7月2日のニュース:身体接触を含む練習許可などスポーツ関連閣議をマレーシア政府が来週開催、給料未払い問題の解決期限を過ぎたクラブの状況、アジアカップ2027年大会に5カ国が開催国に立候補

身体接触を含む練習許可などスポーツ関連閣議をマレーシア政府が来週開催
 マレー語紙ブリタハリアンによると、3月半ばから中断中のMリーグはリーグ再開に向けて着実に近づいているようです。
 国内のスポーツを統括する青年スポーツ省は7月9日に開かれるマレーシア政府内の活動制限令関連閣議の席上でMリーグ各クラブの身体接触を含む練習の許可申請が話し合われるということです。
 このことを明らかにしたリーザル・メリカン・ナイナ・メリカン青年スポーツ相は、申請についてはあくまでも議題に上がることが決まっているだけで、国家安全保障委員会と保健省による承認が必要であるとする一方で、身体接触を含む練習許可申請が認められれば、サッカーだけでなく、他のスポーツにとっても試合や大会などの開催実現に近づくことになると話しています。
 現在、マレーシア国内では、身体接触を含まないバドミントンや陸上競技などの練習は許可されている一方で、サッカーやラクビー、ホッケーなど身体接触を含むスポーツや格闘技系競技については、身体接触を含まない練習のみが許可されています。

給料未払い問題の解決期限を過ぎたクラブの状況
 6月30日はマレーシアサッカー協会FAMが給料未払い問題を抱えるクラブに対して問題解決の期限としていた日でした。ここでいう問題解決とは、未払い給料を完済する以外に、一括で未払い給料の支払いができない場合にはその方法や支払い期限などについて該当する選手や監督、コーチとの間で合意を得ることも含まれています。
 ブリタハリアンは、かつてはケランタンFAの主将で現在はMリーグ2部ケランタン・ユナイテッドFCでプレーするピヤことモハマド・バダリ・ラジにインタビューを行なっています。このバダリ選手はケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAから支払われるべき未払い給料が25万リンギ(およそ626万円)以上あることを公言していますが、ブリタハリアンとのインタビューでは、「KAFAからは今年3月以降全く支払いを受け取っていない。KAFAが自分を含めたかつての選手たちに未払い給料を支払わないことにより、ケランタンFAが勝点剥奪などの処分を受けるのは残念だが、KAFAはFAMとの取り決めを守れなかった結果なので受け入れるしかないだろう。」と話しています。
 勝点剥奪など最終的な判断はFAMのクラブライセンス交付第一審期間FIBによって決定されますが、FIBの監視リストにはKAFAの他、いずれも同様の理由から既に勝点3を剥奪されているPDRM FCを運営するマレーシア王立警察サッカー協会PDRM FAとマラッカ・ユナイテッドを運営するマラッカ州サッカー協会MUSAも含まれています。PDRM FAについては、未払い給料は既に完済済みとされていますが、MUSAについては特に報道もなく、もし、FIBによる処分が下される場合には今季2度目の勝点剥奪となり、勝点6が剥奪される可能性もあります。

アジアカップ2027年大会に5カ国が開催国に立候補
 アジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ2027年大会の開催地の立候補締め切り日は6月30日でしたが、この期限までにインド、イラン、カタール、サウジアラビア、ウズベキスタンの5カ国が名乗りをあげていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 AFCのシャイク・サルマン・エブラヒム・アル・カリファ会長は、「アジアのトップチームを決める大会に開催地として立候補している5カ国を歓迎する。アラブ首長国連邦UAEで開催した2019年大会では大会出場国数を16から24に拡大し、大成功を収めた。中国で開催予定の2023年大会も我々の期待を超えるものになるだろう。」と述べています。
 1956年に第1回大会が開催されたAFC選手権ですが、今回立候補した5カ国の内、現在のタイトルホルダーであるカタールは1988年と2011年に、またイランは1968年と1976年に主催地としてAFC選手権を開催しています。

6月27日のニュース:Mリーグ16クラブに練習再開許可、FAMはプロ契約を逃したエリートアカデミー出身者に大学進学の道を模索、クダFAのアズミール・ユソフが退団を発表、Mリーグクラブの監督が相次いで観客を入れての試合を要望

Mリーグ16クラブに練習再開許可
 マレーシアの通信社ブルナマは、国内リーグのMリーグを主催するマレーシアフットボールリーグMFLが、1部スーパーリーグと2部プレミアリーグのそれぞれ8クラブに第一段階の練習再開許可を与えたことを報じています。
 この16クラブは、綿棒テストの結果や消毒済みの練習場の登録、フィールド上での身体接触プレーの禁止が守れられているかなどを監視する責任者の任命などMFLが設けた練習再開基準を満たした上で、必要書類を全て提出したクラブだということです。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは「(身体接触プレーが禁じられている)第一段階の練習は、(身体接触プレーが可能になる)第二段階の練習へと進めるかどうかの重要な基準となる。各クラブが練習中も社会的距離(ソーシャルディスタンス)として3mから5mを維持するなど標準作業手順SOPを守っているかを注視したい。Mリーグの全クラブからの協力が得られれば、第二段階の練習への移行も予定より早まる可能性がある。」と述べています。
 なお練習再開許可が出ているMリーグ1部のクラブは、UITM FC、スランゴールFC、ジョホール・ダルル・タジムJDT、トレンガヌFC、ペラTBG、マラッカ・ユナイテッド、フェルダ・ユナイテッドFC、クダFAの8クラブ、Mリーグ2部はヌグリスンビランFA、スランゴール2、JDT II、トレンガヌFC II、ペナンFA、クチン FA、ペラIIとクアラルンプールFAの8クラブです。

