1月13日のニュース
今季のMリーグは3月4日に開幕
AFCカップ出場権が懸かるFAカップも3年ぶりに開催

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは主催するMリーグやマレーシアカップ、マレーシアFAカップなどの今季日程や開催要項などを発表しています。

Mリーグ

12チームが優勝を賭けて戦う1部スーパーリーグは3月4日に開幕し、7月16日までを前半、7月19日から9月17日までを後半として開催される一方で、昨季に続き今季も11チーム編成となる2部プレミアリーグは3月5日に開幕し、5月28日までが前半、6月25日から9月3日までを後半となることが発表されています。

また今季から試合開始時間が変更されることも発表になっています。スーパーリーグは東マレーシアのサバ州とサラワク州での試合はそれぞれ午後7時30分と8時15分に、またマレー半島部での試合は8時15分または9時キックオフとなるようです。各試合の具体的な開始時刻は2月1日に発表されるようです。

またイスラム教が国境となっているマレーシアでは、イスラム教の断食月には試合時間が変更になります。イスラム教のカレンダーに基づく今年の断食月は4月3日から5月2日の予定ですが、この間は日没とともの明ける断食後の食事の時間などの都合から、サバ州とサラワク州では午後9時15分に、マレー半島部では午後10時にキックオフとなります。平日の午後10時キックオフの試合は観戦するのが結構辛いんだよなぁ。

マレーシアカップ

昨季はKLシティが前身のクアラルンプールFAから数えると32年ぶりとなる優勝を果たしたマレーシアカップは、ここ数年はMリーグのシーズン終了後に開催され、リーグ戦での1部スーパーリーグ上位11チームと2部プレミアリーグの上位5チームの全16チームが4組に分かれてグループステージを行い、各組みの上位2チームがノックアウトステージとなる準々決勝に進むマレーシアカップは決勝がシーズン最後の公式戦となりますが、今年は11月19日に予定されています。

マレーシアFAカップ

また新型コロナ感染拡大防止を理由に過去2シーズンは開催されなかったマレーシアFAカップ(以下FAカップ)が3年ぶりに開催されることも発表になっています。日本で言えば天皇杯に当たる、プロアマ問わず国内全てのサッカークラブに開かれたFAカップは1990年に創設され、昨季100周年記念大会が開かれたマレーシアカップに比べると国内の注目度は低いですが、このFAカップの優勝チームは来季のAFCカップの本戦出場権を獲得することができます。Mリーグと並行して試合が行われるFAカップですが、今季の決勝は8月6日に予定されています。

スンバンシーカップ(チャリティーシールド)

英国1部EPLには、リーグ開幕の1週間前に前年度のリーグチャンピオンとFAカップの勝者が対戦するFAコミュニティーシールドが開催されます。創設当初は慈善事業への寄付金を集めるために開催されたことから「チャリティーシールド」と呼ばれていたこの大会ですが、マレーシアでもスンバンシーカップ(スンバンシー Sumbangsihはマレーシア語で「寄付」、あるいは勝者に授与されるトロフィーの名をとってスルタン・ハジ・アフマド・シャートロフィーと呼ばれる同様の大会があります。本来はMリーグ1部スーパーリーグのチャンピオンとFAカップチャンピオンが対戦しますが、昨季はFAカップが開催されなかったため、2月26日に開催される今季のシャリティーシールドではスーパーリーグの覇者JDTとマレーシアカップチャンピオンのKLシティが対戦します。

昨季までは何故かMリーグ開幕戦として行われていましたが、今季からはMリーグ公式戦には含まれないようです。ちなみに本国英国ではこのFAコミュニティーシールドは、中立地のウェンブリースタジアムで開催されますが、マレーシアのチャリティーシールドはこれまた何故かJDTの本拠地であるスルタン・イブラヒムスタジアムで開催されます。Mリーグ公式戦でなくなったのなら、中立地のブキ・ジャリル国立競技場での開催が自然かと思いますが、MFLはそうは考えていないようです。

1月27日のニュース:Mリーグ開幕は3月5日に延期-FAカップは2季連続で中止に、JDTのACL出場資格が確定、今季のACLとAFCカップグループステージは集中開催が決定

Mリーグ開幕は3月5日に延期-FAカップは2季連続で中止に
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、2月26日に予定されていた今季2021年シーズンの開幕を3月5日に延期することを公式サイトで発表しています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、臨時のMFL理事会を開催後、Mリーグ各クラブ代表者から意見を聞き、その了承を得た上での延期であるとしている他、代表が出場するFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選、ジョホール・ダルル・タジムJDTが出場するアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ、クダ・ダルル・アマンFCとトレンガヌFCが出場するAFCカップなどの日程も考慮に入れた結果であることも明らかにしています。
 さらにアブドル・ガニCEOは、過密日程を避けるため昨季に続いてFAカップの中止を決定した一方で、Mリーグ1部と2部のクラブが出場するマレーシアカップとチャレンジカップについては開催するとしています。

JDTのACL出場資格が確定
 Mリーグ1部を7連覇中のJDTは、昨季2020年シーズンのアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場しながら、新型コロナウィルスによる中断を経たグループステージ再開時に集中開催地となったカタールへの渡航について、マレーシア政府の安全保障委員会NSCがJDTの渡航を許可しなかったことにより断念し、グループステージを途中辞退せざるを得ませんでした。
 しかしこのJDTが今季もMリーグチャンピオンとして出場資格を持つACLへの出場申し込みを行った際にAFCからの回答が保留されていたことから、昨季のACL途中辞退の罰則として今季のACL出場が認められない可能性が取り沙汰されていました。
 これについてマレーシア語紙ウトゥサンマレーシア電子版は、AFCの協議委員会がJDTのACL出場を認める決定を下したことを報じています。
 マレーシア人でもあるAFCのウインザー・ポール・ジョン事務局長は、マレーシア政府から書簡を受け取ったことを明かした上で、様々な要因を含めて検討した結果、出場許可が決定されたと話しています。

今季のACLとAFCカップは集中開催が決定
 本日1月27日には今季のアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ(ACL)とAFCカップの組み合わせ抽選が行われますが、いずれも集中開催で行われることがAFCの公式サイトで発表になっています。今季から40クラブが出場するACLは従来通り西地区と東地区に分かれて開催、また今季から39クラブが出場するAFCカップは新たに加わる2地区を含めた5地区でグループステージが開催されます。
 ACLにはMリーグチャンピオンのJDTが出場しますが、JDTが所属する東地区のグループステージは4月21日から5月7日に予定されています。(集中開催地は未定)
 また今季のACLはグループステージは1回戦総当たり、その後、準々決勝までは1回戦のノックアウト方式、そして準決勝以降からがホームアンドアウェイ方式となります。以下、ACLの予定表です。

