5月14日のニュース:ケランタンFAの混乱は続く、今回はブラジル人FWとの契約を解除

ケランタンFAはブラジル人FWとの契約を解除
当地のマレー語紙ハリアン・メトロのオンライン版によると、ケランタンFAのブラジル人FWフラヴィオ・ベック・ジュニオールが退団しました。なおフラヴィオ選手はインドネシア1部リーグのバヤンカラFCへ移籍します。
 ケランタンFAは2017年に就任したものの2ヶ月間で退任したウルグアイ人のテクニカルダイレクター、アルフレド・カルロス・ゴンザレズ氏へのおよそ23万リンギ(約600万円)とされる給料未払い問題により、FIFAからリーグ戦の勝点3剥奪の処分を今年の4月に受けています。
 またマレーシアフットボールリーグMFLが2部プレミアリーグに参加する各チームに年間助成金として100万リンギ(約2700万円)を提供しますが、ケランタンFAはシーズン前の選手登録書類提出の遅れから罰則として50%の減額処分を受けていました。しかしこれが今月初旬に10%の減額となったことで、その一部を使ってゴンザレズ氏への給与支払いが可能になったとしています。
 しかし、給与未払い問題を過去にも起こしていたため、ケランタンFAは今月2日から29日までの期間で開いているトランスファーウインドー期間中の新たな選手の獲得をマレーシアサッカー協会より禁止されています。
 このため、今シーズンはこれまでにチームトップの4得点を決めているフラヴィオ選手が退団後、その代わりの選手はマレーシア人、外国人を問わず獲得することはできないため、戦力ダウンは必至です。
 また現在所属する選手の社会保険料や年金などの支払い済みを証明する書類が今月22日までにMFLに提出されない場合、ケランタンFAは、さらに勝点3が剥奪されることになっています。
 ケランタンFAの会長の座を巡っては、現在のビビ・ラムジャニ会長に現在の混乱の責任を取って辞任を求める勢力と現会長との間の権力闘争とも取れる内紛が続いており、山積している問題が収集しなければ、ケランタンFAは1部スーパーリーグへの昇格どころか、2部プレミアリーグからの降格の恐れすらあります。

MFL第13節の結果まとめ(1)

5月11日(土)と5月12日(日)にはマレーシアフットボールリーグMFLの2部プレミアリーグの5試合のみが行われています。なお1部スーパーリーグの第13節は5月14日(火)と15日(水)に予定されています。

MFL2部プレミアリーグ

ペナンFA4-1ケランタンFA
得点者:ペナンFA-ジュリアン・ボタロ(5分)、カン・スンジョ(40分)、セルジオ・アグエロ2(47分、58分)、ケランタンFA-アミルル・シャフィク(79分)
 スランゴール・ユナイテッドから移籍したばかりのセルジオ・アグエロが挨拶代わりの2ゴールを挙げ、ペナンFAに第6節以来の勝ち星をもたらしています。ケランタンFAは第11節にホームでペナンFAに2−1で勝利していましたが、敵地で大敗となりました。

PDRM FC6-2サラワクFA
得点者:PDRM FC-シャフライン・アブ・サマー2(12分、41分PK)、リー・チャンフン(27分)、アンドレジーニョ(29分)、R・ゴピナタン2(73分、90分)、サラワクFA-フィルダウス・ファウジ(14分)、ザアルル・ニズワン(87分)
 前節第12節に、首位をいくJDT IIに初黒星をつけたPDRM FCが連勝して5位に浮上しています。一方のサラワクFAは最下位から抜け出せません。

UITM FC1-0UKM FC
得点者:UITM FC-アメル・アザハ(85分)
 UITM FCはUniversiti Teknologi Mara(マラ工科大学)、UKM FCはUniversiti Kebangsaan Malaysia(マレーシア国立大学)と共に大学を母体とするクラブであることから「ユニヴァーシティ・ダービー」と銘打たれた試合は、快進撃を続けるUITM FCがUKM FCを破り、リーグ2位に浮上しています。

ヌグリ・スンビランFA1-0トレンガヌFC II
得点者:イゴール・ルイス(31分)
 ヌグリ・スンビランFAの中武駿介選手、トレンガヌFC IIの鈴木ブルーノ選手ともスタメンでフル出場しています。

