8月18日のニュース:FAM-サバ州FAは民営化手続きを始めている、ケランタン州FAはニック・アキフの放出も検討

FAM-サバ州FAは民営化手続きを始めている
 昨日8月17日のこのブログでは、マレーシアサッカー協会FAMが民営化手続きを始めていないクラブがMリーグ1部で2チーム、2部で1チームあると発表した記事を取り上げ、噂では1部のクラブはサバFAとPDRM FC、2部はUKM FCがこの3クラブだと書きました。
 しかしサッカー専門サイトのサッカートライブによると、サバ州サッカー協会(サバ州FA)は運営するMリーグ1部のサバFAの民営化手続きに着手しているとFAMのスチュアート・ラマリンガン事務局長が述べています。
「サバ州FAは、運営クラブの民営化に着手していない州FAの一つではない。ただし、サバ州政府内の政変により州議会が解散しており、このため民営化手続きに必要な承認が州政府から得られず、その進行に遅れが出ているというの事実である。なお、民営化の期限は9月30日ではあるが、FAMはサバFAの民営化手続きの完了を支援することを確約する。」
 その一方でスチュアート事務局長は、今回の手続きの遅れはクラブが州FAから独立していないこと、そして州FAが州政府に依存していることが原因だとして、改めてMリーグクラブの州FAからの独立と民営化の必要性を訴えています。

ケランタン州FAはニック・アキフの放出も検討
 Mリーグ2部ケランタンFAのMFニック・アキフ・シャヒラン・ニック・マットは、U19やU23代表でもプレー経験があるチームでもトップの若手有望株ですが、この21歳の攻撃的ミッドフィルダーがクラブを運営するケランタン州サッカー協会(ケランタン州FA)の苦しい財政状況から放出される可能性があると、マレーシア語紙コスモ電子版が報じています。
 ケランタン州FAの苦しい財政状況は、在籍選手やスタッフだけでなく、かつて在籍した選手やスタッフに対しても未払い給料があることなどを、このブログでも何度も取り上げています。この状況に対して、クラブの買収を希望する声が複数の企業や個人から挙がる一方で、現在抱えている未払い給料の問題を解決しなければ、来季は現在のMリーグ2部からセミプロリーグの3部、M3リーグへの降格処分を受ける可能性があります。そんな中でケランタン州FAのフシン・デラマン事務局長は、他のMリーグクラブからのケランタンFA在籍選手獲得の打診について話を聞く用意があるとしています。
 「ケランタンFAの有望な若手選手の多くが2021年まで契約が残っているが、ケランタン州FAはそう言った選手の獲得を希望するクラブがあれば話を聞く用意がある。特にニック・アキフに関心があるクラブが複数あることは理解しており、そう言ったクラブは、他の若手選手よりも高額の100万リンギ(およそ2520万円)の契約解除違約金がニック・アキフに設定されていることを理解してもらいたい。」
 ケランタン州FAは600万リンギ(およそ1億5100万円)を超える負債があるとされており、この負債には今年3月半ばから選手やスタッフに支払われていないとされる未払い給料は含まれていないということです。
 なお、ケランタンFAには、ニック・アキフ選手以外にもMFダニアル・アシュラフ、FWニック・アズリ、FWアフィク・サルディン、FWカイルル・リザムなど年代別代表でのプレー経験がある20代前半の選手が複数おり、クラブの存続のためにはニック・アキフ選手以外にも多くの若手を放出せざるを得ない可能性があると、コスモの記事は結んでいます。

8月17日のニュース:リーグ再開を前にケランタンFAが新ユニフォーム発表、来季のMリーグは参加クラブ数減少の可能性も、FAM-サポーターが株式を持つクラブ民営化方法を否定しない

リーグ再開を前にケランタンFAが新ユニフォーム発表
 Mリーグ2部ケランタンFAの公式Facebookでは、リーグ再開後に着用される新しいユニフォームが発表されています。
 中断中とは言え、シーズン途中での新たなユニフォームの発表は異例ですが、これは中断期間中のユニフォームの胸スポンサー撤退したことが原因です。
 新ユニフォーム披露のイベントでは、ケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会のシャアリ・マット・ハサン会長が見守る中、新たな胸スポンサーとなったステックマッド社のルス・ファイザン・モハマド代表取締役から、ケランタンFAのチームマネージャーであるアズマン・イスマイル氏に新しい胸スポンサーのロゴがついたユニフォームが授与されました。
 5月下旬にケランタンFAの実質的な運営を行なってるザレッドウォリアー社(TRW社)の社長で、TRW社の株式の80%を所有するアフターイメージ社のワン・ラケミ・ワン・ザハリ社長が辞任し、同時に胸スポンサーであったアフターイメージ社はケランタン州サッカー協会とのパートナー契約を打ち切っており、ケランタン州サッカー協会にとってリーグ再開を前に新たなスポンサー探しが急務となっていました。
 ケランタン州サッカー協会のスポンサー委員会のアーマド・ムザッキル・ハミド委員長は、ステックマット社との契約は2021年まで合意されており、ケランタン州サッカー協会が運営するケランタンFAの他、U21チーム、U19チーム、フットサルチームなど全てのチームがこのスポンサーの対象となるということですが、最終的なスポンサー料については現在も交渉中であるとしています。

来季のMリーグは参加クラブ数減少の可能性も
 このブログで何度も取り上げているMリーグクラブの民営化について、9月30日に設定されている期限までにMリーグ1部と2部の全てのクラブの民営化手続きが完了しない場合、来季2021年シーズンはMリーグに参加するクラブ数が減少する恐れがありそうだと、マレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 現在はMリーグ1部、2部とも12チームで構成されていますが、9月30日までに民営化手続きが完了していない1部と2部のチームに対しては、FAMは来季のクラブライセンスを発給しないとしており、クラブライセンスが発給されないクラブは、Mリーグ3部にあたるセミプロリーグのM3リーグに降格となります。
 スチュアート事務局長は「クラブライセンスを発給されないクラブが出た場合の最終的な決定はMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLに委ねられており、12チームより少ないチーム数でリーグを開催するか、下部リーグからチームを昇格させて12チームに調整するかのいずれにしてもMFL次第である。」と話しています。
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 別の記事では、スチュアートFAM事務局長は、現時点でMリーグ1部の2チームと2部の1チームが民営化手続きに全く着手していないことを明らかにしています。スチュアート事務局長は具体的なチーム名は明かさなかったものの、これまでの経緯から1部の2チームはサバFAとPDRM FC、2部の1チームはUKM FCではないかと疑われています。