AFC Champions League 2021 match schedule

 一方のAFCカップには、マレーシアからは昨季Mリーグ2位のクダ・ダルル・アマンFCと3位のトレンガヌFCが出場します。両チームが所属するアセアン地区のグループステージは6月22日から28日に開催が予定されています。(開催地は未定)
 AFCカップも1回戦総当たりのグループステージ後は、アセアン地区の準決勝、決勝はいずれも1回戦のノックアウト方式となっています。その後、アセアン地区の勝者は南、中央、東の各地区の勝者と準決勝で対戦し、そこから決勝に進み、勝ち抜けると西地区の勝者と一発勝負の決勝戦に望むことになります。以下、AFCカップの予定表です。

AFC Cup 2021 match schedule

1月30日のニュース:2020年マレーシアサッカー重大ニュース(前編)

世界中が新型コロナウィルスに振り回された2020年はマレーシアも御多分に洩れませんでした。異例ずくめだった今年のマレーシアサッカーをボラセパマレーシアJP的視点で2日間に分けて振り返ります。

Mリーグの長期中断と試合数半減
 2月28日に昨年2019年のMリーグ1部覇者ジョホール・ダルル・タジムJDTと同年のFAカップ覇者クダFAの対戦で開幕した今季のMリーグでしたが、新型コロナウィルスの影響を受け3月15日に開催された第4節をもって中断期間に入りました。
 その後、8月28日の第5節開催まで5ヶ月以上の中断期間を強いられたMリーグ主催者のマレーシアンフットボールリーグMFLは、今季の日程をMリーグ1部、2部ともに通常の22試合から11試合へと半減して開催することを発表。今季のMリーグは最終的に各チーム1回戦総当たりという変則日程となりました。
 マレーシアサッカーの年間カレンダーは、1年間を大きく分けると前半はMリーグ、後半はマレーシアカップ、そしてMリーグの合間にFAカップという日程が通例ですが、今季は5ヶ月を超える中断期間によりFAカップは中止となりました。
 また8月のリーグ再開後はMリーグの全試合が無観客試合として開催されました。

マレーシアカップが1回戦開催後中止
 第1回大会が1921年(大正10年)に開催されたマレーシアカップは日本の天皇杯とともにアジア最古のカップ戦の一つです。マレーシア(当時は英領マラヤ)も戦場となった1942年から47年の太平洋戦争による中断時期を除き、毎年開催されてきたこの大会も、10月31日のMリーグ閉幕から1週間ほどで開催された11月初旬の1回戦終了後に国内感染者数が急増したことから、急遽、中止に追い込まれました。

M3リーグが中止
 Mリーグ3部にあたるセミプロリーグのM3リーグは、1部と2部より遅れて3月初旬に開幕しましたが、第2節を終えた時点で今季の中止が発表されました。
 1部と2部のクラブと比べると、スタジアムでなく観客席のないフィールドをホームとするクラブもあり、いわゆるソーシャルディスタンスを厳格に適応することができないことが理由とされましたが、M3リーグには経営基盤が万全でないクラブもあり、長期中断よりは中止を歓迎する声が上がったことも報じられました。
 今季のM3リーグには岸健太(PIB FC)、木下怜耶(アルティメイトFC)、高山龍(ランカウィシティ)、宮崎崚平(ムラワティFC)、米澤淳司(スマラクFC)の5名の日本出身選手が加入し、個人的には観戦をとても楽しみにしていましたが、残念ながら実現しませんでした。

JDTがMリーグ7連覇
 短縮日程となったMリーグ1部はJDTが9勝2分0敗、得失差25で2位のクダFAに勝点差7をつけた圧勝で7連覇を飾っています。
 優勝を決めたホームゲームでは、リーグ再開後は無観客試合とされていたにも関わらず選手家族をスタジアム観戦させて味噌をつけました(但しこれはJDTには何の落ち度もなく、それを許可したリーグ主催者MFLに非があります)が、対抗馬とされたクダFAやスランゴールFCが取りこぼしを繰り返すのを尻目に淡々と勝利を積み重ねた結果の順当な連覇でした。

JDTのACL辞退
 昨季のリーグ王者としてAFCチャンピオンズリーグACLに出場したJDTは、グループステージ開幕戦となったアウェイのヴィッセル神戸戦では1−5と大敗を喫したものの、次戦のホームでは今大会ベスト8に残った水原三星を2-1と撃破し、昨季の鹿島アントラーズ戦に続くACL2勝目を挙げ、1勝1敗と星を五分に戻したところでACLが新型コロナウィルスにより中断しました。
 一時はマレーシア国内での集中開催も発表されたACLグループステージでしたが、マレーシア国内の新規感染者が増加傾向にあったことから開催は取りやめ、結局は11月にカタールで集中開催が決定したものの、この時点で出入国を厳しく管理していたマレーシア政府は国外で開催されるACLへの出場に対してJDTに「強い勧告」を行い、これを受け入れたJDTは残り試合への参戦を辞退、これにより既に終了していたグループステージ2試合の結果も無効となりました。

複数クラブで給料未払いが明らかに
 今季ピッチ外での話題の中でボラセパマレーシアJPが最も多く取り上げたのが給料未払い問題でした。給料未払い問題はいわばマレーシアプロサッカーが抱える慢性的な問題であり、今に始まったことではありませんが、今季は特に新型コロナウィルスの影響で主な収入源の入場料収入を失い、さらに後ろ盾となる州政府(リーグ参加クラブの半数以上を占める州サッカー協会が運営するMリーグクラブは州政府から運営資金援助を受けています)がやはり新型コロナウィルスへの対応で予定外の出費を強いられた皺寄せで資金が削減されるなど、例年にも増して給料未払い問題がほじられる回数が多かった気がします。例えば今季Mリーグ1部に昇格したばかりのPDRM FCは、給料未払い問題を理由にリーグ開幕前に勝点3剥奪の処分を受け、勝点-3からのリーグスタートとなったことを皮切りに、同じ1部のマラッカ・ユナイテッドFC、さらに2部のケランタンFAも勝点3剥奪処分を受けました。(なおPDRM FCは結局、勝点-1でシーズンを終えています。)
 この他、開幕前に大型補強を行いJDTの連覇を阻む最有力候補の一つと見られていたクダFAがリーグ中断前の4試合を1勝1分2敗と予想に反する苦戦ぶりを見せましたが、のちに選手や監督、コーチには3月途中から給料が未払いとなっていることが明らかとなりました。給料未払い問題解決の目処がついたリーグ再開後は6勝0分1敗の成績を収めただけに残念でした。
 さらにリーグ中断期間中の8月には給料未払いを理由に1部パハンFAに所属するモハマドゥ・スマレがチームを離脱し、タイ1部のポリス・テロFCへ加入、一方のパハンFAは契約違反でスマレ選手を非難する事態になっています。