FAMはプロ契約を逃したエリートアカデミー出身者に大学進学の道を模索
 マレーシアサッカー協会FAMは、教育省とともに運営するプロサッカー選手養成のエリートアカデミーであるモクタル・ダハリ・アカデミーAMDの卒業生に大学進学の道を開こうとしていると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 18歳までの選手を対象としているAMDから1年間に40から50人の選手が卒業しますが、その全員がMリーグクラブと契約できるわけではないことから、プロ契約を逃した卒業生が大学など高等教育機関へ進学して、スポーツ科学などの勉強を続けることができるよう、高等教育省が設けているスポーツ選手優遇プログラムを通じての進学が可能になるようにしたいと、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長が高等教育省のスポーツ部門のトップを務めるペカン・ラムリ氏との会談の席上で述べています。
 「このルートでの進学が可能になれば、進学先大学のサッカー部でのプレーも可能になり、その後のMリーグクラブ入団などにもつながる可能性もある。この実現に向けて、FAMと高等教育省との間で戦術機協力関係を築くために、近々両者の間で了解覚書MOUを交わす予定もある。」とスチュアート事務局長は述べています。

クダFAのアズミール・ユソフが退団を発表
 クダFAの選手が自ら契約解除を申し出ているという話はここでも取り上げましたが、これまで名前が明かされていなかったこの選手がアズミール・ユソフであることがわかりました。
 アズミール選手が自身のインスタグラムで明らかにしたもので、これまでの報道通り、クダFAを揺らしている給料未払い問題とは無関係で、自らが行っている仕事に専念したいことが理由であるとしています。
 2016年の1シーズンを過ごした後、昨季2019年にクダFAに復帰していたアズミール選手は退団後は、自身が関わっているというクダ州のイスラム教義に基づいた宗教学校の建設に関わっていくとしています。

Mリーグクラブの監督が相次いで観客を入れての試合を要望
 Mリーグ2部クアラルンプールFAのニザム・アズハ・ユソフ監督は、Mリーグ再開時には観客を入れての試合開催を提案していると、マレー語紙ハリアンメトロが報じています。
 マレーシアでは新型コロナウィルス感染拡大を防ぐため営業が禁止されていた映画館や劇場が7月1日から営業再開となりますが、これを例に挙げたニザム監督は、人数を制限し、人が集まる映画館やモスクなど宗教施設などと同様の標準作業手順SOPを守った上での観戦なら可能なのではないかと述べています。
 「従来は5000人収容の施設なら、入場者を1000人に制限するなどすれば、感染も可能なのではないか。サポーターの存在は選手の力を引き出す源になる。」とニザム監督は話しています。
 またMリーグ1部スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督もサポーターのSOP遵守を信用して、観戦許可をでしても良いのではないかと述べています。
 8万人収容可能なスランゴールFCのホーム、シャーアラムスタジアムでは社会的距離(ソーシャルディスタンス)の確保も可能だと話すサティアナタン監督は、マレーシア政府が発表している感染者数が減少していることもあり、マレーシア政府が観戦許可を出すことを期待していると話しています。
 「サポーターの存在はサッカーの試合では不可欠である。リーグ再開当初は人数制限が必要だとは思うが、たとえ少人数であっても感染の許可が出ることを望んでいる。」とサティアナタン監督は話しています。

6月26日のニュース:クダFA監督はチームへの早期合流を希望、トレンガヌFC監督は8月リーグ再開となった場合の準備不足を懸念、一方マラッカU監督は8月再開に不安なし、スランゴールFCは今季中にBチームから選手の昇格を検討

クダFA監督はチームへの早期合流を希望
 新型コロナウィルス感染者の入国による輸入感染を防ぐため、マレーシア政府は外国人の入国を制限しています。Mリーグ1部クダFAのアイディル・シャリン・サハク監督は、新型コロナウィルス感染拡大に伴ってMリーグが中断した3月以降、自宅のあるシンガポールに戻っていますが、この入国規制により、Mリーグクラブの練習再開が許可された後もマレーシアへ入国できない状況が続いています。
 英字紙ニューストレイトタイムズによれば、現在、アイディル監督は、クダ州サッカー協会KFAを通じてマレーシア入国管理局へ入国申請を行なっているということです。
 「既に(クダ州の州都)アロースターへ移動できるよう荷物も用意してあり、あとは許可が出るの待っている状態である。」と話すアイディル監督は、チームとは3ヶ月以上も離れており、指導者となってからこんなに長く「休んだ」ことはないということで、アロースターに戻ったら直ちに選手のコンディショニング改善に取り組みたいと話しています。
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 最近のメディアの論調では、当初予定されていた9月ではなく8月からMリーグが再開するのでは、といった報道を見かけるようになってきました。もしそうなれば、来月7月からは身体接触が許可される通常練習が始まることになるので、それまでには実戦練習ができるコンディションまで上げておかなければなりません。
 個人的には今季イチオシだったクダFAは、開幕からの4試合で勝点4の7位と不調のままリーグ中断となっており、再開後はわずか7試合しか残り試合がないため、上位進出には文字通り1試合も落とせない状況ですので、チームに合流できないアイディル監督もやきもきしているのではないでしょうか。
 また入国制限についてマレーシアはシンガポールからの入国に特に制限を設けない予定ですが、シンガポールが段階を踏んだ上での国境再開を主張しており、アイディル監督のマレーシア入国にはまだ時間がかかる可能性もあります。

トレンガヌFC監督は8月リーグ再開となった場合の準備不足を懸念
 Mリーグ1部のトレンガヌFCのナフジ・ザイン監督は、Mリーグ再開が予定されている9月ではなく8月に前倒しになった場合、選手たちが試合で全力を出せるコンディショニングまで仕上げる時間が不足していると話していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 なお、トレンガヌFCはPJシティFC主催試合の第4節が延期となっているため、PJシティFCとともに、今季の残り試合数は他のクラブより1試合多い8試合となっています。
 「8月にMリーグが再開されれば、6週間から7週間で選手のコンディションを試合レベルまで仕上げなければならないが、(身体接触が許されていない)現在の練習ではそれは非常に難しい。しかし、プロの指導者としては何とかしてチームがリーグ日程に対応させるつもりである。」と話すナフジ監督は、再開後に予定されている無観客試合について尋ねられると、選手にとってはどの試合も全て勝ちにくという姿勢は変わらないだろうと話しています。
 トレンガヌFCはMリーグ中断までの3試合で1勝1分1敗で9位につけています。

