2月7日のニュース:クラスニキのマレーシア国籍取得に様々な反応、TMが今季のMFLスポンサーに復帰、日本のクラブがマレーシア人選手を募集、MFLがFAカップ予選詳細を発表

クラスニキのマレーシア国籍取得に様々な反応
 先日、このブログでも取り上げたコソボ出身のリリドン・クラスニキ(JDT)のマレーシア国籍取得について、英字紙ニューストレイトタイムズは、ソーシャルメディア上では様々な反応がみられると報じています。
 クダFAで4年、マラッカ・ユナイテッドで1年プレーし、国際サッカー連盟FIFAが規定する帰化選手の条件を満たすクラスニキ選手がマレーシア国籍を取得したことに対し、多くのサッカーファンはクラスニキ選手が今後、フル代表でプレーすれば代表の戦力強化につながるとしてこれを歓迎しています。
 しかしその一方で、マレーシア国内にいる「無国籍」状態の子どもの問題と絡めて、「無国籍の子どもは全員JDTでプレーすれば良い。そうすればすぐにマレーシア国籍が取得できる」と皮肉を込めたツイートや、「マレーシア国籍を申請するには最低12年の滞在歴が必要であると憲法で規定されているが、クラスニキ選手がマレーシアに来たのは2015年である」と憲法を持ち出して非難するツイートなどもみられるます。
 この他、マレーシアサッカー協会FAMが帰化選手を活用してアジアの強国と競えるようになることへの期待がある一方で、帰化選手に安易に依存することへの批判などもあるとニューストレートタイムズは報じています。
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 クラスニキ選手の国籍取得が「無国籍」状態の子どもと対比されているのは、それだけ「無国籍」状態の子どもがマレーシアでは深刻な問題であるため、このような反応となって現れたのでしょう。例え片親がマレーシア人であっても、両親が正式な婚姻届を提出する前に生まれた子どもには自動的にマレーシア国籍が与えられないため、その子どもは「無国籍」状態になってしまいます。またインドネシアやフィリピンからやって来るいわゆる出稼ぎ(そしてビザを持たない不法の)労働者とマレーシア人女性の間に子どもが生まれ、届出をすれば自分の不法就労がバレてしまうことから、届出をせずにいるケースも多いようです。
 「無国籍」状態の子どもの数はフィリピンやインドネシアと隣り合うサバ州ではおよそ5万人、一説には全国では20万人を超えるとされ、不法労働者の中には数十年に渡ってマレーシアに滞在しているケースもあることから、「無国籍」状態の親が産んだ子どもが「無国籍」になるケースなどもあり、正確な人数の把握は難しいようです。また、そういった子どもたちが教育を受けられなかったり、仕事につけないなど人権問題にもなっています。
 また無国籍状態の子どもがマレーシア国籍を取得できる年齢の上限が21歳と法律で定められており、それを過ぎると国籍取得は事実上困難になるため、28歳のクラスニキ選手がマレーシア滞在わずか5年で国籍を取得したことがダブルスタンダードであると非難する声が上がっています。

TMが今季のMFLスポンサーに復帰
 マレーシア最大のマルチメディア企業のテレコムマレーシア社TMが、今季のマレーシアフットボールリーグMFLの冠スポンサーとして復帰すると、マレーシアの通信社ベルナマが報じています。
 TM社は子会社TMマルチメディア社を通じて、マレーシアフットボールリーグMFLとのスポンサー契約締結イベントをを本日2月7日に開催することをメディア向けに告知しているようです。
 記事のタイトルに「復帰」とつけましたが、2018年1月にTM社はインターネットサービスプロバイダー事業部門のUnifi(ユニファイ)をリーグの冠スポンサーとしたスポンサー契約をMFLとの間で締結しました。その額は8年契約で4億8000万リンギ(およそ128億円)で、マレーシアのスポーツスポンサー契約としては史上最大として大きなニュースになりましたが、その翌年2019年3月にはMFLとTM社の双方が契約破棄を発表し、1年ほどでこの契約は頓挫してしまいました。その後、MFLはTM社に対する損害賠償訴訟を起こしましたが、昨年2019年10月には訴訟を取り下げていました。

日本のクラブがマレーシア人選手を募集
 サッカー専門サイトのヴォケットFCは、日本の選手エージェントがマレーシアで選手を募集していると報じています。
 ヴォケットFCによれば、選手募集を行っているのは「世界中で愛されているサッカーを通じ、日本から世界へ挑戦をする人達のベストパートナーとなることを目指している」Goal Sports Agencyで、Twitter上に以下のようなツイートを日本語で掲載しています。

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 このように日本語でツイートしているということは、このGoal Sports Agencyさんが募集しようとしているのは「日本から世界へ挑戦をする」選手、つまり日本から来てマレーシアリーグでプレーしたい選手ということでしょうか、それとも日本語が読める人に向けてマレーシア人選手を紹介してほしい、ということなのか、この情報だけではわかりませんね。
 日本のクラブがマレーシア人を求めているとすると、この年代でMFLの試合に出ている選手と言えば、アキヤ・ラシド(JDT)くらいしか思いつきませんが、彼はFWなので該当しません。年代的には各クラブのプレジデントカップ(U21)やユースカップ(U19)チームに所属している選手となるので、MFL(Aチーム)でプレーできていない段階で、日本へ行っても試合に出られるのかどうかはわかりません。
 そう言えばスランゴールFCのBチーム、スランゴールFC IIには今季、マレーシアサッカー協会FAMのエリート養成のサッカーアカデミーAMDからの卒業生が退去加入しているので、その辺りなら候補者がいるかも知れません。

MFLがFAカップ予選詳細を発表
 マレーシアフットボールリーグMFLの公式サイトでは、今季のFAカップ予選の詳細が発表されています。
 MFL3部と4部に当たるM3リーグとM4リーグに所属する30クラブが対戦する予選は今月2月15日と16日の対戦カードは既に決まっていましたが、試合会場や時間は発表になっていませんでした。なお、予定されていた試合のうち、ノッサブキジュルトンFCとクルアンFAの試合は、クルアンFAが出場を取りやめたため、ノッサブキジュルトンFCが一回戦へと駒を進めています。
 この予選を勝ち上がった16クラブと予選を不戦勝で勝ち上がった8クラブが1回戦で対戦し、2回戦からはMFL1部と2部のクラブが登場します。
 詳しい試合日程はこちらです。

