12月17日のニュース:スランゴールFCのサードジャージが大人気、スランゴールFA IIは外国籍選手加入を否定せず、スランゴールFCがアジアチャレンジ2020を開催、KLFAはM3リーグでプレーするBチーム設立を検討

スランゴールFCのサードジャージが大人気
 スランゴールFC(スランゴールFAから名称変更)のサードジャージが大人気となっていると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 12月14日にホームのシャーアラムスタジアムで行われたスランゴールフットボールデー2019の席上でお披露目されたスペインのメーカー、ホマ社製サードジャージは上下、ソックスとも黒一色。しかも限定2000着となれば、マレーシア語で言うところの「揚げたてのゴレン・ピサンのように」よく売れているようです。(ゴレン・ピサンとは、マレーシアで好まれるバナナフリッター。写真下)

 胸スポンサーは、スランゴールFCのBチームとなってしまったPKNS FCの親会社PKNS(スランゴール州開発公社)が採用されているのは皮肉ですが、このスポンサー名は暗闇で光る仕様に、また背番号と選手名は白地になっています。
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 2019/2020年シーズンに創立100周年を記念して作られたボルシア・ドルトムントのパクリでは、などといった声もソーシャルメディア上で出ていますが、カッコ良いので細かなことは気にしません。ちなみに価格はサポーター使用、選手仕様ともに119リンギ(およそ3150円)となっています。

スランゴールFC IIは外国籍選手加入を否定せず
 MFL1部のPKNS FCを、同じMFL1部のスランゴールFA(現スランゴールFC)が吸収合併してBチーム化したスランゴールFC IIは、若い選手に出場機会を与えるというBチーム本来の目的を果たすため、来季2020年は外国籍選手とは契約しないとしていましたが、スランゴールFCとスランゴールFC IIを統括するスランゴール州サッカー協会のジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、MFL3部のM3リーグ降格の可能性がある場合には外国籍選手の獲得には躊躇(ちゅうちょ)しないと発言していると、マレー語紙シナルハリアン電子版が伝えています。
 外国籍選手との契約は、スランゴールFC IIのテクニカルダイレクターも兼任するドイツ人のミハエル・フェイヒテンベイナー新監督が必要とする場合に限るとしながらも、ジョハン・カマル事務局長は、スランゴールFC IIがM3に降格すれば、若手選手を高いレベルのリーグに参加させるというBチーム本来の目的を果たせないとして、当初の発言を翻しています。
 なお、同じ記事の中では、スランゴールFC IIの新監督が決定したことにより、PKNS FCのクリシュナサミ・ラヤゴパル監督との契約は解除となったことや、PKNS FCと契約が残っている選手はスランゴールFCでプレーすることなども合わせて報じられています。

スランゴールFCがアジアチャレンジ2020を開催
 この他のスランゴールFC関連のニュースとしては、来年2020年1月18日と19日の日程で、東南アジアの4クラブによるアジアチャレンジ2020と称する大会をがホームのシャーアラムスタジアムで開催されることも発表されています。今季MFL3位のスランゴールFCが主催する大会に参加予定のクラブは、ハノイFC(ベトナム、今季ベトナム1部リーグ優勝)、バンコク・ユナイテッド(タイ、同準優勝)、ペルシブ・バンドンFC(インドネシア、同7位)の3クラブです。
 スランゴール州サッカー協会のジョハン・カマル事務局長は、プレーシーズンマッチとしてだけでなく、アジアを目指すスランゴールFCが近隣諸国の強豪と対戦することで存在感を示すことが目的とていること、またこの大会では各クラブとも2試合ずつを行い、優勝クラブには賞金としては1万米ドルが与えられるとGoal. comの取材に答えています。
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 ブレンダン・ガン(ペラTBGより移籍)、サフワン・バハルディン(パハンFAより移籍)、ニコラス・スウィラッド(PKNS FCより移籍)などを獲得し、来季の優勝候補の一つに躍り出た新生スランゴールFCのお披露目となる大会ですが、個人的には、ブリーラム・ユナイテッドから元日本代表の細貝萌選手が移籍したことで話題になっているバンコク・ユナイテッドとの対戦が注目カードです。

KLFAはM3リーグでプレーするBチーム設立を検討
 来季はスランゴールFC IIとペラTBG IIが参加するMFL2部。既存のJDT IIとトレンガヌFC IIと合わせ、リーグ所属12チーム中4チームがBチームという少々不思議なリーグになっていますが、今季からこのMFL2部でプレーするクアラルンプールFA(KLFA)は、MFL3部にあたるM3リーグにBチーム設立を検討していると、マレー語紙ハリアンメトロ電子版が伝えています。
 今季MFL1部で最下位12位となり、MFL2部に自動降格となったKLFAは、2021年のMFL1部復帰を目指していますが、それとは別に若手選手の出場機会を増やすためのBチーム設立を検討していることを、クアラルンプールサッカー協会のノクマン・ムスタファ事務局長が明らかにしています。ムスタファ事務局長は、これまでの移籍選手に依存したチーム強化から、自らの下部組織出身の選手を育てることに注力したいと述べ、U19やU21チームの選手がAチーム入りするための準備として、出場機会のない若い選手たちにより多くの実戦経験を積ませたいとしています。
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 地元KL出身のKLFAの選手で代表チームに招集されたのは、今回のシーゲームズのU22代表にオーバーエイジ枠で招集されたイルファン・ザカリアが8年ぶりとなるほど(しかしイルファン選手も来季はクダFAでプレー)、KLFAには地元出身の有力選手が枯渇しています。今季フル代表に招集されたハディン・アズマン(クダFA)、ダニアル・アミール(フェルダ・ユナイテッド)やコギレスワラン・ラジ、ディネシュ・ラジャシンガム(いずれもパハンFA)などKL出身の有力選手は決して少なくはありませんが、KLFAを統括するクアラルンプールサッカー協会が人材流失を防ぐ努力をしてこなかった結果、地元に有力選手が残らず、KLFAもMFL2部で戦うことになったと言えるかも知れません。