フェルダ・ユナイテッドFCがMリーグ撤退
 短縮された今季日程も最終節第11節を残すばかりとなった10月初旬に発表されたのがフェルダ・ユナイテッドFCが今季をもってMリーグから撤退するというニュースでした。
 政府系機関の連邦土地開発公社フェルダが運営するフェルダ・ユナイテッドFCは2007年創設と新しいクラブではあるものの、2部での優勝2回、1部でも2016年は2位、翌2017年も3位の成績で、2017年にはAFCカップに出場経験もあります。
 今季は降格圏との境界を行き来する成績だったフェルダ・ユナイテッドFCは、これまでのクラブ運営会社から本社に経営権が移った直後の撤退発表により、最終節に勝利すれば1部残留の可能性が残されていた中、スランゴールFCに6−1と大敗し、2部降格となりました。
 その後、旧運営会社の関係者が新たなスポンサーを獲得しクラブの存続を目指したものの、MFLはそのスポンサーの経営基盤が脆弱だとして旧経営会社関係者によるMリーグ参加存続の申請を却下し、Mリーグ撤退が決まりました。
 この他、同様に主要スポンサーだったマレーシア国立大学UKMがスポンサー撤退を表明した2部のUKM FCもMリーグ撤退が決まっています。

7月10日のニュース:ACLの日程発表-JDTの初戦は10月17日の広州恒大淘宝戦、ケランタン州協会は来季のクラブのMリーグ残留に楽観的、今度は元スランゴールFCのGKが優勝メダルをオークションに

ACLの日程発表-JDTの初戦は10月17日の広州恒大淘宝戦
 アジアサッカー連盟AFCの公式サイトでは、10月から再開予定のAFCチャンピオンズリーグACLAFCカップの新たな日程が発表になっています。
 ACLのグループGに入るMリーグ1部ジョホール・ダルル・タジムJDTの再開初戦は10月17日の広州恒大淘宝戦となっています。またその6日後の10月23日には水原三星戦、さらに10月29日にはヴィッセル神戸戦、そしてグループスタージ最終戦となる広州恒大淘宝戦は11月1日に予定されています。
 なお試合会場については、これまでのホームアンドアウェイ開催から一か所集中開催となることが発表になっていますが、具体的な場所はまだ発表されていません。
 またグループステージ終了後のノックアウトステージも、今季は12月5日に予定されている決勝戦までの全ての対戦がホームアンドアウェイ形式から一発勝負の形式となることも併せて発表されています。
 今季のACLでJDTは初戦のヴィッセル神戸戦(アウェイ)に1−5と大敗したものの、次戦の水原三星戦(ホーム)では2-1と快勝しましたが、その後、ACLは新型コロナウィルスの影響で中断されていました。
 この他、AFC主催の各大会の日程も以下の通り発表になっています。
AFC U19選手権:10月14日から31日までウズベキスタンで開催。
AFC U16選手権:11月25日から12月12日までバーレーンで開催。
AFC フットサル選手権:11月4日から15日までトルクメニスタンで開催。
AFC フットサルクラブ選手権:12月2日から13日までアラブ首長国連邦で開催。

ケランタン州協会は来季のクラブのMリーグ残留に楽観的
 Mリーグ2部ケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAは、複数の給料未払い問題を抱えるものの、来季もMリーグに残留できると楽観的な予測を持っていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 マレーシアサッカー協会FAMは、KAFAは要求に応じる形で未払い給料問題解決の期限を6月30日から8月31日まで延長していますが、KAFAのフシン・デラマン事務局長はこの2ヶ月間の間に未払い給料の支払いを分割で行うとしています。
 その一方で、KAFAのスポンサー委員会のアーマド・ムザッキル・ハミド委員長は青年スポーツ省のリーザル・メリカン・ナイナ・メリカン大臣を表敬訪問し、未払い給料問題解決のため青年スポーツ省によるKAFAへの支援を依頼したとされています。
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 同じ記事の中では、ケランタンFAの練習再開が8月1日となることも明らかにされており、その理由として監督がリーグ開幕までの練習期間は1ヶ月で十分だとしたことが理由にされています。
 Mリーグの各クラブが次々と練習を再開する中、7月も自宅練習を選手に求める姿勢を見ると、ケランタンFAは練習再開に必要とされる標準作業手順SOPに必要とされる余分な費用など負担を避けることが目的ではないかと勘ぐってしまいます。

今度は元スランゴールFCのGKが優勝メダルをオークションに
 MリーグのペラFAや代表で活躍したカリド・ジャムルスが、経済的な困窮を理由に自身が獲得したMリーグ得点王のトロフィーであるゴールデンブーツやユニフォームなどをオークションに出した話は先日取り上げましたが、今度はかつてのスランゴールFA、現在のスランゴールFCでプレーしたGKが優勝メダルをやはりオークションにかけています。
 2005年にスランゴールFAでプレーしたジャムサリ・サビアンは、この年獲得したMリーグ2部プレミアリーグの優勝メダル、FAカップの優勝メダル、そしてマレーシアカップの優勝メダルの写真を自身のFacebookに挙げ、購入希望者を募っています。
 2003年に当時の1部リーグだったプレミアリーグ1(現在のスーパーリーグ)で13チーム中12位となり、2部リーグプレミアリーグへ降格となったスランゴールFAは、2005年には2部で優勝しただけなく、2部のクラブとしては初となる国内の二つのカップ戦を制覇していますが、ジャムサリ・サビアン選手はその3つの優勝記念メダルを手放すとしています。
 Facebook上では特に理由は述べられていませんが、これだけのものを手放すというのにはそれなりの理由があるのでしょう。
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 この2005年のスランゴールFAは現在はパハンFAの監督を務めるドラー・サレー監督と、やはり現在はクアラルンプールFAでプレーするシュコル・アダン主将が率い、マレーシアカップ決勝では9万3569人の観衆を記録したブキジャリル国立競技場でプルリスFAを3-0で破り、FAカップ決勝はペラFA(現ペラTBG)をやはりブキジャリル国立競技場で4-2で破っています。いずれの決勝戦もインドネシア代表で活躍し、インドネシアサッカー界のレジェンドであるバンバン・パムンカスが2得点を決めて勝利に貢献しています。
(写真はいずれもジャムサリ・サビアン選手のFacebookより。写真左は2部プレミアリーグ(Liga Premier)、FAカップ(Piala FA)、マレーシアカップ(Piala Malaysia)のメダル。写真右はGKユニのジャムサリ・サビアン選手とスランゴールFAのメンバー)

