6月24日のニュース
タイリーグの三冠覇者ブリーラム・ユナイテッドがヌグリスンビランと対戦
マレーシアのFIFAランキングが147位に-140位代は8年ぶり
スランゴールはマラッカ退団のソニー・ノルデを獲得せず
イラクやウェールズと争奪戦のジャアミ・クレシがFAM訪問

今日からAFCカップのグループステージが開幕し、クアラルンプールが開催地となているH組のKLシティFCはボジャン・ホダック監督がかつて指揮を取ったPSMマカッサルと、またインドネシアのバリ島で開催されるG組のクダはバリ・ユナイテッドとそれぞれ対戦します。

タイリーグの三冠覇者ブリーラム・ユナイテッドがヌグリスンビランと対戦

Mリーグ1部スーパーリーグで3位と好調のヌグリスンビランが、2021/22シーズンのタイリーグ1部でリーグ戦と2つのカップでいずれも優勝しているブリーラム・ユナイテッドと対戦することが発表されています。

アセアンチャリティーシールド2022と銘打たれたこの試合は、7月16日にタイ南部のマレーシア国境に近いパタニ県にあるタイ3部リーグ、パタニFCのホームとなっているレインボースタジアムで開催される予定ということです。

タイ王者と昨季2部プレミアリーグで優勝し、今季1部スーパーリーグに昇格したばかりのヌグリスンビランが対戦する理由などは不明です。また秋冬制に以降したタイリーグはこの時期がプレシーズン期間ですが、Mリーグはリーグ戦の最中です。ただし7月のヌグリスンビランの日程を見ると7月3日の第12節サバ戦の次の試合は第13節のトレンガヌ戦は7月27日となっており、移動も含めて7月16日の試合に支障はなさそうです。

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マレーシアの国境に近いパタニ県は1909年の英泰条約(バンコク条約)でタイの領土と確定しましたが、この時、マレーシアに割譲されたクダ、プルリス、クランタン、トレンガヌとは隣り合った地域で、現在でもマレー系住民(=イスラム教徒)が多いことから、マレー文化が浸透しています。そのため「深南部」と呼ばれることの地域は、仏教国タイからの分離独立を目指す一部のイスラム過激派武装総指揮によるテロなどが起こり、それに対して政府が報復する図式から宗教的対立と見る向きもあります。

マレーシアのFIFAランキングが147位に-140位代は8年ぶり

最新となる今年6月のFIFAランキングが発表され、男子は147位、女子は85位となっています。男子は前回3月の発表から7ランク、女子は3ランク上昇しています。男子のランキングが140位代となるのは2014年に141位となって以来、およそ8年ぶりです。ただし、この141位はいわば「瞬間最大風速」で、年間ランキングが140位代となるのは2011年が最後です。

なおマレーシア男子の147位は145位の香港、146位のレソトと148位のクウェート、149位のボツワナに挟まれています。またAFCアジアサッカー連盟内では25位、東南アジアではベトナム(97位)、タイ(111位)、フィリピン(134位)に続く4位となっています。

その他の東南アジア諸国は、インドネシアが155位、ミャンマーが158位、シンガポール159位、カンボジアが174位、ラオスが183位、ブルネイ190位、そして東ティモールが199位となっています。

一方女子はマレーシアの85位に対して、ベトナム32位、タイ43位、ミャンマー48位、フィリピン53位、ラオス83位、インドネシア95位、シンガポール132位となっており、ブルネイと東ティモールの記録はFIFAの公式サイトには掲載されていません。

スランゴールはマラッカ退団のソニー・ノルデを獲得せず

一昨日のこのブログでも取り上げましたが、先週末に行われたMリーグ1部スーパーリーグ第10節を最後にマラッカ・ユナイテッドを退団したソニー・ノルデは、移籍先が決まっていませんが、同じスーパーリーグのスランゴールはノルデ選手獲得の意思がないことを表明していると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。

昨季マラッカ・ユナイテッドの指揮を取ったザイナル・アビディン・ハサン監督が今季もを指揮を取ることを条件に契約を延長したノルデ選手は、契約書にサインした後の今季開幕直前になって、突如ザイナル監督の交代が発表になったことから経営陣への不信感を募らせていたと話し、先月から今月にかけて開いているトランスファーウィンドウ中にマラッカ・ユナイテッドとの契約を解除して退団しています。

このノルデ選手には、昨季終了後にもクダやサラワク・ユナイテッドなど接触したとされており、今回のトランスファーウィンドウでもスランゴール移籍が噂されていました。

スタジアムアストロの取材に対し、スランゴールのミヒャエル・ファイヒテンバイナー監督は、ノルデ選手が良い選手であることは認めるものの、既に所属しているを外国籍選手に満足しており、新たな外国籍選手獲得の必要はないと話し、今回のトランスファーウィンドウでノルデ選手の獲得に否定的な回答をしています。なおスランゴールは6月19日のスーパーリーグ第10節で、サラワク・ユナイテッドを7-0で破ったこともあり、ここでの選手入れ替えは不要という判断に至ったと思われます。

イラクやウェールズと争奪戦のジャアミ・クレシがFAM訪問

このブログでも何度か取り上げている英国1部プレミアリーグのブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFC U18でプレーするFWジャアミ・クレシは、英国生まれながらもマレーシア人の母親を持つことから、将来のマレーシア代表入りが期待されることからこのブログでも何度か取り上げています。そのクレシュ選手がマレーシアサッカー協会FAM本部を訪れて、その際の写真を自身のインスタグラムに投稿したことから、マレーシア国籍取得の期待が俄然、高まっています。

ロンドン生まれのクレシュ選手は、イラクとウェールズの血を引く父親とマレーシア人の母親を持つことから、出生地のイングランドに加え、イラク、ウェールズ、マレーシアの各代表でのプレー資格がありますが、FAMだけでなく、イラクやウェールズのサッカー協会からも代表入りを打診されています。

これまでには自身のソーシャルメディア上でイラクのサッカーファンに代表入りをほのめかしたこともあるクレシュ選手ですが、FAMのサイフディン・アブ・バカル事務局長との会談後にスタジアムアストロの取材に答え、「今回の会談は貴重な機会だったが、今後も英国でプレーするつもりである。マレーシア代表のアジアカップ予選は観戦し、(キム・パンゴン)新監督のもとでチームのレベルが上がった印象がある。」と述べています。またサイフディン事務局長も、クレシュ選手が将来の代表入りに近づいたといった話もしており、近々何かしらの動きがあるかもしれません。

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マレーシア人の父母あるいは祖父母を持つ海外生まれの選手を帰化させる動きは近年、顕著で先日のアジアカップ2023年大会最終予選でも6名が、マレーシア人とは血縁関係がない帰化選手と区別して「レガシー」帰化選手と呼ばれる海外出身の選手でした。

6月21日のニュース
スランゴールに大敗のサラワク監督が辞任
東南アジア競技大会とAFC U23アジアカップで出場のU23代表監督とコーチがFAMに報告書提出
クダがヨルダン代表を獲得

MリーグからはJDTが出場しているAFCチャンピオンズリーグのベスト16から決勝の開催地が日本となった事が発表されています。JDTは8月18日にJリーグの浦和レッズとの対戦が決まっているものの会場は今日現在未定です。とは言え、きっと埼玉スタジアムになるのでしょう。ならばそこに集まった浦和サポーターの前でJDTがジャイキリを見せてくれたら気持ちいいだろうなぁ。

スランゴールに大敗のサラワク監督が辞任

0-7で敗れれば心労も大きいだろうなぁ。

Mリーグ1部スーパーリーグのサラワク・ユナイテッドは、B・サティアナタン監督が健康上の理由で辞任したことを発表しています。後任には、元U16代表監督やA代表のコーチを務めたこともあるB・バラチャンドラン氏が就任することも合わせて発表されています。

クラブの公式発表では、64歳のサティアナタン監督の健康状態は定期的な観察とその後の治療が必要ということです。

サラワク・ユナイテッドは先週末のMリーグ1部スーパーリーグ第10節でスランゴールに0-7と大敗し、リーグ順位も現在は2勝1分7敗、得点8失点24の11位に低迷しています。

6月25日の第11節マラッカ・ユナイテッド戦から指揮を取るバラチャンドラン新監督はメディアの取材に対して「シーズン半ばでチームを引き受けることは容易でなく、ましてや現在のチーム状況では尚更だ。とにかく降格圏から出ることを優先しながら、自分の力がスーパーリーグでも通用することを示したい。」と答えています。

