2019年スーパーリーグチーム紹介(4):KLFA

2018年は、12チームの内、降格圏手前の10位でシーズンを終えたクアラ・ルンプール(KL)FA。KLFAに次ぐ11位で2部プレミアリーグに降格したケランタンFAの前監督ユスリ・チェ・ラーを新監督に迎えたKLFAの2019年の目標はとにかく1部スーパーリーグに残留することになりそうです。
 KLFAを運営するKLサッカー協会内部の権力闘争のとばっちりを受け、他のスーパーリーグが行う遠征も行わず、プレシーズンマッチはプレミアリーグのチーム相手中心になるなど、開幕前の準備は明らかに不十分な状態で2月1日の開幕戦でパハンFAと対戦します。しかも新鮮力として期待されていた帰化選手のハイル・ジョーンズ(マラッカ・ユナイテッドより移籍)とDFアクマド・ジュフリヤント(インドネシア)が揃ってケガのため開幕に間に合わないため、2018年に22試合で51失点を喫した守備陣が2019年も不安材料です。
 新鮮力として日本人MF苅部隆太郎(タイのチャイナート・ホーンビルFCより移籍)、FWシルヴァーノ・コンヴァリアス(オランダ、タイのスパンブリーFC)などを補強した一方、2018年アセアンサッカー連盟AFF選手権スズキカップにも出場したFWザクアン・アドハ(クダFAへ移籍)や給料未払い問題により代表チームでも主力選手のMFシャズワン・アンディック(JDTへ移籍)を失うなど、戦力も安定していません。
 そんな中で明るい話題といえば、MFインドラ・プトラ・マハユディンがあと5と迫ったスーパーリーグ通算100ゴールをいつ達成するかということでしょう。ペラ州イポー出身のインドラ・プトラ選手は、ペラFA、パハンFA、クランタンFAなどでスーパーリーグやマレーシアカップを経験している38歳の大ベテランです。また代表でも79試合に出場し31ゴールを記録するなど、まさにマレーシアの大黒柱として活躍してきた選手です。

1位のインドラ・プトラ選手以下、スーパーリーグの通算得点ランキング(2019年シーズン開幕時点)

チーム名  :クアラ・ルンプール(KL)FA
ニックネーム:ホークス、シティー・ボーイズと呼ばれることも
ホーム   :KLFAスタジアム(クアラ・ルンプール)80000人収容
2018年成績:スーパーリーグ10位(7勝12敗3分:勝ち点24)
2019年監督:ユスリ・チェ・ラー(マレーシア)

2月1日のニュース:KLFAは守備陣が不安材料、MFLは今シーズンもナイキ製ボールを使用

KLFAは守備陣が不安材料
本日2月1日に開幕するマレーシアフットボールリーグMFL。1部スーパーリーグは2試合が開催され、2018年は10位のクアラルンプール(KL)FAはホームに同4位のパハンFAを迎えます。(もう1試合はトレンガヌFCがホームでPKNS FCと対戦)そのKLFAは新外国人のDFアクマド・ジュフリヤント(インドネシア)と帰化選手のDFハイル・ジョーンズがそろってケガのために開幕に間に合わない状況です。特にアクマド選手は回復が遅れていることから、ユスリ・チェ・ラーKLFA監督はがこれ以上時間がかかるようなら、解雇もありうることを示唆しています(原文はマレー語です)。2018年シーズンは、2部プレミアリーグに降格した11位のケランタンFA(43失点)、12位のヌグリ・スンビランFA(47失点)よりも多いリーグ最多の51失点を喫したKLFA。初戦のパハンFA以降も、2018年チャンピオンのJDT、同2位のペラTBGと強豪との連戦が続きます。不安な守備陣がこの最初の3試合でどのようなプレーを見せるかで、KLFAの2019年シーズンの行方が見えてきそうです。

