6月18日のニュース:代表チームが「マラヤの虎」チャーター便で帰国、FAMはJDTオーナーの代表チームマネージャー就任希望に未だ回答せず

代表チームが「マラヤの虎」チャーター便で帰国
 アラブ首長国連邦UAEで開催されたFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選に出場したマレーシア代表は、昨日の午後に無事マレーシアへ帰国したとマレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 5月20日にマレーシアを出国して以来、ほぼ1ヶ月ぶりの帰国となった代表チームは、出国時と同様にマレーシア航空特別機で帰国しました。
 帰国途中にはバンコクを経由し、タイで6月22日から開催されるAFCチャンピオンズリーグに出場するJDTの選手13名を降ろし、マレーシアに帰国した選手は8名のみとで、マレーシア国外でプレーするディオン・コールズ(デンマーク1部FCミッティラン)、ルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)、リリドン・クラスニキ(オーストラリア1部ニューカッスルジェッツ)、ジュニオール・エルドストール(タイ1部チョンブリーFC)、ドミニク・タン(タイ1部ポリステロFC)の各選手は既に別途帰途についたということです。
 今回予選G組では首位UAE(勝点18)、2位ベトナム(同17)に次ぐ3位(同12)となったマレーシアは、来年2022年2月あるいは3月に行われる予定のアジアカップ3次予選出場権を獲得しています。
 (代表カラーに塗装された特別機に登場する代表チーム-FAMのFacebookより)

FAMはJDTオーナーの代表チームマネージャー就任希望に未だ回答せず
 W杯予選G組最終戦のタイ戦を前に、Mリーグ1部JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下がマレーシアサッカー協会FAMに対し、代表チームのマネージャー就任を希望していると自身のインスタグラムに投稿しましたが、これに対してFAMは回答を保留していると英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。。
 イスマイル殿下は、ハミディン・アミンFAM会長に宛てて「代表チームに対して最高の練習環境と最高のコーチングスタッフを提供することを約束し、代表チームを強化するためには自分をチームマネージャに就任させて欲しい。短期間での成功は約束できないが、現実的な目標を一つ一つ達成し、必ずチームを改善する」と述べる一方で、「一部の選手は代表チームへの招集を夏休みのように考えているようだ。また今後は簡単に帰化選手を生み出すべきではない。」と述べ、代表のプレースタイルにあった選手だけを帰化させるためにその分析を行う技術委員会が管理するべきだとも述べています。
 これは今回のW杯予選に出場したマレーシア代表にはモハマドゥ・スマレ(JDT-ガンビア出身)、ギリェルメ・デ・パウラ(JDT-ブラジル出身)、リリドン・クラスニキ(JDTから期限付き移籍でAリーグのニューカッスルジェッツ-コソボ)の3名の帰化選手がいましたが、3名が3名とも不調であったことから、国内サポーターだけでなく国内サッカー界からも帰化選手と帰化選手プログラムを推し進めるFAM双方に対する批判が高まっています。
 イスマイル殿下は、JDTがMリーグ7連覇を含む多くのトロフィーを獲得している秘訣は、選手をメデイアなど外部から遮断し、ソーシャルメディアの使用も管理した上でサッカーという仕事に集中できる環境を提供している自身のリーダーシップによるものだと話しています。
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 ジョホール州皇太子の略称TMJの愛称でも呼ばれるイスマイル殿下ですが、自身の代表チームマネージャー就任希望を投稿したのは予選G組の最終戦タイ戦の前でしたが、正直なぜこのタイミングで?というのが最初の印象でした。FAM会長はじめとする役員の尻に火をつけるためのなのか、はたまた代表に13名いるJDTの選手に気合いを入れるためなのか。いずれにせよ、大事な最終戦前にマイナスに作用することはあってもプラスには採用しないのでは、というタイミングでした。(もちろんこのハッパが効いて、タイに勝利したのであればそれはそれで効果的だったとも言えますが…。)
 2017年から2018年までは自身がFAMの会長を務めたイスマイル殿下ですが、退任後のFAMはそれまではとは違い、王族も中央政府の政治家もいない組織として機能しており、また代表チームも2019年末まではタイを破り、UAEと接戦を繰り広げるなどここ数年来、最も期待できるチームでした。しかし新型コロナ蔓延後は他国も条件は同じとはいえ、代表合宿は行えず、強豪との練習試合も組めず、正確な日数は調べていないのでわかりませんが、移動制限令が連発されたマレーシアは、2020年以降で見ればおそらく代表合宿開催日数は予選G組では最低ではないかと思います。コロナ禍が落ち着けば、2019年のように代表の強化ができれば、アジアカップ本戦出場も夢ではないような気がします。
 そんな中でのイスマイル殿下の投稿は、Mリーグの優秀な選手を片っ端からJDTが獲得している手腕と合わせた上でうがった見方をすれば、自身の手中に代表チームを納めたいのという思惑があるようにすら思えてしまいます。FAMによる代表強化が手ぬるいから、と言われてしまえばそれまででしょうが、FAMがイスマイル殿下に「預けて」しまった後は、批判的な意見が出にくくなる恐ればあり、また万が一、その強化が失敗と判明した場合に誰が殿下を解任できるのか、という最大の問題が残ります。

  • BERNAMA

5月21日のニュース:代表が合宿地のアラブ首長国連邦へ出発、MFLはMリーグ各クラブにより厳格なスポーツバブル内での練習を義務付け、JDTはFWダ・シルヴァの完全移籍とDFローリーの加入を発表

代表が合宿地のアラブ首長国連邦へ出発
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選に出場するマレーシア代表の候補選手と監督、コーチ他の関係者を含めた総勢45名が5月20日に代表合宿地のアラブ首長国連邦UAEのドバイへ出発したことを伝えています。
 FAMのハミディン・アミン会長に率いられたマレーシア代表団は、代表の公式エアラインでもあるマレーシア航空が用意したチャーター機。に搭乗し、クアラルンプール国際空港KLIAを午前9時に出発しました。
 代表チームはUAEでの合宿期間中、5月28日にはバーレーンのマナマでバーレーン代表との練習試合が予定されていますが、この際のドバイーマナマ間、マナマードバイ間の移動もマレーシア航空がチャーター便を用意してチームの移動をサポートするということです。
 またW杯予選終了後にはマレーシア航空が用意する、チームの愛称ハリマウ・マラヤ(日本語では「マラヤの虎」)に合わせて黄色と黒色主体に塗装されたチャーター便で帰国する予定ということです
(下は代表がマレーシア帰国時に搭乗予定のハリマウ・マラヤ仕様のマレーシア航空A330-300型機)

