2月3日のニュース
今季1部昇格のヌグリスンビランも外国籍枠5名が決定
マラッカUの補強は止まらず-今度は元代表FWマットヨーを獲得

W杯アジア最終予選ではベトナムが中国を撃破し、女子W杯につながるAFC女子アジアカップではフィリピンがW杯出場を決めるなど、今週は東南アジアのサッカー界に良いニュースが溢れています。昨年末のスズキカップ2020に優勝したタイや準優勝のインドネシアなど周辺国のレベルが上がる中、マレーシアは完全に取り残されている状況です。(涙)キム・パンゴン監督が主任したマレーシア代表ですが、周辺国においていかれないためには、国内リーグのレベルアップが必須ですが、今季開幕まであと1ヶ月ほどとなったMリーグ各クラブの補強も完了してきています。

今季1部昇格のヌグリスンビランも外国籍枠5名が決定

昨季はMリーグ2部プレミアリーグで優勝し、4季振りの1部復帰を果たしたヌグリスンビランFC(以下ヌグリスンビラン)が新外国籍選手2名との契約したことを発表しています。いずれもストライカーの28歳のマテウス・アウヴェス(ブラジル)と26歳のコッシ・アデトゥ(トーゴ)で、英字紙スターによれば、アウヴェス選手はタイ1部のチョンブリーFCやプラチュワップFC、ポリス・テロなどでプレーした後、昨季は韓国2部の牙山ムグンファFCでプレーしています。なおこのアウヴェス選手は、かつてMリーグで一度プレーしており、2017年シーズンにはパハンFA(当時、現在のスリ・パハンFC)に在籍し、リーグ戦とカップ戦合わせてシーズン24ゴールを挙げて、チームをFAカップ決勝へ導く活躍をしており、5年ぶりのMリーグ復帰となります。ヌグリスンビランのK・デヴァン監督は、アウヴェス選手がパハンFAを退団した以降はタイ、韓国とMリーグより高いレベルのリーグでプレーしたきたことに触れ、その経験を踏まえればパハンFA在籍時よりも良い選手になっていることを期待していると話しています。

一方のアデトゥ選手は2013年以来ガーナ、リベリア、エジプトなどプレーした経験がありますが、今回のヌグリスンビランとの契約がアジアのクラブとの初契約となるということです。デヴァン監督は、アデトゥ選手についてはいわゆるターゲットマンとして期待していると話し、チーム練習に参加したばかりながら、そのシュート能力の高さも評価していると話しています。

ヌグリスンビランはこの他、昨季までスリ・パハンで3季プレーしたDFエラルド・グロン(フランス)を獲得している他、フィリピン1部のセレス・ネグロス(現ユナイテッドシティ)やインドネシア1部のプルシブ・バンドンでのプレー経験がある攻撃的MFオミド・ナザリ(フィリピン/イラン)をアセアン東南アジア枠で、MFデヴィッド・マウーター(タジキスタン/ガーナ)をAFC枠で獲得しています。

マラッカUの補強は止まらず-今度は元代表FWマットヨーを獲得

Mリーグ1部スーパーリーグのマラッカ・ユナイテッドは昨季は26ゴール(22試合)を挙げてリーグ得点王となったFWイフェダヨ・オルセグンが4季振りに復帰し、昨季はJリーグのベガルタ仙台でプレーしたMFエマヌエル・オッティ(ガーナ)、フィリピンの悪童DFジャスティン・バースらが加入する一方、今季のクラブの目標として掲げている「最低1つのタイトル」のためにザイナル・アビディン・ハサン監督を解任し、リスト・ヴィダコヴィッチ新監督を迎え入れるなど、5勝9分8敗の8位からチームを立て直すために積極的な補強を進めています。そんな中で今度は、昨季は2部プレミアリーグのサラワク・ユナイテッドでプレーした代表FWのノーシャールル・イドラン・タラハと契約を結んだことをがクラブ公式Twitterに投稿されています。

マットヨーの愛称で知られる35歳のノーシャールル選手の加入は、前述のイフェダヨ選手や昨季から残留するソニー・ノルデ(ハイチ)、アドリアーノ(ブラジル)らマラッカ・ユナイテッドの強力FW陣にさらに厚みを加えることになりそうです。またMリーグではケランタン、JDT、ヌグリスンビラン、トレンガヌ、パハンなどでプレーし、リーグ優勝3回、マレーシアカップ優勝2回、FAカップ優勝2回とまさに「タイトル」を知る選手でもあり、代表では80試合以上に出場し14ゴールを挙げています。経験豊富なGKカイルル・ファーミ・チェ・マットがチームを去り、経験のあるベテランがいなくなったマラッカ・ユナイテッドにとっては、マットヨーの経験は貴重な財産となりそうです。

2月2日のニュース
スランゴールは5人目の外国籍選手ユーリ・エンリケとの契約を発表
パハンは2名の外国籍選手の帰化手続きに着手

スランゴールは5人目の外国籍選手ユーリ・エンリケとの契約を発表

Mリーグ1部スーパーリーグで昨季5位のスランゴールFC(以下スランゴール)は、新たな外国籍選手としてブラジル出身のFWユーリ・エンリケ・ジ・オリヴェイラ・コスタとの契約を発表し、これにより今季の5名の外国籍選手枠の全てが埋まりました。アラブ首長国連邦UAE1部リーグのハッタ・クラブから加入する30歳のエンリケ選手は、既に加入が発表になっているブラジル出身で31歳のFWカイオン(タイ2部ムアンカン・ユナイテッドから加入)、 ヨルダン代表として133試合に出場している35歳のMFバハー・アブドッラフマーン(ヨルダン1部サハブSCから加入)、26歳のDFヤザン・アル=アラブ(ヨルダン1部のアル・ワフダート・クラブから加入)、そしてスランゴールの外国籍選手では唯一昨季から残留し、今季が3季目となるシンガポール代表DFサフアン・バハルディン(30)に加わります。なおエンリケ選手加入を取り上げた英字紙スターの取材に対して、スランゴールのミヒャエル・ファイヒテンバイナー監督は、 ウィングやセカンドストライカー、さらには中盤の司令塔などをこなすエンリケ選手の加入により、戦術面での選択肢が広がると話しています。