一方マラッカU監督は8月再開に不安なし
 Mリーグ1部マラッカ・ユナイテッドのザイナル・アビディン・ハサン監督は、リーグ再開が8月に前倒しになった場合でも、選手のコンディションには全く不安がないとブルナマに語っています。
 「リーグ再開が8月になったとしても、準備期間は十分あるので心配はしていない。リーグ再開自体がありがたいことだが、8月再開となれば、(9月最下位の場合に比べると)日程に余裕ができるので、チームとしてはむしろありがたい。」と話すザイナル監督は、現在の練習について標準作業手順SOPに従って、選手を10人ごとに3つのグループに分けて行なっていることから、「ニューノーマル」の練習では戦術理解が必要となる練習を行うことが最も難しくなっていると話しています。

スランゴールFCは今季中にBチームから選手の昇格を検討
 Mリーグ2部スランゴール2は同1部スランゴールFCのBチームですが、スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督は、このスランゴール2からの選手数名について、今季中に1部でプレーする機会がを与える意向を明らかにしています。
 自身は選手の年齢を気にしないと話すサティアナタン監督ですが、選手はまず首脳陣の信用を得て、自分で出場機会を掴み取らなければならないと話しています。
 U19代表の主将を務めるムハマド・ムカイリ・アジマル・マハディらに注目していると話すサティアナタン監督は「これまで(U19やU22代表で)何をしてきたかではなく、今、彼らに何ができるかを見て判断したい。現在は(スランゴール2)のマイケル・ファイヒテンバイナー監督からの報告を待っており、それを参考にしてスランゴール2から5人程度を選びたい。」と話しています。
 またその際に昇格させる条件としては、スランゴール2で際立ったプレーを見せることを挙げており、昇格後は同じポジションの外国籍選手と競わせて、どのくらいの差が出るかを見たいと話しています。
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 リーグ中断前は首位のJDTに勝点5差の5位のスランゴールFCに、AFCカップ出場権となる2位以内を目指しながら新戦力を試す余裕があるかどうかはわかりませんが、そこは百戦錬磨のサティアナタン監督の手腕に期待してみたいところです。

— BERNAMA

6月18日のニュース:マラッカ州FA会長が給料未払い問題の解決を約束、MFLは練習再開の第一段階でのSOP遵守を改めて要請、ケランタン州出身のアヌアル大臣はケランタン州FAの現状を悲しむ

マラッカ州FA会長が給料未払い問題の解決を約束
 Mリーグ1部マラッカ・ユナイテッドFCを運営するマラッカ州サッカー協会MUSAのスライマン・モハマド・アリ会長は、Mリーグ再開に向けてのクラブ運営に十分な資本注入を行うことを表明し、選手に対してクラブに残ることを求めていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 マラッカ州首相でもあるスライマン会長は、MUSA本部で選手やクラブ役員と面会した席上で、MUSAが直面している休養未払い問題について、近いうちに解決できるとも話しています。
 またMUSAは、Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLが義務付けている綿棒検査をマラッカ・ユナイテッドFCの選手、監督およびコーチが既に受けていることも発表し、国家安全保障委員会による標準作業手順SOPに従って、6月22日からのチーム練習開始を予定しているとしています。

MFLは練習再開の第一段階でのSOP遵守を改めて要請
 Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、今週からMリーグの各クラブに許可されたチーム練習の第一段階において標準作業手順SOPを遵守できるかどうかが、身体接触を含むプレーが可能となる練習の第二段階再開の要件になると話しています。
 ブルナマによれば、アブドル・ガニCEOは「第一段階は各クラブがSOPを守った上で練習を行うかどうかのいわばテストであり、もしこのテストにパスすることができれば、練習の第二段階に進むことができる。最も重要なことは、マレーシア政府に対してMFLの指導のもとでSOPに従って問題なく練習を行うことができることを示すことで、それを示すことができれば、MFLは練習の第二段階の許可を申請することができる。」と話しているということです。
 またMFLは6月17日の時点で、Mリーグ1部のジョホール・ダルル・タジムJDT、スランゴールFC、UITM FC、Mリーグ2部のヌグリスンビランFA、スランゴール2に対して練習再開を許可しているということです。

ケランタン州出身のアヌアル大臣はケランタン州FAの現状を悲しむ
 連邦直轄地担当大臣はクアラルンプールやプトラジャヤなどマレーシア連邦が直轄する地域を担当する大臣ですが、現職のアヌアル・ムサ連邦直轄地担当大臣は、自身の出身地でもあるケランタン州に本拠地を持つケランタンFAの窮状をを悲しんでいると、マレー語紙ハリアンメトロ電子版が伝えています。
 昨日は連邦直轄地担当大臣としてプトラジャヤに建設予定の総合スポーツ施設にパハン州スルタンであった故スルタン・アーマド・シャー殿下の名を捧げるべきだと話しているという記事をこのブログでも取り上げましたが、このアヌアル・ムサ大臣はケランタン州サッカー協会KAFAの会長を2008年から2016年まで勤めており、現在もKAFAを支援しているということです。
 「連邦直轄地担当大臣としては(連邦直轄地である)クアラルンプールサッカー協会のことを気にかけるべきなのだろうが、ケランタン州出身者としてKAFAの窮状を見て見ぬふりをすることはできない。今年は何もしていないが、昨年と一昨年は(KAFAが支払うべき)選手の従業員積立基金(公的退職金積立)の支払いを肩代わりした。」と話すアヌアル・ムサ大臣ですが、KAFA会長在職中は2012年の国内三冠を含めてリーグ優勝2回、FAカップ優勝2回、マレーシアカップ優勝2回などケランタンFAの黄金期を作り上げた立役者でもあります。
 しかし現在のKAFAは、かつて在籍した複数の外国籍選手への90万リンギ(およそ2250万円)を超える給料未払い問題の解決の目処がついていません。
 この現状について、アヌアル・ムサ大臣はサラリーキャップ制度の導入も検討するべきではないかとしており、持続可能なリーグ運営の一つの選択肢となりうるものだと述べています。

