1月4日のニュース:FAMは給料未払いクラブのMFL参加停止には消極的、MFLでは多くの選手が減給に直面

FAMは給料未払いクラブのMFL参加停止には消極的
 マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、給料未払い問題が解決していないクラブの今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL参加停止については慎重に対応したいと述べていると、スポーツ専門サイトフォックススポーツが報じています。。
 今季開幕を2月29日に控えるMFLですが、その参加クラブの中には昨季2019年シーズンの未払い給料問題が解決していないクラブが複数あり、給料を受け取っていない選手たちからはそういったチームの今季MFL参加をMFL自身やFAMが停止するべきという声が上がっています。
 これに対してラマリンガム事務局長は、この事態をFAMが手をこまねいて見ているわけではないとしながらも、クラブのMFL出場停止についてはその措置による影響の大きさを考慮して慎重に対応したいと述べています。
 「クラブが出場停止になれば、スポンサーを失い、サポーターも失い、結果的にはクラブの解散という事態も起こりうる。クラブが解散すれば、そのクラブと契約した選手やコーチ、クラブを運営するフロントなどなども収入源を失い、誰も得をしない状況となる可能性がある。」
 「例え分割払いのような方法になったとしても、クラブが未払い給料を選手に支払うことの方が、クラブが解散して一文も払われないよりは良いだろう。」
 「この方法は現実的で、大半のクラブはこの方法で未払い給料を支払えるだろうが、もし選手が全額を一括払いで求めるのであれば、難しいだろう。」などと発言しています。なお、給料未払い問題を抱えるクラブとしてマラッカ・ユナイテッド、PDRM FC(以上MFL1部)、サラワク・ユナイテッド、ペナンFA、ケランタンFA(以上MFL2部)などの名前が上がっています。
 またラマリンガム事務局長は、給料未払い問題を抱えるクラブに対しては「FAMの寛容さを利用することなく、真剣に問題に取り組むことを求め、必要な場合には今季のクラブライセンスの無効化なども含めた断固とした措置を取る用意があることも併せて強調しています。
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 メディアの報道によると、給料未払い問題を抱えるクラブの中には、給料が支払われていない選手たちの気持ちを逆撫でするように、今期に向けて新たな外国籍選手を獲得するクラブなどもあり、選手に給料を支払わないプロクラブを抱えるリーグMFLやそれを統括するサッカー協会FAMがこの状況にどう対処していくのかに注目です。

MFLでは多くの選手が減給に直面
 これまで高給を取っていたMFL所属クラブの選手たちの多くが、今季は50パーセント以上の減俸を受け入れて契約しているという代理人の話を英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が伝えています。代表クラスの選手は依然として高給を受け取っているものの、「元代表選手」や「準レギュラー」クラスの選手たちは、生活がかかっているためクラブとの契約獲得に必死で、従来より低い給料での契約を受け入れているとしています。
 今季はMFLの多くのクラブが年間運営資金削減を行っており、記事の中では、MFL2部のマレーシア国立大学UKMを母体とするUKM FCは運営資金が昨季の400万リンギ(およそ1億500万円)から今季は150万リンギ(およそ4000万円)となっていること、マラ工科大学UITMを母体とし、MFL1部に昇格したUITM FCは現役大学生が、同じ昇格組でマレーシア王立警察が母体のPDRM FCは新規採用の警察官が今季のチームの主力になっていることなどを報じ、ジョホール・ダルル・タジムJDT、スランゴールFC、クダFAなど今季に向けて大型補強を行ったクラブはむしろ例外的であるとしています。
 また、MFL2部に所属するJDT II、トレンガヌFC II、ペラTBG II、スランゴールFC IIといったMFL1部クラブのBチームは育成目的で若手主体のチーム編成となっており、これまで高給を取ってきた選手たちの所属先とはならないことや、スランゴールFCに合併吸収されて同クラブのBチーム、スランゴールFC IIとなったPKNS FC(昨季MFL1部9位)や、サラワクFA(同MFL2部11位)に買われたスランゴール・ユナイテッドFC(同MFL2部9位)の選手たちの多くは所属先を失ったため、市場に選手があふれているとしています。
 また記事の中では、所属先を探す選手からの問い合わせが例年になく多いと話す選手の代理人の談話を紹介し、これまでなら月額4万から5万リンギ(およそ105万から131万円)の給料を取っていた選手たちが、今季は1万5千から2万リンギ(およそ40万円から53万円)の給料でも契約していることを述べ、その結果、これまで月額2万リンギやそれ以下の給料を取っていた選手の所属先が見つからなくなって現状を紹介しています。中にはより低い給料でMFL3部にあたるM3リーグでプレーすることを選ぶ選手もいるそうですが、この代理人の話では、M3リーグではトップの選手でも月額5千リンギ(およそ13万円)を超えることはないそうです。
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 選手を苦しめる給料未払い問題の発生を防ぐためには、各クラブは「身の丈に合った経営」を行う必要がありますが、その一方でクラブが選手の給料を低く設定しすぎて、プロサッカー選手という職業に魅力がなくなれば、プロリーグそのものが衰退してしまう可能性もあります。雇用主である各クラブやリーグを運営するMFLは、マレーシアプロサッカー選手会PFAM、さらにはマレーシアサッカー協会FAMなどとも協議をしながら、問題解決の糸口を探る必要がありそうです。

12月30日のニュース:JDTオーナーがスランゴールFCサポーターに強烈なメッセージ、運営予算が決まらないパハンFAは来季への準備に遅れ、選手会は未払い給料問題を抱えるクラブのMFL参加停止を要望

JDTオーナーがスランゴールFCサポーターに強烈なメッセージ
 ブレンダン・ガン(元ペラTBG)を筆頭に、このシーズンオフに積極的な補強を行っているスランゴールFCは、サポーターから新たな「マラヤの王(King of Malaya)」と呼ばれ始めていることに対し、ジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーでジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下が皮肉を交えたメッセージ映像をJDTのFacebookに挙げています。。
 まずJDTは「マラヤの王」ではないと述べる一方で、世界中でJDTの名前は知られていると軽くジャブ。さらに「JDTはアジアクラブランキングで33位だが、他のMFLクラブは112位が最高位である」と述べ、さらに「王というのは借家に住まず、自身の家に住むものであり、もし王と呼ばれる者が借家住まいなら、その王とは一体どんな王なのか」と、総工費2億リンギ(およそ53億円)とされる自前のスルタン・イブラヒムスタジアムを来季から使用するJDTと、スランゴール州の公共施設であるシャーアラムスタジアムを使用するスランゴールFCを比べています。
 トゥンク・イスマイル殿下はさらに、クナンラン・スブラマニアム、アーマド・ハズワン・バクリ、アダム・ノー・アズリン、ファリザル・マリアスら、かつてスランゴールFAでプレーした選手たちの名前を挙げて、JDTが彼らをスランゴールFAから獲得する際には相当の金額を費やしたことも述べています。