2014年のAFC U16選手権ではU16代表監督としてマレーシアをベスト8に導き、A代表でも昨年のAFF選手権スズキカップまでタン・チェンホー前監督の元で4年間にわたってコーチを務めるなど経験豊富なバラチャンドラン新監督は、現在開いているトランスファーウィンドウでの新戦力獲得については経営陣次第と話し、次節のマラッカ・ユナイテッド戦は現有戦力で臨むとしています。

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開幕当初に監督を務めていたE・エラヴァラサン氏がA代表のコーチに就任したため、テクニカル・ディレクターだったサティアナサン氏ががそれを引き継ぐ形で監督に就任していましたが、昨季途中から給与未払いとなっていたサラワクは元代表監督でも立て直す事ができなかったようです。

なお今季の監督交代は、マラッカ・ユナイテッド、ペナンに続き3クラブ目となっています。

東南アジア競技大会とAFC U23アジアカップ出場のU23代表監督とコーチがFAMに報告書提出

昨日6月20日が期限となっていたU23代表首脳陣からマレーシアサッカー協会FAMへの報告書提出が行われ、FAMはその内容の精査に入るとスタジアム・アストロが報じています。

先月5月にベトナムで開催された東南アジア競技大会通称シーゲームズ2021年大会は準決勝に進出したもののベトナムに敗れ、さらに3位決定戦ではインドネシアに敗れて2017年大会以来のメダル獲得に失敗したU23代表は、今月初旬にウズベキスタンで開催されたAFC U23アジアカップに出場したものの、韓国、ベトナム、タイと同組となったグループステージでは0勝3敗得点1失点9と惨敗に終わっています

なお両大会でU23代表を率いたブラッド・マロニー監督に代わり、A代表のキム・パンゴン監督の元でコーチを務める元バルセロナFCのBチームやU19、U18などでコーチ経験があるパウ・マルティ・ヴィンセンテ氏が後任となるなどの噂も出ています。

またFAMのスコット・オドネル テクニカルディレクターTDは「ウズベキスタンでは我々が望む結果を得られなかったが、その戦犯探しをするのではなく、あらゆる角度から今後の改善についての方法を検討する予定である。」と述べて、U23の監督およびコーチから提出された報告書を自身で精査することも明らかにしています。

また今回の記事の最後でスタジアム・アストロは、昨年2021年12月に2年契約を結んでいるマロニーU23代表監督ですが、双方了解の上での契約解除が可能になる条項も含まれている可能性もあるとしています。

クダはヨルダン代表を獲得

Mリーグ1部スーパーリーグのクダはクラブ公式Facebook上で、5人目の外国籍選手としてヨルダン代表FWマフムード・アル=マルディの獲得を発表しています。

今月6月14日のAFC選手権アジアカップ2023年大会最終予選のクウェート戦でもゴールを挙げている28歳のマフムード選手は、ケガのため前半戦終了後に引退を表明したチャン・ソグォン(韓国)に代わるアジア枠の外国籍選手として登録されます。

クダは現在も開いている今季2度目のトランスファーウィンドウで、アキレス腱を痛めて今季絶望となっているデニス・ブシェニング(タイ)に代わり、元タイ代表MFサンワット・デーミットも獲得、さらに同じスーパーリーグのマラッカ・ユナイテッドからはセンターバックのアクマル・ザーヒルも獲得しており、今週6月24日からインドネシアのバリで開催されるAFCカップのグループステージに向けて補強を進めています。

クダは、インドネシアのバリ島で開催されるAFCカップのグループステージG組で、6月24日にバリ・ユナイテッド(インドネシア)、6月27日にカヤFCイロイロ(フィリピン)、6月30日にビサカFC(カンボジア)と対戦します。

6月15日のニュース
AFCアジア杯最終予選-グループ2位に終わるも本戦出場決定
アセアン女子選手権出場の代表候補合宿参加30名発表
スヴァイ・リエンFCは2連勝でマレーシア遠征を終える

AFCアジア杯最終予選-グループ2位に終わるも本戦出場決定

16年ぶりの本戦出場決定!

AFCアジアカップ2023年大会最終第3次予選E組の最終節が行われ、マレーシアはバングラデシュを相手に4-1と快勝し、E組2位に終わったものの、各組2位の内の上位5チームに入ったため、16年ぶりとなるアジアカップ出場を決めています。なお前回出場の2007年大会は、ベトナム、タイ、インドネシアとの共同開催だったことから開催国枠で出場しており、予選を突破してのアジアカップ出場となると1980年大会以来43年ぶり(!)となります。

マレーシア対バングラデシュ戦の前に行われた試合でバーレーンがトルクメニスタンを1-0で破っており、E組の2位以下が確定したマレーシアですが、この日、B組の2位フィリピンの勝点4が確定したことから、この試合で勝利すれば各組2位の内の上位5チームに入り、アジアカップ出場となることが確定していました。

FIFAランキング188位のバングラデシュに対して、この日も4万5000を超えるホームサポーターに後押しされた同154位のマレーシアは、ここまで2試合不発のダレン・ロック(PJシティ)に代えてシャフィク・アフマド(JDT)を起用、バーレーン戦の守備的な布陣から初戦のトルクメニスタン戦同様の攻撃的布陣へと戻しています。また前試合ではミスから失点したGKファリザル・マーリアスに代えて、今予選初出場となるシャイハン・ハズミが先発し、いつもならファリザル選手が巻くキャプテンマークはシャフィク・アフマドがつけるなど、以下の11名が先発しています。

GKシャイハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)
DFマシュー・デイヴィーズ(JDT)
DFディオン・クールズ(SVズルテ・ワレヘム-ベルギー1部)
DFシャールル・サアド(JDT)
DFラヴェル・コービン=オン(JDT)
MFシャマー・クッティ・アバ(JDT)
MFアザム・アジー(スリ・パハン)
FWアリフ・アイマン(JDT)
FWサファウィ・ラシド(JDT)
FWシャフィク・アフマド(JDT-主将)
FWファイサル・ハリム(トレンガヌ)

勝つことが全てのこの試合は、試合開始からいつも以上に攻撃モードに入ったマレーシアに対し、バングラデシュも守備的な布陣を引かずに真っ向勝負を選択しますが、自力に勝るマレーシアが押し込む場面が多く、16分にはマシュー・デイヴィーズが相手ペナルティエリア内で倒されて得たPKをサファウィ・ラシドが落ち着いて蹴り込んで1-0とマレーシアがリードします。

早く追加点を取って相手の戦意を喪失させたいマレーシアは、その後もチャンスを得るものの得点には至らず、そうする内に31分にはフリーキックから失点し、1-1と試合は振り出しに戻ってしまいます。

しかし、この日のマレーシアは気持ちが切れず、38分にはディオン・クールズの代表初ゴールで逆転すると、47分にはシャフィク・アフマド、そして73分にはボラセパマレーシアJP推しのダレン・ロックが2017年8月以来となるゴールを決め、4-1でバングラデシュに快勝しています。

AFC選手権アジアカップ2023年大会第3次予選E組 最終節
6月14日(火)@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラルンプール)
マレーシア 4-1 バングラデシュ
⚽️マレーシア:サファウィ・ラシド(16分PK)、ディオン・クールズ(38分)、シャフィク・アフマド(47分)、ダレン・ロック(73分)
⚽️バングラデシュ:モハマド・イブラヒム(31分)
🟨マレーシア(1):シャールル・サアド
🟨バングラデシュ(1):アティクール・ラーマン・ファハド

(下はマレーシアの先発XIと試合のハイライト映像。映像はアストロアリーナのYouTubeチャンネルより)

AFC選手権アジアカップ2023年大会第3次予選E組
6月14日(火)@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラルンプール)
バーレーン 1-0 トルクメニスタン
⚽️バーレーン:アブドゥラ・ユスフ・ヘラル(23分PK)
🟨バーレーン(1):ランド・アル・フーティ
🟨トルクメニスタン(0)

AFC選手権アジアカップ2023年大会第3次予選E組 最終順位

順位チーム得失差勝点
1*バーレーン33005149
2*マレーシア32018446
3トルクメニスタン310235-23
4バングラデシュ300328-60
*バーレーンとマレーシアがアジアカップ2023年大会の出場権を獲得
アセアン女子選手権出場の代表候補30名発表

マレーシアサッカー協会FAMは公式ホームページ上で、女子代表候補合宿参加メンバー30名を発表しています。今回の合宿は来月7月4日から17日までフィリピンで開催される東南アジアサッカー連盟AFF女子選手権2022大会に向けて行われます。