11月16日のニュース:年間MVPは2年連続でサファウィ・ラシドが受賞-ナショナルフットボールアウォード各賞発表

年間MVPは2年連続でサファウィ・ラシドが受賞
 11月15日に開催されたナショナルフットボールアウォードABK2019では、MFL1部ジョホール・ダルル・タクジムJDTのMFサファウィ・ラシドが昨年2018年に続き、2年連続で年間最優秀選手賞MVPを受賞しています。
 今季2019年はリーグ戦、カップ戦合計で20ゴールを挙げた22歳のサファウィ選手は、このMVPの他、最優秀フォワード賞、ファン投票で選ばれる最も人気のある選手Most Popular Playerにも選ばれています。
 昨年の初受賞の際には、史上最も若くしてMVPを獲得したサファウィ選手ですが、成功の秘訣を問われると、練習、試合いずれも常に全力で臨んでいることを挙げ、将来的にはオファーがあれば海外のクラブでプレーすることを望んでいると述べる一方で、これまで自分を育ててくれたJDTのオーナーであるジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下の意思も尊重したいと述べています。

ナショナルフットボールアウォード各賞発表
 上記のサファウィ選手のMVP、最優秀フォワード賞以外も発表になっていますが、大方の予想通りJDTが席巻しています。なお各賞の受賞者は以下の通りです。
 最優秀選手:サファウィ・ラシド(JDT)
 最優秀フォワード:サファウィ・ラシド(JDT)
 最優秀ミッドフィルダー:モハマドゥ・スマレ(パハンFA)
 最優秀ディフェンダー:シャルル・サアド(ペラTBG)
 最優秀ゴールキーパー:ファイザル・マーリアス(JDT)
 最優秀外国籍選手:ジオゴ・ルイス・サント(JDT-ブラジル)
 最優秀外国籍選手(アセアン):ハリス・ハルン(JDT-シンガポール)
 ベストヤングルプレーヤー賞:アキヤ・ラシド(JDT)
 最優秀監督:ドラー・サレー(パハンFA)
 ゴールデンブーツ(最多得点):フェルナンド・ロドリゲズ(クダFA)
 最高人気選手:サファウィ・ラシド(JDT)
 最優秀クラブ:JDT
 最優秀サポーターグループ:ボーイズオブストレイト(JDT)
 最優秀ソーシャルメディア:johorsoutherntigers.com.my(JDT)
 最優秀ホームページ:JDT
 MFL1部スーパーリーグ最多得点(マレーシア人選手):サファウィ・ラシド(JDT-8ゴール)
 MFL1部スーパーリーグリーグ最多得点(外国籍選手):クパー・シャーマン(PKNS FC-14ゴール)
 MFL2部プレミアリーグ最多得点(マレーシア人選手):ボビー・ゴンザレス(サラワクFA-9ゴール)
 MFL2部プレミアリーグリーグ最多得点(外国籍選手):ザルコ・カラチ(UITM FC-13ゴール)
 最優秀M3リーグ選手:ファクルル・ザマン(ケランタン・ユナイテッド)
 ファン投票による2019年ベストチーム
 監督:アイディル・シャリン(クダFA)
 GK:イフワット・アクマル・チェク・カシム(クダFA)
 DF:リザル・ガザリ、シャキル・ハムザ、レナン・アルヴェズ(以上クダFA)、ラヴェル・コービン=オング(JDT)
 MF:リー・タック(トレンガヌFC)、バドロル・バクティアル(クダFA)、ブレンダン・ガン(ペラTBG)
 FW:サファウィ・ラシド、ジオゴ・ルイス・サント、アキヤ・ラシド(以上JDT)
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 リーグ6連覇に加え、今季はマレーシアカップも優勝したJDTが大方の予想通り、受賞者の7割方を占めました。個人的には今季就任し、昨季の6位から今季は4位と順位を引き上げ、FAカップ優勝を果たしたクダFAのアイディル・シャリン監督が最優秀監督を受賞するだろうと思っていました。
 なおナショナルフットボールアウォードの各賞は、マレーシアサッカー協会FAM、マレーシアプロサッカー選手会、マレーシアサッカーコーチ協会、マレーシアスポーツ記者協会などの代表者からなる選考委員会による候補者選定後、MFL1部と2部各クラブの監督と主将、そして23名のメディア関係者による投票で、また最高殊勲選手MVPは、5名からなら選考委員会の投票で決定します。
(写真はファン投票による2019年ベストチーム-MFLのFacebookより)

11月13日のニュース:MFLはPKNS FCとPKNP FCのBチーム化を承認、UITM FCが棚ぼたで1部昇格、TFC IIは鈴木ブルーノと契約更新せず、パハンFAはサファウィ・バハルディンとの契約を解除、マラッカUはロメル・モラレス獲得、MFLは来季からの背番号に関する規則を改定

MFLはPKNS FCとPKNP FCのBチーム化を承認
 マレーシアフットボールリーグMFLはホームページで、スランゴール州サッカー協会FASとペラ州サッカー協会PAFAから出されていたPKNS FCとPKNP FCのそれぞれスランゴールFAとペラTBGのBチーム化申請を承認したこと発表しています。
 規定ではBチーム創設は、書面にて1年前に申請することになっていますが。別の規定ではMFL理事会の承認がある場合はこの限りではないとなっており、今回はそちらの規定により申請から1ヶ月程度で申請承認となっています。

UITM FCが棚ぼたで1部昇格
 上記の記事に関連して、MFL1部のPKNS FCがスランゴールFAのBチームとなることで、PKNS FCは「AチームとBチームは同一リーグでプレーすることができない」というMFLの規定により、MFL2部へ降格になります。これによりMFL1部は11チームになってしまうため、今季2019年MFL2部で5位のUITM FCがその空席を埋めるべく昇格することになったと、MFLのホームページで告知しています。
 スランゴール州の州都シャーアラムにある公立大学UITMを母体とするUITM FCは、高等教育機関のサッカークラブとして初めて国内トップリーグに参加するクラブという歴史を作っています。

TFC IIは鈴木ブルーノと契約更新せず
 マレーシアフットボールリーグMFL2部のトレンガヌFC IIは、今季2019年シーズンに在籍した外国籍選手のうち、コートジボアール出身のMFデチ・マルセル・ングエッサンのみと契約を更新すると発表しています。
 この結果、FW鈴木ブルーノ、FWアカニ・サンデイ・ワシウ(ナイジェリア)、MFセルヒイ・アンドレイエフ(ウクライナ)の各選手は退団となります。
 トレンガヌFC IIを統括するトレンガヌ州サッカー協会のロシャデイ・ワハブ会長は、空席となった3名の外国籍枠は代わりの選手を獲得する予定ではあるが、候補者は決まっていないと話していると、スポーツ専門サイトスタジアムアストロは伝えています。
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 鈴木選手とアンドレイエフ選手は、先日このブログでも取り上げたバングラデシュで開催されたシーク・カマル国際クラブカップに出場したトレンガヌFCに参加し、優勝に貢献しています。しかも鈴木選手は今季のチーム得点王でもあります。
 なお鈴木選手はツイッター上でチームへの感謝を述べるとともに、新チームへの移籍を希望することを表明しています。