4月7日のニュース:クチンFAは削減した給料を新型コロナウィルス基金に寄付、FIFAは6月に予定されていた全試合の中止決定 、活動制限令違反でサッカー選手を逮捕、MFLは活動制限令延長の場合の対応を準備

クチンFAは削減した給料を新型コロナウィルス基金に寄付
 東マレーシアのマレー語紙ウトゥサンボルネオ電子版によると、マレーシアフットボールリーグMFL2部プレミアリーグのクチンFAは、選手が4月分の給料を5パーセント削減することに同意したことに加えて、その削減分を新型コロナウィルスのための基金に寄付すると発表しています。
 クチン地区サッカー協会KDFAのファズルディン・アブドル・ラーマン会長は、選手とスタッフの給料削減分は活動制限令によって影響を受けている家庭を支援するための基金へ寄付されることになっており、クラブとして全ての選手とスタッフの協力に感謝していると話しています。 
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 クラブの経費節約のために給料削減に応じるのではなく、新型コロナウィルス感染拡大による影響で苦しむ人を助ける目的で給料削減を行うのは、単なる給料削減とは全く意味が違います。FAMやMFLも単にクラブと選手の間での給料削減交渉を促すのではなく、クラブを助けるのではなく、より苦しんでいる人を助けることを目的とすべき、といったその使い道にまで言及することで、社会の中でのプロサッカーの存在意義が高められると思うのですが、そういうことは考えないのでしょうか。 

FIFAは6月に予定されていた全試合の中止決定
 フランスの通信社AFPは、国際サッカー連盟FIFAが6月に予定されていた全ての試合の中止を決定したと伝えています。
 新型コロナウィルスの影響に関する専門調査委員会の初会合の席上で決定したということです。ビデオ会議で行われたこの委員会は、現在延期となっているFIFAワールドカップ2022年大会予選の新たな日程を決めることも求めています。
 この他、東京オリンピックの1年延期を受けて、サッカー競技の選手出場資格を「1997年1月1日以前に生まれた者とする」とした現行の資格を維持することもこの委員会で提案されています。

活動制限令違反でサッカー選手を逮捕
 現在、マレーシア全土に発令中の活動制限令MCO下では、不要不急の外出を避けるように求められていますが、屋外で練習していたプロサッカー選手が逮捕され、有罪判決を受けたとマレー語紙シナルハリアンが報じています。
 自宅のあるクアラルンプール市内のコンドミニアム敷地内で練習をしていたアーマド・ルトゥフィ・アジズル・ラーマンは、自宅に戻ることを命じた警察官の2度に渡るに従わず、さらに反抗的な行動をしたとしてMCO違反および公務執行妨害で逮捕され、アンパン下級裁判所で罰金800リンギ(およそ2万円)あるいは禁固1ヶ月の判決を受けたとしています。22歳のルトゥフィ選手は罪を認めています。
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 なお記事の中では、このルトゥフィ選手が所属するクラブ名が書かれていませんが、マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグと2部プレミアリーグの登録選手リストには名前がありませんので、MFL3部のM3リーグ以下のリーグでプレーする選手ということなのかもしれません。

MFLは活動制限令延長の場合の対応を準備
 マレーシアフットボールリーグMFLは公式サイトで、4月14日に解除予定の活動制限令MCOが延長された場合、国内リーグを再開するにあたっての選択肢を複数用意していることを発表しています。
 MFLのアブ・ガニ・ハサンCEOは、国内リーグやカップ戦再開そのものが、MCOがいつ解除になるか、また解除後のマレーシア政府の保健省のアドバイスの内容次第としたています。(筆者注:なお、ここで言われている国内リーグやカップ戦とはMFL1部から3部、FAカップ、マレーシアカップ、チャレンジカップを指します。)
 またアブ・ガニ・ハサンCEOは、JDT、クチンFA、UKM FCに倣って、他のクラブも契約内容の見直しを行うように提言している他、マレーシア最大のマルチメディア企業テレコムマレーシア、、マレーシア第2の金融グループCIMB、オンライン通販大手のショッピーShopeeの各社は契約通りの支援を続けることも発表しています。
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 このブログで何度も取り上げたように、所属選手は給料削減を了承していないと公言しているUKM FCを例にして、活動制限令MCOが延長になった場合に限って職員の給料削減を行うとするMFLのCEOが、MCOの延長が決定されてない現段階でクラブと選手に契約内容の見直しを提言する姿勢はどれだけ選手たちの指示を得られるのかが、甚だ疑問です。JDTやクチンFAに倣うのは、クラブではなくむしろFAMやMFLでは無いのかと思ったりもしてしまいます。

3月11日のニュース:協会が人種差別発言者の入場禁止を明言、協会がプロ審判導入に向けて候補者を選出、マレーシアカップ2回戦のカード決定

協会が人種差別発言者の入場禁止を明言
 スポーツ専門サイトのアストロアリーナによると、マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、人種差別発言者の試合会場への入場を禁止することを明言しています。またその一方で監督や選手に対して、人種差別発言があった場合にはFAMに公式に提訴することも求めています。
 先日でもこのブログで取り上げた、スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督が言及した人種差別発言については正式な提訴を受けていないとラマリンガム事務局長は話しています。
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 これだけメディアで報道されながら、FAM自らが聞き取り調査を行うでもなく、被害者が名乗り出るまで待つという姿勢は正直、疑問です。FAMの対応自体もサティアナタン監督が試合後の記者会見で問題提起したのが3月7日の試合直後、これに対して以下のような記事をFacebookにアップしたのが3月10日。

