Mリーグ1部スーパーリーグ第14節結果

 いよいよスーパーリーグ後半戦開幕!と盛り上がるはずでしたが、マレー半島北部ダービーとして注目されていた3位クダ・ダルル・アマンFC対4位ペナンFCの試合が新型コロナ感染者発覚により延期となってしまいました。
 各試合のハイライト映像はMFLのYouTubeチャンネルよりお借りしています。(PJシティFC対サバFC戦のハイライト映像はまだMFLのチャンネルにアップされていないので、ここでも後ほどアップします。)

2021年7月24日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌFC 5-0 ペラFC
得点者:トレンガヌ-ファイザル・ハリム(18分)、デヴィッド・ダ・シルヴァ(23分PK)、チャーリー・マシェル(42分OG)、ハキミ・アブドラ(70分)、ニック・アキフ・シャヒラン(90+5分PK)
 前半戦の好調を維持するトレンガヌFCが大量点で圧勝しています。トレンガヌは18分にファイズ・ナシルのクロスにファイザル・ハリムが合わせて先制すると、23分にはそのファイザル・ハリムがペナルティーエリア内で倒されてトレンガヌがPKを得ます。これをデヴィッド・ダ・シルヴァが決め、トレンガヌがリードを2点に広げます。さらに42分にはファイズ・ナシルのパスをクリアしようとしたペラのチャーリー・マシェルがオウンゴールし、トレンガヌが3-0として前半が終了します。後半に入っても攻撃の手を緩めいないトレンガヌはペラのゴールに迫りますが、ペラはGKハフィズル・ハフィスの好守で凌ぎます。しかし70分には途中出場のハキミ・アブドラのゴールで4-0、90+5分にはペナルティエリア内で自身が倒されて得たPKをニック・アキフ・シャヒランが決めてトレンガヌが完勝しています。
 主力選手の退団により前半戦とは大きくメンバーが変わったペラは、後半戦も厳しい試合が続くことを予想させる大敗で、2部降格圏にまた一歩近づきました。

2021年7月24日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティFC 1-1 スランゴールFC
得点者:KL-パウロ・ジョズエ(40分)、スランゴール-オリヴァー・バフ(43分)
 首都圏を流れるクラン川にちなみクラン渓谷とも呼ばれる首都圏に本拠地を持つ両クラブの対戦は代々クラン渓谷ダービーと呼ばれてきましたが。今季2度目のクラン渓谷ダービーは、スランゴールFCのホームで行われた前回の対戦同様、1-1の引き分けに終わっています。
 ペラFCから移籍のケニー・パッラジと J・パルティバンの新加入コンビが機能するなどKL有利の展開で進むも、チャンスを活かせなかったKLですが、40分にペナルティーエリアの外で得たフリーキックを主将のパウロ・ジョズエが直接、決めて先制しました。しかしスランゴールもすかさず反撃に転じ、43分にはノー・ハキムのクロスからのこぼれ球をオリヴァー・バフが押し込み同点としてます。結局、その後は両チームとも無得点に終わりました。

2021年7月24日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティFC 1-0 サバFC
得点者:PJ-スニル・チャンドラン(89分)
 前半戦最後の3試合を1分2敗で終えていたPJシティが後半戦を白星てスタートさせています。
 試合はサバ優勢で進むものの、両チームとも無得点のまま終盤へ。このまま終了かと思われた89分、途中出場のスニル・チャンドランが放ったロングレンジのシュートがサバGKロブソン・レンディ・リニンの横をすり抜け、これが決勝ゴールとなりPJシティは今季4勝目を挙げています。

2021年7月25日@ダルル・マクムルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハンFC 1-0 マラッカ・ユナイテッドFC
得点者:パハン-マヌエル・イダルゴ(1分)、マラッカ-ワン・ザハルニザム(88分)
 9位と10位の対戦となったこの試合は、開始1分もしないうちにマヌエル・イダルゴがゴールを決めたパハンFCが終始ボールを支配するも、エラルド・グロンがPKを失敗するなど追加点を奪えないまま1-0で終盤を迎え、このまま終了かと思われた88分にパハンDF陣の足が止まった隙をついて、マラッカのワン・ザハルニザムが同点ゴールを決め、試合途中に照明が消えるアクシデントもあったこの試合は両チーム痛み分けに終わりました。

2021年7月25日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
JDT 3-1 UITM FC
得点者:JDT-ゴンザロ・カブレラ(50分)、サファウィ・ラシド(75分)、ベルグソン・ダ・シルヴ(88分)、UTIM-ジョエル・ヴィニシウス(43分)
 今季未勝利のUITM FCが新加入のジョエル・ヴィニシウスのゴールで首位JDTに先制するまさかの展開も、終わってみればJDTが後半に3ゴールを挙げて勝点3を獲得しています。

*7月24日に予定されていたクダ・ダルル・アマンFC対ペナンFC(ダルルアマンスタジアム-クダ州アロースター)は、クダ・ダルル・アマンFCの選手2名が試合前の検査により新型コロナ陽性となったため延期されています。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第14節終了時)

 ClubGWDLGFGAGDP
1JDT149313172433
2TFC1493225121330
3KDA138232113826
4PEN136431814422
5SEL145542321220
6KL144641815318
7PJ144641114-318
8SBH144461718-116
9PHG143471723-613
10PRK143381426-1212
10MU143651620-4*12
12UITM140213533-282
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第14節終了時)

選手(クラブ)ゴール数
1イフェダヨ・オルセグン(SEL)12
ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)12
2クパー・シャーマン(KDH)9
3カサグランデ(PEN)7
4パウロ・ジョズエ(KL)8
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

Mリーグ2部プレミアリーグ第13節結果

 いよいよプレミアリーグ後半戦開幕!と盛り上がるはずでしたが、日本人対決カードだった鈴木雄太選手が所属するクチンシティFC対渡邉将基選手が所属するトレンガヌFC II、そしてサラワク・ユナイテッドFC対ペラFC IIの2試合が新型コロナ感染者発覚により延期となってしまいました。

2021年7月24日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタンFC 2-1 FAM-MSNプロジェクト
得点者:ケランタン-クリストス・インツィディス(55分)イスマイル・イブラヒム(90+1分)、MSN-アズハド・ハラズ・アルマン(55分)

2021年7月24日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビランFC 0-0 スランゴールFC2
得点者:なし

2021年7月25日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
PDRM FC 1-0 ケランタン・ユナイテッドFC
得点者:PDRM-鈴木ブルーノ(78分)
 途中出場の鈴木ブルーノ選手が2戦連続となる今季2つ目のゴールが決勝ゴールとなり、8位のPDRM FCが7位のケランタン・ユナイテッドFCに勝利、勝点差2と肉薄しています。
 ケランタン・ユナイテッドFCの深井脩平、谷川由来の両選手は先発してフル出場ています。また本山雅志選手は58分から交代出場し最後までプレーしています。
 PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は76分から交代出場し、試合終了までプレーしています。

*7月24日に予定されていたクチンシティFC対トレンガヌFC IIと7月25日予定されていたサラワク・ユナイテッドFC対ペラFC II(いずれも会場はサラワク州立スタジアム-サラワク州クチン)では、クチンシティFCとサラワク・ユナイテッドFCの選手数名が試合前の検査により新型コロナ陽性となったため延期されています。

