11月16日のニュース:年間MVPは2年連続でサファウィ・ラシドが受賞-ナショナルフットボールアウォード各賞発表

年間MVPは2年連続でサファウィ・ラシドが受賞
 11月15日に開催されたナショナルフットボールアウォードABK2019では、MFL1部ジョホール・ダルル・タクジムJDTのMFサファウィ・ラシドが昨年2018年に続き、2年連続で年間最優秀選手賞MVPを受賞しています。
 今季2019年はリーグ戦、カップ戦合計で20ゴールを挙げた22歳のサファウィ選手は、このMVPの他、最優秀フォワード賞、ファン投票で選ばれる最も人気のある選手Most Popular Playerにも選ばれています。
 昨年の初受賞の際には、史上最も若くしてMVPを獲得したサファウィ選手ですが、成功の秘訣を問われると、練習、試合いずれも常に全力で臨んでいることを挙げ、将来的にはオファーがあれば海外のクラブでプレーすることを望んでいると述べる一方で、これまで自分を育ててくれたJDTのオーナーであるジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下の意思も尊重したいと述べています。

ナショナルフットボールアウォード各賞発表
 上記のサファウィ選手のMVP、最優秀フォワード賞以外も発表になっていますが、大方の予想通りJDTが席巻しています。なお各賞の受賞者は以下の通りです。
 最優秀選手:サファウィ・ラシド(JDT)
 最優秀フォワード:サファウィ・ラシド(JDT)
 最優秀ミッドフィルダー:モハマドゥ・スマレ(パハンFA)
 最優秀ディフェンダー:シャルル・サアド(ペラTBG)
 最優秀ゴールキーパー:ファイザル・マーリアス(JDT)
 最優秀外国籍選手:ジオゴ・ルイス・サント(JDT-ブラジル)
 最優秀外国籍選手(アセアン):ハリス・ハルン(JDT-シンガポール)
 ベストヤングルプレーヤー賞:アキヤ・ラシド(JDT)
 最優秀監督:ドラー・サレー(パハンFA)
 ゴールデンブーツ(最多得点):フェルナンド・ロドリゲズ(クダFA)
 最高人気選手:サファウィ・ラシド(JDT)
 最優秀クラブ:JDT
 最優秀サポーターグループ:ボーイズオブストレイト(JDT)
 最優秀ソーシャルメディア:johorsoutherntigers.com.my(JDT)
 最優秀ホームページ:JDT
 MFL1部スーパーリーグ最多得点(マレーシア人選手):サファウィ・ラシド(JDT-8ゴール)
 MFL1部スーパーリーグリーグ最多得点(外国籍選手):クパー・シャーマン(PKNS FC-14ゴール)
 MFL2部プレミアリーグ最多得点(マレーシア人選手):ボビー・ゴンザレス(サラワクFA-9ゴール)
 MFL2部プレミアリーグリーグ最多得点(外国籍選手):ザルコ・カラチ(UITM FC-13ゴール)
 最優秀M3リーグ選手:ファクルル・ザマン(ケランタン・ユナイテッド)
 ファン投票による2019年ベストチーム
 監督:アイディル・シャリン(クダFA)
 GK:イフワット・アクマル・チェク・カシム(クダFA)
 DF:リザル・ガザリ、シャキル・ハムザ、レナン・アルヴェズ(以上クダFA)、ラヴェル・コービン=オング(JDT)
 MF:リー・タック(トレンガヌFC)、バドロル・バクティアル(クダFA)、ブレンダン・ガン(ペラTBG)
 FW:サファウィ・ラシド、ジオゴ・ルイス・サント、アキヤ・ラシド(以上JDT)
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 リーグ6連覇に加え、今季はマレーシアカップも優勝したJDTが大方の予想通り、受賞者の7割方を占めました。個人的には今季就任し、昨季の6位から今季は4位と順位を引き上げ、FAカップ優勝を果たしたクダFAのアイディル・シャリン監督が最優秀監督を受賞するだろうと思っていました。
 なおナショナルフットボールアウォードの各賞は、マレーシアサッカー協会FAM、マレーシアプロサッカー選手会、マレーシアサッカーコーチ協会、マレーシアスポーツ記者協会などの代表者からなる選考委員会による候補者選定後、MFL1部と2部各クラブの監督と主将、そして23名のメディア関係者による投票で、また最高殊勲選手MVPは、5名からなら選考委員会の投票で決定します。
(写真はファン投票による2019年ベストチーム-MFLのFacebookより)

11月13日のニュース:MFLはPKNS FCとPKNP FCのBチーム化を承認、UITM FCが棚ぼたで1部昇格、TFC IIは鈴木ブルーノと契約更新せず、パハンFAはサファウィ・バハルディンとの契約を解除、マラッカUはロメル・モラレス獲得、MFLは来季からの背番号に関する規則を改定

