5月15日のニュース:来季のMリーグは外国籍選手が減少の可能性、タイ代表に来季のJDT加入の噂、スランゴールFAは給料削減が11月までには終えられることを期待

来季のMリーグは外国籍選手が減少の可能性
 マレー語紙ハリアンメトロ電子版は、経営難に苦しむMリーグのクラブの中から今後は高額外国籍選手との契約解除を行うクラブが出るの可能性を報じています。
 新型コロナウィルスの影響により3月中旬から国内リーグMリーグは中断していますが、その再開の可能性は早くとも9月とされており、収入不足から多くのクラブが給料削減を行っています。
 ハリアンメトロによれば、Mリーグの複数のクラブが外国籍選手の契約を来季まで延長しない、契約完了前の早期契約解除、所属する外国籍選手数の削減などの方法で、リーグ中断による経営難に対処しようとしているとしています。
 特に多くのクラブが検討中であるとされるのが、今季終了後に契約が切れる外国籍選手についてはその契約を延長しないケースです。ハリアンメトロはその理由として解約期間中の契約解除などと比べると法的問題が発生しないことを挙げています。
 マレーシアで代理人業務を行なっているエフェンディ・ジャガン・アブドラ氏によれば、外国籍選手1人との契約を解除することで、クラブは1ヶ月あたり2万リンギ(およそ49万3000円)から5万リンギ(およそ123万円)の節約できるとし、今季終了時にそういった選手との契約を解除し、来季には代わりに給料がより安い外国籍選手を獲得するクラブがあるだろうと予想しています。
 「外国籍選手は各クラブに良い影響をもたらすものの、来季はMリーグでプレーする外国籍選手の数が減り、外国籍選手枠(Mリーグ1部は5名、2部は4名、3部は2名+U20 2名)いっぱいまで獲得しないクラブも出るだろう。」と話しています。
 なおハリアンメトロによれば、今季のMリーグ1部スーパーリーグの外国籍選手の平均給料はおよそ2万リンギということです。

タイ代表に来季のJDT加入の噂
 タイ代表の主力選手で現在はタイ1部リーグのムアントン・ユナイテッドに所属するDFサーラット・ユーイェンに来季、JDT入りの噂があります。
 サッカー専門サイトのヴォケットFCによれば、サーラット選手に来季、Mリーグのクラブへの移籍の噂があり、獲得に関心を持っているクラブの一つがMリーグ6連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTだということです。さらに現在、JDTの主将を務めるシンガポール出身のハリス・ハルンに代わって、来季の東南アジア枠での加入となるなどの詳細も噂されています。
 サーラット選手は現在中断中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権2023年大会予選で、マレーシアと同組となっているタイ代表の全試合にスタメン出場しており、また2014年と2016年のタイ代表の東南アジア選手権スズキカップの優勝メンバーでもあります。またクラブでは2012年と2016年のリーグ優勝や2016年と2017年のタイリーグカップ優勝なども経験しています。
 なお、この噂が出た後、サーラット選手はタイの英字紙バンコクポストの取材に対して「自分はムアントン・ユナイテッドに満足しているが、何人もの素晴らしい選手や大きなスタジアムを持つJDTのようなクラブに自分が関連づけられて噂されるのは興味深い。現時点では噂ではあるが、もしJDTから獲得オファーがあれば、クラブはその内容を検討するだろう。」と話し、完全に否定をしているわけではありません。
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 来季まで契約が残っているというサーラット選手にも、またクラブにも現時点では正式な獲得オファーは届いていないということですが、ムアントン・ユナイテッドは近年、チャナティップ・ソングラシン(コンサドーレ札幌)、テーラトン・ブンマタン (横浜F・マリノス)、ティーラシン・デーンダー(清水エスパルス)など主力選手を移籍、あるいは期限付き移籍させているということで、「火のないところに…。」といったところかも知れません。

スランゴールFAは給料削減が11月までには終えられることを期待
 スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASは、給料削減が11月までには終わるだろうという予測を立てていると英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 自身も給料削減を受け入れているというFASのジョハン・ハミドン事務局長は、1980年代には国内で最も裕福な州FAと言われていたFASも新型コロナウィルスの影響で、3ヶ月間、10%から30%の給料削減を行っていると話す一方で、この状況は11月までには改善し、12月には給料の全額支給が可能になるよう、スポンサーや広告主に支援の継続を求めていることを明かしています。
 Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLが予定している通り、9月に再開し、カップ戦も含めて11月までに全日程が終了すれば、クラブ運営の経費も少なくて済むと話すジョハン事務局長は、万が一、リーグが12月まで続くようだと、12月の試合のための予算を計上していないFASにとって大きな問題になるだけでなく、おそらく他のMリーグクラブにとっても問題になる、とも話しています。
 ジョハン事務局長は、リーグが再開されても無観客試合となる可能性があるMリーグについて、MFLによるリーグ再開の際の指針を待っていると話し、FASは年間パスを持っているサポーターに対して、今季の年間パスは来季も使えるようにする予定であると話しています。

5月3日のニュース:MFLのリーグ再開案に対する各クラブの反応

 マレーシア政府の指示によって9月再開あるいは今季中止のいずれかの可能性まで絞られたマレーシアの国内リーグMリーグ。それぞれ12クラブで構成されるMリーグ1部スーパーリーグと2部プレミアリーグは従来はホームアンドアウェイで22試合を戦う予定でしたが、Mリーグを運営するMFLは9月再開となった場合は各クラブと1度ずつのみの対戦となる全11試合(リーグ中断前に実施済みの4試合を含む)という日程へと変更することを発表しています。
 この新たな日程について、いくつかのチームの反応が当地のメディアに取り上げられています。

スランゴールFC監督は再開予定発表を歓迎も不安要素にも言及
 スランゴールFCのサティアナアン・バスカラン監督は9月に再開を予定するMFLの案を歓迎しながらも、現時点では不透明な要素が多いと語っていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 「リーグ再開前に練習試合を行うことが許可されるのか、また、再開前の練習の際のソーシャルディスタンスをどうするのかなど、MFLは指針を示す必要がある。」と話すサティアナタン監督は、リーグが11試合で開催される予定となったことはスランゴールFCにとっては不利になったとも話しています。
 「AFCチャンピオンズリーグやAFCカップへの出場権を獲得するためには、現在の5位から最低でも2位にならなければならず、残り試合が7試合しかない状況はクラブにとって大変厳しい」と語っています。
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 リーグ中断前の4試合で1勝2分1敗だったスランゴールFCは、フェルダ・ユナイテッド、サバFAとともに勝点5となっていますが、得失差によりサバFAが4位隣、スランゴールFCは得失差も同じフェルダ・ユナイテッドと5位を分け合う状況になっています。