2021年シーズンMリーグ2部プレミアリーグ順位(第13節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1SU117312171424
2NS12651169723
3TFC1147024111319
4KEL125341312118
5SEL124531914517
6JDT114431711616
7KU125161416-216
8PDRM124261114-314
9KCH10244912-310
10PRK102451017-710
11FAM120210940-312
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:NS-ヌグリスンビランFC、SU-サラワク・ユナイテッドFC、TFC-トレンガヌFC II、PRK-ペラFC II、SEL-スランゴールFC 2、KEL-ケランタンFC、KU-ケランタン・ユナイテッドFC、KCH-クチンシティFC、FAM-FAM MSNプロジェクト
*今季の2部プレミアリーグは11チームが参加のため、各節で1チームだけ試合がありません。第13節は廣瀬慧選手が所属するJDT IIの試合がありませんでした。


2021年シーズンMリーグ2部プレミアリーグ得点ランキング(第13節終了時)

選手名(クラブ)ゴール数
1ジョーダン・ミンター(TFC)11
2ウチェ・アグバ(SU)8
フェルナンド・ロドリゲス(JDT)8
3ジョージ・アトラム(SEL)7
4アライン・アコノ(NS)6
ガッサマ・アルフセイネイ(KU)6
クラブ名:NS-ヌグリスンビランFC、SU-サラワク・ユナイテッドFC、TFC-トレンガヌFC II、PRK-ペラFC II、SEL-スランゴールFC 2、KEL-ケランタンFC、KU-ケランタン・ユナイテッドFC、KCH-クチンシティFC、FAM-FAM MSNプロジェクト

7月24日のニュース(2):2部プレミアリーグでも感染者発覚で今日と明日の2試合が延期に

 Mリーグを運営するMFLは公式サイト上で本日7月24日に予定されていたMリーグ2部プレミアリーグ第13節のクチンシティFC対トレンガヌFC II戦と明日7月25日予定されていたサラワク・ユナイテッドFC対ペラFC II戦が延期となったことを発表しています。
 両試合ともクチンシティFCとサラワク・ユナイテッドFCがともに本拠地としているサラワク州クチンのサラワク州立スタジアムでの開催が予定されていました。
 Mリーグは本日7月24日からおよそ3ヶ月の中断期間を挟んで後半戦が始まります。
 MFLの発表によれば7月22日サラワク・ユナイテッドFCの選手22名と監督、コーチを含む関係者14名がPCR検査を受けた結果、1名の選手が陽性であることが発覚したということです。またクチンシティFCは試合当日の7月24日の午前中に行った抗原検査で選手3名と関係者3名が陽性反応を示したため、その6名はさらにPCR検査を受けると同時に抗原検査では陰性だった他の選手と関係者も検疫隔離されているということです。
 Mリーグでは1部スーパーリーグでも本日7月24日に予定されていたクダ・ダルル・アマンFC対ペナンFC戦(クダ州ダルル・アマンスタジアム)が、PCR検査の結果、クダ・ダルル・アマンFCの2選手が陽性となったため延期されています。
 Mリーグ各クラブはMリーグが中断された5月上旬以降は練習場と合宿先のみで活動するスポーツバブル形式で練習を行うなど厳格な標準行動基準SOPを遵守することが求められてきましたが、残念ながらそれだけでは感染は防止できないことが明らかになった形です。
 この発表の中でMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは改めて各クラブにスポーツバブル形式下でのSOP遵守を求めると述べていますが、本日のマレーシア政府の発表では新型コロナの1日あたりの新規感染者がこれまでで最多となる1万5902名を記録、しかも2日連続で1万5000名越えとなっていることから、MFLが個々のクラブに感染防止措置を任せるだけで果たして十分なのかどうかも疑わしくなっています。

7月24日のニュース:Mリーグ後半戦を勝手に予測(1部スーパーリーグ編)

 W杯アジア2次予選やAFCチャンピオンズリーグなどにより、Mリーグは5月8日より中断していましたが、いよいよ本日7月24日から再開されます。そこで前回の2部プレミアリーグ編に続き、今回はボラセパマレーシアJPによる勝手な後半戦予測の1部スーパーリーグ編をお届けします。
 とここまで書いたところで、クダ・ダルル・アマンFCに新型コロナの感染者2名が発覚し、本日のクダ・ダルル・アマンFC対ペナンFC戦が延期になったことがMFL公式サイトで発表されています。満を辞して始まる後半戦もいきなり新型コロナの洗礼に見舞われてしまいました。

 第13節まで終了している今季のスーパーリーグは本日7月24日と明日7月25日に開催される第14節から後半戦が始まり、10月27日と28日に予定されている最終節第22節までのおよそ3ヶ月で、各クラブは残り9試合を行います。スーパーリーグ現在の順位表は以下の通りです。

Mリーグ1部スーパーリーグ順位表(第13節終了時)

ClubGWDLGFGAGDP
1JDT139312862230
2TFC138322012827
3KDA138232113826
4PEN136431814422
5SEL135442220219
6KL134541714317
7SBH134451717016
8PJ133641014-415
9PHG133371622-612
10PRK133371421-712
11MU133551519-4*11
12UITM130211430-262
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MEL-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

 現在、スーパーリーグ7連覇中のJDTは、今季も2位のトレンガヌFCに勝点差3をつけて首位を堅持し、優勝候補の大本命です。今年2度目のトランスファーウィンドウ期間中には同じスーパーリーグのペラFCからいずれもマレーシア代表のFWギリェルメ・デ・パウラとDFシャールル・サアドを獲得て代表選手コレクションに加え、またオーストラリア1部のニューカッスルジェッツに期限付き移籍させていたインドネシア各年代で代表経験のある22歳のMFシャーリアン・アビマニュを呼び戻すなど、首位にいながら補強に余念がありません。
 しかしその一方で、JDTは主力選手の多くがマレーシア代表選手でもあり、6月上旬にアラブ首長国連邦で行われたFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選に出場した代表選手たちは、そこからタイへ直行して6月下旬から7月初旬まで行われたAFCチャンピオンズリーグACLに出場するなど、強行日程をこなしており、そこから来る疲労は後半戦へ向けての不安材料の一つに思えます。また前半戦は11試合で11ゴールを量産したFWベルグソン・ダ・シルヴァはACLでは格上のチーム相手だったとは言え不振を極め、こちらも後半戦への不安要素となりそうで、2位に勝点差10をつけて優勝した2019年シーズンや、11試合に短縮されたリーグながら勝点差7をつけて優勝した昨季2020年シーズンと比べると、今季のJDTは攻略の隙が十分あります。

 そしてこのJDTの対抗馬1番手となりそうなのが現在2位のトレンガヌFC。前半戦ではJDTに 今季唯一の黒星を着け、首位とは勝点差3で前半戦を終えています。前半戦好調の立役者MFマカン・コナテや彗星のように現れJDT戦では決勝ゴールも挙げた快速ウィングのハキミ・アブドラ、やはり今季急成長したセンダーバックのモハマド・ファウジ、そのモハマド・ファウジと共に守備陣を支えるフィリピン代表DFカルリ・デ・ムルガらに加えて、トランスファーウィンドウ期間中には、スリ・パハンFCから昨季まで主将を務めていたMFリー・タックを期限付き移籍で獲得、さらにMFハビブ・ハルーン(バーレーン)を獲得するなど、着実な補強を進めています。リーグ優勝へ向けては、直接対決がある第21節まで勝点差3のままJDTに離れずについて行けるかどうかが鍵になりそうです。