MFLはPKNS FCとPKNP FCのBチーム化を承認
 マレーシアフットボールリーグMFLはホームページで、スランゴール州サッカー協会FASとペラ州サッカー協会PAFAから出されていたPKNS FCとPKNP FCのそれぞれスランゴールFAとペラTBGのBチーム化申請を承認したこと発表しています。
 規定ではBチーム創設は、書面にて1年前に申請することになっていますが。別の規定ではMFL理事会の承認がある場合はこの限りではないとなっており、今回はそちらの規定により申請から1ヶ月程度で申請承認となっています。

UITM FCが棚ぼたで1部昇格
 上記の記事に関連して、MFL1部のPKNS FCがスランゴールFAのBチームとなることで、PKNS FCは「AチームとBチームは同一リーグでプレーすることができない」というMFLの規定により、MFL2部へ降格になります。これによりMFL1部は11チームになってしまうため、今季2019年MFL2部で5位のUITM FCがその空席を埋めるべく昇格することになったと、MFLのホームページで告知しています。
 スランゴール州の州都シャーアラムにある公立大学UITMを母体とするUITM FCは、高等教育機関のサッカークラブとして初めて国内トップリーグに参加するクラブという歴史を作っています。

TFC IIは鈴木ブルーノと契約更新せず
 マレーシアフットボールリーグMFL2部のトレンガヌFC IIは、今季2019年シーズンに在籍した外国籍選手のうち、コートジボアール出身のMFデチ・マルセル・ングエッサンのみと契約を更新すると発表しています。
 この結果、FW鈴木ブルーノ、FWアカニ・サンデイ・ワシウ(ナイジェリア)、MFセルヒイ・アンドレイエフ(ウクライナ)の各選手は退団となります。
 トレンガヌFC IIを統括するトレンガヌ州サッカー協会のロシャデイ・ワハブ会長は、空席となった3名の外国籍枠は代わりの選手を獲得する予定ではあるが、候補者は決まっていないと話していると、スポーツ専門サイトスタジアムアストロは伝えています。
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 鈴木選手とアンドレイエフ選手は、先日このブログでも取り上げたバングラデシュで開催されたシーク・カマル国際クラブカップに出場したトレンガヌFCに参加し、優勝に貢献しています。しかも鈴木選手は今季のチーム得点王でもあります。
 なお鈴木選手はツイッター上でチームへの感謝を述べるとともに、新チームへの移籍を希望することを表明しています。

パハンFAはサファウィ・バハルディンとの契約を解除
 サッカー専門サイトGoal. comマレーシア版では、MFL1部パハンFAのDFサファウィ・バハルディンが契約解除されたことを報じています。シンガポール代表でもプレーする28歳のサファウィ選手は、2020年まで契約が残っていましたが、契約満了前のリリースとなっています。サファウィ選手は自身のインスタグラムでこの契約解除について告知していますが、その理由については何も述べられておらず、パハンFAのファンやチームメートなどに感謝の意を述べています。
 今季2019年はリーグ戦とカップ戦合わせて23試合に出場した主力選手の退団で、外国籍選手枠の内のアジア選手枠が空くことになり、新たなアジア人選手の獲得につながる可能性があります。

マラッカUはロメル・モラレス獲得
 MFL1部のマラッカ・ユナイテッドは、今季はPKNS FCでプレーしたコロンビア出身のMFロメル・モラレスと来季の’1年契約を結んだことを、マレーシアの通信社ベルナマが伝えています。
 マラッカ・ユナイテッドを統括するマラッカ州サッカー協会MUSAの発表によると、MUSAのダミエン・ヨー新会長立ち合いのもとで、契約が交わされたということです。
 攻撃的MFのモラレス選手は、2018年にPKNS FCと契約し、2シーズンで17点を挙げています。

MFLは来季からの背番号に関する規則を改定
 MFLはホームページで、来季2020年シーズンより選手が着用できる背番号を1から99までと改訂することを発表しています。なお、今期まではMFL出場選手は1から30まで、U21のプレジデントカップチームとU19のユースカップチームの選手は31から50を着用することが決められていました。
 また51から60までの番号については、MFLの2度目の移籍期間トランスファーウィンドウ期間中に移籍してきた選手のみが着用可能としています。

10月29日のニュース:マレーシアカップ準決勝の勝敗決定方法についてMFLが説明、マレーシアカップ決勝は両チームにおよそ3万枚のチケットが割り当てられる、マレーシアカップ決勝は5年ぶりにブキ・ジャリル国立競技場で開催

