5月11日のニュース:ケランタン州FAは未払い給料問題解決のためにサポーターからの寄付を募る、鈴木ブルーノ選手はTFC IIのプレミアリーグ優勝を信じる、Mリーグ4部のアマチュアクラブが元エスパニョール関係者をテクニカルアドバイザーとして契約

ケランタン州FAは未払い給料問題解決のためにサポーターからの寄付を募る
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版は、国際サッカー連盟FIFAにより今月5月30日までに未払い給料問題の解決を求められているケランタン州サッカー協会KAFAが、未払い給料を補うためにサポーターから寄付を募っているとと報じています。
 先日のこのブログでも取り上げましたが、KAFAは2018年から2019年にかけて在籍したブラジル出身のカッシオ・デ・ジーサスに対して62万9620リンギ(およそ1550万円)の未払い給料があり、今月末までに支払いを完了しなければ、リーグ戦の勝点剥奪や移籍期間トランスファーウィンドウでの新規選手獲得を禁じる裁定を受けることになっています。(KAFAは既に今年2020年の2回目と来年1回目のトランスファーウィンドウでの選手獲得を禁じられています。)
 そこでKAFAはサポーターに対して窮状を訴え、アーマド・ムザッキル・ハミド実行委員長名で寄付を募る告知をクラブの公式Facebookに掲載しています。
(以下はKAFA公式Facebookに掲載された告知。Kafa buka derma atas talian selamatkan bolasepak kelantan「Kafaはケランタンのサッカーを救うためのオンラインでの寄付を始める。」という見出しがついています。

 KAFAのムザッキル実行委員長は「Mリーグの中断と新型コロナウィルス拡大防止のための活動制限例MCOによって、収入を生み出し、負債を返済することが困難になっている。未払い給料問題を解消するためにKAFAはファンの支援が必要で、もし期限までに解消できなければ、KAFAはより厳しい状況に置かれることになる。」と述べています。
 なおケランタンFAがFIFAの制裁対象となるのは今回が初めてではなく、昨年はかつてKAFAのテクニカルダイレクターを務めたウルグアイ出身のアルフレッド・カルロス・ゴンザレスに対する未払い給料23万5686リンギ(およそ580万円)を期限までに支払わなかったことにより、FIFAの支持を受けたFAMがMリーグの勝点3の剥奪処分を下しています。
 なおKAFAはこの給料未払い問題以外にもマレーシアの年金制度にあたる従業員積立基金EPFの雇用主負担分100万リンギ(およそ2460万円)の未納なども明らかになっています。
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 かつて2012年にはリーグ戦、マレーシアカップ、FAカップと国内のタイトルを総なめしながら、そのわずか8年後には給料未払い問題解決にファンの寄付を募ることになったケランタンFAですが、2018年と2019年の給料未払いは、新型コロナウィルスとは全く無関係の放漫経営の結果なのは明らかで、個人的にはその穴埋めをサポーターに求めるのはいかがなものかと思いますが、KAFAのFacebookには次々と「寄付した!」というサポーターのコメントが増えています。
 ちなみにケランタン州はイスラム原理主義政党PASが州議会で与党を占めるイスラム色が非常に濃い州で、マレーシア航空のロゴにもなっているマレー凧(たこ)wauの凧上げやコマ回しgasingなどマレー文化や色濃く残す地域でもあります。また州都のコタバルは、太平洋戦争開戦の際、時差の都合で真珠湾攻撃よりも早く日本軍の侵攻が始まった戦場でもありました。

鈴木ブルーノ選手はTFC IIのプレミアリーグ優勝を信じる
 Mリーグ2部プレミアリーグで開幕から4連勝し首位でリーグ中断を迎えたトレンガヌFC II(TFC II)。このTFC IIで主将を務める鈴木ブルーノ選手はこのまま首位でリーグ優勝を成し遂げられると語っていると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは、9月からのリーグ再開を予定してMリーグ1部、2部とも1回戦総当たりという暫定日程を発表しています。
 鈴木選手は「新型コロナウィルスの影響により今期リーグ戦は残りは7試合だが、このチームは4連勝後も首位を維持するだけの力がある。(現在の首位という順位によって)チームは有利な立場におり、リーグ優勝を目指すには良い機会が与えられていると思っている。今季はチャレンジカップが中止されたので、TFC IIが優勝トロフィーを手にすることができるのはリーグ優勝だけである。」、「しかし(リーグが再開されれば)他のクラブも当然、優勝を狙って試合に挑んでくるので、大事なことは負けないことである。」と話し、リーグ中断期間中もピッチでは練習ができないものの、チームメイトがコンディションを維持していることを期待しているとも話しています。
 Mリーグ1部のトレンガヌFC(TFC)のBチームでロシャディ・ワハブ監督とサピアン・ワヒドコーチが率いるTFC IIは、リーグ中断前までの好調さを、リーグ再開が予定されている9月1日まで維持できれば、TFC IIがプレミアリーグで優勝するのは決して不可能ではないでしょう。
 最後に中止になったチャレンジカップについて鈴木選手は「2018年以来の優勝を目指していたチャレンジカップが中止になったのは残念だ」と話しています。
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 記事に出てくるチャレンジカップとは2018年に創設された国内のカップ戦です。リーグ戦終了後に行われるマレーシアカップへの出場資格がないMリーグ1部12位のクラブと2部6位以下のクラブが対象です。ただし、鈴木選手が所属するTFC IIのようにMリーグ1部所属クラブのBチームはマレーシアカップへの出場資格がないため、リーグ戦の順位にかかわらずチャレンジカップに出場します。
 ちなみにMリーグ中断期間中、マレーシアのテレビでは過去のリーグ戦やカップ戦の再放送を行なっていますが、その中でこの鈴木選手がTFC IIのAチーム、Mリーグ1部のトレンガヌFCに期限付き移籍(という呼び方が正しいのかどうかはわかりませんが)していた2018年の試合が放映されていました。攻撃ではTFCの主将リー・タック選手との息もあっていたので、またこの2人のコンビが見てみたいと思った次第です。