スランゴール・ユナイテッド2-2JDT II
得点者:スランゴール・ユナイテッド-ラスラム・カーン2(66分、80分)、JDT II-シャマ・クティ・アバ(22分)、ヌライザット・アジズ(69分OG)
 首位のJDT II相手に引き分けたスランゴール・ユナイテッドは2部プレミアリーグ残留に向けて貴重な勝点1を獲得しています。一方。前節第12節で今シーズン初黒星を記録したJDT IIは、この試合では今シーズン初の2失点を喫しています。

MFL第12節の結果まとめ

1部スーパーリーグ

PKNS FC(4勝4分4敗)3-3ペラTBG(2勝7分3敗)
得点者:PKNS FC-クパ・シャーマン2(5分、52分)、ニコラス・スウィラッド(43分)、ペラTBG-ブレンダン・ガン(12分)、J・パルティバン(50分)、ナジルル・ナイム(81分)
 上位進出を狙いたいPKNS FCは、ここ6試合で1勝2分3敗と苦しい試合が続きます。一方のペラTBGは12試合で7試合目の引き分けとなり、やはり上位進出のきっかけが掴めません。

ケダFA5-2クアラルンプール(KL)FA
得点者:クダFA-ジョナサン・ボーマン2(22分、90分)、シャキル・ハムザ(42分)、フェルナンド・ロドリゲズ2(67分、81分)、KLFA-インドラ・プトラ・マハユディン(45分)、ギレルメ・デ・パウロ(78分)
 前節のPKNS FC戦で、前人未到のスーパーリーグ通算100ゴールを決めたベテラン、インドラ・プトラ選手がこの試合でもゴールを決めていますが、試合は順位どおりの結果となりました。

プタリン・ジャヤ(PJ)シティFC2-0パハンFA
得点者:PJシティFC-ペドロ・エンリケ(31分)、セルジオ・フィロ(58分)
 降格圏にいるPJシティFCは、前半戦のホームでの試合でも引き分けていただけにパハンFAにとっては要注意の相手でした。パハンFAはこの痛い黒星でJDTとの勝ち点差が6と開きました。

フェルダ・ユナイテッド0−2JDT
得点者:JDT-ジオゴ2(38分、62分PK)
 JDTは下位チーム相手に取りこぼしが少ないのが強みです。やはり降格圏にいるフェルダ・ユナイテッド相手にきっちりと勝点3を手にしています。
 フェルダ・ユナイテッドの池田圭選手と渡邉将基選手はともにスタメンでフル出場しています。

スランゴールFA1-1マラッカ・ユナイテッド
得点者:スランゴールFA-シャミ・サファリ(31分)、マラッカ・ユナイテッド-パトリック・ライヒェルト(60分)
 第6節から無敗記録を続けているスランゴールFAがこの試合も負けずに逃げ切りました。一方のマラッカ・ユナイテッドは第6節から1勝2分3敗と調子が上がらず、首位JDTとの勝点差が12と開いてきました。

PKNP FC2-2トレンガヌFC
得点者:PKNP FC-アマリ・アグイナルド(22分)、トマス・アビィ(35分)、トレンガヌFC-チェチェ・キプレ(30分)、サンジャル・シャクメドフ(68分)
 チェチェ・キプレ選手の調子が上向きとなってきたトレンガヌFCにとっては痛い引き分けでしたが、降格圏から脱したいPKNP FCには貴重な勝点1となりました。

2部プレミアリーグ

UKM FC1-1ペナンFA
得点者:UKM FC-マテオ・ロスカム(90分)、ペナンFA-ジュリアン・ボッタロ(47分)

トレンガヌFC II1-0UITM FC
得点者:トレンガヌFC II-鈴木ブルーノ(51分)
 この試合唯一のゴールで自身ではシーズン4点目(直近の5試合では3得点目)となるゴールを挙げたトレンガヌFC IIの鈴木ブルーノ選手はスタメンでフル出場しています。

JDT II0-1PDRM FC
得点者:PDRM FC-リー・チャンフン(90分)

サバFA1-0スランゴール・ユナイテッド
得点者:サバFA-ルドリュブ・パウノヴィッチ(7分)

ケランタンFA0-0サラワクFA
得点者:なし

MFL第11節の結果まとめ

12チームで構成されるマレーシアフットボールリーグMFLの1部スーパーリーグは、4月26日(金)から28日(日)に開催された第11節で前半戦が終了しました。最後には第11節終了時の順位表も載せました。

フェルダ・ユナイテッド1-1マラッカ・ユナイテッド
得点者:フェルダ・ユナイテッド-池田圭(62分、PK)、マラッカ・ユナイテッド-パトリック・ライヒェルト(15分)
 今シーズン2点目を挙げたフェルダ・ユナイテッドの池田圭選手とチームメイトの渡邉将基選手ともスタメンでフル出場しています。

