10月6日のニュース:Mリーグ1部フェルダUがMリーグ撤退を表明、Mリーグ20クラブに民営化承認、2021年シーズンのクラブライセンス発給は13クラブ-他の8クラブは条件付きで発給

Mリーグ1部フェルダUがMリーグ撤退を表明
 Mリーグ1部のフェルダ・ユナイテッドFCがMリーグからの撤退を発表しています。9月30日が期限となっていたMリーグ1部と2部のクラブに義務付けられていた民営化手続きについて、フェルダ・ユナイテッドFCと2部のUKM FCについては、期限までに民営化認可がマレーシアフットボール協会から発表されず、両クラブは提出した民営化申請書類に関してさらなる説明が必要とされ、その詳細は昨日10月5日に改めて発表される予定だったことはこのブログでも取り上げました。そここら急転直下のリーグ撤退発表です。
 「急転直下」と書きましたが、実はこの発表の前、フェルダ・ユナイテッドFCでは様々なことが起こっていたようです。発端はフェルダ・ユナイテッドFCの運営会社のアフィダル・アブ・オスマン事務局長以下の職員16名全員が9月1日付で突然解雇され、フェルダ・ユナイテッドFCの運営権がこの運営会社からクラブの母体であり政府系機関のフェルダ連邦土地開発庁自身に移ったことです。さらにそれまでフェルダ・ユナイテッドFCの運営会社が使用していたフェルダ本社ビル内の事務所は完全立ち入り禁止となりました。そして今度はこの立ち入り禁止となっていた事務所に泥棒が入る事件が起こりました。盗まれたのは2014年から2018年までの資料で、その資料はマレーシア汚職防止委員会MACCが必要としていたものだということです。MACCの職員がその書類を取りに事務所へ来た際にドアが破られ、監視カメラの向きが変えられ、天井に穴が開き、重要資料の入ったフォルダーがなくなっていることを発見しました。別の監視カメラの映像により「内部」の人間と思しき者の犯行であることが発覚し、現在、警察が捜査中という報道もあります。
 そんな「内部抗争」ともいえそうな事態の中で発表されたフェルダ・ユナイテッドFCの撤退ですが、マレーシアの通信社ブルナマの報道では、そもそもフェルダ自身が運営会社に代わってクラブの運営を担うことになった目的はクラブの支出の管理を含めた運営の透明性を確保することだったとされています。この目的でクラブの運営権を手にしたフェルダはクラブの存続を決定する権利も得ており、今回のリーグ撤退には違法性がないということです。
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 新型コロナウィルスによるリーグ中断までは、今季優勝したJDTと引き分けるなど1勝2分1敗の成績だったフェルダ・ユナイテッドFCは、リーグ再開となった第5節以降は0勝2分4敗と失速しましたが、この騒動による影響は少なからずあったのではないでしょうか。
 2007年に発足したフェルダ・ユナイテッドFCは3部リーグのFAMカップ(当時、現M3リーグ)でプレーしたものの、翌年2008年には2部プレミアリーグに昇格し、2010年にはプレミアリーグで優勝して1部スーパーリーグへ昇格しました。2014年には2部降格を経験するも翌年2015年には1年で1部に復帰するなど安定した力を発揮するクラブでした。
 しかしこの状況も近年では様変わりし、2017年にはクラブライセンス更新に必要な書類に不備があったことから1部で3位になりながら2部降格処分を受けています。そして2018年シーズンは2部で優勝し1部復帰を決めながら、シーズン末には選手や当時のサティアナタン・バスカラン監督、コーチに対する給料未払いが発覚し、その結果、外国籍選手全員を含む半数以上の主力選手との契約を解除しました。そして2019年シーズンは新たな外国籍選手に傘下の21歳以下と19歳以下チームから選手を昇格させて戦い、最終戦で1部残留を決めています。
 クラブの母体となっているフェルダ連邦土地開発庁は、当初は地方でジャングルを伐採し、農園を併設した入植地を開発し、土地を持たないマレー系マレーシア人を移住させる、いわば「貧困農民」対策のための政府機関として発足しましたが、現在では財源が政府から独立して運営されており、フェルダ傘下のFGVホールディングは世界第2位のパームオイル生産を誇るマレーシアでもトップ企業です。しかしこちらも近年は問題が多く、その豊かな財政は不正行為の温床ともされ、前会長は海外不動産にへの不当に高額な投資を主導し、その取引で不当な利益を得た疑いでマレーシア汚職防止委員会MACCに逮捕されています。また直近では先月9月30日にアメリカ政府が労働者虐待や児童労働を理由にFGVホールディングからのパーム油輸入禁止を発表するなど、フェルダを取り巻く環境は厳しくなっています。