Mリーグ4部のアマチュアクラブが元エスパニョール関係者をテクニカルアドバイザーとして契約
 以前このブログでもその健全な財務状況をFacebookで公開したことを取り上げたMリーグ4部M4リーグのアマチュアクラブ、クルテーFCが、スペイン人のテクニカル・アドバイザーと契約したことをクラブの公式ソーシャルメディアで発表しています。
 クルテーFCと契約したのはスペインリーグのRCDエスパニョールでかつて国際部門のマネージャーを務めていたオスカル・リエラ氏です。
 現在はスペインリーグの2部や4部の複数のクラブと共同で、外国籍選手がヨーロッパ市場向けに才能を披露する場を作るための環境づくりを行なっているリエラ氏は、マレーシアへ来るのは今年2020年の年末になるようですが、それまではバルセロナの自宅から「リモートワーク」でクルテーFCのテクニカル・ダイレクターを務めるチェ・ク・マルズキ氏とともに、クルテーFCからヨーロッパでのプロサッカー選手を目指すための育成プログラムの作成に関わるということです。
 クルテーFCのサイド・カイリ・アミエルCEOは、長年の経験と実践的な考え方を持つリエラ氏はクルテーFCのテクニカル・アドバイザーには最適の経歴を持つ人物で、リエラ氏のテクニカルアドバイザー任命は、クルテーFCが目指している地元出身の選手の育成および強化にとって重要な役割を果たすと考えていると話しています。
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 上記のケランタンFAのように、有力外国人選手を大金で雇い入れて、短期間で結果を出す方法もあれば、このクルテーFCのように長期的な視野に立って投資する方法もあるでしょう。小規模なMリーグクラブの中にはこのクルテーFCの運営方針を真似てみるべきクラブもありそうです。
(写真はクルテーFCの公式Facebookより)

5月10日のニュース:ザフアン・アゼマンはタイ3部リーグのクラブと契約解除、クアラルンプールFAはリーグ再開を待たずに解散も、クチンFAは今月からFAMの給料削減指針を採用

ザフアン・アゼマンはタイ3部リーグのクラブと契約解除
 タイ3部リーグでプレーするマレーシア人選手のアザフ・ザフアン・アゼマンが自らのインスタグラム上で契約解除となったことを発表しています。
 昨年2019年8月からタイ3部リーグのアーントーンFCに所属していたザフアン選手は、新型コロナウィルスの影響によりクラブとアゼマン選手が契約解除に合意したとしています。
 インスタグラムのコメントではクラブの会長、スタッフ、コーチ、チームメートそしてクラブ関係者全員に向けて、加入以来、世話になったことへの感謝の意を表し、またこのクラブにいつか戻って来たいと話しています。
 またアゼマン選手はヴォケットFCに対しては、タイに来たことは自分にとって大いに役に立ったこと、タイ3部とMリーグは違いがあるものの似ている点もたくさんあると話し、試合会場のピッチの状況はタイ3部の方がはるかに上で、質の高いプレーヤーもたくさんいるとも話しています。
 なおタイ1部には代表選手のノーシャルル・イドラン・タラハ(BGパトゥム・ユナイテッド)、ドミニク・タン(ポリス・テロ)が在籍しています。
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 タイリーグに関するツイートを見ると、3部だけでなく1部でも外国籍選手が次々に契約解除になっているようで、外国籍選手は全員が契約解除になるのではという噂もある様です。9月まで試合がないタイリーグは今後も契約解除が続きそうで、そうなればノーシャルル選手やタン選手にもその影響が及ぶ可能性もあります。

クアラルンプールFAはリーグ再開を待たずに解散も
 マレー語氏ハリアンメトロ電子版では、Mリーグ2部のクアラルンプールFAが経営困難に直面しており、予定されている9月のリーグ再開までクラブが存続できない可能性があると伝えています。
 クアラルンプールFAを運営するクアラルンプールサッカー協会KLFAのノクマン・ムスタファ事務局長によると。今期2020年シーズン開幕前には来季の1部復帰へ向けて相応の費用をかけてチームを強化したものの、一部のスポンサーや広告主からのスポンサー料や広告費が支払われておらず、選手およびスタッフへの給料支払いに支障が出ているとしており、「今後もこの状況が続けば、Mリーグの再開が予定されている9月までの3ヶ月間、クラブを存続させていくことが難しくなるだろう。」と話しています。
 クアラルンプールFAの苦境は、新型コロナウィルスによるリーグ中断に加えて、KLFA内での人事も影響しています。KLFAはクアラルンプールを統治する連邦直轄地大臣でもあったカリド・サマド前会長が昨年11月に就任後、2部に降格したクラブを1年で1部へ戻すための手厚い支援を約束していましたが、今年3月の政変でカリド氏は連邦直轄地大臣を解任され、連邦直轄地大臣が会長を務めるKLFAの会長職も辞任、その結果、クアラルンプールFAの運営方針も変更されています。
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 ここでもやはり公的機関や政府機関へ依存するMリーグクラブの問題点が露呈しています。マレーシアの連邦直轄地であるクアラルンプールは連邦政府の管轄で、KLFAの運営には他の州FA同様、公的資金が使われています。連邦直轄地大臣だったカリド氏の国民信用党はマハティール前首相率いる希望同盟の構成党でしたが、3月に発生した政変により希望同盟は政権を失い、野党となった国民信用党のカリド氏は大臣職を解任されてしまいました。カリド氏はKLFAの会長も辞任、KLFAはシーズン途中のトップ交代で方針転換を迫られた上、新型コロナウィルス対策で連邦政府からの支援方針も変更になり、経営困難に陥った、という図式です。

クチンFAは今月からFAMの給料削減指針を採用
 東マレーシア(ボルネオ島)のサッカー専門サイトのサラワク・クロックスは、Mリーグ2部のクチンFAが今月5月からの選手およびスタッフに対する給料削減について、先日、マレーシアサッカー協会FAMが発表した指針に沿って行うと報じています。
 クチンFAのファズルディン・アブドル・ラーマン会長によると、クラブはFAMが示す指針に従うことには依存はなく、この指針に沿ってマレーシア人選手、外国籍選手およびスタッフに対して給料削減を行うとしています。
 ファズルディン会長は「新型コロナウィルスによって影響を受けた他の産業と同様に、Mリーグの各クラブも困難ではあるがFAMの指針に沿った給料削減を行う必要がある」と話しています。
 FAMは自らが示した指針について、既に給料削減についての選手およびスタッフとの合意が得られているクラブには適用できないとしていることから、クチンFAが既に行った給料削減について選手との合意に達していたのは4月分までということがわかります。
 なおクチンFAには鈴木雄太選手と谷川由来選手が在籍しています。