クダFA1-1スランゴールFA
得点者:クダFA-バドロル・バクタール(41分)、スランゴールFA-サンドロ・ダ・シルバ(18分)

PKNP FC0-4ペラTBG
得点者:ペラTBG-ブレンダン・ガン(13分)、ギルマール・ダ・シルヴァ2(30分、90分)、シャルール・サアド(56分)

PKNS FC3-2クアラルンプール(KL)FA
得点者:PKNS FC-ロメル・モラレス(2分)クパ・シャーマン2(31分、79分)、KLFA-インドラ・プトラ・マハユディン(42分)、ギレルメ・ダ・パウラ(82分)
 KLFAの苅部隆太郎選手はベンチ入りしたものの、出場はありませんでした。

プタリン・ジャヤ(PJ)シティFC1-2トレンガヌFC
得点者:PJシティFC-P・ラジェス(36分)、トレンガヌFC-B・ティンガラン(67分)、チェチェ・キプレ(79分)

パハンFA1−1JDT
得点者:パハンFA-エラルド・グロン(35分)、JDT-ゴンザロ・カブレラ(5分)
 前半戦の天王山となった1位と2位の対決は引き分けとなっています。

MFL1部スーパーリーグ順位表(第11節終了時点)

順位チーム名得点失点勝点
 1JDT(ジョホール・ダルル・タクジム)251027
 2パハンFA20 924
 3スランゴールFA181819
 4マラッカ・ユナイテッド131217
 5クダFA151716
 6PKNS FC171415
 7トレンガヌFC131515
 8ペラTBG141312
 9PKNP FC112010
10PJ(ペタリン・ジャヤ)シティFC 814 8
11フェルダ・ユナイテッド 919 8
12KL(クアラルンプール)FA
1325 8

MFL2部プレミアリーグは今シーズン開幕後にプルリスFAが選手への給料未払い問題によって除名処分を受けたため、11チームとなっていますが、やはりこの第11節で前半戦が終了しました。こちらも最後に第11節終了時の順位表を載せました。

ケランタンFA2−1ペナンFA
得点者:ケランタンFA-ニック・アキフ・シャヒラン(30分)、アズワン・アリピン(42分)、ペナンFA-ンドゥムバ・マケチェ(48分)

JDT II2-0スランゴール・ユナイテッド
得点者:JDT II-S・クマーラン(67分)、ダレン・ロック(79分)

サラワクFA0-1PDRM FC
得点者:PDRM FC-リー・チェンフン(51分)

UKM FC0-5UITM FC
得点者:ザルコ・コラチ3(14分、54分PK、55分)、サイド・アリフ(22分)、ロベルト・メンディ(50分)

トレンガヌFC II1−0ヌグリ・スンビランFA
得点者:鈴木ブルーノ(2分)
トレンガヌFC IIの鈴木ブルーノ選手は今シーズン3点目のゴールを決めています。
 鈴木ブルーノ選手、ヌグリ・スンビランFAの中武駿介選手ともスタメンでフル出場しています。

MFL2部プレミリーグ順位表(第11節終了時点)
*プルリスFA除名処分により各チームとも10試合となっています。除名処分前にプルリスFAと対戦した際の記録は公式記録に含まれていません。
*ケランタンFAは給与未払い問題によりマレーシアサッカー協会FAMより勝点3剥奪の処分を受けています。

順位チーム名得点失点勝点
 1JDT II17 524
 2UITM FC231120
 3サバFA191218
 4トレンガヌFC II10 916
 5スランゴール・ユナイテッド111214
 6ヌグリ・スンビランFA111313
 7UKM FC101610
 8PDRM FC
 712 9
 9サラワクFA1017 8
10ペナンFA 916 8
11ケランタンFA1318 7


MFL第10節の結果まとめ

4月19日(金)から21日(日)に行われたマレーシアフットボールリーグMFLの結果です。
1部スーパーリーグ

トレンガヌFC2-1フェルダ・ユナイテッド
得点者:トレンガヌFC-チェチェ・キプレ2(50分、90分)、フェルダ・ユナイテッド-渡邉将基(90分)
フェルダ・ユナイテッドの渡邉将基選手はリーグ戦初ゴールを挙げています。この渡邉選手と池田圭選手は共にスタメンでフル出場しています。