運営予算が決まらないパハンFAは来季への準備に遅れ
 来季に向けてMFL各クラブが新戦力の加入のニュースが連日流れる中、景気の良い話が全くといって良いほど聞こえてこないのが、今季MFL2位に終わったパハンFAです。多くの主力選手が移籍、退団した一方で、新戦力加入もなく、来期の運営資金が不足しているという噂もあります。
 他のMFLクラブ同様、パハンFAでもプレシーズン前の練習が始まっていますが、参加しているのはわずか15名、そのうち外国籍選手はフランス出身のDFエラルド・グロンただ一人と英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 ディクソン・ヌワカエメ(ナイジェリア)、ラザラス・カイムビ(ナミビア)、サディル・ラムダニ(インドネシア、ベルギーのクラブへの移籍の噂あり)サフワン・バハルディン(シンガポール、スランゴールFC加入)ら外国籍選手が退団しただけでなく、代表でもプレーするノーシャルル・イドラン・タラハやズビル・モハマド・アズミ(サバFAに加入)、コギレスワラン・ラジ、ソロモン・ラジ(いずれもPJシティFCに加入)、アフィフ・アミルディン、レメゼイ・チェ・ロス、ワフユディン・シャムスディンらとも契約を更新していません。
 またUTIM FC監督就任の噂が出ていたドラー・サレー監督も一時は退団の意向を持っていたようですが、来季の指揮を取ることに合意し残留を決めたとも記事には書かれています。
 記事では、来季の運営資金が確定しておらず新戦力の補強が遅れていること、運営資金が十分でなければ、外部からの補強ではなく、プレジデントカップチーム(U21チーム)からの昇格などで三種を確保することになるという関係者からのコメントも掲載されています。
 今季はMFL1部では首位のJDTからは勝点10離された2位、マレーシアFAカップではペラTBGに、マレーシアカップではクダFAにそれぞれ準決勝で敗れています。

選手会は未払い給料問題を抱えるクラブのMFL参加停止を要望
 年末になって次々と未払い給料問題が報じられる中、マレーシアプロサッカー選手会(PFAM)はMFLに対して、給料未払い問題を抱える6つのクラブの来季MFL参加停止を要望していると、スポーツ専門サイトスタジアムアストロが伝えています。
 6クラブとは来季MFL1部でプレーするマラッカ・ユナイテッドFCフェルダ・ユナイテッドFCトレンガヌFCPDRM FC、MFL2部でプレーするペナンFA、そしてケランタンFAです。
 PFAMのイズハム・イスマイルCEOは、スタジアムアストロとのインタビューで、MFL所属クラブは、全ての未払い給料問題を解決した上でリーグに参加するべきと述べています。同じインタビューの中で、今季はMFL2部でプレーしたPDRM FCは過去4ヶ月分の給料が選手やコーチ人に未払いとなっていることや、トレンガヌFCが今季プレーしたアーマド・シャミン・ヤハヤ(マラッカ・ユナイテッドFCに加入)に対して未払い給料を抱えていることなどを発表しています。また、マラッカ・ユナイテッドFCのカイルル・ファミ・チェ・マットもケランタンFAが抱える未払い給料を直ちに支払うことを求める発言をメディアに繰り返しています。
 PFAMのイズハムCEOは、この状況を放置しているMFLとFAMに対して直ちに対応を求めるとともに、同じような問題が来季開幕後も発生することを防ぐために、未払い給料問題を抱えるクラブのMFL参加停止を要望するとしています。
 これに対してMFLのダト・ガニ・ハサンCEOは、来季からMFL各クラブに導入される経済コントロールプログラムECPが、給料未払い問題解決につながるだろうと述べるにとどまり、明確な回答が得られなかったと、スタジアムアストロは報じています。

12月27日のニュース:元パハンFAのラムダニはベルギーのクラブへ移籍、未払い給料に対するケランタンFAの対応を元選手が批判

元パハンFAのラムダニはベルギーのクラブへ移籍か
 今季2019年はマレーシアフットボールリーグMFL1部のパハンFAでプレーし、シーズン終了後に契約満了で退団したインドネシア代表のサディル・ラムダニにベルギー1部リーグの複数のクラブが関心を持っていると、インドネシアのスポーツ専門サイトインドスポーツドットコムが報じています。
 20歳のラムダニ選手は、今月初旬にフィリピンで開催された東南アジア競技大会通称シーゲームズの男子サッカーに出場したU22代表でも、インドネシアの3大会ぶりの銀メダル獲得に貢献するするなど活躍していました。
 来季2020年にMFL1部に昇格するサバFAが、インドネシアU22代表でアシスタントコーチを務めていたクルニアワン・ドゥイ・ユリアントを新監督に任命したことから、このラムダニ選手のサバFA加入の噂も上がっていましたが、どうやら来季のMFLでラムダニ選手を見ることはできなそうです。
 なおインドスポートドットコムによると、ラムダニ選手に興味を示しているクラブとして、日本のIT企業DMM.comが出資しシュミット・マイケル選手や鈴木優磨選手、伊藤達哉選手、さらにはベトナム代表のグエン・コン・フオンも所属するKシント=トロイデンVV、インドネシア系の母親を持つサンディ・ウォルシュが所属するSVズルテ・ワレヘム、JDT入りが噂れたディオン・コールズが所属するクラブ・ブルッヘなどが興味を示しているとしてます。

