7月2日のニュース:身体接触を含む練習許可などスポーツ関連閣議をマレーシア政府が来週開催、給料未払い問題の解決期限を過ぎたクラブの状況、アジアカップ2027年大会に5カ国が開催国に立候補

身体接触を含む練習許可などスポーツ関連閣議をマレーシア政府が来週開催
 マレー語紙ブリタハリアンによると、3月半ばから中断中のMリーグはリーグ再開に向けて着実に近づいているようです。
 国内のスポーツを統括する青年スポーツ省は7月9日に開かれるマレーシア政府内の活動制限令関連閣議の席上でMリーグ各クラブの身体接触を含む練習の許可申請が話し合われるということです。
 このことを明らかにしたリーザル・メリカン・ナイナ・メリカン青年スポーツ相は、申請についてはあくまでも議題に上がることが決まっているだけで、国家安全保障委員会と保健省による承認が必要であるとする一方で、身体接触を含む練習許可申請が認められれば、サッカーだけでなく、他のスポーツにとっても試合や大会などの開催実現に近づくことになると話しています。
 現在、マレーシア国内では、身体接触を含まないバドミントンや陸上競技などの練習は許可されている一方で、サッカーやラクビー、ホッケーなど身体接触を含むスポーツや格闘技系競技については、身体接触を含まない練習のみが許可されています。

給料未払い問題の解決期限を過ぎたクラブの状況
 6月30日はマレーシアサッカー協会FAMが給料未払い問題を抱えるクラブに対して問題解決の期限としていた日でした。ここでいう問題解決とは、未払い給料を完済する以外に、一括で未払い給料の支払いができない場合にはその方法や支払い期限などについて該当する選手や監督、コーチとの間で合意を得ることも含まれています。
 ブリタハリアンは、かつてはケランタンFAの主将で現在はMリーグ2部ケランタン・ユナイテッドFCでプレーするピヤことモハマド・バダリ・ラジにインタビューを行なっています。このバダリ選手はケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAから支払われるべき未払い給料が25万リンギ(およそ626万円)以上あることを公言していますが、ブリタハリアンとのインタビューでは、「KAFAからは今年3月以降全く支払いを受け取っていない。KAFAが自分を含めたかつての選手たちに未払い給料を支払わないことにより、ケランタンFAが勝点剥奪などの処分を受けるのは残念だが、KAFAはFAMとの取り決めを守れなかった結果なので受け入れるしかないだろう。」と話しています。
 勝点剥奪など最終的な判断はFAMのクラブライセンス交付第一審期間FIBによって決定されますが、FIBの監視リストにはKAFAの他、いずれも同様の理由から既に勝点3を剥奪されているPDRM FCを運営するマレーシア王立警察サッカー協会PDRM FAとマラッカ・ユナイテッドを運営するマラッカ州サッカー協会MUSAも含まれています。PDRM FAについては、未払い給料は既に完済済みとされていますが、MUSAについては特に報道もなく、もし、FIBによる処分が下される場合には今季2度目の勝点剥奪となり、勝点6が剥奪される可能性もあります。

アジアカップ2027年大会に5カ国が開催国に立候補
 アジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ2027年大会の開催地の立候補締め切り日は6月30日でしたが、この期限までにインド、イラン、カタール、サウジアラビア、ウズベキスタンの5カ国が名乗りをあげていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 AFCのシャイク・サルマン・エブラヒム・アル・カリファ会長は、「アジアのトップチームを決める大会に開催地として立候補している5カ国を歓迎する。アラブ首長国連邦UAEで開催した2019年大会では大会出場国数を16から24に拡大し、大成功を収めた。中国で開催予定の2023年大会も我々の期待を超えるものになるだろう。」と述べています。
 1956年に第1回大会が開催されたAFC選手権ですが、今回立候補した5カ国の内、現在のタイトルホルダーであるカタールは1988年と2011年に、またイランは1968年と1976年に主催地としてAFC選手権を開催しています。

7月1日のニュース:期待の若手の去就に注目が集まる、選手会会長もサラリーキャップ制度には反対、新型コロナ蔓延の母国ブラジルを憂う外国籍選手

期待の若手の去就に注目が集まる
 18歳ながら現在、マレーシアでも最も期待されているサッカー選手の1人であるルクマン・ハキム・シャムスディンの去就に注目が集まっていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 ベルギー1部リーグのKVコルトレイクと5年契約を結んでいるルクマン選手ですが、ブルナマによれば、10月に開催されるアジアサッカー連盟AFC U19選手権に出場する代表チームへの選出が確実なルクマン選手には、現在、U19選手権前にKVコルトレイクに合流するか、あるいは大会後のトランスファーウィンドウ期間に合流するかの二つの選択肢があるということです。
 前者を選択した場合でもKVコルトレイクのオーナーがマレーシア人富豪のヴィンセント・タン氏であることから代表への合流には支障がないということですが、後者を選択した場合、U19選手権大会まではMリーグのスランゴール2に所属して、代表候補合宿への参加や、再開が予定されているMリーグの試合に出場することになるということです。
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 別のメディアでは、ルクマン選手自身はヨーロッパでの生活に慣れるためにできるだけ早く現地へ赴くべきと考えている、としている記事もあります。なおKVコルトレイクが所属するベルギー1部リーグの2020/2021シーズンは8月初旬に開幕するということです。