パハンFAはサファウィ・バハルディンとの契約を解除
 サッカー専門サイトGoal. comマレーシア版では、MFL1部パハンFAのDFサファウィ・バハルディンが契約解除されたことを報じています。シンガポール代表でもプレーする28歳のサファウィ選手は、2020年まで契約が残っていましたが、契約満了前のリリースとなっています。サファウィ選手は自身のインスタグラムでこの契約解除について告知していますが、その理由については何も述べられておらず、パハンFAのファンやチームメートなどに感謝の意を述べています。
 今季2019年はリーグ戦とカップ戦合わせて23試合に出場した主力選手の退団で、外国籍選手枠の内のアジア選手枠が空くことになり、新たなアジア人選手の獲得につながる可能性があります。

マラッカUはロメル・モラレス獲得
 MFL1部のマラッカ・ユナイテッドは、今季はPKNS FCでプレーしたコロンビア出身のMFロメル・モラレスと来季の’1年契約を結んだことを、マレーシアの通信社ベルナマが伝えています。
 マラッカ・ユナイテッドを統括するマラッカ州サッカー協会MUSAの発表によると、MUSAのダミエン・ヨー新会長立ち合いのもとで、契約が交わされたということです。
 攻撃的MFのモラレス選手は、2018年にPKNS FCと契約し、2シーズンで17点を挙げています。

MFLは来季からの背番号に関する規則を改定
 MFLはホームページで、来季2020年シーズンより選手が着用できる背番号を1から99までと改訂することを発表しています。なお、今期まではMFL出場選手は1から30まで、U21のプレジデントカップチームとU19のユースカップチームの選手は31から50を着用することが決められていました。
 また51から60までの番号については、MFLの2度目の移籍期間トランスファーウィンドウ期間中に移籍してきた選手のみが着用可能としています。

11月6日のニュース:FAMは来季クラブライセンス交付追加チームを発表、PKNS FCがスランゴールFAのBチーム化に同意か、MFLはBチーム参入の規定を内密に変更か

FAMは来季クラブライセンス交付追加チームを発表
 マレーシアフットボールリーグMFL1部の2クラブと2部の4クラブが新たに来季2020年シーズンのクラブライセンスの交付を受けたことを、マレーシアの通信社ベルナマが伝えています。
 今回、マレーシアサッカー協会FAMのクラブライセンス交付第一審機関より交付を受けたのは、マラッカ・ユナイテッド、PKNS FC(以上1部)、UKM FC、スランゴール・ユナイテッド、PDRM FC、ペナンFA(以上2部)の6クラブです。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長はこの6クラブの他にケランタンFAとサラワクFAにも、第三者による保証を証明する文書が出されたことにより、未払いの給料があるものの条件付きでライセンスの交付を行ったことも発表しています。ただしFAMはその保証が実行されるかどうかを見守るとしており、実行されない場合には交付されたクラブライセンスが無効になる可能性があることも示唆しています。
 またケランタンFA、サラワクFA、UKM FCについては10月30日の申請締め切り期限を守らなかったことで警告を受けたようです。
 なお来季のライセンス交付は、今年2019年6月30日の時点で未払い給料問題を解決したクラブが対象になっているとし、その後新たに発生した未払い問題については12月15日までにFAMにその解決法と解決時期を報告することを義務付けています。これについてラマリンガム事務局長は、今季の未払い給料等を来季へ持ち越させないための手段であると説明し、FAMのクラブライセンス委員会は未払い給料を抱えるクラブの解決法と解決時期が厳格に守られているかどうかのチェックを行っていくとしています。

PKNS FCがスランゴールFAのBチーム化に同意か
 スポーツ系サイトアストロアリーナによると、PKNS FCのフロントがスランゴールFAとの合併に同意し、PKNS FCがスランゴールFAのBチームとなることが決定したようです。
 スランゴールFAを統括するスランゴール州サッカー協会FASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長が明らかにしています。
 Bチーム参入についてはMFLの規定により参入1年前の申請が義務付けられていますが、ハミドン事務局長によれば、FASは既に最初の申請書をMFLに提出しており、PKNS FCからの合併についての同意書があれば、来季からのPKNS FCのBチーム化の実現にはさほど問題にはならないだろうと楽観視しています。
 また、PKNS FCがスランゴールFAのBチームとなった場合のPKNS FCとスランゴールFAのプレジデントカップ(U21)チームの処遇については、まだ未定としながらも、スランゴールFAのプレジデントカップチームが残る可能性が高いとしています。
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 なお「育成のPKNS FC」とも言えるPKNS FCは今季2019年のプレジデントカップで優勝し、U19チームが参加するユースカップでも昨季2018年は優勝、今季は準優勝している一方、スランゴールFAはプレジデントカップ、ユースカップとも今季は準々決勝でPKNS FCに敗れています。

MFLはBチーム参入の規定を内密に変更か
 スポーツ系サイトフォックススポーツは、上記のPKNS FCのBチーム化について義務付けられている1年前の申請をMFLが公にしないまま変更したのではないかという疑惑を取り上げています。
 PKNS FCのBチーム化については、これまでも多くのメディアで報じられる一方、PKNS FCの監督、選手は反対を表明してきたため、正式な申請は今年中には不可能との予測が出ていました。
 しかし上記でも取り上げた通り、スランゴール州サッカー協会FASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、PKNS FCフロントの同意を得られてことから、来季2020年シーズンには、PKNS FCがスランゴールFAのBチーム、スランゴールFA IIとしてMFLに参加するかのような発言をしています。
 しかしフォックスポーツは、Bチーム参入の条件としてMFLが義務付けている参入1年前の申請という規定をFASが軽視しており、この規定を厳守すれば、今年11月に行われる申請によってBチーム参入が許可されるのは来年2020年11月であるとしています。その上で給料未払いなどの問題では期日を守ることを求めているMFLがこのFASの申請を受理し、来季2020年からスランゴールFAのBチーム、スランゴールFA IIの参入を認めるとなれば、正当な根拠が必要となるだろうとしています。
 特に今回のPKNS FCのBチーム化は、既存のクラブが他のクラブのBチームになるという特殊なケースであり、各クラブを統括するMFLはこの状況について繊細に対応するべきだとした上で、もしこのまま来季からPKNS FCがスランゴールFA IIとなるのであれば、各クラブにもサッカーファンにも公にしないまま内密に規定を変更したと取られても仕方がないと批判的に記事を結んでいます。
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 歴史もあり影響力の大きいFASに対してMFLがなし崩しで屈してしまうとしても、長いものには巻かれることを厭わないマレーシアではありそうなことですが、悪しき前例を一旦、作ってしまうとそれが自らの首をしめかねないので、MFLは威厳を持ってこの問題に対処するべきだと思います。