FAM-サポーターが株式を持つクラブ民営化方法を否定しない
 マレーシアサッカー協会FAMは、各州サッカー協会(州FA)が民営化を行う方法として、サポーターに株式の一部を与えて共同オーナーとすることには反対しないことを表明しています。
 ブリタハリアンによると、スチュアート・ラマリンガム事務局長はサポーターが共同オーナーとなる案についてこれを支持する立場を表明する一方で、共同オーナーとなるサポーターはその際に発生する義務も同時に理解する必要があるとしています。
 「あるクラブがサポータークラブなどを通じ、そのメンバーから共同オーナーとして出資者を募ることには何ら問題はなく、共同オーナーとなったサポーターの代表者がクラブの経営者会議に出席することも可能である。しかし、共同オーナーは出資者、つまり株主でもあるので株主責任を負うことも理解しておくことが必要である。」と話しています。
 またスチュアート事務局長は、州FAが独立して民営化されたクラブを所有すること希望する場合には、州FAがクラブを運営する株式会社を設立し、その会社を所轄官庁であるマレーシア会社登録委員会SSMに登録することにより可能になると話しています。ただしその際には、州FAの関係者がクラブ運営会社に直接関わることはできず、外部の人間を代表取締役に指名し、州FAとクラブがそれぞれ別の経営陣によって運営される形にする必要があるとしています。

8月15日のニュース:日本対マレーシアの親善試合計画が進行中?、FAMはクラブに民営化期限の遵守を求める、FAM-代表候補レベルでない選手の帰化申請は所属クラブの責任で行うべき

日本対マレーシアの親善試合計画が進行中?
 英国の大衆向け新聞ミラー電信版によると、日本代表対マレーシア代表の試合が来月9月に計画されているようです。
 日本で言えばいわば東スポ的な存在の大衆向けタブロイド紙のミラーは、「リバプールFCの南野拓実選手が今後はチーム内での役割が増すだろう」という見出しの記事記事を8月12日版に掲載しています。その記事では、来月9月から各国代表が参加して行われるヨーロッパサッカー連盟UEFAネイションズリーグが開幕しますが、国内リーグやUEFAチャンピオンズリーグなどの過密日程の中で行われることから、リバプールFCのユルゲン・クロップ監督はUEFAネイションズリーグに出場しないヨーロッパ出身ではない選手に依存する割合が上がるだろうとしています。そしてその記事の中に以下のような記述があります。
Now Minamino has been told that, while Japan do have friendlies against Malaysia and Lebanon in the pipeline – although not confirmed – for next month, he won’t be needed for any World Cup qualifiers in October and November.”
「日本代表は(確定はしていないが)来月、マレーシアとレバノンとの親善試合の計画を進めており、南野選手は10月と11月にあるW杯予選には招集されないことが、本人には既に伝えられている。」(ボラセパマレーシア訳)
 W杯予選に招集されない南野選手の出場機会は、同様に代表チームの試合が組まれていないアフリカ出身のモハメド・サラー(エジプト)やサディオ・マネ(セネガル)、ナビ・ケイタ(ギニア)らとともに増えるだろうとこの記事は結んでいます。
 「確定はしていない」、「計画中」という表現を含んでおり、またどこで開催される予定かなどは全く書かれておらず、また新型コロナウィルスの影響で国境を超えての移動には色々と制約がつきますが、もし実現すれば…と考えるだけでもワクワクします。

FAMはクラブに民営化期限の遵守を求める
 マレーシアサッカー協会FAMは、Mリーグ1部と2部の全てのクラブに対して、各州サッカー協会からの独立と民営化を求めており、その期限を9月30日としています。このブログでもMリーグのクラブを「クダFA」「ケランタンFA」と表記していますが、これは例えば「クダFA」というクラブが、クダ州サッカー協会(クダ州FA)によって運営されているクラブであることが理由です。そして、FAMは9月30日までに州FAが運営するクラブ「○○FA」が州FAから分割されて民営化された「○○FC」となることを求めています。そして、この民営化が期限までに達成されないクラブには、MリーグでのプレーするためのクラブライセンスをFAMは発給しないとしています。
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によれば、そんな中、FAMのクラブライセンス発給を担当する第一審期間FIBのフィルダウス・モハマド委員長は、Mリーグ1部パハンFAが民営化手続きを未だに始めていないことを明らかにした上で、「パハン州FAは、期限までに運営するパハンFAを民営化してパハンFCとすることに楽観的なようだが、クラブの歴史を考えると、万が一期限までに民営化が実現できなければ惜しいことになる。」と話しています。
 その一方でフィルダウス委員長は、ヌグリスンビラン州FAが運営するMリーグ2部のヌグリスンビランFAの民営化が完了し、来季はヌグリスンビランFCとなることについて、その真摯な取り組み姿勢を高く評価していると話しています。
 さらにフィルダウス委員長は、新型コロナウィルスの影響もあり、各州FAの民営化手続きの進捗状況を逐一把握することは難しいと話す一方で、9月30日の期限までに民営化手続きの最終段階にいるクラブには寛容な姿勢を示す可能性はあるかもしれないが、手続きの大半が残っているクラブに関しては、クラブライセンスの発給はないと話しています。