選手会会長もサラリーキャップ制度には反対
 マレーシアサッカー協会FAMのハミディン会長がサラリーキャップ制度については否定的な意見を持っている、という記事を先日取り上げましたが、マレーシアプロサッカー選手会PFAMも同様の意見のようです。
 マレー語紙ブリタハリアン電子版によると、PFAMのサフィ・サリー会長は選手にはクラブが支払うことができるだけの給料を受け取る権利があるとして、サラリーキャップ制度には反対しているということです。
 給料には選手間の健全な競争を促す面もあり、それは代表チームに強化に至る望ましい影響を与えるものであると話しています。
 自身もPJシティFCの選手であるサフィ会長は「プロ選手としての観点からPFAMに所属するMリーグの選手はサラリーキャップ制度に反対であり、選手たちは自らのパフォーマンスに対して相応の給料を受け取る権利を有している。もしサラリーキャップ制度が導入されれば、選手たちは受け取れる給料の限度を考えて、より良いパフォーマンスを見せようと努力しなくなる可能性がある。」と話しています。
 さらにこのサラリーキャップ制度に関する議論の発端となっている、Mリーグの複数のクラブが抱える給料未払い問題については、各クラブの経営に問題があるとして、サラリーキャップ制度は給料未払い問題の根本的な解決策とはならないと話しています。

新型コロナ蔓延の母国ブラジルを憂う外国籍選手
 新型コロナウィルス感染者数が米国について世界2位のブラジルでは、昨日6月30日付のフランスの通信社AFPの報道によると感染者数が134万人以上、亡くなられた方も5万6000人を超えるなど大変な状況になっています。
 Mリーグにもブラジル出身の外国籍選手は数名いますが、Mリーグ1部スランゴールFCのサンドロ・ダ・シルバもその1人ですが、今回の新型コロナウィルスの猛威により親族や友人を亡くしているとブリタハリアンが報じています。
 「ブラジルの状況は日に日に悪化しており、年老いた両親のことが特に心配である。家族とは連絡を取り合ってはいるものの、祈ることしかできていない。しかも現在の政情不安も心配の要因である。親族では叔父が、また子供の頃に一緒にサッカーをした親友の内の数名が今回の新型コロナウィルスのせいで亡くなっており、別れをいう機会すらなかった。」と話すサンドロ選手は、悲しむだけでなく、今、できることをして自分にとって大切な人たちを守ることも重要であると話しています。

6月30日のニュース:FAMは8月半ばのリーグ再開案を目指し身体接触を含めた練習許可を申請へ、Mリーグ3部と4部は来季からFAMが運営、AFCU19選手権出場の代表に新戦力参加か

FAMは8月半ばのリーグ再開案を目指し身体接触を含めた練習許可を申請へ
 マレーシアサッカー協会FAMは8月半ばのリーグ再開を目指して、身体接触を含む練習の許可申請を青年スポーツ省に行う予定であると、英字紙ニューストレイトタイムズNST電子版が報じています。
 FAMのハミディン・アミン会長がNSTとのインタビューで、7月半ばからの身体接触を含む練習再開許可を青年スポーツ省に対して近々、申請すると話しています。
 Mリーグ1部および2部のクラブの多くが先週から、社会的距離を維持した上で、少人数ごとに行う身体接触を含まない第一段階練習を再開しています。また青年スポーツ省は2021年の東京オリンピック出場を目指す他の競技の選手たちに対しては、標準作業手順SOPを遵守した上での通常練習を6月28日から許可したこともあり、FAMも身体接触を含み、より実践的な練習が可能になる第二段階練習の実施に向けて動き出すことにしたということです。
 「Mリーグの各クラブは身体接触を含まない第一段階練習を始めており、今後の数週間で問題が起こらなければ、7月第2週あるいは第3週からの身体接触を含む練習の許可を青年スポーツ省に申請する予定である。こちらの希望通りに許可が出れば、身体接触を含めた練習だけでなく練習試合も可能となり、そこから1ヶ月程度で実戦感を取り戻した上で8月半ばのリーグ再開を目指したい。当初予定していた9月1日よりもリーグ再開が早まれば、試合日程に余裕が出るだけでなく、10月からFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選が再開する代表チーム参加選手の負担も少なくなる。」と話すハミディン会長ですが、複数の監督が希望しているサポーターのスタジアム観戦の許可については、リーグ再開が最優先であり、スタジアムへの入場許可はリーグ再開が実現した後に検討するとしています。

Mリーグ3部と4部は来季からFAMが運営
 国内リーグMリーグの3部にあたるM3リーグと同4部のM4リーグが来季2021年シーズンよりマレーシアサッカー協会FAMの主催によって行われる予定であると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 現在のM3リーグとM4リーグは、Mリーグ1部スーパーリーグと2部プレミアリーグを主催するマレーシアフットボールリーグMFL傘下のアマチュアフットボールリーグAFLが主催しています。
 これを発表したAFLのチェアマンでもあるFAMのユソフ・マハディ副会長は、MFLは1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグ、FAカップ、マレーシアカップといったプロリーグの運営に注力し、セミプロリーグのM3リーグとアマチュアリーグのM4リーグはFAMが運営するという構造にすることが目的であるということで、MFLは既にこれを了承しており、今後開催されるFAMの執行委員会による承認を経て、正式決定するということです。
 M3リーグはかつてはFAMカップという名称で、FAMが運営していた時期もあるため、ユソフ副会長はM3リーグをFAMが再び主催することには問題はないと考えていると話しています。

AFCU19選手権出場の代表に新戦力参加か
 マレー語紙ブリタハリアン電子版は、英国プレミアリーグのブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFC(BAHAFC)のU19チームに所属するジャミ・クレシュのU19代表参加が可能になったと報じています。
 現在17歳のクレシュ選手は英国生まれながら母親がマレーシア人であることから、マレーシア代表としてのプレーが可能です。父親でイラク出身のペルヴィズ・クレシュ氏はブリタハリアンによるソーシャルメディアを通じてのインタビューに対し、クレシュ選手が10月に開催されるAFC U19選手権に出場するマレーシアU19代表に正式に招集されることがあれば、所属クラブのBAHFCは代表参加を許可する用意があると答えています。
 またU19代表のチームマネージャーを務めるカマルル・アリフィン・モハマド・シャハル氏も、クレシュ選手をU19代表に招集したいとも話しています。
 さらにアリフィン氏は、アメリカ生まれのワン・クズリ・ワン・カマルの招集も決定しており、マレーシアサッカー協会FAMがその手配を行っている最中であることも明かしています。