マレーシアカップ準決勝の勝敗決定方法についてMFLが説明
 第1戦3-3、第2戦は延長も含めて5-5と2試合で16ゴールと壮絶な試合となったマレーシアカップ準決勝のクダFA対パハンFAの試合。この試合はアウェイゴールルールによってクダFAが決勝進出を決めましたが、延長の120分に同点ゴールを決めたパハンFAのディクソン・ヌワカエメがPK戦に持ち込んだと思いガッツポーズを取るなど選手はもちろん、パハンFAのホーム、ダルル・マクムール・スタジアムに詰めかけた29,275名の観衆の多くも、ぜクダFAが決勝進出が理解できなかったようです。
 これを受けて、マレーシアカップ を主催するマレーシアフットボールリーグMFLが公式ホームページで声明を発表し、今回適用されたアウェイゴールルールは新たに設けられたものではなく、2010年からマレーシアカップ 、マレーシアFAカップ、チャレンジカップなど国内のカップ戦で既に採用されていることを説明する事態になっています。
 欧州サッカー連盟UEFA主催のチャンピオンズリーグなどでは、延長戦でのゴールも含めてアウェイゴールが適用されますが、アジアサッカー連盟AFC主催の試合では、延長戦でのゴールはアウェイゴールルールの適用外となっています。第1戦は3-3、そして第2戦は90分の試合時間内ではやはり3-3でしたので、AFCの規則に照らせば、両チームともそれぞれアウェイゴールは3となり、試合の決着はPK戦により決定となります。しかし国際サッカー連盟FIFAは、加盟国の国内試合に関しては所轄の連盟にアウェイゴールールの詳細決定を委ねています。マレーシアの場合は延長も含めてのアウェイゴールルール採用となっていることから、延長での2-2も加えるとパハンFAのアウェイゴールは3、クダFAのアウェイゴールは5となり、クダFAが勝利チームになったわけです。

マレーシアカップ決勝は両チームにおよそ3万枚のチケットが割り当てられる
 クダFA対JDTの対戦が決まったマレーシアカップの決勝戦ですが、クダFAを倒閣するクダ州サッカー協会KFAとジョホール州サッカー協会PBNJには、それぞれ31,610枚のチケットが割り当てられると、マレーシアの通信社ベルナマ が報じています。
 KFAによると、チケットは10月31日よりクダFAの本拠地であるダルル・アマンスタジアムで26,610枚が売り出され、残る5,000枚はクダFAのサポーターを対象にネット販売されるということです。
 一方PBNJは、ジョホール州内全10地区で26,610枚のチケットが販売され、残りはJDTのホームであるタン・スリ・ハサン・ユノススタジアム(通称ラーキンスタジアム)とオンラインでやはり10月31日から販売されるということです。

マレーシアカップ決勝は5年ぶりにブキ・ジャリル国立競技場で開催
 過去4年間のマレーシアカップ決勝は、スランゴールFAのホームでもあるシャーアラムスタジアムで開催されてきましたが、今季2019年決勝は5年ぶりにブキ・ジャリル国立競技場で開催されることになりました。
 このブログでも何度か取り上げてきましたが、ブキ・ジャリル国立競技場は、そのピッチの状況の悪さから、マレーシア国内はもとより海外のチームからも評判が悪く、バルセロナが直前になって試合の会場変更を求めたり、先日のFIFAワールドカップ予選ではUAEのベルト・ファン・マルワイク監督が不満を述べるなど、酷評されています。
 しかし今年8月にブキ・ジャリル国立競技場はマレーシア代表の公式戦全ての開催会場、つまりマレーシア代表のホームとなったことで、コンサートなどの他の用途での使用が限られるようになり、ピッチ管理などにより多くの費用が注ぎ込まれるようにもなっています。
 また今回の決勝では、マレーシア史上初となるスタンドの座席番号の導入も行われるようです。マレーシアのスタジアムは一般的に座席の範囲は決まっているものの、座席そのものの指定はなく、皆が好きなところに早い者勝ちで座るようになっています。今回は試験的な導入となるようですが、この結果で完全な指定席制度が普及していくかもしれません。


 

マレーシアカップ準決勝第2戦の結果まとめ

10月26日(土)にマレーシアカップ準決勝第2戦の2試合が行われました。カードはスランゴールFA(マレーシアフットボールリーグMFL今季3位)対ジョホール・ダルル・タクジムJDT(同1位)、パハンFA(同2位)対クダFA(同4位)でしたが、それぞれJDTとクダFAが勝ち抜け、11月2日の決勝に駒を進めています。