 ボラセパマレーシアJPが今季開幕前に優種候補に挙げたクダ・ダルル・アマンは現在3位。JDT戦では何故かパフォーマンスが低下する「JDTアレルギー」により、今季も既に2敗しており自力優勝の目はないので。後半戦の現実的な目標はリーグ2位に与えられるAFCカップ出場権獲得が目標となりそうです。戦力的にはエースのFWクパー・シャーマンを中心に、MFチェチェ・キプレ、MFボドロル・バクティアルら現有戦力で後半に臨みます。

 前半戦の台風の目となったのは、昨季は2部で優勝し、今季から1部でプレーするペナンFCでした。昇格初年度でここまで4位の成績は、昨季は2部で得点王を取り、1部でもゴールを量産するFWカサグランデを中心とした攻撃陣と、トマス・トゥルチェ監督の抜擢に応えたスランゴールFCから期限付き移籍中の21歳DFクェンティン・チャンや1部でも安定したプレーを見せ続けて6月のW杯予選に招集されたGKサミュエル・サマーヴィルらが前半戦同様のパファーマンスを見せることができれば、トップ3入りはもちろん、AFCカップも見えてきます。

 5位は思い切った方針転換を行い、若手を積極的に起用しながら「育てながら勝つ」を実践するスランゴールFC。リーグ得点王のFWイフェダヨ・オルセグンを擁し、チーム総得点はJDTに次ぐリーグ2位の22得点ながら失点も22点と守備の破綻が目立ちます。開幕前のケガで前半戦を棒に振った期待の新戦力MFニック・シャリフ・ハセフィも復帰する攻撃面は万全なので、マニュエル・コンラッド、ティム・ホイバッハら外国籍選手がシャールル・ナジーム、シヴァン・ピレイといった若いDF陣をうまく引っ張って行ければさらに上位を脅かす可能性もありますが、前半戦を見る限りではトップ5に入れれば今季の目標達成となるのではないでしょうか。

 前半戦は上位のチームとは接戦を繰り広げながら、下位のチームに取りこぼすなど不安定な面もあった6位のKLシティFC。トランスファーウィンドウ期間中にペラFCから守備的MFケニー・パラッジとウイングJ・パルティバンといずれも主力選手を獲得、さらに第4節ペラFC戦で負傷しそれ以降出場のなかったFWドミニク・ダ・シルヴァに代わりFWキリアン・ヌワブエズを獲得するなど、選手層の薄さや攻撃力不足を補う着実な補強を行うなど、上位に食い込むには十分な戦力が整い、Mリーグでは実績のあるボジャン・ホダック監督率いるチームは後半戦の台風の目となりそうです。

 新型コロナによる影響で開幕時には外国籍選手が不在だったサバFCは開幕直後の4試合を0勝1分3敗と苦しいスタートを切り、早々とクルニアワン・ドゥイ・ユリアント監督更迭の噂まで出たものの、外国籍選手が合流した前半戦最後の5試合では3勝1分1敗と不振から持ち直して6位まで順位を上げています。40歳のFWアムリ・ヤハヤの復活など話題に富むチームではあるものの、前半戦途中では給料未払い問題(経営陣は単なる遅配と主張)が明らかになり、外国籍選手獲得の遅れも合わせて、現場ではなく経営陣の不手際が目立ってしまいました。戦力的には2部降格の心配はないものの、トップ5入りは難しいといったところなので、後半戦も6位から9位辺りを行き来することになりそうです。

 今季のスーパーリーグで唯一、外国籍選手が1人もいないPJシティFCは、開幕からの5試合を2勝2分け1敗と大方の予想を覆してスタートしましたが、その好調さはFWダレン・ロックのケガとともに尻すぼみとなりました。それでも前半戦は8位で終える大健闘を見せましたが、降格圏となる11位のクラブとは勝点差4と安閑としていられる状況ではありません。今日の試合(サバFC戦)からロックは復帰するようですが、下位チームの補強状況を見る限り、後半戦は1部残留が目標となりそうです。

 スリ・パハンFCは前半戦終盤に開いたトランスファーウィンドウ期間に外国籍選手4名を入れ替えると、アルゼンチン出身の攻撃的MFマヌエル・イダルゴ、ミャンマーU23代表FWアウン・カウン・マン、南スーダン代表FWケニー・アティウと新加入の選手たちが続々とゴールを決め、前半戦最後の3試合を2勝1分とチームを立て直し、通算成績を3勝3分7敗の9位まで順位を上げています。とは言え、前半戦最後の3試合の内、給料未払いで主力の大半が流出したペラFCと今季未勝利のUITM FCから上げた2勝で、上位のスランゴールFCとは引き分けており、11位のクラブとは勝点差1と降格圏の一歩手前の状況なのは変わらず、今日のマラッカ・ユナイテッドFC以降の後半戦は全て上位のクラブとの対戦となります。後半戦直前には昨季はタイ2部で優勝したノーンブワ・ピチャヤFCでプレーしたDFニコラス・スウィラドも獲得し、こうした新戦力が果たして上位クラブとの対戦でも活躍するのかどうかに注目です。

 開幕前に監督が交代し、大方の予想に反して開幕当初から調子の上がらなかったペラFCは、前半戦途中に選手への給料未払いが発覚。トランスファーウィンドウ期間中には主力選手の大半が流出した結果が現在の10位という順位に反映されています。代表クラスを含む開幕戦の先発メンバー6名が退団する異常事態に、当初はセカンドチームで2部プレミアリーグでプレーするペラFC IIから選手を招集して…という話が出ていたものの、結局は外国籍選手を獲得しています。2018年にペラでプレー経験があるレバノン出身のDFジャド・ヌールディン、同じレバノン出身のMFサミル・アヤス、そしてUITM FCからFWナナ・ポクを獲得し、残留したブラジル出身コンビのFWカレッカ、MFレアンドロ・ドス・サントスと外国籍選手枠を埋めたものの、代表DFシャールル・サアドらの離脱の穴は大きく、セカンドチームから上がって来る若い選手と外国籍選手がそれを埋められるか否かが、チーム創設以来初となる2部降格を防げるかどうかの鍵になります。

 給料未払いにより昨季に続き、勝点3を剥奪される放漫経営のツケが周り、降格圏となる11位にとどまっているマラッカ・ユナイテッドは、トランスファーウィンドウ期間中に4得点を挙げているステファン・ニコリッチと3得点を挙げているアレックス・ゴンサウヴェスの両FWに代えてアドリアーノ、ジョバンニ・ゴメスの2人のFWを獲得しています。チーム総得点15点の内、7点を挙げていたFWを交代させてさらに挟撃力アップを、という目論みなのでしょう。しかし、前半最後の3試合で7失点しており、素人目にではむしろ守備の補強が急務にも見えますが、守備陣の補強はJDT IIから期限付きで移籍したゲイリー・スティヴン・ラバットのみで、いよいよ6年振りの2部降格が近づいてきました。