10月15日のニュース:シーゲームズの組み合わせ決定、MFLはTMに対する訴訟取り下げ、PKNS FC監督はスランゴールFAのBチーム化再検討を求める

シーゲームズの組み合わせ決定
 今年2019年11月30日からフィリピンのマニラを中心に開催される東南アジア競技大会SEA Games(シーゲームズ)のサッカーの日程がアジアサッカー連盟AFCのホームページで発表されています。
 オリンピックのアジア版とも言えるシーゲームズは、東南アジア諸国連合加盟の10カ国と東ティモールの計11カ国が参加する各年開催の大会ですが、サッカーはその中でも目玉競技の一つで、2017年からは各国のU22代表(および2名のオーバーエイジ選手)がメダルを争っています。
 今大会男子ではグループAに入ったマレーシアは、開催国フィリピン、ミャンマー、カンボジア、東ティモールと同組になり、ベトナム、タイ、インドネシア、シンガポール、ラオス、ブルネイがグループBとなっています。
 過去3大会は男子はタイが連覇しており、前回は自国開催ながら決勝で0-1と敗れたマレーシアは2011年大会以来の4大会ぶりの金メダルを目指します。また1985年から始まった女子では、過去10回の大会で、それぞれ5回ずつ優勝のベトナムとタイがインドネシアと同組になっています。
 男子のサッカーは大会開幕前の11月25日から12月10日まで、女子は11月28日空12月9日までの日程となっています。(画像はAFCのホームページより)

MFLはTMに対する訴訟取り下げ
 マレーシアフットボールリーグMFLのホームページでは、マレーシアの国内最大通信会社テレコム・マレーシアTMに対する訴訟取り下げを発表しています。
 MFLとTMは2018年1月に、同社のインターネットサービスプロバイダーブランドUnifiがMFL1部スーパーリーグおよびカップ戦マレーシアカップの冠スポンサー、さらにはFAカップの協賛として8年間で4億8000万リンギ(およそ124億円)の大型契約を締結しましたが、今季2019年MFL開幕前に年間6000万リンギ(およそ15億5000万円)のスポンサー料が支払われなかったとして、MFLはこの契約を破棄すると同時に、契約不履行に基づく賠償請求として4億2800万リンギ(およそ110億円)の訴訟を3月に起こしていました。
 この騒動は、今年3月15日にMFL側がTMとの契約を破棄することを発表したことを発端とし、これに対して3月18日にTM側は昨年2018年11月の時点で、スポンサー契約の最終合意ができていなかった、つまり契約締結には至っていなかったことを主張する発表を行い、これを受けてMFL側が3月21日にTMを提訴していました。なおこのニュースを受け、MFLの主張が認められれば将来の収益を下押しするとの見方から同社の株が売られ、一時は株価が2%近く下落する事態にもなりました。
 訴訟取り下げについての告知記事の中でダト・ハミディン・モハマド・アミンMFL会長は、今回の訴訟取り下げはMFLとTMが共有するスポーツマン精神に基づくものであり、TMは2015年から(MFLの前身である)フットボールマレーシアLLP(Limited Liability Partnership、有限責任事業組合)のスポンサーであること、2000年からマレーシアサッカー協会FAMのスポンサーでもあることなどを挙げ、今回の訴訟取り下げによって、マレーシアサッカーファンが期待するような環境が実現できるよう両者の協力関係を強固にできるとも述べています。さらにマレーシアのサッカーの発展のため、MFLは企業と手を携えていきたいというメッセージも送りたいとしてます。
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 TMの大型契約はTMJことジョホール皇太子トゥンク・イスマイル・イドリス殿下がMFL会長在籍時の2018年に結ばれましたが、この年の5月には1957年の英国独立以来政権を担っていた与党連合国民戦線が総選挙で大敗、現在のマハティール・モハマド首相率いる希望同盟が政権につくというマレーシアでは歴史的な出来事がありました。
 マハティール首相は国民戦線でも首領を務めましたが、その頃から王族の権限縮小に積極的で、それを嫌う「物言う王族」イスマイル殿下とはメディアなどを通じて丁々発止とやりあってきました。そのマハティール首相が政権に復帰したことが、政府系企業でもあるTMの姿勢転換によってイスマイル殿下に「お灸を据えた」のでは、というのが当地のもっぱらの噂です。

PKNS FC監督はスランゴールFAのBチーム化再検討を求める
 このブログでもほぼ確定的と書いたMFL1部PKNS FCのスランゴールFAのBチーム化について、PKNS FCのラヤゴパル・クリシュナサミ監督が再検討を求めて声を挙げているとスポーツ専門チャンネルスタジアムアストロのポータルサイトが報じています。
 U23代表の監督として2009年の東南アジア大会シーゲームズで優勝、フル代表の監督として2011年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップでも優勝と近年のマレーシア代表監督としては抜群の実績を誇るラヤゴパル監督は、Bチーム化案が浮上するまでに十分な検討がされていないこと、またここ数週間はBチーム化がまるで決定したかのような空気でそれ以外の選択肢を検討する余地がなくなっているとして、記事から苛立ちを隠さずに語っている空気が伝わってきます。
 PKNS FCはユース育成に定評があり、今季2019年もMFLのU22チームが対戦するプレジデントカップでは優勝、U19チームが対戦するユースカップでは準優勝しています。PKNS FCのBチーム化により、ラヤゴパル監督はこういったユース育成が今後も続くのかどうかも疑問視しているとし、PKNS FCのフロントにはBチームか再考を求めていくと語っています。
 また実際にPKNS FCがスランゴールFAのBチームになることがあれば、自分とスランゴールFAのバスカラン・サティアナタン監督が同一チームにいるということはあり得ないだろうとも述べています。
 本日10月15日現在、PKNS FCのフロントからも何も公式発表がないということで、ラヤゴパル監督はこれまで通り、週3回のトレーニングでチームを指導しています。
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 この記事にもある通り、代表監督としても実績のあるラヤゴパル監督と、ケランタンFAでマレーシアカップ優勝、国軍ATM FCやフェルダ・ユナイテッドをMFL2部から1部へ昇格させるなど国内での実績が高いサティアナタン監督が同じクラブのAチームとBチームを指導するということは考えられない、というよりももったいないのは事実です。PKNS FCのBチームかとなれば、どちらかがスランゴールFAのAチームの監督になるでしょうが、もう一方は他のクラブの監督に就任する可能性は高いです。