パハンは2名の外国籍選手の帰化手続きに着手

昨季のスーパーリーグでは9位に終わったスリ・パハン(以下パハン)は、今季に向けて新たに4名の外国籍選手を獲得していますが、この結果、昨季から残留する3名を加えると合計7名の外国籍選手と契約したことになります。Mリーグを運営するMFLは、1部スーパーリーグのクラブにはAFC枠1名とアセアン東南アジア枠1名を含めた5名の外国籍選手の登録を、2部プレミアリーグのクラブはアセアン枠を除く4名の外国籍選手の登録を認めています。また先日のこのブログでも取り上げたようにJDT、トレンガヌ、スランゴールの3クラブはセカンドチームが2部ブレミアリーグに所属していることから合計で9名の外国籍選手を登録しています。しかしパハンはセカンドチームがMリーグに所属していないことから5名の枠を超えての外国籍選手登録は不可能です。そんな中でマレーシア語紙のブリタハリアンはMリーグで既に5季連続してプレーし、今季は6季目となるリー・タック(英国)とエセキエル・アグエロ(アルゼンチン)の両選手について、パハンが帰化選手の手続きに着手したと報じています。

ブリタハリアンは、いずれも2017年からMリーグでプレーするタック、アグエロ両選手をMリーグで帰化選手(=マレーシア人選手)として登録するための手続きはここまで順調に進んでおり、リーグが開幕する3月にはマレーシア人選手として出場できるだろうというパハン関係者の話も紹介しています。昨季はタック選手はトレンガヌへ、アグエロ選手はペラへそれぞれ期限付き移籍していましたが、シーズン終了後には今季はパハンでプレーすることをクラブが発表しており、両選手はパハンのプレシーズン練習に参加しています。。

パハンは昨季途中に加入しチームを降格の危機から救ったMFマヌエル・イダルゴ(アルゼンチン)に加えて、シーズンオフにGKママドゥ・サマサ、DFジョアン・マルシアル (いずれもフランス)FWマフムード・ザアタラ(ヨルダン)、FWビリー・ケトケオポムポン(ラオス/フランス)の4選手を新たに獲得しており、タック、アグエロ両選手がマレーシアン人選手として登録されればスーパーリーグでも屈指の布陣となり、今季から指揮を取るクリストフ・ギャメル新監督にとっても心強いでしょう。

昨年末のスズキカップではマレーシアサッカー協会主導で大縄れた代表強化を目的として帰化選手支援プログラムによってマレーシアのパスポートを得たギリェルメ・デ・パウラが不発、リリドン・クラスニキに至っては代表招集すらされず、帰化選手育成の効果が疑問視されるとともに、それを主導したFAMに対する風当たりも強くなった結果、FAMは帰化選手支援プログラムの一時凍結を発表する事態に追い込まれました。その一方でFAMは各クラブが独自に外国籍選手の帰化を支援することについてはこれを妨げないことも発表しています。なおパハンは現在はJDTでプレーするモハマドゥ・スマレの帰化を支援してマレーシア人選手として登録を果たした実績もあります。

2月1日のニュース
エリートアカデミー3期生44名全員がMリーグ1部クラブと契約
加賀山泰毅選手を含む3名の新外国籍選手加入をサバが発表
アンドラ代表加入で2季連続2位のクダも外国籍選手の補強完了

今日2月1日は旧暦の1月1日。マレーシア風にいうとチャイニーズニューイヤー(中国正月)で、イスラム色の強い東海岸のいくつかの州を除くと今日と明日の2日間が祝日になっています。このブログを書いている時点でも、外からは爆竹の派手な爆音が聞こえてきます。当日は互いに「恭喜發財 ゴンシファチョイ」と新年の挨拶を交わして、日本のお年玉同様の紅包アンパオを配りますが、その相手は未婚であれば年齢は関係ないのが特徴です。

エリートアカデミー3期生44名全員がMリーグ1部クラブと契約

国家サッカー選手育成プログラムNFPDは、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会が共同で運営するユース育成のプログラムですが、このプログラムの中核となるエリートアカデミー、モクタル・ダハリアカデミーの卒業式が行われ、2021年度生徒して卒業する第3期生の44名全員がMリーグ1部スーパーリーグのクラブと契約を結んだことがNFPDの公式Facebookで発表されています。2004年生まれの44名が契約したクラブの内訳はスランゴール20名、スリ・パハン10名、JDT6名、KLシティとトレンガヌがそれぞれ4名ずつとなっており、既に先月からクラブの練習に参加している卒業生もいるということです。。国費を投入してサッカー選手を育成するこのプログラムからはこれまでに第1期生34名、第2期生40名、そして今回の第3期生44名の合計108名が卒業しています。

加賀山泰毅選手を含む3名の新外国籍選手加入をサバが発表

昨季はMリーグ1部スーパーリーグで4勝7分11敗で9位に終わったサバは、昨年9月に元U23代表監督のオン・キムスイ氏をマレーシアサッカー協会FAMのテクニカルディレクター職から引き抜くとともに、このシーズンオフには非常に積極的な補強を行い、「ボルネオのJDT」とも呼ばれています。そのサバが、新たに外国籍選手3名の加入を発表しています。

まずはボラセパマレーシア注目のFW加賀山泰毅選手です。 フィンランド1部のFCインテル・トゥルクから加入する25歳の加賀山選手は過去3季はFCインテル・トゥルクの他、フィンランド2部のムサン・サラマやコッコラン・パロヴェイコトKPVでプレーし、トランスマルクトによれば昨季創設されたUEFAヨーロッパカンファレンスリーグ予選の2試合を含めてフィンランド時代の3シーズンで80試合に出場し18ゴール15アシストを記録しています。なお加賀山選手は今季のMリーグ1部スーパーリーグでプレーする唯一の日本人選手です。