MFLは今シーズンもナイキ製ボールを使用
MFL1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグ、マレーシアカップ、FAカップなど主なリーグ戦やカップ戦でナイキ製のボール「マーリン」が採用されることになりました。MFLがナイキ製のボールを採用するのは4年連続です。この最新モデルは従来の12枚のパネルではなく、4枚のパネルで構成されることで、固くなりがちな縫い目の部分が40%減少し、対照的にスイートスポットの範囲が大きくなっています。空気抵抗が少ない上、鮮やかなクリムゾンと黒のパターンによって、ボールのスピンなども見やすくなっているそうです。

2019年シーズン開幕前の小ネタいろいろ:MFL2部プレミアリーグ編

本日2月1日に開幕するマレーシアフットボールリーグMFL。2部プレミアリーグは警察のチームPDRM FCがホームに大学チームUITM FCを迎えて開幕します。
<チーム>
マレーシアはマレー半島とボルネオ島の一部で構成されていまが、プレミアリーグにはボルネオ島に本拠地を持つサバFAとサラワクFAがあります。またマレー半島東海岸に面した州からはケランタンFAとトレンガヌFC IIが参戦し、残りは西海岸に面した州に本拠地を持つチームです。その中でスランゴール州に本拠地を持つのがスランゴール・ユナイテッド、PDRM FC、UITM FCです。この内、スランゴール・ユナイテッドとPDRM FCはともにスラヤン・スタジアムをホームゲームで使用します。
<監督>
プレミアリーグに参戦する12チームの内、外国人監督はJDT IIのエルヴィン・ボバンとケランタンFAのマルコ・クラリエヴィッチの2名でともにクロアチア人です。また、2019年から指揮を執る新監督はマルコ・クラリエヴィッチ(ケランタンFA)、マット・ザン・マット・アリス(ヌグリ・スンビランFA)、アーマド・ユソフ(ペナンFA)、マンゾール・アズウィラ(プルリスFA)、ペンギラン・バラ(サラワクFA)、イスマイル・ザカリア(UITM FC)の6名です。
<外国人選手>
各チーム5名(ただしその内1名はアジアサッカー連盟AFC枠、もう1名はアセアンサッカー連盟AFF枠)が許されている外国人選手ですが、JDT IIとトレンガヌIIは2名の外国人選手が2018年シーズンから引き続きプレーし、ケランタンFA、PDRM FC、ペナンFA、サバFA、UKM FCは1名が引き続きプレーします。昨シーズンは3部にあたるFAMカップ(という名前のリーグ戦)でプレーし、2019年からプレミアリーグに昇格したスランゴール・ユナイテッドとプルリスFAは、FAMカップでは外国人選手枠がないため、2019年シーズンは新たな外国人選手を獲得しています。