6月29日のニュース:スランゴールFC監督は数週間以内に接触プレーを含む練習許可が出ることを期待、FAMはサラリーキャップ制度導入に否定的、ケランタン州FAは会長と会長補佐の「休職」を発表

スランゴールFC監督は数週間以内に接触プレーを含む練習許可が出ることを期待
 現在中断中のMリーグが再開される際は無観客試合となることはリーグ主催者のマレーシアフットボールリーグMFLによって発表されていますが、先日、人数制限をした上で、観客を入れることを提案したスランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督は、身体接触を禁じることを条件に6月15日から許可されているMリーグ各クラブの第一段階練習について、数週間後には身体接触が可能となる第二段階練習へ移れるのではないかという期待を述べていルト、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 「ここ数日間で標準作業手順SOPを守り、身体接触を含まない練習を行うことが可能であることが実証できた。このまま全てのMリーグクラブがSOPを守って練習を続ければ、2、3週間後には身体接触を含む練習も可能になるのではないかと期待している。そうすれば、現在の持久力アップのための練習から実践的な練習が可能になる。」とサティアナタン監督は話しています。

FAMはサラリーキャップ制度導入に否定的
 マレーシアサッカー協会FAMのハミディン・モハマド・アミン会長は、各方面から提案されているサラリーキャップ制度の導入について、否定的であるという見解を明らかにしています。
 マレー語紙ブリタハリアン電子版によると、このサラリーキャップ制度の導入についてはこれまでもFAM内で議論されていたということですが、Mリーグがプロリーグであるという見地からその導入には否定的だということです。
 Mリーグクラブを運営する各州FAなどの運営組織が組織内で規定することには反対しないと述べるハミディン会長は、各クラブが予算の範囲内で選手に給料を支払い、クラブを運営することが重要であると述べ、それができないクラブは経営困難に陥ると述べています。
 「MFLは既に経済コントロールプログラムECPを今季から導入しており、来季にはこのECPが完全実施される予定である。Mリーグ各クラブはこのECPを理解し、従う必要がある。」とハミディン会長は述べています。
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 このブログでも繰り返し取り上げていますが、Mリーグでは複数のクラブが給料未払い問題を抱え、それも今季以前から続いているものもあります。またMリーグでは2部や3部のクラブが給料未払いでリーグから除名処分を受けたり、自ら解散を選ぶなどして、結局、選手は1円も受け取れないという事態も過去には起こっています。
 今季の開幕は例年より数週間遅れたのですが、その理由は今季から導入されるECPを各クラブに周知するためであると発表されていましたが、今季の給料未払い問題を見る限りでは、その効果は来季に完全実施となっても、今季開幕後に給料未払い問題が次々と発覚して露呈したMFLの審査能力の低さからあまり期待できそうもありません。
 サラリーキャップ制度は、資金力に余裕のあるジョホール・ダルル・タジムJDTは絶対に反対するでしょうが、解決策がない給料未払い問題解消のために、数年程度に限定してサラリーキャップ制度をMリーグに導入するのは個人的にはアリだと思います。

ケランタン州FAは会長と会長補佐の「休職」を発表
 給料未払い問題で揺れるケランタン州サッカー協会KAFAは、アブドル・ラヒム・ワン・アブドラ会長とアファンディ・ハムザ会長補佐の「休職」とシャアリ・マット・フシンKAFA上級職員の暫定会長代行就任を発表しています。
 ブリタハリアンによると、シャアリ会長代行の任期は決まっていないということですが、未払い給料を含めたKAFAの負債総額690万リンギ(およそ1億7200万円)のうち、既に240万リンギ(およそ5990万円)はシャアリ会長代行率いる新執行部が資金調達済みということです。
 国家安全保障委員会からKAFAが運営するケランタンFAに練習再開許が出流のを待っているというシャアリ会長代行は、2006年からKAFAの職員を務めている経験を生かして、リーグ再開に向けてチームを政権に望みたいと話しているということです。
*7/2にアファンディ・ハムザ氏の肩書きを「副会長」から「会長補佐」に訂正しました。

6月27日のニュース:Mリーグ16クラブに練習再開許可、FAMはプロ契約を逃したエリートアカデミー出身者に大学進学の道を模索、クダFAのアズミール・ユソフが退団を発表、Mリーグクラブの監督が相次いで観客を入れての試合を要望

Mリーグ16クラブに練習再開許可
 マレーシアの通信社ブルナマは、国内リーグのMリーグを主催するマレーシアフットボールリーグMFLが、1部スーパーリーグと2部プレミアリーグのそれぞれ8クラブに第一段階の練習再開許可を与えたことを報じています。
 この16クラブは、綿棒テストの結果や消毒済みの練習場の登録、フィールド上での身体接触プレーの禁止が守れられているかなどを監視する責任者の任命などMFLが設けた練習再開基準を満たした上で、必要書類を全て提出したクラブだということです。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは「(身体接触プレーが禁じられている)第一段階の練習は、(身体接触プレーが可能になる)第二段階の練習へと進めるかどうかの重要な基準となる。各クラブが練習中も社会的距離(ソーシャルディスタンス)として3mから5mを維持するなど標準作業手順SOPを守っているかを注視したい。Mリーグの全クラブからの協力が得られれば、第二段階の練習への移行も予定より早まる可能性がある。」と述べています。
 なお練習再開許可が出ているMリーグ1部のクラブは、UITM FC、スランゴールFC、ジョホール・ダルル・タジムJDT、トレンガヌFC、ペラTBG、マラッカ・ユナイテッド、フェルダ・ユナイテッドFC、クダFAの8クラブ、Mリーグ2部はヌグリスンビランFA、スランゴール2、JDT II、トレンガヌFC II、ペナンFA、クチン FA、ペラIIとクアラルンプールFAの8クラブです。