 その一方で、マレーシア国内で政権が変わり、国内スポーツを統括する青年スポーツ省に新たな大臣が就任を祝う記事をFacebookにアップしたのが3月9日。

 こういったことを見るとFAMには残念ながら当事者意識がなく、多くのメディアが取り上げた結果、慌てて反応したという印象が否めません。
 しかも国内リーグを主催するマレーシアフットボールリーグに至っては、人種差別発言に関する公式コメントすら発表していません。
 人種問題はこの国では非常に微妙な問題ですが、協会やリーグ主催者が選手を守らなければ、他の誰が守ると思っているのでしょうか。

協会がプロ審判導入に向けて候補者を選出
 マレーシアサッカー協会FAMは、プロ審判導入に向けて新たなプログラムを導入するとともに、このプログラムの候補者を選出したことを公式サイトで発表しています。マレーシアプロ審判システム(MProRS)と呼ばれるこのプログラムに参加するのは、候補者の中から選ばれた6名の審判です。
 FAMのハミディン・アミン会長は、このプログラムは審判技術の改善を助けるテクノロジーを利用しながら、各審判をプロとして安定した判断を下すことができるようにしていくものだとし、2022年までに8名のプロ審判を養成する予定がある子も明かしています。
 またFAMの審判委員会のモハマド・ダリ・ワヒド委員長は、今回選抜された6名の候補は、3月から6月までの期間中に開催されるMFLの試合で審判内容を評価された後、7月には2名が選ばれてFAMがプロ契約を交わす予定であると話しています。さらに2021年以降も同様の選抜を行い2022年末には6名のプロ審判を養成し、契約したいとしています。
 今回候補に残った6名の審判は以下の通りです。
・ムハマド・ナズミ・ナサルディン
・トゥアン・モハマド・ヤシン・トゥアン・モハマド・ハナフィア
・ズルカルナイン・ザカリア
・ムハマド・ファイズディン・イスマイル
・ロズラン・ジョフリ・アリ
・ムハマド・イズル・フィクリ・カマルザマン

マレーシアカップ2回戦のカード決定
 国内最大のカップ戦であるショッピーマレーシアカップの2回戦のカードがマレーシアフットボールリーグの公式サイトで発表になっています。
 インドネシアリーグ1のスポンサーにもなっているオンラインショッピンサイトのショッピーが冠スポンサーとなっているこのカップ戦は、優勝クラブに来季のAFCカップ出場権が与えられます。
 この2回戦からはMFL1部12クラブとと2部8クラブが登場し、1回戦を勝ち上がってきた3部M3リーグや4部M4リーグと3月17日(火)と18日(水)に対戦します。
 詳しい対戦カードはこちらからどうぞ。

2月25日のニュース:クダFAはJDTにチケット割り当て数増を求める、FAカップ2回戦のカードが決定、タイ1部リーグ第2節-代表コンビはともに出場

クダFAはJDTにチケット割り当て数増を求める
 今季のマレーシアフットボールリーグMFLは、今週金曜日2月28日のスンバンシーカップで開幕します。このスンバンシーカップは、英国プレミアリーグのチャリティーシールド(現コミュニティーシールド)を模した試合で、前年のMFL1部スーパーリーグ優勝クラブとマレーシアカップの優勝クラブが対戦する大会です。なお、昨季はスーパーリーグ、マレーシアカップとジョホール・ダルル・タジムJDTが優勝していることから、JDTはマレーシアFAカップ優勝クラブのクダFAと、開場したばかりのJDTの新本拠地スルタン・イブラヒムスタジアムで対戦しますが、このスンバンシーカップのチケットをめぐって、ちょっとした騒動が起こっていると英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が伝えています。
 このスンバンシーカップは、MFL1部スーパーリーグの公式戦として、JDTのホームゲームとして開催されますが、アウェイチームのクダFAに割り当てられたチケットが500枚となっていることが騒動の発端です。MFLの規定では、収容人数が2万人未満のスタジアムでは300枚、2万人以上4万人未満のスタジアムでは500枚、4万人以上のスタジアムでは1000枚のチケットをアウェイチームに割り当てることになっており、JDTはスルタン・イブラヒムスタジアムの収容人数が3万5000人であることから、MFLの規定に従って500枚のチケットをクダFAに割り当てましたが、クダFAはMFLを通じて1000枚のチケットを求めています。記事では、JDTは規定通りの対応をしており、MFLもJDTが割り当て増に応じない限り、何もできないとしています。
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 この問題はこのスンバンシーカップが本家のコミュニティーシールとは異なり、リーグ戦の一部となっていること、そして試合が中立地で行われていないことに端を発しています。特にJDTがリーグ6連覇中と言うことで、スンバンシーカップは今回も含め6回連続でJDTのホームでの開催になっています。
 しかしこれをコミュニティーシールドや隣国タイのチャンピオンズカップのように、リーグ開幕前に行い、会場も例えばブキジャリル国立競技場のような中立地とすれば、何の問題も発生しないどころか、MFLの主催試合として収入も得られると思うのですが、そんな発想はMFLにはないのでしょうか。

FAカップ2回戦のカードが決定
 先週末に行われたFAカップ1回戦の結果を受けて、昨日2月24日にFAカップ2回戦の組み合わせ抽選が行われました。なお、このFAカップは3年連続でシンガポールのEコマース(ネットショッピング)サイトShopee「ショッピー」が冠スポンサーとなり、Shopee FAカップと名称が変更になっています。
 以下は3月17日から18日かけて行われるFAカップ2回戦のカードです。注目のカードの下に小ネタを添えてみました。
*(カッコ)内は所属リーグ:(1)はMFL1部スーパーリーグ、(2)はMFL2部プレミアリーグ、(3)はMFL3部M3リーグ、(4)はMFL4部M4リーグ