またサバには加賀山選手に加えてDFジャクソン・デ・ソウザとFWネト・ペソアのブラジル出身コンビも加入しています。31歳でセンターバックのデ・ソウザ選手は2008年から2010年にはブラジルの名門サンパウロで、またインテルナシオナルやパルメイラスなどでもプレー経験があるということです。一方27歳のブラジル3部のクルーベ・ド・レモから加入するネト選手は昨季は40試合で16ゴールを挙げています。なお、サバはDFパク・タエスー(韓国)とFWサディル・ラムダニ(インドネシア)の両選手が昨季から残留しており、今回の3名の新戦力加入で外国籍選手枠が埋まりました。

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サバは、MFバドロル・バクティアルとDFリザル・ガザリ両選手をクダから、GKカイルル・ファーミ・チェ・マットをマラッカから、そしてDFドミニク・タンをタイ1部のポリス・テロからと、昨年末のスズキカップ2020に出場した代表選手4名を新たに獲得しています。JDTから期限付き移籍するMFイルファン・ファザイルに加えバドロル、カイルル両選手は当時U23代表監督だったオン監督とともに2011年の東南アジア競技大会通称シーゲームズで優勝を飾っており、その絆で集まってきた選手たちと外国籍選手との意気が合えば、台風の眼どころか、上位進出を狙う他のチームの脅威にもなりそうです。

アンドラ代表加入で2季連続2位のクダも外国籍選手の補強完了

Mリーグ1部スーパーリーグで2季連続で2位となっているクダですが、昨季在籍した外国籍選手5名が退団した他、クダのレジェンドとも言えるバドロル・バクティアルや同じく代表のリザル・ガザリが退団するなど過去2シーズンとは大幅に布陣が変わりますが、その最後のピースとなるDFマルク・バレスの加入がクラブ公式Facebookで発表されています。31歳のゴンザレス選手はレアルマドリーのユースチームに在籍していたこともあり、母国アンドラのほか、スペイン、フィンランド、ノルウェイなどでもプレー経験やアンドラ代表としてこれまで78試合に出場しています。

クダは既に昨季は同じ1部スーパーリーグのトレンガヌでプレーしたMFデチ・マルセル(コートジボアール)、ヨルダン1部のアル・サルトSCから加入のFWロナルド・ンガ(カメルーン)、昨季2021年シーズンはUITM、2020年シーズンはサバでもプレーしたFWデニス・ブシェニング(タイ/ドイツ)、そして昨季まで3シーズンの間マラッカでプレーしたDFチャン ソグォン(韓国)と契約しており、また地元クダ出身の代表FWシャフィク・アフマドをJDTから期限付き移籍ながら獲得しています。なおゴンザレス選手の加入で、今季のクダのトップチーム30名全員が決定しています。



1月31日のニュース
マラッカUのCEOがザイナル監督解任の理由を説明
タイ1部リーグ第18節-エルドストールがスズキカップ後初の先発フル出場
タイ1部リーグ第24節-エルドストールは終了間際に途中出場もチームは2位浮上

マラッカUのCEOがザイナル監督解任の理由を説明

昨季はMリーグ1部スーパーリーグで5勝9分8敗の8位に終わったマラッカ・ユナイテッドは2019年から監督を務めていたザイナル・アビディン・ハサン氏を解任し、今季はボスニア・ヘルツェゴビナ出身のリスト・ヴィダコヴィッチ監督を就任させていますが、この監督交代について、マラッカ・ユナイテッドのジャスティン・リムCEOは、今季クラブが目指す「最低でも一つのタイトル」という目標達成が理由であると説明しています。

スポーツ専門チャンネルのナディ・アリーナのインタビューに対してリムCEOは、ザイナル前監督への過去3年間の指導への感謝の気持ちを表した上で、タイトル獲得のためには監督交代が必要だと判断し、ヴィダコヴィッチ監督は期待に応えてくれると信じていると話しています。「クラブとしては当初はザイナル前監督に今季も続投を依頼する予定でいたが、タイトル獲得という今季の目標を達成するためにはこれまでの方針とは異なる抜本的な変革が必要だと考えた末に監督交代を決めた。」と話したリムCEOはヴィダコヴィッチ監督の人選について、ザイナル監督の元では過去3季はタイトル争いとは縁がなかったが、ヴィダコヴィッチ監督はフィリピン1部リーグで3連覇(当時のセレス・ネグロスFC、現ユナイテッドシティFCで2017年から2019年まで3連覇達成)している実績を評価したと話しています。

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監督を務めた過去3季はいずれも給料未払い問題が発生し、2020年と2021年の両シーズンにはこの給料未払いを理由に勝点3を剥奪されるなど、自身の能力が問題ではなく、経営陣に足を引っ張られた中で「タイトルが取れなかった」ことを理由に解任されるのはザイナル前監督にとっても笑福しかねる部分があるでしょう。以前のこのブログでも触れましたが、今季残留した選手の中にはザイナル監督残留を理由に残った選手たちもいます。マラッカ・ユナイテッドはヴィダコヴィッチ新監督に加え、昨季はスランゴールでリーグ得点王を獲得したイフェダヨ・オルセグンを獲得するなど補強に余念がありませんが、開幕まで1ヶ月と迫った中でのザイナル監督解任が選手たちに動揺をもたらしかねず、タイトルどころか昨季から残る選手と新加入選手間の不協和音に発展する可能性すらあります。

タイ1部リーグ第18節-エルドストールがスズキカップ後初の先発フル出場

タイ1部リーグ第18節が1月22日と23日に開催され、マレーシア代表のDFジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・マデル・アマラン・マデルネル)が所属するチョンプリーFCは今季から1部に昇格したコーンケン・ユナイテッドFCを相手に3試合ぶりの勝利を挙げ、リーグ3位を維持しています。