 前半戦では勝ち星を挙げられず勝点もわずか2、11位とは勝点差9の最下位のUITM FC。リーグが11試合に短縮されたとはいて昨季の5勝2分4敗の成績が嘘のような今季の成績です。昨季のチームからはクラブ運営予算上の問題により主将のDFヴィクトル・ニーレノルドを除く外国籍選手4名との契約を更新せず、主力選手の顔ぶれも変わりましたが、そういった今季こそ元U23代表監督でもあったフランク・バーンハート監督の手腕が試されるシーズンだったはず。しかし連敗が続くと経営陣はバーンハート監督を「休養」させ、状況が改善しないと再び「復帰」させるなど混乱状態のまま終わった前半戦でした。またトランスファーウィンドウ期間には一旦獲得した東ティモール代表FWジョゴ・ペドロとの契約を解除するなどこちらも迷走しています。結局、昨季もUITM FCでプレーしたMFウスマン・ファネを獲得した他、昨季はサバFCでプレーしたドイツ出身のデニス・ブシェニング、韓国出身のMFクォン・ヨンヒョン、そしてブラジル出身のジョエル・ヴィニシウスの両FWを獲得するなどの補強を行いましたが、2部降格濃厚の状況は変わりそうにありません。

7月23日のニュース:Mリーグはスランゴール州とヌグリスンビラン州のクラブに本拠地での試合開催を許可、東マレーシアに本拠地を持つクラブは明暗が分かれる、代表は9月にパレスチナと練習試合か

Mリーグはスランゴール州とヌグリスンビラン州のクラブに本拠地での試合開催を許可
 Mリーグは今週末7月24日より再開しますが、これを前にMリーグを運営するMFLは、スランゴール州およびヌグリスンビラン州に施行されていた強化行動制限令EMCOが通常の行動制限令MCOへと変更になったことに基づき、この両州に本拠地を持つクラブに対して、本拠地でのホームゲーム開催を許可すると発表しています。
 スランゴール州に本拠地を持つ1部スーパーリーグのスランゴールFC、PJシティFC、UITM FCの3クラブは、それぞれMBPJスタジアム(今季はスランゴールFCとPJシティFCが共同使用)とUITMスタジアムでのホーム開催が許可され、2部プレミアリーグではUITM FCを本拠地とするFAM-MSNとヌグリスンビラン州パロイにあるトゥンク・アブドル・ラーマンスタジアムを本拠地とするヌグリスンビランFCもそれぞれ本拠地でのホームゲーム開催が許可されています。
 この発表以前には上記の各チームは強化行動制限令EMCOが施工されている従来の本拠地でのホームゲーム開催が禁止され、暫定本拠地での代替開催が求められており、やはりスランゴール州スラヤンのMBSスタジアムを本拠地とするスランゴールFCのセカンドチーム、スランゴールFC2は、前半戦の未消化試合となっていたホームゲームのサラワク・ユナイテッドFCを7月17日にペラ州で開催していました。
 またこの変更により、Mリーグ1部スーパーリーグと2部プレミアリーグは一部の試合で試合日程及び試合会場も変更になっています。最新の試合日程は1部スーパーリーグはこちら、2部プレミアリーグはこちらです。

東マレーシアに本拠地を持つクラブは明暗が分かれる
 マレーシアはマレー半島部とボルネオ島(カリマンタン島)にある東マレーシアの二つの地域で構成されていますが、東マレーシアにあるサバ州では7月10日より渡航者全員に14日間の検疫隔離が義務付けられたことを受け、Mリーグを運営するMFLはサバ州政府の危機管理委員会に対し、Mリーグクラブの入州について例外措置を求めていくとしています。
 Mリーグ全クラブは現在、宿舎と練習場で構成されるスポーツバブル内のみで活動する合宿形式の練習を行なっており、長期の検疫隔離は不要との観点から例外措置が認められることを期待しているとMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは公式サイト上で述べています。
 なおサバ州コタキナバルに本拠地を持つサバFCは、現在はマレー半島のジョホール州でリーグ開幕に備えた合宿を行っています。
 一方、同じ東マレーシアのサラワク州では、州都クチンに本拠地を持つ2部プレミアリーグのサラワク・ユナイテッドFCとクチンシティFCが今季初めて、両クラブのホームスタジアムであるサラワク州スタジアムでの練習がサラワク州政府の危機管理委員会によって許可されたことに対し、MFLは州政府への感謝の意を表明しています。

代表は9月にパレスチナと練習試合か
 先月6月に開催されたFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選ではアラブ首長国連邦、ベトナムに次ぐ3位となり、アジアカップ3次予選に回ることになったマレーシア代表。そのアジアカップ3次予選は来年2022年2月の開催が予定されていますが、この予選に向けて9月には練習試合が予定されているようだと、サッカー専門サイトのヴォケットFCが伝えています。
 この記事ではフットボールパレスチナというツイッタアカウントからの投稿を取り上げており、その投稿によると今年12月に予定されているFIFAアラブカップ(アラブ諸国の代表チームによる大会)の準備としてパレスチナ代表がアルジェリアでの合宿を行った後、マレーシア、そしてやはりアジアカップ3次予選に出場するキルギスとの練習試合を予定しているということです。
 ただし試合開催地などの詳細は投稿には記載されておらず、ヴォケットFCはこの練習試合の開催決定は、新型コロナウィルスの今後の感染状況などにより左右される可能性があるとしています。
 なおこの記事で取り上げられているパレスチナはFIFAランキング104位、またキルギスは同99位で、実現すれば同153位のマレーシアにとっては願ってもないランク上位チームとの練習試合となります。

7月22日のニュース:Mリーグ後半戦を勝手に予測(2部プレミアリーグ編)

 W杯アジア2次予選やAFCチャンピオンズリーグなどにより、Mリーグは5月8日より中断していましたが、いよいよ今週土曜日7月24日から再開されます。そこで今回と次回はボラセパマレーシアJPがその後半戦を勝手に予測してみます。1回目の今回はMリーグ2部プレミアリーグ編です。

 例年より1チーム少ない11チームが参加している今季のプレミアリーグは今週土曜日の第13節から後半戦が始まり、10月24日と25日に予定されている最終節第22節までのおよそ3ヶ月で、各クラブは平均10試合を行います。プレミアリーグ現在の順位表は以下の通りです。

2021年シーズンMリーグ2部プレミアリーグ順位(第12節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1SU117312171424
2NS11641169722
3TFC1147024111319
4JDT114431711616
5SEL114431914516
6KU115151415-116
7KEL114341111015
8PDRM113261014-411
9KCH10244912-310
10PRK112451017-710
11FAM10028732-252


項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:NS-ヌグリスンビラン、SU-サラワク・ユナイテッド、TFC-トレンガヌII、PRK-ペラII、SEL-スランゴール2、KEL-ケランタン、KU-ケランタン・ユナイテッド、KCH-クチンシティ、FAM-FAM MSNプロジェクト

 開幕前には代表FWのノーシャルル・イドラン・タラハ、昨季はスランゴールFCで主将を務めたテイラー・リガンなどプレミアリーグでもトップクラスの補強を行なったサラワク・ユナイテッドFCがプレミアリーグ前半戦では2位には勝点差2をつけて首位で折り返しています。ただし前半戦終盤には給料未払い問題が表面化、さらに今季開幕前に契約解除した前監督への給料未払いにより一時はFIFAにより新戦力獲得禁止処分なども出されるなどクラブ運営上の問題が噴出しています。また、それが原因かどうかは不明ですが、前半戦終了後のトランスファーウィンドウ期間には他チームが新戦力を獲得する一方で、目立った補強は行わないままま後半戦に臨みます。取りこぼしをしなければ2部プレミアリーグの上位2チームに与えられる1部スーパーリーグへの自動昇格権を獲得できそうですが、再び給料未払い問題が再燃すれば選手のモチベーションへの影響は必至です。
*****
 なおサラワク・ユナイテッドは日本人FW兼右ウイングのユウタ選手の獲得を公式Facebookで発表していますが、中断期間中に行われた練習試合に出場しておらず、本名や経歴などの詳細は不明です。(以下はサラワク・ユナイテッドFCの公式Facebookより。)