 

10月10日のニュース:MFL2部に3つ目のBチーム誕生は茶番だ、ベトナム戦を前に-練習場で一触即発、ベトナム戦を前に-最近の対戦成績をおさらい、FIFAによるインドネシア連盟への制裁が発表

MFL2部に3つ目のBチーム誕生は茶番だ
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版はアジトパル・シン記者の署名入り記事として、マレーシアフットボールリーグMFL2部に3つ目のBチームが誕生することに警鐘を鳴らしています。
 先日もこのブログで取り上げましたが、MFL1部所属のスランゴールFAを運営するスランゴール州サッカー協会の臨時総会席上で、同じMFL1部所属のPKNS FCをスランゴールFAのBチーム化する案を満場一致で可決しました。PKNS FCからMFLに対しては来季2020年のリーグ戦をBチームと参加することの申請はまだ出ていないようですが、MFLは内諾を与えていると言われています。
 同一クラブが同じリーグでプレーすることができないMFLの規定により、PKNS FCはBチーム化が確定した時点で、今季2019年MFL1部スーパーリーグで9位だったにもかかわらず、MFL2部プレミアリーグへ降格となります。これによりMFL2部は、JDT II、トレンガヌFC II、PKNS FCと昇格権を持たないBチームが3クラブと、予算上の問題から1部昇格を望んでいないとされる大学を母体とするUITM FCとUKM FCの2クラブ、つまりMFL2部12クラブ中の5クラブが1部を目指さない状況となります。
 さらにPKNS FCと同様に州政府関連機関であるペラ州開発公社を母体とするPKNP FCにも、同じペラ州を拠点とするペラTBGのBチーム化の噂もあり、この通りであればMFL2部は所属クラブの半数が1部昇格を目座なしクラブで占められることになります。
 スランゴール州サッカー協会が先日発表した声明では、スランゴール州を拠点とするスランゴールFA、PKNS FC、スランゴール・ユナイテッドを統合する案はこれまでも何度か浮上したものの、様々な障害があり実現しなかったとしています。3つのクラブの運営資金は合計で4400万リンギ(およそ11億3000万円)ながら、結果を出しているのは、MFL1部3位、マレーシアカップ でも準決勝に残っているスランゴールFAだけであるとし、今回の統合では1600万リンギ(およそ4億1000万円)が節約できるだけでなく、スポンサー獲得や入場料収入などでも統合による利点は多いとしています。
 またBチームはスランゴールFAのプレジデントカップチーム(u21チームを対象としたリーグ参加チーム)に所属できなくなる22歳以上の選手がAチーム入りするための育成の場としたいとしています。
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 MFL2部で今季5位だったUITM FCや9位だったスランゴール・ユナイテッド、さらにMFL3部にあたるM3所属のスランゴール州内クラブなど、プレジデントカップを卒業した選手がプレーできるようなBチームとしてスランゴールFAが活用できるクラブは他にあるにもかかわらず、スランゴールFAがPKNS FCのBチーム化にこだわるのは、PKNS FCに提供されている運営資金にあると言われています。個人的にはまずスランゴール・ユナイテッドとの統合を考える方が先だと思うのですが、育成云々よりも単純に運営資金を増やしてJDTに負けない補強したい、と言う考えがあるのだと思います。また、PKNS FCは以下のような意味深な写真をFacebookにアップしています。

ベトナム戦を前に-練習場で一触即発
 本日10月10日はFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼アジアサッカー連盟AFC選手権2023年大会予選のベトナム対マレーシアがハノイのミーディンスタジアムで行われますが、英字紙ニューストレイトタイムズによると、同じ練習会場を割り当てられたマレーシア代表とベトナム代表が一触即発になったと伝えています。
 ベトナムサッカー連盟VFFユーストレーニングセンターを練習会場として割り当てられたマレーシア代表は、練習開始時間とされた午後6時より前の5時45分に到着したところ、練習中だったベトナム代表のパク・ハンソ監督がこれに気づき、マレーシア代表のタン・チェンホー監督とチームに6時までバスから降りずに、フィールドが見えない離れたところでで待つように依頼したそうです。その後マレーシアの選手たちが着替えを行う間、タン監督はベトナム代表の練習を見続けたため、腹を立てたパク監督は練習を終了時間前に切り上げ、別の場所へ移動して続けたとのことです。
 また、試合前日の記者会見では、過去の対戦成績は関係なく当日の試合に集中したいと語ったパク監督は、100%勝利するとは言えないが全力を尽くすと語ったそうです。では、過去の対戦成績とはどうなっているのかを次の記事で紹介します。