最下位PDRM FC監督は早くも2部降格を心配
 マレー語紙ブリタハリアン電子版では、Mリーグ1部のPDRM FCが早くも今季終了後の2部降格について心配している、と報じています。
 リーグ中断前の4試合を0勝1分3敗として最下位に位置するPDRM FCのモハマド・イシャク・クンジュ・モハマド監督は、リーグ再開の意思を示したことは、選手およびスタッフの生活が守られると話す一方で、従来通り1部から2クラブが降格、2部から2クラブが昇格というルールが短縮される予定の今季リーグでも適用されるのかどうかに最も関心があると話しています。
 PDRM FCは、未払い給料問題が期限までに解決できなかったことを理由に、今季開幕前に勝点3の剥奪(はくだつ)処分を受けており、現在の勝点は-2となっています。
 「最終的には(Mリーグを運営する)MFLが決定することではあるが、通算で11試合となる今季のリーグ戦に限っては降格と昇格を行わないという方法もあると思う。」と話しています。
 またモハマド・イシャク監督は、サッカーという産業に関わる全ての人間にとって、MFLとマレーシアサッカー協会FAMがリーグ再開方針を示したことは、全員の福利を守るという点で評価できるとも話しています。

ヌグリスンビランFAは来季昇格に向けて全勝を目指す
 2部プレミアリーグに所属するヌグリスンビランFAは、中断前の4試合を1勝0分3敗としていますが、今季のMリーグが1回戦総当たりとなったことについて、サザリ・サイドン監督は、残り試合を全勝するつもりで臨む必要があるとマレー語紙ブリタハリアン電子版に語っています。
 「開幕から4試合の結果が思わしくなかったことにより、チームにはプレッシャーがかかっているが、これまで以上に努力する必要がある。来季、スーパーリーグへ昇格するためには全試合に勝利する必要がある。さもなければ、来季もプレミアリーグに残ることになる。それは(プレミアリーグの上位5クラブに出場権が与えられる)
今季のマレーシアカップ出場についても同様である。」
 「予定されている9月のリーグ再開の前に予定されているチームとしての練習期間は2週間とされているが、その短期間に選手、監督、コーチはチームを準備するのは容易ではなく、しかも再開後の日程はおよそ1ヶ月で7試合をこなすハードスケジュールとなっているため、ヌグリスンビランFAにとっては難題となるだろう」と話しています。
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 MFLは9月1日再開、9月27日リーグ終了、4週間で8節を行う予定を立てています。またリーグ戦で5位以内に入れなければ、マレーシアカップの出場権なく、例年ならマレーシアカップに出場資格がないクラブを対象としたチャレンジカップという大会がありますが、MFLは今季のチャレンジカップの中止を発表しています。

UKM FCはホームゲーム数の公平な分配を求める
 2部プレミアリーグに所属するUKM FCは、9月再開となった場合、第2節が雷雨で中止となっているため、残りは8試合となりますが、その際にはホームとアウェイの試合数配分を公平にすることをMFLに要望していると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 UKM FCのモハマド・ファイラス・シャフィ名誉事務局長は、まだMFLからは何も通達がないとした上で、ホームのチームは試合では有利であるとして、各クラブのホームとアウェイの試合数を不公平がないように分配することを求めています。
 UKM FCは中断前の3試合を1勝1分1敗としています。

4月28日のニュース:Mリーグの今後について各監督の意見は、Mリーグは早ければ10月再開の可能性が浮上

国内リーグの今後について各監督の意見は
 マレーシア国内リーグのMリーグは1部スーパーリーグと2部プレミアリーグは第4節終了時点で、3部M3リーグは第2節終了時点でそれぞれのリーグが中断しています。新型コロナウィルス感染拡大を防ぐためにマレーシア全土に発令中の活動制限令解除後MCO解除のMリーグの早期再開について、マレーシア政府が否定的であることは先日このブログでも取り上げましたが、ここ数日で早期再開どころか年内再開すら怪しくなり、今季2020年シーズンはこのまま終了という気配が濃厚になっています。
 マレーシア政府のイスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相が「ピッチ上に22人が集まるサッカーも、集団が形成される活動であり、活動制限令MCOが解除になっても許可されないであろう」と話したことから、検討されていた無観客試合すら実施が難しい状況になっていますが、そんな状況について、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が各クラブの反応を取り上げています。
 スーパーリーグで首位のジョホール・ダルル・タジムJDTを勝点2で追うペラTBGのメフメト・ドゥラコビッチ監督は、リーグ最下位の是非は専門家に任せるべきだと話しています。「マレーシア政府の保健省や国家安全保障委員会が再開許可を出せば、再開すれば良いし、そうでなければ選手やスタッフ、審判など関係者全員の安全を優先するべきだ」「自分たちは専門家の意見を聞く立場であって、リーグ再開の是非を決める立場にない。例えリーグを再開する必要があっても、関係者全員の安全が最優先である」と話しています。
 一方、スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督は今季のリーグ中止後の影響が心配であるとしています。「リーグが中止となった場合には、クラブは選手やスタッフの契約内容見直しを行う必要があるだろう。また、来季2021年シーズンのアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグにマレーシア代表としてどのクラブが出場するべきなのかも疑問である」開幕4試合でスランゴールFCは上位のクラブとの対戦が続いたとは不運であったとも述べて、第4節までの結果でACL出場クラブを決めるべきではないことをほのめかしています。
 また、今季スーパーリーグに昇格したばかりのUITM FCでチームマネージャーを務めるムスタザ・アーマド氏は、第4節で12位のPDRM FCを破って、今季初勝利を飾ったチームの調子が上向いてきたところでの中断だったして、スーパーリーグ12クラブ中11位ながら、UITM FCはリーグ再開を望んでいると話しています。
 フェルダ・ユナイテッドFCのニザム・ジャミル監督は「第4節終了時点で5位という順位には満足しているが、リーグは本来なら22試合あり、現在の各クラブの順位はリーグの状況を正確には反映していない」と述べ、とにかく政府の方針が決定するのを待つしかないと語っています。
 この他、スーパーリーグ最下位12位でリーグ中断となったPDRM FCのイシャク・クンジュ監督はこの中断のおかげで今季の2部降格が猶予されたと考え、このままリーグが中止となれば、来季2021年シーズンもPDRM FCは1部スーパーリーグで戦えると話し、そうなれば評価を覆す可能性はあると話しています。
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 筆者注:突然ですが、今回から国内リーグの表記をこれまでの「MFL」から「Mリーグ」とすることにしました。国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは組織名であり、記事の中でこの組織を指す場合とリーグそのものを指す場合に同じ表記では曖昧となることからの措置です。