2月6日のニュース:スランゴールFCはインドネシア遠征取りやめ、サラワクUは選手・スタッフにメディアとの接触を禁止、JDTがAFCカップの過去10年間のベストクラブ候補に上がる

スランゴールFCはインドネシア遠征取りやめ
 新型コロナウィルスの影響により中国遠征を取りやめたスランゴールFCは、インドネシアのジャワ島で開催される大会への参加が噂されていましたが、結局、出場を取りやめたことをスポーツ専門サイトフォックスポーツが報じています。
 サバFAも出場するすることになっている、この東ジャワ州知事杯大会は2月10日から始まりますが、スランゴールFCのバスカラン・サティアナタン監督は、2月28日のシーズン開幕に向けた準備は最終段階に入っており、現在の練習では戦術理解や選手間の連携確認に重点を置いているとして、長距離を移動する上、予選だけで5日間で3試合、決勝まで残れば11日間で5試合という日程の大会出場は今の時期には適切ではないと話しています。
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 中国遠征に続き、インドネシア遠征も中止したスランゴールFC。ドバイで合宿を行ったジョホール・ダルル・タジムJDT、カンボジアでの大会に参加したクダFA、現在はタイ遠征中のトレンガヌFCと、ライバルたちが国外で質の高い練習試合を組む一方で、バンコク・ユナイテッド(タイ)、ハノイFC(ベトナム)、プルシブ・バンドン(インドネシア)を招いて地元で行ったスランゴールアジアチャレンジSAC大会でも2試合しかできておらず、試合不足の感は否めません。
 クダFAとともに打倒JDTの一番手と思っていますが、大型補強を行ったにもかかわらず、昨季同様スタートダッシュにつまづくと、サティアナタン監督解任論が浮上する可能性もあります。

サラワクUは選手・スタッフにメディアとの接触を禁止
 英字紙ニューストレイトタイムズによると、MFL2部のサラワク・ユナイテッドは選手、コーチ及びスタッフにメディアとの接触を禁止したようです。
 サラワク・ユナイテッドは、昨季2019年シーズンにMFL2部に所属していたスランゴール・ユナイテッドの経営権をサラワク州サッカー協会FASが買い取り、さらにそのリーグ所属権を譲渡された結果誕生したクラブです。昨季、同じMFL2部にはFASが運営するサラワクFAが存在していましたが、このクラブはリーグ最下位となった後、MFL3部のクチンFAとの入れ替え戦に敗れ、降格しています。
 サラワク・ユナイテッドのチームマネージャーを務めるハムザ・イブラヒム氏は、現在クラブは開幕に向けての準備期間中のため、メディアに対しては良い結果が出始めてから対応したいとニューストレイトタイムズに述べています。
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 このサラワク・ユナイテッドについては、先日のブログでスペイン出身のホアン・カルロス・マグロ監督が開幕を前に解任されたことを取り上げましたが、開幕が近づく一方で、プレシーズンマッチでのチームの不調もあり、このような措置になったのかもしれません。

JDTがAFCカップの過去10年間のベストクラブ候補に上がる
 アジアサッカー連盟AFC公式サイトでは、AFCカップの過去10年間のベストクラブを決める企画を行っています。
 AFCチャンピオンズリーグACLグループリーグに出場枠を持たない国のクラブを対象にした大会なので、日本のクラブとは無縁の大会ですが、いわゆるアジアの第2グループの国のクラブが、AFCクラブコンペティションランキングやクラブランキングのポイントを稼ぐには貴重な大会です。
 2004年から開催されているこのAFCカップでは、クウェートのクラブが4回優勝、イラクとヨルダンが同3回、シリアが同2回、バーレーンとレバノンが同1回と過去16回の大会の内、中東のクラブが14回優勝するなど中東のクラブが圧倒的な強さを誇っている大会です。そしての残り2回の大会では2011年にナサフ・カルシFC(ウズベキスタン)が、そして2015年にはJDTが優勝しています。
 そのAFCカップに過去10年間で出場したクラブからまずAFCが5クラブを選び、その中からサポーターの投票でベストクラブを選ぼうというのがこの企画です。候補となっている5クラブは以下の通りです。
・アル・クウワ・アル・ジャウウィーヤ(イラク):2016年から3連覇
・アル・クウェートSC(クウェート):2009年、2012年、2013年の覇者
・アル・カーディシーヤ・クウェート(クウェート)2010年と2013年準優勝、2014年優勝
・アル・アヘドFC(レバノン):昨季2019年の覇者
・JDT:2015年優勝、2016年ベスト4
 なおAFC公式サイトでは、今週日曜日2月9日のマレーシア時間(世界標準時+8時間)の12時まで投票を受け付けています。

2月3日のニュース:JDTが今季ユニフォームをド派手に発表、ファイズ・スブリはM3のクラブから再起を目指す、フェルダUは期待の若手が開幕に間に合わず

JDTが今季ユニフォームをド派手に発表
 今季のマレーシアフットボールリーグで7連覇を目指すジョホール・ダルル・タジムJDTが、今季着用するユニフォームの発表イベントを開催したことをFacebookで告知しています。5000人近いサポーターが参加したこのイベントで発表されたユニフォームは3年連続のナイキ社製ですが、なんとホーム、アウェイとも胸スポンサーがありません。胸スポンサーがない理由についてJDTのFacebookでは「JDTは、MFLで初の資産価値10億リンギ(およそ264億円)クラブという目標実現に向けて、(スポンサーが無くとも)クラブ自体の商業価値のみで運営可能であることを表現している」としています。
 なおマレーシアの通信社ベルナマの報道によれば、JDTとナイキ社のユニフォーム提供の契約は2023年まで延長されたようです。
 ユニフォーム発表イベントはFacebookでライブストリーミングで中継された他、ユニフォーム紹介の映像もFacebook上で公開されています。内容はドラマ仕立て版ミュージックビデオ仕立て版となっていて、ドラマ仕立て版では西部劇に出てくるようなサロン風の店にムスリム(イスラム教徒)の選手がいるのは良いのか、など突っ込みどころもありますが、選手の皆さんの素人っぽい演技には個人的には好感が持てました。
(下はユニフォーム発表イベントの様子と、今季着用の新ユニフォーム-いずれもJDTのFacebookより)

 ちなみに早速、ネット上ではナイキ社製のJDTの新ユニフォームが、ブンデスリーガのアイントラハト・フランクフルトの今季ホームユニフォーム(写真右)とただの色違いとの指摘も出ています。

でも、そんなこと言ったらロット社製のクダFAの今季サードユニフォームは、やはり同じブンデスリーガ、1.FSVマインツ05の昨季のカーニバルユニフォーム(写真右)との色違いだよ!