ベトナム戦を前に-最近の対戦成績をおさらい
 マレーシアとベトナムは、昨年2018年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップの決勝で対戦していますが、FIFAワールドカップ予選やAFC選手権アジアカップ予選で対戦するのは、実は今回が初めてです。
 両チームの対戦成績は下のインフォグラフィックの通り、1991年からの19試合ではベトナムの11勝3分5敗で、マレーシアがベトナムを最後に破ったのは2014年12月11日のAFF選手権スズキカップの準決勝まで遡らなければなりません。なおこの試合は今回の試合と同じミーディンスタジアムで開催され、現在の代表チームにも所属するFWノーシャルル・イドラン・タラハのゴールを含めた4-2で快勝しています。しかし、マレーシアがベトナムを敵地で破ったのはこの1度きり。残りの4勝は全てマレーシアのホームゲームでした。
 また昨年末のAFF選手権スズキカップでは、グループステージで0-2で敗れ、マレーシアのホーム、ブキ・ジャリル国立競技場で行われた決勝第1戦は2-2の引き分け、ベトナムのホームゲームとなった決勝第2戦は0-1で敗れています。
 ベトナムと対戦したスズキカップ決勝第2戦のメンバーからは、半数近い選手が入れ替わっています。参考までのスズキカップ決勝第2戦のスターティングXIと、2019年9月10日のワールドカップ予選のスターティングXIを併記しておきます。
<2018年12月15日スズキカップ決勝第2戦の先発メンバー>
*太字はUAE戦にも先発したメンバーです。
GK:ファリザル・マーリアス(JDT)
DF:シャミ・サファリ(スランゴールFA)、アイディル・ザフアン(JDT)、シャルル・サアド(ペラFA)、シャズワン・アンディック(JDT)
MF:モハマドゥ・スマレ(パハンFA)、シャマール・クティ・アッバ(JDT)、アクラム・マヒナン(PKNS FC)、サファウィ・ラシド(JDT)、ザクアン・アドハ(クダFA)
FW:ノーシャルル・イドラン・タラハ(パハンFA)
<2019年9月10日WCアジア二次予選UAE戦の先発メンバー>
GK:ファリザル・マーリアス(JDT)
DF:マシュー・デイヴィーズ(パハンFA)、シャルル・サアド(ペラFA)、アダム・ノー・アズリン(JDT)、ラヴェル・コービン=オング(JDT)
MF:モハマドゥ・スマレ(パハンFA)、ブレンダン・ガン(ペラTBG)、ノー・アザム・アジー(パハンFA)、サファウィ・ラシド(JDT)、シャフィク・アーマド(JDT)
FW:ノーシャルル・イドラン・タラハ(パハンFA)
(下のインフォグラフィックはマレーシアサッカー協会FAMのFacebookより)

FIFAによるインドネシア連盟への制裁が発表
 9月5日にジャカルタで行われたFIFAワールドカップアジア二次予選の対インドネシア戦では、マレーシアサポーターは投石されてケガをした方が出たり、試合後にマレーシア代表は警察の装甲車両でホテルへ戻るなど騒乱状態となり、マレーシアサッカー協会FAMはFIFAとアジアサッカー連盟AFCへ正式に抗議する事態に発展しました。
 マレーシアの通信社ベルナマのポータルサイトによると、FIFAからの裁定が発表され、インドネシアサッカー協会PSSIに対しては4万5000スイスフラン(およそ490万円)の罰金が課せられました。またこれを受けてPSSIのラトゥ・ティシャ・デストリア事務局長はこの裁定を受け入れ、課せられた罰金を支払うことを発表しています。
 また同様の事態を避けるために、10月15日に予定されている同じワールドカップ予選の対ベトナム代表戦の会場はジャカルタからバリへ変更されています。

10月3日のニュース:PKNS FCは来季はスランゴールFAのBチーム化決定か、マレーシアカップ決勝はマレーシア人審判が担当、FAMが今季の審判に対する苦情申し立てと処分について発表

PKNS FCは来季はスランゴールFAのBチーム化決定か
 マレーシアのスポーツチャンネルアストロのポータルサイトでは、PKNS FCが来季2020年から同じスランゴール州を拠点とするスランゴールFAのBチームとなる可能性が高くなったと報じています。
 9月28日に開催されたスランゴールFAを運営するスランゴール州サッカー協会FASの臨時総会に参加した47名が、PKNS FCのスランゴールFA Bチーム化案に満場一致で賛成したことを受け、FASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、今回が第一段階とし、PKNS FC側からも同意を得た上で、マレーシアフットボールリーグMFLへこの件を正式に報告することになるだろうと語っています。なお、PKNS FCがスランゴールFAのBチームとなることが決定すれば、同一クラブのAチームとBチームは同一リーグではプレーできないというMFLの規定により、今季はMFL1部9位のPKNS FCは、来季はMFL2部に降格してプレーすることになります。 
 このブログでも何度か紹介しましたが、PKNS FCはスランゴール州政府の機関であるスランゴール州開発公社PKNSを母体とするクラブで、その運営資金はスランゴール州政府から出ています。またスランゴール州サッカー協会FASにもやはりスランゴール州政府から運営資金が出されており、資金力に余裕のあるジョホール・ダルル・タクジムJDTのようなクラブと対等に戦うためにはこれら複数クラブに分散している運営資金を一本化することが必要だという考えに基づいたのが、PKNS FCのBチーム化案です。
 その一方で、やはりこのブログでも数日前に取り上げたU19チームを対象としたユースカップでは今季準優勝、そしてU21チームを対象としたプレジデントカップでは今季優勝するなど、伝統的に選手の育成に定評のあるPKNS FCはこの件についてはコメントを出しておらず、すんなりとBチーム化を受け入れるのかどうかに注目が集まります。

マレーシアカップ決勝はマレーシア人審判が担当
 マレーシアのカップ戦の一つFAカップの今季2019年決勝戦は、日本人の岡部拓人主審と八木あかね、野村修両副審が担当しましたが、11月2日に予定されているマレーシアカップの決勝戦はマレーシア人審判が担当することを、マレーシアサッカー協会FAMの審判委員会のモハマド・ダリ・ワヒド委員長が明言したとマレー語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 今年7月27日に行われたクダFA対ペラTBGのFAカップ決勝戦は、マレーシアサッカー史上初となる外国人審判が担当したカップ戦決勝でした。試合を担当した日本人審判団への高評価がメディアなどに散見した一方で、なぜ国内の試合をマレーシア人審判が担当しないのかという批判もありました。なお、この外国人審判採用については、昨季2018年のマレーシアカップ決勝でマレーシア人のスレシュ・ジャヤラマン主審が試合を十分にコントロールできず、退場者を両チームから出すなどの状況についてFAMへの非難が集中したことも一因です。
 ワヒド委員長は、今回の決定は今季FAカップでの日本人審判団とリーグ戦やカップ戦でのマレーシア人審判と比較検討した上での結論だとした上で、現在開催中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選件2023年アジアサッカー連盟AFC選手権予選の試合でマレーシア人審判が担当している事実を挙げ、一部で言われているほどマレーシア人審判の技量は低くないとも述べています。また既に候補者はリストアップされているようで、ワヒド委員長は、マレーシアカップ 準決勝での出来を見て、決勝戦担当の審判を発表するとしています。

