第19節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1SU16104233112234
1NS1695225111432
3TFC1678129131629
4JDT1676330151527
5PDRM177462018225
6SEL175842419523
7KEL176381923-421
8KU176292126-520
9PRK1835101235-2314
10KCH113441213-113
11FAM1703141152-413
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:NS-ヌグリスンビランFC、SU-サラワク・ユナイテッドFC、TFC-トレンガヌFC II、PRK-ペラFC II、SEL-スランゴールFC 2、KEL-ケランタンFC、KU-ケランタン・ユナイテッドFC、KCH-クチンシティFC、FAM-FAM MSNプロジェクト
*今季の2部プレミアリーグは11チームが参加のため、各節で1チームだけ試合がありません。第19
節はトレンガヌFC IIの試合がありませんでした。

2021年シーズンMリーグ2部プレミアリーグ得点ランキング(第19節終了時)

選手名(クラブ)ゴール数
1ジョーダン・ミンター(TFC)14
2フェルナンド・ロドリゲス(JDT)13
3ウチェ・アグバ(SU)12
ガッサマ・アルフセイネイ(KU)10
5アライン・アコノ(NS)9
ジョージ・アトラム(SEL)8
クラブ名:NS-ヌグリスンビランFC、SU-サラワク・ユナイテッドFC、TFC-トレンガヌFC II、PRK-ペラFC II、SEL-スランゴールFC 2、KEL-ケランタンFC、KU-ケランタン・ユナイテッドFC、KCH-クチンシティFC、FAM-FAM MSNプロジェクト

Mリーグ1部スーパーリーグ第19節結果

 8月20日から22日にかけて、Mリーグ1部スーパーリーグ第19節が開催されました。今節もJDTが勝利し、次節にも今季優勝とリーグ8連覇が決まります。このために残り3節の注目はリーグ2位と3位に与えられるAFCカップ出場権争いと2部降格をめぐる争いとなりました。
 試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルよりお借りしています。

2021年8月20日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハンFC 0-2 KLシティFC
得点者:KL-ロメル・モラレス(48分)、ザムリ・ヤハヤ(71分)
 今年2度目のトランスファーウィンドウ期間に獲得したFWキリアン・ヌワブエズがチーム合流初戦で膝前十字靭帯損傷で今季絶望となったことから、本来のMFではなくFWとして起用されているロメル・モラレスが先制ゴール、後半にはザフリ・ヤハヤの今季2得点目となるゴールでKLシティFCが連勝し、無敗記録を9試合に更新しています。なおKLシティFCは今季これまでの勝利が全てホームゲームで、この試合で今季アウェイゲーム初勝利も記録しています。
 一方のスリ・パハンFCは今季初先発となったGKダニエル・ワフディン・サドゥンが活躍したものの攻撃陣の不発で連敗となり、10位に交代し、11位のペラFCまでとも勝点差が4と降格争いから抜け出せていません。

2021年8月21日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラFC 0-3 スランゴールFC
得点者:オリヴァー・バフ(42分)、イフェダヨ・オルセグン2(45+2分、60分PK)
 スランゴールFCが得点王争いでトップに立つイフェダヨ・オルセグンの2ゴールで勝利し、4連勝。AFCカップ出場権の懸かる3位以内でリーグを終える可能性を残しました。
 一方のペラFCは、この試合前に「休養」させていたチョン・イーファット監督が今季最後まで指揮を取ることを発表していますが、この「休養」期間中にシャーリル・ニザム コーチが監督代行を務めたチームはこの試合も含め3得点10失点で3連敗、後半戦開幕以降では1分5敗となり2部降格が一段と近づきました。

2021年8月21日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティFC 0-2 JDT
得点者:JDT-ベルグソン・ダ・シルヴァ(27分)、モハマドゥ・スマレ(83分)
 JDTはエースのベルグソン・ダ・シルヴァのゴールなどで快勝しています。この勝利で勝点48となったJDTは今季3節を残し、2位のトレンガヌFCとの勝点差が11に、試合数が3試合少ないクダ・ダルル・アマンFCとも勝点差が16となり、次節第20節のスリ・パハン戦に勝利すれば今季優勝とリーグ8連覇が決まります。
 PJシティFCは4試合連続でゴールなしの4連敗となり、11位のペラFCとは勝点差5のままとなっています。

2021年8月21日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌFC 1-2 クダ・ダルル・アマンFC
得点者:トレンガヌ-ドミニク・ダ・シルヴァ(70分)、クダ-ラビー・アタヤ(45+3分)、シャズワン・ザイノン(50分)
 首位JDTと直接対決を残すトレンガヌFCでしたがホームでクダ・ダルル・アマンFCに敗れる痛い敗戦で優勝争いから脱落したどころか2位の座も危なくなってきました。
 新型コロナ陽性者が出たことで、消化試合数が少ないクダ・ダルル・アマンFCは連勝で3位のスランゴールFCに勝点で並び、得失差で4位となっています。またこの日の勝利でクダ・ダルル・アマンFCは乗り試合を全勝し、JDTが残り試合全敗となれば、JDTの優勝を阻止できる唯一のチームとなりました。なおこの試合でDFロドニー・ケルヴィンが肩を負傷して途中退場し、その後の報道では今季残り試合の欠場が発表されるほどの重症と判明しました。

2021年8月22日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバFC 0-1 ペナンFC
得点者:ペナン-カサグランデ2(38分、55分)、シェリディン・ボボエフ(68分)
 前節で敗れたクダ・ダルル・アマンFC戦ではベンチ入りもしなかったカサグランデとエンドリックのブラジル出身コンビが復帰したペナンFCはそのカサグランデが3試合ぶりのゴールを決め3位を死守しています。
 サバFCは後半戦開幕以来3分3敗と未だ勝ち星がなく、7位ながら降格圏の11位まで勝点差6と残り3試合で下位のクラブ相手に取りこぼすことがあれば降格もあり得ます。

2021年8月22日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッドFC 1-1 UITM FC
得点者:マラッカ-S・クマーラン(45分)、UITM-ヴィクター・ニーレノルド(88分)
 UITM FCが終盤に主将のヴィクター・ニーレノルドのゴールで執念のドローに持ち込み、首の皮一枚のところで1部残留の可能性を残しています。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第19節終了時)

ClubGWDLGFGAGDP
1JDT1915314483648
2TFC19114431161537
3PEN1910453126534
4SEL1995537271032
5KDA16102429191032
6KL196942317627
7SBH194782026-619
8PJ184681121-1018
9MU194872024-417
10PHG184592029-917
11PRK1934121741-2413
12UITM181314837-296
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第19節終了時)

選手(クラブ)ゴール数
1イフェダヨ・オルセグン(SEL)22
2ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)20
3クパー・シャーマン(KDH)11
4カサグランデ(PEN)10
5パウロ・ジョズエ(KL)9
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