FAMはプロ契約を逃したエリートアカデミー出身者に大学進学の道を模索
 マレーシアサッカー協会FAMは、教育省とともに運営するプロサッカー選手養成のエリートアカデミーであるモクタル・ダハリ・アカデミーAMDの卒業生に大学進学の道を開こうとしていると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 18歳までの選手を対象としているAMDから1年間に40から50人の選手が卒業しますが、その全員がMリーグクラブと契約できるわけではないことから、プロ契約を逃した卒業生が大学など高等教育機関へ進学して、スポーツ科学などの勉強を続けることができるよう、高等教育省が設けているスポーツ選手優遇プログラムを通じての進学が可能になるようにしたいと、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長が高等教育省のスポーツ部門のトップを務めるペカン・ラムリ氏との会談の席上で述べています。
 「このルートでの進学が可能になれば、進学先大学のサッカー部でのプレーも可能になり、その後のMリーグクラブ入団などにもつながる可能性もある。この実現に向けて、FAMと高等教育省との間で戦術機協力関係を築くために、近々両者の間で了解覚書MOUを交わす予定もある。」とスチュアート事務局長は述べています。

クダFAのアズミール・ユソフが退団を発表
 クダFAの選手が自ら契約解除を申し出ているという話はここでも取り上げましたが、これまで名前が明かされていなかったこの選手がアズミール・ユソフであることがわかりました。
 アズミール選手が自身のインスタグラムで明らかにしたもので、これまでの報道通り、クダFAを揺らしている給料未払い問題とは無関係で、自らが行っている仕事に専念したいことが理由であるとしています。
 2016年の1シーズンを過ごした後、昨季2019年にクダFAに復帰していたアズミール選手は退団後は、自身が関わっているというクダ州のイスラム教義に基づいた宗教学校の建設に関わっていくとしています。

Mリーグクラブの監督が相次いで観客を入れての試合を要望
 Mリーグ2部クアラルンプールFAのニザム・アズハ・ユソフ監督は、Mリーグ再開時には観客を入れての試合開催を提案していると、マレー語紙ハリアンメトロが報じています。
 マレーシアでは新型コロナウィルス感染拡大を防ぐため営業が禁止されていた映画館や劇場が7月1日から営業再開となりますが、これを例に挙げたニザム監督は、人数を制限し、人が集まる映画館やモスクなど宗教施設などと同様の標準作業手順SOPを守った上での観戦なら可能なのではないかと述べています。
 「従来は5000人収容の施設なら、入場者を1000人に制限するなどすれば、感染も可能なのではないか。サポーターの存在は選手の力を引き出す源になる。」とニザム監督は話しています。
 またMリーグ1部スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督もサポーターのSOP遵守を信用して、観戦許可をでしても良いのではないかと述べています。
 8万人収容可能なスランゴールFCのホーム、シャーアラムスタジアムでは社会的距離(ソーシャルディスタンス)の確保も可能だと話すサティアナタン監督は、マレーシア政府が発表している感染者数が減少していることもあり、マレーシア政府が観戦許可を出すことを期待していると話しています。
 「サポーターの存在はサッカーの試合では不可欠である。リーグ再開当初は人数制限が必要だとは思うが、たとえ少人数であっても感染の許可が出ることを望んでいる。」とサティアナタン監督は話しています。

6月26日のニュース:クダFA監督はチームへの早期合流を希望、トレンガヌFC監督は8月リーグ再開となった場合の準備不足を懸念、一方マラッカU監督は8月再開に不安なし、スランゴールFCは今季中にBチームから選手の昇格を検討

クダFA監督はチームへの早期合流を希望
 新型コロナウィルス感染者の入国による輸入感染を防ぐため、マレーシア政府は外国人の入国を制限しています。Mリーグ1部クダFAのアイディル・シャリン・サハク監督は、新型コロナウィルス感染拡大に伴ってMリーグが中断した3月以降、自宅のあるシンガポールに戻っていますが、この入国規制により、Mリーグクラブの練習再開が許可された後もマレーシアへ入国できない状況が続いています。
 英字紙ニューストレイトタイムズによれば、現在、アイディル監督は、クダ州サッカー協会KFAを通じてマレーシア入国管理局へ入国申請を行なっているということです。
 「既に(クダ州の州都)アロースターへ移動できるよう荷物も用意してあり、あとは許可が出るの待っている状態である。」と話すアイディル監督は、チームとは3ヶ月以上も離れており、指導者となってからこんなに長く「休んだ」ことはないということで、アロースターに戻ったら直ちに選手のコンディショニング改善に取り組みたいと話しています。
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 最近のメディアの論調では、当初予定されていた9月ではなく8月からMリーグが再開するのでは、といった報道を見かけるようになってきました。もしそうなれば、来月7月からは身体接触が許可される通常練習が始まることになるので、それまでには実戦練習ができるコンディションまで上げておかなければなりません。
 個人的には今季イチオシだったクダFAは、開幕からの4試合で勝点4の7位と不調のままリーグ中断となっており、再開後はわずか7試合しか残り試合がないため、上位進出には文字通り1試合も落とせない状況ですので、チームに合流できないアイディル監督もやきもきしているのではないでしょうか。
 また入国制限についてマレーシアはシンガポールからの入国に特に制限を設けない予定ですが、シンガポールが段階を踏んだ上での国境再開を主張しており、アイディル監督のマレーシア入国にはまだ時間がかかる可能性もあります。