FAMが今季の審判に対する苦情申し立てと処分について発表
 審判関連の話題が続きますが、FAMのワヒド審判委員会委員長は、今季2019年のマレーシアフットボールリーグMFL、FAカップ、そして現在進行中のマレーシアカップの試合での審判について、これまでにマッチコミッショナーから34件、審判アセッサーから21件、当該チームから13件の不満や苦情申し立てが出されていることを明らかにしています。
 FAMは全ての申し立てを精査した上で、警告や試合割り当て停止の他、審判の再教育を含めた処分などを課していると話す一方で、審判に対する全ての苦情申し立ては正規の方法でFAMに行うべきだとし、マスメディアやソーシャルメディア上で「審判のせいで負けた」と言った審判批判は行うべきでないと各クラブのスタッフやフロントに警告しています。
 ちなみに直近では、9月29日に行われたマレーシアカップ 準々決勝スランゴールFA対ペラTBG戦でも、スランゴールFAの2点目となったカイリル・ムヒミンの45分のゴールがオフサイドではないかと議論になりましたが、これについては、FAMの審判委員会で映像を参考に確認したところ、明確にオフサイドとの判断にはならなかったものの、アズマン・イスマイル副審の位置取りが悪かったとして、アズマン副審には試合割り当て停止処分となるだろうとワヒド委員長は述べています。

10月1日のニュース:PKNS FC U21がプレジデントカップ優勝、WC予選第3戦へむけてフル代表候補合宿始まる、U19代表は中東遠征を予定

PKNS FCがプレジデントカップ優勝
 先日紹介したユースカップに続いて、U21チームが争うプレジデントカップの決勝第2戦が行われ、PKNS FC U21は0-1でペラTBG U21に敗れたものの、第1戦の結果と合わせて通算2-1で初優勝を遂げています。
 プレジデントカップ(マレーシア語ではPiala Presiden)は、マレーシアサッカーリーグMFL1部の12クラブと、2部のUKM FC、JDT II、トレンガヌFC IIを除く9クラブのU21チームに加え、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府の青年スポーツ省が共同運営する国家サッカー選手養成プログラムの中核をなすモクター・ダハリアカデミーAMD U17チームとマレーシア国軍ATM FC U21チームの合計23チームが参加する育成リーグです。
 参加チームはグループA(11チーム)、グループB(12チーム)の二つのグループに別れて、ホームアンドアウェイで対戦し、それぞれのグループの上位4チームが準々決勝に進出し、さらにホームアンドアウェイで準々決勝、準決勝、決勝を戦います。
 今季2019年のプレジデントカップは、2月の開幕直後にプルリスFAが出場停止処分となったため、グループAは10チーム、グループBは12チームとなり、準々決勝にはグループAは1位JDT III、以下プタリンジャヤPJシティU21、スランゴールFA U21、UTIM U21が、グループBは1位ペラTBG U21、PKNS FC U21、トレンガヌFCIII、PKNP FC U21がノックアウトステージに進出しました。
 そこから決勝に進んだのはグループBの第1位ペラTBG U21と同2位のPKNS FC U21でした。PKNS FCのホームで開催された決勝第1戦はDFシヴァン・ピレイ・アソカンとMFアディブ・ハキミ・サブリのゴールでPKNS FC U21が2-0と勝利し、9月30日にペラTBG U21のホームで行われた第2戦はペラTBG U21が、FWムハマド・ユソフ・アブドゥラのゴールで1-0と勝利するも、通算成績を2-1としたPKNS FC U21が初優勝を遂げています。
 来季はスランゴールFAのBチーム化が噂されているPKNS FCですが、U19対象のユースカップ準優勝、そしてU21対象のプレジデントカップ優勝と「育成のPKNS FC」の看板は伊達ではないことを証明しました。(以下は決勝の両チームの先発XIと優勝を祝うPKNS FC U21。いずれもFAMのFacebookより。)

WC予選第3戦へむけてフル代表候補合宿始まる
 FIFAワールドカップアジア二次予選へ向けて9月30日から始まったフル代表候補合宿ですが、MFL2部のサバFAのMFモハマド・アジザン・ノーディンが追加招集されたとマレー語紙ウトゥサン・マレーシアの電子版が伝えています。マレーシアカップの準々決勝マラッカ・ユナイテッド戦で足首を負傷したパハンFAのMFノー・アザム・アブドゥル・アジーの回復が遅れていることによる追加招集のようで、ノー・アザム選手は代表に帯同するようです。ここまでの予選2試合ではいずれもスタメンでフル出場しているノー・アザム選手の回復が10月15日にハノイで行われるベトナム代表戦に間に合わないとすると、マレーシア代表にとっては痛手になりそうです。
 マレーシア代表のタン・チェンホー監督は、ノー・アザム選手の他にペラTBGのMFパルティバン・ジャナセカラン、MFブレンダン・ガン、DFシャルル・モハマド・サアドとスランゴールFAのMFアブドゥル・ハリム・サアリもケガを負っていると述べており、10月5に予定されているスリランカとの国際親善試合では、代わりとなる選手を含めて数名の選手や、今回追加招集されたJDTのDFモハマド・アイディル・ザフアン・アブドゥル・ラザクやスランゴールFAのGKモハマド・カイルルアズハン・モハマド・カリドをテストしたいと述べています。

U19代表は中東遠征を予定
 11月にアジアサッカー連盟AFC U19選手権予選が控えるU19代表は中東遠征を予定していると英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が伝えています。
 今年2019年8月に行われた東南アジアサッカー連盟AFF U19選手権では、決勝でオーストラリアに0-1で敗れて連覇を逃したマレーシアですが、11月2日からカンボジアで開催されるAFC U19選手権への準備として、アラブ首長国連邦UAEでの10から12日間ほどの遠征と現地での練習試合を予定していることが報じられています。
 最近は収まってきてはいるものの、9月の間は隣国インドネシアでの焼畑による煙害が酷く、当地では学校が休校に追い込まれるほどで、サッカーなど屋外で運動する場合には健康に支障を及ぼすとされるレベルでしたので、そういった心配のない地域への遠征は理にかなっていると思われます。
 なお、マレーシアはAFC U19選手権予選ではグループGに入り、開催国カンボジアあのほか、タイ、ブルネイ、北マリアナ諸島と同組となっています。


 