5月7日のニュース:リーグを短縮日程としてでもマレーシアカップを開催する理由、帰化選手のクラスニキが代表戦出場可能に、ケランタン州協会は2部リーグの放映拡大を要望

リーグを短縮日程としてでもマレーシアカップを開催する理由
 マレーシアの国内リーグMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは、現在中断中のMリーグ再開に向けて、マレーシア政府が9月再開を許可した際の日程を発表しています。それぞれ全12クラブで争うMリーグ1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグとも今季2020年シーズンは1回戦総当たりの11試合(中断前に4試合は実施済み)とし、日本で言えば天皇杯にあたるFAカップは中止を決めています。
 その一方で、試合形式は変更になったものの、中止とはならなかったのがマレーシアカップです。このマレーシアカップはMリーグ終了後に行われ、スーパーリーグの上位11クラブとプレミアリーグの上位5クラブ(ただしスーパーリーグ所属クラブのBチームは出場権なし)の合計16クラブで争われるカップ戦です。
 マレー語紙ブリタハリアン電子版は、なぜ、FAカップが中止となりながら、マレーシアカップは実施となったかを解説する記事を掲載しています。
 MFLがマレーシアカップの開催にこだわったは、このカップ戦が持つ歴史と名声が大きな要因である、と話すのはMFLのアブ・ガニ・ハサンCEOです。「前身のマラヤカップから数えると今年がちょうど100周年となるマレーシアカップは、国内サッカーの重要なブランドであり、多くのサポーターが郷愁を感じるカップ戦であることから、(リーグが9月再開となった場合の)限られた時間の中で、FAカップや(マレーシアカップに出られないクラブが出場する)チャレンジカップを犠牲にしてでも開催するという結論に至った。」
 また、アブドル・ガニCEOは、マレーシアカップの優勝クラブが、マレーシア代表としてアジアサッカー連盟AFCカップに出場するとしたMFLの発表は間違いではないとしています。MFLはFAカップとマレーシアカップの優勝クラブのどちらか一方をマレーシア代表して選ぶことができるとした上で、FAカップが中止となった今、マレーシアカップの優勝クラブがAFCカップに出場できると話しています。
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 英国の植民地であった当時の英領マラヤで、英国海軍の戦艦HMSマラヤより寄贈されたカップ「マラヤカップ」を争奪する大会として1921年に第1回大会が開かれたマラヤカップは、1967年カラはマレーシアカップと名称を変え、現在に至ります。日本の天皇杯(天皇杯JFA全日本サッカー選手権大会)も同じ1921年に第1回を開催しており、両大会はアジア最古の大会とされています。
 ところが両大会は性格が大きく異なり、マレーシアカップが16のプロクラブだけが出場する大会、日本で言えばJリーグカップのような大会なのに対して、天皇杯はアマチュアクラブも地方予選から参加する大会だということ。ちなみにマレーシアでアマチュアとプロが参加する全国大会はFAカップですが、こちらは第1回大会が1990年で、1994年から始まったJ歴史や伝統を持ち出されるとマレーシアカップには太刀打ちできません。
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 ところで、マレーシアカップ優勝クラブがAFCカップに出場するというアブ・ガニCEOの発言を読んで、少々気になる点があります。というのはAFCカップの出場権が「全国レベルの国内カップ戦優勝クラブ」に与えられるという点です。これまで、Mリーグ1部スーパーリーグの優勝クラブは国内1位のクラブとしてACLチャンピオンズリーグACLの本戦へ、FAカップ優勝クラブは国内2位のクラブとしてACL予選に出場してきました。16のプロクラブだけの大会であるマレーシアカップが果たして「全国レベルの国内カップ戦」とAFCに認められるのかどうかは定かではありません。

帰化選手のクラスニキが代表戦出場可能に
 今季からジョホール・ダルル・タジムJDTでプレーするリリドン・クラスニキは国際サッカー連盟FIFAが規定する「18歳に達した後から5年以上その国で継続居住歴を持つ」という帰化条件を満たしたことから、今年2月にマレーシアの国籍を取得し、JDTではマレーシア人選手として登録されています。
 マレーシア国内ではマレーシア人選手としてのプレーが可能となったものの、代表でのプレーについては、FIFAによる承認が必要でしたが、ブリタハリアン電子版では、マレーシアサッカー協会FAMのもとにFIFAより承認を伝える連絡が入ったということです。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長によれば、FIFAは帰化規定中の「5年」を厳密に計算したところ3月25日がちょうど5年目に当たる日だったとし、この日をもって5年経過となり、クラスニキ選手はFIFAから正式にマレーシア人選手として承認されたとしています。
 ラマリンガム事務局長は、もう1人の帰化選手であるギリェルメ・デ・パウラ(ペラTBG)については、FIFAからは何の連絡も受け取っていないと話しています。
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 このクラスニキ選手が代表でのプレーを承認された3月25日は、FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFCアジアカップ2023年大会予選のアラブ首長国UAE戦が予定されていた3月26日の前日で、クラスニキ選手が実際にUAE戦に出場できるのかどうかは定かではありませんでした。しかし、幸か不幸かこのUAE戦が新型コロナウィルスの影響で延期となったことで、クラスニキ選手は予選再開後は問題なく出場する資格を得ることができました。

ケランタン州協会は2部リーグの放映拡大を要望
 渡邉将基選手が所属するケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAは、予定されているMリーグの9月再開が実現した際には、所属するMリーグ2部プレミアリーグの放映を拡大するように求めていると、ブリタハリアン電子版が報じています。
 KAFAのスポンサー委員会のアーマド・ムザッキル・ハミド委員長は、リーグ再開となっても無観客試合が予定されていることから、クラブを支援するスポンサーの功績を称える行動が必要であると述べています。
 「(MFLの規定により)KAFA自身がライブストリーム配信やソーシャルメディアで中継を配信をすることができないため、2部プレミアリーグの放映権を持つメディアに対して試合の放映を要請したい。観客を入れずにリーグが再開した場合、(KAFAが運営する)ケランタンFAの試合を放送することでスポンサーの功績を認める必要がある」とアーマド・ムザッキル委員長は話しています。