 マレーシアの通信社ブルナマによると、活動制限令が解除されてから最大で4ヶ月後にはMリーグが再開される可能性があるということです。
 本日4月28日の定例記者会見の席上で、イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相は、現在中断中のMリーグの再開について、現在発令中の活動制限令が解除となった後、4ヶ月程度の「冷却期間」が必要だと述べたということです。
「マレーシアサッカー協会と国内リーグを統括するマレーシアフットボールMFLがMリーグを7月に再開する希望があることは理解しているが、活動制限令が解除されてから1、2ヶ月での再開は時期尚早である。しかし、活動制限令が6月中に解除となれば、10月あるいは11月のリーグ再開については、無観客試合などの条件付きで、政府が許可する可能性がある」と述べています。
 しかしその一方で、サブリ上級相はMリーグ再開についての最終判断は、保健省の指示や助言を仰ぐことも明言しています。「保健省による助言は必要であり、FAMと(FAMを統括する)スポーツ青年省からのリーグ再会の提案を受けた段階で、マレーシア政府が最終決断を下す」と述べています。
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 マレーシア政府関係者がMリーグ再開の具体的な時期について述べたのは今回が初めてです。これは朗報と言えるのではないでしょうか。ただし10月あるいは11月に再開許可が出た場合、時期的に今季2020年シーズンの再開となるのか、2020/2021シーズンとなるのかは不明です。

4月27日のニュース:FAMは手当未払い問題を抱える審判に報告を求める、全てのクラブで給料削減の合意ができているわけではない、スランゴールFCは給料削減を5月から11月まで実施

FAMは手当未払い問題を抱える審判に報告を求める
 マレーシアの通信社ブルナマは、マレーシアの国内リーグでの審判への手当て未払い問題について、マレーシアサッカー協会FAMは該当する審判に状況を報告するよう求めていると報じています。
 FAMのスチュアート・ラマインガム事務局長は、正確な状況を把握するために書面にて正式な申し立てが必要であり、そういった申し立てがあれば、FAMの審判委員会が対処すると話しています。その一方で、FAMへの申し立てを行わず、メディアに対して不服を述べるだけでは解決のより時間がかかる可能性も指摘しています。
 「FAMの審判委員会に必要な情報を電子メールあるいは書面で提出してもらえれば、FAMとして問題解決のために必要な手段を講じることができるが、それがなければ何試合で手当の支払いが行われていないのか、カップ戦やリーグ戦のどの試合なのかなどが不明のため、FAMとしては何もできない」とラマリンガム事務局長は話しています。
 また一部のサポーターからこの審判手当未払い問題についてFAMの責任を問う声が出ていることについて、ラマリンガム事務局長は「FAMが責任を負うのは試合を担当する審判の指名と、審判の養成のみであり、審判手当の支払いは国内リーグを運営するマレーシアフットボールMFLの役割である」と説明しています。

全てのクラブで給料削減の合意ができているわけではない
 マレーシアサッカー協会FAMは国内リーグ1部と2部の全てのクラブに対して、選手やスタッフとの給料削減交渉の状況やクラブの経営状況の報告を4月22日を期限として求めていました。
 全てのクラブは既に状況を報告済みであることはFAMが発表していますが、給料削減交渉については合意できていないクラブがあるようだと、マレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 全てのクラブが選手との交渉を行い、合意に至っているクラブは個々の選手の給料削減額や削減が行われる期間などをFAMに提出済みであるのに対し、複数あるとされる合意に至ってないクラブは、交渉は行われているものの選手側が給料削減額や期間に同意していないということです。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、各クラブの報告内容を精査した上で、新型コロナウィルス感染拡大による悪影響がクラブおよび選手、スタッフに及ばないような策を講じたいと話しています。

スランゴールFCは給料削減を5月から11月まで実施
 マレー語紙ブリタハリアン電子版によると、スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASは、選手およびスタッフとの契約内容を見直し、5月から11月までの給料を削減すると発表しています。
 FASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、新型コロナウィルスによるリーグ中断による入場料収入が途絶えている以上に、現在、マレーシア全土に発令中の活動制限令によって影響を受けている複数のスポンサーからの広告料の支払いが遅れていることが給料削減実施の主な理由であるとしています。
 既に選手、スタッフには詳細を説明済みということですが、総額で290万リンギ(およそ7150万円)程度の損失が発生していることからクラブの運営が難しくなっており、今回の給料削減に踏み切らざるを得なかったとジョハン事務局長は説明しています。
 給料削減は給料の額や既婚か未婚かなどの条件をもとに3%から33%で実施し、25%以上の給料削減対象となるのは選手、スタッフ全体の5%程度になるとしています。
 しかしその一方で、この条件での給料削減に同意しているのは全体の60%程度ということで、残りの40%の選手、スタッフとは給料削減について合意に達していないということです。

4月21日のニュース:協会会長が今季のリーグ続行中止の可能性に言及、スランゴールFC監督はリーグ中止が起きた場合のサッカー界への影響を懸念、元代表選手がフィンランドでUEFFライセンス取得へ

FAM会長が今季のリーグ続行中止の可能性に言及
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版では、マレーシアサッカー協会FAMは今季リーグ戦の中止も選択肢の一つと考えているようだと報じています。
 3月18日にマレーシア全土で発令された活動制限令MCOも既に35日目となり、その効果が現れ始めたのか新たな患者数は本日、4月21日で5日間連続で二桁となりましたが、その一方で、FAMのハミディン・アミン会長は国内リーグのフォーマット変更や開催期間の短縮などについて検討していると話しています。
 国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLの会長も兼ねるハミディンFAM会長は、クラブ、選手、スタッフ、そしてサポーターの安全が第一であるとして、マレーシア政府保健省が作成する指針を遵守するとし、状況次第では今季のリーグ戦およびカップ戦を中止することも選択肢の一つであるとも述べています。
 MCO発令当初、FAMとMFLは5月1日、6月1日、7月1日をリーグ再開の予定日候補としてあげていましたが、4月14日解除の予定だったMCOが2週間延長されたことで、5月1日のリーグ再開は現実的ではなくなっています。
 FAMは国際サッカー連盟FIFAやアジアサッカー連盟AFCとも協議中ということですが、4月28日にMCOが解除となるかどうかも定かではなく、また解除となった場合でも多くの人が集まるサッカーの試合のようなイベントなどは半年程度は禁止されるという報道もあります。
 なお、ハミディン会長は来週、今後の予定や給料削減などについて報道陣向けに声明を発表するとしており、詳細はそこで明らかになりそうです。
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 マレーシアでは4月24日からイスラム教の断食月が始まり、そのおよそ1ヶ月後の5月24日から26日にはハリラヤと呼ばれる断食明けの公休日(祝日)があります。日本で言えば、元旦のような祝日で、都市部に住む地方出身のイスラム教徒が帰省し、大規模な人の移動が発生します。しかし今年はこの大移動に伴う新型コロナウィルス感染拡大も懸念されることから、ハリラヤ公休日の変更について検討しているという報道もあり、国内リーグやカップ戦もその影響を受ける可能性があります。
 なお、世界最大のイスラム教徒を抱える隣国インドネシアでは、マレーシアのハリラヤに相当するレバランの連休を12月に移動させることを既に発表しており、インドネシアの国内リーグはレバラン連休明けの5月29日までの中断と7月1日の再開が予定されています。