9月30日のニュース:FAMが審判をVリーグに派遣、ユースカップはトレンガヌFC IVが優勝

FAMが審判をVリーグに派遣
 マレーシアサッカー協会FAMのホームページによると、アジアサッカー連盟AFC審判の資格を持つ2名のマレーシア人審判がベトナムリーグ(Vリーグ)に派遣されることが決まったようです。
 派遣されるのはモハマド・アミルル・イズワン・ヤコブ氏とスハイジ・シュクリ氏の両氏審判で、ベトナムリーグ最終日の10月19日の試合をそれぞれ担当するようです。ベトナムサッカー連盟VFFのホームページでは両審判の担当試合の詳細が告知されています。
 FAMとベトナムサッカー協会VFFとの連携に基づくのこの派遣について、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、両氏がVリーグの試合で正確なレフェリングを見せてくれることに自信を示し、彼らが得た経験がマレーシアの他の審判にとっても有益なものになることを期待しているとしています。(以下はFAMのFacebookに掲載された告知です。)

ユースカップはトレンガヌFC IVが優勝
 ユースカップ(マレーシア語ではPiala Belia)は、マレーシアサッカーリーグMFL1部の12クラブと2部のPDRM FC、UKM FC、JDT II、トレンガヌFC IIを除く8クラブのU19チームに加え、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府の青年スポーツ省が共同運営する国家サッカー選手養成プログラムの中核をなすモクター・ダハリアカデミーAMDU16チームとクアラルンプールのスポーツ専門学校ブキ・ジャリルスポーツ学校BJSKU17チームの合計22チームが参加する育成リーグです。
 参加チームはA、B二つのグループに別れて、ホームアンドアウェイで対戦し、それぞれのグループの上位4チームがノックアウトステージとなる準々決勝、準決勝、決勝をホームアンドアウェイの形式で戦います。
 今季2019年のユースカップは、2月の開幕直後にプルリスFAが出場停止処分となったため、グループAは10チーム、グループBは11チームとなり、準々決勝にはグループAは1位PKNS U19、以下プタリンジャヤPJシティU19、UTIM U19、ケランタンFA U19が、グループBは1位トレンガヌFCIV、AMD U16、ペラTBG U19、スランゴールFA U19がノックアウトステージに進出しました。
 そこから決勝に進んだのは両グループの第1位PKNS FC U19とトレンガヌFCのU19チーム、トレンガヌFC IVでした。昨季2018年と同じカードとなった決勝戦はPKNS FCのホームで開催された第1戦は0-0、そして9月28日にトレンガヌFCのホームで行われた第2戦はトレンガヌFC IVが、マレーシアU18代表でもあるMFムハマド・ムスリフディン・アティク・マット・ザイドが63分に挙げたゴールで逃げ切り1−0で勝利、通算成績を1-0としてPKNS FC U19を破り、昨年の雪辱を果たすとともに初優勝を遂げています。(以下は決勝の両チームの先発XIと優勝を祝うトレンガヌFC IV。いずれもFAMのFacebookより。)

9月27日のニュース:FAMはMFL1部9クラブと2部3クラブに2020年シーズンのクラブライセンス交付

MはMFL1部の9クラブに2020年シーズンのクラブライセンス交付
 マレーシアサッカー協会FAMのホームページでは、今季2019年マレーシアフットボールリーグMFL1部に所属する12クラブの内、9クラブに来季2020年のクラブライセンスが交付されたことが告知されています。
 この9クラブは、ジョホール・ダルル・タクジムJDT、パハンFA、スランゴールFA、クダFA、ペラTBG、トレンガヌFC、プタリンジャヤPJシティFC、フェルダ・ユナイテッド、クアラルンプールKLFAの9クラブです。
 FAMによるクラブライセンス制度は、各クラブに対して「競技」「施設」「組織運営・人事体制」「財務」「法務」の5分野において一定の基準により審査を行い、第一審機関 (First Instance Body、FIB) がライセンス交付の決定を行います。
 またマラッカ・ユナイテッドとPKNS FCついては5分野のうち基準に満たない分野があるとして、10月30日の期限までにFAMの基準を満たすことができれば、来季のライセンスを交付するとしていますが、その期限を過ぎた場合は2部への降格処分が課せられます。現に2017年シーズンではMFL1部で3位となったフェルダ・ユナイテッドが、クラブライ選手が取得できずに2部降格となった例もあります。
 この他、PKNP FCは申請が却下されたため、クラブライセンスは交付されず、来季は2部降格が確定しています。(ただしPKNP FCは今季1部で11位となり、下位2チームが降格するMFLの入れ替え規定により、すでに降格が決まっています。)
 また、クラブライセンスが交付された9クラブの内、JDT、スランゴールFA、クダFA、ペラTBG、トレンガヌFC、KLFAの6クラブはアジアサッカー連盟AFCのクラブライセンスも合わせて交付されており、AFCチャンピオンズリーグやAFCカップに出場することになれば、その資格も取得しています。
 なお今回交付されたクラブライセンスは2020年の1年間のみ有効ですが、2020年シーズン中に何か問題発生した場合、FAMが資格停止する権限を持っています。
 個人的には今回ライセンスの交付が受けられなかったクラブも結局、マレー人特有の「ティダアパ」(Tidak apa apa、マレーシア語で「問題なし」)とうやむやになってしまうのではないかと思っていますが、FAMが本当に強固な姿勢を取れるのかどうかに注目してみたいです。

MFL2部は3クラブに2020年シーズンのクラブライセンス交付
 同じくマレーシアサッカー協会FAMのホームページでは、今季2019年マレーシアフットボールリーグMFL2部に所属する9クラブの内、3クラブに来季2020年のクラブライセンスが交付されたことが告知されています。(注:MFL2部は2019年は11クラブで構成されていますが、JDT IIとトレンガヌFC IIはそれぞれ1部のJDTとトレンガヌFCのBチームであるため審査対象外です。)
 この3クラブは、中武駿介選手が所属するヌグリ・スンビランFA、今季MFL2部で優勝し、来季は1部昇格が決まっているサバFA、そしてUITM FCの3クラブです。
 またPDRM FC、ペナンFA、スランゴール・ユナイテッドFCの3クラブについては5分野のうち基準に満たない分野があるとして、10月30日の期限までにFAMの基準を満たすことができれば、来季のライセンスを交付するとしていますが、その期限を過ぎた場合は3部となるM3リーグ(アマチュアリーグ)への降格処分が課せられます。
 さらにケランタンFA、サラワクFA、UKM FCの3クラブについては、今回がMFL2部プレミアリーグのクラブに資格審査を行う初年度ということから、10月30日まで資格審査を一時中断する一方で、やはり期限とする10月30日までに5分野で審査基準を満たすことができなければ、M3リーグ降格となると発表しています。