2019年シーズン開幕前の小ネタいろいろ:MFL1部スーパーリーグ編

本日2月1日に開幕するマレーシアフットボールリーグMFL。1部スーパーリーグはトレンガヌFC対PKNS FC、KLFA対パハンFAが開幕カードとなっています。
チーム
マレーシアはマレー半島とボルネオ島の一部で構成されていまが、2019年シーズンはスーパーリーグにはボルネオ島に本拠地を持つチームはいません。マレー半島東海岸に面した州からはトレンガヌFC(トレンガヌ州)、パハンFA、フェルダ・ユナイテッドFC(いずれもパハン州)が参戦し、残りは西海岸に面した州に本拠地を持つチームです。その中でスランゴール州に本拠地を持つのがスランゴールFA、PKNS FC、PJシティFCです。この内、スランゴールFAとPKNS FCはともにシャー・アラム・スタジアムをホームゲームで使用します。
監督
スーパーリーグに参戦する12チームの内、外国人監督はJDTのルシアーノ・フィゲロア(アルゼンチン)、クダFAのアイディル・シャリン・サハック(シンガポール)、ぺらTBGのメメド・デュラコヴィッチ(オーストラリア)の3名です。また、2019年から指揮を執る新監督はフェルダ・ユナイテッドのニザム・ジャミル、クダFAのアイディル・シャリン・サハック、KLFAのユスリ・チェ・ラー、マラッカ・ユナイテッドのザイナル・アビディン・ハサン、そしてスランゴールFAのB・サティアナタンの5名です。
外国人選手
各チーム5名(ただしその内1名はアジアサッカー連盟AFC枠、もう1名はアセアンサッカー連盟AFF枠)が許されている外国人選手ですが、トレンガヌFCは4名の外国人選手が2018年シーズンから引き続きプレーし、KLFAとペラTBGは3名、JDTとPJシティFCは2名、フェルダ・ユナイテッド、パハンFA、PKNS FC、スランゴールFAは1名が引き続きプレーします。クダFA、PKNP FC、マラッカ・ユナイテッドの3チームのみが外国人を完全に入れ替えています。
帰化選手
また帰化選手については、外国生まれながら両親あるいは祖父母がマレーシア人である場合がこれにあたり、JDTにはラヴェル・コービン=オン、キコ・インサ、ナチョ・インサの3選手が、マラッカ・ユナイテッドにはオスカー・ウォン・ツェ・ユン、パハンFAにはマシュー・デイビーズ、KLFAにはハイル・ジョーンズ、ペラTBGにはブレンダン・ガン、PKNS FCにはニック・スウィラッドの各選手がいます。パハンFAにはもう一人帰化選手のモハマドゥ・スマレーがいますが、彼はマレーシアでの生活期間が長いため帰化できた選手です。帰化選手の中では、オスカー・ウォンとニック・スウィラッドの二人以外は全員がマレーシア代表でのプレー経験を持っています。

2019年スーパーリーグチーム紹介(3)PKNS FC

2009年から2013年までマレーシア代表の監督を務め、14勝23敗15分という成績を残したラヤゴパル監督1年目のシーズンで3位となったPKNS FC。メンバーは正式発表されてはいないものの、予想される2019年シーズンのチームは、主力選手が交代して20代の選手が大半の若いチーム、という印象です。

30代の選手は2013年からPKNS FCでプレーするベテランDFのP・グナラン(2019年シーズン開幕時で37歳)や2018年は2部プレミアリーグのフェルクラFCのキャプテンを務めたDFシャーロム・カラム(33歳)など数名しかおらず、戦力的にも昨年のチーム得点王であったFWハファエル・ハマゾッチ(ブラジル・シンガポールのホーガン・ユナイテッドへ移籍)やMFブルーノ・マトス(ブラジル・インドネシアのプルシジャ・ジャカルタへ移籍)、MFファリス・ラムリ(シンガポール・プルリスFAへ移籍)、FWサフィー・サリ(プルリスFAへ移籍)などの主力が退団しています。

彼らに代わってチームを担うのは、東京オリンピック出場を目指すU22代表のFWジェフリ・フィルダウス・チュウ、2018年アセアンサッカー連盟AFF選手権スズキカップ準優勝チームのメンバーMFアクラム・マヒナン、代表キャップ数が50を超えるDFマハリ・ジャスリ(JDTより期限付き移籍)、ケランタンFAから移籍したFWシャフィック・シャハルディンといったマレーシア人選手に加え、マレーシアフットボールリーグMFLを経験しているクパー・シャーマン(リベリア・PJシティFCより移籍)、DFニコラス・スウィラッド(マラッカ・ユナイテッドより移籍)、ガブリエル・ゲラ(アルゼンチン)、MFチャン・ワタナカ(カンボジア)、そしてMFL初参戦の2019年アジアサッカー連盟AFC選手権AFCカップでもプレーしたキルギスタン代表DFタミルラン・コズバエフの5人の外国人選手になると予想されます。

若手とベテランを上手に融合させることでは定評があるラヤゴパル監督。2010年のAFF選手権スズキカップでも優勝経験があり、現在のマレーシア人監督の中でもピカイチの実績を誇るラヤゴパル監督の手腕次第では、PKNS FCは2019年シーズンも上位に食い込む可能性が充分あると予想されます。