FAM-代表候補レベルでない選手の帰化申請は所属クラブの責任で行うべき
 スランゴール州FAが運営するスランゴールFCのBチームでMリーグ2部のスランゴール2に所属するアルミン・マイアー・ラフィは、ドイツ人の父親とマレーシアとシンガポール人の母親を持ち、シンガポールU23代表でのプレー経験がある23歳の守備的ミッドフィルダーです。
 現在は外国籍選手として在籍しているアルミン・マイヤー選手は、母方の祖父がマレーシア出身ということで、帰化した上でマレーシア国籍の取得も可能ですが、ニューストレイトタイムズ電子版は、マレーシアサッカー協会FAMにはアルミン・マイアー選手の帰化申請手続きの支援予定がないとしています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は「アルミン・マイアー選手は代表候補レベルの選手ではないため、FAMが支援を行う予定はない。もしスランゴール2がアルミン・マイアー選手をマレーシア人として登録したいのであれば、所属クラブのスランゴール2が帰化申請を支援するべきである。」と話しています。
 アルミン・マイヤー選手自身は、これまでもマレーシア代表としてプレーしたいことを公言しており、そのため現在、代表でプレーするマシュー・デイヴィーズやラヴェルコービン=オング同様、父母や祖父母にマレーシア人を持つヘリテージプレーと呼ばれる帰化選手となり、マレーシア国籍を取得したいと話しています。
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 今年に入って、いずれもマレーシアに連続5年居住というFIFAの帰化規定を満たしたコソボ共和国出身のリリドン・クラシニスキの帰化申請を達成し、ブラジル出身のギリェルメ・デ・パウラの帰化申請も支援しているFAMですが、代表チームの利益に直接繋がらない帰化申請は支援しない、というシビアな姿勢を打ち出しているようです。
 アルミン・マイヤー選手は、昨シーズンはMリーグ覇者ジョホール・ダルル・タジムJDTのBチームでMリーグ2部のJDT IIとテスト生として契約しながら、リーグ戦では出場機会がなく、今季からスランゴール2でプレーしています。
 

8月11日のニュース:来季は複数のMリーグクラブに新たなオーナーが誕生か、ケランタンFA買収に投資家が名乗りを上げる、スランゴールFCとパハンFAは民営化後は共に皇族がクラブのトップに

来季は複数のMリーグクラブに新たなオーナーが誕生か
 マレーシアサッカー協会FAMは、国内リーグMリーグ1部と2部の全てのクラブに対して9月30日までに州サッカー協会(州FA)から独立した民営化クラブとなることを求めていますが、未払い給料問題を抱えるクラブが複数あり、その前途は多難かと思いきや、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版によると、Mリーグクラブ買収に関心がある企業や個人が一定数おり、そういった中から新たなオーナーが誕生する可能性もあるようです。
 Mリーグ1部ではペラTBGの他、クダFAやマラッカ・ユナイテッドといった数百万リンギを超える未払い給料を含めた負債を抱えるクラブや、やはり未払い給料が問題となっているMリーグ2部のケランタンFA、ペナンFAの他、クアラルンプールFAなども買収の対象となっているようです。
 この報道を裏付けるように、ケランタンFAを運営するケランタン州FAのフシン・デラマン事務局長は外国企業による買収の問い合わせを受けたことを明かし、未払い給料問題を抱えるクラブであっても、買収対象として関心を持たれていることに驚いたと話しています。
 またペラTBGを運営するペラ州FAのモハマド・アズリン・モハマド・ナズリ名誉事務局長も同様の問い合わせを受けていると話す一方、クアラルンプールFAのノクマン・ムスタファ事務局長は個人の資産家から調査を受けたことを明かしています。
 なお、イツのサッカー情報サイトトランスファマルクトによると上記の各クラブの資産価値は、Mリーグ1部のクダFAが2000万リンギ(およそ5億500万円)、マラッカ・ユナイテッドが1930万リンギ(およそ4億8700万円)、ペラTBGが1650万リンギ(およそ4億1600万円)、Mリーグ2部のクアラルンプールFAが1090万リンギ(およそ2億7500万円)、ペナンFAが840万リンギ(およそ2億1200万円)そしてケランタンFAが360万リンギ(およそ9080万円)となっています。

ケランタンFA買収に投資家が名乗りを上げる
 上の記事と関連して同じハリアンメトロは、Mリーグ2部ケランタンFAの買収に投資家のノリザム・トゥキマン氏が名乗りを挙げていると報じています。
 U19代表候補のワン・クザインの父親であるアメリカ在住の大学教諭ワン・カマル・ワン・ナピが買収から手を引く一方で、ケランタン州FAはこのノリザム氏と交渉を行い、既に同意書にサインする寸前まで話が進んでいるということです。
 ケランタン州FAのフシン・デラマン事務局長によれば、ノリザム氏はケランタンFAの再生計画なども明かし、ここまでの話し合いは順調に進んでいるということで、今後は詳細を詰めた後に、公式な契約にサインされる予定であると話しています。

スランゴールFCとパハンFAは民営化後は共に皇族がクラブのトップに
 Mリーグクラブ民営化関連では、共にMリーグ1部のスランゴールFCとパハンFAが共に皇族がクラブのトップとなりそうだと、ハリアンメトロが報じています。
 スランゴールFCが民営化される際には、スランゴール州皇太子のトゥンク・アミル・シャア・スルタン・サラフディン・イドリス・シャア殿下を筆頭株主とし、これにスランゴール州FAも一部株式を保有する他、スランゴール州の機関であるスランゴール開発公社PKNSや州首相企業MBIなども株式を持つということです。なお一部の株式はサポーターに対しても売り出される可能性があることを、スランゴール州FAのシャーリル・モクタル副会長は明らかにしています。
 一方パハンFAを運営するパハン州FAはパハン州皇太子のトゥンク・アブドル・ラーマン・スルタン・アーマド・シャア殿下がオーナーを務める企業を中心としたグループが買収する形で民営化が行われる予定だということです。
 Mリーグにはジョホール州皇太子でTMJの愛称で知られるトゥンク・イスマイル殿下がオーナーのジョホール・ダルル・タジムJDTがありますが、JDTはトゥンク・イスマイル殿下が単独オーナーですが、スランゴールFCとパハンFAは皇太子を中心としたグループによる運営となりそうです。
 なおドイツのサッカー情報サイトトランスファマルクトによると、スランゴールFCは1950万リンギ(およそ4億9200万円)、パハンFAは1420万リンギ(およそ3億5800万円)の資産価値があるとなっています。