ペラTBG0-1パハンFA
得点者:パハンFA-エラルド・グロン(56分)
前半戦の天王山となる首位JDTとの直接対決を次節に控えるパハンFAが快勝しています。

スランゴールFA2-1PKNP FC
得点者:スランゴールFA-サンドロ・ダ・シルバ(14分、PK)、シャミ・サファリ(79分)、PKNP FC-ファズルル・ハズリ(85分)
この試合を含む直近の5試合で4勝1敗と好調のスランゴールFAが3位に浮上しました。

JDT3-1PKNS FC
得点者:JDT-アフィック・ファザイル(8分)、ゴンザロ・カブレラ(14分、PK)、サファウイ・ラシド(85分)、PKNS FC-ガブリエル・ゲラ(48分)
首位JDTは大勝で、次節の前半最終戦パハンFA戦に弾みをつけています。

KLFA1-0PJシティFC
得点者:KLFA-アシリ・チュチュ(50分)
KLFAは今シーズン2勝目、直近の3試合で2勝1分と好調です。
KLFAの苅部隆太郎選手はベンチ入りしていましたが、出場はありませんでした。

マラッカ・ユナイテッド1-0クダFA
得点者:マラッカ・ユナイテッド:カサグランデ(49分)
過去4試合で3敗だったマラッカ・ユナイテッドが上位進出を目指すための貴重な勝ち星を挙げています。JDTとパハンFAに離されたくないクダFAにとっては逆に痛い黒星です。

2部プレミアリーグ
ペナンFA0-2JDT II
得点者:JDT II-モハマド・ガダー(70分、PK)、S・クマーラン(78分)

PDRM FC1−1トレンガヌFC II
得点者:PDRM FC-パトリック・ロナウジーニョ(53分)、トレンガヌFC II-デチ・メルデル(41分)
トレンガヌFC IIの鈴木ブルーノ選手はスタメンでフル出場しています。

サバFA3-1UKM FC
得点者:サバFA-アルト・リナス(21分)、デンディ・ロワ(45分)、ロドリュブ・パウノヴィッチ(60分)、UKM FC-ハフィジ・アミルディン(43分)

ケランタンFA2-5ヌグリ・スンビランFA
得点者:ケランタンFA-フラヴィオ・ベック・ジュニオール(15分)、ハキミ・アブドラ(90分)、ヌグリ・スンビランFA-フェリス・ダニエル3(13分、44分、51分)、アルミール(56分)、リズアン・アブドラ(54分)
ヌグリ・スンビランFAの中武駿介選手はスタメンでフル出場しています。

サラワクFA0-2UITM FC
得点者:UTIM FC-ザルコ・コラチ(29分)、ロベルト・メンディ(86分)

4月17日のニュース:ワールドカップ1次予選は断食月明け直後に、ケランタンFAの「掃除」は続く

ワールドカップ1次予選は断食月明け直後に
2022年FIFAワールドカップのアジア1次予選の日程が発表になり、1次予選から出場するマレーシア代表は、6月6日に初戦をホームで戦い、6月11日にアウェイで第2戦を行うことが、マレーシアサッカー協会FAMのホームページで告知されています。
 実はこの日は断食明けの祝日の2日目と重なっています。イスラム教徒が人口の8割近くを占めるマレーシアでは、イスラム教に課せられる5つの義務の一つ断食は大事な宗教上の行為です。日没から日の入りまで水も含めて飲食物を断つ断食は約一ヶ月続きますが、それが明けるとハリラヤあるいはハリラヤ・アイディルフィトゥリ呼ばれる祝日がマレー半島部では2日間続きます。実際には断食月が明ける数日前からバレッ・カンプンと呼ばれる大規模な帰省ラッシュが始まり、断食月最後の日と断食月明けの祝日は自分の故郷で両親や兄弟姉妹と迎えることがマレーシアのマレー人にとっては一般的で、ちょうど日本で言えば年末年始の雰囲気です。
 そんな時期の代表戦に果たして観客は来るのか、そもそもこの事態を回避するために開催したエアマリンカップでは、数千人の観衆しか集められなかったことを考えると、マレーシア代表のワールドカップ予選は静かなスタートとなるかも知れません。
 なお、4月17日に実施される組み合わせ抽選でマレーシアの相手となる可能性があるのは、バングラディシュ、グアム・ブルネイ、東ティムール、パキスタン、スリランカのいずれかと、集客的にも魅力がない相手です。