6月30日まで予定されている今回の合宿中には、6月23日と26日にバングラデシュのシレットへ遠征しバングラデシュ代表との国際親善試合も組まれています。

ジェイコブ・ジョセフ監督率いる女子代表は、合宿終了後にフィリピン入りし、AFF女子選手権に出場します。この大会でマレーシアはシンガポール(7月4日)、インドネシア(7月6日)、フィリピン(7月8日)、タイ(7月10日)、オーストラリア(7月12日)と対戦します。

女子代表合宿参加メンバー30名と予備候補2名のリストはこちらです。

スヴァイ・リエンFCは2連勝でマレーシア遠征を終える

昨季2021年シーズンにはカンボジア1部リーグ2位のスヴァイ・リエンFCは、マレーシア遠征を2連勝して遠征を終了しています。

水野輝、小田原貴の両日本人選手を擁するスヴァイ・リエンFCは、6月10日にMリーグ1部スーパーリーグのPJシティと試合を行い、スン・ソヴァン選手ゴールで1-0と勝利を収めています。この日の先発メンバーは以下の通りです。


また一昨日の6月13日にはMリーグ2部プレミアリーグのUITMと対戦し、こちらはサレス・クレイニヤ選手のゴールで勝利を収めています。こちらの先発XIは以下の通りでした。


クラブの公式Facebookを見ると、昨日はスーパーリーグのスランゴールの練習グランドで練習を行なったようですし、公式Facebookのプロフィール写真もマレーシアで撮られたものに代わっているので、有意義な遠征になったのではないでしょうか。次はAFCカップやACLでマレーシアに来てください!

6月12日のニュース
AFCアジアカップ最終予選-バーレーンに惜敗で16年ぶりのアジアカップ出場が遠のく

AFCアジアカップ最終予選-バーレーンに惜敗で16年ぶりのアジアカップ出場が遠のく

チャンスはあったが活かせなかった。ミスから失点した。これが今の実力なのか。

初戦のトルクメニスタン戦の勝利、そして土曜日の夜の試合ということもあり勝利の期待が高まったこの試合は、マレーシアサッカー協会の発表では6万1864枚のチケットが売れたとのこと。しかしそんな熱気に文字通り水を差すように、この日の夕方からクアラルンプールを襲った集中豪雨のため、試合開始時にはピッチに水が浮く最悪のコンデションでした。

FIFA154位のマレーシアは、グループ最大の敵である同89位のバーレーン戦に勝てば一気にアジアカップ出場が近づきます。3-1と快勝したトルクメニスタン戦に続く連勝を目指すキム・パンゴン監督は、トルクメニスタン戦から5名の選手を入れ替えてこの試合に臨みました。アリフ・アイマン(JDT)とファイサル・ハリム(トレンガヌ)の両ウィングに代えて、モハマドゥ・スマレとアキヤ・ラシド(いずれもJDT)を、またセカンドストライカーとして起用したサファウィ・ラシド(JDT)に代えてDFを1枚増やしジュニオール・エルドストール(前チョンブリーFC-タイ1部)を起用、またトルクメニスタン戦では得点につながるミスを犯したシャールル・サアド(JDT)に代えてクザイミ・ピー(ヌグリスンビラン)を先発させる5バックを採用しています。また中盤はアザム・アジー(スリ・パハン)に代えてナズミ・ファイズ(JDT)を起用するなど、トルクメニスタン戦に比べるとやや守備的な先発XIとなっています。

GKファリザル・マーリアス(JDT)
DFマシュー・デイヴィーズ(JDT)
DFディオン・クールズ(SVズルテ・ワレヘム-ベルギー1部)
DFジュニオール・エルドストール(前チョンブリーFC-タイ1部)
DFクザイミ・ピー(ヌグリスンビラン)
DFラヴェル・コービン=オン(JDT)
MFナズミ・ファイズ(JDT)
MFシャマー・クッティ・アッバ(JDT)
FWモハマドゥ・スマレ(JDT)
FWダレン・ロック(PJシティ)
FWアキヤ・ラシド(JDT)

トルクメニスタン戦同様、試合開始から積極的に攻めたマレーシアでしたが、15分を過ぎた辺りから試合は落ち着き、双方ががっぷり四つに組んだ試合となりました。しかしいかんせんピッチの状態が悪く、両チームともパスが繋がらず、見ていて楽しい試合ではありませんでした。それでも30分には代表の司令塔に定着しつつあるシャマー・クッティ・アッバからのパスに抜け出したアキヤ・ラシドが相手GKと一対一になる場面を作ったものの、GKサイード・アバッスが素晴らしい反応でアキヤ選手のシュートをはじかれ、得点には至らず、0-0のまま前半を終了します。

後半はゆっくりしたスタートだったものの、ペースが上がり始めて54分には、カウンターからオーバーラップしてきたクザイミ・ピーがアキヤ選手から受けたボールを絶妙のクロスをゴール前へ送ります。この試合では再三、好機を作っていたハマドゥ・スマレがこのクロスに合わせてゴール!マレーシアが先制しました。クザイミ選手の速いクロスは、マレーシア代表のサイドバックやウイングの選手があまり使わないだけに非常に効果的でした。しかし1-0とリードし、スタジアムが一気に盛り上がったそのわずか3分後には、DF陣がいわゆる「ボールウォッチング」状態からあっという間に失点し、試合は振り出しに戻ります。

残り時間10分ほどになり、このまま双方が勝点1で終了の雰囲気が漂い始めた81分、バーレーンのマハディ・フマイディンの左からのクロスをGKファリザル・マーリアスとクザイミ選手、バーレーンのアブドゥラ・ユスフ・ヘラルが交錯し、ボールはペナルティーエリア内に転がり、その捕球できなかったボールに寄せたアリ・マダンをファリザル選手が倒してPKを与えてしまいます。これをバーレーンのユスフ選手が決め、バーレーンが勝ち越します。

マレーシアのキム監督は、その後DFのマシュー・デイヴィーズに代えて、トルクメニスタン戦で先制ゴールを決めたサファウィ・ラシドを投入しますが、得点を奪えず試合終了となりました。この結果、6月14日(火)の最終第3節でトルクメニスタンと対戦するバーレーンが引き分け以上なら、マレーシア対バングラデシュ戦の結果に関わらず、このE組のトップはバーレーンとなり、アジアカップへの出場権を獲得します。

AFC選手権アジアカップ2023年大会第3次予選E組
6月11日(土)@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラルンプール)
マレーシア 1-2 バーレーン
⚽️マレーシア:モハマドゥ・スマレ(54分)
⚽️バーレーン:アリ・ハラム(57分)、アブドゥラ・ユスフ・ヘラル(81分PK)
🟨マレーシア(0)
🟨バーレーン(3):アリ・マダン、アブドゥラ・ユスフ・ヘラル、サイード・リザ・イサ

(下はマレーシアの先発XIと試合のハイライト映像。映像はアストロアリーナのYouTubeチャンネルより)

AFC選手権アジアカップ2023年大会第3次予選E組
6月11日(土)@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラルンプール)
トルクメニスタン 2-0 バングラデシュ
⚽️トルクメニスタン:アルティムラト・アンナドゥルディエフ(7分)、アルスランミラト・アマノフ(42分)
⚽️バングラデシュ:ムハマド・イブラヒム(12分)
🟨トルクメニスタン(1):アルスランミラト・アマノフ
🟨バングラディシュ(0)

AFC選手権アジアカップ2023年大会第3次予選E組順位(第2節終了時)

順位チーム得失差勝点
1バーレーン22003036
2マレーシア21013213
3トルクメニスタン21013303
4バングラデシュ200214-30

6月11日のニュース
U17代表首脳陣と代表候補合宿参加者が発表-MLSクラブのアカデミー所属の選手も
キム監督がJDTオーナーのイスマイル殿下に職務縮小を再考を求める意見に疑問の声
クダは元タイ代表MFの加入を発表

U17代表首脳陣と代表候補合宿参加者が発表-MLSクラブのアカデミー所属の選手も

マレーシアサッカー協会FAMは東南アジアサッカー連盟AFF U16選手権2022年大会とAFC U17アジアカップ2023年大会予選に出場するU17代表の監督およびコーチを発表しています。AFF U16選手権2022年大会は7月31日から8月13日まで、AFC U17アジアカップ予選は10月1日から9日まで、いずれもインドネシアで開催されます。

FAMとスポーツ青年省傘下の国家スポーツ評議会NSCが共同で運営するエリートアカデミーのモクタル・ダハルアカデミーAMDの前ヘッドコーチを務めたオスメラ・アマロ氏がU17代表の監督に就任したことも併せて発表され、オスメラ監督と6名のコーチからなる首脳陣は、パハン州ガムバンにあるモクタル・ダハリアカデミーで今月13日から26日まで行われる代表候補合宿から指導にあたるということです。