チーム名  :PKNS FC
ニックネーム:レッド・アンツ(赤アリ)
ホーム   :シャー・アラム・スタジアム(スランゴール州シャー・アラム)80000人収容
2018年成績:スーパーリーグ3位(10勝7敗5分:勝ち点35)
2019年監督:ラヤゴパル・クリシュナサミ(マレーシア)

2019年ユニフォーム(PKNS GCのFacebookより)

2019年スーパーリーグチーム紹介(2)ペラTBG

ペラがマレーシアサッカーの歴史に登場するのは、アジア最古のカップ戦の一つとされる1921年創設のマラヤカップ(現マレーシアカップ)第1回大会です。ペラはこの第1回大会に参加した6チーム(海峡植民地のペナン、マラッカ、シンガポールとマラヤ連合州のペラ、スランゴール、ヌグリ・スンビラン)の内の1つでした。また1926年創設のマラヤサッカー協会MFA(現マレーシアサッカー協会FAM)の当初の構成メンバーFAでもあります。しかしペラのサッカーを統括するペラ州アマチュアサッカー協会PAFAが正式に設立されたの1951年でした。

マラヤカップからマレーシアカップと名称が変更になり、サバ、サラワクを除く全州のFAが参加するようになった1967年大会で4回目の優勝を果たしたPAFAは、その後も1970年、1998年、2000年そして2018年と計8回優勝していますが、これはスランゴールFA(優勝33回)、シンガポールFA(同24回)に続く優勝回数です。

一方、それまでカップ戦のみであったマレーシアのサッカーにリーグ戦が導入されたのは1979年でしたが、当初はマレーシアカップの予選としてのものでした。その後、1982年から1988年まで開催されたアマチュアリーグと、1989年から1993年まで開催のセミプロリーグ(マレーシア13州と連邦直轄区クアラルンプールの各サッカー協会FAと国軍、警察、そして隣国のシンガポールとブルネイが加わった18チームで構成)では、PAFAは1991年に3位となった以外はトップ3でのフィニッシュはありませんでした。しかし1994年から2003年まで続いたプレミアリーグでは、2000年に3位となったPAFAは、2002年に悲願のリーグ優勝を成し遂げ、続く2003年にも優勝して2連覇を果たしました。しかし現行のスーパーリーグになった2004年以降はまた低空飛行に戻り、2006年に3位、2007年に2位となって以来の2位となったのが昨2018年シーズンでした。2016年にそれまでのPAFAからペラFAとリブランディングを果たした結果が出始めたとも言えるでしょう。

2018年シーズンは、スーパーリーグ2位に終わったとは言え、優勝したJDTに勝ち点で23点も離されたペラ。それでもスーパーリーグ2位となったことで、AFCチャンピオンズリーグACLの予選出場権を得ることができました。その結果、2月12日には2018年シーズンの香港リーグチャンピオンであるキッチーFCと対戦します。しかしこの試合に勝っても本戦出場のためには、さらに2018年シーズンKリーグ3位の蔚山現代FCを破らなければなりません。JDTに続くACL本戦出場チームとなるための高い壁が立ちはだかりますが、ペラはそれを超えることはできるのでしょうか。

チーム名  :Perak The Bos Gaurus FC(ホームページ
ニックネーム:The Bos Gaurus / Seladang(ガウル=インドヤギュウ)
ホーム   :ペラ・スタジアム(ペラ州イポー:42000人収容)
2018年成績:スーパーリーグ2位(10勝6敗6分:勝ち点36)
2019年監督:メメド・デュラコビッチ(オーストラリア)

2018年マレーシアカップで優勝したペラTBG(ペラTBGのホームページより)