スランゴールFC監督はリーグ中止が起きた場合のサッカー界への影響を懸念
 同じニューストレイトタイムズ電子版では、国内リーグが中止となることへの危惧を取り上げています。
 スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督は、国内リーグが中止となれば、サッカー界全体に影響が及ぶだろうと話しています。
 マレーシア政府が現在発令中の活動制限令MCOを延長、あるいは解除となっても多くの人間が集まる教示の開催を禁止する可能性がある中、サティアナタン監督はマレーシアサッカー協会FAMがあらゆる可能性を追求して、リーグを再開することを望んでいると話しています。
 「リーグを中止するとなれば、広告主やスポンサーに対する義務を果たせなくなり、今後はそういったスポンサーがリーグから手を引く可能性もある。国内リーグの多くのクラブ入場料収入が多くないため、そういったスポンサーに依存しており、万が一スポンサーが手を引けば、クラブや選手、スタッフだけでなくサッカー界全体が大打撃を受ける可能性がある。」と話し、国内リーグが再開する場合には、無観客試合として実施、テレビ放映やストリーミングなどで中継するなどの方法もあるとし、多くの失業者を生み出す可能性があるリーグ中止だけは起こらないことを願っていると述べています。

元代表選手がフィンランドでUEFFライセンス取得へ
 新型コロナウィルス関連の暗いニュースが続く中、英字紙スター電子版は、元代表選手がフィンランドで欧州サッカー連盟UEFAのコーチライセンス取得間近であるという記事を掲載しています。
 ペラTBGやフル代表で活躍したサラヴァナン・ヴェル氏は現在、フィンランド在住で今年中にUEFA Aライセンスを取得できる予定でしたが、新型コロナウィルスの影響で遅れが出ているようです。
 現在はフィンランド1部リーグのHJKヘルシンキでU12チームのコーチを務めているサラヴァナン氏によると、理論などの講義はオンライン形式で行われており予定通りに進んでいるものの、実技に関しては延期となっているということで、Aライセンスの取得は予想より遅れそうだと話しています。
  U21代表、U23代表を経て2000年から2004年までフル代表として43キャップを獲得し、ペラTBGではマレーシアカップで2度優勝を経験したサラヴァナン氏によれば、フィンランドは人々の外出が許されてはいるものの、学校やサッカースクールなどは閉鎖されているということで、現在は、選手たちが送ってくる映像をチェックする毎日を過ごしているそうです。
 マレーシアでフィジオセラピストとして勤務経験がある奥様の出身国フィンランドに移り住んで7年目となるというサラヴァナン氏が取得予定のUEFA Aライセンスは、プロライセンスの1つ下のライセンスで、U18までのチーム、1部リーグのBチーム、2部リーグのクラブなどでの指導が可能になるライセンスだということです。

4月11日のニュース:MFLの東南アジア枠選手はシンガポール出身が最多、スランゴールFC監督もシンガポール出身選手に高評価

MFLの東南アジア枠選手はシンガポール出身が最多 
 マレーシアフットボールリーグMFLの公式サイトでは、MFL1部スーパーリーグの東南アジア枠でプレーする選手を取り上げて特集しています。MFL1部のクラブは最大5人の外国籍選手を登録することができ、その中にはアジア枠1人、東南アジア枠1人が含まれています。
 文化的にも言語的にもマレーシアと似通っているいることから、東南アジア枠の選手獲得を考える多くのMFLクラブがまず検討するのがシンガポールである、と話すのは選手のエージェント業務を行なっているアブドル・ハリム・アブドル・シュコル氏です。シンガポールは1965年に離脱し独立するまではマレーシアの一部でしたが、独立後もシンガポールチームは2015年シーズンまではマレーシア国内リーグでプレーしていたことから、両国のサッカーの歴史や文化は似通っており、他の東南アジアの国々出身の選手に比べると、シンガポール出身の選手はマレーシアの環境に適応しやすいだろうとアブドル・ハリム氏は話しています。
 MFL1部スーパーリーグにシンガポール出身の選手はジョホール・ダルル・タジムJDTの主将ハリス・ハルン、クダFAのシャキル・ハムザ、スランゴールFCのサフワン・バハルディン、トレンガヌFCのファリス・ラムリ、そしてフェルダ・ユナイテッドのカイルル・アムリ・カマルの5名が在籍しています。
 スーパーリーグの東南アジア枠選手には、この他にタイ出身のナルポン・ワイルド(マラッカ・ユナイテッド)、アナウィン・ジュジーン(PJシティFC)、デニス・ブシェニング (サバFA)、フィリピン出身のアダム・リード(パハンFA)、マーク・ハートマン(UITM FC)、カンボジア出身のチエリー・チャンタ・ビン(ペラTBG)おり、PDRM FCは東南アジア枠を使っていません。また、クダFAはフィリピン出身のアミン・ナザリをアジア枠で登録しています。
(写真はMFL公式サイトより)

スランゴールFC監督もシンガポール出身選手に高評価 
 上の記事とは別に、マレーシアの通信社ブルナマはスランゴールFC監督がシンガポール出身の選手を高く評価しているという記事を配信しています。
 スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督は、マレーシアフットボールリーグMFLでプレーしているシンガポール出身の選手は、他の東南アジア諸国出身の選手と比べると非常に質が高いと話しています。
 その理由の一つとして、MFLでプレーするシンガポール出身の選手は全員がシンガポール代表の主力、あるいはかつて主力選手だったことを挙げています。「シンガポール出身の選手は、好不調の波がなく安定しており、ベトナムやタイの選手と比べると給料も高くない。またベトナムやタイの選手は様々な条件を出してくることもあり、文化や言語も違うマレーシアでプレーすることをさほど望んでいないのではないか」と話しています。なお、サティアナタン監督が率いるスランゴールFCの東南アジア枠の選手はシンガポール出身のサフアン・バハルデインです。
 サティアナタン監督は、性格、技術、規律の正しさ、そしてファンやメディアとの良好な関係を築く能力などを、シンガポール出身選手を好む理由として挙げています。
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 MFLでプレーするシンガポール出身選手の代表キャップ数(カッコ内)は、カイルル・アムリ・カマル(132)、ハリス・ハルン(101)、サフアン・バハルディン(96)、ファリス・ラムリ(56)、シャキル・ハムザ(51)となっており、サティアナアン監督が指摘するように代表での経験が豊富で、タイ出身のアナウィン・ジュジーン(5)、ナルポン・ワイルド(0)、デニス・ブシェニング(0)、フィリピン出身のマーク・ハートマン(26)、アダム・リード(5)、アミン・ナザリ(2)、そしてカンボジア出身のチエリー・チャンタ・ビン(36)らのキャップ数と比べても明らかに経験が違っています。(キャップ数はウィキペディアを参考にしています)