未払い給料に対するケランタンFAの対応を元選手が批判
 MFL2部のケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAは、来季のクラブライセンス資格審査取得の条件として、現在クラブが抱える未払い給料の支払い方法とその期限を明らかにすることが求められていますが、元ケランタンFAの選手で、現在は同じMFL2部のヌグリ・スンビランFAのキャプテンを務めるノーハフィズ・ザマニ・ミスバーは、KAFAの対応を非難していると
 2015年から2017年までケランタンFAでプレーしたノーハフィズ選手は、未払い給料が8万2000リンギ(およそ220万円)があるにもかかわらず、先月に突然、KAFAから1万5000リンギ(およそ40万円)が自身の銀行口座に振り込まれたとマレー語紙ハリアンメトロ電子版で述べています。
 本来ならば、マレーシアサッカー協会FAMの選手地位委員会が5月23日に下した裁定により、KAFAはノーハフィズ選手に30日以内に未払い給料を支払うことになっていましたが、ノーハフィズ選手が連絡を取ろうとするも何の音沙汰もなく、また減額交渉どころか分割払いの交渉すらされておらず、また今回の1万5000リンギについても事前に何の説明もなかったと話しています。
 ノーハフィズ選手は、何の説明もなしに振り込まれたこの1万5000リンギが、未払い給料を支払った証拠とKAFAに利用され、来季のクラブライセンス資格審査で使われては困るとして、翌日に返却したと話しています。
 FAMとMFLには、自分以外にも未払い給料問題を抱える選手がいる状況を理解した上で、KAFAに対して厳格な対応を求めています。
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 今季もシーズン途中で外国籍選手の大半と契約を解除するなど、ケランタンFAの運営方法に問題があったKAFAは、FIFAの裁定によりリーグ戦の勝点を剥奪(はくだつ)されるなど、満船的な問題を抱えているように見えます。また、数日前にはサッカー専門サイトのスムアニャボラではKAFAのU19チームの選手が過去5ヶ月間にわたって給料が払われていないことを伝えています。ケランタンFAは熱狂的なファンも多いチームですが、各クラブに健全経営を促す目的で経済コントロールプログラムECPを導入するMFLには、ノーハフィズ選手が指摘する通り、厳格な姿勢で未払い給料問題に対処するべきでしょう。


 

12月26日のニュース:AMD所属選手に「補償金」制度導入、スランゴールFC監督は「補償金」制度導入に反論、JDTオーナーが意味深なメッセージを公開

AMD所属選手に「補償金」制度導入
 モクター・ダハリアカデミーAMDは、マレーシア政府の青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会MSNが運営し、国家サッカー選手養成プログラムNFDPの中核をなすエリート選手養成アカデミーです。
 今年11月のアジアサッカー連盟AFC U19選手権2020年大会予選を1位で突破し、本大会出場を決めたマレーシアU19代表は、このAMDの1期生が中心で構成されていました。その中には今月12月にフィリピンで開催された東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場したU22代表のメンバーに飛び級で招集されたルクマン・ハキムやウマル・ハキームもいます。
 そのAMDを運営するMSNのトップであるダト・アーマド・シャパウィ・イスマイル委員長が、今後AMDから選手を獲得を希望するクラブに対して「補償金」を請求する制度を発表したと、マレーシアの通信社ベルナマが報じました。
 これを支持する形で、マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、マレーシア14州のサッカー協会(州FA)やマレーシアフットボールリーグMFLの各クラブが自前のアカデミーを持てば、AMDは必要でなくなるとし、それが実現できていない現状で、AMDの存在はむしろ各クラブの負担を軽くする役割を果たしていることから、「補償金」請求は理にかなっていると述べています。
 さらに国際サッカー連盟FIFAが規定する最低2千米ドル(およそ22万円)という補償金の額についても、ラマリンガム事務局長は、AMDはエリート選手養成アカデミーであるため、利潤追求をしないまでも、育成にかかる費用に見合った金額を補償金額に設定し、それをAMDに還元するとしており、補償金額はFIFAの補償金額よりもはるかに高額になると話しています。

スランゴールFC監督は「補償金」制度に反論
 スランゴールFCのバスカラン・サティアナタン監督は、MSNが導入する「補償金」制度について反論していると、マレー語紙シナールハリアン電子版が伝えています。
 一部では20万マレーシアリンギ(およそ530万円)とされるAMD出身選手獲得の際の「補償金」制度導入について、サティアナタン監督は、設定する金額が高すぎることに選手の出場機会を奪いかねないと反論しています。
 マレーシアプロサッカーコーチ協会の会長でもあるサティアナタン監督は、AMDは国民の税金で運営されていること、またAMD出身の選手はマレーシア代表となってその育成費用や労力を国家に還元する可能性を持っているとし、もしMSNが利益を追求するのであれば、MSNを民営化し、FIFAの規格に合わせたものにするべきだとしています。
 その一方で州FAや各クラブがAMDの選手獲得に何万、何10万と費やす必要があるのであれば、自前のアカデミーを設立するべきだと述べる一方で、自分も税金を払っている国民の一人としてAMDの利益を享受する資格があるとも述べています。
 さらにMSNの言い分がまかり通れば、例えば、企業は自社に優秀な学生を送り込む高等教育機関に「補償金」を払う必要があることになるとし、高等教育機関の役割は国民に教育を提供するの役割であり、MSNはスポーツで同様の役割を果たすべきとしています。

JDTオーナーが意味深なメッセージを公開
 ジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナー、ジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が自身のインスタグラムに意味深なメッセージを掲載したことで様々な憶測を呼んでいます。

 メリークリスマスのメッセージとともに、現在、JDTでプレーしていない5選手の名前を挙げていますが、その中には今季2019年はインドネシア1部リーグのペルセラ・ラモンガンに在籍したMF廣瀬慧(ひろせけい)選手や、今季はクダFAでプレーしたものの契約が更新されなかったスペイン人FWフェルナンド・ロドリゲスの名前が挙がっています。また数日前には来季2020年にはJDT IIに日本人とスペイン人が新加入するとトゥンク・イスマイル殿下自身が告知しており、この2選手がJDT IIの新戦力かも知れません。
 またこの他にはスランゴールFCのエンドリック・サントスやマシュー・デイヴィーズ、モハマドゥ・スマレ(いずれもパハンFA)の名も挙げており、来季ではなく2021年にJDTに加入する選手ではないかという予測も出ています。
 サッカー専門サイトのヴォケットFCでは廣瀬選手はペルセラ・ラモンガンとの契約を既に完了し、来季のJDT II加入の際の障害はないとしています。

12月21日のニュース:クラスニキはJDTに(やっぱり)加入、タム・シィアンツンはクダFAでの活躍を目指す、ミャンマーU22のスターにマレーシアやタイのクラブが触手