8月8日のニュース:ケランタンFAの監督や選手は買収提案を歓迎、クダFAは未払い給料を今月から分割で支払い予定、クダFAは未払い給料を今月から分割で支払い予定、スランゴールFCが無観客試合に国内初の人型パネル導入

ケランタンFAの選手は買収提案を歓迎
 先日、このブログではMリーグ2部ケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAが、アメリカ在住のワン・カマル・ワン・ナピ氏がケランタンFAの買収提案を歓迎しているという記事を取り上げましたが、ケランタンFAの監督や選手もこの買収提案のニュースに喜んでいるとマレーシア語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 ケランタン州サッカー協会KAFAは、かつてケランタンFAに在籍した選手や現在所属する選手への未払い給料などで総額が460万リンギ(およそ1億1600万円)とされる負債を抱えていますが、ワン・カマル氏はKAFAが負債を解決することを条件に買収を行いたい考えを示しています。
 そしてこの提案のニュースは、8月26日に再開するMリーグ2部に出場するケランタンFAの監督や選手たちに好意を持って迎え入れられているということです。
 ユスリ・チェ・ラー監督はワン・カマル氏の提案を歓迎するとともにチームへの資金投入を期待するとし、「選手はケランタン州と自分たちが愛するクラブのために全力を尽くしている一方で、(給料が未払いとなっている)我々の苦境を支援しようという人物がでてくることを期待している。」とコメントしています。
 また先日は勝点3を剥奪されたケランタンFAですが、ユスリ監督はこの勝点剥奪は残念だが、今季はなんとしてもMリーグ2部残留を果たしたいとしています。
 一方、選手ではナズリン・ナウィがワン・カマル氏の買収提案に対して「ケランタンFAを買収しようとする話は良いことである。チームはさらに強くなることができ、熱狂的なサポーターも支持するだろう。ただし希望としては買収はできるだけ早く進め、チームが頑張っているうちに買収して欲しい。」と話しています。
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 今季終了とともに退任することを明言しているユスリ監督は、KAFAからの十分な支援もなく、給料未払いにより選手のモチベーションも低下している中、リーグ再開後のチームをどう運営し、目標としている2部残留を果たすことができるかどうかが注目されます。なおケランタンFAは現在、Mリーグ2部で勝点1の10位となっています。

クダFAは未払い給料を今月から分割で支払い予定
 3月半ばから給料の未払いが続いているMリーグ1部クダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAは、未払い給料の分割払いと第1回目の支払いを今月15日をめどに行うと発表しています。
 先月7月にKFAの会長に就任したクダ州のムハマド・サヌシ・モハマド・ノー州首相は、4月から7月の未払い給料に関しては選手およびスタッフと支払い交渉が完了後に支払う予定となっていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 4月から7月までの未払い給料についての財政特別委員会を設置して、KFAと選手、スタッフの間で双方が了承できる解決策を模索すると話したムハマド・サヌシKFA会長は、現在の選手およびスタッフ全員を今季終了までは解雇しないことも明言しています。また、今季のクダFAは選手、監督、コーチ他スタッフを合わせて総勢48名ですが、この大規模な構成が運営の負担になっているとして、費用削減のために来季は縮小されるとしています。
 またムハマド・サヌシKFA会長は、今季終了までのクラブ運営にさらに2500万リンギ(およそ6億3000万円)が必要なことや、昨年2019年9月から従業員積立基金と国内歳入庁に合わせて380万リンギ(およそ9570万円)の滞納があることも明らかにし、抜本的な改革の必要性を訴えています。
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 KFAの会長就任早々にクダ州政府が資金投入を行って、KFAの未払い給料を解決する予定はないと話したムハマド・サヌシ会長ですが、スポンサーを見つけることができなければ、そうも言っていられないでしょう。選手からの未払いの不服申し立ては既にマレーシアプロサッカー選手会に報告されており、解決が長引けば来季のクラブライセンス発給にも影響が出かねず、サポーターからの非難も必至となりそうです。

スランゴールFCが無観客試合に国内初の人型パネル導入
 新型コロナウィルスの影響により3月18日から中断しているMリーグ1部と2部は8月26日より再開しますが、いずれも無観客試合として行われることが決まっています。そんな中、スランゴールFCは8月26日のリーグ再開後の初戦となるPJシティFCとの試合で人型パネルを設置し、そこに自分の写真を掲載したいサポーターを募っています。
 本来の本拠地であるシャーアラムスタジアムが改修工事のため使用できないスランゴールFCは、8月26日のPJシティFCとの試合をホームゲームとしてPJシティFCの本拠地であるMBPJスタジアムで開催しますが、そこに人型パネルを設置する予定です。
 人型パネルには2種類あり、片方は99リンギ(およそ2500円)、もう一方は169リンギ(およそ4270円)です。いずれも購入者が顔写真を送り、それが高さ120cm、幅60cmの人型パネルに貼られて試合当日はスタンドに設置されるということです。
 169リンギの方は人型パネルの他、購入者にはスランゴールFCの選手のサイン入り2019年のホームユニフォームが送られるということです。また試合後、すべての人型パネルにはスランゴールFCの選手がサインをし、購入者に送られるということです。
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 個人的には169リンギの方のおまけが今季ではなく2019年シーズンのユニフォームなのが在庫処分感が見え見えで、少々ケチ臭く感じましたが、それでも無観客試合でも少しでも収入を生み出したいというアイディア自体は評価できると思います。
 ちなみにこの詳細はスランゴール州サッカー協会FASのホームページ(表記はマレーシア語です)からご覧になれます。締め切りは明日8月9日の午後11時59分(マレーシア時あかん)ということです。