スランゴールFA3-0JDT(第1戦と第2戦の合計はスランゴールFA1-5JDT)
得点者:JDT-サファウィ・ラシド3(25分、46分、51分)
 準決勝第1戦に2ー1と勝利したものの、エースのジオゴを欠き、第2戦に不安を残したJDTでしたが、そんな不安を払拭したのは復帰したジオゴではなく、時世代のエースとされながら代表では結果が出ず苦しむ、サファウィ・ラシドでした。
 スランゴールのDFをかわして先制ゴールを決めると、2点目は前に出ていたGKの頭の上を越える左足からの美しいループシュート、そしてGKの足の間を抜いて決めた3点目でスランゴールFAを粉砕し、2014年(準優勝)、2017 年(優勝)に続く3度目のマレーシアカップ 決勝進出を果たしています。

パハンFA5-5クダFA(第1戦と第2戦の合計はパハンFA8-8クダFA)
得点者:パハンFA-ディクソン・ヌワカエメ2(33分、120分)、ラザラス・カイムビ2(71分、76分)、エラルド・グロン(114分)、クダFA-フェルナンド・ロドリゲス2(9分、118分)、ジョナサン・ボウマン(56分)、バドロル・バクティアル(86分)、レノン・アルヴェス(93分)
 第1戦と第2戦の合計が8-8という壮絶な試合は、アウェイゴールルールにより、クダFAがパハンFAを振り切って、決勝進出を決めています。
 両チームとも積極的にゴールを狙って始まった試合でしたが、第1戦ではクダFA相手に3点のアウェイゴールを挙げていたパハンFAは、試合前の段階ではクダFAに対して心理的に優位に立っていたはずでした。試合はスペイン出身FWフェルナンド・ロドリゲスのゴールでクダFAが先制しましたが、パハンFAはすかさずエースのFWディクソン・ヌワカエメのゴールで追いつきます。
 後半に入ると、ジョナサン・ボウマンのゴールで再びクダFAがリードを奪いましたが、ラザラス・カイムビが71分に同点の、そして76分に逆転のゴールを決めて3-2とリードした時点で、勝負あったかに思えた試合は、85分にクダFAのキャプテンバドロル・バクティアルが同点ゴールを決め、この時点で両チームにアウェイゴールのアドバンテージがなくなりました。
 3-3のまま試合は延長戦に入ります。延長前半にはレノン・アルヴェスのゴールで再びクダFAがリードし、今度はクダFAにアウェイゴールのアドバンテージとなりました。すかさずパハンFAもヌワカエメ選手が得たPKをエラルド・グロンが決めて同点としますが、クダFAのロドリゲス選手がこの日2点目となるゴールを118分に決めて再度リードを奪いました。その後120分には、ヌワカエメ選手が同点ゴールを決めるも、試合はそこで終了しクダFAが決勝へ進出しました。
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 JDTとクダFAの対戦は2017年のマレーシアカップ決勝と同じ顔合わせとなりました。シャーアラムスタジアムで行われた決勝は、アイディル・ザフアンとゴンザロ・カブレラのゴールでJDTがクダFAを2-0で下し、初タイトルを獲得しています。

10月20日のニュース:マレーシアカップ準決勝で偽造チケットが見つかる、ケランタン州サッカー協会のアドバイザーに現職国防大臣が就任

マレーシアカップ準決勝で偽造チケットが見つかる
 10月19日にクダ州アロースターで行われたマレーシアカップ 準決勝のクダFA対パハンFAの試合前に偽造チケットが見つかったこと英字ニューストレイトタイムズ電子版が伝えています。
 偽造チケットは、本物のチケットと比べると紙質が違っているものの、セキュリティー用のホログラムやチケット裏側にマレーシアフットボールリーグMFLのロゴが印刷されている一方で、ロゴ自体はMFLの古いロゴが使われていたようです。
 試合前日にファンによってクダ州サッカー協会に持ち込まれた偽造チケットは、オープンスタンドへの入場が可能なチケットで15リンギ(およそ390円)で売られていたということですが、準決勝のオープンスタンチケットは売り出しから数時間で売り切れとなっていたということで、準決勝当日には入場口で厳格なチケットのチェックが行われ、またクダFAは警察に被害届を出したことなどが記事では述べられています。