 サラワク・ユナイテッドFCを勝点差2で追うヌグリスンビランFCは、リーグ中断中のトランスファーウィンドウ期間中に、前半戦11試合で6ゴールのFWアライン・アコノ以外の3名の外国籍選手を入れ替えるなど、積極的な補強を行なっています。昨季2020年シーズンには当時プレミアリーグだったKLに在籍して10試合で7ゴールを挙げたFWフランシス・コネ(トーゴ)、2019年から2シーズンの間スーパーリーグのPJシティFCでもプレーした攻撃的MFペ・ボムグン(韓国)といったMリーグ経験者を補強しただけでなく、インドネシアでのプレー経験が長いことからマレーシア語に類似するインドネシア語でコミュニケーションが取れるというDFアルトゥール・クーニャ(ブラジル)を獲得して1部昇格はもちろん、2部優勝を目指す意欲を見せる補強を行なっています。リーグ2位ながら総得点はリーグ5位の16点(11試合)で、その内、アコノが6点、FWザクアン・アドハとMF R・バラトクマルがそれぞれ4点とこの3選手以外は得点ができていないことから、長身FWコネ選手の獲得によって攻撃の選択肢が増えることになりそうです。

 順当に行けば、この2チームがプレミアリーグの上位2チームに与えられる来季2022年シーズンの1部スーパーリーグ自動昇格権獲得の最有力候補です。現在3位トレンガヌFC II、4位JDT II、5位スランゴールFC2はいずれも1部スーパーリーグでトップチームがプレーしているセカンドチームであることから、上位2位以内に入っても1部自動昇格権を得ることができず、これらのチームが上位2位以内に入った場合は次点のチームが1部に昇格します。
 しかし優勝争いという点では今季ここまで11試合無敗の3位のトレンガヌFC IIも候補のうちの一つです。2019年シーズンは3位と勝点差3で4位、昨季2020年シーズンは優勝したペナンFCと勝点差4の2位と例年、優勝争いに絡んでくるトレンガヌFC IIは、今季も2位とは勝点差3、首位のサラワク・ユナイテッドFCとは勝点差5の両チームに迫っています。しかも今季開幕からは怪我人が多発したトップチームのトレンガヌFCでプレーし、トレンガヌFC IIではわずか5試合の出場ながら11ゴールを挙げているFWジョーダン・ミンターが常時プレーすることで、リーグトップの24得点(11試合)という攻撃力にはさらに磨きがかかりそうです。

 4位のJDT IIは、開幕時の主力で本来ならトップチームでプレーすべきFWアキヤ・ラシドやFWアフィク・アフマドらがトップチームに合流し、また出場機会を求めてMFゲイリー・スティーヴェン・ロバットらがMリーグの他のクラブへ期限付き移籍するなど、戦力の低下が予想される一方で、オーストラリア1部Aリーグのニューカッスルジェッツへ期限付き移籍させていたMFシャヒラン・アビマニュを呼び戻し、英国1部ウルヴァーハンプトンFC U23からマレーシア人の親を持ち、マレーシア人選手として登録可能なMFナサニエル・シオを獲得するなど不足される戦力の補強は行なっており、侮れない存在です。
 また5位のスランゴールFCは、やはり前半戦途中から若手選手をトップチームに昇格させながらも、さらに若手を育てながら勝つことを目指しており、ガーナのアグラライオンズFCからはチームとしては3人目となる20歳のMFアレックス・アギャクワを期限付き移籍で獲得し、後半戦も「育てながら勝つ」方針を貫きそうです。

 上記のように現在3位から5位までのチームには自動昇格権がないため、サラワク・ユナイテッドFCとヌグリスンビランFCに続く昇格候補はいずれもケランタン州に本拠地を持つ6位ケランタン・ユナイテッドFCと7位のケランタンFCとなります。しかし勝点16で並ぶ両チームは、2位のヌグリスンビランFCは勝点差6、首位サラワク・ユナイテッドFCとは勝点差8となっており、両チームとも残り9試合中、上位と直接対決の機会はケランタン・ユナイテッドFCがヌグリスンビランFCと1試合、ケランタンFCがサラワク・ユナイテッドFC、ヌグリスンビランFCとそれぞれ1試合ずつ残しているものの、その試合に勝っても順位を逆転することはできず、上位の取りこぼしに期待せざるを得ない状況です。
 6位のケランタン・ユナイテッドFCは、クチンシティFCから移籍してきたMF谷川由来、日本から獲得したDF深井脩平、そして元日本代表のMF本山雅志の日本人トリオに加え、昨季はクチンシティFCを指揮した東山晃監督が就任するなど日本色を全面に打ち出して今季に臨んだものの、ここまでは5勝1分5敗と今一つ波に乗り切れず、リーグ中断期間中には突如、東山監督と昨季監督を務めたナズルレルワン・マクモル テクニカルディレクターの役割を交換する荒療治に出ましたが、果たしてこれが吉と出るのか、凶と出るのかが見ものです。
 7位のケランタンFCは、新たなオーナーとなったノリザム・トゥキマン氏が去る者は追わずと、開幕前に若手有望選手が隣接するトレンガヌ州のトレンガヌFCへの移籍を容認するなど、開幕前から戦力不足で上位進出は難しいことが予想されていましたので、7位は順当な順位でしょう。度々メディアに登場するノリザム オーナーの言動を見る限りでは、今季はチームとしての環境を整え、土台を作る時期、また来季の1部スーパーリーグ昇格を目指しているわけではなさそうな印象です。実際にリーグ中断期間に積極的な補強を行わなかったことからも、優勝を目指すのは来季以降、となりそうです。

 鈴木ブルーノが在籍する8位PDRM FCと鈴木雄太が在籍する9位クチンシティFCにとっては、いずれも開幕から10試合で2勝と苦しい試合が続いた前半戦でした。リーグ中断期間中のトランスファーウィンドウ期間中もPDRM FCはマレーシア人選手を獲得するも外国籍選手の入れ替えを行わず、一方のクチンシティFCは昨季は3部でプレーしたFWイジェジェ・マイケルをFWブライアン・ジョーンズに代えて獲得しただけで、両チームは後半戦も前半戦同様の厳しい環境は変わらなそうです。
 そしてこの2チームにとって脅威となりそうなのは、10位のペラFC IIです。開幕時は外国籍選手0でリーグに臨み、前半戦を2勝で終えると、トランスファーウインドウ期間中にはFWセルヒオ・アグエロを1部スリ・パハンから期限付き移籍で獲得した他、昨季はシンガポールでプレーしたMFチャーリー・マシェル 、そしてFWジスラン・ゲサンを獲得し、前半戦の未消化試合となった7月17日のケランタンFC戦では1-1で引き分けるなど、後半戦では台風の目となりうるチームとなっています。
 10試合を終えた時点で2分8敗とまだ勝ち星がない11位のFAM-MSNプロジェクトは、2024年パリオリンピック予選のためにU20年代の選手に経験を積ませるためのリーグ参戦という謳い文句でしたが、あまりにも弱すぎてその目的が達成できているのかどうかは不明です。またマレーシアサッカー協会FAMが今年10月のAFC U23W杯予選にU20代表を派遣すると発表しており、その代表合宿に果たして何名の選手がこのFAM-MSNプロジェクトから招集されるかに注目です。もし、誰も招集されないとしたら…やはりリーグ戦の頭数合わせの即席チームというリーグ参戦時の批判がFAMに向けられる可能性もあります。