ファイズ・スブリはM3のクラブから再起を目指す
 国際サッカー連盟FIFAが2009年に創設したプスカシュ賞は、前年10月から当年9月までに開催されたリーグ戦やカップ戦、FIFA主催大会がで最も優れたゴールをした選手が授賞対象はとなる賞です。2016年にこの賞をアジア人として初めて受賞したのが当時MFLのペナンFAでプレーしていたファイズ・スブリでした。受賞対象となった、当時「重力の法則を無視した」と表現されたフリーキックの映像は下に張りましたが、ファイズ選手自身はその後、目立った活躍もないまま、2018年シーズン後にペナンFAを退団、このブログでもその後の所属クラブが決まらないことを取り上げましたが、結局、昨季はMFLでプレーすることはありませんでした。
 そのファイズ選手が、今季はMFL3部にあたるM3リーグのMAHSAノーザンライオンズFCでプレーすることが、クラブのFacebookで発表になっています。なおファイズ選手が所属するMAHSAノーザンライオンズFCは、今月中旬に行われるマレーシアFAカップ予選でクルテーFCと対戦することになっています。
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 プスカシュ賞を受賞したフリーキックの映像と、表彰式の映像を張りましたが、フリーキックの方は、どのように蹴ればあのような軌道になるのか、と思うような驚くような変化をするので、是非、見ていただければと思います。

2016年2月16日のMFL1部パハンFAとの試合で決めたフリーキックの映像はこちら。
プスカシュ賞授賞式でのスピーチはこちらです。

フェルダUは期待の若手が開幕に間に合わず
 フェルダ・ユナイテッドのアフィザル・アブ・オスマン事務局長は、チーム期待の若手であるダニエル・アミール・ノーヒシャムが昨年から患っている中足骨骨折の手術を受けることを公表しています。
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、手術は明日2月4日に行われ、3週間程度は療養が必要であると語っています。昨季からのこの中足骨には悩まされており、昨季も5試合ほどは出場を見送るなどしていましたが、今季開幕前の手術に踏み切ることになったとアフィザル事務局長は話しています。
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 クラブで唯一のフル代表選手でもあるダニエル選手のこの時期の離脱は本人はもちろん、チームにとっても痛手なのは明らかです。チームはプレシーズンもメダンの大会で優勝するなど、開幕に向けて順調に来ていただけに、ダニエル選手の早期復帰が望まれます。

2月1日のニュース:PDRM FCはMFL開幕と同時に勝点3剥奪か、トレンガヌFCのスタジアム改修事業が完了、サラワクUは開幕前に早くも監督を解任

PDRM FCはMFL開幕と同時に勝点3剥奪か
 マレーシアフットボールリーグMFL1部に昇格したマレーシア王立警察が運営するPDRM FCが開幕と同時に勝点3を剥奪(はくだつ)される可能性がでてきました。
 マレーシアサッカー協会FAMは、昨季までの選手への未払い給料の完済、あるいは未払い給料支払い方法についての該当選手との合意を昨日1月31日までに得られない場合には、今季のMFLで勝点3が剥奪される旨をMFL1部のマラッカ・ユナイテッド、PDRM FC、そしてMFL2部のケランタンFAに警告していましたが、PDRM FCは昨季の給料4ヶ月分が未払いとなっている複数の選手に対し、支払いはおろか、支払い方法の交渉を開始したところであると、スポーツ専門サイトのフォックススポーツが報じています。
 PDRM FCと選手の交渉は始まったばかりで、どの選手からも支払い方法についての同意を得ることができておらず、今後も選手との交渉は続くようなので、週末を挟んだ2月3日にはFAMからPDRM FCへの勝点剥奪処分が発表されることが予想されます。
 なおマレーシアプロサッカー選手協会PFAMによれば、マラッカ・ユナイテッドはすでに未払い給料を完済済み、ケランタンFAは給料の支払いは終わっていないものの、支払い方法については該当選手との合意に達しているようです。
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 2016年以来のMFL1部に復帰したものの、今季のPDRM FCは運営資金に制限があることから、現時点ではマレーシア人プロ選手8名に加え、昨季はスランゴールFAでプレーしながら人種差別発言で退団したFWアントニオ・ジャーマン以外は、現職の警察官(つまりアマチュア)という布陣です。この後、外国籍選手の補強はあるかも知れませんが、モハマド・イシャク・クンジュ・モハメド監督は今季22試合で勝点22獲得、MFL1部残留も目標として公言するなど開幕前から弱気な(あるいは現状認識が正しい)発言を繰り返しています。

トレンガヌFCのスタジアム改修事業が完了
 トレンガヌFCは公式ホームページで、今季2020年シーズンのホームとなるスルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(SSMZA)の改修事業が完了したことを発表しています。
 収容観客数5万人を誇るこのスタジアムはマレー半島東海岸で最大のスタジアムですが、2008年の開場以来、2度に渡る天井崩落事故などがあり、トレンガヌFCがホームとして使うことができたのは2009年シーズンのみでした。
 崩落した天井を含めた改修費用の目処が立たず、いわゆる「ホワイトエレファント」だったスタジアムは、今回、100万リンギ(およそ2650万円)をかけてピッチをバーミューダグラスに交換するなど大規模な改修がおこなわれました。
 またこの後はフィールドの周りの陸上競技用コースを取り除き、人工芝を張る事業も予定されているとホームページでは伝えられています。
 なお、2月29日のMFL開幕日には、このスタジアムでトレンガヌFCがペラTBGを迎えて対戦します。
(以下はトレンガヌFCのホームページより)