MFLはMリーグ各クラブにより厳格なスポーツバブル内での練習を義務付け
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、移動制限令MCOの施行が6月7日までとなったことを受け、Mリーグ各クラブに対してMCO施行地域でのチームトレーニングは合宿形式での実施のみ許可とすることを公式サイトで発表しています。
 MFLは今年2月15日より、チーム全員が一箇所に合宿し、外部との接触を遮断して練習を行う「合宿ベース」型と、選手は自宅から練習に通うことができる一方で、自宅と練習場以外への立ち寄り、さらに家族以外との接触や自宅への訪問者受け入れを禁じる「自宅ベース」型の二つのスポーツバブルを設け、各チームにはいずれかの形式を選択できるようにしていました。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、新型コロナウィルスの新規感染者数が連日記録を更新する状況下で、国家安全保障委員会NSC、国家スポーツ評議会MSN、国内のスポーツを統括する青年スポーツ省、そして保健省との会合を重ねた結果、MCO施行地域での「自宅ベース」型スポーツバブルの有効性が疑わしく、さらに感染拡大に寄与する可能性が高いとして、MCO施行地域での「自宅ベース」型の実施を禁止するとしています。
 さらにアブドル・ガニCEOは各クラブに対して、選手や監督、コーチだけでなく練習に関わる全員がPCR検査を受けること、合宿ベース型実施の際の練習場とチームの宿泊先をMFLに提出することを求め、その申請内容に基づいてMFLが練習を許可する方式とするとしています。
 この他、MCOより規制が緩和されている「条件付き移動制限令」CMCOが施行されているサラワク州とサバ州に本拠地を持つチームのうち、サバ州コタキナバルを本拠地とする1部スーパーリーグのサバFCは今後も自宅ベース型での練習が可能とする一方で、いずれも2部プレミアリーグ所属でサラワク州クチンを本拠地とするサラワク・ユナイテッドFCとクチンシティFCについては、サラワク州政府の危機管理委員会があらゆるスポーツ活動を現在禁止していることから、合宿ベース形式での練習を行うように求めています。
 またMCOよりさらに厳格な「強化移動制限令」TMCOが施行されているクダ州を本拠地とする1部スーパーリーグのクダ・ダルル・アマンFCに対してはクダ州外のMCOあるいはCMCOが施行されている地域での合宿ベース形式で練習を行うよう求めています。

JDTはFWベルグソン・ダ・シルヴァの完全移籍とDFシェーン・ローリーの加入を発表
 1部スーパーリーグ首位のJDTは、期限付きで移籍していたブラジル出身のベルグソン・ダ・シルヴァの完全移籍とオーストラリア出身のDFシェーン・ローリーの加入を公式Facebookで発表しています。
 今季開幕直後にブラジルのフォルタレーザECからJDTに加入したダ・シルヴァ選手は第3節から出場し、第13節までの11試合で11ゴールを挙げていますが、6月30日までの期限付き移籍での加入であったことから、その後の契約が更新されるのかどうかに注目が集まっていました。
 一方、カタール1部カタール・スターズ・リーグのアル・アハリSCから新加入したローリー選手はオーストラリア出身ですが、リーズ・ユナイテッド、シェフィールド・ユナイテッド、ミルウォール、レイトン・オリエントなど英国のクラブでのプレー経験やオーストラリア1部Aリーグのパース・グローリーでのプレー経験もあるということです。
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 1989年生まれのローリー選手は2005年に英国1部のアストン・ヴィラと契約しましたが、その時に一緒に契約したのが、やはり1989年生まれで現在は同じMリーグ1部のトレンガヌFCでプレーするクリス・ハードだったということです。(ハード選手はケガのため長期離脱中です。)
 またJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下はさらなる補強として、英国1部ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズFCのU23でプレーするMFナサニエル・シオ・ホング・ワンとも契約したことを明かし、後半戦開幕時にはチームに合流予定であるとしています。21歳のシオ選手はJDTを退団したハリス・ハルン選手の抜けた穴を埋める選手だとしており、母親がマレーシア人であることからマレーシア人選手として登録されると述べている他、さらにスペインのラ・リガからも選手が加入すると話しています。



 
 

5月20日のニュース:マレーシアの未払い給料申請件数は世界2位、UITMはKLシティからシーン・ジャネッリを獲得、リー・タックがスリ・パハンからトレンガヌに復帰、マラッカUは監督残留もCEOは辞任

マレーシアの給料未払い申請件数は世界2位
 FIFAがクラブ消滅による未払い給料の補助をマレーシアの147選手に支給したニュースは数日前に取り上げましたが、この147名はギリシャの291選手に続く世界第2位の件数です。これについてMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOはマレーシアにおける未払い給料が透明性を持って対応されている結果であると述べています。
 マレーシアからFIFAサッカー選手基金(FIFA FFP)への申請件数が多いのは、未払い給料問題が発生した場合、マレーシアサッカー協会FAMとMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLが該当クラブに厳しく対処する一方で、FAMとMFLが率先してFIFAに未払い問題を報告しているからであることを理由に挙げたアブドル・ガニCEOは、「他国リーグでも同様の給料未払い問題は起こっている可能性があるが、各国のサッカー協会や国内リーグ主催者がそれを公にせず、FIFAにも報告ししないという方法で対処している」と話し、マレーシアからの申請件数が多いということが他国に比べて未払い給料問題がより多く発生しているというわけではないと説明しています。

UITMはKLシティからシーン・ジャネッリを獲得
 Mリーグ1部スーパーリーグのKLシティは、同じスーパーリーグで最下位のUTIMへMFシーン・ジャネッリとGKザミル・スラマットを期限付きで移籍することを発表しています。
 JDTのセカンドチームJDT IIでもプレー経験があるジャネッリ選手は、KLシティではレギュラーポジションを奪えず、今季出場の6試合はいずれも途中出場で、UTIM戦での68分からの出場が今季プレーした時間では最長です。
 UTIMではレギュラーポジションを獲得したいと話すジャネッリ選手は、2部プレミアリーグからもオファーを受けていたことも明かした上で、ザミル選手とともにチームに貢献したいと話しています。
 父親がイタリア人、母親がマレーシア人のジャネッリ選手はクアランプール生まれで、Mリーグではマレーシア人選手として登録されています。