6月8日のニュース:クダFA監督は給料未払い選手のモチベーション低下を憂慮、代表復帰を目指すアペックは時間との勝負に挑戦、パハン監督は来季のフットサルリーグの早期開幕を希望

クダFA監督は給料未払い選手のモチベーション低下を懸念
 昨日のマレーシア政府は、サッカーなど接触プレーのあるスポーツの禁止は8月31日まで継続されることを発表し、Mリーグの8月中の再開の可能性が限りなく低くなりましたが、例えMリーグが再開となった場合でも、クダFAのアイディル・シャリン・サハック監督は給料未払い問題が解決していない選手のモチベーション低下を懸念していると英字紙ニュースとレイトタイムズ電子版に語っています。
 一説には総額200万リンギ(およそ5140万円)とされる、クダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAによる給料未払い問題について、アイディル監督はクダ州のサヌシ・モハマド・ノー新州首相が解決してくれることを期待しているとしつつも、「選手のモチベーション低下を防ぐためにも、KFAには直ちに問題を解決して欲しい。もし未払い給料問題の解決が遅れるようであれば、たとえシーズンが再開しても、自分だけでは選手のモチベーションを引き出すことは難しいだろう」と話しています。
 現在は自宅のあるシンガポールに戻っているアイディル監督は、チームに合流するため、既にシンガポールのマレーシア大使館に入国許可を申請中ということです

代表復帰を目指すアペックは時間との勝負に挑む
 Mリーグ1部のマラッカ・ユナイテッドのアペックことGKカイルル・ファミ・チェ・マットは2010年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権に優勝し、一気にスターの仲間入りをした選手ですが、タン・チェンホー監督が2017年末に代表監督に就任してからは、出場機会が減少し続け、現在中断中のFIFAワールドカップ2022年大会予選では代表入りしていません。そんなカイルル選手は再び代表入りを目指しているものの、新型コロナウィルスの影響により時間との戦いであると、ニューストレイトタイムズ電子版が伝えています。
 代表に復帰するにはタン監督の目に留まることが必要ですが、現在中断中のMリーグは新型コロナウィルスの影響で日程短縮を余儀なくされ、今季は1回戦総当たり形式になることが発表されています。12クラブで構成されるMリーグ1部と2部はいずれも既に第4節まで終了しており、今季の残り試合は各クラブとも7試合です。
 「2020年の自分の目標は代表復帰だが、今季開幕から4試合全てに先発して、その気持ちがさらに強くなった。しかし新型コロナウィルスの影響で3ヶ月間、試合から遠ざかり、Mリーグの残り7試合で自分の評価を上げていくしかない。最終的にはタン監督が決めることではあるが、自分はできる限りの努力をするつもりだ。」とカイルル選手は話しています。
 ただしカイルル選手が所属するマラッカ・ユナイテッドは、選手への給料未払いによりMFLによって勝点3を剥奪されており、降格権の10位に低迷しています。
 これについてカイルル選手は「未払い給料については、1月から3月分までを受け取っており、4月と5月分の支払いを待っているところである。給料削減についての話し合いも進行中だが、試合に出場するとなれば、自分は全力でプレーする。」と話しています。
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 最後に代表でプレーしたのは昨年2019年3月の国内招待大会エアマリンカップでしたが、31歳と老け込むにはまだ早いカイルル選手。闘志を全面に出してチームを鼓舞するタイプのGKは、若い選手が多い今の代表には貴重な存在だと思います。個人的にも好きな選手なので、代表復帰に向けて頑張って欲しいです。

監督は来季のフットサルリーグの早期開幕を希望
 当初はMリーグとともに9月1日の再会が予定されながら、急転直下で今季の中止が決定したマレーシアプレミアフットサルリーグMPFLに所属するパハンレンジャーズFCのジェラール・カサス監督は、マレーシアサッカー協会FAMに対してより早い時期の開幕を期待したいと述べています。
 パハンレンジャーズFCのFacebookへの投稿の中で、自宅にあるスペインに帰国中のカサス監督は、マレーシア政府による新型コロナウィルスに対する対応を評価しながらも、今季2020年シーズンは強いチームを準備して臨んだ分、リーグ中止にがっかりしていると述べています。
 カサス監督は「初戦(対サラワク戦)は無観客試合で行われながら、9-1と圧勝した際に選手たちが見せた意気込みを思い出すと、リーグ中止には失望している。安全が第一なのでFAMの判断は正しいと思うが、今後、新型コロナウィルスの状況が改善することがあれば来季2021年シーズンは、早めに開幕して欲しい。」と述べ、さらに「国内にはフットサルのレベル向上を目指すクラブがあり、パハンレンジャーズFCはその一つである。FAMにはそういったクラブの努力を理解して欲しい」とも綴っています。