5月4日のニュース:今季終了後の降格と昇格と3部リーグ再開の詳細については6月に決定、給料削減指針は給料未払い問題を抱えていないクラブにのみ適応されることをFAMが強調

今季終了後の降格と昇格と3部リーグ再開の詳細については6月に決定
 Mリーグ1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグとも12クラブの1回戦総当たりの11試合という変則日程で今季を行う案を発表したマレーシアフットボールリーグMFLは、シーズン終了後の昇格と降格についての詳細を6月に発表するとしています。なお第4節開催後に中断となっているMリーグは9月1日及び2日再開、9月26日および27日終了とする日程案をMFLは発表しています。
 英字紙スター電子版によると、MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、現時点では降格と昇格については何も決定していないと話す一方で、降格と昇格はプロリーグに欠かせないものであり、この仕組みをなくすことによって各クラブ間の競争力が低下することは避けたいとも話し、6月に予定しているMFLの取締役会議で今季の降格と昇格に関する詳細を決定するとしています。
 また9月再開予定のMリーグは、マレーシア政府が求める標準進行手順SOPにより全て無観客試合として行われることになっていますが、入場を制限できる設備のある1部や2部のスタジアムと異なり、観客が集まることが避けられないフィールドも試合会場となるMリーグ3部のM3リーグについては、マレーシア政府のSOPに沿った運営ができない場合には、再開せずにこのまま今季は中止となる可能性があるとも話しています。
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 Mリーグは中断となる前の第4節終了時点で、1部スーパーリーグは、いずれも給料未払い問題により勝点3の剥奪(はくだつ)処分を受けたPDRM FCが12位(勝点-2)、マラッカ・ユナイテッドが11位(同3)、一方2部プレミアリーグは1位からトレンガヌFC II(勝点12)、ケランタン・ユナイテッドFC(同9)、ペナンFA(同8)、クアラルンプールFA(同8)となっています。なお、スーパーリーグ所属のトレンガヌFCのBチームであるトレンガヌFC IIには昇格資格はありません。

給料削減指針は給料未払い問題を抱えていないクラブにのみ適応されることをFAMが強調
 マレーシアサッカー協会FAMは、国内リーグの各クラブの内、選手およびスタッフと給料削減について未だ合意のできていないクラブを対象とした指針を発表していますが、この指針について、未払い給料問題を抱えるクラブを救済する手段ではないことを強調していると、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガムは、現時点ではどのMリーグクラブからも3月分の給料未払いが発生しているという報告は受けていないとする一方で、FAMは給料未払い問題を抱えるクラブには発表した指針に沿った給料削減を認めないとしています。
 「FAMの『地位及び法務委員会』への給料未払い問題の報告は上がってきていないが、それがそのまま給料未払い問題が発生していないという意味ではない。新型コロナウィル感染による国内の経済状況悪化によって給料の遅配が起こっている可能性がある。」「その場合、二つの状況が考えられる。一つ目は3月分の未払い給料が発生してはいるが、選手及びスタッフとクラブとの間で、支払い方法や支払い時期についての合意がされている場合で、この場合はFAMの指針を適用して4月以降の給料削減を行なって良い。」「しかし3月の給料が未払いながら、その支払い方法などで選手及びスタッフとクラブが合意していないにも関わらず、4月以降の給料削減を行いたいとするクラブに対しては、FAMは指針に沿った給料削減は認めないだけでなく、そう言った行為を行うクラブに対しては、選手の権利を守るために処罰を行う。」とラマリンガム事務局長は話しています。
 またリーグ再開案として出されている9月の再開に関しては、いつからチーム練習が可能になるのか、またどこで練習や試合を行うのかについては、アジアサッカー連盟AFCからの助言や他国のリーグの状況を見ながらFAMが指針を作成するとしています。

5月3日のニュース:MFLのリーグ再開案に対する各クラブの反応

 マレーシア政府の指示によって9月再開あるいは今季中止のいずれかの可能性まで絞られたマレーシアの国内リーグMリーグ。それぞれ12クラブで構成されるMリーグ1部スーパーリーグと2部プレミアリーグは従来はホームアンドアウェイで22試合を戦う予定でしたが、Mリーグを運営するMFLは9月再開となった場合は各クラブと1度ずつのみの対戦となる全11試合(リーグ中断前に実施済みの4試合を含む)という日程へと変更することを発表しています。
 この新たな日程について、いくつかのチームの反応が当地のメディアに取り上げられています。

スランゴールFC監督は再開予定発表を歓迎も不安要素にも言及
 スランゴールFCのサティアナアン・バスカラン監督は9月に再開を予定するMFLの案を歓迎しながらも、現時点では不透明な要素が多いと語っていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 「リーグ再開前に練習試合を行うことが許可されるのか、また、再開前の練習の際のソーシャルディスタンスをどうするのかなど、MFLは指針を示す必要がある。」と話すサティアナタン監督は、リーグが11試合で開催される予定となったことはスランゴールFCにとっては不利になったとも話しています。
 「AFCチャンピオンズリーグやAFCカップへの出場権を獲得するためには、現在の5位から最低でも2位にならなければならず、残り試合が7試合しかない状況はクラブにとって大変厳しい」と語っています。
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 リーグ中断前の4試合で1勝2分1敗だったスランゴールFCは、フェルダ・ユナイテッド、サバFAとともに勝点5となっていますが、得失差によりサバFAが4位隣、スランゴールFCは得失差も同じフェルダ・ユナイテッドと5位を分け合う状況になっています。