サラワクUは開幕前に早くも監督を解任
 サラワク州サッカー協会FASが運営するMFL2部のサラワク・ユナイテッドは、プレシーズンの試合の結果が不調なことから、スペイン人のホアン・カルロス・マグロ監督の解任を発表しています。
 東マレーシアの英字紙ボルネオポスト電子版によると、FASダト・ポサ・マジャイス会長はマグロ監督はFASとは正式契約を結んでおらず、FASによる評価期間中であったとして、解任ではなく、監督職のオファーを行わないことを決めただけであるとしています。
 ここまでのプレーシーズンマッチでクアラルンプールFAに1-2、PDRM FCに0-5、ペラTBGのBチームに1-4と3連敗だったことなどが理由のようですが、後任にはマレーシア人監督が候補に上がっているとボルネオポストは報じています。
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 サラワク・ユナイテッドは昨季のMFL2部所属のスランゴール・ユナイテッドの経営権をサラワクFAが手に入れて再編したクラブで、今季はアムリ・ヤハヤ(スランゴールFAから移籍)、スピア・チャントゥル(フェルダ・ユナイテッドから移籍)、ファウジ・ロスラン(ケランタンFAから移籍)らのベテランを獲得していますが、元のチームが昨季のMFL2部では11チーム中9位でしたので、いきなり期待はできそうもないですが、ペラTBG II(Bチーム)に
 なお後任には昨季途中でMFL2部で降格権にいたPDRM FCの監督に就任し、MFL1昇格を勝ち取りながら、今季の契約を更新しなかったエラヴァラサン・エランゴワン氏の名前などが噂に上がっています。
 この他、サラワク・ユナイテッドは日本人DF岩崎陽平選手獲得の噂などもありますので、その辺りもフォローしていきたいと思います。

1月30日のニュース:今季M3リーグでプレーする20クラブが決定、FAカップの予選組み合わせ決定、ACLプレーオフで退場処分を受けたクダFAのDFが謝罪

今季M3リーグでプレーする20クラブが決定
 今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL3部にあたるM3リーグに出場する20クラブが決定し、各クラブが参加を確定したことを、M3リーグ以下のリーグを統括するアマチュアフットボールリーグAFLがツイッターで発表しています。
 1月21日のこのブログでも取り上げましたが、今季はM3リーグ改革元年として昨季までの14クラブから20クラブへと参加クラブ数を増やし、今季の結果と各クラブの経営状況をもとに、来季から完全にセミプロリーグ化されるM3リーグに参加することができる12クラブを絞り込みます。またそれ以外のクラブは完全アマチュアリーグとなるM4リーグへ回ることになります。
 今回発表になった20クラブの中には、MFL1部のマラッカ・ユナイテッドのBリームであるマラッカ・ユナイテッドFC、MFL2部のクアラルンプールFAのBチームクアラルンプールローヴァーズ、同じくサラワク・ユナイテッドのBチームで昨季のMFL2部最下位で入れ替え戦に敗れて降格したサラワクFA、2012年にはMFL2部で優勝し、翌2013年から2015年まではMFL1部に所属していたATM FC(Armed Forces FC-マレーシア国軍のクラブ)などの名前が見えます。
(以下はアマチュアフットボールリーグAFLのFacebookにアップされた20クラブの名称とロゴです。)

FAカップの予選組み合わせ決定
 マレーシアサッカー最大のカップ戦であるFAカップへの出場権を賭けた予選組み合わせが、マレーシアフットボールリーグMFLのホームページで発表になっています。
 昨日1月29日にMFL本部で行われた組み合わせ抽選は、MFL3部にあたるM3リーグと同4部にあたるM4リーグに所属する40クラブが対象に行われ、32クラブが出場する予選16試合のカードが決定しました。また残りの8クラブ、スタロバFC、KSRサイエンス、クアタグFC、トゥンラザクFC、タイスランゴールFC、キッカーズFC、イミグレーション(入国管理局)FC、ノーファルファンFCは予選不戦勝扱いで本選1回戦から登場します。なお、この予選16試合は2月13日と14日に行われます。
 M3リーグとM4リーグを統括するアマチュアフットボールリーグAFLのダト・ウィラ・ユソフチェアマンは、M3とM4リーグからは過去最高の40クラブが出場となる今季のFAカップでは、AFLのクラブにMFL1部や2部を相手の「ジャイアントキリング」を期待する他に、国内サッカーのレベルアップ、特に来季のM3リーグのセミプロ化に向けての準備の一環としての参加を求めています。
 また当初、参加が予定されていたのは42クラブでその内、マレー半島最北部プルリス州から参加するプルリス・ユナイテッドFCと、同じく最南端のジョホール州から参加するジョホールFAの両クラブについて予選出場が認められなかったことも併せて発表されています。ペルリス・ユナイテッドFCは、昨季の給料未払い問題により国際サッカー連盟FIFAから活動停止処分を受けているプルリス州サッカー協会PFA傘下のクラブであり、クラブ運営がPFA関係者によって行われていることが理由です。またジョホールバルFAも未払い給料の完済が終わっていないことからFAMからAFLに出場を認めないよう指示が出ているとのことです。なお、この2クラブはM3リーグ参加も発表されていますが、リーグ戦への出場については何も述べられていません。
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 今季のFAカップ予選にはM3とM4リーグ合わせて40クラブが参加しますが、AFLとMFLは来季のM3とM4リーグはそれぞれ12クラブで構成することを発表しているため、参加各クラブにとっては来季以降、どのレベルでプレーするのかを決める資料となる重要な大会です。
 なお昨季は、M3リーグで優勝したケランタン・ユナイテッドFCとM4リーグのジャラントゥットFCが3回戦まで進出したの最高成績でした。
(左は予選参加対象となったM3とM4リーグの40クラブ、右は予選16試合のカードです-いずれもAFLのツイッターより)

ACLプレーオフで退場処分を受けたクダFAのDFが謝罪
 1月28日のAFCチャンピオンズリーグプレーオフでクダFAは1−4とFCソウルに敗れましたが、多くのサポーターは実力差通りの結果であったことを理解する一方で、レナン・アウヴェスが愚行により36分に退場となっていなければ、その後の展開は変わっていた可能性があると思っているサポーターもいるようです。
 結果が変わっていたかどうかはわかりませんが、アウヴェス選手の退場がこの試合の転換点だったことは明らかで、それまでFCソウルの猛攻を耐え凌いでいたDFがこの退場で10人となった後に4失点を喫することになります。
 ブラジル出身のアウヴェス選手は、チームメートやコーチ、監督、フロントやサポーターに対して謝罪の意を表明しているとスポーツ専門サイトのフォックススポーツが報じています。アウヴェス選手は、あのプレーが意図的ではなかったこと、そして退場によってチームを不利な立場にしてしまったことで皆を失望させたことを詫びるとともに、この敗戦を無駄にせずにより強いチームを作っていく決意を述べています。

1月28日のニュース:PJシティFCは今季初タイトルを逃す、KLFAはBチーム設立をあきらめず、マラッカUもBチーム設立を検討、クダFAのエースはチームに合流予定