2019年スーパーリーグチーム紹介(1)JDT

明日2月1日に開幕するマレーシア・スーパーリーグの2019年シーズンを前に、リーグ参加チームを紹介していきます。第1回は2014年からスーパーリーグ5連覇中のジョホール・ダルル・タクジムJDTです。

マレーシアのプロサッカーは、各州のサッカー協会FAがチームを所有する形態が伝統的ですが、マレー半島南端にあるジョホール州も、1955年に創設されたジョホール州サッカー協会PBNJがプロチームを所有していました。その一方で1972年にはジョホール州政府傘下のジョホール州経済開発公社PKENJによるクラブチームPKENJ FCが発足しました。(*州FAのチームとは別に活動している州政府傘下の公社によるサッカークラブには、現在でもPKNS FC(スランゴール州)やPKNP FC(パハン州)などがあります。)

PKENJ FCは1996年にジョホールFCと名称を変更し、同じジョホール州内でライバル関係にあったPBNJに属するジョホールFAチームとのライバル関係が激化しました。そして2010年にはジョホールFAチームが1部リーグから降格となり、マレーシア最古のカップ戦マレーシアカップで予選落ちする一方で、ジョホールFCが1部リーグで4位となり、マレーシアカップの本選に出場する事態になりました。(このときPNNJの会長が、ジョホールFCを排除するために、マレーシアカップ参加チームを州FAのチームだけとする案をマレーシアサッカー協会FAMに提案し、当然のことながら批判されたのは有名な話です。)

2013年シーズン直前にPBNJの会長に就任したジョホール州スルタン皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は、この状況を憂慮し、ジョホール州のサッカーチームの改革に乗り出しました。具体的には、州内チームの力を統合するためにジョホールFCとジョホールFAチーム以外の州内チームの国内リーグへの参加を禁止したのです。またその際、ジョホールFCをJDT、ジョホールFAチームをジョホール・ユナイテッドと改名しました(ジョホール・ユナイテッドはその後、さらにJDT IIと改名)。また、それぞれビーズ(Bees)、スコーピオンズとしていた愛称をサザンタイガースに統一しました。また、国内の有力選手を集めただけでなく、2008年のスペイン・リーガエスパニョーラ得点王ダニ・グイサ、さらにはセリエAのラツィオからシモーネ・デル・ネロを獲得し、周囲を驚かせました。

それまでの王族支援者から2016年にはJDTのオーナーに就任したトゥンク・イスマイル殿下のもと、その後も有力選手を国内外から集め続けたJDTは、2014年からスーパーリーグ5連覇を果たし、2019年シーズンも優勝の最有力候補です。国内では既に敵無しとなった現在、その実力がACLでどのくらい通用するかが2019年シーズンの注目となりそうです。

トゥンク・イスマイル殿下(JDTのFacebookより)

チーム名  :Johor Darul Ta’zim(JDT)FC(ホームページ
ニックネーム:サザンタイガーズ
ホーム   :タン・スリ・ダト・ハジ・ハサン・ユノス・スタジアム(通称ラーキン・スタジアム、ジョホール州ジョホールバル:30000人収容)
2018年成績:スーパーリーグ1位(19勝1敗2分:勝ち点59)
2019年監督:ルシアーノ・フィゲロア(アルゼンチン)