トレンガヌFC監督は8月リーグ再開となった場合の準備不足を懸念
 Mリーグ1部のトレンガヌFCのナフジ・ザイン監督は、Mリーグ再開が予定されている9月ではなく8月に前倒しになった場合、選手たちが試合で全力を出せるコンディショニングまで仕上げる時間が不足していると話していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 なお、トレンガヌFCはPJシティFC主催試合の第4節が延期となっているため、PJシティFCとともに、今季の残り試合数は他のクラブより1試合多い8試合となっています。
 「8月にMリーグが再開されれば、6週間から7週間で選手のコンディションを試合レベルまで仕上げなければならないが、(身体接触が許されていない)現在の練習ではそれは非常に難しい。しかし、プロの指導者としては何とかしてチームがリーグ日程に対応させるつもりである。」と話すナフジ監督は、再開後に予定されている無観客試合について尋ねられると、選手にとってはどの試合も全て勝ちにくという姿勢は変わらないだろうと話しています。
 トレンガヌFCはMリーグ中断までの3試合で1勝1分1敗で9位につけています。

一方マラッカU監督は8月再開に不安なし
 Mリーグ1部マラッカ・ユナイテッドのザイナル・アビディン・ハサン監督は、リーグ再開が8月に前倒しになった場合でも、選手のコンディションには全く不安がないとブルナマに語っています。
 「リーグ再開が8月になったとしても、準備期間は十分あるので心配はしていない。リーグ再開自体がありがたいことだが、8月再開となれば、(9月最下位の場合に比べると)日程に余裕ができるので、チームとしてはむしろありがたい。」と話すザイナル監督は、現在の練習について標準作業手順SOPに従って、選手を10人ごとに3つのグループに分けて行なっていることから、「ニューノーマル」の練習では戦術理解が必要となる練習を行うことが最も難しくなっていると話しています。

スランゴールFCは今季中にBチームから選手の昇格を検討
 Mリーグ2部スランゴール2は同1部スランゴールFCのBチームですが、スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督は、このスランゴール2からの選手数名について、今季中に1部でプレーする機会がを与える意向を明らかにしています。
 自身は選手の年齢を気にしないと話すサティアナタン監督ですが、選手はまず首脳陣の信用を得て、自分で出場機会を掴み取らなければならないと話しています。
 U19代表の主将を務めるムハマド・ムカイリ・アジマル・マハディらに注目していると話すサティアナタン監督は「これまで(U19やU22代表で)何をしてきたかではなく、今、彼らに何ができるかを見て判断したい。現在は(スランゴール2)のマイケル・ファイヒテンバイナー監督からの報告を待っており、それを参考にしてスランゴール2から5人程度を選びたい。」と話しています。
 またその際に昇格させる条件としては、スランゴール2で際立ったプレーを見せることを挙げており、昇格後は同じポジションの外国籍選手と競わせて、どのくらいの差が出るかを見たいと話しています。
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 リーグ中断前は首位のJDTに勝点5差の5位のスランゴールFCに、AFCカップ出場権となる2位以内を目指しながら新戦力を試す余裕があるかどうかはわかりませんが、そこは百戦錬磨のサティアナタン監督の手腕に期待してみたいところです。

— BERNAMA

6月24日のニュース:Mリーグクラブは完全隔離型練習実施に否定的、カロンダの代表入り議論は時期尚早、ハディ・ファイヤッドが岡山の観光大使に就任

Mリーグクラブは完全隔離型練習実施に否定的
 新型コロナウィルス観戦拡大を防ぐためチーム練習が禁じられていたMリーグの各クラブは、マレーシア政府保健省と国家安全保障委員会の許可により、先週から練習を始めていますが、練習再開にあたり標準作業手順SOPの遵守が条件となっています。
 このSOPでは、選手、監督、コーチらが綿棒検査を受けて陰性であることが証明されることや、身体接触を防ぐために練習中に選手同士が一定の距離を保っているかどうかを監視する担当者の任命、また不特定多数との接触を避けるために開かれたグラウンドではなくスタジアムでの練習を行うことなど様々な条件が課せれています。
 そしてこの次の段階として、選手を一か所に集めた完全隔離型の練習が提案されていますが、Mリーグの各クラブの中にはこの完全隔離型練習について、費用がかかる上に現実的でないと考えているクラブが複数あると英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 Mリーグ1部のスランゴールFCと2部のスランゴール2を運営するスランゴール州サッカー協会FASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、3ヶ月間の自宅トレーニングからの体力増強が中心となる現状では、非接触型の現在の練習で十分であるとし、完全隔離型の練習では選手の移動や宿泊など様々な手配が必要になることから対費用効果を考えると現実的でないと話しています。
 またPDRM FCのイシャク・クンジュ監督も費用面が問題になるとし、他のクラブも完全隔離型の練習を選ばないのではないかと話し、現時点では屋外での練習の感覚を取り戻すことを優先しているとし、通常練習はまだ先で良いとしています。