 

7月18日のニュース:延期されていたMリーグ2部の試合開催-Mリーグが2ヶ月半ぶりに再開、FIFAがサラワクUの選手獲得禁止措置を解除

 Mリーグ後半戦は7月24日より後半戦(1部スーパーリーグ第14節、2部プレミアリーグ第13節)が始まりますが、その前に前半戦の内、延期されていた第7節と第12節の2試合が昨日、行われました。Mリーグとしては5月8日以来となる試合開催でした。

7月17日@MPMスタジアム(ペラ州マンジュン)
スランゴールFC2 1-1 サラワク・ユナイテッドFC
得点者:スランゴール-ジョージ・アトラム(49分PK)、サラワク-ウチェ・アグバ(45分)
 後半戦に向けてユニフォームのデザインを変えたサラワク・ユナイテッドは7月12日のKLシティFCとの練習試合で負傷したDFテイラー・リガンを欠くなどベストメンバーではなかったものの、45分にはMFリ・チャンフーンがゴール前へ絶妙のパス。これをオフサイドトラップを抜け出したFWウチェ・アグバが追い縋るスランゴールディフェンダーをかわしながらゴールに押し込みサラワクが先制します。このゴールでアグバ選手は単独のリーグ得点王に躍り出ました。
 サラワクが1-0とリードして前半を折り返しましたが、後半に入るとスランゴールはペースを上げ、サラワクゴールに迫ります。そんな中、49分にはサラワクのDFムハマド・ザフリル・アズリがペナルティーエリア内で痛恨のハンドの反則。これで得たPKをアグバと得点王を争う20歳のエース、FWジョージ・アトラムがゴールし、スランゴールが追いつきます。しかしこの後は両チームとも積極的に攻めるもいずれもゴールには至らず、この試合は引き分けとなっています。

7月17日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラFC II 1-1 ケランタンFC
得点者:ペラ-モハマド・アイザット・サフアン(69分)、ケランタン-ヌルシャミル・アブドル・ガニ(55分)

2021年シーズンMリーグ2部プレミアリーグ順位(第12節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1SU117312171424
2NS11641169722
3TFC1147024111319
4JDT114431711616
5SEL114431914516
6KU115151415-116
7KEL114341111015
8PDRM113261014-411
9KCH10244912-310
10PRK112451017-710
11FAM10028732-252
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:NS-ヌグリスンビラン、SU-サラワク・ユナイテッド、TFC-トレンガヌII、PRK-ペラII、SEL-スランゴール2、KEL-ケランタン、KU-ケランタン・ユナイテッド、KCH-クチンシティ、FAM-FAM MSNプロジェクト

2021年シーズンMリーグ2部プレミアリーグ得点ランキング(第11節終了時)
*7/22に一部訂正しました。

選手名(所属クラブ)ゴール数
1ジョーダン・ミンター(TFC)11
2ウチェ・アグバ(SU)9
3フェルナンド・ロドリゲス(JDT)8
ジョージ・アトラム(SEL)8
5アライン・アコノ(NS)6
ガッサマ・アルフセイネイ(KU)6
クラブ名:NS-ヌグリスンビラン、SU-サラワク・ユナイテッド、TFC-トレンガヌII、PRK-ペラII、SEL-スランゴール2、KEL-ケランタン、KU-ケランタン・ユナイテッド、KCH-クチンシティ、FAM-FAM MSNプロジェクト

FIFAがサラワクUの選手獲得禁止措置を解除
 上の試合結果でも取り上げた2部プレミアリーグのサラワク・ユナイテッドFCは公式Facebook上で、FIFAによる来年2022年の選手獲得禁止措置が解除されたことを発表しています。
 以前このブログでも取り上げましたが、サラワク・ユナイテッドはプレシーズンマッチに3連敗したことからスペイン人のホアン・カルロス・マグロ監督を新任にもかかわらず今季開幕前に解雇しましたが、そのマグロ監督は予定されていた給料20万リンギ(およそ533万円)が未払いとなっていることからサラワク・ユナイテッドをFIFAに提訴し、FIFAからは来年2022年1月のトランスファーウィンドウ期間中の新規選手獲得禁止の処分を受けていました。
 しかし今回のクラブ公式Facebookでの発表では、マグロ監督との給料未払い問題は解決し、これによりFIFAによる処分が解除されたとしています。

7月17日のニュース:スランゴール州のクラブは暫定本拠地でホームゲーム開催、CEO辞任のペラFCは後任は当面置く予定なし

スランゴール州のクラブは暫定本拠地でホームゲーム開催
 新型コロナウィルス新規感染者が1日あたり1万人超の大台に乗ったマレーシア。感染拡大防止策として取られている強化行動制限令EMCOはクアラルンプールに続きスランゴール州でも解除されたものの、スランゴール州単体では新規感染者が5000人を超えていることから、これは感染者数減によるものではなく、経済効果への影響を考えての政治判断のようです。
 EMCOが解除されたとは言え、様々な制限は残っていることからMリーグを運営するMFLは、Mリーグ後半戦が始まる7月24日を前にスランゴール州に本拠地を持つクラブについて、試合会場や日程の変更を公式サイトで発表しています。
 スランゴール州に本拠を持つのは1部スーパーリーグのスランゴールFC、PJシティFC(いずれもMBPJスタジアムを使用)、UITM FC(UITMスタジアムを使用)、2部はスランゴールFCのセカンドチーム、スランゴールFC2(MPSスタジアムを使用)がありますが、この内、スランゴールFCは暫定本拠地としてKLフットボールスタジアム(クアラルンプール)とハンジェバスタジアム(マラッカ州)を、UITM FCはマンジュン市営スタジアム(ペラ州)を使用することが発表されました。またスランゴールFC2も同じマンジュン市営スタジアムを暫定本拠地として使用することが発表されています。
 なおPJシティFCは、今季はスランゴールFCと本拠地を強要していますが、何故か暫定本拠地に関しては何も発表されていません。
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 この日程発表では同時に試合日や試合時間の変更も発表になっていますが、スランゴール州のEMCOが解除となったことで、各クラブは従来の本拠地での試合開催が可能になる可能性もあります。
 活動制限令に関する政府決定はその時期や内容が二転三転するだけでなく、今回のスランゴール州のEMCO解除のようにその日の午後に発表され、その日の深夜に解除といった急な変更も度々あり、MFLも各クラブとも政府の方針転換に振り回されている感もあります。とは言え、無観客ではなるものの予定通り7月24日より後半戦が始まりそうなのは嬉しいことです。