ケランタン州サッカー協会のアドバイザーに現職国防大臣が就任
 マレー語紙ブリタハリアン電子版では、現職のモハマド・サブ国防大臣がクランタン州サッカー協会KAFAのアドバイザーに就任したことが報道されています。
 現在は与党連合の希望同盟所属構成党の国民信任党党首を務めているサブ氏ですが、1990年代にはケランタン州選出の全マレーシア・イスラム党PAS所属の国会議員として2期務めた経験を持っており、クランタン州では知名度もある人物です。
 外国籍選手のシーズン途中での全員解雇や給料未払い問題など、このブログでも何度か取り上げてきたKAFAの厳しい財政状況は、その運営資金を州政府頼りとすることが限界に来ていることによります。現政権の閣僚がアドバイザーになることで、KAFAへの信用が増し、スポンサーが獲得へ繋がる可能性が高くなるだろうとこの記事はまとめています。
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 全マレーシア・イスラム党PASは、クルアーンやスンナといったイスラム法源に基づく「マレーシア・イスラム国家」を設立を党是とし、クランタン州やトレンガヌ州といったマレー半島東海岸の保守的な地域から大きな支持を得ている超イスラム政党です。このPASが州政府与党のクランタン州では、イスラム教に基づき金曜日が公休日であり、その前日の木曜日も多くの学校、企業が全休となっているなど、マレーシアの他の地域と一線を画している地域でもあります。

マレーシアカップ準決勝第1戦の結果まとめ

今季2019年最後のカップ戦マレーシアカップはいよいよ準決勝。その第1戦が、10月19日にジョホール・ダルル・タクジムJDTとクダFAのホームで行われました。なお、準決勝第2戦は、10月26日にスランゴールFAとパハンFAのホームで開催されます。

JDT2-1スランゴールFA
得点者:JDT-シャフィク・アーマド(15分)、レアンドロ・ヴァレスケス(49分)、スランゴールFA-イフェダヨ・オルセグン(17分)
 代表でも絶好調のシャフィク・アーマドがこの試合でもゴールを決めてJDTが先制しましたが、スランゴールもイフェダヨ・オルセグンがゴール前でDFをかわして巧みなシュートで同点ゴールを決め、前半を終了した試合はレアンドロが決勝ゴールを決めています。
 この試合はJDTのエース、ジオゴが負傷のため先発どころかベンチ入りもできない状況でしたが、FWの位置に入ったシャフィック選手がジオゴ不在を感じさせない活躍でチームを引っ張りました。個人的には、代表でもこのポジションを試してもらいたいのですが、代表のタン・チェンホー監督はこの試合をどう見たでしょうか。
 またスランゴールFAもエンドリックを欠くなど、ベストの布陣ではありませんでしたが、鼠蹊部(そけいぶ)負傷で出場のなかったサンドロ・ダ・シルバが2ヶ月半ぶりの復帰して75分プレーするなど朗報もありました。スランゴールFAのバスカラン・サティアナタン監督も1点を取れたことで第2戦に希望がつながったと述べるなど、悲壮感というよりもむしろ余裕が感じられるコメントがメディア上で見られました。
 ちなみに今季までMFL6連覇中のJDTですが、カップ戦に関してはこの6年間で2016年のFAカップ、2017年のマレーシアカップと2度の優勝にとどまっています。
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 ちなみに来季2020年から新たに建設されたスルタン・イブラヒムスタジアムがホームとなるJDTにとって、この日の試合がタン・スリ・ハサン・ユノススタジアムでの最後の試合となりました。マレーシアフットボールMFL6連覇が始まる前年の2013年からホームとして使われているこのスタジアムは、日本人にとっては、1997年11月16日に日本代表がイラン代表を破ってFIFAワールドカップ初出場を決めたラーキンスタジアムと言えばピンと来る方もいるかもしれませんね。

クダFA3−3パハンFA
得点者:クダFA-フェルナンド・ロドリゲス2(33分、40分PK)、ザクアン・アドハ(90分)パハンFA-ワン・ザハルニザム(14分)、ディクソン・ヌワカエメ(26分)、ノー・アザム・アジー(73分)
 前半で2-0とパハンFAがリードする展開となった試合は、クダFAが2-2と追いつきましたが、ケガのためFIFAワールドカップアジア予選のベトナム戦を欠場した代表MFのノー・アザム・アジーがゴールを決めパハンFAが3-2としました。このままパハンFAが逃げ切るかと思われましたが、途中出場のザクアン・アドハが試合終了直前にゴールを決め、クダFAが辛くも追いついて引き分けとなりました。