8月6日のニュース:シャーアラムスタジアムの改修工事は2022年に完了か、JDTにまた新たな勲章-アカデミーが国内トップの評価を受ける、ケランタン州FAはU19代表選手の父親からのクラブの買収提案を歓迎

シャーアラムスタジアムの改修工事は2022年に完了か
 シャーアラムスタジアムはMリーグ1部スランゴールFCの本拠地ですが、その老朽化により天井の一部が崩落する危険性があり、Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLはその改修が行われるまでMリーグの試合開催を禁じています。
 ホームを失ったスランゴールFCは、今月8月26日から再開予定のMリーグのホームゲームを同じスランゴール州シャーアラムにあるUITMスタジアムで開催することになっています。また、先日のこのブログでは来季2021年はやはりスランゴール州内にあるMBPJスタジアムをホームにする可能性があるという記事を取り上げましたが、それがいよいよ現実となりそうです。
 80000人以上の観衆が収容できるシャーアラムスタジアムは、国内で最大のクラブであるスランゴールFA(当時)のホームとして1994年に開場しました。
 しかし長年の使用による老朽化から、今季の開幕前にはMFLにより改修工事が終了し、観客の安全が確保できるまでは試合での使用が禁じられ、スランゴールFCは今季のホームゲーム初戦はブキジャリル国立競技場で開催しています。
 この現状についてシャーアラムスタジアムを所有するスランゴール州のアミルディン・シャリ州首相は、今年3月から予定していた改修工事が新型コロナウィルスの影響により発令された活動制限令MCOにより実行できなかったとして、改修工事はこれから始まること、そしてその工事期間として18ヶ月を予定し、その間はスタジアムを全面的に閉鎖することを明らかにしています。
 なおアミルディン州首相は、改修工事後に再開する際には収容可能な最大人数に開場できるよう、工事期間中は天井部分の修理だけでなく総合的な補修及び改修を行うと話しています。
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 新型コロナウィルスの影響で3月18日に中断したMリーグで、スランゴールFCが中断前の唯一のホームゲームを行ったブキジャリル国立競技場は、その後、MFLがMリーグのホームゲームの代替会場としての使用を禁じており、その結果、今季の残りホームゲームをUITMスタジアムで行うことになった、という経緯もあります。

JDTにまた新たな勲章-アカデミーが国内トップの評価を受ける
 Mリーグ1部を7連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTに新たな勲章です。JDTの公式Facebookページでは、JDTのアカデミーがマレーシアサッカー協会FAMよりトップの評価にあたるゴールド評価とその証書を受け取ったことを発表しています。
 このゴールド評価を受けたJDTのアリスター・エドワーズTD(テクニカルダイレクター)は、この評価はアカデミーにとって、ここまでの努力がFAMに認められたことへの喜びに加え、さらに高みを目指すためのモチベーションになると話しています。
 またJDTの本社で、このゴールド評価の証書と記念の盾をエドワーズTDに手渡したFAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は 国内の草の根レベルの育成を行うアカデミーを対象にリーダーシップ、計画性、設備、教育、草の根レベルでの試合運営の5つの点で審査した結果、JDTのアカデミーはどの面でも優れた評価を得た結果の表象であると話しています。
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 2000年代までマレーシアのサッカーを長年に渡って牽引してきたのが最初の記事で取り上げたスランゴールFA(現スランゴールFC)だとすれば、直近の10年間で国内に的なしとなったのがこのJDTと言えます。
 ジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下の豊富な財源に基づく投資と積極的な運営は、運営資金が州政府の公的補助頼りである大半のMリーグクラブを凌駕し、その結果が1部リーグ7連覇という結果になって現れています。
 JDTもかつてはジョホール州サッカー協会傘下のクラブでしたが、イスマイル殿下による民営化で成功しており、現在、FAMが各州サッカー協会に求めているクラブの民営化の成功例と言えるでしょう。
(中央左がFAMのスチュアート事務局長、中央右がJDTのエドワーズTD-写真はJDTの公式FBより)

ケランタン州FAはU19代表選手の父親からのクラブの買収提案を歓迎
 ケランタン州サッカー協会KAFAは、運営するMリーグ2部ケランタンFAに対するワン・カマル・ナピ氏の買収提案を歓迎する意思を示していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 現在行われているU19代表候補合宿にアメリカから参加しているワン・カマル・ワン・クズリの父親でもあり、アメリカ在住の大学教授でもあるワン・カマル氏は460万リンギ(およそ1億1600万円)とされるケランタンFAの現在の負債が完済されることを条件に、300万とも言われる所有権を購入したいと話しているということです。
 KAFAのフシン・デラマン事務局長はワン・カマル氏から直接の連絡は受けていないとする一方で、民営化を目指しているケランタンFAにとっては良い話であるとしています。
 「KAFAは現在、民営化後のケランタンFCを運営するTRW社の価値を評価している最中であり、それが決まりTRW社の売却が決まれば、ケランタンFCに関する460万リンギの負債はKAFAが全面的に負担する。」とデラマン事務局長は話しています。
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 別のメディアでは、ケランタンFCの売却後もKAFAが年間100万リンギ(およそ2520万円)のロイヤルティを要求しているという話があり、ワン・カマル氏は、ケランタンFCの所有権購入後もKAFAの影響が残ることを嫌っていることから、買収に躊躇しているという報道もあり、この話は一筋縄ではいかなそうです。

8月3日のニュース:クダFA選手が未払い給料問題を正式に申し立て、クアラルンプールFAは来季はKLユナイテッドとして民営化、スランゴールFCは来季もMBPJスタジアムをホームとする可能性が浮上、ケランタンFA監督は給料未払いの状況下での選手のモチベーション低下を憂慮