CEO辞任のペラFCは後任は当面置く予定なし
 Mリーグ1部のペラFCはリザル・アリ・ナイザリ前CEOの辞表を正式に受理したこと発表したとマレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 開幕当初から給料未払いの噂が絶えなかったペラFCはそれが事実であることが発覚すると、その責任を取る形でリザルCEOは今年5月10日に辞意を表明しましたが、ペラFCの理事会はそれを正式に認めていませんでした。しかし、ペラFC運営会社理事の1人でペラ州政府のカイルル・シャーリル・モハメド理事はこの辞表を正式に受理したこと明らかにした上で、当分は後任のCEOは置かず、運営会社の理事会が共同でCEOの職を全うすると話しています。
 カイルル理事は後任を置かないことによる影響がチームに及ぼす影響はないと話し、その理由として経営陣と選手との相互理解があることを挙げています。
 なおペラFCは前半戦終了後、今年2度目のトランスファーウィンドウ期間中に主力の6選手が給料未払いを理由に他のMリーグクラブへ移籍する事態が起こっています。
 CEOの辞任問題が解決し、理事会メンバー全員でCEOの職を引き継ぐことで現状を乗り切れると判断したと話すカイルル理事は、今後はメディアとの対応などはチームマネージャーのイシャハム・シャハルディン氏が担当すると話す一方で、チョン・イーファット監督からは新戦力も含め全選手が後半戦に向けて良いコンディションを保っているという報告を受けているとし、1部残留はもちろん、上位5位内でのフィニッシュという開幕時の目標も変わっていないと話しています。


7月16日のニュース:今季Mリーグ1部前半戦は2000万人以上がオンラインでライブ観戦、FAMのテクニカルディレクターがU20代表のAFCU23アジアカップ予選派遣について説明、JDT IIからマラッカUへ期限付き移籍のロバットが抱負を語る

今季Mリーグ1部前半戦は2000万人以上がオンラインでライブ観戦
 7月24日より再開まで10日を切り、Mリーグ各クラブは練習試合をこなすなど準備に余念がありませんが、Mリーグを運営するMFLは今季ここまでのMリーグ1部スーパーリーグの試合のライブ視聴者数が2100万人を越えていると公式サイトで発表しています。
 今年3月5日に開幕したスーパーリーグは5月9日に行われた第13節まで78試合が行われていますが、これらの試合を放映した国営放送RTM、MFLのスポンサーUnifi社の有料スポーツチャンネル、そして同社が運営する無料YouTubeチャンネルを合わせるとそのライブ視聴査数が2181万4979人となっていることをMFLの公式サイトが発表しています。
 さらにYouTubeでの録画視聴者数は、5月30日までの時点で4983万8140人とということです。なおUnifiの無料YouTubeチャンネルでは、今季のスーパーリーグ全試合の観戦が可能になっています。
 この他、中継された78試合中、ライブ視聴者が最も多かった節は第11節で6試合合計230万7698人、また最も視聴者が多かった試合は4月24日の第10節JDT対トレンガヌFC戦(スルタン・イブラヒムスタジアム、ジョホール州イスカンダルプテリ)で69万8341人が視聴したということも発表されています。
 このように様々なプラットフォームで視聴可能な1部スーパーリーグに対し、2部プレミアリーグについてMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、プレミアリーグの各クラブには7月24日から再開される後半戦ではソーシャルメディアやストリーミングによる配信が許可されたことを明らかにしています。
 またMリーグ前半戦は4月2日の第6節から感染者拡大による無観客措置が取られた5月9日の第12節までは、首都圏など一部地域を除いて定員の10%から25%の条件付きながらスタジアムでの観戦も可能でしたが、この期間中はスーパーリーグとプレミアリーグ合わせて観戦可能だった41試合では6万2318人の有料入場者数を集め、その内。4月9日の第8節クダ・ダルル・アマンFC対トレンガヌFC戦(ダルル・アマンスタジアム、クダ州アロースター)が最大の5941人の有料入場者を記録したということです。

FAMのテクニカルディレクターがU20代表のAFCU23アジアカップ予選派遣について説明
 マレーシアサッカー協会FAMのオン・キムスイ テクニカルディレクター(TD)は、現在のU20代表の2024年パリオリンピックの予選突破に向けた計画の中心人物の1人ですが、このたび、英字紙ニューストレイトタイムズの取材に応じ、自身の考えを明らかにしています。
 FAMは今年10月に開催されるAFC U23アジアカップ2022年大会(旧U23選手権)予選にU23代表ではなく、U20代表を派遣することを発表しましたが、これに対しては現在のU23代表の育成が等閑(なおざり)になるなど否定的な反応が出ています。
 こういった声に対し、前回2020大会予選にU23代表監督として臨みながら本戦出場を果たせなかったオンTDは、その成功が100%保証されるわけではないとはしながらも、自身の経験に基づき「選手が共に過ごす時間が長くなれば長くなるほど、より好ましい結果を生み出す可能性は高い」と考えていると話しています。
 「今年2021年から選手たちが一緒にプレーすれば、彼らは様々なレベルの大会に出場することができる、オリンピック予選突破について最優先されるのは現在のU20代表である。U20代表がAFCU23アジアカップの予選を突破することは容易ではないが、上の年代の選手たちと対戦する貴重な機会をチームとして活用したい。」と話すオンTDは、現在のU23代表の選手についていも(チーム参加の)扉は完全に閉じられたわけではない、とも述べ、将来的にはU23代表選手の参加に含みを持たせる発言をしています。
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 2020年大会予選では、中国と引き分け勝点で並びながら得失差で本戦出場を逃したU23代表からはサファウイ・ラシド、アキヤ・ラシど、シャマー・クティ・アッバ(以上JDT)、シャミ・サファリ(スランゴールFC)、ドミニク・タン(タイ1部ポリス・テロFC)の5選手がFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選に出場した代表に選ばれています。U23代表はフル代表への選手を供給する場でもあると思うのですが、このU23代表年代を冷遇すると、それは代表教科にも悪影響が出る可能性があります。またフル代表ではルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)、アリフ・アイマン(JDT)らU20代表候補選手がいますが、フル代表レベルの彼らをパリオリンピック予選までU20代表に縛り付けてしまうのも、むしろ彼らの成長の芽を摘んでしまいかねないような気がします。U23代表にU20代表の有望選手を加えたチーム編成で、U23アジアカップ本戦出場を目指し、本戦でアジアの強豪との試合を経験する方が遥かに代表強化につながるような気がします。

JDT IIからマラッカUへ期限付き移籍のロバットが抱負を語る
 各年代代表だけでなくフル代表の経験もあるJDT IIの守備的MFゲイリー・スティーヴン・ロバットがマラッカ・ユナイテッドFCへ期限付き移籍しましたが、MFLの公式サイトではこのロバット選手を特集しています。
 今季は開幕からMリーグ1部スーパーリーグの覇者JDTのセカンドチームで、Mリーグ2部プレミアリーグのJDT IIでプレーしてきたロバット選手は、代表キャップ数11の28歳です。豊富な運動量が売り物のロバット選手が期限付き移籍したマラッカ・ユナイテッドFCは3勝5分5敗でリーグ11位と降格圏にいるチームです。
 そんなチームに今季2度目のトランスファーウィンドウ期間に期限付き移籍したラバット選手は後半戦開幕初戦となる7月25日の第14節スリ・パハンFC戦を重要な試合と考えているとブル生に語っています。
 「まず自分がやらなければならないことは、ザイナル・アビディン・ハサン監督に対して自分がチームの戦力になることを証明することだ。より多くの試合出場時間を求めての移籍してきたことは事実だが、チームメートからも信用を得なければならないことも分かっている。スリ・パハンFC戦で出場機会が与えられれば、自分がどのくらいチームのために献身的にプレーできるかを見せたい。」と述べるラバット選手は、マラッカ・ユナイテッドFCを降格圏から脱出させることが自分に課せられた使命であるとも話しています。