FAMは21クラブに民営化承認
 上のフェルダ・ユナイテッドFCのMリーグ撤退が発表された一方で、来季からのMリーグ1部と2部でプレーするための条件でもあるクラブの民営化承認を受けたクラブがマレーシアサッカー協会FAMの公式サイトで発表になっています。
 ジョホール・ダルル・タジムJDT、トレンガヌFC、ペラTBG、スランゴールFCが持つBチームはトップチームとセットで承認されており、Mリーグ1部と2部の全24クラブにM3リーグの国軍AF FCを含めた21クラブが民営化承認を受けています。
 なおこの中には上で取り上げたフェルダ・ユナイテッドFCも含まれていますが、このフェルダ・ユナイテッドFCと2部のUKM FCについては、提出された書類の内容についてさらなる説明が必要とされており、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロよれば、UKM FCはスライマン・フシン監督をクラブのオーナー兼経営陣の一人としている点の説明が求められ、フェルダ・ユナイテッドFCは現在の「内部抗争」についての説明が求められているとしています。しかしリーグ撤退を表明したフェルダ・ユナイテッドFCはその必要がなくなりました。
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 この民営化については2013年に計画されながら、2017年にアジアサッカー連盟AFCによる「アドバイス」を受けて実現につながったようです。これが実現しないと2021年以降はAFCチャンピオンズリーグやAFCカップなどAFC主催大会に出場できなくなることからFAMの尻に火がついた格好でしょうか。

2021年シーズンのクラブライセンス発給は13クラブ-他の8クラブは条件付きで発給 同じFAMの公式サイトでは、来季2021年シーズンの国内クラブライセンス発給状況についても発表されています。
 これによるとMリーグ1部スーパーリーグで今季2020年シーズンにプレーする12クラブのうち10クラブが来季のクラブライセンスを発給されているということです。なお、これにはフェルダ・ユナイテッドFCも含まれています。
 またパハンFAとマラッカ・ユナイテッドについては条件付きでライセンスが発給されているということです。
 Mリーグ2部プレミアリーグの8クラブ(*)ではケランタン・ユナイテッドFC、クアラルンプールFA、ヌグリスンビランFAがクラブライセンスの発給を受けており、残るクチンFA、ケランタンFA、UKM FC、ペナンFA、サラワク・ユナイテッドFCの5クラブについては、やはり条件付きでライセンスが発給されています。(*2部プレミアリーグのJDT II、トレンガヌFC II、スランゴール2、ペラIIの4クラブは1部クラブのBチームのため、トップチームと込みでライセンスが認められています。)
 なお条件付きでライセンスが発給されたクラブは10月31日までに追加の書類等を提出する必要があり、この期限に間に合わなかった場合には罰金、勝点削減、降格、そしてクラブライセンスの発給中止などの処分が科せられるということです。 またMリーグ1部と2部のクラブの内、9クラブがアジアサッカー連盟AFC主催の大会に出場できるAFCライセンスを合わせて申請し、JDT、クダFA、ペラTBG、トレンガヌFC、スランゴールFC、PJシティFC、フェルダ・ユナイテッドFC、クアラルンプールFAの8クラブがAFCライセンスの発給を受けたことも発表された一方で、マラッカ・ユナイテッドFCはAFCライセンスの発給条件を満たしていないため、発給されなかったということです。
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 FAMの公式サイトには国内クラブライセンスの申請条件と、条件付きでライセンスが発給された各クラブの問題が指摘されています。本日分は文字数も多くなったのでこちらについては次回のブログで紹介します。

Mリーグ1部スーパーリーグ2020年シーズン第10節結果

10月2日(金)、10月3日(土)そして10月5日(月)の3日間に、1部スーパーリーグ第10節の6試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。)
*試合のダイジェスト映像は全てMFLの公式Youtubeより。

10月2日(金)
スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
ジョホール・ダルル・タジムJDT 4-1 サバFA
得点者:JDT-ジオゴ(38分)、サファウィ・ラシド2(57分、81分)、レアンドロ・ヴァレスケス(84分)、サバ-デニス・ブシェニング(74分)
 この試合前までに優勝まで勝点1と迫っていたJDTがサバFAを破り、Mリーグ1部今季2020年シーズンの優勝とMリーグ1部7連覇を決めています。ポルトガル1部リーグのポルティモネンセSCへの移籍が決まっているエースのサファウィ・ラシドが2ゴールを決めるなど快勝でした。
 一方のサバFAはサバ州内で新型コロナウィルス感染者が急増し、試合前に2度の検査を受けた他、チャーター機でジョホール入りするなど対コロナ対策は十分でしたが、試合の方は今季を象徴するような展開でした。この日の敗戦でサバFAの1部残留は最終節の結果次第となりました。
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 試合後は選手関係者以外は無観客の中、レーザーショーは繰り広げられるわ、花火は上がるわと、相変わらずド派手なイベントで優勝が祝われましたが、個人的にはリーグ再開後はケガでプレーできなかったキャプテンのハリス・ハルンが登場してトロフィーを受け取った場面が一番感動しました。
(以下の写真はJDTの公式Facebookより)

UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UITM FC 2-4 PJシティFC
得点者:UITM-グスタヴォ・アルメイダ2(45+4分PK、75分PK)、PJ-バラトクマール・ラマルー(45分)、アナウィン・ジュジーン(48分)、コギレスワン・ラジ(66分)、ワシントン・ブランダオ(79分)
 今季ここまで1勝の9位PJシティFCが4位のUITM FCを破り、1試合を残して今季1部残留を決めています。
 UITM FCはここ2試合ケガで欠場しているウスマン・ファネに加え、この試合ではマーク・ハートマンもケガで欠場するなど主力となる外国籍選手を欠く苦しい布陣では下位のPJシティFCとはいえ大学生主体のクラブでは太刀打ちできませんでした。

10月3日(土)
クアラルンプールフットボールスタジアム(クアラルンプール)
PDRM FC 0ー7 スランゴールFC
得点者:イフェダヨ・オルセグン2(20分、74分)、シーン・セルヴァラジ2(26分、34分)、ブレンダン・ガン(70分)、サフアン・バハルディン(80分)、ルフィノ・セゴヴィア(83分)
 降格が決定している最下位のチームを相手に何点取ろうと今更という感じですが、解任されたサティアナタン・バスカラン前監督に代わり前節から指揮を取るマイケル・ファイヒテンバイナー監督代行は、自身が監督していたスランゴールFCのBチーム、スランゴール2からFWハリム・サアリの他、18歳のムカイリ・アジマルや20歳のアリフ・ハイカルを昇格させて試合に使うなど、すでに来季に向けての準備を始めているようです。

ダルル・マクムールスタジアム(パハン州クアンタン)
パハンFA 3-3 ペラTBG
得点者:パハン-ディネシュ・ラジャシンガム(8分)、ニック・シャリフ・ハセフィ(27分)、イヴァン・カルロス(41分)、ペラ-パルティバン・ジャナセカラン2(47分、90+2分)、シャーレル・フィクリ(84分)
 フィルダウス・サイヤディを先発で起用し、従来の4-4-2から4-2-3-1とギリェルメ・デ・パウラと好調のシャーレル・フィクリを縦に配置する布陣で臨んだペラTBGでしたが、前半を終わってパハンFAが3ゴールを挙げ、すわ第6節JDT戦の0-7大敗の悪夢再現かと思われた試合は、後半は逆にペラTBGが3ゴールを挙げ引き分けに終わっています。

トゥン・アブドル・ラザクスタジアム(パハン州ジェンカ)
フェルダ・ユナイテッドFC 0-3 トレンガヌFC
得点者:トレンガヌ:ドミニク・ダ・シルヴァ(5分)、サンジャル・シャアフメドフ (38分)、リー・タック(65分)
 フェルダ・ユナイテッドFCはこの日の敗戦で自力での降格権脱出が不可能となり、最終節となる次節第11節でUITM FCに勝利し、9位のサバFAがスランゴールFCと引き分け以下の場合に1部残留が決まります、と事前に書いていたのですが、フェルダ・ユナイテッドFCは今季限りでMリーグ撤退が突然、発表されています。
 フェルダ・ユナイテッドFCの恵龍太郎選手は先発してフル出場しています。

10月5日(月)
クアラルンプールフットボールスタジアム(クアラルンプール)
クダFA 1-0 マラッカ・ユナイテッドFC
得点者:シャキル・ハムザ(19分)
 10月2日にクダFAの本拠地クダ州のダルルアマンスタジアムで予定されていた試合は、新型コロナウィルス感染者が国内最多のサバ州で試合から戻ったマラッカ・ユナイテッドFCの検査と自宅隔離により一度は10月4日に延期され、さらにクダ州での新型コロナウィルス感染者も急増したことから、日程と試合会場までもが変更になる事態となりました。
 前節第9節のパハンFA戦で敗れ、リーグ再開後からの連勝が4でストップしたクダFAでしたが、この試合はマラッカ・ユナイテッドFCの猛攻に耐えて逃げ切りました。クダFAは最終節となる次節第11節ではAFCカップ出場権が与えられる2位の座をかけて勝点差1の3位のペラTBGとの直接対決が控えています。

マレーシアスーパーリーグ順位表(第10節終了時)

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1JDT108202882023
2クダFA106131711619
3ペラTBG105321916318
4トレンガヌFC105142213916
5パハンFA104241716114
6スランゴールFC103522018214
7UiTM FC104241315-214
8マラッカU103241211211
9PJシティFC102531315-211
10サバFA102351221-99
11フェルダU101451120-97
12PDRM FC10028425-21-1
*8位のマラッカUと12位のPDRM FCはそれぞれ、給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアスーパーリーグ ゴールランキング(第10節終了時)

ゴール数選手名所属試合数
10シャーレル・フィクリペラTBG10
9イフェダヨ・オルセグンスランゴールFC10
8ドミニク・ダ・シルヴァトレンガヌFC10
7チェチェ・キプレクダFA10
7サファウィ・ラシドJDT10