ケランタンFAの「掃除」は続く
最大のスポンサー企業マイインスピレーション社との関係決裂以降、深刻な財政危機を抱えるケランタンFAは、マイインスピレーション社がその給料を負担していた監督のマルコ・クラリエヴィッチを休養させ、その後、暫定監督としてテクニカルダイレクターのホルヘ・ピーター・スタインブラナーがチームを指導していましたが、このスタインブレーナ暫定監督とも契約解消で合意したとマレー語紙ブリタ・ハリアンのオンライン版が伝えています。このスタインブレナー暫定監督は初采配となったPDRM FCでケランタンFAの役員がベンチ外から選手に指示を出して、采配を妨害していたと発言していただけに、それも理由かと思われます。
 またコーチ陣だけでなく、ケランタンFAは自チームの外国人選手フラヴィオ・ベック・ジュニアや、カシオ・デゼズスについても契約の早期解消を交渉中とのことです。
 実はこの状況は2018年と非常に似ています。2018年の2月から4月にかけてケランタンFAは、やはり経済的な理由から外国人選手を含め10名を超える大量の選手を解雇し、そのやり方に対してプロ選手協会から激しく抗議を受けました。その中には、2012年のリーグ、FAカップ、マレーシアカップ全てチャンピンとなったトレブルの際のメンバーだったGKカイルル・ファミ・チェ・マットやMFモハメド・バドリ・モハマド・ラジといったトレブルの主役たちもいましたが、容赦なく契約期間を前倒しして契約を解消しました。それから1年経っても進歩しないどころか、退化しているケランタンFA。当時の会長は現在もその地位に就いたまま、数日前も給料未払い問題の結果、FIFAの指導で勝点3点をはく奪されるなど、チームは揺れていおり、そんなチームに在籍する選手やコーチ陣が不憫です。(下はユスリ監督の復帰を伝えるケランタンFAのホームページのポスト)

MFL第9節の結果まとめ

マレーシアフットボールリーグMFL第9節が行われました。以下1部スーパーリーグの結果です。
クダFA(4勝3分2敗)3−0トレンガヌFC(2勝3分4敗)
得点者:クダFA-ジョナサン・ボウマン(25分、PK)、ザクアン・アドハ(33分)、フェルナンド・ロドリゲズ(72分)
 クダFAは5試合ぶりの勝利で勝点15の3位に踏み留まっています。一方のトレンガヌFCはエースであるチェチェ・キプレの長引く不調と怪我がからの回復が遅れているリー・タックの不在が響き、6位のままです。

スランゴールFA(4勝3分2敗)1−1ペラTBG(1勝5分2敗)
得点者:スランゴールFA-サンドロ・ダ・シルヴァ(40分)、ペラTBG-ノー・ハキム・ハサン(36分)
 開幕当初は苦しんでいた愛称レッド・ジャイアンツのスランゴールFAが4試合負けなしで、9位、7位、5位、徐々に順位を上げてきていましたが、この試合は退場者も出し、連勝は3でストップしました。なお、2枚目のイエローで退場となったヌリズアン・アブ・ハサンは退場時に中指を立てたことが問題視されており、マレーシアサッカー協会FAMは懲罰対象として調査するとしています。
 一方のペラTBGは8試合中、5試合目の引き分けでなかなか浮上のきっかけが掴めません。

PJシティFC(2勝2分5敗)0−1JDT(7勝2分0敗)
得点者:JDT-シャフィク・アーマド(29分)
 観戦記にも書きましたが、各選手が積極的に動き、展開のスピード感が明らかに格上のJDTが点差以上の実力差を見せつけて快勝しました。
 昨年末のアセアンサッカー連盟AFC選手権スズキカップの準優勝メンバーながら、5試合ぶりのスタメンとなったシャフィク・アーマドは本来のフォワードではなく、ミッドフィルダーとして出場しましたが、ゴールを決めた場面では、サファウイ・ラシドのパスに中盤から飛び出しゴールを決めています。
 後半はアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACL山東魯能戦の疲れからか動きが鈍くなりましたが、それでもPJシティFCは脅威とはなりませんでした。

フェルダ・ユナイテッド(1勝4分4敗)1-1KLFA(1勝1分6敗)
得点者:フェルダ・ユナイテッド-アズミ・ラヒム(34分)、KLFA-インドラ・プトラ・マハユディン(57分)
 KLFAは前節、今シーズン初勝利を記録しましたが、この試合でもアウェイで貴重な勝点1を降格を争う可能性があるフェルダ・ユナイテッドから挙げています。
 フェルダ・ユナイテッドの池田圭選手、渡邉将基選手、KLFAの苅部隆太郎選手は全員、スタメンでフル出場しています。特に苅部隆太郎選手はユスリ・チェ・ラー監督解任後、3試合ぶりのスタメンでした。