2022年1月23日@チョンブリースタジアム
チョンブリーFC 2-0 コーンケン・ユナイテッドFC
前節第17節に続いて先発したジュニオール・エルドストールは、スズキカップ2020後は初となるフル出場し、勝利に貢献しています。
(試合のハイライト映像はタイリーグの公式YouTubeチャンネルより)

タイ1部リーグ順位表(第18節終了時)

順位チーム得失差勝点
1ブリーラムU1712232038
2バンコクU1710341433
3チョンブリーFC189541532
順位は上位3チームとマレーシア人選手が所属するチョンブリーFCのみ表示しています。
タイ1部リーグ第24節-エルドストールは終了間際に途中出場もチームは2位浮上

変則日程となったタイ1部リーグ第24節が1月29日と30日に開催され、マレーシア代表のDFジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・マデル・アマラン・マデルネル)が所属するチョンプリーFCは、第10節では1-2と敗れていたポートFCを相手に一度は追いつかれながらもデニス・ムリーリョのゴールで3-2と勝利し、リーグ2位に浮上しています。

2022年1月30日@チョンブリースタジアム
チョンブリーFC 3-2 ポートFC
前節第18節では先発してフル出場したジュニオール・エルドストールですが、この試合では後半ロスタイム90+5分からの出場となりましたが、そのわずかな時間にイエローカードをもらっています。
(試合のハイライト映像はタイリーグの公式YouTubeチャンネルより)

タイ1部リーグ順位表(第24節終了時-第19節から23節は未消化のため暫定)

順位チーム得失差勝点
1ブリーラムU1813232142
2チョンブリーFC1910541635
3バンコクU1910351333
順位は上位3チームとマレーシア人選手が所属するチョンブリーFCのみ表示しています。

1月30日のニュース
マレーシアが2030年までにアジアトップ5入りするための指針F:30は見直しが必要
スズキカップ惨敗はFAMの意思疎通や計画性の欠如と監督の指導力不足が原因-JDTオーナー

マレーシアがアジアトップ5入りするための指針F:30は見直しが必要

マレーシア代表が2030年までにアジアのトップ5入するための指針「F:30」を作成したマレーシアサッカー協会FAMですが、FAMのハミディン・アミン会長は、新型コロナの影響によりこの指針の修正が必要となっていることを認める発言をしていると英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。なお、ハミディンFAM会長は今月就任したスコット・オドネル テクニカルディレクターTDがこの修正を担当するとも話しています。

2018年10月にFAMが発表して指針「F:30」は、12年後の2030年までにマレーシア代表をアジアでのトップ5入りを実現するという何とも無謀な計画を進めるための指針です。2019年から今年2022年までの第一段階では、目標実現のためにマレーシアサッカーの基礎を固めるために、運営、競技レベル、人材育成および設備の各分野を向上させ、2023年から2026年までの第二段階では、これをアジアの上位国並みの水準まで引き上げ、第三段階となる2027年から2030年にはアジアはもとより世界と戦えるマレーシア代表チームを作り上げるという内容がこの指針では示されています。

ハミディン会長は新型コロナによる影響で過去2年間は指針で示された計画が進んでいないことを認めた上で、オドネルTDに対して2ヶ月程度を期限に必要に応じた指針の修正案を作成するよう指示したということです。「F:30」は単に代表チーム強化についてだけの指針ではなく、ユースや女子、フットサル、ビーチサッカー、さらには指導者や審判、また運営や財務などといった内容までを含むマレーシアサッカー再興のためのものであることを常に意識しておく必要がある。」と述べたハミディンFAM会長は、代表チームの成績は上がり下がりするもので、AFC選手権アジアカップ2023 出場という目標が達成できれば、東南アジアサッカー連盟AFF選手権ススキカップ2020でのグループステージ敗退により指針から遅れた分は取り戻すことができると話しています。

スズキカップ惨敗はFAMの意思疎通や計画性の欠如と監督の指導力不足が原因-JDTオーナー

Mリーグ1部スーパーリーグのジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーで、ジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は、意思疎通や計画性の欠如と監督の指導力不足がスズキカップ2020でのグループステージ敗退の原因だと指摘し、大会後にマレーシアサッカー協会FAMが依頼した独立委員会による敗因分析すら時間の無駄だったと酷評しています。

JDTがプレシーズン合宿中のアラブ首長国連邦のドバイで、スポーツ専門チャンネルのアストロアリーナのインタビューに答えたイスマイル殿下は「何の見通しもないまま計画を立てることは夢を見るのと同じことだ。JDTでは、自分のところに報告が上がって来れば、それをもとに判断し、必要なことを直ちに実行する。判断にはスピードが必要で、形式的な手続きにこだわり過ぎると物事は前に進めなくなる。JDTではミーティングを何度も行うことはなしない。」と述べています。

また代表チームの選手選考に影響を及ぼした「見えない手」の存在や、さらにその「見えない手」がイスマイル殿下自身なのではないかという疑惑について問われると、それを一笑に付した上で、マレーシアサッカー協会FAMと代表監督だけが代表チームに関する決定権を持っていると指摘した上で、スズキカップグループステージ敗退については、そのFAMとタン・チェンホー前代表監督がその責任を負うべきであると個人的には考えていると述べています。「まず第一に意思疎通が不十分だった。FAMは当初、スズキカップ2020にはU23代表を派遣する予定でいたが、突如それがA代表派遣に変わった。またタン前代表監督には指導力が欠けていた。大会前から明確な計画が示されておらず、それが今回の惨敗につながった。またFAMは代表選手招集の際に、JDTの複数の選手がスズキカップに出場できない理由をメディアに説明しなかった。マシュー・デイヴィーズはスポーツヘルニアの手術を受け、ラヴェル・コービン=オングとシャマー・クティ・アッバはいずれも鼠蹊部の痛み、ナチョ・インサは心臓検査のためスペインへ帰国していたが、FAMはなぜこの事実をメディアを通じてファンに知らせなかったのか。その結果、JDTの選手がマレーシア代表でプレーすることを自分が望んでいなかった印象をファンに与えてしまった。」「また代表チームでは戦術に対する理解を監督と話し合って確認するのではなく、コーチングボード上で指示されただけだったと聞いている。その結果の戦術理解不足がスズキカップ敗退の原因であれば、監督がその責任を負うべきである。」