10月14日のニュース:予算増で第二、第三のルクマンを、ワールドカップ の前にアジアのスタンダード到達を目指せ、日本滞在中のMFLコーチが台風19号の恐怖を語る

予算増で第二第三のルクマンを
 マレーシアのリム・グアンエン財務相は10月11日、連邦議会下院で2020年度国家予算案を発表しましたが、その中で国家サッカー選手養成プログラムNFDPへ4500万リンギ(およそ11億6000万円)が投入されることが明らかになりました。これは昨年度の配分額1500万リンギ(およそ3億9000万円)から大幅な増額になっています。
 マレーシア政府の肝煎(きもい)りで2014年から始まったこのプログラムは、政府のスポーツ青年省を中心に教育省(日本の文科省に相当)、マレーシアサッカー協会FAMなどが共同で運営する東南アジア最大の養成プログラムで、毎年1月、専任のスカウトチームが国内を回って探し出した7歳から17歳の選手およそ5万5000人がセレクションを受験し、その半数以下ほどの合格者が国内123箇所にあるユースアカデミー(Akademi Tunas)に所属して、無償でコーチングを受けることができるようになっています。そのユースアカデミーからさらに選抜された選手たちは、パハン州モクタル・ダハリアカデミー(AMD)に集められ、さらにトレーニングを積みますが、先日、このブログでも紹介した2002年生まれの注目選手60人に選ばれたロクマン・ハキム・シャムスディンは、このAMDのU17チームに所属しています。
 青年スポーツ省傘下の国家スポーツ委員会NSCのダト・アーマド・シャパウイ・イスマイル事務局長はマレーシアの通信社ベルナマの取材に対し、現在はNFDPに所属しているおよそ1万5000人の選手が今回の予算増によって海外遠征などがより可能になる他、女子選手育成にも大きな助けになると述べています。

ワールドカップの前にアジアのスタンダード到達を目指せ
 FIFAワールドカップアジア2020年大会二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選では、ベトナムに1-0と破れ、3試合で勝点3、予選グループGでは5チーム中4位という位置につけているマレーシア ですが、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版ではアジトパル・シン記者の署名入りで「ワールドカップの前にアジアのスタンダード到達を目指せ」という記事を掲載しています。
 シン記者はベトナム戦を振り返って、FIFAランキング99位のベトナムは158位のマレーシアと比べるとスピード、組織力、判断力などあらゆる面で優っていたとし、東南アジアトップレベルとマレーシアの差はこれまで以上に開いていると述べています。その一方で帰化選手を含めたマレーシア代表も明らかに進歩しているとし、教科の方向性は間違えてはないと指摘。そこでまず提案されているのが国際親善試合のマッチメイキングです。
 今年2019年のマレーシア代表の国際親善試合の相手はシンガポール(直近のFIFAランキング157位)、アフガニスタン(同146位)、ネパール(同161位)、ヨルダン(同98位)、スリランカ(同202位)とヨルダンを除けば、ほぼ似たようなランクか格下の相手ばかりとなっていますが、同じ予選グループGで来月対戦する1タイ(同114位)はインド(同104位)、中国(同68位)、ウルグアイ(同6位)、ベトナム、コンゴ共和国(同90位)と全てが格上相手の試合を組んでいます。
 国内リーグを通しての選手強化は、リーグの規模を考えると限界があるとして、より強い相手との国際親善試合の必要性をシン記者は述べ、さらにはワールドカップではなく、アジアカップの最終予選出場を目指すことが現実的な目標であると述べています。
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 ワールドカップ二次予選の残り5試合中、ホームでの試合は11月14日のタイ戦、11月19日のインドネシア戦そして来年2020年3月31日のベトナム戦が残っていますが、この3試合に勝利することができれば、マレーシアは各グループ3位、あるいはグループ4位チームの内の上位4チームに出場権が与えられる最終予選に進出できる可能性が高いです。

日本滞在中のMFLコーチが台風19号の恐怖を語る
 台風19号は日本各地で猛威を振るいましたが、ちょうど同じ時期にマレーシアフットボールリーグMFL所属クラブの監督数名が、アジアサッカー連盟AFCディプロマコースに参加するために日本に滞在しており、そのときの恐怖を英字紙ニューストレイトタイムズ電子版で語っています。
 このコースに参加していたのはドラー・サレー(MFL1部パハンFA)、メフメト・ドゥラコビッチ(同ペラTBG)、ザイナル・アビディン・ハサン(同マラッカ・ユナイテッド)、デヴァン・クプサミー(同プタリンジャヤシティFC)、スライマン・ハシン(MFL2部UKM FC)の各監督とイルファン・バクティ前トレンガヌFC監督の6名で、コース終了後に新潟のホテルに滞在中に台風19号に見舞われたようです。
 この中でUKM FCのスライマン監督は、人生で初めて台風というものを経験したそうで、生きた心地がしなかったと記事の中で述べています。ホテルの中にいるように指示を受けたので、何か被害があったわけではないものの、台風が新潟を襲った午後4次ごろから真夜中までは他の監督も皆、恐怖を感じ、もう二度と同じ経験はしたくないとも語っています。
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 マレーシアでは豪雨が降ることはあっても、台風が来ることはありませんので、この時期日本にいたマレーシア人にとっては、各地で記録的な大雨をもたらした台風19号に恐怖を感じたというのは、決して大袈裟な表現ではないのだろうと思います。