PKNP FC(3勝1分5敗)1-0マラッカ・ユナイテッド(4勝1分4敗)
得点者:PKNP FC-クザイミ・ピエ(66分、OG)
 PKNPは3連勝で7位に浮上、一方のマラッカ・ユナイテッドは過去4試合で勝ちがなく6位となっています。

PKNS FC(3勝3分3敗)1-2パハンFA(6勝2分1敗)
得点者:PKNS FC-チャン・ワタナカ(13分)、パハンFA-ディクソン・ヌワカエメ(26分)、ゼ・ラヴ(79分)
 JDTにこれ以上離される訳にはいかないパハンFAは9試合連続で勝点を挙げ、JDTとの勝点差2をキープ。PKNS FCはカウンター攻撃で先制したものの、その後が続きませんでした。
 今シーズン5ゴール目を挙げたパハンFAのディクソン・ヌワカエメ選手は、PKNP FCのジャンカルロ選手、JDTのジアゴ選手とともにスーパーリーグ得点王争いの2位グループを構成、1位のJDTゴンザロ・カブレラ選手(6点)を追随しています。

2部プレミアリーグの結果は以下の通り。
ケランタンFA(1勝4分3敗)0-1 PDRM FC(1勝2分5敗)
得点者:PDRM FC-リー・チャンフン(83分)
 MFLで唯一勝ち星のなかったPDRM FCがついに勝点3を獲得しました。
 一方、先週FIFAの裁定により勝点3をはく奪となったケランタンFAは、この敗戦により順位を10位と降格圏まで下げています。

JDT II(5勝3分0敗)3−0ヌグリ・スンビランFA(2勝4分2敗)
得点者:JDT II-ルーカス・オンティベロス(12分)、シャズワン・アンディク(23分)、モハマド・ガダー(64分)
 ヌグリ・スンビランFAの中竹俊介選手はスタメン・フル出場しています。

サバFA(4勝3分2敗)1−1UITM FC(4勝2分2敗)
得点者:サバFA-ロドリュブ・パウノヴィッチ(49分)、UITM FC-ロベルト・メンディ(84分)
 UITM FCのロベルト・メンディ選手は今シーズン5ゴール目を挙げ、プレミアリーグの得点王争いをリードしています。同じUITM FCのザルコ・コラチ選手、JDT IIのモハマド・ガダー選手、サラワクFAのハドソン・ディアズ選手らが4点で続いています。

UKM FC(2勝3分3敗)2-2スランゴール・ユナイテッド(4勝2分3敗)
得点者:UKM FC-リズアン・カミス(39分OG)、マテオ・ロスカム(90分)、スランゴール・ユナイテッド-ランギ・オフタワン(54分)、ヤジド・ザイニ(75分)

トレンガヌFC II(3勝3分2敗)1-2サラワクFA(2勝2分4敗)
得点者:トレンガヌFC II-アカニ・サンデイ(16分)、サラワクFA-ハドソン・ディアス2(39分、74分)
 トレンガヌFC IIの鈴木ブルーノ選手はスタメン、フル出場しています。

4月12日のニュース:ケランタンFAに勝点3はく奪の処分

ケランタンFAに勝点3はく奪の処分
マレーシアサッカー協会FAMのホームページによると、マレーシアフットボールリーグMFLに所属するケランタンFA(KAFA)に対して、今シーズン所属しているMFL2部プレミアリーグで勝点3はく奪の処分が科されました。この処分はKAFAの前テクニカルダイレクターを務めていたウルグアイ人のアルフレッド・カルロス・ゴンザレズに対する契約違反に対して、KAFAが誠実に対応していないことを重く見た、国際サッカー連盟FIFAの指示に基づきFAMが科したものですが、
 給料未払い問題に端を発したこの騒動については、FAMのホームページに詳しいタイムラインが掲載されていますので、これを見ていきます。