クラスニキ(やっぱり)JDTに加入
 マレーシアフットボールリーグMFL1部のジョホール・ダルル・タジムはFacebook上で、コソボ出身のリリドン・クラスニキのマレーシア人選手としての加入を発表しています。クダFAで4年間、マラッカ・ユナイテッドで1年間プレーしたクラスニキ選手は、FIFAの規定にある5年以上該当国で継続して居住することで帰化選手となることができる規定によりマレーシア人選手としての登録が可能とされており、マレーシアの国籍取得後はMFLではマレーシア人選手としてのプレーが可能です。
 過去数週間、JDTの練習施設で目撃されていたことから入団は秒読み段階と言われていましたが、やっぱりJDTに加入したようです。
 今季はMFL1部マラッカ・ユナイテッドでプレーしたクラスニキ選手は、開幕から6試合目に負傷し、それ以降は治療等でチームを離れ、今季終了後には契約満了で退団していました。昨季のクダFA退団の際、そして今季のマラッカ・ユナイテッドとの契約中に音信不通になるなど、悪い評判が立っていたクラスニキ選手について、JDTオーナーのジョホール皇太子トゥンク・イスマイル殿下は、練習中の態度を見る限りでは何の問題もないと述べており、クダFAで高い評価を受けていた頃のクラスニキ選手に戻ったのかも知れません。
 その一方で、やはり噂になっていた、マレーシア人の母親を持ちベルギーU21代表などの経験を持つディオン・コールズ(23歳、クラブ・ブルッヘ)について、トゥンク・イスマイル殿下は、世界でもトップクラスのベルギーでサッカーを続けてもらいたいとする一方、JDTの門戸はいつでも開いていると話しています。
 またトゥンク・イスマイル殿下は、JDTのBチーム、MFL2部に所属するJDT IIに日本人選手が加入予定であること、またJDTは来年2020年1月15日からドバイでキャンプを行うことなども併せて発表しています。
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 クラスニキ選手については、アジアサッカー連盟AFCの承認を得ることでマレーシア代表でのプレーも可能で、マレーシアサッカー協会FAMも来季ペラTBGでプレーするギリェルメ・デ・パウラとこのクラスニキ選手を帰化選手として登録したい意向を表明しています。

タム・シィアンツンはクダFAでの活躍を目指す
 東京でマレーシア料理店を営むマレーシア人の両親のもとに生まれたタム・シィアンツンは2009年、13歳のときにJリーグ2部(当時)の横浜FCのU15チームにスカウトされ入団しました。しかし初のマレーシア人Jリーガー誕生かと期待されたかつての天才少年も今年24歳になりました。英字紙ストレイトタイムズ電子版はこのタム選手が、クダFAと来季の契約を結んだことを報じています。
 横浜FCU15からサガン鳥栖、そして水戸ホーリーホックと移籍したタム選手は、移籍先でチャンスを掴むことができず、2013年には中国1部リーグの上海申花のリザーブチームに加入しました。また同年には東南アジア競技大会通称シーゲームズ出場のマレーシアU22代表候補合宿に招集されましたが、当時のオン・キムスイ監督はタム選手を最終メンバーには選びませんでした。
 上海申花退団後は日本へ戻り、アビスパ福岡、カターレ富山、ガイナーレ鳥取へと移籍するも、結局、日本でも中国でも思うような成績が残すことはできませんでした。
 2016年に両親の故郷マレーシアへ戻ったタム選手はマラッカ・ユナイテッドと契約しますが、満足する結果を残せないまま契約満了とともにD’ARワンダラーズ(MFL3部)へ移籍していました。
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 来季のクダFAはAFCチャンピオンズリーグACLの予選出場権を得たこともあり、クパ・シャーマン(PKNP FCより加入)、チェチェ・キプレ(トレンガヌFCより加入)攻撃陣を中心とした大型補強を行っており、タム選手が出場機会を得ることは容易ではなさそうです。
 東京育ちということで、家庭内では両親から中国語で話しかけられても日本語で返事をすることの方が多いというタム選手。このブログでは今後もその動向を追いかけてみたいと思います。

ミャンマーU22のスターにマレーシアやタイのクラブが触手
 今月12月初旬に開催された東南アジア競技大会シーゲームズで銅メダルを獲得したミャンマーU22の主力選手にマレーシアやタイのクラブが興味を示しているとミャンマーの英字紙ミャンマータイムズ電子版が伝えています。
 関心を集めているのはFWアウン・カウン・マン(21)で現在はエー・ユナイテッドFCに所属しており、マレーシアとタイのクラブからのオファーを検討中と報じられています。先日のシーゲームズでは、準優勝したインドネシア相手の準決勝や3位決定戦でのゴールを含む5ゴールを挙げ、ミャンマーの銅メダル獲得に貢献しています。
 但し、記事の中では自分のプレースタイルに合っているのはタイのサッカーだとして、マレーシアのクラブからのオファーを受けない可能性を示唆しており、MFLでカウン・マン選手を見る可能性は低そうです。
 なお同じミャンマーU22代表からは19歳のMFミャット・カウン・カン(ミャンマー1部リーグのヤダナボンFC所属)にもタイクラブからのオファーがあることも報じられています。

12月15日のニュース:2021年のACLとAFCカップの割り当て決定、MFLは各クラブへ放映権料支給を取り止め、スランゴールFA監督がシーゲームズの結果についてコメント