さらにイスマイル殿下はJDTの選手がそもそも代表チームでプレーすることに興味がないのではないかと指摘されると、代表チームでプレーすることは選手の履歴において重要であり、マレーシア人選手なら誰でも代表チームでプレーすることを望んでいるとし、「代表チームが勝てば誰もJDTについて言及しないが、代表チームが敗れるとなぜかJDTが非難される。スズキカップでも(JDTの)サファウィ・ラシドやアキヤ・ラシド、シャールル・サアドがゴールを決めているにもかかわらず、誰もそれを話題にしない理由が自分にはわからない。」とも述べ、指導力不足の監督と意思疎通能力が欠如しているFAMとは無関係にも関わらず、自分が諸悪の根源のように批判されていると話す一方で、誰かを避難することは簡単だが、それでは問題解決にはつながらないとして、問題の解決方法を模索することが重要だとしています。

またマレーシア代表の監督に就任したキム・パンゴン氏については、FAMはキム監督にチームマネージャの権限も与えた上で、その手腕を評価する前に一定の時間を与えるべきだとも述べています。自身の戦術や戦略、そしてその元になる哲学を代表チームに浸透させるには時間が必要だとして、今年6月のAFC選手権アジアカップ2023大会最終予選での成功を期待するべきではなく、また代表選手の選考についてはキム監督を全面的に支え、それに介入するべきではないとも提言しています。

1月28日のニュース
クチンシティのイルファン監督は今季終了後に勇退へ
AFF選手権に向けてU23代表が始動
ヤクルトがチャリティーマッチの収益で聴覚障害者スポーツ支援

クチンシティのイルファン監督は今季終了後に勇退へ

英字紙ニューストレイトタイムズはMリーグ2部プレミアリーグのクチンシティを率いるイルファン・バクティ・アブ・サリム監督が今季終了後に勇退すると報じています。Mリーグ監督としては最年長となる73歳のイルファン監督は今季終了後に26年に渡る指導者としての生活を終えることを決めており、クチンシティの1部スーパーリーグ昇格を実現し、それ置き土産として勇退したいと考えていると言うことです。

2011年にはトレンガヌを率いてFAカップ優勝を果たしているイルファン監督は、Mリーグではヌグリスンビラン、スランゴール、ペナンなどを含む10のクラブで監督経験がある他、2007年にはインドネシア1部のプルシプラ・ジャヤプラでの指導経験もあります。

イルファン監督最後のシーズンとなるクチンシティは、昨季からプレーするセンターバックのアイルトンと、同じプレミアリーグのクランタン・ユナイテッドから2年ぶりに復帰する谷川由来の両外国籍選手は決まっており、残る2名の外国籍選手枠には今月末にリームに合流する予定の、いずれもストライカーの英国とリベリア出身選手が加わると言うことです。

AFF選手権に向けてU23代表が始動

先日参加メンバーが発表されたU23代表の第一次合宿が昨日1月27日よりスタンゴール州プタリンジャヤのPKNSグラウンドで始まっています。来月2月にカンボジアのプノンペンで開催される東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権に向けての代表合宿初日には、母国オーストラリアで休暇を過ごし、マレーシア入国後の検疫隔離中のブラッド・マロニー監督とアメリカから参加予定のワン・クズリを含めた8名の選手が参加しなかったものの23名の選手が参加し、マロニー監督がチームに合流する2月3日までカン・ハンメン コーチが指揮を取ると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

取材に対応したカン コーチは合流が遅れている選手について、Mリーグでプレーする7選手については所属クラブのプレシーズン練習などで合流が2月6日になると話す一方で、ワン・クズリについては「個人的な事情」から合流が遅れているとして、現在も交渉を続けていることを明らかにしています。なお、U23代表は2月3日にサバFCと、2月8日にはクダあるいはFAM-MSNプロジェクトと、そして2月10日にはKLシティと練習試合を行った後、2月12日にはカンボジアへ向けて出発し、2月15日には予選B組の初戦となるミャンマー、2月18日にはラオスといずれもビサカスタジアムで、また2月21日にはインドネシアとモロドクテコ国立競技場で対戦し、予選A、B、C各組の首位と最も良い成績を収めた2位が出場する準決勝進出を目指します。

ヤクルトがチャリティーマッチで集めた寄付をデフサッカー支援に寄付

4年に1度、世界規模で行われる聴覚障害者のための総合スポーツ競技大会デフリンピックが今年5月にブラジルで開催されますが、この大会に選手を派遣するマレーシア聴覚障害者スポーツ協会MSDeafは記者会見を開き、ヤクルトマレーシア社が24万3700リンギ(およそ670万円)の支援を行ったことを発表しています。

ブルナマの報道によれば、これはヤクルトマレーシア社が昨年12月11日に主催したチャリティーマッチで集めた31万5000リンギから経費を引いた金額ということです。なお、このチャリティーマッチでは、デフサッカー(聴覚障害者サッカー)マレーシア代表と元日本代表の本山雅志(クランタン・ユナイテッド)らMリーグでプレーする日本人選手とマレーシア代表のノーシャルル・イドラン・タラハ(サラワク・ユナイテッド)らマレーシア人選手で構成されたチームが試合を行いました。

MSDeafのオン会長はヤクルトマレーシア社からの支援について、マレーシアからはバドミントン、陸上、マウンテンバイク、空手、ボーリングの5つの競技に24選手が出場する今年5月のデフリンピックの準備の他、今年10月に韓国で行われるアジア太平洋地区デフサッカー予選の準備などにも使われる予定であると説明しています。