カロンダの代表入り議論は時期尚早
 同じ英字紙ニューストレイトタイムズ電子版は、ソーシャルメディア上で話題になっている帰化選手候補について、現時点ではマレーシア国政取得が可能かどうかが不明であると話しています。
 マレーシアで「帰化選手」という場合、マレーシア国外で生まれてマレーシア国籍を持たなかったものの、父母や祖父母にマレーシア人がいることから国籍取得が可能となったブレンダン・ガン(スランゴールFC)やマシュー・デイヴィーズ、ラヴェル・コービン=オング(いずれもJDT)のようなHeritage Playerと、マレーシアでの継続居住歴5年以上というFIFAの規定を満たした結果、帰化資格を得て国籍取得に至ったNaturalized Playerがいます。なおこのNaturalized Playerは現在、ガンビア出身のモハマドゥ・スマレ(パハンFA)とコソボ出身のリリドン・クラスニキ(JDT)の2人がおり、ブラジル出身ので、だけです.
 近年のマレーシア代表は帰化選手の代表チーム加入によって強化されており、もっと最近の国際試合となるFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選(2019年11月19日対インドネシア戦)では、上記のブレンダン・ガン、ラヴェル・コービン=オング、モハマドゥ・スマレの3選手が先発するなど、チームにとっては欠かせない存在になっています。そして、そういった帰化選手の活躍が、世界各国でプレーするHeritage Playerの資格がある選手がマレーシア代表に興味を示しているとされています。
 そう言った選手のうち、ここ数ヶ月、ソーシャルメディアで話題になっているのがマルセル・カロンダです。
 コンゴ生まれで22歳のカロンダ選手は現在、ザンビア1部リーグのゼスコ・ユナイテッドでディフェンダーとしてプレーしていますが、自身の祖父が東マレーシアのサバ州出身のマレーシア人であると主張しており、代表入りに興味を示しています。
 このカロンダ選手について、マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、FAMは現在、カロンダ選手から先週届いたという書類を精査中で、代表入り資格云々のコメントはできないとしています。
 「資格審査は現在はまだ初期段階であり、さらに必要な書類が必要になることもある。そう言った書類が全て揃うまでは何も決定することはできない。」とスチュアート事務局長は話しています。

ハディ・ファイヤッドが岡山の観光大使に就任
 J2のファジアーノ岡山の公式サイトでは、マレーシア出身のハディ・ファイヤッドが「 岡山型ヘルスツーリズム連携協議会アンバサダー」に就任したことを発表しています。
 昨年から岡山に所属する20歳のハディ選手は、「マレーシアからの観光誘客を目的としたプロモーションにファジアーノ岡山とともに協力することとなった」ということ、岡山の観光PRのために動画出演なども行い、マレーシアに向けて岡山の魅力を伝えるだけでなく、ムスリム(イスラム教徒)でも安心して旅行ができる受け入れ環境なども紹介していくということです。
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 観光大使就任が発表される数日前に行われた広島とのトレーニングマッチではゴールを決めるなど、2年目を迎えて飛躍が期待されるハディ選手。将来の代表のエースを目指し、厳しい環境の中で逞しく育ち、国外へチャレンジせず満足している国内組の度肝を抜いて欲しいです。
(写真はファジアーノ岡山の公式サイトより)

6月22日のニュース:PJシティFCは練習場がなく練習再開できず、練習再開許可後もあえて練習を始めないクラブの現状

PJシティFCは練習場がなく練習再開できず
 Mリーグ各クラブは身体接触を伴わない練習再開に向けて、準備を始めていますが、Mリーグ1部のPJシティFCは、選手の準備はできているものの、練習場がないという事態になっていると、英字紙スター電子版が報じています。
 PJシティFCのホームは、スランゴール州プタリンジャヤにあるMBPJスタジアムですが、今年2月の今季開幕前に終了予定だった改修工事は終了したもののMリーグを主催するマレーシアフットボールリーグMFLによる施設検査が終わっていないことから使用できず、また、練習場として使っていたマラヤ大学構内のフィールドも使えなくなっているということです。なおマレーシア政府は新型コロナウィルス感染拡大防止のため、国内の全ての大学に対して年内はキャンパスでの講義を禁止し、オンライン授業に切り替えるよう命じており、これにより大学構内のすべての施設も使用できなくなっているということです。
 また、Mリーグのクラブは関係者以外との接触を避けるため、開かれたグラウンドでの練習を禁止していることから、現在、PJシティFCは、同じスランゴール州内で使用可能なスタジアムを探しているということです。
 PJシティFCのデヴァン・クッパサミー監督は、クラブは先週には綿棒検査を終え、全員が陰性であったことから、選手は練習再開に向けて準備ができていると話し、本日6月22日からの練習再開を望んでいると話しています。
 綿棒検査の際に選手たちと久しぶりに会ったと話すデヴァン監督は、各選手とも体重管理がしっかりできていたとして、練習再開後は、まず身体接触の必要がない体力トレーニング中心の練習から始める予定であるとしています。
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 新型コロナウィルスによる3月18日から中断したMリーグは、第4節まで終了していますが、その第4節にはトレンガヌFCをホームで迎え撃つ予定だったPJシティFCは、その時はまだ改修が終了していなかったMBPJスタジアムが使用できなかったことから、「試合会場の用意ができない」という理由でMリーグ公式戦を延期するという前代未聞の事態を引き起こしています。

練習再開許可後もあえて練習を始めないクラブの現状
 マレーシア政府保健省、青年スポーツ省、そして国家安全保障委員会かによる協議を経て、身体接触を含まない練習許可が出されたMリーグの各クラブについて、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版は、直ちに練習を始めないクラブの姿勢を疑問視し、さらに今季リーグの中止を提案する長文の記事を掲載しています。
 練習許可が出て以来、Mリーグ1部と2部合わせて24クラブのうち、MFLに対して練習を再開申請を行ったのはこれまで7クラブにとどまっており、そのうちジョホール・ダルル・タジムJDT、スランゴールFCとそのBチームスランゴール2、UITM FC、そしてヌグリ・スンビランFAの5クラブが実際に練習再開を許可されています。申請を行ったクラブではトレンガヌFCとトレンガヌFC IIは練習再開の条件となっている標準作業手順SOPに沿った準備ができていないとして、練習再開申請はMFLによって却下されたということです。
 また残る17クラブが練習を直ちに再開しない理由についてニューストレイトタイムズは、リーグ中断による収入源を理由に給料未払い問題が起こっている複数のクラブでは、選手や監督、コーチが練習再開へのモチベーションを欠いているのではないかと分析しています。
 MFLが求めている標準作業手順SOPに沿った練習再開申請では、各クラブに綿棒検査の結果提出が求められており、検査だけで1クラブ(選手30名、監督、コーチ5名)あたり9000リンギ(およそ22万5000円)から1万3000リンギ(およそ32万6000円)ほどの費用がかかります。また、開かれたグラウンドでの練習は禁じられていることから、スタジアムを使用する際のの使用料やその消毒費用など多くの経費がかかり、収入源に苦しむクラブには練習再開までの費用が負担になっている可能性も指摘しています。
 さらに選手あたり5000リンギ(およそ12万5000円)の給料が未払いになっているクラブにとって、SOPに従った練習実施にかかる費用の負担が大きいことから、ニューストレイトタイムズは、身体接触を含めた練習が可能になるまでは、選手に自宅でのトレーニングを求めるクラブが出てくるのではないかと予測し、Mリーグ各クラブの経営基盤の脆さを指摘しています。
 またMFLに対しては、今年から導入されたクラブの経営状況を審査する経営コントロールプログラムの審査を通ったクラブで未払い給料が発生していることから、プログラム自体が機能していないのではないかと指摘し、より厳格な適用を求めています。
 その上で、今季に関しては持続可能な経営状況にないクラブが多い点を指摘し、リーグ中止も一つの選択肢ではないかと提案しています。