クダFA選手が未払い給料問題を正式に申し立て
 マレーシアサッカー協会は、Mリーグ1部のクダFAの選手からマレーシアプロサッカー選手会PFAMに対して未払い給料に関する正式な申し立てが行われた報告を受けたことを明らかにしています。
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、この報告を受けたFAMはクダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAに対して、今月8月31日までに未払い給料の支払いを強く指示し、支払われない場合には来季2021年シーズンのMリーグに出場するライセンスがKFAに発給されない可能性があるとしてます。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、2月からの5ヶ月間、給料が支払われていないとするクダFAの選手23名の連記による申し立てがPFAMになされ、PFAMからFAMに正式に報告されたと話しています。
 スチュアート事務局長は、未払い給料問題が8月31日までに解決しない場合には、この問題はPFAMからFAMの案件となり、来季2021年シーズンのMリーグ出場のためのライセンス発給に影響が出ることは必至であると話しています。
 さらにスチュアート事務局長は今季のFAカップが新型コロナウィルスの影響で中止となったことから、昨季のFAカップ優勝チームのクダFAが来季2021年のアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ予選に出場資格を得たことを発表した上で、給料未払い問題の解決が遅れれば、FAMはこのACL予選の出場権剥奪も検討するとしています。
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 これまでメディアでは公然の事実として語られながら、正式な申し立てが行われていないことから対処のしようがないとスチュアート事務局長が繰り返してきたクダFAの未払い給料問題がいよいよ解決に向けて動き出したようです。
 その一方で別のメディアでは、3名の外国籍選手が弁護士を立てて8月14日を期限とした未払い給料の支払いを求め、それが実現しない場合には退団も辞さないという報道もあり、8月31日とされる期限を前に今後の展開が注目されます。

クアラルンプールFAは来季はKLユナイテッドとして民営化
 Mリーグ2部のクアラルンプールFAを運営するクアラルンプールサッカー協会KLFAは、9月30日の期限までにクラブの民営化を完了し、2年後を目処にKLFAから完全に独立したクラブチームとすることを目指していると、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 KLFAのノクマン・ムスタファ事務局長は、来季のMリーグ1部および2部への出場だけでなく、AFC主催大会に出場するためにはクラブの民営化が条件となっていること挙げ、民営化されたクラブをKLユナイテッドと名付けると発表しています。
 またマレーシアサッカー協会FAMのクラブライセンス担当部署への問い合わせの結果、KLFAから完全に独立したクラブとするための期間としてして2年の猶予が与えられているとして、この間に企業スポンサーなどを獲得し、クラブにおけるKLFAの持ち株を放出すると話しています。
 「クラブの民営化後もKLFAは運営会社を設立するまで、クラブの主要株主として関与するが、同時に新たなクラブへの投資を希望する企業を獲得できるよう努めていく。まずは民営化クラブとして歩き始め、5社から6社のスポンサーを獲得するというのがKLFAが現在考えているプランである。」とノクマン事務局長は述べています。
 またMリーグ1部のペラTBGを運営しているペラ州サッカー協会PAFAのアズリン・ナズリ名誉理事は、「民営化を行わなければ、ペラTBGは(Mリーグ3部の)セミプロリーグでプレーすることになるが、そうするわけにはいかないので、期限の9月30日までには民営化手続きを完了したい。」として、今週に予定されているPAFAの総会で民営化についての計画を発表するとしています。

スランゴールFCは来季もMBPJスタジアムをホームとする可能性が浮上
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版は、Mリーグ1部スランゴールFCが来季のホームゲームをスランゴール州プタリンジャヤにあり、同じ1部のPJシティFCのホームであるMBPJスタジアムで開催する可能性があると報じています。
 スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督は、スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASがMBPJスタジアムを来季のホームとすると決定した場合には異論はないと話しています。
 この発言は数日前にFASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長が、本来の本拠地であるシャーアラムスタジアムで行われる予定の改修工事の終了時期が定かではないことから、来季のスランゴールFCのホームゲームの開催地としてMBPJスタジアムを候補に挙げた発言を受けてのものです。
 なおスランゴールFCは、Mリーグを運営するマレーシアフットボーリーグMFLが崩落の危険のある天井の修理が終わっていないシャーアラムスタジアムの使用を禁じていることから、8月26日に再開する今季Mリーグの残りのホームゲームを全てMBPJスタジアムで開催することを発表しています。
 サティアナタン監督は(収容観客数が8万人の)シャーアラムスタジアムに比べ、公称2万5000人収容のMBPJスタジアムでは、サポーターが入りきれない可能性があると述べる一方で、来季2021年シーズン開幕時にシャーアラムスタジアムの改修が終わっていない場合の代案を用意しておく必要があると述べています。

ケランタンFA監督は給料未払いの状況下での選手のモチベーション低下を憂慮
 マレーシア語紙コスモ!電子版によれば、Mリーグ2部ケランタンFAのユスリ・チェ・ラー監督は、過去4ヶ月以上に渡って給料を支払われていない選手やスタッフのモチベーション低下を心配していると話しています。
 先週7月31日はイスラム教の重要な祭日であるハリラヤ・アイディルアドハ(ハリラヤ・ハジ)でしたが、ユスリ監督はこの祭日を祝えるよう、せめて半月分の給料を全員に支給してくれるようにとケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAに掛け合ったということですが、それも聞き入れられず、質素な祝事しかできなかったことを明らかにしています。なおKAFAはユスリ監督の依頼を受けた後で、わずかな金額を支給したということですが、祝辞の準備にすら足りない額だったとユスリ監督は述べています。
 この件については、ケランタンFAのファリシャム・イスマイル主将も自身のインスタグラムでKAFA経営陣への失望をあらわにしていたということで、ユスリ監督は受け取った金額は明らかにできないとしながらも、ファリシャム主将があらわにした失望から推し量れるだろうと話しています。
 ケランタンFAは8月26日のリーグ再開に向けて、7月22日より練習を再開し、ユスリ監督は経営陣に全額ではなくとも一部給料を支払うための話し合いを続けているということですが、選手の精神状態を考えると、リーグ再開後に全員が全力でプレーできるのかどうかが心配であると述べています。
 渡邉将基選手が所属するケランタンFAは、リーグ中断前には3試合で1勝1分1敗の7位につけており、他のチームに先駆けて8月22日に雷雨で中止となった第2節のUKM FCとの試合でリース再開後の初戦に臨みます。
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 ケランタンFAは新型コロナウィルス感染防止のためのリーグ中断中に韓国出身のカン・サンジョ(康承助)選手が退団していますが、カン選手に続いて退団したという複数のマレーシア人選手の名前もネット上で見られます。KAFAはこれを否定していますが、8月22日の対UKM FC戦のメンバーがリーグ中断前とは大きく変わっている可能性もあります。