1月24日のニュース
マラッカUの新監督起用は吉と出るか凶と出るか
マラッカUは昨季のMリーグ得点王を含む新加入の外国籍選手を発表

Mリーグ1部のマラッカ・ユナイテッドはクラブ公式Twitterでリスト・ヴィダコヴィッチ監督の就任を発表しています。 ボスニア・ヘルツェゴビナ出身のヴィダコヴィッチ監督は過去3季監督を務めたザイナル・アビディン・ハサンに代わっての就任です。53歳のヴィダコヴィッチ監督は、今季開幕後わずか5試合で辞任した元JDT監督のマリオ・ゴメス氏に代わって昨年10月にインドネシア1部リーグのボルネオFCの監督に就任していましたが、それからわずか2ヶ月で自身も辞任し、マラッカ・ユナイテッドの監督に就任しています。

2006年から2007年にかけてはセルビア代表チームのアシスタントコーチの経験があるヴィダコヴィッチ監督は、スペインではムルシア、エシハ、カディスといったクラブでの指導経験がある他、フィリピン1部のセレス・ネグロスFC(現ユナイテッドシティFC)では2017年から2019年までの3連覇を、またモルディブ1部リーグでは2020/2021年シーズンのマジヤS&RCでリーグを制しています。

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過去3季連続で給料未払い問題が明らかになったマラッカ・ユナイテッドは、2020年と2021年の両シーズンはいずれも勝点3を剥奪される状況下で指揮を取ったザイナル・アビディン監督への選手の信頼は厚く、給料が支払われていなかった中、昨季は38年ぶりとなるマレーシアカップ準決勝進出を決めたのも、ザイナル・アビディン監督がいたからだと話す選手がいる一方で、給料未払いが続いたにも関わらず今季もクラブに在留した選手の多くが、ザイナル・アビディン監督が今季も指揮を取るとクラブから説明されたからだとしている選手もいることから、こういった「ザイナル・アビディ監督派」とヴィダコヴィッチ監督あるいは経営陣との間で確執が生じる可能性も秘めています。

マラッカUは昨季のMリーグ得点王を含む新加入の外国籍選手を発表

マラッカ・ユナイテッドは昨季は同じ1部スーパーリーグのスランゴールFCで26ゴール(22試合)を挙げてリーグ得点王に輝いたFWイフェダヨ・オルセグンの加入をクラブ公式Twitterで発表しています。マラッカ・ユナイテッドには4季ぶりの復帰となるイフェダヨ選手は、前回在籍した201年にはリーグ戦とカップ戦合わせて21試合で20ゴールを挙げています。

またマラッカ・ユナイテッドはガーナ出身の左ウイングのエマヌエル・オッティとフィリピン代表のセンターバック、ジャスティン・バースの加入も発表しています。昨季はJリーグのベガルタ仙台に在籍し、リーグ戦7試合出場にとどまったオッティ選手は仙台移籍前はポルトガル2部リーグのFCヴィゼラやデンマーク2部リーグのエスビャウfB、インドネシア1部リーグのマドゥラ・ユナイテッドFCでもプレー経験があります。またオランダ人の父を持つ21歳のバース選手はオランダ1部リーグのAZアルクマールのユースを経て、オランダ2部リーグでAZアルクマールのセカンドチームであるヨングAZでプレーした後、タイ1部リーグのラーチャブリーFCを経て、昨季はフィリピン1部リーグのユナイテッドシティFCでプレーしています。

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昨季からMFソニー・ノルデとFWアドリアーノが残留し、今回発表になった3選手と合わせて、外国籍選手枠5名が埋まったマラッカは、アルジェリアとカタールの両国籍を持つイフェダヨ選手がアジア枠、フィリピン代表のバース選手がアセアン東南アジア枠での登録となりそうです。ところでバース選手は昨年末の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップにもフィリピン代表として出場していますが、年代別代表でもプレーしています。フィリピンで開催された2019年の東南アジア競技大会通称シーゲームズでは、19歳ながらフィリピンU23代表のメンバーとしてマレーシアU23代表と対戦していますが、このときに試合後のあいさつで礼を欠く行為を働き一悶着を起こしたことがあり、これを覚えているサポーターからは開幕後に激しくヤジられる可能性もあります。




1月21日のニュース
JDTがアセアン枠で2名のスペイン系フィリピン人選手の加入を発表し外国籍選手は合計9名に

JDTがアセアン枠で2名のスペイン系フィリピン人選手の加入を発表

Mリーグ1部スーパーリーグのジョホール・ダルル・タジムJDTは、公式FacebookでDFカルリ・デ・ムルガとFWビエンベニード・マラニョン両選手の加入を発表しています。いずれもスペイン生まれの両選手ですが、フィリピン代表でプレーしており、アセアン(東南アジア)枠の外国籍選手として加入するようです。33歳のデ・ムルガ選手は、昨季は同じスーパーリーグのトレンガヌで主将を務め、リーグ戦とマレーシアカップ合わせて22試合に出場しています。一方の35歳のマラニョン選手はフィリピン1部リーグのユナイテッドシティFCから加入しますが、昨年末の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップにはフィリピン代表として出場しています。

現在はスーパーリーグ7連覇中のJDTですが、昨季のマレーシアカップではKLシティに決勝で敗れて2季連続の国内2冠を逃した直後から、大幅な選手の入れ替えを敢行し、クラブ史上最多ゴール記録を持つゴンザロ・カブレラや将来のインドネシア代表候補のシャーリアン・アビマニュなどがチームを離れた一方で、マレーシア代表の右サイドバック、シャーミ・サファリを同じスーパーリーグのスランゴールから、またセリエAのウディネーゼからはストライカーのフェルナンド・フォレスティエリを獲得しています。デ・ムルガ、マラニョン両選手との契約を発表したFacebookの投稿では、Mリーグやマレーシアカップに加え、3年ぶりに再開するマレーシアFAカップや4季連続出場となるACLグループステージなどで年間50試合程度が予想されていることから、選手の起用はローテーションで行うことを前提とした大所帯になっていることも発表されています。