1月31日のニュース:2019年シーズン開幕前日!どうなってるのKLFA?プレミアリーグはストリーム配信開始

どうなってるのKLFA?
各チームが2019年シーズンに向けて、新ユニフォームの発表や年間パスの告知をはじめていますが、1部スーパーリーグでプレーするクアラルンプールFA(KLFA)はやっと昨日、しかもFacebook上でホーム用だけ公開というなんとも微妙な状況です。自分の地元チームということに加えて、日本人の苅部隆太郎選手が加入したこともあり、2019年シーズンのKLFAにはとても期待しているだけ、出遅れ感が心配です。
 この原因は2018年末から続いてるKLフットボール協会内での権力闘争がだと言われています。2019年から22年までの会長選では、現職の会長が当選しましたが、この結果に不満を持ったKLフットボール協会に加盟する複数の組織が、マレーシア国内のスポーツを監督するスポーツコミッショナー(SC)に不満を訴え、これを受けたSCがKLフットボール協会に対して加盟組織との話し合いを求めていました。
 このとばっちりを受けるのは現場の選手やスタッフです。他のチームがプレシーズンマッチで隣国を訪れている一方、KLFAのプレシーズンマッチは予算不足からKL周辺のみ。観戦に行く身としては便利ではありますが、シーズン前の準備として2部プレミアリーグのチームとのプレシーズンマッチばかりではやはり心もとないです。
 それでも2018年11月と12月の見払い給料が近々払われるという報道(原文はマレー語です)もあり、少しずつは改善してきているのかも知れません。この給料未払い問題のせいで既にシャズワン・アンディックを失ったKLFAですが、明日2月1日にパハンFAを迎えてホームで開幕する2019年シーズン前に選手やスタッフのモチベーションが上がってくれることを祈っています。

KLFAのホーム用ユニフォーム(KLFAのFacebookより)

プレミアリーグはストリーム配信開始
明日2月1日のPDRM(マレーシア警察)対UITM(マラ工科大学)の試合で開幕する2019年シーズンの2部プレミアリーグの試合がストリーム配信されることになりました。
 日本のなでしこリーグやインドネシア、シンガポール、ブータンやマカオなどかなりニッチな各国リーグの試合を配信している、オランダに本社を持つマイクージュー(Mycujoo)が2019年のプレミアリーグの試合のほぼ半数をストリーム配信することになりました。マイクージューに関しては、詳しく書かれたこの記事を読んでいただくと良いのですが、マレーシア国内だけでなく世界中でプレミアリーグの試合が観戦できるようになったことは画期的です。
 マレーシアフットボールリーグMFLのケヴィン・ラマリンガムCEO(FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長の兄です)は、2020年にはプレミアリーグ全試合のストリーム配信を目指すとしており、新たなファン獲得だけでなく、スポンサー開拓などでも有効であるとしています。

1月30日のニュース:裏契約書問題、FAMは助成金交付期限を延長か。

FAMは裏契約書問題撲滅を目指しています。
マレーシアサッカー協会FAMは、「裏契約書」問題を解消しようとしています。「裏契約書」とは、FAMに提出される正規の契約書とは別に、正規の契約書に記載された給料より高額の給料が記載されたもう一枚の契約書で、マレーシアのプロサッカー界には広く蔓延しているとされています。選手側にとっては税金が軽減できるメリット、チーム側にはEPF(従業員積立基金、雇用者が給料の13%、労働者がが11%を強制的にこの基金に積み上げていく公的年金に当たる制度)に支払う費用を軽減できるメリットがあります。FAMが規定する規則には抵触するもののの、「裏契約書」自体は法的には有効とされていますが、結果的には選手側の脱税、クラブ側はEPF回避につながる違法行為でもあります。それでも「裏契約書」は選手とクラブの間で密かに結ばれるものなので公になることはないはずなのですが、問題が発生するのは、ここでも何度か取り上げた給料未払い問題の際になります。
 2018年11月には、FAMが「裏契約書」を正規の契約書として認めないことを公式に発表しました。FAM自体はこれまでも「裏契約書」の有効性を認めていませんでしたが、スポール仲裁裁判所CASに持ち込まれた場合には、その有効性が認められていました。その後、国際サッカー連盟FIFAとの話し合いの結果、マレーシアでの「裏契約書」の有効性が否定されたことから、このような発表になりました。FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドといった選手たちも脱税で摘発されていることを例に挙げ、マレーシアプロサッカー選手協会PFAMにも選手への教育を促すことを求めています。
 この「裏契約書」にサインするのは大半がマレーシア人選手で、外国人選手の方が違法行為と理解して加担しない、とされているのはなんとも皮肉です。