6月21日のニュース:U19代表はAFC選手権前に国外遠征実施か、今年のスズキカップは前回同様のホームアンドアウェイ形式で開催、UAEの国内リーグの今季中止が決定

U19代表はAFC選手権前に国外遠征実施か
 マレーシアの通信社ブルナマは10月にウズベキスタンで開催されるアジアサッカー連盟AFC U19選手権に出場するマレーシアU19代表が、大会前に国外での練習試合を行う可能性を報じています。トルコでの4カ国対抗大会に出場する可能性を報じています。
 チームマネージャーのカマルル・アルフィン・モハマド氏はトルコのアンタルヤで開催される4カ国対抗大会への招待を受けていることを明かしています。ただし現在はマレーシア人の海外渡航が原則として禁じられていることから、出場するか否か、また国外遠征が可能かどうか関して国家安全保障委員会に意見を求めているとしています。
 カマルル・アルフィン チームマネージャーは「10月2日から9日の予定で開催されるトルコでの大会については、参加が確定しているわけではなく、現在も議論が続いており、国外の大会に参加が可能かどうかについて国家安全保障委員会の意見を待っているところである。」「すべてのサッカー活動は国家安全保障委員会の標準作業手順SOPに沿って行う必要があり、何も確定していない」と話しています。
 さらにカマルル・アルフィン チームマネージャーは、U19代表候補合宿は今月末から行うことが予定されており、完全隔離型で行うこと、またアメリカ在住のワン・クズリもこの代表候補合宿に参加することも明かしています。

今年のスズキカップは前回同様のホームアンドアウェイ形式で開催
 マレーシアのサッカー専門サイトのヴォケットFCによれば、今年11月から始まる東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップは、昨年同様の形式で行われることが決定したということです。
 新型コロナウィルスの感染者も少なく、他国ではリーグ中止や無観客試合が行われる中、世界で最初に観客を入れて国内リーグを開催したベトナムが、今年の大会全試合を同国で行う一国開催を提案していましたが、AFFはスズキカップ開催時期までには新型コロナウィルス感染も下火になるとの予想から、昨年同様、グループステージは変則ホームアンドアウェイ方式、ノックアウトステージはホームアンドアウェイ方式を採用することを決定したということです。なおグループステージの変則ホームアンドアウェイ方式では、各国がいずれも異なる相手とホームで2試合、アウェイで2試合を行います。前回2018年大会のグループステージではベトナム、ミャンマー、カンボジア、ラオスと同組となったマレーシアは、ラオスとミャンマーとはホームで、ベトナムとカンボジアはアウェイでそれぞれ対戦し、3勝1敗でノックアウトステージへ進出しました。
 またAFFは今大会に限り、各チームの登録選手枠を前回の23名から30名とすることも発表しています。

UAEの国内リーグの今季中止が決定
 アラブ首長国連邦UAEの1部リーグアラブガルフリーグは、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて3月15日から中断していましたが、UAEサッカー協会UAEFAが今季のリーグ中止決定を発表したことを英字紙スター電子版が報じています。
 UAEは10月再開予定のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選でマレーシアと同組であり、再開後の初戦となる10月8日にマレーシアはUAEとのアウェイ戦を控えています。
 マレーシアメディアやサポーターの中には、このリーグ中止決定により、試合感覚を養う機会がなくなることで、マレーシア に有利に働くのではないかという論調があり、しかもUAEは昨年2019年に12月22日にファン・マルワイク前監督に代わって就任したのがセルビア人のイヴァン・ヨヴァノヴィッチ監を解任しており、現在は代表監督が不在です。
 しかしマレーシア代表のタン・チェンホー監督は、リーグ中止が決定したことで長期に渡る代表候補合宿を行うことができ、近々発表されるとする新監督もチームを把握し強化するのに十分な時間が得られるとして、むしろ今よりもチームが強化されるのではないかという見通しを述べ、楽観的な論調に釘を刺しています。
 「UAEはアジアでもトップクラスの実力があるだけでなく、さらに10月の予選再開からは3名の帰化選手も加わると聞いている。また予選グループDの4位となっているUAEは、これまで消化した試合数が他国よりも1試合少なく、現在の順位にプレッシャーは感じていないだろう。」

6月20日のニュース:元U23代表の主力5名にヨーロッパのクラブが触手、そのうちの一人のシャミ・サファリは国外移籍の意思なし、JDTのテクニカルダイレクターは海外クラブからの問い合わせの噂を否定