PJシティFC(1)対イミグレーション(入国管理局)FC(3)
 内紛騒動で揺れるPJシティFCと、給料未払い問題未解決のためM3出場停止になったジョホールFAに代わって急遽参加したイミグレーションFCの対戦。チーム内にゴタゴタがあるとは言え、M3相手では順当にPJシティFCが勝利するでしょう。
サバFA(1)対クアラルンプールFA(2)
 昨季MFL2部優勝クラブと昨季MFL1部最下位クラブの対戦です。来季の1部昇格を目指すクアラルンプールFAにとっては、負けられない相手でしょう。
クダFA(1)対パハンFA(1)
 2回戦でMFL1部同士が対戦するのは少々残念ですが、今季大型補強を行った昨季4位のクダFAが昨季2位のパハンFAと対戦する2回戦屈指の好カードです。
フェルダ・ユナイテッド(1)対ケランタン・ユナイテッド(2)
 昨季MFL3部で圧勝して2部に昇格したケランタン・ユナイテッドと、すんでのところでMFL1部残留を果たしたフェルダ・ユナイテッドの対戦です。フェルダUには、恵龍太郎選手が在籍しています。
ペナンFA(2)対ヌグリスンビランFA(2)
 今季のMFL2部のクラブの中で最も1部昇格に近いクラブ同士の対戦です。ヌグリスンビランFAには中武駿介選手が在籍しています。
スランゴールFC(1)対サラワク・ユナイテッド(2)
 スランゴールFCのサティアナタン監督と反りが合わず退団したアムリ・ヤハヤが加入したのがサラワク・ユナイテッド。「自分が加入するクラブをスランゴールFCは倒せない」という捨て台詞が正しかったのかどうかが見ものです。
UITM FC(1)対クチンFA(2)
 今月上旬のプレシーズンマッチで対戦し、UITM FCが3-2と勝っているカード。ただし、プレシーズンマッチということで、その結果はあてにはならないでしょう。クチンFAには鈴木雄太選手とタニガワユウキ選手が在籍しています。
KLローバーズ(3)対ジョホール・ダルル・タジムJDT(1)
 昨季MFL2部でプレーした外国籍選手2名を補強し、M3では別格のKLローバーズは国内最強のJDTとの対戦です。MFL2部のクラブなら意外に勝てるかとも思いましたが、今回は相手が悪すぎます。
ケランタンFA(2)対プロタップFC(3)
 外国籍選手がなかなか決まらなかったクランタンFAには、昨季フェルダ・ユナイテッドでプレーした渡邉将基選手が加入し、MFL2部でプレーする選手は6名になりました。
マラッカ・ユナイテッド(1)対ランカウィシティFC(3)
クアタグFC(4)対KSRサイエンスFC(3)
SS FC(4)対UKM FC(2)
ノーザンライオンズFCマーサ対PDRM FC
マークレスST(4)対AF(国軍) FC(3)
ペラTBG(1)対KTローバーズ(3)
サラワク・ユナイテッドII(3)対トレンガヌFC(1)
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 なおShopeeがスポンサーとなったことで、FAカップやMFLの試合もShopeeのサイトからオンラインで購入できます。詳しくはこちらをどうぞ。チケット1枚購入につき1枚無料(!)のキャンペーンもやっています。

ちなみにFAカップのスポンサーとなったShopeeは、インドネシア1部リーグのスポンサーにもなっていますが、あのクリロナにひどいダンスを踊らせたことでも有名です。

タイ1部リーグ第2節-代表コンビはともに出場
 隣国タイリーグ1部の第2節が行われ、ノーシャルル・イドラン・タラハが所属するBGパトゥム・ユナイテッドはアウェイでプラチュワップFCと対戦し0-0の引き分けでした。なおノーシャルル選手は第1節に続いて先発出場し、75分に交代しています。
 またドミニク・タンが所属するポリス・テロFCはアウェイでトラートFCと対戦し3−1と勝利し、開幕2連勝を飾っています。タン選手は73分に途中出場し、試合終了までプレーしました。
 なお明日2月26日に行われる第3節では、2人の所属するクラブが直接対決する「マレーシア選手ダービー」がBGパトゥム・ユナイテッドのホーム、レオスタジアムで開催されます。
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 マレーシア人選手の動向はタイリーグの公式サイトで調べるのですが、タイリーグのサイトは一部が英語になっているので、記事は読めなくとも記録を調べるにはとても便利です。MFLもこれくらいのサイトを作ってくれると、より多くの情報を世界に発信できるのでありがたいのですが…。

2月23日のニュース:M3のグループ分けが決定-移動距離を考慮した編成に、M3クラブは寄付によりFAカップの試合実施が可能に、プレジデントカップとユースカップのグループ分けも発表

M3のグループ分けが決定-移動距離を考慮した編成に
 マレーシアフットボールリーグMFL3部のM3リーグを統括するアマチュアフットボールリーグAFLは、今季M3リーグに参加する20クラブのグループ分けを発表しています。
 3月7日に開幕するM3リーグは、2021年のセミプロ化に向けて、昨季の14クラブから6クラブ増えた20クラブで行われますが、この20クラブが移動距離などを考慮してグループAとBに分けられました。セミプロ化される来季M3リーグはMFL1部や2部同様12クラブで構成されるため、今季のM3リーグはその12/20を決めるシーズンとなります。
 グループAにはマレー半島の北部のクラブと、クランヴァリーと呼ばれるクアラルンプールとスランゴール州のクラブが入り、グループBにはマレー半島南部、東海岸、そしてボルネオ島のクラブが入っています。
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 スポンサー獲得が難しいとされるM3クラブが抱える問題については、以前も取り上げましたが、運営費用の中で大きな割合を占めるものとして選手、スタッフと給料など人件費の他に、遠征費用があります。マレー半島とボルネオ島とでは、当然バス移動はできず、飛行機で2時間ほどかかる場所もあるため、運営が苦しいM3クラブにとっては大きな負担であることから、このようなグループ分けになったのでしょう。
 なお、この遠征費用については、この次の記事を読んでいただくと、どのくらい切実な問題かが理解できると思います。

M3クラブは寄付によりFAカップの試合実施が可能に
 今週末の2月22日と23日には、上記のM3とMFL4部のM4のクラブが出場するマレーシアFAカップの1回戦が行われています。
 マレー半島東海岸にあるトレンガヌ州クママンを拠点とするM3リーグ所属のリアル・チュカイFCは、ボルネオ島のサラワク州クチンでやはりM3リーグのサラワク・ユナイテッドIIと本日2月23日に対戦予定ですが、その試合を前にFacebook上で遠征費用の寄付を募るということが行われました。
 2月20日にクラブの公式Facebook上で、遠征費用の内、1万9500リンギ(およそ52万円)が不足しており、この金額が集まらない場合には試合出場を取り止めなければならないことを告知し、広く寄付を募集しました。その後は複数のメディアでもこの窮状が取り上げられたおかげか、その日のうちに個人だけでなく企業スポンサーが名乗り出るなどして寄付が集まったようです。
 Facebook上でも寄付を感謝する記事が上がっており、無事、本日の試合ができるようになったようです。
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 最初の記事と合わせて読むと、下位リーグの苦しい状況がわかります。こういった状況はマレーシアだけではないのだと思いますが、そういった環境でプレーを続けていく選手のみなさんには敬意を払いたいと思います。
(左は寄付を募るポスト。下の方に銀行名と口座番号が書かれています。右は十分な寄附が集まり、マレーシア語、中国語(北京語)、タミル語、英語で感謝を表すポスト。