5月31日のニュース:国内リーグ再開についてFAMは安全を最優先することを強調、クダFA選手の苦境は続く、マラッカUにさらに勝点剥奪の危機

国内リーグ再開についてFAMは安全を最優先することを強調
 マレーシアサッカー協会FAMは9月1日に予定している国内リーグMリーグ再開に際して、安全を最優先することを強調しています。
 Mリーグの再開はマレーシア政府の承認待ちの状況ですが、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は再開の際には選手、サポーターそして全ての関係者の安全を最優先する形でのみ再開すると英字紙ニューストレイトタイムズ電子版に語っています。
 国内リーグが既に再開している他国の状況を注視していると話すラマリンガム事務局長は、マレーシア政府が発表する予定であるMリーグ開催のための標準業務手順SOPに従うことはもちろん、追加の予防策として協会としての「危機管理システム」を準備する用意があることも明かしています。
 「FAMは韓国やドイツなど国内リーグが再開した国のサッカー協会と連絡を取りあい、情報収集を行っている最中である。またベトナムについてはサポーターを入場させてリーグを再開しており、正直驚いている。FAMとしては、とにかくリスクを最小限にすることに全力を注ぐつもりである。」
 「リーグが再開した国々では人々が好感を持ってそれを受け入れているが、感情論だけで判断することはできない。実際、フランスやスコットランド、オランダ、ベルギーではリーグが中止となっている。」と話すラマリンガム事務局長は「危機管理システムについてもドイツリーグが採用している仕組みはマレーシアでの導入は不可能なほど高額である一方で、韓国リーグの仕組みは現実的で、採用可能なものである」とも話し、マレーシア政府保健省、青年スポーツ省、国家安全保障委員会に来月6月に再提出予定のリーグ再開嘆願の内容を調整していることも明らかにしています。

クダFA選手の苦境は続く
 クダ州政府内での政権交代により、ムクリズ・マハティール前州首相が辞任し、兼任していたクダ州サッカー協会KFA会長の職も辞任しましたが、ムクリズ前州首相が辞任直前にクダ州政府からKFAへ150万リンギ(およそ3720万円)の配分を承認したというニュースが報じられ、この配分により2月以降の給料の一部しか支払われていないMリーグ1部のクダFAの選手およびスタッフの苦境が改善されるはずでした。
 しかし新たに就任したクダ州のモハマド・サヌシ・モハマド・ノー州首相が、この150万リンギについては新州政府の承認が新たに必要であり、その承認がまだ行われていないことを表明したことで、クダFAの選手間には失望が広がっていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 2月の給料は一部のみが支払われ、3月以降は全く給料を受け取れていないままハリラヤ(イスラム教断食月明け大祭)を迎えた選手たちからは、150万リンギの配分が承認されたニュースに喜んだが、もはや何を言われても信用ができないという声が出ているということです。
 サヌシ州首相は150万リンギの配分について、その額が大きなこと、また旧政権辞任の直前に決定したことを理由に、その配分には現政権の承認が必要であることを強調し、その上で前KFA会長(=前州首相)のもとで選手と巨額の契約を結んだことがKFAの運営資金不足の根本原因であると前政権を批判しています。

マラッカUにさらに勝点剥奪の危機
 マレー語紙ブリタハリアン電子版は、マラッカ州サッカー協会MUSAが来月末までに未払いとなっている給料を支払わない場合、MUSAの運営するマラッカ・ユナイテッドがMリーグからの除名処分となる可能性を伝えています。
 MUSAは、未払い給料総額が80万リンギ(およそ1980万円)とされており、来月6月末までにこの未払い給料を支払わない場合には、マラッカ・ユナイテッドに対して勝点6の剥奪処分が下されることになっています。今季開幕後、同様の給料未払い問題が発覚し、今季既に勝点3を剥奪されているマラッカ・ユナイテッドは、さらに加点を剥奪されることに加え、最悪の場合にはMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLよりリーグ除名の処分となる可能性があるということです。
 これについてMUSAのモハマド・アシク・アブドル・サマド副会長は、処分の期限となる来月末前までには支払いを行えるだろうと話しています。「3月分の未払い給料は既に支払い終わっており、今月5月中には4月分の未払い給料も支払い終わる予定である。今季の未払い給料については、マラッカ州首相でもあるスライマン・モハマド・アリMUSA会長がその支払いを確約している。」と話し、前述の80万リンギはあくまでも昨季分の未払い給料であることを強調しています。
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 この前の記事のクダ州同様、マラッカ州も連邦政府での政変による与党再編の影響を受け、旧与党陣営に所属していた前州首相が辞任し、新与党構成政党出身のスライマン・モハマド・アリ州首相が3月9日に就任しています。未払い給料問題を前政権による不始末とするイメージ戦略も含めて、ここでもサッカーが政争の道具になっている可能性があります。

5月17日のニュース:ケランタン州協会の実際の未払い給料は4900万円超、代表監督は無観客試合でも試合観戦が可能に、マラッカ・ユナイテッドは3月と4月の給料が遅配

ケランタン州協会の実際の未払い給料は4900万円超
 Mリーグ2部のケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAは、退団した選手の未払い給料を今月末までに支払うことを国際サッカー連盟FIFAに命じられていますが、KAFAにはこの他にも200万リンギ(およそ4920万円)を超える選手やスタッフへの給料が未払いになっていると、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 かつてケランタンFAに在籍したカッシオ・フランシス・デ・ジーサスへの未払い給料62万9620リンギ(およそ 1550万円)の支払い期限が迫る中、KAFAのフシン・デラマン事務局長はこの200万リンギを超える未払い給料は2017年シーズンから2019年シーズンの外国籍選手を含めた選手とスタッフのものであることを明らかにしています。
 「外国籍選手の未払い給料については、該当選手がFIFAへ訴え出て審査中のものが5、6件あるが、カシオ選手のような巨額のものはなく、総額は他の選手やスタッフの分を加えても200万リンギ程度である。」とフシン事務局長は話しています。
 これまでKAFAはFIFAが未払い給料として調査中のものが総額400万リンギを超えると冴えており、その中には今回のカッシオ選手の分も含まれていました。
 フシン事務局長は新型コロナウィルスの影響により、入場料収入が途絶え、スポンサーや広告主がスポンサー料や広告費の支払いも滞っており、未払い給料問題を解消するための予定が狂ってしまったとしており、未払い給料問題の解消は来年以降にずれ込む立とうと話しています。