FAMは助成金交付期限を延長か。
FAMのラマリンガム事務局長は、プルリスFAの給料未払い問題は3月までに解消されるべきと発言しました。これまでFAMは、給料未払い問題が2月中旬までに解決されないクラブに対しては、2019年分のFAMからの助成金は交付しないとしていましたので、この発言から助成金交付期限が延長されたのではと憶測が飛び交っています。現時点では、MFLの8チームが給料未払い問題により助成金交付が保留されているとしていますが、その一つであるプレミアリーグのプルリスFAは、交付される助成金を使って未払い給料を完済するとしています。なお、FAMからの助成金は、1部スーパーリーグの各チームには300万リンギ(約8100万円)、2部プレミアリーグの各チームには100万リンギ(約2700万円)が交付されます。

1月29日のニュース:ワン・ザック・ハイカルは復帰まで8ヶ月、MFLは審判もプロ化へ、PKNSの第5の外国人選手はアジアカップ出場選手

ワン・ザック・ハイカルは復帰まで8ヶ月
スランゴールFAのワン・ザック・ハイカルは1月22日のホーム・ユナイテッド(シンガポール)のプレシーズンマッチでケガをしましたが、それが前十字靭帯損傷だと判明し、復帰まで約8ヶ月を要することが判明しました。短い期間でしたが琉球FCでもプレーしたことがあり、2019年シーズンはスランゴールFAでレギュラーポジションが期待されていたワン・ザックについて、昨シーズンはワン・ザックもプレーしたフェルダ・ユナイテッドの監督を務めていた、スレンゴールFAのB・サティアナタン監督は、シャズワン・ザイノンやヌリズアン・アブ・ハサンをワン・ザックの代わりにウイングのポジションで起用するとしています。昨日1月28日が誕生日だったワン・ザック選手にとっては残念な誕生日になってしまいましたが、早く回復してくれると良いですね。

スランゴールFAのFacebookより

MFLは審判もプロ化へ
2019年シーズンにはマレーシアフットボールリーグMFLでプロの審判が登場しそうです。審判技術の向上を目指して、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシアフットボールリーグMFLは、イギリスプレミアリーグなどプロリーグが資金を提供し、プロ審判養成を目的に組織されたプロフェッショナル審判社(PGMOL)の協力を得て、マレーシアでもプロ審判の養成を始めます。審判の養成だけでなく、評価なども行うプロフェッショナル審判マレーシア(PMOM)という団体をFAMとMFLが共同で設立することになり、現在は責任者の人選を行っている最中とのことです。また、今年7月までの国内リーグで各審判の活動を精査し、PMOMの第一期生となる、プロ契約をオファーするのに適した人材がいるかどうかを検討する予定です。

PKNS FCの第5の外国人選手はアジアカップ出場選手
マレーシアフットボールリーグMFLでは、各チームとも5人の外国人を登録することができますが、その内1名はアセアンサッカー連盟AFF加盟国枠、もう1名はアジアサッカー連盟AFC加盟国枠という条件がついています。2019年シーズンに向けて、PKNS FCは昨シーズンからプレーするコロンビア人MFのロメル・モラレスに加え、昨シーズンは2部プレミアリーグのMIFA(現PJシティFC)でプレーしたリベリア人FWクパー・シャーマン、元JDTのアルゼンチン人FWガブリエル・ゲラ、そしてカンボジア人MFチャン・ワタナカと外国人選手は4人が確定していましたが、5番目の外国人として、現在、進行中のアジアカップではベスト16でUAEに延長の末敗れたキルギスタンのDFタミルラン・コズバエフと契約したと発表しました。アジアカップでも予選リーグ3試合とベスト16のUAE戦全てにプレーしたコズバエフ選手は、ウズベキスタンやインドネシアからもオファーがあったが、マレーシア代表と過去2度の対戦で好印象を持ったことからPKNS FCのオファーを受けたとしています。

PKNS FCのFacebookより