4月5日のニュース:スーパーリーグの高額外国籍選手トップ12と高額マレーシア人選手トップ12

 このブログでも何度も記事を引用しているサッカー専門サイトのヴォケットFCが、サッカー情報を提供するドイツのTransfemarketを参考にマレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグの高額外国籍選手と高額マレーシア人選手という特集記事を掲載しています。元の記事は選手の市場価値を紹介しているだけなので、それをそのまま紹介するだけでは味気ないので、独断と偏見で内容を加筆してみました。
 (カッコ)内は、外国籍選手は年齢/ポジション/所属クラブ/国籍、マレーシア人選手は年齢/ポジション/所属クラブです。

高額外国籍選手トップ10

1位 ジオゴ(センターFW / ジョホール・ダルル・タジムJDT / 33歳 / ブラジル)
380万リンギ(およそ9500万円、1リンギはおよそ25円)
昨季2019年にタイ1部リーグのブリーラム・ユナイテッドからタイリーグ2度の得点王の実績を持って加入したジオゴ選手。ブリーラム・ユナイテッドとの契約がまだ1年残っていましたが、当時の報道では、JDTがブリーラム・ユナイテッドに500万タイバーツ(およそ646万リンギ)を支払って獲得してました。今季は4試合で2ゴールを決めています。

2位 ゴンザロ・カブレラ(左ウィング / JDT / 32歳 / イラク)
360万リンギ(およそ8960万円)
2017年にサウジアラビアのアル・ファイサリーから期限付き移籍でJDTに加入した際にはアルゼンチン出身の外国籍選手としてプレーしました。シーズン終了後に一旦、退団が発表されたものの、翌2018年シーズンには完全移籍でJDTに再加入、しかもイラク出身としてアジア枠で登録されました。

3位 レアンドロ・ヴェラスケス(攻撃的MF / JDT / 31歳 / アルゼンチン)
330万リンギ(およそ8820万円)
2015年にJDTに加入し、JDTのアジア初タイトルとなる同年AFCカップの決勝でゴールを決めるなど活躍しました。翌2016年にコロンビアのデポルティーボ・パストへ移籍、ティブローネス・ロホス・デ・ベラクルス (メキシコ)、リオネグロ・アギラス(コロンビア)を経て、今季2019年から再びJDTでプレーしています。

3位 サンジャル・シャアフメドフ(攻撃的MF / トレンガヌFC / 30歳 / ウズベキスタン)
330万リンギ(およそ8820万円)
昨季2019年シーズンにウズベキスタン1部リーグのロコモティフ・タシュケントからトレンガヌFCに加入し、主力選手として迎える2シーズン目の今季は4試合で2ゴールを決めています。

5位 マウリシオ・ドス・サントス・ナシメント(センターバック / JDT / 32歳 / ブラジル)
280万リンギ(およそ6980万円)
昨季2019年シーズンからJDTでプレーするマウリシオ選手は、パルメイラス(ブラジル)のユース出身で、スポルティング(ポルトガル)からセリエAのラツィオへ移籍しました。ラツィオから期限付き移籍で移籍したスパルタク・モスクワ(ロシア)では国内リーグ優勝に貢献、その後、期限付き移籍したレギア・ワルシャワ(ポーランド)を経て2019年にJDTに加入しています。ディフェンダーながらセットプレーでは得点に絡むことも多く、3月3日に行われた今季のAFCチャンピオンズリーグ水原三星戦で決勝ゴールを決めたのは記憶に新しいところです。

6位 デンバ・カマラ(センターFW / PJシティFC / 26歳 / ギニア)
190万リンギ(およそ4730万円)
今季2020年シーズンからマレーシアでプレーするカマラ選手は、イスラエルリーグのハポエル・テルアビブからPJシティFCに移籍しています。今季は4試合で2ゴールを決めています。

7位 イフェダヨ・オルセグン(FW / スランゴールFC / 29歳 / ナイジェリア)
180万リンギ(およそ4490万円)
昨季2019年の2度目の移籍期間トランスファーウィンドウで、バーレーンリーグのアル・リファーから移籍し、10試合で12ゴールを挙げ、今季も4試合で3ゴールと活躍しています。

8位 クパー・シャーマン(センターFW / クダFA / 28歳 / リベリア)
160万リンギ(およそ3990万円)
2018年シーズンにPJシティFCの前身である当時MFL2部のMISC-MIFAに入団し29試合で21ゴールを決め、昨季2019年シーズンはPKNS FCに移籍し、19試合で14ゴールを挙げてリーグ得点王となったシャーマン選手は、所属するPKNS FCが2019年シーズンを持って解散となり、今季はクダFAに移籍しています。今季は4試合で3ゴールを挙げています。

8位 ディクソン・ヌワカエメ(センターFW / パハンFA / 34歳 / ナイジェリア)
160万リンギ(およそ3990万円)
フランスリーグのアンジェSCOから2019年に加入したヌワカエメ選手は、「鉄人」のニックネームを持ち、パハンFAサポーターから絶大な人気を集めています。マレーシア1年目は13試合で7ゴール、前主将のマシュー・デイヴィーズがJDTに移籍した今季は新たに主将を務めながら4試合で2ゴールを決めています。

8位 カレッカ(攻撃的MF / ペラTBG / 25歳 / ブラジル)
160万リンギ(およそ3990万円)
スランゴールFCのオルセグン選手同様、昨季の2度目のトランスファーウィンドウでアトレチコ・アクレアーノ(ブラジル)から加入したカレッカ選手は10試合で7ゴールを挙げましたが、2年目の今季はまだゴールはありません。

8位 ドミニク・ダ・シウヴァ(センターFW / トレンガヌFC / 31歳 / モーリタニア)
160万リンギ(およそ3990万円)
今季2020年にベトナムリーグのサイゴンFCから移籍したダ・シウヴァ選手は、今季2試合目のクダFA戦で4ゴールを挙げています。

8位 レナン・アウヴェス(センターバック / クダFA / 28歳 / ブラジル)
160万リンギ(およそ3990万円)
昨季2019年にインドネシアリーグのボルネオFCから移籍し、クダFAの守備陣を引っ張るアウヴェス選手。昨季のFAカップ決勝前のリーグ戦でイエロー、レッドともらい決勝戦に出場できず、今季もAFCチャンピオンズリーグのプレーオフでソウルFC相手にゴール前で無意味なハンドでPKを与えるなど、個人的にはポカが多い選手という印象です。

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 トップ10にする予定でしたが、8位タイが4名となりトップ12になってしまいました。JDTはこのトップ12に4選手が入っていますが、さすが金満クラブの面目躍如というところでしょうか。興味深いのはクダFAとトレンガヌFCの2選手が含まれていること。特に開幕前には一部選手に給料未払いの噂も出ていたトレンガヌFCですが、財源が実は豊かなのか、あるいは後先考えずに予算を注ぎ込んでいるのか、今後が気になります。またクダFAは昨季からの外国籍選手をレナン・アウヴェス以外全員を入れ替えるなど、打倒JDTへの覚悟が見える補強を行っています。