7月31日のニュース:スズキカップの延期が正式決定、MFLはiflix社を契約不履行で訴える、クチン FAではさらに4選手に新型コロナ陽性反応

スズキカップの延期が決定
 アセアン(東南アジア)サッカー連盟AFFの公式サイトでは、今年11月に予定されていたAFF選手権スズキカップが2021年に延期になったことが正式に発表されています。
 この決定は、急速に世界各地で広がりをみせている新型コロナウィルスによる選手や監督、コーチ、サポーターなどの健康と安全を考慮した結果、国際サッカー連盟FIFAやアジアサッカー連盟AFCなどの指示を仰いだ上での判断であると、キエフ・サメトAFF会長は語っています。
 前回2018年大会では75万人以上の観衆を集めたスズキカップは、現在の状況下での開催はリスクが大きく困難であると判断し、2021年大会についての開催時期などの詳細を早急に決定したいとしています。
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 国内で新型コロナウィルスによる死者がおらず、6月には世界に先駆けて観衆を入れて国内リーグを再開したベトナムは、当初は今年のスズキカップを自国での1ヶ所開催まで提案するほどでしたが、ここにきて各地で感染者数が急増し、国内リーグも中断するなど、東南アジアでの感染が収まる様子もな句、これは賢明な判断なのだと思います。
 また、マレーシア的な視点で言えば、10月から再開するFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選に代表チームが専念できることになり、11月に予定されていたスズキカップの延期は朗報とも考えられます。W杯は無理だとしても、自国開催枠で出場した2007年大会以来、予選突破での出場であれば1980年以来となるアジアカップ出場に向けて環境は整った、というところでしょう。

MFLはiflix社を契約不履行で訴える
 Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは、無料でビデオオンディマンドのサービスを提供するメディア企業iflix社を契約違反で訴えたことを英字紙ニューストレイトタイムズは報じています。
 iflix社はMFLと2018年から10年契約を結び、Mリーグ1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグ、マレーシアカップ、FAカップを無料で放送することになっていました。
 マレーシアサッカー協会FAMの会長でもあるMFLのハミディン・アミン会長は、審理中ということで詳細は明らかにできないものの、2018年後半と2019年についてiflix社に契約不履行があったとして訴訟を起こしたことを明らかにしています。なお一説にはiflix社とMFLの契約は3億リンギ(およそ74億4000万円)とされています。
 Mリーグがマルチメディア企業と関係を悪化させた事例はこれが初めてではなく、2017年にはロンドンに本社を持つスポーツマーケティングおよびメディア権利会社のMP and Silva社とMリーグの国際放映権について2016年に15年間で総額12億6000万リンギ(現在のレートで312億円)の契約を結びました。しかし翌2017年には同社が英国高等裁判所の命令により解散となり、総額2500万リンギ(現在のレートでおよそ6億2000万円)の損失を被ったとされています。
 また昨年2019年には国内最大のマルチメディア企業テレコムマレーシア社に対して契約違反を訴えましたが、こちらは既に解決しています。
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 ライブストリーミングで中継されるMリーグの試合を無料で見ることができたiflixには私も大変お世話になりましたが、そのサービスがこのような形で終了してしまったのは残念の一言に尽きます。先月6月には中国のインターネット関連の大企業であるテンセントに買収されるなど、経営が苦しくなっていたようです。iflixは今季からペイパービュー形式で中継をはじめたUnifiに比べると、試合の中継の他にダイジェスト番組や個々の選手を取り上げる番組などもあり、個人的にはとても気に入っていたサービスでした。市場規模が小さいマレーシアでは無料での中継に無理があったのかも知れません。

クチン FAではさらに4選手に新型コロナ陽性反応
 マレー語紙シナルハリアン電子版は、Mリーグ2部のクチンFAでは4選手に新型コロナウィルス検査で陽性反応が出たと報じています。
 クチンFAでは、クチン市内のセントサ病院で勤務している選手がこの病院で形成されたクラスターにより感染していることが判明し、クラブが選手およびスタッフ全員に綿棒検査を行った結果、4選手に陽性反応が出たということです。
 クチン FAのイスワンディ・アリ・ハサン事務局長は7月25日に行った綿棒検査によりAチームの3選手とAチームの練習に参加していたU21チームの1選手の感染が判明したとしています。
 さらにイスワンディ・アリ事務局長は、全ての検査結果が得られていないとしており、今後さらに感染が発覚する可能性があると話し、8月4日から6日にかけて2度目の検査を行うとする一方、8月26日から再開予定のMリーグ出場について出場辞退の可能性も検討していると話しています。
 なおMF鈴木雄太選手とDF谷川由来選手が所属するクチン FAは、8月26日にホームのサラワクスタジアムでスランゴール2との対戦が予定されています。


7月27日のニュース:スランゴールFCのエースは未だチームに合流できず、ペナン州協会は5000万円を超える未払い給料を完済、代表監督は11月にもう1試合練習試合を希望

スランゴールFCのエースは未だチームに合流できず、
 Mリーグ1部スランゴールFCはチームの得点王が未だチームに合流できていないと、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 Mリーグ再開予定の8月26日までちょうど1ヶ月となり、各クラブが試合に向けて練習のペースを上げる中、今季4試合で3得点を挙げているスランゴールFCのイフェダヨ・オルセグンは帰国中のナイジェリアから出国できていないということです。
 活動制限令MCOが発令された後に母国に戻ったオルセグン選手は、ナイジェリア政府が自国民の出国を制限していることから、国内で足止めを食らっており、マレーシアへ戻る予定は決まっていません。.
 昨季2019年シーズンの途中でスランゴールFCに加入しながら12ゴールを挙げ、チームの得点王に輝いたオルセグン選手の合流が遅れれば、リーグ中断時点で6位のスランゴールFCは、今季の目標である上位3位以内に入ってアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ、あるいはAFCカップの出場が危ぶまれることになります。