スランゴール州プタリンジャヤにあるFAM本部で行われた発表では、U17代表候補合宿に参加する37名も併せて発表されています。この37名は代表候補合宿を経て最終メンバー23名まで絞り込まれます。

記者会見の席上で、AFF U16選手権は準決勝、AFC U17アジアカップは本戦出場という目標を挙げたオスメラ監督はを挙げていますが、AFF U16選手権ではグループステージC組でオーストラリア、ミャンマー、カンボジアと同じC組に、AFC U17アジアカップ予選では開催国インドネシア、アラブ首長国連邦、パレスチナ、グアムと同じB組に入っており、いずれも厳しい戦いになりそうです。

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今回発表になったU17代表候補は大半がエリートアカデミーのAMD所属、それ以外はJDTのU16所属の選手が数名という構成ですが、その中に所属がアメリカMLSのニューヨーク・レッドブルズとなっているオン・ワイリーという選手がいました。検索してみるとアメリカ生まれでニューヨーク・レッドブルズのU15に所属するミッドフィルダーのようです。名前からすると父親がマレーシア人なのかも知れませんが、この年代でも帰化選手を積極的に獲得する動きが出ているのかもしれません。

キム監督がJDTオーナーのイスマイル殿下に職務縮小を再考を求める意見に疑問の声

JDTオーナーでジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下がクラブの日常業務から手を引き、自身の職務を縮小することを発表したことは、昨日のこのブログでも取り上げましたが、これについてマレーシア代表のキム・パンゴン監督が再考を求めるよう発言しています。

マレーシアサッカー協会FAMの公式Facebookに掲載されたコメントの中でキム監督は「イスマイル殿下には決断内容を再考することを求めたい。もし殿下が国内サッカーから手を引くのであれば、マレーシアのサッカーにとって大きな損失となる。イスマイル殿下は止まるところを知らぬ愛情で、(JDTに関わってから)10年もかからない内にクラブを遥かな高みに押し上げた。現時点ではマラーシアのサッカー界はイスマイル殿下が必要である。」と述べています。

マレーシアにやってくる以前から、イスマイル殿下がマレーシアのサッカーに及ぼした大きな影響については十分理解していたとするキム監督は「イスマイル殿下のおかげで、JDTはアジア中で賞賛を得ただけでなく、Mリーグの水準を引き上げた。」と、この投稿はキム監督の口からイスマイル殿下への礼賛で溢れています。

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イスマイル殿下の功績は素晴らしく、現在のJDTは殿下がいなければ存在していないのも事実です。しかし代表チームの監督が、言わば1クラブのオーナーについてこれほど言及するしていることについては、多くのサッカーファンが違和感を感じているようです。これがFAMの公式Facebookに投稿されると、「イスマイル殿下の決断を尊重すべき」といったものから、「アジアカップ予選中の代表監督は試合以外のことに気を散らすべきではない。」と、トルクメニスタンに勝って勢いづいているチームに水を差すものだと言った指摘もあります。また「キム監督の個人的意見がなぜFAMの公式Facebookに投稿されるのか」、さらには「FAMがキム監督の口を借りて発言しているのではないか。」といったものから、「キム監督は正論を述べている。」と擁護するものまで、FAMの投稿には2000件を超えるコメントがついています。

現在開催中のアジアカップ2023年大会最終第3次予選に出場しているマレーシア代表のメンバー23名中13名がJDTの選手であり、もし今後JDTが弱体化すればキム監督自身の首筋が寒くなりかねないことからの発言かと邪推もできますが、実際には記者会見で尋ねられたことに対する回答をFAMがそれらしくまとめたもののようであり、キム監督自身が積極的に意見を述べたわけではない、というのがことの真相のようです。

クダは元タイ代表MFの加入を発表

Mリーグ1部スーパーリーグのクダは、クラブ公式Facebookで元タイ代表MFサンワット・デーミットがタイ1部バンコク・ユナイテッドから今季末までの期限付き移籍での加入を発表しています。

32歳のサンワット選手は、アキレス腱を痛めて今季の残り試合の出場が絶望となっているFWデニス・ブシェニングに代わって、アセアン東南アジア枠で登録されます。

サンワット選手は2018年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップで大会のベストXIに選ばれた他、シンガポール1部のタンピネス・ローヴァーズなどでもプレー経験があり、昨季はラーチャブリーFCへ期限付き移籍し、リーグ戦とカップ戦合わせて18試合に先発しています。またサンワット選手は2018年のスズキカップでは大会XIに選ばれています。

なおサンワット選手はすでにチームに合流しており、昨日6月10日に行われたMリーグ2部ペラとの練習試合にも出場しています。

6月10日のニュース:
両代表に明暗 A代表はトルクメニスタンに勝利もU23代表は勝点0でアジアカップ敗退

A代表は格上トルクメニスタン相手に快勝

昨日6月8日にAFC選手権アジアカップ2023年大会最終第3次予選E組がクアラ・ルンプールで開幕し、FIFAランキング154位のマレーシアが同134位のトルクメニスタンを相手に3-1と快勝し、幸先の良いスタートを切っています。

マレーシアはこの予選前のウォームアップとなったブルネイ、香港と国際親善試合に連勝しており、共同開催となった2007年以来となるアジアカップ出場へ期待が高まる中、地元開催ということもあり、公式発表2万1951名の観衆がブキ・ジャリル国立競技場を埋めました。

ブルネイ、香港と試行錯誤しながら選手を起用したキム監督は、マレーシア監督代表就任後初の公式戦となったこの試合で以下の先発XIを起用しました。

GKファリザル・マーリアス(JDT)
DFマシュー・デイヴィーズ(JDT)
DFディオン・クールズ(ベルギー1部SVズルテ・ワレヘム)
DFシャールル・サアド(JDT)
DFラヴェル・コービン=オン
MFアザム・アジー(スリ・パハン)
MFシャマー・クッティ・アバ(JDT)
MFサファウィ・ラシド(JDT)
FWアリフ・アイマン(JDT)
FWダレン・ロック(PJシティ)
FWファイサル・ハリム(トレンガヌ)

所属するJDTでは、今をときめく右ウイングのアリフ・アイマンとポジションが被ることが以前ほどの出場機会を得られていないサファウィ・ラシドですが、キム監督はこの試合で、ダレン・ロックの後ろに控えるセカンドストライカーとして起用しましたが、マレーシアの1点目はまさにこの起用がが功を奏しました。11分には相手バスをカットしたサファウィ選手が右サイドを上がり、そこからアリフ・アイマンに預けると自身はゴール前へ。アリフ選手のクロスに走り込んだダレン・ロックには合わなかったものの、相手GKが弾いたボールを詰めていたサファウィ選手がゴール!代表チーム歴代最多タイとなる12ヵ国目を相手のゴールでマレーシアが先制します。

このゴールで押せ押せとなったマレーシアはさらに16分、相手ゴール前でDFの緩慢な動きからボールを奪ったアリフ選手が流したボールにファイサル・ハリムが反応、これを落ち着いて蹴り込んでマレーシアが2-0とリードを広げます。

しかしその直後からなぜか明らかにペースダウンしたマレーシアに対し、トルクメニスタンはDFシャルル・サアドの不用意なミスからボールを奪い、アルティムラト・アンナドゥルディエフが37分にゴールし1点差に迫ります。

このまま前半終了かと思われた45+2分には、自陣ペナルティーエリアの外でボールを奪ったラヴェル・コービン=オンが中央を長躯ドリブルで持ち上がりし、そのままペナルティエリアまで持ち込みシュート!これがDFが死角になった相手GKの反応が遅れ、そのままゴールイン。コービン=オン選手にとっては、2019年6月の東ティモール戦以来となる代表2ゴール目で再びリードを広げで前半を折り返します。

後半はDFラインの裏を撮られる場面が何度かあったものの、トルクメニスタンを無失点に抑えたマレーシアが勝点3を獲得しています。次戦の6月11日のバーレーン戦に向けて好発進となったマレーシアですが、前半途中からのペースダウンやチャンスを決めきれなかったダレン・ロックなど、課題も見えたマレーシア。ここまでの盛り上がりもバーレーンに敗れれば萎んでしまいかねませんが、そこは選手の奮起とキム監督の手腕に期待です。