高額マレーシア人選手トップ12

1位 リリドン・クラスニキ(攻撃的MF / JDT / 28歳)
210万リンギ(およそ5230万円)
コソボ共和国出身のクラスニキ選手は、2015年から2018年まではクダFA、昨季2019年はマラッカ・ユナイテッドでプレーした結果、FIFAの規定により国籍変更が認められ、今年3月にマレーシア国籍を取得したマレーシア人と血縁関係がない二人目の帰化マレーシア人選手です。FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選が再開されれば、クダFA時代の監督だったタン・チェンホー現代表監督派クラスニキ選手を招集することが予想されています。

2位 ナチョ・インサ(セントラルMF / JDT / 34歳)
180万リンギ(およそ4480万円)
2017年シーズン途中にJDTに加入したインサ選手は、スペイン出身ながら、祖母がマレーシアのサバ州出身であることから、弟のキコ・インサとともにマレーシア国籍を取得した帰化選手です。膝のケガで2019年シーズンを丸々棒に振ったインサ選手ですが、今季はAFCチャンピオンズリーグの水原三星に出場し、MFLでも今季4試合中3試合に出場するなど、代表復帰が見えてきています。

3位 ブレンダン・ガン(セントラルMF / スランゴールFC / 32歳)
160万リンギ(およそ3980万円)
オーストラリア生まれのガン選手は両親がマレーシアのヌグリスンビラン州出身であることから、オーストラリアとマレーシアの両国の代表でプレーする資格がありました。2012年にサバFAでプレーした際は外国籍選手登録でしたが、ケランタンFAでプレーした2014年からはマレーシア人選手としてに登録されています。U23代表でのプレーを経て招集されたフル代表では中心選手として、現在中断中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選でマレーシアが2位にいる原動力となっています。今季からスランゴールFCでプレーしますが、ペラTBGからの移籍は大きな話題となりました。

4位 ラヴェル・コービン=オング(左バック / JDT / 29歳)
150万リンギ(およそ3730万円)
ロンドン生まれ、カナダ育ちのコービン=オング選手は、ドイツやオランダでのプレーを経て、2018年シーズンからJDTでプレーしています。国際親善試合ではカナダ代表としてのプレー経験もありますが、母親がマレーシア人であることからマレーシア国籍を取得し、2017年にはフル代表でデビューし・現在も代表の主力選手として活躍しています。

5位 バドロル・バクティアル(右サイドハーフ / クダFA / 32歳 )
140万リンギ(およそ3480万円)
クダ州出身で、ユース時代からクダFA一筋にプレーするバドロル選手は、リーグ戦通算56ゴール、カップ戦も含めれば通算116ゴールを挙げているだけでなく、MFL1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグ、FAカップ、マレーシアカップと全てのタイトルを獲得した言わばクダFAのレジェンドです。FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選では久しぶりにフル代表に復帰しています。

5位 シャルル・サアド(センターバック / ペラTBG / 26歳)
140万リンギ(およそ3480万円)
ペラ州出身で、ハリマウC(U19代表)、ハリマウB(U21代表)、ハリマウA(U22代表)でプレーし、PKNS FCを経て2016年からペラTBGに所属するシャルル選手は、フル代表でも不動のセンターバックを務めています。

5位 サフィク・ラヒム(セントラルMF / マラッカ・ユナイテッド / 33歳)
140万リンギ(およそ3480万円)
昨季2019年からはマラッカ・ユナイテッドでプレーするサフィク選手は、キャップ数75が示すようにフル代表で長年、主将を務めたこの世代で最高のマレーシア人選手として言われています。スランゴール州出身で、2007年にスランゴールFA( 当時)で選手としてのキャリアをスタートし、2013年にはJDTへ移籍しました。JDTのオーナーのジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿からは、クラブ史上最高の主将と評価されています。

5位 マシュー・デイヴィーズ(右サイドバック / JDT / 25歳)
140万リンギ(およそ3480万円)
開幕直前にパハンFAからJDTに電撃移籍したデイヴィーズ選手は、オーストラリア生まれながら母親がサバ州出身であることからマレーシア国籍を取得し、パハンFAに加入した2015年からU23代表として東南アジア競技大会通称シーゲームズでプレーし、現在はフル代表の右サイドバックを務めています。

5位 サファウィ・ラシド(右ウィング / JDT / 23歳)
140万リンギ(およそ3480万円)
トレンガヌ州出身で2014年にT-Team(現トレンガヌFC II)のユースチームでプレーしたのち、T-Teamそして2017年からはJDTに所属しています。2018年、2019年と2年連続でリーグ最優秀選手に選ばれ、フル代表でも主力として活躍するなど、今後のマレーシアを引っ張るエースとして期待されています。

10位 モハマドゥ・スマレ(右ウィング / パハンFA / 29歳)
130万リンギ(およそ3230万円)
ガンビア出身のスマレ選手は2013年からMFLでプレーし続け、FIFAの規定で国籍変更が認められたマレーシアサッカー史上初となるマレーシア人と血縁がない帰化選手第1号です。フル代表でもスピードに乗ったドリブルが魅力の主力選手です。

10位 シャミ・サファリ(右サイドバック / スランゴールFC / 22歳)
130万リンギ(およそ3230万円)
スランゴール州出身でスランゴールFA(当時)のU19を経て、スランゴールFCでは積極的なオーバーラップを得意とするサイドバックとして活躍しています。U23代表からフル代表へと順調に成長し、マシュー・デイヴィーズとフル代表の右サイドバックのレギュラーポジションを争っています。

10位 ファリザル・マーリアス(ゴールキーパー / JDT / 34歳)
130万リンギ(およそ3230万円)
パハン州出身ながらパハンFAではU19でのプレー経験しかなく、プルリスFA、ヌグリスンビランFA、ペラTBG、スランゴールFAを経て2015年からはJDTとフル代表のゴールを守り、フル代表では主将も務めています。

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 外国籍選手同様、トップ10の予定が10位タイが多く12名になってしまいました。マレーシア国外生まれの選手が6名、国内生まれの選手が6名と、ここ数年で顕著になってきたマレーシア人と血縁関係のある国外生まれの選手を帰化させて代表選手にするマレーシアサッカー協会FAMの方針が見て取れるランキングになっています。

4月3日のニュース:給料削減はリーグ再開日程確定後にすべき、UKM FCの選手は発言を捏造したMFLを批判、国家スポーツ委員会はユースコーチの手当未払い問題解決を約束