リー・タックがスリ・パハンからトレンガヌに復帰
 スーパーリーグで2位のトレンガヌFCは公式Facebookで、同じスーパーリーグのスリ・パハンFCから英国出身のMFリー・タックを今季末までの期限付き移籍で獲得したこと明らかにしています。
 昨季2020年シーズンまで3年間トレンガヌに在籍し23ゴールを挙げたものの、昨季終了後には契約が更新されなかったタック選手は今季からスリ・パハンに加入していましたが、本来のMFではなくFWとして起用されるなどして期待通りの活躍ができていませんでした。その後、スリ・パハンは5月3日から始まっているトランスファーウィンドウ期間に新たな外国籍選手を獲得したことから、タック選手にはFWペトルス・シテンビ(ナミビア)とMFクリス・ハード(オーストラリア)両選手がケガで離脱中のトレンガヌに復帰の噂が出ていました。
 トレンガヌはさらに外国籍選手の獲得を計画しているとされ、その候補にやはり昨季まで2年間在籍したMFサンジャル・シャアフメドフ(ウズベキスタン)の名前も挙がっています。

マラッカUは監督残留もCEOは辞任
 スポーツ専門サイトのスタジアム・アストロは、解任が噂されていたスーパーリーグのマラッカ・ユナイテッドFCのザイナル・アビディン・ハサン監督が今季終了まで指揮をとることが決定した一方で、サイフル・マット・サプリCEOの辞任を報じています。
 スタジアム・アストロによると新たに就任したジャスティン・リムCEOは、契約解除となったステファン・ニコリッチ(モンテネグロ)とアレックス・ドス・サントス・ゴンサウヴェス(ブラジル)の両ストライカーに代わる新たなストライカーの獲得についても言及し、SERカシアス・ド・スルからジョバンニ・ゴメス・ダ・シルヴァを今季末までの期限付き移籍で獲得したことも明らかにしています。26歳のジョバンニ選手は既にメディカルチェックを終えており、後日発表されるというもう一人の南米出身の選手とともに近々、正式に加入が発表されるということです。

5月18日のニュース:北朝鮮のW杯予選出場辞退はマレーシアにも影響か、給料未払いを公表したサンドロにサラワク州協会会長が激怒、マレーシア女子サッカーの現状を協会女子委員長が語る

北朝鮮のW杯予選出場辞退はマレーシアにも影響か
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版は、5月16日にアジアサッカー連盟AFCが正式に発表した北朝鮮のFIFAワールドカップ2022年大会アジア2時予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選の出場辞退がマレーシアに与える影響について取り上げています。
 ニューストレイトタイムズによると、北朝鮮の2次予選辞退により、北朝鮮が所属するH組だけが4チーム、残りの組は5チームという編成になってしまうことから、各組の5位(最下位)チームとの対戦成績はグループ順位決定の際に考慮されない可能性があるということです。
 マレーシアが所属する予選G組はベトナム(勝点11)が首位、以下マレーシア(同9)、タイ(同8)、アラブ首長国連邦(同6)と続き、インドネシアが勝点0で現在最下位となっています。このG組でマレーシアはインドネシア相手に2勝を挙げていますが、そこで得た勝点6が考慮されないとなれば、マレーシアは3試合の合計勝点が3となり、インドネシア戦の勝点3を除いても勝点8となるベトナムだけでなく、同じく勝点5となるタイ、そしてやはり勝点3となるアラブ首長国連邦と並んで3位となってしまいます。(ただし消化試合数はアラブ首長国連邦の方が1試合少ない)
 アジアサッカー連盟から正式な発表はないものの、もしこの予想通りとなれば、アジアカップ出場が現実的な目標のマレーシアにとって、残り試合は全て勝ちに行く必要が出てきます。
 一昨日5月16日から始まった代表候補合宿で取材に応じたタン・チェンホー監督は、その影響を認め、選手たちの間に動揺があるとしながらも、自分たちの試合に集中したいと話しています。

給料未払いを公表したサンドロにサラワク州協会会長が激怒
 Mリーグ2部プレミアリーグで首位のサラワク・ユナイテッドでプレーするサンドロダ・シルヴァへの給料未払いについては先日のこのブログでも取り上げましたが、サラワク・ユナイテッドを運営するサラワク州サッカー協会(サラワク州FA)は、サンドロ選手が公表した給料未払いについて、4ヶ月分の未払いではなく1ヶ月半分の遅配であると主張し、不正確な事実を公表したとして契約解除も含めた処分を検討していると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 「わずか1ヶ月半の遅配について、なぜサンドロ選手が騒ぎ立てるのか。」と、その行動を疑問視する発言を行ったサラワク州FAのポサ・マジャイス会長は、この事態を他のクラブが知れば、サラワク・ユナイテッドの選手たちを扇動して自チームへ移籍させようとするだろうと危惧しているとし、サンドロ選手の行動に失望したと話しています。
 サンドロ選手はこの給料未払い問題が解決されなければFIFAへの提訴も辞さないということですが、これについてポサ会長は、今後のサンドロ選手の起用はE・エラヴァラサン監督に一任していると話す一方で、個人的にはサンドロ選手の顔も見たくないと話し、他のクラブがサンドロ選手を獲得したければ移籍金無しで放出して構わないと話しています。
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 プロサッカークラブとして1ヶ月半の給料遅配はそれ自体がすでに問題だと思いますが、この記事を読む限りでは、サラワク州FA会長の発言は文字通り逆ギレ以外の何物でもないように思えます。それともこれはマレーシアサッカー界では許容範囲内なのでしょうかね。

マレーシア女子サッカーの現状を協会女子委員長が語る
 マレーシアサッカー協会FAM女子サッカー委員会のスラヤ・ヤアコブ委員長は、、ニューストレートタイムズとのインタビューでマレーシアの女子サッカーが置かれている状況について語っています。
 最近の女子サッカーの話題では、国内選手権大会に出場予定のクダ州代表女子サッカーチームに対し、クダ州政府下のクダ州サッカー協会(クダ州FA)が資金不足を理由にその支援を行わない方針を明らかにしたことがニュースになりました。2018年優勝、そして2017年と2019年は準優勝という強豪(昨年2020年大会は新型コロナウィルスにより大会中止)にも関わらず支援を受けられなかったクダ州代表女子チームは、その結果、メンバーが自らがTシャツなどのグッズ販売を行なって選手権参加のための費用集めをおこない、これがまたニュースとなりました。
 皮肉なことに自身はクダ州議会議員でもあるスラヤ委員長は、国内選手権参加の費用は工学ではないこちからクダ州FAの決定に失望したと話しています。
 各州代表の女子サッカーチームは各州FAの傘下に入るのが望ましいと話すスラヤ委員長は、女子サッカー振興のためにも、国内選手権大会に出場するチームは各州FAが支援を行うことを期待していると話しています。また昨年は新型コロナウィルスにより中止となった女子国内選手権大会は、今年も今月5月に開幕予定でしたが、新規感染者急増による行動制限令MCOの施行により、日程変更を余儀なくされていますが、これについてスラヤ委員長は、2年連続で中止になれば女子サッカーの発展に与える影響も大きいとして、今年は何としても開催したいと話しています。