2021年のACLとAFCカップの割り当て決定
 アジアサッカー連盟AFCが主催するアジアのクラブ王者決定戦AFCチャンピオンズカップACLは、2021年からは現行の32チームから40チームへと本戦出場チーム数が拡大しますが、これに伴いACLの各国割り当て枠が変更になり、マレーシアはこれまでの1+1(本戦出場枠1つと予選プレーオフ出場枠1つ)から1+0(本戦出場枠1つと予選プレーオフ出場枠0)へと、実質的には出場枠減になっています。
 なお来季2020年は、マレーシア国内最上位リーグとなるマレーシアフットボールリーグMFL1部優勝チームのジョホール・ダルル・タジムJDTがACL本戦に出場、全国レベルの国内カップとなるマレーシアFAカップ優勝のクダFAがACL予選プレーオフに出場となっています。
 なお今回の変更により東南アジアの各国は、AFC東地区でAFC加盟協会(MA-Member Association)ランキングが4位のタイが2+2、6位のフィリピンは1+1、8位のベトナム、9位のマレーシア、10位のシンガポールはいずれも1+0、12位のミャンマーは0+1の出場枠を割り当てられています。
 また今回のACLの出場枠割り当て変更に伴い、2021年AFCカップへの出場条件も変更になり、本選出場枠、予選プレーオフ出場枠を問わずACL出場枠が1つ以下のAFC加盟協会にはAFCカップの出場枠が与えられることになりました。この結果、マレーシアは本戦出場枠が2枠となり、来季2020年MFL1部2位のチームとマレーシアFAカップ優勝チームに出場権が与えられます。
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 ACL予選プレーオフ枠は減ったものの、AFCカップ出場枠が2つ増えたことで、より多くのクラブが東南アジアで、さらにはアジアで力試しをする機会を得ることになりました。ACLとAFCカップに出場するクラブは、結果を出し続けてACLの出場枠を従来の1+1に引き戻すことを目指して欲しいです。

MFLは各クラブへ放映権料支給を取り止め
 マレーシアフットボールリーグMFLは、ホームページで所属各クラブへ分配予定だった放映権料の残りの支給を行わないことを正式に発表しています。
 緊急臨時総会を開いたMFLのダト・ハミディン・アミン会長は、MFLが抱える不安定な経営状況を回復させる必要があることから今回の決定に至ったと説明する一方で、今年2019年7月にはその不安定な経営状況下で各クラブに約束していた放映権料の半額を支払ったことへの理解を求めています。今年7月の時点では、MFL1部クラブには150万リンギ(およそ3970万円)が、MFL2部クラブには50万リンギ(およそ1320万円)が支給されています。
 また来季2020年分の放映権料については、MFLが得る放映権料と商業利益が総額が1800万リンギ(およそ4億7600万円)以下の場合には従来のMFL1部300万リンギ、MFL2部100万リンギから見直しを行うこと、そして2021年以降は放映権料分配は年末に行うことも併せて発表しています。
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 このブログでも取り上げたマレーシアのマルチメディア企業テレコムマレーシアTMとMFLの間で2018年1月に締結された8年間で4億8000万リンギ(およそ127億円)という放映権料を含む巨大なスポンサー契約が今年2月に打ち切られたことにより、MFLには期待していた放映権そのものが全く入らない中、各クラブに約束していた金額の半分を支給した(噂では、資金源はジョホール州皇太子で前MFL会長のトゥンク・イスマイル殿下のポケットマネー)のが7月でした。残りは8月、11月と支給予定日を先送りしてきましたが、結局、無い袖は振れぬ、ということでした。

スランゴールFA監督がシーゲームズの結果についてコメント
 2019年東南アジア競技大会通称シーゲームズのサッカー男子に出場したU22代表は、大会前は準決勝出場間違いなし、そこから何色のメダルが取れるか、と言われていましたが、結果は予選グループで敗退し、準決勝に進出することができませんでした。
 シーズン末の大会であったことから疲労の蓄積、あるいは参加した選手の意欲の欠如など、様々な理由がメディアを賑わせましたが、スランゴールFAのバスカラン・サティアナタン監督は、この大会に臨んだ選手たちの姿勢が問題ではないかと指摘しています。FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選に出場しているフル代表のメンバー7名を含むU22代表のメンバーは近年でも最高のメンバーであるとする一方、代表チームでプレーするということはサッカー選手にとって最高の栄誉であることを理解していない選手がいたのではないかと述べています。
 今大会で優勝したベトナムにもフル代表でプレーする選手が含まれていたことからシーズン末の大会であることや疲労は理由にならないだろうとし、マレーシアが初戦のミャンマー戦の引き分け以降、低下していったことを指摘、選手たちが準決勝進出を諦めてしまったように感じたと述べています。
 またその一方で、ファンやサッカー関係者、メディアの何が何でもシーゲームズでは金メダル、という姿勢も変えるべきだとしています。金メダルを目指すこと自体は間違えていないが、時にはことの全体像を捉え、各大会ごとの目標を正しく設定すルことが重要とも指摘しています。サティアナタン監督は個人的な意見であると前置きした上で、(東南アジアのチームのみが参加する)シーゲームズの結果を選手やチーム評価基準として使うことには反対で、むしろ(アジアのチームが参加する)AFC主催の各大会を評価基準とするべきとし、例えば今回で言えば、U22代表ではなくU19代表をシーゲームズに出場させる、という考え方があっても良かったのではないかとも話しています。U19の選手にとって上の年代の選手との対戦は良い経験になるだけでなく、予選を突破したAFC U19選手権の準備にもなっただろうと述べていますが、同時に現在のファンやサッカー関係者、メディアの姿勢ではそのような方針は決して許されることはないだろうとも述べています。
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 マレーシアサッカーがその域まで達しているかどうかは別として、例えば昨年2018年のアジア競技大会はU23代表が出場する大会でしたが、日本はU21代表を派遣しています。また、今回U22代表のオン・キムスイ監督はU19代表でプレーする17歳のルクマン・ハキムとウマル・ハキームの2選手を招集するなど、現場レベルでは、サティアナタン監督の考えが理解されているようですが、マレーシアサッカー協会幹部や、メダルの数が気になるマレーシアオリンピック協会(シーゲームズはオリンピック協会が統括)幹部がこの考えを理解できるかどうかは、マレーシアサッカーに対してどのくらい先まで見越した方針を持てるかどうかによりそうです。

12月12日のニュース:シーゲームズ-マレーシアU22代表戦績

 昨日12月11日の閉会式と共に幕を閉じた第30回東南アジア競技大会通称シーゲームズ。各国のU22代表が対戦するサッカー男子では前回2017年大会で決勝に進出したものの0-1でタイに惜敗したマレーシアでしたが、今回は1勝1分2敗でグループステージ敗退となりました。
 そこシーゲームズ関連としては最後となる今回は、グループステージでのマレーシア代表の試合を振り返ります。
(各試合のスターティングXIと写真はマレーシアサッカー協会FAMのFacebookより、また試合のダイジェスト映像はアストロアリーナのYoutubeチャンネルより)