プレジデントカップとユースカップのグループ分けも発表
 下位リーグとは別に、MFL各クラブのU21の選手が出場するプレジデントカップとU19の選手が出場するユースカップのグループ分けがFAMの公式Facebookで発表になっています。
 プレジデントカップでは、北部ゾーンとなるグループAにMFLの10クラブのU21チームと国家サッカー選手養成プログラムNFDPのエリートアカデミーであるモクタル・ダハリアカデミーのU17が、グループBにはMFLの12クラブのU21チームが入り、ホームアンドアウェイ形式のリーグ戦を行います。その後、各グループの上位4チームがノックアウトステージに進み、7月末の決勝戦まで熱い戦いを繰り広げます。(以下はFAMのFacebookより。クラブのロゴの横に書かれているのは監督の名前です。)

一方のユースカップは、北部ゾーンとなるグループAにMFLの9クラブのU19チームとAMDのU16が、グループBにはMFLの11クラブのU19チームが入り、やはりホームアンドアウェイ形式のリーグ戦を行います。その後、各グループの上位4チームがノックアウトステージに進み、こちらは6月半ばの決勝戦まで熱い戦いを繰り広げます。(以下はFAMのFacebookより。クラブのロゴの横に書かれているのは監督の名前です。)

2月18日のニュース:TFCにも給料未払いによる勝点剥奪処分か、ディヴィーズはやはりJDTへ、FAカップ1回戦の組み合わせ決定

TFCにも給料未払いによる勝点剥奪処分か
 先月1月31日までに未払い給料問題の解決、あるいは支払い方法を選手やスタッフと同意することをMFLが求め、それを遂行できなかったPDRM FCは今季開幕前にもかかわらず既に勝点3を剥奪(はくだつ)されていますが、トレンガヌFC(TFC)でも同様の問題が発生しているとマレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 記事によるとトレンガヌFCを運営するトレンガヌ州サッカー協会PBSNTは、選手やスタッフと同意していた今月2月10日に支払い予定の未払い給料を支払われず、それについての連絡が何もないということです。なおこの未払い給料は2018年シーズンと昨季2019年分の一部で、アーマド・シャミン・ヤハヤ(マラッカ・ユナイテッドへ移籍)、アディブ・アイズディン・アブドル・ラティフ、カイルル・アズリン・カザリ(ペナンFAへ移籍)や前監督のイルファン・バクティ・アブ・サリム氏らが未払いとなっている他、外国籍選手の中にはこの事態を国際サッカー連盟FIFAへ報告した者もいるということで、トレンガヌFCはこの公約違反により、PDRM FC同様、開幕前に勝点3を剥奪される可能性が出てきました。
 この件に関して、ブリタハリアンがPBSNTに問い合わせを行ったようですが、返事がもらえていないということも併せて報道されています。
 またスポーツ専門サイトのスタジアムアストロでは、給料の支払いを受けていない選手の中で現在もトレンガヌFCに在籍している選手はこの問題をあえて口にしていないということです。
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 MFLの根深い問題である給料未払い問題が、開幕まで2週間を切ったこの時期にまた頭をもたげてきました。今季のMFLでジョホール・ダルル・タジムJDT優位を脅かす可能性があるクラブの一つとして挙げられていたトレンガヌFCですが、いきなり勝点3の剥奪となれば、優勝争いどころか上位進出すら怪しくなります。

ディヴィーズはやはりJDTへ
 JDTのFacebookでは、パハンFAを電撃退団したDFマシュー・デイヴィーズと3年契約を結んだことが発表されています。
 2015年、20歳のときにオーストラリアのパース・グローリーU23からパハンFAに加入したデイヴィーズ選手は、オーストラリアで生まれ育つもマレーシアのサバ州出身の母親を持つことからマレーシア代表としてプレーする資格があり、マレーシアU23代表、フル代表とキャリアアップし、昨季は代表戦12試合に出場しています。
 昨季は主将を務めたパハンFAとの契約はあと1年残っていたことから、JDTへの移籍は来季ではないかとされていましたが、JDTがヴィッセル神戸に1ー5と大敗したことから、守備陣強化の要として急遽、JDTが獲得に動いたとされています。なお一部では移籍金が1600万リンギ(およそ4億2400万円)という報道もありますが、デイヴィーズ選手自身はこれを否定しており、実際には100万から200万リンギとされています。
(写真は入団記者会見でベンヤミン・モラ監督(左)、チームマネージャーのルシアーノ・フィゲロア氏と写真に収まるデイヴィーズ選手-JDTのFacebookより)

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 デイヴィーズ選手の加入で代表の4バックのうち3名がJDTの選手となりましたが、これより気になるのは、JDTのオーナーでTMJことジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下が昨年のクリスマスにツイートした以下の内容です。

@jjmi_kei_と@rodriguez9roは、それぞれ今季からJDTのBチームJDT IIでプレーする新加入のMF廣瀬慧(前インドネシアリーグ1部プルセラ・ラモンガン)と昨季のMFL1部の得点王FWフェルナンド・ロドリゲス(前クダFA)のこと。また@matttdaviesは今回加入のデイヴィーズ選手のことなので、残るのはデイヴィーズ選手と同僚だったパハンFAの帰化選手モハマドゥ・スマレ(@sumareh_inr26)とスランゴールFCから今季はペナンFAに移籍したエンドリック(@endricksantos14)となるのですが、果たして残る二人もJDT入りとなるのでしょうか。

FAカップ1回戦の組み合わせ決定
 先週末にMFL3部と4部にあたるM3リーグとM4リーグのクラブが出場した予選ラウンドが終了し、FAカップはいよいよ1回戦が始まりますが、この1回戦の組み合わせ抽選が昨日2月17日に行われ、2月22日と23日に行われる1回戦24試合のカードが決まっています。(以下はMFLのFacebookより)