代表監督は無観客試合でも試合観戦が可能に
 現在中断中の国内リーグMリーグは9月に再開となった場合でも無観客試合で実施されることが予想されていますが、その際にマレーシア代表のタン・チェンホー監督はスタジアムでの観戦が許可されるだろうと英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 本日5月16日から再開されるドイツリーグは無観客試合が行われていますが、ヨアヒム・レーヴ独代表監督すらスタジアム内への入場が許可されていないようですが、マレーシアサッカー協会FAMはタン監督のスタジアム入場を認める他、一部コーチ陣も入場可能ということです。リーグ再開の翌月には中断中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選も再開されることから、選手の隊長確認や新戦力のスカウティングなどの目的で許可されているようです。
 この他にスタジアムへの入場が許可されるのは試合をする両チーム、審判、そして試合に直接関わる関係者のみということです。
 Mリーグが予定通りに再開されれば、代表候補選手はリーグ最終戦終了後の9月28日に合宿に招集され、そこから10月に予定されているW杯予選に臨むことになりそうです。

マラッカ・ユナイテッドは3月と4月の給料が遅配
 今季開幕以来、給料未払い問題により既に勝点3の剥奪(剥奪)処分を受けているマラッカ・ユナイテッドの選手およびスタッフは3月と4月の給料も未だ支払われていないと、英字紙スター電子版が報じています。
 マレーシア国民の7割近くを占めるイスラム教徒にとって1年間で最も大切な祝日の一つである断食月明けの祝日ハリラヤまであと1週間となり、選手の不満も高まっているようで、ラズマン・ロスマン主将は「未払い給料問題は新型コロナウィルス感染拡大前から存在しており、クラブの経営陣には直ちに支払うことを求める。」
 マラッカ・ユナイテッドを運営するマラッカ州サッカー協会MUSAは、マレーシアサッカー協会FAMのクラブライセンス発給審査を担当する第一審機関により、現在発令中の活動制限令MCO解除までに未払い給料を支払うという猶予期間を与えられていますが、MUSAはマレーシア国内の政変による州政府内の混乱なども理由に上げています。しかし、理由の如何に関わらず、この状況が続けば、マラッカ・ユナイテッドはさらに勝点を剥奪される可能性もあります。
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 マラッカ州も昨日取り上げたクダ州同様、国政での与党再編により州政府で政権交代が起きた州で、政権交代により新たに州首相となったスライマン・モハマド・アリ氏が慣例通り、3月19日にマラッカ州サッカー協会会長に就任しています。マラッカ州サッカー協会は、マラッカ州政府を最大スポンサーとしており、マラッカ州政府内の権力の構図が変われば、直接、影響を受ける立場にあります。州政府に依存する州協会という政治とサッカーがつながる図式による負の面の影響を受けているのがマラッカ・ユナイテッドの選手たちということです。。

5月5日のニュース:AFCはMリーグの暫定日程を承認、国内フットサルリーグの再開を危ぶむ声、マラッカ・ユナイテッドは勝点剥奪を逃れる

AFCはMリーグの暫定日程を承認
 アジアサッカー連盟AFCは、マレーシアの国内リーグMリーグが9月から再開となった場合の暫定日程を承認したと、Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLが公式サイト上で報じています。なおMリーグはすでに7月からの練習開始と8月からのリーグ再開案がマレーシア政府に却下されており、現在は9月のリーグ再開許可を待っている状態です。
 AFCの事務局長でマレーシア人のウインザー・ポール・ジョン氏は、都合わずか3ヶ月の期間で終了するMリーグについて、AFCはMリーグに課せられた時間的制約を理解した上で、リーグに参加する全てのクラブが同意することとマレーシア政府による標準進行手順SOPを遵守することを条件に、暫定日程を了承するとしています。
 またリーグ参加の全クラブが同意していることを条件にMリーグ1部スーパーリーグとマレーシアカップの優勝クラブがAFC主催大会のAFCチャンピオンズリーグとAFCカップにそれぞれ出場することも併せて承認しています。
 さらにウインザー事務局長は、Mリーグよりも早く再開する他国のリーグの標準進行手順SOPを参考にするべきと話しており、AFCは各国で中断中のリーグ再開について、当該政府によるSOPの遵守が絶対条件になると話しています。

国内フットサルリーグの再開を危ぶむ声
 新型コロナウィルス感染拡大によりMリーグだけでなく、国内フットサルリーグのマレーシアプレミアフットサルリーグMPFLも中断していますが、マレーシアサッカー協会FAMとMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは、Mリーグが9月再開となった場合の暫定日程を発表していますが、MPFLに関しては何の告知も行われていません。
 マレー語紙ブリタハリアン電子版では、このままMPFLの今季2020年シーズンが終わってしまうことを心配する声を取り上げています。
 3月14日に開幕した今季のMPFLは、この第1節終了後にマレーシア全土に発令された活動制限令の影響でリーグが中断しています。MFPLに所属するトレンガヌのモハマド・ロザイリ・アーマド監督は、Mリーグの暫定日程が発表になっている一方でMPFLについては何も発表がないことから、今季はこのまま中止となってしまうのでは心配していると話しています。
 昨季のMPFLでは3位となったトレンガヌのロザイリ監督は、MPFLを運営するFAMからも、またクラブを運営するトレンガヌ州サッカー協会PBSNTからも何も情報が与えられていないと話す一方で、マレーシア政府の青年スポーツ省が6月に発表する予定のMリーグ再開の詳細が明らかになれば、MPFLの今後も明らかになるのではないかと話しています。