元U23代表の主力5名にヨーロッパのクラブが触手
 マレー語紙ブリタハリアン電子版によれば、マレーシアU23代表の主力選手の内、少なくとも5名の選手に対してマレーシア国外のクラブが接触していると報じています。
 希望的憶測も含めたいわゆる「飛ばし記事」が掲載されることもあるブリタハリアンですが、取り上げられているのはサファウィ・ラシド、アキヤ・ラシド、シャマー・クッティ・アッバ(以上ジョホール・ダルル・タジム)、イルファン・ザカリア(クダFA)、シャミ・サファリ(スランゴールFC)の5名です。
 2018年に中国で開催されたAFC U23選手権に出場したマレーシアU23代表は、マレーシアサッカー史上初となるベスト8に進出するも、ノックアウトステージ初戦の韓国戦で一度は同点に追いつきながら、終盤に失点して1-2で破れましたが、このときの主力であったサファウィ選手やシャマー選手、そしてシャミ選手は、同年末のAFF選手権スズキカップではフル代表にも招集され、現在、中断中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選にも代表選手として出場しています。やはりU23選手に出場したイルファン選手、そして彼らよりも若い今年21歳のアキヤ選手らは今後のフル代表の主力選手となる人材です。
 ブリタハリアンはそんな彼らにベルギー、デンマーク、クロアチア、スイス、ブルガリアといったヨーロッパ各国の主に2部リーグのクラブを含めた海外のクラブが関心を示していると報じています。
 記事の中では当地の代理人の話として、スイス1部リーグのFCチューリッヒとチェコ1部のスパルタ・プラハがサファウィ・ラシドに、ベラルーシ1部リーグのBATEボリソフが関心を示していると報じられています。
 この代理人は「ヨーロッパのクラブから問い合わせを受けているのは、現在はフル代表でプレーする2018年のAFC U23選手権ベスト8入りメンバーで、25歳以下の選手についての問い合わせが大半である。アジア出身の選手は豊富な運動力チームに貢献するタイプ、古くはパク・チソン、最近ならばソン・フンミンに代表されるようなウィングができる選手が好まれている。その観点からも特にサファウィ選手やアキヤ選手に関心が集まっているのだろう。」と話しています。
 その一方で、この代理人はMリーグの主力選手の給料は、ヨーロッパの2部リーグでプレーすることで得られる給料よりも高額であることから、国外移籍に興味がない選手がいることも明らかにしています。
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 各年代の代表レベルの選手で現在、マレーシア国外でプレーしているのは、やはり2018年のAFC U23選手権メンバーでもあるドミニク・タンとハディ・ファイアッドがそれぞれタイ1部リーグのポリス・テロFCとJ2のファジアーノ岡山で、またノーシャルル・イドラン・タラハがタイ1部のPGパトゥム・ユナイテッドFCに在籍しています。また、ベルギー1部のKVコルトレイクと5年契約を結んだ18歳のルクマン・ハキム・シャムスディンは今年10月にウズベキスタンで開催されるAFC U19選手権の主力選手です。

そのうちの一人のシャミ・サファリは国外移籍の意思なし
 マレー語紙ハリアンメトロ電子版は、上で取り上げた元U23代表の主力の一人、スランゴールFCでプレーするシャミ・サファリとの一問一答を掲載しています。
 それによれば、シャミ選手は複数のクラブから接触があることを認める一方で、現時点では、Mリーグでプレーしたいと話しています。
 その理由としては、給料が下がることよりも、選手として常に試合に出られるようながあるかどうかに関心があると話しています。
 「(2018年の)U23選手権以降は複数のクラブから連絡を受けた。昨年はスエーデンのクラブから問い合わせを受けたが、マレーシアからの選手に対するヨーロッパのクラブの評価が不明なので、現時点ではヨーロッパでのプレーは考えていない。サファウィ選手やアキヤ選手もおそらく同じ理由を持っているのではないかと思う。」と話すシャミ選手ですが、ベルギー1部リーグのKVコルトレイクと契約したルクマン・ハキム・シャムスディンの動向は気になっていると話し、彼が活躍すれば、マレーシア人選手の評価も上がり、韓国や日本からの選手と同等の評価となるのではないかと話しています。
 海外でプレーしたい気持ちがあると話すシャミ選手は、その時が来れば是非、挑戦したいと話しています。
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 ヨーロッパが不安ならタイでも韓国でも日本でも挑戦する機会はありそうですが、結局のところ給料が下がるのが嫌なんでしょう。競争で勝ってポジションを掴む、という覚悟もなさそうです。マレーシアがアジアで上位を目指すためには、アジアの上位国のリーグに選手を送り込むのは得策だと思うのですが、チャレンジ精神が乏しいですねぇ。日本の様子なら岡山のハディ選手に聞けば概要はわかると思うのですが。

JDTのテクニカルダイレクターは海外クラブからの問い合わせの噂を否定
 また同じブリタハリアンは、JDTのアリスター・エドワーズTD(テクニカルダイレクター)の(前述の記事のような)海外のクラブからJDTの選手への問い合わせは全くないというコメントを掲載しています。
 エドワーズTDは「JDTの選手に興味があるクラブがまず連絡を取る相手はテクニカルダイレクターである自分か、あるいはスポーツダイレクターのマーティン・プレストのどちらかだが、私もマーティンも何も問い合わせを受けていない。」と話しています。
 さらに「海外のクラブからJDTの選手への問い合わせがあると主張する代理人がいるのであれば、それはその代理人の作り話か、その代理人が相手のクラブから金を騙し取ろうとしているかのどちらかだろう。万が一、JDTの選手に関心があるクラブが本当にあれば、我々に直接連絡をしてくるはずである。」
 「JDTはおそらくマレーシアで唯一の海外のクラブとのビジネス経験があるクラブだといって良いだろう。これまでの例としてFWホアン・マルティン・ルセロをメキシコ1部リーグのクラブ・ティファナに250万米ドル(およそ2億6700万円)で売った経験もある。」と話しています。