1回戦注目のカードは、予選ラウンドを6-1と大勝したサラワク・ユナイテッドII(M3)対M3のムラワティFCを破ったリアル・チュカイFC(M4)、かつてはMFL1部スーパーリーグに所属していたこともあるマレーシア国軍のクラブAFFC(M3)対SAユナイテッドFC(M4)、デービー・クロード・アンガン(MFL1部マラッカ・ユナイテッドより加入)、セルヒオ・アグエロ(MFL2部ペナンFAから加入)とMFLでプレー経験のある外国籍選手を揃えたクアラルンプール・ローバーズ(M3)対M3のマンジュンシティFCを破ったサザンFC(M4)などがあります。
 その中でも最も注目されるのは、M3同士の戦いとなるハリニKSFC対ノーザンライオンズFCマーサです。昨季は同じM3のプロタップFCの監督を務め、今季はハリニKSFCの指揮を取るドゥサン・モムチロヴィッチ監督がMFアジダン・サルディン、代表経験もあるFWアブドゥル・マナフ・ママト、MFファクルラジ・ムサなど経験豊富な選手を揃える一方で、アザムリ・アリ監督率いるノーザンライオンズFCマーサには、国際サッカー連盟FIFAの2016年プシュカス賞を受賞したFWファイズ・サブリがおり、2回戦へ向けて白熱した試合が期待されています。

2月16日のニュース:パハンFAの外国籍選手5名が確定も主力の流出は続く、FAカップ予選ラウンド結果

パハンFAの外国籍選手5名が確定も主力の流出は続く
 マレーシアフットボールリーグMFL1部に所属するパハンFAの今季の外国籍選手5名が確定したことを英字紙スター電子版が報じています。
 昨季はMFL2位ながら他のMFLクラブに比べやや出遅れ感がありましたが、2月28日に迫ったMFL開幕を前にようやく布陣が整ったようです。
 昨季もパハンFAでプレーしたDFエラルド・グロン(フランス)は契約を2021年まで延長して残留、そして今季新加入のFWイヴァン・カルロス・フランサ・コエーリョ(ブラジル)とMFアダム・マイケル・リード(フィリピン)がこれまで確定していた外国籍選手でしたが、さらに昨季のアジアサッカー連盟AFCカップで4.25体育団(北朝鮮)を破って優勝したアル・アヘドFC(レバノン)から期限付き移籍で加入するレバノン代表DFカリル・カミス(レバノン)と、今年1月から水面下で残留交渉が行われていたというFWディクソン・ヌワカエメ(ナイジェリア)の二人が加わりました。
 25歳のカリル選手は190cmと長身のDFですが、レバノンリーグではその体躯だけでなくボール使いの上手い選手として知られているそうです。また33歳のヌワカエメ選手は、パハンFAに4年ぶりに復帰した昨季は鼠蹊(そけい)部のケガなどで18試合で10ゴールという成績に終わりましたが、パハンFAに前回所属した2014年と2015年の2シーズンは69試合で100ゴールという実績があります。
 新戦力獲得のニュースの一方で、マレーシア代表でもプレーするDFマシュー・デイヴィーズの退団が本人のツイッターで告知されています。今月初めからJDT移籍の噂は出ていましたが、これを執筆している時点では移籍先は不明です。なおパハンFAは、MFL2位となった昨季のメンバーから代表でもプレーするFWノーシャルル・イドラン・タラハ(タイ1部リーグBGパトゥム・ユナイテッドへ移籍)、インドネシア代表のMFサディル・ラマダニ(インドネシア1部リーグのバヤンカラFCへ移籍)、シンガポール代表MFサフアン・バハルディン(スランゴールFCへ移籍)ら主力選手を既に失っています。

FAカップ予選ラウンド結果
 マレーシア最大のカップ戦であるFAカップの予選ラウンドが2月15日と16日に行われ、以下のような結果になっています。この予選ラウンドは今季MFL3部と4部にそれぞれあたるM3リーグとM4リーグのクラブが出場します。
*(3)はMFL3部、(4)はMFL4部所属のクラブです。
<2月15日の結果>
サラワク・ユナイテッドII(元サラワクFA)(3)6-1レッドスペイド・ユナイテッドFC(4)
小ネタ:サラワクFA時代の1992年にはFAカップ優勝経験があるサラワク・ユナイテッドIIは、ウガンダ人のサム・ティムべ監督が就任したばかりですが、この試合ではアズリザン・アーマドが4ゴールを決めています。
マラッカ・ユナイテッドFC(3)2-1イクラム・ヤングFC(3)
KTローバーズ(元BTK FC)(3)3-0アルティメイトFC(3)

小ネタ:アルティメイトFCは元代表のアズマン・アドナンがプレーイングマネジャーです。
リアル・チュカイFC(4)1-0ムラワティFC(元DDM FC)(3)
ランカウィ・シティFC(元ランカウィ・グローリー・ユナイテッドFC)(3)1-0パンダン・ユナイテッドFC(4)
プロタップFC(3)4-1KBイスマ・シャーアラム(4)
SAユナイテッドFC(4)2-2(PK10-9)アンダーソニアンFC(4)
マークレスST(4)2-1スピリトFC(4)

<2月16日の結果>
KLローバーズ3-0クラシコFC
ノーザンライオンズFCマーサ(3)2-0クルテーFC(4)
AFFC (前ATM FC)(3)3-1デリマ・ウォリアーズFC(4)

小ネタ:AFFCはマレーシア国軍のクラブチームで、イギリス人のケヴィン・クーパー監督が2019年から指揮を取る、外国籍選手不在のクラブです。
ハリニFC(元バトゥ・ドゥアFC)(3)5-2クアラプルリスFC(4)
サザンFC(4)1-1(PK3-2)マンジュンシティFC(前プチョンフェルザFC)(3)
ゲームストップFC(4)1-0セマラクFC(3)
SSFC(4)3-0PIB FC(3)

小ネタ:この試合はPIB FCの選手登録が試合までに完了しなかったことから、SSFCの不戦勝、PIB FCの不戦敗、記録上はSSFC 3-0PIB FCとなります。
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予選ラウンドで勝利した15のクラブとこの予選ラウンドはくじ引きにより予選ラウンドが免除となった残りのM3/M4所属の7クラブの合計22クラブが1回戦へ進出しましていす。なお1回戦の組み合わせは後日発表となります。
 昨季はMFL4部にあたるM4リーグのアマチュアクラブ、ジェラントゥトFAが3回戦まで進出する快進撃をみせましたが、今季もジャイアントキリングは起こるのでしょうか。