最下位PDRM FC監督は早くも2部降格を心配
 マレー語紙ブリタハリアン電子版では、Mリーグ1部のPDRM FCが早くも今季終了後の2部降格について心配している、と報じています。
 リーグ中断前の4試合を0勝1分3敗として最下位に位置するPDRM FCのモハマド・イシャク・クンジュ・モハマド監督は、リーグ再開の意思を示したことは、選手およびスタッフの生活が守られると話す一方で、従来通り1部から2クラブが降格、2部から2クラブが昇格というルールが短縮される予定の今季リーグでも適用されるのかどうかに最も関心があると話しています。
 PDRM FCは、未払い給料問題が期限までに解決できなかったことを理由に、今季開幕前に勝点3の剥奪(はくだつ)処分を受けており、現在の勝点は-2となっています。
 「最終的には(Mリーグを運営する)MFLが決定することではあるが、通算で11試合となる今季のリーグ戦に限っては降格と昇格を行わないという方法もあると思う。」と話しています。
 またモハマド・イシャク監督は、サッカーという産業に関わる全ての人間にとって、MFLとマレーシアサッカー協会FAMがリーグ再開方針を示したことは、全員の福利を守るという点で評価できるとも話しています。

ヌグリスンビランFAは来季昇格に向けて全勝を目指す
 2部プレミアリーグに所属するヌグリスンビランFAは、中断前の4試合を1勝0分3敗としていますが、今季のMリーグが1回戦総当たりとなったことについて、サザリ・サイドン監督は、残り試合を全勝するつもりで臨む必要があるとマレー語紙ブリタハリアン電子版に語っています。
 「開幕から4試合の結果が思わしくなかったことにより、チームにはプレッシャーがかかっているが、これまで以上に努力する必要がある。来季、スーパーリーグへ昇格するためには全試合に勝利する必要がある。さもなければ、来季もプレミアリーグに残ることになる。それは(プレミアリーグの上位5クラブに出場権が与えられる)
今季のマレーシアカップ出場についても同様である。」
 「予定されている9月のリーグ再開の前に予定されているチームとしての練習期間は2週間とされているが、その短期間に選手、監督、コーチはチームを準備するのは容易ではなく、しかも再開後の日程はおよそ1ヶ月で7試合をこなすハードスケジュールとなっているため、ヌグリスンビランFAにとっては難題となるだろう」と話しています。
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 MFLは9月1日再開、9月27日リーグ終了、4週間で8節を行う予定を立てています。またリーグ戦で5位以内に入れなければ、マレーシアカップの出場権なく、例年ならマレーシアカップに出場資格がないクラブを対象としたチャレンジカップという大会がありますが、MFLは今季のチャレンジカップの中止を発表しています。

UKM FCはホームゲーム数の公平な分配を求める
 2部プレミアリーグに所属するUKM FCは、9月再開となった場合、第2節が雷雨で中止となっているため、残りは8試合となりますが、その際にはホームとアウェイの試合数配分を公平にすることをMFLに要望していると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 UKM FCのモハマド・ファイラス・シャフィ名誉事務局長は、まだMFLからは何も通達がないとした上で、ホームのチームは試合では有利であるとして、各クラブのホームとアウェイの試合数を不公平がないように分配することを求めています。
 UKM FCは中断前の3試合を1勝1分1敗としています。

5月1日のニュース(2):Mリーグは変則日程で9月1日再開予定と発表も、政府の認可待ち

 マレーシアの国内リーグMリーグを運営するMFLは公式サイト上で今後の計画を発表しています。7月からの各クラブの練習開始と8月からのリーグ再開というMFLの要請はは却下されたとしており、これにより当初の予定を変更し、新たな案として発表されたのは以下の通りです。くどいようですが、これは決定事項ではなく、あくまでもMFL作成案であり、Mリーグ再開については現在もマレーシア政府の認可待ちであることにご注意下さい。

1)今季2020年シーズンのMリーグ1部スーパーリーグと2部プレミアリーグは9月1日と2日より再開し、第5節から第11節までを行い、9月26日と27日を持って終了する。
2)マレーシアカップは10月17日と18日に開幕し、11月7日に決勝戦を行う。またフォーマットは従来のグループステージ形式、準々決勝と準決勝のホームアンドアウェイ形式も採用せず、他全試合をトーナメント形式とする。マレーシアカップの出場クラブはスーパーリーグ上位11クラブとプレミアリーグの上位5クラブとする(プレミアリーグ所属のBチームには出場資格なし)
3)FAカップとチャレンジカップは中止。
4)各クラブは、FAMとMFLがFIFAやAFCによる指針とマレーシア政府保健省、青年スポーツ省、国家安全保障委員会の指示に従って発表する活動方針に従って8月から練習開始。
5)すべての試合は無観客試合として実施。
6)Mリーグが9月に再開する場合、リーグ開催期間中の選手移籍は禁止
7)9月中のMリーグ再開が許可されない場合、今季2020年シーズンは中止。
8)Mリーグ3部のM3リーグの再開については、多くの試合会場施設の都合上、無観客試合の実施が難しいことから6月に決定する。

 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、上記の内容については来月6月に見直しを行うとしており、マレーシア国内の新型コロナウィルス感染拡大の状況によっては、さらに変更も考えられると話しています。
 また上記の日程が実施された場合には、スーパーリーグの優勝クラブが2021年のAFCチャンピオンズリーグへの出場権を、マレーシアカップの優勝クラブとスーパーリーグの準優勝クラブが2021年のAFCカップへの出場権が獲得しますが、万が一、9月にMリーグ再開が果たせず、今季中止となった場合には、2019年のスーパーリーグ優勝クラブジョホール・ダルル・タジムJDTがACLへ、2019年スーパーリーグ準優勝クラブのパハンFAと2019年FAカップ優勝のクダFAがAFCカップへ出場するとしています。

 今回の日程発表では、現在中断中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選や、やはり中断中でJDTが出場中の2020年ACL、そして11月21日から12月15日にかけて予定されているAFF選手権スズキカップを念頭に置いたものだとしています。