AFC選手権アジアカップ2023年大会第3次予選E組@ブキ・ジャリル国立競技場
マレーシア 3-1 トルクメニスタン
⚽️マレーシア:サファウィ・ラシド(11分)、ファイサル・ハリム(16分)、ラヴェル・コービン=オン(45+2分)
⚽️トルクメニスタン:アルティムラト・アンナドゥルディエフ(37分)
🟨マレーシア(2):ダレン・ロック、モハマドゥ・スマレ
🟨トルクメニスタン(4):レスル ・ホジャエフ、アルティムラト・アンナドゥルディエフ、アブディ・バシモフ、グイチミラト・アンナグリエフ
🟥トルクメニスタン(1):アブディ・バシモフ(イエロー2枚目)

(下はマレーシアの先発XIと試合のハイライト映像。映像はアストロアリーナのYouTubeチャンネルより)

最終第3次予選E組のもう1試合は、FIFAランキング89位とこのE組で最も高いランキングを持つバーレーンが同188位のバングラデシュを下しています。

AFC選手権アジアカップ2023年大会第3次予選E組@ブキ・ジャリル国立競技場
バーレーン 2-0 バングラデシュ
⚽️バーレーン:アリ・ハラム(34分)、カーミル・アル・アスワド(42分)
🟨バーレーン(2):アミーヌ・ベナディ、マハディ・アブドルラティフ
🟨バングラディシュ(2):ラキブ・ホサイン、ビシュワナス・ゴーシュ

AFC選手権アジアカップ2023年大会第3次予選E組順位(第1節終了時)

順位チーム得失差勝点
1マレーシア11003123
2バーレーン11002023
3トルクメニスタン100113-20
4バングラデシュ100102-20
U23代表は不可解な選手起用でグループステージ3連敗し敗退

韓国、タイに連敗し、すでにグループステージ敗退が決まっているマレーシアU23代表は最終戦となるベトナムU23代表との試合望み、0-2で敗れています。

ここまで2引分けで勝点2のベトナムは、勝点4の1位韓国、2位タイを上回るには、この試合で勝利あるのみでした、そんなベトナムに対してブラッド・マロニー監督は、今大会初スタメンとなるGKフィルダウス・イルマン(PDRM)を起用、さらに今大会初出場となるアイマン・アフィフ(クダ)とシャフィ・アズスワド(JDT II)を含めた7名をタイ戦から入れ替える大幅な選手変更を行なっています。

全力で勝ちにくるベトナムを相手に、一見するとまるで勝ちを放棄するかのような、全く意味不明な先発XIです。しかし17分には早くも選手交代を行いながら、結局、選手交代を3回しか行わなかったところを見ると、今大会中タイやベトナムも悩まされたという報道があった食中毒でベストメンバーを組めなかったのかも知れません

いずれにせよ、ベストメンバーでないマレーシアにとってはベトナムの壁は厚く、28分に先制を許したものの、採算のピンチをフィルダウス選手が好セーブで凌ぎました。しかし、前半終了間際には17分に交代出場したハイリー・ハキム(トレンガヌ)がペナルティーエリア内でハンドを取られて退場。10人となったマレーシアは何もできず、0-2で敗れています。

この結果、マレーシアは0勝3敗、得点1失点9勝点0の成績で2度目となったU23アジアカップを終えています。コロナ前の2019年のAFC U19選手権では、マレーシアはグループステージを0勝1分2敗で敗退、また自国開催となった2018年のAFC U16選手権もグループステージで1勝0分2敗と敗れておいます。この年代の主力はマレーシアサッカー協会FAMが共同運営する国内エリートアカデミー出身ですが、国内トップの選手で構成されるチームがここまでアジアどころか東南アジアの壁に跳ね返され続けており、A代表の強化を帰化選手頼りにしてきたFAMの責任が問われそうです。

AFC U23アジアカップ2022年大会
グループステージC組@ロコモティフ・スタジアム 
ベトナム 2-0 マレーシア
⚽️ベトナム:マン・ドゥン・ニャム(28分)、ブイ・ホアン・ヴィエット・アイン(45+8分)
🟨ベトナム(0)
🟨マレーシア(0)
🟥マレーシア(1):ハイリー・ハキム

C組のもう1試合は、韓国が接戦をものにして、タイを1−0で破りグループ首位で突破。敗れたタイはグループステージ敗退となっています。

AFC U23アジアカップ2022年大会
グループステージC組@ロコモティフ・スタジアム 
韓国 1-0 タイ
⚽️韓国:マン・ドゥン・ニャム(28分)
🟨韓国(1):ゴ・ヨンジュン
🟨タイ(0)

U23アジアカップ2022 グループステージC組最終順位表

順位チーム得点失点得失差勝点
*1韓国32106247
*2ベトナム31205325
2タイ31105324
4マレーシア300319-80
1位韓国と2位ベトナムがベスト8に進出

6月6日のニュース
U23アジアカップ-2試合連続守備崩壊のマレーシアはグループステージ敗退決定
トレンガヌはマレーシア遠征中のカンボジアリーグ王者と引き分け
トレンガヌは外国籍選手9名全員の残留濃厚
スリ・パハンのアザム・アジーも残留へ

U23アジアカップ-2試合連続守備崩壊のマレーシアはグループステージ敗退決定

2試合で7失点ではさすがに無理!U23アジアカップに出場中のマレーシアは、グループステージ2試合目となるタイ戦に臨み、0-3と完敗し、グループステージ敗退が決まりました。

1-4で敗れた初戦の韓国戦の先発XIからハディ・ファイヤッド(J3沼津)とサフアン・マズラン(トレンガヌII)をそれぞれダニアル・アスリ(スランゴール)とハイリ・ハキミ(トレンガヌ)を入れ替えたマレーシア。この試合で敗れれば上位2チームが進出するベスト16入りがなくなります。

東南アジア競技大会では1-0で勝利を収めているタイを相手に、この試合に勝つしかないマレーシアは積極的に仕掛けようとしますが、前線のルクマン・ハキム(ベルギー1部KVコルトレイク)、ダニアル・アスリまで繋ぐことができない苦しい展開が続きます。そうする内にタイのエース、スファナット・ムエアンタのシュートでタイが23分に先制します。このゴールはこの韓国戦での失点同様、DFラインの裏に抜け出され、さらにシュートがマレーシアDFハリス・ハイカル(スランゴール)の足に当たって角度が変わり、ラーディアズリ・ラハリム(トレンガヌ)が反応できないままゴールインでした。

ハディ選手がタイGKと1対1になった59分のシュートは、GKがセーブするなどマレーシアが追いつけない中、69分にはオフサイドトラップを抜け出したチャナロン・プロムスリケウが2点目を、73分には1点目と同じような状況から再びスファナット選手に3点目を決められ万事休す。2戦連続完敗となったマレーシアは最終のベトナム戦を残して、グループステージ敗退が決まっています。

大量失点はDF陣の崩壊が原因ですが、東南アジア競技大会、そして今回のAFC U23アジアカップを見て、それ以上に問題に思えるのはチームに絶対的なエースが不在なことです。特にこの試合ではタイのエース、スファナット・ムエアンタが活躍しただけにそれを痛感しました。

調子の良い選手を使うといえば聞こえは良いですが、ブラッド・マロニー監督も試合ごとにFWの組み合わせを変える試行錯誤を行ったものの、結局、東南アジア競技大会からこの試合まで同じメンバーで戦ってきたマレーシアU23代表は、7試合で10得点14失点、その内タイ、ベトナム、韓国のFIFAランキングが上位の国との対戦に限ると4試合で3得点9失点という結果です。

最終のDFラインの裏を取られる場面が何度も見られるのは、選手間でのチームとしての戦術理解不足ではという懸念もありますが、そうすると、選手を入れ替えずに同じメンバーでチームを編成することの意義を主張するマロニー監督の手腕そのものに今後は疑問符がつく可能性もあります。

また今回のメンバーでは、シャヒール・バシャー(スランゴール)やダニアル選手が所属するスランゴールでは主力としてスーパーリーグ試合に出場する一方で、才能では勝る「海外組」のルクマン、ハディ両選手が所属チームでは十分な試合時間が得られていないのも気がかりです。

最終戦となるベトナム戦では、プライドしか賭けるものはありませんが、それまで失うことがないような好試合を期待したいです。

6月5日(日)@ブニョドコルスタジアム(タシュケント、ウズベキスタン)
マレーシア 0-3 タイ
⚽️タイ:スファナット・ムエアンタ2(23分、73分)、チャナロン・プロムスリケウ(69分)
🟨マレーシア(3):ムカイリ・アジマル、ジクリ・カリリ、アズファル・フィクリ
🟨タイ(0)