5月12日のニュース:「神の手」ゴール-FAMは審判らを処分対処に、ペラ州FA-ペラFC経営陣は給料未払い問題の迅速な解決を、MFL-サポーターの発煙筒投入でペラFCを処分

 Mリーグは断食月明けの祝日もあり先週末で中断期間に入りました。5月16日からはW杯予選に出場する代表候補合宿が始まり、6月には代表はW杯予選、昨季チャンピオンのJDTはAFCチャンピオンズリーグ、同2位と3位のクダ・ダルル・アマンとトレンガヌはAFCカップがそれぞれ控えています。なお、Mリーグは1部スーパーリーグは7月9日から、2部プレミアリーグは6月18日から再開します。
 また5月30日までは今年2度目のトランスファーウィンドウ期間となっており、前半戦不振のクラブを中心に今月は選手の加入、退団などのニュースが多くなりそうです。

「神の手」ゴール-FAMは審判らを処分対処に
 先週末に開催されたMリーグ1部スーパーリーグ第13節のUITM FC対KLシティFCでは、ロスタイムにKLシティのシュコル・アダンが「神の手」ゴールで同点に追いつき、UITMの今季初勝利が「奪われ」ました。映像で見る限りはゴール前に上がったパウロ・ジョズエのフリーキックに対して両手を挙げた跳んだシュコル選手の手に当たっているように見える一方で、身体の他の部分は接触していませんでした。UITMの選手は主審に激しく抗議しましたが、主審はそれを受け付けませんでしたが、さらに酷かったのは試合後に発表されたFAMの公式記録では得点者がシュコル選手となっていたことでした。これがシュコル選手の後ろにいたUITMの選手の自殺点とされれていればおそらく話はここで終わりましたが、シュコル選手のゴール認定により、公式に「神の手」が認められたことになります。
 マレーシアの通信社ブルナマの報道によれば、この一件についてマレーシアサッカー協会FAM審判委員会のS・シヴァスンダラム委員長は、(UITMの勝利から引き分けと)試合の結果を変えることになった反則を見逃すという職務怠慢を理由に、シャリザン・ソリヒム主審を含めこの試合の全ての審判に対して処分を行うことを発表しています。
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 審判の処分は決まっても、試合の結果が覆ることがないでしょうからUITMにとってはやられ損、シュコル選手はやり得で結局、話が終わってしまいそうです。また今回の一件で審判に対する心証もさらに悪くなってしまうことは必至です。

ペラ州FA-ペラFC経営陣は給料未払い問題の迅速な解決を
 給料未払い問題により選手が練習ボイコット、さらに主力選手が続々と退団し始めたMリーグ1部スーパーリーグのペラFCに対し、ペラ州サッカー協会(ペラ州FA)は先日、責任を取って辞任したペラFCのリザル・アリ・ナイザリCEOに対し、辞任後も継続して給料未払い問題の解決に取り組むことを求めていると、ブルナマが報じています。
 ペラ州FAのムハマド・ヤザン・モハマド会長代行は、リザルCEOの辞任は問題の解決には繋がらないだけでなく、この問題の責任をとるべき人物が不在となる事態を非難しています。またペラ州FAはこの給料未払い問題に関しての責任を負うつもりがないとも話しています。
 この問題の責任をとることを理由に辞任したリザルCEOですが、ペラFCのオーナーを広く募集したいとしているものの、それ以上は何もせず辞任したことに対し非難が集まっていました。
 ペラ州FAのヤザン会長代行は、給料未払い問題は目新しい問題ではなく、クラブは州政府に資金を依存する体質が変わらないまま運営されてきた結果だとし、まずはクラブの生き残りのために新たなオーナーを探すことが優先されるべきとしています。
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 国内サッカーは州対抗戦として始まった歴史的背景もあり、州政府からの資金で運営されてきた大半のMリーグクラブにとっては人ごとではない問題です。コロナウィルスによる無観客試合による入場料収入減なども不遇な面もありますが、コロナ禍のここ1年でもこのペラFC以外にもクダ・ダルル・アマン、スリ・パハン、マラッカ・ユナイテッド、さらにはPDRMなどで給料未払いが起こっており、今後も同様の問題が明らかになる可能性があります。

MFL-サポーターの発煙筒投入でペラFCを処分
 給料未払い問題から主将のシャールル・サアドと帰化選手のギリェルメ・デ・パウラが退団したペラFCは、先週末に行われた第13節、本拠地で開催されたスリ・パハンFCでは経営陣に不満を表明する一部サポーターが試合中のピッチに発煙筒を投げ込み、試合が一時中断する事態が起こりました。
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、新型コロナウィルス感染拡大防止のため入場制限を行なっている最中で起こったこの件を重く見て、試合主催者のペラFCを処分すると述べています。
 現在はマッチコミッショナーの報告を待っていると述べたアブドル・ガニCEOは、現在のクラブを取り巻く状況に不満を持った一部のペラFCサポーターによる行動だろうと述べ、このような行動はむしろ自身が応援するクラブにとって不利益になることを理解するべきだと話し、このような行為に対して厳罰で対処すると話しています。
 なおこの試合はペラFCはスリ・パハンFCに敗れています。