10月8日のニュース:マレーシアカップ準決勝クダFAのホームゲームオンライン販売分は既に売り切れ、ベトナム戦試合会場は30以上の防犯カメラで監視

マレーシアカップ準決勝クダFAのオンライン販売分は既に売り切れ
 マレーシアカップ準決勝第1戦となる10月19日のクダFA対パハンFAは、クダFAのホーム、クダ州アロースターのダルル・アマンスタジアムで開催されますが、オンライン販売分はすでに売り切れたことが、クダFAのFacebookで告知されています。
 マレーシアフットボールリーグMFLの公式スポンサーでもあり、もう一つのカップ戦FAカップの冠スポンサーでもあるシンガポールのネット通販サイトShopee(ショッピー)は、MFLやFAカップ、マレーシアカップのチケットを販売していますが、今季は開幕当初から「チケット1枚購入につき1枚無料」キャンペーンを行なっていますが、今回はその結果2000枚プラス2000枚の計4000枚があっという間に売れてしまったようです。絶対に売れるチケットなのにこんなキャンペーンを継続するとは太っ腹なのか、商売下手なのかはわかりませんが…。
 なお残りのチケットは試合前日の10月18日に試合会場となるダルル・アマンスタジアムのカウンターで販売が行われるようです。
 ちなみに、英語では飛ぶように売れることを”like a hot cake”「パンケーキのように」(売れる)と言いますが、このチケット騒動を取り上げた記事を読んで、マレーシア語では同様のことを”macam goreng pisang panas”と言うのを初めて知りました。macam(マチャム)は「〜のように」、goreng(ゴレン)はナシゴレンのゴレンで「炒める、揚げる」、pisang(ピサン)は「バナナ」、panas(パナス)は「熱い・暑い」なので「熱々のバナナフリッターのように」(売れる)となりますが、確かに揚げたてのゴレンピサンは外側がカリッ、中がトロリと美味しいので納得です。(オンライン販売終了を伝えるクダFAのFacebookでの告知)

ベトナム戦試合会場は30以上の防犯カメラで監視
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選グループGのベトナム対マレーシアは10月10日に行われますが、その会場となるハノイのミーディン国立競技場には30代以上の防犯カメラが設置されているとマレー語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 スタジアム管理会社の話として、2017年から設置されているこれらの防犯カメラは、サポーター同士のトラブルなどの問題が発生する前に対応できるようになっており、挙動不審者や、発煙筒や爆竹の投げ込みなどをカメラが捉えた場合には保安要員が現場に直行できる体制を取っているとしています。
 また入場前には警察によるボディチェックを行なわれ、来場者の安全確保に最大の注意を払っている点をスタジアム管理会社は強調しています。
 3-2と勝利したジャカルタでのインドネシア戦では、マレーシアサポーターはインドネシアサポーターの投石などでケガ人を出し、マレーシア代表自体も警察の装甲車両でスタジアムから宿舎まで移動せざるを得なくなるなどの事態を経験しています。特に今回はFIFAランキング99位のベトナム対158位のマレーシアながら、接戦が予想されるだけに、万が一マレーシアが敵地で勝つようなことがあれば、試合後は大荒れになることも予想されます。

マレーシアカップ準々決勝第2戦の結果まとめ

マレーシアカップの準々決勝第2戦が9月28日(金)と29日(土)に行われ、準決勝に進出する4チームが決定しています。*左側がホーム、(カッコ)内は第1戦と第2戦の合計成績です。
 順当と言えば順当ですが、勝ち上がったのは今季のマレーシアフットボールリーグMFLの上位4チーム。準決勝のカードはMFL優勝チームJDT対同3位スランゴールFA、MFL2位パハンFA対同4位クダFAと決まり、第1戦は10月18日(金)から20日(日)のいずれか、第2戦は10月25日(金)あるいは26日(土)に予定されています。

ジョホール・ダルル・タクジムJDT4-0トレンガヌFC(5-1)
得点者:JDT-ゴンザロ・カブレラ2(16分PK、39分)、サファウィ・ラシド2(22分、36分)、トレンガヌFC-リー・タック(45分)
 昨季2018年シーズンのマレーシアカップ 準決勝で対戦した両チームは、第1戦がトレンガヌFCのホームで1−0、JDTのホームで開催された第2戦は2-2でトレンガヌFCが決勝に進みましたが、今季はJDTがトレンガヌFCに圧勝しています。