第1戦:11月25日
マレーシア1-1ミャンマー(リザル・メモリアルスタジアム、マニラ)
得点者:マレーシア-ハディ・ファイヤッド(24分)、ミャンマー-ソー・モー・チョウ(13分)
 ミャンマーU22代表のヴェリザール・ポポフ監督は、2016年にはマレーシアフットボールリーグMFLのケランタンFAの監督経験もある、いわばマレーシアサッカーの経験者。しかもFIFAランキングではミャンマーが136位に対して、マレーシアは154位となっています。
 開幕戦となったこの試合では、U19代表からの飛び級組FWルクマン・ハキムとMFウマル・ハキームの17歳コンビがいきなり先発で起用され、マレーシアのオン監督は彼らが単に人数合わせの招集ではないことを示しました。
 試合はミャンマーがライン・ボー・ボーのコーナーキックをソー・モー・チョウが頭で合わせてゴールし、13分に先制しますが、マレーシアもミャンマーDFのバックパスを奪ったアキヤ・ラシドからのクロスをハディ・ファイヤッドがこちらもヘディングでゴールを決め同点に追いつきます。その後はハディ選手のヘディングシュートやキャプテンのアダム・ノー・アズリンのフリーキックがポストに阻まれるなど、マレーシアはチャンスを生かせず、このまま試合終了となっています。

第2戦:11月29日
マレーシア0-1フィリピン
得点者:フィリピン-シュテファン・シュレック(74分)
 マレーシアの一部メディアでは、1991年の再演とも評されたこの敗戦ですが、当時とは状況が全く違っています。1991年にやはりマニラで開催された第16回大会でマレーシアはフィリピン相手に0-1で敗れ、グループステージで敗退していますが、1990年代のフィリピンはサッカー弱小国でしたので、マレーシアから見れば歴史的番狂わせ、フィリピンからすればまさにジャイアントキリングでした。
 しかし直近のFIFAランキングでは、マレーシアの154位に対してフィリピンは124位と「格上」です。今大会での敗戦は言わば順当な結果なわけで、それを受け入れられないファンやメディアは現状認識力がないということでしょう。
 オン監督はミャンマー戦で先発した17歳コンビに代わってニック・アキフ・シャヒランとディネシュ・ラジャシンガムを先発に起用しましたが、攻撃のリズムが好転することはなかったようで、結局、17歳コンビがこの2選手と交代で途中出場しています。試合は74分に代表フィリピンのオーバーエイジ枠で出場のシュテファン・シュレックのコーナーキックが直接ゴールに飛び込み、これが決勝点となりました。ゴールへ向かってくるボールに対するGKハジック・ナズリは位置取りも反応も悪く、前回大会決勝でやはりボールの起動を読み損ね、パンチングでクリアしたボールが自陣ゴール飛び込んでタイに決勝点を与えた頃から進歩が感じられないプレーでフィリピンに得点を許しました。

第3戦:12月2日
マレーシア4-0東ティモール
得点者:マレーシア-ジュリアオ(9分OG)、ハディ・ファイヤッド2(34分、43分)、アキヤ・ラシド(81分)
 1敗1分で迎えた第3戦は、勝利はもちろんのこと、マレーシアと最終戦で対戦するカンボジアが、既に東ティモール相手に5−0と大勝していたことから、得失差でグループ内の順位が決まる可能性もあり、できるだけ多くのゴールを挙げることが求められた試合でした。
 この前の試合のフィリピン戦の内容について「そんな実力もないのにメッシのような個人プレーはやめろ」と英字紙ニューストレイトタイムズに名指しで批判されたアキヤ・ラシドに代えて、ファイザル・ハリムを起用したオン監督でしたが、それでも途中出場したアキヤ選手もゴールを決め、チームは4点をとり快勝し、最終線維望みをつなぎました。

第4戦:12月4日
マレーシア1-3カンボジア
得点者:マレーシア-クェンティン・チャン(89分)、カンボジア-イン・ソダヴィド(56分)、シエン・チャンテア(57分)、ケオ・ソクペン(68分)
 東ティモール戦の勝利でわずかながら準決勝進出の可能性が残ったマレーシアは、このカンボジア戦に勝ち、この次の試合でフィリピンが東ティモールに負けるか引き分けならば準決勝進出が確定、またフィリピンが勝っても僅差の勝利であればやはり準決勝へ進出できる状況でした。
 しかし試合はカンボジアが一方的な勝利で準決勝を進出を決め、マレーシアは2015年大会以来のグループステージ敗退となりました。

 今回のグループステージ敗戦によってこの大会に臨むマレーシアの姿勢に疑問が残りました。グループステージで戦った主力選手のうち、シャミ・サファリ、アダム・ノー・アズリン、ドミニク・タン、シャマー・クティ、アキヤ・ラシド、ダニアル・アミールの6名はフル代表にも招集されており、U22代表合流は大会のわずか1週間前でした。オン監督は大会前の準備期間が好成績を残した昨年2018年のAFC U23選手権(ベスト8進出)、アジア競技大会(ベスト16進出)と比べると明らかに短かったことを挙げ、FAMにはこのような大会の準備にはより多くの時間を変えるべきとの提言を行っている他、東南アジア地域内にはいつでも勝てる相手はもう存在していない、ということを認識するべきとも話しています。
 今回は残念な結果に終わりましたが、この大会に勝ってもアジアや世界につながるわけではないので、フル代表の資格がある選手も含めたとにかくベストの布陣をひくのではなく、今回の17歳コンビの起用のような将来につながるようなチーム編成を考えるべきではないでしょうか。今大会でも19歳のハディ選手と17歳コンビを使い続けたように、オン監督には育てながら勝つ、という最も大変な役割が与えられていましたが、その信念を貫き続けた姿勢はもっと評価されて良いのではないかともいます。

12月10日のニュース:シーゲームズ関連-決勝はインドネシア対ベトナム、マレーシアはグループステージ敗退、FAMはオン監督との契約を延長せず

東南アジア競技大会通称シーゲームズのサッカー男子では各国のU22代表(2名のオーバーエイジを含む)が対戦しますが、11月25日に開幕したこの大会は、本日12月10日の決勝と3位決定戦を残すのみとなりました。そこで今回はこのシーゲームズ関連の話題をまとめました。