マラッカ・ユナイテッドは勝点剥奪を逃れる
 2019年分の給料未払い問題により、今季既に勝点3が剥奪(はくだつ)されているマラッカ・ユナイテッドは、この問題を4月末までに解決できない場合にはさらに勝点6が剥奪されることになっていましたが、マレー語紙ハリアンメトロ電子版は、新型コロナウィルスのおかげで九死に一生を得たようだと報じています。
 マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長はハリアンメトロの取材に対し、新型コロナウィルス感染拡大によりマラッカ・ユナイテッドを運営するマラッカ州サッカー協会MUSAが直面している苦境を考慮して、クラブライセンス委員会の第一審機関(First Instance Body、FIB)が4月30日となっていた支払い期限を当面延期することを決定したと話しています。
 この決定はMUSAが選手との間で同意していた未払い給料の支払い期限を過ぎたにも関わらず、何も支払われていないことが発覚し、その結果として開催されたFIBで決まったとハリアンメトロは報じており、さらにFIBが期限延長を発表した後もMUSAからは何の発表もないということです。
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 2019年分の給料未払いは、新型コロナウィルス感染とは何の関係もなく、単なる放漫経営の結果ですが、それでもマラッカ・ユナイテッドが処分を逃れたのは、FAMのモハマド・ユソフ・マハデイ副会長がマラッカ州サッカー連盟MUSAの副会長でもあるということと無関係ではなさそうで、まぁマレーシアでは珍しくないダブルスタンダードのおかげと言えそうです。まぁこんなクラブをリーグでプレーさせないために、今季開幕前に、FAMはクラブの運営状況を把握する経済コントロールプログラムECPを導入したのですが、その審査は身内がいるクラブには大甘だったということでしょうか。
 9月に再開となった場合、リーグの残り試合は各クラブとも7試合です。万が一、マラッカ・ユナイテッドがここでさらに勝点6が剥奪されれば、勝点は-3となり、既にPDRM FCやUITM FCなど下位のクラブとの試合を終えているため2部降格が見えてきます。しかしそうなっても、今季は昇格と降格は行わない、などあらゆる手を使ってFAMがマラッカ・ユナイテッドを1部に残留させそうです。

4月17日のニュース:ケランタンは一律で給料削減を行わないことを約束、クダは未払い給料問題の存在を認める、 TMJは自分を批判したクダ州FA事務局長を非難、マラッカU主将は給料削減に関する州協会の説明に理解を示す

ケランタンFAは一律で給料削減を行わないことを約束
 今季から渡邉将基選手がプレーするケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAは、全ての選手から一律で減額するような給料削減を行わないことを約束しているとマレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。。
 KAFAのフシン・デラマン事務局長は、若い選手の中には給料が2000リンギから3000リンギ(およそ5万から7万4000リンギ)という選手もおり、そういった選手の給料削減は行わないこと、また公正を期するために各選手の給料額を元に削減額を検討するとしています。
 デラマン事務局長は「選手の中には給料が1万リンギ(およそ24万6000円)以下の者もいれば、数万リンギの者もおり、KAFAとしては20%から30%の給料削減を行う希望があるが、個々の選手と削減額について近いうちに話し合う予定がある」と話し、選手の同意なしに給料削減を行わないことも併せて表明しています。

クダFAは未払い給料問題の存在を認める
 クダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAのアスミルル・アヌアル・アリス名誉事務局長は、3月18日の活動制限令発令以来、クラブのスポンサーによる支援が滞っていることを明らかにしています。
 ジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーであるジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下が「暴露」したクダFAの未払い給料問題について、クダ州議会議員でもあるアスミルル名誉事務局長は、活動制限令MCOによる経済停滞の影響からスポンサーによる支援を得られておらず、またKFAのスポンサーであるクダ州政府も州予算をMCOで影響を受けているビジネスの補助や州民の生活支援を優先しているとする一方で、クダ州政府には十分な資金があり、MCO解除後直ちに未払い給料問題解決に取り組む予定であると話しています。
 また国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLとマレーシアサッカー協会FAMが何度も会合を開いておきながらリーグ再開予定の発表が遅れている点を非難し、日程が決まらない状況ではKFAを含めた各州FAは選手との給料削減についての話し合いを行うことが難しいとし、選手との交渉はリーグ再開日程が発表になってからになることを示唆しています。
 さらにアスミルル名誉事務局長は、2018年5月以降は給料が未払いだったことはなく、今回の未払い給料問題とされているのは新型コロナウィルスの影響による給料の遅配であり、クダ州サッカー協会KFAの外部の人間が、KFA内の問題に介入することの合法性や、その問題をメディアに公開するその目的は疑わしいものであるとしています。
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 隣国タイやインドネシアでは暫定的とはいえ、リーグ再開日程が発表になっている一方で、マレーシアではMFL、FAMいずれからも日程については何の発表もないまま、給料削減だけを推奨するという不可解な状況になっているのは事実です。また最期の部分で触れられている、「州協会内の問題に介入し、その問題をメディアに公開する」という表現はJDTのイスマイル殿下に向けられている批判だと思われますが、どう表現しようと給料未払いは事実なので、こちらについては少々お門違いな批判に思えます。

TMJは自分を批判したKFA事務局長を非難
 上で取り上げたクダ州サッカー協会KFAのアスミルル・アヌアル・アリス名誉事務局長による自分への批判に対して、TMJことジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は、KFA内の問題に介入するつもりはないとする一方で、クダFAの選手がJDTの選手に伝えた内容を明かしただけであるとしています。
 イスマイル殿下は自らのインスタグラム上で、給料未払い問題についてKFA自身ではなく他人を批判すルべきではなく、また給料未払い問題を隠すことはサポーターを欺く行為である、と述べています。
 自分自身の利益のためにクラブを運営する政治家の口先だけの約束に長い間苦しんでいるマレーシアのサッカー選手全員の声を代弁しているだけである、とするイスマイル殿下は、未払い給料は新型コロナウィルス発生前のものであること、また未払い給料についてはクダFAの外国籍ストライカーがJDTの選手に告げたものであることを明かし、インスタグラムの投稿には、自分を批判したKFAのアスミルル名誉事務局長の写真も添えています。