4月27日のニュース:本田圭佑選手にスランゴール入りの噂、FAMは選手が審判に「触れる」ことは容認、クダとトレンガヌが出場するAFCカップの日程が変更

本田圭佑選手にスランゴール入りの噂
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、現在、アゼルバイジャン1部リーグのネフチ・バクーPFCの退団が濃厚とされている元日本代表の本田圭佑選手にMリーグ1部のスランゴールFCが獲得オファーを出しているようです。
 今期は残り4試合を残しているネフチ・バクーPFCですが、アゼルバイジャンのメディア「スポーツインフォ」によると、34歳の本田選手はスランゴールFCからのオファーを検討中という事です。
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 配信された記事は短いもので、このニュース自体の信憑性は定かではありません。本田選手を獲得すれば、近年はJDTの後塵を拝しているかつての王者スランゴールにとっては集客、そしてメディアの注目という点で大いにプラスですが、現在、若手に切り替えつつあるチーム編成を考えると、本田選手にが加入することはむしろマイナスではないのかなという印象です。
 個人的には育てながら勝ちを目指しているのが今季のスランゴールだと思っていますが、トップチームで試合に出場し、そこで様々なことを学んだ20歳前後の若い選手たちが来季は主力になったとき、本田選手自身の持つ経験で足りないものを補ってもらえれば、単なる客寄せ目的以上の貢献をしてもらえるように思います。
FAMは選手が審判に「触れる」ことは容認
 今季のMリーグでは判定に不満を持った選手が審判を押したり、小突いたりする事例が複数件あり、それに対する審判の反応も何のお咎めなしから一発退場までと様々なことから、その裁定基準が統一されていないことが度々疑問視されてきました。
 これについてマレーシアサッカー協会FAMの審判委員会が会合を開き、S・シヴァサンダラム審判委員長は、委員会としての統一見解はなく、個々のケースによるという非常に「グレー」な見解を発表しています。
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によると、シヴァサンダラム審判委員長は選手が無条件で審判に触れることを認めるわけではなく、注意を引こうとしたり、何かを説明しようとする場合に審判に触れるのは許されると話しています。「もし選手が審判に触れる度に審判がイエローカードを与えれば、試合は面白く無くなるだろう。」と述べたシヴァサンダラム審判委員長はその一方で、審判に対してはフィールド上では自身の解釈に基づいてのみ判断するべきではないが、審判にも状況に基づいた判定を下すことを認めるというなんともグレーで無責任なコメントをしています。
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 野球出身の筆者から見れば、理由の如何に関わらず審判に「触れる」ことは言語道断なことですが、サッカーはそういうことではないのですね。選手が試合中に冷静に審判に接触しようとするとは個人的には思えませんが、この新型コロナウィルス蔓延の中では、どんな理由であれ審判は触れて欲しくないでしょう。

クダとトレンガヌが出場するAFCカップの日程が変更
 アジアサッカー連盟AFCはAFCカップのアセアン東南アジアゾーンの日程変更を公式サイトで発表しています。
 集中開催で行われる予選各組は6月22日から28日までの日程で開催予定でしたが、クダ・ダルル・アマンが所属するG組は6月29日から7月5日まで、またトレンガヌが所属するI組は6月30日から7月6日へと変更になっています。なお今回の日程変更はAFCチャンピオンズリーグの東地区プレーオフの日程が6月22日と変更になったことが理由に挙げられています。
 昨季のMリーグ2位チームとしてAFCカップに出場するクダが所属するG組は、クダに加えてライオンシティー・セイラーズFC(シンガポール)、サイゴンFC(ベトナム)、そしてプレーオフの勝者で構成されており、試合はシンガポールの国立スタジアムで集中開催される予定になっています。
 一方のトレンガヌはゲイラン・インターナショナルFC(シンガポール)、カヤFC-イロイロ(フィリピン)、シャン・ユナイテッドFC(ミャンマー)と同組でしたが、国内情勢が不安定なことからシャン・ユナイテッドFCが出場を辞退しています。代わりの候補として2019年国内リーグ3位のプルシプラ・ジャヤプラ(インドネシア、インドネシア1部リーグの2020年シーズンは中止になったため。)の名前が上がっていますが、AFCの公式AFCカップページにはまだ記載されていません。

4月24日のニュース:Mリーグ1部各クラブの高額プレーヤーランキング、エルドストールとスウィラッドは来季もタイ1部でプレーが決定、サッカー協会は国外でプレーする代表候補のワクチン接種費用負担へ

Mリーグ1部各クラブの高額プレーヤーランキング
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版は、今季のMリーグでプレーする高額プレーヤーランキングを掲載しています。
 ドイツの移籍情報サイトであるトランスファーマルクトに掲載された選手の「市場価値」データをもとに書かれた記事によると、今季のMリーグ1部スーパーリーグ各クラブで最も市場価値の高い選手12人の市場価値総額は2200万リンギ(およそ5億7700万円)ということです。では高額順に選手を見ていきましょう。(カッコ)内はポジション、年齢、、国籍、所属クラブです。

  1. サム・ジョンソン(FW、27歳、リベリア、サバ)330万リンギ(およそ8660万円)
  2. ゴンザロ・カブレラ(FW、32歳、アルゼンチン/イラク、JDT)300万リンギ
  3. ナナ・ポク(FW、28歳、ガーナ、UITM)200万リンギ
  4. マカン・コナテ(攻撃的MF、29歳、マリ、トレンガヌ)190万リンギ
  5. オリヴァー・バフ(DF、28歳、スイス、スランゴール)170万リンギ
  6. イェウヘン・ボハシュヴィリ(FW、28歳、ウクライナ、スリ・パハン)160万リンギ
  7. バドロル・バクティアル(MF、33歳、マレーシア、クダ・ダルル・アマン)150万リンギ
    ラビー・アタヤ(MF、31歳、レバノン、クダ・ダルル・アマン)150万リンギ
    クパー・シャーマン(FW、29歳、リベリア、クダ・ダルル・アマン)150万リンギ
    レナン・アルヴェス(DF、28歳、ブラジル、クダ・ダルル・アマン)150万リンギ
  8. カレッカ(MF、25歳、ブラジル、ペラ)150万リンギ
    ギリェルメ・デ・パウラ(FW、マレーシア/ブラジル、ペラ)150万リンギ
    シャルル・サアド(DF、27歳、マレーシア、ペラ)150万リンギ
  9. ドミニク・ダ・シルヴァ(FW、31歳、モーリタニア、KLシティ)150万リンギ
    ロメル・モラレス(MF、23歳、コロンビア、KLシティ)150万リンギ
  10. アレックス・ドス・サントス・ゴンサウヴェス(FW、30歳、ブラジル、マラッカ・ユナイテッド)
  11. シェリディン・ボボエフ(FW、22歳、タジキスタン、ペナン)120万リンギ
  12. K・バラトクマル(MF、29歳、マレーシア、PJシティ)76万6000リンギ

 リベリア代表でもあり、昨季はアメリカMLSのレアル・ソルトレークでプレーしたサム・ジョンソンがMリーグでも最も市場価値の高い選手でした。
 外国籍選手が1人もいないPJシティはマレーシア人のK・バラトクマルがチームで最も市場価値が高いの当然ですが、クダのバドロル・バクティアルやペラのシャルル・サアドの名前が含まれているのは驚きです。