PJシティFCは今季初タイトルを逃す
 ユネスコの世界遺産として知られるアンコールワットに程近いカンボジアのシエムリアップで開催された大会に出場したPJシティFCは、最終戦でインドネシア 1部リーグのバヤンガラFCと対戦し、1−2と破れ惜しくも今季初タイトルを逃しています。
 最終戦で対戦した両クラブに加え、カンボジア1部リーグのアンコール・タイガーFCとヴィサカFCの4クラブが出場するプレシーズントーナメントとして開催されたシエムリアップスーパーアジアカップでは、PJシティーFCがアンコール・タイガーFCを、バヤンガラFCもヴィサカFCをいずれも1−0で破り、両試合の勝者が優勝をかけて最終戦で対戦しました。
 昨年2019年に完成したばかりのシエムリアップ・ユナイテッド(SRU)スタジアムで開催された最終戦は、PJシティFCのコンゴ共和国出身の新外国籍選手FWフェレボリ・ドレが45分にゴールを決めて先制しましたが、バヤンガラFCもイ・プトゥ・グデ・ジュニ・アンタラ(52分)と新加入のエゼシエル・エンドゥアセル(55分)がそれぞれゴールを決めています。
 なお、3位決定戦はフルタイム1-1の後、PK戦の末、アンコール・タイガーFCがヴィサカFCを5-4で破っています。
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 現地のメディアであるクメールタイムズ電子版によれば、この大会は地元の新設クラブであるシエムレアップ・ユナイテッドと、サッカー関連のイベント企画会社のボラブロズ社とスポーツ衣料メーカーのカキジャージ社の2つのマレーシア企業とが企画した大会のようです。ボラブロズ社はカンボジア国外からのクラブの招致を担当し、カキジャージ社はシエムレアップ・ユナイテッドへユニフォームなど衣料品を提供する一方でカンボジア国内での宣伝効果、シエムレアップ・ユナイテッドは、新設のSRUスタジアムのプロモーション、そして各クラブのプレシーズンマッチという目的で開催されたようです。なお、SRUスタジアムはアンコール・タイガーFC画今季から使用することになっています。
(以下は最終戦のPJシティFC対バヤンガラFCの試合の様子です。)

KLFAはBチーム設立をあきらめず
 先日もこのブログで取り上げ通り、クアラルンプールFAを運営するクアラルンプールサッカー協会KLFAはMFL3部にあたるM3リーグにクアラルンプールFAのBチーム設立を申請するも、MFLによってその申請が却下されましたが、KLFAは当初の予定通りBチーム設立を進めていく方針を明らかにしていることを、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 KLFAのノクマン・ムスタファ事務局長は、当初の予定から変更せざるを得ないものの、Bチーム設立はKLFAの長期計画の一環であり、Aチーム強化のためには必須であるとしています。その上で、KLローヴァーズ*にKLFAに所属する若手とAチームでプレーしないMFL経験のある選手を集約して、今季2020年シーズンのM3リーグで出場機会を作りたいと話しています。また、KLFAは今季のMFL2部優勝と来季のMFL1昇格を目標としており、そのためにもBチーム設立は欠かせないともスタジアムアストロに語っています。
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 KLFAのBチーム設立申請は、M3に新たなクラブの創設を認めないというMFLの方針により却下されたことから、KLFAは既存のクラブをBチーム化する方針へと転換したようです。しかし記事で取り上げられているKLローヴァーズというクラブについては、私も知識がなく、ネットで検索するとそれらしいクラブが複数見つかりますが、そのクラブとKLFAの関係が不明です。また、M3クラブのリーグ所属権の譲渡についてはMFL傘下のAFL(アマチュアフットボールリーグ)に決定権があることをAFLのトップが明言しており、その辺りの問題をはっきりさせる必要がありそうです。

マラッカUもBチーム設立を検討
 KLFA同様、マラッカ・ユナイテッドを運営するマラッカ州サッカー協会MUSAもマラッカ・ユナイテッドのBチームを設立して、今季のM3リーグに参加したい意向を表明しているとマレー語紙ハリアン・メトロ電子版が伝えています。
 記事の中でMUSAのファルハン・イブラヒム事務局長はMFLにM3リーグ傘下申請を行っていることを明らかにしています。具体的には昨季、M3リーグに参加したマラッカをホームとするアマチュアチームのマラッカ水道局サッカークラブSAMB FCのリーグ所属権を使ってBチームをM3リーグに参加させる計画のようで、その監督には元マラッカの選手でサラワクFAやペナンFAでもプレー経験のあるアジザン・ババ氏が決まっているようです。なおSAMB FCは今季M3リーグ参加に必要なスポンサー獲得ができなかったため、M3リーグ参加辞退が既に発表されています。
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 SAMB FCはこれまでもマラッカ・ユナイテッドへ選手を送り込んでおり、Bチーム的な役割を果たしてきたクラブのようで、昨季もMFモハマド・ファクルラー・ロスリ、FWジャスミル・メエナト、MFムハマド・シャミエルル・ラズミ・ジャスミらをマラッカ・ユナイテッドへ送り込んでいます。

クダFAのエースはチームに合流予定
 昨日のこのブログで取り上げたクパ・シャーマンは、ACLプレイオフでソウルFCとクダFAに合流できそうだとマレー語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 クダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAのモハマド・アスミルル・アヌアル事務局長が明らかにしたところによると、ビザの問題は解決済みでマレーシア出国が可能になったということで、本日1月28日の試合までには試合会場のソウルへ到着できそうだということです。
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 本日、マレーシア時間で午後6時(日本時間午後5時)キックオフの試合に間に合ったとしても、先ほどネットでチェックしたところソウルの試合開始時の予想気温6度(同じ時間のクアラルンプールの予想は34度)とマレーシアとは30度近い気温差に慣れるのは難しいでしょうが、シャーマン選手がベンチにいるか否かでチームの雰囲気も大きく変わると思いますので、その効果に期待したいです。
(写真はいずれもクダFAのFacebookより。寒そうです…。)