2018年1月19日
マレーシアサッカー協会FAMが、KAFAの契約違反に関するゴンザレズ氏の不服申し立てに関する書簡を国際サッカー連盟FIFAより受け取る。
2018年1月20日
FIFAからKAFAへ同年3月12日までに状況説明を求める書簡を送るも、KAFAは返答せず。
2018年6月19日
FIFAの紛争解決室がKAFAに対し、未払い給料、賠償金、訴訟費用の支払いを命じる。
2018年8月19日
KAFAよりFIFAに対して、ゴンザレズ氏のコーチ資格に関する調査が終了するまで、支払いの延期を求める書簡が送られる。
2018年10月16日
アジアサッカー連盟AFCがFAMとKAFAに対して、ゴンザレズ氏のコーチ資格は正当なものであることを知らせる書簡をFAMとKAFAに送る。
2018年10月22日
FIFAは、この訴訟が懲罰委員会の管轄となることを発表。
2019年2月18日
FIFAに対して、KAFAの経営がKRW社となったことを知らせ、その結果として、未払い債務はKRW社によって引き継がれたことも合わせて報告。
2019年3月6日
FIFAが懲罰委員会の最終決定として、KAFAはゴンザレズ氏に対して、未払い給料、罰金、訴訟費用を合わせた23万5千マレーシアリンギを30日以内に支払うことをKAFAに命じています。その際に、もしこの命令が守られない場合、参加リーグでの勝点を3点がはく奪されると警告しました。
 また、KAFAが罰を受けないように、FAMがKAFAに対して、支払い状況の報告を求め、さらに4月2日までに支払いを完了するよう忠告しました。
2019年4月3日
KAFAとKRW社との間で発生した問題のため、現時点ではKRW社が未払い給料などを支払うことができないとKAFAがFIFAに報告。その上で未払い債務は全てKAFAが引き継ぐ代わりに、支払い期限の30日間の延長をFIFAに依頼。
2019年4月10日
KAFAの保持するプロクラブの勝点3をはく奪を命じる正式な通達をFAMがFIFAより受け取る。さらにFIFAは、FAMがこの通達に従わない場合は、FAMに対して、FIFAが支援する全ての大会への参加禁止も含めた懲罰措置をとることも合わせて通達。
 FAMは国内リーグを運営するマレーシアサッカーリーグMFLへFIFAからの通達を伝え、勝点3を剥奪することを正式に書面で伝えることを依頼。

この件に関してFAMは、各州のFAなど個々の所属団体が最終的に責任を負うことになるため、FIFAやAFCによる指導に従うよう求めています。また、今回の件では、KAFAは勝点3をはく奪されただけでなく、FIFAが裁定を下した通りの金額を払う義務はまだ残っています。これが履行されない場合、今後のさらなる懲罰の対象となる可能性があります。

4月11日のニュース:クランタンFAの迷走が止まらない

クランタンFAの迷走が止まらない
マレー半島東海岸北端に位置するケランタン州のサッカー協会ケランタンFA(KAFA)は、昨シーズンから給料未払い問題を抱えていましたが、今年の1月末、このKAFAと共同して、ケランタンFAの所有するプロクラブチームであるケランタン・レッドウォリアーズも含めた州内のサッカー活動の活性化を目指して、マイインスピレーション社はKRW社を設立しました。それからわずか3ヶ月後の4月4日、KRW社の株式の70%を保有するこのマイインスピレーション社が、KAFAとの協力関係の破棄とKRW社からの撤退を発表しました。マイインスピレーション社のアーマド・ファジル・モハマッドCEOは、KAFAとビビ・ラムジャニ・イリアス・カーンKAFA会長に対する信用がなくなったことを理由に挙げて、撤退を決めたとしています。
 その後、選手としてプレーして以来、今年25年ぶりにケランタンFAに戻り、レッドウォリアーズを指揮しているマルコ・クラリエヴィッチ監督や、かつてはレッドウォリアーズで国内リーグとカップ戦の優勝に主将として貢献したピヤことモハマド・バダリ・ラジ、ウルグアイ人FWラウル・タラゴナといった選手たちはKRW社が給料を支払っていることから、最大スポンサーであったマイインスピレーション社の撤退後のKRW社やKAFAの経済状況に合わせて、スタッフや選手の契約見直しを行うことをビビ・ラムジャニKAFA会長が4月8日の記者会見で示唆し、混迷が深まっていました。
 さらに同じ4月8日には、モハマド・バダリ・ラジ選手が正式に契約破棄を申し入れたのに対し、KAFAのダト・スリ・アファンディ・ハムザ副会長が、ラジ選手に対して正式な回答をするまでは練習に参加することを命じ、これに対して給料の週払いが約束されていながら、実際には栄養費として1日20マレーシアリンギ(約550円)しか支払われていないことを暴露するなど、選手とマネージメントの間の泥試合の体をなしてきていました。
 そして本日、KRW社の新たな取締役会議が開催され、4月12日に予定されているホームでのPDRM FCのチケット売上による収益は、スタジアム使用料などを除いた全額が選手の給料に回されると発表しています。
 ケランタンFAが所属するマレーシアフットボールリーグMFL2部プレミアリーグでは、既にプルリスFAの給与未払い問題により、プルリスFAのプロクラブプルリス・ノーザンライオンズがリーグ追放となっており、レッドウォリアーズのファンの間では、第二のノーザンライオンズとなるのではという不安の声も上がっています。
 マレーシアでは、特にマレー系国民の間では人気ナンバーワンスポーツのサッカーですが、しかしマレーシアのFAには「身の丈にあった経営」という考え方はないのでしょうか…。