(下は両チームの先発XIと試合のハイライト映像。映像はアストロアリーナのYouTubeチャンネルよりータイU23の先発XIはタイ語なので読めません…。)

もう1試合のベトナム対韓国戦は、マレーシア戦で2ゴールを挙げたチョ・ヨンウクのゴールで韓国が先制したものの、DFイ・ジンヨンが77分に2枚のイエローカードによるレッドカードで退場し韓国が10人となった機会を逃さずベトナムが同点ゴールを決め、1-1の引き分けに終わっています。

6月5日(日)@ロコモティフスタジアム(タシュケント、ウズベキスタン)
ベトナム 1-1 韓国
⚽️ベトナム:ヴー・ティエン・ロン(分)
⚽️韓国:チョ・ヨンウク2(分)
🟨ベトナム(0)
🟨韓国(1):イ・ジンヨン
🟥韓国(1):イ・ジンヨン(イエロー2枚)

U23アジアカップ2022 グループステージC組順位表(第2節終了時)

順位チーム得点失点得失差勝点
1韓国1105234
2タイ1105234
3ベトナム0203302
4マレーシア00217-60
トレンガヌはマレーシア遠征中のカンボジアリーグ王者と引き分け

昨季2021年シーズンのカンボジアリーグ王者プノンペン・クラウンFCは、現在、マレーシア遠征を行っていますが、この遠征初戦となるトレンガヌFC戦が6月4日にトレンガヌFCの本拠地、スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアムで行われ、1-1の引き分けに終わっています。

クパー・シャーマン、チェチェ・キプレの2トップを含めた外国籍4名に、ほぼレギュラーメンバーで臨んだトレンガヌに対し、プノンペン・クラウンFCは所属する大瀬貴己、小川雄大の両日本人選手がいずれも先発しています。試合はハキミ・アブドラのゴールでトレンガヌが27分に先制しましたが、プノンペン・クラウンは58分、小川雄大選手がトレンガヌDF陣の裏へ出した絶妙のパスを受けたアンドレス・ニエトがそのままゴールを決めて同点に追いつき、試合は1-1のまま引き分けています。

東南アジア競技大会通称シーゲームズ、そして現在開催中のAFC U23アジアカップに出場しているマレーシアU23代表に多くの選手が招集されているトレンガヌは、4月22日以来、スーパーリーグの試合が全て延期されており、先月5月は一試合も公式戦がありませんでした。マレーシア語紙ハリアンメトロによると、この試合後の会見でトレンガヌのナフジ・ザイン監督は、この日が久しぶりの試合であり、相手が強豪チームであることを考えると、プノンペン・クラウンFC戦での選手のパフォーマンスについては全体的には満足していると話す一方で、今月18日に再開されるMリーグ1部スーパーリーグに向けて、いくつか修正する必要があるとも述べているということです。

国際親善試合
6月4日(土)@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 1-1 プノンペン・クラウン
⚽️トレンガヌ:ハキミ・アブドラ(27分)
⚽️プノンペン・クラウン:アンドレス・ニエト (58分)

(下は両チームの先発XIと試合のハイライト映像。映像はトレンガヌFCの公式YouTubeチャンネルより)

なおプノンペン・クラウンFCは、今日6月6日にトレンガヌともう1試合を行なった後、6月8日(水)にはKLフットボールスタジアムでスーパーリーグのKLシティとも対戦する予定が発表されています。

トレンガヌは外国籍選手9名全員の残留濃厚

5月28日より開いているMリーグの今季2度目のトランスファーウィンドウは6月24日までですが、Mリーグ1部スーパーリーグのトレンガヌは、トップチームのトレンガヌに在籍する5名とセカンドチームのトレンガヌIIに所属する4名の外国籍選手全員の残留が決定したようです。

マレーシア語紙ウトゥサン・マレーシアによると、トレンガヌを運営するTFC社のアブドル・ラシド・ジュソーCEOは、トランスファーウィンドウ中に外国籍選手を入れ替える予定がないと話しています。

今季のトレンガヌはDFパペ・ディアキテ(セネガル)、MFマヌエル・オット(フィリピン)、FWクパー・シャーマン(リベリア)、FWチェチェ・キプレ(コートジボアール)、MFハビブ・ハルーン(バーレーン)、セカンドチームでMリーグ2部プレミアリーグでプレーするトレンガヌIIにはFWジョーダン・ミンター(ガーナ)、DFルーク・ウッドランド(フィリピン)、DFアルグジム・レゾヴィッチ(モンテネグロ)、FWペトルス・シテンビ(ナミビア)の9名が在籍しています。

「外国籍選手は全員が残留するが、彼らには最善のパフォーマンスを求め、チームの目標が達成できるような活躍を求めたい。」と話すアブドル・ラシド・ジュソーCEOは、マレーシア人選手については、ウィングの選手など数名を獲得する予定であると話しています。なおトレンガヌは既にスランゴールから、ニック・シャリフ・ハセフィを期限付き移籍で獲得しています。また、27歳のウィング、アリフ・アンワルは逆に期限付き移籍でプレミアリーグのPDRMに加入することも発表されています。

*****

今季開幕時にチーム内で新型コロナ感染者が見つかったトレンガヌは、複数の試合が延期されており、スーパーリーグ自体は第9節を終えているにもかかわらず、まだ4試合しか消化していません。このため2勝2敗の勝点6で現時点では12チーム中11位となっています。一方のトレンガヌIIは9試合を終えて6勝1分2敗で10チーム中3位となっています。まぁ4試合で外国籍選手を入れ替えるにはリスクが大きすぎる、またセカンドチームは結果を出しているんで入れ替えの必要がない、といったところでしょうか。

スリ・パハンのアザム・アジーも残留へ

Mリーグ1部スーパーリーグのスリ・パハンは、代表でもプレーするMFアザム・アジーが、現在開いているトランスファーウィンドウ中に移籍することはないと明言しています。

マレーシア語紙ブリタハリアンは、スリ・パハン関係者の話として、他のクラブから獲得についての問い合わせを受けておらず、移籍の噂が出ているアザム選手が後半戦も、スリ・パハンでプレーするだろうと伝えています。

低迷するスリ・パハンの中にあり、代表キャップ数16を数える27歳のアザム選手に対して、今回のトランスファーウィンドウ中にリーグ覇者のJDTの他、スランゴール、トレンガヌなどが獲得に動くのではと言う噂が出ていました。しかし、前身のパハンFAから数えると既に110試合以上に出場している地元パハン州出身のアザム選手は、クリストファー・ガメル監督もチームに必要な選手と公言しており、少なくとも今季は最後までスリ・パハンでプレーするようです。

6月5日のニュース
アジアカップ予選出場の代表23名が発表
アセアンU19選手権出場のU19代表候補合宿参加者26名が発表
6月19日のMリーグ1部クダ対JDT戦が延期に 

AFC U23アジアカップに出場中のマレーシアU23代表は、本日タイU23代表と対戦します。初戦の韓国戦に1-4と破れているマレーシアは、グループステージ突破のためにはこの試合に勝つことが必須です。先月の東南アジア競技大会通称シーゲームズで対戦した両チームは、タイに退場者が出たこともありマレーシアが辛勝していますが、果たして今日の試合はどうなるのでしょうか。

アジアカップ予選出場の代表23名が発表

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、6月8日に開幕するAFC選手権アジアカップ2023年大会最終第3次予選に出場するマレーシア代表23名を発表しています。その内訳はリーグ首位のJDTの13名を筆頭に、PJシティとヌグリスンビランから各2名、トレンガヌ、スランゴール、サバから各1名、さらに海外組2名となっています。(ただしこの発表後、ジュニオール・エルドストールがタイ1部チョンブリーFCを退団することが発表されています。)

直近のFIFAランキングで154位のマレーシアは、クアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で開催されるアジアカップ最終第3次予選E組で、同134位のトルクメニスタン(6月8日)、同89位のバーレーン(6月11日)、同188位のバングラディシュ(6月14日)と対戦します。