決勝はインドネシア対ベトナム
 U22代表の東南アジアチャンピオンを決める決勝に進出したのは予選グループBを1位で通過したベトナムと同組2位のインドネシアです。準決勝では、ベトナムはFWハー・ジューク・チンのハットトリックを含む4-0(東南アジアサッカー連盟AFFによる試合の詳細はこちら)でグループA2位のカンボジアを一蹴、一方のインドネシアはグループA首位突破のミャンマーを延長の末4-2(AFFによる試合の詳細はこちら)と破り、それぞれ決勝進出を決めています。なお、この両者はグループステージで対戦し、ベトナムが2-1とインドネシアに勝利(AFFによる試合の詳細はこちら)しています。またベトナムとインドネシアに敗れたカンボジアとミャンマーは銅メダルをかけて3位決定戦を戦います。

マレーシアはグループステージ敗退
 シーゲームズの予選グループが発表になり、ベトナム、タイ、インドネシアなど強豪国とは別の予選グループAに入ったことで、国内サッカーファンの間では、マレーシアの準決勝進出に期待が高まっていました。
 大会前にはU22代表を率いるオン・キムスイ監督が、マレーシアフットボールリーグMFLで2年連続の最優秀選手に選ばれたサファウィ・ラシド(JDT)を招集しないことを発表、またアメリカ生まれでプロリーグMLSでのプレー経験もあるワン・クザイン(スポーティング・カンザスシティII)も代表候補合宿に参加しながら、書類上の問題で最終メンバーに選ばれないなどの不安要素がありましたが、それを補って余りあるタレント軍団という前評判で、マレーシアはシーゲームズに臨みました。
 しかし蓋を開けてみればグループステージ敗退、しかもグループ最下位の東ティモール相手に挙げた1勝のみの1勝1分2敗(勝点4)と期待を大きく裏切る結果になってしまいました。4試合で得点6、失点5、得失差+1の成績も、東ティモール戦での4-0の勝利を除けば、3試合で得点2、失点5、得失差-3となり、惨敗と言っても良い結果です。

FAMはオン監督との契約を延長せず
 マレーシアU22代表のグループステージ敗退が決まった翌日、マレーシアサッカー協会FAMは、12月末に切れるU22代表のオン監督との契約を更新しないことを発表しています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガムCEOは、当面はU22/U23代表の公式行事が残っていないことから契約を更新しないとしていますが、今回のシーゲームズ予選グループ敗退の結果に基づく決定でしょう。またラマリンガムCEOは、オン監督の後任についてはこれから検討するとも話しています。
 2009年に当時はハリマウ・ムダと呼ばれたU22/U23代表の監督に就任したオン監督は、2011年インドネシアで開催されたシーゲームズで金メダルを獲得した他、2018年にはベトナムで開催されたアジアサッカー連盟AFC U23選手権でベスト8、インドネシアのジャカルタで開催されたアジア競技大会ではベスト16と好成績を収めています。しかし今年2019年は、3月にクアラルンプールで開催されたAFC U23選手権2020年大会の予選で敗退、そして今回のシーゲームズでのグループステージ敗退と受難の年でした。
 今後についてオン監督は、まずは家族とゆっくり過ごす時間を撮りたいとしていますが。来季MFL1部昇格となるサバFAの監督候補という噂もあります。

11月27日のニュース:FAMはMFL各クラブに今季の未払い給料問題に関する申告を義務づけ、ブキ・ジャリル管理会社はインドネシア戦の施設破壊の賠償をFAMに請求、イルファン・ザカリアはシーゲームズに集中

FAMはMFL各クラブに今季の未払い給料問題に関する申告を義務づけ
 マレーシアサッカー協会FAMは、2020年にマレーシアフットボールリーグMFLに参加する全てのクラブに対して、現在抱えている未払い給料とそれをどのように解消するかの計画の申告を12月15日に行うことを義務付けたと発表しています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、今季発生した未払い給料や、日本の年金に当たる授業員積立基金EPF、所得税なども含めた負債を来季まで持ち越させないための措置であると述べ、未払い給料や負債を抱えるクラブを罰することが目的ではなく、各クラブがそういった金銭面の問題を抱え込まず、解決するためが目的であるとしています。
 「未払い給料の完済と負債の解消は各クラブがその責任を負うものであり、今季中に全てを解決し、来季に持ち越さないことを宣誓すること、また全ての未払い給料や負債を隠さず、明らかにすることを求め、それが守られない場合には、すでに各クラブが取得している来季のクラブライセンスをFAMが無効にする措置を取ることもありうる。」とマレーシアの通信社ベルナマにラマリンガム事務局長は述べています。
 また選手に対しては、今季の未払い給料が完済されない場合には、FAMに申し立てを行うことを求めており。そういった申し立てを受けた場合、FAMがクラブに対して指導を行うとしています。
 給料未払い問題では、MFL2部のケランタンFAが2017年にテクニカルダイレクターTDとして契約したウルグアイ出身のアルフレド・カルロス・ゴンザレスに対する未払い給料23万5686リンギ(およそ620万円)を指示された期間内に完済しなかったことから、FIFAの裁定により今季のMFLで勝点3を剥奪されています。

ブキ・ジャリル管理会社はインドネシア戦の施設破壊の賠償をFAMに請求
 ブキ・ジャリル国立競技場を管理するマレーシアスタジアム社は、11月19日に行われたFIFAワールドカップ2022大会アジア二次予選のインドネシア戦で、インドネシアサポーターによって破壊されたスタンドの座席の補修費用として1万1000リンギ(およそ29万円)をこの試合の主催者であるFAMに請求すると、ベルナマが伝えています。
 マレーシアスタジアム社のニック・ラジーン・アダム・ダウドCEOは、この賠償額は破壊された44席の補修費用であると発表しています。

イルファン・ザカリアはシーゲームズに集中
 先日新たにクアラルンプールサッカー協会会長に就任したカリド・アブドゥル・サマド会長は、統括するMFL2部のクアラルンプール(KL)FAを2021年シーズンには再びMFL1部に昇格させるとして、大幅な選手入れ替えを示唆、今季2019年在籍選手中18名が来季はKLFAでプレーしないことが発表になっています。
 現在、フィリピンで開催中の東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場中のマレーシアU22代表にオーバーエイジ枠で参加しているイルファン・ザカリアも、KLFAが来季契約を結ばない選手の一人ですが、イルファン選手はマレーシアの通信社ベルナマの取材に対して、自分の所属先を考える前に今はシーゲームズに集中し、優勝を目指したいと語っています。
 2016年からKLFAでプレーするイルファン選手については、ベルナマの記事ではKLFAからは来季へ向けて契約更新の打診があったようですが、イルファン選手は退団を選び、来季の所属先については急いで決めるつもりはないとしています。
 退団決定後から複数のクラブが獲得に動いているとされますが、U22代表のオン・キムスイ監督は、シーゲームズに集中させるため、MFL各クラブには大会終了までは接触を控えて欲しいとベルナマの取材に答えています。