給料削減はリーグ再開の日程確定後にすべき
 現在中断中のマレーシアフットボールリーグMFLの各クラブは、試合が開催されないため入場料収入を失い、契約していた支援を取りやめるあるいは支援ができなくなるスポンサーが現れるなど苦境に立たされています。その結果、各クラブが選手と給料削減や特別手当てなどの契約内容の見直しを求めていますが、選手側はその交渉を始めるにはまだ早いという意見のようだと英字紙スター電子版が報じています。
 少なくとも国内リーグを運営するMFLが再開日程を決めてくれれば、選手は団結してマレーシアサッカー に関わる全員にとって何が最善かを話し合う用意があると話すのは、スランゴールFCのブラジル人MFサンドロです。
 「現在、世の中で起こっていることについては、我々選手がその責任を負うべきでないので、給料削減などを受け入れることは難しい。しかしその一方でクラブが置かれた厳しい状況も理解できる。だからこそ、選手はリーグがいつまで中断されるかを知る必要があり、リーグ再開の日程が決まれば選手は給料削減などについての妥協点を見つける努力ができるだろう。マレーシアサッカー協会FAMとMFLは難しい決断を迫られていることも理解している」とサンドロ選手は話しています。
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 不要不急の外出を禁じる活動制限令が発令されたのは3月18日で、現在は4月14日まで続くことが決定しています。MFLの当初の試合日程は、3月後半にはFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選が予定されていたことから試合が組まれておらず、第5節(4月3日〜4日)と第6節(4月10日〜12日)の2試合の延期が確定しています。
 マレーシア国内での新型コロナウィルス感染者数のピークは4月中旬が予想されることを保健省が発表しており、活動制限令は4月末までの延長も噂されています。その場合には第7節(4月17日〜19日)、第8節(4月25日〜26日)、第9節(4月28日〜29日)までの3試合が延期されることになります。その場合には流石に選手も交渉のテーブルに着く可能性はあるでしょうが、選手の立場で言えば、2試合の延期が確定しただけでクラブ側が給料削減を持ち出すのはいくら何でも早すぎる、ということでしょう。

UKM FCの選手は発言を捏造したMFLを批判
 マレーシアフットボールリーグMFL2部のUKM FCは、MFL1部JDTに続き選手が給料削減に同意したクラブと報道されていましたが、その後、選手はクラブに同意していないという記事が出るなど情報が錯綜しています。それでもマレーシアサッカー協会FAMと国内リーグを運営するMFLは、他のクラブもUKM FCに倣って、選手と給料削減の話し合いをすべきとコメントしています。
 しかし英字紙ニューストレイトタイムズは、UKM FCの選手たちは給料削減には全く同意していないというアスナン・アーマド主将の発言を報じています。記事によれば、アスナン主将とUKM FCの選手が15から20パーセントの給料削減に同意したという発言はMFLによって捏造されたものであるとしています。
 記事の中でアスナン主将は、この捏造された発言を元にFAMとMFLが新型コロナウィルス感染拡大によるリーグ中断による給料削減を他のクラブに奨励していることが許せないとしています。
 さらに、UKM FCの選手の大半は給料が5000リンギ(およそ12万4000円)以下で、しかも国内リーグが公式に終了する11月よりも2ヶ月も短い9月までの契約となっていることなどを挙げ、選手たちは給料削減について不当行為であると感じていると語り、選手はあくまでも給料削減に関してクラブとの話し合いの席に着くことに同意しただけで、内容については全く同視していないとしています。
 またリーグ中断による入場料収入減やユニフォームなどグッズの売上減についても、そもそもUKM FCはその分野の収入はほとんどなかったので、それを選手の給料削減の根拠として持ち出されても筋が通らないとも話しています。
 この他、「今季開幕前には9月まで運営する十分な予算があるとしていたクラブが、なぜ今、給料削減を持ち出すのかが理解できない。クラブは単に新型コロナウィルスを利用して経費を節約しようとしているだけである。」「(33パーセントの給料削減に同意した)ジョホール・ダルル・タジムJDTとUKM FCでは状況が全く違う。JDTの選手の給料は高額なので、給料削減は大した問題ではいだろう。しかもJDTが行なったように、削減した給料を新型コロナウィルスで苦しむ人々へ寄付するといった計画もUKM FCにはない。」とアスナン主将は話しています。
 また同じ記事の中では、DFルーベン・カティリピライは、選手が給料削減に同意したと報道されたことから、他のクラブの選手から同意したことを非難され、この選手が所属するクラブはUKM FCが先例を作ったことで、選手に給料削減に同意するように迫っていると聞かされていると述べています。
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 今回のUKM FCが行おうとしている給料削減については、今季開幕からわずか2試合で契約解除となった外国籍選手の補償金を生み出すためという噂もあります。MFLが公表している登録選手名簿では、UKM FCは今季、DFイグナシウス・アドゥコール(ガーナ)、FWイ・スンウ(韓国)、FWジュリアン・ボッターロ(アルゼンチン)、FWアカニ=サンデイ・ワシィウの4名を登録していますが、リーグ中断前の第4節までで試合に出場しているのは韓国出身のイ選手だけなので、噂は強ち的外れではないのかも知れません。

国家スポーツ委員会はユースコーチの手当未払い問題解決を約束
 マレーシア政府の青年スポーツ省とマレーシアサッカー協会FAMが統括する国家サッカー選手育成プログラムNFDPは、マレーシアの時代を担うユース育成プログラムですが、このプログラムに関わるパートタイムコーチの手当が支払われていないというニュースをサッカー専門サイトのスムアニャボラが伝えたのが4月1日のことでした。
 記事の中では、1月分と2月分のコーチ手当は3月分と共に3月末に支給されることになっていましたが、これが4月分と合わせて4月末に支給と発表になった一方で、NFDPの中核となるエリートアカデミーAMDのコーチは全員が予定通り給料を受け取っている点などを指摘されていました。
 そしてその続報が翌4月2日の同サイトで報じられました。FAMの副会長でもあるスバハン・カマルNFPD技術委員長がMSNと会見を行い、手当未払いの問題についてはNFDPとMSNが責任を負うものであることを認め、その理由としてMSN内でのNFDPを管轄部署が変更となったことなどを挙げ、NFDPは1週間以内に未払い手当を支給するとしています。
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 ユースプログラムからトップリーグまで、マレーシアのサッカー界に蔓延するこの給料未払い問題。見栄っ張りの傾向があるマレー人気質によるものなのか、あるいは計画性のなさなのか、あるいはその両方か。「マレー人は…。」と一般化するのは間違いなことは理解していますが、あらゆるレベルで起こるのを見るとついついそう考えてしまいます。

3月25日のニュース:ペナンFAは給料削減を検討、フェルダU・ペラTBG・トレンガヌFCは給料削減を行う予定なし、スランゴールFCはシャーアラムスタジアムの使用許可を改めてMFLに要請