アジアカップ最終第3次予選出場メンバー

ポジション氏名年齢所属
GKファリザル・マーリアス36JDT
DFシャールル・サアド29JDT
DFラベル・コービン=オン31JDT
MFシャマー・クッティ・アバ25JDT
MFナズミ・ファイズ28JDT
MFサフィク・ラヒム35JDT
FW アリフ・アイマン20JDT
FW サファウィ・ラシド25JDT
FW アキヤ・ラシド23JDT
FW モハマドゥ・スマレ28JDT
DF マシュー・デイヴィーズ27JDT
FWギリェルメ・デ・パウラ36JDT
FWシャフィク・アフマド27JDT
FW ダレン・ロック32PJシティ
FW V・ルーヴェンティラン21PJシティ
DF クザイミ・ピー29ヌグリスンビラン
GKシャイハン・ハズミ26ヌグリスンビラン
FW ファイサル・ハリム24トレンガヌ
GK カイルルアズハン・カリド33スランゴール
DF ドミニク・タン25サバ
MFアザム・アジー27スリ・パハン
DF ディオン・クールズ26SVズルテ・ワレヘム
DFジュニオール・エルドストール31チョンブリーFC
SVズルテ・ワレヘムはベルギー1部、チョンブリーFCはタイ1部、それ以外はマレーシア1部スーパーリーグのクラブ

なお、5月20日から行われていた代表候補合宿には全員で29名が召集されていましたが、副鼻腔炎の手術のため既に5月30日に合宿を離れているシャーミ・サファリ(JDT)を除く以下5名は、予備登録メンバーとして発表されています。

ポジション氏名年齢所属
GKカラムラー・アル=ハフィズ36PJシティ
FWコギレスワラン・ラジ29PJシティ
MFアフィク・ファザイル21JDT
DF シャールル・ニザム24トレンガヌ
FWノーシャルル・イドラン・タラハ27マラッカU
MFリリドン・クラスニキ31オディシャFC
オディシャFCはインドスーパーリーグ、それ以外はマレーシア1部スーパーリーグのクラブ
アセアンU19選手権出場のU19代表候補合宿参加者26名が発表

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、7月2日に開幕する東南アジアサッカー連盟AFF U19選手権に出場するマレーシアU19代表26名を発表しています。ハサン・サザリ監督率いるU19代表候補は、既に6月4日に国家スポーツ評議会NSCの施設に集合しており、本日、ジョホール・バルに移動して複数の練習試合を含めた合宿を行った後、6月12日に合宿を打ち上げる予定になっています。

このU19代表は7月2日から15日までインドネシアで開催されるAFF U19選手権出場後は、今年9月にモンゴルのウランバートルで開催されるAFC U20アジアカップ予選にも出場します。なおアジアカップ予選でマレーシアはE組に入り、韓国、モンゴル、スリランカと同組になっています。

U19代表候補合宿参加メンバー

ポジション氏名年齢所属
FWカイリ・スフィアン19SEL2
GKシャーミ・アディブ・ハイカル19SEL2
DFファクルル・ファリーズ19SEL2
MFハイカル・ハキーム・ハイリ19SEL2
MFアザニス・アズリ19SEL2
MFアリフ・イズワン・ユスラン18SEL2
FWアブドル・ラーマン・ダウド18SEL2
DFアリフ・ファルハン・ファウジ18SEL2
MFイズリン・イブラヒム18SEL2
MFアイサル・ハディ19JDT II
MFアダム・ファルハン18JDT II
GKズルヒルミ・シャラニ18JDT III
DFアダム・ダニエル18JDT III
MFジアド・エル=バシール19JDT III
FWナジムディン・アクマル19JDT III
DFアフマド・シャフィク・イクワン19TRE III
DFムハマド・シャフィク・イクワン19TRE III
FWダニエル・シャフィク19TRE III
MFアドリ・アフマド19FAM
FWハイカル・サハル19FAM
MFハリス・ナジワン18FAM
FWアズハド・ハラズ19SAB
FWハキミ・アジム19KLC
GKハジック・ムクリズ19PEN U21
DF ファルハン・ラヒム19UITM U21
DFズリハキム・ザフラン17AMD U17
所属は、SEL2はスランゴール2、JDT III、TRE IIIはそれぞれ、JDTとトレンガヌのU21チーム、FAMはFAM-MSNプロジェクト、SABはサバ、KLCはKLシティ、PENはペナン、AMDはFAMと国家スポーツ評議会MSNが共同運営するエリートアカデミー、モクタル・ダハリアカデミーのチーム
6月19日のMリーグ1部クダ対JDT戦が延期に

Mリーグを運営するMFLは公式サイト上で、6月19日に予定されているMリーグ1部スーパーリーグ第10節のクダ対JDTの試合を延期することを発表しています。なお新たな日程については発表されていませんが、クダが出場するAFCカップのグループステージ終了後となるということです。。

クダは6月24日から30日までインドネシアのバリ島で集中開催されるAFCカップのグループステージに出場することから、この試合に向けての準備のため、MFLに試合日程の延期を求め、対戦相手のJDTもこれに同意したことが、MFLのサイトでは説明されています。

MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOはAFC主催大会に出場するMリーグクラブに対しては協力を惜しまないと述べ、クダの他、やはりAFCカップに出場するKLシティ、そしてACLのベスト16に進出しているJDTに対しても同様の対応をしていくことを表明しています。

なおクダはAFCカップのグループステージG組でバリ・ユナイテッド(インドネシア)、カヤ-イロイロFC(フィリピン)、ビサカFC(カンボジア)と同組、KLシティはH組でタンピネス・ローヴァーズ(シンガポール)、PSMマカッサル(インドネシア)と同組となっています。なおH組はクアラルンプールで集中開催の予定です。(*H組はミャンマーのシャン・ユナイテッドが出場辞退したため、3クラブのみとなっています。)ACLのベスト16に進出しているJDTは8月18日に、浦和レッズ戦が控えています。

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6月3日のニュース
U23アジアカップ-マレーシアは韓国に完敗
サッカー協会運営のエリートアカデミーが欧州へ3選手を派遣
スランゴールのニック・シャリフがトレンガヌに期限付き移籍

U23アジアカップ-マレーシアのグループステージ初戦は韓国に完敗

東南アジア競技大会シーゲームズ出場メンバーと全く同じメンバーでこのU23アジアカップに臨んでいるマレーシアは、シーゲームズで起用したシャヒール・バシャーとダニアル・アスリ(いずれもスランゴール)ではなく、海外組のハディ・ファイヤッド(アスルクラロ沼津)、ルクマン・ハキム(ベルギー1部KVコルトレイク)をFWに起用、GKも長身のラーディアズリ・ラハリムを先発させるなど高さと速さを重視する布陣で、前回2020年大会チャンピオンの韓国に挑みました。

試合直後の好機を活かせなかったマレーシアは、その後は守備に追われる時間が長く、攻撃でも中盤まではボールを持って上がれても、そこから先へ進めず、結局はGKまでボールを戻す場面が目立ちました。そうする間に徐々に韓国に押し込まれていきましたが、韓国FW陣のフィニッシュの精度の低さのおかげで前半は、韓国主将のイ・サンミンのヘディングゴールによる1失点に抑えて終了します。

後半に入るとマレーシアはさらに攻め込まれる場面が多くなり、後半開始直後のコーナーキックからのこぼれ球をペナルティーエリアの外からキム・テファンが蹴り込んで韓国が2-0とリードを広げます。それでもマレーシアDF陣は韓国の攻撃に耐える一方で、83分にはカウンターからムカイリ・アジマル(スランゴール)が抜け出し、1対1となったGKをかわしてシュートを決め、一時は1-2と1点差に迫りました。

しかしその5分後には同点を意識したのか前掛かり気味になったDFラインの裏に抜け出したチョ・ヨンウクがゴールを決めて韓国はリードを広げ、さらに試合終了間際にも同じようなパターンでマレーシアは失点し、終わってみれば1-4の完敗でした。予想はできていたこととはいえ、東南アジアなら許されるミスが韓国相手ではピンチを招くなど、ベトナム、タイと明らかにレベルが違う、アジアの現実を実感させられた試合でした。なお、マレーシアの次戦は6月5日(日)のタイ戦です。

6月2日(木)@ロコモティフスタジアム(タシュケント、ウズベキスタン)
韓国 4-1 マレーシア
⚽️韓国:イ・サンミン(31分)、キム・テファン(48分)、チョ・ヨンウク2(88分、90+2分)
⚽️マレーシア:ムカイリ・アジマル(83分)
🟨韓国(0)
🟨マレーシア(0)

(下は両チームの先発XIと試合のハイライト映像。映像はアストロアリーナの公式YouTubeチャンネルより)

なおグループステージC組のもう一試合は、ベトナムとタイが2-2で引き分けています。
6月2日(木)@ミリースタジアム(タシュケント、ウズベキスタン)
タイ 2-2 ベトナム
⚽️タイ:ベン・デイヴィス(34分)、スファナット・ムエアンタ(90+1分)
⚽️ベトナム:ファン・トゥアン・タイ (1分)、グエン・ヴァン・トゥン (73分)
🟨タイ(0)
🟨ベトナム(1):マン・ドゥン・ニャム 