1月24日のニュース:スランゴールFCは中国遠征の予定を変更せず、元スランゴールFAのレジェンドはMFL2部のクラブと契約

スランゴールFCは中国遠征の予定を変更せず
 マレーシアのメディアは(おそらく世界中のどの国も)中国湖北省武漢市が発生地とされる新型コロナウイルスによる肺炎患者数日に日に増加している話を取り上げていますが、その武漢市からおよそ1000キロほど離れた広東省梅州市五華県をホームとする梅州客家(メイゾウハッカ)FCが主催する梅州客家カップへの出場を予定しているスランゴールFCは、1月24日から27日まで開催される大会への出場方針を変更しないと、マレーシア版Goal.comが伝えています。
 新型コロナウイルスによる肺炎患者発生のニュースが広がるにつれて、ソーシャルメディア上では、スランゴールFCの大会出場が疑問視されていましたが、チームマネージャーのマハフィズル・ルシディン氏は、大会参加は3ヶ月前に決まっていたことから、マレーシア政府による渡航禁止警告などが出されない限り、参加中止はできないとしています。また、専門医の意見をもとに状況を監視し、選手に対しても必要なアドバイスを行うなど、中国滞在中は充分な予防措置を取ることで心配する必要はないと、メディア向けに出された声明の中で述べています。
 この大会はホストの中国2部リーグの梅州客家FCとスランゴールFCの他、タイ1部リーグのチョンブリーFC、韓国1部リーグの尚州尚武FCの合計4クラブが参加します。
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 ケガから療養中のルフィアノ・セゴヴィア、ワン・ザック・ハイカル、ノーハキム・ハサンらはマレーシアに残るようですが、それ以外の主力は全員が参加するようです。しかしこの状況下で、中国まで出かけて行かなくても…と思うのですが、とにかくスランゴールFCの選手、スタッフ全員が無事に帰ってきてくれる事を祈りましょう。

元スランゴールFAのレジェンドはMFL2部のクラブと契約か
 昨季終了後、スランゴールFA(現スランゴールFC)のレジェンドで多くのサポーターからカルト的な人気を集めていたアムリ・ヤハヤは、バスカラン・サティアナタン監督と反りが合わない事を公言してスランゴールFAとの契約を1年残しながら退団しましたが、そのアムリ・ヤハヤがマレーシアフットボールリーグMFL2部のサラワク・ユナイテッドと契約したと、スポーツ専門サイトのフォックススポーツが報じています。
 昨日1月23日にKLFAスタジアムで行われたクアラルンプールFA戦にサラワク・ユナイテッドのメンバーとして出場したアムリ選手は、ケランタンFAから加入したファウジ・ロスランやフェルダ・ユナイテッドから加入したスピアー・チャントゥル、そして昨季はクアラルンプールFAでプレーしたサラワク出身のアスリ・チュチュらとともに、サラワク・ユナイテッドの若い選手たちを引っ張っていく役割が期待されていると、フォックススポーツは伝えています。
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 アムリ選手は退団の際に「スランゴールFAは来季、自分がプレーするチームに勝つことはできないだろう」と挑発的なコメントを残したのですが、MFL2部のサラワク・ユナイテッドがMFL1部のスランゴールFCと対戦するとすれば、リーグ戦ではなくカップ戦のマレーシアFAカップかマレーシアカップとなります。
 また同じフォックススポーツの記事では、M3リーグ2位のクチンFAとの入れ替え戦に敗れてM3リーグに降格になった昨季MFL2部最下位のサラワクFAは、サラワク・ユナイテッドのBチーム、サラワク・ユナイテッドIIとして今季はM3リーグでプレーするとMFLが発表しています。

1月21日のニュース:スランゴールFCは今季初タイトルを逃す、フェルダUは退場者を出しながらタイトル獲得、M3リーグ改革案が発表される

スランゴールFCは今季初タイトルを逃す
 スランゴール州のシャーアラムスタジアムで開催されていたスランゴールアジアチャレンジSACは、ホストのスランゴールFCとバンコク・ユナイテッド(タイ)がいずれも1勝1分得失差3で並んだ結果、PK戦が行われ、バンコク・ユナイテッドが4−2で勝利し優勝しました。
 スランゴールFCは初戦でプルシブ・バンドン(インドネシア)に3-0、バンコク・ユナイテッドは同じくハノイFC(ベトナム)に3-0と快勝しており、この試合が優勝決定戦でした。なお優勝したバンコク・ユナイテッドは、優勝賞金1万米ドル(およそ110万円)を獲得しています。
 また3位決定戦となったプルシブ・バンドン対ハノイFCの試合は、プルシブ・バンドンが前半2−0とリードしたところで、豪雨のため終了となっています。
(以下はスランゴールFC対バンコク・ユナイテッドの試合のダイジェストです-スランゴール州サッカー協会FASのYouTubeチャンネルより)

フェルダUは退場者を出しながらタイトル獲得
 インドネシアのメダンで開催された大会に出場したフェルダ・ユナイテッドFCは、最終戦で退場者を出しながらも、ボーウング・ケット・アンコールFC(カンボジア)を1-0で破って優勝しています。
 メダンで開催されていたエディ・ラーマヤディカップには、ホストのPSMSメダン、フェルダ・ユナイテッド、ボーウング・ケット・アンコールFC、そして同じMFL(2部)のペナンFAが出場していました。
 フェルダ・ユナイテッドFCは、初戦のPSMSメダン戦でもファイズ・マズランが退場になりながらも、新外国籍選手のニコラス・ヴェレズとアクマル・ハイカルのゴールで2−1と勝利しています。
 最終戦となったボーウング・ケット・アンコールFCでは、主将のジャサズリン・ジャマルディンが60分に退場となる展開となりましたが、その直後の65分にニコラス・ヴェレズが初戦に続きゴールを決め、1-0と逃げ切って優勝しています。
 フェルダ・ユナイテッドFCのニザム・ジャミル監督は、英字紙スター電子版のインタビューに対し、カウンター主体となるチーム戦術は改善の余地があるものの、両試合とも退場者を出し10名となりながらも、チーム全員が見せた勝利への執念を評価したいと述べています。
 フェルダ・ユナイテッドFCは、今季、外国籍選手を総入れ替えしましたが、今大会で2得点を挙げたFWニコラス・ヴェレズの他、加入後の初の対外試合となったDFニコラ・ラスポポヴィッチ(セルビア)のピッチ上でのリーダーシップ、右サイドでのMF恵龍太郎の動きなど、外国籍選手とマレーシア人選手の連携が改善したとする一方で、FWフレデリック・ビュロ(ガボン)にはもう少し時間が必要だろうと話し、開幕までのおよそ1ヶ月でその点を改善したいとも話しています。
 なお3位/4位決定戦に回ったペナンFCは、PSMSメダンとフルタイムで1-1となった後、PK戦5−4で3位を獲得しています。
(写真左はフェルダ・ユナイテッドFC、右はペナンFAのFacebookより)