7月11日のニュース:FAMはU23アジアカップ予選にU20代表を派遣、ペラFCはリーグ再開前の練習試合で新外国籍選手をテスト、JDTオーナーは監督解任の声に対して冷静な対応を求める

FAMはU23アジアカップ予選にU20代表を派遣
 昨日のコラムではアジアサッカー連盟AFC U23アジアカップ2022年大会の予選組み分けが行われ、マレーシアはタイ、ラオス、モンゴルと同じ予選J組となり、モンゴルでの集中開催となることを取り上げましたが、マレーシアサッカー協会FAMはこのU23大会にU23代表ではなく、U20代表を派遣することを公式サイトで発表しています。
 FAMのオン・キムスイ テクニカルディレクターTDによれば、このU20代表派遣は2024年のパリオリンピック出場を目指すU23代表強化プログラムの一環として行われ、オーストラリア出身のブラッド・マロニー現U23代表監督がこのチームの指揮を取る予定だということです。
 「このU20代表派遣は既にFAMの代表チーム運営委員会で提案され、FAM理事会の承認も得た上で決定されている。現在のU20代表を10月のAFC U23アジアカップ2022年大会予選、そして11月の東南アジア競技大会2021年ベトナム大会(この発表後に来年に延期が決定-筆者注)さらには、AFC U23アジアカップ2024年大会予選、東南アジア競技大会2023年カンボジア大会と継続して派遣していく予定になっている。これによりこの年代の代表チームは早い段階から様々なレベルで経験を積み重ね、長期間かけて(オリンピック2024年パリ大会予選に向けて)準備していくことができる。」とオンTDは話しています。
 またオンTDは10月のAFC U23アジアカップ予選前には次の国際マッチデー期間(8月30日から9月7日)にU20代表候補を招集して候補合宿も開催する予定も明らかにしています。
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 先月のFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選にも出場したFWルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)やFWアリフ・アイマン(JDT)、代表に招集されながら合宿中のケガで代表辞退となったといったGKラハディアズリ・ラハリム(トレンガヌFC)さらにMFムカイリ・アジマル、DFハリス・ハイカル(いずれもスランゴールFC)など才能豊かな選手がU20代表の主力になる可能性がある一方で、代表選手のFWアキヤ・ラシド(JDT)、先日終了したAFCチャンピオンズリーグ予選に出場したFWラマダン・サイフラー(JDT)、リーグでは好調のMFハキミ・アブドゥラ(トレンガヌFC)、FWダニアル・アサリ(スランゴールFC)そしてFWハディ・ファイヤッド(J3沼津)など順当ならU23代表候補となる選手たちが勝負の機会も与えられず、U23アジアカップ出場の選考対象ならないのはもったいない気もしますし、さらに言えばこのような育成のための「複数年計画」は、失敗した際にその前の年代も含めて代表強化の「空白期間」ができてしまうこともあります。個人的にはU20代表に限定するのではなく、U23代表に飛び級できる能力のあるU20代表の主力を加えたチームを編成し、彼らに同年代のタイやラオスと対戦されて、本大会出場を目指す方が一足飛びにオリンピック出場を目指すよりは遥かに現実的な目標に思えます。言い換えれば、既にフル代表でもプレーするルクマン選手やアリフ選手を敢えてU20代表でプレーさせることは、むしろ開きかけている才能の芽を摘みかねない気もします。

ペラFCはリーグ再開前の練習試合で新外国籍選手をテスト
 Mリーグ1部スーパーリーグのペラFCは、7月24日より再開するMリーグを前に新たに獲得した外国籍選手をテストする予定だとマレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 ペラFCのチョン・イーファット監督はいずれも2部プレミアリーグのPDRM FCとヌグリスンビランFCとの練習試合で、これまでは練習参加のみだった新外国籍選手を起用すると話しています。
 給料未払いにより主力5選手が他のMリーグクラブに流出したペラFCはトランスファーウィンドウ期間中に英国出身のMFチャリー・マシェル(昨季はシンガポール1部ホウガン・ユナイテッドでプレーし今季はカンボジア1部のビサカFCに移籍するも出場なし)、2018年にもペラに在籍したレバノン出身のDFジャド・ヌールディン(レバノン1部のアル・アヘドFCより期限付き移籍)、同じくレバノン出身のMFサミル・アヤス(ブルガリア1部POFKボテフ・ヴラツァより移籍)、カメルーン出身のDFゾバイロウ・ガルバ(昨季はインドネシア1部プルスバヤ・スラバヤでプレー)、フランス出身のFWジスラン・グゥエッサン(2019年にアルジェリア1部CAボルジュ・ブー・アリエージュでプレーも昨季はプレー記録なし)の5選手を獲得しています。
 なおペラFCにはMFレアンドロ・ドス・サントスとMFカレッカのブラジルコンビ、やはりトランスファーウィンドウ期間中に同じ1部のUITM FCから移籍したガーナ出身のFWナナ・ポク、そしてスリ・パハンFCから期限付き移籍しているFWセルヒオ・アグエロがおり、この9選手はペラFCに5名と2部プレミアリーグでプレーするセカンドチームのペラFC II4名がに配置される予定ということです。
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 別の報道ではブラジルコンビのレアンドロとカレッカは放出を希望していたものの、条件面でクラブとの合意に至らず、今季の残留が決まったと報じられています。守備的MFのレアンドロ、攻撃的MFのカレッカはいずれもリーグ中断前の第13節までに12試合に出場している主力選手ですが、この2人が残留となったことでペラFCではFWナナ・ポク、DFジャド・ヌールディン、DFゾバイロウ・ガルバの5名の外国籍選手が、残る4選手はペラFC IIでプレーするのではないかと予想されています。それにしてもペラFC IIは外国籍選手なしでスタートしながら、突然4名の外国籍選手を割り振られるなど、数ヶ月前までは給料未払い問題て揺れていたクラブとは思えないような大盤振る舞いです。

JDTオーナーは監督解任の声に対して冷静な対応を求める
 Mリーグ1部スーパーリーグで7連覇中のJDTは、先日終了したAFCチャンピオンズリーグACLでは同組の名古屋グランパスと浦項スティーラーズ(韓国)にそれぞれ2敗、ラーチャブリーFC(タイ)とは1勝1分のグループ3位でノックアウトステージ進出を逃しましたが、ほぼマレーシア代表とも言えるメンバーを揃えながら、この結果に不満を持つ一部サポーターがソーシャルメディア上でベンヤミン・モラ監督の解任を求めている事態について、JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下はモラ監督を擁護しているとブリタハリアンが報じています。
 自身のインスタグラムに投稿したイスマイル殿下は、ACLはJDTにとっては超えるには高い壁だとし、大志を持つことは良いことだが、現実に目を向けない大志はそうではないと述べ、モラ監督を批判するなら、モラ監督を採用した自分を非難するべきだと述べて、サポーターに現実的になることを求めています。
 2019年から連続してMリーグの唯一の代表としてACLに参戦できていることは名誉であるとも述べたイスマイル殿下は、JDTのレベルはACLのレベルには達していないと述べる一方で、2019年には鹿島アントラーズを、2020年には水原三星ブルーウィングス (韓国)を破ったことは事実だとして、今後もクラブのレベルアップを図っていくことをサポーターに約束しています。