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マレーシア国内の新聞では「JDTが3名のスペイン人選手獲得」といった見出しが出ていたものの、蓋を開けてみればスペイン出身ではあるものの、スペイン人選手ではなく、スペイン系選手だったということでした。3番目となるもう1人のスペイン人選手は、来週からアラブ首長国連邦のドバイで行われるJDTのプレシーズン合宿でチームに合流すると発表されています。

ところで今回契約が発表されたデ・ムルガ、マラニョン両選手や新加入のフォレスティエリ選手の他に、JDTには昨季のリーグ戦とカップ戦合わせて30ゴールを挙げているFWベルグソン・ダ・シルヴァやMFレアンドロ・ヴァレスケス、さらにはいずれもDFのマウリシオやシェーン・ロウリーが在籍しています。またセカンドチームのJDT IIには昨季の2部プレミアリーグ得点王のフェルナンド・ロドリゲスも残留しており、ドバイで合流予定のスペイン人選手を合わせると既に9名の外国籍選手が在籍することになります。Mリーグ1部スーパーリーグはアセアン枠とアジア枠それぞれ1名を含む5名の外国籍選手登録が可能ですが、当然ながらこの9名全員が登録できるわけではありません。ではどうするのか。JDTはトップチームでプレーする5名以外は、Mリーグ2部プレミアリーグに所属するセカンドチームのJDT IIの選手として登録し、ケガや体調不良、あるいはローテーションなどの必要があれば、いつでも好きなときにトップチームとセカンドチームの外国籍選手を入れ替えることができます。アジア枠1名を含む4名までの外国籍選手を登録できるプレミアリーグにセカンドチームを持つトレンガヌやスランゴールも同様のことを行なっていますが、ボラセパマレーシアJP的にはこの仕組み自体が果たして公正なのかどうかが疑問です。スーパーリーグのクラブは資金を投じてセカンドチームを作り、そのセカンドチームをプレミアリーグでプレーさせれば同じことができるのだから、それで良いという考えもあるでしょうが、外国籍選手枠が決まっている中でその入れ替えができるチームとできないチームが同じ土俵で戦うことに対して、そもそもこの国のサッカーファンから異論が出てこないのは、この仕組みはこの国では問題なく受け入れられているということかも知れません。


1月20日のニュース
ザイナル・アビディン監督が交代すればマラッカUはチーム崩壊も
パハンにはラオス代表のエースが加入か

ザイナル・アビディン監督が交代すればマラッカUはチーム崩壊も

Mリーグ1部スーパーリーグのマラッカ・ユナイテッドは、新規選手獲得禁止などの処分を課せられることがわかるとようやく昨季の未払い給料を支払うなど経営陣に問題のあるクラブですが、どうも問題はそれだけではなさそうだとスポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。具体的には、3月4日の今季Mリーグ開幕まで残り1ヶ月半ほどのこの時期にマラッカ・ユナイテッドで指揮官の交代騒動が起こっているということです。

マラッカ・ユナイテッドは2019年シーズンからザイナル・アビディン・ハサン監督が指揮を取っていますが、今季に向けたマラッカ・ユナイテッドのプレシーズン練習は始まっているものの、その練習にザイナル・アビディン監督が不在であることから、監督交代が起こるのではという噂が日増しに大きくなっています。そんな中、給料未払いが言わば「年中行事」となったマラッカ・ユナイテッドにもかかわらず、昨季のメンバーは大半がチーム残留を選んでいますが、これは今季2022年シーズンもザイナル・アビディン監督が指揮を取ることが確約されたことが理由であると、チームのベテランDFモハマド・ラズマン・ロスランがスタジアムアストロに明かしています。給料が支払われていなかった昨季もマレーシアカップでベスト4進出を果たしたのは、ザイナル・アビディン監督が指揮を取っていたからだと説明したラズマン選手は、今季のチームの指揮を誰が取るのかを知らされていないとも話しています。

「クラブの経営陣は今季の監督とトップチームの選手を近いうちに発表すると聞いてはいるが、経営陣がどのような判断を下すのかは全く知らされていないが、大半の選手が契約を更新したのはザイナル・アビディン監督が今季も指揮を取るという説明を受けたからだ。契約を更新した選手の中には、他のクラブから獲得オファーを受けていた選手もいるが、彼らもザイナル・アビディン監督が指揮を取ると聞いて残留を決意している。」と話したラズマン選手は、もしザイナル・アビディン監督が交代するとしたら選手たちはどう反応するかという問いに対し、経営陣に約束を破られた選手は残念であるだろうし、実際にチームがどうなるかは正直わからないと不安を述べています。

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2019年シーズンからザイナル・アビディン監督が指揮を取るマラッカ・ユナイテッドは、過去3シーズンは6位、9位、8位という成績で、2020年シーズン終了後には、成績不振を理由に条件付きでザイナル・アビディン監督の契約が延長になった経緯もあります。しかしその一方で、経営陣による給料未払い問題により、2020年と2021年シーズンにはそれぞれ勝点3を剥奪される処分を受けています。もし剥奪された勝点3を上乗せして順位を見直すと2020年は9位から7位に、2021年も8位から7位に浮上します。しかも上でラズマン選手が話しているように給料を支払われないまま戦っていた選手のモチベーションに影響がないはずがなく、この成績をザイナル・アビディン監督の責任とするのは全くの筋違いに思えます。メディア上ではザイナル・アビディン監督の後任として、マレーシア代表監督を辞任したタン・チェンホー氏やKLシティでアシスタントコーチを務めるネナド・バチナ氏の名前がソーシャルメディア上では取り沙汰されており、交代劇が起これば、今度こそ選手の不満も爆発し、チームが崩壊してしまう可能性もあります。