M3リーグ改革案が発表される
 マレーシアフットボールリーグMFL3部にあたるM3リーグは、昨季は14クラブが参加し、プロとアマが混在するアマチュアフットボールリーグAFLという扱いでしたが、これを段階的にセミプロリーグとする案をAFLのダト・モハマド・ユソフ・マハディ最高責任者(チェアマン)が発表しています。
 マレー語紙ブリタハリアン電子版によると、今季2020年シーズンのM3リーグは6クラブを新たに加え総勢20クラブでスタートし、今季終了後、成績上位クラブの内、クラブ運営において経済上の問題がないことが認められた12クラブは、そのまま来季2021年シーズンもM3リーグ所属となり、これ以外の残り8クラブはMFL4部にあたるM4リーグの今季上位4クラブとともに来季のM4リーグを構成するということです。
 この改革案についてモハマド・ユソフAFLチェアマンは、MFL2部プレミアリーグとMFL3部M3リーグとの間で入れ替え戦があることから、M3リーグのレベルアップに加え、両リーグ間のレベル差が離れ過ぎないようすることが目的であるとし、2021年シーズンからはM3リーグはセミプロリーグ、M4リーグ以下がアマチュアリーグという位置づけになるとしています。
 なお今季のMFL2部プレミアリーグには、昨季のM3リーグチャンピオンのケランタン・ユナイテッドが自動昇格、また昨季2位となった鈴木裕太選手が所属するクチンFAがプレミアリーグ最下位のサラワクFAとの入れ替え戦に勝利して、昇格を勝ち取っています。
 また、モハマド・ユソフAFLチェアマンは、チャレンジカップ(MFL1部と2部のクラブの内、マレーシアカップに出場しないクラブが出場するカップ戦)へM3リーグ所属クラブにも出場枠を設けるようチャレンジカップを主催するMFLへAFLから働きかけていることも明かしています。
 この他、モハマド・ユソフAFLチェアマンはM3リーグ所属のクラブに対し、そのリーグ所属権を他のクラブへ譲渡しないよう警告し、所属権譲渡の最終決定権はAFLにある事を強調しています。
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 興味深いのはモハマド・ユソフAFLチェアマンが最後に述べたリーグ所属権の譲渡についてです。上でも書きましたが、昨季MFL2部プレミアリーグで最下位だったサラワクFAは、クチンFAとの入れ替え戦に敗れてM3リーグ降格となりましたが、その後、サラワクFAは、プレミアリーグのスランゴール・ユナイテッドの経営権を買い取り、サラワク・ユナイテッドとチーム名を変えてプレミアリーグに残留するという荒技を駆使しています。
 MFL役員でもあるモハマド・ユソフAFLチェアマンは元記事の中で、リーグ所属権の譲渡を「健全でない文化」budaya tidak sehatと呼んで、この行為を糾弾していますが、下位リーグ降格危機を金銭で解決したサラワク・ユナイテッドの件が念頭にあるのは明らかです。

12月14日のニュース:来季MFLは2月28日に開幕、スランゴールUが買収されサラワクUに名称変更、KLFAに新監督就任

来季MFLは2月28日に開幕
 マレーシアフットボールリーグMFLのホームページでは、来季のMFLが2月28日に行われる、MFL優勝チームJDTとマレーシアFAカップ優勝チームクダFAが対戦するスンバンシーカップで開幕し、7月19日に閉幕することが発表されています。
 スランゴールFAのバスカラン・サティアナタン監督を筆頭に、キャンプの予定が立てられないと来季の日程を発表しないMFLに対して不満が高まっていましたが、とりあえず開幕日は発表になりました。
 今回の日程発表の遅れについてMFLは、各クラブの経営状況を把握し、それぞれのクラブが予算範囲内で選手と契約し、給料未払い問題の発生を事前に防ぐための経済コントロールプログラムECPが来季2020年シーズンから導入されることによるものとしています。
 このECP導入により、MFL1部と2部所属の全クラブは全ての登録選手との契約予算をMFLに提出、それをもとにMFLが来年2020年1月15日までに各クラブの経営状況審査を行った上で認可することになっています。
 また、新規選手獲得期間となるトランスファーウィンドウは、各クラブの経営状況審査が終了する予定の1月16日から3月15日までに設定されています。

スランゴールUが買収されサラワクUに名称変更
 同じMFLのホームページでは、サラワク州サッカー協会FASによるMFL2部スランゴール・ユナイテッドFCの買収と、それに伴うチーム名変更申請を承認したと発表しています。この結果、来季2020年にはスランゴール・ユナイテッドFCはサラワク・ユナイテッドFCとしてMFL2部に参戦します。
 スランゴール州マレー人サッカー協会SMFAが運営するスランゴール・ユナイテッドFCは、1974にマレーシアマレー人サッカー協会PBMM FCとして創設され、2017年にはスランゴール州マレー人サッカー協会PBMS FCに、そして2018年にはスランゴール・ユナイテッドFCと名称変更しました、その2018年にはMFL3部にあたるFAMカップ(当時、現M3リーグ)で2位となりMFL2部に昇格、今季2019年はMFL2部で11チーム中9位となっていました。
 一方FASが統括するサラワクFAは今季MFL2部で最下位11位となり、M3リーグ2位のクチンFAとの入れ替え戦に臨みましたが1-3で敗れ、M3リーグ降格が決まっていました。
 この変更により、チームの本拠地はスランゴール州スナヤンスタジアムからサラワク州のサラワク州立スタジアムへとなり、
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 スランゴール州サッカー協会が運営資金援助を停止し、資金繰りに苦しむスランゴール・ユナイテッドFCと、州サッカー協会が統括するクラブとしては唯一M3リーグでプレーすることを避けたかったFASの思惑が、両クラブの間に横たわる南シナ海を超えて一致した結果とは言え、結局のところスランゴール・ユナイテッドFCが持っていたMFL2部の座を、M3リーグ降格が決まっていたサラワクFAに金で売り渡した格好になっているのは、個人的にはすっきりしません。