4月26日のニュース:次代のエースは当面は国内で練習へ、TFC主将は給料削減の追加を申し出る、国内リーグ主催者は未払いの審判手当の支給を約束か

次代のエースは当面は国内で練習へ
 マレーシアU19代表で活躍したルクマン・ハキム・シャムスディンは、昨年2019年の東南アジア競技大会シーゲームズでは飛び級でU23代表でプレーし、今年2月には英国2部のカーディフシティーでの練習に参加した後、ベルギー1部リーグのKVコルトレイクに加入が予定されていました。しかし就労ビザ発給が遅れ、その後は新型コロナウィルス感染がヨーロッパ各地で拡大したことから、現在はマレーシア国内に留まり、当面はMFL2部のスランゴール2でのプレーを検討中であると英字紙スター電子版が報じています。
 ルクマン選手が今年最初の移籍期間にスランゴール2に登録されたことは既にこのブログでも取り上げていますが、ルクマン選手が移籍予定のベルギーリーグはリーグ打ち切りを決めながらも欧州サッカー連盟UEFAの「圧力」で決定を取り消すなど混乱が続いており、ルクマン選手の渡欧はすぐには実現しそうもありません。
 4月23日にさらに2週間の延期が発表された活動制限令下は自宅で練習中というルクマン選手は、今季のリーグ戦ではスランゴール2ではまだプレーしていませんが、リーグ再開に備えて準備を続けたいとしています。
 カーディフシティー、KVコルトレイクともマレーシア人ビジネスマンのヴィンセント・タン氏が所有するクラブで、ルクマン選手はKVコルトレイクと5年契約を結んでいます。
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 2018年のアジアサッカー連盟AFC U16選手権では、マレーシア代表はグループステージで敗退したものの、5ゴールを挙げたルクマン選手は、優勝した日本代表の西川潤選手(セレッソ大阪)らと大会得点王を分け合っています。
 ところで、このルクマン選手は練習以外の時間に、バイクで食べ物などのデリバーを行なっているという報道もあります。今はサッカーのことだけを考えて生活しても良いのではとも思いますが、とにかく、他のデリバリーの方々同様、新型コロナウィルス感染や運転するバイクの事故などには気をつけて欲しいです。

TFC主将は給料削減の追加を申し出る
 トレンガヌFCのリー・タックはイギリス出身の外国籍選手ながらチームの主将を務めていますが、このタック主将がクラブによる給料削減に加え、さらなる削減を自ら申し出たことをタック選手の代理人が明かしています。
 2018年からトレンガヌFCでプレーしているタック選手の代理人を務めるエフェンディ・ジャガン・アブドラ氏は、タック選手に代わってクラブと給料削減についての交渉を行い、その席で決まった削減額を伝え、タック選手もその額に同意したそうです。しかし、その翌日に、タック選手から連絡があり、自分の給料をさらに削減するようクラブに伝えるよう依頼があったそうで、タック選手は最終的には「かなりの額」を削減することになったということです。タック選手の他、シンガポール出身のファリス・ラムリら複数の外国籍選手の代理人も務めるエフェンディ氏は、他の外国籍選手も給料削減の必要性を理解していると話しています。
 これを報じたマレー語紙ハリアンメトロ電子版は、具体的な金額は明らかにしていないものの、この給料削減は4月分の給料から行われ、チーム練習が再開するまで続くというエフェンディ氏のコメントも紹介しています。

国内リーグ主催者は未払いの審判手当の支給を約束か
 マレーの通信社ブルナマは、国内リーグの運営するマレーシアフットボールリーグMFLが、未払いとなっている審判手当について今月中に支払う予定であるようだと報じています。
 昨季2019年シーズンのマレーシアカップ、国内リーグ3部のM3リーグ、そして今季2020年のFAカップでの試合の審判手当が未払いとなっている件について、審判を手配している複数の州サッカー協会審判部にSNSでメッセージが送られ、MFLは5月前にまでには支給するという連絡が届いたとしてます。
 この情報を得て、ブルナマはMFLとマレーシアサッカー協会FAMに審判の手当未払い問題が存在するかどうかを確認しようとしたそうですが、その問い合わせについてはMFL、FAMとも返事をしなかったとも報じています。
 なお審判手当の未払いについては、MFL、FAMともこれまで公式な発表は行っていません。
 この審判手当未払い問題は、4月21日に地元テレビ局が第一報を報じたことに端を発しますが、その際の報道内容は」審判手当の支給をMFLに拒否されたという話がSNS上で国内サッカーファンの関心を集めている」というものでした。
 ブルナマによれば、審判手当の未払いはMFLクラブとは無関係であること、またこの審判手当未払いは、つい最近の問題ではなく、過去にも起こっていたということです。
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 もしこの報道が事実だとすれば、未払い給料問題を抱えるクラブをMFLが罰するという図式に説得録がなくなるどころか、むしろそれが滑稽に見えてしまいます。しかし果たして実際はどうなのかは、MFLおよびFAMからの公式声明もないということですので、続報を待ちたいと思います。

4月24日のニュース:ベルギー代表を目指すクチン生まれの24歳、サポーターの多くはリーグ中止を希望、TFC IIは給料削減に合意

ベルギー代表を目指すクチン生まれの24歳
 このブログでも何度か取り上げたディオン・ヨハン・コールズは、サラワク州クチンで生まれ、マレーシア人の母親とベルギー人の父親を持つ24歳のプロサッカー選手です。そのコールズ選手が、今後ヨーロッパでの活躍の機会がなければ、マレーシアでのプレーも視野に入れているようだと、英字紙ニューストレイトタイムズが伝えています。
 将来はベルギー代表でプレーしたいと話すコールズ選手は、ベルギーU18代表、U19代表、U22代表でプレーし、欧州サッカー連盟UEFA U19選手権出場や、クラブ・ブルッヘでも主力選手としてUEFAチャンピオンズリーグの出場経験もあります。しかしこれまでフル代表への召集はなく、またクラブ・ブルッヘでも出場機会が減ってきたことから、今年1月にベルギー1部リーグのクラブ・ブルッヘからデンマーク1部リーグのFCミッティランに移籍しています。
 FCミッティランとの契約は2023年まで残っているコールズ選手に対して、これまでにマレーシア国内リーグのパハンFAやジョホール・ダルル・タジムJDTが獲得に興味を示したとされていますが、いずれも実現していません。それでもJDTは現在も獲得に興味を持っているとされ、ベルギー代表でのプレーを諦めれば、マレーシア国籍を取得してJDTへ移籍し、さらにマレーシア代表入りという可能性があるようです。
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 このコールズ選手は4月19日に地元のテレビ局の番組に中継で出演し、マレーシアサッカー協会FAMから代表招集について連絡を受けたことがないため、考えたこともないと話す一方で、正式に連絡を受ければ代表参加について検討したとも発言しており、その結果としてこの記事が出たのだと思います。2017年に当時のマレーシア代表監督を務めていたポルトガル人のネロ・ヴィンガダ監督が代表チームに加わる意思があるかどうかの連絡を取ったとされていますが、その時は結局、何も起こりませんでした。
 本来のポジションは右サイドバックながら、185cmの身長を生かしてセンターバックもできるということなので、不用意なミスが見られるシャルル・サアド以外に人材がいないマレーシア代表にとっては、コールズ選手は是非とも欲しい戦力です。