エルドストールとスウィラッドは来季もタイ1部でプレーが決定
 先日終了したタイリーグ2020/2021年シーズンでは12位となったチョンブリーFCで主力選手として活躍したもとマレーシア代表のジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・ナダル・アマルハン・マデルナー)が契約を延長したことがクラブの公式Facebookで告知されています。
 今季途中から加入したエルドストール選手はそのレギュラーポジションを獲得するとほぼ毎試合で先発出場し、FAカップ準決勝では決勝ゴールを挙げて、チームの決勝進出にも貢献しました。(ただしチェンライ・ユナイテッドFCとの対戦となったFAカップ決勝は累積警告による出場停止処分で出場できませんでした。)
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 父親がスウェーデン出身、母親がマレーシアのサバ州出身のエルドストール選手は2018年を最後にマレーシアを離れて、英国7部リーグでプレーしていましたが、今年2月にチョンブリーFCに加入し、東南アジアに戻ってきました。今季のタイでの活躍で、6月から再開するFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選に出場する代表チームでも主力としてプレーすることが期待されています。

 また、今季途中からタイ2部リーグのノーンブワ・ピッチャヤFCに加入したニック・スウィラッドも契約が延長されたようだと、英字紙スターのT・アヴィネシワラン記者がツイートしています。スウィラッド選手が加入したノーンブワ・ピッチャヤFCは今季2部で21勝12分1敗の成績で2位のチェンマイ・ユナイテッドFCに勝点差6をつけて優勝し、来季は1部へ昇格します。
 昨季はMリーグ1部のスランゴールでプレーしたスウィラッド選手は、シーズン終了後に退団し、KLシティ入りの噂などがあったものの結局は実膳せず、今季途中からタイリーグ2部のノーンブワ・ピッチャヤFCに加入し、今季最終戦では移籍後初ゴールを決めていました。
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 エルドストール、スウィラッド両選手はDFですが、タイリーグ1部にはもう1人のマレーシア人DFがプレーしています。そのドミニク・タン(ポリス・テロFC)は、今季終盤はケガによる手術を受け、出場がありませんでしたが、来季はタイ移籍3年目となることから、その去就に注目したいです。

サッカー協会は国外でプレーする代表候補のワクチン接種費用負担へ
 マレーシアサッカー協会FAMはマレーシア国外でプレーする代表候補選手のワクチン接種費用を負担する用意があると英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、マレーシア国内同様他国でもワクチンの供給量が少ないことから自国民を優先してワクチン接種が行われているとして、費用を払うことで摂取を受けやすくなるのであれば、FAMがその費用を負担する用意があると話しています。
 「どのメーカーのワクチンかは選手が滞在する国の政府が決めることであり、そこにはFAMは完治しないが、国外でプレーする選手がW杯予選に出場する代表チームに招集された場合には、ドバイで行われる合宿に直接参加することが望ましく、そのためにはチーム合流前にワクチン接種を完了している必要がある。」とスチュアート事務局長は話しています。
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 いわゆる「国内組」は大半の選手が既に1回目の接種を終えており、ドバイで予定されているW杯予選前の合宿に出発する前には監督やコーチを含めた合宿参加者全員が2回目の接種も終える予定になっています。「海外組」がワクチン接種が終わっていないままドバイで国内組に合流することは考えられないことから、FAMは合流前のワクチン接種に拘っています。
 ここで言う海外組とはこの前のニュースでも取り上げたジュニオール・エルドストール(タイ1部チョンブリーFC)、ドミニク・タン(タイ1部ポリス・テロFC)、リリドン・クラスニキ(オーストラリア1部ニューカッスルジェッツ)そしてルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)を指しています。
 
 
 

4月22日のニュース:審判を突いたカブレラの処分遅れに批判が集まる、ペラは来月のトランスファーウィンドウ期間に新外国選手獲得か、FAMテクニカルディレクター-今季未勝利のFAM-MSNプロジェクトは今後もMリーグ2部でプレー

審判を突いたカブレラの処分遅れに批判が集まる
 Mリーグ1部スーパーリーグ第9節のスリ・パハン戦で判定への不満から主審を小突いたものの何らお咎めなしとなっているゴンザロ・カブレラ(JDT)に対して沈黙を守っているFAMの対応に不満の声が高まっています。
 前節第8節にはクダ・ダルル・アマンのMFファズルル・ダネルがトレンガヌ戦で同じく判定への不服から主審を押したことによりレッドカードを出されて一発で退場となっていることから、判定基準が一定ではないことに批判が集まっています。
 この件についてマレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長はマレーシア語紙シナルハリアン電子版の取材に対し、自分は審判の専門家ではないと前置きをした上で「審判を『押す』という行為が起こった場合、その行為には様々な種類があり、意図的に「押す」場合もあれば、呼び止めるために「押す」場合もある。このため、(カブレラ選手による)「押した」行為がどのような目的で行われたかと確認する必要がある。」と語り、数日のうちに最終的な判断がFAM審判委員会によって下されるだろうと話しています。

ペラは来月のトランスファーウィンドウ期間に新外国選手獲得か
 Mリーグの今年2度目のトランスファーウィンドウ期間は5月3日から始まりますが、下位に沈むMリーグクラブが外国籍選手の入れ替えや新たな戦力補強を行うのではないかという記事がちらほらと出始めました。Mリーグ1部スーパーリーグで現在2勝3分4敗の9位と低迷するペラのそのうちの一つで、マレーシア語紙のウトゥサン・マレーシア電子版はストライカーとディフェンダーをそれぞれ1人づつ補強するだろうという記事を掲載しています。
 ペラFCのリザル・アリ・ナイザリCEOによると、その名前は明かさなかったものの、既に2名の選手がリストアップされているということです。なおペラには現在、DFシャキール・ハムザ(シンガポール、東南アジア枠)、守備的MFレアンドロ・ドス・サントス、攻撃的MFカレッカ、FWギリェルメ・デ・パウラ(以上ブラジル)の4名の外国籍選手がいますが、この内、デ・パウラ選手はマレーシア国内でのプレー期間が5年を超えたことで帰化申請を行い、今季からは帰化選手(=マレーシア人選手)として登録されています。Mリーグ1部スーパーリーグは、東南アジア枠1名、アジア枠1名を含めて5人の外国籍選手の出場が可能であることから、リザルCEOは言及していないものの、ウトゥサン・マレーシアは不足しているストライカーとディフェンダーを獲得するのではないかと予測しています。
 またリザルCEOは一部ソーシャルメディアで噂されているチョン・イーファット監督更迭と新監督採用については、先日行われた経営会議でも議題に上がらなかったとして、これを真っ向から否定しています。
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 このままいけば、ペラは今季は降格争いに加わる可能性もあり、戦力補強が急務なことは理解できますが、その一方でこのブログでも既報の通り、ペラでは選手や監督、コーチへの給料未払いが起こっているとされています。そんな経営状況のクラブが新たに選手を獲得し、そういった選手の登録を認めてしまうのであれば、リーグ運営者としてマレーシアンフットボールリーグMFLの監督責任が問われることにもなりそうです。