マラッカU主将は給料削減に関する州協会の説明に理解を示す
 マラッカ・ユナイテッドの主将で、元代表主将のサフィク・ラヒムは、クラブを運営するマラッカ州サッカー協会MUSAの給料削減についての説明に理解を示していると、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 マラッカ・ユナイテッドの選手は、先月3月末のマレーシア国会を中心に起こった政変により全面的に交代したMUSAの会長およびフロントと2ヶ月分の未払い給料問題の解決についての話し合いを行い、サフィク主将は全員が納得のいく説明を受けたとしています。
 サフィク主将は、選手が給料の一部削減を受け入れたことを認める一方で、未払いとなっている2月と3月の給料については、削減対象でないことを明かし、さらに4月分から削減される給料についても、どの程度の削減になるかはまだ確定していないと話しています。
 サフィク主将ら11人の選手やザイナル・アビディン監督と話し合いをおこなったMUSAのウィラ・モハマド・ユソフ・マハディ副会長は、話し合いは建設的で友好的だったと述べ、外国籍選手を含めた残りの選手との話し合いは今後行われるとする一方で、全ての選手が未払い給料問題と給料削減については説明に納得していると話し、未払い給料については、1ヶ月程度で完済する予定であることも明かしています。

4月15日のニュース:選手会は給料削減の前に未払い給料問題を解決することを求める、JDTオーナーも選手会の主張を支持、「八百長」の心配はない-FAM

選手会は給料削減の前に未払い給料問題を解決することを求める
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によると、マレーシアプロサッカー選手会PFAMは未払い給料問題を抱えるクラブに対して、所属選手の給料削減を検討する前に未払い給料を完済するべきであると主張しています。
 活動制限令MCOが4月28日まで延長されたことを受け、国内リーグ各クラブが給料削減交渉を活発化させることが予想されますが、PFAMは契約内容の遵守を原則とした上で、MFLのクラブに対して以下の2つの条件を提示しています。
1. 未払い給料問題を抱えるクラブは、リーグ中断を理由として選手と給料削減交渉を行う前に未払い給料を完済すること。
2. 各クラブが給料削減交渉を行う際は、各選手の給料が異なることを考慮し、全選手に同一の削減案を提示するのではなく、各選手と個別に削減額について話し合うこと。
 MFL1部のPJシティーFCでプレーするPFAMのサフィ・サリー会長は、選手と事前に交渉を行わずに給料削減を行なったクラブが複数あるという情報を得ているとして、マレーシアサッカー協会FAMや国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLに対して、クラブと選手の間の交渉が誠実に行われるよう監視するよう求めています。
 「(新型コロナウィルス発生以前の)給料未払い問題を抱えているクラブは、未払いの給料が完済できない口実として新型コロナウィルスを利用し、その上、さらに給料削減を行おうとしている。しかもそういった給料未払い問題を抱えているクラブが、リーグ中断期間中の給料削減に関して最も声高に主張しているのは皮肉なことである。」と述べるサフィPFAM会長は、さらに「給料が決して高額ではない選手が数ヶ月に渡って給料が支払われていない場合、その選手に対してさらにクラブが給料削減を行ったらどうなるかを想像して欲しい。そういった選手は家や車など生活に必要な多くのものを失うことになるだろう。」と話しています。

JDTオーナーも選手会の主張を支持
 マレーシアプロサッカー選手会PFAMの主張を支持するように、国内リーグ1部で7連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーであるジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下も、JDTの公式Facebook上で給料未払い問題を抱えるクラブはまず、その問題を解決してから給料削減を行うべきであると述べています。
 イスマイル殿下は、国内リーグでプレーする大半の選手は新型コロナウィルス感染拡大によって運営が苦しくなったクラブと給料削減について協力する用意があるとする一方で、クダFA、ケランタンFA、マラッカ・ユナイテッド、ペナンFAなど具体的なクラブ名を挙げた上で、未払い給料問題を抱えるクラブは給料削減を行う前に未払い給料を完済するべきであるというコメントをFacebook上で行っています。
 「大半のクラブはその運営資金全額を州政府から配分されているはずで、そういったクラブが給料未払い問題を抱えている理由が理解できない」として、クラブが州政府の重荷になってはいけないと話しています。
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 国内リーグ1部や2部でプレーするクラブの大半が州サッカー協会によって運営され、州サッカー協会(州FA)のトップは州知事、クラブの最大のスポンサーが州政府、という現在の状況が続く限り、今年3月末に起きたような政変で州議会内での与党、野党が変われば州FAのトップも変わり、長期的な視野でのクラブ運営を行うことは今後も難しいでしょう。また今回のようにイスマイル殿下が正論を吐けるのは、自らがオーナーを務めるJDTがその財源を州政府に依存せず、ジョホール王室からの資金で運営されているからです。(写真はイスマイル殿下の投稿-JDTの公式Facebookより)

「八百長」の心配はない-FAM
 先日のこのブログでは、給料未払いに加えて国内リーグ中断による給料削減が行われようとしているマレーシアサッカー界には、「八百長」が起きやすい環境が整いつつある、という記事を取り上げました。
 しかしマレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長によれば、昨年以来、「八百長」と疑われる試合は起きていないと、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 2018年に就任したラマリンガム事務局長は、自分が就任以来、八百長の疑いがもたれた件が2件あったものの、いずれも八百長ではないと裁定されているそうです。
 かつてマレーシアやシンガポールは八百長試合など不正工作の温床とされていましたが、近年は状況が変わっており、アジアサッカー連盟AFCも過去6年間でアジアでの八百長試合が減少していることを公表しています。
 なおFAMは各州FAの不正防止員会を通じてマレーシア警察やマレーシア政府汚職防止委員会と協力して八百長試合が起こらないよう監視している他、異常な賭け率変動がないかを監視するために国際サッカー連盟FIFAの早期警戒システムEWS社と契約しています。
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 マレーシア国内でのサッカー賭博は非合法ですが、国際的にはオンライン賭博の対象となっており、八百長が起こる可能性は常に存在します。FAMが契約しているEWS社は世界中の賭博事業者と提携し、各国の試合の掛け率などを24時間監視しています。そしてマレーシア国内での試合の掛け率の急激な変動など、不正操作の可能性がある場合には、即座にFAMに警告が通知される仕組みになっています。