サポーターの多くはリーグ中止を希望
 昨日4月23日にマレーシア全土に発令中の活動制限令MCOのさらに2週間延長が発表されましたが、マレー語紙ブリタハリアン電子版によると、同紙が行ったアンケート調査によると多くのファンが、MCOが解除後も今季のリーグ中止を望んでいるということです。
 マレーシアサッカー協会FAMと国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは現在、活動制限令MCO解除後のリーグ再開を検討しているとされていますが、多くのサポーターは反対意見を持っているようで、ブリタハリアンが同紙の公式Facebook上で行ったアンケート調査によると、4万891件の回答の中で、およそ90%がリーグ中止を支持するとしたと報じています。また同紙はTwitter上でも同様のアンケートを行い、こちらは1051件の回答中、87%がリーグ中止に賛成を表明したということです。
 Facebook上のアンケートでは、490名が安全上の問題を挙げ、リーグ中止が新型コロナウィルス感染拡大防止に役立つと回答し、その中には「リーグを再開すれば新しいクラスター形成につながる可能性がある」といった意見や「リーグ再開は国にとっての優先事項でない」などの意見が出ています。
 活動制限令解除後も、マレーシア政府は多くの人が集まるイベントは半年から1年の間、禁止する可能性があるとも言われており、ブリタハリアンの記事は少なくとも今季のリーグは中止とするのが最善の選択だろうと結んでいます。

TFC IIは選手が給料削減に合意
 マレーシアフットボールリーグMFL2部のトレンガヌFC IIはクラブと選手およびスタッフとの間で給料削減に合意したとマレー語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 MFL1部のトレンガヌFCのBチームであるトレンガヌFC II(TFC II)には鈴木ブルーノ選手が在籍しています。
 ロシャディ・ワハブ監督の談話によると、ワハブ監督とサピアン・ワヒドTFC IIコーチがトレンガヌFC IIを運営するトレンガヌ州サッカー協会PBSNTと選手たちを仲介し、受け取っている給料の額に応じて5%から30%の給料削減が行われることに選手、監督、コーチが同意したということです。なお給料削減は4月分から行われるということです。
 マレーシアサッカー協会FAMは、MFL1部と2部のクラブに対して、4月22日を起源としてクラブと選手、監督、コーチとの間で給料削減について同意するよう求めていました。

4月22日のニュース:フェルダ・ユナイテッドが給料削減を決定、一方、ケランタン・ユナイテッドはMCO延長の場合に給料削減を検討、インドネシア代表が新ユニフォーム発表

フェルダ・ユナイテッドが給料削減を決定
 マレーシアフットボールリーグ1部のフェルダ・ユナイテッドFCは、選手や監督、コーチに対して5%カラ20%の給料削減を行うことを発表したと、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 給料削減実施を決定したのは、ジョホール・ダルル・タジムJDT、ケランタンFA、マラッカ・ユナイテッド、ペナンFA、クダFAに次いで6クラブ目となります。
 なお、今季から恵龍太郎選手も所属するフェルダ・ユナイテッドの給料削減は、4月14日にクラブと選手やスタッフとの間で合意されたとしており、現在、マレーシア全土に発令中の活動制限令MCO期間中のみを対象としているということです。
 ニザム・ジャミル監督は、クラブが2018年分の未払い給料を完済したことも明らかにした上で、現場の選手だけでなく、フロントのスタッフらとともに現状を乗り越えるために給料削減をクラブの全員が受け入れたとしています。
 またフェルダ・ユナイテッドのアフィザル・アブ・オスマン事務局長は、ニザム監督とジャサズリン・ジャマルディン主将との話し合いを経て、クラブ全員の同意が取れたとし、U21のプレジデントカップチーム、U19ユースカップチーム、アカデミーの選手を含めた関係者全員に給料削減を知らせる手紙を送ったことを明らかにしています。
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 この記事では、フェルダ・ユナイテッドを含めて6クラブが給料削減に同意とありますが、クチンFAも給料を削減し、その一部を寄付した記事をこのブログで取り上げましたので、正確には7クラブが給料削減に同意ということになります。

一方、ケランタン・ユナイテッドはMCO延長の場合に給料削減を検討
 今季2020年シーズンからマレーシアフットボールリーグMFL2部でプレーするケランタン・ユナイテッドFCは、現在発令中の活動制限令MCOがさらに延長された場合には、給料削減を検討する予定であると、英字紙マレーメール電子版が報じています。
 ケランタン州選出の国会議員でもあるケランタン・ユナイテッドのチェ・アブドラ・マット・ナウィ会長は、現時点でクラブは選手に対して契約通りの給料を支払っていると話す一方で、現在、マレーシア全土に発令中の活動制限令が解除を予定されている4月28日以降も延長される場合には、選手や監督、コーチと給料削減に関する話し合いを持たなければならないだろうと話しています。

インドネシア代表が新ユニフォーム発表
 インドネシアサッカー協会PSSIの公式サイトでは、代表の新たなユニフォームが発表されています。
 2007年からナイキ社製のユニフォームを使用していたインドネシア代表ですが、今年2020年1月には、タイのWarrix(ウォリックス)社と契約を結び、新ユニフォームが発表されていました。(1月に発表されたホーム(左)とサード(右)-Warrix社のFacebookより)

 しかし今回、発表された新ユニフォームは地元スポーツメーカーのミルズ社製で、これは多くのサポーターからインドネシアのブランドを使うべき、という声が上がったことからPSSIがWarrix社との契約を取りやめたことによるものであるという報道も見られました。