MFL第7節の結果まとめ

マレーシアフットボールリーグMFL第7節
FIFA国際Aマッチ期間が明けて、MFLが再開しています。
MFL1部スーパーリーグの結果は以下の通りです。

クダFA(3勝3分1敗)1-1JDT(5勝2分0敗)
得点者:クダFA-フェルナンド・ロドリゲス(31分)、JDT-サファウイ・ラシド(10分)
アジアサッカー連盟AFC U23選手権予選でマレーシアU23代表のキャプテンを務めたJDTのサファウイ・ラシドが先制ゴールを決めるも、クダFAが追いつきドロー。

スランゴールFA(2勝3分2敗)1-0トレンガヌFC(2勝3分2敗)
得点者:スランゴールFA-ファイズ・ナシル(56分)
エアマリンカップのアフガニスタン戦で代表デビューし、いきなりゴールを決めたファイズ・ナシルがこの試合でも決勝ゴールを決めています。

マラッカ・ユナイテッド(4勝1分2敗)0−0ペラTBG(1勝4分1敗)
得点者:なし

フェルダ・ユナイテッド(1勝3分3敗)1-3パハンFA(5勝1分1敗)
得点者:フェルダ・ユナイテッド−チアゴ・ジュニオー(49分)、パハンFA-ノーシャルル・イドラン・タラハ(45分)、ゼ・ラヴ(64分)、ファイザル・ハリム(90分)
フェルダ・ユナイテッドの渡邉将基、池田圭両選手はスタメン、フル出場しています。

プタリン・ジャヤ(PJ)シティ・ユナイテッド(2勝1分4敗)1-0PKNS FC(3勝2分2敗)
得点者:PJシティ・ユナイテッド−アイズルリズワン・ラザリ(60分)
PJシティ・ユナイテッドは4試合ぶりの勝ち星です。

PKNP FC(1勝1分5敗)4-0クアラルンプール(KL)FA(0勝0分6敗)
得点者:PKNP FC-ヤシル・ピント(7分)、G・ムゲンティラン(32分)、ジャンカルロ2(63分、90分)
今シーズン勝ち星なしの両チームの対戦は、PKNP FCが快勝し初勝利を上げました。KLFAはレッドカード2枚をもらい開幕からの連敗が6となりました。
KLFAの苅部隆太郎選手は今シーズン初のベンチ外でした。

ケランタンFA(1勝3分2敗)1-1トレンガヌFC II(2勝3分1敗)
得点者:ケランタンFA-ラウル・タラゴナ(19分)、トレンガヌFC II-ズアシャラフ・ズルキフリ(22分)
トレンガヌFC IIの鈴木ブルーノ選手はスタメンでフル出場しています。

MFL2部プレミアリーグの結果は以下の通りです。

UKM FC(2勝1分3敗)0-1ヌグリ・スンビランFA(2勝4分1敗)
得点者:ヌグリ・スンビランFA-リズアン・アブダンロー(31分)
ヌグリ・スンビランFAの中武駿介選手はスタメンでフル出場しています。

ケランタンFA(1勝3分2敗)1-1トレンガヌFC II(2勝3分1敗)
得点者:ラウル・タラゴナ(19分)、トレンガヌFC II-ズアシャラフ・ズルキフリ(22分)

セランゴール・ユナイテッド(3勝1分3敗)1-2UITM FC(4勝1分1敗)
得点者:スランゴール・ユナイテッド−ハディ・ヤハヤ(79分)、UITM FC-ザルコ・コラチ(33分)、アズリディン・ロスリ(45分)

サバFA(4勝2分1敗)2-0ペナンFA(2勝1分4敗)
得点者:サバFA−ルイス・ジュニオール2(3分、54分)

JDT II(4勝2分0敗)1-1サラワクFA(2勝1分4敗)
得点者:JDT II-ルーカス・オンティヴェロ(11分)、サラワクFA-ハドソン・ディアス(72分)