パハンにはラオス代表のエースが加入か

Mリーグ1部で昨季10位のパハンにラオス代表のエースが加入するとマレーシア語紙ブリタハリアンが報じています。加入するとされているのは昨年末に開催された東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020にもラオス代表のメンバーとして全試合にチームのワントップとして先発出場したストライカーのビリー・ケトケオポムポンです。両親はラオス出身ながらフランスで生まれ育ったケトケオポムポン選手は、スズキカップ2020で初めてラオス代表としてプレーしていますが、フランスでは今季は2部リーグのUSLダンケルクに所属していました。AJオセールやアンジェSCOなどでもプレー経験があるケトケオポムポン選手の加入についてパハンは公式に発表していませんが、既にマレーシア入りし、現在は検疫隔離中だとブリタハリアンは報じています。31歳のケトケオポムポン選手の加入は、昨季はリーグ7位の23得点(22試合)と攻撃力不足に泣いたパハンにとっては大きな戦力アップが期待されると共に、5人の外国籍選手枠が全て埋まったことになります。

昨季2度目のトランスファーウィンドウ期間に加入しパハンの1部残留に大きな貢献をしたMFマヌエル・イダルゴと、期限付き移籍していたトレンガヌからもどったMFリー・タックが残留したパハンは、ケトケオポムポン選手に加えて、ヨルダンの年代別代表やA代表の経験もあるストライカーのマフムード・ザアタラ(ヨルダン1部リーグのアル・サルトSCから加入)、センターバックのヨハン・マルシャル(フランス2部FCソショー=モンベリアルより加入。ちなみに弟はマンチェスターUやフランス代表でプレーするアントニー・マルシャル)らの新戦力に加え、今季Mリーグで6年目を迎えるFWエセキエル・アグエロがFIFAの規定を満たしていることから、マレーシアの国籍が取れ次第、帰化選手としてマレーシア人選手登録で出場する可能性があります。

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スズキカップ2020ではラオス代表の中で1人だけ図抜けている印象だったケトケオポムポン選手のパハン加入を決断した理由について、ブリタハリアンは2016年にアンジェSCOでチームメートだった元パハンのディクソン・ヌワカエメの後押しがあったこともその一つであるという裏話も紹介しています。在籍時は「鉄人」の愛称でサポーターからの人気が非常に高かったヌワカエメ選手が、こんな形で現在もパハンの力になっているというのはなかなか良い話でした。

1月18日のニュース(1)
ACL-JDTは川崎フロンターレや広州FCと同組に
AFCカップ-クダとKLシティは日本人所属クラブとの対戦も

ACL-JDTは川崎フロンターレや広州FCと同組に

アジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACLの今季2022年グループステージの組み合わせ抽選がクアラルンプールのAFCハウスで行われ、マレーシアから出場するMリーグ覇者のジョホール・ダルル・タジムJDTは、タイ代表のチャナティップ・ソンクラシンが加入した昨季のJリーグ覇者川崎フロンターレ、2013年と2015年のACL覇者広州FCと同じI組に入っています。なおI組のもう1チームは蔚山現代FC(韓国)とポートFC(タイ)が対戦するプレーオフの勝者となります。なお集中開催で行われるACLグループステージI組は4月15日から始まります。

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マレーシア国内では圧倒的な強さを誇るJDTですが、アジアの壁に跳ね返されて続けています。悲願となるグループステージ突破を目指すには、今季も厳しいグループに入ってしまいました。(まぁACLでは厳しくないグループなどそもそもないですが)4季連続グループステージ出場となるJDTは、昨季2021年は名古屋グランパス、浦項スティーラーズに敗れグループ3位、その前年2020年はヴィッセル神戸、広州恒大(当時、現広州FC)、水原三星(韓国)と同じ組になり水原三星戦では勝利を挙げたものの、新型コロナウィルス感染拡大による中断を挟んで集中開催地カタールで再開したグループステージは、マレーシア政府が不要不急の渡航を禁止したことから出場辞退しています。

AFCカップ-クダとKLシティは日本人所属クラブとの対戦も

またAFCはACLの下位大会に当たるAFCカップのグループステージ組み合わせ抽選を行い、マレーシアから出場するクダ(昨季スーパーリーグ2位)とKLシティ(昨季マレーシアカップ優勝)の両クラブの対戦相手も決まっています。

H組に入ったKLシティは、帰化選手となりシンガポール代表入りを目指すMF仲村京雅、DF山下柊哉の両選手を擁するタンピネス・ローヴァーズ(シンガポール、昨季国内リーグ4位)、PSMマカッサル(インドネシア、2019年国内カップ優勝)、そしてミャンマーのシャン・ユナイテッド(2020年国内リーグ1位)とエーヤワディー・ユナイテッド(2020年国内リーグ3位)の間で行われるプレーオフの勝者と同組になっています。

またG組のクダは、スズキカップ2020のマレーシア代表戦でゴールを決めたFWイルファン・ジャヤや、やはりマレーシア戦に出場したインドネシア代表正GKナデオ・アルガウィナタが所属するバリ・ユナイテッド(インドネシア、2019年国内リーグ1位)、DF大村真也、MF藤井亮、FW堀越大蔵の3選手が所属し、昨季2021年シーズンにはACLに出場しているカヤFC-イロイロ(フィリピン、2021年国内カップ戦優勝)、そしてMリーグのトレンガヌやペラでプレーしたDFチエリー・チャンタ・ビンが所属するビサカFC(カンボジア、2021年国内カップ戦優勝)とDF川上典洋が所属するヤングエレファンツ(カンボジア、2020年国内リーグ3位)が対戦するプレーオフの勝者と同組になっています。

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レベルの高いACLも面白いですが、東南アジアのクラブ同士の対戦が多いAFCカップも拮抗した試合が多く魅力的です。特にクダとKLシティにはこのAFCカップで好成績を上げて、クラブランキングの上昇、そしてマレーシアからのACLの出場枠を現在の1枠からプレーオフ出場を含めた1+1枠、そして将来的にはグループステージ2枠が獲得できるように頑張ってもらいたいです。