スランゴールFA3−1ペラTBG(3-2)
得点者:スタンゴールFA-シャズワン・ザイノン(34分)、カイリル・ムヒミーン2(45分、69分)、ペラTBG- ブレンダン・ガン(83分)
 通算で33回優勝(2位のペラは8回、但しかつてマレーシア国内リーグに参加していたシンガポールは24回優勝)とマレーシアカップ では圧倒的な強さを誇るスランゴールFAが昨季の覇者ペラTBGを破り、2015年以来4年ぶりの優勝を目指して準決勝に進出しました

クダFA4−1PKNP FC(6-2)
得点者:クダFA-ファルハン・ロスラン(24分)、ジョナサン・バウマン(25分)、ディヴィッド・ロウリー(72分)、ファアド・ズルキフリ(90分)、PKNP FC-ムクハイリ・アジュマル(80分)
 

パハンFA3−1マラッカ・ユナイテッド(6-1)
得点者:パハンFA-ラザラス・カイムビ(42分)、ディクソン・ヌワカエメ2(65分、76分)、マラッカ・ユナイテッド-ナズリン・ナウィ(55分)
 

9月27日のニュース:FAMはMFL1部9クラブと2部3クラブに2020年シーズンのクラブライセンス交付

MはMFL1部の9クラブに2020年シーズンのクラブライセンス交付
 マレーシアサッカー協会FAMのホームページでは、今季2019年マレーシアフットボールリーグMFL1部に所属する12クラブの内、9クラブに来季2020年のクラブライセンスが交付されたことが告知されています。
 この9クラブは、ジョホール・ダルル・タクジムJDT、パハンFA、スランゴールFA、クダFA、ペラTBG、トレンガヌFC、プタリンジャヤPJシティFC、フェルダ・ユナイテッド、クアラルンプールKLFAの9クラブです。
 FAMによるクラブライセンス制度は、各クラブに対して「競技」「施設」「組織運営・人事体制」「財務」「法務」の5分野において一定の基準により審査を行い、第一審機関 (First Instance Body、FIB) がライセンス交付の決定を行います。
 またマラッカ・ユナイテッドとPKNS FCついては5分野のうち基準に満たない分野があるとして、10月30日の期限までにFAMの基準を満たすことができれば、来季のライセンスを交付するとしていますが、その期限を過ぎた場合は2部への降格処分が課せられます。現に2017年シーズンではMFL1部で3位となったフェルダ・ユナイテッドが、クラブライ選手が取得できずに2部降格となった例もあります。
 この他、PKNP FCは申請が却下されたため、クラブライセンスは交付されず、来季は2部降格が確定しています。(ただしPKNP FCは今季1部で11位となり、下位2チームが降格するMFLの入れ替え規定により、すでに降格が決まっています。)
 また、クラブライセンスが交付された9クラブの内、JDT、スランゴールFA、クダFA、ペラTBG、トレンガヌFC、KLFAの6クラブはアジアサッカー連盟AFCのクラブライセンスも合わせて交付されており、AFCチャンピオンズリーグやAFCカップに出場することになれば、その資格も取得しています。
 なお今回交付されたクラブライセンスは2020年の1年間のみ有効ですが、2020年シーズン中に何か問題発生した場合、FAMが資格停止する権限を持っています。
 個人的には今回ライセンスの交付が受けられなかったクラブも結局、マレー人特有の「ティダアパ」(Tidak apa apa、マレーシア語で「問題なし」)とうやむやになってしまうのではないかと思っていますが、FAMが本当に強固な姿勢を取れるのかどうかに注目してみたいです。

MFL2部は3クラブに2020年シーズンのクラブライセンス交付
 同じくマレーシアサッカー協会FAMのホームページでは、今季2019年マレーシアフットボールリーグMFL2部に所属する9クラブの内、3クラブに来季2020年のクラブライセンスが交付されたことが告知されています。(注:MFL2部は2019年は11クラブで構成されていますが、JDT IIとトレンガヌFC IIはそれぞれ1部のJDTとトレンガヌFCのBチームであるため審査対象外です。)
 この3クラブは、中武駿介選手が所属するヌグリ・スンビランFA、今季MFL2部で優勝し、来季は1部昇格が決まっているサバFA、そしてUITM FCの3クラブです。
 またPDRM FC、ペナンFA、スランゴール・ユナイテッドFCの3クラブについては5分野のうち基準に満たない分野があるとして、10月30日の期限までにFAMの基準を満たすことができれば、来季のライセンスを交付するとしていますが、その期限を過ぎた場合は3部となるM3リーグ(アマチュアリーグ)への降格処分が課せられます。
 さらにケランタンFA、サラワクFA、UKM FCの3クラブについては、今回がMFL2部プレミアリーグのクラブに資格審査を行う初年度ということから、10月30日まで資格審査を一時中断する一方で、やはり期限とする10月30日までに5分野で審査基準を満たすことができなければ、M3リーグ降格となると発表しています。