KLFAに新監督就任
 今季2019年はMFL1部で最下位となり、来季2020年はMFL2部に降格するクアラルンプール(KL)FAは、今季マラッカ・ユナイテッドでアシスタントコーチを務めたニザム・アズハ・ユソフが新監督に就任したことを、KLを中心としたスポーツ関連情報のオンラインサイトスポーツタイムズが報じています。
 ニザム新監督は、クダFAでアシスタントコーチを務めていた2017年には、当時のタン・チェンホー監督のフル代表アシスタントコーチ就任に伴い、シーズン半ばで監督に昇格するとチームをマレーシアカップ決勝に導きました。しかし翌年2018年にスペイン人のラモン・マルコートのクダFA監督就任に伴い、再びアシスタントコーチに降格、しかしチームが開幕ダッシュに失敗するとわずか5試合で育成コーチに配置換えされたマルコートに代わって再び監督に復帰しました。今季2018年はマラッカ・ユナイテッドでザイナル・アビディン監督のもと、アシスタントコーチを務めていました。
 ニザム新監督は就任すると直ちに、マラッカ・ユナイテッドで今季主将を務めながら給料未払い問題によって試合出場を拒否していたベテランのシュコル・アダンや、クダFA時代の選手であるアクラム・マヒナン(PKNS FC)などを呼び寄せています。
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 KLFAは、先日の東南アジア競技大会シーゲームズにオーバーエイジ枠で出場した地元出身のイルファン・ザカリアを含めた大量の選手が今季終了後に退団し、今季のチームから残留するのはわずか7名と、大幅な選手交代の最中です。残留する選手の中には2020年には39歳になるインドラ・プトラ・マハユディンもおり、ニザム監督は1部昇格を目指すチームにシュコル・アダン選手やインドラ・プトラ選手といったベテランの力が必要と判断したようです。

11月25日のニュース:クチンFAがMFL2部昇格、シーゲームズ前日会見で各コーチから不満続出、アムリ・ヤハヤ退団は監督との確執が原因

クチンFAがMFL2部昇格
 マレーシアフットボールリーグMFL2部11位のサラワクFAとMFL3部にあたるM3リーグ2位のクチンFAとの間で来季2部の座をかけて争われたプレーオフが、サラワクFAとクチンFAがともにホームとするサラワクスタジアムでおよそ5000人の観衆を集めて行われ、クチンFAがサラワクFAを3ー1で破り、MFL2部昇格を決めています。
 マレーシアの通信社ベルナマによると、サラワク州の州都クチンを本拠とするクチンFAがサラワク州サッカー協会が統括するサラワクFAを相手に、8分にはサハラン・アブドル・サマドのヘディングで先制します。52分にはサラワクFAのブラジル出身FWハドソン・ディアスのゴールで同点としますが、77分にはモハマド・ザイヌディン・ボハリ、85分には代表経験もあるジョセフ・カラン・ティがそれぞれゴールを挙げ、クチンFAがサラワクFAを突き放し、そのまま勝利しています。
 クチンFAには鈴木裕太選手が在籍しており、この試合でもスタメンでフル出場しています。

シーゲームズ前日会見で各コーチから不満続出
 本日11月25日に開幕する東南アジア競技大会通称シーゲームズの男子サッカーは、各チームのコーチによる前日会見が行われましたが、試合開始前から様々な問題が起こっているとベルナマが伝えています。
 この日の前日会見では、フル代表でも監督を務めるベトナムU22代表のパク・ハンソ監督は、会見が予定されていた時間通りに始まらないことで不快感を表していましたが、その原因はやはりフル代表とU22代表の両方で監督を務めるタイの西野朗監督の遅刻にありました。予選グループBの6チームの中で最後に登場した西野監督は、4分ほどの遅刻を詫びながらも主催者から伝えられていた会見の時間が違っており、チームと行動していたための遅刻であると平然としていたとベルナマは伝えています。
 この二人はおよそ1週間前にFIFAワールドカップ予選で対戦し、0ー0で引き分けたばかり。しかも試合後には西野監督がベトナムの選手を「アンプロフェッショナル」と非難した一方で、ベトナムサッカー協会はタイ代表のササ・ヴェスナ・トディックアシスタントコーチがパク監督の体躯について「アンプロフェッショナル」なジェスチャーをしたことでAFCに提訴しています。(なおgoal. comでは、この席上で西野監督がパク監督にササ・トディックコーチの非礼を謝罪したともほうどうされています)。会見ではこの二人の間にインドネシアU22代表のインドラ・シャフリ監督が座っていたことで二人が直接、接触することはなかったということです。
 また、西野監督はシーゲームズ主催者に対して練習会場まで移動に2時間かかったこと、実際の試合会場は人工芝にもかかわらず用意された練習場は天然芝だったこと、また宿舎で出されている食事にも注文をつけたようです。
 今回のシーゲームズでは、マニラ入りした東ティモール代表やカンボジア代表が空港で8時間以上も待たされる、宿泊先でないホテルへ連れて行かれるなど、ロジスティック面での問題がすでに起こっており、ミャンマーやタイなども主催者側に不満を述べる事態となっています。

アムリ・ヤハヤ退団は監督との確執が原因
 スランゴールFAを退団するアムリ・ヤハヤは、バースカラン・サティアナタン監督の確執が原因で退団するようだとスポーツ専門サイトのスタジアムアストロが伝えています。
 スタジアムアストロとのインタビューでは、サティアナタン監督の選手起用方が原因での退団と明言した上で、アムリ選手は来季の所属先を明らかにしなかったものの、スランゴールFAでは来季、自分がプレーするチームに勝つことはできないだろうと挑発的なコメントを残しています。
 アムリ選手の退団については、サティアナタン監督は自らの関与を否定し、アムリ選手自身意思によるものとしていますが、アムリ選手がより多くの出場機会を望む一方、サティアナタン監督は来季はアムリ選手をスランゴールFAのBチームでの起用を示唆するなど亀裂が深まっていました。
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 サティアナタン監督はこの報道の後、アムリ選手がマレーシアカップ準決勝のJDT戦での交代後、試合終了前に帰宅し、試合後のミーティングに参加しなかった件などを挙げ、チームの規律を乱す選手であることも暗示し、本人が残りたくないのであれば慰留はしないと話するなど、来季に向けて遺恨が残る事態になっています。
 マレーシアのスポーツ界では、今回のアムリ選手の様に自分が監督、コーチよりも上にいるかのような発言、行動をする選手の話を聞くことは少なくありません。実際にスーパースターであったり、フロントの子飼いの選手であったりと理由は様々ですが、今回アムリ選手が相手にしたのは絶対に選手を甘やかさないことで定評があるサティアナタン監督でしたので、いわゆる意地の張り合いの結果、当然ながら監督が一選手に勝利したという図式かと思われます。