U23アジアカップ2022 グループステージC組順位表(第1節終了時)

順位チーム得点失点得失差勝点
1韓国1004133
2タイ0102201
3ベトナム0102201
4マレーシア00114-30
サッカー協会運営のエリートアカデミーが欧州へ3選手を派遣

マレーシアサッカー協会FAMと青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会が共同で運営するエリートアカデミーのモクタル・ダハリ・サッカーアカデミーAMDは公式Facebookで、アカデミーのトップ3選手がアカデミー卒業後の契約を目指すために欧州のクラブでトライアウトを兼ねた練習に出発しました。

今回の練習に参加するのはハイカル・ダニシュ、ロヒシャム・ハイカル、ムハマド・アブ・カリリの3選手で昨日6月2日にマレーシアを経ち今月19日まで、フランス2部リーグのアヌシーFCとルクセンブルグのラシンFCユニオン・ルクセンブルクの練習に参加するということです。

新型コロナの影響で2年間延期されてきた欧州クラブでの練習参加プログラムは、今後は毎年行われる予定だということです。

スランゴールのニック・シャリフがトレンガヌに期限付き移籍

Mリーグ1部スーパーリーグのトレンガヌは、同じスーパーリーグのスランゴールからニック・シャリフ・ハセフィを今季末までの期限付き移籍で獲得したことを、クラブ公式Facebookで発表しています。

25歳のニック・シャリフは、2020年シーズンにスリ・パハンでブレークすると、その2020年シーズン終了後に複数のクラブによる争奪戦を経て、スランゴールに移籍しました。しかし、移籍直後に左足首を痛め、2021年はトップチームでは出場機会がなく、今季もセカンドチームのスランゴール2で2部プレミアリーグの試合に出場していました。


6月2日のニュース
国際親善試合-マレーシアは香港に勝利
シャーミ・サファリが手術のため代表離脱
ペナンの新監督にザイナル前マラッカ・ユナイテッド監督が就任

6月8日から始まるAFC選手権アジアカップ2023年大会最終第3次予選のE組は、マレーシア、バーレーン、トルクメニスタン、バングラディシュの4カ国が出場してクアラルンプールで開催されますが、その先陣を切って昨日6月1日にトルクメニスタンとバーレーンがクアラルンプール入りしています。

トルクメニスタンはマレーシア入り前の5月27日にタイと試合を行い0-1で敗れています。またバーレーンは5月27日にミャンマーに2-0、一昨日5月31日にはタイに2-1と東南アジアのチームに連勝しています。のこうもう一つのチームであるバングラディシュは昨日、インドネシアにスコアレスドローと、各国とも最終第3次予選に向けた準備を進める中、FIFAランキング154位のマレーシアも先日のブルネイ戦に続き、昨日はキム・パンゴン監督がかつて指揮を取った同147位の香港代表との試合に臨みました。

国際親善試合-マレーシアは香港に勝利も士気高揚以外に見所なし

この試合でキム・パンゴン監督は、先週のブルネイ戦からDFディオン・クールズとMFシャマー・クッティ・アッバ以外の8名を入れ替えた先発XIを選択しています。
GKファリザル・マーリアス(JDT)
DFマシュー・デイヴィーズ(JDT)
DFシャールル・サアド(JDT)
DFディオン・クールズ(ベルギー1部SVズルテ・ワレヘム)
DFラヴェル・コービン=オン(JDT)
MFシャマー・クティ・アッバ(JDT)
MFアザム・アジー(スリ・パハン)
FWサファウィ・ラシド(JDT)
FWアリフ・アイマン(JDT)
FWダレン・ロック(PJシティ)
FWアキヤ・ラシド(JDT)

先発11名中8名がJDT、しかも元JDTのダレン・ロックとトランスファーウインドウ期間中にJDT移籍が噂されるアザム・アジーという布陣に対し、マレーシア同様、アジアカップ予選を控えるにもかかわらず、国内リーグの中断が長かった香港は明らかに動きが悪く、ブルネイ戦に続き、この試合もマレーシアが終始圧倒する試合になりました。

個人的には推しのダレン・ロックに両サイドのアキヤ・ラシドとアリフ・アイマンがボールを供給し、サファウィ・ラシドはダレン・ロックをサポートしながらも自由に動き回れるこのFW陣は良く機能し、この日の香港が相手ならもっと得点を挙げても良かったはずですが、前半はアキヤ・ラシドが倒されて得たPKをサファウィ・ラシドが決めた1点のみでした。

後半に入ると、キム監督はギリェルメ・デ・パウラ、モハマドゥ・スマレ、サフィク・ラヒム(いずれもJDT)、ファイサル・ハリム(トレンガヌ)を投入してさらにゴールを目指すも、この抗体では何も起こらず、後半もやはりファイサル・ハリムが倒されて得たFKが相手DFに当たってゴールとなっただけで、流れの中でのゴールは奪えませんでした。ちなみにこのFKを蹴ったサフィク・ラヒムは2014年のタイ戦以来となる8年ぶりの代表ゴール(通算16点目)でした。

ブルネイ、香港に連勝したものの両チームとも明らかに動きが悪く、そんな相手に2点しか挙げられなかったことが逆に不安です。この試合と並行しながら、同時刻に行われていたインドネシア対バングラディシュ戦もネット観戦しましたが、バングラディシュはブルネイや香港とは比べ物にならないほど当たりが激しく、アジアカップ予選は今回の国際親善試合のようにいかないことは明らかです。

そしてこの試合、最も強く感じたのはアキヤ・ラシドやサファウィ・ラシド、シャマー・クティ・アッバに所属するJDTでもっとプレー時間が与えられれば…ということでした。代表選手ながらJDTでは控えとなっている彼らがもっとプレー時間を与えられればもっと良い選手になるのではないかという思いでいっぱいでした。見ているこちらが楽しくなるようなアキヤ・ラシドのドリブル、サファウィ・ラシドの左足からの強烈なシュート、シャマー・クティ・アッバの試合を冷静に読む力は、今のJDTでの使われ方は文字通り宝の持ち腐れです。

6月1日(水)国際親善試合@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラルンプール)
マレーシア 2-0 香港
⚽️マレーシア:サファウィ・ラシド(31分PK)、サフィク・ラヒム(90分)

(下はマレーシアと香港の先発XIと試合のハイライト映像。映像はスタジアムアストロのYouTubeより。

シャーミ・サファリが手術のため代表離脱

アジアカップ最終第3次予選に向けて最後の調整に余念がないマレーシア代表にとっては痛いニュースです。先日のブルネイ戦にも先発したシャーミ・サファリ(JDT)が代表チームから離れることを、マレーシアサッカー協会FAMが公式Facebookで告知しています。

これによると、健康状態が良くないシャーミ選手に健康診断を受けさせたところ、頭痛や蓄膿(ちくのう)を引き起こす副鼻腔炎(ふくびくうえん)の疑いがあると言う診断結果が出たと言うことです。なお治療が必要ということで代表を離脱することが発表されたシャーミ選手ですが、所属するJDTはその後、シャーミ選手が本日、副鼻腔炎の手術を受けることを発表しています。

シャーミ選手の離脱により、アジアカップ予選に向けた代表候補は29名となりました。

ペナンの新監督にザイナル前マラッカ・ユナイテッド監督が就任

Mリーグ1部スーパーリーグで唯一、まだ今季勝ち星がないペナンは、トマス・トルチャ監督との契約解除し、マンズール・アズウィラ コーチを監督代行としたものの、マンズール代行監督も0勝2敗と状況は改善していません。

そのペナンが、ザイナル・アビディン・ハサン監督の就任をクラブ公式Facebookで発表しています。なおザイナル監督は今季終了まで指揮を取るということです。ザイナル監督はt2017年と2018年シーズンに前身のペナンFAの監督を務めたこともあり、今回が再登板となりますが、2017年は1部スーパーリーグで最下位12位となり2部降格、翌2018年は2部プレミアリーグで10位と前回は結果を残せませんでした。

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ペナン監督退任後、2019年シーズンから3季連続で監督を務めたマラッカ・ユナイテッドでは6位、9位、8位と満足のいく結果は残せなかったものの、給料未払い問題により勝点剥奪処分を3季連続で受け、シーズン途中で選手が退団するなど、ザイナル監督自身では何もできない環境の中、選手から支持され、選手のモチベーションを高く維持したことで、クラブの2部プレミアリーグ降格を防いだ功績は評価されるべきものです。モチベーションという点ではおそらく最低の段階にいるペナンにとっては、ザイナル新監督という人選はうってつけではないでしょうか。