11月24日のニュース:U22代表メンバー発表-ワン・クザインは含まれず、ブレンダン・ガンはスランゴールFAへ移籍か、スランゴールFA監督-アムリ・ヤハヤの退団は本人の意思、サフィク・ラヒムは来季もマラッカUでプレー

U22代表メンバー発表-ワン・クザインは含まれず
 今月11月25日からフィリピンのマニラで開幕する東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場するU22代表の最終メンバーがマレーシアサッカー協会のホームページで発表になっています。全員の選手名簿はこちらです。
 今回発表されたU22代表には、マレーシアで開催された前回2017年大会のチームからは7名が残っている一方で、今月初旬にカンボジアで行われたAFC U19選手権予選を全勝で勝ち抜けて本戦出場を獲得したU19代表からも3名が選ばれるなど、経験者と若手の融合したメンバー構成になっています。
 前回大会経験者は、GKハジック・ナズリ、MFシャマー・クティ・アッバ、FWアキヤ・ラシド、DFアダム・ノー・アズリン(以上JDT)、MFダニアル・アミル・ノーヒシャム(フェルダ・ユナイテッド)、DFイルファン・ザカリア(クアラルンプールFA)で、この内23歳のアダム・ノー・アズリンと24歳のイルファン・ザカリアはオーバーエイジ枠として出場します。
 またU19代表からはFWルクマン・ハキム・シャムスディンは、DFハリス・ハイカル・アダム・アフカル、FWムハマド・ウマル・ハキーム・スハルが初代表入りしています。
 この他、アメリカ生まれながらマレーシア人両親を持ち、メジャーリーグサッカーMLSでもプレー経験のあるワン・クザイン・ワン・カマルは、選手登録期限までに必要書類が揃わなかったということで、最終メンバーには残りませんでした。
 シーゲームズのサッカーは他の競技に先駆けて11月25日に開幕し、予選グループAに入ったマレーシアはミャンマー(11月25日)、フィリピン(11月29日)、東ティモール(12月2日)、カンボジア(12月4日)の順でグループステージを戦い、前回優勝のタイなどが入ったグループBの上位2チームとともに12月7日の準決勝、さらに12月10日の決勝と3位決定戦に進みます。

ブレンダン・ガンはスランゴールFAへ移籍か
 ワールドカップ予選タイ戦ではマンオブザマッチに選ばれるなど、フル代表でも主力選手の一人であるブレンダン・ガン(ペラTBG)にスランゴールFA移籍の噂が出ていると、スポーツ専門サイトフォックススポーツが伝えています。
 フォックスポーツの取材に対して、ガン選手はスランゴールFA移籍についての話し合いが進行中であることを認める一方で、ペラTBGには思い入れもあるとして、来季2020年のMFLでプレーするクラブを決めるにはもう少し時間が必要であると答えています。また、ガン選手はスランゴールFA以外にも複数のクラブが接触していること、自身の中にもプレーを希望するクラブがあることも認めた上で、結論が出たら速やかに報告したいと語っています。
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 オーストラリア生まれながら、マレーシア人の父親を持つガン選手は、サバFA、ケランタンFAでもプレー経験があり、昨季2018年からペラTBGでプレーし、昨季はマレーシアカップ優勝に貢献しています。パハンFAやクダFAもガン選手獲得に興味を持っているという噂もあり、スランゴールFAを含めた争奪戦に勝ったクラブは来季2020年は打倒JDTに一番手になる可能性が高くなります。

スランゴールFA監督-アムリ・ヤハヤの退団は本人の意思
 このブログでも取り上げたアムリ・ヤハヤのスランゴールFA退団について、契約を1年残しての退団となったことから、スランゴールFAの一部サポーターからは、アムリ選手退団の原因と槍玉に挙げられたバースカラン・サティアナタン監督が、退団はあくまでも本人の意思であると主張していると、スポーツ専門サイトスタジアムアストロが報じています。
 サティアナタン監督は、アムリ選手がチームに残るか否かの決定権は自分にはないと前置きした上で、「来季2020年はスランゴール州サッカー協会FASは(スランゴールFAとスランゴールFAのBチームとなることが決定したPKNS FCの)2つのクラブを持つが、FASはアムリ選手にはPKNS FCで若い選手を導く役割を期待していた」と述べています。
 MFLの規定では、各クラブのBチームは、Aチームと同じリーグでプレーすることができないため、もしアムリ選手がPKNS FCの登録となれば、MFL1部ではなくMFL2部でのプレーを余儀なくされることになり、それを嫌っての退団の可能性も考えられます。
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 スランゴールFAで400試合以上に出場し、100以上のゴールを挙げているアムリ選手は、いわばスランゴールFAのレジェンドの一人であり、スランゴールFAサポーターには「アムリ信者」も多いこと、また「モノ言う」指導者のサティアナタン監督に批判的なスランゴールFAサポーターも少なくないことが、このような批判につながった可能性があります。

サフィク・ラヒムは来季もマラッカUでプレー
 新たな外国籍選手やマレーシア人選手の移籍が次々と発表が報じられるマラッカ・ユナイテッドですが、フル代表では長年、主将も務めたサフィク・ラヒムが1年契約を新たに結んだことがチームのFacebookで告知されています。
 MFLで今季6位のマラッカ・ユナイテッドは、シーズン終盤のマレーシアカップ準々決勝第1戦を前に、主将のシュコール・アダンがマラッカ・ユナイテッドを統括するマラッカ州サッカー協会MUSAが過去2ヶ月間の給料を払っていないことをソーシャルメディア上で告発し、ベンチ入りどころか、スタンドにも姿を見せないという事態が起こり、準々決勝も2試合で1-6とパハンFAに大敗しています。
 サフィク選手は来季はチームのメンバーも大きく変わることが考えられるが、自分は全力を尽くしたいと抱負を述べる一方、MUSAのデミアン・ヨー・シェンリー新会長はシュコール・アダンの退団を受けて、サフィク選手がマラッカ・ユナイテッドの新キャプテンとなることも発表しています。