 ミルズ社はインドネシア最大のスポーツメーカーで、トレーニング用ユニフォームは今年2月から代表チームに供給していたようですが、今月4月に試合用ユニフォームのサプライヤーとなったようです。
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 インドネシア代表の伝統的な赤のホームユニフォームには、左右の肩から前面にかけて「ガルーダ・ハグ」と呼ばれる翼がデザインされています。(筆者注:「ガルーダ」はインドの神話に登場する鳥で、ヒンドゥー教の「維持」の神であるヴィシュヌが乗る神鳥。ガルーダはインドネシア代表の愛称でもあります)アウェイやサードユニフォームは追って発表されるということですが、新型コロナウィルスの影響で当面は国際試合が行われる予定もなく、お披露目はまだ先になりそうです。

4月13日のニュース:選手会はクラブに誠実な話し合いを求める、タイでプレーする代表FWの代理人が音信不通に 、音信普通とされた代理人は代表FWに反論(続報)

選手会はクラブに誠実な話し合いを求める
 マレーシアプロサッカー選手会PFAMは、マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグと2部プレミアリーグの選手はクラブと契約の見直しについて話し合いをする用意があるとして、選手の同意なしに契約内容を変更しないようクラブ側に警告しています。
 英字紙スター電子版によると、PFAMのイズハム・イスマイルCEOは、選手との契約をクラブが一方的に改編することはできないことを理解した上で、先日、FIFAが発表した新型コロナウィルス感染拡大に伴う契約見直しの指針を参考に、クラブは選手とともに契約内容の見直しについて真摯に話し合うべきであると述べ、PFAMはクラブが選手と自由に交渉することを認めています。
 選手はクラブと給料削減についての交渉の席につくべきではないという主張をこれまで繰り返してきたPFAMは、選手に給料削減を強制しているのではなく、クラブとの間で両者が合意できる様な解決を目指すべきと主張するマレーシアサッカー協会FAMと対立していましたが、PFAMは今は争う時期ではないとして、クラブに誠実に話し合うことを求めています。
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 4月14日までとされていた活動制限令MCOが4月28日まで延長することがマレーシア政府から発表され、既に延期が決まっていたMFL第5節と第6節に加えて第7節から第9節までの延期も確定したことから、PFAMも軟化したしたのかも知れません。
 ただしマレーシア政府はMCO期間中の給料削減や解雇は認めないとしており、プロサッカー選手だけにその権利を認めないわけにいかないことから、FAMには交渉による合意を勧めることしかできません。同様の措置をとっている英国政府が選手に給料削減の受け入れを求めたことに対して、選手会はダブルスタンダードであると反発しており、FAMが強硬な姿勢を取れば、PFAMも態度も再び態度を硬化させる可能性があります。

タイでプレーする代表FWの代理人が音信不通に
 今季から隣国タイでプレーするノーシャルル・イドラン・タラハは、新型コロナウィルス感染拡大とともに自分の代理人と音信不通になったと話していると、英字紙ニューストレイトタイムズに語っています。
 マレーシアフットボールリーグMFLで13年間プレーしたノーシャルル選手は、今季からタイ1部リーグのBGパトゥム・ユナイテッドでプレーしていますが、タイ1部リーグは5月2日まで中断となっており、これに伴いクラブが給料削減について選手と交渉を始めたことから、代理人と相談ををしようとしたところ、連絡が取れなくなっているようです。
 「マレーシアと同様にタイでもクラブと選手が給料削減について交渉をするよう促されており、その相談のために代理人に何度も電話を入れたが、返事もメッセージもなく、その理由が不明である」と話すノーシャルル選手は、数日前にその代理人がマレーシアではシンガポール出身の選手が高く評価されている、というこの代理人のコメントをメディアを読んだとして、ケガや病気で連絡が取れないのではないことはわかっていると話し、「もし彼がこの記事を読んでいたら、連絡が欲しい」と訴えています。
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 ノーシャルル選手が言及しているシンガポール選手の記事は、このブログでも取り上げたMFL公式サイトの記事を指すと思われますが、そこに登場する代理人はアブドル・ハリム・アブドル・シュコル氏なので、このアブドル・ハリム氏とノーシャルル選手との間で何らかのトラブルが起こっているのかも知れません。

音信普通とされた代理人は代表FWに反論(続報)
 上の記事が出た翌日のニューストレイトタイムズに続報が掲載されました。
 ノーシャルル選手の代理人(正確には元代理人)のアブドル・ハリム氏が自分の知らないところで、ノーシャルル選手が新たな代理人と契約したと話していることに対して、ノーシャルル選手はその内容を否定しているという内容です。
 ノーシャルル選手は、アブドル・ハリム氏が取締役を務めるOffside Sports社との契約を解除し、タイで代理人業務を行なっているPro 24社と新たに代理人契約を結んだことを認めていますが、その契約変更については、アブドル・ハリム氏自身が直接、クラブを話しをすることを了承し、何も問題はないはずであると述べています。さらにノーシャルル選手が所属するBGパトゥム・ユナイテッドがアブドル・ハリム氏に報酬を支払っていないと主張している点についても、クラブからは支払済だと聞いていると話し、この件については円満に解決することを望んでいるとしています。
 一方アブドル・ハリム氏は、自分がBGパトゥム・ユナイテッドとノーシャルル選手の契約をまとめようとしたところに、Pro 24社の代理人が現れたとしています。そしてノーシャルル選手との契約書を自分に見せた上で、クラブとの契約を完了したとし、そのためにアブドル・ハリム氏には報酬は渡らなかったと話しています。さらにノーシャルル選手は自分と契約をする前に、既にPro 24社と契約しており、契約書にサインする段階でPro 24社が現れて騒動になったとし、一連の騒動でノーシャルル選手に対して失望したと話しています。。
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 この続報を読むと、ノーシャルル選手とアブドル・ハリム氏との間で泥仕合の様相ですが、タイリーグでは開幕戦の第1節と第2節にはいずれも先発しながら、第3節ではベンチ入りも出場なし、第4節ではベンチ入りすらなかったことは、この騒動が艦型しているのかも知れません。
 マレーシア代表の主力選手としては初めてタイリーグへの移籍を実現させたノーシャルル選手が、リーグ再開後に問題なくプレーできるよう、この騒動の早期解決を望みたいでう。