FAMテクニカルディレクター今季未勝利のFAM-MSNプロジェクトは今後もMリーグ2部でプレー
 Mリーグ2部プレミアリーグ第9節を終えて最下位となっているFAM-MSNプロジェクトは、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会MSNが運営する国立エリートサッカーアカデミー卒業生を中心とする平均年齢17.23歳のチームです。
 このチームについては、元バイエルン・ミュンエヘンU19チームのアシスタントコーチで前国立エリートサッカーアカデミー責任者でもあったリム・ティオンキム氏が、他のチームとはあまりにも力が違いすぎるリーグへの参加を疑問視するなど開幕前から話題になっていましたが、その予想通り第9節を終えて得点7失点32の1分8敗という成績となったことから、リム氏の意見に賛同する声が大きくなってきています。
 さらにリム氏は選手の自信を喪失させないためにもプレミアリーグでではなくユースカップ(U19リーグ)やプレジデントカップ(U21リーグ)など選手の年齢層が近いチームと対戦させるべきと主張していますが、FAMのオン・キムスイ テクニカルディレクターはこのFAM-MSNプロジェクトの解散を否定し、育成を目的として結成されたチームは今後もリーグに残ると、マレーシアの通信社ブルナマに話しています。
 その一方でオン テクニカルディレクターは、このFAM-MSNプロジェクトには適切な計画性と方向性を持たせ、運営にかかる費用を無駄にしないようにする必要があると述べています。「このプロジェクトチームを今季のみリーグに参加させ、その後は解散させるのでは育成プログラムとして意味がない。FAMとしてはこのチームは2024年オリンピック予選まで存続させ、このチームの中から2、3人がオリンピック予選に出場する代表チームに選抜されれば十分と考えている。」と述べた上で、国内のサッカーファンに対し、このチームの目標は長期的なものであることから、その成長を我慢強く見守って欲しいと話しています。
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 このFAM-MSNプロジェクトの中心選手と同年代のトップ層はエリートアカデミー卒業後にMリーグクラブと契約しており、このチームの主力は卒業時にMリーグとの契約に至らなかった二番手、三番手の選手たちです。トップ層の選手と比べて不足している部分を補うことが育成に当たると思いますが、前述のキム氏が危惧しているのは、プレミアリーグの各チームとはスピード、体力などの差がありすぎて、FAM-MSNプロジェクトの選手は試合中にボールに触れる時間があまりにも少なすぎるという点です。結果としてボールにさわれず、試合中はボールを追いかけて走り回ることに終始しているのであれば、技術的な向上は期待できず、結果として2024年パリオリンピック予選に出場するU22/23代表にはこのFAM-MSNプロジェクト出身者が1人もいないという可能性があります。

4月21日のニュース:M3リーグ参加予定の20クラブが確定、タイの国際大会に参加するフットサル代表が合宿開始、国外でプレーする代表候補選手はW杯予選前にマレーシア国内でのワクチン接種は行わず

M3リーグ参加予定の20クラブが確定
 6月開幕予定のMリーグ3部のM3リーグに参加予定の20クラブをM3リーグを運営するアマチュアフットボールリーグAFLが公式Facebookで発表しています。
 3月末に既に発表されていた14クラブに加え、追加で行われた第1次書類審査を通過した6クラブをAFLのモハマド・ユソフ・マハディ会長が発表し、第1次審査を通過した全20クラブが揃いました。今回新たに発表された6クラブは以下の通りです。
1. イミグレーション(入国管理局)FC
2. KLローヴァーズFC
3. マーサ・プロタップFC
4. マレーシアン大学(連邦直轄地)FC
5. プルリス・ユナイテッドFC
6. アルティメイトFC
 この6クラブと既に発表された14クラブの計20クラブは、AFLのよる第2次書類審査を経て、今季のリーグ参加が決定されます。なお今季のM3リーグは外国籍の選手、監督およびコーチの登録が認められていないため、各クラブともマレーシア人によるチーム編成になります。
 Mリーグ1部スーパーリーグから撤退したフェルダ・ユナイテッドFCと同じく2部プレミアリーグから撤退したUKM FCのM3リーグの参加も噂されていましたが、両クラブともAFLによる書類審査は受けていないということです。

タイの国際大会に参加するフットサル代表が合宿開始
 マレーシアサッカー協会FAMは5月22日から27日かけてタイのバンコクで開催される招待制のフットサル大会SAT国際フットサル選手権に出場するマレーシア代表の合宿初日の様子を公式Facebookで紹介しています。
 5月17日までのほぼ4週間行われる長期の合宿には22名が招集され、昨年2月の大会に続き指揮を取るチュウ・チュンヨン監督は、昨年の大会出場選手14名中、アブ・ハニファ・ハサン、アワルディン・マット・ナウィ、リズワン・バクリ、サイフル・ニザム・モハメド・アリ、カイルル・エフェンディ・バーリン、アズワン・イスマイル(以上パハンレンジャーズ)、サアド・サニ、エクマル・シャリン(以上スランゴールMAC)、シャワル・サバルディン、ファリク・カビボール・ラーマン(以上ペラ)、イクマル・ナジミ・イスマイル(ペナン)の11名を再び招集しています。
 今回の合宿に招集された22名の選手中、9名が23歳以下となっており、チョウ監督は今回の大会で若手とベテランを融合させたチーム編成にしたいと話しています。
 なお今回の合宿は4月30日までの第一期、5月2日から9日までの第二期、そして断食月明けの祝日ハリラヤ後の5月14日から17日までの第三期に分けて行われ、最終的に14名に絞り込まれた代表チームは5月18日にタイのバンコクへ出発する予定だということです。
(写真は代表合宿の様子。マレーシアサッカー協会FAMの公式Facebookより)

国外でプレーする代表候補選手はW杯予選前にマレーシア国内でのワクチン接種は行わず
 6月3日に再開されるFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼アジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ2023年大会予選に出場するマレーシア代表は、一昨日の4月19日より新型コロナウィルスのワクチンの接種を受け始めたことはこのブログでも取り上げましたが、残る選手や関係者は明日4月22日に第1回目のワクチン接収を行うと英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。なお2度目の接種は全員が5月10日受ける予定も発表になっています。
 またマレーシアサッカー協会FAMのハミディン・アミン会長は、現在国外でプレーするルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)、ジュニオール・エルドストール(タイ1部チョンブリーFC)、リリドン・クラスニキ(オーストラリア1部ニューカッスルジェッツ)らについては、もし代表に招集された場合にはマレーシア国内でのワクチン接種は行わないことも明らかにし、その場合には各選手は滞在国から、予選前の練習試合が予定されているバーレーンでチームに合流することになると話しています。