ペナンFAは給料削減を検討
マレーシアフットボールリーグMFL2部のペナンFAは、所属選手に対して自発的な給料削減を提案する予定であると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 新型コロナウィルス感染拡大を防ぐため3月16日より全てのサッカー活動が停止しているマレーシアでは、やはりMFL2部のケランタンFAが同様の対応を検討していることが既に報じられていますが、ペナンFAもリーグ中断による入場料収入が得られていないことを理由に、給料削減提案のための話し合いを選手と行うとしています。なお、ペナンFAのチームマネージャーであるオン・エンフア氏は、この提案を行うのは月給が1万リンギ(およそ25万円)以上の選手が対象としています。

フェルダU、ペラTBG、トレンガヌFCは給料削減を行わず
 一方、同じスタジアムアストロの記事では、MFL1部のフェルダ・ユナイテッドは、給料削減について検討していないとしています。フェルダ・ユナイテッドのアフィザン・アブ・オスマン事務局長は、リーグ中断期間中もスポンサーと連絡を取り合っているとし、選手への給料支払いに関しては何も問題はないとしています。
 またマレーシアの通信社ベルナマは、ペラTBGとトレンガヌFCも現時点の給料削減を行わないとしていると報じています。
 ペラTBGを運営するペラ州サッカー協会PAFAのモハマド・アズリン・モハマド・ナズリ事務長は、クラブ運営資金はシーズン終了までは十分あり、リーグ中断による入場料収入減の影響はないとして、選手は給料未払いの心配も無用であると話しています。
 またトレンガヌFCを運営するトレンガヌ州サッカー協会PBSNTのテンク・ファロウク・フシン・テンク・アブドル・ジャリル事務長は、主要スポンサーであるトレンガヌ州政府やユニフォームの胸スポンサーであるレッドワン社を含む全てのスポンサーがリーグ中断期間も契約通りに支援を続けていることから運営資金のしんんパイはないとしています。また、入場料収入減の影響についても試合当日の審判や警備員などの経費に当てられており、クラブの運営への大きな影響はないと話しています。

スランゴールFCはシャーアラムスタジアムの使用許可を改めてMFLに要請
 スランゴールFCのホーム、シャーアラムスタジアムは観客席を覆うポリカーボネート製の屋根の一部が崩落し、観客が危険に晒される可能性があるとして、リーグ戦開催が認められていませんでしたが、スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASは観客の安全が確保されたとして、マレーシアフットボールリーグMFLに対して使用許可申請を行ったと英字紙スター電子版が伝えています。
 開場から30年が経つシャーアラムスタジアムは、今期開幕前にMFLが行った3度の施設検査に不合格となり、スランゴールFCは3月7日のホームゲームをブキジャリル国立競技場で開催することを余儀なくされています。
 記事の中でFASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、崩落の危険性がある屋根は撤去が終わっており、マレーシア政府の機関である公共事業局と協力してスタジアムの安全は確保できたと話しています。またMFLのモハマド・シャズリ・シャイク・モハマドCOOは、FASから申請を受け取ったことを認めており、現在マレーシア全土に発令されている活動制限令解除後に施設検査を行うとしています。

MFL1部スーパーリーグ 2020年シーズン第4節結果

 マレーシアフットボールリーグMFLは、3月14日(土)と3月15日(日)の両日に、1部スーパーリーグMSLの第4節の6試合が行われました。以下結果です。
(ホームチームが左側です。)
 なお、MFLは第5節以降の試合の延期を決定しており、新たな日程は後日発表となります。

3月14日(土)
リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバFA 2-2 ペラTBG
得点者:サバ-アジザン・ノーディン(5分)、ギー・グナブユ(27分)、ペラ-シャーレル・フィクリ2(17分、80分)
 ペラは開幕から4試合負けなしで中断期間へ、サバはホームでの連勝はなりませんでした。

ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州クルボン)
マラッカ・ユナイテッド 0-1 パハンFA
得点者:パハン-ディクソン・ヌワカエメ(67分)
 マラッカは開幕から2連勝の後で2連敗、一方のパハンは開幕から2連敗後の2連勝です。

スルタン・イブラヒムスタジアム
ジョホール・ダルル・タジムJDT 1-1 フェルダ・ユナイテッド
得点者:JDT-シャフィク・アーマド(21分)、フェルダ-フレデリック・ビュロ(52分)
 開幕戦から続いていたJDTの連勝は3でストップしましたが、JDTアカデミー出身の17歳、アリフ・アイマンがAチームデビューを果たしています。一方フェルダ・ユナイテッドは2017年9月28日以来のJDTからの勝点(ただしこの時は3-2で勝利しています)で、開幕からの4試合を1勝2分1敗として中断期間に入ります。
 フェルダ・ユナイテッドの恵龍太郎選手は先発してフル出場しています。

3月15日(日)
ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダFA 2-0 スランゴールFC
得点者:クダ-レナン・アウヴェス(25分)、クパ・シャーマン(45分)
 ここまで1分2敗と苦しんでいた昨季のFAカップチャンピオン、クダFAが、クパ・シャーマンの3戦連続ゴールなどでスランゴールFCを下して待望の今季初白星。

UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UITM FC 3-1 PDRM FC
得点者:UITM-ラビ・アタヤ(12分)、グスタヴォ・アルメイダ(45分PK)、ズルキフリ・ザカリア(分)、PDRM-エスカンダー・イスマイル(90+1分)
 11位と12位の対決は、11位のUITM FCが今季初勝利、12位のPDRM FCは今季チーム2ゴール目を挙げるも開幕から4戦で勝利はありません。

なお3月14日(土)に予定されていたPJシティFC対トレンガヌFCの試合は、ホームのPJシティFCが試合会場を用意できなかったため、順延となっています。

マレーシアスーパーリーグ順位表(第4節終了時)
*PDRM FCは給料未払い問題による処分を受け、勝点3が剥奪されています。
*第4節のPJシティFC対トレンガヌFCは、ホームのPJシティFCが試合会場を用意できなかったため順延となっています。

順位クラブ得点失点得失差勝点
1JDT431052310
2PRK42208448
3MLK42207526
4PHG42026516
5SBH41215505
6FEL412167-15
6SEL412167-15
8KDH41126604
9TFC311189-14
10UITM411256-14
11PJC311145-14
12PDRM401327-5-2

順位表のクラブ名称:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、PRK-ペラTBG、MLK-マラッカ・ユナイテッド、PHG-パハンFA、SEL-スランゴールFC、SBH-サバFA、FEL-フェルダ・ユナイテッド、TFC-トレンガヌFC、PJC-PJシティFC、KDH-クダFA、UITM-UITM FC、PDRM-PDRM FC

マレーシアスーパーリーグ ゴールランキング(第4節終了時)

ゴール数選手名所属
4ドミニク・シルヴァトレンガヌFC
3イヴァン・カルロスパハンFA
3シャーレル・フィクリペラTBG
3イフェダヨ・オルセグンスランゴールFC
3クパ・シャーマンクダFA
2ブレンダン・ガンら13名