ペナン州協会は5000万円を超える未払い給料を完済
 Mリーグ2部のペナンFAを運営するペナン州サッカー協会FAPは、総額1200万リンギ(およそ5110万円)の未払い給料を完済したと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 PFAのアマル・プリトパル・アブドラ会長は、今年4月から6月までの選手及びスタッフに対する未払い給料の支払いは今月から始まっており、この未払い給料問題が解決したことで、チームは8月26日に再開予定のMリーグに集中できるだろうとと話しています。
 今季のMリーグ2部では昇格圏の2位以内を目指しているペナンFAですが、リーグ中断までの4試合では2勝2分と首位のトレンガヌFC IIとは勝点差が4の3位につけています。この日、練習を視察したペナン州のチョウ・コンヨー州首相と会談したアマル会長はリーグ再開後もシーズン当初のパフォーマンスを維持できれば、2017年シーズン以来となる来季のMリーグ1部昇格も可能だと話しています。

代表監督は11月にもう1試合練習試合を希望
 10月に再開されるFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼アジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ2023年大会予選を前に、マレーシア代表はクウェート代表との練習試合を予定していますが、代表のタン・チェンホー監督は少なくとももう1試合の練習試合を希望していると、マレー語紙コスモ電子版が伝えています。
 10月8日に行われるアウェイのアラブ首長国連邦UAEとのW杯予選を前に、マレーシアは10月2日にバーレーンのマナマで、また11月にはホームのブキジャリル国立競技場でクウェートと練習試合を行う予定ですが、タン監督は11月にもう1試合の練習試合を希望しているということです。
 なおマレーシアのW杯アジア二次予選の日程は、10月8日のUAE戦の後は10月12日にホームでのベトナム戦、そして11月17日には二次予選最終戦となるアウェイのタイ戦と続きます。
 タン監督によれば、9月24日からの開始が予定されている代表候補合宿から10月いっぱいまでは日程的に余裕がないものの、FIFAの国際マッチデーとなっている11月2日から11日は予定が入っていないとして、ここにもう1試合の練習試合を組むことが可能だとしています。
 「この(11月2日から11日の)期間にはクウェート戦が予定されているが、)W杯アジア二次予選となる)タイ戦はアジア三次予選に進めるか否かがかかる試合になる可能性があるため、できる限りの準備を行った上で臨みたい。そのためにもこの期間にもう1試合の練習試合をマレーシアサッカー協会FAMに依頼している。」とタン監督は話しています。

7月25日のニュース:クチン FAの選手から新型コロナウィルスの陽性反応、ベックラー兄弟はU19代表の秘密兵器となるか、今季終了後の1部と2部の入れ替えは従来通り実施

クチン FAの選手から新型コロナウィルスの陽性反応
 Mリーグ2部クチンFAは公式Facebook上で、選手の一人から新型コロナウィルスの陽性反応が出たことを発表しています。
 この選手はクチン市内のセントサ病院に勤務しており、この病院で発生したクラスターで感染した可能性があるということです。
 クラブ内で新型コロナウィルスの感染者が出たことにより、クチンFAは練習を中止し、選手やその他の関係者の安全のため、当局の指示に従った対応を取るとしています。
 最初の感染者が7月19日に確認されたこの「セントサ病院クラスター」は、これまでに61人が検査を受け、16人に陽性反応が出ているということですが、その感染経路は現在も不明ということです。

ベックラー兄弟はU19代表の秘密兵器となるか
 マレーシアの通信社ブルナマは、ドイツ出身のベックラー兄弟がマレーシアU19代表の次回の合宿に参加する可能性があると報じています。
 17歳で左サイドバックのジョシュア・ヨハン・ベックラーは、ドイツ6部リーグのロートヴァイス・フランクフルトに所属していますが、ドイツ国内では期待の若手という評価を集めているということで、ドイツ国内のクラブ以外からも練習参加の誘いなどを受けているということです。
 ジュリアン選手は「自分はスピードのある左サイドバック、あるいは左ウイングとされているので、U19代表に招集されることがあれば、そのスピードでゴールを量産したい。」と話しています。
 一方18歳でゴールキーパーのジュリアン・ヨハン・ベックラーは、昨年2019年7月ににジョホール・ダルル・タジムJDTと既に契約を交わしており、JDTのU21チームであるJDT IIIに加入が予定されています。
 このジュリアン選手は、ボジャン・ホダック前監督が指揮を取っていたU19代表候補合宿に参加経験がありますが、その時にはまだマレーシア国籍を取得しておらず、代表チームに加わることができませんでした。
 ジュリアン選手は、晴れてマレーシア国籍を取得したことから、8月3日から予定されているU19代表候補第二次合宿に兄弟揃って招集されることを希望しており、もしそうなれば、ブラッド・マロニー監督やチームメートに自分の実力を披露して、高い評価を得たいとしています。

今季終了後の1部と2部の入れ替えは従来通り実施
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、Mリーグの1部と2部の入れ替えは従来どおり行われるということです。
 新型コロナウィルス感染拡大により第4節終了後に中断に入ったMリーグは、従来のホームアンドアウェイ形式から1回戦総当たりとなり、試合数が半減して再開しますが、リーグ終了後の入れ替えについては、1部スーパーリーグの11位と12位のクラブが降格し、2部プレミアリーグの1位と2位((1部のBチームは除く)が昇格するという従来通りの方式で行われることを、Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOが明言しています。
 また、今季は既に中止が決定している3部M3リーグと2部プレミアリーグの間の昇格と降格についてガニCEOは、来季から3部を運営するマレーシアサッカー協会FAMがM3リーグから2部へ昇格する2クラブを選び、2部の11位と12位が降格する方式になると話しています。