4月20日のニュース:W杯予選を前に代表がワクチン接種、前KLシティ監督は契約不履行でクラブをFIFAに提訴、オーストラリアAリーグ第16・17節-クラスニキは先発せず、ベルギーリーグ最終節-ルクマンはベンチで1年目を終える

W杯予選を前に代表がワクチン接種
 マレーシアサッカー協会FAMのハミディン・アミン会長とマレーシア代表候補選手が4月19日に連邦直轄地プトラジャヤで新型コロナウィルスのワクチンの接種を受けたことをブリタハリアンが報じています。
 ハミディン会長に続き、タン・チェンホー監督、アイディル・ザフアン主将(JDT)やファリザル・マーリアス、アリフ・アイマン・アキヤ・ラシド、シャマー・クティ・アッバ(以上JDT)らが1度目となる接種を受けた他、帰化選手のギリェルメ・デ・パウラ(ペラ)らの姿も見られたということで、代表チームは選手、監督、コートを含む関係者総勢78名がこの日から始まった1度目のワクチン接種の対象となっています。

前KLシティ監督は契約不履行でクラブをFIFAに提訴
 今季2021年シーズン開幕前にKLユナイテッドFC(その後はKLシティFCに改名)を運営するクアラルンプールサッカー協会(KLサッカー協会)と今季の監督として契約しながら、開幕直前に一方的にその契約を解除されたとして、チリ出身で前東ティモール代表監督のシモン・エリゼッチ氏は弁護士を交えてKLサッカー協会、そしてKLシティと損害賠償について話し合いを行ってきましたが、その交渉が決裂したようです。
 今年1月27日にエリゼッチ氏がKLシティFCによる一方的な契約破棄に対して350万リンギ(およそ9200万円)の損害賠償を求める訴訟を起こした後、KLシティFCとエリゼッチ氏側との間で交渉が行われていましたが、マレーシア語紙のブリタハリアン電子版は、エリゼッチ氏の弁護士を務めるザフリ・アミヌルラシドの談話を掲載し、エリゼッチ氏はこの件をFIFAに提訴し、判断を仰ぐことを決めたと話しています。「これまでエリゼッチ氏はKLサッカー協会およびKLシティFCと何度か話し合いを持ってきたが、このままでは何の解決にも至らないことが明らかになった。来週にはFIFAにこの件を提訴し、判断を仰ぎたいと考えている。」
 KLシティはエリゼッチの持つプロ指導者のライセンスがMリーグ1部で監督を務めるには不十分なものであったことを理由に挙げており、エリゼッチ氏はこれを真っ向から否定し、KLシティに夜この発言が自身の信頼性を低下させたとしてこの件についても賠償を求めています。

オーストラリアAリーグ第16・17節-クラスニキは先発せず
 オーストラリア1部Aリーグの第16節と第17節が行われ、Mリーグ2部プレミアリーグのJDT IIから期限付きでニューカッスルジェッツに移籍している帰化選手のリリドン・クラスニキは、第16節は出場なし、第17節は途中出場で19分間のみのプレーでした。
 ここまで7連敗で第16節を迎えた現在リーグ11位のニューカッスルジェッツは4月14日に同10位のパース・グローリーと対戦し、1−1で引き分け連敗を止めています。なおこの試合ではクラスニキ選手と同じくJDT IIから期限付き移籍中のシャフリアン・アビマニュ(インドネシア)はいずれも出場はありませんでした。
 また4月18日に行われた第17節のマッカーサーFC戦では、クラスニキ選手は71分に、シャフリアン選手は90分に投入されたものの、この試合でもニューカッスル・ジェッツは2-2で引き分けて、今季成績を3勝4分11敗の11位としています。
<Aリーグ 第16節>
2011年4月14日@コフスインターナショナルスタジアム(ニューサウスウェルズ州コフスハーバー)
ニューカッスル・ジェッツ 1-1 パース・グローリー
 リリドン・クラスニキはベンチ入りするも出場はありませんでした。
<同第17節>
2011年4月18日@キャンプベルタウンスタジアム(ニューサウスウェールズ州ルミア)
マッカーサーFC 2-2 ニューカッスル・ジェッツ
 リリドン・クラスニキは71分に交代出場し、最後までプレーしています。
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 代表のタン・チェンホー監督は自身がクダFA(現クダ・ダルル・アマンFC)監督を務めていた際にエースとして活躍したのがクラスニキ選手でした。コソボ出身のクラスニキ選手が帰化選手としてマレーシア代表でプレーする資格を得た際には、タン監督は是非とも招集したいと話していましたが、Mリーグ2部プレミアリーグのJDT IIでも活躍する場がなく、試合出場機会を求めて期限付き移籍したニューカッスル・ジェッツでも出番が増えないことから、来月開催予定のW杯予選へ向けたの代表合宿にクラスニキ選手が招集される可能性は低そうです。

ベルギーリーグ最終節-ルクマンはベンチで1年目を終える
 ベルギー1部リーグ2020/2021シーズンは最終節第34節が行われ、U19マレーシア代表のエース、ルクマン・ハキム・シャムスディンが所属するKVコルトレイクは最終戦でKVメヘレンに1-4で敗れ、今季は11勝6分17敗、得点44失点57で18チーム中14位でシーズンを終えています。
 最終戦ではルクマン選手も今季2度目のベンチ入りとなりましたが、シーズン中のケガでチームを離れて治療を行っていた時期もあり、今季の出場成績は途中出場1試合(2020年10月24日対RSCアンデルレヒト戦)に止まり、出場時間も16分間でした。
 ベルギー1部のクラブとオランダ1部のクラブが合併して新たなリーグを作る動きもあるようですが、ルクマン選手のKVコルトレイクはこの合併構想には含まれておらず、この新たなリーグに参加するクラブ・ブルッヘやアンデルレヒト、ロイヤル・アントワープなど8クラブを除いた10クラブと2部に所属する8クラブは国内の新たなリーグに所属することになるということです。
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 Mリーグに戻って来いとは言わないものの、出場機会に恵まれない環境でトップチームにいるのであれば、クラブのU19やU21リーグでプレーする、あるいは他国リーグへ移籍してトップチームでプレーするという選択肢もありそうです。いずれにせよ、マレーシアサッカーを背負う逸材とされながら、その育て方に失敗していつの間にか消えてしまうことがないよう祈りたいです。